建物形状変化検出方法及び建物形状変化検出システム
【課題】航空機にて撮影された航空画像に基づいて建物の形状変化を検出するシステムにおいて、航空機の着陸を待たずに航空画像の処理を行うことを可能とする。
【解決手段】航空機2にて、中心投影された撮影画像のまま、エッジを抽出し(S22)、これを地上基地局6へ無線伝送する。地上基地局6は、エッジから線分を抽出し、撮影画像における建物の形状を求める。一方、地上基地局6は既存三次元データを航空機2の飛行位置から中心投影した建物の投影像を生成し、これと撮影画像から得られた建物の形状とをマッチングする(S28)。マッチングによる両者の類似度に応じて、建物の形状が既存三次元データの登録時点から変化しているか否かを判定する。
【解決手段】航空機2にて、中心投影された撮影画像のまま、エッジを抽出し(S22)、これを地上基地局6へ無線伝送する。地上基地局6は、エッジから線分を抽出し、撮影画像における建物の形状を求める。一方、地上基地局6は既存三次元データを航空機2の飛行位置から中心投影した建物の投影像を生成し、これと撮影画像から得られた建物の形状とをマッチングする(S28)。マッチングによる両者の類似度に応じて、建物の形状が既存三次元データの登録時点から変化しているか否かを判定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飛行体から撮影した画像に基づいて建物等の地物の形状の変化を検出する方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
航空機等の飛行体上にて、フレームセンサ型デジタルカメラで地表面の画像(航空画像)を取得し、当該航空画像に基づいて建物の変化を検出することが行われる。近年、この航空画像を利用した建物の形状の変化検出に基づいて、例えば、地震等の災害時における被災状況の把握を行うことが検討されている。
【0003】
従来は、航空画像データは、航空機に搭載したデータ記録部に格納され、航空機の着陸後に地上のデータ処理装置に移され、処理、解析される。地上のデータ処理装置では、新たに取得された地表面の画像と、既存の地表面の画像との比較・照合に基づいて建物の形状変化を検出する。
【0004】
画像の比較・照合の手法としては、航空画像同士の比較、オルソ画像の特徴点と建物ポリゴンデータとの比較、DSM(Digital Surface Model)同士の比較などが考えられている。
【0005】
図12は、航空画像同士の比較を行う方法を説明するフロー図である。当該方法では、まず、新たに取得された航空画像と過去に取得されている既存の航空画像とのレジストレーション(位置合わせ)を行い、両画像間での輝度情報の変化に基づいて、地上の建物の有無や形状の変化を検出する。
【0006】
図13は、オルソ画像の特徴点と建物ポリゴンデータとの比較を行う方法を説明するフロー図である。当該方法では、まず、航空画像をオルソ補正してオルソ画像が生成される。フレームセンサ型デジタルカメラで撮影した航空画像は中心投影画像であり、撮影画像の周囲にいくにつれて大きくなる歪みを有する。オルソ補正はこの歪みを補正し、地表面を真上から見た正射影画像であるオルソ画像を生成する。続いて、生成されたオルソ画像に対して特徴点抽出等の処理を行って、オルソ画像に現れている建物の輪郭(又はその一部)を抽出する。この輪郭を既存の建物ポリゴンデータから得られる建物を真上から見た輪郭と比較することにより、建物の変化が検出される。
【0007】
図14は、DSM同士の比較を行う方法を説明するフロー図である。当該方法では、航空画像からDSMを生成し、当該DSMと既存のDSMとの差分を求めることによって、建物の変化を検出する。DSMは地表面の高さ情報であり、航空画像から生成する場合には、例えば、飛行位置の異なる複数の航空画像を照合し、同一の地物の当該複数の航空画像での見え方の違いに基づいて当該地物の高さを求める。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
災害時における地上の状況把握等のような利用目的では即時性が要求される。この観点から、航空機の着陸を待たずに航空画像の処理を行うことが課題となる。
【0009】
しかし、航空機上で撮影されるデジタル画像のデータ量は膨大となり得る一方、航空機と地上との間の伝送容量は比較的小さい。そのため、取得された画像データをそのまま航空機から地上へ無線伝送することは難しいという問題があった。
【0010】
また、航空画像同士の比較を行う方法では、画像が高解像度であるほどレジストレーションを高精度に行うことが難しく、更に画像間の輝度情報に基づく変化検出は、検出率が低いという問題や、平面的な変化しか検出できず、高さ方向の変化を検出できないといった問題があった。
【0011】
オルソ画像特徴点と建物ポリゴンデータとの比較を行う方法では、オルソ画像の生成処理の負荷が大きいという問題があり、航空機に搭載される装置の限られた処理能力では困難である。また、既存の建物ポリゴンデータとの比較による変化検出は、平面的な変化しか検出できないといった問題があった。
【0012】
DSM同士の比較を行う方法では、DSM生成の負荷が大きいという問題があり、やはり航空機に搭載される装置の限られた処理能力では困難である。
【0013】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、飛行体上にて撮影された画像の処理負荷が軽減され、ひいては、当該処理によるデータ量の低減によって飛行体から地上へのデータの無線伝送が容易となることにより、飛行体の着陸を待たずに地上にて建物形状の変化の検出処理を進めることができる建物形状変化検出方法及び建物形状変化検出システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係る建物形状変化検出方法は、飛行体上にて撮影した撮影地表画像から建物形状に対応する観測特徴点を抽出する観測特徴点抽出ステップと、予め記憶されている建物形状記録情報及び前記撮影地表画像の撮影時における前記飛行体の飛行位置及び姿勢に基づいて投影計算を行い、前記飛行位置から見た建物投影像を生成する建物投影像生成ステップと、前記観測特徴点と前記建物投影像とを対比して、前記建物形状の変化を検出する変化検出ステップと、を有する。
【0015】
また、本発明に係る建物形状変化検出システムは、飛行体上にて撮影した撮影地表画像から地物に対応する観測特徴点を抽出する観測特徴点抽出手段と、予め記憶されている建物形状記録情報及び前記撮影地表画像の撮影時における前記飛行体の飛行位置及び姿勢に基づいて投影計算を行い、前記飛行位置から見た建物投影像を生成する建物投影像生成手段と、前記観測特徴点と前記建物投影像とを対比して、前記建物形状の変化を検出する変化検出手段と、を有する。
【0016】
本発明によれば、中心投影画像である撮影地表画像に対して特徴点抽出処理を行う。オルソ補正等の処理を行わないため、少ない処理負荷で観測特徴点が抽出される。また、観測特徴点は元の撮影地表画像より少ないデータ量で表すことが可能である。中心投影画像に対応した特徴点の投影方向における位置は、その点に対応する高さに応じて定まる。すなわち、特徴点の投影方向における位置は高さの情報を含んでおり、観測特徴点と建物投影像との対比によって当該特徴点の高さの変化を検出することが可能であり、建物形状の3次元的な変化を検出することができる。
【0017】
他の本発明に係る建物形状変化検出方法は、飛行体から撮影地表画像を撮影する撮影ステップと、前記飛行体上にて、前記撮影地表画像から地物に対応する観測特徴点を抽出する観測特徴点抽出ステップと、前記観測特徴点を表すデータを前記飛行体から地上基地局へ無線伝送するデータ伝送ステップと、前記地上基地局にて、予め記憶されている建物形状記録情報及び前記撮影地表画像の撮影時における前記飛行体の飛行位置及び姿勢に基づいて投影計算を行い、前記飛行位置から見た建物投影像を生成する建物投影像生成ステップと、前記地上基地局にて、前記観測特徴点と前記建物投影像とを対比して、前記建物形状の変化を検出する変化検出ステップと、を有する。
【0018】
他の本発明に係る建物形状変化検出システムは、飛行体から撮影地表画像を撮影する撮影手段と、前記飛行体上にて、前記撮影地表画像から地物に対応する観測特徴点を抽出する観測特徴点抽出手段と、前記観測特徴点を表すデータを前記飛行体から地上基地局へ無線伝送するデータ伝送手段と、前記地上基地局にて、予め記憶されている建物形状記録情報及び前記撮影地表画像の撮影時における前記飛行体の飛行位置及び姿勢に基づいて投影計算を行い、前記飛行位置から見た建物投影像を生成する建物投影像生成手段と、前記地上基地局にて、前記観測特徴点と前記建物投影像とを対比して、前記建物形状の変化を検出する変化検出手段と、を有する。
【0019】
本発明によれば、飛行体上にて比較的少ない処理負荷でデータ量の削減が可能な観測特徴点抽出処理を行った後、飛行体から地上基地局への無線伝送を行う。これにより、飛行体の飛行中に速やかにデータを地上基地局へ伝送することが可能となる。
【0020】
上記本発明に係る建物形状変化検出方法においては、前記観測特徴点抽出ステップが、デジタル画像である前記撮影地表画像にてエッジを構成する画素を前記観測特徴点として抽出し、前記建物形状記録情報が、建物の三次元データを含み、前記建物投影像生成ステップが、前記三次元データに基づいて前記建物の輪郭の投影像を生成し、前記変化検出ステップが、前記撮影地表画像から抽出されたエッジと前記投影像とのマッチングに基づいて、前記建物の平面形状及び高さの変化を検出するように構成することができる。
【0021】
前記変化検出ステップは、前記建物投影像での前記建物の前記投影像と前記撮影地表画像における当該建物の像との、当該投影像に関する投影方向における位置の相違に基づいて、当該建物の高さの変化を検出する構成とすることができる。
【0022】
上記本発明に係る建物形状変化検出システムにおいては、前記観測特徴点抽出手段が、デジタル画像である前記撮影地表画像にてエッジを構成する画素を前記観測特徴点として抽出し、前記建物形状記録情報が、建物の三次元データを含み、前記建物投影像生成手段は、前記三次元データに基づいて前記建物の輪郭の投影像を生成し、前記変化検出手段が、前記撮影地表画像から抽出されたエッジと前記投影像とのマッチングに基づいて、前記建物の平面形状及び高さの変化を検出するように構成することができる。
【0023】
前記変化検出手段は、前記建物投影像での前記建物の前記投影像と前記撮影地表画像における当該建物の像との、当該投影像に関する投影方向における位置の相違に基づいて、当該建物の高さの変化を検出するように構成することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の建物形状変化検出方法及び建物形状変化検出システムは、データ量を低減し、処理負荷の軽減を図ることができる。また、飛行体にて取得した情報を地上基地局へ速やかに伝送し処理することで、建物等の形状の変化検出の即時性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態(以下実施形態という)について、図面に基づいて説明する。
【0026】
本実施形態は、地表の建物の形状変化を検出する建物形状変化検出システムであり、本発明に係る地表形状変化検出方法を用いて実現される。本システムは例えば、地震等の災害時に起こり得る建物の倒壊や異動等の状況を迅速に把握し、その情報を救援・復旧活動に活用するために有効である。
【0027】
図1は、本システムの概略構成を示す模式図である。航空機2はデジタルカメラを搭載し、上空から地表の画像を撮影する。また、航空機2はGPS/IMU(Global Positioning System/Inertial Measurement Unit)を搭載し、GPS衛星4からの信号、及び航空機上にて作用する慣性力に基づいて航空機2に搭載されたデジタルカメラの位置や傾き等を計測・記録し、これにより地表画像の撮影時におけるカメラの位置及び姿勢を把握することを可能としている。
【0028】
航空機2は、機上で取得したデジタル画像の特徴点を抽出する処理を行い、この特徴点に関し抽出されたデータ、及びGPS/IMUにより得られるデータを地上基地局6へ無線伝送する。地上基地局6は、航空機2から伝送された特徴点データに基づいて建物の形状変化を検出する処理を行う。基準局8は、予め正確にその位置が分かっており、GPSで得られた位置と真の位置からその誤差を計算し、ディファレンシャル情報(補正値)としてGPSの利用者に提供する。地上基地局6は、航空機2にて得られたGPS/IMUデータに基づいて、画像撮影位置を算出する際に、このディファレンシャル情報を利用して補正を行うことができる。
【0029】
図2は、本システムの概略の処理の流れを示すフロー図である。航空機2にて地表画像が撮影され(ステップS20)、当該画像から特徴点を抽出する(ステップS22)。特徴点に関するデータは地上基地局6へ伝送され、特徴点群から線分を抽出し、線分からなる画像(線分画像)を生成する処理が行われる(ステップS24)。さらに抽出された線分をつなぎ、建物の輪郭が表された画像(輪郭画像)を生成する処理を行っても良い。地上基地局6は建物の既存の三次元データを投影して、建物の輪郭の投影像(建物投影像)を生成する(ステップS26)。この建物投影像と線分画像又は輪郭画像から抽出した抽出撮影像とのマッチング処理を行って(ステップS28)、建物の形状変化が検出され(ステップS30)、その結果が例えば、ユーザに認識容易な形式で出力される(ステップS32)。
【0030】
図3は本システムの航空機2に搭載される部分の概略の機能ブロック図である。計測部40は、撮像部42、GPS/IMU44を備える。撮像部42は、デジタルカメラを有し、地表画像を撮影する。デジタルカメラはフレームセンサを用いたものの他、ラインセンサを用いて画像を取得するものであってもよい。撮影された地表画像データは、特徴点抽出処理部48へ出力される。特徴点抽出処理部48は、画像に現れる建物等の地物の像のエッジを構成する画素を観測特徴点として抽出し、圧縮符号化処理部50へ出力する。
【0031】
GPS/IMU44は、GPS衛星4からGPS信号を受信すると共に、IMUにより航空機の加速度を計測し、それらに基づいて、航空機2の位置・姿勢を表すGPS/IMUデータを生成し、圧縮符号化処理部50へ出力する。
【0032】
圧縮符号化処理部50は、特徴点抽出処理部48からの特徴点に関するデータ及びGPS/IMU44からのGPS/IMUデータに圧縮符号化処理を施し、これにより送信処理部52が送信すべきデータ量が圧縮される。
【0033】
送信処理部52は、ストリーミング処理部54、伝送データ変換処理部56及び送信部58を含んで構成され、圧縮符号化処理部50から圧縮符号化されたデータを受け取り、地上基地局6への無線伝送を行う。ストリーミング処理部54は、データ伝送中に地上基地局6が当該データの解析を行うストリーミングを可能とするための処理をデータに施す。次いで、伝送データ変換処理部56にて、搬送波の整形が行われ、送信部58から無線信号として送出される。
【0034】
図4は本システムの地上基地局6に設けられる部分の概略の機能ブロック図である。受信処理部70は、受信部72、復元データ変換処理部74及びストリーミング処理部76を含んで構成され、航空機2側の送信処理部52に呼応した処理を行って、航空機2からの無線信号から特徴点データ、GPS/IMUデータといった伝送データを受信する。
【0035】
復元処理部78は、圧縮符号化処理部50にて圧縮符号化されている受信データを復号伸長し復元する処理を行い、処理後の特徴点データ及びGPS/IMUデータを保存したファイル80を記憶部(図示せず)に格納する。また、ファイル80には、デジタルカメラの焦点距離、主点位置等の内部標定要素が予め記憶されている。
【0036】
GPS/IMUデータ補正部82は、記憶部に格納されたGPS/IMUデータに対し、基準局8にて得られるディファレンシャル情報を用いた補正処理を施す。
【0037】
変化検出処理部84は、記憶部に格納された内部標定要素及びGPS/IMUデータを用いて、航空機2が撮影した画像に対応する地表範囲を特定し、当該範囲での建物の形状変化を検出する処理を行う。変化検出処理部84は、線分抽出部86、投影計算部88、マッチング処理部90、変化検出部92を有し、得られた変化検出結果を記憶部のファイル94へ出力する。投影計算部88での処理には、データベース96に保存されている建物の既存三次元データが用いられる。
【0038】
以下、航空機2上にて行われる特徴点抽出処理、及び地上基地局6での変化検出処理部84の各処理についてさらに説明する。
【0039】
航空機2にて撮像部42は、地表のカラー画像又はモノクロ画像を撮影する。特徴点抽出処理部48は、その画像内にて輝度や色の変化に基づいてエッジを構成する画素群を特徴点として抽出する。エッジ抽出は各種エッジフィルタを用いて行うことができる。例えば、エッジフィルタとしてCannyフィルタを用いて、エッジの位置を抽出し、エッジを1画素で捉える細線化処理を行うことができる。なお、特徴点抽出処理に先立って、例えばヒストグラム平滑化処理等によってデジタル画像の画像強調を行うように構成することができ、これにより特徴点抽出処理をより好適に行うことが可能となる。図5は、特徴点抽出処理部48の出力として得られる特徴点データを画像として表示したもの(特徴点画像)の一例を示す模式図である。撮像部42にて取得したデジタル画像は、各画素が輝度値やRGB値を有し、それら各値はそれぞれ複数ビットのバイナリデータで表される。これに対して、特徴点画像における各画素は特徴点である否かの相違を表現するものであり、当該画像は基本的に二値化画像として表される。よって、特徴点画像のデータ量は元の画像に比べて大幅に削減される。
【0040】
また、この特徴点画像は圧縮符号化処理部50にてさらに符号化されデータ量を圧縮することができる。例えば、特徴点画像は上述のように基本的に二値化画像であるため、ランレングス符号化等を用いて、高効率の圧縮が可能である。このようにデータ量を圧縮することにより、航空機2と地上基地局6との間の無線伝送路の容量が比較的小さい場合でも、その容量の制限を受けずに、航空機2でのデータ生成と同時並列的に迅速に地上基地局6へデータ伝送することができる。
【0041】
地上基地局6では、線分抽出部86での処理により、特徴点画像から線分画像が生成される。線分抽出部86では、まず特徴点抽出処理部48にて点群として抽出されているエッジに対して、トラッキング及び分割処理を行うフィルタリングを行い、当該点群をそれぞれひとまとまりとして捉えることができる単位の点の集合に分割し、また十分な大きさのまとまりを構成せずノイズと把握し得る点を除去する。次に、例えばハフ変換により、線分を抽出する。ここで、建物像の輪郭は直線部分を比較的多く有する。一方、本システムで検出対象としない樹木等のエッジは直線を形成することが少ない。よって、線分抽出処理により、もっぱら建物像のエッジを取り出すことができる。図6は、図5の特徴点画像に対応して線分抽出部86の出力として得られる線分画像の一例を示す模式図である。
【0042】
また、変化検出処理部84は、線分抽出部86にて生成される線分画像にPerceptual
Grouping技術を適用して建物の輪郭を抽出し、輪郭画像を生成する処理を行うように構成してもよい。図7は、図6に示す線分画像に対応して得られる輪郭画像の一例を示す模式図である。線分画像に現れる複数の線分のうち、同じ建物の輪郭を構成するものを見つけ出し、それらを接続等することにより輪郭が構成される。
【0043】
上述の線分画像又は輪郭画像は、オルソ変換を行わずに生成されている。すなわち、それらは基本的に中心投影画像における建物のエッジ又は輪郭を抽出したものとなっている。投影計算部88は、デジタルカメラの焦点距離、主点位置等の内部標定要素を、ファイル80から取り出し、また同じくファイル80から外部標定要素として補正後のGPS/IMUデータを取得する。これら内部標定要素及び外部標定要素と、データベース96の建物の既存三次元データとに基づいて投影計算が行われ、特徴点画像の元となる画像の撮影と同じ条件にて建物を撮影画像に投影(中心投影)した像(建物投影像)が生成される。ここで建物投影像とは、既存三次元データの座標値から投影計算により求めた座標値の集合である輪郭像である。
【0044】
マッチング処理部90は、既存三次元データに基づいて投影計算部88にて求められた建物投影像と、上記線分画像又は輪郭画像とのマッチングを行い、マッチングの程度を示す数値として類似度を算出する。例えば、マッチング処理は、Hausdorff距離を用いたマッチング法を用いて行うことができる。変化検出部92は、この類似度に基づいて、建物の形状変化を検出する。図8は、マッチング処理部90、変化検出部92における処理の概要を示す処理フロー図である。マッチング処理部90は、建物投影像に現れる各建物ごとにマッチング処理を行う。まず、マッチング処理部90は、建物投影像におけるマッチング処理の対象とする建物(判定対象建物)の輪郭像(対象投影像)と、線分画像又は輪郭画像において対象投影像と同じ領域に現れる線分又は輪郭(抽出撮影像)とを対比し、類似度Rを計算する(ステップS100)。
【0045】
変化検出部92は、閾値αと類似度Rとの大小関係を判定する(ステップS102)。ここでαは、対象投影像と抽出撮影像とが一致するとみなし得る類似度に設定される。すなわち、変化検出部92は、α≦Rである場合、判定対象建物と同じ形状の建物が地上の同じ位置に存在すると判断し、判定対象建物の形状について三次元データ取得時と今回の航空機2からの撮影時とで「変化なし」と判定し、この判定を変化検出結果としてファイル94へ出力する(ステップS104)。
【0046】
一方、α>Rである場合には、マッチング処理部90は周辺領域内の探索を行う(ステップS106)。ここでは、周辺領域は基本的に中心投影の投影方向に向って、つまり、投影中心から判定対象建物に向かう方位に沿って伸びる細長い領域のうち、判定対象建物の高さの変化に伴って変化する領域として設定される。マッチング処理部90は、その設定された領域内にて判定対象建物に応じた大きさのマッチング対象領域を移動させ、再度、類似度を計算する(これを類似度Sとする)。変化検出部92は、類似度Sと類似度Rとの差分値(S−R)と閾値ωとの大小関係を判定する(ステップS108)。ここでωは、建物の高さが変化したとみなし得る値に設定される。ω≦(S−R)である場合には、建物の高さに変化が生じたと判定し、当該判定結果をファイル94へ出力する(ステップS110)。
【0047】
一方、ω>(S−R)すなわち周辺領域内での探索により差分値(S−R)がω以上となる抽出建物像が得られなかった場合(ステップS108)、変化検出部92は閾値βと類似度Rとの大小関係を判定する(ステップS112)。ここでβは、対象投影像と抽出撮影像とが不一致であるとみなし得る類似度に設定される(α>β)。すなわち、変化検出部92は、β≦Rである場合、建物の平面形状に変化が生じたと判定し、当該判定結果をファイル94へ出力する(ステップS114)。
【0048】
一方、β>Rである場合、変化検出部92は判定対象建物の位置にはそれに相当する建物が存在しないと判定し、「該当建物なし」との判定を変化検出結果としてファイル94へ出力する(ステップS116)。「該当建物なし」となる場合の具体的な例としては、建物が人為的に解体、破壊された場合や、地震等の災害の後においては倒壊した場合などが挙げられる。
【0049】
なお、変化検出部92において、類似度Sと類似度Rとの差分値(S−R)の代わりに比率S/Rを用いることも可能である。この場合には、閾値ωを建物の高さが変化したとみなし得る比率に適宜変更する。
【0050】
図9〜図11は変化検出部92にて行われる上述した建物形状の変化の検出処理を説明する模式図である。図9は、水平方向から見た航空機2と建物等との位置関係、及び建物等の形状を示す模式図である。航空機2は上空から地物が存在する地表を撮影する。同図には、地物として建物120及び樹木122が示されている。図9(a)は、建物形状に変化がない場合であり、建物120aは既存三次元データに登録された形状と同じ形状を維持している。これに対して、図9(b)は建物の高さに変化があった場合であり、建物120bの高さは既存三次元データに登録された形状124より低くなっている。また、図9(c)は、建物の平面形状が変化した場合であり、建物120cは既存三次元データに登録された形状124と比較して、水平面内での二次元形状が変化している。
【0051】
図10は、航空機2から伝送される特徴点画像を示す模式図である。同図(a)〜(c)はそれぞれ図9(a)〜(c)の各ケースに対応した図であり、特徴点として抽出されたエッジからなる、建物の中心投影像126及び樹木の中心投影像132が表されている。
【0052】
また図11は、既存三次元データから生成した建物の輪郭像(対象投影像)と、線分画像又は輪郭画像から抽出した建物の抽出撮影像とを示す模式図であり、同図(a)〜(c)はそれぞれ図9(a)〜(c)の各ケースに対応した図である。ここで、直線的に並ぶ特徴点群を含んでいない樹木の中心投影像132は、線分抽出部86での処理により除去されている一方、直線的に並ぶ特徴点群からなる部分建物の中心投影像126に対応して抽出撮影像140が得られている。
【0053】
さて、航空機2から斜め下方に位置する建物120の中心投影像には屋上だけでなく側面も現れ得る。具体的には、形状が変化しない場合の特徴点画像(図10(a))の建物の中心投影像126aには、建物の屋上128a及び側壁面130aが現れている。ちなみにこの図の屋上128aの形状に表されるように、この建物は本来、L字型の平面形状(二次元形状)を有している。
【0054】
図11(a)において実線で表す建物の抽出撮影像140aは、特徴点画像(図10(a))に現れる中心投影像126aに応じた形状及び位置を有する。一方、図11(a)において、既存三次元データから生成した対象投影像142は点線で表している。この場合のように建物の形状に変化がない場合には、抽出撮影像140aと対象投影像142とは類似度Rが高くなり、変化検出部92における類似度判定処理S102においてR≧αを満たし、変化なしと判定される(S104)。
【0055】
次に、建物の高さが変化すると、中心投影像に現れる側面の中心投影の投影方向に沿った寸法が変化する。例えば、図9(b)に示すように建物の高さが低くなった場合には、対応する特徴点画像(図10(b))の建物の中心投影像126bに現れる建物の側壁面130bは、投影方向(同図において横方向)の寸法が、図10(a)に示す側壁面130aより縮まる。また、屋上128bは、図10(a)に示す屋上128aと同じL字型の形状を保つが、その位置は、建物の高さが低くなった分、投影方向に沿って略平行移動する。このような関係にある形状相互は、移動距離が大きくなるにつれて類似度Rが低下する。そのため、高さが変化した建物の抽出撮影像140bと対象投影像142との類似度RはR<αとなり得、その場合、マッチング処理部90は周辺領域探索処理S106を行う。例えば、マッチング対象領域を図11(b)において左側にすると、当該マッチング対象領域から抽出される抽出撮影像140bの屋上形状と対象投影像142の屋上形状との間の平行移動距離を縮小したマッチング処理S100が行われ、類似度Rが改善し得る。変化検出部92は、周辺領域の探索により、類似度Sと類似度Rとの差分値(S−R)が閾値ω以上に上昇した場合、建物の高さが変化していると判定する(ステップS110)。また、差分値(S−R)が最大となるマッチング対象領域の移動距離に基づいて、建物の高さの変化量を推定することができる。
【0056】
これに対して、建物の平面形状が変化した場合は、周辺領域探索を行っても類似度が大きく上昇することを期待し得る特別の理由はない。例えば、図11(c)に示す建物の抽出撮影像140cと対象投影像142とは、側壁面の形状及び位置は一致しているにもかかわらず、屋上128cの形状が変化したために、周辺領域探索処理S106によりマッチング対象領域を投影方向に沿って移動させても、差分値(S−R)は閾値ω未満となる。この場合、変化検出部92は類似度Rと閾値βとの大小関係を判定する。β≦Rの場合には、高さ変化とは特定できないが何らかの形状の変化が生じたものと判定する(ステップS114)。
【0057】
一方、β>Rの場合は、図9〜図11には示していないが、上述したように「該当建物なし」との判定がなされる(ステップS116)。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の実施形態に係る建物形状変化検出システムの概略構成を示す模式図である。
【図2】本発明の実施形態に係る建物形状変化検出システムの概略の処理の流れを示すフロー図である。
【図3】本システムの航空機に搭載される部分の概略の機能ブロック図である。
【図4】本システムの地上基地局に設けられる部分の概略の機能ブロック図である。
【図5】特徴点抽出処理部の出力として得られる特徴点画像の一例を示す模式図である。
【図6】図5の特徴点画像に対応して線分抽出部の出力として得られる線分画像の一例を示す模式図である。
【図7】図6に示す線分画像に対応して得られる輪郭画像の一例を示す模式図である。
【図8】マッチング処理部、変化検出部における処理の概要を示す処理フロー図である。
【図9】水平方向から見た航空機と建物等との位置関係、及び建物等の形状を示す模式図である。
【図10】航空機から伝送される特徴点画像を示す模式図である。
【図11】既存三次元データから生成した建物の対象投影像と、線分画像又は輪郭画像から抽出した建物の抽出撮影像とを示す模式図である。
【図12】従来方法である航空画像同士の比較を行う方法を説明するフロー図である。
【図13】従来方法であるオルソ画像の特徴点と建物ポリゴンデータとの比較を行う方法を説明するフロー図である。
【図14】従来方法であるDSM同士の比較を行う方法を説明するフロー図である。
【符号の説明】
【0059】
2 航空機、4 GPS衛星、6 地上基地局、8 基準局、40 計測部、42 撮像部、44 GPS/IMU、48 特徴点抽出処理部、50 圧縮符号化処理部、52 送信処理部、54 ストリーミング処理部、56 伝送データ変換処理部、58 送信部、70 受信処理部、72 受信部、74 復元データ変換処理部、76 ストリーミング処理部、78 復元処理部、82 GPS/IMUデータ補正部、84 変化検出処理部、86 線分抽出部、88 投影計算部、90 マッチング処理部、92 変化検出部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、飛行体から撮影した画像に基づいて建物等の地物の形状の変化を検出する方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
航空機等の飛行体上にて、フレームセンサ型デジタルカメラで地表面の画像(航空画像)を取得し、当該航空画像に基づいて建物の変化を検出することが行われる。近年、この航空画像を利用した建物の形状の変化検出に基づいて、例えば、地震等の災害時における被災状況の把握を行うことが検討されている。
【0003】
従来は、航空画像データは、航空機に搭載したデータ記録部に格納され、航空機の着陸後に地上のデータ処理装置に移され、処理、解析される。地上のデータ処理装置では、新たに取得された地表面の画像と、既存の地表面の画像との比較・照合に基づいて建物の形状変化を検出する。
【0004】
画像の比較・照合の手法としては、航空画像同士の比較、オルソ画像の特徴点と建物ポリゴンデータとの比較、DSM(Digital Surface Model)同士の比較などが考えられている。
【0005】
図12は、航空画像同士の比較を行う方法を説明するフロー図である。当該方法では、まず、新たに取得された航空画像と過去に取得されている既存の航空画像とのレジストレーション(位置合わせ)を行い、両画像間での輝度情報の変化に基づいて、地上の建物の有無や形状の変化を検出する。
【0006】
図13は、オルソ画像の特徴点と建物ポリゴンデータとの比較を行う方法を説明するフロー図である。当該方法では、まず、航空画像をオルソ補正してオルソ画像が生成される。フレームセンサ型デジタルカメラで撮影した航空画像は中心投影画像であり、撮影画像の周囲にいくにつれて大きくなる歪みを有する。オルソ補正はこの歪みを補正し、地表面を真上から見た正射影画像であるオルソ画像を生成する。続いて、生成されたオルソ画像に対して特徴点抽出等の処理を行って、オルソ画像に現れている建物の輪郭(又はその一部)を抽出する。この輪郭を既存の建物ポリゴンデータから得られる建物を真上から見た輪郭と比較することにより、建物の変化が検出される。
【0007】
図14は、DSM同士の比較を行う方法を説明するフロー図である。当該方法では、航空画像からDSMを生成し、当該DSMと既存のDSMとの差分を求めることによって、建物の変化を検出する。DSMは地表面の高さ情報であり、航空画像から生成する場合には、例えば、飛行位置の異なる複数の航空画像を照合し、同一の地物の当該複数の航空画像での見え方の違いに基づいて当該地物の高さを求める。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
災害時における地上の状況把握等のような利用目的では即時性が要求される。この観点から、航空機の着陸を待たずに航空画像の処理を行うことが課題となる。
【0009】
しかし、航空機上で撮影されるデジタル画像のデータ量は膨大となり得る一方、航空機と地上との間の伝送容量は比較的小さい。そのため、取得された画像データをそのまま航空機から地上へ無線伝送することは難しいという問題があった。
【0010】
また、航空画像同士の比較を行う方法では、画像が高解像度であるほどレジストレーションを高精度に行うことが難しく、更に画像間の輝度情報に基づく変化検出は、検出率が低いという問題や、平面的な変化しか検出できず、高さ方向の変化を検出できないといった問題があった。
【0011】
オルソ画像特徴点と建物ポリゴンデータとの比較を行う方法では、オルソ画像の生成処理の負荷が大きいという問題があり、航空機に搭載される装置の限られた処理能力では困難である。また、既存の建物ポリゴンデータとの比較による変化検出は、平面的な変化しか検出できないといった問題があった。
【0012】
DSM同士の比較を行う方法では、DSM生成の負荷が大きいという問題があり、やはり航空機に搭載される装置の限られた処理能力では困難である。
【0013】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、飛行体上にて撮影された画像の処理負荷が軽減され、ひいては、当該処理によるデータ量の低減によって飛行体から地上へのデータの無線伝送が容易となることにより、飛行体の着陸を待たずに地上にて建物形状の変化の検出処理を進めることができる建物形状変化検出方法及び建物形状変化検出システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係る建物形状変化検出方法は、飛行体上にて撮影した撮影地表画像から建物形状に対応する観測特徴点を抽出する観測特徴点抽出ステップと、予め記憶されている建物形状記録情報及び前記撮影地表画像の撮影時における前記飛行体の飛行位置及び姿勢に基づいて投影計算を行い、前記飛行位置から見た建物投影像を生成する建物投影像生成ステップと、前記観測特徴点と前記建物投影像とを対比して、前記建物形状の変化を検出する変化検出ステップと、を有する。
【0015】
また、本発明に係る建物形状変化検出システムは、飛行体上にて撮影した撮影地表画像から地物に対応する観測特徴点を抽出する観測特徴点抽出手段と、予め記憶されている建物形状記録情報及び前記撮影地表画像の撮影時における前記飛行体の飛行位置及び姿勢に基づいて投影計算を行い、前記飛行位置から見た建物投影像を生成する建物投影像生成手段と、前記観測特徴点と前記建物投影像とを対比して、前記建物形状の変化を検出する変化検出手段と、を有する。
【0016】
本発明によれば、中心投影画像である撮影地表画像に対して特徴点抽出処理を行う。オルソ補正等の処理を行わないため、少ない処理負荷で観測特徴点が抽出される。また、観測特徴点は元の撮影地表画像より少ないデータ量で表すことが可能である。中心投影画像に対応した特徴点の投影方向における位置は、その点に対応する高さに応じて定まる。すなわち、特徴点の投影方向における位置は高さの情報を含んでおり、観測特徴点と建物投影像との対比によって当該特徴点の高さの変化を検出することが可能であり、建物形状の3次元的な変化を検出することができる。
【0017】
他の本発明に係る建物形状変化検出方法は、飛行体から撮影地表画像を撮影する撮影ステップと、前記飛行体上にて、前記撮影地表画像から地物に対応する観測特徴点を抽出する観測特徴点抽出ステップと、前記観測特徴点を表すデータを前記飛行体から地上基地局へ無線伝送するデータ伝送ステップと、前記地上基地局にて、予め記憶されている建物形状記録情報及び前記撮影地表画像の撮影時における前記飛行体の飛行位置及び姿勢に基づいて投影計算を行い、前記飛行位置から見た建物投影像を生成する建物投影像生成ステップと、前記地上基地局にて、前記観測特徴点と前記建物投影像とを対比して、前記建物形状の変化を検出する変化検出ステップと、を有する。
【0018】
他の本発明に係る建物形状変化検出システムは、飛行体から撮影地表画像を撮影する撮影手段と、前記飛行体上にて、前記撮影地表画像から地物に対応する観測特徴点を抽出する観測特徴点抽出手段と、前記観測特徴点を表すデータを前記飛行体から地上基地局へ無線伝送するデータ伝送手段と、前記地上基地局にて、予め記憶されている建物形状記録情報及び前記撮影地表画像の撮影時における前記飛行体の飛行位置及び姿勢に基づいて投影計算を行い、前記飛行位置から見た建物投影像を生成する建物投影像生成手段と、前記地上基地局にて、前記観測特徴点と前記建物投影像とを対比して、前記建物形状の変化を検出する変化検出手段と、を有する。
【0019】
本発明によれば、飛行体上にて比較的少ない処理負荷でデータ量の削減が可能な観測特徴点抽出処理を行った後、飛行体から地上基地局への無線伝送を行う。これにより、飛行体の飛行中に速やかにデータを地上基地局へ伝送することが可能となる。
【0020】
上記本発明に係る建物形状変化検出方法においては、前記観測特徴点抽出ステップが、デジタル画像である前記撮影地表画像にてエッジを構成する画素を前記観測特徴点として抽出し、前記建物形状記録情報が、建物の三次元データを含み、前記建物投影像生成ステップが、前記三次元データに基づいて前記建物の輪郭の投影像を生成し、前記変化検出ステップが、前記撮影地表画像から抽出されたエッジと前記投影像とのマッチングに基づいて、前記建物の平面形状及び高さの変化を検出するように構成することができる。
【0021】
前記変化検出ステップは、前記建物投影像での前記建物の前記投影像と前記撮影地表画像における当該建物の像との、当該投影像に関する投影方向における位置の相違に基づいて、当該建物の高さの変化を検出する構成とすることができる。
【0022】
上記本発明に係る建物形状変化検出システムにおいては、前記観測特徴点抽出手段が、デジタル画像である前記撮影地表画像にてエッジを構成する画素を前記観測特徴点として抽出し、前記建物形状記録情報が、建物の三次元データを含み、前記建物投影像生成手段は、前記三次元データに基づいて前記建物の輪郭の投影像を生成し、前記変化検出手段が、前記撮影地表画像から抽出されたエッジと前記投影像とのマッチングに基づいて、前記建物の平面形状及び高さの変化を検出するように構成することができる。
【0023】
前記変化検出手段は、前記建物投影像での前記建物の前記投影像と前記撮影地表画像における当該建物の像との、当該投影像に関する投影方向における位置の相違に基づいて、当該建物の高さの変化を検出するように構成することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の建物形状変化検出方法及び建物形状変化検出システムは、データ量を低減し、処理負荷の軽減を図ることができる。また、飛行体にて取得した情報を地上基地局へ速やかに伝送し処理することで、建物等の形状の変化検出の即時性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態(以下実施形態という)について、図面に基づいて説明する。
【0026】
本実施形態は、地表の建物の形状変化を検出する建物形状変化検出システムであり、本発明に係る地表形状変化検出方法を用いて実現される。本システムは例えば、地震等の災害時に起こり得る建物の倒壊や異動等の状況を迅速に把握し、その情報を救援・復旧活動に活用するために有効である。
【0027】
図1は、本システムの概略構成を示す模式図である。航空機2はデジタルカメラを搭載し、上空から地表の画像を撮影する。また、航空機2はGPS/IMU(Global Positioning System/Inertial Measurement Unit)を搭載し、GPS衛星4からの信号、及び航空機上にて作用する慣性力に基づいて航空機2に搭載されたデジタルカメラの位置や傾き等を計測・記録し、これにより地表画像の撮影時におけるカメラの位置及び姿勢を把握することを可能としている。
【0028】
航空機2は、機上で取得したデジタル画像の特徴点を抽出する処理を行い、この特徴点に関し抽出されたデータ、及びGPS/IMUにより得られるデータを地上基地局6へ無線伝送する。地上基地局6は、航空機2から伝送された特徴点データに基づいて建物の形状変化を検出する処理を行う。基準局8は、予め正確にその位置が分かっており、GPSで得られた位置と真の位置からその誤差を計算し、ディファレンシャル情報(補正値)としてGPSの利用者に提供する。地上基地局6は、航空機2にて得られたGPS/IMUデータに基づいて、画像撮影位置を算出する際に、このディファレンシャル情報を利用して補正を行うことができる。
【0029】
図2は、本システムの概略の処理の流れを示すフロー図である。航空機2にて地表画像が撮影され(ステップS20)、当該画像から特徴点を抽出する(ステップS22)。特徴点に関するデータは地上基地局6へ伝送され、特徴点群から線分を抽出し、線分からなる画像(線分画像)を生成する処理が行われる(ステップS24)。さらに抽出された線分をつなぎ、建物の輪郭が表された画像(輪郭画像)を生成する処理を行っても良い。地上基地局6は建物の既存の三次元データを投影して、建物の輪郭の投影像(建物投影像)を生成する(ステップS26)。この建物投影像と線分画像又は輪郭画像から抽出した抽出撮影像とのマッチング処理を行って(ステップS28)、建物の形状変化が検出され(ステップS30)、その結果が例えば、ユーザに認識容易な形式で出力される(ステップS32)。
【0030】
図3は本システムの航空機2に搭載される部分の概略の機能ブロック図である。計測部40は、撮像部42、GPS/IMU44を備える。撮像部42は、デジタルカメラを有し、地表画像を撮影する。デジタルカメラはフレームセンサを用いたものの他、ラインセンサを用いて画像を取得するものであってもよい。撮影された地表画像データは、特徴点抽出処理部48へ出力される。特徴点抽出処理部48は、画像に現れる建物等の地物の像のエッジを構成する画素を観測特徴点として抽出し、圧縮符号化処理部50へ出力する。
【0031】
GPS/IMU44は、GPS衛星4からGPS信号を受信すると共に、IMUにより航空機の加速度を計測し、それらに基づいて、航空機2の位置・姿勢を表すGPS/IMUデータを生成し、圧縮符号化処理部50へ出力する。
【0032】
圧縮符号化処理部50は、特徴点抽出処理部48からの特徴点に関するデータ及びGPS/IMU44からのGPS/IMUデータに圧縮符号化処理を施し、これにより送信処理部52が送信すべきデータ量が圧縮される。
【0033】
送信処理部52は、ストリーミング処理部54、伝送データ変換処理部56及び送信部58を含んで構成され、圧縮符号化処理部50から圧縮符号化されたデータを受け取り、地上基地局6への無線伝送を行う。ストリーミング処理部54は、データ伝送中に地上基地局6が当該データの解析を行うストリーミングを可能とするための処理をデータに施す。次いで、伝送データ変換処理部56にて、搬送波の整形が行われ、送信部58から無線信号として送出される。
【0034】
図4は本システムの地上基地局6に設けられる部分の概略の機能ブロック図である。受信処理部70は、受信部72、復元データ変換処理部74及びストリーミング処理部76を含んで構成され、航空機2側の送信処理部52に呼応した処理を行って、航空機2からの無線信号から特徴点データ、GPS/IMUデータといった伝送データを受信する。
【0035】
復元処理部78は、圧縮符号化処理部50にて圧縮符号化されている受信データを復号伸長し復元する処理を行い、処理後の特徴点データ及びGPS/IMUデータを保存したファイル80を記憶部(図示せず)に格納する。また、ファイル80には、デジタルカメラの焦点距離、主点位置等の内部標定要素が予め記憶されている。
【0036】
GPS/IMUデータ補正部82は、記憶部に格納されたGPS/IMUデータに対し、基準局8にて得られるディファレンシャル情報を用いた補正処理を施す。
【0037】
変化検出処理部84は、記憶部に格納された内部標定要素及びGPS/IMUデータを用いて、航空機2が撮影した画像に対応する地表範囲を特定し、当該範囲での建物の形状変化を検出する処理を行う。変化検出処理部84は、線分抽出部86、投影計算部88、マッチング処理部90、変化検出部92を有し、得られた変化検出結果を記憶部のファイル94へ出力する。投影計算部88での処理には、データベース96に保存されている建物の既存三次元データが用いられる。
【0038】
以下、航空機2上にて行われる特徴点抽出処理、及び地上基地局6での変化検出処理部84の各処理についてさらに説明する。
【0039】
航空機2にて撮像部42は、地表のカラー画像又はモノクロ画像を撮影する。特徴点抽出処理部48は、その画像内にて輝度や色の変化に基づいてエッジを構成する画素群を特徴点として抽出する。エッジ抽出は各種エッジフィルタを用いて行うことができる。例えば、エッジフィルタとしてCannyフィルタを用いて、エッジの位置を抽出し、エッジを1画素で捉える細線化処理を行うことができる。なお、特徴点抽出処理に先立って、例えばヒストグラム平滑化処理等によってデジタル画像の画像強調を行うように構成することができ、これにより特徴点抽出処理をより好適に行うことが可能となる。図5は、特徴点抽出処理部48の出力として得られる特徴点データを画像として表示したもの(特徴点画像)の一例を示す模式図である。撮像部42にて取得したデジタル画像は、各画素が輝度値やRGB値を有し、それら各値はそれぞれ複数ビットのバイナリデータで表される。これに対して、特徴点画像における各画素は特徴点である否かの相違を表現するものであり、当該画像は基本的に二値化画像として表される。よって、特徴点画像のデータ量は元の画像に比べて大幅に削減される。
【0040】
また、この特徴点画像は圧縮符号化処理部50にてさらに符号化されデータ量を圧縮することができる。例えば、特徴点画像は上述のように基本的に二値化画像であるため、ランレングス符号化等を用いて、高効率の圧縮が可能である。このようにデータ量を圧縮することにより、航空機2と地上基地局6との間の無線伝送路の容量が比較的小さい場合でも、その容量の制限を受けずに、航空機2でのデータ生成と同時並列的に迅速に地上基地局6へデータ伝送することができる。
【0041】
地上基地局6では、線分抽出部86での処理により、特徴点画像から線分画像が生成される。線分抽出部86では、まず特徴点抽出処理部48にて点群として抽出されているエッジに対して、トラッキング及び分割処理を行うフィルタリングを行い、当該点群をそれぞれひとまとまりとして捉えることができる単位の点の集合に分割し、また十分な大きさのまとまりを構成せずノイズと把握し得る点を除去する。次に、例えばハフ変換により、線分を抽出する。ここで、建物像の輪郭は直線部分を比較的多く有する。一方、本システムで検出対象としない樹木等のエッジは直線を形成することが少ない。よって、線分抽出処理により、もっぱら建物像のエッジを取り出すことができる。図6は、図5の特徴点画像に対応して線分抽出部86の出力として得られる線分画像の一例を示す模式図である。
【0042】
また、変化検出処理部84は、線分抽出部86にて生成される線分画像にPerceptual
Grouping技術を適用して建物の輪郭を抽出し、輪郭画像を生成する処理を行うように構成してもよい。図7は、図6に示す線分画像に対応して得られる輪郭画像の一例を示す模式図である。線分画像に現れる複数の線分のうち、同じ建物の輪郭を構成するものを見つけ出し、それらを接続等することにより輪郭が構成される。
【0043】
上述の線分画像又は輪郭画像は、オルソ変換を行わずに生成されている。すなわち、それらは基本的に中心投影画像における建物のエッジ又は輪郭を抽出したものとなっている。投影計算部88は、デジタルカメラの焦点距離、主点位置等の内部標定要素を、ファイル80から取り出し、また同じくファイル80から外部標定要素として補正後のGPS/IMUデータを取得する。これら内部標定要素及び外部標定要素と、データベース96の建物の既存三次元データとに基づいて投影計算が行われ、特徴点画像の元となる画像の撮影と同じ条件にて建物を撮影画像に投影(中心投影)した像(建物投影像)が生成される。ここで建物投影像とは、既存三次元データの座標値から投影計算により求めた座標値の集合である輪郭像である。
【0044】
マッチング処理部90は、既存三次元データに基づいて投影計算部88にて求められた建物投影像と、上記線分画像又は輪郭画像とのマッチングを行い、マッチングの程度を示す数値として類似度を算出する。例えば、マッチング処理は、Hausdorff距離を用いたマッチング法を用いて行うことができる。変化検出部92は、この類似度に基づいて、建物の形状変化を検出する。図8は、マッチング処理部90、変化検出部92における処理の概要を示す処理フロー図である。マッチング処理部90は、建物投影像に現れる各建物ごとにマッチング処理を行う。まず、マッチング処理部90は、建物投影像におけるマッチング処理の対象とする建物(判定対象建物)の輪郭像(対象投影像)と、線分画像又は輪郭画像において対象投影像と同じ領域に現れる線分又は輪郭(抽出撮影像)とを対比し、類似度Rを計算する(ステップS100)。
【0045】
変化検出部92は、閾値αと類似度Rとの大小関係を判定する(ステップS102)。ここでαは、対象投影像と抽出撮影像とが一致するとみなし得る類似度に設定される。すなわち、変化検出部92は、α≦Rである場合、判定対象建物と同じ形状の建物が地上の同じ位置に存在すると判断し、判定対象建物の形状について三次元データ取得時と今回の航空機2からの撮影時とで「変化なし」と判定し、この判定を変化検出結果としてファイル94へ出力する(ステップS104)。
【0046】
一方、α>Rである場合には、マッチング処理部90は周辺領域内の探索を行う(ステップS106)。ここでは、周辺領域は基本的に中心投影の投影方向に向って、つまり、投影中心から判定対象建物に向かう方位に沿って伸びる細長い領域のうち、判定対象建物の高さの変化に伴って変化する領域として設定される。マッチング処理部90は、その設定された領域内にて判定対象建物に応じた大きさのマッチング対象領域を移動させ、再度、類似度を計算する(これを類似度Sとする)。変化検出部92は、類似度Sと類似度Rとの差分値(S−R)と閾値ωとの大小関係を判定する(ステップS108)。ここでωは、建物の高さが変化したとみなし得る値に設定される。ω≦(S−R)である場合には、建物の高さに変化が生じたと判定し、当該判定結果をファイル94へ出力する(ステップS110)。
【0047】
一方、ω>(S−R)すなわち周辺領域内での探索により差分値(S−R)がω以上となる抽出建物像が得られなかった場合(ステップS108)、変化検出部92は閾値βと類似度Rとの大小関係を判定する(ステップS112)。ここでβは、対象投影像と抽出撮影像とが不一致であるとみなし得る類似度に設定される(α>β)。すなわち、変化検出部92は、β≦Rである場合、建物の平面形状に変化が生じたと判定し、当該判定結果をファイル94へ出力する(ステップS114)。
【0048】
一方、β>Rである場合、変化検出部92は判定対象建物の位置にはそれに相当する建物が存在しないと判定し、「該当建物なし」との判定を変化検出結果としてファイル94へ出力する(ステップS116)。「該当建物なし」となる場合の具体的な例としては、建物が人為的に解体、破壊された場合や、地震等の災害の後においては倒壊した場合などが挙げられる。
【0049】
なお、変化検出部92において、類似度Sと類似度Rとの差分値(S−R)の代わりに比率S/Rを用いることも可能である。この場合には、閾値ωを建物の高さが変化したとみなし得る比率に適宜変更する。
【0050】
図9〜図11は変化検出部92にて行われる上述した建物形状の変化の検出処理を説明する模式図である。図9は、水平方向から見た航空機2と建物等との位置関係、及び建物等の形状を示す模式図である。航空機2は上空から地物が存在する地表を撮影する。同図には、地物として建物120及び樹木122が示されている。図9(a)は、建物形状に変化がない場合であり、建物120aは既存三次元データに登録された形状と同じ形状を維持している。これに対して、図9(b)は建物の高さに変化があった場合であり、建物120bの高さは既存三次元データに登録された形状124より低くなっている。また、図9(c)は、建物の平面形状が変化した場合であり、建物120cは既存三次元データに登録された形状124と比較して、水平面内での二次元形状が変化している。
【0051】
図10は、航空機2から伝送される特徴点画像を示す模式図である。同図(a)〜(c)はそれぞれ図9(a)〜(c)の各ケースに対応した図であり、特徴点として抽出されたエッジからなる、建物の中心投影像126及び樹木の中心投影像132が表されている。
【0052】
また図11は、既存三次元データから生成した建物の輪郭像(対象投影像)と、線分画像又は輪郭画像から抽出した建物の抽出撮影像とを示す模式図であり、同図(a)〜(c)はそれぞれ図9(a)〜(c)の各ケースに対応した図である。ここで、直線的に並ぶ特徴点群を含んでいない樹木の中心投影像132は、線分抽出部86での処理により除去されている一方、直線的に並ぶ特徴点群からなる部分建物の中心投影像126に対応して抽出撮影像140が得られている。
【0053】
さて、航空機2から斜め下方に位置する建物120の中心投影像には屋上だけでなく側面も現れ得る。具体的には、形状が変化しない場合の特徴点画像(図10(a))の建物の中心投影像126aには、建物の屋上128a及び側壁面130aが現れている。ちなみにこの図の屋上128aの形状に表されるように、この建物は本来、L字型の平面形状(二次元形状)を有している。
【0054】
図11(a)において実線で表す建物の抽出撮影像140aは、特徴点画像(図10(a))に現れる中心投影像126aに応じた形状及び位置を有する。一方、図11(a)において、既存三次元データから生成した対象投影像142は点線で表している。この場合のように建物の形状に変化がない場合には、抽出撮影像140aと対象投影像142とは類似度Rが高くなり、変化検出部92における類似度判定処理S102においてR≧αを満たし、変化なしと判定される(S104)。
【0055】
次に、建物の高さが変化すると、中心投影像に現れる側面の中心投影の投影方向に沿った寸法が変化する。例えば、図9(b)に示すように建物の高さが低くなった場合には、対応する特徴点画像(図10(b))の建物の中心投影像126bに現れる建物の側壁面130bは、投影方向(同図において横方向)の寸法が、図10(a)に示す側壁面130aより縮まる。また、屋上128bは、図10(a)に示す屋上128aと同じL字型の形状を保つが、その位置は、建物の高さが低くなった分、投影方向に沿って略平行移動する。このような関係にある形状相互は、移動距離が大きくなるにつれて類似度Rが低下する。そのため、高さが変化した建物の抽出撮影像140bと対象投影像142との類似度RはR<αとなり得、その場合、マッチング処理部90は周辺領域探索処理S106を行う。例えば、マッチング対象領域を図11(b)において左側にすると、当該マッチング対象領域から抽出される抽出撮影像140bの屋上形状と対象投影像142の屋上形状との間の平行移動距離を縮小したマッチング処理S100が行われ、類似度Rが改善し得る。変化検出部92は、周辺領域の探索により、類似度Sと類似度Rとの差分値(S−R)が閾値ω以上に上昇した場合、建物の高さが変化していると判定する(ステップS110)。また、差分値(S−R)が最大となるマッチング対象領域の移動距離に基づいて、建物の高さの変化量を推定することができる。
【0056】
これに対して、建物の平面形状が変化した場合は、周辺領域探索を行っても類似度が大きく上昇することを期待し得る特別の理由はない。例えば、図11(c)に示す建物の抽出撮影像140cと対象投影像142とは、側壁面の形状及び位置は一致しているにもかかわらず、屋上128cの形状が変化したために、周辺領域探索処理S106によりマッチング対象領域を投影方向に沿って移動させても、差分値(S−R)は閾値ω未満となる。この場合、変化検出部92は類似度Rと閾値βとの大小関係を判定する。β≦Rの場合には、高さ変化とは特定できないが何らかの形状の変化が生じたものと判定する(ステップS114)。
【0057】
一方、β>Rの場合は、図9〜図11には示していないが、上述したように「該当建物なし」との判定がなされる(ステップS116)。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の実施形態に係る建物形状変化検出システムの概略構成を示す模式図である。
【図2】本発明の実施形態に係る建物形状変化検出システムの概略の処理の流れを示すフロー図である。
【図3】本システムの航空機に搭載される部分の概略の機能ブロック図である。
【図4】本システムの地上基地局に設けられる部分の概略の機能ブロック図である。
【図5】特徴点抽出処理部の出力として得られる特徴点画像の一例を示す模式図である。
【図6】図5の特徴点画像に対応して線分抽出部の出力として得られる線分画像の一例を示す模式図である。
【図7】図6に示す線分画像に対応して得られる輪郭画像の一例を示す模式図である。
【図8】マッチング処理部、変化検出部における処理の概要を示す処理フロー図である。
【図9】水平方向から見た航空機と建物等との位置関係、及び建物等の形状を示す模式図である。
【図10】航空機から伝送される特徴点画像を示す模式図である。
【図11】既存三次元データから生成した建物の対象投影像と、線分画像又は輪郭画像から抽出した建物の抽出撮影像とを示す模式図である。
【図12】従来方法である航空画像同士の比較を行う方法を説明するフロー図である。
【図13】従来方法であるオルソ画像の特徴点と建物ポリゴンデータとの比較を行う方法を説明するフロー図である。
【図14】従来方法であるDSM同士の比較を行う方法を説明するフロー図である。
【符号の説明】
【0059】
2 航空機、4 GPS衛星、6 地上基地局、8 基準局、40 計測部、42 撮像部、44 GPS/IMU、48 特徴点抽出処理部、50 圧縮符号化処理部、52 送信処理部、54 ストリーミング処理部、56 伝送データ変換処理部、58 送信部、70 受信処理部、72 受信部、74 復元データ変換処理部、76 ストリーミング処理部、78 復元処理部、82 GPS/IMUデータ補正部、84 変化検出処理部、86 線分抽出部、88 投影計算部、90 マッチング処理部、92 変化検出部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
飛行体上にて撮影した撮影地表画像から地物に対応する観測特徴点を抽出する観測特徴点抽出ステップと、
予め記憶されている建物形状記録情報及び前記撮影地表画像の撮影時における前記飛行体の飛行位置及び姿勢に基づいて投影計算を行い、前記飛行位置から見た建物投影像を生成する建物投影像生成ステップと、
前記観測特徴点と前記建物投影像とを対比して、前記建物形状の変化を検出する変化検出ステップと、
を有することを特徴とする建物形状変化検出方法。
【請求項2】
飛行体から撮影地表画像を撮影する撮影ステップと、
前記飛行体上にて、前記撮影地表画像から地物に対応する観測特徴点を抽出する観測特徴点抽出ステップと、
前記観測特徴点を表すデータを前記飛行体から地上基地局へ無線伝送するデータ伝送ステップと、
前記地上基地局にて、予め記憶されている建物形状記録情報及び前記撮影地表画像の撮影時における前記飛行体の飛行位置及び姿勢に基づいて投影計算を行い、前記飛行位置から見た建物投影像を生成する建物投影像生成ステップと、
前記地上基地局にて、前記観測特徴点と前記建物投影像とを対比して、前記建物形状の変化を検出する変化検出ステップと、
を有することを特徴とする建物形状変化検出方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の建物形状変化検出方法において、
前記観測特徴点抽出ステップは、デジタル画像である前記撮影地表画像にてエッジを構成する画素を前記観測特徴点として抽出し、
前記建物形状記録情報は、建物の三次元データを含み、
前記建物投影像生成ステップは、前記三次元データに基づいて前記建物の輪郭の投影像を生成し、
前記変化検出ステップは、前記撮影地表画像から抽出されたエッジと前記投影像とのマッチングに基づいて、前記建物の平面形状及び高さの変化を検出すること、
を特徴とする建物形状変化検出方法。
【請求項4】
請求項3に記載の建物形状変化検出方法において、
前記変化検出ステップは、前記建物投影像での前記建物の前記投影像と前記撮影地表画像における当該建物の像との、当該投影像に関する投影方向における位置の相違に基づいて、当該建物の高さの変化を検出すること、
を特徴とする建物形状変化検出方法。
【請求項5】
飛行体上にて撮影した撮影地表画像から地物に対応する観測特徴点を抽出する観測特徴点抽出手段と、
予め記憶されている建物形状記録情報及び前記撮影地表画像の撮影時における前記飛行体の飛行位置及び姿勢に基づいて投影計算を行い、前記飛行位置から見た建物投影像を生成する建物投影像生成手段と、
前記観測特徴点と前記建物投影像とを対比して、前記建物形状の変化を検出する変化検出手段と、
を有することを特徴とする建物形状変化検出システム。
【請求項6】
飛行体から撮影地表画像を撮影する撮影手段と、
前記飛行体上にて、前記撮影地表画像から地物に対応する観測特徴点を抽出する観測特徴点抽出手段と、
前記観測特徴点を表すデータを前記飛行体から地上基地局へ無線伝送するデータ伝送手段と、
前記地上基地局にて、予め記憶されている建物形状記録情報及び前記撮影地表画像の撮影時における前記飛行体の飛行位置及び姿勢に基づいて投影計算を行い、前記飛行位置から見た建物投影像を生成する建物投影像生成手段と、
前記地上基地局にて、前記観測特徴点と前記建物投影像とを対比して、前記建物形状の変化を検出する変化検出手段と、
を有することを特徴とする建物形状変化検出システム。
【請求項7】
請求項5又は請求項6に記載の建物形状変化検出システムにおいて、
前記観測特徴点抽出手段は、デジタル画像である前記撮影地表画像にてエッジを構成する画素を前記観測特徴点として抽出し、
前記建物形状記録情報は、建物の三次元データを含み、
前記建物投影像生成手段は、前記三次元データに基づいて前記建物の輪郭の投影像を生成し、
前記変化検出手段は、前記撮影地表画像から抽出されたエッジと前記投影像とのマッチングに基づいて、前記建物の平面形状及び高さの変化を検出すること、
を特徴とする建物形状変化検出システム。
【請求項8】
請求項7に記載の建物形状変化検出システムにおいて、
前記変化検出手段は、前記建物投影像での前記建物の前記投影像と前記撮影地表画像における当該建物の像との、当該投影像に関する投影方向における位置の相違に基づいて、当該建物の高さの変化を検出すること、
を特徴とする建物形状変化検出システム。
【請求項1】
飛行体上にて撮影した撮影地表画像から地物に対応する観測特徴点を抽出する観測特徴点抽出ステップと、
予め記憶されている建物形状記録情報及び前記撮影地表画像の撮影時における前記飛行体の飛行位置及び姿勢に基づいて投影計算を行い、前記飛行位置から見た建物投影像を生成する建物投影像生成ステップと、
前記観測特徴点と前記建物投影像とを対比して、前記建物形状の変化を検出する変化検出ステップと、
を有することを特徴とする建物形状変化検出方法。
【請求項2】
飛行体から撮影地表画像を撮影する撮影ステップと、
前記飛行体上にて、前記撮影地表画像から地物に対応する観測特徴点を抽出する観測特徴点抽出ステップと、
前記観測特徴点を表すデータを前記飛行体から地上基地局へ無線伝送するデータ伝送ステップと、
前記地上基地局にて、予め記憶されている建物形状記録情報及び前記撮影地表画像の撮影時における前記飛行体の飛行位置及び姿勢に基づいて投影計算を行い、前記飛行位置から見た建物投影像を生成する建物投影像生成ステップと、
前記地上基地局にて、前記観測特徴点と前記建物投影像とを対比して、前記建物形状の変化を検出する変化検出ステップと、
を有することを特徴とする建物形状変化検出方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の建物形状変化検出方法において、
前記観測特徴点抽出ステップは、デジタル画像である前記撮影地表画像にてエッジを構成する画素を前記観測特徴点として抽出し、
前記建物形状記録情報は、建物の三次元データを含み、
前記建物投影像生成ステップは、前記三次元データに基づいて前記建物の輪郭の投影像を生成し、
前記変化検出ステップは、前記撮影地表画像から抽出されたエッジと前記投影像とのマッチングに基づいて、前記建物の平面形状及び高さの変化を検出すること、
を特徴とする建物形状変化検出方法。
【請求項4】
請求項3に記載の建物形状変化検出方法において、
前記変化検出ステップは、前記建物投影像での前記建物の前記投影像と前記撮影地表画像における当該建物の像との、当該投影像に関する投影方向における位置の相違に基づいて、当該建物の高さの変化を検出すること、
を特徴とする建物形状変化検出方法。
【請求項5】
飛行体上にて撮影した撮影地表画像から地物に対応する観測特徴点を抽出する観測特徴点抽出手段と、
予め記憶されている建物形状記録情報及び前記撮影地表画像の撮影時における前記飛行体の飛行位置及び姿勢に基づいて投影計算を行い、前記飛行位置から見た建物投影像を生成する建物投影像生成手段と、
前記観測特徴点と前記建物投影像とを対比して、前記建物形状の変化を検出する変化検出手段と、
を有することを特徴とする建物形状変化検出システム。
【請求項6】
飛行体から撮影地表画像を撮影する撮影手段と、
前記飛行体上にて、前記撮影地表画像から地物に対応する観測特徴点を抽出する観測特徴点抽出手段と、
前記観測特徴点を表すデータを前記飛行体から地上基地局へ無線伝送するデータ伝送手段と、
前記地上基地局にて、予め記憶されている建物形状記録情報及び前記撮影地表画像の撮影時における前記飛行体の飛行位置及び姿勢に基づいて投影計算を行い、前記飛行位置から見た建物投影像を生成する建物投影像生成手段と、
前記地上基地局にて、前記観測特徴点と前記建物投影像とを対比して、前記建物形状の変化を検出する変化検出手段と、
を有することを特徴とする建物形状変化検出システム。
【請求項7】
請求項5又は請求項6に記載の建物形状変化検出システムにおいて、
前記観測特徴点抽出手段は、デジタル画像である前記撮影地表画像にてエッジを構成する画素を前記観測特徴点として抽出し、
前記建物形状記録情報は、建物の三次元データを含み、
前記建物投影像生成手段は、前記三次元データに基づいて前記建物の輪郭の投影像を生成し、
前記変化検出手段は、前記撮影地表画像から抽出されたエッジと前記投影像とのマッチングに基づいて、前記建物の平面形状及び高さの変化を検出すること、
を特徴とする建物形状変化検出システム。
【請求項8】
請求項7に記載の建物形状変化検出システムにおいて、
前記変化検出手段は、前記建物投影像での前記建物の前記投影像と前記撮影地表画像における当該建物の像との、当該投影像に関する投影方向における位置の相違に基づいて、当該建物の高さの変化を検出すること、
を特徴とする建物形状変化検出システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2007−248364(P2007−248364A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−74639(P2006−74639)
【出願日】平成18年3月17日(2006.3.17)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成17年度、総務省、「次世代GISの実用化に向けた情報通信技術の研究開発」委託研究、産業再生法第30条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000135771)株式会社パスコ (102)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年3月17日(2006.3.17)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成17年度、総務省、「次世代GISの実用化に向けた情報通信技術の研究開発」委託研究、産業再生法第30条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000135771)株式会社パスコ (102)
【Fターム(参考)】
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