説明

建物用防犯装置及びそれを備えた建物

【課題】換気などの目的で開口部を開放させた状況においても、当該開口部の不正な開放の警戒を行うことが可能な建物用防犯装置を提供する。
【解決手段】建物の仕切壁11に形成された開口部12には開閉窓ユニット13が設けられており、当該開閉窓ユニット13のガラス窓15,16により開口部12は開閉される。また、ガラス窓15,16には、クレセント錠17が取り付けられており、当該クレセント錠17によりガラス窓15,16が施錠される。当該構成において、クレセント錠17のクレセントハンドル17bには、施解錠検出センサ21及びマイコン23等が内蔵されており、さらにガラス窓16の窓サッシ16aには、回転数検出機器31が内蔵されている。そして、マイコン23では、施解錠検出センサ21及び回転数検出機器31における検出結果に基づいて開口部12の状態を警戒する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物に設けられた扉や窓部の状態を監視し、不法侵入等に対する防犯機能の向上を図るための建物用防犯装置及びそれを備えた建物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
建物におけるセキュリティ性の向上を目的として、扉や窓部といった開口部からの不法侵入を警戒する建物用防犯装置が提案されている。例えば特許文献1には、引き違い窓の施錠装置であるクレセント錠に建物用防犯装置を取り付けた構成が提案されている。
【0003】
この建物用防犯装置は加速度センサなどを備えており、当該センサによりクレセント錠の解錠行為やガラス窓の破壊行為等を検出する。そして、警戒状態でクレセント錠の解錠行為や窓ガラスの破壊行為等が行われた場合には、上記センサの検出結果に基づいて警報音などが出力される。これにより、侵入者を威嚇したり、不法侵入が行われようとしていることを住人等に知らせたりする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−36572号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、建物においては換気を目的として様々なタイミングで開口部の開放が行われる。これに対して、上記建物用防犯装置は施錠装置が解錠されたか否か、又は閉鎖状態の開口部が開放されたか否かを警戒するためのものであるため、建物用防犯装置による警戒と換気などを目的とした開口部の開放とを同時に行うことができない。つまり、建物用防犯装置により警戒を行うことと、開口部を開放させて換気を行うこととは、択一的なものとなっており、この点に関して改良の余地がある。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、換気などの目的で開口部を開放させた状況においても、当該開口部の不正な開放の警戒を行うことが可能な建物用防犯装置及びそれを備えた建物を提供することを主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の建物用防犯装置は、建物開口部の警戒を行い、その警戒結果が異常な場合に異常時処理を実行する制御手段を備えており、
当該制御手段は、前記建物開口部が閉鎖されていない状況であっても前記異常時処理を実行することなく前記建物開口部の警戒を開始することが可能であり、
前記制御手段は、前記建物開口部が閉鎖されていない状況で当該建物開口部の警戒を開始した場合において、前記建物開口部の開閉体が開閉方向へ移動しても異常時処理を実行せず、他方、当該警戒を開始した場合において、前記建物開口部が開閉体により閉鎖されるとともに当該開閉体が施錠装置により施錠された時点で当該施錠装置の施解錠検出センサによって施錠を把握した後、当該施解錠検出センサによって前記施錠装置が解錠されたことが検出された場合に異常時処理を実行する解錠警戒手段を備えていることを特徴とする。
【0008】
以下、上記課題を解決するのに有効な他の発明につき、必要に応じて作用、効果等を示しつつ説明する。なお以下では、理解を容易にするため、発明の実施の形態において対応する構成例を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
【0009】
他の発明の建物用防犯装置(センサ装置20、モニタ装置70)は、建物開口部(開口部12)の警戒を行い、その警戒結果が異常な場合に異常時処理を実行する制御手段(制御部23a,72a)を備えており、当該制御手段は、前記建物開口部が閉鎖されていない状況であっても前記異常時処理を実行することなく前記建物開口部の警戒を開始することが可能であることを特徴とする。
【0010】
本構成によれば、換気などを目的として建物開口部を開放させた状態で、建物開口部の警戒を開始させることができ、建物用防犯装置による警戒と、建物開口部を開放させることによる換気とを同時に行うことが可能となる。そして、警戒後においては、例えば警戒開始時よりも建物開口部の開放幅が広くなったことに基づいて異常時処理を実行するようにすることで、換気などの目的で建物開口部を開放させた状況においても、当該建物開口部の警戒を行うことが可能となる。
【0011】
なお、「異常時処理」には、警報音などをスピーカ手段から出力させる警報処理又は警告処理や、管理装置に異常が発生した旨の信号や情報を出力する異常通知処理などが含まれる。
【0012】
警戒状態として、住人の在宅時に設定される在宅警戒状態と、住人の外出時に設定される外出警戒状態とを有する構成においては、前記制御手段を、前記建物開口部が閉鎖されていない状況であっても前記異常時処理を実行することなく、少なくとも前記在宅警戒状態における前記建物開口部の警戒を開始することが可能な構成とすると良い。在宅警戒状態は、上記のとおり住人の在宅時に設定される警戒状態であり、例えば就寝時などにおいて設定される。そして、就寝時などにおいては換気を目的として建物開口部を開放させることがある。このような事情において、上記のとおり建物開口部が閉鎖されていない状況であっても、少なくとも在宅警戒状態における建物開口部の警戒を開始させることが可能な構成とすることが好ましい。
【0013】
前記制御手段には、前記建物開口部を開閉する開閉体(ガラス窓15,16)が開放側に向けて移動したことに基づいて異常時処理を実行する開放警戒手段(制御部23aにおける在宅警戒モード処理を行う機能)を設け、当該開放警戒手段は前記開閉体が閉鎖位置に向けて移動した場合には前記異常時処理を実行しない構成とすると良い。警戒開始時において建物開口部を開放させておいたとしても、開閉体が開放側に向けて移動したことに基づいて異常時処理が実行される。よって、換気などの目的で開口部を開放させた状況においても、当該開口部の不正な開放の警戒を行うことが可能となる。また、住人が在宅時においては、換気の必要がなくなった場合や換気の量を低減させる場合に開閉体の閉鎖操作が行われる。その一方、不法侵入が行われる場合には、開閉体の開放操作が行われる前に閉鎖操作が行われる可能性は低い。これに対して、開閉体が閉鎖位置に向けて移動した場合には異常時処理を実行しないようにすることで、住人等による開閉体の閉鎖操作に対して異常時処理が実行されてしまうことが防止され、上記事情に対応した良好な防犯機能を付与することができる。
【0014】
前記開放警戒手段は、前記建物開口部が閉鎖されていない状況で当該建物開口部の警戒を開始した場合、前記建物開口部が閉鎖された後は、前記開閉体が開放側に移動した時点で前記異常時処理を実行する構成とすると良い。上記のとおり住人が在宅時においては、換気の必要がなくなった場合に開閉体の閉鎖操作が行われ、建物開口部が閉鎖状態とされる。これに対して、その後は、開閉体が開放側に移動した時点で異常時処理を実行するようにすることで、建物開口部が閉鎖状態となった後はそれに対応させてセキュリティレベルを高めることができる。
【0015】
前記制御手段には、前記建物開口部が閉鎖されていない状況で当該建物開口部の警戒を開始した場合、前記建物開口部が開閉体(ガラス窓15,16)により閉鎖されるとともに当該開閉体が施錠装置(クレセント錠17)により施錠された後は、その施錠装置が解錠された時点で異常時処理を実行する解錠警戒手段(制御部23aにおける解錠警戒処理を行う機能)を設けると良い。上記のとおり住人が在宅時においては、換気の必要がなくなった場合に開閉体の閉鎖操作が行われて建物開口部が閉鎖状態とされ、さらに施錠装置の施錠操作が行われる。これに対して、その後は、施錠装置が解錠された時点で異常時処理を実行するようにすることで、施錠装置が施錠状態とされた後はそれに対応させてセキュリティレベルを高めることができる。
【0016】
前記建物開口部が閉鎖されていない状況で当該建物開口部の警戒を開始する場合に、当該建物開口部を開閉する開閉体(ガラス窓15,16)の警戒開始時位置を記憶する開始時位置記憶手段(警戒開始状態記憶部23d,72e)を設け、前記制御手段には、前記建物開口部が閉鎖されていない状況で当該建物開口部の警戒を開始した場合、前記開閉体の開閉位置が前記警戒開始時位置に対して異なるものとなったことに基づいて異常時処理を実行する変更警戒手段(制御部23aにおける外出警戒モードを行う機能)を設けると良い。外出時においては住人により開閉体の開閉操作が行われることはなく、当該外出時において開閉体の開閉操作が行われる場合は不法侵入の可能性が高い。これに対して、上記のとおり開閉体の開閉位置が警戒開始時位置に対して異なるものとなったことに基づいて異常時処理を実行することで、上記事情に対応した良好な防犯機能を付与することができる。
【0017】
前記建物開口部の開放幅を把握する把握手段(開閉位置記憶部23c,72d)を設け、さらに前記制御手段には、前記建物開口部の開放幅が予め定められた基準幅に達したことに基づいて異常時処理を実行する開放幅警戒手段(制御部23aにおける幅警戒処理を行う機能)を設け、当該開放幅警戒手段は、前記基準幅に達していない場合は前記建物開口部を開閉する開閉体(ガラス窓15,16)が開放側に移動したとしても前記異常時処理を実行しない構成とすると良い。これにより、警戒状態下であっても基準幅の範囲内においては開閉体の開閉位置の変更を行うことが可能となり、住人にとっては警戒状態下において換気の程度の変更を行うことが可能となる。また、基準幅に達した場合には異常時処理が実行されるため、不法侵入に対する防犯機能は果たされる。
【0018】
前記基準幅として、第1基準幅とそれよりも広い第2基準幅とを設定し、前記開放幅警戒手段は、前記異常時処理として、前記第1基準幅に達したことに基づいて、所定の報知手段(アクチュエータ24)にて第1警報を行わせるべく第1警報処理を実行するとともに、前記第2基準幅に達したことに基づいて、前記所定の報知手段と同一又は異なる報知手段(圧電ブザー25)にて前記第1警報とは異なる第2警報を行わせるべく第2警報処理を実行する構成とすると良い。これにより、不法侵入に対して複数段階で警報を行うことが可能となる。また、例えば第2基準幅を不法侵入が可能となる開放幅に設定した場合には、不法侵入が可能となる前のタイミングで第1警報を行うことができ、不法侵入が可能となったタイミングで第2警報を行うことができるため、不法侵入に対する防犯機能が高められる。
【0019】
前記報知手段として、前記開閉体を振動させる振動手段(アクチュエータ24)を設け、前記開放幅警戒手段を、前記第1警報処理として、前記振動手段により前記開閉体を振動させる構成とすると良い。これにより、不法侵入が行われようとしている建物開口部の開閉体自体が振動することとなり、不法侵入を思いとどまらせることが可能となる。
【0020】
また、上記のように開放幅警戒手段を備えた構成においては、登録操作に基づいて前記基準幅を記憶する基準幅記憶手段(基準値記憶部23e,72f)を設けると良い。これにより、基準幅の設定を行うことが可能となる。
【0021】
前記開放幅警戒手段を、前記建物開口部の警戒を開始する際に当該建物開口部の開放幅が前記基準幅に達していたとしても、前記異常時処理を実行しない構成とすると良い。これにより、上記のように基準幅を設定した構成において、住人にとっては警戒開始時における開放幅の選択の自由度が高められる。
【0022】
また、上記のように開放幅警戒手段を備えた構成においては、前記制御手段は、前記建物開口部の警戒の開始に際して当該建物開口部の開放幅が前記基準幅に達している場合には、所定の報知手段(モニタ部43,73、スピーカ部44,74)にて開放幅の異常報知を行わせるべく異常報知処理を実行するとともに、前記建物開口部の警戒を開始しない構成とすると良い。これにより、建物開口部の開放幅が基準幅に達している場合には、当該開放幅を基準幅未満にするように住人等に促すことが可能となり、警戒状態下であるにも関わらず、不法侵入に対する防犯機能が果たされないといった不都合の発生を防止することが可能となる。
【0023】
前記制御手段は、前記建物開口部が閉鎖されていない状況で当該建物開口部の警戒を開始する際には、所定の報知手段(モニタ部43,73、スピーカ部44,74)にて開放状態報知を行わせるべく開放状態報知処理を実行する構成とすると良い。これにより、建物開口部が閉鎖されていない状況で警戒が開始されることを住人等に知らせることが可能となり、建物開口部が閉鎖されていないことを知らずに警戒を開始させようとした住人等に対してはその事実を把握させることが可能となる。
【0024】
なお、「警戒を開始する際」には、警戒を開始する前のタイミングだけでなく、警戒を開始した後のタイミングも含まれる。
【0025】
前記建物開口部を開閉する開閉体(ガラス窓15,16)の状態又は当該開閉体を施錠する施錠装置(クレセント錠17)の状態を検出する検出センサ(施解錠検出センサ21、回転数検出センサ35、取り外し検出センサ32)と、モニタ装置(モニタ装置40)からの信号を受信するとともに、当該モニタ装置に向けて信号を送信する通信手段(通信部27)とをさらに備え、前記制御手段は、前記通信手段にて受信した信号に基づいて前記建物開口部の警戒を開始するとともに、その開始後は前記検出センサの検出結果に基づいて前記建物開口部の警戒を行い、さらにその警戒結果を前記通信手段を介して前記モニタ装置に送信する構成とすると良い。この場合、検出センサを有するセンサ装置が建物用防犯装置としての機能を有することとなる。特に、本構成によれば、複数の建物開口部を備えた建物において、各建物開口部の警戒がセンサ装置毎に個別に行われるため、モニタ装置における制御処理負荷の低減が図られる。
【0026】
建物に設けられた複数の建物開口部の開閉状態を報知するモニタ部(モニタ部73)と、前記各建物開口部を開閉する開閉体(ガラス窓15,16)の状態又は当該開閉体を施錠する施錠装置(クレセント錠17)の状態を検出する複数のセンサ装置(センサ装置60)からの検出結果を受信する受信手段(通信部71)とをさらに備え、前記制御手段は、前記建物開口部の警戒が開始された後は前記受信手段にて受信した前記複数のセンサ装置からの各検出結果に基づいて前記複数の建物開口部の警戒を行う構成とすると良い。この場合、各建物開口部の開閉状態を報知するモニタ装置が建物用防犯装置としての機能を有することとなる。特に、本構成によれば、複数の建物開口部の警戒をモニタ装置にて一括して行うことができる。
【0027】
屋内外を仕切る仕切壁に形成された複数の建物開口部と、それら複数の建物開口部に対応させて設けられ、対応する建物開口部の状態を検出する検出センサを有する複数のセンサ装置と、それら複数のセンサ装置から受信した検出結果に基づいて前記複数の建物開口部の状態を報知するモニタ部を有するモニタ装置とを備えた建物(建物10)においては、前記センサ装置又は前記モニタ装置を以上説明した建物用防犯装置とすると良い。これにより、以上説明した防犯機能を有する建物を提供することが可能となる。
【0028】
なお、以上説明した「開放警戒手段」、「解錠警戒手段」、「変更警戒手段」及び「開放幅警戒手段」による各異常時処理は、全て同一の処理内容であってもよく、また一部又は全部が異なる処理内容であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】第1の実施形態におけるセンサ装置を説明するための説明図。
【図2】防犯システムが適用された建物の間取り例を示す略図。
【図3】防犯システムの概略ブロック図。
【図4】モード移行処理を示すフローチャート。
【図5】在宅警戒モード処理を示すフローチャート。
【図6】外出警戒モード処理を示すフローチャート。
【図7】第2の実施形態における防犯システムの概略ブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
(第1の実施形態)
以下、本発明を具体化した建物用防犯装置の第1の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。図1は、建物用防犯装置としてのセンサ装置20を説明するための説明図であり、図2は、当該センサ装置20を具備する防犯システムが適用された建物10の間取り例である。
【0031】
図2に示すように、建物10には、防犯システムとして、センサ装置20とモニタ装置40とを備えている。
【0032】
センサ装置20は建物10における屋内外を仕切る仕切壁(外壁)11の各開口部12に対して1対1で対応させて設けられており、各センサ装置20は対応する各開口部12の状態を検出する。ここで、開口部12の状態とは、開口部12に設けられた扉ユニットや開閉窓ユニットの開閉状態や、それら扉ユニットや開閉窓ユニットに設けられた施錠装置の施解錠状態などのことを言う。なお、センサ装置20を固定窓ユニットが取り付けられた開口部に対して設けてもよく、この場合、センサ装置20は固定窓ユニットが破壊又は取り外されたことを検出する機能を有することとなる。
【0033】
モニタ装置40は屋内に設けられており、各センサ装置20から所定の信号を受信し、その受信結果に基づいて各開口部12の状態を報知する。なお、モニタ装置40と各センサ装置20との信号の送受方法として、本実施形態では無線LANが採用されているが、これに限定されることはなく、例えば赤外線、Bluetooth(登録商標)等のいずれの方式をも採用することができる。また、例えば電力線通信、有線LAN通信等の有線通信を採用してもよい。
【0034】
次に、各センサ装置20のうち、窓用の開口部12に設けられたセンサ装置20の機械的な構成を説明する。
【0035】
図1に示すように、窓用の開口部12には開閉窓ユニット13が取り付けられている。開閉窓ユニット13は、窓枠サッシ14に一対のガラス窓15,16が引違い式に取り付けられて構成されている。各ガラス窓15,16は窓サッシ15a,16aにガラス板15b,16bが保持されて構成されており、これらガラス窓15,16には施錠装置としてクレセント錠17が設けられている。クレセント錠17は、一方のガラス窓16の窓サッシ16aに取り付けられたクレセントベース17aと、クレセントベース17aに回動自在に取り付けられ施解錠操作を行うためのクレセントハンドル17bとを備えている。かかるクレセントベース17aが取り付けられたガラス窓16に対してセンサ装置20が取り付けられている。
【0036】
センサ装置20は、クレセント錠17の施解錠状態を検出するための施解錠検出センサ21と、ガラス窓15,16の開閉位置を検出するための開閉位置検出ユニット22と、これら施解錠検出センサ21及び開閉位置検出ユニット22における検出結果に基づいて開口部12の警戒を行うマイコン23と、マイコン23の制御に基づいてガラス窓16を振動させるアクチュエータ24と、マイコン23の制御に基づいて警報音を出力する圧電ブザー25と、施解錠検出センサ21やマイコン23などに電力を供給する例えば電池といった電源部26とを備えている。また、図1において図示は省略するが、センサ装置20は上記以外にも、モニタ装置40との間で信号の送受を行うための通信部などを備えている。
【0037】
センサ装置20を構成する上記各機器21〜26のうち、施解錠検出センサ21、マイコン23、圧電ブザー25及び電源部26は、クレセントハンドル17bに内蔵されており、開閉位置検出ユニット22及びアクチュエータ24は、クレセントベース17aが取り付けられたガラス窓16の窓サッシ16aに内蔵されている。また、開閉位置検出ユニット22は下枠における中央側の縦枠との連結部分(すなわち、窓サッシ16aにおける開放側先端部分)に設けられ、アクチュエータ24は中央側の縦枠におけるクレセント錠17と近接した位置に設けられている。なお、本実施形態においては開閉位置検出ユニット22及び圧電ブザー25は、窓サッシ16a及びクレセントベース17aの内部を通るようにして設けられた電気配線を介してマイコン23との間で信号の送受を行う構成であるが、無線通信により信号の送受を行う構成としてもよい。また、マイコン23の配置位置は任意であり、窓枠サッシ14や仕切壁11における開口部12周辺の屋内側などに配置してもよい。
【0038】
センサ装置20の上記各機器21〜26のうち、施解錠検出センサ21及び開閉位置検出ユニット22について説明する。
【0039】
施解錠検出センサ21は加速度センサからなり、クレセントハンドル17bの回動行為に伴う変位を傾斜の変化として検出するものである。かかる加速度センサは周知のセンサであるため、その検知原理の説明は省略する。施解錠検出センサ21の検出結果に基づいて、マイコン23ではクレセント錠17の施解錠状態を把握する。なお、施解錠検出センサ21は加速度センサに限定されることはなく、例えばリードスイッチを採用してもよい。但し、この場合、リードスイッチの被検出体としてマグネットなどをクレセントベース17aに設ける必要がある。
【0040】
開閉位置検出ユニット22は、回転数検出機器31と、取り外し検出センサ32とから構成されている。回転数検出機器31は、窓サッシ16aの下枠に回転可能に片持ち支持される支持体33と、当該支持体33の自由端側に回転可能に支持される回転体34と、当該回転体34の回転数を検出する回転数検出センサ35とを備えている。支持体33及び回転体34の回転軸方向は共に上下方向となっている。
【0041】
支持体33は、図示しない付勢手段によって屋外側に向けて付勢されており、回転体34はその一部が下枠の屋外側壁部に設けられた開口18を介して窓サッシ16a外にはみ出している。また、上記開口18は他方のガラス窓15における窓サッシ15aの下枠と対峙した位置にあり、回転体34はその下枠の屋内側壁部と当接している。したがって、ガラス窓15,16を開閉した場合には、それに伴って回転体34が回転する。具体的には、開口部12を開放させる方向にガラス窓15,16を移動させた場合には、回転体34は図1の状態で見て時計回り方向(以下、開放方向ともいう)に回転し、開口部12を閉鎖させる方向にガラス窓15,16を移動させた場合には、回転体34は図1の状態で見て反時計回り方向(以下、閉鎖方向ともいう)に回転する。そして、回転体34が開放方向又は閉鎖方向に回転したことは、回転数検出センサ35によって検出される。
【0042】
回転数検出センサ35は、回転体34の開放方向の回転及び閉鎖方向の回転をそれぞれ区別して検出するとともに、回転体34が各方向に1周したことを検出する。この検出を可能とする構成として具体的には、例えば回転数検出センサ35を回転体34の回転方向に並設した複数(例えば、3個)のセンサから構成し、回転体34の上面における外周側の一部に被検出部を設ける。この場合、各センサにおける被検出部の検出順序により回転体34の回転方向を区別でき、さらに全てのセンサにおいて被検出部が検出されることで回転体34が1周したことを検出することができる。回転数検出センサ35の検出結果に基づいて、マイコン23ではガラス窓15,16の開閉位置を把握する。これについては後に説明する。
【0043】
取り外し検出センサ32は、リミットスイッチからなり、ガラス窓15,16が窓枠サッシ14から取り外されているか否かを検出する機能を少なくとも有する。つまり、取り外し検出センサ32は回転数検出機器31に対して並設されている。また、回転体34が相手側のガラス窓15の窓サッシ15aに当接している状況では支持体33により押圧片が押されスイッチ部がON状態となるとともに、回転体34が当接しなくなると支持体33により押圧片が押されなくなりスイッチ部がOFF状態となる。そして、ガラス窓15,16の少なくとも一方が窓枠サッシ14から取り外された場合には回転体34が窓サッシ15aに当接しなくなるため、それが取り外し検出センサ32によって検出される。取り外し検出センサ32の検出結果に基づいて、マイコン23ではガラス窓15,16が取り外されているか否かを把握する。
【0044】
なお、ガラス窓15,16の位置が左右逆になった場合にも回転体34が窓サッシ15aに当接しなくなるが、この状態を取り外し検出センサ32により検出することができる。ガラス窓15,16の位置が左右逆になると、マイコン23において把握する回転体34の回転数とガラス窓15,16の開閉位置との関係が一致しなくなるおそれがあり、これに対して取り外し検出センサ32が設けられていることにより、ガラス窓15,16の位置関係が元に戻った際に上記関係を補正して再度一致させることが可能となる。
【0045】
次に、図3の概略ブロック図を参照して、防犯システムの電気的構成を説明する。なお、以下の説明においては理解を容易なものとするため、先ずモニタ装置40の電気的構成を説明し、その後、センサ装置20の電気的構成を説明する。また、図3においては複数あるセンサ装置20のうち上記窓用の開口部12に設けられたセンサ装置20の電気的構成を代表的に示すとともに、以下の説明では当該センサ装置20の電気的構成を代表的に説明する。
【0046】
<モニタ装置40>
モニタ装置40は、通信部41と、マイコン42と、モニタ部43と、スピーカ部44とを備えている。通信部41はマイコン42の入力側及び出力側に接続されており、モニタ部43及びスピーカ部44はマイコン42の出力側に接続されている。なお、モニタ装置40には上記各機器以外にも各種操作部が設けられている。
【0047】
通信部41は、各種通信回線に接続可能な機能を有している。この通信部41によってセンサ装置20との間で信号の送受が行われる。また、通信部41は、インターネット50にも接続されており、図示しない警備会社の端末や住人が所有する携帯機器等と情報を交換することができる。
【0048】
マイコン42は、制御部42aと記憶部42bとを備えている。記憶部42bには通信部41を介して受信した信号がいずれのセンサ装置20から送信されたものかを特定する際に参照される各センサ装置20のIDコード情報や、各種の制御プログラムが記憶されている。制御部42aでは、センサ装置20から受信した信号に基づいて監視対象となっている開口部の状態を把握し、その把握結果をモニタ部43及びスピーカ部44を介して住人等に報知する。また、制御部42aでは必要に応じて警備会社の端末や住人が所有する携帯機器等に情報を出力する。
【0049】
また、記憶部42bには、上記制御プログラムとして、在宅モード、在宅警戒モード及び外出警戒モードに対応した制御プログラムが記憶されており、制御部42aはモニタ装置40に設けられた操作部が操作されることに基づいてこれら各モードに移行するとともに、その移行したモードに対応する処理を実行する。
【0050】
ちなみに、在宅モードは警戒を必要としない場合に設定される非警戒モードであり、在宅警戒モードは主として住人の在宅時においても警戒を必要と感じた場合に設定されるモードであり、外出警戒モードは主として住人の留守時に設定されるモードである。また、在宅警戒モードでは監視対象の異常が検出された場合に出力が開始されたスピーカ部44からの警報は、モニタ装置40に設けられた所定の操作部が操作されることで解除されるのに対して、外出警戒モードでは当該操作部が操作されたとしても解除されない。さらに、外出警戒モードでは監視対象の異常が検出された場合に警備会社の端末や住人が所有する携帯機器等に異常が検出された旨の情報が送信されるのに対して、在宅警戒モードでは当該情報の送信は行われない。すなわち、在宅警戒モードと外出警戒モードとでは、異常を検出した場合における異常時処理の態様、又はその異常時処理の解除の態様の少なくとも一方が異なる。
【0051】
<センサ装置20>
次に、センサ装置20の電気的構成について説明する。
【0052】
センサ装置20は、既に説明したとおり、通信部27と、マイコン23と、施解錠検出センサ21と、回転数検出センサ35と、取り外し検出センサ32と、アクチュエータ24と、圧電ブザー25と、電源部26とを備えている。通信部27はマイコン23の入力側及び出力側に接続されており、施解錠検出センサ21、回転数検出センサ35、取り外し検出センサ32及び電源部26はマイコン23の入力側に接続されており、アクチュエータ24及び圧電ブザー25はマイコン23の出力側に接続されている。通信部27によってモニタ装置40との間で信号の送受が行われる。
【0053】
マイコン23は、制御部23aと、現状モード記憶部23bと、開閉位置記憶部23cと、警戒開始状態記憶部23dと、基準値記憶部23eとを備えている。なお、マイコン23には、上記各記憶部23b〜23e以外にも、各種の制御プログラムや自身に設定されたIDコード情報などが記憶された記憶部を備えている。
【0054】
現状モード記憶部23bは、揮発性の記憶部であり、上述した在宅モード、在宅警戒モード及び外出警戒モードのうち滞在しているモードを記憶しておく機能を有する。つまり、モニタ装置40にて設定されたモードは、モード情報としてセンサ装置20に送信され、センサ装置20のマイコン23ではこの受信したモード情報(モード信号の情報)を現状モード記憶部23bにおいて記憶する。これにより、制御部23aにおいて現状のモードが特定され、制御部23aではその特定したモードに対応した処理を実行する。
【0055】
開閉位置記憶部23c、警戒開始状態記憶部23d及び基準値記憶部23eは、在宅警戒モード又は外出警戒モードにおいて制御部23aが開口部12の状態が異常か否かを判断するための各種情報を記憶しておくための記憶部である。ここで、本実施形態の防犯システムは、従来の防犯システムと異なり、開口部12が閉鎖されていない状況において在宅警戒モード又は外出警戒モードによる警戒の開始が可能となっている。そして、制御部23aでは、上記各記憶部23b〜23eに記憶された各種情報に基づいて、開口部12の警戒を行。これら各記憶部23b〜23eについて以下に詳細に説明する。
【0056】
開閉位置記憶部23cは、揮発性の記憶部であり、ガラス窓15,16の開閉位置を特定するための機能を有する。詳細には、開閉位置記憶部23cは初期値が「0」に設定されたカウンタであり、回転数検出センサ35の検出結果が、回転体34が開放方向に1周した旨の検出結果である場合に「1」加算され、回転体34が閉鎖方向に1周した旨の検出結果である場合に「1」減算される。また、初期値である「0」は、ガラス窓15,16が閉鎖位置にあり開口部12が閉鎖されている状態に対応付けられている。制御部23aでは、開閉位置記憶部23cに記憶されている値に基づいて、開口部12が開放されているか否か、及び開放されている場合にはその開放幅を特定する。なお、開閉位置記憶部23cにおいて、開口部12の開放幅自体を記憶する構成としてもよい。
【0057】
警戒開始状態記憶部23dは、揮発性の記憶部であり、在宅警戒モード又は外出警戒モードに移行した際の開口部12の状態を特定するための機能を有する。詳細には、警戒開始状態記憶部23dは、施解錠検出センサ21の検出結果に基づいて、在宅警戒モード又は外出警戒モードにて警戒を開始する際におけるクレセント錠17の施解錠状態を記憶し、さらに在宅警戒モード又は外出警戒モードにて警戒を開始する際における開閉位置記憶部23cの値を記憶する。制御部23aでは、警戒開始状態記憶部23dに記憶されている情報に基づいて、在宅警戒モード又は外出警戒モードにて警戒を開始する際における開口部12の状態を特定する。
【0058】
基準値記憶部23eは、不揮発性の記憶部であり、在宅警戒モードにおいて開口部12の開放幅が異常か否かを判断する上で基準となる基準値を記憶しておくための機能を有する。この基準値は、異常の対象とする開放幅を回転体34の外周の長さで除算した値として設定されている。すなわち、基準値は、異常の対象とする開放幅が回転体34の回転数と関連付けて設定されている。
【0059】
当該基準値(基準幅)として、小基準値(第1基準幅)とそれよりも大きい値である大基準値(第2基準幅)とが設定されている。小基準値は一般的な成人の腕の太さに対応させて設定された値であり、大基準値は一般的な成人が通り抜けることの可能な幅に対応させて設定された値である。例えば、回転体34の外周の長さが2.5cmであり、一般的な成人の腕の太さが10cmであり、一般的な成人が通り抜けることの可能な幅が25cmである場合には、小基準値は「4」であり、大基準値は「10」である。制御部23aでは、在宅警戒モードにおいて、開閉位置記憶部23cに記憶されている値と上記各基準値とを比較し、開口部12の開放幅が異常か否かを判断する。なお、開閉位置記憶部23cにて開口部12の開放幅自体を記憶する構成においては、基準値記憶部23eにおいて異常の対象とする開放幅自体を記憶する構成とする。また、基準値記憶部23eにおいて記憶される基準値(基準幅)は2パターンに限定されることはなく、例えば大基準値の1パターンであってもよく、大・中・小の3パターン又はそれ以上のパターンであってもよい。
【0060】
<モード移行処理>
次に、センサ装置20におけるマイコン23の制御部23aによって実行されるモード移行処理を説明する。図4はモード移行処理を示すフローチャートである。
【0061】
モード移行処理は、モニタ装置40においてモードの移行操作が行われ、当該モニタ装置40からモード信号を受信することで開始される。そして、図4に示すように先ずステップS101にて、受信したモード信号が在宅警戒モード信号か否かを判定する。在宅警戒モード信号である場合には、ステップS102に進み、在宅警戒モード処理を開始する。これにより、センサ装置20においてセキュリティモードが在宅警戒モードに移行する。
【0062】
在宅警戒モード信号でない場合には、ステップS103に進む。ステップS103では、受信したモード信号が外出警戒モード信号か否かを判定する。外出警戒モード信号である場合には、ステップS104に進み、外出警戒モード処理を開始する。これにより、センサ装置20においてセキュリティモードが外出警戒モードに移行する。
【0063】
外出警戒モード信号でない場合には、受信した信号は在宅モード信号であることを意味するため、ステップS105に進み、在宅モード処理を開始する。これにより、センサ装置20においてセキュリティモードが在宅モードに移行する。
【0064】
そして、在宅警戒モード処理、外出警戒モード処理及び在宅モード処理を実行した後は、ステップS101に戻る。
【0065】
次に、在宅警戒モード処理及び外出警戒モード処理について説明する。なお、在宅モード処理では、開口部12の状態の警戒は行わず、各検出センサ21,32,35の検出結果に基づいて開口部12が閉鎖状態か否か、及びクレセント錠17が施錠状態か否かの情報を、モニタ装置40に送信する処理を実行する。モニタ装置40では、センサ装置20から受信した情報に基づいてモニタ部43にて、開口部12が閉鎖状態か否か、及びクレセント錠17が施錠状態か否かを報知する。
【0066】
<在宅警戒モード処理>
在宅警戒モード処理を説明する。図5は在宅警戒モード処理を示すフローチャートである。ここで、上記のとおり、本実施形態の防犯システムでは、従来の防犯システムと異なり、開口部12が閉鎖されていない状況において在宅警戒モードによる警戒の開始が可能となっている。したがって、在宅警戒モード移行時における開口部12の状態としては、様々なパターンが存在する。そこで、それらパターン毎に、在宅警戒モード処理を説明する。
【0067】
<クレセント錠17が施錠状態で移行した場合>
先ず、クレセント錠17が施錠状態である状況において在宅警戒モードに移行した場合を説明する。
【0068】
在宅警戒モード処理では、ステップS201にて回転数検出センサ35及び取り外し検出センサ32の各検出結果に基づいて開口部12が閉鎖状態か否かを判定し、ステップS202にて施解錠検出センサ21の検出結果に基づいてクレセント錠17が施錠状態か否かを判定する。今回はクレセント錠17が施錠状態である状況において移行した在宅警戒モード処理であるため、ステップS201及びステップS202のそれぞれにおいて肯定判定をし、ステップS203に進む。ステップS203では、警戒開始情報をセットする。この警戒開始情報がセットされることにより、制御部23aにおいて警戒が開始されていることが認識される。なお、警戒開始情報は本在宅警戒モードの終了時にクリアされる。
【0069】
その後、ステップS204〜ステップS205の解錠警戒処理を実行する。つまり、ステップS204では、施解錠検出センサ21の検出結果に基づいて、クレセント錠17が施錠状態か否かを判定する。クレセント錠17が施錠状態の場合にはステップS205に進み、新たにモニタ装置40からモード信号を受信したか否かを判定する。モード信号を受信していない場合には、ステップS204に戻る。そして、クレセント錠17が解錠状態となるか、新たにモニタ装置40からモード信号を受信するまで、ステップS204〜ステップS205の処理を繰り返す。
【0070】
その後、新たにモニタ装置40からモード信号を受信した場合には、モード移行が行われたことを意味するため、ステップS205にて肯定判定をし、本在宅警戒モード処理を終了する。
【0071】
一方、クレセント錠17が解錠状態となった場合には、クレセント錠17の不正解錠が行われたことを意味するため、ステップS204にて否定判定をし、ステップS206〜S208の重度異常時処理を実行する。
【0072】
先ずステップS206では、警報処理を実行する。警報処理では圧電ブザー25に動作電力を供給し、当該圧電ブザー25からの警報音の出力を開始させる。続くステップS207では、モニタ装置40に向けて異常信号を送信する。モニタ装置40では当該異常信号を受信することで、スピーカ部44からの警報音の出力を開始させる。また、モニタ装置40ではモニタ部43にて今回の不正に関わる開口部12の情報を報知する。
【0073】
続くステップS208では、モニタ装置40から解除信号を受信したか否かを判定する。解除信号は、モニタ装置40に対して住人等による警報解除操作が行われることにより当該モニタ装置40から送信される信号である。モニタ装置40から解除信号を受信していない場合には、ステップS208にて待機する。これにより、上記の各警報音の出力が継続される。
【0074】
その後、解除信号を受信した場合にはステップS209に進み、解除処理を実行する。解除処理では、圧電ブザー25への動作電力の供給を停止することで、当該圧電ブザー25からの警報音の出力を停止させる。なお、モニタ装置40におけるスピーカ部44からの警報音の出力及びモニタ部43における報知は、上記警報解除操作が行われたタイミングで解除される。解除処理を実行した後は、ステップS201に戻る。
【0075】
すなわち、クレセント錠17が施錠状態で移行した在宅警戒モードにおいては、当該クレセント錠17が解錠状態となることで、重度異常時処理が実行される。
【0076】
<クレセント錠17が解錠状態であって開口部12が閉鎖状態で移行した場合>
次に、クレセント錠17が解錠状態であって開口部12が閉鎖状態である状況において、在宅警戒モードに移行した場合を説明する。
【0077】
クレセント錠17が解錠状態であって開口部12が閉鎖状態である状況において移行した在宅警戒モード処理では、ステップS201にて肯定判定をし、ステップS202にて否定判定をするため、ステップS212に進む。ステップS212では、モニタ装置40に向けて確認信号を送信する。モニタ装置40では当該確認信号を受信することで、モニタ部43及びスピーカ部44にてクレセント錠17が解錠状態となっている開口部12と、当該開口部12のクレセント錠17が解錠状態となっていることとを報知する。また、ステップS212では、マイコン23に設けられたタイマを起動させて待ち時間の計測を開始させる。
【0078】
続くステップS213では、タイマの値に基づいて、待ち時間が経過したか否かを判定する。待ち時間が経過していない場合には、ステップS214にて、モニタ装置40から応答信号を受信したか否かを判定する。応答信号は、モニタ装置40に対して住人等による確認操作が行われることにより当該モニタ装置40から送信される信号である。モニタ装置40から応答信号を受信していない場合には、ステップS213に戻る。そして、待ち時間が経過したか、モニタ装置40から応答信号を受信するまで、ステップS213及びステップS214の処理を繰り返す。
【0079】
上記のように待ち時間を設定したことにより、クレセント錠17が解錠状態であることを知らずに在宅警戒モードへの移行操作を行った住人等に対して、当該クレセント錠17を施錠状態とする機会を与えることができ、その一方、クレセント錠17が解錠状態である旨の報知に住人等が気付かなかったとしても、ステップS215以降の警戒に関する処理が開始されないといった不都合の発生を防止することができる。なお、本実施形態では、待ち時間は5minに設定されているが、当該時間は任意である。また、待ち時間が経過した際には、その旨をセンサ装置20やモニタ装置40にて報知する構成としてもよい。また、上記ステップS212〜ステップS214の確認処理を、警戒を開始する前のタイミングで実行するのではなく、警戒を開始した後のタイミングで実行するようにしてもよい。
【0080】
待ち時間が経過した場合又はモニタ装置40から応答信号を受信した場合には、ステップS213又はステップS214のいずれかで肯定判定をし、ステップS215に進む。ステップS215では、開口部12の現状の開放幅を警戒開始状態記憶部23dに記憶させる。具体的には、開閉位置記憶部23cに記憶されている現状の値を警戒開始状態記憶部23dに記憶させる。今回は、開口部12が閉鎖状態である状況において移行した在宅警戒モード処理であるため、警戒開始状態記憶部23dには開口部12が閉鎖状態である旨の情報を記憶させる。続くステップS216では、警戒開始情報をセットする。
【0081】
その後、ステップS217では、ステップS201と同様に、開口部12が閉鎖状態か否かを判定する。今回はクレセント錠17が解錠状態であって開口部12が閉鎖状態である状況において移行した在宅警戒モード処理であるため、ステップS217にて肯定判定をし、ステップS218〜ステップS220の開放警戒処理を実行する。
【0082】
つまり、ステップS218では、ステップS217と同様に、開口部12が閉鎖状態か否かを判定する。開口部12が閉鎖状態である場合には、ステップS219にて、ステップS202と同様に、クレセント錠17が施錠状態か否かを判定する。クレセント錠17が施錠状態でない場合には、ステップS220にて、新たにモニタ装置40からモード信号を受信したか否かを判定する。開口部12が閉鎖状態であってクレセント錠17が解錠状態であり、さらに新たにモニタ装置40からモード信号を受信していない場合にはステップS218〜ステップS220の処理を繰り返す。
【0083】
その後、新たにモニタ装置40からモード信号を受信した場合には、モード移行が行われたことを意味するため、ステップS220にて肯定判定をし、本在宅警戒モード処理を終了する。
【0084】
一方、開口部12が開放状態となった場合には、ガラス窓15,16の不正開放操作が行われたことを意味するため、ステップS218にて否定判定をし、ステップS206〜ステップS208の重度異常時処理を実行する。当該重度異常時処理は既に説明したとおりであるため、ここでは説明を省略する。なお、開放警戒処理における異常時処理を解錠警戒処理における異常時処理と異ならせてもよい。
【0085】
また、新たにモニタ装置40からモード信号を受信しておらず、さらに開口部12が開放状態となっていない状況で、クレセント錠17が施錠状態となった場合には、住人等によりクレセント錠17の施錠操作が行われたことを意味するため、ステップS218〜ステップS220の開放警戒処理から、ステップS204〜ステップS205の解錠警戒処理に移行する。この解錠警戒処理は既に説明したとおりであるため、ここでは説明を省略する。
【0086】
すなわち、クレセント錠17が解錠状態であって開口部12が閉鎖状態で移行した在宅警戒モードにおいては、開口部12が開放状態となることで、重度異常時処理が実行される。また、住人等によりクレセント錠17の施錠操作が行われた場合には、解錠警戒処理に移行し、その後はクレセント錠17が解錠状態となることで、重度異常時処理が実行される。
【0087】
<開口部12が開放状態で移行した場合>
次に、開口部12が開放状態である状況において、在宅警戒モードに移行した場合を説明する。
【0088】
開口部12が開放状態である状況において移行した在宅警戒モード処理では、ステップS201にて否定判定をするため、ステップS210に進む。ステップS210では、開口部12の開放幅が大基準値以上か否かを判定する。具体的には、開閉位置記憶部23cに記憶されている値が基準値記憶部23eに記憶されている大基準値以上か否かを判定する。大基準値以上となっている場合には、ステップS211にて、モニタ装置40に向けて閉鎖要求信号を送信する。モニタ装置40では当該閉鎖要求信号を受信することで、モニタ部43及びスピーカ部44にて開放幅が大基準値以上となっている開口部12と、当該開口部12の開放幅が大基準値以上となっていることを報知する。その後、開口部12の開放幅が大基準値未満となるまで、ステップS210及びステップS211の処理を繰り返す。
【0089】
つまり、開口部12が開放状態である状況において在宅警戒モードに移行したとしても、その開口部12の開放幅が大基準値以上である場合には、その旨の報知が行われ、開放幅が大基準値未満となるまでその報知が継続されるとともに、警戒が開始されない。大基準値以上の開放幅は、一般的な成人が侵入可能な程度の開放幅であるため、当該状態においては防犯システムが機能しないおそれがあり、これに対して、上記のように報知を行うことで、開放幅を大基準値未満とすることを住人等に促すことができる。
【0090】
その後、住人等によりガラス窓15,16の閉鎖操作が行われ、開口部12の開放幅が大基準値未満となった場合には、ステップS210にて否定判定をし、ステップS212に進む。ステップS212では、上記のとおりモニタ装置40に向けて確認信号を送信する。モニタ装置40では当該確認信号を受信することで、モニタ部43及びスピーカ部44にて開放状態となっている開口部12と、当該開口部12が開放状態となっていることを報知する。その後、ステップS213〜ステップS216の処理を行う。これらの処理は既に説明したとおりであるため、ここでは説明を省略する。
【0091】
続くステップS217では、上記のとおり開口部12が閉鎖状態か否かを判定する。住人等によりガラス窓15,16が閉鎖操作されて開口部12が閉鎖状態となっている場合には、ステップS218〜ステップS220の開放警戒処理に移行する。開放警戒処理は既に説明したとおりである。また、住人等によりガラス窓15,16が閉鎖操作されるとともに、クレセント錠17の施錠操作がされた場合には、開放警戒処理を経由してステップS204〜ステップS205の解錠警戒処理に移行する。
【0092】
一方、ステップS217にて、開口部12が閉鎖状態となっていない場合には、ステップS221〜ステップS224の幅警戒処理に移行する。
【0093】
つまり、ステップS221では、ステップS210と同様に、開口部12の開放幅が大基準値以上か否かを判定する。開口部12の開放幅が大基準値以上となっている場合には、ガラス窓15,16の不正開放操作が行われたことを意味するため、ステップS221にて肯定判定をし、ステップS206〜ステップS208の重度異常時処理を実行する。当該重度異常時処理は既に説明したとおりであるため、ここでは説明を省略する。なお、開放幅が大基準値に達した場合の異常時処理を、解錠警戒処理や開放警戒処理における異常時処理と異ならせてもよい。
【0094】
開口部12の開放幅が大基準値未満である場合には、ステップS222にて、開口部12の開放幅が警告開始時の開放幅よりも広くなり、且つ開放幅が小基準値以上となっているか否かを判定する。具体的には、開閉位置記憶部23cに記憶されている値が警戒開始状態記憶部23dに記憶されている値よりも大きく、且つ開閉位置記憶部23cに記憶されている値が基準値記憶部23eに記憶されている小基準値以上か否かを判定する。
【0095】
開口部12の開放幅が警告開始時の開放幅よりも広くなり、且つ開放幅が小基準値以上となっている場合には、ガラス窓15,16の不正開放操作が行われたことを意味するため、ステップS223にて、軽度異常時処理として警告処理を実行する。警告処理ではアクチュエータ24に動作電力を供給し、ガラス窓16を振動させる。これにより、不法侵入を行おうとしている者に対して、防犯システムが作動している旨の警告を与えることができ、不法侵入を行うことを思い留まらせることが可能となる。
【0096】
開口部12の開放幅が小基準値未満である場合及び開口部12の開放幅が小基準値以上であるが警告開始時の開放幅よりも広くなっていない場合には、ステップS222にて否定判定をしてステップS224に進む。また、ステップS223の警告処理を行った後もステップS224に進む。ステップS224では、新たにモニタ装置40からモード信号を受信したか否かを判定する。新たにモード信号を受信していない場合にはステップS217に戻る。ステップS217では、上述したとおり開口部12の状態を把握し、開放警戒処理又は幅警戒処理への移行処理を行う。一方、新たにモード信号を受信している場合には、ステップS224にて肯定判定をし、本在宅警戒モード処理を終了する。
【0097】
すなわち、開口部12が開放状態で移行した在宅警戒モードにおいては、開口部12の開放幅が大基準値以上となることで、重度異常時処理が実行される。また、住人等によりガラス窓15,16の閉鎖操作が行われ開口部12が閉鎖状態となった場合には、開放警戒処理に移行し、その後は開口部12が開放状態となることで、重度異常時処理が実行される。また、住人等によりガラス窓15,16の閉鎖操作が行われるとともにクレセント錠17の施錠操作が行われた場合には、解錠警戒処理に移行し、その後はクレセント錠17が解錠状態となることで、重度異常時処理が実行される。
【0098】
<外出警戒モード処理>
次に、外出警戒モード処理を説明する。図6は外出警戒モード処理を示すフローチャートである。ここで、外出警戒モードについても、在宅警戒モードと同様に、開口部12が閉鎖されていない警戒の開始が可能となっている。したがって、外出警戒モード移行時における開口部12の状態としては、様々なパターンが存在する。そこで、それらパターン毎に、外出警戒モード処理を説明する。
【0099】
<クレセント錠17が施錠状態で移行した場合>
先ず、クレセント錠17が施錠状態である状況において外出警戒モードに移行した場合を説明する。
【0100】
外出警戒モード処理では、ステップS301にて回転数検出センサ35及び取り外し検出センサ32の各検出結果に基づいて開口部12が閉鎖状態か否かを判定し、ステップS302にて施解錠検出センサ21の検出結果に基づいてクレセント錠17が施錠状態か否かを判定する。今回はクレセント錠17が施錠状態である状況において移行した外出警戒モード処理であるため、ステップS301及びステップS302のそれぞれにおいて肯定判定をし、ステップS303に進む。
【0101】
ステップS303では、警戒開始時における開口部12の状態を、警戒開始状態記憶部23dに記憶させる。今回は上記のとおりクレセント錠17が施錠状態である状況において移行した外出警戒モード処理であるため、ステップS303では警戒開始時が施錠状態である旨の情報を警戒開始状態記憶部23dに記憶させる。
【0102】
続くステップS304では、警戒開始情報をセットする。この警戒開始情報がセットされることにより、制御部23aにおいて警戒が開始されていることが認識される。なお、警戒開始情報は本外出警戒モードの終了時にクリアされる。
【0103】
続くステップS305では、施解錠検出センサ21、回転数検出センサ35及び取り外し検出センサ32の検出結果と、警戒開始状態記憶部23dに記憶された情報とを照合することで、警戒開始時の状態から変化があるか否かを判定する。今回は、クレセント錠17が施錠状態か否かを判定する。クレセント錠17が施錠状態である場合には、ステップS306に進み、新たにモニタ装置40からモード信号を受信したか否かを判定する。モード信号を受信していない場合には、ステップS305に戻る。そして、クレセント錠17が解錠状態となるか、新たにモニタ装置40からモード信号を受信するまで、ステップS305及びステップS306の処理を繰り返す。
【0104】
その後、新たにモニタ装置40からモード信号を受信した場合には、モード移行が行われたことを意味するため、ステップS306にて肯定判定をし、本外出警戒モード処理を終了する。
【0105】
一方、新たにモニタ装置40からモード信号を受信していない状況で、クレセント錠17が解錠状態となった場合には、クレセント錠17の不正解錠が行われたことを意味するため、ステップS305にて否定判定をし、ステップS307〜ステップS309の外出警戒モード用の異常時処理を実行する。
【0106】
先ずステップS307では、警報処理を実行する。警報処理では圧電ブザー25に動作電力を供給し、当該圧電ブザー25からの警報音の出力を開始させる。続くステップS308では、モニタ装置40に向けて異常信号を送信する。モニタ装置40では当該異常信号を受信することで、スピーカ部44からの警報音の出力を開始させる。また、モニタ装置40ではモニタ部43にて今回の不正に関わる開口部12の情報を報知する。さらに、モニタ装置40では、異常が発生した旨の異常情報を警備会社の端末や住人が所有する携帯機器等に送信する。
【0107】
続くステップS309では、モニタ装置40から解除信号を受信したか否かを判定する。外出警戒モードにおける解除信号は、モニタ装置40に対して在宅警戒モード時とは異なる警報解除操作が行われることにより送信される信号である。具体的には、住人等が所有する携帯機器からモニタ装置40に対して警報解除信号が送信された場合や、警備会社の端末から警報解除信号が送信された場合に、モニタ装置40から解除信号が送信される。モニタ装置40から解除信号を受信していない場合には、ステップS309にて待機する。これにより、上記の各警報音の出力などが継続される。
【0108】
その後、解除信号を受信した場合にはステップS310に進み、解除処理を実行する。解除処理では、圧電ブザー25への動作電力の供給を停止することで、当該圧電ブザー25からの警報音の出力が停止される。なお、モニタ装置40におけるスピーカ部44からの警報音の出力、モニタ部43における報知及び異常情報の送信は、上記警報解除操作が行われたタイミングで解除される。解除処理を実行した後は、ステップS301に戻る。
【0109】
すなわち、クレセント錠17が施錠状態で移行した外出警戒モードにおいては、当該クレセント錠17が解錠状態となることで、異常時処理が実行される。
【0110】
<クレセント錠17が解錠状態であって開口部12が閉鎖状態で移行した場合>
次に、クレセント錠17が解錠状態であって開口部12が閉鎖状態である状況において、外出警戒モードに移行した場合を説明する。
【0111】
クレセント錠17が解錠状態であって開口部12が閉鎖状態である状況において移行した外出警戒モード処理では、ステップS301にて肯定判定をし、ステップS302にて否定判定をするため、ステップS313に進む。ステップS313では、モニタ装置40に向けて確認信号を送信する。モニタ装置40では当該確認信号を受信することで、モニタ部43及びスピーカ部44にてクレセント錠17が解錠状態となっている開口部12と、当該開口部12のクレセント錠17が解錠状態となっていることとを報知する。また、ステップS313では、マイコン23に設けられたタイマを起動させて待ち時間の計測を開始させる。
【0112】
続くステップS314では、タイマの値に基づいて、待ち時間が経過したか否かを判定する。待ち時間が経過していない場合には、ステップS315にて、モニタ装置40から応答信号を受信したか否かを判定する。応答信号は、モニタ装置40に対して住人等による確認操作が行われることにより当該モニタ装置40から送信される信号である。モニタ装置40から応答信号を受信していない場合には、ステップS314に戻る。そして、待ち時間が経過したか、モニタ装置40から応答信号を受信するまで、ステップS314及びステップS315の処理を繰り返す。
【0113】
待ち時間が経過した場合又はモニタ装置40から応答信号を受信した場合には、ステップS314又はステップS315のいずれかで肯定判定をし、ステップS303に進む。ステップS303では、上記のとおり警戒開始時における開口部12の状態を、警戒開始状態記憶部23dに記憶させる。今回は上記のとおりクレセント錠17が解錠状態であって開口部12が閉鎖状態である状況において移行した外出警戒モード処理であるため、ステップS303では警戒開始時が閉鎖状態である旨の情報を警戒開始状態記憶部23dに記憶させる。
【0114】
但し、ステップS313〜ステップS315の確認処理により、クレセント錠17の施錠操作が行われている場合には、ステップS303では警戒開始時が施錠状態である旨の情報を警戒開始状態記憶部23dに記憶させる。警戒開始時が施錠状態である場合におけるステップS304〜ステップS310の処理は既に説明したとおりであるため、以下には警戒開始時が閉鎖状態である場合におけるステップS304〜ステップS310の処理を説明する。
【0115】
ステップS304では、上記のとおり警戒開始状態をセットする。続くステップS305では、上記のとおり警戒開始時の状態から変化があるか否かを判定する。今回は、開口部12が開放状態か否かを判定する。開口部12が閉鎖状態である場合には、ステップS306に進み、新たにモニタ装置40からモード信号を受信したか否かを判定する。モード信号を受信していない場合には、ステップS305に戻る。そして、開口部12が開放状態となるか、新たにモニタ装置40からモード信号を受信するまで、ステップS305及びステップS306の処理を繰り返す。
【0116】
その後、新たにモニタ装置40からモード信号を受信した場合には、本外出警戒モード処理を終了する。一方、新たにモニタ装置40からモード信号を受信していない状況で、開口部12が開放状態となった場合には、ガラス窓15,16の不正開放操作が行われたことを意味するため、ステップS305にて否定判定をし、ステップS307〜ステップS309の外出警戒モード用の異常時処理を実行する。当該異常時処理は既に説明したとおりであるため、ここでは説明を省略する。
【0117】
すなわち、クレセント錠17が解錠状態であって開口部12が閉鎖状態で移行した外出警戒モードにおいては、開口部12が開放状態となることで、異常時処理が実行される。
【0118】
<開口部12が開放状態で移行した場合>
次に、開口部12が開放状態である状況において、外出警戒モードに移行した場合を説明する。
【0119】
開口部12が開放状態である状況において移行した外出警戒モード処理では、ステップS301にて否定判定をするため、ステップS311に進む。ステップS311では、開口部12の開放幅が大基準値以上か否かを判定する。具体的には、開閉位置記憶部23cに記憶されている値が基準値記憶部23eに記憶されている大基準値以上か否かを判定する。大基準値以上となっている場合には、ステップS312にて、モニタ装置40に向けて閉鎖要求信号を送信する。モニタ装置40では当該閉鎖要求信号を受信することで、モニタ部43及びスピーカ部44にて開放幅が大基準値以上となっている開口部12と、当該開口部12の開放幅が大基準値以上となっていることを報知する。その後、開口部12の開放幅が大基準値未満となるまで、ステップS311及びステップS312の処理が繰り返される。
【0120】
その後、住人等によりガラス窓15,16の閉鎖操作が行われ、開口部12の開放幅が大基準値未満となった場合には、ステップS311にて否定判定をし、ステップS313に進む。ステップS313では、上記のとおりモニタ装置40に向けて確認信号を送信する。モニタ装置40では当該確認信号を受信することで、モニタ部43及びスピーカ部44にて開放状態となっている開口部12と、当該開口部12が開放状態となっていることを報知する。その後、ステップS314及びステップS315の処理を行う。これらの処理は既に説明したとおりであるため、ここでは説明を省略する。
【0121】
続くステップS303では、上記のとおり警戒開始時における開口部12の状態を、警戒開始状態記憶部23dに記憶させる。今回は上記のとおり開口部12が開放状態である状況において移行した外出警戒モード処理であるため、ステップS303では開口部12の開放幅の情報を警戒開始状態記憶部23dに記憶させる。具体的には、開閉位置記憶部23cに記憶されている値を、警戒開始状態記憶部23dに記憶させる。
【0122】
但し、ステップS311〜ステップS315の確認処理により、ガラス窓15,16の閉鎖操作が行われ開口部12が閉鎖状態となっている場合には、ステップS303では警戒開始時が閉鎖状態である旨の情報を警戒開始状態記憶部23dに記憶させる。また、ステップS311〜ステップS315の確認処理により、クレセント錠17の施錠操作が行われている場合には、ステップS303では警戒開始時が施錠状態である旨の情報を警戒開始状態記憶部23dに記憶させる。警戒開始時が閉鎖状態である場合及び警戒開始時が解除状態である場合におけるステップS304〜ステップS310の処理は既に説明したとおりであるため、以下には警戒開始時が開放状態である場合におけるステップS304〜ステップS310の処理を説明する。
【0123】
ステップS304では、警戒開始情報をセットする。続くステップS305では、上記のとおり警戒開始時の状態から変化があるか否かを判定する。今回は、開閉位置記憶部23cに記憶されている値と、警戒開始状態記憶部23dに記憶されている開放幅に関する値とが一致しているか否かを判定することで、開口部12の開放幅が変化したか否かを判定する。開放幅が変化していない場合には、ステップS306に進み、新たにモニタ装置40からモード信号を受信したか否かを判定する。モード信号を受信していない場合には、ステップS305に戻る。そして、開口部12の開放幅が変化するか、新たにモニタ装置40からモード信号を受信するまで、ステップS305及びステップS306の処理を繰り返す。
【0124】
その後、新たにモニタ装置40からモード信号を受信した場合には、本外出警戒モード処理を終了する。一方、新たにモニタ装置40からモード信号を受信していない状況で、開口部12の開放幅が変化した場合には、ガラス窓15,16が不正に開放側又は閉鎖側に操作されたことを意味するため、ステップS305にて否定判定をし、ステップS307〜ステップS309の外出警戒モード用の異常時処理を実行する。当該異常時処理は既に説明したとおりであるため、ここでは説明を省略する。
【0125】
すなわち、開口部12が開放状態で移行した外出警戒モードにおいては、開口部12の開放幅が変化することで、異常時処理が実行される。
【0126】
以上詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0127】
開口部12が閉鎖されていない状況であっても異常時処理を実行することなく、開口部12の警戒の開始を可能とした。これにより、換気などを目的として開口部12を開放させた状態で、開口部12の警戒を開始させることができ、防犯システムによる警戒と、開口部12を開放させての換気とを同時に行うことが可能となる。
【0128】
センサ装置20では、在宅警戒モードにおいてはステップS221〜ステップS224の幅警戒処理を実行し、外出警戒モードにおいてはステップS305〜ステップS306の変更警戒処理を実行するようにした。そして、各処理の結果に基づいてステップS206〜ステップS208やステップS307〜ステップS309の異常時処理を実行するようにした。これにより、換気などの目的で開口部12を開放させた状況で警戒を開始させたとしても、当該開口部12の不正な開放の警戒を行うことが可能となる。
【0129】
上記のとおり開口部12が閉鎖されていない状況であっても、在宅警戒モードにおいて警戒の開始を可能とした。在宅警戒モードは、住人が在宅時に設定されるモードであり、例えば就寝時などにおいて設定される。そして、就寝時などにおいては換気を目的として開口部12を開放させることがある。このような事情において、上記のとおり開口部12が閉鎖されていない状況であっても、在宅警戒モードにおいて警戒の開始を可能とすることが好ましい。
【0130】
開口部12が閉鎖されていない状況で警戒が開始された在宅警戒モードにおいては、ガラス窓15,16が閉鎖位置に向けて移動した場合には異常時処理を実行しないようにした。住人が在宅時においては、換気の必要がなくなった場合や換気の量を低減させる場合にガラス窓15,16の閉鎖操作が行われる。その一方、不法侵入が行われる場合には、ガラス窓15,16の開放操作が行われる前に閉鎖操作が行われる可能性が低い。これに対して、ガラス窓15,16が閉鎖位置に向けて移動した場合には異常時処理を実行しないようにすることで、住人等によるガラス窓15,16の閉鎖操作に対して異常時処理が実行されてしまうことが防止され、上記事情に対応した良好な防犯機能を付与することができる。
【0131】
開口部12が閉鎖されていない状況で警戒が開始された在宅警戒モードにおいては、開口部12が閉鎖された後は、ガラス窓15,16が開放側に移動した時点で異常時処理を実行するようにした。また、開口部12が閉鎖されていない状況で警戒が開始された在宅警戒モードにおいては、開口部12が閉鎖されるとともにクレセント錠17が施錠状態とされた後は、当該クレセント錠17が解錠された時点で異常時処理を実行するようにした。上記のとおり住人が在宅時においては、換気の必要がなくなった場合にガラス窓15,16の閉鎖操作が行われ、開口部12が閉鎖状態とされる。また、その後、クレセント錠17の施錠操作が行われることがある。これに対して、その後は、ガラス窓15,16が開放側に移動した時点で又はクレセント錠17が解錠された時点で、異常時処理を実行するようにすることで、開口部12が閉鎖状態となった後又はクレセント錠17が施錠状態となった後は、それに対応させてセキュリティレベルを高めることができる。
【0132】
開口部12が閉鎖されていない状況で警戒が開始された在宅警戒モードにおいて、警戒開始時よりも開口部12の開放幅が広がり当該開口部12の開放幅が基準幅に達した場合には異常時処理を実行するとともに、基準幅に達していない場合にはガラス窓15,16が開放操作されたとしても異常時処理を実行しないようにした。これにより、在宅警戒モード下であっても基準幅の範囲内においてはガラス窓15,16の開閉位置の変更を行うことが可能となり、住人にとっては在宅警戒モード下において換気の程度の変更を行うことが可能となる。また、警戒開始時よりも開口部12の開放幅が広がり当該開口部12の開放幅が基準幅に達した場合には異常時処理が実行されるため、不法侵入に対する防犯機能は果たされる。
【0133】
また、開口部12の開放幅が基準幅に達している状況で警戒が開始される場合には、モニタ装置40のモニタ部43及びスピーカ部44にてその旨の報知を行うようにした。これにより、開口部12の開放幅が基準幅に達している場合には、当該開放幅を基準幅未満にするよう住人に促すことが可能となり、警戒が開始されているにも関わらず、不法侵入に対する防犯機能が果たされないといった不都合の発生を防止することが可能となる。
【0134】
基準幅として、第1基準幅(小基準値に対応)とそれよりも広い第2基準幅(大基準値に対応)とを設定し、開口部12が閉鎖されていない状況で警戒が開始された在宅警戒モードにおいて、開口部12の開放幅が広がり当該開口部12の開放幅が第1基準幅に達した場合には軽度異常時処理を実行し、開口部12の開放幅が第2基準幅に達した場合には重度異常時処理を実行するようにした。これにより、不法侵入に対して複数段階で異常時処理を行うことが可能となる。特に、第2基準幅は不法侵入が可能となる開放幅として設定されているため、不法侵入が可能となる前のタイミングで軽度異常時処理を行うことができ、不法侵入が可能となったタイミングで重度異常時処理を行うことができるため、不法侵入に対する防犯機能が高められる。
【0135】
(第2の実施形態)
上記第1の実施形態では、開口部12の警戒をセンサ装置20にて個別に行う構成としたが、本実施形態では開口部12の警戒をモニタ装置40にて一括で行う。以下に、モニタ装置にて開口部12の警戒を一括で行う防犯システムについて図7のブロック図を参照して説明する。
【0136】
図7に示すように、防犯システムは、複数のセンサ装置60とモニタ装置70とを備えている。
【0137】
各センサ装置60は、通信部61と、マイコン62と、検出部63とを備えている。本センサ装置60のマイコン62は上記実施形態と異なり、モード移行処理や各モード処理を行わず、検出部63における検出結果自体を、通信部61を介してモニタ装置70に送信する。また、この検出結果を送信する際には、各センサ装置60に個別に設定されたIDコード情報も送信する。なお、検出部63としては、クレセント錠17の施解錠状態やガラス窓15,16の開閉状態が検出可能であれば、任意の構成が適用でき、例えば上記実施形態と同様の各センサ21,32,35を有する構成としてもよい。
【0138】
モニタ装置70は、通信部71と、マイコン72と、モニタ部73と、スピーカ部74と、モード切換操作部75と、基準値登録操作部76とを備えている。通信部71は、上記実施形態と同様に各種通信回線に接続可能な機能を有しており、複数のセンサ装置60から検出部63における検出結果を受信するとともに、図示しない警備会社の端末や住人が所有する携帯機器等と情報を交換するためにインターネット80と接続されている。
【0139】
マイコン72は、制御部72aと、モード記憶部72bと、センサ記憶部72cと、開閉位置記憶部72dと、警戒開始状態記憶部72eと、基準値記憶部72fとを備えている。モード記憶部72bには、制御プログラムとして、在宅モード、在宅警戒モード及び外出警戒モードに対応した制御プログラムが記憶されており、制御部72aではモード切換操作部75の操作に応じて上記各モードに移行するとともに、その移行したモードに対応する処理を実行する。
【0140】
センサ記憶部72cは、複数のセンサ装置60に個別に設定されたIDコード情報が記憶されている。マイコン72は、センサ装置60から検出結果を受信した場合、当該検出結果と共に受信するIDコード情報とセンサ記憶部72cに記憶されているIDコード情報とを照合し、いずれのセンサ装置60から検出結果を受信したかを特定する。なお、マイコン72は、上記各モードに加え、登録モードに移行可能であり、当該登録モードにおいて各センサ装置60のIDコード情報の登録が行われる。
【0141】
開閉位置記憶部72dは、上記実施形態と同様に、センサ装置60が設けられた各開口部12の開閉状態を特定するための機能を有する。また、警戒開始状態記憶部72eは、上記実施形態と同様に、在宅警戒モード及び外出警戒モードにおいて警戒開始時の各開口部12の状態を特定するための機能を有する。また、基準値記憶部72fは、上記実施形態と同様に、在宅警戒モードにおいて開口部12の開放幅が異常か否かを判断する上で基準となる基準値を記憶しておくための機能を有する。
【0142】
但し、本構成の開閉位置記憶部72d、警戒開始状態記憶部72e及び基準値記憶部72fは、複数のセンサ装置60に対応させて複数の領域が設定されており、各センサ装置60に対応した各開口部12の情報が個別に記憶される。これにより、モニタ装置70において各開口部12の状態の識別を混同することなく行うことができる。また、基準値記憶部72fは、揮発性の記憶部であり、テンキーなどの操作部からなる基準値登録操作部76の操作に応じて基準値の変更が可能となっている。これにより、住人が所望の基準値(基準幅)を設定することが可能となり、さらには開口部12毎にそれぞれ異なる基準値を設定することが可能となる。
【0143】
以上の構成において、モニタ装置70の制御部72aでは、モード切換操作部75の操作に応じて各モードに移行する。そして、在宅警戒モードに移行した場合には、上記第1の実施形態における在宅警戒モード処理に類似した処理をセンサ装置60毎にそれぞれ対応させて実行する。すなわち、センサ装置60毎に、上記第1の実施形態における解錠警戒処理(ステップS204〜ステップS205)、開放警戒処理(ステップS218〜ステップS220)及び幅警戒処理(ステップS221〜ステップS224)を実行し、それらの警戒処理の結果、異常発生と判定した場合には、モニタ部73及びスピーカ部74にてその旨を報知させるべく警報処理を実行する。また、外出警戒モードに移行した場合には、上記第1の実施形態における外出警戒モード処理に類似した処理をセンサ装置60毎にそれぞれ対応させて実行する。すなわち、センサ装置60毎に、変更警戒処理(ステップS305〜ステップS306)を実行し、当該警戒処理の結果、異常発生と判定した場合には、モニタ部73及びスピーカ部74にてその旨を報知させるべく警報処理を実行する。
【0144】
以上詳述した本実施形態によれば、上記第1の実施形態と同様の効果が得られる。また、本構成によれば、複数の開口部12の警戒をモニタ装置70にて一括して行うことができるため、上記第1の実施形態に比して、建物用防犯装置を破壊などして警戒を解除した状態で不法侵入を行おうとしてもそれが困難となる。すなわち、各開口部12の警戒を各センサ装置60で個別に行う構成においては、不法侵入を行おうとしている開口部12周辺に設けられたセンサ装置60を外部から破壊などすることで、当該開口部12の警戒が解除されてしまうおそれがあるが、モニタ装置70にて一括して行うことでこのような行為を阻止することができる。
【0145】
(他の実施形態)
本発明は上記各実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施しても良い。
【0146】
・開口部12の状態を検出する構成は、上記各実施形態におけるものに限定されることはなく、以下のように変更してもよい。
【0147】
例えば、回転数検出機器31によりガラス窓15,16の開閉位置を検出するのではなく、リードスイッチと磁石などの被検出体との組合せによりガラス窓15,16の開閉位置を検出する構成としてもよい。具体的には、リードスイッチを窓枠サッシ14の上枠又は下枠の全体に亘って連続的又は断続的に設けるとともに、各窓サッシ15a,16aの下枠における閉鎖側の先端部分にそれぞれ被検出体を設ける。この場合、センサ装置20などのマイコンにより、いずれの位置のリードスイッチが被検出体を検出しているか否かを把握することで、各ガラス窓15,16の開閉位置を特定することができる。なお、本構成においては、リードスイッチが被検出体を検出しているか否かを把握することで、ガラス窓15,16の不正な取り外しが行われたか否かを特定することができる。
【0148】
また、上記のようにリードスイッチと被検出体としての組合せにより開口部12の開放幅を検出する構成においては、例えばガラス窓15,16の閉鎖位置と、開口部12の開放幅が基準幅となるガラス窓15,16の開放位置とにリードスイッチを設け、開口部12が閉鎖状態か否か及び開口部12の開放幅が基準幅に達しているか否かを把握するようにしてもよい。
【0149】
また、開口部12の開放幅を把握しない、すなわち上記各実施形態における幅警戒処理を実行しない構成においては、上記のようなガラス窓15,16の開閉位置を検出するための構成は必要ない。但し、本構成においても、開口部12が閉鎖状態か否かの判定及びガラス窓15,16の開閉操作が行われたか否かを判定するためには、それぞれの状態を検出するためのセンサを設ける必要がある。具体的には、リードスイッチを窓枠サッシ14又は窓サッシ15a,16aのいずか一方に設けるとともに、他方には磁石などの被検出体を設ける。そして、これらリードスイッチ及び被検出体の組合せを、ガラス窓15,16が閉鎖位置にある場合にリードスイッチにて被検出体が検出されるように配置する。また、ガラス窓15,16の開閉に際しての振動を検出するための振動検出センサとして加速度センサ(モーションセンサ)などを設ける。上記のようなセンサを用いた場合、幅警戒処理を実行することはできないものの、開放警戒処理や変更警戒処理を行うことは可能である。
【0150】
なお、幅警戒処理を実行しない構成においては、クレセント錠17に内蔵させる施解錠検出センサとして3D加速度センサを設け、当該施解錠検出センサによりクレセント錠17の施解錠操作を検出するとともに、ガラス窓15,16の開閉に際しての振動を検出するようにしてもよい。
【0151】
・上記各実施形態では、引違い式の開閉窓ユニット13により開閉される開口部12の警戒に関する構成を説明したが、当該警戒に関する構成と同様の構成は、片開き式又は両開き式の開閉窓ユニットや扉ユニットといった回転式の開閉体により開閉される開口部12に対しても適用できる。具体的には、回転式開閉体の回転軸部における回転位置を検出する回転位置検出センサを設けることで、開口部12が閉鎖状態か否かを把握することができ、さらには開口部12の開放幅を把握することができる。また、回転式開閉体の施錠装置としては、デッドボルトといった施錠片をストライクに対して出没させて施解錠を行う施錠装置が用いられる。したがって、施解錠検出センサとしてフォトセンサなどを設け、上記デッドボルトがストライクに対して突出しているか否かを検出するようにする。上記のような回転位置検出センサ及び施解錠検出センサを用いることにより、回転式開閉体により開閉される開口部12に対しても、上記各実施形態と同様に、解錠警戒処理、開放警戒処理、幅警戒処理及び変更警戒処理を実行することができる。
【0152】
・上記各実施形態における幅警戒処理及びそれに関する処理構成を以下のように変更してもよい。
【0153】
例えば、在宅警戒モード処理(図5)において、ステップS210及びステップS211の処理を行わず、開口部12の開放幅が大基準値(第2基準幅)以上であっても警戒の開始を可能とする。そして、幅警戒処理においては、警戒開始時よりも開放幅が広くなり、且つ開放幅が大基準値以上となった場合に、異常時処理を実行するようにする。本構成によれば、警戒開始時における開放幅の選択の自由度を上記各実施形態よりも高めることができる。また、大基準値以上であっても警戒開始時の開放幅の範囲であれば異常時処理を実行させずにガラス窓15,16の開閉操作を行うことができるため、住人にとっては換気の程度の変更を行う場合の自由度が高まる。
【0154】
また、開放幅が大基準値以上で警戒を開始した場合には、その後、開放幅が大基準値未満となったタイミングで警戒開始状態記憶部23dに記憶する情報の更新を行うようにしてもよい。そして、その後は、開放幅が大基準値以上となった時点で異常時処理を実行するようにする。本構成によれば、警戒開始時における開放幅の選択の自由度を上記各実施形態よりも高めることができ、さらには開放幅が大基準値未満となった後はセキュリティレベルを高めることができる。
【0155】
また、警戒開始時の開放幅に関係なく、開口部12の開放幅が広くなった時点で異常時処理を実行するようにしてもよい。本構成においては、基準幅を記憶させておく必要はなくなる。また、上記各実施形態における変更警戒処理のように、開放幅が変更された時点で異常時処理を実行するようにしてもよい。
【0156】
・上記各実施形態では、在宅警戒モード及び外出警戒モードの両モードについて、開口部12が閉鎖されていない状況であっても移行可能な構成としたが、これに代えて、在宅警戒モードについてのみ、開口部12が閉鎖されていない状況であっても移行可能な構成としてもよい。また、在宅警戒モードと外出警戒モードとで同一の警戒処理を行う構成としてもよい。また、上記各実施形態における、解錠警戒処理、開放警戒処理、幅警戒処理及び変更警戒処理といった各警戒処理を、1種類のみの警戒モードを有する建物用防犯装置に対して適用してもよく、3種類以上の警戒モードを有する建物用防犯装置に対して適用してもよい。
【0157】
・開口部12が閉鎖されていない状況で警戒が開始された状況において、住人が誤って開口部12の開放幅を基準幅(例えば、第2基準値)以上としてしまうことを阻止するための阻止手段を設けてもよい。具体的には、ガラス窓15,16の基準幅以上の開放を阻止するストッパを、屋内側において着脱可能に設ける構成が考えられる。また、ガラス窓15,16の基準幅以上の開放を阻止する機能を有するアクチュエータを設け、警戒開始時に際して当該アクチュエータを駆動させてガラス窓15,16の基準幅以上の開放を阻止する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0158】
10…建物、12…開口部、15,16…開閉体としてのガラス窓、17…施錠装置としてのクレセント錠、20…建物用防犯装置としてのセンサ装置、21…施解錠検出センサ、23a…制御部、23c…開閉位置記憶部、23d…警戒開始状態記憶部、23e…基準値記憶部、24…報知手段を構成するアクチュエータ、25…報知手段を構成する圧電ブザー、27…通信部、32…取り外し検出センサ、35…回転数検出センサ、40…モニタ装置、43…報知手段を構成するモニタ部、44…報知手段を構成するスピーカ部、60…センサ装置、70…建物用防犯装置としてのモニタ装置、71…通信部、72a…制御部、72d…開閉位置記憶部、72e…警戒開始状態記憶部、72f…基準値記憶部、73…報知手段を構成するモニタ部、74…報知手段を構成するスピーカ部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物開口部の警戒を行い、その警戒結果が異常な場合に異常時処理を実行する制御手段を備えており、
当該制御手段は、前記建物開口部が閉鎖されていない状況であっても前記異常時処理を実行することなく前記建物開口部の警戒を開始することが可能であり、
前記制御手段は、前記建物開口部が閉鎖されていない状況で当該建物開口部の警戒を開始した場合において、前記建物開口部の開閉体が開閉方向へ移動しても異常時処理を実行せず、他方、当該警戒を開始した場合において、前記建物開口部が開閉体により閉鎖されるとともに当該開閉体が施錠装置により施錠された時点で当該施錠装置の施解錠検出センサによって施錠を把握した後、当該施解錠検出センサによって前記施錠装置が解錠されたことが検出された場合に異常時処理を実行する解錠警戒手段を備えていることを特徴とする建物用防犯装置。
【請求項2】
警戒状態として、住人の在宅時に設定される在宅警戒状態と、住人の外出時に設定される外出警戒状態とを有しており、
前記制御手段は、前記建物開口部が閉鎖されていない状況であっても前記異常時処理を実行することなく、少なくとも前記在宅警戒状態における前記建物開口部の警戒を開始することが可能であることを特徴とする請求項1に記載の建物用防犯装置。
【請求項3】
前記建物開口部を開閉する開閉体の状態又は当該開閉体を施錠する施錠装置の状態を検出する検出センサと、
モニタ装置からの信号を受信するとともに、当該モニタ装置に向けて信号を送信する通信手段とをさらに備え、
前記制御手段は、前記通信手段にて受信した信号に基づいて前記建物開口部の警戒を開始するとともに、その開始後は前記検出センサの検出結果に基づいて前記建物開口部の警戒を行い、さらにその警戒結果を前記通信手段を介して前記モニタ装置に送信するものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の建物用防犯装置。
【請求項4】
建物に設けられた複数の建物開口部の開閉状態を報知するモニタ部と、
前記各建物開口部を開閉する開閉体の状態又は当該開閉体を施錠する施錠装置の状態を検出する複数のセンサ装置からの検出結果を受信する受信手段とをさらに備え、
前記制御手段は、前記建物開口部の警戒が開始されると、前記受信手段にて受信した前記複数のセンサ装置からの各検出結果に基づいて前記複数の建物開口部の警戒を行うものであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の建物用防犯装置。
【請求項5】
屋内外を仕切る仕切壁に形成された複数の建物開口部と、
それら複数の建物開口部に対応させて設けられ、対応する建物開口部の状態を検出する検出センサを有する複数のセンサ装置と、
それら複数のセンサ装置から受信した検出結果に基づいて前記複数の建物開口部の状態を報知するモニタ部を有するモニタ装置とを備えており、
前記センサ装置又は前記モニタ装置が請求項1乃至4のいずれかに記載の建物用防犯装置であることを特徴とする建物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−65329(P2013−65329A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−249065(P2012−249065)
【出願日】平成24年11月13日(2012.11.13)
【分割の表示】特願2007−105408(P2007−105408)の分割
【原出願日】平成19年4月13日(2007.4.13)
【出願人】(504093467)トヨタホーム株式会社 (391)
【Fターム(参考)】