説明

建設機械

【課題】 転倒規制装置をキャブ支持用張出しビームの脆弱部分に取付けた場合でも、キャブ支持用張出しビームとサイドフレームとの間の取付強度を高める。
【解決手段】 旋回フレーム5上にキャブ8の後側部分を支持するキャブ支持用張出しビーム7は、左,右方向に延びる垂直板部7Aと、垂直板部7Aの上端部から前方向に突出した上側水平板部7Bと、垂直板部7Aの下端部から前方向に突出した下側水平板部7CとなるJ字形状に曲げて形成し、上側水平板部7Bに防振マウントおよび転倒規制装置を配置する。この上で、キャブ支持用張出しビーム7の上側水平板部7Bの前端と左サイドフレーム5Dとの間に補強部材25を設ける。従って、キャブ支持用張出しビーム7から左サイドフレーム5Dに伝わる応力を補強部材25によって分散して固着部分の強度を高める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体フレーム上に防振マウントを介してキャブが搭載された油圧ショベル等の建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、建設機械の代表例である油圧ショベルは、自走可能な下部走行体と、該下部走行体上に旋回可能に搭載された上部旋回体と、該上部旋回体の前側に俯仰動可能に設けられた作業装置とによって構成されている。
【0003】
上部旋回体を構成する旋回フレームは、下部走行体上に旋回自在に取付けられるセンタフレームと、該センタフレームから離れた左,右位置に前,後方向に延びて設けられた左,右のサイドフレームと、前記センタフレームから左,右方向の外側に延び先端部でサイドフレームを支持する複数本の張出しビームとにより構成されている。旋回フレームには、左前側にキャブ支持部が設けられ、該キャブ支持部の後側に位置する張出しビームはキャブ支持用張出しビームとして形成されている。
【0004】
旋回フレームには、キャブ支持部とキャブ支持用張出しビームの上側に位置してキャブが設けられ、該キャブ内には、オペレータが着座する運転席、各種レバー等が設けられている。キャブとキャブ支持部およびキャブ支持用張出しビームとの間には、前記キャブを旋回フレームに対して振動を緩衝した状態で支持する防振マウントが設けられている。
【0005】
防振マウントは、例えば旋回フレームに取付けられる本体部に減衰力発生手段を内蔵し、該減衰力発生手段に接続された取付ねじがキャブに取付けられている。この取付けねじは、本体部に対して自在に変位できるように該本体部に弾性を有するゴム部材を介して取付けられている。これにより、防振マウントは、走行時、作業時に旋回フレームからキャブに伝わる振動を、本体部に対して取付ねじを変位させることにより減衰力発生手段で減衰し、キャブに伝わる振動を緩和している。
【0006】
ここで、油圧ショベルは、例えば傾斜の急な斜面で無理な姿勢で作業を行った場合に転倒する可能性があり、油圧ショベルが転倒した場合には、キャブの側方に大きな負荷が作用する。側方からキャブに大きな負荷が作用すると、該キャブの外側が持ち上げられて大きく変位するから、各防振マウントの減衰力発生手段、ゴム部材等が損傷する虞がある。
【0007】
そこで、油圧ショベルには、キャブとキャブ支持用張出しビームとの間に位置し、各防振マウントが常用ストロークを超えて大きく変位するのを規制する転倒規制装置が設けられている。この転倒規制装置は、転倒するような事態が生じ、キャブが防振マウントが常用ストロークを超えて大きく変位しようとしたときに、旋回フレームとキャブとを機械的に係合し、該キャブが大きく変位するのを規制するものである。(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2010−95999号公報
【特許文献2】特開2001−193103号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述した各特許文献では、旋回フレームとキャブとの間に転倒規制装置を設けている。この転倒規制装置は、転倒しようとするキャブを支えるものであるから、旋回フレームのキャブ支持用張出しビームには、転倒規制装置が係合したときに大きな応力が作用することになる。キャブ支持用張出しビームは、平坦な上面板と該上面板の端部から下側に延びた側面板とからU字形状、L字形状に形成され、転倒規制装置は上面板に設けられている。このときに、キャブ支持用張出しビームの上面板のうち転倒規制装置が配置される位置には大きな負荷が作用するため、転倒規制装置は、上面板のうち強度的に有利な側面板の近傍に配置することが望まれる。
【0010】
しかし、油圧ショベルには、狭い現場で旋回動作できるように、上部旋回体を小型化した小旋回型の油圧ショベルがある。この油圧ショベルは、上部旋回体の小さなスペースにエンジン、ポンプ、モータ、タンク、電気機器等を配置し、これらを適宜に接続しなくてはならないから、転倒規制装置の取付位置を自由に設定できない場合がある。このような場合には、転倒規制装置をキャブ支持用張出しビームの高強度な位置に配置できなくなり、サイドフレームに対するキャブ支持用張出しビームの取付部分に負荷(応力)が集中がし、この取付部分が損傷する虞がある。
【0011】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、転倒規制装置をキャブ支持用張出しビームの脆弱部分に取付けた場合でも、キャブ支持用張出しビームとサイドフレームとの間の取付強度を高めることにより、この部分の損傷を防止できるようにした建設機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明による建設機械は、センタフレームとサイドフレームと張出しビームとにより支持構造体を構成し、前側にキャブ支持部を設けると共に前記張出しビームの1つをキャブ支持用張出しビームとして形成してなる車体フレームと、該車体フレームのキャブ支持部およびキャブ支持用張出しビームの上側に設けられ内部にオペレータの居住空間を画成するキャブと、前記車体フレームのキャブ支持部およびキャブ支持用張出しビームと前記キャブとの間に設けられ前記キャブを車体フレームに対して振動を緩衝した状態で支持する防振マウントと、前記車体フレームのキャブ支持部およびキャブ支持用張出しビームと前記キャブとの間に設けられ該防振マウントの常用ストロークを超えて前記キャブが大きく変位するのを規制する転倒規制装置とを備えている。
【0013】
そして、上述した課題を解決するために、請求項1の発明が採用する構成の特徴は、前記キャブ支持用張出しビームは、左,右方向に延びる垂直板部と該垂直板部の上端部から前方向に突出し前記防振マウントおよび転倒規制装置が配置される水平板部とにより形成し、前記キャブ支持用張出しビームには、前記水平板部の前端と前記サイドフレームとの間に位置して、前記キャブ支持用張出しビームと前記サイドフレームとの間を補強する補強部材を設ける構成としたことにある。
【0014】
請求項2の発明は、前記補強部材は、前記キャブ支持用張出しビームの水平板部の前端から前記サイドフレームの内側面に沿って下向きに延びた縦板部と、該縦板部の下端から屈曲して前側に延びた横板部とによりL字形状の板体として形成したことにある。
【0015】
請求項3の発明は、前記補強部材を構成する前記縦板部は、前記水平板部の前端に沿った上辺部と、前記サイドフレームの内側面に沿った側辺部と、前記上辺部と側辺部とを繋ぐ斜辺部とにより三角形状に形成したことにある。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明によれば、キャブ支持用張出しビームは、左,右方向に延びる垂直板部と該垂直板部の上端部から前方向に突出した水平板部とにより形成しているから、その水平板部に防振マウントおよび転倒規制装置を配置することができる。
【0017】
例えば建設機械が転倒し、キャブが側方から押されて大きく変位しようとしても、転倒規制装置はキャブの変位を規制することができる。このときには、キャブを倒そうとする大きな負荷が転倒規制装置を介してキャブ支持用張出しビームにも作用するから、該キャブ支持用張出しビームとサイドフレームとの固着部分に応力集中が生じる虞がある。
【0018】
然るに、キャブ支持用張出しビームには、水平板部の前端とサイドフレームとの間に補強部材を設けているから、例えばキャブ支持用張出しビームからサイドフレームに伝わる応力を分散させることにより、キャブ支持用張出しビームとサイドフレームとの固着部分の強度を高めることができる。
【0019】
この結果、前側が自由端となることで構造的に脆弱となったキャブ支持用張出しビームの水平板部に転倒規制装置を設けた場合でも、補強部材は、応力を分散させて強度を高めることにより、キャブ支持用張出しビームとサイドフレームとの間の損傷を防止でき、耐久性や信頼性を向上することができる。
【0020】
請求項2の発明によれば、補強部材は、キャブ支持用張出しビームの水平板部の前端からサイドフレームの内側面に沿って下向きに延びた縦板部と、該縦板部の下端から屈曲して前側に延びた横板部とによりL字形状の板体として形成している。これにより、補強部材は、キャブ支持用張出しビームとサイドフレームとの間に設けた縦板部が補強部材を構成すると共に、キャブ支持用張出しビームからサイドフレームに伝わる応力を分散させることができる。しかも、縦板部の下端には、屈曲して前側に延びた横板部を設けているから、例えばサイドフレームに溶接手段を用いて補強部材を固着する場合、その溶接距離を長く形成することができ、サイドフレームに対する取付強度を高めることができる。
【0021】
請求項3の発明によれば、補強部材の縦板部は、上辺部と側辺部と斜辺部とにより三角形状に形成しているから、この三角形状によって応力を分散させることができる。小さな補強部材でもキャブ支持用張出しビームとサイドフレームとの間の強度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1の実施の形態に適用される油圧ショベルを示す正面図である。
【図2】図1中の旋回フレームを単体で示す平面図である。
【図3】図1中のキャブの構造を示す横断面図である。
【図4】旋回フレームの左前側にキャブを搭載した状態を右上側から見た外観斜視図である。
【図5】旋回フレームの左前側にキャブを搭載した状態を右下側から見た外観斜視図である。
【図6】キャブ支持部、キャブ支持用張出しビーム等を図2中の矢示VI−VI方向からみた断面斜視図である。
【図7】旋回フレームとキャブと防振マウントと転倒規制装置と補強部材とを図3中の矢示VII−VII方向からみた要部拡大の断面図である。
【図8】キャブ支持用張出しビームとサイドフレームに対する補強部材の取付状態を示す要部拡大の断面斜視図である。
【図9】補強部材を単体で示す外観斜視図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態によるキャブ支持用張出しビームと補強部材をサイドフレームと一緒に示す要部拡大の断面斜視図である。
【図11】本発明の第3の実施の形態によるキャブ支持用張出しビームをサイドフレームと補強部材と一緒に示す要部拡大の断面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態に係る建設機械として、クローラ式の油圧ショベルを例に挙げ、添付図面に従って詳細に説明する。
【0024】
まず、図1ないし図9は本発明の第1の実施の形態を示している。図1において、1は建設機械としてのクローラ式の油圧ショベルで、該油圧ショベル1は、自走可能な下部走行体2と、該下部走行体2上に旋回可能に搭載された上部旋回体3と、該上部旋回体3の前側に俯仰動可能に設けられ、土砂の掘削作業等を行う作業装置4とにより大略構成されている。
【0025】
上部旋回体3は、下部走行体2上に旋回可能に設けられた後述の旋回フレーム5と、該旋回フレーム5の左前側に搭載された後述のキャブ8と、該キャブ8を前記旋回フレーム5に対して振動を緩衝した状態で支持する後述の防振マウント20と、キャブ8が大きく変位するのを抑える転倒規制装置21と、キャブ支持用張出しビーム7と左サイドフレーム5Dとの間を補強する補強部材25とを備えている。
【0026】
5は上部旋回体3の支持部材を形成する車体フレームとしての旋回フレームである。この旋回フレーム5は、図2に示すように、前,後方向に延びて設けられた厚肉な底板5Aと、該底板5A上に前,後方向に延びて立設され、前側に作業装置4が取付けられる左,右の作業装置取付板5B,5Cと、前記底板5Aおよび各作業装置取付板5B,5Cから離れた左,右位置に前,後方向に延びて設けられた左,右のサイドフレーム5D,5Eと、前記底板5Aおよび各作業装置取付板5B,5Cから左,右方向の外側に延び先端部でサイドフレーム5D,5Eを支持する複数本の張出しビーム5Fとにより大略構成されている。なお、底板5Aと左,右の作業装置取付板5B,5Cは、旋回フレーム5のセンタフレームを構成している。
【0027】
また、旋回フレーム5の左前側には、底板5Aよりも前方に突出した位置にキャブ支持部6が左,右方向に延びて設けられている。このキャブ支持部6は、旋回フレーム5の一部を構成するもので、上板部6Aの左,右両側位置には、それぞれマウント取付孔6Bが設けられ、該各マウント取付孔6Bには後述の防振マウント20が取付けられている。
【0028】
さらに、旋回フレーム5を構成する複数本の張出しビーム5Fのうち、左側で前,後方向の中間部に位置する張出しビーム5Fは、キャブ8の後側部分を支持するためのキャブ支持用張出しビーム7となっている。このキャブ支持用張出しビーム7は、ほぼ垂直な壁面をなすように左,右方向に延びた長板状の垂直板部7Aと、該垂直板部7Aの上端部から前方向に突出してほぼ水平に延びた上側水平板部7Bと、前記垂直板部7Aの下端部から前方向に突出した下側水平板部7Cとからなり、略長方形状の板体をJ字形状ないしL字形状に曲げ加工することにより形成されている。
【0029】
キャブ支持用張出しビーム7は、垂直板部7A、上側水平板部7Bおよび下側水平板部7Cの先端部(左端部)が溶接手段を用いて左サイドフレーム5Dの内側面5D1に固着されている。
【0030】
上側水平板部7Bの左,右両側位置には、それぞれマウント取付孔7Dが設けられ、該各マウント取付孔7Dには後述の防振マウント20が取付けられている。ここで、油圧ショベル1が転倒したときには、後述するキャブ8の左側面が地面に衝突し、旋回フレーム5の左側とキャブ8の左側とを離間する方向に大きな負荷が作用する。そこで、上側水平板部7Bの左側位置には、マウント取付孔7Dよりも前側(前端部寄り)に位置して後述の転倒規制装置21を挿通するための通し穴7Eが設けられている。
【0031】
このように構成されたキャブ支持用張出しビーム7は、小旋回型の油圧ショベル1を構成する上部旋回体3の部品として設けられたものであり、狭い設置スペースの関係で制約を受けるため、形状や取付形態を強度面で最良にできない場合がある。即ち、大きな負荷が作用する転倒規制装置21は、垂直板部7Aに近接した上側水平板部7Bの後側位置に配置することが強度面で望ましい。しかし、転倒規制装置21の通し穴7Eは、機器の設置場所、配線、配管の取り回し等の条件により、上側水平板部7Bの前側位置に配置されている。
【0032】
次に、8は旋回フレーム5の左前側に搭載されたキャブである。該キャブ8は、後述の防振マウント20を介してキャブ支持部6およびキャブ支持用張出しビーム7の上側に設けられ、オペレータが乗車する居住空間を画成している。キャブ8は、図3ないし図5に示すように、後述のベース枠体9、キャブボックス14、床板16等によって大略構成されている。
【0033】
9はキャブ8の下側に設けられたベース枠体で、該ベース枠体9は、キャブボックス14、床板16等と共にキャブ8を構成している。ベース枠体9は、図3、図4に示す如く、前接続フレーム9A、後接続フレーム9B、左接続フレーム9Cおよび右接続フレーム9Dにより、前,後方向に長尺な長方形状の枠構造体として形成されている。また、枠構造体をなすベース枠体9の四隅には、後述の左前取付ベース10、右前取付ベース11、左後取付ベース12、右後取付ベース13が設けられている。
【0034】
10はベース枠体9の一部をなし該ベース枠体9の左前の角隅位置に配設された左前取付ベースである。該左前取付ベース10は、例えば鋳造手段または鍛造手段により、単一のブロック体として成形されている。そして、左前取付ベース10は、図3に示す如く、平面視でほぼ三角形状に形成され、ほぼ中央位置には、後述する防振マウント20の取付ねじ20Bが挿着されるマウント取付孔10Aが設けられている。
【0035】
11はベース枠体9の一部をなし該ベース枠体9の右前の角隅位置に配設された右前取付ベースである。該右前取付ベース11は、前述した左前取付ベース10とほぼ同様に、例えば単一の鋳造部品または鍛造部品として成形されている。そして、右前取付ベース11は、平面視でほぼ三角形状に形成され、ほぼ中央位置にはマウント取付孔11Aが設けられている。
【0036】
12はベース枠体9の左後の角隅位置に配設された左後取付ベースで、該左後取付ベース12は、前述した左前取付ベース10とほぼ同様に、例えば単一の鋳造部品または鍛造部品として成形されている。これにより、左後取付ベース12は、他の取付ベース10,11,13と共に、キャブ8を防振マウント20に連結するのに十分な強度を有している。
【0037】
そして、左後取付ベース12は、平面視でほぼ台形状に形成され、キャブ8の室外となる後側位置には、後述する防振マウント20の取付ねじ20Bが挿着されるマウント取付孔12Aが設けられている。また、キャブ8の室内となる左後取付ベース12の前側位置には、ストッパ取付孔12Bが設けられ、該ストッパ取付孔12Bには後述する転倒規制装置21のストッパボルト22が下側から螺着される。
【0038】
13はベース枠体9の右後の角隅位置に配設された右後取付ベースで、該右後取付ベース13は、前述した左前取付ベース10とほぼ同様に、例えば単一の鋳造部品または鍛造部品として成形されている。そして、右後取付ベース13は、平面視でほぼ台形状に形成され、キャブ8の室外となる後側位置には、後述する防振マウント20の取付ねじ20Bが挿着されるマウント取付孔13Aが設けられている。
【0039】
ここで、左後取付ベース12、右後取付ベース13のマウント取付孔12A、13Aは、キャブ8の室外に配置しているから、防振マウント20の取付ねじ20Bに対し、外部から容易にボルト止めすることができる。これにより、キャブ8の設置スペースを広くすることができない場合でも、該キャブ8(防振マウント20)を容易に取付け、取外しすることができる。
【0040】
14はベース枠体9上に設けられたキャブボックスで、該キャブボックス14はキャブ8の外形を構成している。キャブボックス14は、前面部14A、後面部14B、左側面部14C、右側面部14Dからなる周囲の4面と天面部14Eとによって箱状体として形状されている。左側面部14Cには、ドア(図示せず)によって開閉される乗降口15が設けられている。
【0041】
そして、キャブボックス14は、前面部14A、後面部14B、左側面部14C、右側面部14D、天面部14Eをピラーを稜線として接続することにより、高い強度をもった箱状体として形状されている。キャブボックス14は、後述する運転席17の周囲を覆うもので、下端部がベース枠体9に溶接手段等を用いて固着されている。
【0042】
16はキャブボックス14の下側を閉塞する床板である(図3、図4参照)。床板16は、キャブ8の一部を構成するもので、ベース枠体9にほぼ収まるように前,後方向に長尺な長方形状の板体として形成されている。そして、床板16は、四隅のねじ挿通穴(いずれも図示せず)に防振マウント20の取付ねじ20Bを挿通することにより、ベース枠体9と一緒に共締めされている。また、床板16は、その周囲がベース枠体9にボルト止めされている。
【0043】
17はキャブ8内に位置して床板16上に設けられた運転席を示している。運転席17は、オペレータが着座するもので、その左,右両側には、作業装置4等を操作する作業レバー18が設けられている。さらに、運転席17の前側には、床板16の前部に位置して下部走行体2を走行させる走行レバー・ペダル19が設けられている。
【0044】
20は旋回フレーム5のキャブ支持部6およびキャブ支持用張出しビーム7とキャブ8との間に設けられた例えば4個の防振マウント(図3等参照)で、該各防振マウント20は、キャブ8の左前、右前、左後、右後の4箇所に配置され、キャブ8をキャブ支持部6およびキャブ支持用張出しビーム7に対して振動を緩衝した状態で支持するものである。そして、各防振マウント20は、図7に示すように、例えば粘性液体が封入された本体部20Aと、該本体部20Aから上側に突出して延びた取付ねじ20Bとからなり、前記取付ねじ20Bは円環状のゴム部材を介して本体部20Aに一体的に取付けられている。
【0045】
4個の防振マウント20のうち左前と右前に位置する2個の防振マウント20は、その本体部20Aがキャブ支持部6の上板部6Aに形成された左,右のマウント取付孔6Bに取付けられている。また、左後と右後に位置する2個の防振マウント20は、その本体部20Aがキャブ支持用張出しビーム7の上側水平板部7Bに形成されたマウント取付孔7Dに取付けられている。
【0046】
これにより、各防振マウント20は、本体部20Aを旋回フレーム5のキャブ支持部6、キャブ支持用張出しビーム7に取付け、上側に突出した取付ねじ20Bを床板16のねじ挿通孔、ベース枠体9を形成する各取付ベース10,11,12,13のマウント取付孔10A,11A,12A,13Aに下側から螺着することにより、キャブ8に取付けられている。
【0047】
特に、小旋回式の油圧ショベル1のキャブ8は、内部の居住空間が狭く、居住空間の後側にねじ締め工具を差し入れることができない。そこで、キャブ8の後側を支持する防振マウント20は、キャブ8の室外に配置し、外部から容易にボルト止めできるようにしている。
【0048】
21は旋回フレーム5とキャブ8との間に設けられた転倒規制装置を示している。該転倒規制装置21は、キャブ8が大きく変位するのを防止するものである。ここで、油圧ショベル1は、例えば急斜面等で無理な姿勢のまま走行したり、作業したときには転倒する虞があり、転倒した場合にはキャブ8に対して左側方から大きな負荷が作用する。このときには、旋回フレーム5とキャブ8とを連結している各防振マウント20が常用のストロークを超えることで損傷する虞がある。そこで、転倒規制装置21は、防振マウント20の常用ストロークを超えてキャブ8が大きく変位するのを防止し、各防振マウント20が損傷するような事態を未然に防ぐものである。
【0049】
即ち、転倒規制装置21は、図7に示すように、旋回フレーム5を構成するキャブ支持用張出しビーム7とキャブ8を構成するベース枠体9の左後取付ベース12との間に設けられている。転倒規制装置21は、キャブ支持用張出しビーム7に設けた前述の通し孔7Eと、該通し孔7Eに下側から隙間をもって挿通され、先端部が左後取付ベース12のストッパ取付孔12Bに螺着されたストッパボルト22と、該ストッパボルト22の頭部22A上に配設されたワッシャ23と、前記ストッパボルト22の外周側に設けられた円筒状のカラー24とにより大略構成されている。
【0050】
キャブ支持用張出しビーム7の通し孔7Eは、カラー24よりも大きくワッシャ23よりも小さな径寸法をもって形成されている。また、ワッシャ23は、キャブ8の左側部分が上側に大きく変位しようとしたときに通し孔7E(キャブ支持用張出しビーム7の上側水平板部7B)に下側から当接し、ストッパボルト22の頭部22Aと共にストッパとして機能する。さらに、カラー24は、上側水平板部7Bとワッシャ23との間に緩衝用隙間Gを形成するスペーサとして機能するものである。
【0051】
ここで、キャブ支持用張出しビーム7の上側水平板部7Bとワッシャ23との間に形成された緩衝用隙間Gは、防振マウント20が常用のストローク範囲で変位している状態ではワッシャ23と通し孔7Eとを離間させ、常用ストロークの範囲を越えたとき、即ち、防振マウント20が損傷する虞があるときにワッシャ23と上側水平板部7Bとを当接させる隙間寸法に設定されている。
【0052】
このように構成された転倒規制装置21は、キャブ8が右側に転倒するように変位したときに、ワッシャ23を通し孔7Eが設けられたキャブ支持用張出しビーム7の上側水平板部7Bに当接させる。これにより、転倒規制装置21は、ストッパボルト22によってキャブ8の左側部分を旋回フレーム5に連結し、キャブ8が転倒するのを規制することができる。
【0053】
なお、転倒規制装置21は、防振マウント20を左後取付ベース12の後側位置に配置したことにより、左後取付ベース12の前側位置に配置されている。従って、転倒規制装置21は、キャブ8が大きく変位したときには、強度的に弱いとされる上側水平板部7Bの前側位置に係合することになる。
【0054】
次に、上側水平板部7Bの前側位置の強度を高めるために設けられた補強部材25について説明する。
【0055】
25は旋回フレーム5を構成するキャブ支持用張出しビーム7と左サイドフレーム5Dとの間に設けられた第1の実施の形態による補強部材である。この補強部材25は、キャブ支持用張出しビーム7の上側水平板部7Bの前端と左サイドフレーム5Dの内側面5D1とに亘って設けられ、キャブ支持用張出しビーム7と左サイドフレーム5Dとの間の強度を高める(補強する)ものである。
【0056】
補強部材25は、図7ないし図9に示すように、キャブ支持用張出しビーム7と別個に設けられ、キャブ支持用張出しビーム7の上側水平板部7Bの前端から左サイドフレーム5Dの内側面5D1に沿って下向きに延びた縦板部25Aと、該縦板部25Aの下端から屈曲して前側に延びた横板部25BとによりL字形状に折曲げられた板体として形成されている。
【0057】
補強部材25の縦板部25Aは、図9に示すように、左,右方向にほぼ水平に延びた上辺部25A1と該上辺部25A1の左端から下側に延びた側辺部25A2と前記上辺部25A1の右端と側辺部25A2の下側位置とを繋ぐ斜辺部25A3とにより略直角三角形状の板体として形成されている。これにより、三角形状をした縦板部25Aは、キャブ支持用張出しビーム7から左サイドフレーム5Dに応力を分散させた状態で伝えることができる。しかも、斜辺部25A3は、凹円弧状に湾曲させているから、応力が上辺部25A1の右端、側辺部25A2の下側位置に集中するのを防止することができる。
【0058】
補強部材25の横板部25Bは、補強部材25に作用した負荷(応力)を伝達することができる断面積をもって前方に延びている。この横板部25Bは、左サイドフレーム5Dの高さ寸法によって補強部材25の上,下方向寸法が制限された場合でも、縦板部25Aの下端から屈曲して前側に延びることにより、左サイドフレーム5Dに接触する長さ寸法を延ばすことができる。
【0059】
補強部材25は、縦板部25Aの上辺部25A1をキャブ支持用張出しビーム7の上側水平板部7Bの前端に溶接し、縦板部25Aの側辺部25A2と横板部25Bとを左サイドフレーム5Dの内側面5D1に溶接する構成となっている。
【0060】
これにより、左サイドフレーム5Dに対する補強部材25の溶接距離を長くできるから、左サイドフレーム5Dに対する取付強度を高めることができる。特に、転倒規制装置21によってキャブ支持用張出しビーム7の上側水平板部7Bに上向きの負荷が作用した場合、補強部材25の縦板部25Aの下端部に応力が集中するから、この下端部の溶接位置で薄肉な左サイドフレーム5Dが破断してしまう。そこで、縦板部25Aの下端部に横板部25Bを設けて溶接距離を横方向に延長することにより、縦板部25Aの下端部の溶接終点位置に応力が集中するのを防止することができる。
【0061】
第1の実施の形態による油圧ショベル1は上述の如き構成を有するもので、次に、その動作について説明する。
【0062】
まず、オペレータは、キャブ8内に乗込んで運転席17に着座する。この状態で走行レバー・ペダル19を操作することにより、下部走行体2を駆動して油圧ショベル1を前進または後退させることができる。運転席17に着座したオペレータは、左,右の作業レバー18を操作することにより、作業装置4を俯仰動させて土砂の掘削作業等を行うことができる。
【0063】
ここで、油圧ショベル1は、無理な姿勢で走行したり、作業したときに転倒する虞があり、転倒した場合にはキャブ8の左側から大きな荷重が作用する。このときには、キャブ8が右側に転倒するように大きく変位しようとする。しかし、本実施の形態による油圧ショベル1は、旋回フレーム5とキャブ8との間に転倒規制装置21を設けている。従って、キャブ8が右側に大きく変位しようとしたときには、転倒規制装置21のストッパボルト22の頭部22Aとワッシャ23がキャブ支持用張出しビーム7の通し孔7Eの周囲に当接し、キャブ8の変位を止めることができる。これにより、各防振マウント20が損傷するような事態を防止することができる。
【0064】
かくして、第1の実施の形態によれば、旋回フレーム5上にキャブ8の後側部分を支持するキャブ支持用張出しビーム7は、左,右方向に延びる垂直板部7Aと、該垂直板部7Aの上端部から前方向に突出した上側水平板部7Bと、垂直板部7Aの下端部から前方向に突出した下側水平板部7CとなるJ字形状ないしL字形状に曲げて形成し、前記上側水平板部7Bに防振マウントおよび転倒規制装置を配置している。この上で、前記キャブ支持用張出しビーム7の上側水平板部7Bの前端と左サイドフレーム5Dとの間には、キャブ支持用張出しビーム7と左サイドフレーム5Dとの間を補強する補強部材25を設ける構成としている。
【0065】
従って、例えば油圧ショベル1が転倒し、キャブ8が左側方から押されて大きく変位しようとしても、キャブ8に取付けた転倒規制装置21は、旋回フレーム5のキャブ支持用張出しビーム7に係合することにより、該キャブ8が大きく変位するのを規制することができる。このときには、キャブ8を倒そうとする大きな負荷が転倒規制装置21を介してキャブ支持用張出しビーム7にも作用するから、該キャブ支持用張出しビーム7を左サイドフレーム5Dに固着している溶接部分に応力が集中してしまう。
【0066】
然るに、第1の実施の形態では、キャブ支持用張出しビーム7には、上側水平板部7Bの前端と左サイドフレーム5Dとの間に補強部材25を設けているから、例えばキャブ支持用張出しビーム7から左サイドフレーム5Dに伝わる応力を分散させることにより、キャブ支持用張出しビーム7と左サイドフレーム5Dとの固着部分の強度を高めることができる。
【0067】
この結果、自由端となることで構造的に脆弱となったキャブ支持用張出しビーム7の上側水平板部7Bの前側に、転倒規制装置21を設けた場合でも、補強部材25は、応力を分散させて強度(耐久性)を高めることにより、キャブ支持用張出しビーム7と左サイドフレーム5Dとの固着部分、特に、左サイドフレーム5Dの損傷を防止でき、耐久性や信頼性を向上することができる。
【0068】
また、補強部材25は、前記キャブ支持用張出しビーム7の上側水平板部7Bの前端から左サイドフレーム5Dの内側面5D1に沿って下向きに延びた縦板部25Aと、該縦板部25Aの下端から屈曲して前側に延びた横板部25BとによりL字形状の板体として形成している。これにより、補強部材25の縦板部25Aは、キャブ支持用張出しビーム7から左サイドフレーム5Dに伝わる応力を分散させることができる。しかも、縦板部25Aの下端には、屈曲して前側に延びた横板部25Bを設けているから、左サイドフレーム5Dに溶接手段を用いて補強部材25を固着する場合、横板部25Bの分だけ溶接距離を長く形成することができ、左サイドフレーム5Dに対する取付強度を高めることができる。
【0069】
また、補強部材25を構成する縦板部25Aは、キャブ支持用張出しビーム7の上側水平板部7Bの前端に沿った上辺部25A1と、左サイドフレーム5Dの内側面5D1に沿った側辺部25A2と、前記上辺部25A1の右端と側辺部25A2の下側とを繋ぐ斜辺部25A3とにより三角形状に形成しているから、この三角形状によって応力を分散させることができる。これにより、小さな補強部材25でもキャブ支持用張出しビーム7と左サイドフレーム5Dとの間の強度を高めることができる。
【0070】
さらに、補強部材25は、キャブ支持用張出しビーム7と別個に設け、縦板部25Aの上辺部25A1を溶接手段を用いてキャブ支持用張出しビーム7に固着する構成としているから、キャブ支持用張出しビーム7と左サイドフレーム5Dとの間の強度を高める場合には、補強部材25を溶接するだけでよいから、既存の油圧ショベル1にも簡単に対応することができる。
【0071】
次に、図10は本発明の第2の実施の形態を示している。本実施の形態の特徴は、補強部材をキャブ支持用張出しビームと一体的に設ける構成としたことにある。なお、第2の実施の形態では、前述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0072】
図10において、31は第2の実施の形態によるキャブ支持用張出しビームで、該キャブ支持用張出しビーム31は、前述した第1の実施の形態によるキャブ支持用張出しビーム7とほぼ同様に、左,右方向に延びた長板状の垂直板部31Aと、該垂直板部31Aの上端部から前方向に突出してほぼ水平に延びた上側水平板部31Bと、前記垂直板部31Aの下端部から前方向に突出した下側水平板部31Cとからなり、前記上側水平板部31Bには、マウント取付孔31Dと通し穴31Eとが形成されている。
【0073】
しかし、第2の実施の形態によるキャブ支持用張出しビーム31は、上側水平板部31Bに後述の補強部材32が一体的に設けられている点で、第1の実施の形態によるキャブ支持用張出しビーム7と相違している。
【0074】
32はキャブ支持用張出しビーム31に設けられた第2の実施の形態による補強部材である。この補強部材32は、第1の実施の形態による補強部材25とほぼ同様に、略直角三角形状の板体として形成された縦板部32Aと、該縦板部32Aの下端から屈曲して前側に延びた横板部32BとによりL字形状に折曲げられた板体として形成されている。
【0075】
しかし、第2の実施の形態による補強部材32は、縦板部32Aがキャブ支持用張出しビーム31の上側水平板部31Bの前端に一体的に設けられている点で、第1の実施の形態による補強部材25と相違している。即ち、補強部材32の縦板部32Aは、上側水平板部31Bの前端を下向きに屈曲させて延ばすことにより形成されている。
【0076】
かくして、このように構成された第2の実施の形態においても、前述した第1の実施の形態とほぼ同様に、キャブ支持用張出しビーム31と左サイドフレーム5Dとの間に補強部材25を設けているから、キャブ支持用張出しビーム31と左サイドフレーム5Dとの固着部分の強度を高めることができる。特に、第2の実施の形態では、補強部材25は、キャブ支持用張出しビーム31の上側水平板部31Bの前端に一体的に設けているから、部品点数の削減、溶接作業の簡略化等によって生産性を向上することができる。
【0077】
なお、第1の実施の形態では、キャブ支持用張出しビーム7を、左,右方向に延びた長板状の垂直板部7Aと、該垂直板部7Aの上端部から前方向に突出してほぼ水平に延びた上側水平板部7Bと、前記垂直板部7Aの下端部から前方向に突出した下側水平板部7CとをJ字形状ないしL字形状に曲げ加工して形成した場合を例示している。
【0078】
しかし、本発明はこれに限らず、例えば図11に示す変形例によるキャブ支持用張出しビーム41のように構成してもよい。即ち、変形例によるキャブ支持用張出しビーム41を、左,右方向に延びた長板状の垂直板部41Aと、該垂直板部41Aの上端部から前方向に突出してほぼ水平に延びた上側水平板部41Bと、前記垂直板部41Aの下端部から後方向に突出した下側水平板部41CとによりZ字形状に形成し、前記上側水平板部41Bに補強部材25を固着する構成としてもよい。この構成は、第2の実施の形態にも同様に適用することができる。
【0079】
また、各実施の形態では、旋回フレーム5とキャブ8との間には、キャブ8の左前、右前、左後、右後に位置する4箇所の角隅位置に防振マウント20を設けた場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば旋回フレーム5とキャブ8との間に5個以上の防振マウント20を設ける構成としてもよい。
【0080】
さらに、各実施の形態では、建設機械としてクローラ式の油圧ショベル1を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えばホイール式の下部走行体を備えた油圧ショベルに適用してもよい。また、例えば油圧クレーン、ホイールローダ、トラクタ等の他の建設機械にも広く適用できるものである。
【符号の説明】
【0081】
1 油圧ショベル(建設機械)
5 旋回フレーム(車体フレーム)
5A 底板(センタフレーム)
5B,5C 作業装置取付板(センタフレーム)
5D,5E サイドフレーム
5D1 内側面
5F 張出しビーム
6 キャブ支持部
7,31,41 キャブ支持用張出しビーム
7A,31A,41A 垂直板部
7B,31B,41B 上側水平板部
7C,31C,41C 下側水平板部
8 キャブ
17 運転席
20 防振マウント
21 傾転規制装置
25,32 補強部材
25A,32A 縦板部
25A1 上辺部
25A2 側辺部
25A3 斜辺部
25B,32B 横板部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
センタフレームとサイドフレームと張出しビームとにより支持構造体を構成し、前側にキャブ支持部を設けると共に前記張出しビームの1つをキャブ支持用張出しビームとして形成してなる車体フレームと、
該車体フレームのキャブ支持部およびキャブ支持用張出しビームの上側に設けられ内部にオペレータの居住空間を画成するキャブと、
前記車体フレームのキャブ支持部およびキャブ支持用張出しビームと前記キャブとの間に設けられ前記キャブを車体フレームに対して振動を緩衝した状態で支持する防振マウントと、
前記車体フレームのキャブ支持部およびキャブ支持用張出しビームと前記キャブとの間に設けられ該防振マウントの常用ストロークを超えて前記キャブが大きく変位するのを規制する転倒規制装置とを備えてなる建設機械において、
前記キャブ支持用張出しビームは、左,右方向に延びる垂直板部と該垂直板部の上端部から前方向に突出し前記防振マウントおよび転倒規制装置が配置される水平板部とにより形成し、
前記キャブ支持用張出しビームには、前記水平板部の前端と前記サイドフレームとの間に位置して、前記キャブ支持用張出しビームと前記サイドフレームとの間を補強する補強部材を設ける構成としたことを特徴とする建設機械。
【請求項2】
前記補強部材は、前記キャブ支持用張出しビームの水平板部の前端から前記サイドフレームの内側面に沿って下向きに延びた縦板部と、該縦板部の下端から屈曲して前側に延びた横板部とによりL字形状の板体として形成してなる請求項1に記載の建設機械。
【請求項3】
前記補強部材を構成する前記縦板部は、前記水平板部の前端に沿った上辺部と、前記サイドフレームの内側面に沿った側辺部と、前記上辺部と側辺部とを繋ぐ斜辺部とにより三角形状に形成してなる請求項2に記載の建設機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−82595(P2012−82595A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−228423(P2010−228423)
【出願日】平成22年10月8日(2010.10.8)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】