説明

建設車両用タイヤ及びその製造方法

【課題】耐摩耗性を維持し、タイヤ負荷時におけるベルト上の温度上昇やトレッド部、特にセンター部の発熱を効果的に抑制・放熱することによってヒートセパレーションを防止した建設車両用タイヤを提供すること。
【解決手段】一対のビードコア間をトロイド状に延びる少なくとも1枚のカーカス層と、前記カーカス層のクラウン部径方向外側に複数枚のベルト層と、前記ベルト層の径方向外側にトレッド部を備え、前記トレッド部にその両側端部からタイヤ赤道面に向かって延びる多数本のラグ溝を配設した建設車両用タイヤにおいて、前記ラグ溝深さが70〜200mmであり、かつ該ラグ溝の溝底および溝壁をトレッドゴムより1.3倍以上の熱拡散係数αを有するゴムシート(A)で覆った建設車両用タイヤ及びその製造方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設車両用タイヤに関し、さらに詳しくは、耐摩耗性を維持し、タイヤ負荷時におけるベルト上の温度上昇やトレッド部、特にセンター部の発熱を効果的に抑制・放熱することによってヒートセパレーションを防止した建設車両用タイヤ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、建設車両用タイヤは地面との摩擦を大きくして牽引力を増すようにするためトレッドショルダー部に多数のラグ溝を所定の間隔に配置したいわゆるラグパターンを有し、その耐摩耗性を向上させるためには、耐摩耗性のよいトレッドゴムを使用し、トレッドボリュームの増加によりトレッドゲージを増加(深溝化)させ、ネガティブ率の減少、陸部剛性を高める手段を用いるのが一般的である。
しかし、上記手段を用いて耐摩耗性を向上させた場合には、とりわけタイヤ負荷転動時におけるとレッド部の発熱が高くなる可能性があり、この発熱性の悪化は、トレッド部のヒートセパレーション等の故障を引き起こす原因となることがあった。
したがって耐摩耗性を維持しながら低発熱性の優れたトレッドゴム・ベースゴムが必要とされるが、発熱と耐摩耗性は背反しており、高度にユーザーに応えるにはおのずから限界がある。
特に、ラグ溝の終端位置をそれぞれ実質上タイヤ周方向に結ぶことによって形成される2本タイヤ円周間の陸部は、放熱面積が少ないため発熱温度が高くなる傾向にある。
また、建設用車両タイヤは、一般的にベルト最外層付近の熱が高く表面に近づくにつれて外気温に近くはなってくるが、この温度の傾きは、ゴムの熱伝導による寄与が大きくトレッドゴムの増加により建設車両用深溝タイヤは、放熱量が少なく、より発熱においては不利になる。
さらに、近年特に建設車両の大型化に伴うタイヤサイズの大型化、扁平化及び重荷重化が進んできたことにより、トレッド部の発熱の悪化はますます顕著になる傾向にあり、トレッドセンター部の発熱は依然として問題である。
【0003】
一方、ゴム組成物の従来からの耐摩耗性を向上させる手段としては、カーボンブラックの充填量の増加等が知られている。また、ゴムの低発熱化、例えばタイヤ等の低転がり抵抗を図る場合、カーボンブラックの充填量減量、あるいは大粒径のカーボンブラックの使用が考えられるが、いずれの場合も、補強性、耐摩耗性等が低下するのを免れないことが知られている。
さらに、ゴム組成物の低発熱性と耐摩耗性とを両立させる充填剤として、含水ケイ酸(湿式シリカ)が知られている(例えば、特許文献1〜3参照)。このような低発熱性を追求しても、耐摩耗性を十分に維持させながらゴムの発熱、即ちタイヤの発熱を下げることには限界があり、達成することが容易にできない。
【0004】
そこで、耐摩耗性を向上させて、更にゴム温度の低減を図る方法として別な方法が考えられている。それは、ゴム温度がその入力による発熱と放熱とのバランスによって決定付けられることから、ゴムの熱伝導性を向上させることにより、ゴム温度を速やかに低減させることである。このような観点から、ゴム温度の低減にゴムの熱伝導性を向上させる手段が考えられており、例えば、ラバー ケミカル テクノロジ(Rubber Chemical Technology 2001年、74巻 236−248頁)に記載されるように、金属粉をゴム成分に配合して混練することが試みられている。このような熱伝導性の向上は、タイヤの大型化に伴う長時間加硫を回避することができ、その加硫工程の改善を図ることができる。
ゴムの熱伝導性を向上させるには金属粉の充填は効を奏するものの、金属粉は非補強性であるがゆえに、TEAR性、耐摩耗性の大幅な低下が見られ、タイヤ等の用途には不向きと言わざるを得ない。
上記金属粉のようにゴム組成物の熱伝導性を高める材料として、特定の構造をした炭素繊維を配合することが試みられている(例えば、特許文献4および5参照)。
しかしながら、炭素繊維の場合は上記目標をある程度達成することはできるが、通常炭素繊維をトレッドゴムに配合した場合には耐摩耗性が悪化し実用化されていないのが現状である。
【0005】
【特許文献1】特開平6−248116号公報
【特許文献2】特開特開平8−245838号公報
【特許文献3】特開平8−337687号公報
【特許文献4】特開2004−203350号公報
【特許文献5】特開2004−143187号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような状況下で、耐摩耗性を維持し、タイヤ負荷時におけるベルト上の温度上昇やトレッド部、特にセンター部の発熱を効果的に抑制・放熱することによってヒートセパレーションを防止した建設車両用タイヤ及びその製造方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、トレッドゴムより熱拡散係数αが特定の値より大きいゴムシートで、ラグ溝の溝底及び溝壁を覆うことによって、上記目的を達し得ることを見出した。本発明はかかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は
(1) 一対のビードコア間をトロイド状に延びる少なくとも1枚のカーカス層と、前記カーカス層のクラウン部径方向外側に複数枚のベルト層と、前記ベルト層の径方向外側にトレッド部を備え、前記トレッド部にその両側端部からタイヤ赤道面に向かって延びる多数本のラグ溝を配設した建設車両用タイヤにおいて、前記ラグ溝深さが70〜200mmであり、かつ該ラグ溝の溝底および溝壁をトレッドゴムより1.3倍以上の熱拡散係数αを有するゴムシート(A)で覆ったことを特徴とする建設車両用タイヤ、
(2) 前記ゴムシート(A)の厚さが2〜5mmである上記(1)の建設車両用タイヤ、
(3) ゴムシート(A)で覆う範囲が、ラグ溝の溝底から溝壁にかけて全溝深さの40〜100%であり、かつラグ溝の溝底中心の総長さの30〜100%である上記(1)又は(2)の建設車両用タイヤ、
(4) ゴムシート(A)が、炭素繊維を含有するゴム組成物から構成されている上記(1)〜(3)の建設車両用タイヤ、
(5) 炭素繊維が、気相成長炭素繊維である上記(4)の建設車両用タイヤ、
(6) 炭素繊維の含有量が、ゴム成分100質量部当り、2〜50質量部である上記(4)又は(5)の建設車両用タイヤ、
(7) 炭素繊維が、平均径0.5〜500nm、かつ平均長0.5〜50μmである上記(4)〜(6)の建設車両用タイヤ、
(8) 炭素繊維のアスペクト比が、10以上である上記(4)〜(7)の建設車両用タイヤ、
(9) 炭素繊維以外の補強性充填剤が、カーボンブラック及び無機充填剤から選ばれた少なくとも1種である上記(1)〜(8)の建設車両用タイヤ、
(10) 無機充填剤がシリカである上記(9)の建設車両用タイヤ、及び
(11) タイヤ構成部材を組み立ててなるグリーンタイヤをモールドに装填して加硫成型を施し、タイヤトレッド表面にラグ溝を形成する建設車両用タイヤの製造方法において、ドラム上にプライ及びベルト部材を組立て、その上にリボン状又はシート状の押出しゴムを積層してトレッドを形成してグリーンタイヤを製造する工程(I)と、前記グリーンタイヤの表面のラグ溝を形成する箇所に略ラグ溝方向に延びる掘削溝を掘削する工程(II)と、掘削された溝の溝底及び溝壁表面に前記ゴムシート(A)を貼り付ける工程(III)と、上型と下型の各ラグ溝骨を前記グリーンタイヤの掘削溝に合わせて加硫成型機に装填し加硫成型を施す工程(IV)とを備えることを特徴とする上記(1)〜(10)の建設用車両タイヤの製造方法、
を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、耐摩耗性を維持し、タイヤ負荷時におけるベルト上の温度上昇やトレッド部、特にセンター部の発熱を効果的に抑制・放熱することによってヒートセパレーションを防止した建設車両用タイヤ及びその製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
先ず、本発明の建設車両用タイヤは、一対のビードコア間をトロイド状に延びる少なくとも1枚のカーカス層と、前記カーカス層のクラウン部径方向外側に複数枚のベルト層と、前記ベルト層の径方向外側にトレッド部を備え、前記トレッド部にその両側端部からタイヤ赤道面に向かって延びる多数本のラグ溝を配設した建設車両用タイヤにおいて、前記ラグ溝深さが70〜200mmであり、かつ該ラグ溝の溝底および溝壁をトレッドゴムより1.3倍以上の熱拡散係数αを有するゴムシート(A)で覆うことが必要である。
【0010】
通常、複数本のラグ溝を所定の間隔をおいて配設した、所謂ラグパターンを有する建設車両用に使用されるタイヤは、転動時トレッドセンター部のベルト最外層付近の発熱温度が最も高くなる傾向にある。従って、本発明の建設車両用タイヤは、ラグ溝の溝底及び溝壁部の表面を熱拡散係数αがトレッドゴムよりも1.3倍以上と大幅に向上したゴムシート(A)で覆うことによって、従来ベルト最外層により近い溝底のみ大きな放熱をしていたのに対して、ゴムシート(A)を介して熱が効率よく伝導しラグ溝の溝壁部も従来より高い表面温度になることによって放熱面積Sが広くなるとともに外気と放熱面の温度差ΔTを大きくすることによって熱流速qを大きく
し、その結果として放熱量Qを増加させることができる。
【0011】
ここで、熱拡散係数αとは、下記式(I)
α=λ/(Cp×ρ)・・・・・・・(I)
(式中、λは熱伝導率、Cpは比熱、ρは密度を示す。)で計算される。
また、放熱量Qは下記式(II)
Q=q×S・・・・・(II)
(式中、Qは放熱量、qは熱流速、Sは放熱面積を示す。)及び下記式(III)
q=λ×ΔT・・・・(III)
(式中、qは熱流速、λは熱伝導率、ΔTは外気と放熱面との温度差を示す.)より計算される

【0012】
本発明に係るゴムシート(A)はトレッドゴムよりも熱拡散係数αが1.3倍以上大きいことが必要であり、炭素繊維を含有するゴム組成物から構成されていることが好ましい。熱拡散係数αの上限についてはゴムシート(A)として適用される部材の機械的特性及びコスト面での制約を満足する炭素繊維の配合量の範囲内であれば、特に制限されないが、通常、2.5倍程度である。
【0013】
また、本発明に係るゴムシート(A)としては専用のゴムシートを設けてもよいが、通常、建設車両用タイヤに用いられているゴム部材に炭素繊維を配合し、トレッドゴムより熱拡散係数αを1.3倍以上大きくすることでゴムシート(A)として使用することができる。好ましい部材としては、トレッドゴムに炭素繊維を配合したものを適用することができる。
【0014】
ゴムシート(A)の厚さは2〜5mmであることが好ましい、より好ましくは、2〜3mmである。ゴムシート(A)の厚さを上記範囲にすることによって耐摩耗性に影響を与えることなくトレッド部の発熱を抑えることが出来る。
また、ゴムシート(A)で覆う範囲が、ラグ溝の溝底から全溝深さの40〜100%が好ましく、より好ましくは60〜100%であり、かつラグ溝の溝底中心の総長さの30〜100%が好ましく、より好ましくは50〜100%である。ゴムシート(A)で覆う範囲を上記のようにすることによって、タイヤの耐摩耗性を維持し発熱温度を低下させヒートセパレーション故障を防止することができる。
【0015】
さらに、本発明の建設車両用タイヤのラグ溝深さは70〜200mmであることが必要でありさらに好ましくは80〜120mmである。ラグ溝の深さを上記範囲にすることによって、地面との摩擦を大きくして牽引力を増すと共にトレッド部の発熱を抑えることができる。
以上のように本発明の建設車両用タイヤは、発熱の大きいベルト最外層付近の温度上昇を効果的に抑制し、耐摩耗性を低下させることなく、ヒートセパレーション故障の防止を図ることができる。
【0016】
本発明において、高い熱拡散係数αを得るためにゴムシート(A)は、炭素繊維を含有するゴム組成物から構成されていることが好ましい。炭素繊維の含有量は、ゴム成分100質量部当たり、2〜50質量部であることが好ましく、より好ましくは、5〜30質量部である。
前記炭素繊維が上記範囲ゴム組成物に配合されていると、そのゴム組成物は熱伝導性が十分に高められ、また耐摩耗性の低下を抑えることができる。
ゴムシート(A)の熱拡散係数αは隣接するトレッドゴム対比1.3倍以上であることが必要である。ゴムシート(A)の熱拡散係数αの値は炭素繊維の含有量を増減させることによって容易に変えることができる。
【0017】
前記炭素繊維はファイバー状或いはチューブ状(中空状)であっても良く、またその炭素繊維平均径は、0.5nm〜500nmであることが好ましく、さらに好ましくは、1nm〜400nmであることが望ましい。
前記炭素繊維の平均径が0.5nm以下であれば、炭素繊維を前記ゴム成分と共に混練することにより、その加硫ゴムの耐摩耗性を向上させると共に、金属粉とほぼ同等、或いはそれ以上の熱伝導性を保持してゴム温度を速やかに下げることができる。
また、前記炭素繊維の平均径が、0.5nm〜500nmの場合、特に1nm〜400nmの範囲に収まる場合には、混練りの際にゴム成分中への分散も適度に達成でき、加硫ゴムの熱伝導性を十分高めると共に、耐摩耗性の低下を少なく抑えることができる。
従って、本発明にあっては、ナノファイバー或いはナノチューブからなる炭素繊維であることが望ましい。
【0018】
さらに、前記炭素繊維長さは、0.5μm〜50μmであることが好ましく、より好ましくは1μm〜40μmであることが望ましい。また前記炭素繊維のアスペクト比は10以上であることが好ましい。
配合する炭素繊維の長さが0.5μm〜50μm、特に1μm〜40μmであれば、混練り時の炭素繊維のゴム成分中への分散性も良く、またアスペクト比も10以上とすることができるので、ゴム組成物に十分な耐摩耗性と熱伝導性とを付与することができる。
【0019】
前記条件を満たす炭素繊維は、その製造方法は特に制限されないが、特に気相成長法によって製造される気相成長法炭素繊維であることが望ましい。このような炭素繊維としては例えば、昭和電工(株)製のVGCFなどを挙げることができる。
【0020】
本発明に係るゴム組成物に用いられるゴム成分は、例えば、天然ゴム、合成ジエン系ゴムが使用されるが、合成ジエン系ゴムとしては、例えばポリイソプレン合成ゴム(IR)、ポリブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)などが挙げられる。中でも天然ゴム、ポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴムが好ましい。
【0021】
本発明に係るゴム組成物において、炭素繊維のみを単独で使用することもできるが、ゴムに耐摩耗性を維持、或いはさらに向上させ、かつゴム温度の低減をさらに行うために、またタイヤ性能を更に向上させるために、上述した前記炭素繊維以外に、カーボンブラック、シリカ、及びその他の無機充填剤等の補強性及び/又は機能性充填剤を配合することが好ましい。
本発明においては、前記補強性及び/又は機能性充填剤として前記炭素繊維と共に、カーボンブラックのみを用いても良く、またシリカのみを用いても良く、また無機充填剤のみを用いても良く、或いは、カーボンブラックと、シリカと、無機充填剤とを併用してもよい。
【0022】
前記カーボンブラックとしては、製造方法によりチャンネルブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック及びサーマルブラックなどがあるが、いずれのものも使用することができるが、特にファーネスブラックが好ましい。例えばSRF、GPF、FEF、HAF、ISAF、SAF等を挙げることができるが、ゴム組成物の用途に併せ適宜選択することが好ましい。トレッド用のゴム組成物に用いる場合は、窒素吸着比表面積(N2SA)が50m2/g以上、かつジブチルフタレート吸油量(DBP)が80ml/100g以上のカーボンブラックが好ましい。特にHAF級以上のカーボンブラックが好ましい。
【0023】
また、シリカとしては特に制限はなく、従来ゴムの補強用充填材として慣用されているものの中から任意に選択して用いることができる。例えば湿式シリカ(含水ケイ酸),乾式シリカ(無水ケイ酸),ケイ酸カルシウム,ケイ酸アルミニウム等が挙げられるが、中でも沈降法による合成シリカが好ましく使用される。具体的には、東ソー・シリカ(株)製の「Nipsil AQ」(商標)、Degussa杜製の「Ultrasil VN3」(商標)、PPG社製の「Hisil 233」(商標)などが挙げられる。耐摩耗性を考慮した場合窒素吸着比表面積(N2SA)が180m2/g以上であることが好ましい。
【0024】
前記その他の無機充填剤としては、一般式(1)がmM1・xSiOy・zH2O(但し、M1は、アルミニウム、マグネシウム、チタン、カルシウムからなる群から選ばれる金属、これらの酸化物若しくは水酸化物であり、又はこれらの水和物であり、mは1乃至5、xは0乃至10、yは2乃至5、及びzは0乃至10の自然数である)で表される無機物であり、これらはその性質上、カリウム、ナトリウム、鉄、マグネシウム等の金属、フッ素等の元素、及びアンモニウム基等が不純物として含有していてもよい。
具体的な無機充填剤としては、アルミナ一水和物(Al23・H2O)、ギブサイト、バイヤライト等の水酸化アルミニウム[Al(OH)3]、水酸化マグネシウム[Mg(OH)2]、酸化マグネシウム(MgO)、タルク(3MgO・4SiO2・H2O)、アタパルジャイト(5MgO・8SiO2・9H2O)、チタン白(TiO2)、チタン黒(TiO2n-1)、酸化カルシウム(CaO)、水酸化カルシウム[Ca(OH)2]、酸化アルミニウムマグネシウム(MgO・Al23)、クレー(Al23・2SiO2)、カオリン(Al23・2SiO2・2H2O)、パイロフィライト(Al23・4SiO2・H2O)、ベントナイト(Al23・4SiO2・2H2O)、ケイ酸アルミニウム(A12SiO5、Al4・3SiO4・5H2O等)、ケイ酸マグネシウム(Mg2SiO4、MgSiO3等)、ケイ酸カルシウム(Ca2・SiO4等)、ケイ酸アルミニウムカルシウム(Al2O3・CaO・2SiO2等)、ケイ酸マグネシウムカルシウム(CaMgSiO4)、各種ゼオライト、長石、マイカ、モンモリロナイト等が例示でき、Mがアルミニウムであることが好ましく、アルミナ類、クレー類であることが特に好ましい。
アルミナ類とは前記一般式(1)で表される物のうち、一般式(2)Al23・nH2O(但し、nは0乃至3の自然数)で表わされるものである。
クレー類では、クレー(Al23・2SiO2)、カオリン(Al23・2SiO2・2H2O)、パイロフィライト(Al23・4SiO2・H2O)、ベントナイト(Al23・4SiO2・2H2O)、モンモリロナイト等が挙げられる。
【0025】
本発明に係るゴム組成物において、前記カーボンブラック及び/又はシリカの配合量は、ゴム成分100質量部当たり、25〜120質量部であることが好ましく、より好ましくは、30〜100質量部であることが望ましい。
前記範囲内でカーボンブラック及び/又はシリカを前記ゴム成分と配合した場合、該ゴム組成物は耐摩耗性、及び発熱性に優れる。
【0026】
本発明に係るゴム組成物において、前記のその他の無機充填剤の配合量は、ゴム成分100質量部当たり、1〜40質量部であることが好ましく、より好ましくは、3〜30質量部であることが望ましい。
前記範囲内で無機充填剤を配合した場合、該ゴム組成物を適用したタイヤにおいて、耐摩耗性、低発熱性が得られ、ゴム組成物に要求される他の物性を良好に維持することができる。
【0027】
本発明に係るゴム組成物には、本発明の効果が損なわれない範囲で所望により、前記配合剤以外に通常ゴム工業界で用いられる各種薬品を配合することができる。
例えば、硫黄、不溶性硫黄等の加硫剤、ジフェニルグアニジンに代表されるグアニジン系、テトラメチルチウラムジスルフィドに代表されるチウラム系、ジチオカルバミン酸亜鉛に代表されるジチオカルバミン酸塩系、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミドに代表されるスルファンアミド系、及び無水フタル酸等に代表されるスコーチリターダ等の加硫促進剤類、酸化亜鉛(亜鉛華)等に代表される加硫促進助剤、老化防止剤、及び軟化剤を配合することができる。
【0028】
本発明に係るゴム組成物は、ロール、インターナルミキサー等の混練り機を用いて混練することによって得られ、成形加工後、加硫を行い、熱拡散係数αの高いゴムシート(A)が得られる。特にトレッドゴムに炭素繊維を配合したゴム組成物がゴムシート(A)として好適に用いられる。
【0029】
次に、ラグ溝の溝底および溝壁をトレッドゴムより1.3倍以上の熱拡散係数αを有するゴムシート(A)で覆った本発明の建設車両用タイヤの製造方法について説明をする。
先ず、工程(I)において成型ドラム上にプライ及びベルト部材を組立て、その上にリボン状又はシート状の押出しゴムを積層してトレッドを形成してグリーンタイヤを製造する。次に、工程(II)でグリーンタイヤの表面のラグ溝を形成する箇所に略ラグ溝方向に延びる掘削溝を掘削する。工程(III)で掘削された溝の溝底及び溝壁表面に、予め所定の厚さおよび形状に裁断した本発明に係わるトレッドゴムより熱拡散係数αが1.3倍以上高いゴムシート(A)を貼り付け、工程(IV)で上型と下型の各ラグ溝骨を前記グリーンタイヤの掘削溝に合わせて加硫成型機に装填し加硫成型を施すことによって本発明の建設車両用タイヤを製造することができる。
【0030】
前記工程(II)において、掘削溝がトレッドセンター側からトレッド端にかけて末広がりに開口する形状に掘削されることが好ましい。
グリーンタイヤの表面に略ラグ溝方向に延びる掘削溝が、トレッドセンター側からトレッド端にかけて末広がりに開口する形状に掘削されるので、モールドを閉じるときに掘削溝にラグ溝骨を容易に挿入し易く、加硫成型機に上下半割りのフルモールドの採用を容易にすることができる。
また、前記掘削溝がラグ溝の容積の0.4〜1.2倍の容積で掘削されることが好ましい。より好ましくはラグ溝の容積の0.7〜1.0倍の容積で掘削されることが望ましい。さらに、工程(III)で掘削された溝の溝底及び溝壁表面に貼り付けられるゴムシート(A)の容積を考慮して上記範囲に掘削されることが特に好ましい。
掘削される容積を上記範囲にすることによって、ベルトウエーブの発生を抑え、ベアの発生を抑え加硫不良を避けることができる。
さらに、掘削溝がラグ溝深さの0.5〜0.9倍の深さで掘削されることが好ましい。また上記同様、工程(III)で掘削された溝の溝底に貼り付けられるゴムシート(A)の厚さを考慮して上記範囲に掘削されることが特に好ましい。
掘削される深さを上記範囲にすることによって加硫成型時にモールドのラグ溝骨が排除するゴム量が多くなることを抑え、ベアの発生を抑え加硫不良を避けることができる。
【0031】
以上のように本発明の製造方法によって得られた建築車両用タイヤは、ベルトウェーブ及びベルトゲージの不均一を最小限に抑え、必要最小限の設置スペースで低い設備コストのフルモールド加硫成型機を使用することができ、さらに上述のように掘削溝の掘削条件をそれぞれ好ましい範囲にすることによって、加硫成型後の建設車両用タイヤに用いられる熱拡散係数αの高いゴムシート(A)は、目的とする形状及び厚さでラグ溝及びラグ側壁を覆うことが可能となる。このようにして得られた本発明の建設車両用タイヤは、温度上昇を効果的に抑制し、耐摩耗性を低下させることなく、ヒートセパレーション故障の防止を図ることができる。
【0032】
ここで、ラグパターンを有する建設車両用タイヤにおいて、タイヤ転動時、ベルト最外層付近の最も高い発熱温度を効率よく放熱させ温度上昇を効果的に抑制する方法について模式図を用いて説明をする。図1は従来のベルト層4を含むラグ溝部1の断面模式図を示す。2はトレッドゴム、溝底部示されている多数の矢印は外気への放熱の状態を示す。ベルト最外層付近で発生した熱は伝導しベルト最外層に近い溝底の温度が上昇し、外気温との温度差ΔTが大きくなることによって前記(III)式に示す熱流速qが大きくなる。但し、図1に示すように放熱箇所はラグ溝部1の溝底が中心である。
【0033】
一方、図2は、本発明に係るトレッドゴム2より熱拡散係数αが1.3倍以上高いゴムシート(A)3でラグ溝部1の溝底及び溝壁が覆われている。溝底及び溝壁の矢印は外気への放熱の状態を示す。ベルト最外層付近で発生した熱はゴムシート(A)3を介して溝底及び溝壁を伝導しゴムシート(A)3全体の温度が上昇し外気温との温度差ΔTが大きくなり、前記式(III)に示す熱流速qが大きくなり外気に放熱されやすくなる。ゴムシート(A)3は、トレッドゴム2対比熱拡散係数αが大幅に大きいために、図1に示す従来タイヤに比較して熱流速qがさらに大きくなり、加えて図2に示すように放熱面積Sが大きくなることによってさらに放熱されやすくなり、放熱量Qは前記式(II)に示すように熱流速qと表面積Sの相乗効果によって従来のタイヤに比較して大幅に増大する。この結果として特にトレッドセンター部の発熱を効率よく抑制することができる。
【実施例】
【0034】
以下に図面を参照して本発明の実施形態を挙げて実施の形態を詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
[第一実施形態]
先ず、第一実施形態について説明する。図3に示すように本実施形態にかかわる建設車両用タイヤ10は両端がそれぞれビードコア11で折り返されたカーカス12を備えており、カーカス12は一層又は複数層で構成される。
カーカス12のクラウン部12Cのタイヤ径方向外側には、複数枚のベルトプライが重ねられたベルト層14が埋設されている。ベルト層14の径方向外側には、ラグ溝などを配設したトレッド部18が形成されている。
【0035】
図4は、本第一実施形態に係るラグ溝部1の斜視図である。2はトレッドゴム、3は放熱効果を高めるためにトレッドゴムより熱拡散係数αが、1.3以上高いゴムシート(A)3を示す。このゴムシート(A)3はトレッドゴムに炭素繊維を配合したものである。ゴムシート(A)3の熱拡散係数αはトレッドゴム2の熱拡散係数対比2.02倍である。
ゴムシート(A)3の厚さは3mm、ゴムシート(A)3で覆う範囲aが、ラグ溝の溝底から溝壁にかけて全溝深さの90%であり、かつゴムシート(A)3で覆う範囲bがラグ溝の溝底中心の総長さの100%である。
ベルト最外層(図示せず。)付近で発生した熱はゴムシート(A)3を介して溝底及び溝壁を伝導しゴムシート(A)3全体の温度が上昇することで外気温との温度差ΔTが大きくなり、前
記式(III)に示す熱流速qが大きくなり熱は外気に放熱されやすくなる。ゴムシート(A)3は、トレッドゴム2対比熱拡散係数αが大幅に大きいために、図1の模式図に示す従来タイヤに比較して熱流速qがさらに大きく、加えて図4に示すように放熱面積Sが大きくなることによってさらに放熱されやすくなり、放熱量Qは前記式(II)に示す熱流速qと表面積Sの相乗効果により従来のタイヤに比較して大幅に増大する。
【0036】
[第二実施形態]
次に、第二実施形態について説明する。本実施形態に係る建設車両用タイヤでは、図5に示すように、ゴムシート(A)3で覆う範囲bがラグ溝の溝底中心の総長さの60%である以外は実施形態一と同じである。
【0037】
[第三実施形態]
次に、第三実施形態について説明する。本実施形態に係る建設車両用タイヤでは、
図6に示すように、ゴム層(A)3の厚さが5mmであり、ゴムシート(A)3で覆う範囲aが、ラグ溝の溝底から溝壁にかけて全溝深さの65%である以外は実施形態一と同じである。
【0038】
[第四実施形態]
前記第一から第三実施形態に係る建設車両用タイヤでは、タイヤ転動時発熱の大きいベルト層のタイヤ径方向外側のトレッド部に設けられたラグ溝の溝底から溝壁の表面をトレッドゴムより熱拡散係数αが1.3倍以上大きいゴムシート(A)で覆うことによって該ゴムシート(A)の温度を上昇させ外気温との温度差ΔTを大きくすることで熱流速(q)を大きくし、かつゴムシート(A)によって放熱面積Sを増大させることによって放熱量を増やす前記式(II)で表される相乗効果によって効率的に発熱温度を下げることについて述べたが、本発明の実施形態に係わる建設車両用タイヤでは、特にセンター部の発熱を効果的に抑制・放熱するトレッドパターンと組み合わせることによってさらに、効率的に発熱温度を下げることができる。
次に本実施形態係る建設車両用タイヤのトレッドパターンに関する1例を第四実施形態として説明する。第四実施形態は、図7に示すように、ラグ溝21の終端位置をタイヤ周方向に結んだ2本の直線に沿ってそれぞれのタイヤ周方向に延びる幅4〜20mm、深さがラグ溝21の10〜25%の非赤上道細溝23が、配置されている。非赤道上細溝23の溝深さはラグ溝21の溝深さの10〜25%であり、幅方向細溝24の両端は非赤道上細溝23につながっている。また、赤道上には幅30〜50mm、深さラグ溝21の10〜25%の浅溝22が設けられている。
このように赤道上浅溝22が配置されていることにより、タイヤセンター部に作用する圧縮応力を緩和させることができ、放熱面積を増大させることができる。このような効果は深さ70mm以上のラグ溝21が形成されている場合であっても顕著に認められる。
また、ラグ溝21の終端位置をタイヤ周方向に結んだ2本の直線に沿ってそれぞれタイヤ周方向に延びる非赤道上細溝23がさらに配置されていることによって、横すべり性を確保し、かつ細溝により幅方向の剛性を落とさずに幅方向すべりによる摩耗を低減したタイヤにおいて、タイヤセンター部の温度を低減するのに役立つ。
前記非赤道上細溝23の溝の深さは前記ラグ溝深さの10〜25%であることが好ましく、また前記非赤道上細溝の溝幅が4〜20mmであることが好ましい。溝深さ及び溝幅を上記範囲に設定することでトレッドセンター部の剛性および放熱性を維持することができる。
尚、前記第一から第三実施形態に係る建設車両用タイヤは、第四実施形態で示したトレッドパターンと組み合わせることが好ましく、その結果としてベルト部上部のタイヤセンター部の温度をさらに効果的に下げることができる。
【0039】
<試験例>
次に、本発明の効果を確かめるために、第一から第三実施形態の建設車両用タイヤの3例(以下実施例タイヤという)、及び、従来例の建設車両用タイヤの1例(以下比較例タイヤという)を作製し、性能評価を行なった。比較例タイヤは、熱拡散係数αの高いゴムシート(A)を配置していないことを除いて実施例のタイヤと同じ構成である。また、実施例タイヤ及び比較例タイヤともに第四実施形態に示すトレッドパターンを適用した。
【0040】
なお、各種の評価は、下記の方法に基づいて行なった。
<ゴム組成物の評価>
1.熱拡散係数αの測定
京都電子(株)製迅速熱伝導計QTM−500を用いて伝導率λを測定した。次に、密度ρ、比熱を常法により求め、下記式(I)により計算で求めた。
α=λ/(Cp×ρ)・・・・・・・(I)
ゴム組成物A1の値を100として指数表示した。数値が大きいほど、良好である。
【0041】
<タイヤ評価>
1.タイヤ温度の測定
各実施例、比較例のタイヤをTRA正規リムに組、正規荷重、正規内圧で24時間走行後、ブロック中央部にあらかじめ設けておいた細穴から熱電対を挿入し最外層上5mmの温度を測定し、6箇所の温度の平均値を算出した。比較例1のタイヤの温度を基準とし、その差を数値で示した。
2.タイヤ摩耗試験
各実施例、比較例のタイヤをTRA正規リムに組、正規荷重、正規内圧にて190トンダンプの前輪に装着し速度10km/hのほぼ等速で1000時間走行した後、トレッドを幅方向8分割した各位置での残溝測定により走行に要したゲージの平均値を摩耗量として算出した。摩耗量を走行時間で割った値を耐摩耗値として比較例1の値を100として指数で評価した。数値の大きいほうが耐摩耗性が良いことを示す。
ここで、「正規リム」とは、例えばJATMAが発行する2004年版のYEAR BOOKに定められた適用サイズにおける標準リムを示し、「正規荷重」及び「正規内圧」とは同じく2004年版のYEAR BOOKに定められた適用サイズ・プライレーティングにおける最大荷重及び該最大荷重に対する空気圧を示す。
【0042】
<ゴム組成物の調製>
第1表示す配合内容に基づいて通常の方法にて炭素繊維を含有していないゴム組成物A1〜A3と炭素繊維を含有したゴム組成物B1〜B3を調製した。常法に基づいて加硫を行い製作された試料を元に、熱拡散係数αを測定しそれぞれの測定結果を第1表に示す。
【0043】
【表1】

注」
*1.BR:ポリブタジエンゴム、商品名「BR01」JSR社製
*2.カーボンブラック:N2SA 120(m2/g)、DBP 114(ml/100g) N220 旭カーボン社製
*3.カーボンブラック:N2SA 96(m2/g)、DBP 120(ml/100g) N339 東海カーボン社製
*4.シリカ:N2SA 230(m2/g)、商品名「NipsilAQ」東・ソーシリカ社製
*5.炭素繊維:商品名「VGCF」昭和電工社製
*6.老化防止剤6C:N-(1,3ジメチル-ブチル)N’-フェニル-p-フェニレンジアミン
*7.加硫促進剤CZ:N−シクロヘキシル1-2ベンゾチアジルスルフェンアミド
【0044】
実施例1〜3及び比較例1
第2表に示す内容に基づいて、本発明の製造方法によって建設車両用タイヤを作成した。タイヤサイズはいずれも37.00R57である。
トレッドゴム及びゴムシート(A)に用いるゴム組成物は、第1表に示される配合組成によって調製されたものであり、トレッドゴムとしてA1を、ゴムシート(A)としてB1を用いた。第2表の記載に基づいて各ゴム組成物を図4〜図6に示すように配置した。それぞれのタイヤについて、タイヤ温度の測定及びタイヤ摩耗試験を行った。評価結果を第2表に示す。
【0045】
【表2】

注」
*8.ゴムシート(A)で覆う範囲a:ラグ溝の溝底から溝壁にかけて全溝深さの何割が覆われているかを百分率(%)で示す。
*9.ゴムシート(A)で覆う範囲b:ラグ溝の溝底中心の総長さの何割が覆われているかを百分率(%)で示す。
【0046】
第2表からは次のようなことがわかる。
本発明による実施例(1〜3)は、耐摩耗性を従来タイヤ対比ほとんど変えることなく、ベルト上の温度を効果的に下げることが可能である。特に熱拡散係数αの高いゴムシート(A)の表面積を増やすことで相乗効果が大きく出ることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、耐摩耗性を維持し、タイヤ負荷時におけるベルト上の温度上昇やトレッド部、特にセンター部の発熱を効果的に抑制・放熱することによってヒートセパレーションを防止した建設車両用タイヤ及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】従来の建設用タイヤのベルト層を含むラグ溝の断面模式図である。
【図2】本発明に係る熱拡散係数αが高いゴムシート(A)でラグ溝の溝底及び溝壁が覆った建設用タイヤのベルト層を含むラグ溝の断面模式図である。
【図3】第一実施形態に係る建設車両用タイヤのタイヤ径方向断面図である。
【図4】第一実施形態に係る建設車両用タイヤのラグ溝部を示す断面斜視図である。
【図5】第二実施形態に係る建設車両用タイヤのラグ溝部を示す断面斜視図である。
【図6】第三実施形態に係る建設車両用タイヤのラグ溝部を示す断面斜視図である。
【図7】第四実施形態に係る建設車両用タイヤのトレッド部を示す平面図である。
【符号の説明】
【0049】
1.ラグ溝部
2.トレッドゴム
3.ゴムシート(A)
4.ベルト層
10 建設車両用タイヤ
21 ラグ溝
22 赤道上浅溝
23 非赤道上細溝
24 幅方向細溝
CL タイヤ赤道

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のビードコア間をトロイド状に延びる少なくとも1枚のカーカス層と、前記カーカス層のクラウン部径方向外側に複数枚のベルト層と、前記ベルト層の径方向外側にトレッド部を備え、前記トレッド部にその両側端部からタイヤ赤道面に向かって延びる多数本のラグ溝を配設した建設車両用タイヤにおいて、前記ラグ溝深さが70〜200mmであり、かつ該ラグ溝の溝底および溝壁をトレッドゴムより1.3倍以上の熱拡散係数αを有するゴムシート(A)で覆ったことを特徴とする建設車両用タイヤ。
【請求項2】
前記ゴムシート(A)の厚さが2〜5mmである請求項1に記載の建設車両用タイヤ。
【請求項3】
ゴムシート(A)で覆う範囲が、ラグ溝の溝底から溝壁にかけて全溝深さの40〜100%であり、かつラグ溝の溝底中心の総長さの30〜100%である請求項1又は2に記載の建設車両用タイヤ。
【請求項4】
ゴムシート(A)が、炭素繊維を含有するゴム組成物から構成されている請求項1〜3のいずれかに記載の建設車両用タイヤ。
【請求項5】
炭素繊維が、気相成長炭素繊維である請求項4記載の建設車両用タイヤ。
【請求項6】
炭素繊維の含有量が、ゴム成分100質量部当り、2〜50質量部である請求項4又は5に記載の建設車両用タイヤ。
【請求項7】
炭素繊維が、平均径0.5〜500nm、かつ平均長0.5〜50μmである請求項4〜6のいずれかに記載の建設車両用タイヤ。
【請求項8】
炭素繊維のアスペクト比が、10以上である請求項4〜7記載の建設車両用タイヤ。
【請求項9】
炭素繊維以外の補強性充填剤が、カーボンブラック及び無機充填剤から選ばれた少なくとも1種である請求項1〜8のいずれかに記載の建設車両用タイヤ。
【請求項10】
無機充填剤がシリカである請求項9に記載の建設車両用タイヤ。
【請求項11】
タイヤ構成部材を組み立ててなるグリーンタイヤをモールドに装填して加硫成型を施し、タイヤトレッド表面にラグ溝を形成する建設車両用タイヤの製造方法において、成型ドラム上にプライ及びベルト部材を組立て、その上にリボン状又はシート状の押出しゴムを積層してトレッドを形成してグリーンタイヤを製造する工程(I)と、前記グリーンタイヤの表面のラグ溝を形成する箇所に略ラグ溝方向に延びる掘削溝を掘削する工程(II)と、掘削された溝の溝底及び溝壁表面に前記ゴムシート(A)を貼り付ける工程(III)と、上型と下型の各ラグ溝骨を前記グリーンタイヤの掘削溝に合わせて加硫成型機に装填し加硫成型を施す工程(IV)とを備えることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の建設用車両タイヤの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−216829(P2007−216829A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−39516(P2006−39516)
【出願日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】