説明

弁構造体

【課題】 副弁の作動の信頼性が高く、全体がコンパクトな弁構造体を提供する。
【解決手段】 弁構造体11は、円筒形状の弁箱20と、弁箱20の上面を塞ぐ弁蓋25と、弁箱20内に上下に摺動自在に設置された主弁30と、弁蓋25の下面に形成された副弁体41を有する副弁40とを備えている。主弁30は、円筒状の胴部31と、胴部31の下部に形成された主弁体32と、胴部31の上部に形成された受圧体33とを備えている。尚、受圧体33は、平面視において弁座22の投影面積より大きな投影面積を有すると共に、弁箱20内を上下に摺動自在となるように形成されている。副弁40は、上下に移動自在の軸体42と、軸体42に取付けられた副弁体41とを備えている。このように、副弁40が圧力室39に直接面するように構成されているため、全体がコンパクトになる。又、副弁40の軸体42が上下に移動するため、作動の信頼性が向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は弁構造体に関し、特に、副弁の開閉に伴って主弁が開閉する弁構造体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、大都市やその近郊都市等で、中型や小型のビル及びマンションの建設が進んでおり、タンク式給水方式が多数採用されている。タンク式給水方式は、水道水や井戸水等を一旦受水槽に溜めた後、ポンプを使ってビルやマンションの中高層階へ送る方式である。
【0003】
又、タンク式給水方式のうち、受水槽の有効容量が10m以下のものは小規模貯水槽水道と呼ばれており、水道法の対象とはなっていない。更に、自治体によっては、小規模貯水槽水道等の中で学校、病院及び社会福祉施設等の施設に水を供給するもの、又は受水槽の有効容量が5mを超えるものを、特定小規模貯水槽水道等と呼んでいる。これらの施設は水道法の該当施設ではなく、都道府県の条例該当施設であり、条例によって衛生上の措置が義務付けられている。具体的には、受水槽の清掃、施設の管理状況の検査や点検、書類の保存及び水質検査等が定められたり、指導の項目となっている。このうち、水質検査については、指導項目として週1回の残留塩素の測定があり、給水栓末端で遊離残留塩素が0.1mg/L以上あるかを確認する必要がある。
【0004】
従って、このようなタンク式給水方式において、使用量に応じて給水を調整して受水槽内の水位を制御することは水質維持の点から重要であり、このために弁構造体が用いられている。
【0005】
図13は特許文献1で開示されたこのような弁構造体の閉状態を示す側面図である。
【0006】
図を参照して、弁構造体であるフロート弁装置70は、図示しない受水槽内に設置されており、後述する主弁体の開閉によって給水を調整し、受水槽内の水位を制御する。フロート弁装置70は、主弁部72及び副弁部73よりなる本体部71と、本体部71の副弁部73に取付けられたフロート機構74と、フロート機構74のフロートアーム75の先端に鎖76aを介して吊下げられた第1のフロート77と、第1のフロート77に鎖76bを介して吊下げられた第2のフロート78とから構成されている。
【0007】
そして、受水槽内の水位が二点鎖線で示す給水位98以下になった時、第1のフロート77と第2のフロート78との重量によってフロートアーム75の先端が下がり、主弁部72及び副弁部73が開状態となって給水が開始される。一方、受水槽内の水位が二点鎖線で示す止水位99以上になった時、第1のフロート77と第2のフロート78とが水面に浮遊してフロートアーム75の先端が上がり、主弁部72及び副弁部73が閉状態となって給水が停止される。このようにして、受水槽内の水位が常に給水位98から止水位99までの一定の範囲になるように制御する。
【0008】
次に、主弁部72及び副弁部73の構造について説明する。
【0009】
図14は図13で示した弁構造体の主弁部の内部構造を示す断面図であり、図15は図13で示した弁構造体の副弁部の内部構造を示す断面図である。
【0010】
まず図14を参照して、主弁部72は、上面が開放された上下に延びる円筒形状の弁箱81と、弁箱81の上面を塞ぐ弁蓋82と、弁箱81内に上下に摺動自在に設置された主弁体83とを備えている。又、弁箱81の側部には一次側室88を介して図示しない給水管が接続されていると共に、下部には図示しない受水槽に連通する主弁口84が形成されている。
【0011】
主弁体83は、その上部に弁箱81内を摺動自在の受圧体85が形成されていると共に、その下部が弁箱81の主弁口84を塞ぐように形成されている。又、受圧体85にはオリフィス86が形成されているため、受圧体85の上部に形成される圧力室87と、主弁体83の側部に形成される一次側室88とが連通する。
【0012】
次に図15を参照して、副弁部73は、その側部に受水槽に連通する副弁口94が形成された左右に延びる円筒形状の弁箱91と、副弁口94を外側から塞ぐ副弁体92と、副弁体92に左右に延びる弁軸95を介して接続され、弁箱91内を左右に摺動自在のピストン93とを備えている。又、弁箱91内における副弁体92とピストン93とで囲まれた部分に形成される圧力側室96は、図示しない通路を介して図14の主弁部72の圧力室87に連通している。
【0013】
そして、図14及び図15で示すように、副弁体92が閉状態の場合、図示しない給水管からの給水による水圧が、オリフィス86を通して主弁部72の圧力室87と副弁部73の圧力側室96とに導入され、一次側室88、圧力室87及び圧力側室96が等しく高圧となる。すると、主弁体83の受圧体85の上面に圧力室87の水圧に基づく下向きの力が作用し、主弁体83が閉状態となる。
一方、フロート機構74の作用によって副弁体92が開状態になると、圧力側室96の圧力が副弁口94を介して放圧され、圧力側室96及び圧力室87が低圧となる。すると、主弁体83の受圧体85の上面に作用する下向きの力が低下し、受圧体85の下面に作用する一次側室88からの水圧に基づく上向きの力によって主弁体83が上昇することで、主弁口84から吐水がおこなわれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開平6−147355号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
上記のような従来の弁構造体では、主弁部と副弁部とが個別に設けられており、それぞれの弁箱が必要となるため、全体的に大きな弁構造体となっていた。更に、主弁体が上下に移動するのに対し、副弁体は左右に移動するものであるため、自重による軸の傾きが生じ易く、副弁の作動の信頼性が高いとは言えなかった。
【0016】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、副弁の作動の信頼性が高く、全体がコンパクトな弁構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記の目的を達成するために、請求項1記載の発明は、弁構造体であって、上面が開放された筒形状を有し、その側面に給液口が形成されると共にその底面に弁座を介して排液口が形成される弁箱と、弁箱の上面を塞ぐ弁蓋と、弁箱内に上下に摺動自在に設置され、筒状の胴部と、胴部の下部に接続される主弁体と、胴部の上部に接続され、平面視において弁座の投影面積より大きな投影面積を有する受圧体とからなり、少なくとも受圧体に形成されたオリフィスを介して給液口と受圧体の上面とが通液状態となる主弁と、弁蓋の下面に形成され、弁蓋と受圧体との間に形成される圧力室と外部との通液状態の有無を制御する上下に移動可能な副弁と、副弁を閉状態に付勢する付勢手段と、付勢手段の付勢力に抗して副弁を開状態にする副弁開手段とを備え、圧力室に所定の液圧がかかったとき、主弁は降下して主弁体が弁座に係合し閉状態に変化し、圧力室が所定の液圧未満になったとき、主弁は上昇して主弁体は開状態に変化するものである。
【0018】
このように構成すると、副弁は圧力室に直接面すると共に、上下に弁軸が移動する。
【0019】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成において、副弁の副弁体を覆うように弁蓋の下面に取り付けられ、圧力室と副弁体の下面との間を連通させる通液路を有するバランス用シリンダと、副弁の下面に取り付けられ、バランス用シリンダ内を上下に摺動自在のバランスピストンとを更に備えるものである。
【0020】
このように構成すると、副弁を開状態にする副弁開手段の所要力が小さくなる。
【0021】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の発明の構成において、受圧体はパッキンを介して弁箱内を上下に摺動し、弁蓋の下面には、上昇した際の受圧体の上面の外周部分の全周に当接してシールするリング状の突起体が形成されるものである。
【0022】
このように構成すると、副弁が開状態から閉状態に移行する際、パッキンの隙間から液体が圧力室に流入しない。
【0023】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明の構成において、突起体は、弁蓋に少なくともその一部が収納された状態で弁蓋から出し入れ自在に取り付けられると共にその下面が常に受圧体の外周部分に当接状態となるように付勢されるものである。
【0024】
このように構成すると、パッキンが劣化しても、常にパッキンの隙間から液体が圧力室に流入しない。
【0025】
請求項5記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれかに記載の発明の構成において、請求項1から請求項4の弁構造体は液槽の液面を制御するために設置され、副弁開手段は、弁蓋の外面にその一端が固定されると共に副弁の軸体が接続されたレバー機構と、レバー機構の他端に接続され、液面に応じて上下するフロートとを含み、液面が第1液面以下になった時、副弁を開状態にし、液面が第2液面になった時、副弁を閉状態にするものである。
【0026】
このように構成すると、フロートの位置に応じて副弁の開閉状態が変わる。
【0027】
請求項6記載の発明は、請求項5記載の発明の構成において、副弁開手段は、フロートにその一端が接続されるチェーンと、レバー機構に取り付けられ、チェーンの一端以外の部分を脱着自在に掛止できるフックとを更に備えるものである。
【0028】
このように構成すると、全体重量を変えることなく、レバー機構に対するフロートの上下位置を変えることができる。
【発明の効果】
【0029】
以上説明したように、請求項1記載の発明は、副弁は圧力室に直接面するため、弁構造体全体がコンパクトになる。又、上下に弁軸が移動するため、副弁の作動の信頼性が向上する。
【0030】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加えて、副弁を開状態にする副弁開手段の所要力が小さくなるため、副弁の開状態への動作が迅速化する。
【0031】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の発明の効果に加えて、副弁が開状態から閉状態に移行する際、パッキンの隙間から液体が圧力室に流入しないため、圧力室の圧力の上昇速度が安定し、主弁が急激に降下する虞が無くなる。
【0032】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明の効果に加えて、パッキンが劣化しても、常にパッキンの隙間から液体が圧力室に流入しないため、主弁の開閉動作が更に安定する。
【0033】
請求項5記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれかに記載の発明の効果に加えて、フロートの位置に応じて副弁の開閉状態が変わるため、液面の制御が自動的に行なわれる。
【0034】
請求項6記載の発明は、請求項5記載の発明の効果に加えて、全体重量を変えることなく、レバー機構に対するフロートの上下位置を変えることができるため、弁構造体の動作に影響を与えることなく、制御する液面の位置を容易に変えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】この発明の第1の実施の形態による弁構造体を備える受水槽を示す概略断面図であって、(1)は弁構造体が閉状態の場合を示すものであり、(2)は弁構造体が開状態の場合を示すものである。
【図2】図1で示した弁構造体の閉状態の内部構造を示す断面図である。
【図3】図2で示したIII−IIIラインの拡大断面図である。
【図4】図1で示した弁構造体の開状態の内部構造を示す断面図である。
【図5】図1で示した弁構造体のチェーンの他の使用形態を示す概略断面図である。
【図6】この発明の第2の実施の形態による弁構造体の閉状態を示す断面図である。
【図7】図6で示したVII−VIIラインの拡大断面図であって、(1)は閉状態を示すものであり、(2)は開状態を示すものである。
【図8】副弁の模式図であって、(1)は第2の実施の形態を示したものであり、(2)は第1の実施の形態を示したものである。
【図9】この発明の第3の実施の形態による弁構造体の閉状態の内部構造を示す断面図である。
【図10】図9で示した弁構造体の開状態を示す断面図である。
【図11】この発明の第4の実施の形態による弁構造体の閉状態の内部構造を示す断面図である。
【図12】図11で示した弁構造体の開状態の内部構造を示す断面図である。
【図13】従来の弁構造体の閉状態を示す側面図である。
【図14】図13で示した弁構造体の主弁部の内部構造を示す断面図である。
【図15】図13で示した弁構造体の副弁部の内部構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1はこの発明の第1の実施の形態による弁構造体を備える受水槽を示す概略断面図であって、(1)は弁構造体が閉状態の場合を示すものであり、(2)は弁構造体が開状態の場合を示すものである。
【0037】
まず(1)を参照して、この実施の形態による弁構造体11は、主に銅合金鋳物で形成されており、受水槽1内の上部に設置されている。そして、チェーン52を介して接続された水面2に浮遊するフロート53が、水面2の高さに応じて上下することで、弁構造体11が開状態又は閉状態となり、受水槽1内の水面2を制御する。尚、後述するフックによってチェーン52の実質的な上下の長さはLとなるように設定されている。
【0038】
受水槽1には、弁構造体11に接続された給水管3と、受水槽1内の水面2が二点鎖線で示すオーバーフロー水位を超えた場合、受水槽1内の水を槽外に排出するためのオーバーフロー管4と、対象場所に受水槽1内の水を供給するための供給管5と、受水槽1の底面に取付けられた水抜き管6とが設けられている。更に、受水槽1の上部にはマンホール7とエア抜き8とが設けられていると共に、水位検知用電極9が取付けられている。
【0039】
そして、(1)で示す閉状態においては、受水槽1内の水面2が止水位である第2水面となっており、フロート53が水面2に浮遊するため、後述する弁構造体11の副弁が閉状態となる。そのため、受水槽1内への給水管3からの給水が弁構造体11を介して停止した状態となっている。
【0040】
次に(2)を参照して、(2)の開状態においては、(1)の閉状態から水の使用等によって受水槽1内の水面2が低下し、給水位である第1水面以下となっている。すると、フロート53の重量が作用して弁構造体11の後述する副弁が開状態となるため、給水管3から弁構造体11を介して給水が行なわれる。そして、給水管3からの給水によって受水槽1内の水面2が上昇し、第2水面に達すると、再度フロート53が水面2に浮遊してその重量が作用しなくなるため、弁構造体11が閉状態となって給水が停止される。
【0041】
このように、フロート53の位置に応じて弁構造体11の後述する副弁の開閉状態が変わり、給水状態及び給水停止状態が決定されるため、受水槽1の水面2の制御が自動的に行われる。
【0042】
次に、弁構造体11の構造について説明する。
【0043】
図2は図1で示した弁構造体の閉状態の内部構造を示す断面図であり、図3は図2で示したIII−IIIラインの拡大断面図である。
【0044】
これらの図を参照して、弁構造体11は、その上面が開放された上下に延びる円筒形状の弁箱20と、弁箱20の上面を塞ぐ弁蓋25と、弁箱20内に上下に摺動自在に設置された主弁30と、弁蓋25の下面に形成され主弁30と軸中心を整列した副弁体41を有する副弁40とを備えている。更に、副弁開手段として、弁蓋25の外面にその一端が固定されると共に、後述する副弁40の軸体42が接続されたレバー機構50と、レバー機構50の他端にフック51及びチェーン52を介して吊下げられたフロート53とを備えている。
【0045】
弁箱20は、その側面に左右に延びる管形状の給液口21が形成されており、給液口21は図示しない給水管に接続されている。更に、弁箱20の底面には、弁箱20の内径より小さなリング状の弁座22を介して、上下に延びる円筒形状の排液口23が形成されており、排液口23は図示しない受水槽に面している。尚、弁箱20内には、弁蓋25と後述する主弁30の受圧体33との間に圧力室39が形成されている。
【0046】
弁蓋25は、図3で示すように、その下面に形成されたリング状の副弁用弁座26を介して、図示しない受水槽に面する排液通路27が形成されている。
【0047】
主弁30は、円筒状の胴部31と、胴部31の下部に接続され、弁座22の形状に対応するリング状の主弁体32と、胴部31の上部に接続され、平面視において弁座22の投影面積より大きな投影面積を有すると共に、弁箱20内を上下に摺動自在となるように形成された椀状の受圧体33と、胴部31に接続され、胴部31の下面を塞ぐと共に下方に延びるガイド部34とから構成されている。又、主弁体32の底面にはリング状のパッキン37が取付けられており、図で示す閉状態においては主弁体32がパッキン37を介して弁座22に着座している。従って、弁箱20の給液口21と排液口23との間が水密状態となるため、給液口21から排液口23を介しての受水槽への給水が停止される。又、胴部31には、その外部と内部とを連通する通液口36が形成されている。
【0048】
更に、受圧体33の弁箱20の内面に接する部分にはリング状のパッキン38が取付けられており、受圧体33は弁箱20内を水密状態で上下に摺動自在となる。更に、受圧体33における胴部31の内部に接する中心部分にはオリフィス35が形成されている。従って、オリフィス35と胴部31の通液口36とによって、弁箱20の給液口21と主弁30の受圧体33の上面(圧力室39)とが通液状態となる。そのため、給液口21から圧力室39への水の流れがオリフィス35によって絞られるので、主弁30が降下する速度が緩められ、主弁30が閉状態になる時の水撃の発生が防止される。
【0049】
副弁40は、弁蓋25に上下に貫通して移動自在である軸体42と、軸体42の下端に取付けられ、弁蓋25の下面側に設置された円板状の副弁体41とを備えている。又、副弁体41の上面には、副弁用弁座26の形状に対応するリング状のパッキン47が取付けられている。そして、副弁40は、図で示す閉状態において、弁蓋25の副弁用弁座26にパッキン47を介して内側から着座するため、圧力室39と排液通路27との間が水密状態となる。更に、外方に位置する軸体42の上端には、ナット43が取付けられていると共に、ナット43と弁蓋25の上面との間には付勢手段である二重巻きスプリング44が設置されている。二重巻きスプリング44は、副弁20を常に上向き、即ち閉状態となるように付勢しているため、副弁20の閉状態の姿勢が保持される。尚、ナット43の軸体42に対する上下位置を変更することによって、二重巻きスプリング44の副弁20に対する付勢力を容易に調整することができるため、弁構造体の特殊な使用圧力条件にも対応することができる。
【0050】
このように、この実施の形態による弁構造体11においては、副弁40が弁箱20内の圧力室39に直接面するように構成されており、副弁40専用の弁箱や圧力室を設ける必要が無いため、全体がコンパクトな弁構造体11となる。又、主弁30と副弁40との弁軸が共に上下に移動するため、従来例のように左右に移動する副弁に比べて、自重による軸体42の傾きが生じ難くなるため、副弁40の作動の信頼性が向上すると共に、製作時における機械加工の芯出しや段取りに要する時間が短縮される。更に、図13〜図15で示した従来例のように、主弁部の圧力室と副弁部の圧力側室とを連通する通路を有する、複雑な構造の弁箱が不要となる。
【0051】
又、レバー機構50の先端に取付けられたフック51は、チェーン52の所望のリンク56を脱着自在に掛止できるように構成されている。この例では、チェーン52は、一方端のリンク56aがフック51に接続されており、他方端のリンク56bがフロート53に接続されていると共に、中央部付近のリンク56cがフック51に接続されている。従って、チェーン52には余剰部分55が発生しており、フック51からフロート53までの距離はチェーン52の全長より短くなっている(図1で示した距離L)。
【0052】
次に、副弁40が図で示す閉状態の場合における、圧力室39等の水圧状態について説明する。
【0053】
副弁40が閉状態の時、図示しない給水管から給水される水は、主弁30の胴部31の通液口36及び受圧体33のオリフィス35を介して、圧力室39に流入する。すると、所定時間経過後において、胴部31の内部及び圧力室39を含む弁箱20内の水圧が、給水圧と等しい高圧(所定の水圧)となる。すると、受圧体33の上面に作用する圧力室39内の水圧に基づく下向きの力によって、主弁30が降下する。従って、主弁30の主弁体32が弁箱20の弁座22に着座した閉状態になると共に、その配置状態が保持されるため、排液口23からの吐水が確実に停止される。
【0054】
次に、副弁40が図1の(2)で示す開状態の場合における、各構成部材の動作及び水圧状態について説明する。
【0055】
図4は図1で示した弁構造体の開状態の内部構造を示す断面図である。
【0056】
図を参照して、図示しない受水槽の水面が低下してフロート53が矢印で示すように下方へ移動すると、フロート53の重量によってレバー機構50の先端が下がる。即ち、図1の(2)で示した状態となる。すると、レバー機構50によって副弁40の軸体42が二重巻きスプリング44の付勢力に抗して押し下げられ、副弁体41が副弁用弁座26から離れて、副弁40が開状態となる。
【0057】
そして、副弁40が開状態になると、圧力室39と弁蓋25の図3における排液通路27とが、図2で示した水密状態から通水状態となる。上述した通り、排液通路は受水槽の水面上方に面しているため、排液通路の圧力は大気圧と略同一であり、圧力室39の圧力と比べて小さい。従って、これらが通水状態になることによって、圧力室39内の水が排液通路を介して受水槽(外部)に排出される。上述した通り、圧力室39はオリフィス35を介してのみ給液口21に通水状態であるため、圧力室39内の水の排出速度に対して、オリフィス25からの水の流入速度は小さい。従って、副弁20を開状態にすることによって、圧力室39内の水圧が低下し、受圧体33の上面に作用する下向きの力が低下する。
【0058】
すると、上述した通り、主弁30の受圧体33は平面視において弁座22の投影面積より大きな投影面積となるように形成されているため、主弁30に対して給水圧に基づいて上向きに作用する力が大きくなる。従って、主弁30が上昇して、主弁体32と弁座22との係合が解除されると、給液口21と排液口23とが通水状態となり、図示しない受水槽に給水される。尚、主弁30の上昇によって受圧体33と副弁体41とが接触することが無いよう、主弁30を図で示すような所定の上昇位置で停止させるために、図示しないストッパーが設けられている。
【0059】
そして、排液口23からの吐水によって図示しない受水槽の水面が第2水面に達すると、レバー機構50が図2に示す位置に戻り、副弁40が閉状態となる。すると、再度圧力室39内の水圧が所定の水圧まで上昇して、主弁30が閉状態となり、吐水が停止される。
【0060】
図5は図1で示した弁構造体のチェーンの他の使用形態を示す概略断面図であって、図1に対応するものである。
【0061】
まず(1)を参照して、(1)で示すチェーン52の使用形態においては、チェーン52の全長を使用してレバー機構50の先端にフロート53を吊下げている。即ち、図2で示したチェーン52の中央部付近のリンク56cをフック51から取外し、一方端のリンク56aをフック51に、他方端のリンク56bをフロート53に取付けた状態としている。そのため、フック51からフロート53までの距離がチェーン52の全長であるLとなる。従って、弁構造体11からの給水が停止される受水槽1の第2水面の高さ(止水位)が、図1で示した第2水面の高さより低くなる。
【0062】
尚、チェーン52の付替えにおいては、まずマンホール7を介してレバー機構50からフック51を取外した後、フック51、チェーン52及びフロート53を受水槽1外に取出す。そして、チェーン52の実質的な長さを所望の長さに調整した後、再度フック51をレバー機構50に取付ければ良い。従って、簡易に水位調整ができると共に、工具等を用いて長さ調整する必要が無いので、工具等が受水槽1内に落下して水質を劣化させる虞が無い。
【0063】
次に(2)を参照して、(2)の状態においては(1)の状態から水の使用等によって受水槽1内の水面2が低下し、給水位である第1水面以下となっているため、弁構造体11が開状態となり、給水が行われている。この時、(1)で説明した第2水面の高さ同様チェーン52を長く使用することによって、第1水面の高さ(給水位)も低くなる。
【0064】
このように、同一のチェーン52の長さのみを変更することによって、全体重量を変えることなく、レバー機構50に対するフロート53の上下位置を変えることができる。そのため、弁構造体11の動作に影響を与えることなく、制御する水面2の位置を容易に変えることが可能となる。
【0065】
これによって、例えば夏休み中の学校や休日の企業ビル等のように、水道水の使用量が普段より少ない場合であっても、これに応じて受水槽1内に貯留する水量を容易に少なくできるため、受水槽1内の水が長時間貯留される虞が低減する。尚、水道水には、種々の細菌を消毒するため塩素が加えられている。塩素は汚れた水等、細菌を多く含む水が混入した時、又は受水槽1内の水があまり使用されずに長時間貯留される時に塩素濃度が低下し、種々の細菌に汚染されることがある。そのため、上述のように受水槽1内の水が長時間貯留される虞が低減することによって、このような塩素濃度の低下、又は種々の細菌による汚染等による飲用時の事故が発生し難くなる。尚、このような事故を起こさないためには、受水槽1内の水が1日に2回以上新しい水に入れ替えられるようにするのが好ましい。
【0066】
図6はこの発明の第2の実施の形態による弁構造体の閉状態を示す断面図であって、第1の実施の形態の図2に対応するものであり、図7は図6で示したVII−VIIラインの拡大断面図であって、(1)は閉状態を示すものであり、(2)は開状態を示すものである。
【0067】
尚、この実施の形態による弁構造体12にあっては、弁蓋25の形状及び副弁40周辺の構造を除いては第1の実施の形態による弁構造体と同一であるため、ここではその相違点を中心に説明する。
【0068】
図6及び図7の(1)を参照して、弁構造体12の弁蓋25は、第1の実施の形態による弁構造体の弁蓋に比べて、その中央部が上方へ大きく隆起するように形成されており、そのスペース28内に副弁40の副弁体41が設置されている。そして、スペース28及び副弁体41を覆うように、円筒形状のバランス用シリンダ45が弁蓋25の下面に取付けられている。尚、バランス用シリンダ45には上下に貫通する通液路46が形成されており、通液路46によって圧力室39と副弁体41の下面(スペース28)とが連通されている。
【0069】
更に、副弁体41の下面には、バランス用シリンダ45内を上下に摺動自在となるように形成された円柱形状のバランスピストン48が取付けられている。尚、バランスピストン48は、平面視において副弁用弁座26の投影面積より若干小さな投影面積となるように形成されている。又、バランスピストン48のバランス用シリンダ45に接する部分には、リング状のパッキン49が取付けられているため、スペース28内の水がバランスピストン48の下面に流入する虞が無い。更に、バランスピストン48及び軸体42には、上下に延びる第1空気抜き通路57が形成されており、第1空気抜き通路57は弁蓋25に形成された外部に連通する第2空気抜き通路58に接続されている。
【0070】
次に図7の(2)を参照して、図示しないレバー機構によって軸体42が押し下げられると、副弁40の副弁体41及びバランスピストン48が降下し、開状態となる。すると、圧力室39及びスペース28内の水が排液通路27を介して排出され、図示しない主弁が上昇する。この時、バランスピストン48の下面の空気は、第1空気抜き通路57及び第2空気抜き通路58を介して図の矢印で示すように外部に排出される。
【0071】
ここで、副弁40が開状態となる場合の、バランス用シリンダ45及びバランスピストン48による効果について説明する。
【0072】
図8は副弁の模式図であって、(1)は第2の実施の形態を示したものであり、(2)は第1の実施の形態を示したものである。
【0073】
まず(1)を参照して、閉状態の副弁40aには、図示しない通液口から流入した水によって、副弁体41の下面であって副弁用弁座26の投影面積に相当する部分に上向きの力が作用すると共に、バランスピストン48の上面に下向きの力が作用する。そして、上述した通り、バランスピストン48は平面視において副弁用弁座26の投影面積より若干小さな投影面積となっている。従って、上述した上向き及び下向きの力が打ち消し合うことによって、副弁体41の下面においては副弁用弁座26の投影面積からバランスピストン48の投影面積を除いたリング状の範囲Aにのみ、図示しない通液口から流入した水の水圧に基づく実線矢印で示す上向きの力が作用する。一方、図示しないバランス用シリンダ内を上下するバランスピストン48の下面には、大気圧と略同程度の圧力に基づく破線矢印で示す上向きの力が作用することになる。
【0074】
次に(2)を参照して、第1の実施の形態による副弁40bにおいては、閉状態の副弁40bには、副弁体41の下面であって副弁用弁座26の投影面積に相当する範囲Bで示す部分の全てに、図示しない通液口から流入した水の水圧に基づく実線矢印で示す上向きの力が作用する。従って、(1)で示す副弁40aに比べ、副弁40bを降下させるのに大きな力が必要となる。即ち、第2の実施の形態による弁構造体においては、副弁40aを降下させる際の力が緩和されるので、副弁40aを開状態にする図示しない副弁開手段の所要力が小さくなる。そのため、副弁40aの開状態への動作が迅速化すると共に、レバー機構のモーメントを大きくするために図示しないフロートの重量を重くしたり、レバー機構を長くしたりする必要が無くなる。
【0075】
尚、バランスピストン48は、平面視において副弁用弁座26の投影面積と同等の投影面積、又はこの実施の形態のように若干小さな投影面積となるように形成するのが好ましい。このように形成することによって、上記の原理から判るように閉状態において副弁40aに対して作用する水圧に基づく上向きの力を抑えながらもある程度確保できるため、副弁40aが不用意に降下する虞が無くなる。尚、バランスピストン48の投影面積を副弁用弁座26の投影面積と同一にすると、(1)で説明した上向きの力と下向きの力とが完全に打ち消されることになる。
【0076】
このような副弁40a等を有する弁構造体は、特にそのサイズが大型の場合においては、副弁40aのサイズが大きくなると共に、副弁40aの下面に作用する水圧に基づく上向きの力も大きくなるため、有効である。
【0077】
図9はこの発明の第3の実施の形態による弁構造体の閉状態の内部構造を示す断面図であって、第1の実施の形態の図2に対応するものであり、図10は図9で示した弁構造体の開状態を示す断面図である。
【0078】
尚、この実施の形態による弁構造体13にあっては、弁蓋25の下面に突起体61が形成されている点を除いては第1の実施の形態による弁構造体と同一であるため、ここでは突起体61を中心に説明する。又、これらの図においては、主弁30の受圧体33のパッキン38が劣化することによって、受圧体33の側面と弁箱20の内面との間に隙間62が形成された状態を示している。
【0079】
まず図9を参照して、この実施の形態による弁構造体13にあっては、弁蓋25の下面に、主弁30の受圧体33の上面の外周部分の全周に対応する形状のリング状の突起体61が下方に向かって形成されている。
【0080】
このような弁構造体13においては、副弁40が図9から図10へ移行する開状態になると、給液口21から給水される水がオリフィス35に加えて隙間62からも圧力室39に流入することになる。しかしながら、隙間62を通過する水の粘性抵抗が作用すると共に、主弁30の重量と比較して受圧体33の下面に作用する水圧に基づく上向きの力が非常に大きいため、主弁30は上昇する。すると、図10で示すように、主弁30の受圧体33の外周部分の全周と突起体61とが当接してシール状態となる。
【0081】
次に、図10で示す状態から副弁40が閉状態になると、上述した通り主弁30の受圧体33の外周部分の全周と突起体61とが当接してシール状態となっているため、隙間62を介して給液口21からの水が流入しない。即ち、給液口21からの水はオリフィス35のみを介して圧力室39に流入する。そして、受圧体33の上面に作用する圧力室39内の水圧に基づく下向きの力と、大気に開放された排液口23から勢い良く放出される水が主弁体32を下方へ引き込む力とによって、主弁30が押し下げられて閉状態となる。そして、一旦主弁30が閉状態になると、給液口21の水圧に基づく下向きの力が主弁30全体を弁座22に押付けるため、主弁30の閉状態が維持される。
【0082】
このように、副弁40が図10で示す開状態から図9で示す閉状態に移行する際、給液口21からの高圧の水はオリフィス35のみを介して圧力室39に流入するため、隙間62からの水の流入によって圧力室39内の水圧の上昇が不用意に速くならない。即ち、設計通りに圧力室39内の水圧が上昇することになる。従って、主弁30が急激に降下する虞が無く、緩やかに降下するため、水撃が発生する虞が無い。
【0083】
尚、突起体61は、平面視において弁座22の投影面積より大きな投影面積となるように形成するのが好ましい。このように形成することによって、排液口23に水が充満している場合であっても、受圧体33の上面に作用する圧力室39の水圧に基づく下向きの力が主弁体32の下面に作用する上向きの力より常に大きくなるため、主弁30が緩やかに降下する。
【0084】
尚、この実施の形態による弁構造体13においては、比較的小型の弁構造体、即ち主弁30の上下の開閉ストロークの大きくないものに適用するのが効果的である。そして、図で示すようにパッキン38が劣化しても主弁30の機能が低下し難くなるため、弁構造体13を長期間稼働させることができる。
【0085】
図11はこの発明の第4の実施の形態による弁構造体の閉状態の内部構造を示す断面図であって、第3の実施の形態の図9に対応するものであり、図12は図11で示した弁構造体の開状態の内部構造を示す断面図である。
【0086】
尚、この実施の形態による弁構造体14にあっては、弁蓋25の下面に形成された突起体65の形状を除いては第3の実施の形態による弁構造体と同一であるため、ここでは突起体65を中心に説明する。
【0087】
まず図11を参照して、この実施の形態による弁構造体14にあっては、弁蓋25の下面にリング状の溝66が形成されており、溝66の内面にはスプリング67が取付けられている。又、スプリング67の下方端には、主弁30の受圧体33の外周部分の全周に対応する形状のリング状の突起体65が取付けられている。尚、突起体65は、閉状態においてその上方側の一部が弁蓋25の溝66内に収納されている。又、スプリング67は突起体65を常に下向きの方向に付勢するように設定されており、突起体65の下面は主弁30の受圧体33の外周部分の全周に当接している。
【0088】
次に、図12を参照して、副弁40が開状態になると、主弁30はスプリング67の付勢力に抗して上昇し、突起体65も溝66内を同様に上昇する。即ち、突起体65は開状態及び閉状態を問わず、その下面が常に主弁30の受圧体33の外周部分の全周に当接状態であると共に、その少なくとも一部が溝66内に収納される。そのため、受圧体33の側面のパッキン38が劣化した、又はパッキン38に変形や亀裂が発生した場合であっても、圧力室39の独立状態は保たれる。従って、主弁30の開状態への動作及び閉状態への動作は、パッキン38が有効な場合とまず変わらない。
【0089】
尚、突起体65は、第3の実施の形態と同様、平面視において弁座22の投影面積より大きな投影面積となるように形成するのが好ましい。
【0090】
そして、このような突起体65を備える弁構造体14は、第3の実施の形態による弁構造体よりも主弁30の開閉動作が更に安定する共に、より長期間にわたって弁構造体14を稼働させることができる。
【0091】
尚、上記の各実施の形態では、弁構造体は受水槽の水面を制御するために使用されているが、副弁及び主弁の開閉状態によって排出する液体を調整するものであれば、他の用途で使用されていても良い。その場合、水以外の液体であっても同様に適用できる。
【0092】
又、上記の各実施の形態では、円筒形状の弁箱を備えているが、例えば四角筒形状等、筒形状であれば他の形状であっても良い。
【0093】
更に、上記の各実施の形態では、特定形状の主弁を備えているが、主弁は、弁箱内に上下に摺動自在に設置され、筒状の胴部と、胴部の下部に接続される主弁体と、平面視において弁座の投影面積より大きな投影面積を有する受圧体とからなり、少なくとも受圧体に形成されたオリフィスを介して給液口と受圧体の上面とが通液状態になるものであれば、他の形状であっても良い。
【0094】
更に、上記の各実施の形態では、受圧体の中心部分にオリフィスが形成されているが、給液口と受圧体の上面とを通液状態にできれば、例えば受圧体の外周部分にオリフィスを形成しても良い。その場合、胴部の通液口は無くても良い。
【0095】
更に、上記の各実施の形態では、特定構造の副弁を備えているが、弁蓋の下面に形成され、圧力室と外部との通液状態の有無を制御すると共に、上下に移動可能なものであれば、副弁は他の構造であっても良い。その場合、副弁は主弁と軸中心が異なっていても良い。
【0096】
更に、上記の各実施の形態では、副弁は二重巻きスプリングによって閉状態に付勢されているが、副弁を閉状態に付勢するものであれば、通常のスプリング等を使用しても良い。
【0097】
更に、上記の各実施の形態では、特定構造よりなる副弁開手段を備えているが、付勢手段である二重巻きスプリングの付勢力に抗して副弁を開状態にするものであれば、副弁開手段は他の構造であっても良い。
【0098】
更に、上記の各実施の形態では、特定形状のレバー機構を備えているが、弁蓋の外面にその一端が固定されると共に、副弁の軸体が接続されるように形成されていれば、レバー機構は他の形状であっても良い。
【0099】
更に、上記の各実施の形態では、フロートはフック及びチェーンを介してレバー機構に接続されているが、チェーンに代えて、例えばロープの中間地点に輪を形成して、輪の部分をフックに掛止して長さを変更するように構成しても良い。又は、フロートはレバー機構の他端に接続されていれば、例えばレバー機構に直接的に、又は通常のロープ等を介して接続されていても良い。
【0100】
更に、上記の第3及び第4の実施の形態では、突起体は銅合金鋳物で形成されているが、突起体は他の金属、合成樹脂、ゴム又はセラミックスで形成されていても良いし、当接部分にのみ他の素材を取付けても良い。又は、突起体における受圧体との当接面を小さくし、押圧力を高めることによってより確実なシール状態を確保できるような形状にしても良い。又は、突起体を弁蓋の下面では無く、受圧体の外周部分の全周に形成しても良い。又、第3の実施の形態においては、突起体の先端の内側部分に、例えばゴム製のシールリングを取付けても良い。その場合、シールリングの先端が受圧体の上面に当接すると共に受圧体の移動に追従してシールできるように構成すれば、圧力室が常に安定した独立状態となる。
【0101】
更に、上記の第2の実施の形態では、バランス用シリンダは特定形状の弁蓋の下面に取付けられているが、他の形状の弁蓋であっても、副弁の副弁体を覆うように弁蓋の下面に取付けられていれば良い。その場合、バランスピストンは、そのバランス用シリンダ内を上下に摺動自在となるように形成すれば良い。
【0102】
更に、上記の第4の実施の形態では、突起体は弁蓋の溝に取付けられたスプリングによって下向きに付勢されているが、突起体は、弁蓋に少なくともその一部が収納された状態で弁蓋から出し入れ自在に取付けられると共に、その下面が常に受圧体の外周部分に当接状態となるように付勢されていれば、突起体周辺は他の構造であっても良い。
【符号の説明】
【0103】
1…受水槽
2…水面
11〜14…弁構造体
20…弁箱
21…給液口
22…弁座
23…排液口
25…弁蓋
30…主弁
31…胴部
32…主弁体
33…受圧体
35…オリフィス
38…パッキン
40…副弁
41…副弁体
42…軸体
44…二重巻きスプリング
45…バランス用シリンダ
46…通液路
48…バランスピストン
50…レバー機構
51…フック
52…チェーン
53…フロート
56…リンク
61、65…突起体
尚、各図中同一符号は同一又は相当部分を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁構造体であって、
上面が開放された筒形状を有し、その側面に給液口が形成されると共にその底面に弁座を介して排液口が形成される弁箱と、
前記弁箱の上面を塞ぐ弁蓋と、
前記弁箱内に上下に摺動自在に設置され、筒状の胴部と、前記胴部の下部に接続される主弁体と、前記胴部の上部に接続され、平面視において前記弁座の投影面積より大きな投影面積を有する受圧体とからなり、少なくとも前記受圧体に形成されたオリフィスを介して前記給液口と前記受圧体の上面とが通液状態となる主弁と、
前記弁蓋の下面に形成され、前記弁蓋と前記受圧体との間に形成される圧力室と外部との通液状態の有無を制御する上下に移動可能な副弁と、
前記副弁を閉状態に付勢する付勢手段と、
前記付勢手段の付勢力に抗して前記副弁を開状態にする副弁開手段とを備え、
前記圧力室に所定の液圧がかかったとき、前記主弁は降下して前記主弁体が前記弁座に係合し閉状態に変化し、前記圧力室が前記所定の液圧未満になったとき、前記主弁は上昇して前記主弁体は開状態に変化する、弁構造体。
【請求項2】
前記副弁の副弁体を覆うように前記弁蓋の下面に取り付けられ、前記圧力室と前記副弁体の下面との間を連通させる通液路を有するバランス用シリンダと、
前記副弁の下面に取り付けられ、前記バランス用シリンダ内を上下に摺動自在のバランスピストンとを更に備える、請求項1記載の弁構造体。
【請求項3】
前記受圧体はパッキンを介して前記弁箱内を上下に摺動し、
前記弁蓋の下面には、上昇した際の前記受圧体の上面の外周部分の全周に当接してシールするリング状の突起体が形成される、請求項1又は請求項2記載の弁構造体。
【請求項4】
前記突起体は、前記弁蓋に少なくともその一部が収納された状態で前記弁蓋から出し入れ自在に取り付けられると共にその下面が常に前記受圧体の前記外周部分に当接状態となるように付勢される、請求項3記載の弁構造体。
【請求項5】
請求項1から請求項4の弁構造体は液槽の液面を制御するために設置され、
前記副弁開手段は、
前記弁蓋の外面にその一端が固定されると共に前記副弁の軸体が接続されたレバー機構と、
前記レバー機構の他端に接続され、前記液面に応じて上下するフロートとを含み、
前記液面が第1液面以下になった時、前記副弁を開状態にし、前記液面が第2液面になった時、前記副弁を閉状態にする、請求項1から請求項4のいずれかに記載の弁構造体。
【請求項6】
前記副弁開手段は、
前記フロートにその一端が接続されるチェーンと、
前記レバー機構に取り付けられ、前記チェーンの前記一端以外の部分を脱着自在に掛止できるフックとを更に備える、請求項5記載の弁構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−29120(P2013−29120A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−163848(P2011−163848)
【出願日】平成23年7月27日(2011.7.27)
【特許番号】特許第5097917号(P5097917)
【特許公報発行日】平成24年12月12日(2012.12.12)
【出願人】(000126296)株式会社アイエス工業所 (9)
【Fターム(参考)】