説明

引き寄せ背負い袋

【課題】 上辺を巾着状に絞って上両角領域の容量を少なくしない事で、矩形板でも無理なく収納できる、紐引き閉じ構造の背負い袋の提供を課題にする。
【解決手段】 底壁9の前後へ寄り壁2を折り立て、底壁9の左右両側へ屈壁10を折り立て、該寄り壁2と該屈壁10との側辺を連合させて器体1を形成し、寄り壁2の上部へ一対の内穴6と一対の外穴7とを横並びの滑穴7として打抜き、一方の屈壁10の下部中央に固定された紐4を他方の内穴6へ外から通して隣の外穴7から外へ出し、器体1の開口部5を跨ぐ状態で前後の外穴7どうしを紐4の架け域16で繋ぎ、紐4の引き域14を引く事で架け域16が引き込まれて開口部5は閉じ、引き域14を両肩に掛けて器体1を背負う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紐を引く事によって開口部が閉じる、紐引き閉じ背負い袋に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の紐引き閉じ背負い袋は、巾着状に縮めて閉じるナップザックがあり、前後の壁を引き寄せて閉じる構造の袋では、側壁架け閉じ袋があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−208803号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ナップザックは巾着状に縮めて閉じる構造である事から、縮めた領域だけ容量が減り、上部領域を両側から縮めるので三角形状に成って矩形の板では上の両角が入り難くなり、側壁架け閉じ袋では背負う事ができず、本発明では前記従来技術の問題解決を課題にする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
器体の開口部を絞るように縮めるのではなく、前後の寄り壁の上辺どうしを引き寄せて閉じる構造にし、前後の対面で位置する寄り壁の上部に開けた滑穴へ、器体の側下に固定された紐を通す構造が基本であり、各寄り壁の上部に四箇所の滑穴を横に並べて開け、四箇所有する滑穴に於いて、内側一対を内穴とし、外側一対を外穴とし、器体の一方の側下に固定された紐の上端を、遠い方に位置する他方の内穴から器体の中へ通して隣に位置する他方の外穴から外へ出し、器体の開口部を前後に跨ぐ状態で外穴から出た紐を連結し、前記の紐の通し構造は、他方の側下に固定された紐に於いても面対象の同じ構造で行い、隣り合う内穴の間では紐が交差しており、該交差領域をスライド可能状態で管に通して束ねる。
【発明の効果】
【0006】
寄り壁の上部を引き寄せて閉じる構造である事から上角領域の収縮が無く、矩形の板状物でも楽に収納でき、一方の側下に固定された紐の上端を、他方の内穴から入れて他方の外穴から出して開口部を跨いで前後に繋いだ事で、器体の側下固定の紐の引き域を引く事で内穴と外穴とをスライドして開口部を跨ぐ紐の架け域は引き込まれ、該引き込みによって寄り壁の上辺は互いに引き寄せられて開口部は閉じ、紐の引き域は引き出されて伸びるので、該引き域を両肩に掛けて器体を背負う事ができ、滑穴を内穴と外穴の二対にした事で摩擦固定ができ、器体の閉じ状態を固定できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】開口状態要部透視斜視図(実施例1)
【図2】閉じ状態要部透視斜視図
【図3】手提げ状態要部透視斜視図
【図4】簡易型開口状態要部透視斜視図(実施例2)
【発明を実施するための形態】
【0008】
前後に対面する各々の寄り壁の上部へ四箇所の滑穴を横に並べて打抜き、滑穴の内側一対を内穴とし、外側一対を外穴とし、器体の側下固定の紐の上を内穴と外穴に通して器体の開口部を跨いで前後で連結し、器体側下固定の紐を引く事で、寄り壁が縮まる事無く開口部を閉じて背負える袋を実現した。
【実施例1】
【0009】
図1は開口状態要部透視斜視図であり、谷折山折で表示する折り曲げ方向は外側からを基準にし、器体1を正面から見て、向かって右を一方とし、向かって左を他方とする。器体1に於いて、矩形の底壁9の前後辺へ寄り壁2を延設して垂直に折り上げ、底壁9の左右辺へ屈壁10を垂直に折り上げ、寄り壁2と屈壁10との側辺を連結して器体1は形成され、器体1の天面は空いている事から開口部5とする。屈壁10の中央へ天地に貫く折線で屈線11を入れ、屈線11は折線である事が望ましいが縫合線や溶着線であっても良い。屈壁10の上部に直角に折れ曲がったV折線12を入れる事が望ましく、V折線12は山折線が望ましいが、谷折線であっても良い。屈線11は器体1への収納物が少ない場合は谷折線が望ましく、収納物が多くなれば屈壁10を外へ出す必要があるので、屈線11は山折線に成るが、V折線12から上の屈線11を谷折線にしても良い。V折線12は屈線11を横切っているので、屈壁10の折れ曲がり癖を直す働きを果たす。
【0010】
器体1を構成する素材は限定ではなく、紙袋と同様の紙素材又は米袋と同様の多重構造の紙素材が望ましいのであるが、ポリなどの人工樹脂、不織布、織り布などの素材であっても良い。寄り壁2に於いて、図示していないが、上部へ厚紙などの補強板を貼り合わせる事が望ましく、該補強板を有する上部へ滑穴3を開け、滑穴3の数は二つであっても良いが四つである事が望ましい。該補強板の図示を省いた理由は従来技術だからである。四箇所有する滑穴3どうしの位置関係は限定ではないが、水平に並ぶ状態が望ましく、高さは限定ではないが、寄り壁2の上辺よりも二センチ少々下がった位置が望ましい。滑穴3の大きさは紐4の太さによって加減され、紐4が難無く滑り込める大きさが望ましい。
【0011】
紐4は市販品を用いるのであり、形状は断面が丸い丸紐が望ましいが、断面が平たい平紐(テープ)であっても良く、丸紐では縒り合わせた縒り紐であっても良いが、使用中に捩れるので組紐が望ましい。紐4は一本であっても良いが二本である事が望ましく、紐4を2本使用するならば左右面対称の通し構造に成り、紐4の中央部を何処に置くかは限定ではないが、底壁9の側端中央に通して固定する事が望ましく、底壁9の側端と屈壁10の下部とは隣接域であり、屈壁10の下部を経由する事から屈壁10の下部への固定と同じ箇所として表示する。一方の屈壁10の下部中央に紐4の中央を固定し、紐4の端を遠くに位置する他方の内穴6へ外から通して器体1の内へ入れ、隣に位置する他方の外穴7から外へ出した紐4の端を寄り壁2の天辺を跨ぎ、前後に対面する外穴7どうしから出た紐4の端を繋ぎ、該繋ぎ構造は限定ではないが結び構造が望ましく、該結び箇所を結び部13にする。
【0012】
紐4の部分領域に名称を付けるならば、屈壁10下部の固定箇所から内穴6までの領域を引き域14とし、器体1の内面に入っている内穴6と外穴7の間領域を摩擦域15とし、前後で対面して重なる外穴7どうしを繋いでいる領域を架け域16とする。該架け域16は寄り壁2の天辺の上を跨いだ状態で架かっているが、寄り壁2の側辺を巻く状態で架かっていても良い。前記した引き域14と摩擦域15と架け域16は指定領域に位置している時の名称であり、紐4のスライドによって長さは変化する。該引き域14は二本に分かれた長い領域であり、二本に分かれていると掴み難い事から束ね部17で部分的に束ねる構造が望ましく、該束ね部17は複数箇所であっても良いが、一箇所でも充分であり、形成箇所は架け域16を開口部5の外周へ余裕を持って巻く事ができる長さを確保可能な位置が望ましい。隣り合う内穴6どうしの間では左右の紐4が交差した状態で垂れ下がるので、該交差箇所を管8に滑り可能な状態で通して束ね、管8の長さは隣り合う内穴6の間と概略同寸が望ましい。
【0013】
図2は閉じ状態要部透視斜視図であり、紐4の引き域14を外側(矢印方向)へ引く事で、架け域16の領域は外穴7から引き込まれて短くなり、架け域16が短く成る作用で寄り壁2の上辺は前後で引き寄せられ、屈壁10の屈線11は屈折し、器体1の開口部5は閉じる。架け域16上に位置する結び部13は、寄り壁2の上辺に乗っているかどうかで紐4が均等に引き込まれたかどうかの目印になる。又、開口部5を開口する時には、結び部13が摘みの役割を果たすので、架け域16を引き出し易くなる。
【0014】
内穴6と外穴7との間に紐4の摩擦域15が接しているので、摩擦域15の摩擦力と内穴6と外穴7とに通された摩擦力とで紐4は固定されており、開口部5の閉じた状態を保持できる。同一面で隣り合う内穴6どうしの間に位置する紐4の交差領域は管8の中へ通されているので、紐4の交差域が垂れ下がるのを防止している。引き域14は長い領域の二本の紐4であるが、束ね部17で部分的に束ねられているので、引き域14を束ねた状態で持ち易く成る。該束ね部17の構造は限定ではなく、ビーズなどの別具を用いても良いが、結び構造で束ね部17を形成する事が望ましい。
【0015】
図3は手提げ状態要部透視斜視図であり、該手提げ状態にする方法は、管8を引き上げるだけで形成でき、開口状態閉じ状態のどちらからでも簡単に手提げ状態に移行できる。管8を持ち上げれば、隣り合う内穴6間の交差領域の紐4を管4の内面で滑らせる事ができ、その結果、管8から下の領域にトンネル部19が形成される。管8を握って手提げで使用しても良いし、該トンネル部19に腕を通す事で肩掛けにしたり、肘掛にしたりして使用する事もできる。
【実施例2】
【0016】
図4は簡易型の実施例2を示す開口状態要部透視斜視図であり、各々の寄り壁2には一対の滑穴3を形成する。一方の屈壁10の下部中央に固定された紐4の引き域14は、近くに位置する一方の滑穴3へ器体1の内側から通して外側へ出し、前後で対面して重なり合う滑穴3どうしを架け域16で繋ぐ。架け域16と引き域14との重なり合う上下関係は限定ではないが、該引き域14に対して該架け域16を上にした方が引き閉じは効率的に行える。
【0017】
この簡易型では滑穴3が一対である事から内穴6と外穴7とに分離しておらず、よって摩擦域15を有していないので、摩擦力によって開口部5を閉じた状態で固定し難い構造であり、閉じ状態の固定は、収納物と器体との自重によって行われるが、紐4をテープ状の平紐にする事で、滑穴3と紐4がスライドする時に摩擦が大きくなるので、該スライド摩擦によって紐4を固定し、閉じ状態の固定をしても良い。
【0018】
滑穴3の間に一対の固定穴20を開け、該固定穴20へ取手紐21を通し、該取手紐21の両端を玉結び22にして固定穴20で塞き止め固定をする。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明物は、背負う事のできる紙袋を実現するための構造であるが、ポリなどの人工樹脂、不織布、織り布、皮などを素材にする袋あるいは鞄に於いても適用できる。
【符号の説明】
【0020】
1 器体
2 寄り壁
3 滑穴
4 紐
5 開口部
6 内穴
7 外穴
8 管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
器体1の前後方向に対で有する寄り壁2の各々の上部へ滑穴3を設け、前後対面の滑穴3どうしに紐4を通して繋ぎ、滑穴3に通った紐4を器体1の側下部で固定し、該紐4を引く事によって滑穴3で紐4が滑り込み、該滑り込みによって器体1の開口部5が閉じ、該滑り込みによって引き出た紐4を肩に掛けて背負う事を特徴とした引き寄せ背負い袋。
【請求項2】
寄り壁2の各々へ、滑穴3を四箇所ずつ設け、四箇所有する滑穴3に於いて、内側一対を内穴6とし、外側一対を外穴7とし、器体1の一方の側下部に固定された紐4の端を他方の内穴6に通して器体1の内に入れ、該紐4の端を横隣に位置する他方の外穴7に通して器体1の外に出し、該紐4の端は前後対面の外穴7どうしで連結し、器体1の他方の側下部に固定された紐4に於いても、面対称で同様な紐4の通し方をした事を特徴とした請求項1記載の引き寄せ背負い袋。
【請求項3】
対になった内穴6に左右双方から通った紐4の交差した領域を管8内に通し、管8が持ち手に成る事を特徴とした請求項2記載の引き寄せ背負い袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−120808(P2011−120808A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−282579(P2009−282579)
【出願日】平成21年12月14日(2009.12.14)
【出願人】(000218281)
【Fターム(参考)】