説明

引出しスライド及び錠止機構

錠止機構付き引出しスライドが、内側スライド部材に伸張自在に連結した細長の外側スライド部材を有する。ラッチアームまたはピンが、外側スライド部材に固定した錠止機構によりラッチ止めされるべく内側スライド部材に固定される。錠止機構は、当該錠止機構に関して回転し且つラッチアームの移動通路内にあるラッチレシーバを使用する。レバーアームが錠止機構に関して回転し、ラッチレシーバの錠止位置への回転を阻止してラッチアームを保持する位置に位置決め自在とされる。モーターが、ラッチレシーバをその錠止位置から開放させる位置にレバーアームを駆動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に引出しスライドに関し、詳しくは錠止機構付き引出しスライドに関する。
【背景技術】
【0002】
引出しスライドを用いて、キャビネットまたはラック内の引出しを枠内で伸張自在に連結する場合がある。例えばキャビネット用途で使用する引出しスライドは、一般に引出し取り付け部材とキャビネット取り付け部材とを有する。これら2つの部材はしばしばボールベアリングにより相互に伸張自在に連結され、かくして引出しスライド伸張時に引出しをキャビネットから伸張させて引出しの中身へのアクセスを容易化させる。
【0003】
残念なことに、引出しの中身への容易且つ自由なアクセスは常に望ましいわけではない。引出しには個人的アイテムが収納され得、あるいは商取引の場においてしばしばそうである如く貴重なアイテムが収納され得る。それらアイテムの安全保管は重要考慮事項となり得るため、アクセス容易な引出しスライドは不適切である。
もっと安全な、例えば金庫あるいは錠止箱への保管も常に適切であるとは言えない。管理下であっても、各収納アイテムに頻繁且つ繰り返しアクセスする必要も生じ得る。また、金庫や錠止箱は多少嵩張る構造上、そうでなければ望ましいキャビネットタイプの構造への組み込みは容易ではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来問題を解決する引出しスライド及び錠止機構を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、引出しスライド及び錠止機構が提供される。本発明の1様相によれば、錠止機構を有する引出しスライドであって、レースウェイで拘束した細長のウェブを有する外側スライド部材と、前記レースウェイ内に入れ子され且つラッチアームを有する内側スライド部材にして、外側スライド部材に関して伸張自在の内側スライド部材と、ラッチアームの移動通路内で外側スライド部材に関して回転自在に取り付けたラッチレシーバと、外側スライド部材に関して回転自在に取り付けたレバーアームにして、ラッチレシーバの少なくとも第1方向への回転を阻止する位置に回転自在のレバーアームと、レバーアームを駆動して該レバーアームを少なくとも一方向に回転させるようレバーアームに駆動連結したモーターと、を含む引出しスライドが提供される。
【0006】
本発明の他の様相によれば、錠止式引出しスライドであって、第1スライド部材と、該第1スライド部材に第1軸に沿って伸張自在に連結した第2スライド部材と、該第2スライド部材から前記第1軸に実質的に直交方向に伸延するピンと、第1スライド部材に関してピボット自在に固定したラッチレシーバにして、前記ピン受け用の開放位置に位置決め自在であり且つ前記ピン保持用の閉位置に位置決め自在のラッチレシーバと、第1スライド部材に関してピボット自在に固定したレバーアームにして、ラッチレシーバのピボット動作を許容する釈放位置と、開放位置へのラッチレバー回転を阻止することでラッチレシーバを閉位置に保持する錠止位置とに位置決め自在のレバーアームと、カムにして、レバーアームのカムフォロワ部分を押してレバーアームをピボット動作させるよう配置したカムと、カムに回転連結したモーターと、を含む錠止式引出しスライドが提供される。
【0007】
本発明の別の様相によれば、錠止式引出しスライドであって、第1スライド部材と、第1軸に沿って第1スライド部材に伸張自在に連結した第2スライド部材と、第2スライド部材から第1軸に実質的に直交方向に伸延するピンと、第1スライド部材に関してピボット自在に固定したラッチレシーバにして、前記ピン受け用の開放位置と、前記ピン保持用の閉位置とに位置決め自在のラッチレシーバと、ラッチレシーバ位置をその開位置方向に偏倚させる構成を有する第1バネと、第1スライド部材に関してピボット自在に固定したレバーアームにして、ラッチレシーバのピボット動作を許容する釈放位置と、開位置へのラッチレバー回転を阻止することでラッチレシーバを閉位置に保持する錠止位置とに位置決め自在のレバーアームと、レバーアームをその錠止位置に偏倚させる構成を有する第2バネと、レバーアームに装着され、加熱されると該レバーアームをその釈放位置に引き寄せる形状記憶合金ワイヤと、を含む錠止式引出しスライドが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、本発明に従う錠止機構を有する引出しスライドの例示図である。
【図2】図2は、図1の部分拡大図である。
【図3】図3は、図1の装置の錠止位置での例示図である。
【図4】図4は、本発明の錠止機構を含むアセンブリの部分拡大図である。
【図5】図5は、本発明の引出しスライドアセンブリに連結した錠止機構用のハウジングの正面図である。
【図6】図6は、本発明の引出しスライドアセンブリに連結した錠止機構用のハウジングの後面図である。
【図7】図7は、本発明に従う錠止機構を有する別態様の引出しスライドの例示図である。
【図8】図8は、図7の動作の例示図である。
【図9】図9は、本発明の錠止機構を含む他のアセンブリの部分拡大図である。
【図10】図10は、本発明の引出しスライドアセンブリに連結した錠止機構用の他のハウジングの正面図である。
【図11】図11は、本発明に従う錠止機構を有する他の引出しスライドの例示図である。
【図12】図12は、本発明に従う錠止機構を有する別態様のアセンブリの部分拡大図である。
【図13】図13は、本発明に従うシステムの部分ブロックダイヤグラム図である。
【図14】図14は、本発明に従うシステムのブロックダイヤグラム図である。
【図15】図15は、本発明の錠止機構を有する引出しスライドの例示図である。
【図16】図16は、図15の部分拡大図である。
【図17】図17A−17Dは、本発明のレバーアームの実施例の例示図である。
【図18】図18、18A、18Bは、本発明の引出しスライド及び錠止機構の更に他の例示図である。
【図19】図19、19Aは、本発明の引出しスライド及び錠止機構の更に他の例示図である。
【図20】図20、20A、20Bは、本発明の錠止機構を有する引出しスライドの更に他の例示図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1には本発明の1実施例に従う、錠止機構104付きの引出しスライド102が例示される。一般に、図1の実施例では、引出しスライドの被取り付け部分に当該引出しスライドと共に移動するラッチアームが取り付けられ、引出しスライドの被取り付け部分に連結したラッチレシーバ115がキャビネット位置を維持する。ラッチレシーバは図示の如くキャビネットに取り付ける引出しスライド部材の一部に連結されるが、他の実施例ではキャビネットに取り付け得る。大抵の実施例ではラッチレシーバと錠止機構とは引出しスライド部材の動作範囲で動作し得る寸法形状とされ、他の実施例では引出しスライドの動作範囲内に配置される。引出しスライドの動作範囲は一般に、キャビネット壁と引出しとの間の距離未満あるいはそれに等しい幅と、引出しの高さとほぼ同じまたはそれ未満の高さとを有する空間である。ある実施例では錠止機構及び又は当該錠止機構の各コンポーネントを含むコンポーネントの厚さは約1.27cm(1/2インチ)である。
【0010】
ラッチレシーバは引出しスライドが閉位置またはほぼ閉位置になる場合にラッチアームを受ける。ラッチレシーバは、モーター119の動作によりその錠止及び解錠の各位置間を可動であるレバーアーム117によりその錠止位置に維持される。ある実施例ではラッチレシーバはレバーアームの頂部と係合してその錠止位置に維持される。ある実施例ではラッチレシーバはバネによりその解錠または非錠止位置方向に偏倚される。例えばモーター及び関連する駆動機構によりレバーアームをその非錠止位置に移動させるとラッチレシーバが釈放されてその非錠止位置に移動する。
【0011】
図1に示す如く、引出しスライド102は、伸縮性の3部材、即ち、キャビネット取り付け用構成を有する外側スライド部材106と、引出し取り付け用構成を有する内側スライド部材108と、外側及び内側の各スライド部材間に連結した中間スライド部材110とを含む。3つの各スライド部材は、長手方向ウェブ(例えば、参照番号112で示す、内側スライド部材108の長手方向ウェブ)と、このウェブの長手方向に沿った支承用のレースウェイとを含む。他の実施例では各スライド部材の使用数はもっと多いまたはもっと少なく、また他の実施例では異なる形式の引出しスライド部材、例えば、上下の各スライド、アンダーマウント式スライド、摩擦スライド、あるいはその他形式のスライドが使用され得る。
【0012】
3つの引出しスライド部材は実施例の多くではボールベアリングによりスライド自在または回転自在に連結され、中間スライド部材は外側スライド部材内に入れ子され、内側スライド部材は結局、中間スライド部材内に入れ子される。スライドを閉位置とした状態でキャビネット及び引出しに取り付けると、中間スライド部材及び内側スライド部材は実質的に外側スライド部材の容積内部に配置される。
【0013】
内側スライド部材は、当該内側スライド部材のウェブから中間スライド部材のウェブ方向に伸延するピン116を担持する。図1に示すように、ピンは内側スライド部材のウェブの延長部114から伸延する。延長部114(明瞭化のために部分的に透明化して示す)は、内側スライド部材の略後方に伸延される。ある実施例では図1に例示する如き延長部は内側スライド部材の長手方向ウェブの横幅未満の長手方向幅を有する。
【0014】
前記ピンは、例えば、ピン自体をリベットとするリベット法により内側スライド部材の延長部に溶接あるいはそうでなければ装着され得る。他の実施例ではピンを内側スライド部材の材料から作製し、内側スライド部材の材料から打ち抜きまたはプレス成型し得る。
【0015】
錠止機構は、組み合わせ状態下にラッチレシーバ内でピンを捕捉して内側スライド部材をその閉位置または錠止位置に固定するコンポーネントを含む。逆に、錠止機構の各コンポーネントはラッチレシーバからピンを釈放するようにも動作して内側スライド部材を釈放し、内側スライド部材をその開位置に復帰させ得る。ラッチレシーバがピンを捕捉すると、ピン及び結局は内側スライド部材の開放位置への移動が防止される。かくして、ピンをラッチアームと見なし得、ピン及びラッチレシーバをラッチと見なし得る。
【0016】
図1の実施例の部分拡大図を示す図2に示す如く、錠止機構は捩またはリベット220によりハウジングベース222に回転自在に取り付けたラッチレシーバ218を含む。あるいはある実施例ではラッチレシーバは外側スライド部材またはキャビネットフレームに取り付け得る。ラッチレシーバは、ラッチレシーバから伸延する2本の脚部、即ち第1脚部224及び第2脚部226がその間部分にピン受け用の凹部228を画定する、全体にU字形を有する。全体にU字形状の当該ラッチレシーバの一方側からは凹部にほぼ直交する第3脚部230が伸延する。前記凹部の開口は前記解錠または非錠止位置では錠止機構の“正面側”端部232を向く。当該位置ではピン216は凹部に関して出入り可能とされ、かくして内側スライド部材の前方移動または伸張を許容し、従って、内側スライド部材に連結した引出しを開放させる。
【0017】
図2の実施例ではラッチレシーバ218は第1バネ234によりその解錠または非錠止位置に偏倚されている。第1バネはラッチレシーバの、凹部とはほぼ反対側に位置決めされる。第1バネの他端は、ハウジングベースから伸延する梁または支柱を介して当該ハウジングベースに連結され、ラッチレシーバがその閉位置に回転する際にバネ力に対する反作用を提供し、かくしてラッチレシーバをその開位置方向に偏倚(回転)させる。バンパ236が、ラッチレシーバがその開位置にある場合にラッチレシーバの第3脚部と係合するよう位置決めされる。バンパは、当該バンパが第3脚部と接触する際の騒音低下用の柔軟撓み性のシェル、例えばラバー製のシェルを含むことが好ましい。バンパは、第3脚部と係合し、凹部がピン受け位置に位置決めされた場合に第1バネからの偏倚力に抗してラッチレシーバの回転を停止させるよう位置決めされる。第1バネがラッチレシーバを常偏倚させ、第3脚部がバンパに接触して当該偏倚に反作用するため、ラッチレシーバは然るべき位置に確実に保持され、当該位置から誤脱しない。図1を参照するに、引出しスライドアセンブリを閉じるとピン116がラッチレシーバと係合して内側スライド部材を押し、ラッチレシーバはその閉位置または錠止位置を取る。引出しスライドアセンブリを閉じる間、凹部の開口部は引出しスライド102の移動方向にほぼ直交する方向に回転し、ピンが第1及び第2の各脚部間で凹部内に捕捉される。当該位置にある間、全体にU字形のラッチレシーバの第1脚部がピンの前方移動を防止し、かくして内側スライド部材及び引出しの前方移動を防止する。
【0018】
再度図2を参照するに、錠止機構には、駆動するとラッチレシーバからピンを釈放させる駆動アセンブリも含まれる。当該駆動アセンブリの各コンポーネントには、レバーアーム238と、モーター240と、モーターカム242とが含まれる。レバーアーム238は駆動アセンブリによりラッチレシーバを錠止及び解錠させるよう位置決めされる。
レバーアームは実質的に平坦で且つ全体に矩形形状を有する。レバーアームの、上端部246からほぼ1/3の距離の位置には、ハウジングベース取り付け用のピンまたはリベットを挿通する孔244が画定される。ピンまたはリベットはレバーアーム回転の支点を提供する。レバーアームの前記上端部と反対側の端部には、モーターのカムと係合する構成を有するカムフォロワ248が形成される。
【0019】
レバーアームは、その上部をラッチレシーバの第3脚部230の移動通路内に配置させる状態下に、第2バネ250により図2に示す準備位置、または“錠止”位置に偏倚される。前記準備位置において、第2バネはモーターカムに抗してカムフォロワをも偏倚させる。ある実施例ではモーターカムの表面は、モーターの1動作周期(例えば1/4回転、1/2回転)においてモーターカムがカム位置に回転し、レバーアームを第3脚部の移動通路252にはみ出して回転させるに十分な強さでカムフォロワ表面を押すような設計形状とされる。モーターを停止させるとモーターカムは第3バネ254により回転し、その非カム位置に戻され得る。第3バネはモーターカム及び支柱に連結され、かくしてモーターカムをその非カム位置に偏倚させる。モーターが停止すると第3バネは停止したモーターの抵抗に打ち勝ってモーターカムをその非カム位置に復帰させる。また、ある実施例では、図2に例示する如きモーターカムは、何れもモーターカムから伸延するアームの形状を有するカム位置ストッパ及び非カム位置ストッパとを含む。両ストッパはカム位置及び非カム位置の夫々においてカムの過回転を防止する。
【0020】
モーターカムはカムフォロワと係合してレバーアームをその開位置に回転させ、これによりレバーアームの上端部はラッチレシーバの第3脚部との錠止係合状態から外れて移動する。モーターカムは、モーターの回転によりカムフォロワに抗して押送され、第2及び第3の各バネのバネ力に打ち勝って回転するようにモーターに連結され、また、ラッチレシーバの第3脚部がレバーアームの頂部を超えるようにレバーアームを回転させる。
モーター240はワイヤ256を介して送電される。電力はバッテリー、または自家発電あるいはバックアップその他の、家庭または商業用の一般電源出力により、あるいはそれらを通して供給され得る。モーターは所望時に応じてバネまたはその他からの力に打ち勝ってレバーアームを回転させ得るに十分なトルクを持つ任意のモーターであり得る。例えば、モーターはギヤモーター、ステップモーターその他であり得る。
【0021】
一般に、モーターはボタン、スイッチまたは類似装置を使用して所望時に起動される。ある実施例ではモーター用の駆動回路が設けられ、当該駆動回路が、キーパッド、好ましくは無線送信機からの暗号化信号、またはその他方法による、好ましくは暗号化された、引き出し開放の承認要求信号の受信によるパスワードまたは識別番号入力により起動され得る。
図3には、本発明に従う実施例の図2の装置がその錠止位置で示される。例えば、引き出しの中身へのアクセスが終了すると、ユーザーは引出しを閉じて引出しスライドを引込め、かくして内側スライド部材を錠止機構方向に移動させる。図2に示すように、ピン316が引出しスライドアセンブリの内側スライド部材322のウェブ320の後方位置から直交方向に伸延する。ラッチレシーバ324がピンの移動通路内に位置決めされ、ラッチレシーバがピンを受ける凹部を含んでいる。図3に示す如く、ピンはラッチレシーバの凹部内に配置される。ラッチレシーバは第1バネ326によりその開位置に常偏倚され、前記凹部がピンを受けるべく位置決めされ、当該ピンが第1バネの偏倚力に打ち勝って動作するとラッチレシーバはその閉位置に回転する。ラッチレシーバは、モーター328が動作するとラッチレシーバを釈放するレバーアーム302により図3に示す如き閉位置に維持される。
【0022】
従って、内側スライド部材がその閉位置方向に移動するとピンはラッチレシーバの凹部に達する。ユーザーが引出しを閉じるべくスライドさせ続けるとピンが、全体にU字型のラッチレシーバの、当該ピンの移動通路内にある第2脚部330を押す。第2脚部に対するピンの抗力が第1バネの偏倚力に打ち勝つとラッチレシーバはその開位置、または非錠止位置から図3に示す閉位置または錠止位置に回転する。
ラッチレシーバの前記回転によりラッチレシーバの第3脚部306はバンパから離間する方向にも回転する。図3に示す如く、レバーアームはラッチレシーバの第3脚部の移動通路内にある。従って、ラッチレシーバの第3脚部はその回転中にレバーアームと接触または当接する。しかしながら、ラッチレシーバの第2脚部に抗してのピンの回転力は、レバーアームと係合しかつ当該レバーアームをラッチレシーバに関するその準備位置または錠止位置に保持する第2バネ350のバネ力に打ち勝つに十分大きい。従って、レバーアーム302の上端部は第3脚部により押し退けられ、支点、またはピボット点を中心として回転する。レバーアーム304の底端部が回転すると第2バネが圧縮される。
【0023】
然し乍ら、図3に示すように、圧縮された第2バネによるレバーアームの底端部への抗力のため、レバーアームは第3脚部がレバーアーム308の上端部を超えるとその錠止位置に復帰する。レバーアームの上端部と第3脚部の底端部とが係合することでラッチレシーバの開位置への逆転が防止され、かくしてピン、内側スライド部材、引出しがその閉位置に錠止される。
駆動回路が暗号化信号その他を受信した後、例えばボタンを押す、スイッチを入れる、等によりモーターを起動させるとラッチレシーバはその開位置に戻る。モーターを起動するとモーターカム334が回転する。モーターカムの表面とレバーアームのカムフォロワ336の表面とは、第2バネの偏倚力及び、レバーアームの上端部と第3脚部の底端部との間の、レバーアームをそのピボット点を中心として回転させる摩擦力に打ち勝つに十分な力で係合する。レバーアームは回転するとその上端部がラッチレシーバの第3脚部の移動通路にはみ出して移動する。第3脚部がレバーアームと非接触状態になると第1バネがラッチレシーバをその非錠止位置に回転させ、第3脚部をその移動通路に沿ってバンパ338と再度係合するまで揺動させ、かくしてラッチレシーバの前記回転を停止させる。従って、ピン、内側スライド部材、引出しは前方伸張位置に関して自由移動状態となる。
【0024】
ピンの前方移動はハウジング340内の図示しない圧縮バネにより支援される。圧縮バネの一端は引出しスライドアセンブリの中間スライド部材に支承されるプランジャに連結される。引出しスライドを閉じるに従い、中間スライド部材はシャフトを介して圧縮バネを圧縮する。ラッチレバーがピンを釈放すると圧縮バネがその開放支援力で中間スライド部材を押し、かくして内側スライド部材及び引出しがその開位置に移動する。
図4には、本発明の1実施例に従う錠止機構を含むアセンブリの分解斜視図が例示される。ハウジングはカバー404と、底部408と、を含み、ハウジングは例えば、図1、図2及び図3の錠止機構を格納するために使用され得る。ハウジングは、例えば取り付け用孔418を用いて引出しスライド部材またはキャビネットに取り付ける構成とされる。ハウジングはある実施例では、引出しスライドの動作範囲内に格納した錠止機構の仕様を容易化させるべく、関連する引出しのウェブに対する直交方向で、例えば、約1.27cm(約1/2インチ)の薄さとされる。カバーは開放スロット402を含む。開放スロットは、図4に示すようにカバーの略前縁に形成され、錠止機構の内部コンポーネントへのアクセスを提供し、かくしてそれらコンポーネントとの係合を容易化させる。内側スライド部材がその閉位置を取るべく錠止機構に接近すると、内側スライド部材の延長部が開放スロット内に受けられる。カバーの下方で略開放スロット位置に配置したラッチレシーバ420は、ピンと、従って内側スライド部材とのその開位置への移動が防止されるようにピンを内側スライド部材上で捕捉する構成を有する。
【0025】
図4の実施例では錠止機構はラッチレシーバと、ラッチレシーバをその閉位置または錠止位置に錠止するレバーアーム422と、レバーアームを回転させてラッチレシーバを釈放させるモーター424及びカム426と、を含む。
ハウジング内には、引出しスライド及び引き出し用の開放支援特徴を提供する自動開放支援機構406が設けられる。ある実施例では開放支援機構はハウジング内で、引出しスライドアセンブリの一部、例えば中間スライド部材と係合するよう位置決めされる。開放支援機構は、バネ等の偏倚部材414に連結したプランジャ412を組み込んだバネハウジング410を含む。ある実施例では、引出しスライドを閉じる際にプランジャに中間スライド部材が接触し、かくしてプランジャがハウジング内で偏倚部材を圧縮する。従って偏倚部材が中間スライド部材を前方に偏倚させ、他方、内側スライド部材が然るべく錠止される。然し乍ら、ラッチレシーバがその非錠止位置に移動すると偏倚部材による偏倚力で中間スライド部材がプランジャを介して前方に押され、内側スライド部材及び引出しを少なくとも若干開放する位置に移動させる。
【0026】
図5には、引出しスライドアセンブリに連結した、錠止機構用ハウジングの前方部分が示される。図示の如く、引出しスライドアセンブリは閉位置または錠止位置にある。本実施例では上方カバー502は内側スライド部材510の延長部506を受ける開放スロット504を含む。延長部は、上方カバーの下方で且つ開放スロットの画定する輪郭範囲に位置決めしたラッチ部材と係合する。
図6には本発明の1実施例に従う錠止機構用ハウジングの、引出しスライドアセンブリに連結した裏面が示される。図示の如く、ハウジングは延長リップ部602(仮想線で示す)を含み、当該延長リップ部には、番号604で表すネジ、ボルト、リベットその他の、当該延長リップ部を、従ってハウジングを外側スライド部材606に連結する部材を受ける2つの取り付け用孔を含む。ハウジングは更に、例えば図1〜4に関して議論した如き、ラッチレシーバ及びレバーアーム用のピン用の孔を含む。
【0027】
図7には本発明の1様相に従う錠止機構付きの他の引出しスライドが例示される。錠止機構はネジまたはリベット720を用いてハウジングベース722に回転自在に取り付けたラッチレシーバ718を含む。あるいはある実施例では、ラッチレシーバは外側スライド部材またはキャビネットフレームに取り付け得る。ラッチレシーバと錠止機構とは引出しスライドの動作範囲(引出しからキャビネットの間)で使用するための薄さを有する。ラッチレシーバは全体に、例えばU字形状を有し、伸延する2本の脚部が凹部を形成する。図7に示すように、第1脚部724と第2脚部726とが、その間部分にピン716を受ける凹部を画定する。テール部とも称し得る第3脚部730が全体にU字型のラッチレシーバの一方側から、第1及び第2の各脚部とほぼ直交して伸延される。
【0028】
引出しスライドの内側スライド部材702のウェブ720の後方位置に装着した延長部714から直交方向にピン716が伸延される。延長部は注型金属製であり得、リベットで内側スライド部材に装着され得る。図7では引出しスライドと錠止機構とは閉位置且つ錠止位置で示される。ラッチレシーバの第1及び第2の各脚部は引出しスライドの移動方向にほぼ直交して回転し、ピンは第1及び第2の各脚部間の凹部内に捕捉される。全体にU字型のラッチレシーバの第1脚部は前記位置においてピンの前方移動を防止し、従って内側スライド部材及び引出しの前方移動を防止する。ラッチレシーバは第1バネ734により閉位置から離されてその開位置に偏倚される。第1バネは凹部に関してラッチレシーバの略反対側の位置でラッチレシーバに連結される。第1バネの他端は、ハウジング底部から伸延する梁または支柱を介してハウジング底部に連結され、ラッチレシーバがその閉位置に回転する際し、かくして第1バネがラッチレシーバを偏倚させてその開位置に回転させる際にバネ力を創出する反作用を提供する。
【0029】
レバーアーム738はラッチレシーバを閉位置に維持する。レバーアームは実質的に平坦で且つ全体に矩形形状を有する。レバーアームの略中間長さ位置上には、ハウジングベースへの取り付け用ピンまたはリベットを挿通する孔744が画定される。ピンまたはリベットはレバーアームのピボット廻動の支点を提供する。レバーアームの上端部746と第3脚部の底端部とが係合してラッチレシーバの開位置への回転を防止し、かくしてピンと、内側スライド部材と、引出しとをそれらの閉位置に錠止する。レバーアームは、第2バネ750により図7に示す錠止位置に偏倚され、その上端部がラッチレシーバの第3脚部の移動通路に配置される。
【0030】
錠止機構には、起動するとラッチレシーバからピンを釈放させる駆動アセンブリをも含む。駆動アセンブリのコンポーネントにはモーター740とモーターカム742とが含まれる。
第2バネはその錠止位置において、レバーアームの上端部とは反対側の端部位置に形成したカムフォロワ748をも偏倚させてモーターカムに押し付ける。1実施例ではモーターカムの表面は、モーターが第1方向に回転動作するとカム位置に移動し、レバーアームが回転して第3脚部の移動通路にはみ出るに十分な力でカムフォロワの表面を押すような設計形状を有する。次いでラッチレシーバが第1バネによりその開位置に回転する。モーターが第1方向とは逆の第2方向に回転動作するとモーターカムは非カム位置に戻る。更に、ある実施例では図7に示すように、モーターカムは、何れもモーターカムから伸延するアーム形態を有するカム位置ストッパ及び非カム位置ストッパを含む。各ストッパはカム位置及び非カム位置におけるカムの過回転を防止する。
【0031】
モーター740はモーターワイヤ756を介して送電される。電力はバッテリーまたは自家発電あるいはバックアップその他の、家庭または商業用の一般電源出力あるいはそれらを通してモーターに供給され得る。モーターは所望時に応じてバネまたはその他力に打ち勝ってレバーアームを回転させ得るに十分なトルクを持つ任意の可逆モーターであり得る。例えば、モーターはギヤモーター、ステップモーターその他であり得る。
一般に、モーターはボタン、スイッチまたは類似装置を使用して所望時に起動される。ある実施例ではモーター用の駆動回路が設けられ、当該駆動回路が、キーパッド、好ましくは無線送信機からの暗号化信号、またはその他方法による、好ましくは暗号化された、引き出し開放の承認要求信号の受信によるパスワードまたは識別番号入力により起動され得る。
【0032】
錠止機構にはラッチレシーバが閉位置にあるか否かを信号出力するセンサが含まれ得る。センサはスイッチ772を使用してラッチレバーの閉状況を電気的に表示する。スイッチはスナップ動作スイッチであり得る。スイッチはセンサワイヤ776を介して、例えば表示装置またはアラームに連結される。図7ではセンサアクチベータ774を使用してラッチレシーバをスイッチに連結している。センサアクチベータは全体にL字型を有し、当該L字形状の角部付近をそのピボット点とする状態でハウジングベースに取り付けられる。ラッチレシーバが閉位置を取ると当該ラッチレシーバの第3脚部がセンサアクチベータの脚部の一方を移動させて他方の脚部をスイッチと接触させ、かくしてラッチレシーバが閉位置にある信号が出力される。
【0033】
錠止機構には手動釈放手段780も含まれ得る。手動釈放手段は、カムフォロワに近いレバーアームの端部から伸延される。手動釈放手段をモーターカムから離す方向に移動させるとレバーアームがその非錠止位置に移動し、ラッチレバーがその開位置に移動可能となる。手動釈放手段は、例えば、停電によるモーター不動時に利用し得る。
図8には図7の装置がその開位置において例示される。ラッチレシーバ818の凹部828の開口部はラッチレバーが開位置にある場合は錠止機構の“正面”側端部方向を向く。この位置ではピン816は凹部から出入り自由であるため、内側スライド部材801の前方移動または伸張を許容し、かくして当該内側スライド部材に連結した引出しを開放させ得る。
【0034】
ラッチレバーは、モーター840を起動してモーターカム842を回転させることによりその開位置を取る。モーターカムの表面と、レバーアームのカムフォロワ848の表面とは、第2バネ850の偏倚力及び、レバーアーム838の上端部と、ラッチレシーバの第3脚部830の底端部との間の摩擦力とに打ち勝つに十分な力でレバーアームをそのピボット点を中心として回転させることにより係合する。レバーアームの頂端部はレバーアームが回転するとラッチレシーバの第3脚部の移動通路にはみ出る。第1バネ834は、第3脚部がレバーアームと接触しない状態下にラッチレシーバをその開位置に偏倚させ、第3脚部がその移動通路に沿って揺動してバンパ836と係合するとその回転動作が停止する。バンパは、第3脚部との接触時に生ずる騒音を低下する、柔軟撓み性のシェル、例えばラバー製のシェルを含むことが好ましい。バンパは、第3脚部と係合し、凹部がピン受け位置に位置決めされた場合に第1バネからの偏倚力に抗してラッチレシーバの回転を停止させるよう位置決めされる。第1バネがラッチレシーバを常偏倚させ、第3脚部がバンパに接触して当該偏倚に反作用するため、ラッチレシーバは然るべき位置に確実に保持される。
【0035】
ラッチレシーバがその開位置に移動すると、ハウジング822内の圧縮バネ(図示せず)によりピンの前方移動が支援される。圧縮バネの一端は、本実施例では引出しスライドアセンブリの中間スライド部材に支承されるところのプランジャに連結される。引出しスライドを閉じると中間スライド部材はシャフトを介して圧縮バネを圧縮する。ラッチレシーバからピンが釈放されると圧縮バネが開放支援力を提供して中間スライド部材を、従って内側スライド部材及び引出しをその開位置に押し出す。
ラッチレシーバはその開位置ではピンの移動通路内に位置決めされ、ラッチレシーバの凹部はピン受け位置に位置決めされる。例えば、引出しの中身へのアクセス完了後、引出しスライドを閉じて錠止機構を錠止するには、ユーザーは引出しを閉じ、引出しスライドを閉じて内側スライド部材を錠止位置方向に移動させ得る。内側スライド部材がその閉位置方向に移動するとピンがラッチレシーバの凹部に入る。ピンがラッチレシーバと係合するとピンはラッチレシーバを閉位置に回転させる第1バネの偏倚力に打ち勝ってラッチレシーバの第2脚部826に抗して移動する。
【0036】
ラッチレシーバが回転するとその第3脚部も回転してバンパから離間する。図8に示す如く、レバーアームはラッチレシーバの第3脚部の移動通路内にある.従って、ラッチレシーバの第3脚部はその回転中にレバーアームと接触または当接する。然し乍ら、ラッチレシーバの第2脚部に抗してのピンによる回転力は、レバーアームと係合して当該レバーアームをラッチレシーバに関するその錠止位置に保持する第2バネによるバネ力に打ち勝つに十分大きい。従って、レバーアームの上端部は第3脚部により押し退けられ、そのピボット点を中心として回転される。レバーアームの底端部が回転すると第2バネが圧縮される。
【0037】
然し乍ら図8に示す如く、レバーアームの底端部に接触して圧縮された第2バネの偏倚力により、レバーアームは第3脚部がレバーアームの上端部を超えた後、その錠止位置に復帰する。レバーアームの上端部と第3脚部の底端部とが係合することで、その開位置へのラッチレシーバの逆回転が防止され、かくしてピンと、内側スライド部材と、引出しとがその閉位置に錠止される。
図9には、本発明に従う錠止機構を含むアセンブリの略分解図が示される。ハウジングはカバー904及びベース部908を含み、また、例えば図7及び図8の錠止機構を格納するために用い得る。ハウジングは、例えば取り付け用孔918を利用して引出しスライド部材またはキャビネットに取り付ける構成を有する。カバーは開放スロット902を含む。図9に示すように、開放スロットはカバーの略前縁に形成され、錠止機構の内部コンポーネントへのアクセスを提供し、かくしてそれらコンポーネントとの係合を容易化させる。内側スライド部材がその閉位置を取るべく錠止機構に接近すると、内側スライド部材の延長部が開放スロット内に受けられる。カバーの下方で略開放スロット位置に配置したラッチレシーバ920は、ピンと、従って内側スライド部材とのその開位置への移動が防止されるようにピンを内側スライド部材上で捕捉する構成を有する。
【0038】
図9の実施例では錠止機構はラッチレシーバと、ラッチレシーバをその閉位置または錠止位置に錠止するレバーアーム922と、レバーアームを回転させてラッチレシーバを釈放させるための、モーター924及びモーターカム926とを含む。
ハウジング内には、引出しスライド及び引出しに開放支援特徴を提供する自動開放支援機構906が設けられる。ある実施例では開放支援機構906は引出しスライドアセンブリの一部分、例えば中間スライド部材と係合するようにハウジング内で位置決めされる。開放支援機構には、バネ等の偏倚部材914に連結したプランジャ912を組み込んだバネハウジング910を含む。ある実施例では、引出しスライドを閉じる際にプランジャが中間スライド部材と接触し、かくしてプランジャがハウジング内の偏倚部材を圧縮する。従って、偏倚部材は内側スライド部材が然るべく錠止される間、中間スライド部材を前方に偏倚させる。しかしながら、ラッチレシーバがその非錠止位置に移動すると偏倚部材による偏倚力が中間スライド部材をプランジャを介して前方に押し出し、内側スライド部材及び引出しを少なくとも若干開放する位置に移動させる。
【0039】
図10には錠止機構のハウジング前部を引出しスライドアセンブリに連結した状況が示される。図示の如く、引出しスライドアセンブリは閉じた錠止位置にある。この実施例では上部カバー1002が、内側スライド部材の延長部1006を受ける開放スロット1004を含む。延長部は、上部カバーの下方で且つ開放スロットにより画定される輪郭内に位置決めしたラッチレシーバと係合するピン1008を担持する。手動釈放手段1080がハウジングの下端部から伸延する。
図11には本発明の1様相に従う他の錠止機構が例示される。当該錠止機構は一般に、図7の錠止機構の各コンポーネントを含む。然し乍ら図11の実施例はラッチレシーバ1124をその閉位置に保持する戻り止め1151を含む。戻り止めはラッチレシーバの第3脚部1106を保持する。
【0040】
図11では錠止機構は開放した非錠止位置で例示される。錠止機構は、モーター1128を起動させてカム1134を回転させ、レバーアーム1102をその錠止位置から非錠止位置に移動させることで、その閉じた錠止位置から開放し始める。レバーアームがその錠止位置にあると、その上端部1108はラッチレシーバの第3脚部の移動を阻止する。レバーアームがその非錠止位置にあると、その上端部は図11に示す位置に移動され、ラッチレシーバの第3脚部の移動を阻止しない。図11に示す錠止機構は開放支援機構を持たず、かくして、ラッチレシーバの第3脚部の移動は戻り止めにより拘束され、ラッチレシーバは第3脚部が戻り止めを超えて移動するに十分な力が負荷されるまでその閉位置に保持される。前記十分な力はピン1116に連結した内側スライド部材1122に取り付けた引出しを引き出すことにより付加され得る。ピンがラッチレシーバの第1脚部1131を押してラッチレシーバを回転させるとその第3脚部が戻り止めを超えて移動する。ラッチレシーバの第3脚部が戻り止めを超えると、ラッチレバーはラッチレシーバの第3脚部がバンパ1138によりその開位置に阻止されるまで第1バネ1126の力により回転する。
【0041】
錠止機構を閉じると本来逆の開放シーケンスが生じる。例えば、引出しへのアクセス完了後、ユーザーが引出しを閉じると内側スライド部材は錠止機構方向に移動する。内側スライド部材の後方部分から伸延するピンがラッチレシーバの第2脚部1130と接触する。ラッチレシーバは第1バネ1126によりその開放位置に賦勢されるが、第2脚部に抗してのピン移動が第1バネの偏倚力に打ち勝ってラッチレシーバをその閉位置に回転させる。レバーアームがその非錠止位置にあると戻り止めがラッチレシーバをその閉位置に維持する。レバーアームがその錠止位置にあるとレバーアームの上部がラッチレシーバをその閉位置に保持し、かくして引出しを錠止する。
図12には図11の錠止機構の略分解図が示される。戻り止め1251がハウジングベース1222上の本来の位置の上方に例示されている。戻り止めはリベット1253あるいはその他の締め具を使用してハウジングベースに装着される。ラッチレシーバ1224もまた、ハウジングベース上のその本来の位置の上方に例示され、リベット1225あるいはその他締め具を使用してハウジングベースに装着される。ある実施例ではハウジングベースに合致するカバー1223が錠止機構の各コンポーネントを包囲する。
【0042】
図13には本発明の1様相に従うシステムの略ブロックダイヤグラム図が示される。図13に示す如く、キャビネット1311が複数の引出しを有し、その4つが1313a〜1313dとして示される。各引出しは引出しスライドによりキャビネットに伸張自在に連結される。引出しスライダは、例えば、引出しの裏側に取り付けた裏付け式引出しスライド形態を有し得、あるいは、引出しの対向する各側部に取り付けた伸縮式あるいはその他タイプの引出しスライドであり得る。図13の実施例では各引出しは伸縮式引出しスライド対によりキャビネットに連結され、図では各引出しに関する伸縮式引出しスライド1315a〜1315dが示される。
各伸縮式引出しスライド1315a〜1315dは、相当する錠止機構1317a〜1317dを含み、各錠止機構は図では相当する引出しスライドの略後方に示される。ある実施例では、特定の引き出し用の多数のまたは全ての引出しスライドが錠止機構を備え、他の実施例では1つの引出しスライドのみが錠止機構を備え得る。錠止機構は、例えば、図1及び図2に関して議論したものの如くであり、または、その他の図に関して議論した如きものであり得る。大抵の実施例では錠止機構は、一般にはキャビネットに関する引出しスライド部材の移動を拘束することで各引出しをその閉位置に機械的にラッチ止めし、電子駆動方式により起動されて引出しスライド部材を釈放することでキャビネットに関するその移動を可能とする。加えて、大抵の実施例では1つ以上、あるいは全ての引出しスライドには、引出しスライド部材からの釈放時に引出しを少なくとも部分的に開放させる押し出し装置、例えばバネ駆動式押し出し装置も設けられる。
【0043】
各錠止機構は制御回路1325に電気的に接続される。制御回路は、キャビネット内のまたはキャビネットに連結し得るハウジング1319内に格納され得る。ある実施例では全ての引き出し用の、例えば、各引出しの錠止機構用の個別の電気接続部を有する共通制御回路が設けられる。他の実施例では各引出し用の個別の制御回路を設け得、これら個別の制御回路を別個のハウジング内に格納し得る。制御回路は、例えば各引出し毎の釈放信号を発生する回路を含み得る。大抵の制御回路実施例では制御回路は入力信号を受信し、この入力信号を下に、釈放信号を発信すべきかを判定する。実施例の多くでは制御回路は、入力信号が特定の引出し用の所定パターンと合致すると当該特定の引出し用の釈放信号を発信する。例えばある実施例では制御回路が、受信した入力信号が第1引出し用コードセットに合致すると判定すると釈放信号を発信して第1引出し用釈放信号を発信し、前記制御回路が、受信した入力信号が第2引出し用コードセットと合致すると判定すると第2引出し用釈放信号を発信する。
【0044】
図13に示す実施例では制御回路は、例えばアンテナ1323で無線通信を受けるレシーバ1321から入力信号を受信するが、その他実施例では赤外線その他の無線通信手段を使用できる。ある実施例では電波利用認証(RFID)式カードリーダーあるいは近接センサにより入力信号を受信し得る。更に他の実施例では制御回路はタッチパッド、例えば、コード入力用の数字タッチパッドあるいはその他のハードワイヤード式入力回路による入力信号を受信し得る。レシーバは制御回路と同一ハウジング内に位置付け得、あるいは例えば、タッチパッド使用に際してしばしばそうである如く、ハウジング外部に位置付け得る。
【0045】
制御回路及びレシーバは、電源ユニットを備え得る変換回路によりDC電源に変換されるAC家庭用電源、またはある実施例では発電機電源により送電される。他の実施例では制御回路及びレシーバはバッテリー電力により送電される。ある実施例ではAC商業電源あるいは発電機電源が一次電源とされ、バッテリー電源が一次電源故障時のバックアップ電源とされる。
図14には本発明の1様相に従うシステムの他のブロックダイヤグラム図が示される。図14のシステムではレシーバ及び制御回路1411は、複数の引出しスライド1413a〜1413d用の錠止機構(図示せず)に釈放信号を発信する構成を有する。図14の実施例には4つの引出しスライドが含まれる。別の実施例にはその他数の引出しスライドが含まれ得る。引出しスライドは伸張自在下に各引出しをキャビネットに連結し、先に議論した如き錠止機構を有する。図14の実施例では家庭用電源に連結した電源1415がレシーバ及び制御回路に送電する。制御回路はレシーバがリモートトランスミッタから受けた信号に基づき、引出しに切替自在に釈放信号を提供する構成を有する。リモートトランスミッタからの信号はコード形態を有し得、異なる引出しに対しては異なるコードが使用される。
【0046】
図15には錠止機構1513を持つ引出しスライド1511が例示される。錠止機構は引出しスライドと比較して同等の厚さを有する.ある実施例では錠止機構の厚さは約1.27cm(1/2インチ)である。ラッチアームが引出しスライド上で引出しに連結され且つ引出しと共に移動し、ラッチレシーバが、キャビネットに連結されて当該キャビネットの位置を維持された引き出しに連結される。ラッチレシーバは引出しスライドをその閉位置またはほぼ閉位置にある場合にラッチアームを受ける。ラッチレシーバはレバーアームによりその錠止位置に維持され、レバーアームは形状記憶合金で形成したワイヤの収縮によりその非錠止位置に可動とされる。前記ワイヤの収縮は、例えば、当該ワイヤに電流を通すことにより提供され得る。
【0047】
ある実施例ではラッチレシーバはレバーアームの頂部によりその錠止位置に維持される。ある実施例ではラッチレシーバはバネによりその開放位置あるいは非錠止位置に偏倚され、レバーアームが例えば前記ワイヤ収縮により非錠止位置に移動するとラッチレシーバを釈放してその非錠止位置に移動させる。ある実施例ではワイヤの収縮は瞬間的なものであり、レバーアームはバネによりその錠止位置に偏倚される。ある実施例ではラッチアームは引出しを閉じる際にラッチレシーバをその錠止位置に移動させる。
【0048】
図15の実施例に示す如く、引出しスライドは、キャビネット取り付け用構成を有する外側スライド部材1515と、引出し取り付け用構成を有する内側スライド部材1517と、外側及び内側の各スライド部材間に連結した中間スライド部材1519と、からなる3つのスライド部材を含む伸縮式引出しスライドである。3つの各スライド部材は長手方向ウェブ(例えば、参照番号1520で示す、内側スライド部材の長手方向ウェブ)を含み、当該ウェブの長手方向に沿って支承用レースウェイが設けられる。種々の実施例においてもっと多いあるいはもっと少ない数のスライド部材が使用され、また種々の実施例において異なる形式の引出しスライド部材、例えば、上側及び下側の各スライド、アンダーマウントスライド、摩擦スライド、あるいはその他形式のスライドが使用され得る。
【0049】
多くの実施例ではボールベアリングで連結されるこれら3つの引出しスライド部材は、中間スライド部材を外側スライド部材内に入れ子し、内側スライド部材が結局中間スライド部材内に入れ子された構成を有する。中間及び内側の各スライド部材は、スライドを閉位置下にキャビネット及び引出しに取り付けると実質的に外側スライド部材の容積内に入る。
図16に示すように、内側スライド部材はその後端部方向にピン1621を担持する。図示の如く、ピンは内側スライド部材のウェブから中間スライド部材のウェブ方向に伸延する。内側スライド部材がその閉位置に接近するに従い、ピンは、例えば外側スライド部材に連結したラッチレシーバ1623により受けられる。図16のラッチレシーバに関し、ピンは、都合上図16には錠止位置あるいは閉位置あるいはラッチ止め位置で示すラッチレシーバに接触し且つこれを回転させる。ピンがラッチレシーバに受けられると、ピン及び従って内側スライド部材はその開位置への移動が防止される。かくして、ピンをラッチアームと見なし得、ピン及びラッチレシーバとをラッチと見なし得る。
【0050】
ピンを、例えば、このピンをリベットとするリベット法により内側スライド部材のウェブに溶接あるいはそうでなければ装着し得る。別の実施例ではピンを内側スライド部材の材料から形成し得、また、例えば、内側スライド部材の材料から打ち抜きまたはプレス形成したバヨネットあるいはその他形態に形成し得る。
図16の実施例ではラッチレシーバは幾分U字形状を有し、リベット1625がラッチレシーバのベース部1627を外側スライド部材あるいはその他の、キャビネットに連結したアイテムに連結している。ラッチレシーバの胴部からは2本の脚部、即ち前方脚部1629と後方脚部1631とが伸延し、これら2本の脚部がピン受け用の凹部を形成する。ラッチレシーバの幾分U字型の一方の側部からはテール部1633が伸延される。前記凹部の開口部はラッチレシーバの開位置または非錠止位置ではキャビネットの正面方向を向き、かくしてピンを釈放すると共に内側スライド部材の前方への移動または伸張を許容し、従って、内側スライド部材に連結した引出しの開放を許容する。ラッチレシーバの閉位置または錠止位置では凹部の開口部は引出しスライドの移動方向にほぼ直交する。従って、凹部内にピンが位置付けられた状態において、幾分U字型のラッチレシーバの前方脚部は凹部内のピンの前方移動を防止し、従って引出しスライドの前方移動を防止する。
【0051】
ラッチレシーバはバネ1635によりその開位置あるいは非錠止位置に偏倚される。図16の実施例ではこのバネはラッチレシーバの前方位置で前方脚部及び外側スライド部材に連結される。図16に示す如く、レバーアーム1637がバネ力に反作用を与え、かくしてラッチレシーバをその閉位置または錠止位置に維持する。図16に示す如くレバーアームの頂部が、ラッチレシーバのテール部との接触を介してラッチレシーバの、その開位置への回転を阻止する。レバーアームがその支点1638を中心として回転するとラッチレシーバのテール部がレバーアームの頂部を超えて移動し、かくしてラッチレシーバのバネが、ラッチレシーバのその開位置あるいは非錠止位置への回転を許容する。
【0052】
レバーアームはバネ1639により偏倚されると、その頂部がラッチレシーバのテール部の移動通路に入る錠止位置に移動する。レバーアームはワイヤ1641によりその開位置に回転されると、その頂部がラッチレシーバのテール部から離間される。図16に示す如きワイヤはレバーアームの長手方向に沿ったある位置でレバーアームに連結され、各スライド部材により画定される平面に略平行で且つ当該平面内を伸延して連結部1643に連結される。ワイヤは、動作するとレバーアームのバネによるバネ力に打ち勝ち、ラッチレシーバのテール部がレバーアームの頂部を超えるようにレバーアームをを回転させる。
【0053】
ワイヤは形状記憶合金から形成される。形状記憶合金は一般に、加熱及び冷却によりその形状を変化させ、例えば、カリフォルニア州Costa MesaのDynalloy社からFLEXINOLの商標名で市販される。形状記憶合金の多くは、ワイヤに電流を流す際の抵抗加熱によりしばしば提供される加熱に際して収縮し、印加電流を単に除去して周囲空気で当該合金を冷やすことで提供され得る引き続く冷却により膨張する。ワイヤ形状の形状記憶合金は、その長さに対する表面積が比較的大きいために冷却及びそれに引き続く膨張の時間が短縮される点でしばしば有益である。
【0054】
図16のワイヤは同図の形状記憶合金ワイヤに電流を通して加熱することにより動作する。図16では電流はワイヤの一端を接続した接点を通して送られ、ワイヤの他端はレバーアームの長手方向に沿ったある位置に接続される。ワイヤをレバーアームの支点に接近して配置することで、ワイヤの所定収縮量に対するレバーアーム頂部の移動距離を増大させ得る。
ある実施例では電流提供用電源はバッテリーにより提供され、電流印加量は駆動回路により制御される。バッテリーは、例えば1.5ボルトバッテリーあるいはその他好適なバッテリーとし得る。駆動回路は、電圧あるいは電流調整回路及び、ワイヤへの電力印加時を決定する回路等の回路を含み得、あるいはそれら回路が付帯され得る。
【0055】
別の実施例では、電力は、多目的あるいはバックアップ用発電機あるいはその他から、家庭あるいは商業セッティングで一般に見られるコンセントによりあるいはそれらを介して供給され得る。特に駆動回路を使用する場合は、AC電源をDC電源に変換する変換器を使用し得るが、ある実施例ではAC電源がワイヤに供給され得る。
図16では第1及び第2の2本のワイヤが設けられる。第1ワイヤは通常動作用に使用され得る。第2ワイヤは、例えば第1ワイヤが損傷した場合のバックアップとして使用され得る。更には第2ワイヤには代替エネルギー源、例えばバッテリーと、また例えば、一次エネルギー源の停電あるいは損傷時の恐らくは代替用動作回路を設け得る。バックアップ用としての第2ワイヤの使用及びある実施例における代替用駆動回路の使用は、コンポーネントまたは電源故障時に錠止機構動作を、少なくとも一時的に、例えば専門家による装置動作のリストアを必要とすることなく継続させ得る点で有益である。
【0056】
ある実施例ではワイヤ用駆動回路は、キーパッド、無線トランスミッタからの好ましくは暗号化した信号、あるいは、好ましくは暗号化した、引出し開放承認要求を表示する信号の受信によりパスワードまたは識別番号を入力することで起動される。
暗号化信号の受信時あるいは受信後、駆動回路はワイヤに電流を送り、電流は例えばレバーアームまたはリターンワイヤを通して接地される。ワイヤは抵抗加熱により収縮してレバーアームを引き、ラッチレシーバのテール部の移動通路にはみ出させる。ラッチレシーバのバネがラッチレシーバをその非錠止位置に偏倚させ、かくしてピンが、従って内側引出し部材及び引出しがその前方伸張位置に移動自由となる。
【0057】
引出しスライド及び引出しに自動開放特徴を提供する更に別のバネを設け得る。図16に示す如くバネ1645が、錠止機構をその上部に取り付けまた外側スライド部材をそこに連結するプレートに取り付けられる。当該バネは引出しスライドを閉じる際に、例示される如く中間スライド部材により圧縮されるが、ある実施例では内側スライド部材が使用される。従って、このバネは中間スライド部材を前方に押し出す。中間スライド部材は内側スライド部材が然るべく錠止される状態下に、適正閉じ作動あるいはその他のスライドシーケンス上の特徴を提供するために引出しスライドにおいて一般に見受けられる如き、内側スライド部材上のストッパ(図示せず)により拘束される。しかしながら、ラッチレシーバがその非錠止位置に移動すると中間スライド部材は前方に移動自由となり、内側スライド部材及び引出しを少なくとも若干開放する前方位置に移動させる。
【0058】
引出しの中身へのアクセスを完了したユーザーは引出しを閉じ、スライドを閉じ、かくしてピンを幾分U字型のラッチレシーバの、ピンの移動通路内にある後方脚部に押し当てる。後方脚部へのピンの押し付け力によりラッチレシーバはその開位置あるいは非錠止位置から閉位置あるいは錠止位置に回転する。ある実施例ではワイヤに電流を印加して機能させ、次いで電流を除去してワイヤを伸張させてレバーアームをその錠止位置に復帰させる。然し乍ら実施例の多くでは、ワイヤへの電流は比較的短時間、一般には数秒または数ミリ秒で除去され、ワイヤは一般に数秒以内に冷却され、かくしてレバーアームは、引出しが尚開放し且つラッチレシーバがその開位置にある間にその錠止位置に復帰する。
【0059】
従って、図16の実施例ではレバーアームはラッチレシーバのテール部の移動通路内にある。然し乍ら、ラッチレシーバの第2脚部へのピンの押し付け力はレバーアームのバネによるバネ力に打ち勝つに十分強いため、レバーアームはラッチレシーバのテール部により押し出され、前記テール部がこのレバーアームを超えた後、その錠止位置に復帰する。
図16ではレバーアームの頂部は全体に平坦状に示される。レバーアームは、その錠止位置から非錠止位置に回転するに従い、その頂部と、ラッチレシーバのテール部の側部とが収斂するライン(側方から見て)または非平行平面を画定する。従って、レバーアームとテール部とは、実質的にレバーアーム頂部の移動方向に実質的に直交する単一ライン上で接触し、レバーアームとテール部との間の摩擦接触を好ましく低減させ、かくしてワイヤ収縮による付加力を低減させる。
【0060】
図17A〜図17Dには本発明の1様相に従うレバーアーム実施例が示される。図17Aはレバーアームの側面図を、図17Bは正面図を、図17Cは別の側面図を、図17Dは図17Cに示す線D−Dに沿った断面図を夫々示す。レバーアームは実質的に平坦で且つ全体に矩形形状を有する。プレートその他への取り付け用のピンまたはリベットにして、レバーアーム用の支点を提供するピンまたはリベットを挿通する孔1711が略一端に設けられる。前記支点用の孔からレバーアームの長手方向に沿ってほぼ1/3の距離位置に、前記孔に直交する2つの貫通孔1713a及び1713bが設けられる。各貫通孔は形状記憶合金の各ワイヤを受け得る。やはり支点用孔に直交する更に別の貫通孔1715が、前記支点用孔からレバーアームの長手方向に沿ってほぼ2/3の距離位置に設けられる。当該貫通孔は、その組み込み時にレバーアームを偏倚させるバネを受け得る。図17に示す如く、当該貫通孔を直交方向に通る交叉穿孔717が設けられる。交叉穿孔は、例えば、バネの一端を受け且つ固定する、または同作用を実現するピンを配置するために使用し得る。
【0061】
図18には本発明の1様相に従う更に他のスライド及び錠止機構が例示される。図18Aは図18に示す部分の拡大図であり、図18Bは図18Aに示す線B−Bに沿った断面図である。スライド及び錠止機構は一般に、図15に示すスライド及び錠止機構の各コンポーネントを含む。然し乍ら図18の装置では、形状記憶合金製ワイヤが第2レバーアーム1811を移動させ、この第2レバーアーム1811が、相互連結用バー1813によりレバーアームを移動させる。
図18Aに示す如く、レバーアームは形状記憶合金製ワイヤ用の連結部と第2レバーアームとの間に配置される。図18の実施例では形状記憶合金製ワイヤがレバーアームを通過しまたは貫通して第2レバーアームに装着される。第2レバーアームは、レバーアームと同様にバネ1815によりその錠止位置に偏倚される。形状記憶合金製ワイヤを加熱により収縮させると当該ワイヤが第2レバーアームをレバーアーム方向に引張する。
【0062】
レバーアームに連結したバー1813が第2レバーアームと接触する。第2レバーアームがその支点を中心に回転すると前記バーが前方に偏倚され、レバーアームをその非錠止位置に移動させる。かくして、第2レバーアームはある意味カムとして作用し、バーがカムフォロワとして作用してレバーアームを移動させる。
図18Aに示す如く、バーはレバーアームにピボット廻動自在に連結され、レバーアームはバーの下方(図18Aでの)への移動を防止するストッパを含む。従って、第2レバーアームが前方に移動すると第2レバーアームからバーへの付加力がバー及びストッパの接触を介してレバーアームに伝達される。
【0063】
ある実施例では、第2レバーアームがワイヤ収縮により第2レバーアームがバーを超える十分な距離偏倚され、かくしてレバーアームが、当該レバーアームに連結したバネの付加力によりその錠止位置に復帰するのが好都合である。次いで第2レバーアームは、ワイヤが冷却されて伸張し、ピボット連結したバーが第2レバーアームにより一時的に上方に偏倚されると、第2レバーアームに連結したバネの力によりその錠止位置に復帰し、バーは重力によりあるいはある実施例ではバネによりその常位置に復帰され得る。従って、レバーアームは引出しを開放した実質的に直後に、ワイヤを先ず冷却して伸張させる必要なく、その錠止機能を提供する位置を取り得る。
【0064】
図18の実施例では2本のワイヤを使用する。第1ワイヤ1817は第2レバーアームに連結される。第1ワイヤはレバーアームの上または下を通過し得、あるいはある実施例ではレバーアームを貫通する。第2ワイヤ1819はレバーアームに連結される。かくして、第1ワイヤまたは第2レバーアームに何らかの問題が生じた場合は第2ワイヤを使用して第1のレバーアームを動作させ得る。また、ある実施例では2本のワイヤを同時に用いて各レバーアームに関する引長力を増大させ得る。また、ある実施例では異なるレバーアームに異なるワイヤを連結させるのが、錠止機構の動作上の冗長性が向上する点で有益である。
【0065】
図19には本発明の1様相に従う更に他のスライド及び錠止機構が示される。図19Aは図19に示す部分Aの詳細図である。図19の実施例は一般に、図15の実施例の各コンポーネントを含む。図19の実施例では伸張自在のスライドがレバーアーム1911の前方に配置され、単数あるいは複数のワイヤ1913がレバーアーム後方に伸延される。ワイヤが収縮するとレバーアーム頂部が後方に引張され、かくしてラッチレバーの棚部1915がレバーアーム頂部を超える。あるいは、ラッチレシーバに図15の実施例における如きテール部を組み込み得る。
【0066】
図20には本発明の1様相に従う錠止機構付きの引出しスライドの更に他の実施例が示される。図20Aは図20に示す部分Aの詳細図であり、図20Bは図20Aに示す線B−Bに沿った断面図である。図20の実施例は、図15のそれと同様に3部材式の伸縮式引出しスライドを含んでいるが、種々の実施例においてその他形式の引出しスライドを使用可能である。図20の実施例ではガイドブロック2011がスライド部材の略後方に配置される。ガイドブロックは随意的には、内側スライド部材2015を前方に押して引出しスライドに連結した引出しを若干開放させる構成を有する、自己開放式バネ2013を含む。
【0067】
ガイドブロックは、当該ガイドブロックの長手方向に沿ってシャンク部2019を有するフック2017をも含み、当該フックのヘッド2021が引出しスライドの移動方向を横断して配置される。内側スライド部材はその略後方に、当該内側スライド部材が閉じる際にフックを捕捉するフランジを含む。内側スライド部材は、フックを捕捉あるいはそうでなければ係合するための、そのウェブあるいはその他構造を打ち抜いた捕捉部を、フランジに代えて含み得る。
フックは内側スライド部材を釈放してスライドを開放させるための、内側スライド部材の前記捕捉部から離間して移動自在である。図20の実施例におけるフックの移動は、形状記憶合金製ワイヤ2023の収縮により提供される。ワイヤはガイドブロックの後方から当該ガイドブロック内を通過する。ガイドブロック内に支柱2025が設けられ、ワイヤはこのポストの周囲を通過する際にその方向が90度変化する。ワイヤはフックのシャンク部周囲を部分的に巻いた後支柱に戻り、ガイドブロック後方から出る。
【0068】
例えば、先に議論した如くワイヤに電流を通すことを前提とするワイヤ収縮は、フックのシャンク部を内側スライド部材の捕捉部から離間する方向に屈曲させ、フックのヘッド部を引張して内側スライド部材との係合状態から外して内側スライド部材を釈放し、かくして引出しを開放させ得る。ワイヤを引き続き冷却することで、フックはその係合自在位置に復帰し、内側スライド部材が閉じるとフックを偏倚させて内側スライド部材の捕捉部に係合させ得る。
以上、本発明を実施例を参照して説明したが、本発明の内で種々の変更をなし得ることを理解されたい。
【符号の説明】
【0069】
45 電源
102 スライド
104 錠止機構
106 外側スライド部材
108 内側スライド部材
110 中間スライド部材
112 第1バネ
114 延長部
115 ラッチレシーバ
116 ピン
119 モーター
216 ピン
218 ラッチレシーバ
220 リベット
222 ハウジングベース
224 第1脚部
226 第2脚部
228 凹部
230 第3脚部
232 正面側端部
234 第1バネ
236 バンパ
238 レバーアーム
240 モーター
242 モーターカム
244 孔
246 上端部
248 カムフォロワ
250 第2バネ
252 移動通路
254 第3バネ
256 ワイヤ
302 レバーアーム
306 第3脚部
308 レバーアーム
316 ピン
320 ウェブ
322 内側スライド部材
324 ラッチレシーバ
326 第1バネ
328 モーター
330 第2脚部
334 モーターカム
336 カムフォロワ
338 バンパ
350 第2バネ
402 開放スロット
404 カバー
406 自動開放支援機構
408 底部
410 バネハウジング
412 プランジャ
414 偏倚部材
418 取付け用孔
420 ラッチレシーバ
422 レバーアーム
424 モーター
426 カム
502 上方カバー
504 開放スロット
506 延長部
510 内側スライド部材
602 延長リップ部
606 外側スライド部材
702 内側スライド部材
714 延長部
716 ピン
717 交叉穿孔
718 ラッチレシーバ
720 リベット、ウェブ
722 ハウジングベース
724 第1脚部
726 第2脚部
730 第3脚部
734 第1バネ
738 レバーアーム
740 モーター
742 モーターカム
744 孔
746 上端部
748 カムフォロワ
750 第2バネ
756 モーター電線
772 スイッチ
774 センサアクチベータ
776 センサ電線
780 手動釈放手段
801 内側スライド部材
816 ピン
818 ラッチレシーバ
826 第2脚部
828 凹部
830 第3脚部
834 第1バネ
836 バンパ
838 レバーアーム
840 モーター
842 モーターカム
848 カムフォロワ
850 第2バネ
902 開放スロット
904 カバー
906 自動開放支援機構
908 ベース部
910 バネハウジング
912 プランジャ
914 偏倚部材
918 取付け用孔
920 ラッチレシーバ
922 レバーアーム
924 モーター
926 モーターカム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
錠止機構付き引出しスライドであって、
レースウェイにより境界付けされた細長ウェブを有する外側スライド部材と、
レースウェイ内に入れ子され且つラッチアームを有し、外側スライド部材に関して伸張自在の内側スライド部材と、
前記ラッチアームの移動通路内で外側スライド部材に関して回転自在に取り付けたラッチレシーバと、
前記外側スライド部材に関して回転自在に取り付けられ、少なくとも第1方向においてラッチレシーバの回転を阻止する位置に回転自在のレバーアームと、
前記レバーアームに駆動自在に連結され、前記レバーアームを少なくとも1方向に回転させるモーターと、
を含む引出しスライド。
【請求項2】
前記モーターをカムによりレバーアームに駆動自在に連結した請求項1の引出しスライド。
【請求項3】
前記カムが、ラッチレシーバの少なくとも第1方向への回転を阻止するはみ出し位置にレバーアームを回転させる構成を有する請求項2の引出しスライド。
【請求項4】
前記レバーアームを、少なくとも第1方向でのラッチレシーバの回転を阻止する位置方向に偏倚させるレバーアームバネを更に含む請求項1の引出しスライド。
【請求項5】
前記レバーアームバネが前記第1方向とは反対方向にレバーアームを偏倚させる請求項4の引出しスライド。
【請求項6】
前記ラッチアームがピンである請求項1の引出しスライド。
【請求項7】
前記ピンが内側スライド部材のウェブから伸延する請求項6の引出しスライド。
【請求項8】
前記ラッチレシーバが、ラッチアームを受ける構成を有する凹部を含む請求項1の引出しスライド。
【請求項9】
前記ラッチレシーバをその常開位置に偏倚させるバネを更に含み、前記凹部の開口部がラッチアームの移動通路内にある請求項8の引出しスライド。
【請求項10】
ラッチレシーバからテール部が伸延され、レバーアームがラッチレシーバの少なくとも第1方向での回転を阻止する位置にある場合に前記テール部の回転がレバーアームにより阻止される請求項5の引出しスライド。
【請求項11】
前記ラッチレシーバー、レバーアーム、モーターの厚さが約1.27cmである請求項1の引出しスライド。
【請求項12】
前記ラッチレシーバ、レバーアーム、モーターが、外側及び内側の各スライド部材の動作範囲内に配置される請求項1の引出しスライド。
【請求項13】
錠止用引出しスライドであって、
第1スライド部材と、
第1軸に沿って前記第1スライド部材に伸張自在に連結した第2スライド部材と、
該第2スライド部材から前記第1軸に実質的に直交方向に伸延するピンと、
前記第1スライド部材に関してピボット廻動自在に固定したラッチレシーバにして、前記ピン受け用の開位置と、ピン保持用の閉位置とに位置決め自在のラッチレシーバと、
前記第1スライド部材に関してピボット廻動自在に固定したレバーアームにして、前記ラッチレシーバのピボット廻動を許容する釈放位置と、前記ラッチレシーバの開位置への回転を阻止して該ラッチレシーバをその閉位置に保持する錠止位置とに位置決め自在のレバーアームと、
カムにして、前記レバーアームのカムフォロワ部分を押すことにより前記レバーアームをピボット廻動させる構成を有するカムと、
該カムに回転自在に連結したモーターと、
を含む錠止用引出しスライド。
【請求項14】
前記ラッチレシーバが、第1脚部と、該第1脚部に実質的に平行な第2脚部とを構成するU字形状部分と、
ラッチレシーバのピボット軸から前記第1及び第2の各脚部と実質的に直交する方向で外側に伸延する第3脚部と、
を含む請求項13の引出しスライド。
【請求項15】
前記第1スライド部材に関してしかるべく固定され且つ第3脚部がラッチレシーバの、そのU字形状部分にピンを受ける開位置へのの移動を妨害することによりラッチレシーバの回転を制限するように配置したバンパを更に含む請求項13の引出しスライド。
【請求項16】
前記ラッチレシーバをその開位置方向に偏倚させる構成を有する第1バネを更に含む請求項13の引出しスライド。
【請求項17】
前記レバーアームの位置を前記カム方向に偏倚させる構成を有する第2バネを更に含む請求項13の引出しスライド。
【請求項18】
前記レバーアームに装着した釈放用のタブにして、ラッチレシーバの一部を包囲するハウジングから伸延するタブを更に含む請求項13の引出しスライド。
【請求項19】
前記ラッチレシーバが閉位置にあることを表示する構成を有するセンサを更に含む請求項13の引出しスライド。
【請求項20】
前記センサがマイクロスイッチとL字型アクチュエータを含み、該L字型アクチュエータが、第2スライド部材に関してピボット廻動自在に固定され且つ、ラッチレシーバがその閉位置にある場合に第3アームと接触するとマイクロスイッチを起動させるよう位置決めされる請求項19の引出しスライド。
【請求項21】
前記ピンが、第1軸に沿って且つ第2スライド部材の端部を超えて伸延するタブにより第2スライド部材に装着される請求項13の引出しスライド。
【請求項22】
前記ピンを前記ラッチレシーバから離す方向に前記第2スライド部材が伸延するよう、該第2スライド部材を偏倚させるよう位置決めした開放支援用のバネを更に含む請求項13の引出しスライド。
【請求項23】
前記モーターが可逆モーターであり且つ、第1方向に回転すると前記レバーアームをその釈放位置に位置決めし、第2方向に回転すると前記レバーアームをその錠止位置に位置決めするように前記カムを回転させる構成を有する請求項13の引出しスライド。
【請求項24】
前記ラッチレシーバがその閉位置にある場合に第3アームと係合する様に位置決めした戻り止めを更に含む請求項13の引出しスライド。
【請求項25】
前記レバーアームから離れる方向に前記カムの回転を偏倚させる構成を有する第3バネを更に含む請求項13の引出しスライド。
【請求項26】
錠止用の引出しスライドであって、
第1スライド部材と、
第1軸に沿って該第1スライド部材に伸張自在に連結した第2スライド部材と、
該第2スライド部材から前記第1軸に実質的に直交して伸延するピンと、
前記第1スライド部材に関してピボット廻動自在に固定したラッチレシーバにして、前記ピンを受ける開放位置と、前記ピンを保持する閉位置とに位置決め自在のラッチレシーバと、
該ラッチレシーバの位置を前記開位置方向に偏倚させる第1バネと、
前記第1スライド部材に関してピボット廻動自在に固定したレバーアームにして、前記ラッチレシーバのピボット廻動を許容する釈放位置と、前記ラッチレシーバの開位置への回転を阻止することにより該ラッチレシーバを閉位置に保持する錠止位置とに位置決め自在のレバーアームと、
前記レバーアームの位置を前記錠止位置方向に偏倚させる構成を有する第2バネと、
前記レバーアームに装着され、加熱されると前記レバーアームをその釈放位置に引張する構成を有する形状記憶合金製ワイヤと、
を含む錠止用の引出しスライド
【請求項27】
錠止機構付き引出しスライドであって、
レースウェイにより境界付けされた細長ウェブを有する外側スライド部材と、
前記レースウェイ内に入れ子され、ラッチアームを有する内側スライド部材にして、外側スライド部材に関して伸張自在の内側スライド部材と、
前記ラッチアームの移動通路内で前記外側スライド部材に関して回転自在に取り付けたラッチレシーバと、
前記外側スライド部材に関して回転自在に取り付けたレバーアームにして、前記ラッチレシーバの少なくとも第1方向での回転を阻止する位置に回転自在のレバーアームと、
を含む引出しスライド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17A】
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【図17B】
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【図17C】
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【図17D】
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【図18】
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【図18A】
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【図18B】
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【図19】
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【図19A】
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【図20】
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【図20A】
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【図20B】
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【公表番号】特表2012−525522(P2012−525522A)
【公表日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−508608(P2012−508608)
【出願日】平成22年4月27日(2010.4.27)
【国際出願番号】PCT/US2010/032623
【国際公開番号】WO2010/129303
【国際公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【出願人】(592231723)アキュライド インターナショナル,インコーポレイテッド (6)
【氏名又は名称原語表記】Accuride International,Inc.
【Fターム(参考)】