引率支援方法、引率支援システム及び引率支援装置
【課題】一時的な通信状態の悪化に影響されることなく、引率支援装置を携帯する被引率者の孤立の危険性を判断することができる引率支援方法、引率支援システム及び引率支援装置が望まれていた。
【解決手段】引率者端末が、被引率者端末宛の通信情報を送信する情報要求ステップと、被引率者端末が、当該被引率者端末宛以外の通信情報を中継し、又は当該被引率者端末宛の通信情報を受信し、該通信情報に対する応答を返信する情報応答ステップと、前記引率者端末が、前記通信情報の中継回数に基づいて、当該通信情報を送信した前記被引率者端末の孤立危険性の有無を判断し、孤立危険警告を出力する警告ステップとを有する。
【解決手段】引率者端末が、被引率者端末宛の通信情報を送信する情報要求ステップと、被引率者端末が、当該被引率者端末宛以外の通信情報を中継し、又は当該被引率者端末宛の通信情報を受信し、該通信情報に対する応答を返信する情報応答ステップと、前記引率者端末が、前記通信情報の中継回数に基づいて、当該通信情報を送信した前記被引率者端末の孤立危険性の有無を判断し、孤立危険警告を出力する警告ステップとを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、孤立の危険を警告する引率支援方法、引率支援システム及び引率支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の引率支援装置は、例えば「無線携帯端末10と一又は二以上の無線ICタグ20を用いて人員確認を行う引率管理システムであって、それぞれ移動者ごとに携帯された無線ICタグ20が、所定の信号を発信し、無線携帯端末10が、移動者ごとの個人情報及び各個人情報に対応付けられた信号を記憶する記憶手段15と、無線ICタグから信号を受信する受信手段11と、受信できた信号にもとづき記憶手段15を検索して個人情報を特定し、特定できた個人情報に係る移動者は存在し、記憶手段に記憶されており、かつ、特定できない個人情報に係る移動者は存在しないと判定する信号判定手段12と、この判定結果を出力する存否出力手段13とを備えた」ものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2006−54787号公報(要約)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の引率支援装置は、被引率者(移動者)が集団から孤立する危険性があると判断するための情報として、被引率者が携帯する無線ICタグと引率者が携帯する無線携帯端末間の通信における電波の到達の有無をそのまま被引率者の存在の有無と判断しているため、例えば室内を移動する際に建造物などによって電波が遮蔽されてしまう場合にも被引率者が存在せず、孤立状態であると判定してしまうなど、一時的な通信状態の悪化が、孤立状態の判断に影響するという問題点があった。
【0005】
また、従来の引率支援装置は、被引率者が携帯する無線ICタグと引率者が携帯する無線携帯端末間の通信における電波の到達の有無により被引率者の存否のみを判断しているので、被引率者が孤立しやすい状況であることを判断することができないという問題点があった。
【0006】
したがって、一時的な通信状態の悪化に影響されることなく、引率支援装置を携帯する被引率者の孤立の危険性を判断することができる引率支援方法、引率支援システム及び引率支援装置が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る引率支援方法は、無線通信する機能を有し、通信情報を中継して情報の授受を行う複数の引率支援装置によって構成され、この引率支援装置を携帯する者の行動を管理する引率支援方法であって、前記複数の引率支援装置の端末識別情報が記録される1又は複数の引率支援装置(以下、「引率者端末」と称する)が、記録された全ての前記引率支援装置(以下、「被引率者端末」と称する)宛の通信情報を送信する情報要求ステップと、被引率者端末が、当該被引率者端末宛以外の通信情報を中継し、又は当該被引率者端末宛の通信情報を受信し、該通信情報に対する応答を返信する情報応答ステップと、前記引率者端末が、前記通信情報の中継回数に基づいて、当該通信情報を送信した前記被引率者端末の孤立危険性の有無を判断し、孤立危険警告を出力する警告ステップとを有するものである。
【0008】
また、本発明に係る引率支援システムは、無線通信する機能を有し、通信情報を中継して情報の授受を行う複数の引率支援装置によって構成され、この引率支援装置を携帯する者の行動を管理する引率支援システムであって、前記複数の引率支援装置の端末識別情報が記録され、記録された全ての前記引率支援装置宛の通信情報を送信する1又は複数の引率支援装置(以下、「引率者端末」と称する)と、前記引率者端末に端末識別情報が記録される複数の引率支援装置(以下、「被引率者端末」と称する)とを備え、前記被引率者端末は、当該被引率者端末宛以外の通信情報を中継し、又は当該被引率者端末宛の通信情報を受信して該通信情報に対する応答を返信し、前記引率者端末は、前記通信情報の中継回数に基づいて、当該通信情報を送信した前記被引率者端末の孤立危険性の有無を判断し、孤立危険警告を出力するものである。
【0009】
また、本発明に係る引率支援装置は、無線通信する機能を有し、通信情報を中継して情報の授受を行う複数の引率支援装置によって構成され、この引率支援装置を携帯する者の行動を管理する引率支援システムに用いられる引率支援装置であって、通信情報を送受信する通信部と、当該引率支援装置と通信可能な引率支援装置を特定する端末識別情報が記録される端末データ蓄積部と、前記引率支援装置間で授受される通信情報又は/及び前記端末データ蓄積部に記録された前記端末識別情報に基づいて、孤立危険性の有無を判断する情報解析部と、前記情報解析部の判断結果に応じて、孤立危険警告を出力する情報提示部とを備えたものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、複数の引率支援装置間で授受される通信情報により、引率支援装置の孤立危険性の有無を判断しているので、一時的な通信状態の悪化に影響されることなく、引率支援装置を携帯する被引率者の孤立の危険性を判断することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
実施の形態1.
実施の形態1における引率支援システムは、観光旅行などにおいて集団(グループ)で行動する旅行参加者等の引率される者(以下、「被引率者」という)と、その集団を引率する者(以下、「引率者」という)とにより携帯され、マルチホップによるアドホックネットワークを構成することが可能な引率支援装置10(以下、「端末」ともいう)により構成される。この引率支援システムは、引率者と被引率者とが携帯する引率支援装置10間の通信の際に経由する他端末の数、即ち中継回数(以下、「ホップ数」ともいう)、一定期間内にマルチホップせずに直接通信できる端末の情報とを、ネットワーク構成の状態として判断し、集団が移動する場合などに被引率者が集団から離れる(孤立する)ことを防ぐため、被引率者に対して注意を促すことができ、また引率者に被引率者が孤立又は孤立しつつあることを通知することができるものである。
【0012】
以下、実施の形態においては、観光旅行等における集団の引率を例として説明するが、本発明はこれに限るものでなく、観光目的以外の目的においても適用される。例えば、避難など集団で移動するような場合にも適用可能である。
【0013】
図1は実施の形態1に係る引率支援装置の構成図である。図1において、引率支援装置10は、通信部101、端末操作部102、情報提示部103、情報解析部104、端末データ蓄積部106、通信バッファ107により構成される。この引率支援装置10は、被引率者と、引率者によって携帯されるものである。
【0014】
通信部101は、当該引率支援装置10(以下、「自端末」ともいう)と同等の機能を持つ他の引率支援装置10(以下、「他端末」ともいう)、又はその他の端末と通信を行うための機能部である。通信形式は、例えば赤外線、Bluetooth(登録商標)、無線LANなどの何れの通信方式を用いても良く、また、送受信や回線状況などで適宜通信方式を切り替えるような構成としても良い。
【0015】
端末操作部102は、例えばボタンを有するコントロールパネル、スイッチ、音声入力装置などによって実現され、ユーザからの操作入力に基づき、後述する動作により、通信部101を介したデータ送信を行わせたり、情報提示部103によって表示される孤立警告情報(後述)の提示を中止させたりするなど、ユーザの操作を入力として受け付け、ユーザの操作を各構成部の動作に反映させることを特徴とする機能部である。
【0016】
情報提示部103は、例えば液晶ディスプレイ、スピーカ、バイブレータなどにより実現され、情報解析部104からの指令を受け孤立警告情報(後述)を、音や振動、映像などによって提示することを特徴とする機能部である。
【0017】
情報解析部104は、通信部101が取得したデータを解析、変更後、端末データ蓄積部106に入力することを特徴とする機能部である。また、この情報解析部104は、後述する動作により、当該引率支援装置10の各構成部の動作を制御する。
【0018】
端末データ蓄積部106は、情報解析部104からデータを取得し、通信、端末の状況を解析するのに必要なデータとして、端末識別情報である端末ID、登録日時及び最終アクセス日時(以下、「端末データ」という)を記録、蓄積することを特徴とする機能部である。この端末データ蓄積部106には、後述する動作により、自端末が他端末(他ノード)を経由せずに直接接続可能な端末IDが端末毎に記録される。さらに、引率者が携帯する端末の場合は、引率する被引率者が携帯する全端末IDが記録される。この端末データ蓄積部106に蓄積されるデータ構造を図2に示す。
【0019】
図2は実施の形態1に係る端末データ蓄積部のデータ構造を示す図である。図2において、端末IDは、端末の検索等に用いられ、各端末を識別する固有情報である。登録日時は、この端末IDが、端末データ蓄積部106に登録された日時を示す情報である。最終アクセス日時は、この端末IDを持つ端末と最後に通信した日時を示す情報である。保持ノード数は、応答要求(後述)を受信した際に、受信した端末(ノード)が保持している端末IDの数である。
【0020】
再び図1において、通信バッファ107は、通信部101が送受信するデータを一定期間の間、保持しておくための記憶部である。例えばリングバッファなどの方法を用いて実装され、データを保持してから一定時間以上経過した場合や、一定数以上のデータ送信を行った場合には古いデータは削除される。
【0021】
尚、情報解析部104、端末データ蓄積部106は、回路デバイスのようなハードウェアで構成することもできるし、CPUやマイコンのような演算装置により実行されるソフトウェアとして構成することもできる。ソフトウェアとして実現する場合は、HDD(Hard Disk Drive)等にこれら各部の機能を実現するプログラムを格納しておき、CPUやマイコンなどの演算装置がそのプログラムを読み込んで、プログラムの指示に従って各部の機能に相当する処理を実行することにより、構成することができる。
【0022】
図3は実施の形態1に係る引率支援装置の外観図である。図3(a)はバッチ型の引率支援装置の外観図であり、図3(b)はPDA型の引率支援装置の外観図である。
図3(a)は小型化を目的とした形態であり、例えば、観光客が所属しているグループを示すバッチに端末の機能を組み込むことも可能である。このような形態により引率者又は被引率者の被服などにクリップ、安全ピンなどにより取り付け、又はネックストラップなどにより携帯することが可能である。
図3(b)は、操作性、情報提示性の拡張を目的とした形態であり、例えば、携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assistants)などに引率支援装置10の機能を組み込むことも可能である。このような形態により、引率者又は被引率者がより操作性、情報提示性の拡張を図ることができる。尚、引率支援装置10の形態はこれに限らず、例えば、携帯電話などに引率支援装置10の機能を組み込むことも可能である。
図3(a)及び(b)において、引率支援装置10の全面には、情報提示部103として液晶パネル21と、端末操作部102として操作スイッチ22が設けられている。この液晶パネル21には、後述する動作により、孤立危険情報が表示される。尚、スピーカ、バイブレータを設けて孤立危険情報を報知するようにしても良い。また、操作スイッチ22のボタン操作で、表示、振動、音声などを削除又は停止することができる。
【0023】
このような構成により、本実施の形態1における引率支援装置10は、周囲に存在している通信可能な他端末を探索及び登録し、その後必要に応じて一対一の通信でデータの送受信を行った後、マルチホップで他端末へのデータ転送を行う。そして通信時のホップ数に基づいて、孤立危険警告である警告データの送受信を行い、警告データを受信した端末は警告を発する。このような動作の詳細を、(1)端末探索と登録、(2)情報提供要求の送受信及び転送、(3)情報提供応答の受信及び警告データの送信、(4)警告データの受信及び転送、に分けて次に説明する。
【0024】
(1)端末探索・登録
周囲に存在している通信可能な他端末の探索及び登録を要求する引率支援装置10(以下、「要求側端末」という)の動作と、要求側端末からの要求に対して返信を行う引率支援装置10(以下、「返信側端末」という)の動作とを分けて説明する。
【0025】
図4は実施の形態1に係る要求側における端末探索・登録の動作を示すフローチャート、図5は実施の形態1に係る送受信データの構造を示す図である。まず、要求側端末における端末探索・登録の動作を図4に基づき、図5を参照しながら以下に説明する。
(S301)情報解析部104は、一定の期間毎又は端末操作部102からの指示により登録動作開始し、端末データ蓄積部106に記録された端末データの最終アクセス日時を検索して、期限切れの端末データを削除する。ここで、期限切れの端末データとは、最終アクセス日時の情報が、一定時間以上の更新がないもの、又は、端末データの中で最も最終アクセス日時から経過しているものなどの条件で設定されるものである。
(S302)次に、情報解析部104は、端末データ蓄積部106に格納されている端末データが一定数以上であるか否かを判断する。
(S303)端末データ数が一定数以下である場合には、少なくとも図5(a)に示すような情報を持つ、端末ID送信要求をブロードキャスト(同報送信)する。ここで、ブロードキャストとは、送信先端末IDを特定せずに送信することを意味する。図5(a)において、要求種類1は、当該データがブロードキャストの端末ID送信要求であることを示す情報、要求元端末IDは、当該データをブロードキャストしている要求側端末の端末IDである。尚、この端末ID送信要求を受信した返信側端末の動作は後述する。
(S304)一方、端末データ数が一定数以上の場合、情報解析部104は、記録された端末IDが示す全ての引率支援装置10に対して、接続確認が完了したか否かを判断する。
(S305)ステップ304にて、全ての端末IDに対して接続確認を行ったと判断したとき、登録動作を終了する。
(S306)一方、ステップ304にて、全ての端末IDに対して接続確認及び更新時間の更新を行っていないと判断したとき、端末データ蓄積部106に記録されている端末データから任意の端末IDを選択する。
(S307)通信部101は、選択した端末IDが示す端末に対し、少なくとも図5(c)に示す情報を持つ、接続可能性確認要求を送信する。ここで、図5(c)において、要求種類2は、当該データが接続可能性確認要求であることを示す情報、あて先端末IDは、当該データの送信先端末の端末ID、要求元端末IDは、当該データを送信している要求側端末の端末IDである。
(S308)情報解析部104は、少なくとも図5(d)に示す情報を持ち、接続可能性確認要求に対する返信である接続確認返信の受信有無を判断する。ここで、図5(d)において、返信種類2は、当該データが接続確認返信であることを示す情報、返信要求端末IDは、接続可能性確認要求を送信した要求側端末の端末ID、返信端末IDは、当該データを送信する返信側端末の端末ID、返信端末のノード数は、返信側端末が端末データ蓄積部106に保持している端末データ(端末ID)の数である。
【0026】
(S309)接続確認返信を受信した場合、情報解析部104は、端末データ蓄積部106に格納されている端末データの内、当該接続確認返信に含まれる返信端末IDの最終アクセス日時を現在時刻に更新する。
(S310)情報解析部104は、選択した端末IDが示す端末の接続確認を完了し、ステップS304へ戻り、全ての端末IDに対しての接続確認が完了するまで繰り返す。
(S311,S312)一方、接続確認返信の受信がない場合、一定時間待機後、確認回数のカウントを1加算して、確認回数が一定数以上となるまで、ステップS307からのステップを繰り返し、確認回数が一定数以上となった場合、上述したステップS310へ移行する。
【0027】
次に、上述したステップS303において、要求側端末が、端末ID送信要求をブロードキャストし、この端末ID送信要求を受信した返信側端末の動作を図6に基づき、図5を参照しながら以下に説明する。
【0028】
図6は実施の形態1に係る返信側における端末探索・登録の動作を示すフローチャートである。
(S401)送信側端末の通信部101は、受信した端末ID送信要求から要求元端末IDの情報を取得する。
(S402)情報解析部104は、端末データ蓄積部106に記録された端末データを検索し、当該要求元端末IDが登録されているか否かを確認する。
(S403)当該要求元端末IDが登録されていない場合、当該要求元端末IDを端末データに登録する。
(S404)一方、当該要求元端末IDが登録されている場合、又は、ステップS403で当該要求元端末IDを登録した後、当該要求元端末IDが示す端末IDの登録日時及び最終アクセス日時を現在時刻に更新する。
(S405)通信部101は、少なくとも図5(b)に示す情報を持つ、端末ID返信を、要求元端末IDを送信先として返信する。ここで、図5(b)において、返信種類1は、端末ID送信要求に対する返信であることを示す情報、要求元端末IDは、端末ID送信要求を送信してきた要求元端末の端末ID、自端末IDは、当該データを送信する返信側端末の端末ID、自端末ノード数は、自端末の端末データ蓄積部106に保持している端末データ(端末ID)の数である。
【0029】
このような(1)端末探索・登録動作を、各引率支援装置10は、一定期間ごとに繰り返す。尚、ユーザの操作による端末操作部102からの指示によって、端末探索・登録動作を行うことも可能である。
【0030】
(2)情報提供要求の送受信及び転送
次に、引率者が携帯する引率支援装置10(以下、「引率者端末」という)は、一定時間ごとに又は端末操作部102による操作により、被引率者が携帯する引率支援装置10(以下、「被引率者端末」という)に対して、情報提供要求を送信する。この情報提供要求を受信した被引率者端末は、当該情報提供要求の転送又は受信を行い、情報提供応答を引率者端末に対して返信する。このような動作の詳細を、(2−1)情報提供要求の送信、(2−2)情報提供要求の受信と転送、とに分けて以下に説明する。
【0031】
ここで、引率者端末の端末データ蓄積部106には、上述した(1)端末探索・登録、により登録した端末データに加え、予め、引率者が引率する集団(グループ)の被引率者端末の全端末IDが登録される。この端末IDの登録は、例えば、ユーザによる端末操作部102からの端末ID情報の入力や、引率者端末の近傍(通信圏内)に全被引率者端末を配置し、所定の操作により端末IDの情報を送信させるようにしても良い。
【0032】
(2−1)情報提供要求の送信
図7は実施の形態1に係る情報提供要求の送信動作を示すフローチャート、図8は実施の形態1に係る送受信データの構造を示す図である。まず、引率者端末における情報提供要求の送信動作を図7に基づき、図8を参照しながら以下に説明する。
【0033】
(S501)引率者端末は、一定の期間毎又は端末操作部102からの指示により情報提示要求の送信動作開始し、引率者端末の情報解析部104は、端末データ蓄積部106に予め登録された全端末IDの中から任意の端末IDを1つ選択する。
(S502)情報解析部104は、選択した端末IDの最終アクセス日時と現在時刻との差分を計算し、計算した値が一定値以上であるか否かを判断して、一定値以上でない場合は、即ち、一定期間以内にアクセスがあった場合は、ステップS501に戻り、別の端末IDを選択して同様の動作を反復する。
(S503)一方、計算した値が一定値以上の場合、即ち一定期間以内にアクセスがない場合、情報解析部104は、少なくとも図8(a)に示すような情報を持つ、情報提供要求を選択した端末IDに対して送信する。尚、この情報提供要求を受信した被引率者端末の動作は後述する。
【0034】
ここで、図8(a)において、情報提供要求フラグは、この送信データが情報提供要求であることを示す情報である。情報提供要求IDは、この情報提供要求を識別する固有情報であり、例えば、この送信データを送信した時刻、あて先端末ID、要求元端末IDの値から生成され、送信データの一連の流れを一意に定めるためのIDとなる。ホップ数は、情報提供要求IDで管理される当該情報提供要求が何度端末によって転送されたかを示す情報であり、転送されるたびに1加算される。経由端末IDは、あて先端末IDに到達するために経由した端末の端末IDである。尚、この経由端末IDは、後に説明するように存在しない場合、または複数になる場合がある。転送先端末IDは、次にこの送信データを送る転送先の端末の端末IDである。あて先端末IDは、最終的にこの情報提供要求に応答するべき端末の端末IDである。要求元端末IDは、この情報提供要求を送信する端末、即ち引率者端末の端末IDである。
【0035】
(2−2)情報提供要求の転送、受信及び応答
次に、被引率者端末の通信部101は、上述した引率者端末から送信された情報提供要求を受信し、情報解析部104は、当該情報提供要求のあて先端末IDが自端末IDと一致するか否かを判断し、一致しない場合には転送動作を、一致する場合には受信及び応答動作を行う。以下、(i)転送動作、(ii)受信及び応答動作、とに分けて説明する。
【0036】
(i)転送動作
図9は実施の形態1に係る情報提供要求の転送動作を示すフローチャートである。まず、被引率者端末における転送動作を図9に基づき以下に説明する。
(S601)情報解析部104は、受信した情報提供要求からあて先端末IDを取得し、取得したあて先端末IDの端末データが、端末データ蓄積部106に登録されているか否か確認する。
(S602)端末データ蓄積部106に、取得したあて先端末IDの端末データが登録されていない場合、端末データ蓄積部106に登録されている端末IDの中から、任意の端末IDを転送先端末として選択する。選択の方法は複数想定できるが、例えば、登録日時が新しい端末IDを選択する場合や、ノード数がもっとも多い端末IDを選択する場合などがある。これらのルールによって選択した端末IDを転送先端末として決定する。
(S603)次に、情報解析部104は、上記決定した転送先の端末IDを、受信した情報提供要求の転送先端末IDの情報として更新又は追加する。
(S604)一方、取得したあて先端末IDの端末データが登録されている場合、又は、ステップS603で転送先端末IDを追加した後、情報提供要求のホップ数を1つ加算した情報を、転送する情報提供要求の新たなホップ数として更新する。
(S605)情報解析部104は、受信した情報提供要求の経由端末IDの情報に、自端末の端末IDを追加する。
(S606)次に、通信部101は、情報提供要求のあて先端末ID又は転送先端末IDを送信先として当該情報提供要求を転送する。尚、ステップS605で選択される転送先端末IDが複数の場合には、ステップS604〜ステップS606の処理を繰り返す。
【0037】
(ii)受信及び応答動作
図10は実施の形態1に係る情報提供要求に対する受信及び応答動作を示すフローチャートである。次に、情報提供要求のあて先端末IDが自端末IDと一致する場合の被引率者端末における受信及び応答動作を図10に基づき、図8を参照しながら以下に説明する。
【0038】
(S701)被引率者端末の通信部101は、上述したステップS503により、引率者端末から送信された情報提供要求、又はステップS606により転送された情報提供要求を受信する。
(S702)通信部101は、通信バッファ107に保持された送信データのうち、情報提供応答(後述)の情報提供要求IDと、受信した情報提供要求の情報提供要求IDとが一致するものを検索する。
(S703)次に、ステップS702の検索結果に基づいて、受信した情報提供要求に対する情報提供応答が送信されたか否かを判断する。即ち、受信した情報提供要求の情報提供要求IDとが一致するものが通信バッファ107に存在する場合は、すでに当該情報提供要求に対して応答済みであると判断する。
(S704)情報提供応答が送信されたと判断した場合には、この情報提供要求は廃棄する。
(S705)一方、情報提供応答が送信されていないと判断した場合には、受信した情報提供要求から必要な情報を取得して、少なくとも図8(b)に示すような情報を持つ、情報提供応答を生成して、引率者端末をあて先端末として送信する。
【0039】
ここで、図8(b)において、情報提供応答フラグは、この送信データが情報提供応答であることを示す情報である。仮ホップ数は、情報提供要求内のホップ数から取得した情報であり、受信した情報提供要求の通信時のホップ数を示す情報である。あて先端末IDは、情報提供要求から取得した要求元端末ID、即ち当該情報提供要求を送信した引率者端末の端末IDである。応答端末IDは、この情報提供応答を送信する端末の端末IDである。尚、情報提供要求ID、ホップ数、経由先端末ID及び転送先端末IDは、上記情報提供要求と同様の内容である。
【0040】
(3)情報提供応答の受信及び警告データの送信
次に、被引率者端末又は引率者端末の通信部101は、上述した被引率者端末から送信された情報提供応答を受信し、情報解析部104は、当該情報提供応答のあて先端末IDが自端末IDと一致するか否かを判断し、一致しない場合には上述した情報提供要求の転送動作(ステップS601〜S606)と同様の動作により、当該情報提供応答を転送する動作を行う。一方、一致する場合には当該情報提供応答の受信及び警告データ送信動作を行う。
【0041】
図11は実施の形態1に係る情報提供応答の受信及び警告データの送信動作を示すフローチャートである。情報提供応答のあて先IDが自端末のIDと一致する場合、つまり情報提供応答を引率者端末が受信した場合の処理を、図11に基づき、図8を参照しながら以下に説明する。
(S801)引率者端末の通信部101は、上述したステップS705により被引率者端末から送信された情報提供応答を受信する。
(S802)次に、情報解析部104は、受信した情報提供応答のホップ数又は仮ホップ数の何れかのうち、孤立危険性(後述)の判断に用いるホップ数を選択する。選択の方法として、ここでは例えば、ホップ数又は仮ホップ数のうち大きいものを判断に用いるホップ数とする。尚、選択方法はこれに限らず、小さいものを選択しても良く、また両ホップ数を用いて合計値又は平均値を孤立危険性の判断に用いるホップ数としても良い。
(S803)次に、情報解析部104は、上記選択したホップ数が、所定値以上であるか否かを判断する。これにより、所定値以上の場合には、当該情報提供応答した移動端末が、集団から孤立しつつある状態、つまり孤立危険性が高いと判断する。
(S804)ホップ数が所定値未満の場合、つまり孤立危険性が高くないと判断した場合には、受信動作を終了する。
(S805)一方、情報解析部104は、ホップ数が所定値以上の場合、つまり孤立危険性が高いと判断した場合には、受信した情報提供応答から必要な情報を取得して、少なくとも図8(c)に示すような情報を持つ、警告データを生成して、当該移動端末をあて先端末として送信する。
【0042】
ここで、図8(c)において、警告フラグは、この送信データが警告データであることを示す情報である。警告IDは、この警告データを識別する固有情報であり、例えば、この送信データを送信した時刻、あて先端末ID、要求元端末IDの値から生成され、警告データの一連の流れを一意に定めるためのIDとなる。尚、経由端末ID、転送先端末ID、あて先端末ID及び要求元端末IDは、上記情報提供要求又は情報提供応答と同様の内容である。
【0043】
(4)警告データの受信及び転送
被引率者端末の通信部101は、上述した引率者端末から送信された警告データを受信し、情報解析部104は、当該警告データのあて先端末IDが自端末IDと一致するか否かを判断し、一致しない場合には上述した情報提供要求の転送動作(ステップS601〜S606)と同様の動作により、当該警告データを転送する動作を行う。
【0044】
一方、受信した警告データのあて先端末IDが自端末IDと一致する場合には、当該警告データを受信し、情報解析部104は、情報提示部103に対し、当該被引率者端末が集団から孤立している旨の孤立警告情報を通知させる。この孤立警告情報は、例えば、液晶ディスプレイを用いた情報提示部103においては、「警告!集団から離れています。」などの表示、スピーカを用いた情報提示部103においては、上記内容の音声、又はアラームによる報知、バイブレータを用いた情報提示部103においては、当該バイブレータの作動などにより、当該被引率者端末を携帯する被引率者に報知し、集団から孤立しないように促すものである。
【0045】
尚、上記引率者端末が警告データを送信する際に、引率者端末の情報解析部104は、情報提示部103に対し、当該警告データのあて先の被引率者端末が集団から孤立している旨の通知をさせるようにしても良い。例えば、液晶ディスプレイに「○○番の被引率者端末が集団から離れています。」などの表示をさせても良い。
【0046】
以上のように本実施の形態1においては、通信時のホップ数に応じて孤立の危険性濃霧を判断し、警告を発することにより、屋内に置ける遮蔽など一時的な通信状態の悪化に影響されず正しく警告を発することができる。また、引率者端末と被引率者端末の双方に孤立の危険の警告を発することができるため、被引率者に対しては孤立しないように注意を促すことができ、また引率者に被引率者が孤立又は孤立しつつあることを通知することができ、より管理がし易くなる。
【0047】
実施の形態2.
上記実施の形態1においては、引率者端末と被引率者端末間の通信のホップ数によって孤立危険性を判断し、引率者端末から被引率者端末に対して警告データを送信したが、孤立危険性の判断を引率者端末のみが行うため、引率者端末からの警告データを受信する前に、被引率者端末が孤立状態になり、当該警告を受信することができない場合がある。本実施の形態2では、実施の形態1の動作に加えて、ホップ数だけでなく、アドホックネットワーク構築状況を情報として利用することにより、引率者端末を必要とせず、被引率者端末のみの情報を用いて警告を発生するものである。
【0048】
本実施の形態2における引率支援装置10の構成は、上述した実施の形態1の図1で示した構成と同様の構成である。図1において、本実施の形態2における情報解析部104は、情報通信時に端末データ蓄積部106の情報を常に監視することにより、端末データ蓄積部106内に格納されている接続可能端末のデータ数が一定値以下となる場合に、通信部101に警告応答データを送信させ、また情報提示部103に警告情報を提示させる機能を新たに備えることを特徴とする機能部である。尚、その他の構成部は上記実施の形態1と同様である。このような構成による本実施の形態における動作を図12〜図14を用いて次に説明する。
【0049】
図12は実施の形態2に係る危険検出及び警告発生の動作を示すフローチャート、図13は実施の形態2に係る警告発生の動作を示すフローチャート、図14は実施の形態2に係る警告データの構造を示す図である。
【0050】
まず、各被引率者端末における危険検出の動作を図12に基づき以下に説明する。
(S1201)各被引率者端末は、一定の期間毎又は端末操作部102からの指示により、上述した実施の形態1と同様に(1)端末探索・登録(ステップS301〜S312)を行い、周囲に存在している通信可能な他端末の探索及び登録を行う。
(S1202)各移動端末の情報解析部104は、常時、一定の期間毎又は端末操作部102からの指示により、端末データ蓄積部106に登録されている端末データが一定数以上であるか否かを判断する。
(S1203)端末データ蓄積部106に登録されている端末データが一定数以下の場合には、当該移動端末が、集団から孤立しつつある状態、つまり孤立危険性が高いと判断して、後述する警告発生フロー(図13)へ移行する。
(S1204)一方、端末データ数が一定数以上の場合には、当該被引率者端末は孤立危険性が高くないと判断し、一定時間待機した後、再度ステップS1201へ戻り、上記動作を繰り返す。
【0051】
次に、上記ステップS1203で、当該被引率者端末が孤立危険性が高いと判断した場合における警告発生の動作を図13に基づき、図14を参照しながら以下に説明する。
(S1301)情報解析部104は、情報提示部103に対し、当該被引率者端末が集団から孤立している旨の孤立警告情報を通知させる。この孤立警告情報は、上記実施の形態1と同様に、例えば、液晶ディスプレイを用いた情報提示部103においては、「警告!集団から離れています。」などの表示により、集団から孤立しないように促すものである。
(S1302)次に、情報解析部104は、端末データ蓄積部106に登録されている端末データ数が1以上であるか否かを判断する。
(S1303)端末データ蓄積部106に登録されている端末データ数が1以上でない場合、つまり登録されている端末データが0の場合、少なくとも図14に示すような情報を持つ、孤立危険警告である警告データをブロードキャストする。
(S1304)一方、端末データ蓄積部106に登録されている端末データ数が1以上の場合、図14に示す警告データを、登録されている端末データの全端末に対して送信する。
【0052】
ここで、図14において、警告フラグ、警告ID、あて先端末ID及び要求元端末IDは、上述した実施の形態1の警告データ(図8(c))と同様の内容である。但し、ブロードキャストの場合には、あて先端末IDは明示的に指定されない。
【0053】
この警告データを受信した被引率者端末又は引率者端末の動作は、上述した実施の形態1の(4)警告データの受信及び転送における動作と同様である。
【0054】
以上のように本実施の形態2においては、被引率者端末が引率者端末と接続しなくても、孤立の危険性がある旨の警告を発生することができる。また、警告を直接通信可能な周囲の被引率者端末にも送信するため、孤立の危険性を周囲の被引率者端末にも通知することができ、当該被引率者が孤立しつつあることを周囲の他の被引率者に対しても促すことができるので、被引率者が集団から孤減すことを低減できる。さらに引率者端末と被引率者端末とが通信する場合に比べ、通信データ量を減らすことができる。
【0055】
実施の形態3.
上記実施の形態1又は2においては、引率者端末と被引率者端末間の通信のホップ数又は通信可能な周囲の被引率者端末の数に応じて警告を発しているので、例えば、引率者によって観光地の路地などを引率されている時に、集団の列が長くなってしまった場合などでも、警告を発することとなる。つまり、実際には行列がただ長くなっているだけであって、被引率者の孤立の危険性が少ない場合であっても、引率者端末からの距離が遠くなってしまっただけで、被引率者端末に警告を発生させることとなる。以下、図15により具体的に説明する。
【0056】
図15は実施の形態3に係るネットワーク構成を示す図である。また、図15(a)は引率者が集団の中心に位置する状態でのネットワーク構成を示す図、図15(b)は引率者が集団を引率して被引率者が列をなしている状態でのネットワーク構成を示す図である。
尚、図15において各引率支援装置10間の直線は、この直線で結ばれた2つの引率支援装置10が互いに通信可能であることを示している。
【0057】
例えば図15(a)の例では、引率者端末10aが集団の中心に位置してグループ(集団)が固まりになって移動する際には、被引率者端末と引率者端末との通信に必要なホップ数が3以上となるような被引率者端末10bに対して警告を送信するのがふさわしい。
一方、図15(b)の例では、引率者が先頭に立って列状になった集団を引率するような場合には、引率者端末10aとの通信に必要なホップ数は不可避的に増加してしまう、このような状況で上記図15(a)と同様の条件で、ホップ数が3以上となる被引率者端末10cに対して警告を発すると、被引率者が孤立するような状況にない場合にも警告が送信されてしまうこととなる。このような動作は、ユーザにとって、システムの動作が信頼できなくなる。
【0058】
本実施の形態3は、引率者が集団のあるべき状況を把握して、引率者端末からネットワーク内の各端末にモード切替指令を送信し、孤立の危険性検出方法を変更することによって、集団が行列となる場合や引率者が移動せずに被引率者が自由に行動する場合などの状況に応じて、引率者端末及び被引率者端末の双方で孤立の危険性を検出できることを可能とするものである。
【0059】
本実施の形態3における引率支援装置10の構成は、上述した実施の形態1の図1で示した構成と同様の構成である。図1において、本実施の形態3における端末操作部102は、ユーザ(例えば引率者)の操作によってモード切替要求(後述)を送信するように通信部101に指示する機能を新たに備えることを特徴とする機能部である。
また、本実施の形態3における情報解析部104は、モード切替要求(後述)を受信、解析することによって孤立の危険性を検出する方法を変更できる機能を新たに備えることを特徴とする機能部である。尚、その他の構成部は上記実施の形態1と同様である。このような構成による本実施の形態における動作を図16〜図18を用いて次に説明する。
【0060】
図16は実施の形態3に係るモード切替要求の送信動作を示すフローチャート、図17は実施の形態3に係るモード切替要求の受信動作を示すフローチャート、図18は実施の形態3に係る送受信データの構造を示す図である。まず、引率者端末におけるモード切替要求の送信動作を図16に基づき、図18を参照しながら以下に説明する。
【0061】
(S1601)引率者は引率者端末の端末操作部102の操作によって、モード切替の開始操作を行った後、孤立危険性の検出方法を指定する操作を行う。ここでは、上記実施の形態1で説明したホップ数を利用する方法(回数モード)と、上記実施の形態2で説明した端末データ蓄積部106に登録されている端末データの数を利用する方法(端末数モード)との何れかを指定する。このとき、当該方法における警告発生の条件を定める値、即ちホップ数を利用する方法の場合は、警告を発生させるホップ数の値、端末データの数を利用する方法の場合は、警告を発生させる端末の数の値を設定する。
(S1602)次に、情報解析部104は、上記端末操作部102から入力された情報を取得して、少なくとも図18に示すような情報を持つ、モード切替情報であるモード切替要求を生成して、当該集団の全移動端末に対して送信する。
【0062】
ここで、図18において、モード切替要求フラグは、この送信データがモード切替要求であることを示す情報である。モード切替要求IDは、このモード切替要求を識別する固有情報であり、例えば、この送信データを送信した時刻、あて先端末ID、要求元端末IDの値から生成され、送信データの一連の流れを一意に定めるためのIDとなる。指定モードは、孤立危険性の検出方法を指定するための情報である。具体的には、上記実施の形態1で説明したホップ数を利用する方法と、上記実施の形態2で説明した端末データ蓄積部106に登録されている端末データの数を利用する方法とを選択する情報と、当該方法における警告発生の条件を定める値の情報である。つまり、ホップ数を利用する方法の場合は、警告を発生させるホップ数の値、端末データの数を利用する方法の場合は、警告を発生させる端末の数の値である。
【0063】
次に、上記モード切替要求を受信した被引率者端末の受信動作を図17に基づき、図18を参照しながら以下に説明する。
(S1701)被引率者端末の通信部101は、上述した引率者端末から送信されたモード切替要求を受信し、情報解析部104は、当該モード切替要求のあて先端末IDが自端末IDと一致するか否かを判断する。
(S1702)一致しない場合には、上述した実施の形態1における情報提供要求の転送動作(ステップS601〜S606)と同様の動作により、当該モード切替要求を転送する動作を行う。
(S1703)一方、受信したモード切替要求のあて先端末IDが自端末IDと一致する場合には、当該モード切替要求を受信し、情報解析部104は、指定モードが、ホップ数を利用する方法と、登録されている端末データの数を利用する方法との何れであるかを判断する。
(S1704)指定モードがホップ数を利用する方法の場合、当該指定モードに含まれる警告発生条件のホップ数を取得する。即ち上記実施の形態1の動作の(3)情報提示応答の受信及び警告データの送信(図11)、において、ステップS803で判断する所定値を、指定モードで指定された値に更新する。
(S1705)以降、当該被引率者端末は、上述した実施の形態1と同様の動作により、引率者端末及び被引率者端末間のホップ数に基づいて、孤立危険性の通知を行う。
(S1706)指定モードが登録されている端末データ数を利用する方法の場合、当該指定モードに含まれる警告発生条件の登録端末数を取得する。即ち上記実施の形態2の動作の危険検出の動作(図12)において、ステップS1202で判断する一定数を、指定モードで指定された値に更新する。
(S1705)以降、当該被引率者端末は、上述した実施の形態2と同様の動作により、当該被引率者端末に登録されている端末データの数に基づいて、孤立危険性の通知を行う。尚、このとき上記実施の形態2の動作に加え、受信したモード切替要求に含まれる要求元端末ID宛に、即ち引率者端末宛に警告データを送信しても良い。
【0064】
以上のように本実施の形態においては、上記実施の形態1又は2の効果に加え、孤立危険性の検知方法を変更させることができるので、集団が行列となる場合や引率者が移動せずに被引率者が自由に行動する場合などの状況に応じて、引率者端末及び被引率者端末の双方で孤立の危険性を検出できる。
また、ユーザにとってのシステム動作の信頼性が向上し、孤立の危険性を適切に検知できる能力を高めることができる。
【0065】
実施の形態4.
上記実施の形態1〜3においては、同一の引率支援装置10を携帯する集団(グループ)が、通信範囲内に複数存在する場合、例えば、観光地等において複数の観光グループの団体が混ざり合ってしまう場合などは、被引率者が属する集団から孤立しつつある状況にあっても、被引率者が属する集団以外の引率支援装置10と通信が可能であれば孤立危険性の警告を発することはない。つまり、上記実施の形態1〜3の引率支援システムでは、電波の受信以外に状況を把握する手段がないため警告を発することができない。以下、図19、図20により具体的に説明する。
【0066】
図19は実施の形態4に係るネットワーク構成を示す図である。尚、図19において各引率支援装置10間の直線は、この直線で結ばれた2つの引率支援装置10が互いに通信可能であることを示している。
図19の例において、引率支援装置10a−1及び10a−2は、共にグループAに属する被引率者により携帯される端末であり、引率支援装置10bは、グループBに属する被引率者により携帯される端末である。図19に示すように、引率支援装置10a−2は、グループAに属するにもかかわらず、グループBに属する引率支援装置10bとしか通信を行っていない。このような状況においては、孤立の危険性が高まっているものの、上記実施の形態1〜3の動作では、ホップ数又は登録端末数が条件を満たせば、警告を発することはない。
【0067】
本実施の形態4では、本引率支援システムを利用する複数のグループがある場合、端末が送信するデータ端末IDに、グループIDを追加することにより、他グループに属する端末を経由していることを検出し、通信が他グループを経由していることを孤立の危険性があるものとして警告を発するための情報として用いるものである。
【0068】
本実施の形態4における引率支援装置10の構成は、上述した実施の形態1の図1で示した構成と同様の構成である。図1において、本実施の形態3における情報解析部104は、上記実施の形態1の情報解析部104の動作に加え、送受信されるデータの端末IDがすべてグループIDを含んだものとなり、孤立危険性の検知にグループIDを用いる機能を新たに備えることを特徴とする機能部である。ここでグループIDとは、例えば観光旅行のグループなどで所属する集団を一意に定めるために必要なデータである。このグループIDは、例えば、ユーザによる端末操作部102の操作により設定される。尚、その他の構成部は上記実施の形態1と同様である。
【0069】
このような構成により、本実施の形態4において、引率者端末は、上述した実施の形態1における(2−1)情報提供要求の送信(図7)と同様の動作により、一定時間毎に情報提供要求を送信し、当該情報提供要求を受信した被引率者端末は、上述した実施の形態1における(2−2)情報提供要求の転送、受信及び応答(図9)と同様の動作により、当該情報提供要求の転送又は応答を行う。
次に、引率者端末は、被引率者端末から送信された情報提供応答の受信をして、孤立危険性の判断を行い警告データを送信する。以下、この情報提供応答の受信及び警告データの送信の動作を、上記実施の形態1の動作(図11)と相違する点を中心に、図20を用いて次に説明する。
【0070】
図20は実施の形態4に係る情報提供応答の受信及び警告データの送信動作を示すフローチャートである。
(S2001)引率者端末の通信部101は、被引率者端末から送信された情報提供応答を受信する。
(S2002)次に、情報解析部104は、受信した情報提供応答のホップ数又は仮ホップ数の何れかのうち、孤立危険性の判断に用いるホップ数を選択する。選択方法は、上述した実施の形態1(S802)と同様である。
(S2003)次に、情報解析部104は、上述した実施の形態1(S803)と同様に、選択したホップ数が、所定値以上であるか否かを判断する。
(S2004)ホップ数が所定値未満の場合は、受信した情報提供応答から経由端末IDの情報を取得し、当該経由端末IDに含まれるグループIDが、当該引率者端末のグループID以外のグループIDが含まれているか否かを判断する。つまり、この情報提供応答が他グループの端末を経由しているか否かを判断する。
(S2005)当該引率者端末のグループID以外のグループIDが含まれていないと判断した場合、つまり情報提供応答が他グループの端末を経由していない場合には、受信動作を終了する。
(S2006)一方、情報解析部104は、ステップS2003でホップ数が所定値以上と判断した場合、又はステップS2004で当該引率者端末のグループID以外のグループIDが含まれていると判断した場合、つまり情報提供応答が他グループの端末を経由している場合には、上述した実施の形態1(S805)と同様に、警告データを生成して、当該移動端末をあて先端末として送信する。
【0071】
送信された警告データは、上述した実施の形態1における(4)警告データの受信及び転送と同様の動作により、転送又は受信され、当該被引率者端末が集団から孤立している旨の孤立警告情報が通知される。
【0072】
このような動作により、図19の例において、グループAとグループBとに属する端末がそれぞれ異なるグループIDを設定することにより、引率支援装置10a−2に対しては、引率支援装置10a−1から孤立警告情報が通知されることとなる。
【0073】
尚、本実施の形態4では、端末IDにグループID含め、上述した実施の形態1と同様の動作により、孤立の危険性を検出したが、これに限らず、上記実施の形態2と同様の動作により、孤立の危険性を検出しても良い。この場合、例えば、端末データ蓄積部106に登録されている端末IDに含まれるグループIDのうち、自グループに属する端末データがない場合又は所定値以下の場合に、警告を発するようにしても良いし、他グループに属する端末データが、自グループに属する端末データより多い場合に、警告を発するようにしても良い。さらに、上記実施の形態3において、端末IDにグループID含め、本実施の形態と同様にグループIDを用いて孤立の危険性を検出しても良い。
【0074】
以上のように本実施の形態においては、上記実施の形態1の効果に加え、集団で移動するグループが複数混じってしまうような場合に、孤立の危険性が高い状況を検知して警告を発生することができる。
【0075】
尚、上記実施の形態1〜4では、観光旅行などにおいて集団で行動する旅行参加者等の引率される被引率者と、その集団を引率する引率者とにより引率支援装置が携帯される場合を説明したが、本発明はこれに限るものでなく、観光目的以外の目的に使用しても良い。例えば、避難など集団で移動するような場合にも適用可能である。
【0076】
尚、上記実施の形態1〜4では、引率者端末と被引率者端末とは、同様の構成を持つものとして説明したが、これに限らず、例えば引率者用の専用端末を用意するなど異なる構成のものでも構わない。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】実施の形態1に係る引率支援装置の構成図である。
【図2】実施の形態1に係る端末データ蓄積部のデータ構造を示す図である。
【図3】実施の形態1に係る引率支援装置の外観図である。
【図4】実施の形態1に係る要求側における端末探索・登録の動作を示すフローチャートである。
【図5】実施の形態1に係る送受信データの構造を示す図である。
【図6】実施の形態1に係る返信側における端末探索・登録の動作を示すフローチャートである。
【図7】実施の形態1に係る情報提供要求の送信動作を示すフローチャートである。
【図8】実施の形態1に係る送受信データの構造を示す図である。
【図9】実施の形態1に係る情報提供要求の転送動作を示すフローチャートである。
【図10】実施の形態1に係る情報提供要求に対する受信及び応答動作を示すフローチャートである。
【図11】実施の形態1に係る情報提供応答の受信及び警告データの送信動作を示すフローチャートである。
【図12】実施の形態2に係る危険検出及び警告発生の動作を示すフローチャートである。
【図13】実施の形態2に係る警告発生の動作を示すフローチャートである。
【図14】実施の形態2に係る警告データの構造を示す図である。
【図15】実施の形態3に係るネットワーク構成を示す図である。
【図16】実施の形態3に係るモード切替要求の送信動作を示すフローチャートである。
【図17】実施の形態3に係るモード切替要求の受信動作を示すフローチャートである。
【図18】実施の形態3に係る送受信データの構造を示す図である。
【図19】実施の形態4に係るネットワーク構成を示す図である。
【図20】実施の形態4に係る情報提供応答の受信及び警告データの送信動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0078】
10 引率支援装置、21 液晶パネル、22 操作スイッチ、101 通信部、102 端末操作部、103 情報提示部、104 情報解析部、106 端末データ蓄積部、107 通信バッファ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、孤立の危険を警告する引率支援方法、引率支援システム及び引率支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の引率支援装置は、例えば「無線携帯端末10と一又は二以上の無線ICタグ20を用いて人員確認を行う引率管理システムであって、それぞれ移動者ごとに携帯された無線ICタグ20が、所定の信号を発信し、無線携帯端末10が、移動者ごとの個人情報及び各個人情報に対応付けられた信号を記憶する記憶手段15と、無線ICタグから信号を受信する受信手段11と、受信できた信号にもとづき記憶手段15を検索して個人情報を特定し、特定できた個人情報に係る移動者は存在し、記憶手段に記憶されており、かつ、特定できない個人情報に係る移動者は存在しないと判定する信号判定手段12と、この判定結果を出力する存否出力手段13とを備えた」ものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2006−54787号公報(要約)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の引率支援装置は、被引率者(移動者)が集団から孤立する危険性があると判断するための情報として、被引率者が携帯する無線ICタグと引率者が携帯する無線携帯端末間の通信における電波の到達の有無をそのまま被引率者の存在の有無と判断しているため、例えば室内を移動する際に建造物などによって電波が遮蔽されてしまう場合にも被引率者が存在せず、孤立状態であると判定してしまうなど、一時的な通信状態の悪化が、孤立状態の判断に影響するという問題点があった。
【0005】
また、従来の引率支援装置は、被引率者が携帯する無線ICタグと引率者が携帯する無線携帯端末間の通信における電波の到達の有無により被引率者の存否のみを判断しているので、被引率者が孤立しやすい状況であることを判断することができないという問題点があった。
【0006】
したがって、一時的な通信状態の悪化に影響されることなく、引率支援装置を携帯する被引率者の孤立の危険性を判断することができる引率支援方法、引率支援システム及び引率支援装置が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る引率支援方法は、無線通信する機能を有し、通信情報を中継して情報の授受を行う複数の引率支援装置によって構成され、この引率支援装置を携帯する者の行動を管理する引率支援方法であって、前記複数の引率支援装置の端末識別情報が記録される1又は複数の引率支援装置(以下、「引率者端末」と称する)が、記録された全ての前記引率支援装置(以下、「被引率者端末」と称する)宛の通信情報を送信する情報要求ステップと、被引率者端末が、当該被引率者端末宛以外の通信情報を中継し、又は当該被引率者端末宛の通信情報を受信し、該通信情報に対する応答を返信する情報応答ステップと、前記引率者端末が、前記通信情報の中継回数に基づいて、当該通信情報を送信した前記被引率者端末の孤立危険性の有無を判断し、孤立危険警告を出力する警告ステップとを有するものである。
【0008】
また、本発明に係る引率支援システムは、無線通信する機能を有し、通信情報を中継して情報の授受を行う複数の引率支援装置によって構成され、この引率支援装置を携帯する者の行動を管理する引率支援システムであって、前記複数の引率支援装置の端末識別情報が記録され、記録された全ての前記引率支援装置宛の通信情報を送信する1又は複数の引率支援装置(以下、「引率者端末」と称する)と、前記引率者端末に端末識別情報が記録される複数の引率支援装置(以下、「被引率者端末」と称する)とを備え、前記被引率者端末は、当該被引率者端末宛以外の通信情報を中継し、又は当該被引率者端末宛の通信情報を受信して該通信情報に対する応答を返信し、前記引率者端末は、前記通信情報の中継回数に基づいて、当該通信情報を送信した前記被引率者端末の孤立危険性の有無を判断し、孤立危険警告を出力するものである。
【0009】
また、本発明に係る引率支援装置は、無線通信する機能を有し、通信情報を中継して情報の授受を行う複数の引率支援装置によって構成され、この引率支援装置を携帯する者の行動を管理する引率支援システムに用いられる引率支援装置であって、通信情報を送受信する通信部と、当該引率支援装置と通信可能な引率支援装置を特定する端末識別情報が記録される端末データ蓄積部と、前記引率支援装置間で授受される通信情報又は/及び前記端末データ蓄積部に記録された前記端末識別情報に基づいて、孤立危険性の有無を判断する情報解析部と、前記情報解析部の判断結果に応じて、孤立危険警告を出力する情報提示部とを備えたものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、複数の引率支援装置間で授受される通信情報により、引率支援装置の孤立危険性の有無を判断しているので、一時的な通信状態の悪化に影響されることなく、引率支援装置を携帯する被引率者の孤立の危険性を判断することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
実施の形態1.
実施の形態1における引率支援システムは、観光旅行などにおいて集団(グループ)で行動する旅行参加者等の引率される者(以下、「被引率者」という)と、その集団を引率する者(以下、「引率者」という)とにより携帯され、マルチホップによるアドホックネットワークを構成することが可能な引率支援装置10(以下、「端末」ともいう)により構成される。この引率支援システムは、引率者と被引率者とが携帯する引率支援装置10間の通信の際に経由する他端末の数、即ち中継回数(以下、「ホップ数」ともいう)、一定期間内にマルチホップせずに直接通信できる端末の情報とを、ネットワーク構成の状態として判断し、集団が移動する場合などに被引率者が集団から離れる(孤立する)ことを防ぐため、被引率者に対して注意を促すことができ、また引率者に被引率者が孤立又は孤立しつつあることを通知することができるものである。
【0012】
以下、実施の形態においては、観光旅行等における集団の引率を例として説明するが、本発明はこれに限るものでなく、観光目的以外の目的においても適用される。例えば、避難など集団で移動するような場合にも適用可能である。
【0013】
図1は実施の形態1に係る引率支援装置の構成図である。図1において、引率支援装置10は、通信部101、端末操作部102、情報提示部103、情報解析部104、端末データ蓄積部106、通信バッファ107により構成される。この引率支援装置10は、被引率者と、引率者によって携帯されるものである。
【0014】
通信部101は、当該引率支援装置10(以下、「自端末」ともいう)と同等の機能を持つ他の引率支援装置10(以下、「他端末」ともいう)、又はその他の端末と通信を行うための機能部である。通信形式は、例えば赤外線、Bluetooth(登録商標)、無線LANなどの何れの通信方式を用いても良く、また、送受信や回線状況などで適宜通信方式を切り替えるような構成としても良い。
【0015】
端末操作部102は、例えばボタンを有するコントロールパネル、スイッチ、音声入力装置などによって実現され、ユーザからの操作入力に基づき、後述する動作により、通信部101を介したデータ送信を行わせたり、情報提示部103によって表示される孤立警告情報(後述)の提示を中止させたりするなど、ユーザの操作を入力として受け付け、ユーザの操作を各構成部の動作に反映させることを特徴とする機能部である。
【0016】
情報提示部103は、例えば液晶ディスプレイ、スピーカ、バイブレータなどにより実現され、情報解析部104からの指令を受け孤立警告情報(後述)を、音や振動、映像などによって提示することを特徴とする機能部である。
【0017】
情報解析部104は、通信部101が取得したデータを解析、変更後、端末データ蓄積部106に入力することを特徴とする機能部である。また、この情報解析部104は、後述する動作により、当該引率支援装置10の各構成部の動作を制御する。
【0018】
端末データ蓄積部106は、情報解析部104からデータを取得し、通信、端末の状況を解析するのに必要なデータとして、端末識別情報である端末ID、登録日時及び最終アクセス日時(以下、「端末データ」という)を記録、蓄積することを特徴とする機能部である。この端末データ蓄積部106には、後述する動作により、自端末が他端末(他ノード)を経由せずに直接接続可能な端末IDが端末毎に記録される。さらに、引率者が携帯する端末の場合は、引率する被引率者が携帯する全端末IDが記録される。この端末データ蓄積部106に蓄積されるデータ構造を図2に示す。
【0019】
図2は実施の形態1に係る端末データ蓄積部のデータ構造を示す図である。図2において、端末IDは、端末の検索等に用いられ、各端末を識別する固有情報である。登録日時は、この端末IDが、端末データ蓄積部106に登録された日時を示す情報である。最終アクセス日時は、この端末IDを持つ端末と最後に通信した日時を示す情報である。保持ノード数は、応答要求(後述)を受信した際に、受信した端末(ノード)が保持している端末IDの数である。
【0020】
再び図1において、通信バッファ107は、通信部101が送受信するデータを一定期間の間、保持しておくための記憶部である。例えばリングバッファなどの方法を用いて実装され、データを保持してから一定時間以上経過した場合や、一定数以上のデータ送信を行った場合には古いデータは削除される。
【0021】
尚、情報解析部104、端末データ蓄積部106は、回路デバイスのようなハードウェアで構成することもできるし、CPUやマイコンのような演算装置により実行されるソフトウェアとして構成することもできる。ソフトウェアとして実現する場合は、HDD(Hard Disk Drive)等にこれら各部の機能を実現するプログラムを格納しておき、CPUやマイコンなどの演算装置がそのプログラムを読み込んで、プログラムの指示に従って各部の機能に相当する処理を実行することにより、構成することができる。
【0022】
図3は実施の形態1に係る引率支援装置の外観図である。図3(a)はバッチ型の引率支援装置の外観図であり、図3(b)はPDA型の引率支援装置の外観図である。
図3(a)は小型化を目的とした形態であり、例えば、観光客が所属しているグループを示すバッチに端末の機能を組み込むことも可能である。このような形態により引率者又は被引率者の被服などにクリップ、安全ピンなどにより取り付け、又はネックストラップなどにより携帯することが可能である。
図3(b)は、操作性、情報提示性の拡張を目的とした形態であり、例えば、携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assistants)などに引率支援装置10の機能を組み込むことも可能である。このような形態により、引率者又は被引率者がより操作性、情報提示性の拡張を図ることができる。尚、引率支援装置10の形態はこれに限らず、例えば、携帯電話などに引率支援装置10の機能を組み込むことも可能である。
図3(a)及び(b)において、引率支援装置10の全面には、情報提示部103として液晶パネル21と、端末操作部102として操作スイッチ22が設けられている。この液晶パネル21には、後述する動作により、孤立危険情報が表示される。尚、スピーカ、バイブレータを設けて孤立危険情報を報知するようにしても良い。また、操作スイッチ22のボタン操作で、表示、振動、音声などを削除又は停止することができる。
【0023】
このような構成により、本実施の形態1における引率支援装置10は、周囲に存在している通信可能な他端末を探索及び登録し、その後必要に応じて一対一の通信でデータの送受信を行った後、マルチホップで他端末へのデータ転送を行う。そして通信時のホップ数に基づいて、孤立危険警告である警告データの送受信を行い、警告データを受信した端末は警告を発する。このような動作の詳細を、(1)端末探索と登録、(2)情報提供要求の送受信及び転送、(3)情報提供応答の受信及び警告データの送信、(4)警告データの受信及び転送、に分けて次に説明する。
【0024】
(1)端末探索・登録
周囲に存在している通信可能な他端末の探索及び登録を要求する引率支援装置10(以下、「要求側端末」という)の動作と、要求側端末からの要求に対して返信を行う引率支援装置10(以下、「返信側端末」という)の動作とを分けて説明する。
【0025】
図4は実施の形態1に係る要求側における端末探索・登録の動作を示すフローチャート、図5は実施の形態1に係る送受信データの構造を示す図である。まず、要求側端末における端末探索・登録の動作を図4に基づき、図5を参照しながら以下に説明する。
(S301)情報解析部104は、一定の期間毎又は端末操作部102からの指示により登録動作開始し、端末データ蓄積部106に記録された端末データの最終アクセス日時を検索して、期限切れの端末データを削除する。ここで、期限切れの端末データとは、最終アクセス日時の情報が、一定時間以上の更新がないもの、又は、端末データの中で最も最終アクセス日時から経過しているものなどの条件で設定されるものである。
(S302)次に、情報解析部104は、端末データ蓄積部106に格納されている端末データが一定数以上であるか否かを判断する。
(S303)端末データ数が一定数以下である場合には、少なくとも図5(a)に示すような情報を持つ、端末ID送信要求をブロードキャスト(同報送信)する。ここで、ブロードキャストとは、送信先端末IDを特定せずに送信することを意味する。図5(a)において、要求種類1は、当該データがブロードキャストの端末ID送信要求であることを示す情報、要求元端末IDは、当該データをブロードキャストしている要求側端末の端末IDである。尚、この端末ID送信要求を受信した返信側端末の動作は後述する。
(S304)一方、端末データ数が一定数以上の場合、情報解析部104は、記録された端末IDが示す全ての引率支援装置10に対して、接続確認が完了したか否かを判断する。
(S305)ステップ304にて、全ての端末IDに対して接続確認を行ったと判断したとき、登録動作を終了する。
(S306)一方、ステップ304にて、全ての端末IDに対して接続確認及び更新時間の更新を行っていないと判断したとき、端末データ蓄積部106に記録されている端末データから任意の端末IDを選択する。
(S307)通信部101は、選択した端末IDが示す端末に対し、少なくとも図5(c)に示す情報を持つ、接続可能性確認要求を送信する。ここで、図5(c)において、要求種類2は、当該データが接続可能性確認要求であることを示す情報、あて先端末IDは、当該データの送信先端末の端末ID、要求元端末IDは、当該データを送信している要求側端末の端末IDである。
(S308)情報解析部104は、少なくとも図5(d)に示す情報を持ち、接続可能性確認要求に対する返信である接続確認返信の受信有無を判断する。ここで、図5(d)において、返信種類2は、当該データが接続確認返信であることを示す情報、返信要求端末IDは、接続可能性確認要求を送信した要求側端末の端末ID、返信端末IDは、当該データを送信する返信側端末の端末ID、返信端末のノード数は、返信側端末が端末データ蓄積部106に保持している端末データ(端末ID)の数である。
【0026】
(S309)接続確認返信を受信した場合、情報解析部104は、端末データ蓄積部106に格納されている端末データの内、当該接続確認返信に含まれる返信端末IDの最終アクセス日時を現在時刻に更新する。
(S310)情報解析部104は、選択した端末IDが示す端末の接続確認を完了し、ステップS304へ戻り、全ての端末IDに対しての接続確認が完了するまで繰り返す。
(S311,S312)一方、接続確認返信の受信がない場合、一定時間待機後、確認回数のカウントを1加算して、確認回数が一定数以上となるまで、ステップS307からのステップを繰り返し、確認回数が一定数以上となった場合、上述したステップS310へ移行する。
【0027】
次に、上述したステップS303において、要求側端末が、端末ID送信要求をブロードキャストし、この端末ID送信要求を受信した返信側端末の動作を図6に基づき、図5を参照しながら以下に説明する。
【0028】
図6は実施の形態1に係る返信側における端末探索・登録の動作を示すフローチャートである。
(S401)送信側端末の通信部101は、受信した端末ID送信要求から要求元端末IDの情報を取得する。
(S402)情報解析部104は、端末データ蓄積部106に記録された端末データを検索し、当該要求元端末IDが登録されているか否かを確認する。
(S403)当該要求元端末IDが登録されていない場合、当該要求元端末IDを端末データに登録する。
(S404)一方、当該要求元端末IDが登録されている場合、又は、ステップS403で当該要求元端末IDを登録した後、当該要求元端末IDが示す端末IDの登録日時及び最終アクセス日時を現在時刻に更新する。
(S405)通信部101は、少なくとも図5(b)に示す情報を持つ、端末ID返信を、要求元端末IDを送信先として返信する。ここで、図5(b)において、返信種類1は、端末ID送信要求に対する返信であることを示す情報、要求元端末IDは、端末ID送信要求を送信してきた要求元端末の端末ID、自端末IDは、当該データを送信する返信側端末の端末ID、自端末ノード数は、自端末の端末データ蓄積部106に保持している端末データ(端末ID)の数である。
【0029】
このような(1)端末探索・登録動作を、各引率支援装置10は、一定期間ごとに繰り返す。尚、ユーザの操作による端末操作部102からの指示によって、端末探索・登録動作を行うことも可能である。
【0030】
(2)情報提供要求の送受信及び転送
次に、引率者が携帯する引率支援装置10(以下、「引率者端末」という)は、一定時間ごとに又は端末操作部102による操作により、被引率者が携帯する引率支援装置10(以下、「被引率者端末」という)に対して、情報提供要求を送信する。この情報提供要求を受信した被引率者端末は、当該情報提供要求の転送又は受信を行い、情報提供応答を引率者端末に対して返信する。このような動作の詳細を、(2−1)情報提供要求の送信、(2−2)情報提供要求の受信と転送、とに分けて以下に説明する。
【0031】
ここで、引率者端末の端末データ蓄積部106には、上述した(1)端末探索・登録、により登録した端末データに加え、予め、引率者が引率する集団(グループ)の被引率者端末の全端末IDが登録される。この端末IDの登録は、例えば、ユーザによる端末操作部102からの端末ID情報の入力や、引率者端末の近傍(通信圏内)に全被引率者端末を配置し、所定の操作により端末IDの情報を送信させるようにしても良い。
【0032】
(2−1)情報提供要求の送信
図7は実施の形態1に係る情報提供要求の送信動作を示すフローチャート、図8は実施の形態1に係る送受信データの構造を示す図である。まず、引率者端末における情報提供要求の送信動作を図7に基づき、図8を参照しながら以下に説明する。
【0033】
(S501)引率者端末は、一定の期間毎又は端末操作部102からの指示により情報提示要求の送信動作開始し、引率者端末の情報解析部104は、端末データ蓄積部106に予め登録された全端末IDの中から任意の端末IDを1つ選択する。
(S502)情報解析部104は、選択した端末IDの最終アクセス日時と現在時刻との差分を計算し、計算した値が一定値以上であるか否かを判断して、一定値以上でない場合は、即ち、一定期間以内にアクセスがあった場合は、ステップS501に戻り、別の端末IDを選択して同様の動作を反復する。
(S503)一方、計算した値が一定値以上の場合、即ち一定期間以内にアクセスがない場合、情報解析部104は、少なくとも図8(a)に示すような情報を持つ、情報提供要求を選択した端末IDに対して送信する。尚、この情報提供要求を受信した被引率者端末の動作は後述する。
【0034】
ここで、図8(a)において、情報提供要求フラグは、この送信データが情報提供要求であることを示す情報である。情報提供要求IDは、この情報提供要求を識別する固有情報であり、例えば、この送信データを送信した時刻、あて先端末ID、要求元端末IDの値から生成され、送信データの一連の流れを一意に定めるためのIDとなる。ホップ数は、情報提供要求IDで管理される当該情報提供要求が何度端末によって転送されたかを示す情報であり、転送されるたびに1加算される。経由端末IDは、あて先端末IDに到達するために経由した端末の端末IDである。尚、この経由端末IDは、後に説明するように存在しない場合、または複数になる場合がある。転送先端末IDは、次にこの送信データを送る転送先の端末の端末IDである。あて先端末IDは、最終的にこの情報提供要求に応答するべき端末の端末IDである。要求元端末IDは、この情報提供要求を送信する端末、即ち引率者端末の端末IDである。
【0035】
(2−2)情報提供要求の転送、受信及び応答
次に、被引率者端末の通信部101は、上述した引率者端末から送信された情報提供要求を受信し、情報解析部104は、当該情報提供要求のあて先端末IDが自端末IDと一致するか否かを判断し、一致しない場合には転送動作を、一致する場合には受信及び応答動作を行う。以下、(i)転送動作、(ii)受信及び応答動作、とに分けて説明する。
【0036】
(i)転送動作
図9は実施の形態1に係る情報提供要求の転送動作を示すフローチャートである。まず、被引率者端末における転送動作を図9に基づき以下に説明する。
(S601)情報解析部104は、受信した情報提供要求からあて先端末IDを取得し、取得したあて先端末IDの端末データが、端末データ蓄積部106に登録されているか否か確認する。
(S602)端末データ蓄積部106に、取得したあて先端末IDの端末データが登録されていない場合、端末データ蓄積部106に登録されている端末IDの中から、任意の端末IDを転送先端末として選択する。選択の方法は複数想定できるが、例えば、登録日時が新しい端末IDを選択する場合や、ノード数がもっとも多い端末IDを選択する場合などがある。これらのルールによって選択した端末IDを転送先端末として決定する。
(S603)次に、情報解析部104は、上記決定した転送先の端末IDを、受信した情報提供要求の転送先端末IDの情報として更新又は追加する。
(S604)一方、取得したあて先端末IDの端末データが登録されている場合、又は、ステップS603で転送先端末IDを追加した後、情報提供要求のホップ数を1つ加算した情報を、転送する情報提供要求の新たなホップ数として更新する。
(S605)情報解析部104は、受信した情報提供要求の経由端末IDの情報に、自端末の端末IDを追加する。
(S606)次に、通信部101は、情報提供要求のあて先端末ID又は転送先端末IDを送信先として当該情報提供要求を転送する。尚、ステップS605で選択される転送先端末IDが複数の場合には、ステップS604〜ステップS606の処理を繰り返す。
【0037】
(ii)受信及び応答動作
図10は実施の形態1に係る情報提供要求に対する受信及び応答動作を示すフローチャートである。次に、情報提供要求のあて先端末IDが自端末IDと一致する場合の被引率者端末における受信及び応答動作を図10に基づき、図8を参照しながら以下に説明する。
【0038】
(S701)被引率者端末の通信部101は、上述したステップS503により、引率者端末から送信された情報提供要求、又はステップS606により転送された情報提供要求を受信する。
(S702)通信部101は、通信バッファ107に保持された送信データのうち、情報提供応答(後述)の情報提供要求IDと、受信した情報提供要求の情報提供要求IDとが一致するものを検索する。
(S703)次に、ステップS702の検索結果に基づいて、受信した情報提供要求に対する情報提供応答が送信されたか否かを判断する。即ち、受信した情報提供要求の情報提供要求IDとが一致するものが通信バッファ107に存在する場合は、すでに当該情報提供要求に対して応答済みであると判断する。
(S704)情報提供応答が送信されたと判断した場合には、この情報提供要求は廃棄する。
(S705)一方、情報提供応答が送信されていないと判断した場合には、受信した情報提供要求から必要な情報を取得して、少なくとも図8(b)に示すような情報を持つ、情報提供応答を生成して、引率者端末をあて先端末として送信する。
【0039】
ここで、図8(b)において、情報提供応答フラグは、この送信データが情報提供応答であることを示す情報である。仮ホップ数は、情報提供要求内のホップ数から取得した情報であり、受信した情報提供要求の通信時のホップ数を示す情報である。あて先端末IDは、情報提供要求から取得した要求元端末ID、即ち当該情報提供要求を送信した引率者端末の端末IDである。応答端末IDは、この情報提供応答を送信する端末の端末IDである。尚、情報提供要求ID、ホップ数、経由先端末ID及び転送先端末IDは、上記情報提供要求と同様の内容である。
【0040】
(3)情報提供応答の受信及び警告データの送信
次に、被引率者端末又は引率者端末の通信部101は、上述した被引率者端末から送信された情報提供応答を受信し、情報解析部104は、当該情報提供応答のあて先端末IDが自端末IDと一致するか否かを判断し、一致しない場合には上述した情報提供要求の転送動作(ステップS601〜S606)と同様の動作により、当該情報提供応答を転送する動作を行う。一方、一致する場合には当該情報提供応答の受信及び警告データ送信動作を行う。
【0041】
図11は実施の形態1に係る情報提供応答の受信及び警告データの送信動作を示すフローチャートである。情報提供応答のあて先IDが自端末のIDと一致する場合、つまり情報提供応答を引率者端末が受信した場合の処理を、図11に基づき、図8を参照しながら以下に説明する。
(S801)引率者端末の通信部101は、上述したステップS705により被引率者端末から送信された情報提供応答を受信する。
(S802)次に、情報解析部104は、受信した情報提供応答のホップ数又は仮ホップ数の何れかのうち、孤立危険性(後述)の判断に用いるホップ数を選択する。選択の方法として、ここでは例えば、ホップ数又は仮ホップ数のうち大きいものを判断に用いるホップ数とする。尚、選択方法はこれに限らず、小さいものを選択しても良く、また両ホップ数を用いて合計値又は平均値を孤立危険性の判断に用いるホップ数としても良い。
(S803)次に、情報解析部104は、上記選択したホップ数が、所定値以上であるか否かを判断する。これにより、所定値以上の場合には、当該情報提供応答した移動端末が、集団から孤立しつつある状態、つまり孤立危険性が高いと判断する。
(S804)ホップ数が所定値未満の場合、つまり孤立危険性が高くないと判断した場合には、受信動作を終了する。
(S805)一方、情報解析部104は、ホップ数が所定値以上の場合、つまり孤立危険性が高いと判断した場合には、受信した情報提供応答から必要な情報を取得して、少なくとも図8(c)に示すような情報を持つ、警告データを生成して、当該移動端末をあて先端末として送信する。
【0042】
ここで、図8(c)において、警告フラグは、この送信データが警告データであることを示す情報である。警告IDは、この警告データを識別する固有情報であり、例えば、この送信データを送信した時刻、あて先端末ID、要求元端末IDの値から生成され、警告データの一連の流れを一意に定めるためのIDとなる。尚、経由端末ID、転送先端末ID、あて先端末ID及び要求元端末IDは、上記情報提供要求又は情報提供応答と同様の内容である。
【0043】
(4)警告データの受信及び転送
被引率者端末の通信部101は、上述した引率者端末から送信された警告データを受信し、情報解析部104は、当該警告データのあて先端末IDが自端末IDと一致するか否かを判断し、一致しない場合には上述した情報提供要求の転送動作(ステップS601〜S606)と同様の動作により、当該警告データを転送する動作を行う。
【0044】
一方、受信した警告データのあて先端末IDが自端末IDと一致する場合には、当該警告データを受信し、情報解析部104は、情報提示部103に対し、当該被引率者端末が集団から孤立している旨の孤立警告情報を通知させる。この孤立警告情報は、例えば、液晶ディスプレイを用いた情報提示部103においては、「警告!集団から離れています。」などの表示、スピーカを用いた情報提示部103においては、上記内容の音声、又はアラームによる報知、バイブレータを用いた情報提示部103においては、当該バイブレータの作動などにより、当該被引率者端末を携帯する被引率者に報知し、集団から孤立しないように促すものである。
【0045】
尚、上記引率者端末が警告データを送信する際に、引率者端末の情報解析部104は、情報提示部103に対し、当該警告データのあて先の被引率者端末が集団から孤立している旨の通知をさせるようにしても良い。例えば、液晶ディスプレイに「○○番の被引率者端末が集団から離れています。」などの表示をさせても良い。
【0046】
以上のように本実施の形態1においては、通信時のホップ数に応じて孤立の危険性濃霧を判断し、警告を発することにより、屋内に置ける遮蔽など一時的な通信状態の悪化に影響されず正しく警告を発することができる。また、引率者端末と被引率者端末の双方に孤立の危険の警告を発することができるため、被引率者に対しては孤立しないように注意を促すことができ、また引率者に被引率者が孤立又は孤立しつつあることを通知することができ、より管理がし易くなる。
【0047】
実施の形態2.
上記実施の形態1においては、引率者端末と被引率者端末間の通信のホップ数によって孤立危険性を判断し、引率者端末から被引率者端末に対して警告データを送信したが、孤立危険性の判断を引率者端末のみが行うため、引率者端末からの警告データを受信する前に、被引率者端末が孤立状態になり、当該警告を受信することができない場合がある。本実施の形態2では、実施の形態1の動作に加えて、ホップ数だけでなく、アドホックネットワーク構築状況を情報として利用することにより、引率者端末を必要とせず、被引率者端末のみの情報を用いて警告を発生するものである。
【0048】
本実施の形態2における引率支援装置10の構成は、上述した実施の形態1の図1で示した構成と同様の構成である。図1において、本実施の形態2における情報解析部104は、情報通信時に端末データ蓄積部106の情報を常に監視することにより、端末データ蓄積部106内に格納されている接続可能端末のデータ数が一定値以下となる場合に、通信部101に警告応答データを送信させ、また情報提示部103に警告情報を提示させる機能を新たに備えることを特徴とする機能部である。尚、その他の構成部は上記実施の形態1と同様である。このような構成による本実施の形態における動作を図12〜図14を用いて次に説明する。
【0049】
図12は実施の形態2に係る危険検出及び警告発生の動作を示すフローチャート、図13は実施の形態2に係る警告発生の動作を示すフローチャート、図14は実施の形態2に係る警告データの構造を示す図である。
【0050】
まず、各被引率者端末における危険検出の動作を図12に基づき以下に説明する。
(S1201)各被引率者端末は、一定の期間毎又は端末操作部102からの指示により、上述した実施の形態1と同様に(1)端末探索・登録(ステップS301〜S312)を行い、周囲に存在している通信可能な他端末の探索及び登録を行う。
(S1202)各移動端末の情報解析部104は、常時、一定の期間毎又は端末操作部102からの指示により、端末データ蓄積部106に登録されている端末データが一定数以上であるか否かを判断する。
(S1203)端末データ蓄積部106に登録されている端末データが一定数以下の場合には、当該移動端末が、集団から孤立しつつある状態、つまり孤立危険性が高いと判断して、後述する警告発生フロー(図13)へ移行する。
(S1204)一方、端末データ数が一定数以上の場合には、当該被引率者端末は孤立危険性が高くないと判断し、一定時間待機した後、再度ステップS1201へ戻り、上記動作を繰り返す。
【0051】
次に、上記ステップS1203で、当該被引率者端末が孤立危険性が高いと判断した場合における警告発生の動作を図13に基づき、図14を参照しながら以下に説明する。
(S1301)情報解析部104は、情報提示部103に対し、当該被引率者端末が集団から孤立している旨の孤立警告情報を通知させる。この孤立警告情報は、上記実施の形態1と同様に、例えば、液晶ディスプレイを用いた情報提示部103においては、「警告!集団から離れています。」などの表示により、集団から孤立しないように促すものである。
(S1302)次に、情報解析部104は、端末データ蓄積部106に登録されている端末データ数が1以上であるか否かを判断する。
(S1303)端末データ蓄積部106に登録されている端末データ数が1以上でない場合、つまり登録されている端末データが0の場合、少なくとも図14に示すような情報を持つ、孤立危険警告である警告データをブロードキャストする。
(S1304)一方、端末データ蓄積部106に登録されている端末データ数が1以上の場合、図14に示す警告データを、登録されている端末データの全端末に対して送信する。
【0052】
ここで、図14において、警告フラグ、警告ID、あて先端末ID及び要求元端末IDは、上述した実施の形態1の警告データ(図8(c))と同様の内容である。但し、ブロードキャストの場合には、あて先端末IDは明示的に指定されない。
【0053】
この警告データを受信した被引率者端末又は引率者端末の動作は、上述した実施の形態1の(4)警告データの受信及び転送における動作と同様である。
【0054】
以上のように本実施の形態2においては、被引率者端末が引率者端末と接続しなくても、孤立の危険性がある旨の警告を発生することができる。また、警告を直接通信可能な周囲の被引率者端末にも送信するため、孤立の危険性を周囲の被引率者端末にも通知することができ、当該被引率者が孤立しつつあることを周囲の他の被引率者に対しても促すことができるので、被引率者が集団から孤減すことを低減できる。さらに引率者端末と被引率者端末とが通信する場合に比べ、通信データ量を減らすことができる。
【0055】
実施の形態3.
上記実施の形態1又は2においては、引率者端末と被引率者端末間の通信のホップ数又は通信可能な周囲の被引率者端末の数に応じて警告を発しているので、例えば、引率者によって観光地の路地などを引率されている時に、集団の列が長くなってしまった場合などでも、警告を発することとなる。つまり、実際には行列がただ長くなっているだけであって、被引率者の孤立の危険性が少ない場合であっても、引率者端末からの距離が遠くなってしまっただけで、被引率者端末に警告を発生させることとなる。以下、図15により具体的に説明する。
【0056】
図15は実施の形態3に係るネットワーク構成を示す図である。また、図15(a)は引率者が集団の中心に位置する状態でのネットワーク構成を示す図、図15(b)は引率者が集団を引率して被引率者が列をなしている状態でのネットワーク構成を示す図である。
尚、図15において各引率支援装置10間の直線は、この直線で結ばれた2つの引率支援装置10が互いに通信可能であることを示している。
【0057】
例えば図15(a)の例では、引率者端末10aが集団の中心に位置してグループ(集団)が固まりになって移動する際には、被引率者端末と引率者端末との通信に必要なホップ数が3以上となるような被引率者端末10bに対して警告を送信するのがふさわしい。
一方、図15(b)の例では、引率者が先頭に立って列状になった集団を引率するような場合には、引率者端末10aとの通信に必要なホップ数は不可避的に増加してしまう、このような状況で上記図15(a)と同様の条件で、ホップ数が3以上となる被引率者端末10cに対して警告を発すると、被引率者が孤立するような状況にない場合にも警告が送信されてしまうこととなる。このような動作は、ユーザにとって、システムの動作が信頼できなくなる。
【0058】
本実施の形態3は、引率者が集団のあるべき状況を把握して、引率者端末からネットワーク内の各端末にモード切替指令を送信し、孤立の危険性検出方法を変更することによって、集団が行列となる場合や引率者が移動せずに被引率者が自由に行動する場合などの状況に応じて、引率者端末及び被引率者端末の双方で孤立の危険性を検出できることを可能とするものである。
【0059】
本実施の形態3における引率支援装置10の構成は、上述した実施の形態1の図1で示した構成と同様の構成である。図1において、本実施の形態3における端末操作部102は、ユーザ(例えば引率者)の操作によってモード切替要求(後述)を送信するように通信部101に指示する機能を新たに備えることを特徴とする機能部である。
また、本実施の形態3における情報解析部104は、モード切替要求(後述)を受信、解析することによって孤立の危険性を検出する方法を変更できる機能を新たに備えることを特徴とする機能部である。尚、その他の構成部は上記実施の形態1と同様である。このような構成による本実施の形態における動作を図16〜図18を用いて次に説明する。
【0060】
図16は実施の形態3に係るモード切替要求の送信動作を示すフローチャート、図17は実施の形態3に係るモード切替要求の受信動作を示すフローチャート、図18は実施の形態3に係る送受信データの構造を示す図である。まず、引率者端末におけるモード切替要求の送信動作を図16に基づき、図18を参照しながら以下に説明する。
【0061】
(S1601)引率者は引率者端末の端末操作部102の操作によって、モード切替の開始操作を行った後、孤立危険性の検出方法を指定する操作を行う。ここでは、上記実施の形態1で説明したホップ数を利用する方法(回数モード)と、上記実施の形態2で説明した端末データ蓄積部106に登録されている端末データの数を利用する方法(端末数モード)との何れかを指定する。このとき、当該方法における警告発生の条件を定める値、即ちホップ数を利用する方法の場合は、警告を発生させるホップ数の値、端末データの数を利用する方法の場合は、警告を発生させる端末の数の値を設定する。
(S1602)次に、情報解析部104は、上記端末操作部102から入力された情報を取得して、少なくとも図18に示すような情報を持つ、モード切替情報であるモード切替要求を生成して、当該集団の全移動端末に対して送信する。
【0062】
ここで、図18において、モード切替要求フラグは、この送信データがモード切替要求であることを示す情報である。モード切替要求IDは、このモード切替要求を識別する固有情報であり、例えば、この送信データを送信した時刻、あて先端末ID、要求元端末IDの値から生成され、送信データの一連の流れを一意に定めるためのIDとなる。指定モードは、孤立危険性の検出方法を指定するための情報である。具体的には、上記実施の形態1で説明したホップ数を利用する方法と、上記実施の形態2で説明した端末データ蓄積部106に登録されている端末データの数を利用する方法とを選択する情報と、当該方法における警告発生の条件を定める値の情報である。つまり、ホップ数を利用する方法の場合は、警告を発生させるホップ数の値、端末データの数を利用する方法の場合は、警告を発生させる端末の数の値である。
【0063】
次に、上記モード切替要求を受信した被引率者端末の受信動作を図17に基づき、図18を参照しながら以下に説明する。
(S1701)被引率者端末の通信部101は、上述した引率者端末から送信されたモード切替要求を受信し、情報解析部104は、当該モード切替要求のあて先端末IDが自端末IDと一致するか否かを判断する。
(S1702)一致しない場合には、上述した実施の形態1における情報提供要求の転送動作(ステップS601〜S606)と同様の動作により、当該モード切替要求を転送する動作を行う。
(S1703)一方、受信したモード切替要求のあて先端末IDが自端末IDと一致する場合には、当該モード切替要求を受信し、情報解析部104は、指定モードが、ホップ数を利用する方法と、登録されている端末データの数を利用する方法との何れであるかを判断する。
(S1704)指定モードがホップ数を利用する方法の場合、当該指定モードに含まれる警告発生条件のホップ数を取得する。即ち上記実施の形態1の動作の(3)情報提示応答の受信及び警告データの送信(図11)、において、ステップS803で判断する所定値を、指定モードで指定された値に更新する。
(S1705)以降、当該被引率者端末は、上述した実施の形態1と同様の動作により、引率者端末及び被引率者端末間のホップ数に基づいて、孤立危険性の通知を行う。
(S1706)指定モードが登録されている端末データ数を利用する方法の場合、当該指定モードに含まれる警告発生条件の登録端末数を取得する。即ち上記実施の形態2の動作の危険検出の動作(図12)において、ステップS1202で判断する一定数を、指定モードで指定された値に更新する。
(S1705)以降、当該被引率者端末は、上述した実施の形態2と同様の動作により、当該被引率者端末に登録されている端末データの数に基づいて、孤立危険性の通知を行う。尚、このとき上記実施の形態2の動作に加え、受信したモード切替要求に含まれる要求元端末ID宛に、即ち引率者端末宛に警告データを送信しても良い。
【0064】
以上のように本実施の形態においては、上記実施の形態1又は2の効果に加え、孤立危険性の検知方法を変更させることができるので、集団が行列となる場合や引率者が移動せずに被引率者が自由に行動する場合などの状況に応じて、引率者端末及び被引率者端末の双方で孤立の危険性を検出できる。
また、ユーザにとってのシステム動作の信頼性が向上し、孤立の危険性を適切に検知できる能力を高めることができる。
【0065】
実施の形態4.
上記実施の形態1〜3においては、同一の引率支援装置10を携帯する集団(グループ)が、通信範囲内に複数存在する場合、例えば、観光地等において複数の観光グループの団体が混ざり合ってしまう場合などは、被引率者が属する集団から孤立しつつある状況にあっても、被引率者が属する集団以外の引率支援装置10と通信が可能であれば孤立危険性の警告を発することはない。つまり、上記実施の形態1〜3の引率支援システムでは、電波の受信以外に状況を把握する手段がないため警告を発することができない。以下、図19、図20により具体的に説明する。
【0066】
図19は実施の形態4に係るネットワーク構成を示す図である。尚、図19において各引率支援装置10間の直線は、この直線で結ばれた2つの引率支援装置10が互いに通信可能であることを示している。
図19の例において、引率支援装置10a−1及び10a−2は、共にグループAに属する被引率者により携帯される端末であり、引率支援装置10bは、グループBに属する被引率者により携帯される端末である。図19に示すように、引率支援装置10a−2は、グループAに属するにもかかわらず、グループBに属する引率支援装置10bとしか通信を行っていない。このような状況においては、孤立の危険性が高まっているものの、上記実施の形態1〜3の動作では、ホップ数又は登録端末数が条件を満たせば、警告を発することはない。
【0067】
本実施の形態4では、本引率支援システムを利用する複数のグループがある場合、端末が送信するデータ端末IDに、グループIDを追加することにより、他グループに属する端末を経由していることを検出し、通信が他グループを経由していることを孤立の危険性があるものとして警告を発するための情報として用いるものである。
【0068】
本実施の形態4における引率支援装置10の構成は、上述した実施の形態1の図1で示した構成と同様の構成である。図1において、本実施の形態3における情報解析部104は、上記実施の形態1の情報解析部104の動作に加え、送受信されるデータの端末IDがすべてグループIDを含んだものとなり、孤立危険性の検知にグループIDを用いる機能を新たに備えることを特徴とする機能部である。ここでグループIDとは、例えば観光旅行のグループなどで所属する集団を一意に定めるために必要なデータである。このグループIDは、例えば、ユーザによる端末操作部102の操作により設定される。尚、その他の構成部は上記実施の形態1と同様である。
【0069】
このような構成により、本実施の形態4において、引率者端末は、上述した実施の形態1における(2−1)情報提供要求の送信(図7)と同様の動作により、一定時間毎に情報提供要求を送信し、当該情報提供要求を受信した被引率者端末は、上述した実施の形態1における(2−2)情報提供要求の転送、受信及び応答(図9)と同様の動作により、当該情報提供要求の転送又は応答を行う。
次に、引率者端末は、被引率者端末から送信された情報提供応答の受信をして、孤立危険性の判断を行い警告データを送信する。以下、この情報提供応答の受信及び警告データの送信の動作を、上記実施の形態1の動作(図11)と相違する点を中心に、図20を用いて次に説明する。
【0070】
図20は実施の形態4に係る情報提供応答の受信及び警告データの送信動作を示すフローチャートである。
(S2001)引率者端末の通信部101は、被引率者端末から送信された情報提供応答を受信する。
(S2002)次に、情報解析部104は、受信した情報提供応答のホップ数又は仮ホップ数の何れかのうち、孤立危険性の判断に用いるホップ数を選択する。選択方法は、上述した実施の形態1(S802)と同様である。
(S2003)次に、情報解析部104は、上述した実施の形態1(S803)と同様に、選択したホップ数が、所定値以上であるか否かを判断する。
(S2004)ホップ数が所定値未満の場合は、受信した情報提供応答から経由端末IDの情報を取得し、当該経由端末IDに含まれるグループIDが、当該引率者端末のグループID以外のグループIDが含まれているか否かを判断する。つまり、この情報提供応答が他グループの端末を経由しているか否かを判断する。
(S2005)当該引率者端末のグループID以外のグループIDが含まれていないと判断した場合、つまり情報提供応答が他グループの端末を経由していない場合には、受信動作を終了する。
(S2006)一方、情報解析部104は、ステップS2003でホップ数が所定値以上と判断した場合、又はステップS2004で当該引率者端末のグループID以外のグループIDが含まれていると判断した場合、つまり情報提供応答が他グループの端末を経由している場合には、上述した実施の形態1(S805)と同様に、警告データを生成して、当該移動端末をあて先端末として送信する。
【0071】
送信された警告データは、上述した実施の形態1における(4)警告データの受信及び転送と同様の動作により、転送又は受信され、当該被引率者端末が集団から孤立している旨の孤立警告情報が通知される。
【0072】
このような動作により、図19の例において、グループAとグループBとに属する端末がそれぞれ異なるグループIDを設定することにより、引率支援装置10a−2に対しては、引率支援装置10a−1から孤立警告情報が通知されることとなる。
【0073】
尚、本実施の形態4では、端末IDにグループID含め、上述した実施の形態1と同様の動作により、孤立の危険性を検出したが、これに限らず、上記実施の形態2と同様の動作により、孤立の危険性を検出しても良い。この場合、例えば、端末データ蓄積部106に登録されている端末IDに含まれるグループIDのうち、自グループに属する端末データがない場合又は所定値以下の場合に、警告を発するようにしても良いし、他グループに属する端末データが、自グループに属する端末データより多い場合に、警告を発するようにしても良い。さらに、上記実施の形態3において、端末IDにグループID含め、本実施の形態と同様にグループIDを用いて孤立の危険性を検出しても良い。
【0074】
以上のように本実施の形態においては、上記実施の形態1の効果に加え、集団で移動するグループが複数混じってしまうような場合に、孤立の危険性が高い状況を検知して警告を発生することができる。
【0075】
尚、上記実施の形態1〜4では、観光旅行などにおいて集団で行動する旅行参加者等の引率される被引率者と、その集団を引率する引率者とにより引率支援装置が携帯される場合を説明したが、本発明はこれに限るものでなく、観光目的以外の目的に使用しても良い。例えば、避難など集団で移動するような場合にも適用可能である。
【0076】
尚、上記実施の形態1〜4では、引率者端末と被引率者端末とは、同様の構成を持つものとして説明したが、これに限らず、例えば引率者用の専用端末を用意するなど異なる構成のものでも構わない。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】実施の形態1に係る引率支援装置の構成図である。
【図2】実施の形態1に係る端末データ蓄積部のデータ構造を示す図である。
【図3】実施の形態1に係る引率支援装置の外観図である。
【図4】実施の形態1に係る要求側における端末探索・登録の動作を示すフローチャートである。
【図5】実施の形態1に係る送受信データの構造を示す図である。
【図6】実施の形態1に係る返信側における端末探索・登録の動作を示すフローチャートである。
【図7】実施の形態1に係る情報提供要求の送信動作を示すフローチャートである。
【図8】実施の形態1に係る送受信データの構造を示す図である。
【図9】実施の形態1に係る情報提供要求の転送動作を示すフローチャートである。
【図10】実施の形態1に係る情報提供要求に対する受信及び応答動作を示すフローチャートである。
【図11】実施の形態1に係る情報提供応答の受信及び警告データの送信動作を示すフローチャートである。
【図12】実施の形態2に係る危険検出及び警告発生の動作を示すフローチャートである。
【図13】実施の形態2に係る警告発生の動作を示すフローチャートである。
【図14】実施の形態2に係る警告データの構造を示す図である。
【図15】実施の形態3に係るネットワーク構成を示す図である。
【図16】実施の形態3に係るモード切替要求の送信動作を示すフローチャートである。
【図17】実施の形態3に係るモード切替要求の受信動作を示すフローチャートである。
【図18】実施の形態3に係る送受信データの構造を示す図である。
【図19】実施の形態4に係るネットワーク構成を示す図である。
【図20】実施の形態4に係る情報提供応答の受信及び警告データの送信動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0078】
10 引率支援装置、21 液晶パネル、22 操作スイッチ、101 通信部、102 端末操作部、103 情報提示部、104 情報解析部、106 端末データ蓄積部、107 通信バッファ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信する機能を有し、通信情報を中継して情報の授受を行う複数の引率支援装置によって構成され、この引率支援装置を携帯する者の行動を管理する引率支援方法であって、
前記複数の引率支援装置の端末識別情報が記録される1又は複数の引率支援装置(以下、「引率者端末」と称する)が、記録された全ての前記引率支援装置(以下、「被引率者端末」と称する)宛の通信情報を送信する情報要求ステップと、
被引率者端末が、当該被引率者端末宛以外の通信情報を中継し、又は当該被引率者端末宛の通信情報を受信し、該通信情報に対する応答を返信する情報応答ステップと、
前記引率者端末が、前記通信情報の中継回数に基づいて、当該通信情報を送信した前記被引率者端末の孤立危険性の有無を判断し、孤立危険警告を出力する警告ステップと
を有することを特徴とする引率支援方法。
【請求項2】
無線通信する機能を有し、通信情報を中継して情報の授受を行う複数の引率支援装置によって構成され、この引率支援装置を携帯する者の行動を管理する引率支援方法であって、
前記複数の引率支援装置の内、当該引率支援装置と直接通信可能な前記引率支援装置を検出する検出ステップと、
検出された直接通信可能な引率支援装置の数に基づいて、当該引率支援装置の孤立危険性の有無を判断し、孤立危険警告を出力する警告ステップと
を有することを特徴とする引率支援方法。
【請求項3】
無線通信する機能を有し、通信情報を中継して情報の授受を行う複数の引率支援装置によって構成され、この引率支援装置を携帯する者の行動を管理する引率支援方法であって、
前記複数の引率支援装置の端末識別情報が記録される1又は複数の引率支援装置(以下、「引率者端末」と称する)が、回数モードと端末数モードとを切り替えるモード切替情報を、記録された全ての前記引率支援装置宛に対して送信するモード切替ステップと、
前記回数モードでは、
前記引率者端末が、記録された全ての前記引率支援装置(以下、「被引率者端末」と称する)宛の通信情報を送信する情報要求ステップと、
被引率者端末が、当該被引率者端末宛以外の通信情報を中継し、又は当該被引率者端末宛の通信情報を受信し、該通信情報に対する応答を返信する情報応答ステップと、
前記引率者端末が、前記通信情報の中継回数に基づいて、当該通信情報を送信した前記被引率者端末の孤立危険性の有無を判断し、孤立危険警告を出力する警告ステップと、
前記端末数モードでは、
前記複数の引率支援装置の内、当該引率支援装置と直接通信可能な前記引率支援装置を検出する検出ステップと、
検出された直接通信可能な引率支援装置の数に基づいて、当該引率支援装置の孤立危険性の有無を判断し、孤立危険警告を出力する警告ステップと
を有することを特徴とする引率支援方法。
【請求項4】
警告ステップは、
前記孤立危険警告を、直接通信可能な前記引率支援装置宛に送信、又は同報送信することを特徴とする請求項2又は3記載の引率支援方法。
【請求項5】
前記情報要求ステップ及び情報応答ステップは、
前記通信情報に当該引率支援装置のグループIDの情報を含めて送信し、
前記警告ステップは、
前記通信情報の中継回数と、前記通信情報に含まれるグループIDの情報とに基づいて、当該通信情報を送信した前記被引率者端末の孤立危険性の有無を判断する
ことを特徴とする請求項1又は3記載の引率支援方法。
【請求項6】
無線通信する機能を有し、通信情報を中継して情報の授受を行う複数の引率支援装置によって構成され、この引率支援装置を携帯する者の行動を管理する引率支援システムであって、
前記複数の引率支援装置の端末識別情報が記録され、記録された全ての前記引率支援装置宛の通信情報を送信する1又は複数の引率支援装置(以下、「引率者端末」と称する)と、
前記引率者端末に端末識別情報が記録される複数の引率支援装置(以下、「被引率者端末」と称する)と
を備え、
前記被引率者端末は、
当該被引率者端末宛以外の通信情報を中継し、又は当該被引率者端末宛の通信情報を受信して該通信情報に対する応答を返信し、
前記引率者端末は、
前記通信情報の中継回数に基づいて、当該通信情報を送信した前記被引率者端末の孤立危険性の有無を判断し、孤立危険警告を出力する
ことを特徴とする引率支援システム。
【請求項7】
無線通信する機能を有し、通信情報を中継して情報の授受を行う複数の引率支援装置によって構成され、この引率支援装置を携帯する者の行動を管理する引率支援システムであって、
前記引率支援装置は、
前記複数の引率支援装置の内、当該引率支援装置と直接通信可能な前記引率支援装置を検出し、検出した直接通信可能な引率支援装置の数に基づいて、当該引率支援装置の孤立危険性の有無を判断し、孤立危険警告を出力することを特徴とする引率支援システム。
【請求項8】
無線通信する機能を有し、通信情報を中継して情報の授受を行う複数の引率支援装置によって構成され、この引率支援装置を携帯する者の行動を管理する引率支援システムであって、
前記複数の引率支援装置の端末識別情報が記録され、記録された全ての前記引率支援装置宛に対して、回数モードと端末数モードとを切り替えるモード切替情報を送信する1又は複数の引率支援装置(以下、「引率者端末」と称する)と、
前記引率者端末に端末識別情報が記録される複数の引率支援装置(以下、「被引率者端末」と称する)と
を備え、
前記引率者端末は、
前記モード切替情報が回数モードのとき、記録された全ての前記引率支援装置宛の通信情報を送信し、前記通信情報の中継回数に基づいて、当該通信情報を送信した前記被引率者端末の孤立危険性の有無を判断し、孤立危険警告を出力し、
前記被引率者端末は、
前記モード切替情報が回数モードのとき、当該被引率者端末宛以外の通信情報を中継し、又は当該被引率者端末宛の通信情報を受信して該通信情報に対する応答を返信し、
前記モード切替情報が端末数モードのとき、前記複数の引率支援装置の内、当該被引率者端末と直接通信可能な前記引率支援装置を検出し、検出した直接通信可能な引率支援装置の数に基づいて、当該引率支援装置の孤立危険性の有無を判断して孤立危険警告を出力する
ことを特徴とする引率支援システム。
【請求項9】
前記通信部は、
前記孤立危険警告を、直接通信可能な前記引率支援装置宛に送信、又は同報送信することを特徴とする請求項7又は8記載の引率支援方法。
【請求項10】
前記被引率者端末は、
中継する前記通信情報に当該引率支援装置のグループIDの情報を含めて送信し、
前記引率者端末は、
前記通信情報に当該引率支援装置のグループIDの情報を含めて送信し、
前記通信情報の中継回数と、前記通信情報に含まれるグループIDの情報とに基づいて、当該通信情報を送信した前記被引率者端末の孤立危険性の有無を判断して孤立危険警告を出力することを特徴とする請求項6又は8記載の引率支援システム。
【請求項11】
無線通信する機能を有し、通信情報を中継して情報の授受を行う複数の引率支援装置によって構成され、この引率支援装置を携帯する者の行動を管理する引率支援システムに用いられる引率支援装置であって、
通信情報を送受信する通信部と、
当該引率支援装置と通信可能な引率支援装置を特定する端末識別情報が記録される端末データ蓄積部と、
前記引率支援装置間で授受される通信情報又は/及び前記端末データ蓄積部に記録された前記端末識別情報に基づいて、孤立危険性の有無を判断する情報解析部と、
前記情報解析部の判断結果に応じて、孤立危険警告を出力する情報提示部と
を備えたことを特徴とする引率支援装置。
【請求項12】
前記情報解析部は、
前記通信情報の中継回数に基づいて、当該通信情報を送信した前記引率支援装置の孤立危険性の有無を判断する
ことを特徴とする請求項11記載の引率支援装置。
【請求項13】
前記情報解析部は、
前記端末データ蓄積部に記録された直接通信可能な引率支援装置の数に基づいて、当該引率支援装置の孤立危険性の有無を判断する
ことを特徴とする請求項11記載の引率支援装置。
【請求項14】
前記通信部は、
少なくとも送信元及びあて先の端末識別情報を含めた情報提供要求を送信し、
前記情報解析部は、
前記通信部が前記情報提供要求に対する情報提供応答を受信したとき、
当該情報提供応答の中継回数が所定値以上であるか否かを判断し、
該中継回数が所定値以上のとき、当該情報提供応答を送信した引率支援装置に対して、孤立危険警告を前記通信部に送信させる
ことを特徴とする請求項11又は12記載の引率支援装置。
【請求項15】
前記情報解析部は、
前記通信部が前記情報提供要求を受信したとき、
該情報提供要求のあて先の端末識別情報が、当該引率支援装置の端末識別情報と一致するか否かを判断し、
当該引率支援装置の端末識別情報と一致するとき、当該情報提供要求に対する情報提供応答を前記通信部に送信させる
ことを特徴とする請求項11又は12記載の引率支援装置。
【請求項16】
前記複数の引率支援装置のうち、1又は複数の引率支援装置の前記端末データ蓄積部は、
前記複数の引率支援装置の全ての端末識別情報が、予め記録され、
当該引率支援装置の前記情報解析部は、
前記端末データ蓄積部に記録された全ての端末識別情報をあて先とする情報提供要求を前記通信部に送信させる
ことを特徴とする請求項14記載の引率支援装置。
【請求項17】
前記情報解析部は、
前記端末データ蓄積部に記録された端末識別情報のうち、所定時間通信を行っていない前記引率支援装置の端末識別情報を削除し、
記録された前記端末識別情報数が所定値以下のとき、少なくとも送信元の端末識別情報を含めた端末ID送信要求を前記通信部に同報送信させ、
前記通信部が、前記端末ID送信要求に対する応答を受信したとき、当該応答を送信した引率支援装置の端末識別情報を、前記端末データ蓄積部に記録する
ことを特徴とする請求項11〜16の何れかに記載の引率支援装置。
【請求項18】
前記通信部は、
前記端末ID返信要求を受信したとき、少なくとも送信元の端末識別情報を含めた端末ID送信要求に対する応答を返信し、
前記情報解析部は、
前記端末ID返信要求に含まれる送信元の端末識別情報を、前記端末データ蓄積部に記録することを特徴とする請求項17記載の引率支援装置。
【請求項19】
回数モード又は端末数モードの選択操作を行う端末操作部を備え、
前記通信部は、
選択されたモードの情報を含めたモード切替情報を送信することを特徴とする請求項11〜18の何れかに記載の引率支援装置。
【請求項20】
前記情報解析部は、
前記通信部が前記モード切替情報を受信したとき、
該モード切替情報に応じて、前記引率支援装置間で授受される通信情報、又は前記端末データ蓄積部に記録された前記端末識別情報を選択し、選択した情報に基づいて孤立危険性の有無を判断することを特徴とする請求項19記載の引率支援装置。
【請求項21】
前記通信部は、
送信する前記通信情報に当該引率支援装置が属するグループIDの情報を含め、
前記情報解析部は、
前記通信情報に含まれるグループIDの情報と、前記引率支援装置間で授受される通信情報又は/及び前記端末データ蓄積部に記録された前記端末識別情報に基づいて、孤立危険性の有無を判断することを特徴とする請求項11〜20の何れかに記載の引率支援装置。
【請求項1】
無線通信する機能を有し、通信情報を中継して情報の授受を行う複数の引率支援装置によって構成され、この引率支援装置を携帯する者の行動を管理する引率支援方法であって、
前記複数の引率支援装置の端末識別情報が記録される1又は複数の引率支援装置(以下、「引率者端末」と称する)が、記録された全ての前記引率支援装置(以下、「被引率者端末」と称する)宛の通信情報を送信する情報要求ステップと、
被引率者端末が、当該被引率者端末宛以外の通信情報を中継し、又は当該被引率者端末宛の通信情報を受信し、該通信情報に対する応答を返信する情報応答ステップと、
前記引率者端末が、前記通信情報の中継回数に基づいて、当該通信情報を送信した前記被引率者端末の孤立危険性の有無を判断し、孤立危険警告を出力する警告ステップと
を有することを特徴とする引率支援方法。
【請求項2】
無線通信する機能を有し、通信情報を中継して情報の授受を行う複数の引率支援装置によって構成され、この引率支援装置を携帯する者の行動を管理する引率支援方法であって、
前記複数の引率支援装置の内、当該引率支援装置と直接通信可能な前記引率支援装置を検出する検出ステップと、
検出された直接通信可能な引率支援装置の数に基づいて、当該引率支援装置の孤立危険性の有無を判断し、孤立危険警告を出力する警告ステップと
を有することを特徴とする引率支援方法。
【請求項3】
無線通信する機能を有し、通信情報を中継して情報の授受を行う複数の引率支援装置によって構成され、この引率支援装置を携帯する者の行動を管理する引率支援方法であって、
前記複数の引率支援装置の端末識別情報が記録される1又は複数の引率支援装置(以下、「引率者端末」と称する)が、回数モードと端末数モードとを切り替えるモード切替情報を、記録された全ての前記引率支援装置宛に対して送信するモード切替ステップと、
前記回数モードでは、
前記引率者端末が、記録された全ての前記引率支援装置(以下、「被引率者端末」と称する)宛の通信情報を送信する情報要求ステップと、
被引率者端末が、当該被引率者端末宛以外の通信情報を中継し、又は当該被引率者端末宛の通信情報を受信し、該通信情報に対する応答を返信する情報応答ステップと、
前記引率者端末が、前記通信情報の中継回数に基づいて、当該通信情報を送信した前記被引率者端末の孤立危険性の有無を判断し、孤立危険警告を出力する警告ステップと、
前記端末数モードでは、
前記複数の引率支援装置の内、当該引率支援装置と直接通信可能な前記引率支援装置を検出する検出ステップと、
検出された直接通信可能な引率支援装置の数に基づいて、当該引率支援装置の孤立危険性の有無を判断し、孤立危険警告を出力する警告ステップと
を有することを特徴とする引率支援方法。
【請求項4】
警告ステップは、
前記孤立危険警告を、直接通信可能な前記引率支援装置宛に送信、又は同報送信することを特徴とする請求項2又は3記載の引率支援方法。
【請求項5】
前記情報要求ステップ及び情報応答ステップは、
前記通信情報に当該引率支援装置のグループIDの情報を含めて送信し、
前記警告ステップは、
前記通信情報の中継回数と、前記通信情報に含まれるグループIDの情報とに基づいて、当該通信情報を送信した前記被引率者端末の孤立危険性の有無を判断する
ことを特徴とする請求項1又は3記載の引率支援方法。
【請求項6】
無線通信する機能を有し、通信情報を中継して情報の授受を行う複数の引率支援装置によって構成され、この引率支援装置を携帯する者の行動を管理する引率支援システムであって、
前記複数の引率支援装置の端末識別情報が記録され、記録された全ての前記引率支援装置宛の通信情報を送信する1又は複数の引率支援装置(以下、「引率者端末」と称する)と、
前記引率者端末に端末識別情報が記録される複数の引率支援装置(以下、「被引率者端末」と称する)と
を備え、
前記被引率者端末は、
当該被引率者端末宛以外の通信情報を中継し、又は当該被引率者端末宛の通信情報を受信して該通信情報に対する応答を返信し、
前記引率者端末は、
前記通信情報の中継回数に基づいて、当該通信情報を送信した前記被引率者端末の孤立危険性の有無を判断し、孤立危険警告を出力する
ことを特徴とする引率支援システム。
【請求項7】
無線通信する機能を有し、通信情報を中継して情報の授受を行う複数の引率支援装置によって構成され、この引率支援装置を携帯する者の行動を管理する引率支援システムであって、
前記引率支援装置は、
前記複数の引率支援装置の内、当該引率支援装置と直接通信可能な前記引率支援装置を検出し、検出した直接通信可能な引率支援装置の数に基づいて、当該引率支援装置の孤立危険性の有無を判断し、孤立危険警告を出力することを特徴とする引率支援システム。
【請求項8】
無線通信する機能を有し、通信情報を中継して情報の授受を行う複数の引率支援装置によって構成され、この引率支援装置を携帯する者の行動を管理する引率支援システムであって、
前記複数の引率支援装置の端末識別情報が記録され、記録された全ての前記引率支援装置宛に対して、回数モードと端末数モードとを切り替えるモード切替情報を送信する1又は複数の引率支援装置(以下、「引率者端末」と称する)と、
前記引率者端末に端末識別情報が記録される複数の引率支援装置(以下、「被引率者端末」と称する)と
を備え、
前記引率者端末は、
前記モード切替情報が回数モードのとき、記録された全ての前記引率支援装置宛の通信情報を送信し、前記通信情報の中継回数に基づいて、当該通信情報を送信した前記被引率者端末の孤立危険性の有無を判断し、孤立危険警告を出力し、
前記被引率者端末は、
前記モード切替情報が回数モードのとき、当該被引率者端末宛以外の通信情報を中継し、又は当該被引率者端末宛の通信情報を受信して該通信情報に対する応答を返信し、
前記モード切替情報が端末数モードのとき、前記複数の引率支援装置の内、当該被引率者端末と直接通信可能な前記引率支援装置を検出し、検出した直接通信可能な引率支援装置の数に基づいて、当該引率支援装置の孤立危険性の有無を判断して孤立危険警告を出力する
ことを特徴とする引率支援システム。
【請求項9】
前記通信部は、
前記孤立危険警告を、直接通信可能な前記引率支援装置宛に送信、又は同報送信することを特徴とする請求項7又は8記載の引率支援方法。
【請求項10】
前記被引率者端末は、
中継する前記通信情報に当該引率支援装置のグループIDの情報を含めて送信し、
前記引率者端末は、
前記通信情報に当該引率支援装置のグループIDの情報を含めて送信し、
前記通信情報の中継回数と、前記通信情報に含まれるグループIDの情報とに基づいて、当該通信情報を送信した前記被引率者端末の孤立危険性の有無を判断して孤立危険警告を出力することを特徴とする請求項6又は8記載の引率支援システム。
【請求項11】
無線通信する機能を有し、通信情報を中継して情報の授受を行う複数の引率支援装置によって構成され、この引率支援装置を携帯する者の行動を管理する引率支援システムに用いられる引率支援装置であって、
通信情報を送受信する通信部と、
当該引率支援装置と通信可能な引率支援装置を特定する端末識別情報が記録される端末データ蓄積部と、
前記引率支援装置間で授受される通信情報又は/及び前記端末データ蓄積部に記録された前記端末識別情報に基づいて、孤立危険性の有無を判断する情報解析部と、
前記情報解析部の判断結果に応じて、孤立危険警告を出力する情報提示部と
を備えたことを特徴とする引率支援装置。
【請求項12】
前記情報解析部は、
前記通信情報の中継回数に基づいて、当該通信情報を送信した前記引率支援装置の孤立危険性の有無を判断する
ことを特徴とする請求項11記載の引率支援装置。
【請求項13】
前記情報解析部は、
前記端末データ蓄積部に記録された直接通信可能な引率支援装置の数に基づいて、当該引率支援装置の孤立危険性の有無を判断する
ことを特徴とする請求項11記載の引率支援装置。
【請求項14】
前記通信部は、
少なくとも送信元及びあて先の端末識別情報を含めた情報提供要求を送信し、
前記情報解析部は、
前記通信部が前記情報提供要求に対する情報提供応答を受信したとき、
当該情報提供応答の中継回数が所定値以上であるか否かを判断し、
該中継回数が所定値以上のとき、当該情報提供応答を送信した引率支援装置に対して、孤立危険警告を前記通信部に送信させる
ことを特徴とする請求項11又は12記載の引率支援装置。
【請求項15】
前記情報解析部は、
前記通信部が前記情報提供要求を受信したとき、
該情報提供要求のあて先の端末識別情報が、当該引率支援装置の端末識別情報と一致するか否かを判断し、
当該引率支援装置の端末識別情報と一致するとき、当該情報提供要求に対する情報提供応答を前記通信部に送信させる
ことを特徴とする請求項11又は12記載の引率支援装置。
【請求項16】
前記複数の引率支援装置のうち、1又は複数の引率支援装置の前記端末データ蓄積部は、
前記複数の引率支援装置の全ての端末識別情報が、予め記録され、
当該引率支援装置の前記情報解析部は、
前記端末データ蓄積部に記録された全ての端末識別情報をあて先とする情報提供要求を前記通信部に送信させる
ことを特徴とする請求項14記載の引率支援装置。
【請求項17】
前記情報解析部は、
前記端末データ蓄積部に記録された端末識別情報のうち、所定時間通信を行っていない前記引率支援装置の端末識別情報を削除し、
記録された前記端末識別情報数が所定値以下のとき、少なくとも送信元の端末識別情報を含めた端末ID送信要求を前記通信部に同報送信させ、
前記通信部が、前記端末ID送信要求に対する応答を受信したとき、当該応答を送信した引率支援装置の端末識別情報を、前記端末データ蓄積部に記録する
ことを特徴とする請求項11〜16の何れかに記載の引率支援装置。
【請求項18】
前記通信部は、
前記端末ID返信要求を受信したとき、少なくとも送信元の端末識別情報を含めた端末ID送信要求に対する応答を返信し、
前記情報解析部は、
前記端末ID返信要求に含まれる送信元の端末識別情報を、前記端末データ蓄積部に記録することを特徴とする請求項17記載の引率支援装置。
【請求項19】
回数モード又は端末数モードの選択操作を行う端末操作部を備え、
前記通信部は、
選択されたモードの情報を含めたモード切替情報を送信することを特徴とする請求項11〜18の何れかに記載の引率支援装置。
【請求項20】
前記情報解析部は、
前記通信部が前記モード切替情報を受信したとき、
該モード切替情報に応じて、前記引率支援装置間で授受される通信情報、又は前記端末データ蓄積部に記録された前記端末識別情報を選択し、選択した情報に基づいて孤立危険性の有無を判断することを特徴とする請求項19記載の引率支援装置。
【請求項21】
前記通信部は、
送信する前記通信情報に当該引率支援装置が属するグループIDの情報を含め、
前記情報解析部は、
前記通信情報に含まれるグループIDの情報と、前記引率支援装置間で授受される通信情報又は/及び前記端末データ蓄積部に記録された前記端末識別情報に基づいて、孤立危険性の有無を判断することを特徴とする請求項11〜20の何れかに記載の引率支援装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2008−205677(P2008−205677A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−37509(P2007−37509)
【出願日】平成19年2月19日(2007.2.19)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年2月19日(2007.2.19)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】
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