説明

強化した組織移植片およびその製造および使用の方法

【課題】生体吸収性の組織移植片、ならびに、当該移植片を作成および使用するための方法を提供する。
【解決手段】好ましくは、この組織移植片は生体吸収性である。この組織移植片は連続気泡型の構造を伴う気孔を有する生体吸収性の高分子発泡体の1個以上の層を備えている。また、この組織移植片は当該移植片の機械的特性および取扱性の両方に貢献する補強部品も備えている。好ましくは、本発明の補強部品もまた生体吸収性である。本発明の組織移植片は骨盤床に対する損傷等の軟質組織の損傷の外科的修復に関連して使用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は骨盤床に対する損傷等の軟質組織の外傷の修復において使用するための生体吸収性で多孔質の強化した組織工学的な移植片装置および当該装置を作成するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
個々の人は外科的介入による修復を必要とする筋骨格組織等の組織に対する傷害を持ち続けている場合がある。このような修復は損傷した組織を縫合線処理するか、損傷した組織に移植片を係合することにより行うことができる。この移植片は損傷した組織に対して構造的な支持を行うことができ、細胞が成長するための基質として作用し得るので、さらに迅速な治癒を行うことができる。
【0003】
かなり一般的な組織傷害の一例は骨盤床に対する損傷である。この傷害は膀胱膣面の傷害の維持につながる可能性のある出産中またはその合併症により生じる可能性のある潜在的に深刻な医療状態である。このような傷害は膀胱におけるヘルニア形成である膀胱瘤を生じる可能性がある。同様の医療状態は直腸瘤(直腸のヘルニア形成)、腸瘤(直腸膣または膀胱膣の嚢の中における腸管の突出)、および腸膀胱ヘルニア(膀胱および腸管の両方が突出する二重のヘルニア)を含む。これらの状態は心理的および生理的に患者に痛烈且つ不都合に影響を与える可能性のある深刻な医療問題になり得る。
【0004】
これらの状態は通常において突出している器官またはその部分を整復する外科処置により治療される。また、メッシュ状のパッチがその突出部位の修復に使用される場合が多い。
【0005】
上記のようなパッチは一部のヘルニア形成に有用であるが、これらは通常において骨盤床の修復に適していない。さらに、非生体吸収性の材料により作成されているパッチまたは移植片は不所望な組織の侵食または擦過傷を引き起こす可能性がある。また、生物学的に誘導されている(例えば、同種移植片または自家移植片等の)別の移植片材料は病気の伝染に起因する可能性がある点で不都合であり、これらの特性がバッチ間において再現性があるように製造することが困難である。
【0006】
上記のような状態を治療するための種々の既知の装置および技法が従来技術において報告されている。例えば、特許文献1は骨盤床筋に接触してその骨盤床を上昇させるために使用される医療装置であるイントラバギナル・セットを記載している。
【0007】
さらに、Trip他(特許文献2)は内部に複数の孔が形成されている生体適合性を有する修復パッチを記載しており、このパッチは織り状、編み状、非編み状、編組状の生体適合性を有するポリマーにより形成されている。このパッチは種々の生体吸収性の材料ならびに感染の可能性の減少、および/または、生体適合性を高めることのできる別の材料に対してコーティングできる。
【0008】
別の補強材料が特許文献3(Bell他)および特許文献4(Hinsch)において記載されている。このBell他は組織の修復および再構成において使用可能な生体ポリマーの発泡体および発泡体構造を記載している。また、Hinschは吸収性の材料により作成されている連続気泡型の発泡体状の移植片を記載しており、この移植片は内部に埋め込まれている1種類以上の織物の補強要素を有している。この移植片材料は、潜在的に有用であるが、組織修復用の移植片として効果的に使用されるための十分な強度および構造的な完全性に欠けていると考えられる。
【0009】
【特許文献1】欧州特許出願第0955024A2号公報
【特許文献2】PCT国際公開第WO99 16381号公報
【特許文献3】米国特許第5,891,558号公報
【特許文献4】欧州特許出願第0274898A2号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
これら既存の技法にもかかわらず、悪影響が及ぼされている領域内への移植に伴う応力に耐えるために十分な構造的完全性を有する生体吸収性の組織修復移植片に対する要望が存在し続けている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は病気のまたは損傷した組織の修復または再生において使用するための生体吸収性で多孔質の強化された組織移植片、または「支持骨格(scaffold)」装置、およびこれらの装置を作成および使用するための方法に関する。これらの移植片は連続気泡型の気孔構造を伴う気孔を有する生体吸収性の高分子発泡体部品により構成されている。この発泡体部品はメッシュ等の材料により補強されている。好ましくは、この移植片は移植の前または移植中に手術室においてこれを取り扱うことを可能にするために十分な構造的完全性を有している。また、これらの移植片は当該移植片が裂けることなく縫合線またはファスナーを許容して保持することを可能にするために十分な特性(例えば、引裂強さ)も有している必要がある。上記の発泡体部品と補強部品とを一体にすることにより本発明の移植片に望ましい諸特性が賦与される。すなわち、上記の発泡体部品において気孔形成しているウエブまたは壁部が補強部品のメッシュの中に入り込んでこれらに対して結合する。この移植片はその発泡体部品および補強部品のそれぞれにおいて1個以上の層を備えることができる。好ましくは、発泡体における各隣接層もまた当該隣接層内において気孔形成しているウエブまたは壁部の少なくとも部分的な結合により一体化されている。
【0012】
上記の補強材料は好ましくはメッシュであり、生体吸収性にすることができる。この補強材料は縫合を可能にするために十分なメッシュ密度を有していることが必要であるが、この密度は発泡体と補強材料との間の適当な結合を妨げるほどには高くない。好ましいメッシュ密度は約12%乃至約80%の範囲内である。
【0013】
また、本発明は上記のような生体適合性を有し生体吸収性の組織移植片を作成する方法にも関する。これらの移植片は所望の配置および配向で補強材料を金型の中に入れることにより作成される。その後、適当な溶媒中における所望の高分子材料の溶液をこの金型に加えて、この溶液を凍結乾燥することにより補強材料が高分子発泡体内に埋め込まれた状態の移植片を得ることができる。
【0014】
上記の移植片は患者の骨盤床、または裂傷がヘルニア形成を引き起こしているその他の軟質組織領域を補強するため等のような組織移植片として使用できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、病気または損傷している領域内への移植に伴う応力に耐えるために十分な構造的完全性を有する生体吸収性の組織修復移植片が提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明は、好ましくは生体吸収性で、生体適合性を有する組織移植片または「支持骨格(scaffold)」装置、および当該装置を作成および使用するための方法に関する。この移植片は連続気泡型の気孔構造を伴う気孔を有する生体吸収性の高分子発泡体の1個以上の層を備えている。さらに、向上された機械的特性および取り扱い性に貢献するために補強部品もこの移植片に存在している。好ましくは、この補強部品は生体適合性を有するメッシュ布地の形態である。この補強部品は生体吸収性にすることもできる。
【0017】
骨盤床の修復用の補強材料としての使用の場合等の一部の外科用途において、本発明の組織移植片は手術室内で取り扱うことが可能である必要があり、これらは裂けることなく縫合されるか固定されることが可能である必要がある。加えて、これらの移植片は組織を補強するために適している一定の破裂強さを有している必要があり、この移植片の構造が組織の内方発育を促進するのに適している必要がある。好ましい組織内方発育の促進構造は発泡体部品の気泡が連続的で細胞の内方発育を可能にするのに十分な大きさである構造である。また、適当な気孔寸法は当該気孔が約100ミクロン乃至約1000ミクロン、さらに好ましくは約150ミクロン乃至約500ミクロンの範囲内の平均直径を有する寸法である。
【0018】
図1乃至図3において、移植片10は高分子の発泡体部品12および補強部品14を備えている。好ましくは、この発泡体部品は連続気泡型の気孔構造を伴う気孔13を有している。補強部品はこの移植片の断面における実質的に中心に配置されて示されているが、このような補強材料が移植片内の任意の位置に配置可能であることが理解されると考える。さらに、図2に示すように、2個以上の発泡体部品12a,12bおよび補強部品14a,14bが移植片の中にそれぞれ存在していることも有り得る。また、発泡体部品および/または補強材料の種々の層が異なる材料により作成でき、異なる気孔寸法を有し得ることが理解されると考える。
【0019】
図3はバリア層16が移植片内に存在している実施形態を示している図である。このバリア層16は移植片10の一方の表面のみに存在しているように示されているが、移植片の上面部および下面部18,20のいずれかまたは両方にも存在できる。
【0020】
移植片10は手術室環境内における取り扱いを容易にするため、および裂けることなく縫合線またはその他のファスナーを許容して保持することを可能にするための十分な構造的完全性および物理的特性を有している必要がある。適当な強度および物理的特性は上記の発泡体部品および補強部品を形成するために使用する各材料、および製造方法の選択により移植片内において具現化できる。図7に示すように、発泡体部品12は気孔13を形成している当該発泡体部品のウエブまたは壁部11が補強部品14のメッシュの中に入り込んで当該補強材料に結合している状態で補強部品14に対して一体化されている。さらに、発泡体の各層が一つの層または補強材料により分離されているか否か、またはこれらが同一または異なる材料により作成されていることの如何にかかわらず、発泡体部品の各隣接層内において気孔を形成している各壁部もまた互いに対して結合している。
【0021】
種々の生体吸収性のポリマーが本発明による多孔質の強化した組織工学的に処理されている移植片または支持骨格装置を作成するために使用できる。適当な生体適合性を有し生体吸収性のポリマーの例は脂肪族ポリエステル、ポリ(アミノ酸)、コポリ(エーテル−エステル)、ポリアルキレン・オキサレート、ポリアミド、チロシン誘導型ポリカーボネート、ポリ(イミノカーボネート)、ポリオルトエステル、ポリオキサエステル、ポリアミドエステル、アミン基を含有しているポリオキサエステル、ポリ(酸無水物)、ポリホスファゼン、生体分子(すなわち、コラーゲン、エラスチン、生体吸収性のデンプン等の生体高分子)およびこれらの混合物から成る群から選択されるポリマーを含む。本発明の目的において、上記の脂肪族ポリエステルはラクチド(乳酸、D−,L−およびメソ形のラクチドを含む)、グリコリド(グリコール酸を含む)、ε−カプロラクトン、p−ジオキサノン(1,4−ジオキサン−2−オン)、トリメチレン・カーボネート(1,3−ジオキサン−2−オン)、トリメチレン・カーボネートのアルキル誘導体、δ−バレロラクトン、β−ブチロラクトン、γ−ブチロラクトン、ε−デカラクトン、ヒドロキシブチレート、ヒドロキシオキシバレレート、1,4−ジオキセパン−2−オン(この二量体の1,5,8,12−テトラオキサシクロテトラデカン−7,4−ジオンを含む)、1,5−ジオキセパン−2−オン、6,6−ジメチル−1,4−ジオキサン−2−オン、2,5−ジケトモルホリン、ピバロラクトン、α,α−ジエチルプロピオラクトン、エチレン・カーボネート、エチレン・オキサレート、3−メチル−1,4−ジオキサン−2,5−ジオン、3,3−ジエチル−1,4−ジオキサン−2,5−ジオン、6,8−ジオキサビシクロクタン−7−オンおよびこれらのポリマー混合物のホモポリマーおよびコポリマーを含むがこれらに限らない。また、本発明の目的のためのポリ(イミノカーボネート)はDomb他により編集されている(Hardwood Academic Press社、第251頁乃至第272頁(1997年))ハンドブック・オブ・バイオディグレーダブル・ポリマーズ(Handbook of Biodegradable Polymers)においてKemnitzerおよびKohnにより記載されているようなポリマーを含むことが理解される。また、本発明の目的のためのコポリ(エーテル−エステル)はCohnおよびYounesによるJournal of Biomaterials Research(第22巻、第993頁乃至第1009頁、(1988年))、およびCohnによるPolymer Preprints(ACS Division of Polymer Chemistry)(第30(1)巻、第498頁、(1989年))において記載されているようなコポリエステル−エーテル(例えば、PEO/PLA)を含むことが理解される。また、本発明の目的のためのポリアルキレン・オキサレートは米国特許第4,208,511号、同第4,141,087号、同第4,130,639号、同第4,140,678号、同第4,105,034号、および同第4,205,399号において記載されている物質を含む。また、ポリホスファゼン、およびL−ラクチド、D,L−ラクチド、乳酸、グリコリド、グリコール酸、パラ−ジオキサノン、トリメチレン・カーボネートおよびε−カプロラクトン等により作成されているコ−、ターシャリー−(ter-)およびさらに高次の混合モノマーを基材とするポリマー等がエンサイクロペディア・オブ・ポリマー・サイエンス(The Encyclopedia of Polymer Science)(第13巻、第31頁乃至第41頁、Wiley Intersciences, John Wiley & Sons社、(1988年))におけるAllcock、およびDomb他により編集されている(Hardwood Academic Press社、第161頁乃至第182頁(1997年))ハンドブック・オブ・バイオディグレーダブル・ポリマーズ(Handbook of Biodegradable Polymers)におけるVandorpeにより記載されている。また、ポリ酸無水物はHOOC-C6 H4 -O-(CH2 )m -O-C6 H4 -COOHの形態の二酸から誘導される物質、および当該二酸と12個までの炭素原子の脂肪族アルファ−オメガ二酸とのコポリマーを含み、上記の化学式におけるmは2乃至8の範囲内の整数である。さらに、ポリオキサエステル、ポリオキサアミド、およびアミン基および/またはアミド基を含有しているポリオキサエステルは以下の米国特許第5,464,929号、同第5,595,751号、同第5,597,579号、同第5,607,687号、同第5,618,552号、同第5,620,698号、同第5,645,850号、同第5,648,088号、同第5,698,213号、同第5,700,583号、および同第5,859,150号の1個以上において記載されている。また、ポリオルトエステルはDomb他により編集されている(Hardwood Academic Press社、第99頁乃至第118頁(1997年))ハンドブック・オブ・バイオディグレーダブル・ポリマーズ(Handbook of Biodegradable Polymers)においてHellerにより記載されているような物質を含む。
【0022】
本明細書において使用するように、用語の「グリコリド(glycolide)」はポリグリコール酸を含むことが理解される。さらに、用語の「ラクチド(lactide)」はL−ラクチド、D−ラクチド、これらの混合物、および乳酸のポリマーおよびコポリマーを含むことが理解される。
【0023】
現在において、脂肪族ポリエステルは本発明による発泡体移植片の作成における使用において好ましい生体吸収性のポリマーの中に含まれる。この脂肪族ポリマーは線形、分岐状または星形の構造を有するホモポリマー、コポリマー(ランダム、ブロック、セグメント、タッパード・ブロック(tappered blocks)、グラフト、トリブロック等)とすることができる。これらの脂肪族ホモポリマーおよびコポリマーを作成するために適しているモノマーは乳酸、ラクチド(L−、D−、メソ形およびD,L混合物を含む)、グリコール酸、グリコリド、ε−カプロラクトン、p−ジオキサノン(1,4−ジオキサン−2−オン)、トリメチレン・カーボネート(1,3−ジオキサン−2−オン)、δ−バレロラクトン、β−ブチロラクトン、ε−デカラクトン、2,5−ジケトモルホリン、ピバロラクトン、α,α−ジエチルプロピオラクトン、エチレン・カーボネート、エチレン・オキサレート、3−メチル−1,4−ジオキサン−2,5−ジオン、3,3−ジエチル−1,4−ジオキサン−2,5−ジオン、γ−ブチロラクトン、1,4−ジオキセパン−2−オン、1,5−ジオキセパン−2−オン、6,6−ジメチル−ジオキセパン−2−オン、6,8−ジオキサビシクロクタン−7−オン、およびこれらの組み合わせ物から成る群から選択できるが、これらに限らない。
【0024】
弾性コポリマーもまた本発明において特に有用である。適当な弾性ポリマーはヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)中における0.1グラム/デシリットル(g/dL)のポリマー溶液において25℃で決定した場合に約1.2dL/g乃至約4dL/g、さらに好ましくは約1.2dL/g乃至約2dL/g、最も好ましくは約1.4dL/g乃至約2dL/gの範囲内の固有粘度を有するポリマーを含む。さらに、適当なエラストマー(または弾性材料)は高い伸び率および低い弾性率を示すと共に、良好な引張強さおよび良好な回復特性を有している。本発明の好ましい実施形態において、上記の発泡体部品を形成するエラストマーは一定の伸び率(例えば、約200パーセント超、好ましくは約500パーセント超)を示す。さらに、上記の伸び率および弾性率の特性に加えて、適当なエラストマーは約500psi(3.5×106 パスカル)超、好ましくは約1000psi(6.9×106 パスカル)超の引張強さ、および約50ポンド/インチ(8.9キログラム/センチメートル)超、好ましくは約80ポンド/インチ(14キログラム/センチメートル)超の引裂強さを有していることが必要である。
【0025】
例示的な生体吸収性で生体適合性を有するエラストマーはε−カプロラクトンおよびグリコリド(グリコール酸を含む)の弾性コポリマー(この場合のε−カプロラクトンのグリコリドに対するモル比は約35:65乃至約65:35、さらに好ましくは45:55乃至35:65である)、ε−カプロラクトンおよびラクチド(L−ラクチド、D−ラクチド、これらの混合物、乳酸のポリマーおよびコポリマーを含む)の弾性コポリマー(この場合のε−カプロラクトンのラクチドに対するモル比は約35:65乃至約65:35、さらに好ましくは45:55乃至30:70または約95:5乃至約85:15である)、p−ジオキサノン(1,4−ジオキサン−2−オン)およびラクチド(L−ラクチド、D−ラクチド、これらの混合物、乳酸のポリマーおよびコポリマーを含む)の弾性コポリマー(この場合のp−ジオキサノンのラクチドに対するモル比は約40:60乃至約60:40である)、ε−カプロラクトンおよびp−ジオキサノンの弾性コポリマー(この場合のε−カプロラクトンのp−ジオキサノンに対するモル比は約30:70乃至約70:30である)、p−ジオキサノンおよびトリメチレン・カーボネートの弾性コポリマー(この場合のp−ジオキサノンのトリメチレン・カーボネートに対するモル比は約30:70乃至約70:30である)、トリメチレン・カーボネートおよびグリコリド(グリコール酸を含む)の弾性コポリマー(この場合のトリメチレン・カーボネートのグリコリドに対するモル比は約30:70乃至約70:30である)、トリメチレン・カーボネートおよびラクチド(L−ラクチド、D−ラクチド、これらの混合物、乳酸のポリマーおよびコポリマーを含む)の弾性コポリマー(この場合のトリメチレン・カーボネートのラクチドに対するモル比は約30:70乃至約70:30である)、およびこれらの混合物を含むがこれらに限らない。また、適当な生体吸収性のエラストマーの例が米国特許第4,045,418号、同第4,057,537号および同第5,468,253号に記載されている。
【0026】
実施形態の一例において、上記のエラストマーはジオキサン溶媒中において形成されてポリジオキサノン・メッシュを含むポリグリコール酸およびポリカプロラクトンの35:65のコポリマーである。また、別の実施形態においては、上記のエラストマーはポリグリコール酸およびポリカプロラクトンの35:65のコポリマーと40:60のε−カプロラクトン−コ−ラクチドとの50:50の混合物である。
【0027】
当該技術分野における通常の熟練者であれば、上記の発泡体を形成するための適当なポリマーまたはコポリマーの選択は幾つかのファクターに依存していることが理解できる。このような発泡体部品を形成するために使用される適当なポリマーの選択において比較的関連性の深いファクターは生体吸収(または生体崩壊)の速度、生体内における機械的特性、細胞の付着、増殖、移動および分化に関する材料に対する細胞応答、および生体適合性を含む。その他の関連ファクターは、上記ポリマーの生体外および生体内における挙動をある程度示す因子であり、化学的組成、各成分の空間的な分布、ポリマーの分子量、および結晶化の程度を含む。
【0028】
上記の材料基質の体内環境における時宜を得た吸収能力は重要である。しかしながら、生体内における吸収時間における差は2種類の異なるコポリマーを組み合わせる場合の基礎にすることもできる。例えば、発泡体部品を形成するために35:65のε−カプロラクトンおよびグリコリドのコポリマー(比較的に速い吸収性のポリマー)、および40:60のε−カプロラクトンおよびL−ラクチドのコポリマー(比較的に遅い吸収性のポリマー)が混合される。採用する処理技法により、これら2種類の成分は無作為的に内部接続している2個の連続的な(bicontinuous)相になるか、当該2個の連続的な相の間に良好に一体化した境界面を有するラミネート型の積層材料の形態における勾配状の構造を有することができる。これらの発泡体の微視的な構造は工学的な処理を加える組織の所望の解剖学的な特徴部分を再生または修復するために最適化することができる。
【0029】
実施形態の一例においては、勾配状の構造において一つの組成から別の組成に変化する構造を形成するためのポリマー混合物を使用することが望ましい。このような勾配状の構造を有する発泡体は軟骨(関節、半月板、中隔、気管等)、食道、皮膚、骨、および脈管組織等の天然組織の構造を修復または再生するための組織工学用途において特に有利である。例えば、ε−カプロラクトン−コ−グリコリドのエラストマーをε−カプロラクトン−コ−ラクチドと共に混合すること(例えば、約5:95のモル比を有する)により、軟骨から骨への変化に類似している様式で比較的軟質のスポンジ状の材料から比較的硬質の剛体材料に変化する発泡体が形成できる。明らかに、当該技術分野における通常の熟練者であれば、上記と同様の勾配作用のため、または異なる勾配(例えば、異なる吸収特性、応力応答特性、または異なる程度の弾性)を形成するために別のポリマー混合物が使用可能であることが理解できる。加えて、これらの発泡体の構造はこれらの独特の組織移植片から恩恵を受けることのできる器官の修復置換または再生の目的のために使用できる。例えば、これらの移植片は脊柱円板、頭蓋組織、硬膜、神経組織、肝臓、膵臓、腎臓、膀胱、脾臓、心筋、骨格筋、腱、靭帯および胸部組織のために使用できる。
【0030】
本発明の組織移植片における補強部品は織り状、編み状、たて編み状(すなわち、レース状)、不織地状、編組状の構造を有する織物を含む任意の吸収性または非吸収性で生体適合性を有する材料により構成できる。例示的な実施形態において、この補強部品はメッシュ状の構造を有している。上記の各構造のいずれにおいても、その材料の機械的特性が当該材料の密度または組織を変化すること、または当該材料に粒子を埋め込むことにより変更できる。この補強部品を作成するための繊維はモノフィラメント、紡ぎ糸、より糸、編組繊維、または繊維の束とすることができる。これらの繊維はポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリジオキサノン(PDO)、トリメチレン・カーボネート(TMC)、ポリビニル・アルコール(PVA)、およびこれらのコポリマーまたは混合物等の生体吸収性の材料を含む任意の生体適合性を有する材料により作成できる。実施形態の一例において、上記の繊維は95:5のモル比におけるポリ乳酸およびポリグリコール酸のコポリマーにより形成されている。
【0031】
別の実施形態において、上記の補強材料を形成する繊維は生体吸収性のガラスにより作成できる。ケイ酸塩含有のリン酸カルシウム・ガラスまたは吸収時間を制御するために種々の量の固体粒子が添加されているリン酸カルシウム・ガラスである生体ガラスはガラス繊維に紡いで上記補強材料のために使用できる材料の例である。添加可能な適当な固体粒子は鉄、マグネシウム、ナトリウム、カリウム、およびこれらの組み合わせ物を含む。
【0032】
上記の補強材料は孔を有する薄い弾性シートにより形成することも可能であり、これらの孔が組織の内方発育を可能にする。このようなシートはポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリカプロラクトン(PCL)、およびポリジオキサノン(PDO)の混合物またはコポリマーにより作成できる。
【0033】
実施形態の一例において、上記の補強材料を形成するフィラメントは同時押出することによりシース/コア構造を有するフィラメントを製造できる。このようなフィラメントは別の生体崩壊性のポリマーにより構成されている1個以上のコアを囲む生体崩壊性のポリマーのシースにより構成されている。比較的遅い吸収性のコアを囲んでいる比較的速い吸収性のシースを伴うフィラメントは延長された支持が組織の内方発育において必要である場合に望ましくなる可能性がある。
【0034】
当該技術分野における通常の熟練者であれば、本発明の組織移植片を強化するために1個以上の補強材料の層が使用可能であることが理解できる。加えて、優れた機械的強度を有する強化された組織移植片を製造するために同一の構造および化学的組成または異なる構造および化学的組成の生体崩壊性の補強層(例えば、メッシュ)を互いの表面上に重ね合わせることができる。
【0035】
上記の組織移植片の発泡体部品は当該技術分野における通常の熟練者において周知の種々の技法により発泡体として形成できる。例えば、この高分子の開始材料は、凍結乾燥、超臨界溶媒発泡(すなわち、欧州特許第464,163号に記載されているような方法)、ガス注入押出、ガス注入成形または抽出可能な材料(例えば、塩類、糖または同様の適当な材料)を伴うキャスティングにより発泡させることができる。
【0036】
実施形態の一例において、本発明の工学的に処理を加えた組織移植片の発泡体部品は凍結乾燥のようなポリマー−溶媒の相分離技法により作成できる。しかしながら、一般に、このポリマー溶液は以下の4種類の技法、すなわち、(a)熱的に誘導されるゲル化/結晶化、(b)溶媒相およびポリマー相の非溶媒的に誘導される分離、(c)化学的に誘導される相分離、および(d)熱的に誘導されるスピノード的分解(spinodal decomposition)のいずれか一つにより二相に分離できる。このポリマー溶液は2種類の分離している相または2種類の連続的(bicontinuous)な相のいずれかに制御された様式で分離される。次に、この溶媒相を除去することにより、通常において、塊状ポリマーよりも小さい密度の多孔質構造およびマイクロメートルの範囲内の気孔が残る。これについては、「相分離による微小気泡発泡体(Microcellular Foams Via Phase Separation)」(J. Vac. Sci. Technolol., A. T. Young,第4(3)巻、5月/6月、1986年)を参照されたい。
【0037】
上記の発泡体の作成に関係している工程は凍結乾燥するポリマーに対して適正な溶媒を選択する処理および均質な溶液を作成する処理を含む。次に、このポリマー溶液を凍結させて真空乾燥工程にかける。この凍結工程はポリマー溶液を相分離して、真空乾燥工程が昇華および/または乾燥処理により溶媒を除去して多孔質のポリマー構造または内部接続している連続気泡型の発泡体を残す。
【0038】
上記発泡体部品の作成において使用できる適当な溶媒はギ酸、ギ酸エチル、酢酸、ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)、環状エーテル(例えば、テトラヒドロフラン(THF)、弗化ジメチレン(DMF)、およびポリジオキサノン(PDO))、アセトン、C2乃至C5のアルコールの酢酸エステル(例えば、酢酸エチルおよび酢酸t−ブチル)、グライム(例えば、モノグライム、エチル・グライム、ジグライム、エチル・ジグライム、トリグライム、ブチル・ジグライムおよびテトラグライム)、メチルエチル・ケトン、ジプロピレングリコール・メチル・エーテル、ラクトン(例えば、γ,γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、β−ブチロラクトン、γ−ブチロラクトン)、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、1,3−ジオキソラン−2−オン(エチレン・カーボネート)、ジメチルカーボネート、ベンゼン、トルエン、ベンジル・アルコール、p−キシレン、ナフタレン、テトラヒドロフラン、N−メチル・ピロリドン、ジメチルホルムアミド、クロロホルム、1,2−ジクロロメタン、モルホリン、ジメチルスルホキシド、ヘキサフルオロアセトン・セスキヒドレート(HFAS)、アニソールおよびこれらの混合物を含むがこれらに限らない。これらの溶媒の中で、好ましい溶媒は1,4−ジオキサンである。溶媒中におけるポリマーの均質な溶液は標準的な技法により作成される。
【0039】
利用可能な上記の溶媒における適当なポリマー濃度または量は各システムにおいて変更できる。一般に、溶液中のポリマーの量は、任意の溶媒中におけるポリマーの溶解度および発泡体中の最終的な所望の特性等のファクターにより、約0.5重量%乃至約90重量%まで、好ましくは約0.5重量%乃至約30重量%まで変更可能である。
【0040】
実施形態の一例において、固形物を上記のポリマー−溶媒システムに添加して得られる発泡体の表面の組成を改質することができる。この添加した粒子が溶液からその下面部に沈殿すると、添加した固形物の組成を有していて発泡状態の高分子材料ではない領域が形成される。あるいは、添加される固形物を得られる組織移植片の所望領域内(すなわち、上部、側面部、または下部の近傍)においてさらに濃縮することにより、これら全ての領域において組成を変化させることができる。例えば、所定の場所における固形物の濃縮は磁性材料により作成した金型内に入れた溶液に金属の固形物を添加すること(またはこの逆)により達成できる。
【0041】
また、種々の種類の固形物を上記のポリマー−溶媒システムに添加することができる。好ましくは、これらの固形物は上記のポリマーまたは溶媒に対して反応しない種類である。一般に、これらの添加される固形物は約1.0mmの平均直径を有しており、好ましくは、約50ミクロン乃至約500ミクロンの平均直径を有している。好ましくは、これらの固形物は当該固形物およびポリマー−溶媒の混合物の総計の容量(この場合の総計の容量パーセントは100容量パーセントに等しい)の約1重量%乃至約50容量%になるような量で存在している。
【0042】
例示的な固形物は鉱物質除去した骨の粒子、リン酸カルシウム粒子、生体ガラス粒子、硫酸カルシウム、または骨修復用の炭酸カルシウム粒子、気孔形成用の抽出可能な固形物、および補強材料として有効な溶媒システムに溶解しない、または吸収される際に気孔を形成するための生体吸収性ポリマーの粒子、および非生体吸収性の材料を含むがこれらに限らない。
【0043】
適当な抽出可能な固形物は塩類(例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、酒石酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム等)、生体適合性を有する単糖類および二糖類(例えば、グルコース、フルクトース、デキストロース、マルトース、ラクトースおよびスクロース)、多糖類(例えば、デンプン、アルギン酸塩、キトサン)、水溶性タンパク質(例えば、ゼラチンおよびアガロース)等の無毒性の抽出可能な材料を含む。これらの抽出可能な材料は当該抽出可能な材料を含む発泡体を一定の溶媒中に浸漬することにより除去することができ、当該溶媒中において、この材料の粒子は十分な量の時間をかけて溶解して実質的に全ての粒子の抽出が可能になるが、この溶媒は上記発泡体を溶解または不都合に変化しない。好ましい抽出溶媒は水であり、最も好ましくは蒸留して脱イオン化した水である。上記のような処理が米国特許第5,514,378号に記載されている。好ましくは、発泡体の加速した吸収が望まれない場合の発泡体の加水分解を最少に留めるために、上記の処理後の発泡体の乾燥は低温、且つ/または、真空条件下において完全におこなわれる。
【0044】
適当な非生体吸収性の材料はステンレス・スチール、コバルト−クロム、チタンおよびチタン合金、および生体不活性のセラミック粒子(例えば、アルミナ、ジルコニア、および硫酸カルシウム粒子)等の生体適合性を有する金属を含む。さらに、この非生体吸収性の材料はポリエチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリメチルメタクリレート、シリコーン、ポリエチレン・オキシド、ポリエチレン・グリコール、ポリウレタン、ポリビニル・アルコール、天然生体ポリマー(例えば、セルロース粒子、キチン、ケラチン、シルク、およびコラーゲン粒子)、および弗素化ポリマーおよびコポリマー(例えば、ポリ弗化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、およびヘキサフルオロプロピレン)等のポリマーを含むことができる。
【0045】
また、上記の組織移植片を放射線不透過性にする固形物(例えば、硫酸バリウム)を添加することも可能である。さらに、添加できる固形物は組織の再生または再成長を促す材料、ならびに、緩衝剤、補強材料または多孔質性の改質剤として作用する材料も含むことができる。
【0046】
上述したように、本発明の多孔質の強化した組織移植片装置は適当なポリマー溶液を金型および本発明の補強要素により構成されている金型組立品の中に射出、注入、またはその他の方法で入れることにより作成される。その後、この金型組立品を適当な槽の中または冷凍状態の棚の上で冷却した後に凍結することにより、強化した組織工学的処理を施した支持骨格が形成できる。この発泡体部品を形成する過程において、ポリマー−溶媒システムの凍結速度を制御することが重要であると考えられる。上記の凍結工程中に展開する気孔形態の種類はその溶液の熱力学、凍結速度、その冷却温度、溶液の濃度、および均質または不均質な核形成のいずれが生じているか等のファクターの関数である。当該技術分野における通常の熟練者であれば、過度の実験を行なうことなく上記の各パラメータを容易に最適化できる。
【0047】
必要とされる一般的な処理工程は上記の高分子発泡体および補強部品を作成するための適当な各材料の選択を含む。メッシュ状の補強材料を採用する場合には、その適当なメッシュ密度を選択する必要がある。さらに、この補強材料を金型内において適正に整合する必要があり、ポリマー溶液は適当な速度で、好ましくは、気泡の形成をさけるために適当な角度に傾斜した状態の金型の中に加える必要があり、このポリマー溶液を凍結乾燥する必要がある。
【0048】
メッシュ状の補強材料を利用している実施形態において、この補強用メッシュは一定の密度を有している必要がある。すなわち、このメッシュ材料内の各開口部はその構造を縫合可能にするために十分に小さいことが必要であるが、発泡体材料およびその各連続気泡および気泡壁が当該メッシュ開口部の中に入り込む際に発泡体と補強用メッシュとの間の適当な結合を妨げるほどには小さくない。このような適当な結合ができなければ、層状構造の構造的完全性が損なわれて、その構造が脆くなり、取り扱いが困難になる。
【0049】
補強した発泡体の凍結乾燥中に、所望の構造的完全性および機械的諸特性を有する移植片を製造するために幾つかのパラメータおよび処理が重要になる。好ましくは、上記の補強材料は金型内に配置されている時に実質的に平坦である。適度の平坦さを確実にするために、この補強材料(例えば、メッシュ)は金型の中に配置する前に加熱したプレス機により平坦に加圧される。さらに、これらの補強用の構造体が等方性でない場合には、指向性を示すためにその構造に標識を施すことによりその異方性を示すことが望ましい。このことは織り状の補強材料の中に染色した標識または染色した糸等の1種類以上の指示手段を埋め込むことにより達成できる。この指示手段の方向または配向により外科医に優れた物理的特性の移植片における配向状態が示される。
【0050】
上述したように、上記の凍結乾燥の前にポリマー溶液が金型に加えられる様式は適当な機械的完全性を有する組織移植片の形成に役立つ。メッシュ状の補強材料を採用し、この材料を2個の薄い(例えば、0.75mmの)シムの間に配置すると仮定した場合に、この材料は金型内の所望の深さに実質的に平坦な配向状態で必然的に配置されると考えられる。さらに、上記発泡体部品の各層の間から気泡が逃避可能な様式でポリマー溶液が注がれる。好ましくは、この金型は一定の所望の角度に傾斜されて、気泡の形成を最良に阻止するような一定の制御された速度で注入が行われる。当該技術分野における通常の熟練者であれば、多数の変更例により上記の傾斜角度および注入速度が制御可能であることが理解できる。一般に、気泡の形成を避けるために、金型は約1度よりも大きな角度で傾斜する必要がある。加えて、上記の注入速度はあらゆる気泡が金型内に捕捉されることなく当該金型から逃避可能にするために十分に遅くする必要がある。
【0051】
上記の補強部品としてメッシュ材料が使用される場合に、そのメッシュ開口部の密度は結果として得られる所望の機械的諸特性を有する組織移植片の形成において重要なファクターである。低密度、またはオープン・ニット式(open knitted)のメッシュ材料が好ましい。特に好ましい材料は商品名をVICRYL(Ethicon社、ニュージャージー州、サマービル)として販売されているPGA/PLAの90/10のコポリマーである。低密度でオープン・ニット式のメッシュの一例はニュージャージー州、サマービルのEthicon社から入手可能なKnitted VICRYL VKM-Mである。
【0052】
上記のメッシュ材料の密度または「開口度(openness)」はコンピュータによるインターフェイスを備えているデジタル・フォトカメラにより評価できる。評価の一例において、上記メッシュ材料の密度をIBM 300PLコンピュータによるインターフェイスを備えているSonyデジタル・フォトカメラDKC-5000を伴うNikon SMZ-U Zoomにより決定した。さらに、20倍に拡大した各メッシュ材料の部分のデジタル画像をImage-Pro Plus 4.0ソフトウエアにより操作してそのメッシュ密度を決定した。このソフトウエアによりデジタル画像を捕らえた後に、画像全体の面積からメッシュ材料内の空の空間部分に対応する面積を差し引くことができるようにこの画像の閾値化または境界定めを行なった。その後、上記のメッシュ密度を残っているデジタル画像の割合から決定した。この結果、最も望ましい機械的な諸特性を有する移植片は約12%乃至約80%、さらに好ましくは約45%乃至約80%の範囲内のメッシュ密度を有する移植片であることが分かった。
【0053】
図4および図5は本発明において有用である金型組立体を示しており、当該組立体において、金型19は基部21および側壁部22を有している。下方の各シム24は基部21の上面部上において互いに平行に配置されている。なお、下方シム24の平行な配列が示されているが、任意数のシムならびに任意の所望の配列が採用できる。さらに、補強用の布地25が下方シム24の上に配置されていて、上方の各シム26により保持されており、これら上方シム26は補強用の布地25の上に互いに平行に配置されている。図示していないが、補強用の布地25は下方シム24と上方シム26との間において種々の様式で配置可能である。実施形態の一例において、下方シム24の高さはメッシュ材料がこのサンドイッチ構造の上面部または下面部の近くに配置されるように変更可能である。
【0054】
別の実施形態において、静電的に紡糸処理した布地バリアを過形成および組織接着に対するバリアとして作用させるために添えて、手術後の接着の可能性を減少することができる。この布地バリアは移植片に添えられる高密度の繊維布地の形態であることが好ましい。好ましくは、この繊維布地は発泡体部品の上面部および/または下面部に融着されている小さい直径の繊維により構成されている。このことにより、多孔質性、透過性、崩壊速度および機械的特性等の上記構造体における特定の表面特性を制御することが可能になる。
【0055】
当該技術分野における通常の熟練者であれば、上記の繊維布地が凍結乾燥処理した発泡体の表面上に繊維層を構築することのできる静電的紡糸処理により製造可能であることが理解できる。このような静電的紡糸処理は種々の繊維材料を用いて行なうことができる。例示的な繊維材料は脂肪族ポリエステルを含む。また、上記の発泡体部品を形成するポリマー溶液を作成するために有用である上記において示した各溶液を含む種々の溶媒も使用可能である。
【0056】
上記繊維層の組成、厚さ、および多孔質性を調整して所望の機械的および生物学的な特性を提供することができる。例えば、この繊維層の生体吸収速度を選択することにより下層の発泡体層に対して比較的長いまたは比較的短い生体吸収特性を提供することができる。加えて、この繊維層は上記の積層材料に対して比較的高い構造的完全性を提供して、その構造体における繊維質の面に機械的な力を加えることを可能にする。実施形態の一例において、この繊維層は上記積層材料を保持するための縫合線、ステープルまたは種々の固定装置の使用を可能にする。一般に、この繊維層は約1ミクロン乃至約1000ミクロンの範囲内の一定の厚さを有している。
【0057】
また、本発明の移植片はこれらの独特の移植片から恩恵を受けることのできる器官の修復置換または再生の目的のために使用することもできる。例えば、これらの移植片は脊柱円板、頭蓋組織、硬膜、神経組織、肝臓、膵臓、腎臓、膀胱、脾臓、心筋、骨格筋、皮膚、筋膜、顎顔面、胃、腱、軟骨、靭帯、および胸部組織のために使用できる。
【0058】
繊維表面層を伴う組織移植片装置の可能な用途の一例は骨盤床修復用の基質としての使用である。このような移植片における種々の部品が異なる機能を果たす。すなわち、上記の補強した発泡体層は細胞の内方発育および増殖を促し、減少した透過性を有する上記の繊維層は細胞の浸潤に対するバリアを提供する。また、上記の凍結乾燥処理した発泡体構造は平滑筋細胞または線維芽細胞による細胞浸潤に対応して最適化することができる。さらに、上記の繊維布地層は移植片内への細胞の移動を制限しながら栄養素および廃棄物の拡散を可能にして、手術後の接着の防止を補助する。
【0059】
以下の実施例は本発明の原理および実施方法の例示である。なお、当該技術分野における熟練者においては本発明の範囲および趣旨に含まれる多数の付加的な実施形態が明らかになる。
本発明は以下の添付図面と共に考察して以下の詳細な説明を参考にすることよりさらに完全に理解することができる。
【0060】
実施例1
この実施例は生体崩壊性のメッシュの形態における補強材料を伴うおよび当該材料を伴わないそれぞれの三次元の弾性組織移植片の作成を示している。
【0061】
上記の発泡体部品を形成するために凍結乾燥処理されるポリマーの溶液を4段階の工程において作成した。1,4−ジオキサン/(40/60PCL/PLA)の95/5の重量比率の溶液を作成してフラスコ内に注いだ。このフラスコをウォーター・バス中に入れて、70℃で5時間にわたり攪拌した。この溶液をASTM170-220(EC)系の超粗めの多孔質度の抽出用円筒濾紙により濾過してフラスコ内に保存した。
【0062】
共に商品名VICRYLとして販売されているポリグリコール酸/ポリ乳酸(PGA/PLA)の編み状メッシュ(コードVKM-M)および織り状メッシュ(コードVWM-M)の90/10のコポリマーにより形成した補強用のメッシュ材料を80℃/2mmにおける圧縮成形機によるアイロン掛け処理により平坦状にした。図6は上記編み状メッシュの走査電子顕微鏡写真(SEM)である。これらのメッシュ材料を作成した後に、15.3×15.3cmのアルミニウム金型の各端部に0.8mmのシムをそれぞれ配置して、メッシュ材料をこの金型に適合する寸法(14.2mm)にした。その後、このメッシュ材料を金型の中に置いて、両方のシムを被覆した。次に、クランプ・ブロックをメッシュ材料およびシムの上部に配置して、このブロックを適当にクランプすることによりメッシュ材料が金型の中において確実に均一な高さを有するようにした。さらに、メッシュ材料を僅かに引き伸ばして均等および平坦な状態に維持しながら、別のクランプ・ブロックを別の端部に配置した。
【0063】
ポリマー溶液を上記の金型に加える際に、この金型を約5度に傾斜してクランプしていない側面の内の一方が別の他方の側面よりも高くなるようにした。約60mlのポリマー溶液を、確実に当該溶液を金型の中に良好に分散させながら、金型の中に徐々に移した。その後、この金型をVirtisのFreeze Mobile G凍結乾燥機内の棚に載置した。次に、以下の凍結乾燥シーケンス、すなわち、(1)20℃で15分間、(2)−5℃で120分間、(3)100ミリトールの真空条件下において−5℃で90分間、(4)100ミリトールの真空条件下において5℃で90分間、(5)100ミリトールの真空条件下において20℃で90分間を行った。その後、この金型組立体を凍結乾燥機から取り出して、窒素ボックス内に一晩置いた。この処理の完了後に、得られた移植片を発泡体/メッシュのシートの形態で金型から注意深く剥がした。
【0064】
また、非強化状態の発泡体も作成した。すなわち、このような非強化状態の発泡体を得るために、上記メッシュ材料を金型に挿入することに関する各工程を行なわなかった。その後、上記の凍結乾燥工程を行った。
【0065】
図7は上記の方法により形成した例示的なメッシュ強化処理した発泡体の組織移植片における一部分の走査電子顕微鏡写真である。この発泡体内の各気孔は細胞の内方発育に対応して最適化されている。
【0066】
実施例2
凍結乾燥処理した40/60のポリカプロラクトン/ポリ乳酸(PCL/PLA)の発泡体、ならびに、埋め込まれたVICRYL編み状メッシュにより強化された同一の発泡体を実施例1に記載した方法と同様に作成した。これらの強化した移植片を縫合線引抜き強さおよび破裂強さについて試験し、実施例1の手順に従って作成した標準的なVICRYLメッシュおよび非強化状態の発泡体に対して比較した。
【0067】
各試料を製造時および生体外曝露後の両方において試験した。この生体外曝露は各移植片を温度制御したウォーターバス中で37℃に維持したリン酸塩緩衝塩類(PBS)溶液中に入れて行った。
【0068】
また、縫合線の引抜き強さの試験においては、各試料の寸法を約5cm×9cmにした。各試料はそのメッシュの縦目方向(編み機の軸)における引抜き強さについて試験した。商品名をPROLENEとして(ニュージャージー州、サマービルのEthicon社により)販売されているサイズ0のポリプロピレン・モノフィラメント縫合線(コード8834H)を各試料のエッジ部分から6.25mmにおいてそのメッシュ材料に通した。この縫合線の両端部を上方の顎部に挟んで固定し、メッシュ材料または強化した発泡体をインストロン(Instron)モデル4501の下方の顎部に挟んで固定した。このインストロン装置は20ポンド(約9.08キログラム)のロード・セルを備えており、毎秒2.54cmのクロス−ヘッド・スピードで作動した。上記の縫合線の両端部を破壊が生じるまで一定の速度で引っ張った。この引張り処理中に測定したピークの負荷(ポンド単位)を記録した。
【0069】
上記の試験結果を以下の表1に示す。
表1:縫合線引抜きデータ(ポンド(lbs))
時間 発泡体 メッシュ 発泡状のメッシュ
0日目 0.46 5.3±0.8 5.7±0.3
7日目 − 4.0±1.0 5.0±0.5
【0070】
破裂強さの試験においては、各試料の寸法を約15.25cm×15.25cmにした。各試料をミューレン(Mullen)試験機(マサチューセッツ州、チコピーのRoehlen Industries社の一事業部であるB. F. Perkins, Stendex社により製造されているModel J)において試験した。なお、この試験はミューレン試験機用の標準的な操作手順に従って行った。これらの結果をその破壊時点におけるポンド/インチ(psi)単位で報告する。
【0071】
上記の破裂強さ試験の結果を以下の表2に示す。
表2:破裂強さデータ(psi)
時間 ポイント編み状VICRYLメッシュ 発泡状の編み状メッシュ
0日目 1349.5 1366.8
7日目 1109.4 1279.6
【0072】
実施例3
メッシュ強化した発泡体移植片を動物体の調査において移植して現在使用されている骨盤床修復材料に対して比較した。この動物体の調査の目的は種々のポリマー支持骨格の皮下組織の反応および吸収を評価することであった。この組織の反応および吸収は背側の浅在筋膜内における移植後14日目および28日目において大まかに且つ組織学的に評価した。加えて、腹部の筋糸内の切開傷の破裂強さに関するこれらの支持骨格の作用を決定した。この破裂強さの試験は腹側に配置した各移植片および腹筋の接着層について14日目および28日目に行った。
【0073】
凍結乾燥処理した40/60のポリカプロラクトン/ポリ乳酸(PCL/PLA)発泡体、ならびに埋め込まれたVICRYL編み状メッシュにより強化した同一の発泡体を実施例1に記載した方法と同様に作成した。この発泡体およびメッシュ強化した発泡体移植片を包装して標準的な滅菌処理方法に従ってエチレン・オキシド・ガスにより滅菌処理した。上記の調査のための対照品は、VICRYLメッシュ対照品、機械的対照品(メッシュを全く配置していない物品)、および商品名をDermMatrixとして(ミネソタ州、セント・ポールのAdvanced UroScience社により)販売されている処理済のブタの真皮の対照品を含む。
【0074】
この調査に使用した動物体はHarlan Sprague Dawley社(インディアナ州、インディアナポリス)およびCharles River Laboratories社(ミシガン州、ポルテージ)により供給されるメスのロング−エバンス種(Long-Evans)のラットであった。これらの動物体は200g乃至350gの重量であった。これらのラットを個別に秤量して塩酸ケタミン(アイオワ州、フォート・ドッジのFort Dodge Laboratories社により、アイオワ州、フォート・ドッジのAveco社用に製造されていて商品名をKETASETとして販売されている)(60ミリグラム/kg−動物体重量の投与量)および塩酸キシラジン(ミズーリ州、カンザスシティのFermenta Animal Health社から商品名をXYLAZINEとして販売されている)(10ミリグラム/kg−動物体重量の投与量)の混合物の腹腔内注射により麻酔をかけた。この麻酔状態の誘導の後に、腹部全体(前肢から後肢にかけて)および背中(背側の頸部領域から背側の腰仙領域まで)の毛を動物用の電気バリカンにより除去した。その後、腹部を二酢酸クロルヘキシジンにより擦り洗いして、アルコールによりすすぎ、乾燥してから1%の市販のヨウ素の水性ヨードフォア溶液を塗った。このように麻酔をかけて外科的に調製した動物体を外科医に運び仰向けの状態で配置した。次に、無菌技法により調製した領域に無菌ドレープを供給した。
【0075】
腹側の皮膚の正中切開(約3cm乃至約4cm)を行って腹筋を露出させた。さらに、剣状突起から約1cmほど尾側における腹壁部に2.5cmの切開部分を作成した。この切開部分を単純な連続的パターンでサイズ3−0のVICRYL縫合線により縫合した。試験物品の1個を約5cmの直径に切断して、縫合した切開部分の上に配置し、四隅の部分を約11時,1時,5時および7時の各位置において腹壁部に縫合(サイズ5−0のPROLENE)した。この皮膚の切開部分をスキン・ステープルまたは金属の傷用クリップにより閉鎖した。
【0076】
外科医が側腹切開部分の閉鎖、メッシュ移植、および腹部の皮膚閉鎖を完了した後に、このラットを調製領域に戻して、その背中をアルコールにより擦り洗いしてすすぎ、腹部における既に説明したヨウ素を拭き取った。この背中の調製が終わると、このラットを外科医に戻して背部の移植に対して所望の横臥状態に配置した。長さが約2cmの横方向の皮膚切開部分を肩甲骨の尾側のエッジ部よりも約1cmほど尾側において作成した。さらに、横方向の鈍い切開により下層の接合組織から皮膚を分離して背側の浅在筋膜内にポケットを作成した。試験材料の1個を約2.0×2.0cmの正方形に切断した後に上記のポケットの中に挿入して、皮膚の切開部分をスキン・ステープルまたは金属の傷用クリップにより閉鎖した。
【0077】
各動物体の健康状態を一般的な態度および外観、食物消費、便および尿の排泄および異常な排出物の存在に基づいて決定するために各動物体を手術後に毎日観察した。
【0078】
この調査において利用した動物体は動物福祉法の現行の要求に従って取り扱い維持した。上記の一般的法律に従うことを動物福祉条例(9CFR)を厳守し、実験動物の世話および使用のためのガイド(Guide for the Care and Use of Laboratory Animals)において公表されている現行の基準に対して適合することにより行なった。
【0079】
組織病理学的な調査において、上記のラットを2週間後または4週間後に殺して、背中の皮下の移植片を取り外して、形を整えた後に、10%の中性の緩衝液化したホルマリン(組織容量の20倍)中に固定した。さらに、これらのサンプルをパラフィン中で処理し、5mmの部分に切断して、ヘマトキシリン・エオシン(Hematoxylin Eosin)(H&E)により染色した。
【0080】
組織反応の評価のための背側の各サンプルを約2.0cmの正方形に切断した。また、破裂試験用の腹側のサンプルを約5.0cmの直径の円に切断した。
【0081】
各試料の破裂強さを上記実施例2の方法に従って接着している下層の腹筋層と共に測定した。これらの破裂強さの試験の結果を以下の表3に示す。
表3:破裂強さ(PSI)
サンプル 14日目 28日目
メッシュ強化した発泡体 81.8±17.3 73±4.5
DermMatrix 70±4.0 70*
*1個のサンプルだけしか体外移植まで生存していなかったので標準偏差は有効でない。
【0082】
上記の組織病理学的な調査により、上記のメッシュ強化した発泡体構造が最高の程度の線維性(組織)の内包発育および上記の両方の時点において試験した全ての移植片の最も強固な被包を有することが分かった。この線維性(組織)の反応は28日目において穏やかな程度であった。
【0083】
実施例4
この実施例はメッシュ強化した発泡体のハイブリッド構造の作成を記載している本発明の別の実施形態を説明している。
【0084】
編み状のVICRYLメッシュ強化した60/40のPLA/PCLの発泡体を実施例1に記載した方法と同様に作成した。2.54cm×6.35cmのシートを接地配線に接続した金属プレートに取り付けた。次に、このシートを静電紡糸処理により作成した微小繊維の生体吸収性の布地により被覆した。この静電的に紡糸処理した布地は周囲の組織からの細胞の阻止に対して抵抗を示し、移植片の縫合の可能性を高める。
【0085】
Ethicon社(ニュージャージー州、サマービル)にあるカスタム製の静電紡糸機械をこの実験に使用した。また、Spellman高電圧DC供給装置(モデル番号:CZE30PN1000、ニューヨーク州、ハウパウジのSpellman High Voltage Electronics Corporation)を高電圧供給源として用いた。駆動力として供給される電圧およびマンドレルの速度を制御した。さらに、紡糸口金とプレートとの間の距離を機械的に制御した。
【0086】
ニュージャージー州、サマービルのEthicon社の一事業部であるCorporate Biomaterials Centerにおいて製造されている60/40のPLA/PCLコポリマーの14%溶液を塩化トリクロロエタン(TEC)溶液中において作成した。このポリマー溶液を紡糸口金の中に入れて、ポリマー溶液に高電圧を供給した。この実験は周囲温度および周囲湿度において行った。紡糸処理中の各操作条件は以下のようである。
紡糸口金の電圧:25,000V
プレート電圧:接地状態
紡糸口金からマンドレルまでの距離:15cm
【0087】
この処理により、メッシュ強化した発泡体の表面上に約10μm乃至約500μmの厚さの析出した多孔質の弾性ポリマーが得られた。
【0088】
実施例5
T形剥離試験(参考文献:ASTM D1876-95)に必要な初期的な把持を可能にするために一端部において別の方法で結合している層を分離してメッシュ強化した発泡体の剥離試験の試料を作成した。
【0089】
90/10のポリグリコール酸/ポリ乳酸(PGA/PLA)のコポリマーの編み状(コード:VKM-M)および織り状(コード:VWM-M)の各メッシュにより強化した40/60のポリカプロラクトン/ポリ乳酸(PCL/PLA)のコポリマー発泡体を実施例1に記載した方法と同様に作成した。2.0cm×11.0cmの試料片をこの強化発泡体から切り出した。労力および材料の費用により、各試料の寸法を上記ASTM基準に記載されている寸法よりも小さくした。アルミニウム箔のブロッカーを一端部に供給してポリマー溶液がメッシュ補強材料の中に浸透しないようにすることにより把持のための非結合部分を作成した。これらの試料をインストロン・モデル4501のエレクトロメカニカル・スクリュー試験機(Electromechanical Screw Test Machine)において試験した。把持部分の間の初期的な距離は2.0cmであった。全ての試験におけるクロス−ヘッド速度を0.25cm/分に一定に維持した。試験した各構造の試料の数は5個であった。
【0090】
上記編み状VICRYLメッシュの発泡状態の試料は織り状VICRYLメッシュの発泡状態の試料(0.269±0.054* ポンド)よりも破壊を生じるのに小さな力(0.087±0.050* ポンド)を必要とした。これら2種類の構造における破壊のモードが異なっていたことに注目することが重要である。織り状のメッシュ試料においては部分的な剥離の形跡が見られるが、編み状のメッシュ試料においては全く見られない。実際に、編み状の試料においては各層の間の界面におけるクラックの広がりの徴候が全く無かった。また、織り状のメッシュ試料の場合の剥離において速度依存性が見られた。そこで、剥離が存在しないことおよび比較的高い分離速度における発泡体の迅速な引裂きにより、0.25cm/分の試験速度を選択した。本明細書において報告した試験結果は上記両方の種類のメッシュに対応するこのクロス−ヘッド速度において行った試験により構成されている。0.025cm/分というさらに遅い速度も編み状のメッシュ構造体に対して試みて十分に低い分離速度における剥離の可能な開始点を調べた。しかしながら、この比較的遅い速度は破壊のモードにおいて何ら変化を生じなかった。
【0091】
結論として、比較的高密度の織り状のメッシュはポリマー発泡体の多量の浸透を阻止し、0.25cm/分のクロス−ヘッド速度におけるT形剥離試験にかけた場合にそのメッシュ材料からの発泡体の剥離によりエネルギーの消散を生じる。一方、比較的低密度の編み状のメッシュ構造の場合には、そのメッシュ材料からの発泡体の分離がほとんど無いように思われた。上記の各実験において、発泡体の凝集性の引裂きにより負荷が完全に消散すると思われた。
【0092】
当該技術分野における通常の熟練者であれば、上記の各実施例に基づいて本発明のさらに別の特徴および利点が理解できる。従って、本発明は、本明細書に記載する特許請求の範囲およびその実施態様により示されている範囲を除いて、本明細書において図示および説明した内容により制限されない。また、本明細書において引用した全ての刊行物および文献はそれらの内容全体が本明細書に参考文献として含まれる。
【0093】
本発明の実施態様は以下の通りである。
(A) 生体適合性を有する組織移植片において、
連続気泡型の気孔構造を伴う気孔を有する生体吸収性の高分子発泡体部品と、
生体適合性を有しメッシュ含有の材料により形成されている補強部品を備えており、
前記発泡体部品の気孔が前記補強部品のメッシュの中に入り込んで当該補強部品に対して結合する様式で前記発泡体部品が前記補強部品と一体化されている移植片。
(1)前記発泡体部品が1個以上の層の中に存在している実施態様(A)に記載の移植片。
(2)前記補強部品が1個以上の層の中に存在している実施態様(A)に記載の移植片。
(3)前記隣接している発泡体の層が当該発泡体における気孔を形成しているウエブの少なくとも部分的な結合により互いに一体化している実施態様(1)に記載の移植片。
(4)前記発泡体部品が脂肪族ポリエステル、ポリ(アミノ酸)、コポリ(エーテル−エステル)、ポリアルキレン・オキサレート、ポリアミド、チロシン誘導型のポリカーボネート、ポリ(イミノカーボネート)、ポリオルトエステル、ポリオキサエステル、ポリアミドエステル、アミン基を含有しているポリオキサエステル、ポリ(酸無水物)、ポリホスファゼン、コラーゲン、エラスチン、生体吸収性のデンプン、およびこれらの組み合わせ物から成る群から選択されるポリマーにより形成されている実施態様(A)に記載の移植片。
(5)前記脂肪族ポリエステルがラクチド、グリコリド、ε−カプロラクトン、p−ジオキサノン(1,4−ジオキサン−2−オン)、トリメチレン・カーボネート(1,3−ジオキサン−2−オン)、トリメチレン・カーボネートのアルキル誘導体、δ−バレロラクトン、β−ブチロラクトン、γ−ブチロラクトン、ε−デカラクトン、ヒドロキシブチレート、ヒドロキシバレレート、1,4−ジオキセパン−2−オン、1,5−ジオキセパン−2−オン、6,6−ジメチル−1,4−ジオキサン−2−オン、2,5−ジケトモルホリン、ピバロラクトン、α,α−ジエチルプロピオラクトン、エチレン・カーボネート、エチレン・オキサレート、3−メチル−1,4−ジオキサン−2,5−ジオン、3,3−ジエチル−1,4−ジオキサン−2,5−ジオン、6,8−ジオキサビシクロクタン−7−オンおよびこれらの組み合わせ物から成る群から選択されるホモポリマーまたはコポリマーである実施態様(4)に記載の移植片。
【0094】
(6)前記発泡体部品がε−カプロラクトン−コ−グリコリド、ε−カプロラクトン−コ−ラクチド、p−ジオキサノン(1,4−ジオキサン−2−オン)−コ−ラクチド、ε−カプロラクトン−コ−p−ジオキサノン、p−ジオキサノン−コ−トリメチレン・カーボネート、トリメチレン・カーボネート−コ−グリコリド、トリメチレン・カーボネート−コ−ラクチド、およびこれらの組み合わせ物から成る群から選択される弾性コポリマーにより形成されている実施態様(A)に記載の移植片。
(7)前記発泡体部品を構成しているポリマーが約200パーセントを越える伸び率を有している実施態様(A)に記載の移植片。
(8)前記発泡体部品を構成しているポリマーが約500psi(3.5×106 パスカル)を越える引張強さを有している実施態様(7)に記載の移植片。
(9)前記発泡体部品を構成しているポリマーが約50ポンド/インチ(8.9キログラム/センチメートル)を越える引裂強さを有している実施態様(8)に記載の移植片。
(10)異なるポリマーにより分離している発泡体層が構成されている実施態様(3)に記載の移植片。
【0095】
(11)前記発泡体部品の物理的特性が前記移植片の厚さ全体にわたり変化している実施態様(10)に記載の移植片。
(12)前記補強部品が生体吸収性である実施態様(A)に記載の移植片。
(13)前記補強部品が内部に複数の開口部を形成した固体部品を有するメッシュ状の材料を含む実施態様(A)に記載の移植片。
(14)前記メッシュの固体部品がポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン、ポリジオキサノン、トリメチレン・カーボネート、ポリビニル・アルコール、およびこれらのコポリマーおよびこれらの組み合わせ物から成る群から選択される材料により作成した繊維により形成されている実施態様(13)に記載の移植片。
(15)前記メッシュの固体部品が生体吸収性のケイ酸塩ガラス、生体吸収性のリン酸カルシウム・ガラス、およびこれらの組み合わせ物から成る群から選択される材料により作成した繊維により形成されている実施態様(13)に記載の移植片。
【0096】
(16)前記繊維が生体吸収性のケイ酸塩ガラスおよび生体吸収性のリン酸カルシウム・ガラスから成る群から選択され、前記固体部品がさらに鉄、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、およびこれらの組み合わせ物から成る群から選択される約1乃至50容量パーセントの構成要素を含む実施態様(15)に記載の移植片。
(17)前記繊維がポリグリコール酸およびポリ乳酸の90/10のコポリマーにより形成されている実施態様(14)に記載の移植片。
(18)前記繊維がポリ乳酸およびポリグリコール酸の95/5のコポリマーにより形成されている実施態様(14)に記載の移植片。
(19)前記メッシュ状の材料が約12%乃至約80%の範囲内のメッシュ密度を有している実施態様(13)に記載の移植片。
(20)前記固体部品が、第2の異なる速度で生物学的に吸収可能な第2の生体吸収性のポリマーにより形成されているシースにより囲まれている第1の速度で生物学的に吸収可能な第1の生体吸収性のポリマーにより作成したコアを有している同時押出成形した繊維により作成されている実施態様(13)に記載の移植片。
【0097】
(21)さらに、前記移植片の少なくとも1個の表面上に布地のバリア層を備えている実施態様(A)に記載の移植片。
(22)前記布地のバリアが前記移植片の上面部および下面部の上に形成されている実施態様(21)に記載の移植片。
(23)前記布地のバリアが過形成および組織接着に対するバリアとして有効な高密度で繊維質の布地である実施態様(21)に記載の移植片。
(24)前記布地のバリアが静電的に紡糸処理した脂肪族ポリエステルにより形成されている実施態様(23)に記載の移植片。
(B) 生体適合性を有する組織移植片である強化発泡体を作成するための方法において、
適当な溶媒中において発泡体を形成する高分子材料の溶液を供給する工程と、
メッシュ状の補強材料を供給する工程と、
前記補強材料を金型の中において所望の位置および所望の配向に配置する工程と、
前記溶液を制御されている様式で前記金型の中に加える工程と、
前記溶液を凍結乾燥してメッシュ補強した発泡体部品を有する組織移植片を得る工程を含む方法。
(25)前記高分子材料がコポリマーを含む実施態様(B)に記載の方法。
【0098】
(26)前記高分子の溶液がポリマーまたはコポリマーの混合物を含有している実施態様(B)に記載の方法。
(27)前記高分子の溶液が約50:50の範囲内のモル比におけるε−カプロラクトン−コ−グリコリドおよびε−カプロラクトン−コ−ラクチドの混合物である実施態様(26)に記載の方法。
(28)前記高分子の溶液がポリグリコール酸およびポリカプロラクトンの35:65のコポリマーを含有している実施態様(26)に記載の方法。
(29)前記高分子の溶液がポリグリコール酸およびポリカプロラクトンの35:65のコポリマーと40:60のε−カプロラクトン−コ−ラクチドとの50:50の混合物である実施態様(26)に記載の方法。
(30)前記溶液がさらに約50ミクロン乃至1mmの範囲内の平均直径を有する生体相容性の生体適合性を有する固体粒子を含有しており、当該固体粒子が前記溶液の約1乃至50容量パーセントで存在している実施態様(B)に記載の方法。
【0099】
(31)前記固体粒子が硫酸バリウム、鉱物質除去した骨、リン酸カルシウム粒子、生体ガラス粒子、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、抽出可能な固形物、溶媒システムに溶解しない生体吸収性のポリマーの粒子、生体適合性を有する金属、生体不活性なセラミック、非生体吸収性のポリマー、およびこれらの組み合わせ物から成る群から選択される実施態様(30)に記載の方法。
(32)前記抽出可能な固形物が無毒性の塩類、単糖類、二糖類、多糖類、および水溶性タンパク質から成る群から選択される実施態様(31)に記載の方法。
(33)前記生体適合性を有する金属がステンレス・スチール、コバルト−クロム、チタン、およびチタン合金から成る群から選択される実施態様(31)に記載の方法。
(34)前記生体不活性なセラミックがアルミナ、ジルコニア、および硫酸カルシウムから成る群から選択される実施態様(31)に記載の方法。
(35)前記非生体吸収性のポリマーがポリ酢酸ビニル、ポリメチルメタクリレート、シリコーン、ポリエチレンオキシド、ポリエチレン・グリコール、ポリウレタン、ポリビニル・アルコール、弗素化ポリマー、弗素化コポリマー、セルロース、キチン、ケラチン、シルク、およびコラーゲンから成る群から選択される実施態様(31)に記載の方法。
【0100】
(36)前記補強材料が実質的に平坦な状態になるように前記金型の中に配置される実施態様(B)に記載の方法。
(37)前記補強材料が、少なくとも部分的に、前記金型の底部から上方に宙吊りの状態になっている実施態様(36)に記載の方法。
(38)前記溶液が気泡を形成不能にする様式で前記金型に加えられる実施態様(36)に記載の方法。
(39)前記溶液を加えている間に前記金型が傾斜している実施態様(38)に記載の方法。
(40)前記高分子材料がポリグリコール酸およびポリカプロラクトンの35:65のコポリマーであり、前記補強材料がポリジオキサノン・メッシュである実施態様(B)に記載の方法。
【0101】
(41)前記溶媒がジオキサンである実施態様(40)に記載の方法。
(42)1種以上の指示手段が、当該移植片中で、所望の特性を有する前記移植片の配向状態を示す方向に埋め込まれている実施態様(B)に記載の方法。
(C) 組織の裂傷を修復する方法において、
連続気泡型の気孔構造を伴う気孔を有する生体吸収性の高分子発泡体部品および生体適合性を有しメッシュ含有の材料により形成されている補強部品を備えている生体適合性を有する組織移植片を供給する工程を含み、前記発泡体部品の気孔が前記補強部品のメッシュの中に入り込んで当該補強部品に対して結合する様式で前記発泡体部品が前記補強部品と一体化されており、さらに、
前記移植片を組織の裂傷に対して所望の位置に配置する工程と、
前記所望の位置における移植片を縫合する工程を含む方法。
(43)前記移植片が生体吸収性である実施態様(C)に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】本発明に従って構成されている組織移植片の断面図である。
【図2】本発明の移植片の別の実施形態の断面図である。
【図3】本発明の移植片のさらに別の実施形態の断面図である。
【図4】本発明において有用な金型組立品の実施形態の一例の斜視図である。
【図5】図4の金型組立品の一部分の断面図である。
【図6】本発明の移植片において有用な生体吸収性で編み状のメッシュ補強材料の走査電子顕微鏡写真である。
【図7】本発明による移植片の一部分の走査電子顕微鏡写真である。
【符号の説明】
【0103】
10 移植片
11 ウエブまたは壁部
12 高分子発泡体部品
13 気孔
14 補強部品
18 金型

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体適合性を有する組織移植片において、
連続気泡型の気孔構造を伴う気孔を有する生体吸収性の高分子発泡体部品と、
生体適合性を有し、12%乃至80%の範囲内のメッシュ密度を有するメッシュ含有の材料により形成されている補強部品を備えており、
前記発泡体部品の気孔が前記補強部品のメッシュの中に入り込んで当該補強部品に対して結合する様式で前記発泡体部品が前記補強部品と一体化されている移植片。
【請求項2】
前記発泡体部品が1個以上の層として存在している、請求項1に記載の移植片。
【請求項3】
前記補強部品が1個以上の層として存在している、請求項1または2に記載の移植片。
【請求項4】
前記発泡体部品の層が互いに隣接しており、当該隣接している発泡体の層が当該発泡体における気孔を形成しているウエブの少なくとも部分的な結合により互いに一体化している、請求項2または3に記載の移植片。
【請求項5】
前記発泡体部品が脂肪族ポリエステル、ポリ(アミノ酸)、コポリ(エーテル−エステル)、ポリアルキレン・オキサレート、ポリアミド、チロシン誘導型のポリカーボネート、ポリ(イミノカーボネート)、ポリオルトエステル、ポリオキサエステル、ポリアミドエステル、アミン基を含有しているポリオキサエステル、ポリ(酸無水物)、ポリホスファゼン、コラーゲン、エラスチン、生体吸収性のデンプン、およびこれらの組み合わせ物から成る群から選択されるポリマーにより形成されている、請求項1〜4のいずれかに記載の移植片。
【請求項6】
前記発泡体部品が、ラクチド、グリコリド、ε−カプロラクトン、p−ジオキサノン(1,4−ジオキサン−2−オン)、トリメチレン・カーボネート(1,3−ジオキサン−2−オン)、トリメチレン・カーボネートのアルキル誘導体、δ−バレロラクトン、β−ブチロラクトン、γ−ブチロラクトン、ε−デカラクトン、ヒドロキシブチレート、ヒドロキシバレレート、1,4−ジオキセパン−2−オン、1,5−ジオキセパン−2−オン、6,6−ジメチル−1,4−ジオキサン−2−オン、2,5−ジケトモルホリン、ピバロラクトン、α,α−ジエチルプロピオラクトン、エチレン・カーボネート、エチレン・オキサレート、3−メチル−1,4−ジオキサン−2,5−ジオン、3,3−ジエチル−1,4−ジオキサン−2,5−ジオン、6,8−ジオキサビシクロオクタン−7−オンおよびこれらの組み合わせ物から成る群から選択されるホモポリマーまたはコポリマーである脂肪族ポリエステルから形成されたものである、請求項5に記載の移植片。
【請求項7】
前記発泡体部品がε−カプロラクトン−コ−グリコリド、ε−カプロラクトン−コ−ラクチド、p−ジオキサノン(1,4−ジオキサン−2−オン)−コ−ラクチド、ε−カプロラクトン−コ−p−ジオキサノン、p−ジオキサノン−コ−トリメチレン・カーボネート、トリメチレン・カーボネート−コ−グリコリド、トリメチレン・カーボネート−コ−ラクチド、およびこれらの組み合わせ物から成る群から選択される弾性コポリマーにより形成されている、請求項1〜4のいずれかに記載の移植片。
【請求項8】
前記発泡体部品を構成しているポリマーが200パーセントを超える伸び率を有している、請求項1〜7のいずれかに記載の移植片。
【請求項9】
前記発泡体部品を構成しているポリマーが500psi(3.5×106 パスカル)を超える引張強さを有している、請求項1〜8のいずれかに記載の移植片。
【請求項10】
前記発泡体部品を構成しているポリマーが50ポンド/インチ(8.9キログラム/センチメートル)を超える引裂強さを有している、請求項1〜9のいずれかに記載の移植片。
【請求項11】
前記発泡体層が二つ以上の相異なるポリマーにより構成されている、請求項2〜10のいずれかに記載の移植片。
【請求項12】
前記発泡体部品の物理的特性が前記移植片の厚さ方向に変化している、請求項1〜11のいずれかに記載の移植片。
【請求項13】
前記補強部品が生体吸収性である、請求項1〜12のいずれかに記載の移植片。
【請求項14】
前記補強部品が内部に複数の開口部を形成した固体部品を有するメッシュ状の材料を含む、請求項1〜13のいずれかに記載の移植片。
【請求項15】
前記メッシュの固体部品がポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン、ポリジオキサノン、トリメチレン・カーボネート、ポリビニル・アルコール、およびこれらのコポリマーならびにこれらの組み合わせ物から成る群から選択される材料により作成した繊維により形成されている、請求項14に記載の移植片。
【請求項16】
前記メッシュの固体部品が生体吸収性のケイ酸塩ガラス、生体吸収性のリン酸カルシウム・ガラス、およびこれらの組み合わせ物から成る群から選択される材料により作成した繊維により形成されている、請求項14に記載の移植片。
【請求項17】
前記繊維が生体吸収性のケイ酸塩ガラスおよび生体吸収性のリン酸カルシウム・ガラスから成る群から選択され、前記固体部品がさらに鉄、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、およびこれらの組み合わせ物から成る群から選択される1乃至50容量パーセントの構成要素を含む、請求項16に記載の移植片。
【請求項18】
前記繊維がポリグリコール酸およびポリ乳酸の90/10のコポリマーにより形成されている、請求項15に記載の移植片。
【請求項19】
前記繊維がポリ乳酸およびポリグリコール酸の95/5のコポリマーにより形成されている、請求項15に記載の移植片。
【請求項20】
前記固体部品が、第2の異なる速度で生物学的に吸収可能な第2の生体吸収性のポリマーにより形成されているシースにより囲まれている第1の速度で生物学的に吸収可能な第1の生体吸収性のポリマーにより作成したコアを有している同時押出成形した繊維により作成されている、請求項14に記載の移植片。
【請求項21】
さらに、前記移植片の少なくとも1個の表面上に布地のバリア層を備えている、請求項1〜20のいずれかに記載の移植片。
【請求項22】
生体適合性を有する組織移植片である強化発泡体を作成するための方法において、
適当な溶媒中において発泡体を形成する高分子材料の溶液を供給する工程と、
12%乃至80%の範囲内のメッシュ密度を有するメッシュ状の補強材料を供給する工程と、
前記補強材料を金型の中において所望の位置および所望の配向に配置する工程と、
前記溶液を制御されている様式で前記金型の中に加える工程と、
前記溶液を凍結乾燥してメッシュ補強した発泡体部品を有する組織移植片を得る工程を含む方法。
【請求項23】
前記高分子材料がコポリマーを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記高分子の溶液がポリマーまたはコポリマーの混合物を含有している、請求項22または23に記載の方法。
【請求項25】
前記高分子の溶液が50:50の範囲内のモル比におけるε−カプロラクトン−コ−グリコリドおよびε−カプロラクトン−コ−ラクチドの混合物である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記溶液がさらに50ミクロン乃至1mmの範囲内の平均直径を有する生体適合性を有する固体粒子を含有しており、当該固体粒子が前記溶液の1乃至50容量パーセントで存在している、請求項22〜25のいずれかに記載の方法。
【請求項27】
前記固体粒子が硫酸バリウム、鉱物質除去した骨、リン酸カルシウム粒子、生体ガラス粒子、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、抽出可能な固形物、溶媒システムに溶解しない生体吸収性のポリマーの粒子、生体適合性を有する金属、生体不活性なセラミック、非生体吸収性のポリマー、およびこれらの組み合わせ物から成る群から選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記補強材料が実質的に平坦な状態になるように前記金型の中に配置される、請求項22〜27のいずれかに記載の方法。
【請求項29】
1種類以上の指示手段が、当該移植片中で、所望の特性を有する前記移植片の配向状態を示す方向に埋め込まれている、請求項22〜28のいずれかに記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−334430(P2006−334430A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−241690(P2006−241690)
【出願日】平成18年9月6日(2006.9.6)
【分割の表示】特願2001−388040(P2001−388040)の分割
【原出願日】平成13年12月20日(2001.12.20)
【出願人】(591286579)エシコン・インコーポレイテッド (170)
【氏名又は名称原語表記】ETHICON, INCORPORATED
【Fターム(参考)】