説明

強度を高められ、靱性に優れ、低温での成形に適した、鉄・炭素・マンガンのオーステナイト鋼板の製造方法並びにそのようにして製造された鋼板

【課題】強度が900MPaを越え、積(強度(MPa)×破断伸び(%))が45000を越える熱間圧延鋼板の製造方法を提供する。
【解決手段】重量%で0.5%≦C≦0.7%、17%≦Mn≦24%、Si≦3%、Al≦0.050%、S≦0.030%、P≦0.080%、N≦0.1%が含まれ、そして任意の選択として、Cr≦1%、Mo≦0.40%、Ni≦1%、Ti≦0.50%、Nb≦0.50%、V≦0.50%、Cu≦5%、Cu≦5%といった元素のうちの一つまたは複数を含ませ、残りは鉄と不可避的不純物とからなる鉄・炭素・マンガンのオーステナイト鋼を特定の条件で熱間圧延、冷却、巻き取る。特に、圧延完了後急速冷却開始までの時間を規定する。得られた熱間圧延鋼板の再結晶化された割合は75%を越えており、その鋼鉄の析出炭化物の表面積の割合は1.5%未満であり、その鋼鉄の粒の平均サイズは18ミクロン未満である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非常に高度の機械的特性を有し、そして特に機械的強度と、とりわけ有利な破断伸びとを兼ね備え、優れた成形適性、そして欠陥を有していたり、または外力の集中下にあっても高い破断強度を有する、鉄・炭素・マンガンのオーステナイト鋼の熱間圧延および冷間圧延された鋼板の製造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
周知のように、特に自動車業界におけるような、幾つかの応用分野においては、より軽減化され、衝撃を受けた際の強度が増加され、並びに優れた絞り加工適性をも有する金属製構造物が求められている。このことは、高い破断強度と、高い変形適性とを兼ね備えた、構造材料を用いることを必要とする。熱間圧延された、つまりは、厚みが0.6から10mmの鋼板の場合、これらの特性は、床や車輪への連結部品、扉の侵入防止のための閂のような補強部品や、(トラック、バスのような)重量車両用の部品の製造に利用される。(0.2mmから4mmの)冷間圧延鋼板の場合、変形エネルギーを吸収する梁やエンジン取付台、あるいは更に外面部品の製造を目的としている。しかしながら、破断強度と変形適性とは相矛盾する特性であり、一方を著しく損うことなしに他方の値を大いに高めることは、一般的に不可能である。しかしながら、近年では、特に所謂「トリップ」(Transformation Induced Plasticity)スチールの開発によって、これらの要求にもできる限り応じられるようになった。しかしながら、900MPaの強度では、25%を越える伸び率を得ることはできない。これらの特性で満足できる応用分野が幾つかはあるとしても、更に軽量化が望まれる場合や、自動車の衝突の際に生じるような過酷な応力条件においては、それらでは依然として不満の残るものになる。
【0003】
また、優れた強度と極めて優れた延性を兼ね備えた、Fe−C(0から1.5%)−Mn(15から35%)−Cr(0から20%)−Al(0.1から10%)−Si(0から4%)のオーステナイト鋼が知られている。これらの鋼の変形態様は、積み重ねた部分の欠陥のエネルギー(EDE)だけに依存するものである。これらの態様のうち、機械的攪拌は、大きな容量の冷間加工を得ることを可能にする。攪拌はこのようにして転位の波及を阻害することにより、流出限度の上昇に寄与する。攪拌による変形のメカニズムは、積み重ねた部分の欠陥のエネルギー上昇によって、(約30mJ/m2の)限度まで促進するが、これを超えると完璧な崩壊の変化が優勢な変形のメカニズムとなる。EDEは、炭素、マンガン、そしてアルミニウムの含有量と共に増大する。欧州特許第0573641号明細書においては、少なくとも1.5%の炭素、15から35%のマンガン、0.1から6%のアルミニウムを含む、室温で、強度が490MPaを越え、伸び率が40%を越える、熱間圧延または冷間圧延されたオーステナイト鋼が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この種の組成物の圧延には、欠陥が生じないよう、格別な用心深さが必要とされる。
【0005】
これにおいては、高価な合金の含有量も抑制しつつ、更に好適な(強度‐破断伸びの)組み合わせを有する鋼板が自由に用いられることが必要であるが、そのような問題はまだ解決されていない。
【0006】
更には、経験によって、単軸引張の伸びの値は好適なものであるにもかかわらず、(絞り加工、少なからず複雑な折り曲げ加工のような)低温での成形には多くの問題が生じる可能性がある。
【0007】
更に、多くの場合、外力の集中に対応する部位が含まれていることが多いそのような鋼板から作り上げた部品には、靭性の高い鋼鉄が自由に用いられることが必要であり、それはつまり、欠陥がある場合、とりわけ動的な外力の場合には、破断または断裂強度は優れたものでなくてはならない。この特性は、これらの意味合いの用途よりも、例えば自動車、より詳細にはより強く外力を受け、および/または安全に関わる部品に関するものにおいては、尚更留意されるものではなくてはならない。
【0008】
それゆえ、本発明は、より経済的で、熱間圧延後には900MPaを、冷間圧延後には950MPaを越える強度を有する、熱間圧延または冷間圧延された鋼板または製品を自由に用いることができるようにすることを目的としており、該鋼板または製品は、積P=(MPaで表示される)強度×(%表示の)破断伸びが45000を越えるような、強度と破断伸びとを兼ね備え、容易に熱間圧延が可能であり、特に低温での成形に適しており、静的または動的な外力条件において非常に優れた靱性を有している。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そのため、本発明が対象とする鉄・炭素・マンガンのオーステナイト鋼の熱間圧延された鋼板は、強度が900MPaを越え、積(強度(MPa)×破断伸び(%))が45000を越え、その化学組成は、重量%で表示した含有量で:0.5%≦C≦0.7%、17%≦Mn≦24%、Si≦3%、Al≦0.050%、S≦0.030%、P≦0.080%、N≦0.1%であり、そして任意の選択として、Cr≦1%、Mo≦0.40%、Ni≦1%、Cu≦5%、Ti≦0.50%、Nb≦0.50%、V≦0.50%といった元素のうちの一つまたは複数を含んでおり、組成の残りは鉄と精練から生じる不可避な不純物とから構成され、鋼鉄の再結晶化された割合は75%を越えており、その鋼鉄の析出炭化物の表面積の割合は1.5%未満であり、その鋼鉄の粒の平均サイズは18ミクロン未満である。
【0010】
本発明はまた、鉄・炭素・マンガンのオーステナイト鋼の熱間圧延された鋼板をも対象とするものであり、その強度は900MPaを越え、積(強度(MPa)×破断伸び(%))が60000を越え、その化学組成は、重量%で表示した含有量で:0.5%≦C≦0.7%、17%≦Mn≦24%、Si≦3%、Al≦0.050%、S≦0.030%、P≦0.080%、N≦0.1%であり、そして任意の選択として、Cr≦1%、Mo≦0.40%、Ni≦1%、Cu≦5%、Ti≦0.50%、Nb≦0.50%、V≦0.50%といった元素のうちの一つまたは複数を含んでおり、組成の残りは鉄と精練から生じる不可避な不純物とから構成され、鋼鉄の再結晶化された割合は100%であり、その鋼鉄の析出炭化物の表面積割合は0%であり、その鋼鉄の粒の平均サイズは10ミクロン未満である。
【0011】
本発明はまた、鉄・炭素・マンガンのオーステナイト鋼の熱間圧延された鋼板の製造方法も対象とするものであり、その方法で精錬する鋼鉄の化学組成は、重量%で表示した含有量で:0.5%≦C≦0.7%、17%≦Mn≦24%、Si≦3%、Al≦0.050%、S≦0.030%、P≦0.080%、N≦0.1%であり、そして任意の選択として、Cr≦1%、Mo≦0.40%、Ni≦1%、Cu≦5%、Ti≦0.50%、Nb≦0.50%、V≦0.50%といった元素のうちの一つまたは複数を含んでおり、組成の残りは鉄と精練から生じる不可避な不純物とから構成され、この鋼鉄を元に半生成物の鋳造を行い、前記組成の鋼鉄の半生成物を1100℃から1300℃の間の温度に晒し、その半生成物を890℃以上の圧延完了の温度まで圧延し、前記圧延の完了と、後の急速冷却との間に所要時間があることが確認されるのであるが、結果、前記所要時間と前記圧延完了温度によって規定される一点が、図1のグラフABCD’E’F’A、そして好ましくはABCDEFAで規定されるエリアの内部に位置するようにし、鋼板を580℃未満の温度で巻き取る。
【0012】
好ましくは、その半生成物の鋳造は、鋼鉄のローラーの間で細い帯材を鋳造する形で行われる。
【0013】
他の好ましい特徴として、巻き取り作業の後に、熱間圧延された鋼板において、30%以下の等量変形率で低温変形が行われる。
【0014】
本発明はまた、鉄・炭素・マンガンのオーステナイト鋼の冷間圧延された鋼板をも対象とするものであり、その強度が950MPaを越え、積(強度(MPa)×破断伸び(%))が45000を越え、その化学組成は、重量%で表示した含有量で:0.5%≦C≦0.7%、17%≦Mn≦24%、Si≦3%、Al≦0.050%、S≦0.030%、P≦0.080%、N≦0.1%であり、そして任意の選択として、Cr≦1%、Mo≦0.40%、Ni≦1%、Cu≦5%、Ti≦0.50%、Nb≦0.50%、V≦0.50%といった元素のうちの一つまたは複数を含んでおり、組成の残りは鉄と精練から生じる不可避な不純物とから構成され、再結晶化された鋼鉄の構造の割合は75%を超え、その鋼鉄の析出炭化物の表面積の割合は1.5%未満であり、その鋼鉄の粒の平均サイズは6ミクロン未満である。
【0015】
本発明はまた、鉄・炭素・マンガンのオーステナイト鋼の冷間圧延された鋼板の製造方法をも対象とするものであり、該方法は、上記に説明した方法の一つによって得られた熱間圧延された鋼板を供給し、少なくとも一度の冷間圧延の手順を行った後に焼き鈍しし、それぞれの手順は鋼板の冷間圧延を行うことを主としており、該鋼板を600℃から900℃の間の温度で10秒から500秒の間、焼き鈍しし、この後に毎秒0.5℃を超える速度で冷却し、後に焼き鈍しが続く冷間圧延の最終手順が行われる前のオーステナイトの粒の大きさが18ミクロン未満であることを特徴とするものである。
【0016】
好ましくは、最後の焼き鈍しが行われた後の冷間圧延された鋼板において、30%以下の等量変形率で低温変形が行われる。
【0017】
本発明はまた、静的または動的状態において、外力を受ける補強材を製造するために、上記に説明した熱間または冷間圧延された鋼板を用いること、または上記に説明した方法を用いて製造した鋼板を用いることも対象とするものである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】熱間圧延の完了の温度と、熱間圧延の完了とその後の急速冷却の開始までの所要時間とが、巻き取り作業の後に再結晶化された割合にどのような影響を与えるかを示す図。
【図2】再結晶化された割合が、折り曲げた状態で破断する臨界変形にどのような影響を与えるかを示す図。
【図3】折出炭化物の表面積の割合に、巻き取り温度がどのような影響を与えるかを示す図。
【図4】粒の間の炭化物の折出の一例を示す顕微鏡写真。
【図5】一般的な大きさの粒の析出炭化物の表面積の割合が、積P(強度×破断伸び)にどのような影響を与えるかを示す図。
【図6】オーステナイトの粒の平均サイズが、Fe−C−Mn鋼板、特に熱間圧延された鋼板の強度にどのような影響を与えるかを示す図。
【図7】等量変形が、冷間圧延Fe−C−Mn鋼板の強度にどのような影響を与えるかを示す図。
【図8】オーステナイトの粒の平均サイズが、鋼板、特に冷間圧延された鋼板の強度にどのような影響を与えるかを示す図。
【図9】オーステナイトの粒の平均サイズが、冷間圧延された鋼板の固有の断裂エネルギーにどのような影響を与えるかを示す図。
【図10】オーステナイトの粒の平均サイズが、冷間圧延された鋼板の、Charpyの破断のエネルギーにどのような影響を与えるかを示す図。
【図11】オーステナイトの粒の平均サイズが、折り曲げた状態における亀裂臨界変形に、どのような影響を与えるかを示す図。
【図12】オーステナイトの粒の平均サイズに応じて、破断前の絞り加工の最大深度が、どのように変化するかを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の他の利点と特徴は、以下の添付図面を参照しつつ、例として挙げられた以下の説明を読むことにより、明らかになる。
【0020】
図1は、熱間圧延の完了の温度と、熱間圧延の完了とその後の急速冷却の開始までの所要時間とが、巻き取り作業の後に再結晶化された割合にどのような影響を与えるかを示している。
【0021】
図2は、再結晶化された割合が、折り曲げた状態で破断する臨界変形にどのような影響を与えるかを示している。
【0022】
図3は、折出炭化物の表面積の割合に、巻き取り温度がどのような影響を与えるかを示している。
【0023】
図4は、粒の間の炭化物の折出の一例を示す顕微鏡写真である。
【0024】
図5は、一般的な大きさの粒の析出炭化物の表面積の割合が、積P(強度×破断伸び)にどのような影響を与えるかを示している。
【0025】
図6は、オーステナイトの粒の平均サイズが、Fe−C−Mn鋼板、特に熱間圧延された鋼板の強度にどのような影響を与えるかを示している。
【0026】
図7は、等量変形が、冷間圧延Fe−C−Mn鋼板の強度にどのような影響を与えるかを示している。
【0027】
図8は、オーステナイトの粒の平均サイズが、鋼板、特に冷間圧延された鋼板の強度にどのような影響を与えるかを示している。
【0028】
図9は、オーステナイトの粒の平均サイズが、冷間圧延された鋼板の固有の断裂エネルギーにどのような影響を与えるかを示している。
【0029】
図10は、オーステナイトの粒の平均サイズが、冷間圧延された鋼板の、Charpyの破断のエネルギーにどのような影響を与えるかを示している。
【0030】
図11は、オーステナイトの粒の平均サイズが、折り曲げた状態における亀裂臨界変形に、どのような影響を与えるかを示している。
【0031】
図12は、オーステナイトの粒の平均サイズに応じて、破断前の絞り加工の最大深度が、どのように変化するかを示している。
【0032】
数多くの実験を経て、本発明者等によって、上記に報告されたさまざまな要求事項は、以下のような条件を観察することにより、満たすことが可能であるということが明らかにされた。
【0033】
鋼鉄の化学組成に関して、炭素は、微小構造の形成において非常に重要な役割を果たす。該炭素によってEDEが増大し、オーステナイト相の安定性を好適なものにする。重量%で17から24%のマンガン含有量と組み合わせることによって、このような安定性が得られ、それにより、炭素含有量は0.5%以上となる。しかしながら、0.7%を越える炭素含有量では、炭化物の折出を回避することは容易ではなくなり、該炭化物の折出は、工業生産の熱サイクルのいくつかに、特に巻き取りの冷却の際に介入し、延性と靱性を劣化させる。
【0034】
マンガンもまた、強度を増し、積み重ねた部分の欠陥のエネルギーを増大させ、オーステナイト相を安定させるのに不可欠な元素である。その含有量が17%未満である場合には、変形適性を著しく損なわせるマルテンサイト相が形成される恐れがある。また、マンガン含有量が24%を越えると、室温での延性が損なわれる。更に、価格の問題については、マンガン含有量が増えるのは望ましくない。
【0035】
アルミニウムは鋼鉄の脱酸効果が特に高い元素である。それは、炭素と同ように、積み重ねた部分の欠陥エネルギーを増大させるものである。しかしながら、マンガン含有量の高い鋼鉄にアルミニウムが過剰に存在すると、不都合が生じる。実際、マンガンは、液状になった鉄への窒素の溶解度を上昇させるものであり、そして鋼鉄におけるアルミニウムの量が過剰である場合は、析出したアルミニウムと結合した窒素が窒化アルミニウムとなり、高温で加工する際に粒結合部分の移動を妨げ、亀裂が発生する恐れが著しく増大することとなる。0.050%以下の含有量のAlは、AlNの折出を阻止することを可能にする。相関関係により、凝固の際に、このような析出や体積当たりの欠陥の形成(気泡)を阻止するには、窒素含有量は0.1%以下でなければならない。
【0036】
同様に珪素も鋼鉄を脱酸し、そして、固体相において硬化させるのに効果的な元素である。しかしながら、含有量が3%を越えると、組み立て方法によっては望ましくない酸化物が形成される傾向があるため、この限度未満となるように保たれなければならない。
【0037】
硫黄とリンは、粒の結合部分を脆くする不純物である。高温でも十分な延性を保つには、それぞれの含有量は、0.030および0.080%以下でなければならない。
【0038】
クロムとニッケルは、鋼鉄の強度を上げるために、固体溶液に硬化させることで任意で用いることができる。しかしながら、クロムは積み重ねた部分の欠陥のエネルギーを減少させるものであり、その含有量は1%以下でなくてはならない。ニッケルは大きな破断伸びを得るのに寄与し、特に靱性を増大させる。しかしながら、価格の面から、ニッケルの含有量は最大でも1%以下であることが望ましい。同様の理由から、モリブデンも0.40%以下の量で添加されてもよい。
【0039】
同様に、任意の選択として、5%以下の含有率までの銅の添加は、金属銅の析出によって鋼鉄を硬化させる一つの方法である。しかしながら、この含有量を越えると、銅は高温で鋼板の表面に欠陥を生じさせる原因になる。
【0040】
チタン、ニオビウムそしてバナジウムもまた、硬化が得られるように、炭窒化物を析出させることで任意で用いることができる元素である。しかしながら、NbまたはVまたはTiの含有量が0.50%を越える場合は、炭窒化物が析出しすぎて靱性を損なうことになりかねないので、それは避けなければならない。
【0041】
本発明の製造方法は、以下のように活用される。上記に説明した組成の鋼鉄を精練する。この精練に続いてインゴット鋳造またはおよそ200mmの厚みのスラブの形状での連続鋳造が行われてもよい。同様に数十ミリメートルの厚みの薄いスラブを鋳造することもできる。本文の説明は本発明を平板な製品に応用することを説明してはいるが、本発明をFe−C−Mn鋼鉄製の長い製品の製造にも応用できることは言うまでもない。
【0042】
そのような鋳造半生成物はまず、1100℃から1300℃の間の温度に晒される。これは、全てのポイントが圧延の際に鋼鉄に加えられる高度の変形において好ましい温度域に達するようにするためのものである。しかしながら、加熱温度は1300℃を越えるものであってはならない、というのも、マンガンおよび/または炭素が偏在している部位があれば、そういうところで達成されかねない固相線温度に近づきすぎて、高温での成形には有害となりうる液体状態への移行が局部的に始まってしまいかねないためである。当然のことながら、薄いスラブを直接鋳造する場合は、1300℃から1100℃の間で開始される半生成物の熱間圧延手順は、中間加熱手順を経過することなく、鋳造直後に行うことができる。
【0043】
半生成物を熱間圧延し、例えば、厚みが2から3ミリメートルの熱間圧延帯の厚みになるようにする。本発明による鋼鉄のアルミニウムの低含有量は、圧延の際に高温での変形性を損なわせるAlNが析出しすぎないようにすることを可能にする。延性の欠如による亀裂の問題が一切生じないようにするためには、圧延の完了温度は890℃以上でなくてはならない。
【0044】
また、工場ラインに、熱間圧延の最後の手順と巻き取りとの間に、例えば水を噴射したりするような、急速冷却装置があることは周知である。これらの装置は、工場のラインが長すぎないよう、製品の自然冷却を早める。
【0045】
所定の圧延完了温度と組み合わせることにより、本発明者らによって、図1に示されているように、巻き取り後の圧延製品の十分な再結晶化を得るためには、圧延の完了と急速冷却開始との間の最低所要時間を遵守した方がよいということが明らかとなった。この所要時間の間に、製品は自然に冷却される。よって、最低でも890℃で12秒または905℃で4秒で、全体の再結晶化を得られる。更に一般的には、(温度、最低所要時間などの)パラメーターが、図1においてABCDEFAで示されている範囲にあれば、満足のいく生産条件で全体を再結晶化することができることになる。最低でも75%の割合に対応する再結晶化は、そのような(温度、最低所要時間などの)条件がABCD’E’F’Aで示される範囲にあるときに得られる。図2は、再結晶化される割合が折り曲げた状態における亀裂臨界変形に与える影響を示したものである。高い折り曲げ適性、そして更に一般的には、高い変形適性は、50%を越える、高い臨界変形値を必要とする。図2の示すところによれば、これは、圧延後の再結晶化される割合が75%を越える場合に得られる。
【0046】
圧延後、その帯材を巻き取る温度は、炭化物(基本的にはセメンタイト(Fe、Mn)3C)の析出が過度に干渉しないような温度でなくてはならないものであり、というのも、後述するように、幾つかの機械的特性の低下につながりかねないためである。図3は、巻き取り温度が、析出炭化物の表面積に及ぼす影響を示したものである。炭化物の析出は、基本的にオーステナイトの粒の結合部分に干渉するものであることは、図4の顕微鏡写真が示す通りである。
【0047】
図5は、そのような析出が、熱間圧延後の、一般的な大きさの粒の、強度と破断伸びとの積Pに及ぼす影響を示したものである。つまり、このパラメーターの値の上昇は、高い強度が延性の向上と結びついていることを表している。45000(MPa×%)を越えるP値を得るには、析出炭化物の表面積の割合が1.5%未満でなくてはならない。炭化物の析出のこのような有害な性質は、それが熱間圧延された鋼板と同様に、冷間圧延して焼き鈍しした鋼板にも作用するため、この二つの状況において、受け入れられるこの析出の値を最大限遵守することが重要である。
【0048】
図3の示す結果から、巻き取り温度が580℃未満である場合、熱間圧延製品においてこの条件が満たされることがわかる。
【0049】
また、図6はオーステナイトの粒の平均サイズが、強度にどのような影響を及ぼすかを示している。熱間圧延製品の場合、強度の値が900MPa未満となることがないよう、粒の大きさは18ミクロンの値を越えるものであってはならない。
【0050】
本発明者らはまた、以下のような条件にある熱間圧延製品の、機械的特性を更に向上させることができることを明らかにした。10ミクロン未満の大きさの粒と、100%に等しい再結晶化の割合、そして0%に等しい析出炭化物の表面積の割合とを同時に兼ね備えることによって、積P(Rm×破断伸び)の値が60000を越えることになる。
【0051】
既に説明した方法によって得られた熱間圧延帯を用いてもよいし、後で冷間圧延を行った後に、焼き鈍しを施してもよい。この追加の手順は、熱間圧延帯で得られたものよりも小さい大きさの粒を得ることを可能にし、強度特性を高めることを可能にする。当然のことながら、該手順は、典型的には0.2mmから4mmまでの、更に薄い製品を得る必要がある場合に活用される。
【0052】
上記に説明した方法で得られた熱間圧延製品を元にして、場合によっては、通常のやり方で研磨を行った後に、冷間圧延を行う。
【0053】
この圧延手順の後に、粒はよく冷間加工され、そして、再結晶化の焼き鈍しを施すのに適した状態となる。この処理には、延性を回復させると同時に、強度を減少させる効果がある。それゆえ、焼き鈍しの熱処理は、その用途において望まれる(強度−破断伸びの)一対の組み合わせが得られるよう、調節されなくてはならない。この焼き鈍しは連続的に行われるのが望ましい。
【0054】
この焼き鈍しは、600℃から900℃の温度で、10秒から500秒間行われ、炭化物が析出しないよう、維持の終了における冷却速度は、毎秒0.5℃を超える十分な速さでなくてはならない。熱間圧延製品において、当初の平均の大きさが18ミクロン以下の粒から、これらのパラメーターは、冷間圧延板において平均の大きさが0.5から15ミクロンの粒を得ることを可能にする。
【0055】
特定の実施態様においては、冷間圧延によって厚みを薄くすることが可能であるが、それは一度の圧延手順だけでなく、二度またはそれ以上の手順によって行われるものであり、それぞれの圧延手順の後に、焼き鈍しが行われる。最終製品の強度と変形適性が損なわれないよう、圧延の最終手順と焼き鈍しが行われる前の粒の大きさは、18ミクロンを越えるものであってはならない。
【0056】
熱間圧延された鋼板について述べた同じ理由で、冷間圧延された鋼板の再結晶化される割合は、低温での成形の際に十分な変形適性が得られるよう、75%を越えるものでなければならない。
【0057】
熱間圧延製品についてと同様に、析出炭化物の表面積の割合は、積P(Rm×破断伸び)が45000(MPa×%)を超えるように、1.5%未満でなければならない。
【0058】
本発明の方法により熱間圧延または冷間圧延によって得られた鋼板は、優れた延性を特徴とするものである。可塑性には疑問の余地が大きいことを考えに入れると、その延性を僅かに低下させることとを引き換えに、更に高い強度の値を得ることも可能である。巻き取りの後、熱間圧延された鋼板、あるいは上記に説明した方法によって冷間圧延され、そして焼き鈍しされた鋼板から、該鋼板に、最終的な焼き鈍しの後に、例えば、スキンパス、交代屈曲引張平面加工、単純な引き抜きあるいはその他のあらゆる適切な方法によって、更に低温での変形を加える。図7は等量変形が強度にどのような影響を与えるかを示している。広い範囲において、変形の影響は比較的線形である。平均では、1%の変形で、強度を10MPa上げることができる。しかしながら、変形の追加が30%を越えると、製品の当初の延性が極端に落ちすぎるため、この閾値は越えない方が良い。
【0059】
図8が示すように、冷間圧延された鋼板の平均サイズが6ミクロン未満の粒は、950MPaを越える強度を得ることを可能にする。
【0060】
例として、以下の結果は、本発明によりもたらされる有利な特徴を示すものであり、それは、特に、変形適性に関するものであり、欠陥があるかないか、静的または動的な外力の態様に応じたものである。
【実施例1】
【0061】
(重量%で表示した含有量で)以下のような組成の鋼鉄を精錬した。C:0.6%、Mn:22%、Si:0.2%。半生成物を1185℃で加熱し、厚みが3.6mmに達するよう、965℃の温度まで熱間圧延する。観察したところ、冷却前の待ち時間は3.5秒であった。巻き取りは、450℃未満の温度で行った。そのような製造条件は、以下の本発明に対応する表1では「l」という記号で示される。このようにして得られた粒の平均の大きさは9.5ミクロンであり、構造は100%再結晶化され、炭化物の割合は0%に等しい。このような熱間圧延された鋼板について得られた静的状態での機械的特性は特に高度である。強度:1012MPa。破断伸び:65.4%。積P:66184。
【0062】
この同じ組成を元に、本発明の条件に対応せず、析出炭化物の表面積の割合は1.5%を越える(この条件を「R3」という記号で示される)、熱力学図を作成した。
【0063】
本発明の鋼鉄を、比較可能な強度の「R4」という記号で示した熱間圧延された鋼鉄と比較した。これはつまり、(フェライト、ベイナイト、オーステナイト、マルテンサイトのような)複雑な構造のTRIP(「Transformation Induced Plasticity」)のことである。この鋼鉄の組成は(重量%で表示した含有量で)以下のようになっている。C:0.20、Mn:1.7、Si:1.6、S:0.003、P:0.080、Al:0.050、Cu、Cr、Ni、Mo、N:0.001。
【0064】
厚みを削減し(e=3mm)、+20および−60℃の温度のCharpy V型の試験片で、動的な破断実験が行われた。これらの実験の結果を表1に示す。
【0065】
【表1】

【0066】
本発明の鋼鉄の靱性特性は、基準の鋼鉄よりも際立って優れたものである。この優位性は室温でだけでなく、非常に低温で過酷な外力条件においても発揮される。それゆえ、動的条件のおける非常に良好な靱性の獲得の問題は完全に解決されることになる。
【実施例2】
【0067】
以下の表2に組成が示される鋼鉄が精錬された(組成は重量%で表示している)。鋼鉄l1およびl2の他に、比較として、基準となる鋼鉄の組成を示した。それはすなわち、Dual Phase(R1)、またはTRIP(「Transformation Induced Plasticity」)(R2)のことであり、その強度レベル(1000MPa)は似通った等級の範囲にある。
【0068】
鋼鉄l1およびl2の半生成物を1200℃で加熱し、3mmの厚みにするために920℃の温度まで熱間圧延をし、そして、冷却前の10秒の待ち時間の後に、450℃の温度で巻き取った。これらの条件で得られた粒の平均の大きさは10ミクロンである。その構造は完全に再結晶化されており、炭化物の析出はない。
【0069】
【表2】

【0070】
鋼鉄l1はつぎに冷間圧延され、それから、オーステナイトの粒が3から100ミクロンの様々な大きさになるような条件で焼き鈍しした。表3には、(条件a)からd)までの)焼き鈍しと再結晶化の条件がまとめられており、表4には引張の機械的特性すなわち、強度、破断伸び、そしてそのような条件で得られた積P(強度×破断伸び)が示されている。
【0071】
製造条件b)では、冷間圧延をし、800℃で焼き鈍しをする前の粒の大きさは100ミクロンである。
【0072】
1秒間の650℃での焼き鈍しに関連する66%の冷間圧延の還元率は、45%の部分的な再結晶化しかもたらさないことに触れておきたい。再結晶化された部分の粒の大きさには、非常にばらつきがある、1から10ミクロンの変動幅がある。
【0073】
鋼鉄l2もまた、120秒の間700℃で、55%の焼き鈍し率で冷間圧延をされ、毎秒0.5℃を超える速度で空気で冷却された(条件e)、表3)。平均粒度1.5ミクロンと1%の析出炭化物の表面積の割合は、このようにして得られる。
【0074】
条件e)に基づき、水による冷却(条件f)、表3)がその後に続く850℃で60秒間維持しながら行われる後の熱処理は、粒を過度に肥大化させることなく、析出炭化物のその部分を削減することを可能にする。
【0075】
【表3】

【0076】
【表4】

【0077】
鋼鉄の製造条件a)は本発明の条件に対応しており、そして、強度とパラメーターPの値が高められるという結果が導かれる。条件b)においては、冷間圧延前の100ミクロンの粒の大きさが、上記に述べられた18ミクロンの粒の大きさを越えており、最終的な粒の大きさ(15ミクロン)は、同様に上記に述べられた粒の大きさである6ミクロンをも超えるものである。条件c)においては、冷間圧延板における粒の大きさは、100ミクロンでも過度なものである。したがって、条件b)およびc)でもたらされるパラメーターPまたは強度の値は満足のいくものではない。
【0078】
条件d)は、再結晶化が不十分な状況に対応するものであり(再結晶化の割合:45%、前述の75%の値未満)、それはすなわち、パラメーターPの値が小さいということになる。
【0079】
鋼鉄l2の場合には、製造条件e)は、1.5ミクロンという微細粒のサイズと、1.5%未満の析出炭化物の量とに関係するものである。鋼鉄f)と同様に、その微細な粒の大きさは、強度とパラメーターPの値の上昇を示すものである。
【0080】
更に、36×55mm2の「CT」(Compact Tension Test)タイプの試験片において断裂強度の試験が行われ、該試験片の当初の切欠けの深さは、深さ8mmであった。実験は室温で行われ、それには外力と変位とを記録することも含まれている。様々な鋼鉄の、(力−移動の)グラフの曲線下の領域で算定された断裂強度のエネルギーは、固有の断裂強度エネルギーを算定するように、破断表面積と関係づけられる。図9は、粒が小さく、析出炭化物を有さず、再結晶化された鋼鉄が、最も優れた断裂強度特性有することを示している。同じような粒の大きさである際、炭化物の1%の析出は、靱性を約三分の一減少させる。断裂強度が非常に弱まることは、粒の大きさの平均が100ミクロンまで成長する場合や、再結晶化が非常に不十分な場合にも、観察される。
【0081】
図9もまた、本発明によって製造された板が、基準の鋼鉄R1またはR2よりも優れた靭性を有することを明らかにするものであるが、それは、強度が同等である場合、断裂強度がこれらの鉄鋼のものよりも二倍から三倍優れたものであるためである。
【0082】
また、厚みを削減し(e=1から1.3mm)、20から−100℃の温度のCharpy V型の試験片で、動的な破断実験が行われた。温度を下げることでは、破断エネルギーは全く減少しないことが確認された。鋼鉄l1の冷間圧延と焼き鈍しの異なる条件における、破断エネルギーが粒の大きさに応じた推移が図10に示されている。静止状態で述べられたものと同様に、粒の大きさが過度であったり、再結晶化が不十分であったりすると、破断エネルギーは減少する。比較のため、上記の鋼鉄R2の20℃または−20℃での破断エネルギーの値も記載した。注目すべきは、本発明の粒の細かい鋼鉄により、動的条件において基準鋼鉄に優る靱性値が得られることを可能にするということである。更には、上記に述べたように、本発明による鋼鉄は、実際には、延性−脆性の温度遷移のある基準鋼鉄とは逆に、温度の変動にも動じることがない。したがって、(非常に低い温度での使用、非常に速い変形速度)過酷な衝撃が加わるような場合にも、本発明の鋼鉄を用いれば、急に破断するような危険に備えることができる。
【0083】
切り込みに対する破断抵抗適性の他に、本発明の鋼鉄は、少なからず複雑な部品を製造における成形適性にも優れている。図11は、表3に示した様々な製造条件で、つまり、平均サイズが3から100ミクロンまで変動する粒での条件における鋼鉄l1の折り曲げ適性を示している。既に述べたように、950MPaを越える強度を期待できるという利点の他に、粒の平均サイズが6ミクロン未満であれば、折り曲げ変形適性も優れたものにできる。そこでもまた、不十分な再結晶化は、満足のいかない結果を招く。
【0084】
図12は、材料に膨張させたり槌で打ったりする外力を加える十字形の工具を用いた絞り加工試験の際に遭遇するような複雑な変形をする場合の、本発明により冷間圧延をし、焼き鈍しした鋼鉄の利点も示したものである。実験は寸法が300×300mm2の地金円板において、高さ60mmの工具を用いて行った。図12は、破断前の絞り加工の深さの最大値を示すものであり、本発明による鋼鉄は、粒が細かくて、基準鋼鉄R1およびR2よりもはるかに優れた特性を備えているということを示している。
【0085】
したがって、強度が同じであれば、本発明による鋼鉄で得られる変形能力は、従来のDual Phaseや「TRIP」の鋼鉄よりもはるかに優れており、靱性も強化されている。同様の変形では、強度のレベルはずっと上である。自動車産業で本発明の鋼鉄を用いる場合においては、衝撃を受けた場合の安全性も向上させたうえで、車両の重量を非常に効率的に減らすことに貢献することができる。それゆえ、本発明により熱間圧延または冷間圧延した鋼板を使用することは、静的または動的な外力条件において非常に優れた機械的特性を必要とする補強部品を製造するうえで利益となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0086】
【特許文献1】欧州特許第0573641号明細書

【特許請求の範囲】
【請求項1】
・重量%で表示した含有量の化学組成:
0.5%≦C≦0.7%、
17%≦Mn≦24%、
Si≦3%、
Al≦0.050%、
S≦0.030%、
P≦0.080%、
N≦0.1%で鋼鉄を精錬し、
組成の残りは鉄と精練から生じる不可避な不純物とから構成される鋼鉄について、
・この鋼鉄を元に半生成物の鋳造を行い、
・前記組成の鋼鉄の前記半生成物を1100℃から1300℃の間の温度に晒し、
・前記半生成物を890℃以上の圧延完了の温度まで圧延し、
・前記圧延の完了と、後の急速冷却との間に所要時間があることが確認されるのであるが、結果、前記所要時間と前記圧延完了温度によって規定される一点が、図1のグラフABCD’E’F’A(Aは(14秒、965℃)であり、Bは(14秒、890℃)であり、Cは(12秒、890℃)であり、D’は(10秒、890℃)であり、E’は(3秒、900℃)であり、F’は(2秒、965℃)である)で規定されるエリアの内部に位置するようにし、
・鋼板が580℃未満の温度で巻き取られる、鉄・炭素・マンガンの鋼鉄の熱間圧延された鋼板の製造方法。
【請求項2】
前記所要時間と前記圧延完了温度によって規定される一点が、図1のグラフABCDEFA(Aは(14秒、965℃)であり、Bは(14秒、890℃)であり、Cは(12秒、890℃)であり、Dは(10秒、892℃)であり、Eは(4秒、905℃)であり、Fは(3.1秒、965℃)である)で規定されるエリアの内部に位置することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
さらに、Cr≦0.053%、Mo≦0.01%、Ni≦0.044%、Cu≦0.02%といった元素のうちの一つまたは複数を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記半生成物の鋳造は、鋼鉄のローラーの間で細い帯材を鋳造する形で行われることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一つに記載の方法。
【請求項5】
前記巻き取り作業の後に、前記熱間圧延された鋼板において、30%以下の等量変形率で低温変形が行われることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一つに記載の方法。
【請求項6】
・請求項1〜4のいずれか一つに記載の方法によって得られた熱間圧延された鋼板を供給し、
・少なくとも一度の冷間圧延の手順を行った後に焼き鈍しし、
・前記鋼板を冷間圧延し、
・600℃から900℃の間の温度で10秒から500秒の間、焼き鈍しし、この後に毎秒0.5℃を超える速度で冷却し、
・後に焼き鈍しが続く、冷間圧延の最終手順が行われる前のオーステナイトの粒の大きさが18ミクロン未満であることを特徴とする、鉄・炭素・マンガンのオーステナイト鋼の冷間圧延された鋼板の製造方法。
【請求項7】
最後の焼き鈍しが行われた後の冷間圧延された鋼板において、30%以下の等量変形率で低温変形が行われることを特徴とする、請求項6に記載の製造方法。
【請求項8】
静的または動的状態において、外力を受ける補強材を製造するための、請求項1〜7のいずれか一つに記載の方法によって製造された鋼板の使用方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−246817(P2011−246817A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−130884(P2011−130884)
【出願日】平成23年6月13日(2011.6.13)
【分割の表示】特願2006−520852(P2006−520852)の分割
【原出願日】平成16年7月8日(2004.7.8)
【出願人】(506166491)アルセロールミタル・フランス (43)
【Fターム(参考)】