説明

弾性ローラ、現像装置及び画像形成装置

【課題】被圧接体に供給される現像剤の供給量が不均一になることを防止して、高品質の画像を形成することに貢献することのできる弾性ローラ及び現像装置、並びに、高品質の画像を形成することのできる画像形成装置を提供すること。
【解決手段】軸体8の外周面に形成された単層又は複数層の弾性層10を備えて成る弾性ローラ1であって、前記弾性層10は、その端部それぞれから軸線方向中央までの領域に、前記軸線方向中央に向かって外径が増大する割合が異なるテーパ部20及び22を複数連設して成ることを特徴とする弾性ローラ1、並びに、この弾性ローラ1を備えたことを特徴とする現像装置及び画像形成装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、弾性ローラ、現像装置及び画像形成装置に関し、さらに詳しくは、被圧接体に供給される現像剤の供給量が不均一になることを防止して高品質の画像を形成することに貢献することのできる弾性ローラ及び現像装置、並びに、高品質の画像を形成することのできる画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザープリンター及びビデオプリンター等のプリンター、複写機、ファクシミリ、これらの複合機等には、例えば電子写真方式を利用した各種の画像形成装置が採用されている。
【0003】
このような画像形成装置の一種である、例えば、図5に示される画像形成装置30は、静電潜像が形成される回転可能な像担持体31例えば感光体と、前記像担持体31の周囲に配置された、帯電手段32例えば帯電ローラ、露光手段33、現像装置40、転写手段34例えば転写ローラ及びクリーニング手段37と、記録体の搬送方向下流側に定着手段35例えば画像形成装置用定着装置とを備えている。この現像装置40は、具体的には、図5に示されるように、現像剤収納部41と、像担持体31に現像剤42を供給する現像剤担持体44例えば現像ローラと、前記現像剤担持体44に圧接するように配置され、現像剤担持体44に現像剤42を供給する現像剤供給手段43例えば現像剤供給ローラと、現像剤42を帯電させる現像剤規制部材45とを備えている。この画像形成装置30において、現像剤供給手段43から現像剤担持体44を介して現像剤42が像担持体31に供給されて、前記像担持体31の表面に形成された静電潜像が現像され、現像された静電潜像が記録体に転写、定着されることによって、画像が形成される。
【0004】
このとき、画像形成装置30が高品質の画像を形成するには、現像剤担持体44から像担持体31に所定量の現像剤42を供給することが重要であり、その前提として、現像剤供給手段43から現像剤担持体44に所定量の現像剤42を、現像剤担持体44の軸線方向及び周方向に、均一に供給する必要がある。このため、現像剤供給手段43は、現像剤担持体44に均一に圧接して、現像剤供給手段43の軸線方向において、現像剤担持体44に対する現像剤供給手段43の周方向における接触幅(ニップ幅と称することもある。)がほぼ均一になっていることが特に重要である。
【0005】
ところが、画像形成装置の各種ローラ例えば現像剤供給手段43は、軸体と軸体の外周面に形成された弾性層とを備えて成り、前記軸体の両端部が圧接機構で支持されて、前記弾性層が現像剤担持体44に圧接するように、装着される。このように現像剤供給手段43を装着すると、金属等で形成されていても軸体にたわみ等が生じることがある。また、現像剤供給手段43の弾性層は比較的硬度が小さく形成されるから、弾性層の中央部近傍は端部近傍よりも比較的変形しやすくなる。そうすると、軸体の中央部近傍が大きくたわむことによって比較的小さく変形する弾性層の中央部近傍と、軸体の端部がほとんどたわまないことによって大きく変形する弾性層の端部とにおける、現像剤担持体44とのニップ幅は不均一になることがある。このように、ニップ幅が不均一になると、圧接力が相対的に小さくなる弾性層の中央部近傍では、それ以外の領域よりも現像剤42の供給量が相対的に少なくなり、その結果、形成される画像に、所定量の現像剤42が供給されないことに起因する白抜け等が発生して、その品質が低下することになる。
【0006】
このような問題を解決しようとする技術として、例えば、特許文献1には、「担持体に対して現像剤の供給および回収を行うために、外周面の一部が所定の圧力で前記担持体に当接した均一化ロール部材を有し、該均一化ロール部材により供給されて前記担持体に担持された現像剤を静電潜像に付着して、当該静電潜像を可視像に現像する非磁性1成分現像装置において、前記均一化ロール部材が両端部において最小半径を有し、中央において最大半径を有するように、当該均一化ロール部材の外周面を、材軸方向において曲面形状としたことを特徴とする非磁性1成分現像装置。」が記載されている。
【0007】
また、特許文献2には、「現像剤を担持して回転し該現像剤を潜像担持体上の潜像に供給・付着させる現像ローラと、該現像ローラに圧接して回転するトナー供給ローラを有し、該トナー供給ローラは、現像ローラの端部に現像剤を供給しにくい構成となっている現像装置において、前記トナー供給ローラは、画像域内の中央部から端部にかけて徐々に径が細くなるテーパー状形態となっており、現像ローラ端部にトナーが供給されにくくなっていることを特徴とする現像装置。」が記載されている。
【0008】
さらに、特許文献3には、「芯軸外周上に導電性ゴム層が形成された導電性ローラにおいて、前記導電性ゴム層が、導電性エチレンプロピレンゴムからなり表面粗さRzが1〜7μmの範囲内で、ローラの両端部外径より中央部外径が大きい正クラウン形状であることを特徴とする導電性ローラ。」が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開昭61−28978号公報
【特許文献2】特許第3343406号明細書
【特許文献3】特開平10−196637号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
この発明は、被圧接体に供給される現像剤の供給量が不均一になることを防止して、高品質の画像を形成することに貢献することのできる弾性ローラ及び現像装置を提供することを、目的とする。
【0011】
また、この発明は、高品質の画像を形成することのできる画像形成装置を提供することを、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するための手段として、
請求項1は、軸体の外周面に形成された単層又は複数層の弾性層を備えて成る弾性ローラであって、前記弾性層は、その端部それぞれから軸線方向中央までの領域に、前記軸線方向中央に向かって外径が増大する割合が異なるテーパ部を複数連設して成ることを特徴とする弾性ローラであり、
請求項2は、前記弾性層は、その端部それぞれから軸線方向中央に向かって形成された第1のテーパ部と、前記第1のテーパ部それぞれから連続して前記軸線方向中央まで形成された第2のテーパ部とが連設して成ることを特徴とする請求項1に記載の弾性ローラであり、
請求項3は、前記テーパ部のうち前記軸線方向中央まで延在するテーパ部の合計軸線長さは、前記弾性層の軸線長さに対して15〜40%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の弾性ローラであり、
請求項4は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の弾性ローラを備えたことを特徴とする現像装置であり、
請求項5は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の弾性ローラを備えたことを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0013】
この発明に係る弾性ローラは、端部それぞれから軸線方向中央までの領域に、前記軸線方向中央に向かって外径が増大する割合が異なるテーパ部を複数連設して成る弾性層を備えているから、被圧接体とのニップ幅が不均一になることを防止することができる。その結果、この発明に係る弾性ローラは、被圧接体に供給される現像剤の供給量がその軸線方向及び周方向に不均一になることを防止することができる。また、この発明に係る現像装置及び画像形成装置はこの発明に係る弾性ローラを備えている。
【0014】
したがって、この発明によれば、被圧接体に供給される現像剤の供給量が不均一になることを防止して、高品質の画像を形成することに貢献することのできる弾性ローラ及び現像装置を提供すること、並びに、高品質の画像を形成することのできる画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、この発明に係る弾性ローラの一実施例における弾性ローラを示す正面図である。
【図2】図2は、この発明に係る弾性ローラの一実施例における弾性ローラを示す正面図であり、図2(a)はこの発明に係る弾性ローラの別の一実施例における弾性ローラを示す正面図であり、図2(b)はこの発明に係る弾性ローラのまた別の一実施例における弾性ローラを示す正面図であり、図2(c)はこの発明に係る弾性ローラのさらにまた別の一実施例における弾性ローラを示す正面図であり、図2(d)はこの発明に係る弾性ローラのまた別の一実施例における弾性ローラを示す正面図である。
【図3】図3は、従来の弾性ローラを示す正面図である。
【図4】図4は、参考例の弾性ローラを示す正面図である。
【図5】図5は、この発明に係る画像形成装置の一例を示す要部概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
この発明に係る弾性ローラの一実施例における弾性ローラは、図1に示されるように、軸体8と、軸体8の外周面に形成された弾性層10とを備えて成る。
【0017】
この弾性ローラ1は、画像形成装置のローラとして装着される各種ローラの機能等に応じて、適宜の硬度等に調整される。例えば、弾性ローラ1が現像剤供給ローラ43として装着される場合には、弾性ローラ1は、40〜80のアスカーF硬度を有しているのが好ましく、50〜75のアスカーF硬度を有しているのが特に好ましい。アスカーF硬度が前記範囲内にあると、現像装置及び画像形成装置等に装着されたときに、被圧接体とのより一層均一なニップ幅を実現することができる。前記アスカーF硬度は、弾性ローラ1の表面に硬度計の押圧子の中心部を押し付け、かつ、基準面が弾性ローラ1の表面に接触した瞬間の目盛りを読み取ることで得られる値である。実際には、高分子計器株式会社製「アスカーゴム硬度計F型」で測定することができる。
【0018】
前記軸体8は、良好な導電特性を有していればよく、通常、鉄、アルミニウム、ステンレス鋼、真鍮等で構成された所謂「芯金」と称される軸体とされる。また、軸体8は、熱可塑性樹脂若しくは熱硬化性樹脂等の絶縁性芯体にメッキを施して導電化した軸体であってもよく、さらには、熱可塑性樹脂若しくは熱硬化性樹脂等に導電性付与剤としてカーボンブラック又は金属粉体等を配合した導電性樹脂で形成された軸体であってもよい。軸体8は、装着される画像形成装置に応じて、適宜の直径及び軸線方向の長さに調整される。
【0019】
弾性層10は、図1に示されるように、軸体8の外周面に単層構造に形成されている。この弾性層10は、軸体8の外周面で後述するゴム組成物を硬化してなる。
【0020】
弾性層10は、図1に示されるように、その端部17及び18それぞれから軸線方向中央(図1において符号Cで示す。)までの各領域に、前記軸線方向中央Cに向かって外径が増大する割合が異なる第1のテーパ部20及び第2のテーパ部22が複数連設されて成る。具体的には、弾性層10は、その軸線方向略中央Cに向かってその両端部17及び18から外径が徐々に増大する第1のテーパ部20と、前記第1のテーパ部20それぞれに連続して形成され、前記第1のテーパ部20それぞれから前記軸線方向略中央Cまで、前記第1のテーパ部20と異なる割合で外径が徐々に増大する第2のテーパ部22とで形成されて成る。弾性層10がこのように形成されていると、軸体8の両端部が支持されて、現像剤担持体等の被圧接体に圧接するように、現像装置又は画像形成装置に装着された場合に、軸体8にたわみが生じても、また、弾性層10の変形量が中央近傍と端部近傍とで異なっても、この弾性層10によって、軸体8のたわみ及び/又は弾性層10の異なる変形量が相殺されるから、現像剤担持体とのニップ幅が不均一になることを防止することができる。
【0021】
弾性層10は、第1のテーパ部20及び第2のテーパ部22を有し、2つの前記第2のテーパ部22における最大外径部が相対向して連接することによって前記軸線方向中央Cが形成されている。そして、弾性層10は、図1に示されるように、その軸線方向中央Cを含み前記軸線方向に垂直な平面に対して対称構造となっているのが好ましい。
【0022】
前記第1のテーパ部20は、図1に示されるように、弾性層10の両端部17及び18それぞれからその軸線方向略中央Cに向かって末広がりとなる円錐台形状に形成されている。このテーパ部20の外径は、図1に示されるように、後述する第2のテーパ部22との境界(図1において実線で示す。)で最大となり、両端部17及び18で最小となるように形成されている。前記テーパ部20において、最小の外径と最大の外径との外径差は0.2〜2mmの範囲にあるのが好ましい。前記外径差が前記範囲内にあると、弾性ローラ1と被圧接体との接触部における当接圧がほぼ均一となるという効果が得られる。この効果により一層優れる点で、前記外径差は0.2〜1mmであるのが特に好ましい。テーパ部20は、図1に示されるように、両端部17及び18から第2のテーパ部22に向かって略一定の割合で連続して徐々に大きくなっているのが好ましく、2つの第1のテーパ部20における外径が増大する割合(以下、外径増大割合と称することがある。)はほぼ同じ割合になっているのが特に好ましい。また、前記第1のテーパ部20は、外径増大割合、すなわち、軸線長さに対する前記外径差の割合が0.15〜1.54%であるのが好ましく、0.2〜0.8%であるのが特に好ましい。前記外径増大割合が前記範囲内にあると、弾性ローラ1と被圧接体との接触部における当接圧がほぼ均一になるという効果が得られる。
【0023】
前記第2のテーパ部22は、図1に示されるように、前記第1のテーパ部20それぞれの端面すなわち境界から弾性層10の軸線方向略中央Cに向かって末広がりとなる円錐台形状に形成されている。第2のテーパ部22それぞれは前記略中央Cで連接しており、2つの第2のテーパ部22は二重円錐台形と成っている。このテーパ部22の外径は、図1に示されるように、第1のテーパ部20との境界(図1において実線で示す。)で最小となり、弾性層10の略中央Cで最大となるように形成されている。前記第2のテーパ部22において、最小の外径と最大の外径との外径差は0.03〜0.15mmの範囲にあるのが好ましい。前記外径差が前記範囲内にあると、弾性層10の中心部近傍における現像剤搬送性を維持することができるという効果が得られる。この効果により一層優れる点で、前記外径差は0.05〜0.15mmであるのが特に好ましい。第2のテーパ部22は、図1に示されるように、前記第1のテーパ部20それぞれの境界から前記略中央Cまで略一定の割合で連続して徐々に大きくなっているのが好ましく、2つのテーパ部22における外径増大割合はほぼ同じ割合になっているのが特に好ましい。なお、前記第2のテーパ部22における最大外径と、弾性層10の両端部17及び18の外径との外径差は、前記外径差を満たすように調整されればよいが、例えば、0.23〜2.15mmであるのが特に好ましい。また、前記第2のテーパ部22は、その外径増大割合、すなわち、軸線長さに対する前記外径差の割合が0.08〜0.39%であるのが好ましく、0.10〜0.39%であるのが特に好ましい。前記外径増大割合が前記範囲内にあると、弾性層10の中心部近傍における現像剤搬送性を維持することができるという効果が得られる。
【0024】
前記第1のテーパ部20と前記第2のテーパ部22とにおいて、前記第1のテーパ部20における前記外径増大割合と前記第2のテーパ部22における前記外径増大割合とは、異なっていればよく、前記第1のテーパ部20の前記外径増大割合が前記第2のテーパ部22のそれよりも大きくても小さくてもよい。前記弾性層10においては、前記軸線方向略中央C側に位置するテーパ部ほど前記外径増大割合が小さくなるように、形成されている。すなわち、この弾性層10において、前記第1のテーパ部20における前記外径増大割合が前記第2のテーパ部22における前記外径増大割合よりも大きくなっている。このように第1のテーパ部20及び第2のテーパ部22が形成されていると、被圧接体との圧接状態がより一層均一になり、中心部のトナー搬送性が低下しないという効果が得られる。この効果により一層優れる点で、前記第1のテーパ部20における前記外径増大割合と前記第2のテーパ部22における前記外径増大割合との差(前記第1のテーパ部20における前記外径増大割合−前記第2のテーパ部22における前記外径増大割合)は、0.03〜1.15%であるのが好ましく、0.03〜0.46%であるのが特に好ましい。前記第1のテーパ部20と前記第2のテーパ部22との外径差に着目すると、前記第1のテーパ部20における外径差と前記第2のテーパ部22における外径差との差(前記第1のテーパ部20における外径差−前記第2のテーパ部22における外径差との差)は、0.05〜1.97mmであるのが好ましく、0.1〜1.97mmであるのが特に好ましい。
【0025】
前記第2のテーパ部22は、図1に示されるように、この発明に係る弾性ローラにおけるテーパ部のうち軸線方向中央まで延在するテーパ部であり、換言すると、前記軸線方向の最も中央側に位置するテーパ部である。そして、前記第2のテーパ部22は、前記軸線方向中央Cを挟んで隣接する2つの第2のテーパ部22における軸線方向の合計長さ(この発明において軸線長さLと称する。)が弾性層10の軸線長さLに対して15〜40%の範囲にあるのが好ましい。第2のテーパ部22の軸線長さLが前記範囲内にあると、被圧接体との圧接状態がより一層均一であるから、弾性層10の中心部近傍における現像剤搬送性を維持することができるという効果が得られる。したがって、第2のテーパ部22の軸線長さLが前記範囲内にあると、弾性ローラ1は、より一層高品質の画像を形成することに貢献することができる。より一層高品質の画像を形成することに十分に貢献することができる点で、第2のテーパ部22は、弾性層10の軸線長さLに対して、18〜38%の軸線長さLを有しているのがより好ましい。
【0026】
弾性層10は、通常、弾性ローラ1の最外層として形成されるから、前記弾性ローラ1のアスカーF硬度と同じ値のアスカーF硬度を有している。また、この弾性層10は、画像形成装置のローラとして装着される各種ローラの機能等に応じて、及び/又は、前記範囲の硬度を実現するため、気泡等のセルを有する発泡弾性層とされることができる。発泡弾性層に形成されるセルは、他のセルに接することのない若しくは連通することのない状態(独立セル状態と称する。)、他のセルに接し若しくは連通している状態(連通セル状態と称する。)、又は、前記独立セル状態と前記連通セル状態とが共存する状態の何れの状態にあってもよい。前記セルの平均セル径は150〜400μmであるのが好ましく、250〜350μmであるのが特に好ましい。前記平均セル径が前記範囲内にあると、被圧接体との均一で十分なニップ幅を確保して十分な量の現像剤を被圧接体に搬送することができる。セルの平均セル径は、発泡弾性層の表面又は任意の面で切断したときの切断面において、約20mmの領域を電子顕微鏡等で観察し、観察視野内に存在する各セルにおける開口部の最大長さを測定して、測定された最大長さを算術平均して得られた平均長さとして、求めることができる。
【0027】
弾性層10の厚さは、画像形成装置のローラとして装着される各種ローラの機能等に応じて、適宜の厚さに調整される。例えば、弾性ローラ1が現像剤供給ローラ43として装着される場合には、第2のテーパ部22の最大厚さは、3mm以上であるのが好ましく、5mm以上であるのがより好ましく、その上限は、実用的な作製コストを考慮すると、30mm以下であるのが好ましく、20mm以下であるのがより好ましい。
【0028】
弾性層10を形成するゴム組成物は、ゴムと、導電性付与剤と、所望により各種添加剤とを含有する。
【0029】
前記ゴムは、特に限定されず、例えば、シリコーン若しくはシリコーン変性ゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴム等のゴムが挙げられるが、シリコーン若しくはシリコーン変性ゴムが耐熱性及び帯電特性等に優れる点で好ましい。
【0030】
前記導電性付与剤は、導電性を付与することのできる化合物であればよく、例えば、導電性粉末、イオン導電性物質等が挙げられる。導電性粉末としては、より具体的には、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等の導電性カーボン、ゴム用カーボン類、金属、導電性ポリマー等が挙げられ、イオン導電性物質としては、より具体的には、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸リチウム、過塩素酸カルシウム、塩化リチウム等が挙げられる。
【0031】
前記各種添加剤は、例えば、充填材、着色剤、難燃性向上剤、熱伝導性向上剤、離型剤、分散剤、粉砕石英及び非補強性シリカ等が挙げられる。これらの各種添加剤は所望の配合量で配合される。
【0032】
ゴム組成物は、二本ロール、三本ロール、ロールミル、バンバリーミキサ、ドウミキサ(ニーダー)等のゴム混練り機等を用いて、均一に混合されるまで、例えば、数分から数時間、好ましくは5分以上1時間以下にわたって常温又は加熱下で混練して、得られる。
【0033】
前記ゴムと前記導電性付与剤とを含有するゴム組成物としては、独立セル状態のセルを形成することのできる発泡導電性シリコーンゴム系組成物及び発泡導電性ウレタンゴム系組成物等が好ましく挙げられる。特に、独立セル状態のセルを形成することのできる発泡導電性シリコーンゴム系組成物は、耐熱性、耐久性及び耐残留歪み特性等に優れ、画像形成装置の高速運転にも耐えられる好適なゴム組成物である。このような発泡導電性シリコーンゴム系組成物として、付加反応型発泡導電性シリコーンゴム組成物が特に好ましい。
【0034】
付加反応型発泡導電性シリコーンゴム組成物は、ビニル基含有シリコーン生ゴムと、シリカ系充填材と、発泡剤と、付加反応架橋剤と、付加反応触媒と、反応制御剤と、導電性付与剤とを含有し、所望により、さらに、有機過酸化物架橋剤と耐熱性向上剤(前記導電性付与剤として機能するものを除く。)と各種添加剤とを含有してもよい。このような付加反応型発泡導電性シリコーンゴム組成物として、例えば、特開2008−076751号公報に記載されている付加反応型発泡シリコーンゴム組成物に導電性付与剤を添加した組成物が挙げられる。なお、前記ビニル基含有シリコーン生ゴム、前記シリカ系充填材及び前記各種添加剤を含有するシリコーンゴム組成物として、例えば、信越化学工業株式会社製の商品名「KEシリーズ」及び「KEGシリーズ」等を容易に入手することができる。
【0035】
発泡導電性ウレタンゴム組成物は、ポリオールとイソシアネート、これらを反応して得られるプレポリマー及びこれらを反応して得られるポリウレタンからなる群より選択される少なくとも1種のポリウレタン調製成分と、導電性付与剤と、所望により各種添加剤とを含有する。前記ポリウレタン調製成分としては、例えば、特開2008−070420号公報に記載の「ポリウレタン調製成分」を挙げることができる。前記導電性付与剤及び各種添加剤は前記した通りである。
【0036】
この発明に係る弾性ローラの別の一実施例における弾性ローラ2は、図2(a)に示されるように、軸体8と、軸体8の外周面に形成された弾性層11とを備えて成る。この弾性ローラ2は、第1のテーパ部20における外径増大割合が第2のテーパ部23における外径増大割合よりも小さいこと以外は、前記弾性ローラ1と基本的に同様に形成されている。すなわち、弾性ローラ2は、第1のテーパ部20の外径差及び外径増大割合、第2のテーパ部23の外径差、外径増大割合及び軸線長さL、並びに、第1のテーパ部20の外径差と第2のテーパ部23の外径差との差がそれぞれ弾性ローラ1のそれらと基本的に同様であるが、第1のテーパ部20及び第2のテーパ部23における外径増大割合の大小関係が逆転するように第1のテーパ部20及び第2のテーパ部23が調整されていること以外は、前記弾性ローラ1と基本的に同様に形成されている。弾性ローラ2において、前記第1のテーパ部20における外径増大割合と前記第2のテーパ部23における外径増大割合との差(前記第1のテーパ部20における外径増大割合−前記第2のテーパ部23における外径増大割合)は、例えば、−0.10〜−0.03%であるのが好ましい。また、第1のテーパ部20と第2のテーパ部23との外径差に着目すると、前記第1のテーパ部20における外径差と前記第2のテーパ部23における外径差との差(前記第1のテーパ部20における外径差−前記第2のテーパ部23における外径差との差)は、例えば、0.05〜1.97mmであるのが好ましく、0.1〜1.97mmであるのが特に好ましい。
【0037】
この弾性ローラ2は、第1のテーパ部20と第2のテーパ部23とで形成された弾性層11を備えているから、この弾性層11によって軸体8のたわみ及び/又は異なる変形量が相殺され、その結果、現像剤担持体とのニップ幅が不均一になることを防止することができる。
【0038】
この発明に係る弾性ローラのまた別の一実施例における弾性ローラ3は、図2(b)に示されるように、軸体8と、軸体8の外周面に形成された弾性層12とを備えて成る。この弾性ローラ3は、第2のテーパ部24における外径増大割合が前記弾性ローラ1の前記第2のテーパ部22における前記外径増大割合よりも小さくなっていること以外は、前記弾性ローラ1と基本的に同様に形成されている。この弾性ローラ3は、第1のテーパ部20と第2のテーパ部24とで形成された弾性層12を備えているから、弾性ローラ1と同様に、この弾性層12によって軸体8のたわみ及び/又は異なる変形量が相殺され、その結果、現像剤担持体とのニップ幅が不均一になることを防止することができる。
【0039】
この発明に係る弾性ローラのさらにまた別の一実施例における弾性ローラ4は、図2(c)に示されるように、軸体8と、軸体8の外周面に形成された弾性層13とを備えて成る。この弾性ローラ4は、弾性層13の両端部17及び18それぞれからその略中央Cにかけて連続して3つのテーパ部、すなわち、第1のテーパ部21、第3のテーパ部26及び第2のテーパ部25が形成されていること以外は、前記弾性ローラ2と基本的に同様に形成されている。この弾性ローラ4における前記3つのテーパ部は、図2(c)に示されるように、その軸線方向略中央Cに向かって前記両端部17及び18それぞれから外径が徐々に増大する第1のテーパ部21と、前記第1のテーパ部21それぞれから連続して前記軸線方向略中央Cに向かって外径が徐々に増大する第3のテーパ部26と、前記第3のテーパ部26それぞれから連続して前記軸線方向略中央Cまで外径が徐々に増大する第2のテーパ部25とで構成され、弾性層13の軸線方向の中央Cを含み前記軸線方向に垂直な平面に対して対称構造となっている。前記3つのテーパ部21、26及び25における外径増大割合は、第2のテーパ部26が最も大きく、第1のテーパ部21が最も小さく設定されている。第1のテーパ部21、第3のテーパ部26及び第2のテーパ部25それぞれは、弾性層13の軸線長さLを100%とした場合に、それぞれの合計軸線長さが54%、24%及び22%となっている。
【0040】
この弾性ローラ4は、第1のテーパ部21と第3のテーパ部26と第2のテーパ部25とで形成された弾性層13を備え、前記第1のテーパ部21と第2のテーパ部25との関係が弾性ローラ2と基本的に同様であるから、この弾性層13によって軸体8のたわみ及び/又は異なる変形量が相殺され、その結果、現像剤担持体とのニップ幅が不均一になることを防止することができる。
【0041】
この発明に係る弾性ローラのまた別の一実施例における弾性ローラ5は、図2(d)に示されるように、軸体8と、軸体8の外周面に形成された弾性層14とを備えて成る。この弾性ローラ5は、弾性層14の両端部17及び18それぞれからその略中央Cにかけて連続して3つのテーパ部、すなわち、第1のテーパ部21、第3のテーパ部26及び第2のテーパ部25が形成されていること以外は、前記弾性ローラ1と基本的に同様に形成されている。この弾性ローラ4における前記3つのテーパ部は、図2(d)に示されるように、その軸線方向略中央Cに向かって前記両端部17及び18それぞれから外径が徐々に増大する第1のテーパ部21と、前記第1のテーパ部21それぞれから連続して前記軸線方向略中央Cに向かって外径が徐々に増大する第3のテーパ部26と、前記第3のテーパ部26それぞれから連続して前記軸線方向略中央Cまで外径が徐々に増大する第2のテーパ部25とで構成され、弾性層14の軸線方向の中央Cを含み前記軸線方向に垂直な平面に対して対称構造となっている。この3つのテーパ部21、26及び25における外径増大割合は、前記軸線方向略中央C側に位置するほど、外径の増大する割合が小さくなっている。第1のテーパ部21、第3のテーパ部26及び第2のテーパ部25それぞれは、弾性層13の軸線長さLを100%とした場合に、それぞれの合計軸線長さが54%、24%及び22%となっている。この弾性ローラ5は、第1のテーパ部21と第3のテーパ部26と第2のテーパ部25とで形成された弾性層14を備え、前記第1のテーパ部21と第2のテーパ部25との関係が弾性ローラ1と基本的に同様であるから、弾性ローラ1と同様に、この弾性層14によって軸体8のたわみ及び/又は異なる変形量が相殺され、その結果、現像剤担持体とのニップ幅が不均一になることを防止することができる。
【0042】
この発明に係る弾性ローラは、例えば、以下の方法により製造することができる。まず、定法に従って前記材料から軸体を作製し、所望により、その外周面にプライマー等が塗布される。次いで、軸体の外周面に前記ゴム組成物を公知の成形方法によって加熱硬化する。成形方法としては、例えば、押出成形による連続加硫、プレス、インジェクションによる型成形等、特に制限されない。
【0043】
このようにして形成されたゴム組成物は、外径増大割合が異なる複数のテーパ部を有する形状に、その表面が研磨、研削されて、弾性層とされる。例えば、軸体8の外周面に成形されたゴム組成物を前記複数のテーパ部が形成されるように、下記条件で研磨、研削すると、前記弾性層を形成することができる。
<条件>
砥石の粒度:GC150〜GC−G又は金属砥石#30〜#80
回転速度:1300〜7000rpm
切り込み量:1〜5mm
【0044】
この発明に係る弾性ローラは、端部それぞれから軸線方向中央までの領域に、前記軸線方向中央に向かって外径増大割合が異なるテーパ部を複数連設して成る弾性層を備えているから、被圧接体とのニップ幅が不均一になることを防止して、被圧接体に圧接することができる。したがって、この発明に係る弾性ローラは、現像装置における現像ローラ及び現像剤供給ローラ、並びに、画像形成装置における帯電ローラ、転写ローラ及びクリーニングローラ等として、好適に用いられる。特に、この発明に係る弾性ローラは、被圧接体に供給される現像剤の供給量がその軸線方向及び周方向に不均一になることを防止することがきるから、現像装置における現像剤供給ローラとして、好適に用いられる。
【0045】
次に、この発明に係る弾性ローラを備えた現像装置(以下、この発明に係る現像装置と称することがある。)及び画像形成装置(以下、この発明に係る画像形成装置と称することがある。)の一例を、図5を参照して、説明する。
【0046】
図5に示されるように、この発明に係る画像形成装置30は、静電潜像が形成される回転可能な像担持体31例えば感光体と、前記像担持体31の周囲に配置された、帯電手段32例えば帯電ローラ、露光手段33、現像手段40、転写手段34例えば転写ローラ及びクリーニング手段37と、記録体の搬送方向下流側に定着手段35例えば画像形成装置用定着装置とを備えている。
【0047】
この現像手段40は、図5に示されるように、現像剤収納部41と、像担持体31に現像剤42を供給する現像剤担持体44と、現像剤担持体44に現像剤42を供給する現像剤供給手段43と、現像剤42を帯電させる現像剤規制部材45とを備えて成る。この現像装置40は、前記現像剤供給手段43としてこの発明に係る弾性ローラ1が、被圧接体である現像剤担持体44とのニップ幅として弾性層端部における厚さ方向への押込量(凹陥量)が1mmとなるように、装着されている。この現像装置40がこの発明に係る現像装置の一例とされている。この現像手段40は、現像剤供給手段43としてこの発明に係る弾性ローラ1が装着されていること以外は、従来の現像手段と基本的に同様に形成されている。なお、現像剤42は、一成分系の現像剤であれば、乾式現像剤であっても湿式現像剤であってもよく、また、非磁性現像剤であっても磁性現像剤であってもよい。
【0048】
前記定着手段35は、記録体36に転写された現像剤42(静電潜像)を定着させることができればよく、例えば、発熱可能な定着ローラを備えた熱ローラ定着装置、オーブン定着器等の加熱定着装置、加圧可能な定着ローラを備えた圧力定着装置等を用いることができる。これらの定着装置は無端ベルトを備えた定着装置であってもよい。この定着装置35は、図5にその断面が示されるように、記録体36を通過させる開口52を有する筐体50内に、定着ローラ53と、定着ローラ53の近傍に配置された無端ベルト支持ローラ54と、定着ローラ53及び無端ベルト支持ローラ54に巻き掛けられた無端ベルト55と、定着ローラ53と対向配置された加圧ローラ56とを備え、無端ベルト55を介して定着ローラ53と加圧ローラ56とが、互いに当接又は圧接するように、回転自在に支持されて成る圧力熱定着装置である。無端ベルト支持ローラ54は、画像形成装置に通常用いられるローラであればよく、例えば、弾性ローラ等が用いられる。無端ベルト55は、例えば、ポリアミド、ポリアミドイミド等の樹脂により、無端状に形成されたベルトであればよく、その厚さ等も適宜定着手段35に適合するように調整することができる。定着ローラ53、無端ベルト支持ローラ54及び加圧ローラ56はそれぞれ、加熱体(図示しない。)が内蔵され、加圧ローラ56はスプリング等の付勢手段(図示しない。)によって、無端ベルト55を介して定着ローラ53に圧接している。無端ベルト55と加圧ローラ56との圧接された間を記録体36が通過することにより、加圧と同時に加熱され、記録体36に転写された現像剤42(静電潜像)を定着させることができる。
【0049】
この発明に係る画像形成装置30は、次のように作用する。まず、画像形成装置30において、帯電手段32により像担持体31が一様に帯電され、露光手段33により像担持体31の表面に静電潜像が形成される。次いで、現像手段40から現像剤42が像担持体31に供給され、静電潜像が現像される。次いで、現像剤像は像担持体31と転写手段34との間に搬送される記録体36上に転写される。この記録体36は定着手段35に搬送され、現像剤像が永久画像として記録体36に定着される。このようにして、記録体36に画像を形成することができる。
【0050】
この発明に係る現像装置の一例である前記現像装置40及びこの発明に係る画像形成装置の一例である前記画像形成装置30は、現像剤供給手段43としてこの発明に係る弾性ローラの一例である弾性ローラ1が使用されているから、前記現像装置30は高品質の画像を形成することに貢献することができ、また前記画像形成装置30は高品質の画像を形成することができる。
【0051】
この発明に係る弾性ローラ、現像装置及び画像形成装置は、前記した実施例に限定されることはなく、本願発明の目的を達成することができる範囲において、種々の変更が可能である。
【0052】
例えば、前記弾性ローラ1〜5は、弾性層10〜14の両端部17及び18それぞれから軸線方向中央Cまでの各領域に、前記軸線方向中央Cに向かって外径増大割合が異なる2つ又は3つのテーパ部20及び22、23又は24並びに21、26及び25が連設されてなる弾性層10〜14を備えているが、この発明において、弾性ローラは、弾性層の両端部それぞれから軸線方向中央Cまでの各領域に、前記軸線方向中央Cに向かって外径増大割合が異なる4つ以上のテーパ部が連設されてなる弾性層を備えていてもよい。
【0053】
また、前記弾性ローラ1、3及び5は、弾性層10、12又は14の軸線方向略中央C側に位置するほど外径の増大する割合が小さくなるように連設されて成る複数のテーパ部部20及び22、20又は24並びに21、26及び25を有しているが、この発明において、弾性ローラは、前記弾性ローラ2のように、弾性層の軸線方向略中央C側に位置するほど外径の増大する割合が大きくなるように連設されて成る複数のテーパ部を有していてもよく、また、前記弾性ローラ4のように、弾性層の軸線方向略中央C側に向かって外径の増大する割合が任意に大きく又は小さくなるように連設されて成る複数のテーパ部を有していてもよい。
【0054】
さらに、前記弾性ローラ1〜5は、単層構造の弾性層10〜14を備えているが、この発明において、弾性ローラは、二層以上の複数層構造の弾性層を備えていてもよい。この場合には、弾性層における最外層のみが前記テーパ部を複数連設して成っていてもよく、複数の層すべてが前記テーパ部を複数連設して成っていてもよい。
【0055】
また、前記弾性ローラ1〜5は、軸体8の外周面に弾性層10〜14が他の層を介することなく形成されているが、この発明においては、軸体と弾性層との間に、密着性、追従性等を向上させる、プライマー層、接着剤層等を設けることもできる。
【0056】
前記画像形成装置30は、電子写真方式の画像形成装置とされているが、この発明において、画像形成装置は、電子写真方式には限定されず、例えば、静電方式の画像形成装置であってもよい。
【0057】
また、前記画像形成装置30は、現像装置40に単色の現像剤42のみを収容するモノクロ画像形成装置とされているが、この発明において、画像形成装置は、モノクロ画像形成装置に限定されず、現像剤供給手段を有する現像装置を備えているのが好ましく、カラー画像形成装置であってもよい。カラー画像形成装置としては、例えば、像担持体上に担持された現像剤像を中間転写体に順次一次転写を繰り返す4サイクル型カラー画像形成装置、各色毎の現像装置を備えた複数の像担持体を中間転写体や転写搬送ベルト上に直列に配置したタンデム型カラー画像形成装置等が挙げられる。画像形成装置30は、例えば、複写機、ファクシミリ、プリンター等の画像形成装置とされる。
【0058】
また、画像形成装置30において、現像剤42は、一成分系の現像剤が有利に用いられるが、トナーと、鉄、ニッケル等のキャリアとを含む二成分系の現像剤も使用することができる。
【実施例】
【0059】
(実施例1)
弾性層を形成するゴム組成物として、前記付加反応型発泡導電性シリコーンゴム組成物を準備した。すなわち、ビニル基含有シリコーン生ゴムとシリカ系充填材とを含み、導電性付与剤を含まないシリコーン発泡ゴム組成物「KE−904FU」(信越化学工業株式会社製:商品名)70質量部と、導電性付与剤「KE−87C40PU」(信越化学工業株式会社製:商品名)30質量部と、付加反応架橋剤「C−153A」(信越化学工業株式会社製:商品名)2質量部と、発泡剤アゾビス−イソブチロニトリル5質量部と、付加反応触媒としての白金触媒適量と、反応制御剤「R−153A」(信越化学工業株式会社製:商品名)0.5質量部と、有機過酸化物架橋剤「C−3」(信越化学工業株式会社製:商品名)適量とを、二本ロールで十分に混練して、付加反応型発泡導電性シリコーンゴム組成物を調製した。
【0060】
無電解ニッケルメッキ処理が施された軸体(直径6mm×長さ370mm、SUM22)をトルエンで洗浄し、プライマー「No.101A/B」(信越化学工業株式会社製:商品名)を塗布した。プライマー処理した軸体を、ギアーオーブンを用いて、150℃の温度にて30分焼成処理した後、常温にて30分以上冷却し、プライマー層を形成した。
【0061】
次いで、プライマー層を形成した軸体2と、付加反応型発泡導電性シリコーンゴム組成物とを、押出成形機にて一体分出し、次いで、赤外線加熱炉(IR炉)を用いて、250℃で10分間加熱して、発泡架橋させた。その後、さらに、ギアーオーブンを用いて、200℃で4時間にわたって、発泡架橋後の付加反応型発泡導電性シリコーンゴム組成物を二次加熱し、常温にて1時間放置した。
【0062】
次いで、発泡硬化した付加反応型発泡導電性シリコーンゴム組成物を下記条件で研磨して下記寸法を有する弾性層を形成し、図1に示される実施例1の弾性ローラAを製造した。この弾性ローラAにおける弾性層10の前記平均セル径は250μmであり、前記アスカーF硬度は50であった。なお、2つの第1のテーパ部20及び2つの第2のテーパ部22はほぼ同一の形状及び寸法であった。
<条件>
砥石の粒度:GC−150
回転速度:1600rpm
砥石の圧接力(切り込み量):3mm
【0063】
このようにして製造した弾性ローラAにおける弾性層10は下記寸法であった。なお、弾性層10は軸線方向中央Cを中心としてほぼ対称となるような形状及び寸法であった。
<寸法>
第1のテーパ部20における最小の外径:15mm
第1のテーパ部20における最大の外径:15.4mm
第1のテーパ部20における外径差:0.4mm
第1のテーパ部20における軸線長さ:130mm
第1のテーパ部20における外径増大割合:0.3%
第2のテーパ部22における最小の外径:15.4mm
第2のテーパ部22における最大の外径:15.5mm
第2のテーパ部22における外径差:0.1mm
第2のテーパ部22における軸線長さ:38mm
第2のテーパ部22における外径増大割合:0.26%
第2のテーパ部22における合計軸線長さの割合:22.6%
外径増大割合の差(第1のテーパ部20−第2のテーパ部22):0.04%
外径差の差(第1のテーパ部20−第2のテーパ部22):0.3mm
【0064】
(実施例2)
第2のテーパ部22における最大の外径を15.55mmに変更した第2のテーパ部23を形成したこと以外は、実施例1と基本的に同様にして、図2(a)に示される実施例2の弾性ローラBを製造した。この弾性ローラBにおける第2のテーパ部23の外径差及び外径増大割合はそれぞれ0.15mm及び0.39%であった。また、外径増大割合の差(第1のテーパ部20−第2のテーパ部23)は−0.09%であり、外径差の差(第1のテーパ部20−第2のテーパ部23)は0.25mmであった。
(実施例3)
第2のテーパ部22における最大の外径を15.45mmに変更した第2のテーパ部24を形成したこと以外は、実施例1と基本的に同様にして、図2(b)に示される実施例2の弾性ローラCを製造した。この弾性ローラCにおける第2のテーパ部24の外径差及び外径増大割合はそれぞれ0.05mm及び0.13%であった。また、外径増大割合の差(第1のテーパ部20−第2のテーパ部22)は0.18%であり、外径差の差(第1のテーパ部20−第2のテーパ部22)は0.35mmであった。
【0065】
(実施例4)
第1のテーパ部21、第2のテーパ部25及び第3のテーパ部26を下記寸法となるように形成したこと以外は、実施例1と基本的に同様にして、図2(c)に示される実施例3の弾性ローラDを製造した。
<寸法>
第1のテーパ部21における最小の外径:15mm
第1のテーパ部21における最大の外径:15.2mm
第1のテーパ部21における外径差:0.2mm
第1のテーパ部21における軸線長さ:90mm
第1のテーパ部21における外径増大割合:0.22%
第3のテーパ部26における最小の外径:15.2mm
第3のテーパ部26における最大の外径:15.4mm
第3のテーパ部26における外径差:0.2mm
第3のテーパ部26における軸線長さ:40mm
第3のテーパ部26における外径増大割合:5%
第2のテーパ部25における最小の外径:15.4mm
第2のテーパ部25における最大の外径:15.5mm
第2のテーパ部25における外径差:0.1mm
第2のテーパ部25における軸線長さ:38mm
第2のテーパ部25における外径増大割合:0.26%
第2のテーパ部25における合計軸線長さの割合:22.6%
外径増大割合の差(第1のテーパ部21−第2のテーパ部25):−0.04%
外径差の差(第1のテーパ部21−第2のテーパ部25):0.1mm
【0066】
(比較例1)
軸線方向における外径が一定となるように軸体の外周に形成されたゴム組成物を研磨したこと以外は、実施例1と基本的に同様にして、図3に示される比較例1の弾性ローラ6を製造した。弾性ローラ6の弾性層15は15mmの外径を有していた。
【0067】
(参考例)
弾性ローラAの第1のテーパ部20と同様に形成した第1のテーパ部27と、この第1のテーパ部27間に形成された、第2のテーパ部22に代えて外径がほぼ一定の中央筒状部28とを有する弾性層16を有すること以外は、実施例1と基本的に同様にして、図4に示される参考例の弾性ローラ7を製造した。
<寸法>
第1のテーパ部27における最小の外径:15mm
第1のテーパ部27における最大の外径:15.4mm
第1のテーパ部27における外径差:0.4mm
第1のテーパ部27における軸線長さ:130mm
中央筒状部28の外径:15.4mm
中央筒状部28の軸線長さ(第1のテーパ部27における最大の外径箇所から軸線方向略中央までの軸線長さ):38mm
中央筒状部28の軸線長さの割合:22.6%
【0068】
(圧接状態の評価)
23℃、相対湿度50%の環境下で、実施例及び比較例で製造した各弾性ローラA〜D、6及び7における弾性層の端部がその厚さ方向に1mm圧縮されるまで幅1mmの押圧子を弾性層に圧接し、このときの反発力を弾性層の軸線方向における一方の端部から他方の端部まで3mm間隔で測定し、弾性層の軸線方向における反発力の分布状態を評価した。具体的には、「ローラー間圧力分布測定システム」(新田株式会社製)を用いて、前記環境下で、各弾性ローラよりも2mm小さい外径を有する円筒状スペーサが軸体8の両端部に装着された各弾性ローラを、センサーシート「PINCHセンサーA3」に前記スペーサの外周が接触するまで圧接し、この状態を維持して、前記センサーシートの各センサーにかかる圧力をそれぞれ測定した。
【0069】
その結果、実施例1〜4の弾性ローラA〜D及び参考例の弾性ローラ7は、いずれの個所においても、ほぼ同様の反発力であり、測定された反発力の最大値と最小値の差は2kPaであった。これに対して、比較例1の弾性ローラ6は、測定された反発力が大きく異なり、反発力の最大値と最小値の差は12kPaであった。
【0070】
(画像品質試験)
製造した各弾性ローラを、図5に示される画像形成装置(例えば、商品名「MICROLINE 1032PS」、沖データ株式会社製)における現像剤供給ローラ43として、各弾性ローラにおける弾性層の端部がその厚さ方向に1mm圧縮されるように、現像剤担持体44に圧接させた状態に装着した。この画像形成装置で黒ベタ印字画像を50枚印刷して、印刷された全画像の品質を確認した。
【0071】
その結果、実施例1〜4の弾性ローラA〜D及び参考例の弾性ローラ7はすべての画像において濃度ムラ、白抜けがなく、極めて品質の高い画像が得られた。これに対して、比較例1の弾性ローラ6は5枚目以降の画像に許容できる程度を超える濃度ムラ、白抜けが確認でき、品質の高い画像を得ることができなかった。
【0072】
なお、この画像品質試験を、2万枚印刷したときの長期品質を確認したところ、参考例の弾性ローラ7では1万5千枚目以降の画像に許容できる程度の濃度ムラ又は白抜けが認められたのに対して、実施例1〜4の弾性ローラA〜Dではすべての画像に濃度ムラ又は白抜けが認められなかった。
【0073】
このように、実施例1〜4の弾性ローラA〜Dはいずれもその軸線方向に全体にわたって像担持体に均一に接触又は圧接することができるから、前記構成を有する本願発明によれば、被圧接体に供給される現像剤の供給量が不均一になることを高度に防止して、より一層高い品質の画像を長期間にわたって形成することに貢献することのできる弾性ローラ及び現像装置を提供することができる。また、この発明によれば、より一層高い品質の画像を長期間にわたって形成することのできる画像形成装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0074】
1、2、3、4、5、6、7 弾性ローラ
8 軸体
10、11、12、13、14、15、16 弾性層
17 一方の端部
18 他方の端部
20、21、27 第1のテーパ部
22、23、24、25 第2のテーパ部
26 第3のテーパ部
28 中央筒状部
30 画像形成装置
31 像担持体
32 帯電手段
33 露光手段
34 転写手段
35 定着手段
36 被転写体
37 クリーニング手段
40 現像装置
41 現像剤収納部
42 現像剤
43 現像剤供給手段(現像剤供給ローラ)
44 現像剤担持体
45 現像剤規制部材
50 筐体
52 開口
53 定着ローラ
54 無端ベルト支持ローラ
55 無端ベルト
56 加圧ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸体の外周面に形成された単層又は複数層の弾性層を備えて成る弾性ローラであって、
前記弾性層は、その端部それぞれから軸線方向中央までの領域に、前記軸線方向中央に向かって外径が増大する割合が異なるテーパ部を複数連設して成ることを特徴とする弾性ローラ。
【請求項2】
前記弾性層は、その端部それぞれから軸線方向中央に向かって形成された第1のテーパ部と、前記第1のテーパ部それぞれから連続して前記軸線方向中央まで形成された第2のテーパ部とが連設して成ることを特徴とする請求項1に記載の弾性ローラ。
【請求項3】
前記テーパ部のうち前記軸線方向中央まで延在するテーパ部の合計軸線長さは、前記弾性層の軸線長さに対して15〜40%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の弾性ローラ。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の弾性ローラを備えたことを特徴とする現像装置。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の弾性ローラを備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−43686(P2011−43686A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−192045(P2009−192045)
【出願日】平成21年8月21日(2009.8.21)
【出願人】(000190116)信越ポリマー株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】