説明

弾性接触子

【課題】 弾性接触子と電子部品側の突出電極とを半田を用いて安定して接続固定できるとともに、接続固定した後も弾性機能を維持することのできる弾性接触子を提供する。
【解決手段】 弾性腕22の先端に、電子部品側の突出電極と接続される受け部24を設けるとともに受け部24を含む弾性腕22の先端を半田濡れ性の高い被覆層22Cで覆う。さらに受け部24を除いた弾性腕22の表面については半田濡れ性の低い弾性付与層22Bを露出させる。突出電極と弾性接触子とを半田付けすると、溶けた半田は受け部24のみに広がり、突出電極と弾性接触子とを確実に固定することができる。また弾性付与層22Bが露出している弾性腕22のその他の部分に溶けた半田が広がることを防止できるため、半田付け後も弾性接触子20の弾性機能を維持することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICパッケージなどの電子部品の底面に設けられた突出電極に接続される弾性接触子に関する。
【背景技術】
【0002】
以下の特許文献1には、弾性腕を備えるスパイラル接触子(弾性接触子)を、複数備えた接続装置が開示されている。ICパッケージなどの電子部品の底面には複数の球状などからなる突出電極が設けられており、それぞれの突出電極が前記弾性腕に弾圧されて、突出電極とスパイラル接触子とが一対一の関係で個別に接続される。
【0003】
スパイラル状接触子は、弾性腕(渦巻き部)の幅が基端(根元)から先端に向うにしたがって徐々に狭くなるように形成されている。突出電極がスパイラル状接触子を押圧すると、弾性腕が中央部から外側に広がるように変形し、突出電極の球面に弾性腕の角が押圧されながら摺動し、このとき突出電極の球面上の酸化膜を切り込むため、スパイラル状接触子と突出電極との間の導通を確保できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−175859号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、スパイラル状接触子は、弾性腕の角が球状接続端子の球面に接触するため、不安定な傾斜姿勢となりやすく、安定した接続を確保し難いという問題がある。
【0006】
また電子部品(ICパッケージ)は、プリント回路基板上に多数のスパイラル接触子から構成された接続部の上に載置され、各スパイラル接触子と各突出電極とを一対一で接触させた状態で動作確認試験が行われる。そして、この動作確認試験に合格した電子部品だけが、各スパイラル接触子と各突出電極との間が半田付けされてプリント回路基板に固定される。
【0007】
しかし、固定する際に溶けた半田がスパイラル接触子の全体に広がってその表面を覆ってしまうと、弾性接触子としての機能(弾性機能)が失われるという問題がある。
【0008】
本発明は上記従来の課題を解決するためのものであり、弾性腕を備えた弾性接触子と電子部品側の突出電極とを半田を用いて安定して接続固定できるとともに、固定した後も弾性機能を維持することのできる弾性接触子を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、電子部品の突出電極に当接して電気的に接続される弾性腕を備えた弾性接触子において、
前記弾性腕は、固定部から延びる自由端の先端に前記突出電極と接続される受け部が設けられ、
前記弾性腕のうち、少なくとも前記受け部の表面が半田濡れ性の高い被覆層で覆われており、前記被覆層で覆われた部分以外の領域には半田濡れ性の低い弾性付与層が露出していることを特徴とするものである。
【0010】
あるいは、前記弾性腕の基端部の近傍のみに前記弾性付与層が露出しているものである。
【0011】
本発明では、突出電極と弾性接触子の受け部との間を半田付けする際、半田は半田濡れ性の高い被覆層のみで広がり、半田濡れ性の低い弾性付与層まで流れ込むことがない。このため、弾性腕の表面全体が半田で覆われてしまうことがなくなり、弾性機能を失われること防止することが可能となる。しかも、受け部は半田濡れ性の高い被覆層で覆われているため、突出電極と弾性接触子の受け部との間を確実に半田付けすることができる。
例えば、前記弾性付与層は、NiまたはNiを含む合金で形成される。
【0012】
また前記被覆層は、Au、Cuまたは半田のいずれかで形成される。
上記において、前記突出電極が半田で形成されている場合には、前記被覆層を形成する半田の融点が、前記突出電極を形成する半田の融点よりも高いものが好ましい。
【0013】
上記手段では、半田の加熱温度を調整することにより、主に突出電極を形成する半田を用いて突出電極と弾性接触子との間を接続することができる。突出電極の溶融を避けることにより、大量の半田が弾性接触子に流れ込むことを未然に防止することが可能となる。
【0014】
また上記において、前記受け部に、前記突出電極が挿入される挿入穴又は凹部が形成されているものが好ましい。
【0015】
さらには前記挿入穴又は前記凹部の内縁に凸部が形成されているものが好ましく、前記凹部は、前記弾性腕の先端と前記先端よりも外側の弾性腕上で且つ前記先端と隣接する位置との間に形成されているものが好ましい。
【0016】
上記手段では、突出電極と弾性接触子との間の接続を確実に行うことができる。
また前記弾性腕は渦巻き形状が好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明では、電子部品側の突出電極と接続装置側の弾性接触子とを半田を用いて安定して固定することができるとともに、固定後も弾性接触子の弾性機能を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】弾性接触子を備えた接続装置の部分断面図、
【図2】図1に示す接続装置の弾性接触子付近を拡大して示す断面図、
【図3】弾性接触子を備えた接点シートの拡大平面図、
【図4】本発明の第1の実施の形態を示す弾性接触子の平面図、
【図5】第1の実施の形態の変形例を示す弾性接触子の平面図、
【図6】弾性腕の断面図、
【図7】本発明の第2の実施の形態を示す弾性接触子の平面図、
【図8】本発明の第3の実施の形態を示す弾性接触子の平面図、
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は弾性接触子を備えた接続装置の部分断面図、図2は図1に示す接続装置の弾性接触子付近を拡大して示す断面図、図3は弾性接触子を備えた接点シートの拡大平面図、図4は本発明の第1の実施の形態を示す弾性接触子の平面図、図5は第1の実施の形態の変形例を示す弾性接触子の平面図、図6は弾性腕の断面図、図7は本発明の第2の実施の形態を示す弾性接触子の平面図、図8は本発明の第3の実施の形態を示す弾性接触子の平面図である。
【0020】
以下に示す接続装置1は、ICパッケージなどの電子部品40をプリント回路基板50上に仮止め(仮固定)するとともに、所定の動作確認試験の合格後にそのプリント回路基板50に固定(本固定)するために用いられる。
【0021】
図1に示すように、接続装置1は基台10を有している。基台10の平面形状は例えば四角形状であり、基台10の4辺のそれぞれにはほぼ垂直に立ち上がる側壁部10aが形成されている。4辺の側壁部10aで囲まれた領域は凹部11であり、その底部10bの上面が固定面12である。そして固定面12の上に、接点シート(接点基板)30が設置されている。
【0022】
図3に示すように接点シート30は、複数の開口穴32が穿設された樹脂シート(支持基板)31を用いて形成されており、各開口穴32の近傍に弾性接触子20がそれぞれ固定されている。各弾性接触子20は互いに所定間隔を空けて規則正しく配列されている。
【0023】
図2及び図4,図5に示すように、弾性接触子20は、固定部21と弾性腕22とが一体に形成され、前記固定部21から弾性腕22が延出した形態である。前記固定部21から延びた弾性腕22の根元部分が基端部23であり、先端は片持ち支持された自由端として形成されている。弾性腕22は、先端が基端部23から離れる方向に立体成形されており、先端が固定部21に対して板厚方向に弾性変形する。なお、本実施の形態では、弾性接触子20として、弾性腕22が渦巻き形状で形成されるスパイラル接触子を示して説明するが、特に弾性腕22の形状を限定するものでない。例えば、直線形状ないしは湾曲形状からなる弾性腕22であってもよい。
【0024】
図4に示す第1の実施の形態として示す弾性接触子20では、弾性腕22の先端に、略環形状で形成された受け部24が設けられている。受け部24は、その中央に板厚方向に貫通する挿入穴25を備え、この挿入穴25の内縁に弾性接触子20の中心Oに向かって尖形に突出する複数の凸部25a(図4では3ヶの凸部25a)を有して構成される。なお、挿入穴25には後述する突出電極42が挿入される。
【0025】
ここでの「中心」とは、弾性腕22が渦巻き形状である場合には、渦巻きパターンの最外周縁からほぼ等距離にある点、または弾性腕22の略中心、あるいは、弾性腕22の略重心の位置として定義される。また弾性腕22が直線形状や湾曲形状である場合には、弾性腕22の長さ寸法のほぼ1/2の位置、あるいは弾性腕22の略重心の位置として定義される。
【0026】
図2に示すように弾性接触子20の固定部21は、その上面が接点シート30の下面側で開口穴32の縁部に接合され、立体成形された弾性腕22の先端側が、接点シート30の下面側から開口穴32を通じて上面側の図示上方に突出している。
【0027】
基台10の底部10bには、内部に導電部16を備えたスルーホール13が形成されており、スルーホール13の上面側に上ランド部14が、下面側に下ランド部15が形成されており、上ランド部14と下ランド部15とは導電部16を介して導通接続されている。上ランド部14には、弾性接触子20の固定部21の下面が半田または導電性接着剤などの接着手段19aを介して一対一で接合されている。下ランド部15にはバンプ電極18が突出形成されており、プリント回路基板50上に形成されている接続電極51に対して一対一で半田または導電性接着剤などの接着手段19bを介して導通接続されている。
【0028】
図1に示すように、接続装置1には電子部品40が設置される。電子部品40の本体部41内には、ICベアチップなどの各種電子素子が密閉されている。本体部41の底面41aには、弾性接触子20に対向する複数の突出電極42が設けられており、それぞれの突出電極42が本体部41内の回路に導通している。この実施の形態の電子部品40では、突出電極42が球状のハンダボールであるが、その他例えば裁頭円錐形状などであってもよい。突出電極42を形成するハンダボールは、鉛を含む半田で形成されていてもよいし、鉛を含まない半田で形成されていてもよい。鉛を含まない半田としては、例えばスズ・ビスマス合金や、スズ・銀合金である。
【0029】
図6の断面図に示すように、弾性腕22は、芯部22Aと、前記芯部22Aの表面を覆う弾性付与層22Bと、芯部22Aの表面又は弾性付与層22Bの表面を部分的に覆う被覆層22Cを有して構成される。なお、弾性機能よりも半田濡れ性が優先される受け部24については、芯部22Aの表面を被覆層22Cで直接覆う構成としてもよい。
【0030】
芯部22Aは、例えばCu板あるいはCu合金板をエッチング加工して形成されたものである。
【0031】
前記弾性付与層22Bは、例えば、Ni−X(ただしXは、P、W、Mn、Ti、Be,Bのいずれか一種以上)からなり無電解メッキ法にて形成される。元素XはPであることが好ましく、このときPの含有量は9〜30質量%程度に調整されアモルファス状態になっている。これにより弾性付与層22Bで高い弾性係数と高い引っ張り強度を得ることができ弾性機能を効果的に高めることができる。なお、「アモルファス状態」とはアモルファスが全体の60体積%以上、好ましくは80体積%以上、更に好ましくは90体積%以上を占めており、アモルファス以外に3nm〜15nm程度の粒径の結晶を含んでもよい。Pの含有量は9〜12質量%程度であることがより好ましい。
【0032】
被覆層22Cは、Au,Cuまたは半田など導電性の金属により、電解又は無電解めっき法、蒸着法あるいはスタッパ法などを用いて弾性腕22の表面に形成されている。あるいはクリーム半田を弾性腕22の表面に印刷することにより形成したものであってもよい。後述するように、被覆層22Cが半田で形成される場合には、被覆層22Cを形成する半田の融点mp2は、突出電極42を形成する半田の融点mp1よりも低い半田が使用される。
【0033】
図4及び図5では、弾性腕22のうち、ハッチングを付した領域がAu,Cuまたは半田からなる金属で被覆された被覆層22Cを示し、ハッチングを付していない領域はNi−Xがそのまま露出している弾性付与層22Bを示している。
【0034】
図4に第1の実施の形態として示す弾性接触子20は、弾性腕22のうち、少なくとも基端部23を除いた弾性腕22の表面が被覆層22Cで覆われており、基端部23のみに弾性付与層22Bが露出する構成である。
【0035】
あるいは、図5に変形例として示す弾性接触子20は、弾性腕22のうち、先端に略環形状に形成された受け部24の表面のみが被覆層22Cで覆われており、基端部23を含むその他の領域(固定部21と受け部24との間の領域)は弾性付与層22Bが露出する構成である。
【0036】
なお、いずれの形態においても、固定部21の表面は、導電性の材料からなる被覆層22Cにより覆われた構成が好ましい。あるいは、Cu板あるいはCu合金板からなる芯部22Aが露出される構成であってもよい。
【0037】
次に、接続装置を用いて電子部品をプリント回路基板に装着する動作を説明する。
図1に示すように電子部品40は基台10の凹部11内に装着される。このとき電子部品40は、本体部41の底面41aに設けられた個々の突出電極42が弾性接触子20の上に設置されるように位置決めされる。基台10の上には図示しない保持用の係止部材が設けられており、この係止部材を用いて電子部品40を基台10上で係止すると、この係止部材により電子部品40が矢印F方向へ押圧される。この押圧力により、それぞれの突出電極42が弾性腕22に押し付けられ、立体成形された弾性接触子20が押しつぶされて、突出電極42と弾性腕22とが個別に導通させられる。これにより、突出電極42と弾性接触子20とが仮固定される。
【0038】
このとき、突出電極42の一部が、弾性接触子20側の挿入穴25に入り込み、挿入穴25の内縁に設けられた複数の凸部25aが突出電極42の周囲に当接する。そして、3つの凸部25aが突出電極42の周囲からその表面に形成されている酸化膜等をそれぞれ切り込み、弾性接触子20と突出電極42との間の通電が確保される。
【0039】
この仮固定の状態において、プリント回路基板50側から弾性接触子20を通じて突出電極42に所定の信号が与えることにより、電子部品40について所定の動作確認試験が行われる。そして、この動作確認試験に合格した場合には、電子部品40、接続装置1およびプリント回路基板50は仮固定の状態で加熱炉に送られ、所定の温度で加熱される。
【0040】
この加熱の段階で、半田が溶けて突出電極42が弾性接触子20に固定される。なお、動作確認検査に不合格の電子部品40は、接続装置1から取り外されて廃棄処分等となる。
【0041】
ここで、被覆層22CがAu又はCuの金属で形成されている場合、これらの金属は半田濡れ性が高いため、突出電極(ハンダボール)42を形成する半田によって突出電極42と被覆層22Cとの間が固定される。
【0042】
被覆層22Cが、めっき法、蒸着法あるいはスタッパ法による半田で形成されている場合、またはクリーム半田の印刷で形成されている場合には、主に被覆層22Cを形成する半田を用いて固定することができる。すなわち、上記のように突出電極42の半田の融点mp1は、被覆層22Cを形成する半田の融点mp2よりも高く設定されている。このため加熱炉の加熱温度を、被覆層22Cを形成する半田の融点mp2よりも高く、且つ突出電極42の半田の融点mp1よりも低く設定することにより、ハンダボールなどからなる突出電極42を形成する半田を用いることなく、または多量に溶かすことなく、主に被覆層22Cを形成する少量の半田で突出電極42と弾性接触子20との接続を行うことが可能となる。
【0043】
突出電極42は、弾性接触子20と突出電極42との間を固定する際の半田の量としては多すぎる場合があり、一度突出電極42を形成する半田が溶けると、弾性接触子の全面を覆われてしまうおそれがある。そこで、被覆層22Cを形成する少量の半田を用いて固定することにより、弾性付与層22Bの表面が、突出電極42を形成する半田によって覆われてしまうことがなくなり、弾性接触子20が弾性機能を失うことを防止することが可能となる。
【0044】
また図4に第1の実施の形態として示す弾性接触子20においては、弾性腕22のうち、基端部23の領域のみに弾性付与層22Bが露出している。また図5に変形例として示す弾性接触子20においても、弾性腕22のうち、受け部24を除いた弾性腕22のほとんどの領域で弾性付与層22Bが露出している。弾性付与層22Bを形成するNi−Xは半田濡れ性の低い材料である。このため、ハンダボールなどからなる突出電極42を形成する半田が溶けた場合であっても、半田は被覆層22Cで覆われた領域内で広がり、弾性付与層22Bで覆われた領域まで流れ込むことがなく、弾性腕22の表面が半田で覆われてしまうことを防止することができる。
【0045】
よって、突出電極42と弾性接触子20とを半田で固定した後も、弾性付与層20Bが表面に露出する状態が維持され、弾性腕22が弾性機能を失うことを防止することが可能である。
【0046】
このように、弾性付与層22Bは、被覆層22Cを形成する半田によって、または突出電極42を形成する半田によって、弾性腕22の表面が覆われてしまうことを防止するバリア層としての機能を有する。
【0047】
渦巻き形状からなる弾性接触子20としては、その他例えば以下に示すような形状とすることもできる。
【0048】
図7は本発明の第2の実施の形態を示す弾性接触子の平面図、図8は本発明の第3の実施の形態を示す弾性接触子の平面図である。
【0049】
図7及び図8に示す第2,第3の実施の形態に示す弾性接触子20の構成は、上記第1の実施の形態に示す弾性接触子20と同じ渦巻き型であるが、弾性腕22の先端の形状が上記第1の実施の形態に示す弾性接触子20と異なっている。
【0050】
すなわち、図7及び図8に示す第2,第3の実施の形態に示す弾性接触子20では、弾性腕22の先端に設けられた受け部24に挿入穴25の代わりに、弾性腕22の先端側の最後の一周(先端とその先端に隣接する弾性腕22との間)による凹部26が形成されている。そして、この凹部26の内縁に弾性腕22の中心Oの方向に突出する凸部25aが形成されている。
【0051】
また図7に第2の実施の形態として示す弾性接触子20と図8に第3の実施の形態として示す弾性接触子20との違いは、図7に示す弾性接触子20では、凹部26の内縁に第1の実施の形態同様の3ヶの凸部25aが形成されているのに対し、図8に示す弾性接触子20では凹部26の内縁に多数の凸部25bが周設されている点にある。
【0052】
ただし、受け部24に形成された凹部26の実質的な直径は、第1の実施の形態に示す弾性接触子20の受け部24に形成されている挿入穴25の直径とほぼ同じに設定されている点は、第2,第3の実施の形態に示す弾性接触子20共に同じである。
【0053】
また凹部26が設けられた受け部24の表面、すなわち弾性腕22の先端と先端に隣接する弾性腕22との間に位置する弾性腕22の表面は、第1の実施の形態同様に上記同様Au,Cu又は半田などから形成される被覆層22Cで覆われている。あるいは、第1に実施に形態の変形と同様に基端部23を除く、弾性腕22のすべてが被覆層22Cで覆われており、弾性腕22が弾性機能を発揮する構成であってもよい。
【0054】
突出電極42が第2,第3の実施の形態に示す弾性接触子20の上に載置されると、突出電極42が弾性腕22の凹部26の内側に入り込む。このため、3ヶの凸部25a又は多数の凸部25bが突出電極42の周囲に当接し、第1の実施の形態同様に弾性接触子20と突出電極42とが導通接続された仮固定の状態に設定することができる。
【0055】
そして、第1の実施の形態同様に、仮固定の状態で動作確認試験を行い、試験に合格した電子部品40だけが加熱炉に送られ、弾性接触子20と突出電極42との間が半田により固定される。
【0056】
第2,第3の実施の形態に示す弾性接触子20においても、弾性腕22にNi−Xからなる導電付与層20Bが露出しているため、上記同様に、弾性腕22の全体が半田で覆われることがなく、弾性接触子20は半田固定後も弾性機能を発揮することが可能である。
【符号の説明】
【0057】
1 接続装置
10 基台
20 弾性接触子
21 固定部
22 弾性腕
22A 芯部
22B 弾性付与層
22C 被覆層
23 基端部
24 受け部
25 挿入穴
25a,25b 凸部
26 凹部
30 接点シート(接点基板)
31 樹脂シート(支持基板)
32 開口穴
40 電子部品
42 突出電極(ハンダボール)
50 プリント回路基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品の突出電極に当接して電気的に接続される弾性腕を備えた弾性接触子において、
前記弾性腕は、固定部から延びる自由端の先端に前記突出電極と接続される受け部が設けられ、
前記弾性腕のうち、少なくとも前記受け部の表面が半田濡れ性の高い被覆層で覆われており、前記被覆層で覆われた部分以外の領域には半田濡れ性の低い弾性付与層が露出していることを特徴とする弾性接触子。
【請求項2】
前記弾性腕の基端部の近傍のみに前記弾性付与層が露出している請求項1記載の弾性接触子。
【請求項3】
前記弾性付与層は、NiまたはNiを含む合金で形成されている請求項1または2記載の弾性接触子。
【請求項4】
前記被覆層は、Au、Cuまたは半田のいずれかで形成されている請求項1ないし3のいずれか1項に記載の弾性接触子。
【請求項5】
前記突出電極が半田で形成されており、
前記被覆層を形成する半田の融点が、前記突出電極を形成する半田の融点よりも高いものである請求項4記載の弾性接触子。
【請求項6】
前記受け部に、前記突出電極が挿入される挿入穴又は凹部が形成されている請求項1ないし5のいずれか1項に記載の弾性接触子。
【請求項7】
前記挿入穴又は前記凹部の内縁に凸部が形成されている請求項6記載の弾性接触子。
【請求項8】
前記凹部は、前記弾性腕の先端と前記先端よりも外側の弾性腕上で且つ前記先端と隣接する位置との間に形成されている請求項6又は7記載の弾性接触子。
【請求項9】
前記弾性腕は渦巻き形状である請求項1ないし7のいずれか1項に記載の弾性接触子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−212090(P2010−212090A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−57037(P2009−57037)
【出願日】平成21年3月10日(2009.3.10)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】