説明

弾性積層材料および作製方法

回転(41、42)溶接装置等の超音波溶接装置(40)と、それを使用して積層材料(10)を作製する方法とが開示される。多層積層材料(10)は、エラスティックを含むことができる基層(16)に超音波溶接される不織布材料(12)を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弾性積層材料と、その材料を、超音波溶接システムを使用して作製する方法と、に関し、特に、回転超音波溶接システムを使用して弾性積層材料を作製する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波溶接(「音響溶接」または「音波溶接」と呼ぶ場合もある)では、接合される2つの部品(通常、何らかの熱可塑性材料を含む部品)は、振動エネルギーを送り出す超音波「ホーン」と呼ばれる工具の近くに配置される。これら部品(または「材料」)は、ホーンとアンビルとの間に拘束される。多くの場合、ホーンは、材料およびアンビルの上方に垂直に配置される。ホーンは、通常20,000Hz〜40,000Hzで振動して、圧力下、通常摩擦熱の形態でエネルギーを材料に伝達する。摩擦熱および圧力のために、材料のうちの少なくとも1つの一部が軟化するかまたは融解し、それにより材料が接合される。
【0003】
超音波タイプの振動溶接システムは、その基本形態において、発電機構と、電気エネルギーを振動エネルギーに変換する電気超音波変換器と、を有する。また、振動エネルギーを溶接ゾーンに送り出すホーンと、材料を強制的にホーンに接触させたまま保持するように材料に静的力を加えるアセンブリと、もまた含まれる。エネルギーは、選択された波長、周波数および振幅で、工具から材料に伝えられる。超音波ホーンは、たとえば鋼、アルミニウムまたはチタンから作製される、機械的振動エネルギーを材料に移送する音響工具である。
【0004】
一種の超音波溶接は、「連続超音波溶接」として知られている。この種の超音波溶接は、通常、略連続的に溶接装置内に供給することができる、織物およびフィルム、または他の「ウェブ」材料を封止するために使用される。連続溶接では、超音波ホーンは通常固定されており、溶接される材料がその真下を移動する。一種の連続超音波溶接は、回転固定されたバーホーンと回転アンビル面とを使用する。溶接中、材料は、バーホーンと回転アンビルとの間に引っ張られる。ホーンは、通常、材料に向かって長手方向に延在し、振動はホーンに沿って軸方向に材料まで移動する。
【0005】
別の種類の連続超音波溶接では、ホーンは回転タイプであり、円柱状であって長手方向軸を中心に回転する。入力振動は、ホーンの軸方向にあり、出力振動はホーンの放射方向にある。ホーンはアンビルに近接して配置され、通常アンビルもまた、溶接される材料が円柱状面の間を、円柱状面の接線速度に実質的に等しい線速度で通過するように回転することができる。この種の超音波溶接システムは、米国特許第5,976,316号明細書に記載されており、その開示内容は参照により本明細書に援用される。
【0006】
アンビルがホーンに対して並置されることにより、材料に対して静的力を提供することができ、それにより材料に超音波エネルギーを伝達することができる。この静的力は、通常、アンビルに向かってホーンを付勢する、加力システム(たとえば液圧システム)から材料に締め付け力を提供することによって維持される。材料を固定するこの方法の問題は、溶接されている材料が極度に薄いかまたは穴を含む場合、ホーンとアンビルとが互いに物理的に接触する可能性があるということである。ホーンがアンビルに接触すると、システムを通して、短絡に類似するエネルギー消費の大きいスパイクが発生する。材料のスループット速度が増大するに従い、ホーンを通して投入されるエネルギーのレベルもまた増大し、それにより、ホーンとアンビルとの接触中に発生するエネルギーのサージの周波数が指数関数的に増大する。これらエネルギーの高スパイクによって機械が過負荷状態になり、それにより機械が停止するとともに、製品に穴または脆化点が生成される可能性がある。要約すれば、ホーンとアンビルとが互いに接触する場合、工程は、非効率になり、製品破損および潜在的な機器破損をもたらす。力モードでは、一様の溶接を達成するために溶接領域が変化する際に溶接機が力を変更しなければならない。また、領域の変化によるこの力の変化は、高速でむしろ迅速に行われなければならず、それが、力の変化が修正される時に力のスパイクの原因となる可能性がある。かかるスパイクにより、部品の過剰溶接または溶接不足がもたらされる可能性がある。
【0007】
この問題に対応する一方法では、アンビルとホーンとの間に所定間隙を維持する超音波溶接システムが開発された。この間隙は、通常、材料の厚さより狭い。ホーンとアンビルとの間の分離を維持しながら、製品に締付け(または保持)力を提供することが必要であることにより、ホーンとアンビルとの両方に対し大きくかつ堅固な支持構造が必要である。支持構造は、ホーンとアンビルとの両方の互いに対する角度位置を維持するために剛性である。ホーンおよびアンビルの表面の位置がずれることにより、溶接が不十分になり製品が損なわれる。同様に、この種のシステムにおいて間隙の距離を調整しようとすることにより、システムに許容できないレベルの移動がもたらされ、この場合もまたホーンおよびアンビルの表面の位置がずれる。
【0008】
多数の用途に対して超音波溶接システムが使用されるが、超音波溶接システムにおいてかつそれらシステムによって作製される製品において常に改良の余地がある。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、超音波溶接装置を使用してさまざまな層を合わせて封止することによって製作される多層製品を提供する。本製品は、第2材料層に封止される第1材料を含み、封止は、超音波溶接によって形成されている。
【0010】
特定の一態様では、本開示は、基層に不織布層を溶接する方法と、その方法によって作製される製品と、に関する。本方法は、不織布層を弾性基層に溶接する方法であって、アンビルとホーンを備えたホーンスタックとを備えた、回転超音波システム等の超音波システムを提供するステップであって、アンビルおよびホーンがそれらの間に間隙を有するステップと、アンビルとホーンとの間の間隙内に不織布層および弾性基層を合わせて配置するステップと、ホーンを超音波エネルギーで振動させる間にホーンおよびアンビルのうちの少なくとも一方を回転させることにより周波数を取得するステップと、不織布層および弾性基層をホーンおよびアンビルに接触させるステップと、ホーンまたはアンビルのうちの少なくとも一方の周波数および温度のうちの少なくとも一方を監視するステップと、温度または周波数の変化に基づいてアンビルとホーンとの間の間隙を維持しながら、不織布層を弾性基層に溶接するステップと、を含む。
【0011】
ホーンまたはアンビルのいずれか一方が不織布層に接触してもよく、同様にホーンまたはアンビルの他方が基層に接触してもよい。一実施形態では、不織布層にはホーンが接触し、基層にはアンビルが接触する。
【0012】
多層製品を形成するために適した超音波溶接システムは、アンビルとホーンとの間の間隙(すなわち距離)の制御を改善するさまざまな溶接装置構成を有することができる。改善された間隙制御を、連続超音波溶接とともに、またはアンビルおよびホーンの一方または両方を回転させる回転タイプ超音波溶接とともに使用することができる。改善された間隙制御は、少なくとも部分的に溶接システムの剛性による。本システムは、概して、溶接工程中にもたらされる可能性のある本質的にすべての力に対し、変形することなく間隙をロックしまたは他の方法で維持するために十分に剛性である。たとえば、本システムは、溶接されている材料のしわまたは他の厚さ変化が装置を撓ませて間隙に影響を与えることがないように十分剛性である。アンビルとホーンとの間の距離を制御し調整するさまざま異なる形態を開示する。
【0013】
多層製品を形成するために、アンビルとホーンとの間の間隙をよりよく制御するために、利用可能な自由度が低減した装置が適している。本装置は、概して、アンビルまたはホーンが、軸を中心とした長手方向回転に加えて2つの追加の自由度しかなく、第1の追加の自由度が長手方向軸に対して垂直な方向における並進運動であり、第2の追加の自由度が、長手方向軸と第1の追加の自由度の方向との両方に対して垂直である第2軸を中心とする回転運動であるように構成された取付システムを有する。
【0014】
多層製品を形成するために適している別の溶接装置は、アンビルとホーンとの間の間隙を調整するために周波数フィードバックまたは温度フィードバックを使用することに基づく。本装置は、概して、ホーンの周波数に基づいて信号を提供するように適合された周波数センサか、またはホーンおよび/またはアンビルの温度を測定するように適合された温度センサと、ホーンとアンビルとの間の間隙を信号に基づく所定方法で調整する位置決めシステムと、を有する。周波数センサを、たとえば超音波エネルギー源によって引き渡される電圧、超音波エネルギー源によって引き出される電流、ホーンの近くに配置される誘導センサにおいて誘導される電圧、ホーンの近くに配置される静電容量センサの静電容量の変化、ホーンを観測するために配置される光センサ、およびホーンと物理的に接触する接触センサによって周波数を確定するように選択することができる。温度センサを、たとえばホーンまたはアンビルの表面または内部位置における温度を確定するように選択することができ、または温度センサは光センサであっても他の非接触センサであってもよい。実施形態によっては、ホーン、アンビル、または両方の温度の制御を容易にするために冷却装置を追加してもよい。
【0015】
多層製品を形成するために適している別の溶接装置は、概して、変形可能止め具アセンブリを利用することによってアンビルとホーンとの間の距離を制御するように構成され、それにより、固定止め具の弾性変形によってホーンとアンビルとの間の間隙に対し微調整が可能となるように、ホーンを固定止め具に対して押圧する力を加えることができる。
【0016】
周波数フィードバック、温度フィードバックまたは変形可能止め具アセンブリの使用を、回転アンビル、固定アンビル、回転ホーン、固定ホーン、またはそれらの任意の組合せとともに使用することができ、それらはすべて多層製品を形成するために適している。本システムを、アンビルとホーンとの間の距離を調整するように、またはアンビルおよびホーンの一方(通常はホーン)に加えられる力を、それら2つがそれらの間の多層製品と所望の距離になるように調整するように、構成することができる。本システムはまた、間隙を制御するためにホーンおよび/またはアンビルの溶接振幅もしくは冷却または加熱速度を変更することも可能である。
【0017】
本開示の製品およびそれら製品を作製する方法を特徴付けるこれらおよびさまざまな他の特徴は、添付の特許請求の範囲において特に指摘されている。製品を、従来の方法に比較して複雑化が低減しライン速度が大幅に上昇した方法によって作製することができる。本開示の多層製品、それらの利点、それらの使用およびそれらの使用によって得られる目的がより理解されるように、図面および添付の説明が参照されるべきであり、そこでは、本開示の発明の好ましい実施形態が例示され説明されている。
【0018】
添付図面のいくつかの図では、同様の部品は同様の参照数字を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
上述したように、本発明は、改善された超音波溶接方法によって作製される多層積層製品に関する。本製品を、走査型連続超音波溶接により、またはアンビルおよびホーンの一方または両方を回転させる回転型連続超音波溶接によって作製することができる。これら溶接方法は、ホーンとアンビルとの間の間隙および移動をよりよく測定し、検知し、制御するさまざまな構成を組み込むことができる。
【0020】
本発明による製品の一例を図1に示す。この製品10は、本発明により、超音波溶接によって作製される薄い多層複合材料である。概して、超音波溶接によって形成され接着剤によって容易にされる溶接部により、第1材料が第2材料に接着される。特に、複合材料10は、基層16に溶接される不織布テープ12を含む。図示する実施形態では、複合材料10は、2つの不織布テープ12片を含み、それらはともに基層16に溶接される。複合材料10はまた、機械的取付部18と、「フィンガーリフトタブ」と呼んでもよいタブ20と、を含む。タブ20は、複合材料10の端部を把持するのを容易にする。
【0021】
本実施形態では、不織布テープ12は、一方の側に接着層14を有する。接着層14は、基層16に溶接される前の不織布テープ12の取扱いを容易にし、すなわち、接着層14は、不織布テープ12を基層16に仮留めする。溶接の後、接着層14は、もはや不織布テープ12と基層16との間の溶接部がある領域に存在しなくてもよい。
【0022】
図1において「W」として示す領域は、超音波溶接部の位置に近い。この例では、接着層14を有する不織布テープ12が基層16に溶接される。機械的取付部18およびタブ20が、接着層14によって不織布テープ12に取り付けられる。
【0023】
1つの特定の実施形態では、基層16は多層弾性材料を備え、それは、両側に不織布面層24がある弾性フィルム22から構成される。弾性基層16を有する複合材料10は、たとえばおむつテープとも呼ぶ使い捨ておむつ取付機構として使用するために適している。別の特定の実施形態では、基層16は不織布材料を含む。
【0024】
複合材料10の特定の例では、適当な弾性基層16は、ポリプロピレンスパンボンドの層(34g/m2)、ブロックコポリマーエラスティック/ポリプロピレン混合物の層(70g/m2)および高伸び率梳毛(carded)ポリプロピレンの層(27g/m2)を有する3層積層体である。適当な不織布テープ12の一例は、ポリプロピレン(20g/m2)でコーティングされた不織布スパンボンドポリプロピレン(42g/m2)である。不織布テープ12の一方の側には、感圧接着剤の33g/m2の層がある。
【0025】
別の特定の例では、基層16は、不織布層24の間にフィルム22が挟まれた3層積層体である。フィルム22は、ブロックコポリマーエラスティック/ポリプロピレン混合物コアを有する3層積層フィルム(4.5ミル厚さ)である。不織布層24は、ポリプロピレンスパンボンド(およそ80g/m2)である。
【0026】
本明細書で説明する超音波溶接方法によって作製される複合材料10の別の適当な実施形態は、不織布材料である基層16を有する。
【0027】
不織布テープ12、不織布面層24および基層16のうちのいずれかまたはすべてに対する適当な不織布材料の例には、スパンボンデッド、メルトブローン、スパンレースまたは梳毛材料を含む、布帛織り工程または編み工程の支援なしに繊維から形成される繊維材料を含む。それら材料は、ポリオレフィン、たとえばポリエチレンおよび/またはポリプロピレン等の高分子材料、またはポリウレタン、または綿またはウール等の天然材料、またはそれらの任意の組合せであってもよい。多くの構造では、不織布材料の少なくとも1つは熱可塑性高分子材料を含むことが好ましい。
【0028】
本明細書で使用する用語「弾性の」、「エラストマーの」およびそれらの変形は、付勢力が加わることにより約20%から少なくとも約400%まで指定された方向に伸長するかまたは伸張することができ、後に、短時間の伸張状態の後に付勢力から解放された後に、その元の長さの約35%内まで回復する、任意の材料を言う。基層16のため等、適当な弾性材料の例には、フィルム、フォーム、もしくは天然ゴム、合成ゴムまたは熱可塑性エラストマーポリマーの層がある。
【0029】
弾性フィルム22を有しフィルム22の両側に不織布面層24を含む基層16の場合等、実施形態によっては、層は、複数の材料から構成されてもよく、ストレッチ・ボンデッド・ラミネート(SBL)材料またはネック・ボンデッド・ラミネート(NBL)材料、もしくは当業者に既知であるような弾性的に伸縮可能な材料であってもよい。
【0030】
複合材料10の構成層のうちの任意のものまたはすべては、通常、接合領域「W」において厚さが約0.01mm〜約0.5cmであるが、それより厚い層および薄い層もまた実現可能である。
【0031】
図2を参照すると、超音波溶接工程ならびに図1の多層複合材料10を作製するために使用されるさまざまな層および材料の概略図が示されている。スプールまたはコアに保持される伸長された材料が提供される。上述したような複合材料10の場合、スプール32から或る長さの不織布12(上に接着層14を有する)が提供され、スプール36から或る長さの基層16が提供され、スプール38から或る長さの機械的取付部18が提供され、スプール30からある長さのタブ20用材料が提供される。
【0032】
再び図1を参照すると、多層複合材料10が接着層14を有する不織布テープ12の2つの層を含むことが示されている。不織布テープ12を、スプール32を離れた後に2つの別個の材料片を提供するようにスリットを入れるかまたは他の方法で切断してもよく、あるいは2つのスプール32を設けてもよい、ということが理解される。不織布テープ12は、1つのスプール32から提供される場合、他の層と結合される前に分割される。
【0033】
図2に戻ると、スプール32、36、38、30からの材料はテンダーおよび積層ステーション50まで進み、そこで接着層14を含む不織布テープ12、基層16、機械的取付部18およびタブ材料20が所望の構成で配置される。通常、不織布12上の接着層14は、超音波溶接工程までその構成を合わせて保持するために十分であるため、不織布12を基層16に積層するために追加の接着剤または他の機構(たとえば熱)は使用されない。図1の実施形態では、接着層14はまた、機械的取付部18およびタブ材料20も保持する。複数の層を合わせて積層する方法は周知である。積層の分野における当業者には、張力、速度、圧力等の工程条件が積層工程に影響を与えることが理解される。
【0034】
さまざまな材料を積層して所望の構成を形成した後、多層積層体は、アンビル41およびホーン42を含む超音波溶接ステーション40まで進む。多層積層体はアンビル41とホーン42との間に配置され、溶接封止がなされる。
【0035】
図3は、アンビル41とホーン42との間で所望の構成に配置された不織布12、基層16、機械的取付部18およびタブ材料20を示す。以下、超音波溶接の詳細な手段を提供するが、アンビル41とホーン42との間の指定された領域に存在する材料が合わせて溶接されるために十分な熱を得るために、アンビル41およびホーン42の少なくとも一方が超音波周波数で振動する。溶接を、回転ホーンまたは走査(バー)ホーンのいずれかを使用して行うことができる。さらに、パターン化アンビルおよび/またはパターン化ホーンを使用することができる。超音波溶接のこれらさまざまな工程のすべてを以下に説明する。少なくとも、回転溶接を、溶接されている材料を引き裂く可能性がより低くより高速で行うことができるため、回転超音波溶接は、固定またはバー超音波溶接より好ましい。
【0036】
超音波溶接からもたらされる接合を、溶接されている材料のうちの一方または両方において、熱可塑性材料等、1つまたは複数の材料の部分的または完全な融解からもたらすことができる。接合を、作用されている層のうちの1つだけの材料の部分的または完全な融解からもたらすことができ、融解材料は対応する隣接層と相互作用し、それにより、それら層の互いに対する機械的連結がもたらされる。溶接接合は、さまざまな材料間の接着取付に比較して強固であり、クリープが少なく、それに関連するせん断歪みが高い。
【0037】
図4に示す特定の一般的な実施形態では、アンビル41はパターン化回転アンビル43であり、ホーン42は、溶接が発生する領域に平滑面46を有する回転ホーン44である。図示する実施形態では、アンビル43およびホーン44は、同時に4つの溶接部を生成するように構成される。このため、図1の多層複合製品10を2つ同時に作製することができる。
【0038】
アンビル43は、溶接が望まれる領域に隆起したパターン化面45を有してもよく、別法として、アンビル表面全体に隆起したパターン化面45があってもよい。一般に、パターン化面は溶接に対し5〜30%の面積を提供する。パターン化面の一例は、図4Aに示すような菱形パターンであり、菱形はおよそ5〜30ミル(130〜760マイクロメートル、0.13〜0.76mm)の辺を有し、領域のおよそ10〜30%が菱形で覆われる。パターン化面の別の例は、図4Bに示すような円形ドットパターンであり、ドットは径がおよそ2〜20ミル(50〜500マイクロメートル、0.05〜0.5mm)であり、領域のおよそ5〜20%がドットで覆われる。他のパターンおよび認識できるパターンのない表面も使用することができる、ということが理解される。
【0039】
溶接工程中、概してホーン42は或る周波数および振幅で、概して矢印85によって示す方向に振動する。約15〜70KHzの周波数が適当であるが、別法としてより高い周波数および低い周波数を使用してもよい。振幅は、振動片に印加される電圧の関数である。たとえば15〜70KHzの周波数で製品10を作製する大部分の工程に対し、約1.5ミル(約37マイクロメートル)から約3.5ミル(約87マイクロメートル)までのアンビル41とホーン42との間の固定間隙が適当である。20KHzの場合、例として、約1ミル(約25マイクロメートル)から約2.5ミル(約62マイクロメートル)までのピーク間振幅が適当である。溶接されている材料に応じて、より大きい間隙およびより小さい間隙を使用することができ、異なる周波数および振幅を使用することも可能である、ということが理解される。たとえば、厚い材料ほど大きい間隙および大きい振幅を使用することができる。
【0040】
超音波溶接
上述したように、少なくとも2つの材料を一緒に超音波溶接することにより、多層積層複合製品が生成される。図1の多層積層複合製品10の場合、接着層14を有する不織布12が基層16に溶接される。複合製品10を溶接するために使用することができる超音波溶接に対するさまざまな工程について、他の実施形態と組み合わせることができるかまたは単独で使用することができる工程特徴とともに後に説明する。たとえば、アンビルおよびホーンの両方が回転する回転超音波装置を使用して、自由度が低減した装置について説明する。制限した自由度を提供する特徴を、たとえばホーンが回転しアンビルが固定されている装置に同様に組み込むことができる。別の例として、ホーンおよびアンビルの両方を固定にする固定装置を使用して、共振周波数フィードバックを使用するアンビルとホーンとの間の間隙を監視し調整する方法について説明する。間隙を監視し調整する特徴を、回転装置に同様に組み込むことができる。さらに別の例として、アンビルとホーンとの間の間隙を固定する方法について、ホーンおよびアンビルをともに固定にする固定装置を使用して説明する。間隙を設定する特徴を、回転装置に同様に組み込むことができる。
【0041】
低減した自由度による間隙の制御
図5を参照すると、回転溶接システム100が示されている。回転溶接システム100は、アンビルに対するホーンの自由度を制限する特徴を有し、それにより、溶接工程中のホーンとアンビルとの間の間隙および移動がよりよく制御される。
【0042】
システム100は、アンビルアセンブリ200と、ホーン取付アセンブリ300と、ホーンアセンブリ400と、ホーン・アンビル間隙調整アセンブリ500と、ホーン吊上げアセンブリ600と、ニップアセンブリ700と、を含む。これらアセンブリの各々に関するさらなる詳細については後述する。図5にはまた、回転溶接システム100の一部として、側板217と、タイロッド218と、ホーンサーボモータ219と、アンビルサーボモータおよびギアボックス211と、が示されている。
【0043】
図6は、アンビルアセンブリ200の詳細な図を提供する。アンビルアセンブリ200は、ロール面222およびジャーナル223を有するアンビルロール221を含む。アンビルロール221は、ダイロール、エンボシングロール、プリンティングロールまたは溶接ロール等、任意の適当なロールであってもよい。アンビル支持ブロック224がアンビル枠225に取り付けられる。アンビルロール221は、軸、好ましくはロール221の中心を通って長手方向に延在する軸を中心に回転するように構成される。
【0044】
図7および図8を参照すると、内側または支持面217bを有する側板217によって支持されるアンビルロールアセンブリ200のさらなる図が示されている。アンビルロール221は、タイロッド218および側板217に、ロール221がその長手方向軸を中心に回転することができるように取り付けられる。
【0045】
図9は、取付枠331と、ホーン支持ブロック332と、ホーン駆動モータ333と、ベルト334等のホーン駆動機構と、を含む、ホーン取付アセンブリ300を示す。
【0046】
溶接システム100にホーン取付アセンブリ300が取り付けられると、側板217のスロットM2(図14に示すような)が、ホーン取付アセンブリ300を案内し、移動することができるようにする。特に、支持ブロック332の面336は、側板217の面M3に接触し、支持ブロック332の少なくとも一部がスロットM2内に適合することが好ましい。実施形態によっては、面336は円柱状面であるが、これは必須ではない。面336は、アセンブリ300の2つの方向における移動を抑制し、そのため、2つの自由度、すなわち1つはX軸に沿った直線状自由度、1つはY軸を中心とする回転自由度(図9を参照)を取り除く。Z軸を中心とする別の回転自由度は、取付枠337の停止ボタンM4によって取り除かれる。2つの追加の自由度のみが残る。
【0047】
図4は、アンビル41およびホーン42を含むより簡略化した形態で、軸と利用可能な自由度とを示す。ホーン42は、その内部を通して長手方向に延在する第1軸60を有する。第1軸60に対して第2軸70が直交し、それはアンビル41が配置される方向である。第1軸60および第2軸70の各々に対して第3軸80が直交する。
【0048】
一形態では、ホーン42は、矢印65によって示す方向に第1軸60を中心に回転する。第1の追加の自由度は、第1軸60に垂直な方向における並進運動であり、それは、第3軸80によって示す方向である。第1の追加の自由度を矢印85によって示す。第2の追加の自由度は、矢印75によって示す、第2軸70を中心とする回転運動であり、第2軸は、第1軸60と第1の追加の自由度の方向85との両方に対して垂直である。
【0049】
支持ブロック332はまた面338の第2セットを有し、それもまた例示的な実施形態では円柱状面である。これら面338の半径は、側板217の内側または支持面217b(図8)間の距離の半分である。面338は、Z軸に沿った並進自由度を取り除く。
【0050】
すべての剛体が6つの自由度を有することはよく理解されている。上述した特徴は4つの自由度を取り除く。2つの残っている利用可能な自由度は、Y軸に沿った(アンビルに向かいかつアンビルから離れる)並進移動と、X軸に沿った回転移動と、である。これら自由度の組合せにより、ホーン30とアンビルとの間の間隙を、ホーン30の両側に対して独立して調整することができる。
【0051】
図10および図11は、ホーン442と、節取付具443と、ホーン支持リング444と、ホーン軸受445と、ホーン駆動スプロケット446と、を含むホーンアセンブリ400を示す。
【0052】
図12は、ホーン間隙またはホーン・アンビル間隙調整アセンブリ500を示す。アセンブリ500は、第1カムおよび第2カム550と、カムに取り付けられる駆動ギア551と、を含む。カムの内側円柱状面M6は、アセンブリ300の円柱状面M5(図9)上に載る。面M5と面M6との間の隙間により、カム550はz軸を中心に回転することができる。
【0053】
ギアシャフト553は、穴M7(図9)を使用して支持ブロック332間に取り付けられる非回転シャフトである。駆動ギア552は、ギアシャフト553に回転可能に取り付けられる。駆動ギア552は、六角形体M8上のレンチを使用して独立して回転する。駆動ギア552の回転によりカム550が回転する。
【0054】
使用時、外側カム面550aは、hがカムの総高さであり、θがカムの回転の角度であり、Aが定数である場合、一次関数h=Aθを生成するように、加工される。好ましい実施形態では、カム550は、300度のカム回転にわたり0.100インチ(約2.5mm)の高さを生成する。これにより、3/10000インチ/度(約0.0076mm/度)の調整分解能が提供される。
【0055】
図13は、ホーン取付アセンブリ300を側板217に関して移動させ、概して上昇させ下降させるために使用される、ホーン吊上げアセンブリ600を示す。ホーン取付アセンブリ300の動きは、カム面550aがアンビルアセンブリ200のカム従動子227と接触すると停止する。
【0056】
ホーン吊上げアセンブリ600は、側板217に固定取付けされる吊上げ枠660を含む。吊上げ枠660には、必要に応じて膨張し縮小するように構成される空気圧ベローズ661が取り付けられる。使用時、加圧ベローズ661は、ホーン取付アセンブリ300に力を加えることにより、アセンブリ300をアンビルロール221(図13には示さない、図8を参照)に向かって押し、別法として、リニアアクチュエータ、空気圧シリンダおよび液圧シリンダ等の他の力発生器を使用してもよい。上述したように、ホーン取付アセンブリ300は2つの残りの自由度を有する。1つはY軸に沿った並進自由度であり、1つはX(θX)軸に沿った回転自由度である(図13)。
【0057】
方法によっては、「力モード」を使用してもよいが、概して好ましくない。「力モード」は、目標(たとえば平均)材料特性(たとえば厚さ)を有する材料を溶接するために選択される一定のまたは固定溶接力を使用する。力モードは、超音波ホーンがアンビルまたは回転ホーンのいかなる振れにも従うことができるようにするために有用である。しかしながら、溶接材料の特性が目標値(たとえば厚さ)と異なる場合、一定力システムは、許容できない溶接品質をもたらす可能性がある。結果としての製品は、平均より厚いかまたはしわのある製品がアンビルとホーンとの間を通過する場合、過剰溶接される可能性があり、平均より薄い材料が使用される場合、溶接不足となる可能性がある。力モードシステムの場合、ウェブが厚いほどその領域に対し、溶接を提供するためにより多くの溶接エネルギーが必要となる。厚いウェブほど、溶接システムを撓ませる可能性があり、加えられる力を変化させ、そのため溶接がより弱くなる結果となる。さらに、ウェブ速度が変化する場合、システムの力および/または振幅を、一定の溶接品質を保持するために変更する必要のある場合がある。たとえば、溶接振幅または力対線速度アルゴリズムを開発し採用する必要のある場合がある。力モードシステムは、ウェブ速度が非常に高い場合、システムの慣性によりホーンがアンビルの振れに従うことができなくなる可能性があるという点で、速度の影響を受け易い可能性がある。かかる場合、溶接のばらつきが増大する。さらに、溶接されている材料の破損が発生した場合、ホーン対アンビルの金属対金属の接触が発生し、それはシステムに対し損傷を与える可能性がある。
【0058】
図14および図15は、ホーン吊上げアセンブリ600のさらなる図を示す。本実施形態では、ホーン取付アセンブリ300の側板217および取付枠331に対する回転を制御するために、ピボットスロップ(slop)を備えたギア式7節リンク機構が使用される。このリンク機構は、接続リンクアーム662と、ピボットアーム663と、ピボットシャフト664と、ギア665と、ピボット接続部666、667と、を含む。ベローズ661がホーン取付アセンブリ300を吊り上げると、接続リンクアーム662がピボットアーム663の端部を上昇させ、それにより、ピボットアーム663は、ともに噛み合っているため、等しい量だけ回転する。ピボット継手666、667に隙間またはスロップがないため、ホーン取付アセンブリ300は垂直にのみ移動し、回転自由度(θx)は取り除かれる。しかしながら、継手666、667に隙間を含めることにより、或る量の回転が可能となる。
【0059】
図15Aおよび図15Bは、より基本的な運動学的形態でのホーン取付アセンブリ300とともに、ギア式7節リンク機構600Aを示す。図15Aを参照すると、本実施形態では、リンクM10は地面である。リンク機構600Aは、接続リンクアーム662Aと、ピボットアーム663Aと、ピボットシャフト664Aと、ピボット接続部666A、667Aと、を含む。接続リンクアーム662Aは、継手667Aにおいてピボットアーム663Aの端部を上昇させ、それにより、アーム663Aは、合わせて噛みあっているため等しい量だけ回転する。
【0060】
ピボットアーム663Aは、それぞれ継手666Aおよび667Aを介して地面とリンクアーム662Aとに接続される2つの二節リンクである。ピボットアーム663Aはまた、ギア継手を使用して互いに接続される。ギア継手の比は1:1である。リンクアーム662Aもまた、それぞれ関節667A、666Aを介してピボットアーム663Aと取付枠331Aとに接続される二節リンクである。取付枠331Aは、ピボット継手667AおよびM12によりアーム662AおよびスライダブロックM11に接続される三節リンクである。スライダブロックM11は、継手M10およびM12を使用して地面と取付枠331Aとに接続される。スライダブロックM11は、取付枠331Aが並進自由度および回転自由度のみを有するように、取付枠331Aの動きを制御する。
【0061】
リンク機構600Aは、特大穴を含むことにより継手666Aに継手隙間を含む。さらにまたは別法として、継手隙間は、ピボット継手667Aに存在してもよい。従来の継手隙間のないギア式7節リンク機構では、取付枠331Aの動きは、ピボットアーム663Aが回転する際の並進のみである。継手隙間を有することにより、取付枠331Aに接続されるホーン取付アセンブリ300のホーン442を、角運動を制限して調整することができる。
【0062】
継手における隙間を、図15Bに示すように、スロットを使用することにより、隙間制御/制限角運動θxを使用して達成してもよい。図15Bにおいて、リンク機構600Bは、接続リンクアーム662Bと、ピボットアーム663Bと、ピボットシャフト664Bと、ピボット接続部666B、667Bと、を含む。ピボット接続部666Bは、継手隙間を提供するスロットを含む。Lが継手666B間の距離であり、Cが継手隙間である場合、可能な回転の角度αは、次式によって与えられる。
【0063】
【数1】

【0064】
特大穴、スロット等の隙間は、回転により製造公差および工程変動を調整するようにホーン442とアンビルとの間の間隙の変動が可能であるように選択される。しかしながら、隙間は、カム550における正しいホーン442の取付けおよび停止を妨げるかまたは阻止するほど大きくはない。
【0065】
図16は、ニップアセンブリ700を示す。ニップアセンブリは、ニップローラ771と、ニップアーム772と、ピボットシャフト773と、ニップシリンダ774と、シリンダ支持シャフト775と、を含む。
【0066】
図5Aにおいて装置100Aとして代替的な例示的回転溶接モジュールを示す。図5の装置100と同様に、装置100Aは複数のサブアセンブリを有する。図5Aに、アンビルロール221Aと、ホーンアセンブリ400Aと、ホーン吊上げアセンブリ600Aと、を含むアンビルアセンブリ200Aを示す。図5Aにはまた、側板217Aも示す。装置100Aは、板ばねM13、通常は少なくとも2対の板ばねM14を含む。板ばねM14の各対は、異なる支持ブロック332および異なる側板217Aに取り付けられる。
【0067】
アンビルとホーンとの間の間隙をよりよく制御するために利用可能な自由度を低減することに基づく溶接装置は、概して、第1軸を有するアンビルロール221または他の回転可能工具と、アンビルロール221を、それがその第1軸を中心に回転することができるように支持する取付システムと、を含む。取付システムは、アンビルロール221が2つの追加の自由度のみを有し、第1の追加の自由度は第1軸に垂直な方向の並進運動であり、第2の追加の自由度が、第1軸と第1の追加の自由度の方向との両方に対して垂直である第2軸を中心とする回転運動であるように構成される。このように移動の範囲が限られることにより、アンビルとホーンとの間の距離が安定する。アンビルとホーンとの間の間隙を低減された自由度によって制御することに関する詳細は、開示内容がすべて参照により本明細書に援用される、代理人整理番号第59643US002を有する「超音波溶接ホーンの位置を調整する方法(Method of Adjusting the Position of an Ultrasonic Welding Horn)」と題する本出願の譲受人の同時係属中の仮出願第60/640979号明細書に記載されている。
【0068】
要約すると、低減した自由度によって間隙を制御する装置は、第1軸を有するアンビルまたはホーン等の回転可能工具と、回転可能工具を、それがその第1軸を中心に回転することができるように支持する取付システムと、を有する。このように、回転可能工具は、2つの追加の自由度、すなわち第1軸に対して垂直な方向の並進運動と、第1軸と第1の追加の自由度の方向との両方に垂直な第2軸を中心とする回転運動と、のみを有する。複合材料10を作製する方法は、回転可能工具を、それがその第1軸を中心に回転することができるように、かつ回転可能工具が2つの追加の自由度のみを有するように支持する取付システムを提供することと、第1軸を有する回転可能工具を取付システム内に取り付けることと、ウェブを処理するために工具ロールに接触させることと、を含む。
【0069】
周波数または温度フィードバックによる間隙の制御
溶接工程中にホーンとアンビルとの間の間隙および移動をよりよく制御する第2の概略的な方法を以下に示す。「固定間隙」適用では、ホーンとアンビルとの間の距離を非常に厳密に維持することが望まれる。しかしながら、超音波ホーンが動作する際に、ホーンの温度は概して上昇し、その結果、ホーンの材料が膨張し、そのためホーンの寸法が増大する。多くの適用では、ホーンの膨張は、間隙を許容可能な値を下回る値まで低減するほど、またはさらにはホーンがアンビルに直接接触することになるほど大きい。これは望ましくない。未知のまたは制御されないホーンの寸法の変化(たとえばホーン径または長さの変化)は難題をもたらす可能性がある。
【0070】
ホーンの共振周波数は、ホーンの形状および材料特性の関数であるということが確認された。特に、共振周波数は、ホーンの寸法に反比例する。すなわち、ホーンの共振周波数は、ホーンの寸法が増大するに従い低減する。ホーン寸法の変化を、電子的に測定することができる瞬間共振周波数と初期共振周波数とを知ることに基づいて、正確にかつすぐれた分解能で計算することができる。
【0071】
ホーンの寸法(たとえば長さ)はまた、温度に対して正比例する。ホーンの温度を測定することにより寸法を確定し、したがって共振周波数を知ることが可能である。
【0072】
アンビルとホーンとの間の間隙を調整するために周波数フィードバックまたは温度を使用することに基づく溶接装置は、概して、ホーンの周波数に基づいて信号を提供するように適合される周波数センサと、ホーンとアンビルとの間の間隙を信号に基づく所定方法で調整する位置決めシステムと、を有する。周波数センサを、たとえば、超音波エネルギー源によって引き渡される電圧、超音波エネルギー源によって引き出される電流、ホーンの近くに配置される誘導センサにおいて誘導される電圧、ホーンの近くに配置される静電容量センサの静電容量の変化、ホーンを観測するために配置される光センサ、およびホーンに物理的に接触する接触センサによって、周波数を確定するように選択することができる。センサ、位置決めシステム、ホーン、アンビルおよび超音波エネルギー源のうちのいずれかまたはすべてを、支持ブラケットもしくは他の1つまたは複数の取付システムで支持することができる。
【0073】
ホーン寸法の増大を補償するための周波数フィードバックまたは温度フィードバックの使用を、回転アンビル、固定アンビル、回転ホーン、固定ホーンまたはそれらの任意の組合せとともに使用することができる。システムを、アンビルとホーンとの間の距離を調整するように、またはアンビルおよびホーンのうちの一方(通常はホーン)に加えられる力を、それら2つがそれらの間の材料と所望の距離になるように調整するように、構成することができる。
【0074】
使用時、接合される材料は、ホーンとアンビルとの間に配置され、ホーンに対してエネルギーが印加されかつホーンが励起され、ホーンの動作周波数が測定され、その測定値に基づいてホーンとアンビルとの間の距離が調整される。ホーンとアンビルとの間の間隙は、ホーンサイズの変化にも関わらず所定間隙を維持するように調整されることが好ましい。別法としてまたはさらに、ホーンとアンビルとの間の間隙は、ホーンサイズの変化にも関わらずホーンとアンビルとの間の所定力を維持するように調整されることが好ましい。
【0075】
ホーンとアンビルとの間の間隙を測定する1つの有用な方法は、アンビルまたはホーンに近接センサを取り付け、所定機械面からの間隙の変化を測定することによる。そして、その間隙は、固定間隙を維持するようにホーンまたはアンビルを移動させる、アクティブリニア(サーボ)モータを使用することによって調整される。
【0076】
設計によっては、ホーンまたはアンビルまたは両方の温度の制御を容易にするために冷却装置を使用することが望ましい場合もある。温度を制御することはまた周波数に対して影響を与える。
【0077】
周波数フィードバックによってアンビルとホーンとの間の間隙を制御することに関するさらなる詳細は、開示内容がすべて参照により本明細書に援用される、代理人整理番号第60272US002号を有する、「超音波溶接システムの周波数に基づく制御(Frequency Based Control of an Ultrasonic Welding System)」と題する本出願の譲受人による同時係属中の仮出願第60/640978号明細書に記載されている。
【0078】
要約すると、周波数フィードバックを使用して間隙を監視する方法は、振動工具(たとえばホーン)の共振周波数を受け取ることと、共振周波数に基づいて、振動工具と固定基準点との間の間隙の距離のおよその変化に対し既知の関係にある量を確定することと、を含む。これは、振動工具の共振周波数と材料特性との関数として、振動工具の長さを計算することを含むことができる。そして、本方法は、一定の間隙を実質的に維持するように、振動工具と基準点との間の距離を調整することを含むことができ、これを、振動工具の共振周波数に基づいて行うことができる。温度フィードバックを使用して間隙を監視することは、適宜同様である。
【0079】
かかる方法により被加工物に超音波エネルギーを印加するシステムは、ホーンスタック(ホーンを含む)と、ホーンスタックが取り付けられる取付システムと、ホーンスタックに結合されるエネルギー源と、被加工物を支持する面を有するアンビルと、ホーンスタックの共振周波数を受け取り、ホーンスタックとアンビルとの間の間隙の変化に対し既知の関係にある量を確定するように構成されたコントローラと、を有する。この間隙の変化を、事前に取得されたデータの表から確定することができ、その表に見つからない値を、既知のデータから内挿または外挿することができる。システムは、コントローラの代りに、ホーンスタックとアンビルとの間の間隙の変化に対し既知の関係にある量を確定する任意の機構を有することができる。温度フィードバックを使用して間隙を監視するシステムは、適宜同様である。
【0080】
撓み可能なホーン止め具による間隙の制御
溶接工程中にホーンとアンビルとの間の間隙および移動をよりよく制御する第3の概略的な方法を以下に示す。「固定間隙」適用では、ホーンとアンビルとの間の距離は、概して、ホーンのアンビルに近づく移動を抑制する固定止め具によって制御される。上述したように、使用中、ホーンは膨張し、ホーンとアンビルとの間の間隙は許容可能な値を下回る値まで低減する。ホーン膨張を監視することによって間隙を測定する方法を上述したが、ホーンを監視することなく間隙を制御する方法について以下に述べる。
【0081】
ホーンは、直線状スライドアセンブリに取り付けられ、直線状スライドアセンブリには、ホーンをアンビルに向かって付勢する力が加えられる。固定止め具を使用して、ホーンとアンビルとの間の所望の間隙が設定される。スライドに加えられる力は、製品を溶接するために必要な力より概して大きい。さらに、力は、ホーンの予測される膨張に等しいかまたはそれより大きい止め具アセンブリの弾性変形をもたらすために十分である。この止め具アセンブリの撓みが発生すると、ホーンはアンビルに近づくように移動する。
【0082】
止め具アセンブリ位置は、ホーンが冷たい時に所望の間隙が得られるように設定され、最大力は、最大止め具撓みが発生するように加えられる。動作中ホーンが膨張すると、たとえば、周波数低減を使用して上述したように、ホーンの増大した長さが確定される。ホーンが膨張すると、加えられる力が低減し、それにより、ホーンの熱膨張に等しい量だけ固定止め具の撓みが低減する。撓み距離と力との関係は、動作の前に確定されることが好ましく、すなわち、止め具位置を設定するために試運転が行われる。試運転の結果を、たとえば、後に参照することができる表に記録することができる。この表に見つからない値を、既知のデータから内挿または外挿することができる。このように、ホーンとアンビルとの間の間隙は制御され、溶接工程を通して一定に保持されることが好ましい。
【0083】
図17および図18は、可撓性固定止め具を使用する一例としてのシステムを示す。図17は、ホーンが後退位置にある、またはアンビルから離れる方向に移動しているユニットを示す。図18は、ホーンとアンビルとの間に間隙が設定されてホーンが溶接位置まで移動しているユニットを示す。溶接システム110は、支持面117に固定される溶接システム130と、支持面118に固定されるアンビル121と、を有する。溶接システム130は、ホーン支持具120によって支持され面117に対して移動可能であるホーン132と、支持板156を有する固定止め具155(それらは面117に対して固定されている)と、膨張可能空気ブラダ161と、を有する。
【0084】
ブラダ161を使用して、ホーン支持具120とホーン132とをアンビル121に向かって移動させる力を加える。面125が固定止め具155に接すると、支持板156は加えられる力の下でわずかに撓む。
【0085】
チタンホーンで動作する際、温度は室温から最大50°F(約10℃)だけ上昇することが確認されており、それにより、ホーン寸法が0.0010インチ(約0.025mm)増大する。その結果、ホーン132とアンビル121との間の間隙は、何の補償も行わない場合、0.0010インチ(約0.025mm)だけ低減する。支持板156の撓みは、0.0010インチ(約0.025mm)/675ポンド力(約306kg力)であることが知られている。したがって、室温のホーンで加えられる力は少なくとも1125ポンド(約510kg)または60psig(約414kPa)でなければならない。ホーンが動作して長さが増大すると、ホーンとアンビルとの間の間隙を一定に維持するために、加えられる空気圧は60psig(約414kPa)から30psig(約207kPa)まで低減する。
【0086】
変形可能止め具アセンブリを利用することによってアンビルとホーンとの間の距離を制御するように概して構成される溶接装置は、固定止め具を有するアンビルと、ホーンと、固定止め具の弾性変形がホーンとアンビルとの間の間隙に対する微調整を提供するように、ホーンを固定止め具に対して押圧する力を加えることができるように取り付けられる加力器と、を含む。装置は、ホーンの特定の特性を監視し、その特定の特性の変化にも関らずホーンとアンビルとの間の間隙を固定値で保持するようにホーンに加えられる力を制御する、検知システムを有してもよい。監視される特性は、たとえば、ホーンの温度、長さ等の寸法、または振動周波数であってもよい。
【0087】
熱膨張によるホーン寸法増大を補償するための、変形可能であるが固定の止め具の使用を、回転アンビル、固定アンビル、回転ホーン、固定ホーンまたはそれらの任意の組合せとともに使用することができる。
【0088】
撓み可能止め具を使用することによってアンビルとホーンとの間の間隙を制御することに関するさらなる詳細は、開示内容がすべて参照により本明細書に援用される、代理人整理番号第60273US002号を有する、「超音波溶接システムのための間隙調整(Gap Adjustment for an Ultrasonic Welding System)」と題する本出願の譲受人による同時係属中の仮出願第60/641048号明細書に記載されている。
【0089】
概して、固定撓み可能止め具を使用して間隙を制御するシステムは、並進部材と固定弾性変形可能止め具を備える取付具と、超音波エネルギー源に結合され、並進部材に動作可能に接続されるホーンと、ホーンから間隙によって分離されるアンビルと、ホーンをアンビルに向かって付勢する加力器と、有する。加力器はまた、ホーンに動作可能に結合される部材が、程度を変化させることによって弾性変形可能止め具に接触しそれを変形させるようにし、それによりホーンとアンビルとの間の間隙がシステムの動作中に実質的に一定であり続けるようにする。代替システムは、アンビルから取付システムによって分離されたホーンと、ホーンに結合された超音波エネルギー源と、ホーンが熱膨張している間に分離を一定長さに実質的に維持する任意の機構と、を有することができる。
【0090】
かかるシステムは、概して、ホーンとアンビルとの間に間隙が確立されるようにホーンをアンビルに近接して配置し、ホーンをアンビルに向かって付勢するようにホーンに力を加え、変形可能止め具を、付勢力を加えることによりホーンに動作可能に接続された部材が変形可能止め具に当接しかつ止め具を変形させるような位置に配置し、ホーンの動作中に、変形可能止め具の変形の程度を調整しかつホーンとアンビルとの間の間隙を実質的に一定に維持するように、付勢力を反復的に調整することにより、動作する。
【0091】
ホーン振幅を調整することによる間隙の制御
アンビルとホーンとの間の間隙を、通常はホーンである振動工具の振動振幅を調整することによって制御してもよい。かかるシステムは、概して、取付システムによって保持されるホーンまたはホーンスタックを含む。ホーンスタックには電源が動作可能に結合され、命令に応じてホーンに所与の振幅の交流(AC)信号を供給するように構成され、さらにホーンに供給されるAC信号の周波数を示すデータを出力するように構成される。電源にはコントローラが動作可能に結合される。コントローラは、電源から周波数データを受け取り、周波数データによって確定される選択された振幅のAC信号を引き渡すように電源に命令するように構成される。振幅が変化すると、ホーンとアンビルとの間の間隙も変化する。
【0092】
概して、この基礎にある理論を使用する方法は、ホーンとアンビルとの間に間隙が確立されるように、ホーンをアンビルに近接して配置することを含む。ホーンに結合される変換器に交流(AC)信号が印加され、AC信号は振幅を呈する。AC信号の振幅は、ホーンの動作中に、ホーンとアンビルとの間の間隙を実質的に一定に維持するように調整される。
【0093】
アンビルとホーンとの間の間隙を、撓み可能な止め具を使用して制御することに関するさらなる詳細は、開示内容がすべて参照により本明細書に援用される、代理人整理番号第61397US002を有する、「超音波ホーンの振幅調整(Amplitude Adjustment of Ultrasonic Horn)」と題する2005年11月7日に出願された、本出願の譲受人による同時係属中の出願第11/268141号明細書に記載されている。
【0094】
製品
上述した方法のいずれも、多層積層製品10を作製するために適している。積層複合材料10は、溶接領域Wにおいて基層16に溶接される不織布テープ12(一実施形態では2片の不織布テープ12)を有する。基層16は、たとえば、エラストマー材料の少なくとも1つの層を有する積層弾性材料等の弾性材料であり得る。複合材料10はまた、機械的取付部18およびフィンガーリフトタブ20を有してもよい。基層16に隣接する不織布テープ12に接着層14が存在してもよい。
【0095】
回転ホーンを用いてもたらされる、不織布テープ12と基層16との間の積層接合部は、概して、表面の柔軟性を向上させ、固定ホーンによって製作される同様の製品に対して柔軟性を増大させた。材料10はまた、概して、回転ホーンを用いて溶接される場合、同じライン速度で固定ホーンによって制作される製品に比較した場合、積層強度の向上を示す。回転ホーンを用いてもたらされる溶接部を有する製品は、通常、より高い引張り力および引き裂き力を有する。回転ホーンが使用される場合、固定ホーンに比較して、材料の溶接領域に穴または裂け目を有する可能性が低減する。これら概念はまた、通常、回転アンビルを使用するシステムにも当てはまる。
【0096】
パターン化アンビルまたはホーンを使用する回転工程を用いてもたらされる溶接部は、感触が柔らかく特異なパターンを有する。比較して、固定溶接によって作製される同様の複合材料は、適当であるが、それほど柔らかくなく、溶接の領域にトラフがあることが多い。さらに、回転工程は、接合部を、より高い強度の接合をより高いライン速度で生成する。たとえば、回転工程に対して200メートル/分での引張り強度は、概して、固定ホーンからの50メートル/分での引張り強度と等価であった。
【実施例】
【0097】
以下の非限定的な実施例は、回転超音波溶接によって作製される多層積層製品をさらに示す。実施例におけるすべての比重、パーセンテージ、比率等は、特に断りのない限り重量による。
【0098】
試験方法
本発明の積層体の接合強度を、以下の方法を使用して試験した。
【0099】
破断引張強度
接合された領域における積層体の破断引張強度を、ASTM D882に従って、インストロン(INSTRON)モデル(Model)1122を用いて伸び引張装置の一定速度で測定した。ロール状の溶接積層体から、40mm幅×70mm長のサンプルを切断した。長さ方向はロールの幅方向(CD)である。サンプルを、試験装置のジョーに、50mmの初期ジョー分離距離で搭載した。そして、サンプルの破断(破壊)点に達するまで、ジョーを500mm/分の速度で分離した。破断点は、略常に積層体の超音波接合領域で発生した。最大負荷をニュートン(N)で記録した。10個の複製を試験し、平均をとり、表1においてN/40mm単位で報告した。
【0100】
台形引裂強度
また、超音波接合部の強度を、インストロン(INSTRON)モデル(Model)1122を用いてASTM D5587に記載されている手続きを使用して台形引裂試験を用いても測定した。試験サンプル、40mm幅×70mm長を、ロール状の積層体から切断した。長さ方向はロールの幅方向(CD)である。試験ガイドラインを、サンプルの各端部から、一方の縁の接合領域から開始して他方の縁までロールの装置方向に対して30度の角度で延在するように引いた。サンプルを試験装置のジョーに、35mmの初期ジョー分離距離で搭載し、それにより、ジョーの底縁が30度ガイドラインに一致するようにした。これにより、ジョー内の積層体に非対称の座屈がもらされ、それによりジョーの縁に応力集中がもたらされ、その結果、積層体がその超音波接合領域に沿って引き裂かれる。そして、ジョーを、サンプルの破断(破壊)点に達するまで500mm/分の速度で分離した。最大負荷を、サンプルがその一方の縁から他方の縁まで引き裂かれる際にニュートン(N)で記録した。10個の複製を試験し平均をとり、表1においてN/40mm単位で報告した。
【0101】
実施例1
不織布ファスニングテープ12
ミネソタ州セントポールの3Mカンパニー(3M Company(St.Paul,MN))からKD−3613として入手可能であり、28g/m2ポリプロピレン/ポリエチレンインパクトコポリマーによってポリコーティングされ、非ポリコーティング面が2g/m2シリコーン・アクリレートリリースコーティングによりリリースコーティングされ、ポリコーティング面が、50%クラトン(KRATON)1119(SISブロックコポリマー、テキサス州ヒューストンのクラトン・ポリマー社(Kraton Polymers,Inc.(Houston,TX)))および50%ウィングタックプラス(WINGTACK Plus)(固体粘着付与剤、ペンシルバニア州エクストンのサルトマー(Sartomer(Exton,PA)))からなる33g/m2ホットメルト接着剤14で接着剤コーティングされた、50g/m2スパンボンドポリプロピレン不織布からなる。
【0102】
フィンガーリフト20
ニュージャージー州リビングストンのアムトップ・コーポレイション(Amtopp Corp.(Livingston,NJ))から入手可能であり、40ミクロン白色二軸延伸ポリプロピレン。
【0103】
ファスナ18
ミネソタ州セントポールの3Mカンパニー(3M Company(St.Paul,MN))からKN−3457として入手可能であり、米国特許第6,190,594号明細書における実施例に類似する、3%白色顔料を含む107g/m2ポリプロピレン/ポリエチレンインパクトコポリマー、360フック/cm2
【0104】
不織布/弾性積層体16
105g/m23層共押出弾性フィルム22の両側に20g/m2ポリプロピレンスパンボンド不織布16(ニューヨーク州グレートネックのファースト・クオリティ・ノンウーブン社(First Quality Nonwovens Inc.(Great Neck,NY))を接着積層することによって用意され、フィルム22は、70%クラトン(KRATON)G1114(SISブロックコポリマー、テキサス州ヒューストンのクラトン・ポリマー社(Kraton Polymers,Inc.(Houston,TX)))および30%5E57(ポリプロピレン、ミシガン州ミッドランドのダウ・ケミカル(Dow Chemical(Midland,MI)))との混合物から作製された中心コア層(94g/m2)と、コア層の各側のポリプロピレン(5E57、ミシガン州ミッドランドのダウ・ケミカル(Dow Chemical(Midland,MI)))から作製されたスキン層(6g/m2)と、からなる。
【0105】
共押出弾性フィルムを、幅方向に5.3〜1伸張させ、伸長状態に保持しながら、4.5g/m2接着剤(H2494、マサチューセッツ州ミドルトンのボスティック・アドヘッシブ(Bostik Adhesives(Middleton,MA)))によって渦巻パターンに噴霧された不織布ウェブの両側に積層した。そして、積層体を弛緩させてロールに巻き付かせた。
【0106】
図5〜図18に示すものに類似する装置を使用して、上記材料を合わせて積層し接合することにより、図1に示すようなものを形成した。材料を、図4に示すものに類似する回転超音波ホーンおよび回転超音波アンビルを使用して200メートル/分のライン速度で接合した。アンビルは、図4Bに示すものに類似する4mm幅ドット溶接パターンを提供するように構成された放射状に配置された一連のピンを有するスチールシリンダであった。ピンは、高さが0.58mmであり上部ランド面積が0.5mm2である円錐台の千鳥形アレイから構成されていた。ピンの中心間間隔は1.6mmであった。
【0107】
装置を、100%、2.1ミルピーク間(53ミクロン)に設定されたホーンの振幅および20kHzの周波数で1.5ミル(約37マイクロメートル)の固定間隙で運転した。
【0108】
得られた超音波接合部の強度を、上述した引張および引裂試験を使用して測定し、結果を以下の表1に示す。
【0109】
実施例2
実施例1と同じ材料を、ライン速度が60m/分であることを除き、実施例1と同じ回転超音波溶接装置を使用して合わせて積層し接合した。
【0110】
得られた超音波接合部の強度を、上述した引張および引裂試験を使用して測定し、結果は以下の表1に示す。
【0111】
比較実施例C1
上記実施例1において説明したものと同じ材料を、固定超音波溶接装置を使用して合わせて積層し接合した。回転アンビルと固定走査(バー)ホーンとを使用した。アンビルは、図4Aに示すものに類似する4mm幅ドット溶接パターンを提供するように構成された放射状に配置された一連の菱形形状ピンを有するスチールシリンダであった。ピンは、高さが0.5mmであり上部ランド面積が0.5mm2である円錐台のアレイから構成された。ピンの中心間間隔は1.5mmであった。材料を、50m/分のライン速度および2.1ミルピーク間の振幅を使用して溶接した。ホーンとアンビルとの間で1400Nの力を維持した。
【0112】
得られた超音波接合部の強度を、上述した引張および引裂試験を使用して測定し、結果を以下の表1に示す。実施例C1の場合の超音波接合部の強度は、実施例1のものと等価であったが、ライン速度がはるかに低かった。実施例C1の場合の超音波接合部の強度は実施例2よりはるかに低く、ライン速度は同様であった。
【0113】
実施例3
図1に示すものに類似する積層体を、以下の材料を使用して用意した。
【0114】
不織布ファスニングテープ12
ミネソタ州セントポールの3Mカンパニー(3M Company(St.Paul,MN))からKFT−2524として入手可能であり、28g/m2ポリプロピレン/ポリエチレンインパクトコポリマーによってポリコーティングされ、非ポリコーティング面が0.9g/m2エポキシシリコーンリリースコーティングによりリリースコーティングされ、ポリコーティング面が、49%クラトン(KRATON)1107(SISブロックコポリマー、テキサス州ヒューストンのクラトン・ポリマー社(Kraton Polymers,Inc.(Houston,TX)))および46%エスコレス(ESCOREZ)1310(炭化水素固体粘着付与剤、テキサス州ヒューストンのエクソン・モービル・ケミカルズ(Exxon Mobil Chemicals(Houston,TX)))および4%シルバレス(Sylvarez)TRA25(液体粘着付与剤、フロリダ州ジャクソンビルのアリゾナ・ケミカル社(Arizona Chemical Co.(Jacksonville,FL)))および1.0%イルガノックス(IRGANOX)1076(酸化防止剤、スイス、バーゼルのチバ・スペシャルティ・ケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals(Basel,Switzerland)))からなる33g/m2ホットメルト接着剤14で接着剤コーティングされた、50g/m2スパンボンドポリプロピレン不織布からなる。
【0115】
フィンガーリフト20
ドイツ、ラウンハイムのトレオファン社(Treofan GmbH(Raunheim,Germany))から入手可能であり、35ミクロン白色二軸延伸ポリプロピレン(トレスパファン(Trespaphan))。
【0116】
ファスナ18
ミネソタ州セントポールの3Mカンパニー(3M Company(St.Paul,MN))からKHK−0002として入手可能であり、米国特許第5,845,375号明細書における実施例に類似する、微細複製フック材料、1.5%白色顔料を有する105g/m2ポリプロピレン/ポリエチレンインパクトコポリマー、250フック/cm2
【0117】
不織布/弾性積層体は使用しなかった。
【0118】
50g/m2ポリプロピレンスパンボンド不織布16(ペガテックス(Pegatex)S1.5デニール、チェコ共和国のペガス・ノンウーブン(Pegas Nonwovens(Czech Republic)))の第1層と、22g/m2ポリプロピレン梳毛不織布24(サワボンド(Sawabond)4132、ドイツ、サンドラーAG(Sandler AG(Germany)))の第2層と、から構成される2層の不織布材料。2つの不織布を互いに熱接合した。
【0119】
図5〜図18に示すものに類似する装置を使用して、上記材料を合わせて積層し接合した。材料を、図4に示すものに類似する回転超音波ホーンおよび回転超音波アンビルを使用して300メートル/分のライン速度で接合した。実施例1と同じアンビルを使用した。装置は、ホーンの振幅を100%に設定し(53ミクロン)20kHzの周波数で1.5ミル(約37マイクロメートル)の固定間隙で運転した。
【0120】
得られた超音波接合部の強度を、上述した引張および引裂試験を使用して測定し、結果を下記の表1に示す。
【0121】
【表1】

【0122】
好ましい実施形態の説明の目的で、本明細書において特定の実施形態を例示し説明したが、当業者には、同じ目的を達成するように計算された多種多様の代替および/または等価実施形態を、本発明の範囲から逸脱することなく、本書に示し説明した特定の実施形態の代りに用いてもよい、ということが理解されよう。当業者は、本発明を非常に多種多様の実施形態で実施してもよい、ということを容易に理解するであろう、本出願は、本明細書で論じた好ましい実施形態の任意の適合または変形を包含するように意図されている。本発明は、本明細書に示した例示的な実施形態に限定されない、ということが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0123】
【図1】本発明による工程によって作製される製品の断面図である。
【図2】本発明の製品を形成するさまざまな材料を示す、本発明の工程の概略図である。
【図3】多層材料が間にあるホーンおよびアンビル構成の部分的に詳細な概略斜視図である。
【図4】本発明の製品の2つの部分を製作する、回転ホーンおよびアンビル構成の概略斜視図である。
【図4A】アンビル面に対する第1のあり得る構成を示す模式図である。
【図4B】アンビル面に対する第2のあり得る構成を示す模式図である。
【図5】本発明による例示的な、複数のサブアセンブリを有する回転溶接装置の正面かつ右側斜視図である。
【図5A】図5のものに類似する、本発明による代替的な例示的回転溶接装置の正面かつ右側斜視図である。
【図6】図5の装置のアンビルロールサブアセンブリの正面平面図である。
【図7】図6と同じ視点からのアンビルロールサブアセンブリの拡大正面平面図である。
【図8】図7の線分8−8に沿ったアンビルロールサブアセンブリの断面図である。
【図9】図5の装置のホーン取付サブアセンブリの斜視図である。
【図10】図9のホーン取付サブアセンブリによって保持されるホーンアセンブリの正面平面図である。
【図11】図10の線分11−11に沿ったホーンアセンブリの断面図である。
【図12】図5の装置のホーン・アンビル間隙調整アセンブリの斜視図である。
【図13】図5の装置のホーン吊上げサブアセンブリの正面平面図である。
【図14】図13のホーン吊上げサブアセンブリの正面平面図である。
【図15】図14の線分15−15に沿ったホーン吊上げサブアセンブリの断面図である。
【図15A】図15の図に類似するホーン吊上げサブアセンブリの代替実施形態を示す断面図である。
【図15B】図15の図に類似するホーン吊上げサブアセンブリの別の代替実施形態を示す断面図である。
【図16】図5の装置のニップサブアセンブリの正面平面図である。
【図17】固定間隙システムの、ホーンが第1の位置にある概略側面図である。
【図18】図17の固定ギャップシステムの、ホーンが第2の位置にある概略側面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
不織布層を弾性基層に溶接する方法であって、
(a)アンビルとホーンを含むホーンスタックとを備えた超音波システムを提供するステップであって、アンビルおよびホーンがそれらの間に間隙を有するステップと、
(b)アンビルとホーンとの間の間隙内に不織布層および弾性基層を一緒に配置するステップと、
(c)ホーンを超音波エネルギーで振動させる間にホーンおよびアンビルのうちの少なくとも一方を回転させることにより周波数を取得するステップと、
(d)不織布層および弾性基層をホーンおよびアンビルに接触させるステップと、
(e)ホーンまたはアンビルのうちの少なくとも一方の周波数および温度のうちの少なくとも一方を監視するステップと、
(f)温度または周波数の変化に基づいてアンビルとホーンとの間の間隙を維持しながら、不織布層を弾性基層に溶接するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
不織布層および弾性基層をホーンおよびアンビルに接触させる前記ステップが、
(a)不織布層をホーンにかつ基層をアンビルに接触させるステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記間隙内に不織布層および弾性基層を一緒に配置する前記ステップが、
(a)不織布層と弾性基層との間に配置された接着層を含めるステップ
を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記間隙内に不織布層および弾性基層を一緒に配置する前記ステップが、
(a)該間隙内に、不織布層と弾性フィルムを備える弾性基層とを配置するステップ
を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記間隙内に不織布層および弾性基層を一緒に配置する前記ステップが、
(a)不織布層と第1不織布面を備える弾性基層とを前記弾性フィルムの上に配置するステップであって、該第1不織布面が、該弾性フィルムと前記接着層との間に配置されるステップ
を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記間隙内に不織布層および弾性基層を一緒に配置する前記ステップが、
(a)不織布層と第2不織布面をさらに備える弾性基層とを、前記第1不織布面とは反対の前記弾性フィルム上に配置するステップ
を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記間隙内に不織布層および弾性基層を一緒に配置する前記ステップが、
(a)該間隙内に、不織布層と、第2不織布層と、弾性基層とを配置するステップ
を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
超音波システムを提供する前記ステップが、
(a)回転可能なホーンを、それが第1軸を中心に回転することができるように、かつ該回転可能なホーンが2つの追加の自由度のみを有するように支持する、取付システムを提供するステップであって、
(i)第1の追加の自由度が、該第1軸に対して垂直な方向における並進運動であり、
(ii)第2の追加の自由度が、該第1軸および該第1の追加の自由度の方向の両方に対して垂直である第2軸を中心とする回転運動である、
ステップと、
(b)該取付システム内に該ホーンを取り付けるステップと、
(c)ウェブを処理するように該ウェブを該ホーンに接触させるステップと、
を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
超音波システムを提供する前記ステップが、
(a)2つの側板を有する枠であって、各側板が支持面を有しかつその中にスロットを有する枠と、
(b)該ホーンが自由に回転できるように該ホーンに係合するように各々構成される一対の支持要素であって、各支持要素が、
(i)該スロットのうちの1つと摺動可能に係合する摺動部と、
(ii)該支持面に係合する湾曲面を有する支持部と、
を備える一対の支持要素と、を備える取付システムを提供するステップを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
アンビルとホーンとの間の間隙を維持する前記ステップが、前記第2の追加の自由度内の動きの最大量を制限する手段を提供することにより、該アンビルと該ホーンとの間の該間隙を一定に維持するステップを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
アンビルとホーンとの間の間隙を維持する前記ステップが、
(a)該ホーンの共振周波数を受け取るステップであって、該ホーンの一部が剛性取付システムによって該アンビルから所与の距離に固定されるステップと、
(b)該共振周波数に基づいて、該間隙の長さのおよその変化に対し既知の関係にある量を確定するステップと、を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
間隙の長さのおよその変化に対し既知の関係にある量を確定する前記ステップが、
(a)前記共振周波数に対応する間隙を取得するために表にアクセスするステップ
を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
間隙の長さのおよその変化に対し既知の関係にある量を確定する前記ステップが、
(a)前記共振周波数にまたがる周波数に対応する第1量および第2量を取得するために表にアクセスするステップと、
(b)適当な間隙に達するために該第1間隙量と該第2間隙量との間で内挿するステップと、を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
間隙の長さのおよその変化に対し既知の関係にある量を確定する前記ステップが、
(a)前記ホーンの寸法を、該ホーンの前記共振周波数および材料特性の関数として計算するステップ
を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
アンビルとホーンとの間の間隙を維持する前記ステップが、
(a)該ホーンの固定位置と該アンビルとの間の所与の距離を、一定間隙を実質的に維持するように調整するステップ
を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
アンビルとホーンとの間の間隙を維持する前記ステップが、
(a)該ホーンの前記共振周波数に基づいて該ホーンの前記固定部分と該アンビルとの間の前記所与の距離を調整するステップ
を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
アンビルとホーンとの間の間隙を維持する前記ステップが、
(a)該ホーンを該アンビルに向かって付勢するように該ホーンに力を加えるステップと、
(b)変形可能止め具を、該付勢力を加えることにより該ホーンに動作可能に接続された部材が該変形可能止め具に当接し該止め具を変形させるような位置に配置するステップと、
(c)該ホーンの動作中に、該変形可能止め具の該変形の程度を調整し、該ホーンと該アンビルとの間の該間隙を実質的に一定に維持するように、該付勢力を反復的に調整するステップと、
を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
アンビルとホーンとの間の間隙を維持する前記ステップが、
(a)該ホーンの温度に基づいて、該ホーンと該アンビルとの間の該間隙を監視するステップ
を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
アンビルとホーンとの間の間隙を維持する前記ステップが、
(a)該ホーンの共振周波数に基づいて、該ホーンと該アンビルとの間の該間隙を監視するステップ
を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
アンビルとホーンとの間の間隙を維持する前記ステップが、
(a)該ホーンに結合された変換器にAC信号を印加するステップであって、該AC信号が振幅を示すステップと、
(b)該ホーンの動作中に、該ホーンと該アンビルとの間の該間隙を実質的に一定に維持するように該AC信号の該振幅を調整するステップと、
を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
アンビルとホーンとの間の間隙を維持する前記ステップが、
(a)該ホーンの温度に基づいて、該ホーンと該アンビルとの間の該間隙を監視するステップ
を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
アンビルとホーンとの間の間隙を維持する前記ステップが、
(a)該ホーンの共振周波数に基づいて、該ホーンと該アンビルとの間の該間隙を監視するステップ
を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
アンビルとホーンとの間の間隙を維持する前記ステップが、
(a)該ホーンと該アンビルとの間の該間隙を実質的に一定に維持するように、該ホーンの位置を調整するステップ
を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
請求項1〜23のいずれか一項に記載の方法によって作製される多層材料。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図5A】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図15A】
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【図15B】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公表番号】特表2008−526552(P2008−526552A)
【公表日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−549699(P2007−549699)
【出願日】平成17年12月30日(2005.12.30)
【国際出願番号】PCT/US2005/047698
【国際公開番号】WO2006/074116
【国際公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】