説明

弾性舗装用ポリウレタン組成物

【課題】一般的な現場施工型弾性舗装材に用いられる樹脂バインダーに要求される低温作業性および硬化性を満足しつつ、長期の貯蔵安定性および耐発泡性に優れる弾性舗装用ポリウレタン組成物の提供。
【解決手段】主鎖にカルボジイミド基を有し、末端に2個以上のイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを含有するポリウレタン組成物12であり、前記ウレタンプレポリマーの質量に対する前記カルボジイミド基の質量%が、1.5質量%以上である前記弾性舗装用ポリウレタン組成物12を固化させてなる弾性舗装材10。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弾性舗装用ポリウレタン組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、路面の舗装に用いられる弾性舗装材として、自動車の廃タイヤ等のゴム製品を粉砕したゴムチップ等の弾性骨材を樹脂バインダーで固結(固化)させたものが知られている。
このような弾性骨材を含む弾性舗装材は、アスファルト舗装に比べて荷重に対する撓み量が大きく、衝撃吸収性および転倒時の安全性に優れた舗装路面が得られるため、歩道、競技場等で広く使用されている。また、車道に用いる場合には、弾力性、通気性および、吸音性による騒音低減効果に優れ、かつ、湿潤時のタイヤ滑りが生じにくい弾性舗装材の開発が期待されている。
【0003】
この弾性舗装材は、大きく2つに分類される。第1に、あらかじめ工場で樹脂を硬化させて作製した一辺40〜50cmのタイル状のブロックを、路面に敷き詰めるタイプである。第2に、施工の現場で樹脂組成物を硬化させるタイプである。
第1のタイプの弾性舗装材は、作業時間が短くて済むという利点があるが、カーブや凹凸のある路面において、隙間が生じるという問題を有している。これに対し、第2のタイプの弾性舗装材は、現場施工型弾性舗装材と呼ばれ、カーブや凹凸のある路面においても隙間を生じさせることなく施工することができるので、現在、開発が進んでいる。
【0004】
この現場施工型弾性舗装材に用いられる樹脂バインダーとしては、ウレタンプレポリマーを用いた1液型湿気硬化性組成物が汎用されている。
しかしながら、ウレタンプレポリマーを用いた1液型湿気硬化性組成物は、完全に硬化するまでに長時間を要し、施工時間の短縮化が要求される車道等の舗装に適用するには問題があった。また、基盤との接着性や、耐薬品性等の耐久性が不十分であるという問題も有していた。
【0005】
このような問題を解決すべく、特許文献1では、「末端にイソシアネート基を少なくとも2個有するウレタンプレポリマーに3級アミン系触媒を添加してなることを特徴とする湿気硬化型ポリウレタン組成物。」が提案されている。
しかしながら、特許文献1に記載の湿気硬化型ポリウレタン組成物は、長期(例えば、30日程度)の貯蔵安定性に劣るため、貯蔵中にゲル化や粘度上昇が生じ、弾性骨材との混合不良が生じるという問題があった。また、ウレタンプレポリマーの硬化に伴い発生する二酸化炭素の抜けが悪く、発泡しやすくなるといった問題もあった。
【0006】
【特許文献1】特開平6−172706号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は、一般的な現場施工型弾性舗装材に用いられる樹脂バインダーに要求される低温作業性および硬化性を満足しつつ、長期の貯蔵安定性および耐発泡性に優れる弾性舗装用ポリウレタン組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、主鎖にカルボジイミド基を有し、末端に2個以上のイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを用いることにより、低温作業性および硬化性を満足しつつ、長期の貯蔵安定性および耐発泡性に優れる弾性舗装用ポリウレタン組成物が得られることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、下記(1)〜(7)を提供するものである。
【0009】
(1)主鎖にカルボジイミド基を有し、末端に2個以上のイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(A)を含有する弾性舗装用ポリウレタン組成物。
【0010】
(2)上記ウレタンプレポリマー(A)の質量に対する上記カルボジイミド基の質量%(以下、「NCN%」ともいう。)が、1.5質量%以上である上記(1)に記載の弾性舗装用ポリウレタン組成物。
【0011】
(3)上記ウレタンプレポリマー(A)の質量に対する上記イソシアネート基の質量%(以下、「NCO%」ともいう。)が、5.0質量%以上である上記(1)または(2)に記載の弾性舗装用ポリウレタン組成物。
【0012】
(4)更に、他のウレタンプレポリマー(B)を含有する上記(1)〜(3)のいずれかに記載の弾性舗装用ポリウレタン組成物。
【0013】
(5)上記ウレタンプレポリマー(A)および上記ウレタンプレポリマー(B)の合計質量に対する上記カルボジイミド基の質量%が、1.2質量%以上である上記(4)に記載の弾性舗装用ポリウレタン組成物。
【0014】
(6)上記ウレタンプレポリマー(A)および上記ウレタンプレポリマー(B)の合計質量に対する上記イソシアネート基の質量%が、5.0質量%以上である上記(4)または(5)に記載の弾性舗装用ポリウレタン組成物。
【0015】
(7)上記(1)〜(6)のいずれかに記載の弾性舗装用ポリウレタン組成物を固化させてなる弾性舗装材。
【発明の効果】
【0016】
以下に説明するように、本発明によれば、一般的な現場施工型弾性舗装材に用いられる樹脂バインダーに要求される低温作業性および硬化性を満足しつつ、長期の貯蔵安定性および耐発泡性に優れる弾性舗装用ポリウレタン組成物を提供することができる。
具体的には、本発明の弾性舗装用ポリウレタン組成物は、5℃程度以下での作業性、および、低温〜常温(5〜25℃程度)にかけての硬化性(特に、適切なタックフリータイム)を満足しつつ、30日程度以上の貯蔵安定性および耐発泡性に優れるため、非常に有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明の弾性舗装用ポリウレタン組成物(以下、単に「本発明のポリウレタン組成物」という。)は、主鎖にカルボジイミド基を有し、末端に2個以上のイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(A)を含有する弾性舗装用のポリウレタン組成物である。
次に、ウレタンプレポリマー(A)および所望により含有していてもよい他のウレタンプレポリマー(B)等について詳述する。
【0018】
<ウレタンプレポリマー(A)>
本発明のポリウレタン組成物に用いられるウレタンプレポリマー(A)は、主鎖にカルボジイミド基を有し、末端に2個以上のイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーであれば特に限定されない。
ここで、カルボジイミド基とは、−N=C=N−をいい、窒素原子の結合手(単結合)は主鎖の一部を構成するものである。
【0019】
上記ウレタンプレポリマー(A)は、例えば、カルボジイミド変性したポリイソシアネート化合物(以下、単に「カルボジイミド変性ポリイソシアネート」という。)とポリオール化合物とをヒドロキシ基(OH基)に対してイソシアネート基(NCO基)が過剰となるように反応させることにより得られる反応生成物等を用いることができる。
【0020】
(カルボジイミド変性ポリイソシアネート)
ウレタンプレポリマー(A)の製造の際に使用されるカルボジイミド変性ポリイソシアネートは、ポリイソシアネート化合物をカルボジイミド化して得られるものである。
【0021】
上記ポリイソシアネート化合物は、分子内にイソシアネート基を2個以上有するものであれば特に限定されない。
上記ポリイソシアネート化合物としては、具体的には、例えば、TDI(例えば、2,4−トリレンジイソシアネート(2,4−TDI)、2,6−トリレンジイソシアネート(2,6−TDI))、MDI(例えば、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4′−MDI)、2,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(2,4′−MDI))、1,4−フェニレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、トリジンジイソシアネート(TODI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)、トリフェニルメタントリイソシアネートのような芳香族ポリイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMHDI)、リジンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート(NBDI)のような脂肪族ポリイソシアネート;トランスシクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン(H6XDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)のような脂環式ポリイソシアネート;これらのカルボジイミド変性ポリイソシアネート;これらのイソシアヌレート変性ポリイソシアネート;等が挙げられる。
【0022】
このようなポリイソシアネート化合物は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
これらのうち、安価で入手しやすい理由から、MDI、XDI、HDI、IPDI、H12MDIであるのが好ましい。
【0023】
このようなポリイソシアネート化合物をカルボジイミド化する方法は特に限定されないが、例えば、ポリイソシアネート化合物とカルボジイミドとを高温下で反応させる方法や、これらを3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド等の触媒を用いて室温下で反応させる方法が挙げられる。
【0024】
カルボジイミド変性ポリイソシアネートとしては、例えば、下記式(i)で表わされる化合物が挙げられる。
OCN−(R1−N=C=N)m−R2−NCO (i)
【0025】
式(i)中、R1およびR2は、それぞれ独立に、炭素数1〜10の2価の脂肪族または脂環式炭化水素基または炭素数6〜12の2価の芳香族炭化水素基を表し、mは1〜20の整数を表す。
1の炭素数1〜10の2価の脂肪族または脂環式炭化水素基としては、例えば、アルキレン基、アルキル基で置換されていてもよい脂環式アルキレン基、アルキル基で置換されていてもよい複素環を含むアルキレン基、ビニレン基等が挙げられる。具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基、p−メチレンシクロヘキサン基、p−ジシクロヘキシレンメチレン基、シクロヘキシレン基、モルフォリノアルキレン基等が挙げられる。
1の炭素数6〜12の2価の芳香族炭化水素基としては、具体的には、例えば、フェニレン基、フェニレンビス(メチレン)基、p−キシリレン基等が挙げられる。
【0026】
上記式(i)で表わされるカルボジイミド変性ポリイソシアネートとしては、具体的には、例えば、下記式で表わされる化合物等が挙げられる。
【0027】
【化1】

【0028】
(ポリオール化合物)
ウレタンプレポリマー(A)の製造の際に使用されるポリオール化合物は、水酸基を2個以上有するものであれば特に限定されない。
ポリオール化合物としては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、その他のポリオール、これらの混合ポリオール等が挙げられる。
【0029】
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、1,1,1−トリメチロールプロパン、1,2,5−ヘキサントリオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオールおよびペンタエリスリトールからなる群から選択される少なくとも1種に、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドおよびポリオキシテトラメチレンオキシドからなる群から選択される少なくとも1種を付加させて得られるポリオール等が挙げられる。具体的には、ポリオキシエチレンポリオール、ポリオキシプロピレンポリオールが好適に例示される。
【0030】
ポリエステルポリオールとしては、具体的には、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、グリセリン、1,1,1−トリメチロールプロパンおよびその他の低分子ポリオールからなる群から選択される少なくとも1種と、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、セバシン酸、ダイマー酸、その他の脂肪族カルボン酸およびオリゴマー酸からなる群から選択される少なくとも1種との縮合重合体;プロピオンラクトン、バレロラクトンなどの開環重合体;等が挙げられる。
【0031】
その他のポリオールとしては、具体的には、例えば、ポリマーポリオール、ポリカーボネートポリオール;ポリブタジエンポリオール;水素添加されたポリブタジエンポリオール;アクリルポリオール;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオールのような低分子量のポリオール;等が挙げられる。
【0032】
このようなポリオール化合物は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
これらのうち、ポリオキシエチレンポリオール、ポリオキシプロピレンポリオールであるのが、得られるウレタンプレポリマー(A)を用いて得られる本発明のポリウレタン組成物の低温での作業性がより良好となる理由から好ましい。
【0033】
本発明においては、ウレタンプレポリマー(A)を製造する際のカルボジイミド変性ポリイソシアネートとポリオール化合物との量は、NCO基/OH基(当量比)が、1.5〜4.5となるのが好ましく、3〜4.5となるのがより好ましい。当量比がこのような範囲である場合、得られるウレタンプレポリマー(A)を用いて得られる本発明のポリウレタン組成物の低温での作業性が更に良好となる。
【0034】
また、本発明においては、ウレタンプレポリマー(A)の製造方法は特に限定されず、例えば、上述の当量比のカルボジイミド変性ポリイソシアネートとポリオール化合物とを、50〜130℃で加熱かくはんすることによって製造することができる。また、必要に応じて、例えば、有機錫化合物、有機ビスマス、アミンのようなウレタン化触媒を用いることができる。
【0035】
本発明においては、このようなウレタンプレポリマー(A)を用いることにより、得られる本発明のポリウレタン組成物の低温作業性および硬化性ならびに長期の貯蔵安定性および耐発泡性が良好となる。
このように低温作業性が良好となる理由は、このようなウレタンプレポリマー(A)が一般的に常温で液体であり、かつ、低温時に粘度上昇が少ないためと考えられる。
また、硬化性が良好となる理由は、下記式(1)で例示するウレタンプレポリマー(A)を用いて説明すると、下記式(1)の主鎖骨格中のカルボジイミド基が大気中の水と反応してウレア結合となり(式(2)参照)、このウレア結合部位が触媒として機能し、NCOと湿気との反応(式(3)参照)を促し、かつ、この反応が3級アミン触媒を用いた場合に比べて比較的穏やかに進行するためであると考えられる。
更に、長期の貯蔵安定性および耐発泡性が良好となる理由は、別途添加する触媒(例えば、特許文献1に記載の3級アミン等)を使わなくても硬化が進むためであると考えられる。
【0036】
【化2】

【0037】
また、本発明においては、上記ウレタンプレポリマー(A)の質量に対する上記カルボジイミド基の質量%(NCN%)が、硬化性がより良好となる理由から、1.5質量%以上であるのが好ましく、2.0質量%以上であるのがより好ましく、3.0〜4.5質量%であるのが更に好ましい。
なお、後述するウレタンプレポリマー(B)を含有する場合は、上記カルボジイミド基の質量%は、同様の理由から、上記ウレタンプレポリマー(A)および上記ウレタンプレポリマー(B)の合計質量に対して、1.2質量%以上であるのが好ましく、2.5〜3.7質量%であるのがより好ましい。
【0038】
更に、本発明においては、上記ウレタンプレポリマー(A)の質量に対する上記イソシアネート基の質量%(NCO%)が、低温作業性がより良好となる理由から、5.0質量%以上であるのが好ましく、5〜10質量%であるのがより好ましい。
なお、後述するウレタンプレポリマー(B)を含有する場合は、上記イソシアネート基の質量%の値は、上記ウレタンプレポリマー(A)および上記ウレタンプレポリマー(B)の合計質量に対する値である。
【0039】
<ウレタンプレポリマー(B)>
本発明のポリウレタン組成物は、上記ウレタンプレポリマー(A)以外に、他のウレタンプレポリマー(B)を含有していてもよい。
【0040】
上記ウレタンプレポリマー(B)は、通常の1液型のポリウレタン樹脂組成物と同様、従来公知のものを用いることができる。例えば、ポリイソシアネート化合物とポリオール化合物とを、ヒドロキシ基(OH基)に対してイソシアネート基(NCO基)が過剰となるように反応させることにより得られる反応生成物等を用いることができる。
また、上記ウレタンプレポリマー(B)は、0.5〜5質量%のNCO基を分子末端に含有することができる。
ここで、ポリイソシアネート化合物とポリオール化合物は、それぞれ、上記ウレタンプレポリマー(A)において説明したものを使用することができ、相溶性の観点から上記ウレタンプレポリマー(A)で用いたものと同種のものを使用するのが好ましい。
【0041】
本発明のポリウレタン組成物は、必要に応じて本発明の目的を損なわない範囲で、その他の添加剤、例えば、充填剤、可塑剤、チクソトロピー性付与剤、シランカップリング剤、顔料、染料、老化防止剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、乾性油、接着性付与剤、分散剤、脱水剤、紫外線吸収剤、溶剤等を含有することができる。
【0042】
充填剤としては、各種形状の有機または無機のもの、例えば、炭酸カルシウム、カーボンブラック、シリカ(ホワイトカーボン)、クレー・タルク類、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化バリウム、酸化マグネシウム、生石灰、炭酸塩類(例えば、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、胡粉)、アルミナ水和物(例えば、含水水酸化アルミニウム)、ケイソウ土、硫酸バリウム(例えば、沈降性硫酸バリウム)、マイカ、硫酸アルミナ、リトポン、アスベスト、グラファイト、二硫化モリブデン、軽石粉、ガラス粉、ケイ砂、ゼオライト;これらの脂肪酸、樹脂酸、脂肪酸エステル、高級アルコール付加イソシアネート化合物などによる表面処理物;ガラスバルーン;樹脂バルーン;等が挙げられる。
これらのうち、炭酸カルシウムを用いるのが、作業性に優れ、またコストの観点からも好ましい。
【0043】
可塑剤としては、例えば、テトラヒドロフタル酸、アゼライン酸、安息香酸、フタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、アジピン酸、セバシン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、クエン酸およびこれらの誘導体;ポリエステル、ポリエーテル、エポキシ系、パラフィン系、ナフテン系および芳香族系のプロセスオイル;等が挙げられる。
これらのうち、フタル酸系可塑剤、アジピン酸系可塑剤等のエステル系可塑剤が好ましい。
【0044】
チクソトロピー性付与剤としては、具体的には、例えば、エアロジル(日本エアロジル社製)、ディスパロン(楠本化成社製)等が挙げられる。
シランカップリング剤としては、具体的には、例えば、トリメトキシビニルシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0045】
顔料としては、無機顔料および有機顔料が挙げられる。
無機顔料としては、具体的には、例えば、亜鉛華、酸化チタン、弁柄、酸化クロム、鉄黒、複合酸化物(例えば、チタンエロー系、亜鉛−鉄系ブラウン、チタン・コバルト系グリーン、コバルトグリーン、コバルトブルー、銅−クロム系ブラック、銅−鉄系ブラック)などの酸化物;黄鉛、モリブデートオレンジなどのクロム酸塩;紺青等のフェロシアン化物;カドミウムエロー、カドミウムレッド、硫化亜鉛などの硫化物;硫酸バリウムなどの硫酸塩;塩酸塩;群青などのケイ酸塩;炭酸カルシウムなどの炭酸塩;マンガンバイオレットなどのリン酸塩;黄色酸化鉄などの水酸化物;カーボンブラックなどの炭素;アルミニウム粉、ブロンズ粉などの金属粉;チタン被覆雲母;等が挙げられる。
【0046】
有機顔料としては、具体的には、例えば、モノアゾレーキ系(例えば、レーキレッドC、パーマネンレッド2B、ブリリアントカーミン6B)、モノアゾ系(例えば、トルイジンレッド、ナフトールレッド、ファストエローG、ベンズイミダロンボルドー、ベンズイミダゾロンブラウン)、ジスアゾ系(例えば、ジスアゾエローAAA、ジスアゾエローHR、ピラゾロンレッド)、縮合アゾ系(例えば、縮合アゾエロー、縮合アゾレッド、縮合アゾブラウン)、金属錯塩アゾ系(例えば、ニッケルアゾエロー)などのアゾ系顔料;銅フタロシアニンブルー、銅フタロシアニングリーン、臭素化銅フタロシアニングリーンなどのフタロシアニン系顔料;塩基性染料レーキ(例えば、ローダミン6レーキ)などの染付顔料;アンスラキノン系(例えば、フラバンスロンエロー、ジアンスラキノリルレッド、インダンスレンブルー)、チオインジゴ系(例えば、チオインジゴボルドー)、ペリノン系(例えば、ペリノンオレンジ)、ペリレン系(例えば、ペリレンスカーレット、ペリレンレッド、ペリレンマルーン)、キナクリドン系(例えば、キナクリドンレッド、キナクリドンマゼンタ、キナクリドンスカーレット)、ジオキサジン系(例えば、ジオキサジンバイオレット)、イソインドリノン系(例えば、イソインドリノンエロー)、キノフタロン系(例えば、キノフタロンエロー)、イソインドリン系(例えば、イソインドリンエロー)、ピロール系(例えば、ピロールレッド)などの縮合多環顔料;銅アゾメチンエローなどの金属錯塩アゾメチン;アニリンブラック;昼光蛍光顔料;等が挙げられる。
【0047】
染料としては、具体的には、例えば、直接染料、建染染料、硫化染料、ナフトール染料、酸性染料、分散染料等が挙げられる。
老化防止剤は、具体的には、例えば、N,N′−ジフェニル−p−フェニレンジアミン(DPPD)、N,N′−ジナフチル−p−フェニレンジアミン(DNPD)、2,2,4−トリメチル−1,3−ジヒドロキノリン(TMDQ)、N−フェニル−1−ナフチルアミン(PAN)、ヒンダードフェノール系化合物等が挙げられる。
酸化防止剤は、具体的には、例えば、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)などのヒンダードフェノール系化合物;亜リン酸トリフェニル:等が挙げられる。
帯電防止剤は、具体的には、例えば、第四級アンモニウム塩、アミンなどのイオン性化合物;ポリグリコール、エチレンオキサイド誘導体などの親水性化合物;等が挙げられる。
難燃剤は、具体的には、例えば、クロロアルキルホスフェート、ジメチルメチルホスホネート、臭素・リン化合物、アンモニウムポリホスフェート、ジエチルビスヒドロキシエチルアミノホスフェート、ネオペンチルブロマイドーポリエーテル、臭素化ポリエーテル等が挙げられる。
乾性油としては、具体的には、例えば、アマニ油、大豆油、脱水ヒマシ油、桐油等が挙げられる。
【0048】
接着性付与剤は、具体的には、例えば、テルペン樹脂、フェノール樹脂、テルペン−フェノール樹脂、ロジン樹脂、キシレン樹脂、各種シランカップリング剤等が挙げられる。
分散剤は、具体的には、例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、リノール酸カルシウム、ヒドロキシステアリン酸マグネシウムなどの脂肪酸金属塩;ステアリン酸エチル、ラウリン酸エチル、オレイン酸ブチル、アジピン酸ジオクチル、ステアリン酸モノグリセライドなどの脂肪酸エステル;等が挙げられる。
脱水剤は、具体的には、例えば、メチルステアロキシポリシロキサン等が挙げられる。
紫外線吸収剤は、具体的には、例えば、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ヒンダードフェノール系紫外線吸収剤、サリチレート系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、オキザリックアシッドアニリド系紫外線吸収剤、フォルムアミジン系紫外線吸収剤、トリアジン環系紫外線吸収剤、ニッケル錯塩系紫外線吸収剤等が挙げられる。
溶剤としては、具体的には、例えば、ヘキサン、トルエンなどの炭化水素系;テトラクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素系;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系;ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系;酢酸エチルなどのエステル系;等が挙げられる。
【0049】
本発明のポリウレタン組成物の製造方法は、特に限定されず、例えば、上記ウレタンプレポリマー(A)ならびに所望により添加してもよい上記ウレタンプレポリマー(B)および各種添加剤を混合し、ロール、ニーダー、押出し機、万能攪拌機等を用いて室温下または加熱下(40〜60℃、例えば40℃)で十分に混合し、均一に分散(混練)させることにより製造することができる。
また、上記ウレタンプレポリマー(B)を含有させる場合は、上記ウレタンプレポリマー(A)の生成に用いられる上記カルボジイミド変性ポリイソシアネートと、上記ウレタンプレポリマー(B)の生成に用いられる上記ポリイソシアネート化合物とを、上記ポリオール化合物に対して同時に混合し、反応させる方法で含有させてもよい。
【0050】
本発明の弾性舗装材は、本発明のポリウレタン組成物を基盤上に塗布し、固化させることによりを得られる。
図1は、本発明の弾性舗装材が敷設された弾性舗装道路の一例を示す模式的断面図である。
図1に示すように、地面15に設けた基盤14上に、所定の厚さで弾性舗装材10が敷設されている。この弾性舗装材10は、有機骨材および/または無機骨材11を用途に合わせて適宜混合し、これに本発明のポリウレタン組成物12をバインダーとして用いた弾性舗装材用組成物を塗布し、固化させることにより構成されている。
【0051】
基盤としては、具体的には、例えば、コンクリート、モルタル、アスファルトコンクリート、木板、合成樹脂等の公知の硬質ないし軟質基盤のほか、砕石層、栗石層等のいわゆる路盤層も含む。
【0052】
有機骨材としては、例えば、各種のゴム、合成樹脂、木片、コルク等のチップが挙げられる。
ゴムチップとしては、具体的には、例えば、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、アクリルニトリルブタジエンゴム、ポリウレタンゴム、EPDM等が挙げられ、経済性の観点から、産業廃棄物としての廃タイヤを粉砕したものが好適である。ゴム粉砕物の形状としては、粒状またはある長さをもつひじき状のものが好ましい。また、粒径は1mm以上が好ましく、2〜6mmのものがより好ましい。
合成樹脂チップとしては、上記のゴムチップ以外の各種合成樹脂材料から得られる粒状物を含む概念である。具体的には、自動車のバンパーやゴルフボールの粉砕品等が挙げられる。
【0053】
無機骨材としては、具体的には、例えば、山砂利、川砂利等の天然石、寒水石、珪砂、人工石、スラグ、セラミックス、金属粉等の粒状物が挙げられる。
これらのうち、コストの観点から珪砂の粒状物が適している。
無機骨材は、完成した舗装の強度、耐摩耗性の向上、表面に露出して防滑性の向上を図るためのものである。粒径は1mm以上、とりわけ2〜10mmのものが好適であるが、粒径5mm以下の細粒骨材が使用する無機材料の10体積%以上混合されているとより効果的である。
【0054】
以下に、本発明のポリウレタン組成物の基盤上への施工方法について説明する。
本発明のポリウレタン組成物は、有機骨材および/または無機骨材をミキサー等で混合しているところに添加するのが好ましい。
(1)有機骨材および/または無機骨材と(2)本発明のポリウレタン組成物との配合比(体積比)((1)/(2))は、用途に応じて適宜選択できる。
例えば、歩道用としては9/1〜6/4が適しており、9/1〜7/3が特に好適である。また、陸上競技場用としては9/1〜6/4、ジョギング走路用としては9/1〜6/4、テニスコート用としては9/1〜7/3、サッカー場用としては9/1〜5/5、その他多目的グラウンド用としては9/1〜5/5が適している。車道に用いる場合には、(1)/(2)は、9/1〜6/4が適しており、8/2〜6/4が特に好適である。例えば高速道路に用いる場合には、8/2〜6/4が適している。
【0055】
本発明のポリウレタン組成物の添加方法は、有機骨材や無機骨材に均一に付着できる方法であれば特に限定されないが、例えば、スプレー法、滴下法等が挙げられる。
本発明のポリウレタン組成物の添加時の温度は常温でよいが、硬化速度を調節する観点から、必要に応じて温度調節を行うことができる。
【0056】
また、舗装に着色することが景観上求められる場合には、本発明のポリウレタン組成物に顔料を混合することにより着色することがでる。その場合の顔料の配合量は、上記ウレタンプレポリマー(A)100質量部に対して、1.5〜8質量部であるのが好ましい。なお、有機骨材や無機骨材として、有色材料を用いることもできる。例えば、EPDM等のゴム、合成樹脂、人工石等のカラーチップ等が挙げられる。
【0057】
また、本発明のポリウレタン組成物は、アスファルトやコンクリート等の基盤面に、スムーサーやフィニッシャーを用いて所定の厚さ(歩道用には1〜2cm程度、車道用には2〜3cm程度、競技場用には1〜3cm程度)をのせ、常温で固化させて弾性舗装材を敷設する。必要に応じて、本発明のポリウレタン組成物を敷設する前に、基盤のプライマー処理を行うこともできる。プライマーとしては、TMXDI系プレポリマー以外に、MDI系プレポリマーやTDI系プレポリマー等が適している。
【0058】
本発明の弾性舗装材を敷設した舗装路面は、有機骨材と無機骨材との混合割合を調整し、歩道用としては有機骨材を多めに配合して衝撃吸収性を高めることができ、車道用としては無機骨材を歩道用よりも多めに配合し、騒音低減性、車両の操縦安定性および耐摩耗性のバランスを調整することができる。
【0059】
また、本発明の弾性舗装材は基盤との接着性に優れており、樹脂バインダーの硬化速度と貯蔵安定性のバランスが優れているため、施工時の作業効率がよい。
【実施例】
【0060】
以下に、実施例を示して本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されない。
【0061】
<ポリウレタン樹脂の調製>
ウレタンプレポリマー(A)の生成に用いられるカルボジイミド変性ポリイソシアネートおよびウレタンプレポリマー(B)の生成に用いられるポリイソシアネート化合物と、ポリオール化合物とを、第1表に示す質量部で配合し、反応させてポリウレタン樹脂を調製した。最終的な、NCO%およびNCN%は第1表に示す通りであった。
【0062】
【表1】

【0063】
【表2】

【0064】
上記第1表中の各成分は、以下のものを使用した。
・カルボジイミド変性ポリイソシアネート:カルボジイミド変性MDI(ルプラネートMW−103、BASF INOAC ポリウレタン社製)
・ポリイソシアネート化合物:MDI(コスモネートPH、三井武田ケミカル社製)
・ポリオール化合物:PPG(D−2000、旭硝子社製)
・3級アミン:ビス(2−モルホリノ)ジエチルエーテル、(U−CAT660M、サンアプロ社製)
【0065】
(実施例1〜10および比較例1〜4)
上記で得られたポリウレタン樹脂と、骨材(珪砂、平均粒径:2.2mm)および粒径ゴム(800H、粒径:0.5〜3mm、ミサワ東洋社製)を下記第2表に示す質量比で混合して各樹脂組成物を得た。
【0066】
得られた各樹脂組成物の低温作業性および硬化性、長期の貯蔵安定性ならびに耐発泡性を以下に示す測定方法により測定し、評価した。その結果を下記第2表に示す。
【0067】
<低温作業性>
低温作業性は、上記で得られたポリウレタン樹脂と、上記骨材および上記粒径ゴムとを5℃下において混合した際の混合のしやすさで評価した。
混合しやすいものを低温作業性に優れるものとして「○」と評価し、混合しにくいものを低温作業性に劣るものとして「×」と評価した。
【0068】
<硬化性>
得られた各樹脂組成物を、JIS A1439:2004「建築用シーリング材の試験方法」に記載のタックフリー試験に準じて、20℃、60%RH(相対湿度)でのタックフリータイム(分)を測定した。
その結果、タックフリータイムが150分以内であれば、硬化性に優れていると評価でき、タックフリータイムが150分超200分以内であれば、実用上硬化性に問題ないと評価でき、タックフリータイムが200分超であれば、硬化性に劣ると評価できる。
【0069】
<長期の貯蔵安定性>
密閉容器内で上記で得られたポリウレタン樹脂と、上記骨材および上記粒径ゴムとを混合した後、80℃で30日間1日間貯蔵した後の外観を目視により確認した。
その結果、混合直後と外観に変化が見られないものを長期の貯蔵安定性に優れるものとして「○」と評価し、ゲル化・白濁したものを長期の貯蔵安定性に劣るものとして「×」と評価した。
【0070】
<耐発泡性>
得られた各樹脂組成物を20℃、60%RH(相対湿度)の条件下で塗布した後の発泡の有無を目視により確認した。
その結果、発泡が多数認められるものを耐発泡性に劣るものとして「×」と評価し、発泡が認められないか、極めて少ないものを耐発泡性に優れるものとして「○」と評価した。
【0071】
【表3】

【0072】
【表4】

【0073】
上記第2表に示す結果より、カルボジイミド変性ポリイソシアネートを用いて調製したウレタンプレポリマー(A)を含有するポリウレタン組成物(実施例1〜10)は、低温作業性および硬化性を満足しつつ、長期の貯蔵安定性および耐発泡性に優れることが分かった。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】図1は、本発明の弾性舗装材が敷設された弾性舗装道路の一例を示す模式的断面図である。
【符号の説明】
【0075】
1 弾性舗装道路
10 弾性舗装材
11 有機骨材および/または無機骨材
12 本発明のポリウレタン組成物
14 基盤
15 地面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主鎖にカルボジイミド基を有し、末端に2個以上のイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(A)を含有する弾性舗装用ポリウレタン組成物。
【請求項2】
前記ウレタンプレポリマー(A)の質量に対する前記カルボジイミド基の質量%が、1.5質量%以上である請求項1に記載の弾性舗装用ポリウレタン組成物。
【請求項3】
前記ウレタンプレポリマー(A)の質量に対する前記イソシアネート基の質量%が、5.0質量%以上である請求項1または2に記載の弾性舗装用ポリウレタン組成物。
【請求項4】
更に、他のウレタンプレポリマー(B)を含有する請求項1〜3のいずれかに記載の弾性舗装用ポリウレタン組成物。
【請求項5】
前記ウレタンプレポリマー(A)および前記ウレタンプレポリマー(B)の合計質量に対する前記カルボジイミド基の質量%が、1.2質量%以上である請求項4に記載の弾性舗装用ポリウレタン組成物。
【請求項6】
前記ウレタンプレポリマー(A)および前記ウレタンプレポリマー(B)の合計質量に対する前記イソシアネート基の質量%が、5.0質量%以上である請求項4または5に記載の弾性舗装用ポリウレタン組成物。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の弾性舗装用ポリウレタン組成物を固化させてなる弾性舗装材。

【図1】
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【公開番号】特開2010−121350(P2010−121350A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−295600(P2008−295600)
【出願日】平成20年11月19日(2008.11.19)
【出願人】(000006714)横浜ゴム株式会社 (4,905)
【Fターム(参考)】