弾性表面波デバイス
【課題】基板にLBOを用いたSAWデバイスの通過域高域側に生じるスプリアスを抑圧すると共に、熱衝撃試験、落下試験に耐えるSAWデバイスを提供する。
【解決手段】表面上にIDT電極が形成され、裏面に深さdの溝3が形成されたLBO基板2を紫外線硬化型接着剤によりパッケージに実装したSAWデバイスであって、LBO基板2の裏面に溝3を形成する。このとき、LBO基板2の厚さをt(μm)、IDT電極により励振される弾性表面波の波長をλ(μm)、溝3の深さをd(μm)としたときに、溝3の深さdが、8λ≦d≦(t−150)の範囲内とした。
【解決手段】表面上にIDT電極が形成され、裏面に深さdの溝3が形成されたLBO基板2を紫外線硬化型接着剤によりパッケージに実装したSAWデバイスであって、LBO基板2の裏面に溝3を形成する。このとき、LBO基板2の厚さをt(μm)、IDT電極により励振される弾性表面波の波長をλ(μm)、溝3の深さをd(μm)としたときに、溝3の深さdが、8λ≦d≦(t−150)の範囲内とした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、裏面が凹凸化した圧電基板を用いた弾性表面波デバイスに関し、特に通過帯域の高域側に生じるスプリアスを抑圧すると共に、熱衝撃、落下に対して強く、且つ弾性表面波デバイスとパッケージ底面との接着に、紫外線硬化型接着剤を使えるようにした弾性表面波デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、弾性表面波デバイス(SAWデバイス)は通信分野で広く利用され、高性能、小型、量産性等の優れた特徴を有することから特に携帯電話、LAN等に多く用いられている。圧電材料を基板として用いたSAWデバイスでは、表面波が励振されると共に、バルク波が基板中に放射され、これが受信されてスプリアスとなり、SAWデバイスの特性を劣化させている。
バルク波を抑圧する手段は古くより種々提案されており、特許文献1にはタンタル酸リチウム基板の裏面に溝を形成したTV用フィルタが開示されている。特許文献1では、112.2°YカットLiTaO3基板の裏面に、第1の劈開線から角度θ1(47.5°)だけ傾斜した方向に溝を形成し、溝のピッチは0.3mm以下、溝幅80μm〜90μm、溝深さ80μm以上としている。
また、特許文献2には、振幅リップル、位相リップルを小さくするため、基板底面を溝加工した表面波デバイスが開示されている。
図12は特許文献2に開示されている従来の表面波デバイスを示した図であり(a)は底面図、(b)は(a)のX−X線の断面図である。
図12(a)(b)に示すSAW基板51の表面には、図示しないがBGS波用IDTが形成されている。一方、SAW基板51の裏面には、図12(a)に示すように、BGS波の進行方向(矢印方向)と45゜の角度で、SAW基板51の厚みTに対して33%以上の深さdの溝51aが複数本形成されている。
この場合、基板の材質はPZT、溝51aの幅は100μm、基板の厚みTは450μm、溝51aの間隔は300μm、溝51aの深さdは0〜180μmに設定されている。特許文献2には溝51aの深さ率(d/T)を増していくと、振幅リップルが減少し、群遅延リップルも減少すると開示されている。
【0003】
また、特許文献3には、36°Yカット−X伝播LiTaO3基板上に複数のSAW共振子を形成し、該SAW共振子を配線で接続して構成したラダー型SAWフィルタが開示されている。SAW共振子は櫛形電極および反射器で構成され、ラダー型SAWフィルタの入力側から第1段目の並列共振子の略直下に、断面形状が半円状の溝を、IDT電極に平行に形成し、基板の最も薄い部分の厚みを約150μmに薄板化する。基板の一部を溝状に薄板化した構造により、バルク波の反射の影響を抑えたSAWデバイスを得ることができると記述されている。
また、特許文献4には、45°XカットZ伝搬四棚酸リチウム(45°X−Z Li2B4O7)基板の裏面に溝を形成した弾性表面波素子が開示されている。
図13は特許文献4に開示されている従来の弾性表面波素子を示した断面図である。
図13に示す弾性表面波素子61は、45°X−Z Li2B4O7基板62の表面上に、励振用の複数の電極指から成る櫛歯型電極(IDT電極)63、64が形成されている。この弾性表面波素子61は、弾性表面波の伝搬方向Bに対して直交するように、ダイサーカット加工により複数の溝65が形成され、各溝65の側壁面65aによってバルク波を抑圧することにより、受信側IDT電極でのバルク波の受信を抑えている。
各IDT電極63、64から夫々圧電基板裏面に向けて放射されるバルク波(実線矢印:1回反射、破線矢印:2回反射)を各溝65の側壁面65aで遮蔽するための条件、つまり各溝65の配置位置は、裏面1回反射、裏面2回反射について、夫々求められる。IDT電極63、64の中心間距離を2Lとしたときに、実線で示すように裏面で1回反射するバルク波を抑圧する為の溝65の形成位置を、IDT電極63の中心部であるA位置から伝播方向Bへ向けて距離L離間した部位とする。破線で示す裏面で2回反射するバルク波を抑圧する為の2つの溝65−2、65−3の形成位置をA位置から伝播方向Bへ向けて距離L/2、3L/2離間した部位としている。
図13のように内部伝搬するバルク波が基板裏面で等角入・反射を起こして送・受波される時が、スプリアスの影響が一番大きいと考えられる。そこで、特許文献4では、各溝の形成位置を決め、各位置にダイサーカット加工によって溝を形成することにより、各溝によりバルク波スプリアスを抑圧するようにしている。
【特許文献1】特開昭60−153616号公報
【特許文献2】特開平8−32403号公報
【特許文献3】特開平11−330899号公報
【特許文献4】特開2002−246876号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、四棚酸リチウムLi2B4O7基板の裏面に、特許文献1〜4に開示されているように溝を形成してバルク波を抑圧することで、通過域の高域側に生じるスプリアスを低減することは可能であるものの、基板の機械的強度が劣化し、熱衝撃試験(ヒートサイクル試験)や落下試験により破損が起こるという虞があった。
また、基板の裏面を粗化させてバルク波を抑圧することも提案されているが、このようなSAWデバイスでは、SAWデバイスをパッケージの底面に接着、固定する際に、紫外線硬化型接着剤を用いると裏面により紫外線が散乱され、接着剤の硬化が阻害されるという問題があった。
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、バルク波に起因するスプリアスを抑圧しつつ、熱衝撃、落下に強いLBO基板を用いたSAWデバイスを提供する。また、バルク波に起因するスプリアスを抑圧しつつ、パッケージ等への固着に紫外線硬化型接着剤を使用可能なLBO基板を用いたSAWデバイスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0006】
[適用例1]本発明のSAWデバイスは、一方の面を粗にした四硼酸リチウム基板の他方の面上に櫛歯型電極を形成し、該四硼酸リチウム基板の一方の面をパッケージに紫外線硬化型接着剤により実装したSAWデバイスであって、前記四硼酸リチウム基板の一方の面に溝を形成し、前記四硼酸リチウム基板の厚さをt(μm)、前記櫛歯型電極により励振される弾性表面波の波長をλ(μm)、前記溝の深さをd(μm)としたときに、前記溝の深さdが、8λ≦d≦(t−150)の範囲内であることを特徴とする。
【0007】
上記のように構成すると、通過域の高域側に生じるバルク波に起因するスプリアスを抑圧し、熱衝撃試験、落下試験といった環境試験に耐用するSAWデバイスが実現できる。また、四硼酸リチウム基板の裏面に溝を設けたので、該溝の部分が薄くなり、紫外線の透過がよくなるため四硼酸リチウム基板をパッケージに実装する際に、紫外線硬化型接着剤を用いることができるという利点がある。
【0008】
[適用例2]本発明のSAWデバイスは、前記溝を形成する前記四硼酸リチウム基板の一方の面をポリシュ仕上げしたことを特徴とする適用例1に記載のSAWデバイスである。
【0009】
上記のように構成すると、通過域の高域側に生じるバルク波に起因するスプリアスを抑圧すると共に、熱衝撃試験、落下試験に耐用するSAWデバイスを構成することができる。その上、裏面側もポリッシュ仕上げされているので、紫外線の透過が一層よくなり、紫外線硬化型接着剤の硬化が促進される。
【0010】
[適用例3]本発明のSAWデバイスは、前記溝と前記弾性表面波の伝搬方向となす角が、略45°であることを特徴とする適用例1又は2に記載のSAWデバイスである。
【0011】
上記のように構成すると、通過域の高域側に生じるバルク波に起因するスプリアスを最もよく抑圧することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の弾性表面波デバイス(以下、SAWデバイスと称す)の実施形態を詳細に説明する。
図1は本発明の実施形態に係るSAWデバイスの概略構成を示した図である。
この図1に示す本実施形態のSAWデバイス1は、表面上に櫛歯型電極(以下、IDT電極と称す)10が形成された四硼酸リチウムLi2B4O7(以下、LBOと称す)基板2が、紫外線硬化型接着剤11によりパッケージ20に実装(固着)されている。LBO基板2の裏面には複数の溝3が形成されている。なお、必要ならLBO基板2の主表面には反射器(図示しない)が配置される。パッケージ20は例えばセラミック基板により構成される。
【0013】
図2は本実施形態に係るSAWデバイスのLBO基板の構成を示した図であり、(a)はその底面図、(b)は(a)のQ−Q線における断面図であり、一方の面をポリッシュ仕上げ、他方の面を粗とした厚さtのLBO基板の裏面に幅w2、深さdの溝3が、周期w1で形成されている。
LBO基板2の裏面に表面波の伝搬方向に対し、略45°の角度で複数の溝3が形成されている。また図2(b)に示すように、両面がポリッシュ仕上げされた厚さtのLBO基板2の裏面には、幅w2、深さdの溝3が周期w1で形成されている。
LBO基板2を用いたSAWデバイス1の裏面に溝3を形成する目的は、例えばSAWフィルタの場合、通過帯域の高域側に発生するスプリアスを抑圧することであるが、SAWデバイスが要求される環境試験、例えば熱衝撃試験(ヒートサイクル試験)、落下試験等にも十分に耐えられる必要がある。
そこで、LBO基板2上に250MHz帯(波長λ=13.61μm)のSAWフィルタを試作し、裏面に形成する溝の深さと、スプリアス抑圧との関係、熱衝撃試験による挿入損失変動量、周波数変動量との関係、落下試験による挿入損失変動量、周波数変動量との関係を実験的に求めた。LBO基板の板厚tを350μm、溝の幅w2を150μm、溝の周期w1を550μとし、溝の深さdをパラメータとし、90μmから240μmまで変化させた。なお、LBO基板は全ての実験に共通であるので、記述を省略する。
【0014】
図3は、溝3の深さdを120μmとしたSAWフィルタの熱衝撃試験の回数(サイクル数)と挿入損失変動量(dB)との関係を示した図である。
溝3の深さdが120μmのSAWフィルタは、3000サイクルの熱衝撃試験後の挿入損失変動量が極めて小さいことが分かる。
図4(a)は、溝3の深さdを120μmとしたSAWフィルタの、熱衝撃試験の回数(サイクル数)と、周波数変動量(ppm)との関係を示した図である。
溝3の深さdが120μmのSAWフィルタは、3000サイクルの熱衝撃試験後の周波数変動量が小さいことが分かる。
図4(b)、(c)は夫々溝3の深さdを120μmとしたSAWフィルタの、落下試験の回数と、挿入損失変動量(dB)及び周波数変動量(ppm)との関係を示した図である。
落下試験は1.5mの高さからコンクリート上に自然に落下させて行った。図4(b)より27回の落下試験後の挿入損失変動量(dB)は極めて小さいことが分かる。
また、図4(c)より27回の落下試験後の周波数変動量(ppm)は小さいことが分かった。
【0015】
図5(a)、(b)は、夫々溝3の深さdを160μmとしたSAWフィルタの、熱衝撃試験の回数(サイクル数)と、挿入損失変動量(dB)、及び周波数変動量(ppm)との関係を示した図である。
図5(a)より、溝の深さdが160μmのSAWフィルタは、3000サイクルの熱衝撃試験後の挿入損失変動量が、極めて小さいことが分かる。
また、図5(b)より溝3の深さdが160μmのSAWフィルタは、3000サイクルの熱衝撃試験後の周波数変動量(ppm)が小さいことが分かった。
図5(c)は、溝3の深さdを160μmとしたSAWフィルタの、落下試験の回数と、挿入損失変動量(dB)との関係を示した図である。
この図より27回の落下試験後の挿入損失変動量(dB)は極めて小さいことが分かる。
【0016】
図6は、溝3の深さdを160μmとしたSAWフィルタの、落下試験の回数と、周波数変動量(ppm)との関係を示した図である。
この図より27回の落下試験後の周波数変動量(ppm)は小さいことが分かった。
また、図7(a)、(b)は、夫々溝3の深さdを200μmとしたSAWフィルタの、熱衝撃試験の回数(サイクル数)と、挿入損失変動量(dB)、及び周波数変動量(ppm)との関係を示した図である。
図7(a)より、溝3の深さdが200μmのSAWフィルタは、3000サイクルの熱衝撃試験後の挿入損失変動量(dB)が、極めて小さいことが分かる。
また、図7(b)より溝3の深さdが200μmのSAWフィルタは、3000サイクルの熱衝撃試験後の周波数変動量(ppm)は、若干生じるが実用上問題とならない範囲であることが分かる。
【0017】
図8(a)、(b)は、夫々溝3の深さdを200μmとしたSAWフィルタの、落下試験の回数と、挿入損失変動量(dB)、及び周波数変動量(ppm)との関係を示した図である。
図8(a)より27回の落下試験後の挿入損失変動量(dB)は極めて小さいことが分かる。
また、図8(b)より27回の落下試験後の周波数変動量(ppm)は小さいことが分かる。
図9は、溝3の深さdを240μmとしたSAWフィルタの、熱衝撃試験の回数(サイクル数)と、挿入損失変動量(dB)との関係を示した図である。
この図から溝の深さdを240μm、つまり溝部における基板の残存厚が略110μmとなると、1000、2000、3000サイクルで夫々若干の不良が生じることが判明した。
【0018】
図10(a)は溝3の深さdを240μmとしたSAWフィルタの、熱衝撃試験の回数(サイクル数)と、周波数変動量(ppm)との関係を示した図である。
この図からも1000、2000、3000サイクルで夫々若干の不良が生じることが判明した。
図10(b)、(c)は、夫々溝3の深さdを240μmとしたSAWフィルタの、落下試験の回数と、挿入損失変動量(dB)、及び周波数変動量(ppm)との関係を示した図である。
図10(b)、(c)より明らかなように、溝の深さdを240μmとした場合、27回の自然落下試験後でも挿入損失変動量及び周波数変動量の不良は生じていないことが分かる。
【0019】
図11は、SAWフィルタの裏面に溝3を形成し、溝3の深さdと、SAWフィルタの通過域の高域側に生じる、バルク波に起因するスプリアスの大きさ(減衰量(dB))と、の関係を示した所謂箱ひげ図である。
周知のように、箱ひげ図からは最小値、中央値、最大値、25%点、75%点が視覚的に読み取れる。
横軸は溝3の深さd(mm)であり、0.09mm、0.11mm、0.13mm、0.15mm、0.17mmと変化させた。その時の通過域の高域側に生じるスプリアスの大きさを縦軸(dB)に示した。
図11より溝3の深さdが0.11mm以上あれば、所要の規格35.5dBを満たし、溝を0.11mmより深くしてもスプリアスの大きさは変わらないことが判明した。
SAWフィルタの通過域の高域側に生じるバルク波に起因するスプリアスは、弾性表面波の波長λに依存するので、溝3の深dさ0.11mm(110μm)を波長λ(13.61μm)で規格化すると8λとなり、これ以上の深さdがあればスプリアスを抑圧し、規格(35.5dB)を満たすことができる。
【0020】
また、以上に説明した熱衝撃試験、落下試験の結果から、溝3の深さdは、200μm以下であることが望ましいことが分かった。
LBO基板2の厚みをt(μm)とし、溝3の残存部の厚さ(t−d)が(350−200)=150μmより厚ければ、熱衝撃試験、落下試験に耐えられることが実験より判明した。つまり、溝の深さdは(t−150μm)より小さくする必要がある。
従って、通過域の高域側のスプリアスと、熱衝撃試験及び落下試験と、を同時に満した溝3の深さdの範囲は、8λ≦d≦(t−150μm)となる。
LBO基板の一方の面(裏面)、つまりパッケージ内面に接着される面を、粗にし、該面にバルク波を抑圧する溝3を形成したが、溝3の部分は薄くなるので紫外線の透過率がよく、紫外線硬化型接着剤を硬化させるには十分であった。
また、両主面をポリッシュ加工したLBO基板の裏面に溝3を形成したSAWデバイスについても実験したが、通過域高周波側に生じるバルク波に起因するスプリアスを抑圧することができた。その上、裏面側もポリッシュ加工されているので、紫外線の透過率がよく、紫外線硬化型接着剤を十分に硬化させた。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施形態に係るSAWデバイスの概略構成を示した図。
【図2】本実施形態に係るSAWデバイスのLBO基板の構成を示した図であり、(a)は底面図、(b)は(a)のQ−Q線における断面図。
【図3】熱衝撃試験の回数と挿入損失変動量との関係を示す図。
【図4】(a)は熱衝撃試験と周波数変動量、(b)、(c)は落下試験と、夫々挿入損失変動量、周波数変動量との関係を示す図。
【図5】(a)、(b)は熱衝撃試験と、夫々挿入損失変動量、周波数変動量との関係を示す図、(c)は落下試験と、挿入損失変動量との関係を示す図。
【図6】落下試験と、周波数変動量との関係を示す図。
【図7】(a)、(b)は熱衝撃試験と、夫々挿入損失変動量、周波数変動量との関係を示す図。
【図8】(a)、(b)は落下試験と、夫々挿入損失変動量、周波数変動量との関係を示す図。
【図9】熱衝撃試験と、挿入損失変動量との関係を示す図。
【図10】(a)は熱衝撃試験と、周波数変動量との関係を示す図、(b)、(c)は落下試験と、夫々挿入損失変動量、周波数変動量との関係を示す図。
【図11】(a)は溝の深さとスプリアスとの関係を示す箱ひげ図、(b)は溝の深さ、その実測値、スプリアスの最少、最大、平均値、標準偏差等を示す図。
【図12】従来のSAWデバイスの構成を示した図であり、(a)は底面図、(b)は断面図。
【図13】従来のSAWデバイスの他の構成を示す断面図。
【符号の説明】
【0022】
1…SAWデバイス、2…LBO基板、3…溝、4…裏面、10…IDT電極、11…紫外線硬化型接着剤、20…パッケージ、t…LBO基板の厚さ、w1…溝の周期、w2…溝の幅、d…溝の深さ、θ…表面波の伝搬方向と溝とのなす角度
【技術分野】
【0001】
本発明は、裏面が凹凸化した圧電基板を用いた弾性表面波デバイスに関し、特に通過帯域の高域側に生じるスプリアスを抑圧すると共に、熱衝撃、落下に対して強く、且つ弾性表面波デバイスとパッケージ底面との接着に、紫外線硬化型接着剤を使えるようにした弾性表面波デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、弾性表面波デバイス(SAWデバイス)は通信分野で広く利用され、高性能、小型、量産性等の優れた特徴を有することから特に携帯電話、LAN等に多く用いられている。圧電材料を基板として用いたSAWデバイスでは、表面波が励振されると共に、バルク波が基板中に放射され、これが受信されてスプリアスとなり、SAWデバイスの特性を劣化させている。
バルク波を抑圧する手段は古くより種々提案されており、特許文献1にはタンタル酸リチウム基板の裏面に溝を形成したTV用フィルタが開示されている。特許文献1では、112.2°YカットLiTaO3基板の裏面に、第1の劈開線から角度θ1(47.5°)だけ傾斜した方向に溝を形成し、溝のピッチは0.3mm以下、溝幅80μm〜90μm、溝深さ80μm以上としている。
また、特許文献2には、振幅リップル、位相リップルを小さくするため、基板底面を溝加工した表面波デバイスが開示されている。
図12は特許文献2に開示されている従来の表面波デバイスを示した図であり(a)は底面図、(b)は(a)のX−X線の断面図である。
図12(a)(b)に示すSAW基板51の表面には、図示しないがBGS波用IDTが形成されている。一方、SAW基板51の裏面には、図12(a)に示すように、BGS波の進行方向(矢印方向)と45゜の角度で、SAW基板51の厚みTに対して33%以上の深さdの溝51aが複数本形成されている。
この場合、基板の材質はPZT、溝51aの幅は100μm、基板の厚みTは450μm、溝51aの間隔は300μm、溝51aの深さdは0〜180μmに設定されている。特許文献2には溝51aの深さ率(d/T)を増していくと、振幅リップルが減少し、群遅延リップルも減少すると開示されている。
【0003】
また、特許文献3には、36°Yカット−X伝播LiTaO3基板上に複数のSAW共振子を形成し、該SAW共振子を配線で接続して構成したラダー型SAWフィルタが開示されている。SAW共振子は櫛形電極および反射器で構成され、ラダー型SAWフィルタの入力側から第1段目の並列共振子の略直下に、断面形状が半円状の溝を、IDT電極に平行に形成し、基板の最も薄い部分の厚みを約150μmに薄板化する。基板の一部を溝状に薄板化した構造により、バルク波の反射の影響を抑えたSAWデバイスを得ることができると記述されている。
また、特許文献4には、45°XカットZ伝搬四棚酸リチウム(45°X−Z Li2B4O7)基板の裏面に溝を形成した弾性表面波素子が開示されている。
図13は特許文献4に開示されている従来の弾性表面波素子を示した断面図である。
図13に示す弾性表面波素子61は、45°X−Z Li2B4O7基板62の表面上に、励振用の複数の電極指から成る櫛歯型電極(IDT電極)63、64が形成されている。この弾性表面波素子61は、弾性表面波の伝搬方向Bに対して直交するように、ダイサーカット加工により複数の溝65が形成され、各溝65の側壁面65aによってバルク波を抑圧することにより、受信側IDT電極でのバルク波の受信を抑えている。
各IDT電極63、64から夫々圧電基板裏面に向けて放射されるバルク波(実線矢印:1回反射、破線矢印:2回反射)を各溝65の側壁面65aで遮蔽するための条件、つまり各溝65の配置位置は、裏面1回反射、裏面2回反射について、夫々求められる。IDT電極63、64の中心間距離を2Lとしたときに、実線で示すように裏面で1回反射するバルク波を抑圧する為の溝65の形成位置を、IDT電極63の中心部であるA位置から伝播方向Bへ向けて距離L離間した部位とする。破線で示す裏面で2回反射するバルク波を抑圧する為の2つの溝65−2、65−3の形成位置をA位置から伝播方向Bへ向けて距離L/2、3L/2離間した部位としている。
図13のように内部伝搬するバルク波が基板裏面で等角入・反射を起こして送・受波される時が、スプリアスの影響が一番大きいと考えられる。そこで、特許文献4では、各溝の形成位置を決め、各位置にダイサーカット加工によって溝を形成することにより、各溝によりバルク波スプリアスを抑圧するようにしている。
【特許文献1】特開昭60−153616号公報
【特許文献2】特開平8−32403号公報
【特許文献3】特開平11−330899号公報
【特許文献4】特開2002−246876号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、四棚酸リチウムLi2B4O7基板の裏面に、特許文献1〜4に開示されているように溝を形成してバルク波を抑圧することで、通過域の高域側に生じるスプリアスを低減することは可能であるものの、基板の機械的強度が劣化し、熱衝撃試験(ヒートサイクル試験)や落下試験により破損が起こるという虞があった。
また、基板の裏面を粗化させてバルク波を抑圧することも提案されているが、このようなSAWデバイスでは、SAWデバイスをパッケージの底面に接着、固定する際に、紫外線硬化型接着剤を用いると裏面により紫外線が散乱され、接着剤の硬化が阻害されるという問題があった。
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、バルク波に起因するスプリアスを抑圧しつつ、熱衝撃、落下に強いLBO基板を用いたSAWデバイスを提供する。また、バルク波に起因するスプリアスを抑圧しつつ、パッケージ等への固着に紫外線硬化型接着剤を使用可能なLBO基板を用いたSAWデバイスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0006】
[適用例1]本発明のSAWデバイスは、一方の面を粗にした四硼酸リチウム基板の他方の面上に櫛歯型電極を形成し、該四硼酸リチウム基板の一方の面をパッケージに紫外線硬化型接着剤により実装したSAWデバイスであって、前記四硼酸リチウム基板の一方の面に溝を形成し、前記四硼酸リチウム基板の厚さをt(μm)、前記櫛歯型電極により励振される弾性表面波の波長をλ(μm)、前記溝の深さをd(μm)としたときに、前記溝の深さdが、8λ≦d≦(t−150)の範囲内であることを特徴とする。
【0007】
上記のように構成すると、通過域の高域側に生じるバルク波に起因するスプリアスを抑圧し、熱衝撃試験、落下試験といった環境試験に耐用するSAWデバイスが実現できる。また、四硼酸リチウム基板の裏面に溝を設けたので、該溝の部分が薄くなり、紫外線の透過がよくなるため四硼酸リチウム基板をパッケージに実装する際に、紫外線硬化型接着剤を用いることができるという利点がある。
【0008】
[適用例2]本発明のSAWデバイスは、前記溝を形成する前記四硼酸リチウム基板の一方の面をポリシュ仕上げしたことを特徴とする適用例1に記載のSAWデバイスである。
【0009】
上記のように構成すると、通過域の高域側に生じるバルク波に起因するスプリアスを抑圧すると共に、熱衝撃試験、落下試験に耐用するSAWデバイスを構成することができる。その上、裏面側もポリッシュ仕上げされているので、紫外線の透過が一層よくなり、紫外線硬化型接着剤の硬化が促進される。
【0010】
[適用例3]本発明のSAWデバイスは、前記溝と前記弾性表面波の伝搬方向となす角が、略45°であることを特徴とする適用例1又は2に記載のSAWデバイスである。
【0011】
上記のように構成すると、通過域の高域側に生じるバルク波に起因するスプリアスを最もよく抑圧することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の弾性表面波デバイス(以下、SAWデバイスと称す)の実施形態を詳細に説明する。
図1は本発明の実施形態に係るSAWデバイスの概略構成を示した図である。
この図1に示す本実施形態のSAWデバイス1は、表面上に櫛歯型電極(以下、IDT電極と称す)10が形成された四硼酸リチウムLi2B4O7(以下、LBOと称す)基板2が、紫外線硬化型接着剤11によりパッケージ20に実装(固着)されている。LBO基板2の裏面には複数の溝3が形成されている。なお、必要ならLBO基板2の主表面には反射器(図示しない)が配置される。パッケージ20は例えばセラミック基板により構成される。
【0013】
図2は本実施形態に係るSAWデバイスのLBO基板の構成を示した図であり、(a)はその底面図、(b)は(a)のQ−Q線における断面図であり、一方の面をポリッシュ仕上げ、他方の面を粗とした厚さtのLBO基板の裏面に幅w2、深さdの溝3が、周期w1で形成されている。
LBO基板2の裏面に表面波の伝搬方向に対し、略45°の角度で複数の溝3が形成されている。また図2(b)に示すように、両面がポリッシュ仕上げされた厚さtのLBO基板2の裏面には、幅w2、深さdの溝3が周期w1で形成されている。
LBO基板2を用いたSAWデバイス1の裏面に溝3を形成する目的は、例えばSAWフィルタの場合、通過帯域の高域側に発生するスプリアスを抑圧することであるが、SAWデバイスが要求される環境試験、例えば熱衝撃試験(ヒートサイクル試験)、落下試験等にも十分に耐えられる必要がある。
そこで、LBO基板2上に250MHz帯(波長λ=13.61μm)のSAWフィルタを試作し、裏面に形成する溝の深さと、スプリアス抑圧との関係、熱衝撃試験による挿入損失変動量、周波数変動量との関係、落下試験による挿入損失変動量、周波数変動量との関係を実験的に求めた。LBO基板の板厚tを350μm、溝の幅w2を150μm、溝の周期w1を550μとし、溝の深さdをパラメータとし、90μmから240μmまで変化させた。なお、LBO基板は全ての実験に共通であるので、記述を省略する。
【0014】
図3は、溝3の深さdを120μmとしたSAWフィルタの熱衝撃試験の回数(サイクル数)と挿入損失変動量(dB)との関係を示した図である。
溝3の深さdが120μmのSAWフィルタは、3000サイクルの熱衝撃試験後の挿入損失変動量が極めて小さいことが分かる。
図4(a)は、溝3の深さdを120μmとしたSAWフィルタの、熱衝撃試験の回数(サイクル数)と、周波数変動量(ppm)との関係を示した図である。
溝3の深さdが120μmのSAWフィルタは、3000サイクルの熱衝撃試験後の周波数変動量が小さいことが分かる。
図4(b)、(c)は夫々溝3の深さdを120μmとしたSAWフィルタの、落下試験の回数と、挿入損失変動量(dB)及び周波数変動量(ppm)との関係を示した図である。
落下試験は1.5mの高さからコンクリート上に自然に落下させて行った。図4(b)より27回の落下試験後の挿入損失変動量(dB)は極めて小さいことが分かる。
また、図4(c)より27回の落下試験後の周波数変動量(ppm)は小さいことが分かった。
【0015】
図5(a)、(b)は、夫々溝3の深さdを160μmとしたSAWフィルタの、熱衝撃試験の回数(サイクル数)と、挿入損失変動量(dB)、及び周波数変動量(ppm)との関係を示した図である。
図5(a)より、溝の深さdが160μmのSAWフィルタは、3000サイクルの熱衝撃試験後の挿入損失変動量が、極めて小さいことが分かる。
また、図5(b)より溝3の深さdが160μmのSAWフィルタは、3000サイクルの熱衝撃試験後の周波数変動量(ppm)が小さいことが分かった。
図5(c)は、溝3の深さdを160μmとしたSAWフィルタの、落下試験の回数と、挿入損失変動量(dB)との関係を示した図である。
この図より27回の落下試験後の挿入損失変動量(dB)は極めて小さいことが分かる。
【0016】
図6は、溝3の深さdを160μmとしたSAWフィルタの、落下試験の回数と、周波数変動量(ppm)との関係を示した図である。
この図より27回の落下試験後の周波数変動量(ppm)は小さいことが分かった。
また、図7(a)、(b)は、夫々溝3の深さdを200μmとしたSAWフィルタの、熱衝撃試験の回数(サイクル数)と、挿入損失変動量(dB)、及び周波数変動量(ppm)との関係を示した図である。
図7(a)より、溝3の深さdが200μmのSAWフィルタは、3000サイクルの熱衝撃試験後の挿入損失変動量(dB)が、極めて小さいことが分かる。
また、図7(b)より溝3の深さdが200μmのSAWフィルタは、3000サイクルの熱衝撃試験後の周波数変動量(ppm)は、若干生じるが実用上問題とならない範囲であることが分かる。
【0017】
図8(a)、(b)は、夫々溝3の深さdを200μmとしたSAWフィルタの、落下試験の回数と、挿入損失変動量(dB)、及び周波数変動量(ppm)との関係を示した図である。
図8(a)より27回の落下試験後の挿入損失変動量(dB)は極めて小さいことが分かる。
また、図8(b)より27回の落下試験後の周波数変動量(ppm)は小さいことが分かる。
図9は、溝3の深さdを240μmとしたSAWフィルタの、熱衝撃試験の回数(サイクル数)と、挿入損失変動量(dB)との関係を示した図である。
この図から溝の深さdを240μm、つまり溝部における基板の残存厚が略110μmとなると、1000、2000、3000サイクルで夫々若干の不良が生じることが判明した。
【0018】
図10(a)は溝3の深さdを240μmとしたSAWフィルタの、熱衝撃試験の回数(サイクル数)と、周波数変動量(ppm)との関係を示した図である。
この図からも1000、2000、3000サイクルで夫々若干の不良が生じることが判明した。
図10(b)、(c)は、夫々溝3の深さdを240μmとしたSAWフィルタの、落下試験の回数と、挿入損失変動量(dB)、及び周波数変動量(ppm)との関係を示した図である。
図10(b)、(c)より明らかなように、溝の深さdを240μmとした場合、27回の自然落下試験後でも挿入損失変動量及び周波数変動量の不良は生じていないことが分かる。
【0019】
図11は、SAWフィルタの裏面に溝3を形成し、溝3の深さdと、SAWフィルタの通過域の高域側に生じる、バルク波に起因するスプリアスの大きさ(減衰量(dB))と、の関係を示した所謂箱ひげ図である。
周知のように、箱ひげ図からは最小値、中央値、最大値、25%点、75%点が視覚的に読み取れる。
横軸は溝3の深さd(mm)であり、0.09mm、0.11mm、0.13mm、0.15mm、0.17mmと変化させた。その時の通過域の高域側に生じるスプリアスの大きさを縦軸(dB)に示した。
図11より溝3の深さdが0.11mm以上あれば、所要の規格35.5dBを満たし、溝を0.11mmより深くしてもスプリアスの大きさは変わらないことが判明した。
SAWフィルタの通過域の高域側に生じるバルク波に起因するスプリアスは、弾性表面波の波長λに依存するので、溝3の深dさ0.11mm(110μm)を波長λ(13.61μm)で規格化すると8λとなり、これ以上の深さdがあればスプリアスを抑圧し、規格(35.5dB)を満たすことができる。
【0020】
また、以上に説明した熱衝撃試験、落下試験の結果から、溝3の深さdは、200μm以下であることが望ましいことが分かった。
LBO基板2の厚みをt(μm)とし、溝3の残存部の厚さ(t−d)が(350−200)=150μmより厚ければ、熱衝撃試験、落下試験に耐えられることが実験より判明した。つまり、溝の深さdは(t−150μm)より小さくする必要がある。
従って、通過域の高域側のスプリアスと、熱衝撃試験及び落下試験と、を同時に満した溝3の深さdの範囲は、8λ≦d≦(t−150μm)となる。
LBO基板の一方の面(裏面)、つまりパッケージ内面に接着される面を、粗にし、該面にバルク波を抑圧する溝3を形成したが、溝3の部分は薄くなるので紫外線の透過率がよく、紫外線硬化型接着剤を硬化させるには十分であった。
また、両主面をポリッシュ加工したLBO基板の裏面に溝3を形成したSAWデバイスについても実験したが、通過域高周波側に生じるバルク波に起因するスプリアスを抑圧することができた。その上、裏面側もポリッシュ加工されているので、紫外線の透過率がよく、紫外線硬化型接着剤を十分に硬化させた。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施形態に係るSAWデバイスの概略構成を示した図。
【図2】本実施形態に係るSAWデバイスのLBO基板の構成を示した図であり、(a)は底面図、(b)は(a)のQ−Q線における断面図。
【図3】熱衝撃試験の回数と挿入損失変動量との関係を示す図。
【図4】(a)は熱衝撃試験と周波数変動量、(b)、(c)は落下試験と、夫々挿入損失変動量、周波数変動量との関係を示す図。
【図5】(a)、(b)は熱衝撃試験と、夫々挿入損失変動量、周波数変動量との関係を示す図、(c)は落下試験と、挿入損失変動量との関係を示す図。
【図6】落下試験と、周波数変動量との関係を示す図。
【図7】(a)、(b)は熱衝撃試験と、夫々挿入損失変動量、周波数変動量との関係を示す図。
【図8】(a)、(b)は落下試験と、夫々挿入損失変動量、周波数変動量との関係を示す図。
【図9】熱衝撃試験と、挿入損失変動量との関係を示す図。
【図10】(a)は熱衝撃試験と、周波数変動量との関係を示す図、(b)、(c)は落下試験と、夫々挿入損失変動量、周波数変動量との関係を示す図。
【図11】(a)は溝の深さとスプリアスとの関係を示す箱ひげ図、(b)は溝の深さ、その実測値、スプリアスの最少、最大、平均値、標準偏差等を示す図。
【図12】従来のSAWデバイスの構成を示した図であり、(a)は底面図、(b)は断面図。
【図13】従来のSAWデバイスの他の構成を示す断面図。
【符号の説明】
【0022】
1…SAWデバイス、2…LBO基板、3…溝、4…裏面、10…IDT電極、11…紫外線硬化型接着剤、20…パッケージ、t…LBO基板の厚さ、w1…溝の周期、w2…溝の幅、d…溝の深さ、θ…表面波の伝搬方向と溝とのなす角度
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の面を粗にした四硼酸リチウム基板の他方の面上に櫛歯型電極を形成し、該四硼酸リチウム基板の一方の面をパッケージに紫外線硬化型接着剤により実装した弾性表面波デバイスであって、
前記四硼酸リチウム基板の一方の面に溝を形成し、
前記四硼酸リチウム基板の厚さをt(μm)、前記櫛歯型電極により励振される弾性表面波の波長をλ(μm)、前記溝の深さをd(μm)としたときに、
前記溝の深さdが、8λ≦d≦(t−150)の範囲内であることを特徴とする弾性表面波デバイス。
【請求項2】
前記溝を形成する前記四硼酸リチウム基板の一方の面をポリシュ仕上げしたことを特徴とする請求項1に記載の弾性表面波デバイス。
【請求項3】
前記溝と前記弾性表面波の伝搬方向となす角が、略45°であることを特徴とする請求項1又は2に記載の弾性表面波デバイス。
【請求項1】
一方の面を粗にした四硼酸リチウム基板の他方の面上に櫛歯型電極を形成し、該四硼酸リチウム基板の一方の面をパッケージに紫外線硬化型接着剤により実装した弾性表面波デバイスであって、
前記四硼酸リチウム基板の一方の面に溝を形成し、
前記四硼酸リチウム基板の厚さをt(μm)、前記櫛歯型電極により励振される弾性表面波の波長をλ(μm)、前記溝の深さをd(μm)としたときに、
前記溝の深さdが、8λ≦d≦(t−150)の範囲内であることを特徴とする弾性表面波デバイス。
【請求項2】
前記溝を形成する前記四硼酸リチウム基板の一方の面をポリシュ仕上げしたことを特徴とする請求項1に記載の弾性表面波デバイス。
【請求項3】
前記溝と前記弾性表面波の伝搬方向となす角が、略45°であることを特徴とする請求項1又は2に記載の弾性表面波デバイス。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−232338(P2009−232338A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−77419(P2008−77419)
【出願日】平成20年3月25日(2008.3.25)
【出願人】(000003104)エプソントヨコム株式会社 (1,528)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月25日(2008.3.25)
【出願人】(000003104)エプソントヨコム株式会社 (1,528)
【Fターム(参考)】
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