弾性表面波フィルタ
【課題】梯子型の弾性表面波(SAW)フィルタの耐熱性を向上させて耐電力性を向上させる。
【解決手段】複数のSAW共振子は、それぞれ1つのIDT及び2つの反射器を有している。各SAW共振子の間、SAW共振子と入力ボンディングパッドとの間、SAW共振子と出力ボンディングパッドとの間、及び各SAW共振子とアースボンディングパッドとの間が、接続パターン114で接続されて梯子型回路が構成されている。接続パターン114及びボンディングパッドの上側に基板よりも、熱伝導率の大きい誘電体膜116を蒸着して耐熱性を向上させている。
【解決手段】複数のSAW共振子は、それぞれ1つのIDT及び2つの反射器を有している。各SAW共振子の間、SAW共振子と入力ボンディングパッドとの間、SAW共振子と出力ボンディングパッドとの間、及び各SAW共振子とアースボンディングパッドとの間が、接続パターン114で接続されて梯子型回路が構成されている。接続パターン114及びボンディングパッドの上側に基板よりも、熱伝導率の大きい誘電体膜116を蒸着して耐熱性を向上させている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電体或いは強誘電体の基板に電極が形成された1端子対弾性表面波(以下、SAWという)共振子を多段の梯型に接続したSAWフィルタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、SAW共振子を用いたSAWフィルタに関する技術としては、例えば次のような文献に記載されたものがある。
【0003】
【非特許文献1】電子情報通信学会論文誌A、J76-A[2](1993−2)、佐藤他著“SAW共振器を用いた低損失帯域フィルタ”P.245-252
【非特許文献2】電子情報通信学会論文誌A、J76-A[2](1993−2)、疋田他著“移動無線通信機用SAWフィルタの実験”P.233-244
【非特許文献3】日本応用物理学会論文誌、36[5B](1997-5)、Noritoshi Kimura他著、“The Power Durability of 900MHz Band Double-Mode-Type Surface Acoustic Wave Filtersand Improvement in Power Durability of Al-Cu Thin Film Electrodes by Cu Atom Segregation ”P.3101-3106
【0004】
前記非特許文献1〜3には、SAWフィルタの構成及びSAWフィルタの寿命等について記載されている。
【0005】
図2は、前記文献1〜3に示された従来のSAWフィルタの基本構成を示す回路図であり、図3は、図2の周波数特性を示す特性図である。
【0006】
1端子対SAW共振子を梯子型に接続したSAWフィルタは、SAW共振子10を、図2のように直列腕と並列腕とに用い、これを梯子型に接続し、直列腕の周波数特性11により、フィルタの高域の減衰極13を形成し、並列腕の周波数特性12により、フィルタの低域の減衰極14を形成して帯域フィルタにしたものである。
【0007】
図4は、図2のSAW共振子10の要部を示す構成図であり、斜視図とA部分拡大図が示されている。
【0008】
SAW共振子10は、基板15に形成されてSAWを送受するためのすだれ状電極(以下、IDTという)16を持ち、その両側には、金属ストリップによるグレーティング反射器17が配置されている。
【0009】
定K型フィルタの理論から、直列腕における共振周波数と並列腕の反共振周波数とを一致させることにより、帯域フィルタが実現できる。通常、1段だけでは減衰量が不十分なため、例えば4段構成にする。
【0010】
図5は、4段構成の梯子型SAWフィルタの回路図であり、図6は、図5のSAWフィルタの構成図であり、図7は、図5のSAWフィルタの周波数特性を示す特性図である。
【0011】
4段構成の梯子型SAWフィルタの場合、1段目の直列腕のSAW共振子10s1と、2段目の直列腕のSAW共振子10s2と、3段目の直列腕のSAW共振子10s3と、4段目の直列腕のSAW共振子10s4とが、全体の直列腕になっている。この直列腕に対して、1段目の並列腕のSAW共振子10p1と、2段目の並列腕のSAW共振子10p2と、3段目の並列腕のSAW共振子10p3と、4段目の並列腕のSAW共振子10p4とが、梯子型に接続されている。
【0012】
図8は、従来のSAWフィルタの製造工程を示す断面図である。
図5のSAWフィルタは、例えば図8(a)〜(e)の工程を経て形成される。
【0013】
まず、図8(a)の工程では、例えば、結晶方位が36°Y−XのLiTaO3単結晶基板15を用意し、該基板15のパターン形成予定面にレジスト18をスピンコートで塗布する。図8(b)の工程において、レジスト18が塗布された基板15に対して光学マスク19を設定し、光20で露光することにより、レジスト18にSAWフィルタのパターンを転写する。図8(c)の工程において、現像で不要なレジスト18を選択的に除去する。図8(d)の工程において、不要なレジスト18が除去された基板15の上全面に、SAW共振子のIDT16となる電極金属のAl(アルミニウム)薄膜21を蒸着する。図8(e)の工程において、有機溶剤を用いて、Al薄膜21の不要な部分をレジスト18と共に除去する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、従来の梯子型SAWフィルタでは、次のような課題があった。
直列腕のSAW共振子10s1〜10s4及び並列腕のSAW共振子10p1〜10p4がいずれも定在波を利用するために、エネルギー密度が高く、トランスバーサル型フィルタと比較すると、耐電力的に厳しくなる。また、SAWを利用するので、波のエネルギーが基板15の表面から1波長以内の領域にそのエネルギーが集中する。つまり、エネルギー密度が高くなる。このことは、近年の携帯電話用アンテナ共用器(デュープレクサ)等のように、ワットオーダーの入力電力がある場合に、特に厳しくなる。
【0015】
SAWデバイスに大きな電力が入力されると、SAWの送受を行うIDT16に強い繰り返し応力が加わるので、電極金属Alにマイグレレーシュンが発生したり、発熱したりする。この対策として、現在では、電極金属であるAlに,Cu(銅)やTi(チタン)を添加し、IDT16における耐ストレスマイグレーション性や耐エレクトロマイグレーション性を向上させて耐電力を向上させている。ところが、このように耐電力を向上させようとすると、添加する金属を増加させなければならず、添加する金属がAl中で偏在したり、エッチングのときに該添加金属が残ってしまったり、抵抗値が上昇するという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記課題を解決するために、本発明のうちの第1の発明のSAWフィルタは、表面を具えた基板と、前記基板の前記表面に形成された第1SAW共振子と、前記基板の前記表面に形成されたボンディングパッドと、前記基板の前記表面に形成され、前記第1SAW共振子と前記ボンディングパッドとを接続する接続パターンと、前記接続パターン上に形成され、前記基板よりも熱伝導率の大きい誘電体膜とを有している。
【0017】
第2の発明のSAWフィルタは、表面を具えた基板と、前記基板の前記表面に形成された第1SAW共振子と、前記基板の前記表面に形成された第2SAW共振子と、前記基板の前記表面に形成され、前記第1SAW共振子と前記第2SAW共振子とを接続する接続パターンと、前記接続パターン上に形成され、前記基板よりも熱伝導率の大きい誘電体膜とを有している。
【発明の効果】
【0018】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、接続パターン上に誘電体膜を形成したので、SAW共振子の振動で発生した熱が誘電体膜を伝わって逃げ、耐熱性を向上させる。よって耐電力が向上する。
【0019】
また、接続パターンとボンディングパッドとを、Al或いはAl合金の膜と、これよりも熱伝導率が高い金属で形成された放熱膜とで構成した場合は、SAW共振子の振動で発生した熱が放熱膜を伝わって逃げ、耐熱性を向上させる。よって耐電力が向上する。
【0020】
接続パターンとボンディングパッドとを、Al或いはAl合金よりも熱伝導率が高い金属の膜パターンで構成した場合は、SAW共振子の振動で発生した熱が該膜を伝わって逃げ、耐熱性を向上させる。よって耐電力が向上する。
【0021】
接続パターンとボンディングパッドとを、SAW共振子の電極の厚さよりも50%以上厚いAl或いはAl合金の膜で構成した場合は、SAW共振子の振動で発生した熱が該膜を伝わって逃げ、耐熱性を向上させる。よって耐電力が向上する。
【0022】
接続パターンとボンディングパッドとを、圧電または強誘電体単結晶基板上に蒸着されて形成されたAl或いはAl合金の膜と、該圧電または強誘電体単結晶基板よりも熱伝導率が高い誘電体を1層以上重ねた構成にした場合は、SAW共振子の振動で発生した熱が誘電体を伝わって逃げ、耐熱性を向上させる。よって耐電力が向上する。
【0023】
接続パターンとボンディングパッドとを、Al或いはAl合金以上に熱伝導率が高い金属の膜に、該圧電または強誘電体単結晶基板よりも熱伝導率が高い誘電体を1層以上重ねて構成した場合は、SAW共振子の振動で発生した熱が金属膜及び誘電体を伝わって逃げ、耐熱性を向上させる。よって耐電力が向上する。
【0024】
前記誘電体を、Al2O3、AINまたはSi3N4で構成した場合は、圧電または強誘電体単結晶基板が通常のSAW共振子等で使用されるものでも、放熱効果が確保できる。
【0025】
前記Al合金を、AlにCu、TiまたはTaを加えたものとした場合は、耐マイグレーション性をさらに、向上できる。
【0026】
前記Al或いはAl合金よりも熱伝導率が高い金属は、Au、AgまたはCuで構成した場合は、十分な放熱性が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明を実施するための最良の形態として、好ましい実施例を以下説明する。
【実施例1】
【0028】
図9は、本発明の実施例1を示す梯子型SAWフィルタの概略の構成図であり、図10は、図9中のSAW共振子30s1の構成を示す斜視図である。
【0029】
この実施例1の梯子型SAWフィルタは、耐電力の特に発熱に着目し、梯子型SAWフィルタにおける各SAW共振子間を接続するパターン、SAW共振子とボンディングパッドとの間を接続する接続パターン及び該ボンディングパッドに、例えば熱伝導率のよいAu(金)等を蒸着することにより、発熱の大きい共振子で発生した熱を後段の発熱の小さい共振子及び外部回路に逃がし、耐熱性を向上させ、耐電力を向上させたものである。特に、発熱によって電極のマイグレーションが加速されるという報告もあるので、発生した熱を分散・放熱させて耐熱性を向上することは、重要である。
【0030】
図9の梯子型SAWフィルタは、従来の図5のSAWフィルタと同様に、4段構成のSAWフィルタであり、8個のSAW共振子30s1,30s2,30s3,30s4,30p1,30p2,30p3,30p4と、入力ボンディングパッド31と、出力ボンディングパッド32と、複数のアースボンディングパッド33とを備えている。
【0031】
SAW共振子30s1が1段目の直列腕の共振子であり、SAW共振子30s2が2段目の直列腕の共振子であり、SAW共振子30s3が3段目の直列腕の共振子であり、SAW共振子30s4が4段目の直列腕の共振子である。SAW共振子30p1が1段目の並列腕の共振子であり、SAW共振子30p2が2段目の並列腕の共振子であり、SAW共振子30p3が3段目の並列腕の共振子であり、SAW共振子30p4が4段目の並列腕の共振子である。
【0032】
SAW共振子30s1は、図10に示すように、基板35上にAl或いはAl合金で形成されたIDT30a及び該IDT30aの両側に形成された反射器30b,30cを有している。SAW共振子30s2〜30s4,30p1〜30p4も、同様のIDT30a及び反射器30b,30cを有している。
【0033】
各SAW共振子30s1〜30s4,30p1〜30p4の間、SAW共振子30s1と入力ボンディングパッド31との間、SAW共振子30s4と出力ボンディングパッド32との間、及び各SAW共振子30p1〜30p4とアースボンディングパッド33との間が、接続パターン34で接続されて4段の梯子型回路が構成されている。
【0034】
図1は、図9及び図10における実施例1を示す梯子形SAWフィルタのパターンの斜視図であり、図10のB部分拡大斜視図が示されている。
【0035】
各ボンディングパッド31〜33及び接続パターン34は、基板35上に形成されたAl或いはAl合金の膜36と、前記耐熱性の向上のために、その上に蒸着された例えばAuの放熱用の膜37とで構成されている。
【0036】
図11(a)〜(i)は、図1のSAWフィルタの製造工程を示す断面図である。
【0037】
図9のSAWフィルタは、図11(a)〜(i)に示される工程を順に行うことにより、製造される。以下に各工程の概要を説明する。
【0038】
まず、図11(a)の工程において、例えば結晶方位が36°Y−XのLiTaO3単結晶基板35を用意し、該基板35のSAW共振子形成予定面にレジスト38をスピンコートで塗布する。図11(b)の工程において、レジスト38が塗布された基板31に対して光学マスク39を設定し、光40で露光することにより、レジスト38に、SAW共振子30s1〜30s4,30p1〜30p4、ボンディングパッド31〜33及び接続パターン34のパターンが転写される。図11(c)の工程において、現像で不要なレジスト38を選択的に除去し、図11(d)の工程において、不要なレジスト38が除去された基板35の上側全面にAl薄膜41を蒸着する。図11(e)の工程において、有機溶剤を用いたリフトオフにより、不要なレジスト38及びAL薄膜41を除去する。ここまでの工程で、SAW共振子30s1〜30s4,30p1〜30p4、ボンディングパッド31〜33及び接続パターン34の膜36が、基板35上に形成される。
【0039】
図11(f)の工程において、基板35のSAWフィルタ30s1〜30s4,30p1〜30p4等が形成された面上に、再びレジスト42を塗布する。図11(g)の工程において、同図(b),(c)の工程と同様に、光学マスクを用いた光の露光により、膜37のパターン転写を行い、その後の現像で、不要なレジスト42を除去してAl薄膜41の表面を露出させる。
【0040】
図11(h)の工程において、Al薄膜41の表面が露出した基板35の上側全面に、膜37となるAu薄膜43を蒸着する。図11(i)の工程において、有機溶剤を用いて不要な薄膜43をレジスト42と共に除去する。以上により、膜37が、ボンディングパッド31〜33及び膜36の上に形成される。
【0041】
次に、図9のSAWフィルタの動作を説明する。
入力ボンディングパッド31に図示しないボンディングワイヤを介して信号が印加されると、直列腕SAW共振子30s1〜30s4には電力が通過し、かつ、最初の段になるほど大きな電力がかかる。これは、後段になるほど、途中のSAW共振子で電力が減衰するためである。つまり、直列腕SAW共振子30s1に一番大きな電力がかかり、該直列腕SAW共振子30s1の発熱量が一番おおきくなって、耐電力的に一番厳しくなる。そこで、直列腕SAW共振子30s1の耐電力を説明する。
【0042】
入力ボンディングパッド31に入力された電力は、1段目の直列腕SAW共振子30s1に入り、直列腕SAW共振子30s1を通った電力は、2段目の直列腕SAW共振子30s2と1段目及び2段目の並列腕SAW共振子30p1,30p2とに入力される。
【0043】
1段目の直列腕SAW共振子30s1に入力された電力により、該直列腕SAW共振子30s1が振動し、基板35における共振子30s1の下の1波長以内の領域にはSAWの定在波が発生し、それによって発熱する。
【0044】
直列腕SAW共振子30s1で発生した熱は、図9に示した放熱ルートR1〜R5を伝わって逃げる。
【0045】
放熱ルートR1は、直列腕SAW共振子30s1の入力側電極指からパターン34を伝わり、ボンディングパッド31及びボンディングワイヤを通って外部回路へ伝わるルートである。放熱ルートR2は、直列腕SAW共振子30s1の出力側電極指からパターン34を伝わり、直列腕SAW共振子30s2と並列腕SAW共振子30p1,30p2とに伝わるルートである。放熱ルートR3は、直列腕SAW共振子30s1の入力側電極指からボンディングパッド31に至るパターン34から、基板35の結晶中に伝わるルートである。放熱ルートR4は、直列腕SAW共振子30s1の出力側電極指から直列腕SAW共振子30s2及び並列腕SAW共振子30p1,30p2にいたるパターン34から、基板35の結晶中に伝わるルートである。放熱ルートR5は、基板35における直列腕SAW共振子30s1の下側の、深さが1波長以下の領域で発生した熱が、該基板35の横方向及び深さ方向へ伝わるルートである。
【0046】
この実施例1のSAWフィルタでは、ボンディングパッド31〜33と接続パターン34の膜36の上に、Auの放熱用の膜37を形成している。Al、Au、LiTaO3の熱伝導率は、それぞれ237,315,4.2[W/(m・K)]なので、放熱ルートR1〜R4での放熱効果が著しく向上し、結果的に耐熱性が向上して耐電力が向上する。
【0047】
例えば、900MHz携帯電話の周波数帯域で、Al薄膜41の膜厚比(=膜厚H/周波数λ)を11%、Au薄膜43の膜厚比を5%とし、直列腕SAW共振子30s1とボンディングパッド31との間のパターン34と、直列腕SAW共振子30s1と直列腕SAW共振子30s2及び並列腕SAW共振子30p1との間のパターン34との上のみに放熱用膜37を形成した簡単なもので評価をしても、6%の温度低下が見られた。
【0048】
よって、基板35の表面近傍で発生した熱を、熱伝導率がよくない結晶内部からではなく、表面の膜37を通じて早く放熱する。
【0049】
以上のように、この実施例1では、接続パターン34の上及びボンディングパッド31〜33の上に放熱用膜37を形成して放熱性を改善したので、次のような利点を持つSAWフィルタが得られる。
【0050】
(1) Alに多量の金属を添加する必要がなく、該添加する金属がAl中で偏在することがない。
【0051】
(2) Alに多量の金属を添加する必要がなく、該添加する金属がエッチング時に残ることがない。
【0052】
(3) Alに多量の金属を添加する必要がなく、該抵抗値が上昇することがない。
【0053】
(4) 膜36の上にAuが蒸着されるので、該膜36の膜はがれが防止できる。
【0054】
(5) 膜36の上にAuが蒸着されるので、該接続パターン34の電気抵抗が下がる。
【0055】
(6) 各SAW共振子30s2〜30s4,30p1〜30p4での温度上昇が抑えられるので、温度上昇による周波数変化が抑制できる。
【0056】
(7) 電極金属のAlに、Cu,Ti,Ta等を添加して耐マイグレーション性を向上させる従来の方法とも併用が可能であり、これによる相乗効果も期待できる。
【0057】
(8) 放熱効果を上げるために、接続パターン、ボンディングパッドを広げる必要がなく、チップサイズを大きくしないですむ。
【0058】
(9) 放熱効果を上げるために、接続パターン、ボンディングパッドを広げる必要がなく、寄生容量が増加しない。
【実施例2】
【0059】
図12は、本発明の実施例2を示す梯子型SAWフィルタの概略の構成図であり、図13は、図12中のSAW共振子50s1の構成を示す斜視図である。
【0060】
この梯子型SAWフィルタは、実施例1を示す図9と同様に、4段構成のSAWフィルタであり、8個のSAW共振子50s1〜50s4,50p1〜50p4と、入力ボンディングパッド51と、出力ボンディングパッド52と、複数のアースボンディングパッド53とを備えている。
【0061】
SAW共振子50s1が1段目の直列腕の共振子であり、SAW共振子50s2が2段目の直列腕の共振子であり、SAW共振子50s3が3段目の直列腕の共振子であり、SAW共振子50s4が4段目の直列腕の共振子である。SAW共振子50p1が1段目の並列腕の共振子であり、SAW共振子50p2が2段目の並列腕の共振子であり、SAW共振子50p3が3段目の並列腕の共振子であり、SAW共振子50p4が4段目の並列腕の共振子である。
【0062】
SAW共振子50s1は、図12に示すように、実施例1と同様のIDT50a及び反射器50b,50cを有している。SAW共振子50s2〜50s4,50p1〜50p4も、同様のIDT50a及び反射器50b,50cを有している。
【0063】
各SAW共振子50s1〜50s4,50p1〜50p4の間、SAW共振子50s1と入力ボンディングパッド51との間、SAW共振子50s4と出力ボンディングパッド52との間、及び各SAW共振子50p1〜50p4とアースボンディングパッド53との間が、接続パターン54で接続されて4段の梯子型回路が構成されている。
【0064】
図14は、図12及び図13における実施例2を示す梯子形SAWフィルタのパターンの斜視図であり、図13のC部分拡大斜視図が示されている。
【0065】
実施例1では、接続パターン及びボンディングパッドの上に放熱用の膜を形成していたが、本実施例2では、接続パターン54及びボンディングパッド51〜53の下側と基板55との間に放熱用の膜56を形成している。即ち、放熱用の膜パターン56の上に、AlまたはAl合金の膜57が積層された構成になっている。
【0066】
図15(a)〜(i)は、図1のSAWフィルタの製造工程を示す断面図である。
【0067】
図12のSAWフィルタは、図15(a)〜(i)に示される工程を順に行うことにより、製造される。以下に各工程の概要を説明する。
【0068】
まず、図15(a)の工程において、例えば結晶方位が36°Y−XのLiTaO3単結晶基板55を用意し、該基板55のSAW共振子形成予定面にレジスト58をスピンコートで塗布する。図15(b)の工程において、レジスト58が塗布された基板55に対して光学マスク59を設定し、光60で露光することにより、レジスト58に、接続パターン54の放熱用膜56のパターンが転写される。図15(c)の工程において、現像で不要なレジスト58を選択的に除去し、図15(d)の工程において、不要なレジスト58が除去された基板55の上側全面にAu薄膜61を蒸着する。図15(e)の工程において、有機溶剤を用いたリフトオフにより、不要なレジスト58及びAu薄膜61を除去する。ここまでの工程で、膜56が基板55上に形成される。
【0069】
図15(f)の工程において、基板55の放熱用の膜56が形成された面上に、再びレジスト62を塗布する。図15(g)の工程において、同図(b),(c)の工程と同様に、光学マスクを用いた光の露光により、SAW共振子50s1〜50s4,50p1〜50p4、ボンディングパッド51〜53及び膜57のパターンを転写し、その後の現像で、不要なレジスト62を除去する。Au薄膜61の表面を露出させる。
【0070】
図15(h)の工程において、Au薄膜61の表面が露出した基板55の上側全面に、SAW共振子50s1〜50s4,50p1〜50p4、及び57となるAl薄膜63を蒸着する。図15(i)の工程において、有機溶剤を用いて不要な薄膜63をレジスト62と共に除去する。以上により、SAW共振子50s1〜50s4,50p1〜50p4、ボンディングパッド51〜53及び接続パターン54が、形成される。
【0071】
次に、このSAWフィルタの動作を、図12中に示した放熱ルートR1〜R5を参照して説明する。
【0072】
この梯子型SAWフィルタにおいても、ボンディングパッド51に入力された電力は、1段目の直列腕SAW共振子50s1に入り、該直列腕SAW共振子50s1が振動することにより、熱が発生する。1段目の直列腕SAW共振子50s1を通った電力は、2段目の直列腕SAW共振子50s2と1段目の並列腕SAW共振子50p1と2段目の並列腕SAW共振子50p2とに入力される。
【0073】
1段目の直列腕SAW共振子50s1で発生した熱は、第1の実施形態と同様の放熱ルートR1〜R5を伝わって逃げる。
【0074】
ここで、この実施例2の梯子型SAWフィルタでは、接続パターン54及びボンディングパッド51〜53において、放熱用の膜56が形成されているので、実施例1と同様に、放熱ルートR1〜R4による放熱が、従来に比べて圧倒的によくなる。さらに、その放熱膜56が直接基板55に蒸着されているので、特に高周波で、接続パターン54が細くかつ基板55の結晶が厚い場合や、基板結晶が放熱性の悪いパッケージに固定されている場合、バンプ等で基板結晶がフェースダウンで接続され、基板結晶裏面からの放熱が期待できない時等には、非常に有効である。
【0075】
以上のように、この実施例2では、接続パターン54及びボンディングパッド51〜53の下側に放熱用の膜56を形成して各SAW共振子50s1〜50s4,50p1〜50p4における放熱を改善したので、次の(11)から(17)の利点を有する梯子型SAWフィルタが得られる。
【0076】
(11) Alに多量の金属を添加する必要がなく、該添加する金属がAl中で偏在することがない。
【0077】
(12) Alに多量の金属を添加する必要がなく、該添加する金属がエッチング時に残ることがない。
【0078】
(13) Alに多量の金属を添加する必要がなく、該抵抗値が上昇することがない。
【0079】
(14) AlまたはAL合金の膜57の下にAuの放熱用の膜56が蒸着されるので、該膜56の膜はがれを防止できる。
【0080】
(15) 接続パターン54の下にAu薄膜61が蒸着されるので、該接続パターン54のオーミック抵抗が下がる。
【0081】
(16) 各SAW共振子50s1〜50s4,50p1〜50p4での温度上昇が抑えられるので、温度上昇による周波数変化が抑制できる。
【0082】
(17) 電極金属のAlに、Cu,Ti,Ta等を添加して耐マイグレーション性を向上させる従来の方法とも併用が可能であり、これによる相乗効果も期待できる。
【実施例3】
【0083】
図16は、本発明の実施例3を示す梯子型SAWフィルタの概略の構成図であり、図17は、図16中のSAW共振子70s1の構成を示す斜視図である。
【0084】
この梯子型SAWフィルタは、実施例1を示す図9と同様に、4段構成のSAWフィルタであり、8個のSAW共振子70s1〜70s4,70p1〜70p4と、入力ボンディングパッド71と、出力ボンディングパッド72と、複数のアースボンディングパッド73とを備えている。
【0085】
SAW共振子70s1が1段目の直列腕の共振子であり、SAW共振子70s2が2段目の直列腕の共振子であり、SAW共振子70s3が3段目の直列腕の共振子であり、SAW共振子70s4が4段目の直列腕の共振子である。SAW共振子70p1が1段目の並列腕の共振子であり、SAW共振子70p2が2段目の並列腕の共振子であり、SAW共振子70p3が3段目の並列腕の共振子であり、SAW共振子70p4が4段目の並列腕の共振子である。
【0086】
SAW共振子70s1は、図17に示すように、実施例1と同様のIDT70a及び反射器70b,70cを有している。SAW共振子70s2〜70s4,70p1〜70p4も、同様のIDT70a及び反射器70b,70cを有している。
【0087】
各SAW共振子70s1〜70s4,70p1〜70p4の間、SAW共振子70s1と入力ボンディングパッド71との間、SAW共振子70s4と出力ボンディングパッド72との間、及び各SAW共振子70p1〜70p4とアースボンディングパッド73との間が、接続パターン74で接続されて4段の梯子型回路が構成されている。
【0088】
図18は、図16及び図17における実施例3を示す梯子形SAWフィルタのパターンの斜視図であり、図17のD部分拡大図が示されている。
【0089】
実施例1では、接続用パターン及びボンディングパッドの上側に放熱用の膜を形成していたが、本実施例3では、これらの接続パターン74及びボンディングパッド71〜73を、放熱用の膜76だけで形成している。
【0090】
図19(a)〜(i)は、図16のSAWフィルタの製造工程を示す断面図である。
【0091】
図16のSAWフィルタは、図19(a)〜(i)に示される工程を順に行うことにより、製造される。以下に各工程の概要を説明する。
【0092】
まず、図19(a)の工程において、例えば結晶方位が36°Y−XのLiTaO3単結晶基板75を用意し、該基板75のSAW共振子形成予定面にレジスト77をスピンコートで塗布する。図19(b)の工程において、レジスト77が塗布された基板75に対して光学マスク78を設定し、光79で露光することにより、レジスト77に、共振子のパターンが転写される。図19(c)の工程において、現像で不要なレジスト77を選択的に除去し、図19(d)の工程において、不要なレジスト78が除去された基板75の上側全面にAl薄膜80を蒸着する。図19(e)の工程において、有機溶剤を用いたリフトオフにより、不要なレジスト77及びAl薄膜80を除去する。ここまでの工程で、SAW共振子70s1〜70s4,70p1〜70p4が基板75上に形成される。
【0093】
図19(f)の工程において、基板75のSAW共振子70s1〜70s4,70p1〜70p4が形成された面上に、再びレジスト81を塗布する。図19(g)の工程において、同図(b),(c)の工程と同様に、光学マスクを用いた光の露光により、接続パターン74及びボンディングパッド71〜73のパターンを転写し、その後の現像で、不要なレジスト81を除去し、基板75の表面とSAW共振子70s1〜70s4,70p1〜70p4の端部を露出させる。
【0094】
図19(h)の工程において、基板75の上側全面に、接続パターン74となるAu薄膜82を蒸着する。図19(i)の工程において、有機溶剤を用いて不要な薄膜82をレジスト81と共に除去する。以上により、接続パターン74及びボンディングパッド71〜73が、基板75上に形成される。
【0095】
次に、このSAWフィルタの動作を、図16中に示した放熱ルートR1〜R5を参照して説明する。
【0096】
この梯子型SAWフィルタにおいても、ボンディングパッド71に入力された電力は、1段目の直列腕SAW共振子70s1に入り、該直列腕SAW共振子70s1が振動することにより、熱が発生する。1段目の直列腕SAW共振子70s1を通った電力は、2段目の直列腕SAW共振子70s2と1段目の並列腕SAW共振子70p1と2段目の並列腕SAW共振子70p2とに入力される。
【0097】
1段目の直列腕SAW共振子70s1で発生した熱は、第1の実施形態と同様の放熱ルートR1〜R5を伝わって逃げる。
【0098】
ここで、この実施例3の梯子型SAWフィルタでは、信号伝送用パターン74及びボンディングパッド71〜73が、Au膜82で形成されているので、第1の実施形態と同様に、放熱ルートR1〜R4による放熱が、従来に比べて圧倒的によくなる。さらに、放熱ルートとなるAu薄膜82が、直接基板75に蒸着されているので、特に高周波で、接続パターン74が細くかつ基板75の結晶が厚い場合や、基板結晶が放熱性の悪いパッケージに固定されている場合、バンプ等で結晶基板がフェースダウンで接続され、結晶基板の裏面からの放熱が期待できない時等には、非常に有効である。
【0099】
以上のように、この実施例3では、接続パターン74及びボンディングパッド71〜73をAu膜で形成して各SAW共振子70s1〜70s4,70p1〜70p4における放熱を改善したので、次の(21)から(28)の利点を有する梯子型SAWフィルタが得られる。
【0100】
(21) Alに多量の金属を添加する必要がなく、該添加する金属がAl中で偏在することがない。
【0101】
(22) Alに多量の金属を添加する必要がなく、該添加する金属がエッチング時に残ることがない。
【0102】
(23) Alに多量の金属を添加する必要がなく、該抵抗値が上昇することがない。
【0103】
(24) 接続パターン74がAuで構成されるので、デバイスのオーミック損失が低減できる。
【0104】
(25) 接続パターン74は、Auのみで蒸着・形成されるので、他の金属との密着不良により膜はがれがなくなると共に、Al中拡散による信頼性低下も防止できる。
【0105】
(26) 各SAW共振子70s1〜70s4,70p1〜70p4での温度上昇が抑えられるので、温度上昇による周波数変化が抑制できる。
【0106】
(27) 電極金属のAlに、Cu,Ti,Ta等を添加して耐マイグレーション性を向上させる従来の方法とも併用が可能であり、これによる相乗効果も期待できる。
【0107】
(28) 細い電極指と太い接続パターン74とを同時にエッチングまたはリフトオフすると、過剰に細い電極指をエッチングまたはリフトオフする危険があったが、本実施例3では電極指と接続パターン74とが別の工程で形成されるので、制御が容易である。
【実施例4】
【0108】
図20は、本発明の実施例4を示す梯子型SAWフィルタの概略の構成図であり、図21は、図20中のSAW共振子90s1の構成を示す斜視図である。
【0109】
この梯子型SAWフィルタは、実施例1を示す図9と同様に、4段構成のSAWフィルタであり、8個のSAW共振子90s1〜90s4,90p1〜90p4と、入力ボンディングパッド91と、出力ボンディングパッド92と、複数のアースボンディングパッド93とを備えている。
【0110】
SAW共振子90s1が1段目の直列腕の共振子であり、SAW共振子90s2が2段目の直列腕の共振子であり、SAW共振子90s3が3段目の直列腕の共振子であり、SAW共振子90s4が4段目の直列腕の共振子である。SAW共振子90p1が1段目の並列腕の共振子であり、SAW共振子90p2が2段目の並列腕の共振子であり、SAW共振子90p3が3段目の並列腕の共振子であり、SAW共振子90p4が4段目の並列腕の共振子である。
【0111】
SAW共振子90s1は、図21に示すように、実施例1と同様のIDT90a及び反射器90b,90cを有している。SAW共振子90s2〜90s4,90p1〜90p4も、同様のIDT90a及び反射器90b,90cを有している。
【0112】
各SAW共振子90s1〜90s4,90p1〜90p4の間、SAW共振子90s1と入力ボンディングパッド91との間、SAW共振子90s4と出力ボンディングパッド92との間、及び各SAW共振子90p1〜90p4とアースボンディングパッド93との間が、接続パターン94で接続されて4段の梯子型回路が構成されている。
【0113】
図22は、図20及び図21における実施例4を示す梯子形SAWフィルタのパターンの斜視図であり、図21のE部分拡大図が示されている。
【0114】
実施例1では、接続パターン及びボンディングパッドの上側に放熱用の膜を形成していたが、本実施例4では、これらの接続パターン94及びボンディングパッド91〜93を、共振子90s1〜90s4,90p1〜90p4よりも50%以上厚いAlまたはAl合金の膜96だけで形成している。
【0115】
図23(a)〜(i)は、図20のSAWフィルタの製造工程を示す断面図である。
【0116】
図20のSAWフィルタは、図23(a)〜(i)に示される工程を順に行うことにより、製造される。以下に各工程の概要を説明する。
【0117】
まず、図23(a)の工程において、例えば結晶方位が36°Y−XのLiTaO3単結晶基板95を用意し、該基板95のSAW共振子形成予定面にレジスト97をスピンコートで塗布する。図23(b)の工程において、レジスト97が塗布された基板95に対して光学マスク98を設定し、光99で露光することにより、レジスト97に、共振子のパターンが転写される。図23(c)の工程において、現像で不要なレジスト97を選択的に除去し、図23(d)の工程において、不要なレジスト98が除去された基板95の上側全面にAl薄膜100を蒸着する。図23(e)の工程において、有機溶剤を用いたリフトオフにより、不要なレジスト97及びAl薄膜100を除去する。ここまでの工程で、SAW共振子90s1〜90s4,90p1〜90p4が基板95上に形成される。
【0118】
図23(f)の工程において、基板95のSAW共振子90s1〜90s4,90p1〜90p4が形成された面上に、再びレジスト101を塗布する。図23(g)の工程において、同図(b),(c)の工程と同様に、光学マスクを用いた光の露光により、接続パターン94及びボンディングパッド91〜93のパターンを転写し、その後の現像で、不要なレジスト101を除去し、基板95の表面とSAW共振子90s1〜90s4,90p1〜90p4の端部を露出させる。
【0119】
図23(h)の工程において、基板95の上側全面に、接続パターン94となるAu薄膜102を蒸着する。図23(i)の工程において、有機溶剤を用いて不要な薄膜102をレジスト101と共に除去する。以上により、接続パターン94及びボンディングパッド91〜93が、基板95上に形成される。
【0120】
次に、このSAWフィルタの動作を、図20中に示した放熱ルートR1〜R5を参照して説明する。
【0121】
この梯子型SAWフィルタにおいても、ボンディングパッド91に入力された電力は、1段目の直列腕SAW共振子90s1に入り、該直列腕SAW共振子90s1が振動することにより、熱が発生する。1段目の直列腕SAW共振子90s1を通った電力は、2段目の直列腕SAW共振子90s2と1段目の並列腕SAW共振子90p1と2段目の並列腕SAW共振子90p2とに入力される。
【0122】
1段目の直列腕SAW共振子90s1で発生した熱は、実施例1と同様の放熱ルートR1〜R5を伝わって逃げる。
【0123】
ここで、この実施例4の梯子型SAWフィルタでは、接続パターン94及びボンディングパッド91〜93が、AlまたはAl合金の厚い膜で形成されているので、第1の実施形態と同様に、放熱ルートR1〜R4による放熱が、従来に比べて圧倒的によくなる。さらに、放熱ルートとなるAlまたはAl合金が、直接基板95に蒸着されているので、特に高周波で、接続パターン94が細くかつ基板95の結晶が厚い場合や、基板結晶が放熱性の悪いパッケージに固定されている場合、バンプ等で基板結晶がフェースダウンで接続され、基板結晶の裏面からの放熱が期待できない場合等には、非常に有効である。
【0124】
以上のように、この実施例4では、接続パターン94及びボンディングパッド91〜93を厚いAlまたはAl合金で形成して各SAW共振子90s1〜90s4,90p1〜90p4における放熱を改善したので、次の(31)から(37)の利点を有する梯子型SAWフィルタが得られる。
【0125】
(31) Alに多量の金属を添加する必要がなく、該添加する金属がAl中で偏在することがない。
【0126】
(32) Alに多量の金属を添加する必要がなく、該添加する金属がエッチング時に残ることがない。
【0127】
(33) Alに多量の金属を添加する必要がなく、該抵抗値が上昇することがない。
【0128】
(34) 接続パターン94がAlで構成されるので、特別な工程を追加せずにすむ。
【0129】
(35) 接続パターン94は、Alのみが蒸着され形成されるので、他の金属との密着不良により膜はがれがなくなると共に、他の金属のAl中拡散による信頼性低下も防止できる。
【0130】
(36) 各SAW共振子90s2〜90s4,90p1〜90p4での温度上昇が抑えられるので、温度上昇による周波数変化が抑制できる。
【0131】
(37) 電極金属のAlに、Cu,Ti,Ta等を添加して耐マイグレーション性を向上させる従来の方法とも併用が可能であり、これによる相乗効果も期待できる。
【実施例5】
【0132】
図24は、本発明の実施例5を示す梯子型SAWフィルタの概略の構成図であり、図25は、図24中のSAW共振子110s1の構成を示す斜視図である。
【0133】
この梯子型SAWフィルタは、実施例1を示す図9と同様に、4段構成のSAWフィルタであり、8個のSAW共振子110s1〜110s4,110p1〜110p4と、入力ボンディングパッド111と、出力ボンディングパッド112と、複数のアースボンディングパッド113とを備えている。
【0134】
SAW共振子110s1が1段目の直列腕の共振子であり、SAW共振子110s2が2段目の直列腕の共振子であり、SAW共振子110s3が3段目の直列腕の共振子であり、SAW共振子110s4が4段目の直列腕の共振子である。SAW共振子110p1が1段目の並列腕の共振子であり、SAW共振子110p2が2段目の並列腕の共振子であり、SAW共振子110p3が3段目の並列腕の共振子であり、SAW共振子110p4が4段目の並列腕の共振子である。
【0135】
SAW共振子110s1は、図25に示すように、実施例1と同様のIDT110a及び反射器110b,110cを有している。SAW共振子110s2〜110s4,110p1〜110p4も、同様のIDT110a及び反射器110b,110cを有している。
【0136】
各SAW共振子110s1〜110s4,110p1〜110p4の間、SAW共振子110s1と入力ボンディングパッド111との間、SAW共振子110s4と出力ボンディングパッド112との間、及び各SAW共振子110p1〜110p4とアースボンディングパッド113との間が、接続パターン114で接続されて4段の梯子型回路が構成されている。
【0137】
図26は、図24及び図25における実施例5を示す梯子型SAWフィルタのパターンの斜視図であり、図25のF部分拡大斜視図が示されている。
【0138】
実施例1では、接続パターン及びボンディングパッドの上側に放熱用の膜を形成していたが、本実施例5では、接続パターン114及びボンディングパッド111〜113の上側に基板115よりも、熱伝導率の大きい誘電体膜116を蒸着して耐熱性を向上させている。
【0139】
図27(a)〜(i)は、図24のSAWフィルタの製造工程を示す断面図である。
【0140】
図24のSAWフィルタは、図27(a)〜(i)に示される工程を順に行うことにより、製造される。以下に各工程の概要を説明する。
【0141】
まず、図27(a)の工程において、例えば結晶方位が36°Y−XのLiTaO3単結晶基板115を用意し、該基板115のSAW共振子形成予定面にレジスト117をスピンコートで塗布する。図27(b)の工程において、レジスト117が塗布された基板115に対して光学マスク118を設定し、光119で露光することにより、レジスト117に、SAW共振子110s1〜110s4,110p1〜110p4とボンディングパッド111〜113、及び接続パターン114のパターンが転写される。図27(c)の工程において、現像で不要なレジスト117を選択的に除去し、図27(d)の工程において、不要なレジスト118が除去された基板115の上側全面にAl薄膜120を蒸着する。図27(e)の工程において、有機溶剤を用いたリフトオフにより、不要なレジスト117及びAl薄膜120を除去する。ここまでの工程で、SAW共振子110s1〜110s4,110p1〜110p4と、ボンディングパッド111〜113及び接続パターン114の下地が基板115上に形成される。
【0142】
図27(f)の工程において、基板115のSAW共振子110s1〜110s4,110p1〜110p4が形成された面上に、再びレジスト121を塗布する。図27(g)の工程において、同図(b),(c)の工程と同様に、光学マスクを用いた光の露光により、接続パターン114及びボンディングパッド111〜113のパターンを転写し、その後の現像で、不要なレジスト121を除去し、接続パターン114及びボンディングパッド111〜113の下地のパターンを露出させる。
【0143】
図27(h)の工程において、基板115の上側から全面に、膜116となる伝導率の高い誘電体の例えばAl2O3の膜122を蒸着する。Al2 O3 の熱伝導率は、21[W/(m・K)]である。図27(i)の工程において、有機溶剤を用いて不要な膜122をレジスト121と共に除去する。以上により、上側に膜116が乗った接続パターン114及びボンディングパッド111〜113が、基板115上に形成される。
【0144】
次に、このSAWフィルタの動作を、図24中に示した放熱ルートR1〜R5を参照して説明する。
【0145】
この梯子型SAWフィルタにおいても、ボンディングパッド91に入力された電力は、1段目の直列腕SAW共振子110s1に入り、該直列腕SAW共振子110s1が振動することにより、熱が発生する。1段目の直列腕SAW共振子110s1を通った電力は、2段目の直列腕SAW共振子110s2と1段目の並列腕SAW共振子110p1と2段目の並列腕SAW共振子110p2とに入力される。
【0146】
1段目の直列腕SAW共振子110s1で発生した熱は、第1の実施形態と同様の放熱ルートR1〜R5を伝わって逃げる。
【0147】
ここで、この第5の実施形態の梯子型SAWフィルタでは、接続パターン114及びボンディングパッド111〜113の上側に、熱伝導率の高い膜116が形成されているので、第1の実施形態と同様に、放熱ルートR1〜R4による放熱が、従来に比べて圧倒的によくなる。さらに、特に高周波で、接続パターン114が細くかつ基板115の結晶が厚い場合や、基板結晶が放熱性の悪いパッケージに固定されている場合、バンプ等で基板結晶がフェースダウンで接続され、基板結晶の裏面からの放熱が期待できない場合等には、非常に有効である。
【0148】
以上のように、この実施例5では、接続パターン114及びボンディングパッド111〜113を、AlまたはAl合金の膜と熱伝導率が高い誘電体の膜116とで形成して、各SAW共振子110s1〜110s4,110p1〜110p4における放熱を改善したので、次の(41)から(47)の利点を有する梯子型SAWフィルタが得られる。
【0149】
(41) Alに多量の金属を添加する必要がなく、該添加する金属がAl中で偏在することがない。
【0150】
(42) Alに多量の金属を添加する必要がなく、該添加する金属がエッチング時に残ることがない。
【0151】
(43) Alに多量の金属を添加する必要がなく、該抵抗値が上昇することがない。
【0152】
(44) 接続パターン114の上側が誘電体の膜116になるので、パターンに保護ができる。
【0153】
(45) 誘電体の膜116は、接続パターン114やボンディングパッド111〜113以外の電気的特性に影響のでない部分にも蒸着可能であり、該誘電体で放熱構造を構築すれば、さらに、外部への放熱が改善できる。
【0154】
(46) 各SAW共振子110s1〜110s4,110p1〜110p4での温度上昇が抑えられるので、温度上昇による周波数変化が抑制できる。
【0155】
(47) 電極金属のAlに、Cu,Ti,Ta等を添加して耐マイグレーション性を向上させる従来の方法とも併用が可能であり、これによる相乗効果も期待できる。
【実施例6】
【0156】
図28は、本発明の実施例6を示す梯子型SAWフィルタの概略の構成図であり、図29は、図28中のSAW共振子130s1の構成を示す斜視図である。
【0157】
この梯子型SAWフィルタは、実施例1を示す図9と同様に、4段構成のSAWフィルタであり、8個のSAW共振子130s1〜130s4,130p1〜130p4と、入力ボンディングパッド131と、出力ボンディングパッド132と、複数のアースボンディングパッド133とを備えている。
【0158】
SAW共振子130s1が1段目の直列腕の共振子であり、SAW共振子130s2が2段目の直列腕の共振子であり、SAW共振子130s3が3段目の直列腕の共振子であり、SAW共振子130s4が4段目の直列腕の共振子である。SAW共振子130p1が1段目の並列腕の共振子であり、SAW共振子130p2が2段目の並列腕の共振子であり、SAW共振子130p3が3段目の並列腕の共振子であり、SAW共振子130p4が4段目の並列腕の共振子である。
【0159】
SAW共振子130s1は、図29に示すように、実施例1と同様のIDT130a及び反射器130b,130cを有している。SAW共振子130s2〜130s4,130p1〜130p4も、同様のIDT130a及び反射器130b,130cを有している。
【0160】
各SAW共振子130s1〜130s4,130p1〜130p4の間、SAW共振子130s1と入力ボンディングパッド131との間、SAW共振子130s4と出力ボンディングパッド132との間、及び各SAW共振子130p1〜130p4とアースボンディングパッド133との間が、接続パターン134で接続されて4段の梯子型回路が構成されている。
【0161】
図30は、図28及び図29における実施例6を示す梯子型SAWフィルタのパターンの斜視図であり、図29のG部分拡大斜視図が示されている。
【0162】
実施例1では、接続パターン及びボンディングパッドの上側に放熱用の膜を形成していたが、本実施例6では、接続パターン134及びボンディングパッド131〜133を、AlまたはAl合金の膜136を基板135に形成し、その上に、放熱用の膜137を積層し、さらに、熱伝導率の高い誘電体の膜138を積層して構成し、耐熱性を向上させている。
【0163】
図31(a)〜(m)は、図28のSAWフィルタの製造工程を示す断面図である。
【0164】
図28のSAWフィルタは、図31(a)〜(m)に示される工程を順に行うことにより、製造される。以下に各工程の概要を説明する。
【0165】
まず、図31(a)の工程において、例えば結晶方位が36°Y−XのLiTaO3単結晶基板135を用意し、該基板135のSAW共振子形成予定面にレジスト139をスピンコートで塗布する。図31(b)の工程において、レジスト139が塗布された基板135に対して光学マスク140を設定し、光141で露光することにより、レジスト139に、SAW共振子130s1〜130s4,130p1〜130p4とボンディングパッド131〜133、及び接続パターン134の膜136のパターンが転写される。図31(c)の工程において、現像で不要なレジスト139を選択的に除去し、図31(d)の工程において、不要なレジスト139が除去された基板135の上側全面にAl薄膜142を蒸着する。図31(e)の工程において、有機溶剤を用いたリフトオフにより、不要なレジスト139及びAl薄膜142を除去する。ここまでの工程で、SAW共振子130s1〜130s4,130p1〜130p4と、ボンディングパッド131〜133及び接続パターン134の下地の膜136が基板135上に形成される。
【0166】
図31(f)の工程において、基板135のSAW共振子130s1〜130s4130p1〜130p4等が形成された面上に、再びレジスト143を塗布する。図31(g)の工程において、同図(b),(c)の工程と同様に、光学マスクを用いた光の露光により、接続パターン134及びボンディングパッド131〜133の膜136のパターンを転写し、その後の現像で、不要なレジスト143を除去し、接続パターン134及びボンディングパッド131〜133の膜136のパターンを露出させる。
【0167】
図31(h)の工程において、基板135の上側から全面に、膜137となるAuの薄膜144を蒸着する。図31(i)の工程において、有機溶剤を用いて不要な膜144をレジスト143と共に除去する。
【0168】
図31(j)の工程において、基板135の上側から全面に、再びレジスト145を塗布する。図31(k)の工程において、同図(b),(c)の工程と同様に、光学マスクを用いた光の露光により、接続パターン134及びボンディングパッド131〜133の膜138のパターンを転写し、その後の現像で、不要なレジスト145を除去し、接続パターン134及びボンディングパッド131〜133の膜137のパターンを露出させる。
【0169】
図31(l)の工程において、基板135の上側から全面に、膜138となる伝導率の高い誘電体のAl2O3の膜146を蒸着する。図31(m)の工程において、有機溶剤を用いて不要な膜146をレジスト145と共に除去する。以上により、3層の接続パターン134及びボンディングパッド131〜133が、基板135上に形成される。
【0170】
次に、このSAWフィルタの動作を、図31中に示した放熱ルートR1〜R5を参照して説明する。
【0171】
この梯子型SAWフィルタにおいても、ボンディングパッド131に入力された電力は、1段目の直列腕SAW共振子130s1に入り、該直列腕SAW共振子130s1が振動することにより、熱が発生する。1段目の直列腕SAW共振子130s1を通った電力は、2段目の直列腕SAW共振子130s2と1段目の並列腕SAW共振子130p1と2段目の並列腕SAW共振子130p2とに入力される。
【0172】
1段目の直列腕SAW共振子130s1で発生した熱は、第1の実施形態と同様の放熱ルートR1〜R5を伝わって逃げる。
【0173】
ここで、この第6の実施形態の梯子型SAWフィルタでは、接続パターン134及びボンディングパッド131〜133を、AlまたはAl合金の膜136と、Auの放熱用の膜137と、熱伝導率の高い誘電体の膜138とで構成したので、第1の実施形態と同様に、放熱ルートR1〜R4による放熱が、従来に比べて圧倒的によくなる。さらに、特に高周波で、接続パターン134が細くかつ基板135の結晶が厚い場合や、基板結晶が放熱性の悪いパッケージに固定されている場合、バンプ等で基板結晶がフェースダウンで接続され、基板結晶の裏面からの放熱が期待できないとき等には、非常に有効である。
【0174】
以上のように、この実施例6では、接続パターン134及びボンディングパッド131〜133を、AlまたはAl合金の膜136と、Auの放熱用の膜137と、熱伝導率の高い誘電体の膜138とで構成して放熱性を改善したので、次の(51)から(60)の利点を有する梯子型SAWフィルタが得られる。
【0175】
(51) Alに多量の金属を添加する必要がなく、該添加する金属がAl中で偏在することがない。
【0176】
(52) Alに多量の金属を添加する必要がなく、該添加する金属がエッチング時に残ることがない。
【0177】
(53) Alに多量の金属を添加する必要がなく、該抵抗値が上昇することがない。
【0178】
(54) Alの膜136上にAuの膜137が蒸着されるので、膜136の膜はがれが防止できる。
【0179】
(55) Alの膜136上にAuの膜137が蒸着されるので、接続パターン134の断面積が増え、抵抗が減じることができる。
【0180】
(56) 各SAW共振子130s1〜130s4,130p1〜10p4での温度上
昇が抑えられるので、温度上昇による周波数変化が抑制できる。
【0181】
(57) 電極金属のAlに、Cu,Ti,Ta等を添加して耐マイグレーション性を向上させる従来の方法とも併用が可能であり、これによる相乗効果も期待できる。
【0182】
(58) 接続パターン134の上側が誘電体の膜138になるので、パターンに保護ができる。なおAlで構成されるので特別な工程を追加せずにすむ。
【0183】
(59) 接続パターン134の最上部が誘電体の膜138になるので、Auの膜137のはがれも防止できる。
【0184】
(60) 誘電体の膜138は、接続パターン134やボンディングパッド131〜133以外の電気的特性に影響のでない部分にも蒸着可能であり、該誘電体で放熱構造を構築すれば、さらに、外部への放熱が改善できる。
【0185】
なお、本発明は、上記実施例に限定されず種々の変形が可能である。その変形例としては、例えば次のようなものがある。
【0186】
(i) 実施例1〜3及び実施例5では、AlまたはAL合金よりも、熱伝導率の高い金属としてAuを使用したが、AgやCuも熱伝導率が高く、それぞれ426[W/(m・K)],398[W/(m・K)]なので、これらを利用しても同様の効果が得られる。
【0187】
(ii) 実施例1、2及び実施例5では、AlまたはAL合金よりも、熱伝導率の高い金属の膜37,56を一層に形成したが、金属を変えて多層にしてもよい。
【0188】
(iii) 実施例5、6では、基板よりも熱伝導率の高い誘電体をAl2O3としたが、AINやSi3N4も利用可能である。AINやSi3N4の熱伝導率は、200[W/(m・K)],5.5[W/(m・K)]である。また、AgやCuも熱伝導率が高く、それぞれ426[W/(m・K)],398[W/(m・K)]なので、これらを利用しても同様の効果が得られる。
【0189】
(iv) 実施例5、6では、基板よりも熱伝導率の高い誘電体の膜116,138を1層にしたが、多層にしてもよい。
【0190】
(v) 実施例3の膜76の上、或いは実施例4の膜96の上に、基板よりも熱伝導率の高い誘電体のAl2O3を積層してもよい。
【0191】
(vi) 実施例1〜6で説明した製造工程では、AlやAl2O3にリフトオフを適用したが、エッチングを行うようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0192】
【図1】本発明の実施例1を示す梯子型SAWフィルタのパターンの斜視図である。
【図2】従来のSAWフィルタの基本構成を示す回路図である。
【図3】図2の周波数特性を示す特性図である。
【図4】図2のSAW共振子10の要部を示す構成図である。
【図5】4段構成の梯子型SAWフィルタの回路図である。
【図6】図5のSAWフィルタの構成図である。
【図7】図5のSAWフィルタの周波数特性を示す特性図である。
【図8】従来のSAWフィルタの製造工程を示す断面図である。
【図9】本発明の実施例1を示す梯子型SAWフィルタの概略の構成図である。
【図10】図9中のSAW共振子30s1の構成を示す斜視図である。
【図11】図1のSAWフィルタの製造工程を示す断面図である。
【図12】本発明の実施例2を示す梯子型SAWフィルタの概略の構成図である。
【図13】図12中のSAW共振子50s1の構成を示す斜視図である。
【図14】本発明の実施例2を示す梯子型SAWフィルタのパターンの斜視図である。
【図15】図12のSAWフィルタの製造工程を示す断面図である。
【図16】本発明の実施例3を示す梯子型SAWフィルタの概略の構成図である。
【図17】図16中のSAW共振子70s1の構成を示す斜視図である。
【図18】本発明の実施例3を示す梯子型SAWフィルタのパターンの斜視図である。
【図19】図16のSAWフィルタの製造工程を示す断面図である。
【図20】本発明の実施例4を示す梯子型SAWフィルタの概略の構成図である。
【図21】図20中のSAW共振子90s1の構成を示す斜視図である。
【図22】本発明の実施例4を示す梯子型SAWフィルタのパターンの斜視図である。
【図23】図20のSAWフィルタの製造工程を示す断面図である。
【図24】本発明の実施例5を示す梯子型SAWフィルタの概略の構成図である。
【図25】図24中のSAW共振子110s1の構成を示す斜視図である。
【図26】本発明の実施例5を示す梯子型SAWフィルタのパターンの斜視図である。
【図27】図24のSAWフィルタの製造工程を示す断面図である。
【図28】本発明の実施例6を示す梯子型SAWフィルタの概略の構成図である。
【図29】図28中のSAW共振子130s1の構成を示す斜視図である。
【図30】本発明の実施例6を示す梯子型SAWフィルタのパターンの斜視図である。
【図31】図28のSAWフィルタの製造工程を示す断面図である。
【符号の説明】
【0193】
10s1〜10s4,10p1〜10p4,30s1〜30s4,30p1〜30p4,50s1〜50s4,50p1〜50p4,70s1〜70s4,70p1〜70p4,90s1〜90s4,90p1〜90p4,110s1〜110s4,110p1〜110p4,130s1〜130s4,130p1〜130p4 SAW共振子
11〜13,31〜33,51〜53,71〜73,91〜93,111〜113,131〜133 ボンディングパッド
14,34,54,74,94,114,134 接続パターン
15,35,55,75,95,115,135 基板
10a,30a,50a,70a,90a,110a,130a IDT
36,57,94,134 AlまたはAl合金膜
37,56,74,137 Au膜
116,138 誘電体膜
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電体或いは強誘電体の基板に電極が形成された1端子対弾性表面波(以下、SAWという)共振子を多段の梯型に接続したSAWフィルタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、SAW共振子を用いたSAWフィルタに関する技術としては、例えば次のような文献に記載されたものがある。
【0003】
【非特許文献1】電子情報通信学会論文誌A、J76-A[2](1993−2)、佐藤他著“SAW共振器を用いた低損失帯域フィルタ”P.245-252
【非特許文献2】電子情報通信学会論文誌A、J76-A[2](1993−2)、疋田他著“移動無線通信機用SAWフィルタの実験”P.233-244
【非特許文献3】日本応用物理学会論文誌、36[5B](1997-5)、Noritoshi Kimura他著、“The Power Durability of 900MHz Band Double-Mode-Type Surface Acoustic Wave Filtersand Improvement in Power Durability of Al-Cu Thin Film Electrodes by Cu Atom Segregation ”P.3101-3106
【0004】
前記非特許文献1〜3には、SAWフィルタの構成及びSAWフィルタの寿命等について記載されている。
【0005】
図2は、前記文献1〜3に示された従来のSAWフィルタの基本構成を示す回路図であり、図3は、図2の周波数特性を示す特性図である。
【0006】
1端子対SAW共振子を梯子型に接続したSAWフィルタは、SAW共振子10を、図2のように直列腕と並列腕とに用い、これを梯子型に接続し、直列腕の周波数特性11により、フィルタの高域の減衰極13を形成し、並列腕の周波数特性12により、フィルタの低域の減衰極14を形成して帯域フィルタにしたものである。
【0007】
図4は、図2のSAW共振子10の要部を示す構成図であり、斜視図とA部分拡大図が示されている。
【0008】
SAW共振子10は、基板15に形成されてSAWを送受するためのすだれ状電極(以下、IDTという)16を持ち、その両側には、金属ストリップによるグレーティング反射器17が配置されている。
【0009】
定K型フィルタの理論から、直列腕における共振周波数と並列腕の反共振周波数とを一致させることにより、帯域フィルタが実現できる。通常、1段だけでは減衰量が不十分なため、例えば4段構成にする。
【0010】
図5は、4段構成の梯子型SAWフィルタの回路図であり、図6は、図5のSAWフィルタの構成図であり、図7は、図5のSAWフィルタの周波数特性を示す特性図である。
【0011】
4段構成の梯子型SAWフィルタの場合、1段目の直列腕のSAW共振子10s1と、2段目の直列腕のSAW共振子10s2と、3段目の直列腕のSAW共振子10s3と、4段目の直列腕のSAW共振子10s4とが、全体の直列腕になっている。この直列腕に対して、1段目の並列腕のSAW共振子10p1と、2段目の並列腕のSAW共振子10p2と、3段目の並列腕のSAW共振子10p3と、4段目の並列腕のSAW共振子10p4とが、梯子型に接続されている。
【0012】
図8は、従来のSAWフィルタの製造工程を示す断面図である。
図5のSAWフィルタは、例えば図8(a)〜(e)の工程を経て形成される。
【0013】
まず、図8(a)の工程では、例えば、結晶方位が36°Y−XのLiTaO3単結晶基板15を用意し、該基板15のパターン形成予定面にレジスト18をスピンコートで塗布する。図8(b)の工程において、レジスト18が塗布された基板15に対して光学マスク19を設定し、光20で露光することにより、レジスト18にSAWフィルタのパターンを転写する。図8(c)の工程において、現像で不要なレジスト18を選択的に除去する。図8(d)の工程において、不要なレジスト18が除去された基板15の上全面に、SAW共振子のIDT16となる電極金属のAl(アルミニウム)薄膜21を蒸着する。図8(e)の工程において、有機溶剤を用いて、Al薄膜21の不要な部分をレジスト18と共に除去する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、従来の梯子型SAWフィルタでは、次のような課題があった。
直列腕のSAW共振子10s1〜10s4及び並列腕のSAW共振子10p1〜10p4がいずれも定在波を利用するために、エネルギー密度が高く、トランスバーサル型フィルタと比較すると、耐電力的に厳しくなる。また、SAWを利用するので、波のエネルギーが基板15の表面から1波長以内の領域にそのエネルギーが集中する。つまり、エネルギー密度が高くなる。このことは、近年の携帯電話用アンテナ共用器(デュープレクサ)等のように、ワットオーダーの入力電力がある場合に、特に厳しくなる。
【0015】
SAWデバイスに大きな電力が入力されると、SAWの送受を行うIDT16に強い繰り返し応力が加わるので、電極金属Alにマイグレレーシュンが発生したり、発熱したりする。この対策として、現在では、電極金属であるAlに,Cu(銅)やTi(チタン)を添加し、IDT16における耐ストレスマイグレーション性や耐エレクトロマイグレーション性を向上させて耐電力を向上させている。ところが、このように耐電力を向上させようとすると、添加する金属を増加させなければならず、添加する金属がAl中で偏在したり、エッチングのときに該添加金属が残ってしまったり、抵抗値が上昇するという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記課題を解決するために、本発明のうちの第1の発明のSAWフィルタは、表面を具えた基板と、前記基板の前記表面に形成された第1SAW共振子と、前記基板の前記表面に形成されたボンディングパッドと、前記基板の前記表面に形成され、前記第1SAW共振子と前記ボンディングパッドとを接続する接続パターンと、前記接続パターン上に形成され、前記基板よりも熱伝導率の大きい誘電体膜とを有している。
【0017】
第2の発明のSAWフィルタは、表面を具えた基板と、前記基板の前記表面に形成された第1SAW共振子と、前記基板の前記表面に形成された第2SAW共振子と、前記基板の前記表面に形成され、前記第1SAW共振子と前記第2SAW共振子とを接続する接続パターンと、前記接続パターン上に形成され、前記基板よりも熱伝導率の大きい誘電体膜とを有している。
【発明の効果】
【0018】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、接続パターン上に誘電体膜を形成したので、SAW共振子の振動で発生した熱が誘電体膜を伝わって逃げ、耐熱性を向上させる。よって耐電力が向上する。
【0019】
また、接続パターンとボンディングパッドとを、Al或いはAl合金の膜と、これよりも熱伝導率が高い金属で形成された放熱膜とで構成した場合は、SAW共振子の振動で発生した熱が放熱膜を伝わって逃げ、耐熱性を向上させる。よって耐電力が向上する。
【0020】
接続パターンとボンディングパッドとを、Al或いはAl合金よりも熱伝導率が高い金属の膜パターンで構成した場合は、SAW共振子の振動で発生した熱が該膜を伝わって逃げ、耐熱性を向上させる。よって耐電力が向上する。
【0021】
接続パターンとボンディングパッドとを、SAW共振子の電極の厚さよりも50%以上厚いAl或いはAl合金の膜で構成した場合は、SAW共振子の振動で発生した熱が該膜を伝わって逃げ、耐熱性を向上させる。よって耐電力が向上する。
【0022】
接続パターンとボンディングパッドとを、圧電または強誘電体単結晶基板上に蒸着されて形成されたAl或いはAl合金の膜と、該圧電または強誘電体単結晶基板よりも熱伝導率が高い誘電体を1層以上重ねた構成にした場合は、SAW共振子の振動で発生した熱が誘電体を伝わって逃げ、耐熱性を向上させる。よって耐電力が向上する。
【0023】
接続パターンとボンディングパッドとを、Al或いはAl合金以上に熱伝導率が高い金属の膜に、該圧電または強誘電体単結晶基板よりも熱伝導率が高い誘電体を1層以上重ねて構成した場合は、SAW共振子の振動で発生した熱が金属膜及び誘電体を伝わって逃げ、耐熱性を向上させる。よって耐電力が向上する。
【0024】
前記誘電体を、Al2O3、AINまたはSi3N4で構成した場合は、圧電または強誘電体単結晶基板が通常のSAW共振子等で使用されるものでも、放熱効果が確保できる。
【0025】
前記Al合金を、AlにCu、TiまたはTaを加えたものとした場合は、耐マイグレーション性をさらに、向上できる。
【0026】
前記Al或いはAl合金よりも熱伝導率が高い金属は、Au、AgまたはCuで構成した場合は、十分な放熱性が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明を実施するための最良の形態として、好ましい実施例を以下説明する。
【実施例1】
【0028】
図9は、本発明の実施例1を示す梯子型SAWフィルタの概略の構成図であり、図10は、図9中のSAW共振子30s1の構成を示す斜視図である。
【0029】
この実施例1の梯子型SAWフィルタは、耐電力の特に発熱に着目し、梯子型SAWフィルタにおける各SAW共振子間を接続するパターン、SAW共振子とボンディングパッドとの間を接続する接続パターン及び該ボンディングパッドに、例えば熱伝導率のよいAu(金)等を蒸着することにより、発熱の大きい共振子で発生した熱を後段の発熱の小さい共振子及び外部回路に逃がし、耐熱性を向上させ、耐電力を向上させたものである。特に、発熱によって電極のマイグレーションが加速されるという報告もあるので、発生した熱を分散・放熱させて耐熱性を向上することは、重要である。
【0030】
図9の梯子型SAWフィルタは、従来の図5のSAWフィルタと同様に、4段構成のSAWフィルタであり、8個のSAW共振子30s1,30s2,30s3,30s4,30p1,30p2,30p3,30p4と、入力ボンディングパッド31と、出力ボンディングパッド32と、複数のアースボンディングパッド33とを備えている。
【0031】
SAW共振子30s1が1段目の直列腕の共振子であり、SAW共振子30s2が2段目の直列腕の共振子であり、SAW共振子30s3が3段目の直列腕の共振子であり、SAW共振子30s4が4段目の直列腕の共振子である。SAW共振子30p1が1段目の並列腕の共振子であり、SAW共振子30p2が2段目の並列腕の共振子であり、SAW共振子30p3が3段目の並列腕の共振子であり、SAW共振子30p4が4段目の並列腕の共振子である。
【0032】
SAW共振子30s1は、図10に示すように、基板35上にAl或いはAl合金で形成されたIDT30a及び該IDT30aの両側に形成された反射器30b,30cを有している。SAW共振子30s2〜30s4,30p1〜30p4も、同様のIDT30a及び反射器30b,30cを有している。
【0033】
各SAW共振子30s1〜30s4,30p1〜30p4の間、SAW共振子30s1と入力ボンディングパッド31との間、SAW共振子30s4と出力ボンディングパッド32との間、及び各SAW共振子30p1〜30p4とアースボンディングパッド33との間が、接続パターン34で接続されて4段の梯子型回路が構成されている。
【0034】
図1は、図9及び図10における実施例1を示す梯子形SAWフィルタのパターンの斜視図であり、図10のB部分拡大斜視図が示されている。
【0035】
各ボンディングパッド31〜33及び接続パターン34は、基板35上に形成されたAl或いはAl合金の膜36と、前記耐熱性の向上のために、その上に蒸着された例えばAuの放熱用の膜37とで構成されている。
【0036】
図11(a)〜(i)は、図1のSAWフィルタの製造工程を示す断面図である。
【0037】
図9のSAWフィルタは、図11(a)〜(i)に示される工程を順に行うことにより、製造される。以下に各工程の概要を説明する。
【0038】
まず、図11(a)の工程において、例えば結晶方位が36°Y−XのLiTaO3単結晶基板35を用意し、該基板35のSAW共振子形成予定面にレジスト38をスピンコートで塗布する。図11(b)の工程において、レジスト38が塗布された基板31に対して光学マスク39を設定し、光40で露光することにより、レジスト38に、SAW共振子30s1〜30s4,30p1〜30p4、ボンディングパッド31〜33及び接続パターン34のパターンが転写される。図11(c)の工程において、現像で不要なレジスト38を選択的に除去し、図11(d)の工程において、不要なレジスト38が除去された基板35の上側全面にAl薄膜41を蒸着する。図11(e)の工程において、有機溶剤を用いたリフトオフにより、不要なレジスト38及びAL薄膜41を除去する。ここまでの工程で、SAW共振子30s1〜30s4,30p1〜30p4、ボンディングパッド31〜33及び接続パターン34の膜36が、基板35上に形成される。
【0039】
図11(f)の工程において、基板35のSAWフィルタ30s1〜30s4,30p1〜30p4等が形成された面上に、再びレジスト42を塗布する。図11(g)の工程において、同図(b),(c)の工程と同様に、光学マスクを用いた光の露光により、膜37のパターン転写を行い、その後の現像で、不要なレジスト42を除去してAl薄膜41の表面を露出させる。
【0040】
図11(h)の工程において、Al薄膜41の表面が露出した基板35の上側全面に、膜37となるAu薄膜43を蒸着する。図11(i)の工程において、有機溶剤を用いて不要な薄膜43をレジスト42と共に除去する。以上により、膜37が、ボンディングパッド31〜33及び膜36の上に形成される。
【0041】
次に、図9のSAWフィルタの動作を説明する。
入力ボンディングパッド31に図示しないボンディングワイヤを介して信号が印加されると、直列腕SAW共振子30s1〜30s4には電力が通過し、かつ、最初の段になるほど大きな電力がかかる。これは、後段になるほど、途中のSAW共振子で電力が減衰するためである。つまり、直列腕SAW共振子30s1に一番大きな電力がかかり、該直列腕SAW共振子30s1の発熱量が一番おおきくなって、耐電力的に一番厳しくなる。そこで、直列腕SAW共振子30s1の耐電力を説明する。
【0042】
入力ボンディングパッド31に入力された電力は、1段目の直列腕SAW共振子30s1に入り、直列腕SAW共振子30s1を通った電力は、2段目の直列腕SAW共振子30s2と1段目及び2段目の並列腕SAW共振子30p1,30p2とに入力される。
【0043】
1段目の直列腕SAW共振子30s1に入力された電力により、該直列腕SAW共振子30s1が振動し、基板35における共振子30s1の下の1波長以内の領域にはSAWの定在波が発生し、それによって発熱する。
【0044】
直列腕SAW共振子30s1で発生した熱は、図9に示した放熱ルートR1〜R5を伝わって逃げる。
【0045】
放熱ルートR1は、直列腕SAW共振子30s1の入力側電極指からパターン34を伝わり、ボンディングパッド31及びボンディングワイヤを通って外部回路へ伝わるルートである。放熱ルートR2は、直列腕SAW共振子30s1の出力側電極指からパターン34を伝わり、直列腕SAW共振子30s2と並列腕SAW共振子30p1,30p2とに伝わるルートである。放熱ルートR3は、直列腕SAW共振子30s1の入力側電極指からボンディングパッド31に至るパターン34から、基板35の結晶中に伝わるルートである。放熱ルートR4は、直列腕SAW共振子30s1の出力側電極指から直列腕SAW共振子30s2及び並列腕SAW共振子30p1,30p2にいたるパターン34から、基板35の結晶中に伝わるルートである。放熱ルートR5は、基板35における直列腕SAW共振子30s1の下側の、深さが1波長以下の領域で発生した熱が、該基板35の横方向及び深さ方向へ伝わるルートである。
【0046】
この実施例1のSAWフィルタでは、ボンディングパッド31〜33と接続パターン34の膜36の上に、Auの放熱用の膜37を形成している。Al、Au、LiTaO3の熱伝導率は、それぞれ237,315,4.2[W/(m・K)]なので、放熱ルートR1〜R4での放熱効果が著しく向上し、結果的に耐熱性が向上して耐電力が向上する。
【0047】
例えば、900MHz携帯電話の周波数帯域で、Al薄膜41の膜厚比(=膜厚H/周波数λ)を11%、Au薄膜43の膜厚比を5%とし、直列腕SAW共振子30s1とボンディングパッド31との間のパターン34と、直列腕SAW共振子30s1と直列腕SAW共振子30s2及び並列腕SAW共振子30p1との間のパターン34との上のみに放熱用膜37を形成した簡単なもので評価をしても、6%の温度低下が見られた。
【0048】
よって、基板35の表面近傍で発生した熱を、熱伝導率がよくない結晶内部からではなく、表面の膜37を通じて早く放熱する。
【0049】
以上のように、この実施例1では、接続パターン34の上及びボンディングパッド31〜33の上に放熱用膜37を形成して放熱性を改善したので、次のような利点を持つSAWフィルタが得られる。
【0050】
(1) Alに多量の金属を添加する必要がなく、該添加する金属がAl中で偏在することがない。
【0051】
(2) Alに多量の金属を添加する必要がなく、該添加する金属がエッチング時に残ることがない。
【0052】
(3) Alに多量の金属を添加する必要がなく、該抵抗値が上昇することがない。
【0053】
(4) 膜36の上にAuが蒸着されるので、該膜36の膜はがれが防止できる。
【0054】
(5) 膜36の上にAuが蒸着されるので、該接続パターン34の電気抵抗が下がる。
【0055】
(6) 各SAW共振子30s2〜30s4,30p1〜30p4での温度上昇が抑えられるので、温度上昇による周波数変化が抑制できる。
【0056】
(7) 電極金属のAlに、Cu,Ti,Ta等を添加して耐マイグレーション性を向上させる従来の方法とも併用が可能であり、これによる相乗効果も期待できる。
【0057】
(8) 放熱効果を上げるために、接続パターン、ボンディングパッドを広げる必要がなく、チップサイズを大きくしないですむ。
【0058】
(9) 放熱効果を上げるために、接続パターン、ボンディングパッドを広げる必要がなく、寄生容量が増加しない。
【実施例2】
【0059】
図12は、本発明の実施例2を示す梯子型SAWフィルタの概略の構成図であり、図13は、図12中のSAW共振子50s1の構成を示す斜視図である。
【0060】
この梯子型SAWフィルタは、実施例1を示す図9と同様に、4段構成のSAWフィルタであり、8個のSAW共振子50s1〜50s4,50p1〜50p4と、入力ボンディングパッド51と、出力ボンディングパッド52と、複数のアースボンディングパッド53とを備えている。
【0061】
SAW共振子50s1が1段目の直列腕の共振子であり、SAW共振子50s2が2段目の直列腕の共振子であり、SAW共振子50s3が3段目の直列腕の共振子であり、SAW共振子50s4が4段目の直列腕の共振子である。SAW共振子50p1が1段目の並列腕の共振子であり、SAW共振子50p2が2段目の並列腕の共振子であり、SAW共振子50p3が3段目の並列腕の共振子であり、SAW共振子50p4が4段目の並列腕の共振子である。
【0062】
SAW共振子50s1は、図12に示すように、実施例1と同様のIDT50a及び反射器50b,50cを有している。SAW共振子50s2〜50s4,50p1〜50p4も、同様のIDT50a及び反射器50b,50cを有している。
【0063】
各SAW共振子50s1〜50s4,50p1〜50p4の間、SAW共振子50s1と入力ボンディングパッド51との間、SAW共振子50s4と出力ボンディングパッド52との間、及び各SAW共振子50p1〜50p4とアースボンディングパッド53との間が、接続パターン54で接続されて4段の梯子型回路が構成されている。
【0064】
図14は、図12及び図13における実施例2を示す梯子形SAWフィルタのパターンの斜視図であり、図13のC部分拡大斜視図が示されている。
【0065】
実施例1では、接続パターン及びボンディングパッドの上に放熱用の膜を形成していたが、本実施例2では、接続パターン54及びボンディングパッド51〜53の下側と基板55との間に放熱用の膜56を形成している。即ち、放熱用の膜パターン56の上に、AlまたはAl合金の膜57が積層された構成になっている。
【0066】
図15(a)〜(i)は、図1のSAWフィルタの製造工程を示す断面図である。
【0067】
図12のSAWフィルタは、図15(a)〜(i)に示される工程を順に行うことにより、製造される。以下に各工程の概要を説明する。
【0068】
まず、図15(a)の工程において、例えば結晶方位が36°Y−XのLiTaO3単結晶基板55を用意し、該基板55のSAW共振子形成予定面にレジスト58をスピンコートで塗布する。図15(b)の工程において、レジスト58が塗布された基板55に対して光学マスク59を設定し、光60で露光することにより、レジスト58に、接続パターン54の放熱用膜56のパターンが転写される。図15(c)の工程において、現像で不要なレジスト58を選択的に除去し、図15(d)の工程において、不要なレジスト58が除去された基板55の上側全面にAu薄膜61を蒸着する。図15(e)の工程において、有機溶剤を用いたリフトオフにより、不要なレジスト58及びAu薄膜61を除去する。ここまでの工程で、膜56が基板55上に形成される。
【0069】
図15(f)の工程において、基板55の放熱用の膜56が形成された面上に、再びレジスト62を塗布する。図15(g)の工程において、同図(b),(c)の工程と同様に、光学マスクを用いた光の露光により、SAW共振子50s1〜50s4,50p1〜50p4、ボンディングパッド51〜53及び膜57のパターンを転写し、その後の現像で、不要なレジスト62を除去する。Au薄膜61の表面を露出させる。
【0070】
図15(h)の工程において、Au薄膜61の表面が露出した基板55の上側全面に、SAW共振子50s1〜50s4,50p1〜50p4、及び57となるAl薄膜63を蒸着する。図15(i)の工程において、有機溶剤を用いて不要な薄膜63をレジスト62と共に除去する。以上により、SAW共振子50s1〜50s4,50p1〜50p4、ボンディングパッド51〜53及び接続パターン54が、形成される。
【0071】
次に、このSAWフィルタの動作を、図12中に示した放熱ルートR1〜R5を参照して説明する。
【0072】
この梯子型SAWフィルタにおいても、ボンディングパッド51に入力された電力は、1段目の直列腕SAW共振子50s1に入り、該直列腕SAW共振子50s1が振動することにより、熱が発生する。1段目の直列腕SAW共振子50s1を通った電力は、2段目の直列腕SAW共振子50s2と1段目の並列腕SAW共振子50p1と2段目の並列腕SAW共振子50p2とに入力される。
【0073】
1段目の直列腕SAW共振子50s1で発生した熱は、第1の実施形態と同様の放熱ルートR1〜R5を伝わって逃げる。
【0074】
ここで、この実施例2の梯子型SAWフィルタでは、接続パターン54及びボンディングパッド51〜53において、放熱用の膜56が形成されているので、実施例1と同様に、放熱ルートR1〜R4による放熱が、従来に比べて圧倒的によくなる。さらに、その放熱膜56が直接基板55に蒸着されているので、特に高周波で、接続パターン54が細くかつ基板55の結晶が厚い場合や、基板結晶が放熱性の悪いパッケージに固定されている場合、バンプ等で基板結晶がフェースダウンで接続され、基板結晶裏面からの放熱が期待できない時等には、非常に有効である。
【0075】
以上のように、この実施例2では、接続パターン54及びボンディングパッド51〜53の下側に放熱用の膜56を形成して各SAW共振子50s1〜50s4,50p1〜50p4における放熱を改善したので、次の(11)から(17)の利点を有する梯子型SAWフィルタが得られる。
【0076】
(11) Alに多量の金属を添加する必要がなく、該添加する金属がAl中で偏在することがない。
【0077】
(12) Alに多量の金属を添加する必要がなく、該添加する金属がエッチング時に残ることがない。
【0078】
(13) Alに多量の金属を添加する必要がなく、該抵抗値が上昇することがない。
【0079】
(14) AlまたはAL合金の膜57の下にAuの放熱用の膜56が蒸着されるので、該膜56の膜はがれを防止できる。
【0080】
(15) 接続パターン54の下にAu薄膜61が蒸着されるので、該接続パターン54のオーミック抵抗が下がる。
【0081】
(16) 各SAW共振子50s1〜50s4,50p1〜50p4での温度上昇が抑えられるので、温度上昇による周波数変化が抑制できる。
【0082】
(17) 電極金属のAlに、Cu,Ti,Ta等を添加して耐マイグレーション性を向上させる従来の方法とも併用が可能であり、これによる相乗効果も期待できる。
【実施例3】
【0083】
図16は、本発明の実施例3を示す梯子型SAWフィルタの概略の構成図であり、図17は、図16中のSAW共振子70s1の構成を示す斜視図である。
【0084】
この梯子型SAWフィルタは、実施例1を示す図9と同様に、4段構成のSAWフィルタであり、8個のSAW共振子70s1〜70s4,70p1〜70p4と、入力ボンディングパッド71と、出力ボンディングパッド72と、複数のアースボンディングパッド73とを備えている。
【0085】
SAW共振子70s1が1段目の直列腕の共振子であり、SAW共振子70s2が2段目の直列腕の共振子であり、SAW共振子70s3が3段目の直列腕の共振子であり、SAW共振子70s4が4段目の直列腕の共振子である。SAW共振子70p1が1段目の並列腕の共振子であり、SAW共振子70p2が2段目の並列腕の共振子であり、SAW共振子70p3が3段目の並列腕の共振子であり、SAW共振子70p4が4段目の並列腕の共振子である。
【0086】
SAW共振子70s1は、図17に示すように、実施例1と同様のIDT70a及び反射器70b,70cを有している。SAW共振子70s2〜70s4,70p1〜70p4も、同様のIDT70a及び反射器70b,70cを有している。
【0087】
各SAW共振子70s1〜70s4,70p1〜70p4の間、SAW共振子70s1と入力ボンディングパッド71との間、SAW共振子70s4と出力ボンディングパッド72との間、及び各SAW共振子70p1〜70p4とアースボンディングパッド73との間が、接続パターン74で接続されて4段の梯子型回路が構成されている。
【0088】
図18は、図16及び図17における実施例3を示す梯子形SAWフィルタのパターンの斜視図であり、図17のD部分拡大図が示されている。
【0089】
実施例1では、接続用パターン及びボンディングパッドの上側に放熱用の膜を形成していたが、本実施例3では、これらの接続パターン74及びボンディングパッド71〜73を、放熱用の膜76だけで形成している。
【0090】
図19(a)〜(i)は、図16のSAWフィルタの製造工程を示す断面図である。
【0091】
図16のSAWフィルタは、図19(a)〜(i)に示される工程を順に行うことにより、製造される。以下に各工程の概要を説明する。
【0092】
まず、図19(a)の工程において、例えば結晶方位が36°Y−XのLiTaO3単結晶基板75を用意し、該基板75のSAW共振子形成予定面にレジスト77をスピンコートで塗布する。図19(b)の工程において、レジスト77が塗布された基板75に対して光学マスク78を設定し、光79で露光することにより、レジスト77に、共振子のパターンが転写される。図19(c)の工程において、現像で不要なレジスト77を選択的に除去し、図19(d)の工程において、不要なレジスト78が除去された基板75の上側全面にAl薄膜80を蒸着する。図19(e)の工程において、有機溶剤を用いたリフトオフにより、不要なレジスト77及びAl薄膜80を除去する。ここまでの工程で、SAW共振子70s1〜70s4,70p1〜70p4が基板75上に形成される。
【0093】
図19(f)の工程において、基板75のSAW共振子70s1〜70s4,70p1〜70p4が形成された面上に、再びレジスト81を塗布する。図19(g)の工程において、同図(b),(c)の工程と同様に、光学マスクを用いた光の露光により、接続パターン74及びボンディングパッド71〜73のパターンを転写し、その後の現像で、不要なレジスト81を除去し、基板75の表面とSAW共振子70s1〜70s4,70p1〜70p4の端部を露出させる。
【0094】
図19(h)の工程において、基板75の上側全面に、接続パターン74となるAu薄膜82を蒸着する。図19(i)の工程において、有機溶剤を用いて不要な薄膜82をレジスト81と共に除去する。以上により、接続パターン74及びボンディングパッド71〜73が、基板75上に形成される。
【0095】
次に、このSAWフィルタの動作を、図16中に示した放熱ルートR1〜R5を参照して説明する。
【0096】
この梯子型SAWフィルタにおいても、ボンディングパッド71に入力された電力は、1段目の直列腕SAW共振子70s1に入り、該直列腕SAW共振子70s1が振動することにより、熱が発生する。1段目の直列腕SAW共振子70s1を通った電力は、2段目の直列腕SAW共振子70s2と1段目の並列腕SAW共振子70p1と2段目の並列腕SAW共振子70p2とに入力される。
【0097】
1段目の直列腕SAW共振子70s1で発生した熱は、第1の実施形態と同様の放熱ルートR1〜R5を伝わって逃げる。
【0098】
ここで、この実施例3の梯子型SAWフィルタでは、信号伝送用パターン74及びボンディングパッド71〜73が、Au膜82で形成されているので、第1の実施形態と同様に、放熱ルートR1〜R4による放熱が、従来に比べて圧倒的によくなる。さらに、放熱ルートとなるAu薄膜82が、直接基板75に蒸着されているので、特に高周波で、接続パターン74が細くかつ基板75の結晶が厚い場合や、基板結晶が放熱性の悪いパッケージに固定されている場合、バンプ等で結晶基板がフェースダウンで接続され、結晶基板の裏面からの放熱が期待できない時等には、非常に有効である。
【0099】
以上のように、この実施例3では、接続パターン74及びボンディングパッド71〜73をAu膜で形成して各SAW共振子70s1〜70s4,70p1〜70p4における放熱を改善したので、次の(21)から(28)の利点を有する梯子型SAWフィルタが得られる。
【0100】
(21) Alに多量の金属を添加する必要がなく、該添加する金属がAl中で偏在することがない。
【0101】
(22) Alに多量の金属を添加する必要がなく、該添加する金属がエッチング時に残ることがない。
【0102】
(23) Alに多量の金属を添加する必要がなく、該抵抗値が上昇することがない。
【0103】
(24) 接続パターン74がAuで構成されるので、デバイスのオーミック損失が低減できる。
【0104】
(25) 接続パターン74は、Auのみで蒸着・形成されるので、他の金属との密着不良により膜はがれがなくなると共に、Al中拡散による信頼性低下も防止できる。
【0105】
(26) 各SAW共振子70s1〜70s4,70p1〜70p4での温度上昇が抑えられるので、温度上昇による周波数変化が抑制できる。
【0106】
(27) 電極金属のAlに、Cu,Ti,Ta等を添加して耐マイグレーション性を向上させる従来の方法とも併用が可能であり、これによる相乗効果も期待できる。
【0107】
(28) 細い電極指と太い接続パターン74とを同時にエッチングまたはリフトオフすると、過剰に細い電極指をエッチングまたはリフトオフする危険があったが、本実施例3では電極指と接続パターン74とが別の工程で形成されるので、制御が容易である。
【実施例4】
【0108】
図20は、本発明の実施例4を示す梯子型SAWフィルタの概略の構成図であり、図21は、図20中のSAW共振子90s1の構成を示す斜視図である。
【0109】
この梯子型SAWフィルタは、実施例1を示す図9と同様に、4段構成のSAWフィルタであり、8個のSAW共振子90s1〜90s4,90p1〜90p4と、入力ボンディングパッド91と、出力ボンディングパッド92と、複数のアースボンディングパッド93とを備えている。
【0110】
SAW共振子90s1が1段目の直列腕の共振子であり、SAW共振子90s2が2段目の直列腕の共振子であり、SAW共振子90s3が3段目の直列腕の共振子であり、SAW共振子90s4が4段目の直列腕の共振子である。SAW共振子90p1が1段目の並列腕の共振子であり、SAW共振子90p2が2段目の並列腕の共振子であり、SAW共振子90p3が3段目の並列腕の共振子であり、SAW共振子90p4が4段目の並列腕の共振子である。
【0111】
SAW共振子90s1は、図21に示すように、実施例1と同様のIDT90a及び反射器90b,90cを有している。SAW共振子90s2〜90s4,90p1〜90p4も、同様のIDT90a及び反射器90b,90cを有している。
【0112】
各SAW共振子90s1〜90s4,90p1〜90p4の間、SAW共振子90s1と入力ボンディングパッド91との間、SAW共振子90s4と出力ボンディングパッド92との間、及び各SAW共振子90p1〜90p4とアースボンディングパッド93との間が、接続パターン94で接続されて4段の梯子型回路が構成されている。
【0113】
図22は、図20及び図21における実施例4を示す梯子形SAWフィルタのパターンの斜視図であり、図21のE部分拡大図が示されている。
【0114】
実施例1では、接続パターン及びボンディングパッドの上側に放熱用の膜を形成していたが、本実施例4では、これらの接続パターン94及びボンディングパッド91〜93を、共振子90s1〜90s4,90p1〜90p4よりも50%以上厚いAlまたはAl合金の膜96だけで形成している。
【0115】
図23(a)〜(i)は、図20のSAWフィルタの製造工程を示す断面図である。
【0116】
図20のSAWフィルタは、図23(a)〜(i)に示される工程を順に行うことにより、製造される。以下に各工程の概要を説明する。
【0117】
まず、図23(a)の工程において、例えば結晶方位が36°Y−XのLiTaO3単結晶基板95を用意し、該基板95のSAW共振子形成予定面にレジスト97をスピンコートで塗布する。図23(b)の工程において、レジスト97が塗布された基板95に対して光学マスク98を設定し、光99で露光することにより、レジスト97に、共振子のパターンが転写される。図23(c)の工程において、現像で不要なレジスト97を選択的に除去し、図23(d)の工程において、不要なレジスト98が除去された基板95の上側全面にAl薄膜100を蒸着する。図23(e)の工程において、有機溶剤を用いたリフトオフにより、不要なレジスト97及びAl薄膜100を除去する。ここまでの工程で、SAW共振子90s1〜90s4,90p1〜90p4が基板95上に形成される。
【0118】
図23(f)の工程において、基板95のSAW共振子90s1〜90s4,90p1〜90p4が形成された面上に、再びレジスト101を塗布する。図23(g)の工程において、同図(b),(c)の工程と同様に、光学マスクを用いた光の露光により、接続パターン94及びボンディングパッド91〜93のパターンを転写し、その後の現像で、不要なレジスト101を除去し、基板95の表面とSAW共振子90s1〜90s4,90p1〜90p4の端部を露出させる。
【0119】
図23(h)の工程において、基板95の上側全面に、接続パターン94となるAu薄膜102を蒸着する。図23(i)の工程において、有機溶剤を用いて不要な薄膜102をレジスト101と共に除去する。以上により、接続パターン94及びボンディングパッド91〜93が、基板95上に形成される。
【0120】
次に、このSAWフィルタの動作を、図20中に示した放熱ルートR1〜R5を参照して説明する。
【0121】
この梯子型SAWフィルタにおいても、ボンディングパッド91に入力された電力は、1段目の直列腕SAW共振子90s1に入り、該直列腕SAW共振子90s1が振動することにより、熱が発生する。1段目の直列腕SAW共振子90s1を通った電力は、2段目の直列腕SAW共振子90s2と1段目の並列腕SAW共振子90p1と2段目の並列腕SAW共振子90p2とに入力される。
【0122】
1段目の直列腕SAW共振子90s1で発生した熱は、実施例1と同様の放熱ルートR1〜R5を伝わって逃げる。
【0123】
ここで、この実施例4の梯子型SAWフィルタでは、接続パターン94及びボンディングパッド91〜93が、AlまたはAl合金の厚い膜で形成されているので、第1の実施形態と同様に、放熱ルートR1〜R4による放熱が、従来に比べて圧倒的によくなる。さらに、放熱ルートとなるAlまたはAl合金が、直接基板95に蒸着されているので、特に高周波で、接続パターン94が細くかつ基板95の結晶が厚い場合や、基板結晶が放熱性の悪いパッケージに固定されている場合、バンプ等で基板結晶がフェースダウンで接続され、基板結晶の裏面からの放熱が期待できない場合等には、非常に有効である。
【0124】
以上のように、この実施例4では、接続パターン94及びボンディングパッド91〜93を厚いAlまたはAl合金で形成して各SAW共振子90s1〜90s4,90p1〜90p4における放熱を改善したので、次の(31)から(37)の利点を有する梯子型SAWフィルタが得られる。
【0125】
(31) Alに多量の金属を添加する必要がなく、該添加する金属がAl中で偏在することがない。
【0126】
(32) Alに多量の金属を添加する必要がなく、該添加する金属がエッチング時に残ることがない。
【0127】
(33) Alに多量の金属を添加する必要がなく、該抵抗値が上昇することがない。
【0128】
(34) 接続パターン94がAlで構成されるので、特別な工程を追加せずにすむ。
【0129】
(35) 接続パターン94は、Alのみが蒸着され形成されるので、他の金属との密着不良により膜はがれがなくなると共に、他の金属のAl中拡散による信頼性低下も防止できる。
【0130】
(36) 各SAW共振子90s2〜90s4,90p1〜90p4での温度上昇が抑えられるので、温度上昇による周波数変化が抑制できる。
【0131】
(37) 電極金属のAlに、Cu,Ti,Ta等を添加して耐マイグレーション性を向上させる従来の方法とも併用が可能であり、これによる相乗効果も期待できる。
【実施例5】
【0132】
図24は、本発明の実施例5を示す梯子型SAWフィルタの概略の構成図であり、図25は、図24中のSAW共振子110s1の構成を示す斜視図である。
【0133】
この梯子型SAWフィルタは、実施例1を示す図9と同様に、4段構成のSAWフィルタであり、8個のSAW共振子110s1〜110s4,110p1〜110p4と、入力ボンディングパッド111と、出力ボンディングパッド112と、複数のアースボンディングパッド113とを備えている。
【0134】
SAW共振子110s1が1段目の直列腕の共振子であり、SAW共振子110s2が2段目の直列腕の共振子であり、SAW共振子110s3が3段目の直列腕の共振子であり、SAW共振子110s4が4段目の直列腕の共振子である。SAW共振子110p1が1段目の並列腕の共振子であり、SAW共振子110p2が2段目の並列腕の共振子であり、SAW共振子110p3が3段目の並列腕の共振子であり、SAW共振子110p4が4段目の並列腕の共振子である。
【0135】
SAW共振子110s1は、図25に示すように、実施例1と同様のIDT110a及び反射器110b,110cを有している。SAW共振子110s2〜110s4,110p1〜110p4も、同様のIDT110a及び反射器110b,110cを有している。
【0136】
各SAW共振子110s1〜110s4,110p1〜110p4の間、SAW共振子110s1と入力ボンディングパッド111との間、SAW共振子110s4と出力ボンディングパッド112との間、及び各SAW共振子110p1〜110p4とアースボンディングパッド113との間が、接続パターン114で接続されて4段の梯子型回路が構成されている。
【0137】
図26は、図24及び図25における実施例5を示す梯子型SAWフィルタのパターンの斜視図であり、図25のF部分拡大斜視図が示されている。
【0138】
実施例1では、接続パターン及びボンディングパッドの上側に放熱用の膜を形成していたが、本実施例5では、接続パターン114及びボンディングパッド111〜113の上側に基板115よりも、熱伝導率の大きい誘電体膜116を蒸着して耐熱性を向上させている。
【0139】
図27(a)〜(i)は、図24のSAWフィルタの製造工程を示す断面図である。
【0140】
図24のSAWフィルタは、図27(a)〜(i)に示される工程を順に行うことにより、製造される。以下に各工程の概要を説明する。
【0141】
まず、図27(a)の工程において、例えば結晶方位が36°Y−XのLiTaO3単結晶基板115を用意し、該基板115のSAW共振子形成予定面にレジスト117をスピンコートで塗布する。図27(b)の工程において、レジスト117が塗布された基板115に対して光学マスク118を設定し、光119で露光することにより、レジスト117に、SAW共振子110s1〜110s4,110p1〜110p4とボンディングパッド111〜113、及び接続パターン114のパターンが転写される。図27(c)の工程において、現像で不要なレジスト117を選択的に除去し、図27(d)の工程において、不要なレジスト118が除去された基板115の上側全面にAl薄膜120を蒸着する。図27(e)の工程において、有機溶剤を用いたリフトオフにより、不要なレジスト117及びAl薄膜120を除去する。ここまでの工程で、SAW共振子110s1〜110s4,110p1〜110p4と、ボンディングパッド111〜113及び接続パターン114の下地が基板115上に形成される。
【0142】
図27(f)の工程において、基板115のSAW共振子110s1〜110s4,110p1〜110p4が形成された面上に、再びレジスト121を塗布する。図27(g)の工程において、同図(b),(c)の工程と同様に、光学マスクを用いた光の露光により、接続パターン114及びボンディングパッド111〜113のパターンを転写し、その後の現像で、不要なレジスト121を除去し、接続パターン114及びボンディングパッド111〜113の下地のパターンを露出させる。
【0143】
図27(h)の工程において、基板115の上側から全面に、膜116となる伝導率の高い誘電体の例えばAl2O3の膜122を蒸着する。Al2 O3 の熱伝導率は、21[W/(m・K)]である。図27(i)の工程において、有機溶剤を用いて不要な膜122をレジスト121と共に除去する。以上により、上側に膜116が乗った接続パターン114及びボンディングパッド111〜113が、基板115上に形成される。
【0144】
次に、このSAWフィルタの動作を、図24中に示した放熱ルートR1〜R5を参照して説明する。
【0145】
この梯子型SAWフィルタにおいても、ボンディングパッド91に入力された電力は、1段目の直列腕SAW共振子110s1に入り、該直列腕SAW共振子110s1が振動することにより、熱が発生する。1段目の直列腕SAW共振子110s1を通った電力は、2段目の直列腕SAW共振子110s2と1段目の並列腕SAW共振子110p1と2段目の並列腕SAW共振子110p2とに入力される。
【0146】
1段目の直列腕SAW共振子110s1で発生した熱は、第1の実施形態と同様の放熱ルートR1〜R5を伝わって逃げる。
【0147】
ここで、この第5の実施形態の梯子型SAWフィルタでは、接続パターン114及びボンディングパッド111〜113の上側に、熱伝導率の高い膜116が形成されているので、第1の実施形態と同様に、放熱ルートR1〜R4による放熱が、従来に比べて圧倒的によくなる。さらに、特に高周波で、接続パターン114が細くかつ基板115の結晶が厚い場合や、基板結晶が放熱性の悪いパッケージに固定されている場合、バンプ等で基板結晶がフェースダウンで接続され、基板結晶の裏面からの放熱が期待できない場合等には、非常に有効である。
【0148】
以上のように、この実施例5では、接続パターン114及びボンディングパッド111〜113を、AlまたはAl合金の膜と熱伝導率が高い誘電体の膜116とで形成して、各SAW共振子110s1〜110s4,110p1〜110p4における放熱を改善したので、次の(41)から(47)の利点を有する梯子型SAWフィルタが得られる。
【0149】
(41) Alに多量の金属を添加する必要がなく、該添加する金属がAl中で偏在することがない。
【0150】
(42) Alに多量の金属を添加する必要がなく、該添加する金属がエッチング時に残ることがない。
【0151】
(43) Alに多量の金属を添加する必要がなく、該抵抗値が上昇することがない。
【0152】
(44) 接続パターン114の上側が誘電体の膜116になるので、パターンに保護ができる。
【0153】
(45) 誘電体の膜116は、接続パターン114やボンディングパッド111〜113以外の電気的特性に影響のでない部分にも蒸着可能であり、該誘電体で放熱構造を構築すれば、さらに、外部への放熱が改善できる。
【0154】
(46) 各SAW共振子110s1〜110s4,110p1〜110p4での温度上昇が抑えられるので、温度上昇による周波数変化が抑制できる。
【0155】
(47) 電極金属のAlに、Cu,Ti,Ta等を添加して耐マイグレーション性を向上させる従来の方法とも併用が可能であり、これによる相乗効果も期待できる。
【実施例6】
【0156】
図28は、本発明の実施例6を示す梯子型SAWフィルタの概略の構成図であり、図29は、図28中のSAW共振子130s1の構成を示す斜視図である。
【0157】
この梯子型SAWフィルタは、実施例1を示す図9と同様に、4段構成のSAWフィルタであり、8個のSAW共振子130s1〜130s4,130p1〜130p4と、入力ボンディングパッド131と、出力ボンディングパッド132と、複数のアースボンディングパッド133とを備えている。
【0158】
SAW共振子130s1が1段目の直列腕の共振子であり、SAW共振子130s2が2段目の直列腕の共振子であり、SAW共振子130s3が3段目の直列腕の共振子であり、SAW共振子130s4が4段目の直列腕の共振子である。SAW共振子130p1が1段目の並列腕の共振子であり、SAW共振子130p2が2段目の並列腕の共振子であり、SAW共振子130p3が3段目の並列腕の共振子であり、SAW共振子130p4が4段目の並列腕の共振子である。
【0159】
SAW共振子130s1は、図29に示すように、実施例1と同様のIDT130a及び反射器130b,130cを有している。SAW共振子130s2〜130s4,130p1〜130p4も、同様のIDT130a及び反射器130b,130cを有している。
【0160】
各SAW共振子130s1〜130s4,130p1〜130p4の間、SAW共振子130s1と入力ボンディングパッド131との間、SAW共振子130s4と出力ボンディングパッド132との間、及び各SAW共振子130p1〜130p4とアースボンディングパッド133との間が、接続パターン134で接続されて4段の梯子型回路が構成されている。
【0161】
図30は、図28及び図29における実施例6を示す梯子型SAWフィルタのパターンの斜視図であり、図29のG部分拡大斜視図が示されている。
【0162】
実施例1では、接続パターン及びボンディングパッドの上側に放熱用の膜を形成していたが、本実施例6では、接続パターン134及びボンディングパッド131〜133を、AlまたはAl合金の膜136を基板135に形成し、その上に、放熱用の膜137を積層し、さらに、熱伝導率の高い誘電体の膜138を積層して構成し、耐熱性を向上させている。
【0163】
図31(a)〜(m)は、図28のSAWフィルタの製造工程を示す断面図である。
【0164】
図28のSAWフィルタは、図31(a)〜(m)に示される工程を順に行うことにより、製造される。以下に各工程の概要を説明する。
【0165】
まず、図31(a)の工程において、例えば結晶方位が36°Y−XのLiTaO3単結晶基板135を用意し、該基板135のSAW共振子形成予定面にレジスト139をスピンコートで塗布する。図31(b)の工程において、レジスト139が塗布された基板135に対して光学マスク140を設定し、光141で露光することにより、レジスト139に、SAW共振子130s1〜130s4,130p1〜130p4とボンディングパッド131〜133、及び接続パターン134の膜136のパターンが転写される。図31(c)の工程において、現像で不要なレジスト139を選択的に除去し、図31(d)の工程において、不要なレジスト139が除去された基板135の上側全面にAl薄膜142を蒸着する。図31(e)の工程において、有機溶剤を用いたリフトオフにより、不要なレジスト139及びAl薄膜142を除去する。ここまでの工程で、SAW共振子130s1〜130s4,130p1〜130p4と、ボンディングパッド131〜133及び接続パターン134の下地の膜136が基板135上に形成される。
【0166】
図31(f)の工程において、基板135のSAW共振子130s1〜130s4130p1〜130p4等が形成された面上に、再びレジスト143を塗布する。図31(g)の工程において、同図(b),(c)の工程と同様に、光学マスクを用いた光の露光により、接続パターン134及びボンディングパッド131〜133の膜136のパターンを転写し、その後の現像で、不要なレジスト143を除去し、接続パターン134及びボンディングパッド131〜133の膜136のパターンを露出させる。
【0167】
図31(h)の工程において、基板135の上側から全面に、膜137となるAuの薄膜144を蒸着する。図31(i)の工程において、有機溶剤を用いて不要な膜144をレジスト143と共に除去する。
【0168】
図31(j)の工程において、基板135の上側から全面に、再びレジスト145を塗布する。図31(k)の工程において、同図(b),(c)の工程と同様に、光学マスクを用いた光の露光により、接続パターン134及びボンディングパッド131〜133の膜138のパターンを転写し、その後の現像で、不要なレジスト145を除去し、接続パターン134及びボンディングパッド131〜133の膜137のパターンを露出させる。
【0169】
図31(l)の工程において、基板135の上側から全面に、膜138となる伝導率の高い誘電体のAl2O3の膜146を蒸着する。図31(m)の工程において、有機溶剤を用いて不要な膜146をレジスト145と共に除去する。以上により、3層の接続パターン134及びボンディングパッド131〜133が、基板135上に形成される。
【0170】
次に、このSAWフィルタの動作を、図31中に示した放熱ルートR1〜R5を参照して説明する。
【0171】
この梯子型SAWフィルタにおいても、ボンディングパッド131に入力された電力は、1段目の直列腕SAW共振子130s1に入り、該直列腕SAW共振子130s1が振動することにより、熱が発生する。1段目の直列腕SAW共振子130s1を通った電力は、2段目の直列腕SAW共振子130s2と1段目の並列腕SAW共振子130p1と2段目の並列腕SAW共振子130p2とに入力される。
【0172】
1段目の直列腕SAW共振子130s1で発生した熱は、第1の実施形態と同様の放熱ルートR1〜R5を伝わって逃げる。
【0173】
ここで、この第6の実施形態の梯子型SAWフィルタでは、接続パターン134及びボンディングパッド131〜133を、AlまたはAl合金の膜136と、Auの放熱用の膜137と、熱伝導率の高い誘電体の膜138とで構成したので、第1の実施形態と同様に、放熱ルートR1〜R4による放熱が、従来に比べて圧倒的によくなる。さらに、特に高周波で、接続パターン134が細くかつ基板135の結晶が厚い場合や、基板結晶が放熱性の悪いパッケージに固定されている場合、バンプ等で基板結晶がフェースダウンで接続され、基板結晶の裏面からの放熱が期待できないとき等には、非常に有効である。
【0174】
以上のように、この実施例6では、接続パターン134及びボンディングパッド131〜133を、AlまたはAl合金の膜136と、Auの放熱用の膜137と、熱伝導率の高い誘電体の膜138とで構成して放熱性を改善したので、次の(51)から(60)の利点を有する梯子型SAWフィルタが得られる。
【0175】
(51) Alに多量の金属を添加する必要がなく、該添加する金属がAl中で偏在することがない。
【0176】
(52) Alに多量の金属を添加する必要がなく、該添加する金属がエッチング時に残ることがない。
【0177】
(53) Alに多量の金属を添加する必要がなく、該抵抗値が上昇することがない。
【0178】
(54) Alの膜136上にAuの膜137が蒸着されるので、膜136の膜はがれが防止できる。
【0179】
(55) Alの膜136上にAuの膜137が蒸着されるので、接続パターン134の断面積が増え、抵抗が減じることができる。
【0180】
(56) 各SAW共振子130s1〜130s4,130p1〜10p4での温度上
昇が抑えられるので、温度上昇による周波数変化が抑制できる。
【0181】
(57) 電極金属のAlに、Cu,Ti,Ta等を添加して耐マイグレーション性を向上させる従来の方法とも併用が可能であり、これによる相乗効果も期待できる。
【0182】
(58) 接続パターン134の上側が誘電体の膜138になるので、パターンに保護ができる。なおAlで構成されるので特別な工程を追加せずにすむ。
【0183】
(59) 接続パターン134の最上部が誘電体の膜138になるので、Auの膜137のはがれも防止できる。
【0184】
(60) 誘電体の膜138は、接続パターン134やボンディングパッド131〜133以外の電気的特性に影響のでない部分にも蒸着可能であり、該誘電体で放熱構造を構築すれば、さらに、外部への放熱が改善できる。
【0185】
なお、本発明は、上記実施例に限定されず種々の変形が可能である。その変形例としては、例えば次のようなものがある。
【0186】
(i) 実施例1〜3及び実施例5では、AlまたはAL合金よりも、熱伝導率の高い金属としてAuを使用したが、AgやCuも熱伝導率が高く、それぞれ426[W/(m・K)],398[W/(m・K)]なので、これらを利用しても同様の効果が得られる。
【0187】
(ii) 実施例1、2及び実施例5では、AlまたはAL合金よりも、熱伝導率の高い金属の膜37,56を一層に形成したが、金属を変えて多層にしてもよい。
【0188】
(iii) 実施例5、6では、基板よりも熱伝導率の高い誘電体をAl2O3としたが、AINやSi3N4も利用可能である。AINやSi3N4の熱伝導率は、200[W/(m・K)],5.5[W/(m・K)]である。また、AgやCuも熱伝導率が高く、それぞれ426[W/(m・K)],398[W/(m・K)]なので、これらを利用しても同様の効果が得られる。
【0189】
(iv) 実施例5、6では、基板よりも熱伝導率の高い誘電体の膜116,138を1層にしたが、多層にしてもよい。
【0190】
(v) 実施例3の膜76の上、或いは実施例4の膜96の上に、基板よりも熱伝導率の高い誘電体のAl2O3を積層してもよい。
【0191】
(vi) 実施例1〜6で説明した製造工程では、AlやAl2O3にリフトオフを適用したが、エッチングを行うようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0192】
【図1】本発明の実施例1を示す梯子型SAWフィルタのパターンの斜視図である。
【図2】従来のSAWフィルタの基本構成を示す回路図である。
【図3】図2の周波数特性を示す特性図である。
【図4】図2のSAW共振子10の要部を示す構成図である。
【図5】4段構成の梯子型SAWフィルタの回路図である。
【図6】図5のSAWフィルタの構成図である。
【図7】図5のSAWフィルタの周波数特性を示す特性図である。
【図8】従来のSAWフィルタの製造工程を示す断面図である。
【図9】本発明の実施例1を示す梯子型SAWフィルタの概略の構成図である。
【図10】図9中のSAW共振子30s1の構成を示す斜視図である。
【図11】図1のSAWフィルタの製造工程を示す断面図である。
【図12】本発明の実施例2を示す梯子型SAWフィルタの概略の構成図である。
【図13】図12中のSAW共振子50s1の構成を示す斜視図である。
【図14】本発明の実施例2を示す梯子型SAWフィルタのパターンの斜視図である。
【図15】図12のSAWフィルタの製造工程を示す断面図である。
【図16】本発明の実施例3を示す梯子型SAWフィルタの概略の構成図である。
【図17】図16中のSAW共振子70s1の構成を示す斜視図である。
【図18】本発明の実施例3を示す梯子型SAWフィルタのパターンの斜視図である。
【図19】図16のSAWフィルタの製造工程を示す断面図である。
【図20】本発明の実施例4を示す梯子型SAWフィルタの概略の構成図である。
【図21】図20中のSAW共振子90s1の構成を示す斜視図である。
【図22】本発明の実施例4を示す梯子型SAWフィルタのパターンの斜視図である。
【図23】図20のSAWフィルタの製造工程を示す断面図である。
【図24】本発明の実施例5を示す梯子型SAWフィルタの概略の構成図である。
【図25】図24中のSAW共振子110s1の構成を示す斜視図である。
【図26】本発明の実施例5を示す梯子型SAWフィルタのパターンの斜視図である。
【図27】図24のSAWフィルタの製造工程を示す断面図である。
【図28】本発明の実施例6を示す梯子型SAWフィルタの概略の構成図である。
【図29】図28中のSAW共振子130s1の構成を示す斜視図である。
【図30】本発明の実施例6を示す梯子型SAWフィルタのパターンの斜視図である。
【図31】図28のSAWフィルタの製造工程を示す断面図である。
【符号の説明】
【0193】
10s1〜10s4,10p1〜10p4,30s1〜30s4,30p1〜30p4,50s1〜50s4,50p1〜50p4,70s1〜70s4,70p1〜70p4,90s1〜90s4,90p1〜90p4,110s1〜110s4,110p1〜110p4,130s1〜130s4,130p1〜130p4 SAW共振子
11〜13,31〜33,51〜53,71〜73,91〜93,111〜113,131〜133 ボンディングパッド
14,34,54,74,94,114,134 接続パターン
15,35,55,75,95,115,135 基板
10a,30a,50a,70a,90a,110a,130a IDT
36,57,94,134 AlまたはAl合金膜
37,56,74,137 Au膜
116,138 誘電体膜
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面を具えた基板と、
前記基板の前記表面に形成された第1弾性表面波共振子と、
前記基板の前記表面に形成されたボンディングパッドと、
前記基板の前記表面に形成され、前記第1弾性表面波共振子と前記ボンディングパッドとを接続する接続パターンと、
前記接続パターン上に形成され、前記基板よりも熱伝導率の大きい誘電体膜と、
を有することを特徴とする弾性表面波フィルタ。
【請求項2】
表面を具えた基板と、
前記基板の前記表面に形成された第1弾性表面波共振子と、
前記基板の前記表面に形成された第2弾性表面波共振子と、
前記基板の前記表面に形成され、前記第1弾性表面波共振子と前記第2弾性表面波共振子とを接続する接続パターンと、
前記接続パターン上に形成され、前記基板よりも熱伝導率の大きい誘電体膜と、
を有することを特徴とする弾性表面波フィルタ。
【請求項1】
表面を具えた基板と、
前記基板の前記表面に形成された第1弾性表面波共振子と、
前記基板の前記表面に形成されたボンディングパッドと、
前記基板の前記表面に形成され、前記第1弾性表面波共振子と前記ボンディングパッドとを接続する接続パターンと、
前記接続パターン上に形成され、前記基板よりも熱伝導率の大きい誘電体膜と、
を有することを特徴とする弾性表面波フィルタ。
【請求項2】
表面を具えた基板と、
前記基板の前記表面に形成された第1弾性表面波共振子と、
前記基板の前記表面に形成された第2弾性表面波共振子と、
前記基板の前記表面に形成され、前記第1弾性表面波共振子と前記第2弾性表面波共振子とを接続する接続パターンと、
前記接続パターン上に形成され、前記基板よりも熱伝導率の大きい誘電体膜と、
を有することを特徴とする弾性表面波フィルタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【公開番号】特開2008−72771(P2008−72771A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−314545(P2007−314545)
【出願日】平成19年12月5日(2007.12.5)
【分割の表示】特願平10−362173の分割
【原出願日】平成10年12月21日(1998.12.21)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年12月5日(2007.12.5)
【分割の表示】特願平10−362173の分割
【原出願日】平成10年12月21日(1998.12.21)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】
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