弾性表面波装置及び磁気センサ
【課題】電気的抵抗損失が少なく、電極膜厚を厚くしても大きな電気機械結合係数k2を得ることを可能とするSH波を利用した弾性表面波装置を提供する。
【解決手段】上面と下面とを有し、上面に溝が形成されている水晶基板2と、前記溝内に充填されている金属層3aを有し、該金属層3aがアルミニウムよりも密度の重い金属からなるIDT電極4とを備え、SH波を利用している弾性表面波装置1。
【解決手段】上面と下面とを有し、上面に溝が形成されている水晶基板2と、前記溝内に充填されている金属層3aを有し、該金属層3aがアルミニウムよりも密度の重い金属からなるIDT電極4とを備え、SH波を利用している弾性表面波装置1。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、SH波を利用した弾性表面波装置に関し、より詳細には、水晶基板を用いて構成されている弾性表面波装置及び該弾性表面波装置からなる磁気センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水晶基板を用いた種々の弾性表面波装置が開示されている。例えば下記の特許文献1には、水晶基板上に、TaやWからなるIDT電極を形成してなる弾性表面波装置が開示されている。特許文献1では、IDT電極の材料として、TaやWを用いることにより、温度特性を改善することができるとされている。
【0003】
他方、下記の特許文献2には、図19(a),(b)に示す弾性表面波装置が開示されている。弾性表面波装置1001は、圧電性基板1002を有する。圧電性基板1002の上面に、溝が形成されている。この溝内に金属を充填することにより、IDT電極1003が形成されている。ここでは、溝の深さより、IDT電極1003の厚みが厚くされている。
【0004】
特許文献2の実施例5では、上記圧電性基板として、回転Y板のカット角が100°〜130°の範囲の水晶基板及び零周波数温度特性を持つ水晶基板が用いられている。なお、カット角が100°〜130°の範囲の水晶基板は、オイラー角で表示すると、(0°,10°〜40°,0°)または(0°,190°〜220°,0°)である。特許文献2の実施例5では、上記水晶基板を用い、ブランチの擬似弾性表面波を用いた弾性表面波装置が開示されている。なお、この擬似弾性表面波は、特許文献2では、SH波とは記載されていない。
【0005】
また、特許文献2の実施例5では、IDT電極を構成する金属材料については明記されていない。特許文献2の実施例7では、アルミニウム薄膜、銅薄膜、タングステン薄膜及びチタン薄膜、並びにアルミニウム薄膜と銅、チタン、もしくはクロムなどの薄膜との組み合わせからなる積層金属膜が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−233645号公報
【特許文献2】特開2006−270906号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の弾性表面波装置は、SH波を利用しているものの、密度の大きいTaやWをIDT電極構成材料として用いている。従って、Alに比べて電気的抵抗損失が大きくなり、位相速度が大きく減少するという問題があった。また、IDT電極の膜厚変動による周波数変動が大きいという問題もあった。
【0008】
他方、特許文献2の実施例5では、上記特定のオイラー角及び零周波数温度特性を有する水晶基板からなる圧電性基板1002の表面に溝を形成した構造が開示されている。溝内に金属を充填することにより、IDT電極が形成されている。このような構造により、周波数温度特性の改善や電気機械結合係数の増大を図り得ることが示されているものの、利用している表面波は擬似弾性表面波である。擬似弾性表面波は、必ずしもSH波ではない。特許文献2では、SH波を利用した弾性表面波装置については開示されていない。こ
のため、反射係数が充分に高い実用的な弾性表面波装置を得ることができないという問題があった。
【0009】
本発明の目的は、SH波を利用した弾性表面波装置であって、アルミニウムよりも密度の大きな金属を用いてIDT電極を形成しているにもかかわらず、電気的抵抗損失が少なく、かつ電極膜厚を厚くしても大きな電気機械結合係数k2を得ることができ、さらに反射係数が充分な大きさであることを可能とする弾性表面波装置、並びに該弾性表面波装置を用いた磁気センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る弾性表面波装置は、上面と下面とを有し、上面に溝が形成されている水晶基板と、前記溝内に充填されている第1の金属層を有し、該第1の金属層がアルミニウムよりも密度の大きい金属からなるIDT電極とを備え、SH波を利用している弾性表面波装置である。
【0011】
本発明に係る弾性表面波装置のある特定の局面では、前記IDT電極が、前記溝内に充填されている前記第1の金属層上に積層されており、前記溝外に位置している第2の金属
層をさらに備える。この場合には、反射係数を高めることができる。
【0012】
上記第1の金属層と第2の金属層とは同じ金属で形成されていてもよく、異なる金属で形成されていてもよい。
【0013】
本発明に係る弾性表面波装置では、好ましくは、前記水晶基板のオイラー角が、(0°,110°〜170°,90°±5°)の範囲にある。この場合には、電気機械結合係数k2をより一層高めることができる。
【0014】
本発明に係る弾性表面波装置の他の特定の局面では、前記第1の金属層が、Ni、Ag、Pt、Au、Ta及びMoからなる群から選択された少なくとも1種の金属または該金属を主体とする合金、あるいは複数のこれらの金属が積層された層からなる。この場合には、電気機械結合係数k2を確実に高めることができ、かつ電気的抵抗損失を効果的に小さくすることができる。
【0015】
本発明に係る弾性表面波装置のさらに他の特定の局面では、前記第1の金属層が、CuまたはWもしくはこれらを主体とする合金、あるいは複数のこれらの金属が積層された層からなる。この場合には、電気機械結合係数k2を効果的に高めることができ、かつ電気的抵抗損失を確実に小さくすることができる。
【0016】
本発明に係る磁気センサは、本発明に従って構成された弾性表面波装置からなり、IDT電極を構成している金属がNiまたはNiを主体とする合金からなる。本発明の弾性表面波装置を用いているため、本発明の磁気センサでは、感度を効果的に高めることができる。
【0017】
また、本発明に係る磁気センサのある特定の局面では、前記IDT電極の弾性表面波伝搬方向両側に配置された一対の反射器をさらに備える。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、水晶基板の上面の溝内に、アルミニウムよりも密度の大きい第1の金属層が形成されており、IDT電極が該第1の金属層を有するため、SH波を利用した場合、電気機械結合係数k2を大きくでき、さらに反射係数も充分な大きさを得ることができる。また、アルミニウムよりも密度の高い金属を用いているにもかかわらず、電気的抵抗損失を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】(a)は、本発明の一実施形態に係る弾性表面波装置の模式的正面断面図であり、(b)は該弾性表面波装置の電極構造を模式的に示す平面図である。
【図2】IDT電極がNiからなる、実施形態としての第1及び第2の構造例並びに比較例における電極膜厚と電気機械結合係数との関係を示す図である。
【図3】IDT電極がNiからなる、実施形態としての第1及び第2の構造例における電極膜厚と反射係数との関係を示す図である。
【図4】IDT電極がAgからなる第1及び第2の構造例及び比較例の弾性表面波装置の電極膜厚と電気機械結合係数との関係を示す図である。
【図5】IDT電極がAgからなる第1及び第2の構造例の弾性表面波装置の電極膜厚と反射係数との関係を示す図である。
【図6】IDT電極がCuからなる第1及び第2の構造例及び比較例の弾性表面波装置の電極膜厚と電気機械結合係数との関係を示す図である。
【図7】IDT電極がCuからなる第1及び第2の構造例の弾性表面波装置の電極膜厚と反射係数との関係を示す図である。
【図8】IDT電極がPtからなる第1及び第2の構造例及び比較例の弾性表面波装置の電極膜厚と電気機械結合係数との関係を示す図である。
【図9】IDT電極がPtからなる第1及び第2の構造例の弾性表面波装置の電極膜厚と反射係数との関係を示す図である。
【図10】IDT電極がAuからなる第1及び第2の構造例及び比較例の弾性表面波装置の電極膜厚と電気機械結合係数との関係を示す図である。
【図11】IDT電極がAuからなる第1及び第2の構造例の弾性表面波装置の電極膜厚と反射係数との関係を示す図である。
【図12】第1の金属層がNiからなり、第2の金属層がAlからなる実施形態の弾性表面波装置におけるAl膜の膜厚と、電気機械結合係数との関係を示す図である。
【図13】第1の金属層がNiからなり、第2の金属層がAlからなる実施形態の弾性表面波装置におけるAl膜の膜厚と、反射係数との関係を示す図である。
【図14】オイラー角(0°,θ,90°)の水晶基板におけるオイラー角のθと電気機械結合係数との関係を示す図である。
【図15】オイラー角(0°,θ,90°)の水晶基板におけるオイラー角のθと周波数温度係数TCFとの関係を示す図である。
【図16】(a)はIDT電極を構成している第1及び第2の金属層が0.03λのNiからなる実施形態の磁気センサにおける外部の磁界の強度と周波数変化量との関係を示す図であり、(b)は(a)中のX軸、Y軸及びZ軸を説明するための模式的斜視図である。
【図17】水晶基板上面にNiからなるIDT電極を有する比較例の磁気センサにおける印可される磁界の強度と周波数変化量との関係を示す図である。
【図18】0.04λのNiからなる第1の金属層を有する実施形態の磁気センサにおける印可される磁界の強度と周波数変化量との関係を示す図である。
【図19】(a)及び(b)は従来の弾性表面波装置の一例を説明するための模式的平面図及び模式的正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態を説明することにより、本発明を明らかにする。
【0021】
弾性表面波装置1は、SH波を利用している弾性表面波装置である。弾性表面波装置1は、水晶基板2を有する。水晶基板2の上面に複数の溝2aが形成されている。溝2aには、金属層が充填されている。金属層は、本実施形態では、溝2aに充填されている第1の金属層3aと、第1の金属層3a上に積層されている第2の金属層3bとを有する
。それによって、図1(b)に示す電極構造が形成されている。この電極構造は、IDT電極4と、IDT電極4の弾性表面波伝搬方向両側に配置された反射器5,6とを有する。
【0022】
なお、本実施形態では、第1,第2の金属層3a,3bが積層されているが、第2の金属層3bは設けられずともよい。
【0023】
第1の金属層3aと第2の金属層3bは同じ金属で構成されていてもよく、他の金属で構成されていてもよい。もっとも、第1の金属層3aは、アルミニウムよりも密度の大きい金属からなる。
【0024】
このような金属としては、Ni、Ag、Pt、Au、TaまたはMoもしくはこれらを主体とする合金を用いることができる。また複数のこれらの金属が積層されていてもよい。なお、主体とする合金とは、これらの金属含有割合が50重量%を超える合金をいうものとする。また、上記金属層3aは、CuまたはWもしくはこれらを主体とする合金、あるいはこれらの金属が積層されることにより形成されていてもよい。
【0025】
弾性表面波装置1では、水晶基板2の溝2aに金属が充填されてIDT電極4が形成されているので、Alよりも密度の大きい金属を用いているにも関わらず、電気的抵抗損失を低めることができかつ大きな電気機械結合係数k2を得ることができる。これを、図2〜図14を参照して説明する。
【0026】
図2は、オイラー角(0°,127°,90°)の水晶基板を用い、IDT電極を構成する材料としてNiを用いた場合の電極膜厚と電気機械結合係数k2との関係を示し、図3は電極膜厚と反射係数との関係を示す図である。なお、図2〜図13における膜厚は、弾性表面波の波長をλとしたとき、厚みHをλで規格化してなる規格化膜厚をいうものとする。
【0027】
図2は、上記溝2aに第1の金属層3aが充填されている第1の構造例、図1(a)に示したように、第1の金属層3a上に第2の金属層3bがさらに積層されており、これらがいずれもNiからなる第2の構造例、比較のために用意した水晶基板、特に、溝が形成されていない水晶基板の上面にNi膜を形成することにより電極を形成した第1の比較例の結果を示す。第1の構造例及び第2の構造例は、本発明の実施形態に相当する。
【0028】
図2及び図3から明らかなように、オイラー角(0°,127°,90°)の水晶基板を用いた場合、上記第1の比較例では、Niからなる電極厚みが0.022λの場合に電気機械結合係数k2が最大値となっている。これに対して、第1の構造例では、電極厚みが0.042λの場合に電気機械結合係数k2が最大値となり、第2の構造例では、電極厚みが0.034λの場合に電気機械結合係数k2が最大値を示している。従って、同じ電気機械結合係数k2を有する場合、すなわち電気機械結合係数が最も高い弾性表面波装置を得る場合、第1の比較例に比べ、第1,第2の構造例によれば電極膜厚を1.5倍〜1.9倍とし得ることがわかる。
【0029】
従って、電極による電気的抵抗損失を第1の比較例に比べ、第1及び第2の構造例によれば、2/3〜1/2倍とすることができる。よって、電気的抵抗損失を小さくすることができるので、Qの高い共振子や低損失の弾性表面波フィルタを提供し得ることがわかる。
【0030】
また、図2より、電極厚みが0.027λ以上、0.16λの範囲、すなわち広い電極厚み範囲において、第1の比較例に比べ、第1,第2の構造例によれば、電気機械結合係
数k2を高め得ることがわかる。特に、この広い膜厚範囲において、第1及び体2の構造例によれば、電気機械結合係数k2を0.0025以上と高くし得ることもわかる。よって、電極膜厚を増大することにより電気的抵抗損失を低めた場合であっても、電気機械結合係数k2を0.0025以上と大きくすることができる。より具体的には、第1の構造例では、電極膜厚が、0.015λ以上、0.16λ以下の範囲内において、電気機械結合係数k2を0.0025以上とすることができ、第2の構造例では、0.014λ〜0.16λの範囲内で、電気機械結合係数k2を0.0025以上と高くすることができる。
【0031】
しかも、図3から明らかなように、このような電気機械結合係数k2を0.0025以上とし得る電極膜厚範囲において、第1及び第2の構造例のいずれにおいても、反射係数は0.15以上と充分に高いことがわかる。
【0032】
従って、好ましくは、電極厚みは、第1の構造例では、0.015λ〜0.16λの範囲であり、第2の構造例では、0.014λ〜0.16λの範囲である。
【0033】
よって、上記第1及び第2の構造例によれば、広い電極膜厚範囲で、大きな電気機械結合係数k2及び高い反射係数を得ることができる。
【0034】
図4及び図5は、金属をNiからAgに変更してなる上記第1及び第2の構造例及び第1の比較例の弾性表面波装置の電気機械結合係数k2及び反射係数の電極の膜厚依存性を示す図である。
【0035】
図4及び図5から明らかなように、AgからなるIDT電極を形成した弾性表面波装置では、電極膜厚を第1の構造例では0.003λ〜0.095λの範囲内、第2の構造例では0.003λ〜0.09λの範囲内とすれば、電気機械結合係数k2を0.0025以上と高くし得ることがわかる。この場合においても、第1の比較例の構造に比べて、広い膜厚範囲で、大きな電気機械結合係数k2を得られることがわかる。また、AgからなるIDT電極を形成した場合、図5に示すように、第1の構造例では、0.015λ〜0.16λの範囲内、第2の構造例では0.01λ〜0.16λの範囲内において、反射係数は0.1以上と充分に高いことがわかる。
【0036】
よって、AgからなるIDT電極を用いた場合においても、上記第1の構造例すなわち溝2a内に第1の金属層3aとしてAg膜が形成されている構造によれば、電極膜厚を厚くしたとしても、大きな電気機械結合係数k2及び充分大きな反射係数を実現し得ることがわかる。
【0037】
なお、第1の構造例によれば、図4より、電極の膜厚を0.02λ以下とした場合であっても、すなわち0.003λ以上、0.02λ以下の範囲と薄くした場合においても、第1の比較例に比べて、非常に高い電気機械結合係数を実現し得ることがわかる。加えて、電極膜厚が0.035λ以上になれば、やはり、第1の比較例よりも第1の構造例は高い電気機械結合係数k2を示すことがわかる。よって、本発明の実施形態である第1の構造例では、AgからなるIDT電極の膜厚を、0.003λ〜0.02λまたは0.03λ〜0.095λの範囲内、第2の構造例では、0.003λ〜0.017λまたは0.032λ〜0.09λの範囲内とすれば、第1の比較例よりも大きく、しかも0.0025よりも高い電気機械結合係数を得ることができる。
【0038】
図6及び図7は、IDT電極をCuに変更したことを除いては、上記と同様にして構成された第1及び第2の構造例及び第1の比較例の電気機械結合係数k2及び反射係数の電極膜厚依存性を示す。
【0039】
図6及び図7から明らかなように、Cuからなる電極を形成した場合、第1の構造例では、0.015λ〜0.14λの範囲内で、第2の構造例では、0.012λ〜0.125λの範囲内で、電気機械結合係数k2を0.0025以上と高くすることができる。特に、第1の構造例では0.034λ以上、0.16λの範囲内、第2の構造例では0.027λ以上、0.16λの範囲内で、第1の比較例よりも高い電気機械結合係数k2を得ることができる。
【0040】
他方、反射係数については、図7から明らかなように、電極膜厚が、第1の構造例では0.02λ以上、第2の構造例では0.01λ以上、0.16λの範囲内で、0.07以上と実用的な大きさであることがわかる。
【0041】
よって、Cu膜を用いる場合、電極厚みは好ましくは0.015λ〜0.14λの範囲であり、それによって大きな電気機械結合係数k2及び大きな反射係数を得ることができる。
【0042】
図8及び図9は、IDT電極をPtに変更したことを除いては、上記と同様にして構成された第1及び第2の構造例及び第1の比較例の電気機械結合係数k2及び反射係数の電極膜厚依存性を示す。
【0043】
図8及び図9から明らかなように、Ptからなる電極を形成した場合、第1の構造例では0.016λ以上、第2の構造例では0.012λ以上0.16λの広い範囲内で、第1の比較例よりも高い電気機械結合係数k2を得ることができる。また、第1の構造例では、0.007λ〜0.055λの範囲内、第2の構造例では、0.007λ〜0.052λの範囲内で、電気機械結合係数k2を0.0025以上と高くすることができる。
【0044】
他方、反射係数については、図9から明らかなように、電極膜厚が、0.005λ以上、0.16λの広い範囲内で、0.07以上と実用的な大きさであることがわかる。
【0045】
よって、Pt膜を用いる場合、電極厚みは好ましくは0.007λ〜0.055λの範囲であり、それによって大きな電気機械結合係数k2及び大きな反射係数を得ることができる。
【0046】
図10及び図11は、IDT電極をAuに変更したことを除いては、上記と同様にして構成された第1及び第2の構造例及び第1の比較例の電気機械結合係数k2及び反射係数の電極膜厚依存性を示す。
【0047】
図10及び図11から明らかなように、Auからなる電極を形成した場合、第1の構造例では0.013λ以上、第2の構造例では0.011λ以上、0.16λの範囲内で、第1の比較例よりも高い電気機械結合係数k2を得ることができる。また、第1の構造例では、0.0025λ〜0.045λの範囲内、第2の構造例では0.0025λ〜0.042λの範囲内で、電気機械結合係数k2を0.0025以上と高くすることができる。
【0048】
他方、反射係数については、図11から明らかなように、電極膜厚が、0.007λ以上、0.16λの広い範囲内で、0.07以上と実用的な大きさであることがわかる。
【0049】
よって、Au膜を用いる場合、電極厚みは好ましくは0.007λ〜0.045λの範囲であり、それによって大きな電気機械結合係数k2及び大きな反射係数を得ることができる。
【0050】
なお、図2〜図11では、電極構成金属として、Ni、Ag、Cu、Pt及びAuの各場合につき説明したが、Moの場合、第1の構造例では、Cuと同様に、電極膜厚を0.012λ〜0.14λとすれば、電気機械結合係数k2を0.0025以上とし、反射係数を0.07以上とすることができる。同様に、TaやWの場合には、第1の構造例では、Auの場合と同様に、0.0025λ〜0.045λの範囲とすれば、電気機械結合係数k2を0.0025以上、反射係数を0.07以上とし得ることが確かめられている。
【0051】
図12及び図13は、前述した第2の構造例すなわち図1(a)に示した実施形態において、Niにより第1の金属層3aを形成し、溝2aよりも上部に位置している第2の金属層3bをAlにより形成してなる弾性表面波装置のAl膜の厚みと電気機械結合係数k2との関係及びAl膜の厚みと反射係数との関係を示す図である。ここでは、第1の金属層3aとして、0.04λのNi膜が形成されている。
【0052】
図12及び図13のAl膜の膜厚が0である場合の結果は、図2及び図3における第1の構造例のNi膜の膜厚が0.04λの場合に相当する。すなわち、前述した第2の金属層を有しない第1の構造例において、溝内の第1の金属層の膜厚が0.04λのNiからなる場合の数値が、図12及び図13のAl膜の膜厚=0の場合の結果に相当する。
【0053】
図12から明らかなように、このようなNiからなる第1の金属層上に、Al膜を種々の厚みで第2の金属層として形成した構造では、Al膜の膜厚が0より大きく、0.098λ以下の範囲内において、電気機械結合係数k2が0.0025以上と充分に大きくなっている。また、図13から明らかなように、Al膜の膜厚が0を越え、該膜厚が増加するにつれて、反射係数をより一層高め得ることがわかる。すなわち、図13から明らかなように、反射係数は、Al膜を形成していない場合に比べて高くなり、Al膜の膜厚が大きくなるほど、反射係数が高くなっていることがわかる。よって、大きな電気機械結合係数と、反射係数のより一層大きな弾性表面波装置を得ることができる。
【0054】
このように、第1の金属層3a上に、第2の金属層3bを形成した構造では、第2の金属層3bの存在により反射係数を大幅に高めることができる。なお、このような反射係数の増大は、第2の金属層3bが水晶基板2の上面から突出するように設けられているものであるため、Alに限らず、他の金属を用いた場合においても同様の効果を得ることができる。すなわち、上述したNi、Ag、Pt、Au、Ta、Mo、CuまたはWもしくはこれらを主体とする合金を用いて第2の金属層3bを形成した場合においても、同様に反射係数を効果的に高めることができる。
【0055】
また、図12及び図13では、Niからなる第1の金属層3aの厚みを0.04λとしていたが、0.04λ以外、すなわち図2及び図3において示した電気機械結合係数k2が0.0025以上の値を得ることができる第1の構造例の膜厚範囲0.015λ〜0.16λの範囲内であれば、図12及び図13の場合と同様に、第2の金属層3bを積層することにより、電気機械結合係数k2を0.0025以上とし、かつ反射係数を0.15以上と高くすることができる。
【0056】
さらに、第1の金属層3aを、Ni以外の前述した金属、すなわちAg、Pt、Au、Ta、Mo、Cu、Wまたはこれらを主体とする合金を用いてもよい。その場合においても、図12及び図13の場合と同様に、電気機械結合係数k2を0.0025以上、反射係数を0.07以上とすることができることが確かめられている。
【0057】
図14は、オイラー角(0°,θ,90°)の水晶基板において、θと電気機械結合係数k2との関係を示す図であり、図15はθと周波数温度係数TCFとの関係を示す図で
ある。
【0058】
なお、図14及び図15は、電極を形成していない上記オイラー角の水晶基板の特性を示すものである。なお、前述したように、IDT電極の形成により電気機械結合係数k2は高められるが、周波数温度係数TCFは電極を形成した場合も図15とそれほど変わるものではない。図15から明らかなように、オイラー角のθが110°〜170°の範囲内では、電気機械結合係数を低めることなく、周波数温度係数TCFの絶対値を100ppm/℃以下と小さくし得ることがわかる。よって、大きな電気機械結合係数k2、大きな反射係数を有し、さらに良好な周波数温度特性を有する弾性表面波装置を得るには、オイラー角のθが110°〜170°の範囲とすればよいことがわかる。
【0059】
なお、図14及び図15では、オイラー角のψは90°であるが、オイラー角のψが90°±5°の範囲内、すなわち85°〜95°の範囲内であれば、図14及び図15と同様の結果が得られている。従って、オイラー角のθは(0°,110°〜170°,85°〜95°)の範囲内であることが好ましい。
【0060】
本発明の弾性表面波装置は、電極材料として強磁性材料であるNiを用いることにより磁気センサとして好適に用いることができる。
【0061】
すなわち、図1(a)及び(b)に示した弾性表面波装置1は、そのまま磁気センサとして用いることができる。弾性表面波装置1に、磁界が印可されると、強磁性材料であるNiにより励振されるSH波が磁界により影響を受け、周波数が変化する。この周波数変化量により印可される磁界の大きさを測定することができる。
【0062】
図16(a)は、前述した第2の構造例の弾性表面波装置からなる磁気センサの特性を示す図である。すなわち、第1の金属層3aが溝内に充填されており、さらに第2の金属層3bが積層されている弾性表面波装置1において、第1,第2の金属層3a,3bを、いずれもNiにより形成した。電極全体の厚みを0.03λとした。なお、図16(a)におけるX軸、Y軸及びZ軸は、それぞれ、図16(b)に模式的に示すX軸、Y軸及びZ軸方向に磁界を印可した場合の結果を示す。
【0063】
図17は、比較のために、前述した第1の比較例において、電極として0.02λの膜厚のNi膜を形成した弾性表面波装置を磁気センサとして用いた場合の磁界の強度と周波数変化量との関係を示す。
【0064】
また、図18は、前述した第1の構造例の弾性表面波装置において、Niからなる第1の金属層3aの膜厚を0.04λとした弾性表面波装置からなる磁気センサの場合の磁界の強度と周波数変化量との関係を示す。
【0065】
図17に示した第1の比較例の場合に比べ、図16(a)及び図18のいずれにおいても、磁界が印可された際の周波数変化量を大きくし得ることがわかる。特に、磁界強度が1000Oe以下と小さい場合であっても、周波数変化量を大きくすることができ、従って磁気センサの感度を効果的に高め得ることがわかる。
【0066】
なお、磁気センサとして用いる場合、電極を構成している金属は、Niに限らず、Niを主体とする合金であってもよい。
【0067】
また、本発明は、上記のように、水晶基板の上面に溝が形成されており、該溝内に充填されている、アルミニウムより密度の大きい金属からなるIDT電極を用い、SH波を利用していることを特徴とするものであり、従って、IDT電極の構造は、図1(a)に示
した1ポート型共振子構造に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0068】
1…弾性表面波装置
2…水晶基板
2a…溝
3a…第1の金属層
3b…第2の金属層
4…IDT電極
5,6…反射器
【技術分野】
【0001】
本発明は、SH波を利用した弾性表面波装置に関し、より詳細には、水晶基板を用いて構成されている弾性表面波装置及び該弾性表面波装置からなる磁気センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水晶基板を用いた種々の弾性表面波装置が開示されている。例えば下記の特許文献1には、水晶基板上に、TaやWからなるIDT電極を形成してなる弾性表面波装置が開示されている。特許文献1では、IDT電極の材料として、TaやWを用いることにより、温度特性を改善することができるとされている。
【0003】
他方、下記の特許文献2には、図19(a),(b)に示す弾性表面波装置が開示されている。弾性表面波装置1001は、圧電性基板1002を有する。圧電性基板1002の上面に、溝が形成されている。この溝内に金属を充填することにより、IDT電極1003が形成されている。ここでは、溝の深さより、IDT電極1003の厚みが厚くされている。
【0004】
特許文献2の実施例5では、上記圧電性基板として、回転Y板のカット角が100°〜130°の範囲の水晶基板及び零周波数温度特性を持つ水晶基板が用いられている。なお、カット角が100°〜130°の範囲の水晶基板は、オイラー角で表示すると、(0°,10°〜40°,0°)または(0°,190°〜220°,0°)である。特許文献2の実施例5では、上記水晶基板を用い、ブランチの擬似弾性表面波を用いた弾性表面波装置が開示されている。なお、この擬似弾性表面波は、特許文献2では、SH波とは記載されていない。
【0005】
また、特許文献2の実施例5では、IDT電極を構成する金属材料については明記されていない。特許文献2の実施例7では、アルミニウム薄膜、銅薄膜、タングステン薄膜及びチタン薄膜、並びにアルミニウム薄膜と銅、チタン、もしくはクロムなどの薄膜との組み合わせからなる積層金属膜が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−233645号公報
【特許文献2】特開2006−270906号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の弾性表面波装置は、SH波を利用しているものの、密度の大きいTaやWをIDT電極構成材料として用いている。従って、Alに比べて電気的抵抗損失が大きくなり、位相速度が大きく減少するという問題があった。また、IDT電極の膜厚変動による周波数変動が大きいという問題もあった。
【0008】
他方、特許文献2の実施例5では、上記特定のオイラー角及び零周波数温度特性を有する水晶基板からなる圧電性基板1002の表面に溝を形成した構造が開示されている。溝内に金属を充填することにより、IDT電極が形成されている。このような構造により、周波数温度特性の改善や電気機械結合係数の増大を図り得ることが示されているものの、利用している表面波は擬似弾性表面波である。擬似弾性表面波は、必ずしもSH波ではない。特許文献2では、SH波を利用した弾性表面波装置については開示されていない。こ
のため、反射係数が充分に高い実用的な弾性表面波装置を得ることができないという問題があった。
【0009】
本発明の目的は、SH波を利用した弾性表面波装置であって、アルミニウムよりも密度の大きな金属を用いてIDT電極を形成しているにもかかわらず、電気的抵抗損失が少なく、かつ電極膜厚を厚くしても大きな電気機械結合係数k2を得ることができ、さらに反射係数が充分な大きさであることを可能とする弾性表面波装置、並びに該弾性表面波装置を用いた磁気センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る弾性表面波装置は、上面と下面とを有し、上面に溝が形成されている水晶基板と、前記溝内に充填されている第1の金属層を有し、該第1の金属層がアルミニウムよりも密度の大きい金属からなるIDT電極とを備え、SH波を利用している弾性表面波装置である。
【0011】
本発明に係る弾性表面波装置のある特定の局面では、前記IDT電極が、前記溝内に充填されている前記第1の金属層上に積層されており、前記溝外に位置している第2の金属
層をさらに備える。この場合には、反射係数を高めることができる。
【0012】
上記第1の金属層と第2の金属層とは同じ金属で形成されていてもよく、異なる金属で形成されていてもよい。
【0013】
本発明に係る弾性表面波装置では、好ましくは、前記水晶基板のオイラー角が、(0°,110°〜170°,90°±5°)の範囲にある。この場合には、電気機械結合係数k2をより一層高めることができる。
【0014】
本発明に係る弾性表面波装置の他の特定の局面では、前記第1の金属層が、Ni、Ag、Pt、Au、Ta及びMoからなる群から選択された少なくとも1種の金属または該金属を主体とする合金、あるいは複数のこれらの金属が積層された層からなる。この場合には、電気機械結合係数k2を確実に高めることができ、かつ電気的抵抗損失を効果的に小さくすることができる。
【0015】
本発明に係る弾性表面波装置のさらに他の特定の局面では、前記第1の金属層が、CuまたはWもしくはこれらを主体とする合金、あるいは複数のこれらの金属が積層された層からなる。この場合には、電気機械結合係数k2を効果的に高めることができ、かつ電気的抵抗損失を確実に小さくすることができる。
【0016】
本発明に係る磁気センサは、本発明に従って構成された弾性表面波装置からなり、IDT電極を構成している金属がNiまたはNiを主体とする合金からなる。本発明の弾性表面波装置を用いているため、本発明の磁気センサでは、感度を効果的に高めることができる。
【0017】
また、本発明に係る磁気センサのある特定の局面では、前記IDT電極の弾性表面波伝搬方向両側に配置された一対の反射器をさらに備える。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、水晶基板の上面の溝内に、アルミニウムよりも密度の大きい第1の金属層が形成されており、IDT電極が該第1の金属層を有するため、SH波を利用した場合、電気機械結合係数k2を大きくでき、さらに反射係数も充分な大きさを得ることができる。また、アルミニウムよりも密度の高い金属を用いているにもかかわらず、電気的抵抗損失を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】(a)は、本発明の一実施形態に係る弾性表面波装置の模式的正面断面図であり、(b)は該弾性表面波装置の電極構造を模式的に示す平面図である。
【図2】IDT電極がNiからなる、実施形態としての第1及び第2の構造例並びに比較例における電極膜厚と電気機械結合係数との関係を示す図である。
【図3】IDT電極がNiからなる、実施形態としての第1及び第2の構造例における電極膜厚と反射係数との関係を示す図である。
【図4】IDT電極がAgからなる第1及び第2の構造例及び比較例の弾性表面波装置の電極膜厚と電気機械結合係数との関係を示す図である。
【図5】IDT電極がAgからなる第1及び第2の構造例の弾性表面波装置の電極膜厚と反射係数との関係を示す図である。
【図6】IDT電極がCuからなる第1及び第2の構造例及び比較例の弾性表面波装置の電極膜厚と電気機械結合係数との関係を示す図である。
【図7】IDT電極がCuからなる第1及び第2の構造例の弾性表面波装置の電極膜厚と反射係数との関係を示す図である。
【図8】IDT電極がPtからなる第1及び第2の構造例及び比較例の弾性表面波装置の電極膜厚と電気機械結合係数との関係を示す図である。
【図9】IDT電極がPtからなる第1及び第2の構造例の弾性表面波装置の電極膜厚と反射係数との関係を示す図である。
【図10】IDT電極がAuからなる第1及び第2の構造例及び比較例の弾性表面波装置の電極膜厚と電気機械結合係数との関係を示す図である。
【図11】IDT電極がAuからなる第1及び第2の構造例の弾性表面波装置の電極膜厚と反射係数との関係を示す図である。
【図12】第1の金属層がNiからなり、第2の金属層がAlからなる実施形態の弾性表面波装置におけるAl膜の膜厚と、電気機械結合係数との関係を示す図である。
【図13】第1の金属層がNiからなり、第2の金属層がAlからなる実施形態の弾性表面波装置におけるAl膜の膜厚と、反射係数との関係を示す図である。
【図14】オイラー角(0°,θ,90°)の水晶基板におけるオイラー角のθと電気機械結合係数との関係を示す図である。
【図15】オイラー角(0°,θ,90°)の水晶基板におけるオイラー角のθと周波数温度係数TCFとの関係を示す図である。
【図16】(a)はIDT電極を構成している第1及び第2の金属層が0.03λのNiからなる実施形態の磁気センサにおける外部の磁界の強度と周波数変化量との関係を示す図であり、(b)は(a)中のX軸、Y軸及びZ軸を説明するための模式的斜視図である。
【図17】水晶基板上面にNiからなるIDT電極を有する比較例の磁気センサにおける印可される磁界の強度と周波数変化量との関係を示す図である。
【図18】0.04λのNiからなる第1の金属層を有する実施形態の磁気センサにおける印可される磁界の強度と周波数変化量との関係を示す図である。
【図19】(a)及び(b)は従来の弾性表面波装置の一例を説明するための模式的平面図及び模式的正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態を説明することにより、本発明を明らかにする。
【0021】
弾性表面波装置1は、SH波を利用している弾性表面波装置である。弾性表面波装置1は、水晶基板2を有する。水晶基板2の上面に複数の溝2aが形成されている。溝2aには、金属層が充填されている。金属層は、本実施形態では、溝2aに充填されている第1の金属層3aと、第1の金属層3a上に積層されている第2の金属層3bとを有する
。それによって、図1(b)に示す電極構造が形成されている。この電極構造は、IDT電極4と、IDT電極4の弾性表面波伝搬方向両側に配置された反射器5,6とを有する。
【0022】
なお、本実施形態では、第1,第2の金属層3a,3bが積層されているが、第2の金属層3bは設けられずともよい。
【0023】
第1の金属層3aと第2の金属層3bは同じ金属で構成されていてもよく、他の金属で構成されていてもよい。もっとも、第1の金属層3aは、アルミニウムよりも密度の大きい金属からなる。
【0024】
このような金属としては、Ni、Ag、Pt、Au、TaまたはMoもしくはこれらを主体とする合金を用いることができる。また複数のこれらの金属が積層されていてもよい。なお、主体とする合金とは、これらの金属含有割合が50重量%を超える合金をいうものとする。また、上記金属層3aは、CuまたはWもしくはこれらを主体とする合金、あるいはこれらの金属が積層されることにより形成されていてもよい。
【0025】
弾性表面波装置1では、水晶基板2の溝2aに金属が充填されてIDT電極4が形成されているので、Alよりも密度の大きい金属を用いているにも関わらず、電気的抵抗損失を低めることができかつ大きな電気機械結合係数k2を得ることができる。これを、図2〜図14を参照して説明する。
【0026】
図2は、オイラー角(0°,127°,90°)の水晶基板を用い、IDT電極を構成する材料としてNiを用いた場合の電極膜厚と電気機械結合係数k2との関係を示し、図3は電極膜厚と反射係数との関係を示す図である。なお、図2〜図13における膜厚は、弾性表面波の波長をλとしたとき、厚みHをλで規格化してなる規格化膜厚をいうものとする。
【0027】
図2は、上記溝2aに第1の金属層3aが充填されている第1の構造例、図1(a)に示したように、第1の金属層3a上に第2の金属層3bがさらに積層されており、これらがいずれもNiからなる第2の構造例、比較のために用意した水晶基板、特に、溝が形成されていない水晶基板の上面にNi膜を形成することにより電極を形成した第1の比較例の結果を示す。第1の構造例及び第2の構造例は、本発明の実施形態に相当する。
【0028】
図2及び図3から明らかなように、オイラー角(0°,127°,90°)の水晶基板を用いた場合、上記第1の比較例では、Niからなる電極厚みが0.022λの場合に電気機械結合係数k2が最大値となっている。これに対して、第1の構造例では、電極厚みが0.042λの場合に電気機械結合係数k2が最大値となり、第2の構造例では、電極厚みが0.034λの場合に電気機械結合係数k2が最大値を示している。従って、同じ電気機械結合係数k2を有する場合、すなわち電気機械結合係数が最も高い弾性表面波装置を得る場合、第1の比較例に比べ、第1,第2の構造例によれば電極膜厚を1.5倍〜1.9倍とし得ることがわかる。
【0029】
従って、電極による電気的抵抗損失を第1の比較例に比べ、第1及び第2の構造例によれば、2/3〜1/2倍とすることができる。よって、電気的抵抗損失を小さくすることができるので、Qの高い共振子や低損失の弾性表面波フィルタを提供し得ることがわかる。
【0030】
また、図2より、電極厚みが0.027λ以上、0.16λの範囲、すなわち広い電極厚み範囲において、第1の比較例に比べ、第1,第2の構造例によれば、電気機械結合係
数k2を高め得ることがわかる。特に、この広い膜厚範囲において、第1及び体2の構造例によれば、電気機械結合係数k2を0.0025以上と高くし得ることもわかる。よって、電極膜厚を増大することにより電気的抵抗損失を低めた場合であっても、電気機械結合係数k2を0.0025以上と大きくすることができる。より具体的には、第1の構造例では、電極膜厚が、0.015λ以上、0.16λ以下の範囲内において、電気機械結合係数k2を0.0025以上とすることができ、第2の構造例では、0.014λ〜0.16λの範囲内で、電気機械結合係数k2を0.0025以上と高くすることができる。
【0031】
しかも、図3から明らかなように、このような電気機械結合係数k2を0.0025以上とし得る電極膜厚範囲において、第1及び第2の構造例のいずれにおいても、反射係数は0.15以上と充分に高いことがわかる。
【0032】
従って、好ましくは、電極厚みは、第1の構造例では、0.015λ〜0.16λの範囲であり、第2の構造例では、0.014λ〜0.16λの範囲である。
【0033】
よって、上記第1及び第2の構造例によれば、広い電極膜厚範囲で、大きな電気機械結合係数k2及び高い反射係数を得ることができる。
【0034】
図4及び図5は、金属をNiからAgに変更してなる上記第1及び第2の構造例及び第1の比較例の弾性表面波装置の電気機械結合係数k2及び反射係数の電極の膜厚依存性を示す図である。
【0035】
図4及び図5から明らかなように、AgからなるIDT電極を形成した弾性表面波装置では、電極膜厚を第1の構造例では0.003λ〜0.095λの範囲内、第2の構造例では0.003λ〜0.09λの範囲内とすれば、電気機械結合係数k2を0.0025以上と高くし得ることがわかる。この場合においても、第1の比較例の構造に比べて、広い膜厚範囲で、大きな電気機械結合係数k2を得られることがわかる。また、AgからなるIDT電極を形成した場合、図5に示すように、第1の構造例では、0.015λ〜0.16λの範囲内、第2の構造例では0.01λ〜0.16λの範囲内において、反射係数は0.1以上と充分に高いことがわかる。
【0036】
よって、AgからなるIDT電極を用いた場合においても、上記第1の構造例すなわち溝2a内に第1の金属層3aとしてAg膜が形成されている構造によれば、電極膜厚を厚くしたとしても、大きな電気機械結合係数k2及び充分大きな反射係数を実現し得ることがわかる。
【0037】
なお、第1の構造例によれば、図4より、電極の膜厚を0.02λ以下とした場合であっても、すなわち0.003λ以上、0.02λ以下の範囲と薄くした場合においても、第1の比較例に比べて、非常に高い電気機械結合係数を実現し得ることがわかる。加えて、電極膜厚が0.035λ以上になれば、やはり、第1の比較例よりも第1の構造例は高い電気機械結合係数k2を示すことがわかる。よって、本発明の実施形態である第1の構造例では、AgからなるIDT電極の膜厚を、0.003λ〜0.02λまたは0.03λ〜0.095λの範囲内、第2の構造例では、0.003λ〜0.017λまたは0.032λ〜0.09λの範囲内とすれば、第1の比較例よりも大きく、しかも0.0025よりも高い電気機械結合係数を得ることができる。
【0038】
図6及び図7は、IDT電極をCuに変更したことを除いては、上記と同様にして構成された第1及び第2の構造例及び第1の比較例の電気機械結合係数k2及び反射係数の電極膜厚依存性を示す。
【0039】
図6及び図7から明らかなように、Cuからなる電極を形成した場合、第1の構造例では、0.015λ〜0.14λの範囲内で、第2の構造例では、0.012λ〜0.125λの範囲内で、電気機械結合係数k2を0.0025以上と高くすることができる。特に、第1の構造例では0.034λ以上、0.16λの範囲内、第2の構造例では0.027λ以上、0.16λの範囲内で、第1の比較例よりも高い電気機械結合係数k2を得ることができる。
【0040】
他方、反射係数については、図7から明らかなように、電極膜厚が、第1の構造例では0.02λ以上、第2の構造例では0.01λ以上、0.16λの範囲内で、0.07以上と実用的な大きさであることがわかる。
【0041】
よって、Cu膜を用いる場合、電極厚みは好ましくは0.015λ〜0.14λの範囲であり、それによって大きな電気機械結合係数k2及び大きな反射係数を得ることができる。
【0042】
図8及び図9は、IDT電極をPtに変更したことを除いては、上記と同様にして構成された第1及び第2の構造例及び第1の比較例の電気機械結合係数k2及び反射係数の電極膜厚依存性を示す。
【0043】
図8及び図9から明らかなように、Ptからなる電極を形成した場合、第1の構造例では0.016λ以上、第2の構造例では0.012λ以上0.16λの広い範囲内で、第1の比較例よりも高い電気機械結合係数k2を得ることができる。また、第1の構造例では、0.007λ〜0.055λの範囲内、第2の構造例では、0.007λ〜0.052λの範囲内で、電気機械結合係数k2を0.0025以上と高くすることができる。
【0044】
他方、反射係数については、図9から明らかなように、電極膜厚が、0.005λ以上、0.16λの広い範囲内で、0.07以上と実用的な大きさであることがわかる。
【0045】
よって、Pt膜を用いる場合、電極厚みは好ましくは0.007λ〜0.055λの範囲であり、それによって大きな電気機械結合係数k2及び大きな反射係数を得ることができる。
【0046】
図10及び図11は、IDT電極をAuに変更したことを除いては、上記と同様にして構成された第1及び第2の構造例及び第1の比較例の電気機械結合係数k2及び反射係数の電極膜厚依存性を示す。
【0047】
図10及び図11から明らかなように、Auからなる電極を形成した場合、第1の構造例では0.013λ以上、第2の構造例では0.011λ以上、0.16λの範囲内で、第1の比較例よりも高い電気機械結合係数k2を得ることができる。また、第1の構造例では、0.0025λ〜0.045λの範囲内、第2の構造例では0.0025λ〜0.042λの範囲内で、電気機械結合係数k2を0.0025以上と高くすることができる。
【0048】
他方、反射係数については、図11から明らかなように、電極膜厚が、0.007λ以上、0.16λの広い範囲内で、0.07以上と実用的な大きさであることがわかる。
【0049】
よって、Au膜を用いる場合、電極厚みは好ましくは0.007λ〜0.045λの範囲であり、それによって大きな電気機械結合係数k2及び大きな反射係数を得ることができる。
【0050】
なお、図2〜図11では、電極構成金属として、Ni、Ag、Cu、Pt及びAuの各場合につき説明したが、Moの場合、第1の構造例では、Cuと同様に、電極膜厚を0.012λ〜0.14λとすれば、電気機械結合係数k2を0.0025以上とし、反射係数を0.07以上とすることができる。同様に、TaやWの場合には、第1の構造例では、Auの場合と同様に、0.0025λ〜0.045λの範囲とすれば、電気機械結合係数k2を0.0025以上、反射係数を0.07以上とし得ることが確かめられている。
【0051】
図12及び図13は、前述した第2の構造例すなわち図1(a)に示した実施形態において、Niにより第1の金属層3aを形成し、溝2aよりも上部に位置している第2の金属層3bをAlにより形成してなる弾性表面波装置のAl膜の厚みと電気機械結合係数k2との関係及びAl膜の厚みと反射係数との関係を示す図である。ここでは、第1の金属層3aとして、0.04λのNi膜が形成されている。
【0052】
図12及び図13のAl膜の膜厚が0である場合の結果は、図2及び図3における第1の構造例のNi膜の膜厚が0.04λの場合に相当する。すなわち、前述した第2の金属層を有しない第1の構造例において、溝内の第1の金属層の膜厚が0.04λのNiからなる場合の数値が、図12及び図13のAl膜の膜厚=0の場合の結果に相当する。
【0053】
図12から明らかなように、このようなNiからなる第1の金属層上に、Al膜を種々の厚みで第2の金属層として形成した構造では、Al膜の膜厚が0より大きく、0.098λ以下の範囲内において、電気機械結合係数k2が0.0025以上と充分に大きくなっている。また、図13から明らかなように、Al膜の膜厚が0を越え、該膜厚が増加するにつれて、反射係数をより一層高め得ることがわかる。すなわち、図13から明らかなように、反射係数は、Al膜を形成していない場合に比べて高くなり、Al膜の膜厚が大きくなるほど、反射係数が高くなっていることがわかる。よって、大きな電気機械結合係数と、反射係数のより一層大きな弾性表面波装置を得ることができる。
【0054】
このように、第1の金属層3a上に、第2の金属層3bを形成した構造では、第2の金属層3bの存在により反射係数を大幅に高めることができる。なお、このような反射係数の増大は、第2の金属層3bが水晶基板2の上面から突出するように設けられているものであるため、Alに限らず、他の金属を用いた場合においても同様の効果を得ることができる。すなわち、上述したNi、Ag、Pt、Au、Ta、Mo、CuまたはWもしくはこれらを主体とする合金を用いて第2の金属層3bを形成した場合においても、同様に反射係数を効果的に高めることができる。
【0055】
また、図12及び図13では、Niからなる第1の金属層3aの厚みを0.04λとしていたが、0.04λ以外、すなわち図2及び図3において示した電気機械結合係数k2が0.0025以上の値を得ることができる第1の構造例の膜厚範囲0.015λ〜0.16λの範囲内であれば、図12及び図13の場合と同様に、第2の金属層3bを積層することにより、電気機械結合係数k2を0.0025以上とし、かつ反射係数を0.15以上と高くすることができる。
【0056】
さらに、第1の金属層3aを、Ni以外の前述した金属、すなわちAg、Pt、Au、Ta、Mo、Cu、Wまたはこれらを主体とする合金を用いてもよい。その場合においても、図12及び図13の場合と同様に、電気機械結合係数k2を0.0025以上、反射係数を0.07以上とすることができることが確かめられている。
【0057】
図14は、オイラー角(0°,θ,90°)の水晶基板において、θと電気機械結合係数k2との関係を示す図であり、図15はθと周波数温度係数TCFとの関係を示す図で
ある。
【0058】
なお、図14及び図15は、電極を形成していない上記オイラー角の水晶基板の特性を示すものである。なお、前述したように、IDT電極の形成により電気機械結合係数k2は高められるが、周波数温度係数TCFは電極を形成した場合も図15とそれほど変わるものではない。図15から明らかなように、オイラー角のθが110°〜170°の範囲内では、電気機械結合係数を低めることなく、周波数温度係数TCFの絶対値を100ppm/℃以下と小さくし得ることがわかる。よって、大きな電気機械結合係数k2、大きな反射係数を有し、さらに良好な周波数温度特性を有する弾性表面波装置を得るには、オイラー角のθが110°〜170°の範囲とすればよいことがわかる。
【0059】
なお、図14及び図15では、オイラー角のψは90°であるが、オイラー角のψが90°±5°の範囲内、すなわち85°〜95°の範囲内であれば、図14及び図15と同様の結果が得られている。従って、オイラー角のθは(0°,110°〜170°,85°〜95°)の範囲内であることが好ましい。
【0060】
本発明の弾性表面波装置は、電極材料として強磁性材料であるNiを用いることにより磁気センサとして好適に用いることができる。
【0061】
すなわち、図1(a)及び(b)に示した弾性表面波装置1は、そのまま磁気センサとして用いることができる。弾性表面波装置1に、磁界が印可されると、強磁性材料であるNiにより励振されるSH波が磁界により影響を受け、周波数が変化する。この周波数変化量により印可される磁界の大きさを測定することができる。
【0062】
図16(a)は、前述した第2の構造例の弾性表面波装置からなる磁気センサの特性を示す図である。すなわち、第1の金属層3aが溝内に充填されており、さらに第2の金属層3bが積層されている弾性表面波装置1において、第1,第2の金属層3a,3bを、いずれもNiにより形成した。電極全体の厚みを0.03λとした。なお、図16(a)におけるX軸、Y軸及びZ軸は、それぞれ、図16(b)に模式的に示すX軸、Y軸及びZ軸方向に磁界を印可した場合の結果を示す。
【0063】
図17は、比較のために、前述した第1の比較例において、電極として0.02λの膜厚のNi膜を形成した弾性表面波装置を磁気センサとして用いた場合の磁界の強度と周波数変化量との関係を示す。
【0064】
また、図18は、前述した第1の構造例の弾性表面波装置において、Niからなる第1の金属層3aの膜厚を0.04λとした弾性表面波装置からなる磁気センサの場合の磁界の強度と周波数変化量との関係を示す。
【0065】
図17に示した第1の比較例の場合に比べ、図16(a)及び図18のいずれにおいても、磁界が印可された際の周波数変化量を大きくし得ることがわかる。特に、磁界強度が1000Oe以下と小さい場合であっても、周波数変化量を大きくすることができ、従って磁気センサの感度を効果的に高め得ることがわかる。
【0066】
なお、磁気センサとして用いる場合、電極を構成している金属は、Niに限らず、Niを主体とする合金であってもよい。
【0067】
また、本発明は、上記のように、水晶基板の上面に溝が形成されており、該溝内に充填されている、アルミニウムより密度の大きい金属からなるIDT電極を用い、SH波を利用していることを特徴とするものであり、従って、IDT電極の構造は、図1(a)に示
した1ポート型共振子構造に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0068】
1…弾性表面波装置
2…水晶基板
2a…溝
3a…第1の金属層
3b…第2の金属層
4…IDT電極
5,6…反射器
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面と下面とを有し、上面に溝が形成されている水晶基板と、
前記溝内に充填されている第1の金属層を有し、該第1の金属層がアルミニウムよりも密度の大きい金属からなるIDT電極とを備え、SH波を利用している弾性表面波装置。
【請求項2】
前記IDT電極が、前記溝内に充填されている前記第1の金属層上に積層されており、前記溝外に位置している第2の金属層をさらに備える、請求項1に記載の弾性表面波装置。
【請求項3】
前記第1の金属層と前記第2の金属層とが同じ金属からなる、請求項1または2に記載の弾性表面波装置。
【請求項4】
前記第1の金属層と、前記第2の金属層とが、異なる金属からなる、請求項1または2に記載の弾性表面波装置。
【請求項5】
前記水晶基板のオイラー角が、(0°,110°〜170°,90°±5°)の範囲にある、請求項1〜4のいずれか1項に記載の弾性表面波装置。
【請求項6】
前記第1の金属層が、Ni、Ag、Pt、Au、Ta及びMoからなる群から選択された少なくとも1種の金属または該金属を主体とする合金、あるいは複数の前記金属が積層された層からなる、請求項1〜5のいずれか一項に記載の弾性表面波装置。
【請求項7】
前記第1の金属層が、CuまたはWもしくはこれらを主体とする合金、あるいは複数の前記金属が積層された層からなる、請求項1〜5のいずれか一項に記載の弾性表面波装置。
【請求項8】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の弾性表面波装置からなる磁気センサであって、前記IDT電極を構成している金属が、NiまたはNiを主体とする合金からなる、磁気センサ。
【請求項9】
前記IDT電極の弾性表面波伝搬方向両側に配置された一対の反射器をさらに備える、請求項8に記載の磁気センサ。
【請求項1】
上面と下面とを有し、上面に溝が形成されている水晶基板と、
前記溝内に充填されている第1の金属層を有し、該第1の金属層がアルミニウムよりも密度の大きい金属からなるIDT電極とを備え、SH波を利用している弾性表面波装置。
【請求項2】
前記IDT電極が、前記溝内に充填されている前記第1の金属層上に積層されており、前記溝外に位置している第2の金属層をさらに備える、請求項1に記載の弾性表面波装置。
【請求項3】
前記第1の金属層と前記第2の金属層とが同じ金属からなる、請求項1または2に記載の弾性表面波装置。
【請求項4】
前記第1の金属層と、前記第2の金属層とが、異なる金属からなる、請求項1または2に記載の弾性表面波装置。
【請求項5】
前記水晶基板のオイラー角が、(0°,110°〜170°,90°±5°)の範囲にある、請求項1〜4のいずれか1項に記載の弾性表面波装置。
【請求項6】
前記第1の金属層が、Ni、Ag、Pt、Au、Ta及びMoからなる群から選択された少なくとも1種の金属または該金属を主体とする合金、あるいは複数の前記金属が積層された層からなる、請求項1〜5のいずれか一項に記載の弾性表面波装置。
【請求項7】
前記第1の金属層が、CuまたはWもしくはこれらを主体とする合金、あるいは複数の前記金属が積層された層からなる、請求項1〜5のいずれか一項に記載の弾性表面波装置。
【請求項8】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の弾性表面波装置からなる磁気センサであって、前記IDT電極を構成している金属が、NiまたはNiを主体とする合金からなる、磁気センサ。
【請求項9】
前記IDT電極の弾性表面波伝搬方向両側に配置された一対の反射器をさらに備える、請求項8に記載の磁気センサ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2012−129735(P2012−129735A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−278473(P2010−278473)
【出願日】平成22年12月14日(2010.12.14)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月14日(2010.12.14)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】
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