説明

弾性表面波装置

【課題】SH波利用で、レイリー波スプリアスの影響を抑圧する弾性表面波装置の提供。
【解決手段】(0°±5°,θ,ψ)のLiNbO基板2上にCuを主体で、IDT電極3を含む電極形成領域を除く領域に、第1の酸化ケイ素膜6が形成され、電極及び第1の酸化ケイ素膜6を覆う様に、第2の酸化ケイ素膜7が形成され、電極密度が、第1の酸化ケイ素膜の密度の1.5倍以上で、かつオイラー角(0°±5°,θ,ψ)のψが、10°〜30°の範囲内で、θ及びψは、IDT電極膜厚が0.05λの時、ハッチング付与領域範囲内にあり、0.05λ以外の時、前記領域を、下記式で表われるθに変換して得られた領域内にある、弾性表面波装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば共振子や帯域フィルタとして用いられる弾性表面波装置に関し、より詳細には、LiNbO基板上にIDT電極及び酸化ケイ素膜が形成されている構造を有し、かつSH波を利用した弾性表面波装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機のRF段などに用いられている帯域フィルタでは、広帯域でありかつ良好な温度特性を有することが求められている。そのため、従来、回転Y板X伝搬のLiTaO基板や回転Y板X伝搬のLiNbO基板からなる圧電性基板上に、IDT電極が形成されており、かつIDT電極を被覆するように、酸化ケイ素膜を形成した弾性表面波装置が用いられている。この種の圧電性基板は、周波数温度係数が負の値を有し、温度特性を改善するために、正の周波数温度特性を有する酸化ケイ素膜がIDT電極を被覆するように形成されている。
【0003】
しかしながら、このような構造において、IDT電極を汎用されているAlまたはAlを主成分とする合金などにより形成した場合、IDT電極において、十分な反射係数を得ることができなかった。そのため、共振特性にリップルが生じがちであるという問題があった。
【0004】
このような問題を解決するものとして、下記の特許文献1には、電気機械結合係数Kが0.025以上のLiNbOからなる圧電性基板上に、Alよりも密度の大きい金属を主体とするIDT電極が形成されており、該IDT電極が形成されている残りの領域に第1の酸化ケイ素膜がIDT電極と等しい膜厚に形成されており、該IDT電極及び第1の酸化ケイ素膜を被覆するように第2の酸化ケイ素膜を積層した弾性表面波装置が開示されている。
【0005】
また、Alよりも密度の大きい金属としてCuを用いてIDT電極において、電極膜厚を、表面波の波長λとした時に、0.0058λ〜0.11λとし、第2の酸化ケイ素膜の膜厚を0.15λ〜0.4λとし、LiNbO基板の方位を、オイラー角表示で(0±5°,62°〜167°,0±10°)とすることにより、主として利用するモードの電気機械結合係数を大きくすることができ、スプリアスとなるモードの電気機械結合係数を小さくすることができるとされている。また、特許文献1に記載の弾性境界波装置では、IDT電極の密度が、第1の酸化ケイ素膜の密度の1.5倍以上とされており、それによってIDT電極の反射係数が十分に高められ、共振特性上に現れるリップルを抑圧することができるとされている。
【特許文献1】WO2005−034347
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
共振子や帯域フィルタとして用いられる弾性表面波装置では、用途によっては、電気機械結合係数が小さい圧電性基板を用いることが望まれる。すなわち、圧電性基板の電気機械結合係数が大きい場合、帯域幅を広げることができるが、用途によっては、むしろ帯域幅が適度に狭いことが求められることがある。このような場合、利用する弾性表面波の電気機械結合係数が適度に小さいことが求められる。
【0007】
特許文献1に記載の弾性表面波装置では、前述のように、IDT電極の膜厚、第2の酸化ケイ素膜の膜厚及びLiNbO基板の方位を選択することにより、利用する弾性表面波の電気機械結合係数を大きくでき、スプリアスとなるモードの電気機械結合係数を小さくすることが記載されている。
【0008】
他方、従来、圧電性基板の伝搬方向を調整することにより、すなわちオイラー角表示の(φ,θ,ψ)におけるψを変更することにより、主として利用する弾性表面波のモードの電気機械結合係数を小さくし得ることが知られている。
【0009】
従って、特許文献1に記載の弾性表面波装置において、例えばSH波を利用しようとする場合に、用途に応じてSH波の電気機械結合係数KSAWを小さくするには、オイラー角表示(φ,θ,ψ)におけるψを変更すればよいと考えられる。
【0010】
しかしながら、特許文献1に記載の弾性表面波装置において、LiNbO基板のψを変更すると、レイリー波の応答が大きくなり、レイリー波によるスプリアスが大きくなることが分かった。
【0011】
すなわち、特許文献1に記載の弾性表面波装置では、前述したように、主たるモードの電気機械結合係数を大きくすることができ、かつスプリアスとなるモードの電気機械結合係数を小さくするために、IDT電極の膜厚、第2の酸化ケイ素膜の膜厚及び基板方位の範囲を調整することが示されているものの、SH波を利用するに際し、その電気機械結合係数を適度に小さくするために、ψを変更すると、IDT電極の膜厚、第2の酸化ケイ素膜の膜厚及び基板方位を上記のように設定したとしても、レイリー波によるスプリアスが大きくなるという問題のあることが分かった。
【0012】
本発明の目的は、上述した従来技術の欠点を解消し、温度特性を改善するために、IDT電極を被覆するように酸化ケイ素膜が形成されている弾性表面波装置において、SH波を利用し、かつSH波の電気機械結合係数を適度な範囲にしたとしても、レイリー波によるスプリアスの影響が生じ難い、弾性表面波装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明によれば、オイラー角(0°±5°,θ,ψ)のLiNbO基板と、前記LiNbO基板上に形成されており、Cuを主体とする少なくとも1つのIDT電極を含む電極と、前記電極が形成されている領域を除いた残りの領域において、前記電極と等しい厚みとなるように形成されている第1の酸化ケイ素膜と、前記電極及び第1の酸化ケイ素膜を被覆するように形成された第2の酸化ケイ素膜とを備え、前記電極の密度が、前記第1の絶縁膜の密度の1.5倍以上である、SH波を利用した弾性表面波装置であって、前記第2の酸化ケイ素膜の膜厚が0.15λ〜0.40λの範囲にあり、前記オイラー角(0°±5°,θ,ψ)のψが10°〜30°の範囲にあり、かつθ及びψが、IDT電極の膜厚が0.05λの場合において添付の図5にハッチングを付して示した領域の範囲内にあり、かつIDT電極の膜厚が0.05λ以外の場合には、IDT電極の膜厚を弾性波の波長で規格化した膜厚をxとしたときに、図5の斜線で付したハッチングの領域について、図5のθを、下記の式(1)で表されるθに変換して得られる領域内にあることを特徴とする、弾性波装置が提供される。
【0014】
【数1】

【0015】
また、本発明においては、好ましくは、上記オイラー角のψは10°〜25°の範囲とされる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係わる弾性表面波装置では、オイラー角で(0°±5°,θ,ψ)のLiNbO基板上に、Cuを主体とする少なくとも一つのIDT電極を含む電極が形成されており、前記電極が形成されている領域を除いた残りの領域において、第1の酸化ケイ素膜が電極と等しい厚みとなるように形成されており、該電極及び第1の酸化ケイ素膜を被覆するように第2の酸化ケイ素膜が形成されている。従って、第1,第2の酸化ケイ素膜により、周波数温度特性が改善されている。
【0017】
しかも、上記IDT電極がCuを主体とし、その密度が第1の酸化ケイ素膜の密度の1.5倍以上とされているので、特許文献1に記載の弾性表面波装置の場合と同様に共振特性上に現れるリップルを抑圧することができる。
【0018】
加えて、第2の酸化ケイ素膜の膜厚が0.15λ〜0.40λの範囲にあり、オイラー角のψが10°〜30°の範囲にあり、かつθ及びψがIDT電極の膜厚が0.05λの場合において、図5にハッチングを付して示した領域の範囲内にあり、0.05λ以外の場合には、IDT電極の膜厚を弾性波の波長で規格化した膜厚をxとしたときに、図5の斜線でハッチングを付した領域について、図5のθを下記の式(1)で表されるθに変換して得られる領域内にあるため、SH波の電気機械結合係数を用途に応じた適度な範囲としつつ、レイリー波によるスプリアスを効果的に抑圧することができる。
【0019】
特に、オイラー角のψが10°〜25°の範囲にある場合には、SH波の電気機械結合係数を10〜16%程度の範囲の値とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照しつつ本発明の具体的な実施形態を説明することにより、本発明を明らかにする。
【0021】
図1(a)は、本発明の一実施形態に係る弾性表面波装置の模式的平面図であり、(b)はその要部を示す部分切欠拡大正面断面図である。
【0022】
弾性表面波装置1は、回転Y板X伝搬のLiNbO基板2を用いて構成されている。LiNbO基板2の結晶方位は、オイラー角で(0°,θ,ψ)とされている。
【0023】
また、LiNbO基板2上には、図1(b)に示すように、IDT電極3が形成されている。図1(a)に示すように、IDT電極3の表面波伝搬方向両側には、反射器4,5が形成されている。
【0024】
これらの電極が形成されている領域の残りの領域には、第1の酸化ケイ素膜6が形成されている。第1の酸化ケイ素膜6の膜厚は、IDT電極3及び反射器4,5の膜厚と等しくされている。そして、これらの電極及び第1の酸化ケイ素膜6を覆うように第2の酸化ケイ素膜7が形成されている。
【0025】
弾性表面波装置1では、LiNbO基板は、負の周波数温度係数を有する。これに対して、酸化ケイ素膜6,7は、正の周波数温度係数を有する。従って、周波数特性を改善することができる。
【0026】
加えて、IDT電極3を含む電極の密度が、第1の酸化ケイ素膜6の密度の1.5倍以上とされている。すなわち、本実施形態では、IDT電極3は、Cuにより形成されている。従って、IDT電極3の密度は8.93g/cmであり、他方第1の酸化ケイ素膜の密度は2.21g/cmである。
【0027】
従って、前述した特許文献1に開示されているように、IDT電極3の反射係数を高めることができる。それによって、共振特性上に現れるリップルを抑圧することが可能とされている。
【0028】
本実施形態の弾性表面波装置1の特徴は、さらに、第2の酸化ケイ素膜の膜厚が0.15λ〜0.40λの範囲にあり、(0°±5°,θ,ψ)のψが10〜30°の範囲にあり、かつθ及びψが、IDT電極の膜厚が0.05λの場合において、添付の図5にハッチングを付して示した領域の範囲内にあり、IDT電極の膜厚が0.05λ以外の場合には、図5のハッチングが付された領域について、図5のθの値を、下記の式(1)で表されるθに変換して得られた領域内にあることを特徴とする。それによって、SH波の電気機械結合係数を適度な大きさに調整することができ、しかもレイリー波によるスプリアスを効果的に抑圧することができる。これを、具体的な実験例に基づき説明する。
【0029】
オイラー角表示で(0°,84°〜94°,0°〜30°)のLiNbOにおいて励振されるSH波及びスプリアスとなるレイリー波について、電気機械結合係数KSAWと、基板方位のθ及びψとの関係を有限要素法を用いて計算し、求めた。なお、図1(a),(b)に示したように、IDT電極の周囲に酸化ケイ素膜が形成されており、さらに上面に第2の酸化ケイ素膜が積層されている構造とし、電極材料はCuとした。
【0030】
結果を図2及び図3に示す。図2は、SH波の電気機械結合係数の基板方位のψによる変化を示す図であり、図3は、レイリー波の電気機械結合係数KSAWの基板方位のψによる変化を示す図である。
【0031】
図2から明らかなように、基板方位のψを0°から変更することにより、SH波の電気機械結合係数KSAWを小さくし得ることが分かる。基板方位のψを変更することにより、弾性表面波の電気機械結合係数KSAWが変化することは従来より知られていた。
【0032】
本実施形態は、利用するSH波の電気機械結合係数KSAWが適度な範囲にあることが求められる用途に応じた弾性表面波装置を提供するものである。例えば、ディプレクサの送信側帯域フィルタや受信側帯域フィルタでは、通過帯域に隣接して、他方のフィルタの通過帯域が位置するため、通過帯域幅は余り広くないことが求められる。従って、例えばSH波を利用する場合、その電気機械結合係数は、10〜16%程度であることが好ましい。
【0033】
図2から明らかなように、SH波の電気機械結合係数を、10〜16%の範囲程度とするには、ψは10〜30°の範囲とすればよいことがわかる。
【0034】
もっとも、図3から明らかなように、基板方位のψを0°からそれ以外の値に変更すると、スプリアスとなるレイリー波の電気機械結合係数KSAWの基板方位のθに対する依存性が変化することがわかった。従って、ψ=0°の場合に、レイリー波の電気機械結合係数KSAWが小さくなる基板方位θを選択したとしても、ψを0°からずらした際に、レイリー波の電気機械結合係数KSAWが変化することとなる。そのため、SH波の電気機械結合係数KSAWを適度な大きさとするようにψを変化させた場合、レイリー波の電気機械結合係数KSAWが変化し、レイリー波によるスプリアスが大きく現れることがあった。
【0035】
そこで、本願発明者は、図2及び図3の結果を踏まえて、LiNbO基板の方位におけるψ及びθを変更し、レイリー波の電気機械結合係数KSAWを小さくし得るか否かを検討した。結果を図4〜図6に示す。
【0036】
なお、図4においては、CuからなるIDT電極の膜厚を0.06λとし、酸化ケイ素膜の膜厚は0.3λ、IDT電極のデューティは0.50とした。図5及び図6では、IDT電極のデューティ及び第2の酸化ケイ素膜の膜厚は図4の場合と同じとしたが、IDT電極を構成しているCuの膜厚を、それぞれ、0.05λ及び0.04λとした。
【0037】
図4〜図6において、斜線のハッチングを付して示した領域内においては、レイリー波の電気機械結合係数KSAWは0.01%以下であった。なお、SH波を利用する場合、レイリー波の電気機械結合係数が0.01%を超えると、レイリー波によるスプリアスがフィルタ特性上において無視できない程大きくなることが確かめられている。すなわち、図4〜図6において斜線のハッチングを付した領域内であれば、レイリー波の電気機械結合係数を小さくすることができ、レイリー波によるスプリアスを効果的に抑制し得ることがわかる。
【0038】
また、図4〜図6から明らかなように、IDT電極の膜厚が変化すると、ハッチングを付した領域が変化することがわかる。本願発明者は、図4〜図6の結果から、IDT電極の膜厚が0.05λである場合には、図5の斜線のハッチングを付して示した領域となるが、それ以外の膜厚の場合には、θを、上述した式(1)で表されるθxとして得られる相当の領域内とすればよいことを見出した。
【0039】
従って、図5の斜線のハッチングを付して示した領域内あるいは上述した式(1)で表されるθに変換して得られる領域内となるようにψ及びθを選択すれば、レイリー波によるスプリアスを効果的に抑圧することができる。
【0040】
次に、本願発明者らは、LiNbO基板の方位θ及びψを変化させた場合、パワーフロー角がそれに伴って変化することを見出した。図7は、IDT電極がCuからなり、膜厚が0.06λ、第2の酸化ケイ素膜の膜厚が0.3λ、IDT電極のデューティ比が0.50の場合の基板方位のθ及びψを変化させた場合のパワーフロー角の変化を示す図である。
【0041】
図7から明らかなように、基板方位のψを10°〜25°の範囲とすれば、パワーフロー角の絶対値を1°以下とすることができ、好ましいことがわかる。より好ましくは、ψを10°〜22.5°の範囲とすれば、パワーフロー角の絶対値を0.5°以下とすることができ、さらに好ましくは、ψを15°〜21°の範囲内とすることにより、パワーフロー角の絶対値を0.25°以下とすることができ、望ましいことがわかる。
【0042】
なお、上述してきた実施形態及び実験例では、IDT電極3を含む電極はCuにより構成されていたが、本発明においては、電極はCuを主体とする限り、様々に変形することができる。すなわち、上記のようにCu単層からなる電極膜を用いてもよく、あるいはCu膜とCu以外の他の金属もしくは合金膜とを積層した積層膜により電極を形成してもよい。積層膜の場合には、Cu膜が電極の主体となる厚みに形成されておればよい。また、Cuに限らず、Cuを主成分とする合金によりIDT電極を形成してもよく、Cuを主体とする合金からなる電極膜を主たる電極層として有する積層膜により電極を形成してもよい。
【0043】
さらに、前述した1ポート型弾性表面波共振子やデュプレクサの帯域フィルタ部に限らず、様々な共振子や様々な回路構成の表面波フィルタに本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】(a),(b)は、本発明の一実施形態に関わる弾性表面波装置の模式的平面図及びその要部を拡大して示す部分切欠拡大正面断面図。
【図2】LiNbO基板のオイラー角(0°,θ,ψ)におけるθ及びψを変化させた場合のSH波の電気機械結合係数の変化を示す図。
【図3】LiNbO基板のオイラー角(0°,θ,ψ)におけるθ及びψを変化させた場合のレイリー波の電気機械結合係数の変化を示す図。
【図4】IDT電極のデューティが0.50、第2の酸化ケイ素膜の膜厚が0.3λであり、IDT電極を構成しているCuの膜厚が0.06λである場合の電気機械結合係数KSAWが0.01%以下となる場合の基板方位のθ及びψの範囲を示す図。
【図5】IDT電極のデューティが0.50、第2の酸化ケイ素膜の膜厚が0.3λであり、IDT電極を構成しているCuの膜厚が0.05λである場合の電気機械結合係数KSAWが0.01%以下となる場合の基板方位のθ及びψの範囲を示す図。
【図6】IDT電極のデューティが0.50、第2の酸化ケイ素膜の膜厚が0.3λであり、IDT電極を構成しているCuの膜厚が0.04λである場合の電気機械結合係数KSAWが0.01%以下となる場合の基板方位のθ及びψの範囲を示す図。
【図7】LiNbO基板の方位のθ及びψによるパワーフロー角の変化を示す図。
【符号の説明】
【0045】
1…弾性表面波装置
2…LiNbO基板
3…IDT電極
4,5…反射器
6…第1の酸化ケイ素膜
7…第2の酸化ケイ素膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オイラー角(0°±5°,θ,ψ)のLiNbO基板と、
前記LiNbO基板上に形成されており、Cuを主体とする少なくとも1つのIDT電極を含む電極と、
前記電極が形成されている領域を除いた残りの領域において、前記電極と等しい厚みとなるように形成されている第1の酸化ケイ素膜と、
前記電極及び第1の酸化ケイ素膜を被覆するように形成された第2の酸化ケイ素膜とを備え、
前記電極の密度が、前記第1の絶縁膜の密度の1.5倍以上である、SH波を利用した弾性表面波装置であって、
前記第2の酸化ケイ素膜の膜厚が0.15λ〜0.40λの範囲にあり、前記オイラー角(0°±5°,θ,ψ)のψが10°〜30°の範囲にあり、かつθ及びψが、IDT電極の膜厚が0.05λの場合において添付の図5にハッチングを付して示した領域の範囲内にあり、かつIDT電極の膜厚が0.05λ以外の場合には、IDT電極の膜厚を弾性波の波長で規格化した膜厚をxとしたときに、図5の斜線で付したハッチングの領域を、図5のθを下記の式(1)で表されるθに変換して得られた領域内にあることを特徴とする、弾性波装置。
【数1】

【請求項2】
前記オイラー角のψが10〜25°の範囲にある、請求項1に記載の弾性表面波装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2007−251710(P2007−251710A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−73854(P2006−73854)
【出願日】平成18年3月17日(2006.3.17)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】