説明

弾性表面波装置

【課題】複数のSAWフィルタを含むSAW装置を小型化した場合でもフィルタ間の干渉を防ぎアイソレーションを確保する。
【解決手段】同一圧電基板上に備えられた低域側SAWフィルタ及び高域側SAWフィルタを含むSAW素子と、表面に導電体を有し前記SAW素子がFCB実装されたベース基板とを備えるSAW装置である。ベース基板の表面の導電体を、そのいずれもが低域側SAWフィルタ形成領域に対向するベース基板表面の領域である第一対向領域と、高域側SAWフィルタ形成領域に対向するベース基板表面の領域である第二対向領域とに跨ることがないように配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弾性表面波装置に係り、特に、フリップチップボンディング実装(以下、FCB実装と称する)した複数の弾性表面波フィルタを含む弾性表面波装置においてフィルタ間の干渉を防ぐ電極の配置構造に関する。
【背景技術】
【0002】
小型軽量で高機能化に適することから、送信側および受信側の各フィルタに弾性表面波(以下「SAW」と言うことがある)フィルタを用いたSAWデュプレクサが、例えば携帯電話機などの移動体通信機器において近年広く使用されている。このようなデュプレクサを構成するSAWフィルタは、一般に、圧電基板上に形成した一対の櫛形電極を含む複数の交差指状電極(インターデジタルトランスデューサ/Interdigital Transducer/以下、IDTという)を備え、これらを電気的・音響的に接続・結合することにより、所定の通過帯域(送信周波数または受信周波数)を形成する。
【0003】
そして、これらのフィルタのうち送信側フィルタは、送信信号が入力される送信信号端子(送信電極)とアンテナに接続される共通端子(共通電極)との間に、また、受信側のフィルタは、受信信号が出力される受信信号端子(受信電極)と共通端子との間にそれぞれ接続されて送信信号と受信信号の分波を行う。
【0004】
また、このようなSAW装置(デュプレクサ、デュアルフィルタ)を開示するものとして下記特許文献がある。
【特許文献1】特開2006‐80921号公報
【特許文献2】特開2006‐180192号公報
【特許文献3】特開2005‐175638号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来、デュプレクサ内の送信側フィルタと受信側フィルタはそれぞれ独立したチップ部品として作製されていたが、部品のより一層の小型化と製造工程の削減が求められ、これを実現するために同一の(1枚の)圧電基板上に送受信両フィルタを形成する試みが近年なされている。しかしながら、このように同一の圧電基板上に両フィルタを搭載して送受信フィルタを1チップ化した場合には、フィルタ同士が干渉してアイソレーション特性が劣化する問題が生じ得る。
【0006】
特に、従来に比べ、装置を一層小型化する場合には(例えばパッケージサイズ(縦横寸法)が2.0mm×1.6mmや更に小さい例えば1.8mm×1.4mm)、送受信フィルタ間のアイレーションを確保することは容易ではない。なぜなら、従来の装置(パッケージサイズが例えば2.5mm×2.0mm以上のもの)にあっては、FCB実装するベース基板側の導体パターンに余裕があるから、例えば信号ライン間にグランドパターンを設け、更にこのグランドパターンの面積を広くしたり、あるいは多数本のビアによりベース基板裏面の大きなグランド電極に接続するなどの方法により強化することも可能であるが、装置を更に小型化した場合には(例えばパッケージサイズが2.0mm×1.6mm、あるいは更に小さい例えば1.8mm×1.4mm)、両フィルタの信号ライン同士が接近すると共に、両フィルタ間にグランド電極や多数のビアを設けることが出来なくなるからである。
【0007】
一方、前記特許文献1(特開2006‐80921)ならびに特許文献2(特開2006‐180192)に記載の発明は、いずれも良好な電気的特性を維持しながらSAW装置(デュプレクサ)の小型化を図るものであるが、装置のより一層の小型化を考えた場合には、両フィルタ間の干渉を防ぐ新たな手段の提供が望まれる。また、前記特許文献3(特開2005‐175638)は、送信側のグランドパターンを、共通電極と受信側のグランドパターンから分離することが記載されているが、小型化した場合におけるフィルタ間の干渉を防ぐ方法は全く示されていない。
【0008】
したがって、本発明の目的は、複数のSAWフィルタを含むSAW装置においてフィルタ間の干渉を防ぎ、アイソレーション特性を向上させる点にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決し目的を達成するため、本発明に係るSAW(弾性表面波)装置は、互いに中心周波数が異なりかつ同一の圧電基板上に備えられた低域側SAWフィルタおよび高域側SAWフィルタを含むSAW素子と、表面に導電体を有し当該表面に前記SAW素子がFCB(フリップチップボンディング)実装されたベース基板とを備えたSAW装置であって、前記ベース基板の表面の導電体を、そのいずれもが前記低域側SAWフィルタの形成領域に対向するベース基板表面の領域である第一対向領域と、前記高域側SAWフィルタの形成領域に対向するベース基板表面の領域である第二対向領域とに跨ることがないように配置した。
【0010】
本発明において、上記「SAW(弾性表面波)フィルタの形成領域」(低域側SAWフィルタの形成領域,高域側SAWフィルタの形成領域)とは、当該SAWフィルタを構成する、IDT、必要に応じて当該IDTの両側に配置される反射電極(反射器)、FCB実装用の接続パッド電極、ならびに、IDT同士やIDTと接続パッド電極とを接続する導体線路を含む領域を言う。言い換えれば、「SAWフィルタの形成領域」は、これらフィルタの構成要素(IDT、反射器(反射器を備える場合)、FCB実装用接続パッド電極、およびIDT同士又はIDTと接続パッド電極を接続する導体線路)の外縁を結んだ領域を意味する。また、上記「第一対向領域」は、低域側SAWフィルタの形成領域と向かい合うベース基板表面の領域であり、同様に上記「第二対向領域」は、高域側SAWフィルタの形成領域と向かい合うベース基板表面の領域である。
【0011】
パッケージサイズが大きい従来のSAW装置においては、前述のようにSAW素子を実装するベース基板側の導体パターンに余裕があり、信号ライン間に強いグランドパターンを設けるなどの方法により比較的容易に受送信間のアイレーションを確保することが可能であった。このため、SAW素子を実装するベース基板側のパターンに対しては、さほど関心が払われず、特に工夫が施されていないのが現状である。
【0012】
一方、装置を更に小型化することを考えた場合、既に述べたとおり信号ライン間に強いグランドパターンを設けることは難しい。また、SAW素子をフェースダウンによりFCB実装する場合、装置を低背化できる一方で、SAW素子の電極パターン形成面(フィルタ形成面)がベース基板表面に対向し接近して配置されることになるから、例えばワイヤボンディング実装と比べて対向するベース基板の構造の影響を受けやすくなる。そこで、本発明では、SAW素子を実装するベース基板側に着目し、当該SAW素子に含まれる複数のSAWフィルタ間のアイソレーションを高めるための構造を検討した。
【0013】
具体的には、同一の圧電基板上に隣接して形成した2つのSAWフィルタ(低域側フィルタと高域側フィルタ)を含むSAW素子をベース基板の表面にFCB実装したSAWデュプレクサについて、ベース基板に設けられるグランド電極を分割してこれによる影響を検証した。この分割は、前記SAWフィルタのうち低域側フィルタの形成領域に対向するベース基板表面の領域である第一対向領域と、高域側フィルタの形成領域に対向するベース基板表面の領域である第二対向領域とに跨るように(両領域にその一部が入り込むように)形成されたグランド電極を、両対向領域に跨ることがないように分離(分断)する、言い換えれば、第一対向領域と第二対向領域との間で当該グランド電極を2つの電極に分けることにより行った。
【0014】
なお、本発明は、上記のような分割した構成、すなわち、第一対向領域と第二対向領域とに跨るように従来配置されていた導電体を分ける構成に限定されるものではなく、例えば当該両対向領域に跨るように配置されていた導電体についていずれか一方の対向領域のみに配置されるように当該導電体を移動させても良いし、いずれか一方の対向領域に入り込んでいた導電体部分を削除することによって当該導電体が両対向領域に跨ることがないようにすることも可能である。本発明においては、要は、ベース基板の表面の導電体を、そのいずれもが第一対向領域と第二対向領域とに跨ることがないように配置すれば良い。
【0015】
上記検討を行ったベース基板は、配線層を3層、すなわち、ベース基板の表面である表面層(表層)と、ベース基板裏面である裏面層(裏層)と、ベース基板内部の配線層である内層の合計3層の配線層を備え、各層に、上記第一対向領域または当該領域に対応する(平面から見て同一の)基板内層もしくは裏面層の領域と、上記第二対向領域または当該領域に対応する(平面から見て同一の)基板内層もしくは裏面層の領域とに跨るようなグランド電極を備えているが、これら裏面層と内層にそれぞれ設けられているグランド電極についても、上記表層と同様に、第一対向領域に対応する領域と第二対向領域に対応する領域とについてグランド電極を分割する検討を行った。結果は、下記表1および図1に示すとおりである。なお、このSAW装置は、パッケージサイズ(ベース基板の縦横寸法)が2.5mm×2.0mm(ベース基板表面の面積が5.0mm2)である。
【0016】
【表1】

【0017】
上記検討から、分割を全く行わない(分割無し)に比べてグランド電極を分割するほど良好なアイソレーションが得られ、特に、表層、内層および裏層のすべてについてグランド電極を分割すれば最も良好な特性が得られることがわかる。
【0018】
一方、本発明者は更に装置を小型化した場合について同様の検討を行った。パッケージサイズ(ベース基板の縦横寸法)は1.8mm×1.4mm(ベース基板表面の面積が2.52mm2)である。結果は、下記表2および図2に示すとおりであった。
【0019】
【表2】

【0020】
上記結果から、装置を小型化した場合には装置サイズが大きい場合と異なり、単純にグランド電極を分割すればするほど(表層・内層・裏層のすべてのグランド電極について分割すれば)良いというものではなく、表層のみを分割することが両フィルタ間のアイソレーションを向上させるのに効果的であることが分かった。特に、装置サイズが大きい場合と異なり、装置が小さくなると、裏層のみ、あるいは表層・内層・裏層のすべてについて分割を行うと、導体同士が物理的に離れることによる電磁界結合の低減効果よりも、グランドインダクタンス成分が大きくなり、グランド電極自体のグランドが弱くなることによる電磁界結合の増大効果が支配的になり、却ってアイソレーション特性を劣化させることとなる。
【0021】
このような検討結果から、本発明に係るSAW装置では、低域側SAWフィルタおよび高域側SAWフィルタを含むSAW素子がFCB実装されたベース基板の表面の導電体を、そのいずれもが第一対向領域と第二対向領域とに跨ることがないように配置する。言い換えれば、第一対向領域および第二対向領域の両方に跨るように配置された導電体がベース基板の表面に無い構造である。そして、このような本発明の構造によれば、両フィルタがベース基板表面の導電体(例えばグランド電極)を介して電磁的に結合することを防止または軽減することができ、フィルタ間のアイソレーション特性を向上させることが可能となる。
【0022】
さらに、上記本発明のSAW装置においては、ベース基板表面の導電体を、そのいずれもがベース基板表面の、第一対向領域と第二対向領域との間の領域に位置しないように配置するようにしても良い。このような配置構造、言い換えれば、ベース基板表面において両フィルタの間(第一対向領域と第二対向領域との間)に導電体を備えない構造とすれば、ベース基板を通じた両フィルタの電磁結合をより一層軽減することが出来る。
【0023】
本発明においてベース基板上の「導電体」は、典型的にはグランド電極であるが、必ずしもこれに限られず、例えば接続用のパッド電極や伝送線路など導電性を有する各種の導電体が含まれる。また本発明における「ベース基板」は、例えばセラミック基板、樹脂を主体とする材料からなる基板(例えば樹脂基板や、樹脂材料に無機フィラーを混入した複合材料基板)とすることが出来る。さらに、ベース基板表面に実装したSAW素子を、当該SAW素子とベース基板とを覆うように塗布した樹脂(封止材)によって封止しても良い。このようなパッケージ構造によれば、装置の小型化と共に低背化を図ることが出来る。
【0024】
本発明は上記検討からも明らかなように、装置を小型化した場合に特に有効である。具体的には、例えば、(1)ベース基板の面積が3.2mm2以下、(2)ベース基板の横方向の寸法が2.0mm以下でかつ縦方向の寸法が1.6mm以下、という2つの条件のうちのいずれか一方または双方を満たす装置である。あるいは更に小型の装置である、(1)ベース基板の表面の面積が2.52mm2以下、(2)ベース基板の横方向の寸法が1.8mm以下でかつ縦方向の寸法が1.4mm以下、という2つの条件のうちのいずれか一方または双方を満たす装置である。なお、これらの場合、低域側SAWフィルタと高域側SAWフィルタは、圧電基板上で互いに隣り合って配列され、これらSAWフィルタの配列方向を横方向、ベース基板の表面に平行でかつ当該横方向に直交する方向を縦方向とする。
【0025】
本発明においてSAW素子に含まれるSAWフィルタの数は、2個に限られるものではなく、3個以上であっても同様に本発明を適用することが出来ることは明らかである。また、ベース基板についても3層に限られるものではなく、2層以下、あるいは4層以上の配線層を備えたものであっても良い。
【0026】
また、上記本発明のSAW装置では、SAW素子が、アンテナに接続される共通電極と、低域側信号電極と、高域側信号電極と、接地用のグランド電極とを備え、低域側SAWフィルタが、共通電極と低域側信号電極との間に接続され、高域側SAWフィルタが、共通電極と高域側信号電極との間に接続されると共に、共通電極と高域側信号電極とを接続する伝送路上に直列に接続された1以上の直列腕共振子と、当該伝送路から前記グランド電極に分岐する2以上の伝送路上に各々接続された2以上の並列腕共振子とを含み、これら並列腕共振子のうち共通電極から見て最初に接続された並列腕共振子である第一並列腕共振子と、共通電極から見て前記第一並列腕共振子の次に接続された並列腕共振子である第二並列腕共振子とを少なくとも含む2以上の並列腕共振子を共通のグランド電極に接続し、かつ、当該共通のグランド電極、ならびに、当該2以上の並列腕共振子と当該共通のグランド電極とを接続する伝送路を、前記共通電極と高域側信号電極とを接続する伝送路より低域側弾性表面波フィルタの形成領域に近い側に配置するようにしても良い。
【0027】
このような装置構造によれば、共通電極と高域側信号電極とを接続する伝送路(高域側信号伝送路)と低域側フィルタとの間に共通のグランド電極を介在させることができ、かつ、当該グランド電極ならびに当該グランド電極への伝送路(分岐路)について2以上の並列腕共振子で共通化することでこれらの大きさ(面積)を大きくしグランド電極への伝送路のインダクタンス値を下げることが出来るから、前述したベース基板側の電極構造と相まって両フィルタ間の結合をより一層低減することが可能となる。
【0028】
また逆に、低域側フィルタについて同様の構成を採っても、すなわち、共通電極と低域側信号電極とを接続する伝送路(低域側信号伝送路)と高域側フィルタとの間に共通のグランド電極を介在させても同様の効果を得ることが出来る。
【0029】
具体的には、前記本発明のSAW装置において、SAW素子が、アンテナに接続される共通電極と、低域側信号電極と、高域側信号電極と、接地用のグランド電極とを備え、高域側SAWフィルタが、共通電極と高域側信号電極との間に接続され、低域側SAWフィルタが、共通電極と低域側信号電極との間に接続されると共に、共通電極と低域側信号電極とを接続する伝送路上に直列に接続された1以上の直列腕共振子と、当該伝送路からグランド電極に分岐する2以上の伝送路上に各々接続された2以上の並列腕共振子とを含み、これら並列腕共振子のうち共通電極から見て最初に接続された並列腕共振子である第一並列腕共振子と、共通電極から見て第一並列腕共振子の次に接続された並列腕共振子である第二並列腕共振子とを少なくとも含む2以上の並列腕共振子を共通のグランド電極に接続し、かつ、当該共通のグランド電極、ならびに、当該2以上の並列腕共振子と当該共通のグランド電極とを接続する伝送路を、共通電極と低域側信号電極とを接続する伝送路より高域側SAWフィルタの形成領域に近い側に配置しても良い。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、複数のSAWフィルタを含むSAW装置を小型化した場合でもフィルタ間の干渉を防ぎ、アイソレーション特性を向上させることが出来る。
【0031】
本発明の他の目的、特徴および利点は、図面に基づいて述べる以下の本発明の実施の形態の説明により明らかにする。なお、以下の実施形態の説明では、理解を容易にするためまず本発明の前提となる比較例に係るSAWデュプレクサについて述べ、これとの比較において実施形態に係るSAWデュプレクサについて説明する。また、各図中において同一又は相当部分については同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
〔第1実施形態〕
図3から図4は、第一の比較例に係るSAWデュプレクサを模式的に示すもので、図3はベース基板の表面を、図4は当該ベース基板にSAW素子(以下、チップと言うことがある)を実装した状態をそれぞれ示す。なお、フィルタを構成するIDTや接続パッド等の導体パターンは実装状態ではチップの下面に形成されているが、図4はチップの上面側から当該チップ下面(導体パターン)を透視した状態で表している。
【0033】
図3および図4に示すようにこのSAWデュプレクサは、SAW素子121を実装するベース基板101が従来と同様の電極構造を有するもので、当該ベース基板101の表面にベアチップ状のSAW素子121をフェースダウンによりFCB実装したものである。SAW素子121は圧電基板の表面(下面)に左右に並べて形成した低域側SAWフィルタ21と高域側SAWフィルタ31とを有し、低域側SAWフィルタ21を送信側フィルタ、高域側SAWフィルタ31を受信側フィルタとしてある。
【0034】
なお、以下の説明では、低域側・高域側両フィルタ21,31の配列方向(図3及び図4の左右方向/x軸方向)を横方向、ベース基板表面に平行でかつ当該横方向に直交する方向(図3及び図4の上下方向/y軸方向)を縦方向と称する(図5、図6、図10および図12を含む以下の説明において同様)。また図4において、送信側フィルタ21の形成領域を二点鎖線で囲みかつ符号102で、受信側フィルタ31の形成領域を同様に二点鎖線で囲みかつ符号103で示す。さらに図3において、送信側フィルタ21の形成領域102に対向する第一対向領域を同様に二点鎖線で囲みかつ同一の符号102を付して示し、受信側フィルタ31の形成領域103に対向する第二対向領域を同様に二点鎖線で囲みかつ同一の符号103を付して示した。
【0035】
送信側フィルタ21は、アンテナに接続される共通電極C1と送信信号が入力される送信電極Tとの間の伝送線路上に直列に接続された3個の直列腕共振子22,23,24と、当該伝送線路からグランド電極G1に分岐する分岐線路上に接続された3個の並列腕共振子25,26,27とを有する5段のラダー型SAWフィルタである。一方、受信側フィルタ31は、アンテナに接続される共通電極C2と受信信号が出力される受信電極Rとの間の伝送線路上に直列に接続された2個の直列腕共振子32,33と、当該伝送線路からグランド電極G,G4に分岐する分岐線路上に接続された3個の並列腕共振子35,36,37とを有する4段のラダー型SAWフィルタである。また、両フィルタ21,31における各直列腕共振子22〜24,32〜33および各並列腕共振子25〜27,35〜37は、一対の櫛形電極を組み合わせてその両側に反射器を備えたIDTからなる。なお、このSAW素子121の好適な構成例については、第二の実施形態として後に述べる。
【0036】
ベース基板101は、表層、内層および裏層の3層の配線層を備えたセラミック基板であり、図3に示すようにその表面(表層)に、送信信号用の送信パッド111、受信信号用の受信パッド115、アンテナ接続用の共通パッド113,114、接地用のグランドパッド112,116、ならびに、グランド電極117を含む複数の導電体を備えている。送信パッド111、受信パッド115、共通パッド113,114およびグランドパッド112,116には、前記SAW素子121の送信電極T、受信電極R、共通電極C1,C2およびグランド電極G1,G4がそれぞれ金属バンプBを介して接続される。
【0037】
なお、送信パッドTはベース基板表面の一縁部(縦方向の一方の端縁部)の一方の端部に、受信パッドRはベース基板表面の一縁部(縦方向の一方の端縁部)の他方の端部にそれぞれ配置してある。また、送信側の共通パッド113はベース基板表面の他縁部(縦方向の他方の端縁部)の中央部に、受信側の共通パッド114はベース基板表面の他縁部(縦方向の他方の端縁部)の他方の端部にそれぞれ配置してある。さらに、送信パッド111と受信パッド115との間にグランドパッド116を設けると共に、当該グランドパッド116、受信パッド115および共通パッド113,114に囲まれたベース基板101の中央部にグランド電極117を形成してある。ベース基板101のサイズは、横方向の寸法x1が1.8mmで縦方向の寸法y1が1.4mmであり、面積が2.52mm2である(図5及び図6に示す第一実施形態も同様)。
【0038】
また、ベース基板101の裏面(裏層)には、当該SAWデュプレクサを実装するための外部接続端子、すなわち、アンテナ共通端子1(図11および図13参照)、送信端子2、受信端子3およびグランド端子を備え、前記ベース基板上の共通パッド113,114は当該アンテナ共通端子1に、前記送信パッド111は当該送信端子2に、前記受信パッド115は当該受信端子3に、前記グランドパッド112,116およびグランド電極117は当該グランド端子に、それぞれビアVを介して電気的に接続されている。また、これら外部接続端子を除くベース基板裏面の略全面には、グランド電極(所謂ベタ電極)を形成する。
【0039】
一方、図5から図6は、本発明の第一の実施形態に係るSAWデュプレクサを模式的に示すもので、図5は前記図3と同様にベース基板101の表面を、図6は前記図4と同様に当該ベース基板101にチップ121を実装した状態をそれぞれ示している。本実施形態のSAWデュプレクサは、前記比較例と比べてベース基板101の表面の導電体(パッド及びグランド電極)の形状および配置のみが異なる。
【0040】
具体的には、前記図3に示した比較例に係るデュプレクサでは、送信パッド111と受信パッド115との間に設けたグランドパッド116、ならびに、ベース基板101の中央部に配したグランド電極117が、第一対向領域102と第二対向領域103とに跨るように形成されていたが、本実施形態に係るデュプレクサでは、当該グランドパッド116を図5に示すように第一対向領域102と第二対向領域103との間で2つのパッド部116a,116bに分けると共に、ベース基板中央部のグランド電極117について、第一対向領域102および両対向領域の間の領域104に配置されていた部分を削除して第二対向領域103内にほぼ全体が収まるような形状を有するグランド電極117aとした。これにより、ベース基板101の表面に第一対向領域102と第二対向領域103とに跨るような導電体を備えない構造、言い換えれば、ベース基板101の表面のすべての導電体が第一対向領域102と第二対向領域103に跨ることがない構造を実現する。
【0041】
また、上記ベース基板中央部のグランド電極117は、2本のビアVを介してベース基板裏面のグランド電極に電気的に接続しているが、更に多くの(例えば3本以上)のビアを設けてベース基板裏面のグランド電極に接続することにより、当該ベース基板表面のグランド電極117aを強化することも可能である。
【0042】
さらに、本実施形態のように、ベース基板表面の第一対向領域102と第二対向領域103の間の領域(第一対向領域102と第二対向領域103に挟まれたベース基板101上の領域/以下、境界領域と言う)104に導電体が存在しないようにすることが両フィルタ21,31間の干渉を防ぐ点から好ましい。なお、図5ないし図6に示した例では、送信側フィルタ21の前記分割したグランドパッド部116aの一部と、共通パッド113の一部とが当該境界領域104に若干入り込んでいるが、これら導電体の略全体は第一対向領域102内に収まっており、特性に影響を与えることは殆ど無い。ただし、当該グランドパッド部116aおよび共通パッド113を例えば移動させ或いは形状・大きさを変更することにより当該境界領域104への侵入部分を完全に無くすことも可能であり、このように境界領域104に完全に導電体が存在しない構造としても良い。
【0043】
図7から図9は、本実施形態に係るデュプレクサのアイソレーション特性(周波数‐減衰特性)を前記比較例に係るデュプレクサと比較して示すものである(実線が本実施形態、破線が比較例)。なお、デュプレクサに要求される規格の一例として、送信周波数帯1.75GHz〜1.785GHzにおいて減衰量−50dBを要求するものがあり、当該規格を図8および図9の線図中に示している。これらの線図から明らかなように本実施形態によれば、フィルタ間のアイソレーション特性を向上させ、上記規格を十分に満足させることが出来る。
【0044】
〔第2実施形態〕
図12から図13は、本発明の第二の実施形態に係るSAWデュプレクサ(SAW素子)を示すものであり、図10から図11は、当該第二実施形態の前提となる第二の比較例に係るSAWデュプレクサ(SAW素子)を示すものである。本実施形態は、前記第一実施形態と同様に送受信両フィルタ21,31間のアイソレーション特性を向上させるものであるが、特にSAW素子側の電極パターンに特徴を有する。なお、図10および図12では、前記図4および図6と同様にSAW素子の下面をチップ上面から透視した状態で示している。
【0045】
図10から図11に示すようにまず、第二比較例に係るSAWデュプレクサは、前記第一比較例および第一実施形態のデュプレクサと同様に、1枚の圧電基板の表面(下面)に低域側(送信側)SAWフィルタ21と高域側(受信側)SAWフィルタ31とを左右に並べて形成したSAW素子121aを備えている。
【0046】
送信側フィルタ21は、送信電極Tと共通電極C1との間の伝送線路上に直列に接続された3個の直列腕共振子22,23,24と、当該伝送線路からグランド電極G1に分岐する分岐線路上に接続された3個の並列腕共振子25,26,27とを有する5段のラダー型SAWフィルタである。一方、受信側フィルタ31は、共通電極C2と受信電極Rとの間の伝送線路(以下、受信信号ラインと言う)上に直列に接続された2個の直列腕共振子32,33と、当該伝送線路からグランド電極G2,G3,G4に分岐する分岐線路(以下、グランドラインと言う)上に接続された3個の並列腕共振子35,36,37とを有する4段のラダー型SAWフィルタである。各直列腕共振子22〜24,32〜33および各並列腕共振子25〜27,35〜37は、一対の櫛形電極を組み合わせてその両側に反射器を備えたIDTからなる。
【0047】
また、図10および図11に示すように受信側(低域側)フィルタ31では、並列腕共振子35,36,37毎に個別にグランドライン(分岐線路)を設け、各並列腕共振子35,36,37および各グランドラインに対応する個別のグランド電極G2,G3,G4を設けている。
【0048】
一方、本実施形態に係るSAWデュプレクサは、上記第二比較例と同様に5段のラダー型SAWフィルタからなる送信側フィルタ21と、4段のラダー型SAWフィルタからなる受信側フィルタ31とを同一の圧電基板上に左右に並べて形成したSAW素子121bを備えるものであるが、このSAW素子121bは、図12および図13に示すように受信側(高域側)フィルタ31について、並列腕共振子35〜37のうち共通電極C2から見て最初に接続された並列腕共振子である第一並列腕共振子35と、共通電極C2から見て第一並列腕共振子35の次に接続された並列腕共振子である第二並列腕共振子36を共通のグランド電極G22に接続してある。また同時に、当該共通グランド電極G22、ならびに、当該共通グランド電極G22に対して第一並列腕共振子35と第二並列腕共振子36を接続する伝送線路(以下、共通分岐ラインと言う)106を、前記受信信号ライン107より中央寄り(送信側(低域側)フィルタ21に近い側)に配置する。
【0049】
このような配置構造とすれば、図12および図13に示すように当該共通分岐ライン106を幅広に太く形成することができ、伝送線路106のインダクタンス値を低下させて送受信両フィルタ21,31間の干渉を軽減することが出来る。なお、本実施形態に係るこのような構成について別の捉え方(表現)をすれば、上記共通グランド電極G22および共通分岐ライン106を、高域側フィルタ31の形成領域103の中央(中心線105)より低域側フィルタ21の形成領域102に近い側に配置する、と定義することも可能である。このように構成すれば、高域側フィルタ31の形成領域103の中央(中心線105)より外側(低域側フィルタ21の形成領域102から遠い側)に高域側フィルタ31の信号ライン107を配置することが出来ると共に、当該高域側信号ライン107と低域側フィルタ21との間に上記共通グランド電極G22および共通分岐ライン106を配置して両フィルタ21,31間の干渉を抑制することが可能となる。
【0050】
図14から図15は、本実施形態に係るデュプレクサのアイソレーション特性(周波数‐減衰特性)を前記第二比較例に係るデュプレクサと比較して示すものである(実線が本実施形態、破線が比較例)。なお、前記図8および図9と同様に規格の一例(1.75GHz〜1.785GHzで減衰量−50dB)を線図中に示した。これらの線図から明らかなように本実施形態によっても、フィルタ間の干渉を防ぎアイソレーション特性を向上させることが出来る。したがって、前記第一実施形態で説明したベース基板の構造と、当該第二実施形態で説明したSAW素子構造とを組み合わせることにより、小型でかつフィルタ間の干渉が極めて小さいアイソレーション特性に優れたSAWデュプレクサを実現することが出来る。
【0051】
〔第3実施形態〕
図16から図17は、本発明の第三の実施形態に係るSAWデュプレクサ(SAW素子)を示すものである。本実施形態は、前記第二実施形態と同様にSAW素子側の電極パターンに特徴を有し、送受信両フィルタ21,31間のアイソレーション特性を向上させるものである。なお、図16および図17では、前記図12と同様にSAW素子の下面をチップ上面から透視した状態で示している。
【0052】
図16から図17に示すように本実施形態に係るSAWデュプレクサは、前記第二実施形態のSAWデュプレクサと同様に、5段のラダー型SAWフィルタからなる送信側フィルタ21と、4段のラダー型SAWフィルタからなる受信側フィルタ31とを同一の圧電基板上に左右に並べて形成したSAW素子121cを備えるものであるが、このSAW素子121cは、図16および図17に示すように送信側(低域側)フィルタ21について、総ての並列腕共振子25〜27(共通電極C1から見て最初に接続された並列腕共振子である第一並列腕共振子27,共通電極C1から見て第一並列腕共振子27の次に接続された並列腕共振子である第二並列腕共振子26,共通電極C1から見て第二並列腕共振子26の次に接続された並列腕共振子である第三並列腕共振子25)を共通のグランド電極G1に接続してある。また同時に、当該共通グランド電極G1、ならびに、当該共通グランド電極G1に対してこれら並列腕共振子25〜27を接続する伝送線路(共通分岐ライン)132を、送信信号ライン133より中央寄り(受信側(高域側)フィルタ31に近い側)に配置する。
【0053】
このように構成すれば、前記第二実施形態と同様に、低域側フィルタ21の形成領域102の中央(中心線131)より外側(高域側フィルタ31の形成領域103から遠い側)に低域側フィルタ21の信号ライン133を配置することが出来ると共に、当該低域側信号ライン133と高域側フィルタ31との間に上記共通グランド電極G1および共通分岐ライン132を配置して両フィルタ21,31間の干渉を抑制することが可能となる。
【0054】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載の範囲内で種々の変更を行うことができることは当業者に明らかである。例えば、前記実施形態では、低域側フィルタを送信側フィルタ、高域側フィルタを受信側フィルタとしたが、これとは逆に、低域側フィルタを受信側フィルタ、高域側フィルタを送信側フィルタとすることも可能である。また、低域側および高域側の各フィルタは、実施形態では共にラダー型SAWフィルタとしたが、これらフィルタのいずれか一方又は双方をラダー型以外の構造(例えば音響結合型その他の構造)を有するフィルタとしても良い。さらに前記実施形態で示した周波数帯は一例として示したものであって、本発明に基づいて他の周波数帯を使用するSAW装置を構成し同様の効果を得ることが出来ることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】パッケージサイズが大きいSAWデュプレクサについて、ベース基板に備えられるグランド電極を分割した場合の影響(アイソレーション特性)を検討した結果を示す線図である。
【図2】パッケージサイズが小さいSAWデュプレクサについて、ベース基板に備えられるグランド電極を分割した場合の影響(アイソレーション特性)を検討した結果を示す線図である。
【図3】第一の比較例に係るSAWデュプレクサ(ベース基板の表面)を模式的に示す平面図である。
【図4】前記第一比較例に係るSAWデュプレクサを、ベース基板上に実装したSAW素子を透過した状態で模式的に示す平面図である。
【図5】本発明の第一の実施形態に係るSAWデュプレクサにおけるベース基板の表面を模式的に示す平面図である。
【図6】前記第一実施形態に係るSAWデュプレクサを、ベース基板上に実装したSAW素子を透過した状態で模式的に示す平面図である。
【図7】前記第一実施形態のSAWデュプレクサにおけるアイソレーション特性(広帯域)を示す線図である。
【図8】前記第一実施形態のSAWデュプレクサにおけるアイソレーション特性(通過帯域)を示す線図である。
【図9】前記図6の線図の一部(送信周波数帯)を拡大して示す線図である。
【図10】第二の比較例に係るSAW素子の導体パターンを模式的に示す平面図である。
【図11】前記第二比較例に係るSAW素子を示す回路図である。
【図12】本発明の第二の実施形態に係るSAW素子の導体パターンを模式的に示す平面図である。
【図13】前記第二実施形態に係るSAW素子を示す回路図である。
【図14】前記第二実施形態によるアイソレーション特性を第二比較例と比較して示す線図である。
【図15】前記図14の線図の一部(送信周波数帯)を拡大して示す線図である。
【図16】前記第三実施形態に係るSAW素子を示す回路図である。
【図17】本発明の第三の実施形態に係るSAW素子の導体パターンを模式的に示す平面図である。
【符号の説明】
【0056】
1 アンテナ共通端子
2 送信端子
3 受信端子
21 低域側SAWフィルタ(送信側フィルタ)
22,23,24,32,33 直列腕共振子
25,26,27,35,36,37 並列腕共振子
31 高域側SAWフィルタ(受信側フィルタ)
101 ベース基板
102 低域側(送信側)フィルタ形成領域(第一対向領域)
103 高域側(受信側)フィルタ形成領域(第二対向領域)
104 境界領域
105 高域側(受信側)フィルタ形成領域の中心線
106,132 共通分岐ライン
111 送信パッド
112,116 グランドパッド
113,114 共通パッド
115 受信パッド
117 グランド電極
121 SAW素子
131 低域側(送信側)フィルタ形成領域の中心線
B 金属バンプ
C1,C2 共通電極
G,G1,G2,G3,G4 グランド電極
G22 共通グランド電極
R 受信電極
T 送信電極
V ビアホール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに中心周波数が異なりかつ同一の圧電基板上に備えられた低域側弾性表面波フィルタおよび高域側弾性表面波フィルタを含む弾性表面波素子と、
表面に導電体を有し当該表面に前記弾性表面波素子がフリップチップボンディング実装されたベース基板と、
を備えた弾性表面波装置であって、
前記ベース基板の表面の導電体を、そのいずれもが前記低域側弾性表面波フィルタの形成領域に対向するベース基板表面の領域である第一対向領域と、前記高域側弾性表面波フィルタの形成領域に対向するベース基板表面の領域である第二対向領域とに跨ることがないように配置した
ことを特徴とする弾性表面波装置。
【請求項2】
前記ベース基板表面の導電体を、そのいずれもが前記ベース基板表面の、前記第一対向領域と前記第二対向領域との間の領域に位置しないように配置した
請求項1に記載の弾性表面波装置。
【請求項3】
前記低域側弾性表面波フィルタと前記高域側弾性表面波フィルタは、前記圧電基板上で互いに隣り合って配列され、
前記ベース基板の面積が3.2mm2以下である
請求項1または2に記載の弾性表面波装置。
【請求項4】
前記低域側弾性表面波フィルタと前記高域側弾性表面波フィルタは、前記圧電基板上で互いに隣り合って配列され、
これら弾性表面波フィルタの配列方向を横方向、前記ベース基板の表面に平行でかつ前記横方向に直交する方向を縦方向とした場合に、前記ベース基板は、横方向の寸法が2.0mm以下であり、縦方向の寸法が1.6mm以下である
請求項1から3のいずれか一項に記載の弾性表面波装置。
【請求項5】
前記ベース基板がセラミック基板である
請求項1から4のいずれか一項に記載の弾性表面波装置。
【請求項6】
前記ベース基板が、樹脂を主体とする材料からなる基板である
請求項1から4のいずれか一項に記載の弾性表面波装置。
【請求項7】
前記ベース基板表面に実装した弾性表面波素子を、当該弾性表面波素子とベース基板とを覆うように塗布した樹脂によって封止した
請求項1から6のいずれか一項に記載の弾性表面波装置。
【請求項8】
前記弾性表面波素子は、
アンテナに接続される共通電極と、
低域側信号電極と、
高域側信号電極と、
接地用のグランド電極と、
を備え、
前記低域側弾性表面波フィルタは、前記共通電極と前記低域側信号電極との間に接続され、
前記高域側弾性表面波フィルタは、
前記共通電極と前記高域側信号電極との間に接続されると共に、
前記共通電極と前記高域側信号電極とを接続する伝送路上に直列に接続された1以上の直列腕共振子と、当該伝送路から前記グランド電極に分岐する2以上の伝送路上に各々接続された2以上の並列腕共振子とを含み、
これら並列腕共振子のうち前記共通電極から見て最初に接続された並列腕共振子である第一並列腕共振子と、前記共通電極から見て前記第一並列腕共振子の次に接続された並列腕共振子である第二並列腕共振子とを少なくとも含む2以上の並列腕共振子を共通のグランド電極に接続し、かつ、当該共通のグランド電極、ならびに、当該2以上の並列腕共振子と当該共通のグランド電極とを接続する伝送路を、前記共通電極と前記高域側信号電極とを接続する伝送路より前記低域側弾性表面波フィルタの形成領域に近い側に配置した
請求項1から7のいずれか一項に記載の弾性表面波装置。
【請求項9】
前記弾性表面波素子は、
アンテナに接続される共通電極と、
低域側信号電極と、
高域側信号電極と、
接地用のグランド電極と、
を備え、
前記高域側弾性表面波フィルタは、前記共通電極と前記高域側信号電極との間に接続され、
前記低域側弾性表面波フィルタは、
前記共通電極と前記低域側信号電極との間に接続されると共に、
前記共通電極と前記低域側信号電極とを接続する伝送路上に直列に接続された1以上の直列腕共振子と、当該伝送路から前記グランド電極に分岐する2以上の伝送路上に各々接続された2以上の並列腕共振子とを含み、
これら並列腕共振子のうち前記共通電極から見て最初に接続された並列腕共振子である第一並列腕共振子と、前記共通電極から見て前記第一並列腕共振子の次に接続された並列腕共振子である第二並列腕共振子とを少なくとも含む2以上の並列腕共振子を共通のグランド電極に接続し、かつ、当該共通のグランド電極、ならびに、当該2以上の並列腕共振子と当該共通のグランド電極とを接続する伝送路を、前記共通電極と前記低域側信号電極とを接続する伝送路より前記高域側弾性表面波フィルタの形成領域に近い側に配置した
請求項1から7のいずれか一項に記載の弾性表面波装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2009−225198(P2009−225198A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−68550(P2008−68550)
【出願日】平成20年3月17日(2008.3.17)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】