説明

弾球遊技機

【課題】 不正具を侵入させ、賞球を不正に取得する不正行為を確実に防止する。
【解決手段】 本発明は、前枠2の下部領域に収容された遊技補助盤24の前面を覆うようにヒンジ部17b,17cを介して横向き開閉可能に設けられた球皿31と、球皿31の上方においてヒンジ部17a,17bを介して横向き開閉可能に設けられたガラス扉16とを備えた弾球遊技機であって、遊技補助盤24には、球皿31とガラス扉16の間のヒンジ部17bに隣接してファール球回収部材30が設けられており、ファール球回収部材30には、前方に突出し、対向する球皿31の背面側に当接可能な前方突出部68,72が設けられ、ファール球回収部材30は、前方突出部68,72により球皿31の上部を通る不正具の侵入経路を遮断可能な不正具侵入防止部材としても機能するように構成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、前面側から遊技機内部に針金等の不正具を侵入させ、賞球装置等を不正に作動させる不正行為を防止するための不正具侵入防止部材を備えた弾球遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、パチンコ遊技機に代表ざれる弾球遊技機には、方形枠状の外枠に遊技機の機体となる前枠が取り付けられている。そして、前枠の上部領域には、始動入賞口、大入賞口等の入賞装置等が配設された遊技盤が収容されていると共に、この遊技盤の前面を覆うようにガラス扉がヒンジ部を介して横向き開閉可能に取り付けられている。また、前枠の下部領域には、打球発射装置等が配設された遊技補助盤が収容されていると共に、この遊技補助盤の前面を覆うように球皿がヒンジ部を介して横向き開閉可能に取り付けられている。
【0003】
このような弾球遊技機において、遊技球が始動入賞口に入賞すると、図柄表示装置において所要の図柄変動表示がなされ、その図柄の停止態様に応じて遊技者に有利な遊技状態が付与されるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−167153号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した従来の弾球遊技機においては、前枠とガラス扉及び球皿との間、或いは、ガラス扉や球皿のヒンジ部周辺には、構造上、僅かな隙間が生じるため、その隙間から遊技機内部に針金やピアノ線等の不正具を侵入させることにより、入賞装置を開放させたり、或いは、遊技盤の背面側に装着された賞球装置等を操作したりして、賞球を不正に取得する不正行為が行われ易いといった問題があった。
【0005】
本発明は、上記した課題を解決すべくなされたものであり、前面側から遊技機内部に針金等の不正具を侵入させ、賞球を不正に取得する不正行為を確実に防止することのできる弾球遊技機を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前枠2の下部領域に収容された遊技補助盤24の前面を覆うようにヒンジ部17b,17cを介して横向き開閉可能に設けられた球皿31と、球皿31の上方においてヒンジ部17a,17bを介して横向き開閉可能に設けられたガラス扉16とを備えた弾球遊技機であって、遊技補助盤24には、球皿31とガラス扉16の間のヒンジ部17bに隣接してファール球回収部材30が設けられており、ファール球回収部材30には、前方に突出し、対向する球皿31の背面側に当接可能な前方突出部68,72が設けられ、ファール球回収部材30は、前方突出部68,72により球皿31の上部を通る不正具の侵入経路を遮断可能な不正具侵入防止部材としても機能するように構成されていることを特徴とする。
【0007】
そして、好ましくは、前方突出部68,72は、打球発射装置25から発射された遊技球を遊技領域7に導く発射レール部61のヒンジ部17b側の側壁67の前端面と、側壁67とヒンジ部17bとの間のファール球回収口62の上部70前端面とに形成されているのがよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、対向する球皿の背面側に前方突出部が当接可能に形成されているため、ヒンジ部周辺のガラス扉と球皿との間に生じる隙間から、球皿の上部を経由して、遊技機内部に針金やピアノ線等の不正具を侵入させる経路を、不正具侵入防止部材によって確実に遮断することができる。したがって、このような隙間から不正具を侵入させることにより賞球を不正に取得する不正行為を未然に防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の説明では、本発明をパチンコ遊技機に適用した場合について例示して説明する。
【0010】
先ず、図1〜図3を参照しつつ、本実施の形態に係るパチンコ遊技機の概略構成について説明する。ここで、図1は本実施の形態に係るパチンコ遊技機を示す正面図、図2はその背面図、図3はそのガラス扉の下側部分及び球皿を示す背面図である。
【0011】
パチンコ遊技機は、外郭方形枠サイズに形成されて縦向きの固定保持枠を成す外枠1の開口前面に、外枠1に合わせて方形枠サイズに形成された開閉搭載用の前枠2が、外枠1の正面左側上下に取り付けられたヒンジ金具3a,3bによって外枠2に対して開閉可能に取り付けられていると共に、外枠1の正面右側に設けられた施錠装置4により閉鎖状態に保持されるようになっている。
【0012】
前枠2の上部領域には、遊技盤5が収容されており、遊技盤5は、所定板厚の積層合板の表面にセルを貼り付けてルーター加工した化粧版を基板とし、その前面側には、環状に取り付けられたガイドレール6に囲まれて、略円形状の遊技領域7が形成されている。遊技領域7には、その略中央部に画像表示装置の表示部8が配置されており、画像表示装置の表示部8の周りには、センター飾り9、始動入賞口10や大入賞口11等の入賞装置等がそれぞれ配設されている。そして、始動入賞口10には入賞検出スイッチ12が取付けられており、この入賞検出スイッチ12により始動入賞口10への遊技球の入賞を検出可能となっている。また、大入賞口11は特定領域(Vゾーン)と一般領域とに区画形成され、その特定領域には特定領域通過検出スイッチ13が取付けられており、この特定領域通過検出スイッチ13により前記特定領域への遊技球の入賞を検出可能となっている。さらに、遊技領域7の下端部には、アウト口14が配設されており、始動入賞口10や大入賞口11等の入賞装置に入賞せずに落下したアウト球を遊技盤5の背面側から機外に排出できるようになっている。
【0013】
前枠2の前面上部側には、遊技盤5を視認可能なように透明ガラス板15を備えたガラス扉16が前枠2の正面左側上下に取り付けられたヒンジ部17a,17bを介して横向き開閉可能且つ着脱可能に取り付けられ、常には施錠装置4により遊技盤5の前面を覆うように閉鎖状態に保持されている。また、ガラス扉16の背面側には、その周壁46に沿ってそれぞれ細長の枠金具18,19,20(上部枠金具は図示せず)が上下左右に取り付けられており、これら上下左右の枠金具18,19,20はガラス扉16の各角部21,22(下側の角部のみ図示)においてそれぞれ重合し、連結されている。そして、ガラス扉16の背面側には、下部ヒンジ部17bの直上の下側角部22に第1の不正具侵入防止部材23が取り付けられている。なお、この第1の不正具侵入防止部材23の構成の詳細については後述する。
【0014】
また、前枠2の下部領域には、遊技補助盤24が形成されており、この遊技補助盤24の各部には、遊技領域7内に遊技球を発射させる打球発射装置25、後述する球皿31の球貯留部32に貯留し切れない遊技球を一時的に貯留する貯留ケース26、貯留ケース26の出口に設けられた枠側シャッタ27、遊技状態に応じて効果音を発生させる音響装置28等がそれぞれ配設されている。打球発射装置25は球皿31のヒンジ部17b、17c側に配設されており、その上部には、前面側が開放されて溝状を成す発射レール部29が正面左側斜め上方に向かって形成されている。また、発射レール部29の上方には球皿31のヒンジ部17bに隣接してファール球回収部材30が設けられており、このファール球回収部材30は前枠2に対して着脱自在に取り付けられている。なお、このファール球回収部材30は第2の不正具侵入防止部材としても機能するようになっており、その構成の詳細については後述する。
【0015】
前枠2の前面下部側であって、ガラス扉16の下方には、球皿31が前枠2の正面左側上下に取り付けられたヒンジ部17b,17cを介して横向き開閉可能且つ着脱可能に取り付けられ、常には施錠装置(図示せず)により遊技補助盤24の前面を覆うように閉鎖状態に保持されている。球皿31は前面側に膨出して形成され、球皿31には、遊技中に払い出される遊技球を貯留する球貯留部32が設けられている。また、球皿31には、その正面右側下部に発射ハンドル33が前方に突出して取り付けられており、発射ハンドル33を回転操作することにより、球貯留部32から供給された遊技球が遊技領域7に発射されるようになっている。
【0016】
球皿31の背面側には、上記した遊技補助盤24の各構成に対応して以下の構成がそれぞれ配設されている。すなわち、打球発射装置25に対応して球送り装置34、貯留ケース26に対応して貯留ケース視認窓35、枠側シャッタ27に対応して皿側シャッタ36、音響装置28に対応して音室37等がそれぞれ配設されている。また、球皿31の背面側には、発射レール部29に対応した位置にガイドリブ48が斜め上方に延出しており、ガイドリブ48は後方に突出して形成されている。さらに、球皿31の上面には、前面側が開放されて溝状を成す係合部47が、左右両端部を除いて、その上面に沿って形成されている。係合部47はガラス扉16の下側の周壁46に係合可能に形成されており、この係合部47がガラス扉16の周壁46に係合する範囲において、ガラス扉16と球皿31の合わせ部に生じる隙間が閉塞されるようになっている。さらに、この係合部47の背面側には、左右に渡って段差部49が形成されており、係合部47の背面の下側部分50はその上側部分51より後方に突出して形成されている。
【0017】
前枠2の背面側には裏セット盤38が複数のレバー39により着脱可能に設けられており、その裏セット盤38には、予備賞球を貯留する球貯留タンク40、遊技球を整列状態で待機させる待機通路41、遊技盤5での入賞状態等に基づき賞球を払い出す球払出装置42、球払出装置42から払い出された賞球を球皿31に排出するための球払出通路43等の賞球装置が装備されていると共に、電源基板44や遊技制御基板45等の各種回路基板及び電子部品等が取付けられている。
【0018】
次に、主に図4〜図7を参照しつつ、本発明の実施の形態に係るパチンコ遊技機の不正具侵入防止部材について詳細に説明する。ここで、図4は本発明の実施の形態に係るパチンコ遊技機においてガラス扉に装着される第1の不正具侵入防止部材を示す背面図、図5はその第1の不正具侵入防止部材を示す平面図、図6は遊技補助盤に装着される第2の不正具侵入防止部材を示す正面図、図7はその第2の不正具侵入防止部材を示す平面図である。
【0019】
先ず、主に図4及び図5を参照して、第1の不正具侵入防止部材23について説明する。
【0020】
第1の不正具侵入防止部材23は、ガラス扉16の背面に沿うように形成される平板部55と、平板部55の外側部及び下端部から後方に延出する後方延出部56とから構成されている。平板部55はその取付位置である下側角部22の形状に整合した形状を成しており、その下側角部22における下側枠金具18と背面視で右側の枠金具20との連結固定位置に対応して2個の取付孔57が穿設されている。また、後方延出部56は、下側枠金具18の右端部及び右側枠金具20の下端部の各内面に沿って屈曲した形状を成しており、ガラス扉16の周壁46の背面に沿うよう形成されている。そして、ガラス扉16の背面側の下側角部22に第1の不正具侵入防止部材23を装着することにより、下側角部22に生じる隙間を閉塞可能となっている。
【0021】
すなわち、ガラス扉16の下側角部22に生じる隙間を介して遊技機内部に針金やピアノ線等の不正具を侵入させる不正具侵入経路は、この第1の不正具侵入防止部材23によって確実に遮断することができる。したがって、この隙間から不正具を侵入させることにより、入賞検出スイッチ12を作動させて始動入賞口10を開放させたり、或いは、特定領域通過検出スイッチ13を作動させて大入賞口11を開放させたりして、賞球を不正に取得する不正行為を未然に防ぐことができる。
【0022】
次に、上記したように第2の不正具侵入防止部材としても機能するファール球回収部材30について、主に図6及び図7を参照しながら説明する。
【0023】
ファール球回収部材30は、打球発射装置25の発射レール部29の上部に接続され、この発射レール部29と共に打球発射装置25から発射された遊技球を遊技領域7に導く発射レール部61と、発射レール部61の正面視で左右両側にそれぞれ形成された第1ファール球回収口62及び第2ファール球回収口63とを備えている。発射レール部61は前面側が開口されて溝状を成し、正面左側斜め上方に向かって延びており、後面64の上端部には前枠2側に形成された係止凸部65に係止可能な係止凹部66が形成されている。また、発射レール部61の第1ファール球回収口62側(すなわち、ヒンジ部17b側)の側壁67の前端面には、前方に突出する第1前方突出部68が形成され、第1前方突出部68は対向する係合部47背面の下側部分50に当接可能となっている。そして、発射レール部61の下方には、打球発射装置25の発射レール部29が嵌合可能な嵌合部69が形成されている。さらに、第1ファール球回収口62の下方には、取付孔73が穿設されており、ファール球回収部材30は取付孔73にネジ等の固定具を挿入することにより前枠2に固定されるようになっている。
【0024】
第1ファール球回収口62及び第2ファール球回収口63は、それぞれ後方に下傾し、各上部70,71が前方に突出するように形成されており、第1ファール球回収口62の上部70の前端面には、第2前方突出部72がさらに前方に突出して形成されている。そして、第1ファール回収口62の上部70の前端面は、対向する係合部47の段差部49に整合するように段状を成しており、第2前方突出部72は係合部47背面の上側部分51に当接可能となっている。
【0025】
このように、第1前方突出部68が対向する係合部47背面の下側部分50に当接し、第2前方突出部72が対向する係合部47背面の上側部分51に当接するようになっているため、ヒンジ部17b周辺のガラス扉16と球皿31との間に生じる隙間から、球皿31の係合部47の段差部49の上部を経由して、遊技機内部に針金やピアノ線等の不正具を侵入させる不正具侵入経路は、この第2の不正具侵入防止部材によって確実に遮断することができる。したがって、この隙間から不正具を侵入させることにより、入賞検出スイッチ12を作動させて始動入賞口10を開放させたり、或いは、特定領域通過検出スイッチ13を作動させて大入賞口11を開放させたりして、賞球を不正に取得する不正行為を未然に防ぐことができる。
【0026】
なお、第1の不正具侵入防止部材23及び第2の不正具進入防止部材(ファール球回収部材30)の形状は、上記実施の形態において説明した形状に限定されるものではなく、各種変更が可能である。
【0027】
また、上記実施の形態においては、本発明をパチンコ遊技機に適用した場合について説明したが、これは単なる例示に過ぎず、本発明は、パチンコ遊技機以外の弾球遊技機にも適用可能であることは言う迄もない。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施の形態に係るパチンコ遊技機を示す正面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るパチンコ遊技機を示す背面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るパチンコ遊技機におけるガラス扉の下部及び球皿を示す背面図である。
【図4】本発明の実施の形態に係るパチンコ遊技機においてガラス扉に装着される不正具侵入防止部材を示す背面図である。
【図5】本発明の実施の形態に係るパチンコ遊技機においてガラス扉に装着される不正具侵入防止部材を示す平面図である。
【図6】本発明の実施の形態に係るパチンコ遊技機において遊技補助盤に装着される不正具侵入防止部材を示す正面図である。
【図7】本発明の実施の形態に係るパチンコ遊技機において遊技補助盤に装着される不正具侵入防止部材を示す平面図である。
【符号の説明】
【0029】
2 前枠
5 遊技盤
7 遊技領域
16 ガラス扉
17a ヒンジ部
17b ヒンジ部
17c ヒンジ部
22 下側角部
24 遊技補助盤
25 打球発射装置
30 ファール球回収部材
31 球皿
46 周壁
55 平板部
56 後方延出部
61 発射レール部
62 第1ファール球回収口
67 側壁
68 第1前方突出部
70 上部
72 第2前方突出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前枠の下部領域に収容された遊技補助盤の前面を覆うようにヒンジ部を介して横向き開閉可能に設けられた球皿と、該球皿の上方においてヒンジ部を介して横向き開閉可能に設けられたガラス扉とを備えた弾球遊技機であって、
前記遊技補助盤には、前記球皿と前記ガラス扉の間のヒンジ部に隣接してファール球回収部材が設けられており、該ファール球回収部材には、前方に突出し、対向する前記球皿の背面側に当接可能な前方突出部が設けられ、前記ファール球回収部材は、前記前方突出部により前記球皿の上部を通る不正具の侵入経路を遮断可能な不正具侵入防止部材としても機能するように構成されていることを特徴とする弾球遊技機。
【請求項2】
前記前方突出部は、打球発射装置から発射された遊技球を遊技領域に導く発射レール部の前記ヒンジ部側の側壁の前端面と、該側壁と前記ヒンジ部との間のファール球回収口の上部前端面とに形成されている請求項1に記載の弾球遊技機。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−26023(P2006−26023A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−207817(P2004−207817)
【出願日】平成16年7月14日(2004.7.14)
【出願人】(390031783)サミー株式会社 (5,279)
【Fターム(参考)】