説明

弾球遊技機

【課題】潤滑剤等の塗布剤を塗布した遊技球を適切に検出して、不正行為を早い段階で有効に防止し得るようにした弾球遊技機を提供する。
【解決手段】本パチンコ機1では、検出装置72及び判定手段71により、遊技時に通過経路73を通過する遊技球Baの電気抵抗に基づき、潤滑剤等の塗布剤が塗布された遊技球Baの有無を検出することができるため、塗布剤を塗布した遊技球Baが遊技に使用されていることを的確に検出することができる。これにより、遊技球Baに塗布剤を塗布して該遊技球Baの落下方向や落下速度に微妙な変化を生じさせることで所謂Vゾーンへの入賞率を高めるような不正行為を、有効にかつ早急に防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ機等の弾球遊技機に係り、詳しくは、潤滑剤等の塗布剤を塗布した遊技球を打ち出して不正に出玉を得ようとする不正行為を防止し得るようにした弾球遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、弾球遊技機、例えばパチンコ機として、球受け皿に滞留している遊技球が、発射ハンドルの操作に応じて遊技盤の遊技領域に打ち出された後、遊技領域の障害釘や風車等に導かれつつ盤面を流下して、各種入賞口に入球し、或いは入球せずに遊技領域下部のアウト口に流入するように構成されたものが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
この種のパチンコ機では、一般入賞口に入球した際にはそれに対応した個数の遊技球が払い出され、また始動チャッカーに入球した際にはこれに基づいて当たり外れや演出パターンの抽選が行われると共に所定数の遊技球が払い出される。この抽選結果に基づき選定された演出パターンに応じて、例えば遊技盤の中央部分に設けられた液晶表示画面や各種の照明装置を介した視覚的表現、スピーカを介した聴覚的表現などを用い、様々な演出が行われる。なお、当たり(以下、「大当たり」ともいう)の発生時(つまり、特別遊技状態の抽選に当選した時)には、アタッカーと呼ばれる大入賞口が開放し、入球に対応して多量の遊技球が払い出される遊技者に有利な特別遊技状態となる。
【0004】
一方、以下のようなパチンコ機も知られている(特許文献2参照)。該パチンコ機は、遊技領域の中央部に、開閉動作する羽根を左右に備えたセンター役物を有すると共に、該センター役物の左下方に始動口を有し、右側に大当たり始動口を有し、更に、下部中央に大入賞口を有している。該パチンコ機では、遊技中、始動口に入賞するごとに一定の回数ずつ羽根が開閉動作する。この際、打ち出された遊技球がタイミング良く羽根に拾われてセンター役物内に入球すると、該遊技球は、上部プレート上を遊技盤後方に一旦転動して落下する。遊技球は、障害装置を回避して落下するか該障害装置に衝突して進路を変えて落下し、アウト口かVゾーンへの落下口の何れかに入る。
【0005】
Vゾーンへの落下口には、一方向にゆっくり回転する回転体が配置されており、該回転体は、通常Vゾーン溝と特別Vゾーン溝を点対称の状態に備えている。通常Vゾーン溝に入球した場合、継続スイッチのオンにより、羽根が例えば18回開閉動作し、その間に所定数の遊技球が入賞すると、羽根の開閉動作が終了する。この際に、遊技球が通常Vゾーン溝に入賞すると、継続スイッチの働きにより羽根の開閉動作及び入賞球数がリセットされ、大当たり動作が継続する形で再度開始される。そして、通常Vゾーン溝への入賞で開始した羽根の開閉動作のカウント数が所定数に達したとき最終ラウンドになり、その際、回転体の回転で特別Vゾーン溝が上方を向いたタイミングで該特別Vゾーン溝に入賞すると、大当たり始動口が有効になる。この状態で、該大当たり始動口に入賞すると、センター役物の下方の大入賞口が所定時間又は所定数の入賞が完了するまで開放動作を繰り返す。
【0006】
【特許文献1】特開2005−312902号公報
【特許文献2】特開2002−165955号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記特許文献2に記載されるような、羽根の開閉動作時の入球により大当たり抽選を機械的に行う形式のパチンコ機は、金属製の遊技球を障害釘に接触させつつ自由落下させてセンター役物に入球させ、該入球に基づいて遊技者に特典を与えるように構成されている。障害釘をはじめとする遊技部品は所要の表面硬さ・摩擦抵抗を有しているため、遊技球に油等の潤滑剤が付着していると、遊技領域に打ち出された該遊技球の落下方向や落下速度には微妙な変化が生じることが知られている。
【0008】
近年、このような変化を利用して、ハンドクリームや油性整髪料等の潤滑剤を遊技球に故意に塗りつけて遊技球の落下に影響を与えることで不正に有利な状況を作り出す遊技が問題になりつつあるが、当該不正行為に対する対策技術が確立されていない。従って、パチンコ機や周辺装置から出力される遊技データ(当たり回数やイン・アウト(IN・OUT)球数)に想定外のものが生じた場合にそのパチンコ機を監視する程度の対策をとるだけである。特に特許文献2のように羽根を開閉してセンター役物内に入球させるパチンコ機にあっては、ハンドクリーム等の潤滑剤が塗布された遊技球が羽根開閉時に入球すると、流下速度の変化で進路が変わって、所謂Vゾーンへの入賞率が高められる等、有利な状態を故意に作り出すことが可能である。そのため、ハンドクリーム等の塗布の有無を判定する等により、上記不正行為を有効に防ぐような対策の実現が望まれる。
【0009】
そこで本発明は、潤滑剤等の塗布剤を塗布した遊技球を適切に検出して、不正行為を早い段階で有効に防止し得るように構成し、もって上述した課題を解決した弾球遊技機を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に係る本発明は(例えば図1ないし図8参照)、金属製の遊技球(Ba)を遊技領域(7a)に打ち出して遊技してなる弾球遊技機(1)において、
前記遊技時に通過経路(例えば73)を通過する遊技球(Ba)の電気抵抗に基づき、塗布剤が塗布された遊技球(Ba)の有無を検出する検出手段(71,72)を備えてなる、
ことを特徴とする弾球遊技機(1)にある。
【0011】
請求項2に係る本発明は(例えば図4〜図6、及び図7(a),(b),(c)参照)、前記検出手段(例えば72)は、前記通過経路(73)に配置した一対の電極(75,75又は75’,75’)に所定数の遊技球(Ba)を接触させた状態で電気抵抗を検出してなる、
請求項1記載の弾球遊技機(1)にある。
【0012】
請求項3に係る本発明は(例えば図4〜図6、及び図7(a),(b)参照)、前記検出手段(例えば72)は、前記一対の電極(例えば75,75)を前記通過経路(73)の長手方向に沿って並列するように有し、前記一対の電極(例えば75,75)の双方に跨って接触した状態で前記通過経路(73)を転動する前記所定数の遊技球(Ba)に対する電気抵抗を検出してなる、
請求項2記載の弾球遊技機(1)にある。
【0013】
請求項4に係る本発明は(例えば図7(c)参照)、前記検出手段(例えば72)は、前記一対の電極(例えば75’,75’)を前記通過経路(73)の長手方向において所定距離あけた状態で有し、前記通過経路(73)を互いに接触しつつ転動する前記所定数の遊技球(Ba)の両端に位置するものが前記一対の電極(例えば75’,75’)にそれぞれ接触した際の電気抵抗を検出してなる、
請求項2記載の弾球遊技機(1)にある。
【0014】
請求項5に係る本発明は(例えば図1ないし図8参照)、複数の遊技球を貯留する貯留部(12a)と、該貯留部(12a)に貯留した遊技球(Ba)を前記遊技領域(7a)に打ち出す球発射装置(16)と、を備え、
前記検出手段(71,72)は、前記通過経路(73)を介して前記貯留部(12a)から前記球発射装置(16)に送られる遊技球(Ba)に対する塗布剤の塗布の有無を検出してなる、
請求項1ないし4のいずれか1項記載の弾球遊技機(1)にある。
【0015】
なお、上記カッコ内の符号は、図面と対照するためのものであるが、これは、発明の理解を容易にするための便宜的なものであり、特許請求の範囲の記載に何等影響を及ぼすものではない。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に係る本発明によると、検出手段が、遊技時に通過経路を通過する遊技球の電気抵抗に基づき、塗布剤が塗布された遊技球の有無を検出するので、塗布剤を塗布した遊技球が遊技に使用されていることを的確に検出することができ、従って、遊技球に塗布剤が塗布されて該遊技球の落下方向や落下速度に微妙な変化を生じさせて所謂Vゾーンへの入賞率を高めるような不正行為を、有効にかつ早急に防止することができる。
【0017】
請求項2に係る本発明によると、検出手段が、通過経路に配置した一対の電極に所定数の遊技球を接触させた状態で電気抵抗を検出するので、例えば1個の遊技球の電気抵抗を検出して不正対策とするような場合に比して、測定する抵抗値のバラツキを平均化し、塗布剤が塗布された遊技球の検出精度を向上させることができる。
【0018】
請求項3に係る本発明によると、検出手段が、一対の電極を通過経路の長手方向に沿って並列するように有し、一対の電極の双方に跨って接触した状態で通過経路を転動する所定数の遊技球に対する電気抵抗を検出するので、所定数の遊技球の並列状態での合成抵抗を検出することができる。この場合、並列状態での合成抵抗が検出されるため、その数値が比較的小さく扱いやすい値になる、等の利点がある。
【0019】
請求項4に係る本発明によると、検出手段が、一対の電極を通過経路の長手方向において所定距離あけた状態で有し、通過経路を互いに接触しつつ転動する所定数の遊技球の両端に位置するものが一対の電極にそれぞれ接触した際の電気抵抗を検出するので、所定数の遊技球の直列状態での合成抵抗を検出することができる。この場合、並列状態での合成抵抗より数値は大きくなるが、それに応じて閾値を大きく設定することで、塗布剤が塗布された遊技球を高い精度で検出することが可能になる。
【0020】
請求項5に係る本発明によると、検出手段が、通過経路を介して貯留部から球発射装置に送られる遊技球に対する塗布剤の塗布の有無を検出するので、遊技領域への打ち出しの際に、塗布剤を塗布した遊技球を的確に検出することができ、従って、塗布剤を塗布して遊技球の落下方向や落下速度に微妙な変化を生じさせて所謂Vゾーンへの入賞率を高めるような不正行為を、有効にかつ早急に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明に係る弾球遊技機の実施形態として、遊技場等に設置されるパチンコ機を図面に沿って説明する。なお、以下、本発明の弾球遊技機を所謂第2種特別電動役物を使用したパチンコ機として述べるが、本発明はこれに限らず、所謂第1種特別電動役物や所謂第3種特別電動役物等を使用したパチンコ機、或いはこれらが適宜組み合わされた機能を有するパチンコ機にも適用可能であることは勿論である。
【0022】
ここで、図1及び図2を参照して、パチンコ機1の概略を説明する。図1は本発明に係る実施の形態におけるパチンコ機1の外部構造を示す正面図、図2は本パチンコ機1の遊技盤及び遊技領域を拡大して示す正面図である。
【0023】
図1に示すように、本パチンコ機1は、開口を有する枠体状の筐体2と、該筐体2に開閉自在に装着された前扉3とを有しており、前扉3の前面には、透明ガラス6を有するガラス枠5が開閉自在に取り付けられている。透明ガラス6の奥側には、遊技盤7が配設されている。
【0024】
前扉3における遊技盤7の左右上方には演出用照明装置9が配設されており、前扉3における遊技盤7の左下方にはスピーカー(図示せず)を有する放音装置10が配設されている。また、ガラス枠5における右側部には、前扉3を筐体2側に施錠/解放するための施錠装置11が配設されている。なお、筐体2及び前扉3等から遊技機本体が構成されている。
【0025】
前扉3における遊技盤7の下方には上皿12が設けられており、上皿12における左上部には、賞球及び貸球を含む遊技球が供給される球供給口13が設けられ、上皿12における右上部壁面には、球貸ボタン14a及び返却ボタン14bが設けられている。
【0026】
また、前扉3における上皿12の下方には下皿15が配設されており、該下皿15の右部には、球発射装置16(図8参照)を操作して遊技球を遊技領域7aに向けて打ち出すための発射ハンドル17が配設されている。更に下皿15には、上皿12からオーバーフローした遊技球が放出される球放出口19が形成されており、下皿15の左部には灰皿20が配設されている。なお、図1中の符号21は、発射ハンドル17の操作で発射された遊技球を遊技領域7aに導くガイドレールを示し、符号22はアウト口を示している。また、本パチンコ機1には、遊技中に遊技領域7aにて入賞することなく落下してアウト口22に入り込んだ遊技球をパチンコ機背面側に導くアウト通過経路(図示せず)が設けられている。下皿15の手前側には、該下皿15に貯留した遊技球を下方に置いた賞球箱(図示せず)に排出するための球抜きレバー23が配設されている。
【0027】
一方、遊技領域7a内に配設された入賞口は、全て遊技球が入賞した場合に所定数の遊技球を賞球するように機能するが、単に遊技球の賞球のみを行うものと、賞球以外の他の機能を有するものとが存在している。具体的には、遊技領域7aの中央左右に設けられた入賞口25と、遊技領域7aの左右下方に設けられた、後述する遊技球誘導ユニット26に配設された入賞口27とが、賞球のみ行う入賞口である。また、遊技領域7aの中央に設けられたセンター役物29の上部左右に配設される特定入賞口30と、遊技領域7aの中央下部に縦に整列されて配設される第1及び第2入賞口31,32とが、賞球以外の他の機能を有する入賞口である。なお、上記センター役物29については、図3を用いて後に詳述する。
【0028】
図2に示すように、第1入賞口31及び第2入賞口32の左右方向に配設された遊技球誘導ユニット26は、遊技領域7aに打ち出されて落下してきた遊技球を誘導する誘導部材33と、該誘導部材33を延長させる可動部材35とにより構成されている。誘導部材33は、可動部材35と該可動部材35を駆動するソレノイド(図示せず)とを収容した状態で、遊技盤7の取付穴(図示せず)にネジ止め固定されている。可動部材35は、奥行き方向(図2の紙面奥側)に向かう略々三角柱形状を呈しており、可動部材35の最下部頂点に設けられた連結点(図示せず)を軸として回動(揺動)するように誘導部材33に支持されている。誘導部材33の上部には、遊技領域7aの中央部に向かって下降するように傾斜する遊技球誘導路36が形成されているので、遊技領域7aに打ち出されて落下してくる遊技球が、遊技球誘導ユニット26の上面側に落下した際には、該誘導路36上を遊技領域7aの中央部に向かって転動することとなる。
【0029】
一方、前述したセンター役物29が有する特定入賞口30は、通常時において羽根部材37によって閉鎖されている。しかし、遊技球が、第1入賞口31又は第2入賞口32に入賞した際には、羽根部材37が後述する大入賞口ソレノイド39(図8参照)によって開閉駆動されることによって、一定時間(約0.5秒)だけ開放状態となる。
【0030】
すなわち、第1入賞口31及び第2入賞口32への入賞は、通常の賞球のみならず、センター役物29の特定入賞口30を開放させる条件ともなっている。具体的には、第1入賞口31に遊技球が入賞した際には、羽根部材37が駆動されることによって、特定入賞口30が1回だけ開放状態となる。また、第2入賞口32に遊技球が入賞した際には、第1入賞口31に入賞したときと同様な特定入賞口30の開放が2回実行される。これにより、第1入賞口31へ入賞したときよりも第2入賞口32に入賞したときの方が、特定入賞口30への遊技球の入賞可能性は高まる。
【0031】
ところで、遊技領域7aには、センター役物29の左右上方及び左右下方にそれぞれ風車40が配設されている。また、遊技領域7aにおけるセンター役物29の周囲には、発射されてからセンター役物29に関与せずに落下してくる遊技球を適宜散らし、第1入賞口31、第2入賞口32等に対し、入球に導くようにするための多数の障害釘が打ち込まれている。なお、上記風車40、障害釘及び各種入賞口は、配設位置や数については設計に応じて適宜変更され得るものである。
【0032】
次に、センター役物29について、図1ないし図3を参照して詳細に説明する。図3はセンター役物29の内部領域を拡大して概略的に示すもので、(a)はVゾーン案内装置45が正面を向いた時点での正面図、(b)はVゾーン案内装置45が横方向を向いた時点での正面図である。
【0033】
センター役物29は、遊技領域7aに打ち出された遊技球Baを受け入れて機械的に当たり抽選を実行する入球役物を構成している。該センター役物29の上部には、図2に示したような、本パチンコ機1の名称やロゴ等を模った装飾部材41が配設されており、その下方には、センター役物29に備えた略々台形形状の開口部42から露出されるように図柄表示装置43が配設されている。該図柄表示装置43の左右下部には、特定入賞口30を開閉する前述した羽根部材37が回動自在に配設されている。
【0034】
センター役物29の特定入賞口30内方における遊技球入賞口46,47,46の直上方には、人間を模った立体造形物からなるVゾーン案内装置45が配置されている。また、左右の特定入賞口30の各直下方であってセンター役物29の左右外側部には、センター役物29を装飾する外枠部材49(図1及び図2参照)が形成され、更にそのやや内側には、図3に示すように、特定入賞口30の下方からセンター役物29の中央部を囲うような装飾性のある波形の壁部材50が形成されている。この壁部材50の下方端部、即ちセンター役物29の底部には、センター役物29に導入された遊技球を入賞させる上記遊技球入賞口46,47,46が、それぞれの開口部が水平で同じ高さとなるような横並びの状態に配設されている。
【0035】
Vゾーン案内装置45は、特定入賞口30から導入された遊技球を遊技球入賞口46,47,46のいずれかへ誘導する誘導路51を構成している。ここで、図3に示す矢印L1,L2は、該Vゾーン案内装置45により誘導される遊技球の進路の例を示している。
【0036】
遊技球入賞口46(以下、一般入賞口46ともいう)は、遊技領域7aに設けられた入賞口25,27と同様、遊技球の入賞をもって賞球される入賞口である。また、遊技球入賞口47(以下、Vゾーン入賞口47という)は、いわゆる一般的なVゾーンと呼ばれる特別な入賞口であり、遊技球の入賞により大当たり抽選実行の契機となり得る入賞が行われ、パチンコ機1を特定の遊技状態に移行させるものとなっている。
【0037】
上記Vゾーン入賞口47への誘導路51を形成するVゾーン案内装置45は、人間の上半身を模った上部45aと、下半身を模った下部45bとから構成されており、上部45aはモータ52(図8参照)によって図3の回動軸Xを中心として矢印Eに示される向きに回動される。この上部45aには、特定入賞口30からの遊技球を鉛直下方に誘導する誘導路51が備えられ、下部45bには、その前面中央部に貫通穴53aを有した太鼓形状のドラム53が備えられている。
【0038】
そして、上部45aが、上記矢印Eの向きに回動した際には誘導路51も回動することとなり、その回動角度によっては、図3(a)に示すように、誘導路51を通過した遊技球が矢印L1に沿ってドラム53の貫通穴53aに導入され、Vゾーン入賞口47へ高確率で入賞する。また、図3(b)に示すように、誘導路51がドラム53の直上方から外れた角度に回動されている際には、遊技球はドラム53の貫通穴53aに導入されず、その外側へと落下し、多くの場合は遊技球入賞口46に入賞することとなる。
【0039】
ついで、本実施の形態における、不正行為を防止する構造について説明する。すなわち、本実施の形態のセンター役物29は、通常時は上部45aが正面を向いた図3(a)の状態にあり、第1入賞口31又は32への入賞に対応して特定入賞口30が1回又は2回開放する際に、上部45aが、羽根部材37の駆動開始から1〜2秒間は正面向き状態を維持するが、その後は回動して図3(b)の状態になるように構成されている。つまり、図3(a)に示すように上部45aが正面を向いて誘導路51が貫通穴53aを介してVゾーン入賞口47に直接的に連絡された状態では、上部45aの両手の間に流入して該入賞口47に入賞し易い状態となるが、その1〜2秒後には、図3(b)に示すように上部45aが横を向いて誘導路51が貫通穴53aを介してVゾーン入賞口47に連絡されない、入賞し難い状態となる。
【0040】
従って、第1入賞口31又は32への入賞に対応して羽根部材37が開閉する場合に遊技球が打ち出される際、該遊技球は、上部45aが正面から横を向く間際のタイミングで羽根部材37に拾われたとしても、羽根部材37との摩擦等の影響で流入速度が遅くなり、正面状態の上部45aの両手間に流入することは極めて難しく、Vゾーン入賞口47への入賞はほぼ不可能となる。しかし、打ち出される遊技球にハンドクリームや油性整髪料等の潤滑剤(塗布剤)が塗布されていると、該遊技球は、上述した間際のタイミングであっても、羽根部材37上を滑らかに滑って速い速度で流入することになるため、横を向く直前の上部45aの両手間に比較的容易に流入でき、従って、Vゾーン入賞口47を狙い得る機会が増えることになる。なお、本発明における「塗布剤」は、上記のようなハンドクリームや油性整髪料等の潤滑剤以外に、遊技球に塗布可能な他の種類の液剤等をも含む広い概念である。
【0041】
このような、遊技球に潤滑剤を塗布してVゾーン入賞口47への入賞率を不正に高める不正行為を防止するため、本実施の形態では以下のような構成を有している。なお、図4は上皿12を上方から見下ろした状態で示す平面図、図5は上皿12及び下皿15を縦方向に切断して側方から見た状態で示す断面図、図6は図4の上皿12を裏側から(つまり、図4の紙面上側から)見た状態で示す背面図である。図7は検出装置72を示し、(a)は通過経路73を長手方向と直交する方向で断面した状態で示す断面図、(b)は検出装置72の電極75,75を上方から見た状態を拡大して示す平面図である。
【0042】
すなわち、図5に示すように、上皿12の貯留部12aに貯留された金属製の多数の遊技球Baが球発射装置16(図8参照)に向かって順次送られる通過経路73には、検出装置72が設けられている。該検出装置72は、図5、図6及び図7(a),(b)に示すように、互いに電気的に絶縁された一対の電極75,75と、これら電極75,75にハーネス(電気的接続ケーブル)78を介して接続された抵抗計79とを有している。通過経路73の最も後流側には、該通過経路73を転がり移動してきた遊技球Baを球発射装置16側に順次送り込むための開口部77が形成されている。該球発射装置16は、図8以外では図示されていないが、例えば図4の上皿12における通過経路73の背面側(図4の紙面右上側)に設けられる。
【0043】
上皿12の通過経路73には、断面M字形状の案内溝部76が、貯留部12aにおける下流側(図4の紙面右側)において長手方向に延びるように設けられており、上記電極75,75が、案内溝部76における対向する山部に、それぞれ通過経路73の長手方向に延びるように取り付けられている。これら電極75,75は、本実施の形態では、連続する例えば6個の遊技球Baに対する抵抗値の検出を行い得るように長さが設定されているが、抵抗値検出の対象となる遊技球数は該6個に限られるものではなく、従って、電極75,75の長さは遊技球数に応じて適宜変更され得る。それに伴って、後述する閾値(しきい値)も設定が適切に変更され得る。上記通過経路73は、貯留部12a側から開口部77に向かって下降するように傾斜しており、該通過経路73における両サイドに或る距離をあけて設けられた長尺の電極75,75上を、互いに接触しつつ跨ぐようにして複数の遊技球Baが転がり移動する。なお、図4では、遊技球を通過経路73の部分にのみ図示しているが、実際には、貯留部12a内の当該部分以外にも遊技球が存在する。
【0044】
次に、本実施形態におけるパチンコ機1の制御系を図8に沿って説明する。図8は本パチンコ機1の全体の制御系を示すブロック図である。すなわち、本制御系は、大きく分けて、遊技制御装置60と、排出制御装置61をはじめとするその他の周辺装置等とによって構成されている。
【0045】
遊技制御装置60は、本パチンコ機1における抽選手段及び画像処理手段が構成される装置となっており、遊技盤7の裏面に取り付けられた役物制御ユニット(図示略)により実現されている。遊技制御装置60は、パチンコ遊技等に必要な役物制御を行うワンチップマイコンからなる遊技用マイクロコンピュータ62と、水晶の発振周波数を分周して所定のクロックを得るクロック生成回路(CLK)63と、各種信号の入出力を行う入出力インターフェース64とを有している。遊技用マイクロコンピュータ62は、判定手段71を有するCPU62a、ROM62b、RAM62cを内蔵しており、いわゆるアミューズチップ用のICとして製造されている。
【0046】
遊技制御装置60の入出力インターフェース64には、第1入賞口センサ65、第2入賞口センサ66、入賞口センサA1〜A3、及びセンター役物29における継続センサ67からの検出信号が入力される。第1入賞口センサ65は、第1入賞口31への入賞を検出するセンサであり、第2入賞口センサ66は、第2入賞口32への入賞を検出するセンサであり、更に入賞口センサA1〜A3は、一般入賞口25,27,46への入賞をそれぞれ検出するセンサである。また、継続センサ67は、センター役物29に入賞した遊技球のうち、Vゾーン入賞口47にV入賞した遊技球を検知する(V入賞検知信号を検知する)センサである。なお、一般入賞口がN個ある場合には、入賞口センサもこれに対応してN個配設させることとなる。
【0047】
一方、入出力インターフェース64からは、放音装置10を放音駆動して効果音などの出力制御を行う音声出力制御装置68、演出用照明装置9や図柄表示装置43等の制御を行う演出制御装置69、センター役物29の羽根部材37を駆動する大入賞口ソレノイド39、Vゾーン案内装置45を駆動するモータ52、球発射装置16を制御する発射制御装置70、及び報知装置(報知手段)80に信号が出力される。
【0048】
また、入出力インターフェース64からは、排出制御装置61にも賞球制御情報の信号が出力される。なお、賞球制御情報の内容としては、賞球数情報や排出条件等の情報が出力される。排出制御装置61は、遊技制御装置60から入力される賞球制御情報に基づいて、排出ユニット(不図示)を駆動して遊技球を排出する制御を行うものである。すなわち、遊技制御装置60は、遊技領域7aの各入賞口に設けられた第1入賞口センサ65、第2入賞口センサ66、入賞口センサA1〜A3によって入賞が検出されると、各入賞口の入賞価値に対応して予め設定された賞球数情報を、排出制御装置61へ送信する。そして、排出制御装置61では、この賞球数情報を受信して、それに応じた賞球排出制御を行う。
【0049】
一方、前述した抽選手段は、Vゾーン入賞口47に対応する継続センサ67からのV入賞検知信号の受信時、大当たり確定に伴う特定入賞口30を開閉継続させるラウンド数を、ROM62bに格納された演出乱数値に基づく抽選で決定する。このラウンド数は、3、7、15回の3通りがあり、この3と7の各ラウンドの最後に前述したV入賞検知信号を受信した場合には、再び次のラウンド数の抽選がなされ、最高15ラウンドまで大当たり遊技が継続される。そして、上記抽選手段による大当たり抽選の確定に際しては、遊技制御装置60による演出用照明装置9や図柄表示装置43等の各種発光・表示演出が適時になされる。なお、本実施形態においては、大当たり遊技中、特定入賞口30に遊技球が10個入賞するか、特定入賞口30が15回開閉されると1ラウンドの終了となる。
【0050】
また、入出力インターフェース64には、検出装置72が接続されている。該検出装置72は、上記判定手段71とで、遊技時に通過経路73を通過する金属製の遊技球Baの電気抵抗に基づき、潤滑剤が塗布された遊技球Baの有無を検出する検出手段を構成している。つまり、検出装置72が、図4に示すように、通過経路73の長手方向に沿って並列する電極75,75の双方に跨って接触した状態で該通過経路73を転動する上記所定数の遊技球Baに対する電気抵抗を、抵抗計79により測定する。該測定は、所定のサンプリング周期(例えば30〜50秒間隔)で実行される。そして、上記判定手段71が、該抵抗計79によって測定された所定数の遊技球Baの電気抵抗が閾値の上限より高い場合に、該遊技球Baには絶縁性を有する潤滑剤が塗布されていると判定し、また電気抵抗が閾値の下限より低い場合に、該遊技球Baには導電性を有する潤滑剤が塗布されていると判定する。該判定手段71は、上記所定のサンプリング周期で検出装置72により測定された合成抵抗が閾値を超える(上限を上回る、又は下限を下回る)状況が所定期間(例えば3分間)内に連続して3回以上発生した場合、不正行為を報知すべき旨の指令を報知装置80に出力する。
【0051】
また、上記報知装置80は、判定手段71から上記指令を受けた際、不正行為が発生した旨を報知するように構成されている。これにより、悪意の遊技者(不正行為者)が遊技球に潤滑剤を塗布して不正行為を行っている場合に、その事実を遊技場の管理室等に通報して、係員が現場に向かったり警察に通報したりする等の対策を早急に講じさせるようにすることができる。或いはこれに代えて、パチンコ機1に備えた放音装置10から警報や警告音を直接発することにより、不正行為を早い段階で止めるように促すこともできる。
【0052】
ここで、上記閾値の設定について説明する。例えば、ハンドクリームや油性整髪料等の潤滑剤を塗布していない所定数(例えば6個)の正規の遊技球を多数の遊技球中からランダムに抽出し、それらの電気抵抗をそれぞれ測定したところ、75[Ω]、120[Ω]、210[Ω]、170[Ω]、65[Ω]、150[Ω]であった。更に、これらにそれぞれ絶縁性の潤滑剤を塗布し、電気抵抗をそれぞれ測定したところ、140[Ω]、230[Ω]、420[Ω]、340[Ω]、135[Ω]、300[Ω]であった。塗布する前の合成抵抗Rbeは、下記式
be=1/(1/75+1/120+1/210+1/170+1/65+1/150)
より、約18.52[Ω]となり、塗布した後の合成抵抗Rafは、下記式
af=1/(1/140+1/230+1/420+1/340+1/135+1/300)
より、約36.63[Ω]となった。このような測定を複数回実行し、各合成抵抗値のバラツキを考慮すると共に安全率を加味することで、20[Ω]を、絶縁性潤滑剤塗布時の閾値として設定した(つまり、この値は閾値の上限)。
【0053】
一方、多数の遊技球中からランダムに抽出した所定数(例えば6個)の正規の遊技球に、それぞれ導電性の潤滑剤を塗布し、電気抵抗をそれぞれ測定したところ、36[Ω]、62[Ω]、145[Ω]、85[Ω]、43[Ω]、82[Ω]であった。この塗布後の合成抵抗Rafは、下記式
af=1/(1/36+1/62+1/145+1/85+1/43+1/82)
より、約10.24[Ω]となった。このような測定を複数回実行し、各合成抵抗値のバラツキを考慮すると共に安全率を加味することで、10[Ω]を、導電性潤滑剤塗布時の閾値として設定した(つまり、この値は閾値の下限)。
【0054】
従って、判定手段71は、検出装置72によって検出された電気抵抗(合成抵抗)を、上限・下限が設定された閾値と比較することで、上限と下限の間の範囲であれば、絶縁性潤滑剤及び導電性潤滑剤のいずれも塗布されていない正規の遊技球を使用して遊技している状況と判定し、上限を上回っていれば、絶縁性潤滑剤が塗布された遊技球を使用して不正行為を行っている状況と判定し、下限を下回っていれば、導電性潤滑剤が塗布された遊技球を使用して不正行為を行っている状況と判定する。
【0055】
次に、本パチンコ機1による作用について説明する。すなわち、本パチンコ機1に対面して着座した遊技者が発射ハンドル17を握り、適宜の角度に回動操作した際には、発射制御装置70がその回転角に基づいて球発射装置16を制御し、それにより、該球発射装置16の作動で遊技球を所定の時間間隔で遊技領域7aに向けて連続的に発射させる。すると、遊技領域7aに打ち出されて転動落下する多数の遊技球は、入賞口25,27等に適時入賞し、或いは、これらに関与せずに転動落下して、遊技領域7a最下部のアウト口22から遊技盤7背面側に排出される。
【0056】
このような遊技中、遊技球誘導ユニット26において、可動部材35が揺動されていない通常の状態にあっては、可動部材35は誘導部材33内に収容されており、該可動部材35の側面52が遊技球誘導路36から延長された状態となっていない。このとき、遊技領域7aに打ち出された遊技球が、誘導部材33の上部に落下した際には、遊技球は遊技球誘導路36に沿って転動し、該遊技球誘導路36の終端に到達した後で下方に落下する。
【0057】
また、可動部材35が揺動されていない通常の状態にあって、遊技領域7aに打ち出された遊技球が、遊技球誘導路36の終端よりも中心部側、即ち、該終端と入賞口31,32との間に落下した際には下方に落下する。この場合の遊技球は、遊技領域7aに配設された障害釘に適宜に当接するなどし、多くの場合はそのまま下方へと落下することになる。
【0058】
一方、可動部材35が揺動された特別な状態にある場合には、該可動部材35の側面は誘導部材33の遊技球誘導路36から延長された状態となる。このとき、誘導部材33の上部に遊技球が落下すると、該遊技球は誘導路36に沿って転動し、引き続き可動部材35の側面へ移動して、第2入賞口32に向かって落下する。
【0059】
遊技球が第1入賞口31に入賞した際には、センター役物29の羽根部材37が、大入賞口ソレノイド39によって1回の開閉動作(約0.5秒間)を行う。また、遊技球が第2入賞口32に入賞した際には、センター役物29の羽根部材37は、大入賞口ソレノイド39によって2回の開閉動作(約0.5秒間)を行う。このようにして羽根部材37が開状態となった際に、遊技領域7aに打ち出された遊技球の中には、特定入賞口30からセンター役物29内へと導入されるものがある。
【0060】
そして、センター役物29内に導入された遊技球は、Vゾーン案内装置45等に当接しながら落下し、遊技球入賞口46もしくはVゾーン入賞口47に向かう。このとき、Vゾーン案内装置45における上部45aは、遊技制御装置60からの指令によりモータ52が駆動制御されることによって、矢印Eの向きに所定の速度で周期的に回動(1往復を約10秒間)している。そして、遊技制御装置60は、センター役物29内に導入された遊技球が、矢印L1で示される経路を通過してVゾーン入賞口47に入賞したと判断すると、これに応じた演出、例えば「Vゾーン入賞」の文字を図柄表示装置43に表示制御する。
【0061】
遊技球がVゾーン入賞口47に入賞すると、大当たりの種別、つまり大当たり遊技において特定入賞口30を開閉させるラウンド数の決定が、遊技制御装置60における抽選手段にてなされる。このラウンド数が決定されると、大入賞口ソレノイド39の駆動により羽根部材37が作動され、特定入賞口30が開閉動作される大当たり遊技が開始される。ここで、特定入賞口30が開いた際に、遊技領域7aに打ち出された遊技球が該特定入賞口30からセンター役物29内に導入されると、前述した誘導路51等の経路を経て、遊技球入賞口46もしくはVゾーン入賞口47に入賞されることとなる。
【0062】
加えて、例えば、上記大当たり遊技において当初のラウンド数が3回に決定された場合、この3回目の最終ラウンド中にVゾーン入賞口47が入賞した場合には、再びラウンド数の決定が抽選手段により行われ、そこで大当たりが終了するか更に大当たりが継続するかが決定される。継続が決定された際には、一連のラウンド数が15回を超えない範囲でラウンド数が延長設定され(例えば、7回分が増加されて全体で10回)、その旨を遊技者に報知する演出が遊技制御装置60の制御によって適時に演出用照明装置9や図柄表示装置43等に行われることにより、これらの内容等が遊技者の視覚に訴えるような演出表示として実行されることとなる。
【0063】
上述したような遊技を遊技者が行うことによって、入賞口25,27、第1入賞口31、第2入賞口32、遊技球入賞口46、及びVゾーン入賞口47へと遊技球が適宜入賞し、それぞれの入賞価値に応じた多量の遊技球が球供給口13から上皿12に払い出される。
【0064】
そして、上述した遊技中、遊技者が多数の遊技球を掌に載せて揉みながらハンドクリームや油性整髪料等の潤滑剤を塗布して不正行為を行おうとしても、遊技球を上皿12の貯留部12aに載せて打ち出す際、それら遊技球Baは、検出装置72で電気抵抗(合成抵抗)を検出されると共に、判定手段71で閾値と比較されて、潤滑剤の塗布状態を判定される。これにより、潤滑剤を塗布した遊技球Baは遊技領域7aへの打ち出し時に的確に検出され、従って、潤滑剤を塗布して落下方向や落下速度に微妙な変化を生じさせてVゾーン入賞口47への入賞率を高めるような不正行為を、有効にかつ早急に防止できる。そして、検出装置72及び判定手段71により、通過経路73に配置した電極75,75に所定数の遊技球Baを接触させた状態で電気抵抗を検出することができ、従って、例えば1個の遊技球の電気抵抗を検出して不正対策とするような場合に比較して、抵抗値のバラツキを平均化し、不正遊技球の検出精度を向上できる。
【0065】
更に、検出装置72が、電極75,75を通過経路73の長手方向に沿って並列するように有し、一対の電極75,75の双方に跨って接触した状態で通過経路73を転動する所定数の遊技球Baに対する電気抵抗を検出するので、所定数の遊技球に対する並列回路としての合成抵抗を検出することができる。この場合、並列状態での合成抵抗が検出されるため、その数値が比較的小さく扱いやすい値になる、等の利点がある。また、入球役物であるセンター役物29を遊技領域7aに有しているので、所謂2種タイプのパチンコ機1において、潤滑剤を塗布した遊技球Baを打ち出してセンター役物29に入球させて不正にV入賞をさせようとする不正行為を有効に防止できる。
【0066】
ここで、図7(c)を参照して、上述した実施の形態を一部変形した変形例について説明する。図7(c)は、変形例における検出装置72の電極75’,75’を上方から見た状態を拡大して示す平面図である。
【0067】
本変形例では、図7(c)に示すように、検出装置72及び判定手段71により、遊技時に通過経路73を通過する遊技球Baの電気抵抗に基づき、潤滑剤が塗布された遊技球の有無を検出する検出手段、つまり、通過経路73に配置された一対の電極75’,75’に所定数の遊技球Baを接触させた状態で電気抵抗を検出する検出手段、が構成されている。検出装置72は、互いに電気的に絶縁された一対の電極75’,75’を、通過経路73の長手方向において所定距離あけた状態で有しており、通過経路73を互いに接触しつつ転動する所定数(例えば6個)の遊技球Baの両端に位置するものが一対の電極75’,75’にそれぞれ接触した際の電気抵抗を抵抗計79によって検出する。なお、図中の符号76’は、図7(a)と同様に断面M字形状を呈し、かつ両端部に該M字形状に沿って固定した電極75’をそれぞれ有する案内溝部である。
【0068】
このような構成の本変形例によると、上述した実施の形態と略々同様の効果が得られると共に、所定数の遊技球に対する直列回路としての合成抵抗を検出することができる。遊技球の直列の合成抵抗を検出するため、本変形例における数値は、上述の実施の形態における並列回路としての数値より大きくなるが、それに応じて閾値の上限・下限の値を大きく設定することで、同様に、絶縁性潤滑剤及び導電性潤滑剤のいずれが塗布された遊技球に対しても高い検出精度で的確に対応することができる。
【0069】
なお、前述した実施の形態及び本変形例では、本発明に係る「通過経路」を、貯留部12aから球発射装置16に遊技球Baを順次送る通過経路73を例に挙げて説明したが、本発明の「通過経路」はこれに限定されるものではない。例えば、センター役物29の羽根部材37の部分、或いは、センター役物29に入球して入賞口46,47に入賞した後の遊技球をチェックし得る部分を「通過経路」とし、該通過経路に検出装置72を設けるように構成することも可能である。
【0070】
以上、本発明をその好適な実施の形態に基づいて説明したが、本発明の弾球遊技機は、上記実施形態及び変形例の構成にのみ限定されるものではなく、上記実施形態及び変形例の構成から種々の修正及び変更を施した弾球遊技機も、本発明の範囲に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明に係る実施の形態におけるパチンコ機の外部構造を示す正面図である。
【図2】本パチンコ機の遊技盤及び遊技領域を拡大して示す正面図である。
【図3】センター役物の内部領域を拡大したもので、(a)はVゾーン案内装置が正面を向いた時点での正面図、(b)はVゾーン案内装置が横方向を向いた時点での正面図である。
【図4】上皿を上方から見下ろした状態で示す平面図である。
【図5】上皿及び下皿を縦方向に切断して側方から見た状態で示す断面図である。
【図6】図4の上皿を裏側から見た状態で示す背面図である。
【図7】検出装置を示し、(a)は通過経路を長手方向と直交する方向で断面した状態で示す断面図、(b)は検出装置の電極を上方から見た状態を拡大して示す平面図、(c)は変形例における検出装置の電極を上方から見た状態を拡大して示す平面図である。
【図8】本パチンコ機1の全体の制御系を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0072】
1 弾球遊技機(パチンコ機)
7a 遊技領域
12a 貯留部
16 球発射装置
29 入球役物(センター役物)
71,72 検出手段(判定手段、検出装置)
73 通過経路
75,75 電極
75’,75’ 電極
80 報知手段(報知装置)
Ba 金属製の遊技球

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属製の遊技球を遊技領域に打ち出して遊技してなる弾球遊技機において、
前記遊技時に通過経路を通過する遊技球の電気抵抗に基づき、塗布剤が塗布された遊技球の有無を検出する検出手段を備えてなる、
ことを特徴とする弾球遊技機。
【請求項2】
前記検出手段は、前記通過経路に配置した一対の電極に所定数の遊技球を接触させた状態で電気抵抗を検出してなる、
請求項1記載の弾球遊技機。
【請求項3】
前記検出手段は、前記一対の電極を前記通過経路の長手方向に沿って並列するように有し、前記一対の電極の双方に跨って接触した状態で前記通過経路を転動する前記所定数の遊技球に対する電気抵抗を検出してなる、
請求項2記載の弾球遊技機。
【請求項4】
前記検出手段は、前記一対の電極を前記通過経路の長手方向において所定距離あけた状態で有し、前記通過経路を互いに接触しつつ転動する前記所定数の遊技球の両端に位置するものが前記一対の電極にそれぞれ接触した際の電気抵抗を検出してなる、
請求項2記載の弾球遊技機。
【請求項5】
複数の遊技球を貯留する貯留部と、該貯留部に貯留した遊技球を前記遊技領域に打ち出す球発射装置と、を備え、
前記検出手段は、前記通過経路を介して前記貯留部から前記球発射装置に送られる遊技球に対する塗布剤の塗布の有無を検出してなる、
請求項1ないし4のいずれか1項記載の弾球遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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