説明

形状記憶合金アクチュエータを織り込んだ布地による自動開閉カーテン。

【課題】カーテンの開閉において、手動によらず、またモーターの動力によらない方法で、カーテンの自動開閉動作を実現すること。
【解決手段】カーテンの布地に形状記憶合金アクチュエータを繊維として織り込み、織り込んだ形状記憶合金アクチュエータに収縮する復元作用を発現してカーテンの布地自体を収縮伸張させることで、カーテンの自動開閉動作を実現する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手動によらないカーテンの自動開閉の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電動カーテンは、モーターの力でカーテンの布地の端に接続したワイヤーを巻き取ることで、カーテンの自動開閉動作を実現している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、形状記憶合金アクチュエータを動力として用いることで、手動によらないカーテンの自動開閉動作を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は課題を解決する為に、カーテンの自動開閉動作の動力源として、通電すると発熱し一定温度以上で復元作用を発現する形状記憶合金アクチュエータの特性を利用する。
【0005】
図1は、コイル状の形状記憶合金アクチュエータの一定温度以下の通常状態であり、この両端に力を加えて伸張させた状態が図2である。
【0006】
図2において、形状記憶合金アクチュエータの両端に電流を流すと、形状記憶合金アクチュエータはジュール熱で発熱し、一定温度以上になると伸張させるのに必要な張力より大きな力で形状を復元する収縮力が働き、図1の状態に変形する。
【0007】
図3は、形状記憶合金アクチュエータ31を繊維として布30に織り込んだ図である。このとき形状記憶合金アクチュエータ31は、記憶している形状から伸張された状態で導線32a,32b,32cにより電気配線されている。
【0008】
図4は、図3の布に織り込まれた形状記憶合金アクチュエータに電流を流し、ジュール熱で発熱し一定温度以上になることで記憶した形状に復元する力が働いている状態の図である。この状態において形状記憶合金アクチュエータ41に配線した導線42a,42b,43cに流している電流を断ち、形状記憶合金アクチュエータの温度が一定温度より下がると、記憶している形状から柔軟に変形させることが出来るようになり、図3の状態に伸張することが可能となる。
【0009】
この構造により、形状記憶合金アクチュエータを動力とする手動によらないカーテンの開閉動作を実現する。
【発明の効果】
【0010】
本発明による自動開閉カーテンは、カーテンの布地を収縮制御してカーテンの自動開閉動作を実現することで、従来の電動カーテンの動力となっていたモータが不要となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図5は、形状記憶合金アクチュエータを織り込んだカーテン50を設置した図である。図5の閉じた状態において、形状記憶合金アクチェータに接続された導線53a,53bに電流を流し発熱させ、カーテン50に縦方向に織り込まれた形状記憶合金アクチュエータに復元力を発現させることで、カーテン50を引き上げた図6の開いた状態になる。
【0012】
図6の開いた状態において、導線63a, 63bに流れる電流を断ち、カーテン60に織り込まれた形状記憶合金アクチュエータの復元力による収縮が無くなると、カーテンは自重、あるいはカーテンの下部に内蔵するおもり62の重さによって、図5の閉じた状態になる。
【産業上の利用可能性】
【0013】
本発明においては、カーテンの布に開閉動力を持たせているため、カーテンは上部を設置場所に固定するだけでよく、従来の電動カーテンの自動開閉動作に必要であったワイヤーと配線設備と動力源のモータが不要となる特徴がある。
【0014】
本発明において、電動カーテンで必要とされていたモータが不要となることで、モータを内蔵していた上部のカーテンレールの構造が簡単になり、形状記憶合金アクチュエータに電流を供給する導線以外の構成部品がなくなることで、構造の小型化と軽量化が実現できるという特徴がある。
【0015】
本発明においては、カーテンの布の一部を自由に収縮制御可能であるため、カーテンを自動開閉動作させる他に、自由に変形制御することが可能である。この動作は、結婚式などの式典で用いられる特殊な形に開く動作をするカーテンへの利用と、テーマパークの動きのあるアトラクションの一部として利用できるという特徴がある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】コイル状の形状記憶合金の収縮している状態の図である。
【図2】コイル状の形状記憶合金の伸張している状態の図である。
【図3】繊維状の形状記憶合金アクチュエータを織り込んだ布地の図である。
【図4】繊維状の形状記憶合金アクチュエータを織り込んだ布地を収縮させた状態の図である。
【図5】カーテンとして設置して閉じた状態の図である。
【図6】カーテンとして設置して開いた状態の図である。
【符号の説明】
【0017】
30 : 形状記憶合金アクチュエータを織り込んだ布地が伸張した状態
31 : 織り込まれた繊維状の形状記憶合金アクチュエータが伸張している状態
32a,32b,32c : 形状記憶合金アクチュエータに電流を供給する導線

40 : 形状記憶合金アクチュエータを織り込んだ布地が収縮した状態
41 : 織り込まれた繊維状の形状記憶合金アクチュエータが収縮している状態
42a,42b,42c : 形状記憶合金アクチュエータに電流を供給する導線

50 : 形状記憶合金アクチュエータを織り込んだカーテンが下りている閉じた状態
51 : カーテンを吊る固定具
52 : カーテンの最下部に付けられた形を整える棒
53a,53b : 形状記憶合金アクチュエータに電流を供給する導線

60 : 形状記憶合金アクチュエータを織り込んだカーテンが上がっている開いた状態
61 : カーテンを吊る固定具
62 : カーテンの最下部に付けられた形を整える棒
63a,63b : 形状記憶合金アクチュエータに電流を供給する導線



【特許請求の範囲】
【請求項1】
手動によらずに自動開閉させることが可能な電動カーテンであって、形状記憶合金アクチュエータを繊維として織り込んだカーテンの布地を利用することで、形状記憶合金アクチュエータの復元力によって布地を変形させてカーテンの開閉動作を可能とする自動開閉カーテンの構造。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−296453(P2006−296453A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−117983(P2005−117983)
【出願日】平成17年4月15日(2005.4.15)
【出願人】(504211728)株式会社エム・イ・テック (5)
【Fターム(参考)】