説明

後燃焼装置の駆動方法および後燃焼装置

本発明は、改質プロセスおよび/または燃料電池プロセスの燃料および/または残留ガスを取り出し、特に水素を得るための化学的改質器用の後燃焼装置(1)およびその駆動方法に関する。ここで、第1のケーシング(5)および/またはその内部に配置された燃焼室(8)に対して、再循環された燃焼ガスからの熱が閉ループ制御により供給される。燃焼室は少なくとも部分的に熱耐性かつ連続気泡型の発泡セラミック(4)によって充填されている。この閉ループ制御は例えば燃焼室内で赤外光測定により検出された温度に基づいて行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
従来技術
本発明は、請求項1の上位概念に記載の形式の後燃焼装置の駆動方法および請求項7の上位概念に記載の形式の後燃焼装置を起点としている。
【0002】
燃料電池により支持されている搬送システムでは、必要な水素を炭化水素を含む燃料から得るために、いわゆる化学的改質器が使用される。
【0003】
化学的改質器の最適な運転温度は大概、周囲の温度を大きく上回っている。特に、個人的な交通手段のための車両においてはこのことは問題となる。車両の停止段階が多数行われるとコールドスタート段階が多数回行われることになり、このようなコールドスタート段階では特に化学的改質器が良好には働かない。極めて僅かな負荷では、改質器は場合によっては、改質器中に発生した熱によって最適な運転温度に達せず、または最適な運転温度を運転中に失ってしまう。
【0004】
従って、燃料電池により支持されている、化学的改質器を備えた駆動システムでは特に後燃焼装置を設けることが有利である。この後燃焼装置は特に、形成した熱を化学的改質器へ供給してこれを迅速に駆動温度まで加熱し、および/または、残留ガスを熱的に利用するという課題を有している。
【0005】
後燃焼装置は燃焼可能な残留ガス、例えば燃料電池からの残留水素または触媒燃焼器の残留ガスを、炎を形成しながら、場合によっては部分的に触媒的に燃焼させるものであり、化学的改質器に熱的に連結されている。しかしながら燃焼可能な残留ガスの熱作用だけでは、十分な大きさの熱エネルギを得るには不十分である場合が多い。従って主として付加的に、または単独的に後燃焼装置へと燃料を調量して入れる。この場合、有利には液状の燃料は、煩雑かつ欠陥の多い装置によって微細に分配されて、できるだけ小さな液滴直径を有した液滴ガスとして燃焼室に噴射される。小さな液滴直径は、燃料でできるだけ大面積で酸素と熱とに接触させ、これにより燃焼過程をできるだけ完全に行うために必要である。
【0006】
ここでの欠点は、小さい液滴直径を有した液滴ガスを形成するための調量装置は極めて手間がかかり、コストがかかり、エラーが多いことにある。必要な僅かな液滴直径は、しばしば高い燃料圧の使用によってしか得られず、この場合、高い圧力を得るためには、比較的多くの出力を要し、特に圧力を形成するための装置は大きなスペースを要する。このような調量装置はさらに通常極めて小さな調量開口を有しており、このような開口は燃焼残留物もしくは堆積物により、分配装置の分配特性を許容できないほど制御不能に変更してしまう。高い燃料圧の使用に対して選択的にまたは補助的に、燃料の微細な霧化のために空気を用いた補助手段が公知である。この場合、燃料もしくは残留ガスは燃焼前に十分な長さ空気によって渦流化される。この場合の欠点は、比較的大きな所要スペース、空気調量の手間のかかる外乱を受けやすい制御、付加的な所要エネルギ等である。
【0007】
最後に、特に僅かな出力のもとでは、燃焼室内の継続燃焼する開かれた炎が予期せず突然消えてしまう恐れがある。後燃焼装置の熱エネルギは従って下方に向かって著しく制限されている。さらに、燃料供給を遮断するため、または炎を再点火するためには常に所定の所要時間を要する。この時間で、燃料もしくは残留ガスが燃焼室内に集められる。このことは再点火に不都合な影響を与え、場合によっては存在する触媒が損われ、燃焼していない燃料もしくは残留ガスが大気中に逃げる。上述した全てのことにかかわらず、後燃焼装置の排ガス中には燃焼されていないもしくは完全には燃焼されていない部分が残っている。これは部分的に有毒であり、または化学的に攻撃的である。このことは著しい環境汚染となり材料負荷となる。さらには、燃料もしくは残留ガスの発熱量が不完全にしか利用されない。
【0008】
本発明の利点
本発明の独立請求項の特徴を有する後燃焼装置の駆動方法および後燃焼装置はこれに対して、燃料を連続気泡型の耐熱性の発泡セラミックに調量分配することにより、微細な燃料滴を得るためのコストのかかる霧化装置を使用せずに、極めて良好な燃料分配を燃焼室内もしくは発泡セラミック内で行うことができる。これに伴う空気中酸素との比較的大きな接触面積により、供給される燃料および残留ガスのほぼ完全な燃焼、ひいては、極めて良好な効率、僅かな有害物質放出が得られる。発泡セラミック内で燃料の分配が行われるので、燃焼室もしくは発泡セラミック内へ燃料を調量して入れる調量装置もしくは燃料ノズルへの要求も極めて僅かになる。
【0009】
発泡セラミックの僅かな熱容量と、発泡セラミックにおいて均質かつ広域に分配される燃焼プロセスにより、発泡セラミックは極めて迅速に加熱され、これにより短い稼動時間後に既に、および場合によっては生じる燃料供給の短時間の遮断の後に既に、燃料供給を再開する際に例えば点火プラグまたは類似のものによる火花点火は必要ではないことが多い。燃焼によって発生した排ガスが再循環路および熱交換路を通るときの排ガス熱を利用することによりコールドスタートフェーズが短縮され、障害物質の放出が低減され、燃料の変換が改善される。再循環路および熱交換路では供給空気および/または燃焼室および/または発泡セラミックが特にコールドスタートモードで排ガスにより加熱される。燃焼速度を検出することにより、再循環された熱量を制御することができる。これによりコールドスタートフェーズで熱量の大部分を前方へ戻すことができ、その際にも後燃焼装置の燃焼速度が上昇したり、駆動温度が影響を受けたりすることがなくなる。
【0010】
有利にはさらに、発泡セラミックは、調量された燃料の一部を、すぐに点火せずにまず最初に吸収することができる。むしろ燃料の一部は最初に発泡セラミックに分配されてからその表面で点火される。即ち発泡セラミックは、所定の量の燃料をまず最初に貯えることができる。この特性は例えば、例えばグローコイルによる火花点火が不十分にしか得られない場合に常温の状態から後燃焼装置を始動させる際に有利である。何故ならば燃料は不完全燃焼で燃焼室からすぐには逃出できないからである。むしろ燃料は発泡セラミックに貯えられ、燃焼のためにさらに提供される。燃焼室における突燃過程もしく点火能力以上の燃料・空気混合物の濃縮はしたがってほぼ回避される。
【0011】
発泡セラミックのジオメトリックな形状とはほぼ関係なく燃料の分配が優先的に自動的に行われるならば、さらに極めて有利である。これにより、例えば発泡セラミックと燃焼室との間の熱的な連結もしくは後燃焼装置の別のエレメントとの熱的な連結を改善するために、燃焼室もしくは後燃焼装置において発泡セラミックを極めて適応するように配置することができる。
【0012】
さらに本発明による後燃焼装置が、極めて大きな熱エネルギ範囲を有しており、これは特に極めて小さな熱エネルギを調整できることにより可能である。このように調節可能な極めて小さな熱エネルギもしくは燃焼エネルギにより、特に個人自動車において負荷交換過程の際に典型的である、有害物質の多い、材料負荷がかかる、効率を悪化させる後燃焼装置のオンオフ過程が回避される。
【0013】
本発明による後燃焼装置の有利な別の構成は従属請求項に記載されている。
【0014】
本発明の方法の有利な第1の実施形態では、燃焼速度が温度測定に基づいて検出される。特に有利には、温度は無接触で摩耗のない赤外光測定により検出される。
【0015】
本発明の方法の有利な第2の実施形態では、検出された燃焼速度に基づいて、再循環される燃焼ガスの量が閉ループ制御される。
【0016】
有利には、本発明の方法はさらに、検出された燃焼速度に依存して燃料、残留ガスおよび/または空気の供給を閉ループ制御するステップを有する。この実施形態では、燃焼室または発泡セラミックの温度を低減するために、空気供給量または燃焼室内の燃料/空気混合気の空気分量が高められる。
【0017】
有利には、本発明の方法はさらに、燃焼室および/または発泡セラミックを電気的に加熱するステップを有する。これにより燃焼室または発泡セラミックを例えばコールドスタートフェーズの開始前に加熱し、後燃焼装置のコールドスタートフェーズを短縮することができる。同様にこの手段ではそのつど必要な点火エネルギを調製したり、必要な点火温度を形成したりすることができる。
【0018】
発泡セラミックが少なくとも部分的に炭化ケイ素から成っていると後燃焼装置はさらに有利に構成される。炭化ケイ素は極めて耐熱的であり、熱伝導性に優れ、発泡セラミックに比較的僅かな密度において良好な機械的剛性を与える。さらに炭化ケイ素は電流を比較的よく通す。この良好な導電性は測定のために利用され、例えば温度を、電流と電圧によって導き出される電気抵抗を介して検出することができる。または燃焼プロセスは、特に電流の熱作用によって影響を制御され、また例えば触媒燃焼の場合には、例えば部分負荷運転で完全に得られる。
【0019】
発泡セラミックを例えば熱的または化学的に行うことができるいわゆる網状化によって連続気泡型にすると有利である。これにより極めて高い割合で連続気泡性が得られ、さらに孔サイズは極めて軽量、例えば0.05〜5mmの範囲であって、このサイズは発泡セラミック製造の際に調節される。
【0020】
有利には、発泡セラミックは、燃焼室の壁または第1のケーシングの少なくとも一部と熱伝導的に良好に接触する。何故ならば、これにより熱を迅速かつ効果的に改質器または燃料電池に放出できるからである。同様に燃焼室または発泡セラミックは第1のケーシングの壁を介して外部から、例えば再循環される排ガス流によって加熱することができる。その際に排ガスは燃焼室または発泡セラミックへは達しない。
【0021】
熱伝導エレメントを第1のケーシング内、特に発泡セラミック内に配置することにより、有利には、暖かい領域の熱を冷たい領域、特に空気供給領域または燃料または残留ガスが測定される領域へ伝導させることができる。これにより反応物質の冷却作用が補償され、前述の領域でのコールドスタートフェーズの反応速度も増大する。これにより反応速度は燃焼室または発泡セラミック内の全ての領域で等しくなる。特に有利には、熱伝導エレメントは金属または金属を含む合金から形成される。なぜなら金属は特に良好な熱伝導体であり、機械的または化学的にも良好な特性を有するからである。
【0022】
有利には、高温の排ガスの熱エネルギが再循環路および熱交換路を介して燃焼室または発泡セラミックへ戻され、供給空気ひいては燃焼混合気へ混合される。これにより定量的に低い排ガス熱を、特にコールドスタートフェーズで燃焼速度を迅速に上昇させ、反応物質および燃焼室の予熱のために利用することができる。
【0023】
さらに有利には、制御器により排ガスの再循環が閉ループ制御または開制御される。これにより高温の排ガスが調量された状態で循環され、循環熱量が需要熱量に適合化される。こうして後燃焼装置のオーバーヒートが阻止され、排ガス圧力も最小限で維持される。
【0024】
別の有利な構成は、ノズルを更に良好な燃料分配を可能にするスワールノズルとして形成することにより得られる。
【0025】
図面
本発明の実施例を図示し、以下に詳細に説明する。
【0026】
図1には本発明の後燃焼装置の第1の実施例の概略図が示されている。図2には本発明の後燃焼装置の第2の実施例の燃焼室領域の様子の概略図が示されている。図3には本発明の原理となる連続気泡型発泡セラミックの部分断面図が示されている。図4には本発明の後燃焼装置の第3の実施例の概略図が示されている。図5には図4の装置の断面図が示されている。図6には本発明の後燃焼装置の第4の実施例の概略図が示されている。図7には本発明の後燃焼装置の第5の実施例の概略図が示されている。
【0027】
実施例の説明
次に本発明の実施例を説明する。この実施例には本発明の方法をきわめて有利に適用することができる。図中同じ構成要素には同じ参照番号を付してある。矢印は燃料流またはガス流の流れ方向を表している。
【0028】
図1に示されている本発明の実施例の後燃焼装置1は端部を閉鎖された中空円筒状の外側ケーシング(第2のケーシング)14、ノズル2、制御器17および再循環路16を有している。ノズル2は第2のケーシング14の上方の端面へ嵌合されており、軸線22に沿って配置されている。軸線はこの実施例では第2のケーシング14の対称軸線と同一である。第2のケーシング14の上方の端面はさらに空気供給部3を有しているが、これはこの実施例では単なる開口として実現されている。第2のケーシング14の下方端部の近傍の側方には流出開口7が設けられており、ここから流出管15が延びている。流出管15、排気管20および再循環路16は制御器17へ通じている。再循環路16は制御器17から第2のケーシング14の上方の端面へ至り、そこから第2のケーシング14へ流れ込む。第2のケーシング14の内部には特に燃焼室8が存在しているが、これは図1では示されていない。
【0029】
この装置の機能は次のようになっている。すなわち、ノズル2を介して、有利には流体としての燃料、または例えば改質プロセスまたは燃料電池プロセスからの残留ガス、または2つの燃焼可能物質の混合気が第2のケーシング14内に存在している燃焼室8(図1では示されていない)へ流れ込む。空気供給部3を介して燃焼に必要な空気が吸入される。また空気または他の吸入物質の強制的な供給も可能である。
【0030】
流出開口7から出る排ガスは流出管15を介して制御器17へ流れ込み、少なくとも部分的に再循環路16を介して第2のケーシング14へ戻される。戻された排ガスは第2のケーシング14内で熱エネルギを放出するが、その際に再循環される排ガスは燃料、残留ガスまたは空気とは混合されず、図1に示されていない第1の排気管19を介して周囲または他のプロセス部へ供給される。循環されない排ガスは制御器17から第2の排気管20を介して周囲または他のプロセス部へ供給される。
【0031】
この実施例では図示されていない赤外線センサによって第2のケーシング14または図示されていない燃焼室8内部の瞬時温度または瞬時の温度分布が測定される。これにより特に燃焼室8内の瞬時の燃焼速度が検出される。燃焼速度に依存してこの実施例では第2のケーシング14へ戻される排ガス量が閉ループ制御される。空気、燃料および残留ガスのそれぞれの成分もノズル2または空気供給部3を介して第2のケーシング14へ達し、燃焼速度に依存して本発明により制御される。また空気、燃料および残留ガスのそれぞれの成分量を時間制御により変更することもできる。すなわち例えばコールドスタートの開始時には全体として僅かな反応物質量が供給されて燃料成分が高められ、その後の時点では空気成分ひいては反応物質量が全体として高められる。温度がきわめて高い場合には、本発明により空気供給量または燃焼室8内の空気成分が高められる。
【0032】
付加的にラムダセンサを設けてもよい。
【0033】
図2には本発明の第2の実施例における燃焼室8の領域の概略図が示されている。燃焼室8は図2には示されていない第2のケーシング14内に配置されている。燃焼室8は側方で中空円筒状の内側ケーシング(第1のケーシング)5を介して、上方で第1のケーシング5の上方リング9を介して、下方で下方リング10を介して区切られている。上方リング9はノズル2に対して、下方リング11は流出室11に対して燃焼室8を区切っている。この実施例では、燃焼室8には完全に発泡セラミック4が充填されている。発泡セラミックの気泡は横方向および縦方向で相互に接続しており、流体の貫流およびほぼ完全な燃焼を可能にしている。発泡セラミック4の表面はこの実施例では完全にCuOから成る触媒層によってコーティングされている。
【0034】
原理的な図として部分断面図が図3に示されている。支持体12に埋め込まれた気泡13が示されている。
【0035】
発泡セラミックは、例えばポリウレタンフォームなどの支持体12の例えば網状化と、次いで行われる炭化ケイ素懸濁液、例えば水中に懸濁する炭化ケイ素から成る粉末セラミックによる処理により得られる。
【0036】
ノズル2は発泡セラミック4とは反対側の軸方向の端部で燃料、残留ガス、空気またはこれらの成分の混合物を受容し、この混合物を発泡セラミック4に面した軸方向の下端部で、図示しない開口を通して発泡セラミック4内に調量して入れる。さらに空気が空気供給部3を介して燃焼室8もしくは燃焼部に供給される。残留ガス/空気混合気または残留ガス/酸素混合気の導入も空気供給部3を介して可能である。燃料または残留ガスまたはこれらの成分の混合物は、発泡セラミック4の熱い表面において空気および/または酸素によって燃焼しもしくは運転中に化学反応する。
【0037】
また燃焼過程は、図示しない点火装置によって形成したり維持したりすることもできる。このような燃焼装置は例えば図示しない電気的なグロープラグまたはグローコイルとしてノズル2と発泡セラミック4との間に設けられている。点火装置を発泡セラミック4内に設けることも可能である。また点火装置を、発泡セラミック4全体または発泡セラミック4の少なくとも一部が電気的に加熱され、これにより点火装置が形成されるように形成することも考えられる。最後に発泡セラミック4は外部から、またはワイヤを設けることにより加熱することができる。これにより本発明の後燃焼装置1の動作が可能となる。
【0038】
燃料および/または残留ガスの酸化が行われると、燃焼ガスが下方に向かって逃げ、下方リング10を通って流出室11へ到り、ここで流出開口7から逃出する。
【0039】
第1のケーシング5は大面積で図示しない熱交換路18に良好に熱伝導を行うように接触している。
【0040】
発泡セラミック4の内部には条片状の熱伝導エレメント23が延在している。この熱伝導エレメントは管状または中空円筒状であってもよい。この実施例では、熱伝導エレメント23は上方から下方へ向かって軸線22に沿って延在している。熱伝導エレメントは、コールドスタートフェーズで第1のケーシング5内の他の場所に比べて緩慢にしか暖まらない領域へ熱を輸送するために用いられる。例えば下方リング10近傍の領域からの熱が上方リング9近傍の領域へ伝導される。熱伝導エレメント23の少なくとも一部は上方リング9によって把持されており、例えば空気供給部3を介して供給される空気が暖められる。同様に熱伝導エレメントは下方リング10によっても把持されており、これにより燃焼ガスの熱エネルギが伝導される。熱伝導エレメント23はノズル2によって調量される燃料がなるべく直接に印加されないように配置されている。
【0041】
図4には図2の実施例に類似した本発明の装置の第3の実施例が示されている。ただしこの実施例では付加的に再循環路16が設けられており、燃焼ガスが流出開口7、流出管15および制御器17を介して熱交換路18の下方端部へ達するところが異なっている。図5からわかるように、熱交換路18は図4,図5の実施例では端部の閉鎖された中空円筒管21の1/2を占めている。管21は下方から上方へ向かって第1のケーシング5の側壁に沿って延在しており、燃焼室8または第1のケーシング5に熱結合されている。管21はその断面積を分割する管壁24によって2つの半部に分割されており、第1のケーシング5に近いほうの半部は熱交換路18、遠いほうの半部は第1の排気管19となっている。管壁24は管21の閉鎖端部の直前まで延在しており、熱交換路18と第1の排気管19とを接続している。それ以外の場所では管壁は管21の2つの半部を気密に分離している。管21は均等な間隔で第1のケーシング5から半径方向に分布している。管21および第1のケーシング5は第2のケーシング14によって包囲されており、第2のケーシング14の側壁は特に熱分離のために作用する。
【0042】
制御器17により再循環される燃焼ガス量が求められ、燃焼ガスが再循環路16を介して管21の下方端部へ、さらに熱交換路18へ供給される。例えばコールドスタートフェーズでは燃焼ガスに含まれる熱は第1のケーシング5、燃焼室8および上方リングの上方の空間へ供給される。これにより燃焼速度がコールドスタートフェーズで加速されるので、コールドスタートフェーズは短縮される。特に調量された燃料の熱が供給されることにより簡単かつ迅速に蒸発が生じる。第1の排気管19を介して燃焼ガスは後燃焼装置1から送出される。循環されない燃焼ガスは第2の排気管20を介して同様に後燃焼装置1から送出される。
【0043】
図6には図4,図5の第3の実施例に類似した第4の実施例が示されている。再循環路16から循環される燃焼ガスは燃焼室8または発泡セラミック4を介して延在する熱交換路18へと分流される。熱交換路18は中空円筒状に成形されており、第1のケーシング5の側壁を通って延在している。この実施例では第2のケーシング14は設けられていない。
【0044】
図7には本発明の第5の実施例が示されている。ここでは第2のケーシング14内に第1のケーシング5が配置されている。循環される燃焼ガスは再循環路16を介して第2のケーシング14内に配置されている第1の開口25から第2のケーシング14へ入り、2つのケーシングのあいだに形成されている熱交換路18を経て第2のケーシング14の第2の開口26へ至る。燃焼ガスはそこで第1の排気管19を介して後燃焼装置1から送出される。第1のケーシング5は循環される燃焼ガスに対して気密に構成されており、例えばコールドスタートフェーズで循環される燃焼ガスの熱を吸収する。これにより燃焼室8または第1のケーシング内に配置された発泡セラミック4が加熱される。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の後燃焼装置の第1の実施例の概略図である。
【図2】本発明の後燃焼装置の第2の実施例の燃焼室領域の様子の概略図である。
【図3】本発明の原理となる連続気泡型発泡セラミックの部分断面図である。
【図4】本発明の後燃焼装置の第3の実施例の概略図である。
【図5】図4の装置の断面図である。
【図6】本発明の後燃焼装置の第4の実施例の概略図である。
【図7】本発明の後燃焼装置の第5の実施例の概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
改質プロセスおよび/または燃料電池プロセスの燃料および/または残留ガスから熱を取り出し、特に水素を得るための化学的改質器用の後燃焼装置(1)の駆動方法であって、燃料および/または残留ガスおよび/または空気を燃焼室へ分配するための少なくとも1つのノズル(2)と、少なくとも部分的に発泡セラミック(4)によって充填された燃焼室(8)と、燃焼ガスを放出する流出開口(7)とを有している
後燃焼装置の駆動方法において、
燃焼室(8)および/または発泡セラミック(4)内の燃焼速度を検出するステップと、
燃焼ガスの少なくとも一部を燃焼室(8)および/または発泡セラミック(4)に熱結合された熱交換路(18)へ再循環させるステップと、
再循環される燃焼ガス量を変更することにより、再循環される燃焼ガスの成分を閉ループ制御するステップとを有する
ことを特徴とする後燃焼装置の駆動方法。
【請求項2】
さらに、燃焼室(8)および/または発泡セラミック(4)内の燃焼速度を温度測定、例えば赤外光測定により検出するステップを有する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
検出された燃焼室(8)および/または発泡セラミック(4)内の燃焼速度に基づいて、再循環される燃焼ガスの量を閉ループ制御する、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
さらに、検出された燃焼速度に依存して燃料、残留ガスおよび/または空気の供給を閉ループ制御するステップを有する、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
温度が過度に高い場合または燃焼速度が過度に大きい場合には空気供給部(3)を通る空気供給量または燃焼室(8)内の空気分量を高める、請求項4記載の方法。
【請求項6】
さらに、燃焼室(8)および/または発泡セラミック(4)を電気的に加熱するステップを有する、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
改質プロセスおよび/または燃料電池プロセスの燃料および/または残留ガスから熱を取り出し、特に水素を得るための化学的改質器用の後燃焼装置(1)であって、燃料および残留ガスを燃焼室へ分配するための少なくとも1つのノズル(2)と、第1のケーシング(5)内に配置された燃焼室(8)と、少なくとも1つの空気供給部(3)とを有している
後燃焼装置において、
燃焼室(8)は少なくとも部分的に耐熱性かつ連続気泡型の発泡セラミック(4)によって充填されており、
該発泡セラミックは少なくとも部分的に触媒材料によってコーティングされている
ことを特徴とする後燃焼装置。
【請求項8】
触媒材料はZnCuOおよび/またはCuOから成る、請求項7記載の装置。
【請求項9】
発泡セラミック(4)は少なくとも部分的に炭化ケイ素から成る、請求項7または8記載の装置。
【請求項10】
発泡セラミック(4)は網状化により連続気泡型に形成されている、請求項7から9までのいずれか1項記載の装置。
【請求項11】
発泡セラミック(4)は電気的に加熱可能である、請求項7から10までのいずれか1項記載の装置。
【請求項12】
発泡セラミック(4)は第1のケーシング(5)の少なくとも一部に熱伝導的に良好に接触している、請求項7から11までのいずれか1項記載の装置。
【請求項13】
第1のケーシング(5)内に熱伝導エレメント(23)が延在している、請求項7から12までのいずれか1項記載の装置。
【請求項14】
前記熱伝導エレメント(23)は金属または金属合金から成っており、発泡セラミック(4)または空気供給部(3)の領域に延在している、請求項13記載の装置。
【請求項15】
燃焼の際に発生した燃焼ガスを少なくとも1つの熱交換路(18)へ再循環させ、排ガス熱を燃焼室(8)、発泡セラミック(4)および/または空気供給部(3)の領域へ伝導させる少なくとも1つの再循環路(16)が設けられており、前記熱交換路は燃焼室(8)および/または発泡セラミック(4)に熱結合されている、請求項7から14までのいずれか1項記載の装置。
【請求項16】
当該の再循環を閉ループ制御または開制御する制御器(17)が設けられている、請求項15記載の装置。
【請求項17】
少なくとも1つの熱交換路(18)は管(21)、例えば中空円筒管から成る、請求項15または16記載の装置。
【請求項18】
熱交換路(18)の少なくとも一部は軸線(22)に対して平行に燃焼室(8)を中心とした半径方向に配置されている、請求項15から17までのいずれか1項記載の装置。
【請求項19】
熱交換路(18)の少なくとも一部は燃焼室(8)および/または発泡セラミック(4)を通って延在している、請求項15から17までのいずれか1項記載の装置。
【請求項20】
少なくとも1つの熱交換路(18)は第1のケーシング(5)上および/または第1のケーシング(5)の周囲へ排ガス流を通す、請求項15から17までのいずれか1項記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2006−503787(P2006−503787A)
【公表日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−547380(P2004−547380)
【出願日】平成15年9月3日(2003.9.3)
【国際出願番号】PCT/DE2003/002918
【国際公開番号】WO2004/040683
【国際公開日】平成16年5月13日(2004.5.13)
【出願人】(390023711)ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング (2,908)
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
【Fターム(参考)】