説明

徐放性乾燥物

【課題】熱安定性の高い、長期間わたって内容物を放出する優れた徐放性の乾燥物あるいはこれを添加した飲食品を提供すること。
【解決手段】可食性物質の乳化物、粉末香料、酸味料、甘味料などの被分散物質にpH6.0〜9.0であるシェラック水溶液を添加混合し、乾燥することにより、熱安定性の高い、優れた徐放性乾燥物を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は被分散物質をpH6.0〜9.0であるシェラック水溶液に混合・分散後、乾燥した徐放性の乾燥物に関する。
【背景技術】
【0002】
シェラックはセラックとも呼ばれ、マメ科・クワ科の樹木に寄生するラックカイガラムシ(Laccifer lacca KERR.)が樹液を吸い、体外に分泌した通常スチックラックと呼ばれる樹脂状物質より製造される。このスチックラックを粉砕し、篩い分け、水洗し、虫殻、木質、水溶性色素などを除去したものはシードラックと呼ばれ、水溶性色素はラック色素として利用され、シードラックをさらにろ過などを行い精製したものがシェラックである。シェラックは水に不溶の樹脂であるがアルコールに90%程度溶解するほか、アンモニアなどアルカリ水溶液に溶解することが知られている。また、加熱することにより容易に溶融するが一度、熱硬化した場合には熱や溶剤により侵されないという性質がある。硬化した後は光沢があり、耐油性、耐摩擦性を有するため、コーティング剤として医薬品の錠剤、食品であるチョコレート、砂糖製品、カカオ製品、焙焼コーヒー、糖衣菓子、キャンディー、錠菓、ソフトカプセル、果実などのコーティング又は光沢付与剤として利用されている。
【0003】
通常、シェラックはメチルアルコール、エチルアルコールなどに溶解したアルコール溶液、あるいはアンモニアなどアルカリ水溶液に溶解した形で使用されることがほとんどであり、被コーティング物質である医薬品の錠剤、種々の食品に対し噴霧コーティング、浸漬法、手掛け法、ハケ塗りなどのコーティング方法が用いられている。
【0004】
これまで被膜剤としてシェラックを用いる数多くのコーティングの提案がある。すなわち、甘味料をシェラックなどの水不溶性、膜生成能を有し、甘味料に適合しうる食用の疎水性物質で被覆化し、カプセル化した遅延放出甘味料組成物(特許文献1参照)、液体又は粉末の生薬エキス類を2〜4倍量のシェラック溶液に分散混合させて乾燥することによるマスキング組成物(特許文献2参照);あるいはシェラックを溶剤などに分散させる際に添加剤を併用し被覆の改善を行う提案である、アルコールなどの溶剤にシェラックを溶かしたコーティング剤に植物油脂、ワックス類、又はその他の脂肪酸エステル類を添加することにより、溶媒成分の除去が進む際に被コーティング物質同士が粘着する現象、いわゆる糸曳きの防止を目的とした提案(特許文献3参照)、シェラックの溶解にアルコールなど有機溶媒に代え、塩基性アミノ酸及び/又は塩基性リン酸塩を使用し、増粘剤及び/又は糖を含有してなる油性菓子の艶付用組成物(特許文献4参照)、シェラックの溶解にアルコール、水酸化ナトリウムおよびアンモニアに代え、塩基性アミノ酸及び/又は塩基性リン酸塩を使用した水性セラック被膜剤の提案(特許文献5参照);あるいは、複数の被膜をすることにより溶解特性を改善する提案として、薬物活性成分をpH依存溶解性放出制御被膜の1種であるシェラックでコーティングし、さらにゲル形成性ポリマーで被覆したカプセル剤(特許文献6参照)、腸内有用細菌を耐酸性および耐水性を有する硬化油又はシェラックでコーティングし、さらに腸溶性の寒天またはゼラチンとペクチンの混合物からなる外皮膜で覆ったカプセルおよびこれを含有するヨーグルト(特許文献7参照);あるいは被担持物質をシェラックなどの透過性物質でコーティングし二酸化ケイ素などの多孔質微粒子に担持させた徐放性多孔質微粒子(特許文献8参照);さらには油をベースとするフレーバー、水、デキストリンなどの多糖類カプセル化物質を噴霧乾燥などでカプセル化し、シェラックによるコーティングを行う提案(特許文献9参照)などがある。しかしながら、これまでの被膜剤としてシェラックの使用はシェラックをアルコール溶液、あるいはアルカリ溶液に溶解して食品、医薬品等の表面に薄い被膜を形成し、該被膜が耐水性、耐酸性を有することを利用して内容物を保護するか、あるいは光沢剤として使用することが目的であり、咀嚼、あるいは周囲のpH変化等により、容易に物理的、化学的に被膜が壊れ、内部の食品の飲食あるいは医薬品の摂取を可能にするものであった。したがって、一度、膜が壊れると短時間のうちに急激に内容成分が外部に流出するために、香気、香味、その他の効果の持続性に欠け、長期間、安定にそれらの効果が持続する徐放性コーティング粉末の開発が望まれていた。
【0005】
【特許文献1】特開昭63−167747号公報
【特許文献2】特許第3143433号公報
【特許文献3】特開平8−311405号公報
【特許文献4】特許第3634339号公報
【特許文献5】特許第3634340号公報
【特許文献6】特開2004−292427号公報
【特許文献7】特開平8−242763号公報
【特許文献8】特開2003−286196号公報
【特許文献9】特開平10−179046号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は被分散物質をpH6.0〜9.0であるシェラック水溶液に混合・分散させて乾燥することにより、熱安定性が高く、長期間にわたり内容物を放出する優れた徐放性乾燥物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、今回、驚くべきことに、被分散物質をpH6.0〜9.0であるシェラック水溶液に混合し、乾燥、粉砕することにより、熱安定性が高く、長期間にわたって内容物を放出する優れた徐放性乾燥物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
かくして本発明は(A)成分の被分散物質および(B)成分であるpH6.0〜9.0のシェラック水溶液の混合・分散物を乾燥してなる徐放性乾燥物を提供するものである。
【0009】
本発明は、また、(B)成分のシェラック水溶液中のシェラック濃度が1〜50%の範囲内である前記の徐放性乾燥物を提供するものである。
【0010】
本発明は、また、(A)成分:(B)成分中のシェラック含量が重量比で1:0.01〜1:6の範囲内である前記の徐放性乾燥物を提供するものである。
【0011】
本発明は、また、(A)成分が可食性物質の乳化物、粉末香料、酸味料、調味料、甘味料、苦味剤および色素から選択される1種または2種以上の混合物である前記の徐放性乾燥物を提供するものである。
【0012】
本発明は、また、前記の徐放性乾燥物を添加してなる飲食品を提供するものである。
【0013】
本発明は、また、(A)成分の被分散物質および(B)成分のpH6.0〜9.0のシェラック水溶液を混合・分散した後、乾燥することを特徴とする徐放性乾燥物の製造方法を提供するものである。
【0014】
本発明は、また、(A)成分が可食性物質の乳化物、粉末香料、酸味料、調味料、甘味料、苦味剤および色素から選択される1種または2種以上の混合物である前記の徐放性乾燥物の製造方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、これまでにはない、熱安定性が高く、長期間にわたって内容物を放出する優れた徐放性乾燥物を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
本発明において使用するシェラックは、市販の粉末あるいは板状のシェラックおよびこれを粉砕して得た粉末などが使用でき、一般には食品、食品添加物、医薬品向けに種々のグレードのものがあるが、どんなものでもよく特に限定されない。
【0017】
本発明において使用するpH6.0〜9.0であるシェラック水溶液の調製は、アルカリまたはアルカリ塩の水溶液を作成し、これにシェラックを攪拌溶解することにより得られる。攪拌溶解の際、50〜70℃程度の加温を行うと溶解時間が短縮される。アルカリまたはアルカリ塩としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸アンモニウム、炭酸ナトリウム、アンモニア、リン酸一ナトリウム、リン酸二ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなどのアルカリまたはアルカリ塩の水溶液を挙げることができるがこれらに限定されるものではない。
【0018】
本発明において使用するpH6.0〜9.0のシェラック水溶液のシェラック濃度は1〜50重量%、好ましくは10〜40重量%を挙げることができる。被分散物質と混合後、乾燥することを考えるとシェラック濃度が高いほど水分が少なく、乾燥時間、乾燥コストが小さくて済むという利点がある。30重量%は実質、シェラックがpH6.0〜9.0で水に溶ける最大の濃度であるが、30重量%を超えて水に不要のシェラックを含む場合でも目的とする乾燥物を得ることができる。
【0019】
本発明において(A)成分:(B)成分中のシェラック含量が重量比で1:0.01〜1:6の範囲内、好ましくは1:0.1〜1:3の範囲内を挙げることができる。シェラック含量が1:6を超え、さらに多くなると乾燥して得られる乾燥物を飲食品などに添加した際に咀嚼などの物理的圧力、あるいは加熱等で被分散物質に由来する成分の外部への放出が著しく遅くなり、好ましくない。また、反対にシェラック含量が1:0.01を超え、さらに少なくなると乾燥して得られる乾燥物を飲食品などに添加した際に咀嚼などの物理的圧力、あるいは加熱等で被分散物質に由来する成分の外部への放出が著しく早くなり、持続性がなくなるので好ましくない。
【0020】
本発明において被分散物質とはシェラック水溶液に分散、乾燥して得られる乾燥物の有効成分であり、その性状は固体、液体を問わないが、乾燥後の乾燥物においてシェラックにより形成されるマトリクス中に分散するものなら何でもよい。例えば、可食性物質の乳化物、粉末香料、酸味料、調味料、甘味料、苦味剤および色素から選択される1種または2種以上の混合物が挙げられる。
【0021】
さらに具体的には、本発明で使用する乳化物としては、油溶性成分を種々の界面活性剤で乳化し、水中油型の乳化物としたものであれば何でもよい。油溶性成分としては例えば、オレンジ、レモン、ライム、グレープフルーツなどの柑橘類精油、花精油、ペパーミント油、スペアミント油、スパイス油などの植物精油;コーラナッツエキストラクト、コーヒーエキストラクト、ワニラエキストラクト、ココアエキストラクト、紅茶エキストラクト、スパイス類エキストラクトなどの油性エキストラクト及びこれらのオレオレジン類;合成香料化合物、油性調合香料組成物及びこれらの任意の混合物の如き油性の着香料;及びβ−カロチン、パブリカ色素、アナトー色素及びクロロフィルなどの油溶性天然色素類;肝油、ビタミンA、ビタミンA油、ビタミンB2、酪酸エステル、天然ビタミンE混合物などの脂溶性ビタミン類;大豆油、ナタネ油、コーン油、オリーブ油、ヤシ油、サフラワー油、ヒマワリ油、米油、牛脂、豚油、魚油などの動植物油脂類;ロジン、コーパル、ダンマル、エレミ、エステルガムなどの植物性樹脂類;炭素原子数6〜12の中鎖飽和脂肪酸トリグリセライドなどの加工食用油脂及びこれら可食性油性材料の任意の混合物が挙げられるがこれらに限定されるものではない。所望によりその他の成分を添加しても良い。
【0022】
本発明で使用する粉末香料としては、水溶性香料、油溶性香料あるいは乳化香料をデキストリン、乳糖、トレハロース、澱粉などの賦形剤と共に乾燥して得た粉末状の香料であれば何でもよい。
【0023】
本発明で使用する酸味料としては、クエン酸、クエン酸一カリウム、クエン酸三カリウム、クエン酸三ナトリウム、フマル酸、フマル酸一ナトリウム、DL−リンゴ酸、DL−リンゴ酸ナトリウム、DL−酒石酸、L−酒石酸、DL−酒石酸ナトリウム、L−酒石酸ナトリウム、酢酸、酢酸ナトリウム、コハク酸、コハク酸ナトリウムなどの食品に使用可能な酸味料を挙げることができるがこれらに限定されるものではない。
【0024】
本発明で使用する調味料として、L−アスパラギン酸ナトリウム、DL−アラニン、グリシン、L−グルタミン酸、L−グルタミン酸ナトリウム、コハク酸、コハク酸一ナトリウム、L−テアニン、5’−リボヌクレオチド二ナトリウム、5’−リボヌクレオチド二カルシウムなどの食品に使用可能な調味料を挙げることができるがこれらに限定されるものではない。
【0025】
本発明で使用する甘味料として、グルコース、ショ糖、フラクトース、ガラクトース、乳糖、エリスリトール、トレハロース、マルチトース、甘草抽出物、ステビア抽出物、羅漢果抽出物、カンゾウ抽出物、アスパルテーム、アセスルファムK、キシリトール、グリチルリチン酸二ナトリウム、サッカリンナトリウム、スクラロースなどの食品に使用可能な甘味料を挙げることができるがこれらに限定されるものではない。
【0026】
本発明で使用する苦味剤として、香辛料抽出物、カフェイン、キナ抽出物、ゲンチアナ抽出物、テオブロミン、ナリンジン、ニガヨモギ抽出物、タンニンなどの食品に使用可能な苦味料を挙げることができるがこれらに限定されるものではない。
【0027】
本発明で使用する着色料として、β−カロテン、食用赤色2号、食用黄色5号、水溶性アナトー、リボフラビン、アナトー色素、カカオ色素、クチナシ青色素、クチナシ黄色素、コチニール色素、クロロフィル、ビートレッド、ブドウ果皮色素、ベニバナ黄色素、マリーゴールド色素、ベニコウジ色素、ムラサキイモ色素、ラック色素、ルチンなどの食品に使用可能な着色料を挙げることができるがこれらに限定されるものではない。
【0028】
次に製造方法であるが、被分散物質とpH6.0〜9.0であるシェラック水溶液を混合し、乾燥する。乾燥方法としては噴霧乾燥、真空乾燥、凍結乾燥、ドラム乾燥、通風乾燥などの乾燥法を用いることができる。乾燥後は必要に応じて適当な方法で粉砕を行い、徐放性乾燥物を得る。
【0029】
本発明の徐放性乾燥物を添加することのできる飲食品は特に限定されないが、例えば、粉末香料、酸味料、甘味料などを被分散物質とした場合にはチューインガム、キャンディー、その他の菓子類に賦香することにより被分散物質が製造時及び保存時に受ける酸化、その他の劣化を防止又は低減し、かつ飲食時に長期間その香気、香味を楽しむことができる。
【0030】
さらに、徐放性乾燥物に使用される他の素材としては、中鎖脂肪酸グリセリンエステル、グリセリン、抗酸化剤、香辛料抽出物、乳糖、デキストリンなど食品に使用可能な成分を挙げることが出来る。
【0031】
本発明の一実施態様を例示すれば次の通りである:グレープフルーツなどの柑橘類精油20gを市販の化工澱粉20gおよび市販デキストリン50gを水130gに溶解させた溶液に添加し、TKロボミックス(プライミクス社製、登録商標)で乳化する。次いでこの乳化液をpH7.0の25%シェラック水溶液40gと混合し、噴霧乾燥し、乾燥品を得る。得られた乾燥物をメッシュで篩別し、乾燥物70gを得た。得られた乾燥物は被分散物質の保存安定性が極めて良好であり、かつ加熱に対して安定であり、該粉末を含有する食品等を摂食する際に咀嚼よる被分散物質の放出の持続性が高く、長時間にわたって放出が続く。以下、本発明を実施例および比較例によりさらに具体的に説明する。
【実施例】
【0032】
実施例1
メントール20gを市販の化工澱粉であるピュリティガムBE(日本エヌエスシー社製)20g及び市販デキストリンであるパインデックスNo.1(松谷化学工業社製)の50gを水130gに溶解させた溶液に添加し、TKロボミックス(プライミクス社製、登録商標)で乳化する。次いでこの乳化液をpH7.0の25%シェラック水溶液4gと混合し、スプレードライヤーL−8i(大川原化工機社製)で噴霧乾燥し、乾燥品を得た。得られた乾燥物をメッシュで篩別し、乾燥物70g(本発明品1)を得た。
【0033】
実施例2〜5
表1の実施例2〜5の処方に従うほかは実施例1と同様に乾燥物70g(本発明品2〜5)を得た。
【0034】
比較例
表1の比較例1および2の処方に従うほかは実施例1と同様に乾燥物70g(比較品1および2)を得た。
【0035】
溶出試験
本発明品1〜5および比較品1をそれぞれガムベースに2%、比較品2は8%添加し、混錬してチューインガムを調製した。得られたチューインガムは専門パネルにより官能評価を実施し、メントールの発現を比較した。すなわち、チューインガムを噛んだときメントールの香気が持続する時間とその強さを官能的に評価した。その際、メントール感は噛んだ後も口内の感覚がある程度持続するので、ある時間噛み続けた後、咀嚼を中断しその時点での官能評価を行い、メントール感が消失した時点で咀嚼を再開し、次の時間の咀嚼の官能評価を行った。上記試験では7分間、5分間、3分間の3回、計15分間の咀嚼を行い、メントールの発現の持続性を比較した。
【0036】
香気、香味の評価
本発明品1〜5、比較品1および2の香味評価を表1に示した。
【0037】
【表1】

【0038】
表1に示したようにシェラックを全く含まない比較品1は約1分後には香気のピークが現れて約3分後には香気が消失した。一方、シェラック1%含有の本発明品1は香気のピークが約3分後に現れ、約6分後まで香気が持続しており良好であった。また、シェラック10〜60%含有である本発明品2〜5は香気のピークが7〜12分と比較的遅く、観察時間の15分を過ぎてもまだ、香気が持続しており非常に良好であった。これに対し、シェラック90%含有である比較品2は香気が弱く、15分経過後も香気の溶出がほとんど見られなかった。
【0039】
保存安定性試験
本発明品1、3および5、比較品1をそれぞれ1g計り取り、20mlガラス製バイアル瓶に入れ、50℃、2週間保存した。本発明品1、3および5、比較品1の香味の評価を表2に示した。
【0040】
【表2】

【0041】
本発明品1は若干の香気、香味の変化あるも、メントールの爽快感が十分残存していた。また、本発明品3および5は香気、香味の変化がほとんどなく、良好なメントールの爽快感が残存していた。一方、比較品1は香気、香味の変化が著しく、メントールの爽快感が著しく、損なわれていた。すなわち、本発明品1、3、5の熱安定性、保存安定性が確認された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の(A)成分および(B)成分の混合・分散物を乾燥してなる徐放性乾燥物。
(A)被分散物質
(B)pH6.0〜9.0のシェラック水溶液
【請求項2】
(B)成分のシェラック水溶液中のシェラック濃度が1〜50%の範囲内である請求項1に記載の徐放性乾燥物。
【請求項3】
(A)成分:(B)成分中のシェラック含量が重量比で1:0.01〜1:6の範囲内である請求項1または2のいずれか1項に記載の徐放性乾燥物。
【請求項4】
(A)成分が可食性物質の乳化物、粉末香料、酸味料、調味料、甘味料、苦味剤、色素から選択される1種または2種以上の混合物である請求項1〜3のいずれか1項に記載の徐放性乾燥物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の徐放性乾燥物を添加してなる飲食品。
【請求項6】
(A)被分散物質および(B)pH6.0〜9.0のシェラック水溶液を混合・分散した後、乾燥することを特徴とする徐放性乾燥物の製造方法。
【請求項7】
(A)成分が可食性物質の乳化物、粉末香料、酸味料、調味料、甘味料、苦味剤および色素から選択される1種または2種以上の混合物である請求項6に記載の徐放性乾燥物の製造方法。

【公開番号】特開2009−55850(P2009−55850A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−226130(P2007−226130)
【出願日】平成19年8月31日(2007.8.31)
【出願人】(000214537)長谷川香料株式会社 (176)
【Fターム(参考)】