説明

微生物、微生物含有組成物、並びに該微生物を用いた有機肥料の製造方法

【解決課題】 塩への耐性を有する新規な微生物等を提供する。
【解決手段】 ピチア ブルトニ(Pichia burtonii)に属する微生物、ピチアファリノサ(Pichia farinosa)に属する微生物、又はスタフィロコッカス(Staphylococcus)に属する微生物、並びにこれらの共生微生物であって、塩に耐性を有する微生物を作出する。特に、ピチア ブルトニ(Pichia burtonii)(FERM BP−7504)、ピチア ファリノサ(Pichia farinosa)(FERM BP−7505)、又はスタフィロコッカス(Staphylococcus)(FERM BP−7506)、並びにこれらの共生微生物であることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、牛糞等の畜糞や下水汚泥等の有機廃棄物を発酵・分解等する処理に有用な微生物、及び該微生物含有組成物に関する。
【0002】さらに、この発明は、該微生物を用いて有機廃棄物から有機肥料を製造する方法に関する。
【0003】
【従来の技術】一般的に、牛糞等の畜糞や下水汚泥等の水分を含んだ有機廃棄物を処理するか、さらには有機廃棄物を処理して有機肥料を製造する場合、有機廃棄物と乾燥材と微生物(土着菌等の発酵菌)とを中空のドラムからなる収容室内に投入し、該収容室の回転等によりこれら混合物を攪拌混合しながら高温状態に維持して発酵させて有機肥料を製造する。
【0004】この発酵過程においては、混合物全体に含有される水分率が概ね60〜65重量%となるように乾燥基材を大量に添加して水分調整を行い通気性を良くする必要がある。このように水分調整が必要となるのは、混合物内の水分を減少させて有機肥料の腐食等を防止するとともに、発酵菌を着床させる有機廃棄物側の表面積をできるだけ多くして有機質の分解(発酵)を促進するためである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の有機廃棄物の処理に用いられていた発酵菌は、塩分が高濃度で含有されている土壌や処理物中では十分に生息できないという問題があった。すなわち、海岸地方ある土壌や、海水による灌漑がなされた土壌等、塩分濃度が高まった土壌や処理物中においても十分に生息できるような塩に耐性を有する微生物の提供が望まれていた。
【0006】また、従来用いられていた発酵菌では、水分調整するために混合物に大量の乾燥基材を添加する必要があり、このために有機廃棄物の醗酵処理に時間がかかっていた。
【0007】そこで、本発明は、塩への耐性を有する新規な微生物及び該微生物含有組成物を提供することを目的とする。
【0008】さらに、本発明は、前記微生物を用いて、有機廃棄物から短期間で良質な有機肥料を製造する方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、鋭意実験の結果、特定の微生物が塩に耐性を有することを知見し、これに鑑みてなされたものである。
【0010】本発明に係る微生物は、塩に耐性を有するピチア ブルトニ(Pichia burtonii)に属する微生物である。該微生物は、特に、FERM BP−7504(経済産業省産業技術総合研究所生命工学工業技術研究所特許微生物寄託センター日本国茨城県つくば市東1丁目1−3に2001年3月14日に国際寄託されたもの。以下、「Shimose1」と称する)であることが好ましい。
【0011】本発明に係る別の微生物は、塩に耐性を有するピチア ファリノサ(Pichiafarinosa)に属する微生物である。該微生物は、特に、FERM BP−7505(Shimose1と同様に国際寄託されたもの。以下、「Shimose2」と称する)であることが好ましい。
【0012】本発明に係る別の微生物は、塩に耐性を有するスタフィロコッカス(Staphylococcus)に属する微生物である。該微生物は、特に、FERM BP−7506(Shimose1と同様に国際寄託されたもの。以下、「Shimose3」と称する)であることが好ましい。
【0013】本発明に係る別の微生物は、ピチア ブルトニ(Pichia burtonii)と、ピチア ファリノサ(Pichia farinosa)と、及びスタフィロコッカス(Staphylococcus)とが共生して構成される微生物である。特に、該微生物は、FERM BP−7504(Shimose1)と、FERM BP−7505(Shimose2)と、FERM BP−7506(Shimose3)とが共生して構成される共生微生物(FERM BP−7728;Shimose1と同様に国際寄託されたもの。以下、「Shimose」と称することがある)であることが好ましい。該微生物は、塩に耐性を有するものであることが好ましい。
【0014】上記において塩に耐性を有するとは、該微生物が添加される系(例えば培地)内の塩濃度が高濃度であっても該微生物が生育可能であるという意味である。
【0015】本発明においては、上記微生物は、これが添加される系(例えば培地)内の塩濃度が5重量%以上であっても生育可能であることが好ましく、さらには、系内の塩濃度が10重量%以上であっても生育可能であることがより好ましい。
【0016】本発明の微生物含有組成物は、上記の微生物又はこれらの処理物を含むことを特徴とする。この微生物含有組成物は、土壌改良剤として用いることができる。
【0017】本発明の有機廃棄物の処理に適した微生物の製造装置は、被培養物及びその培養を補助する物質を収容する収容室と、該収容室内を攪拌する攪拌手段と、該収容室を加熱する加熱手段と、該収容室内を減圧させる減圧手段と、を備えることを特徴とする。
【0018】本発明の有機廃棄物の処理に適した微生物を得る方法は、収容室内に、被培養物と、その培養を補助する物質とを収容し、これら混合物を培養する工程と、収容室内に有機廃棄物と含塩水とをさらに加え、これら混合物を培養する工程と、を有することを特徴とする。
【0019】含塩水としては、海水が好ましい。
【0020】また、本発明の有機廃棄物の処理に適した微生物を得る方法は、上記製造装置を用い、前記収容室内に、被培養物(例えば、腐葉土、土、芝等)と、炭水化物系有機物(例えば、米糠等)と、培養液とを収容する工程と、前記攪拌手段を駆動させ収容室内の混合物を攪拌するとともに、該収容室内の水の沸点が50℃以上、70℃以下となるように前記減圧手段を駆動させる工程と、さらに収容室内に有機廃棄物と含塩水(例えば、海水等)とを加える工程と、前記攪拌手段を駆動させ収容室内の混合物を攪拌するとともに、該収容室内の水の沸点が50℃以上、70℃以下となるように前記減圧手段を駆動させる工程と、を有する。
【0021】上記方法においては、前記収容室内の醗酵温度が60℃以上、80℃以下となるように前記加熱手段を駆動させることを特徴とする。
【0022】上記の微生物を得る方法においては、前記微生物は、有機廃棄物の処理に適した複数の微生物の共生体として得られることが好ましい。
【0023】本発明の有機肥料の製造方法は、有機廃棄物と、上記の微生物とを混合する工程を有することを特徴とする。本方法によれば、水分を含んだ有機廃棄物を効果的に処理することができる。
【0024】また、本発明の有機肥料の製造方法は、有機廃棄物と、微生物とを混合する工程と、これを醗酵させる工程と、これに有機廃棄物を加えた後、醗酵させる工程を少なくとも1回と、を有することを特徴とする。
【0025】また、本発明の有機肥料の製造方法は、有機廃棄物と、微生物とを混合する工程と、これを1〜3時間醗酵させた後、0.5〜1時間乾燥させる工程と、これに有機廃棄物を加えた後、1〜3時間醗酵させ、次いで0.5〜1時間乾燥させる工程と、さらに、これに有機廃棄物を加えた後、1〜3時間醗酵させ、次いで0.5〜1時間乾燥させる工程と、を有することを特徴とする。特に、それぞれ醗酵時間を1.5時間とし乾燥時間を0.5時間とすることが特に好ましい。
【0026】本発明の有機肥料は、上記の方法により製造される。
【0027】本発明の有機肥料は、農薬により処理された有機廃棄物に施用され、該有機廃棄物に含まれる残留農薬を分解することを特徴とする。
【0028】また、本発明の有機肥料は、被生育物を生育させる土壌に施用され、該生育物に含まれる硝酸の量を低減させることを特徴とする。
【0029】また、本発明の有機肥料は、被生育物を生育させる土壌に施用され、該生育物に含まれるシュウ酸の量を低減させることを特徴とする。
【0030】
【発明の実施の形態】以下に、本発明に係る微生物の好ましい作出例、及び得られた微生物を用いた有機肥料の製造方法の好ましい例について説明する。
【0031】(微生物の作出)本発明に係る微生物の作出は、基本原菌を得る工程と、この基本原菌を有機廃棄物の処理に適した微生物(ぼかし)に変化させる工程とを経て行われる。
【0032】先ず、基本原菌を得る工程について説明する。この工程では、収容室に、竹藪等の腐葉土中に存在する土着菌と、その培養に適した有機培養基材とを混合したものを入れ、減圧・加熱条件下にて土着菌を培養する。減圧条件は、水の沸点が50℃以上、70℃以下になるような範囲が好ましい。具体的には、収容室内の圧力を4.0×10Pa以上、5.3×10Pa以下とすることが好ましい。加熱条件は、混合物の醗酵温度が60℃以上、80℃以下となるようにすることが好ましい。培養時間は、約1.5時間以上、4時間以下が好ましい。
【0033】具体的には、収容室に、腐葉土と、米糠とを入れ、さらに所定の培養液(有機培養基材)を加える。このような培養液としては、草花の成長点を黒砂糖に漬けて採ったエキス:天然緑汁)がある。草花としては、キリン草やブタ草等の生育力が強く、厳しい環境で生育しているものが好ましい。厳しい環境とは、海岸の近く、温度が他より高いあるいは低い等気候状態が他の領域よりも厳しい部分をいう。
【0034】次に、収容室内の水の沸点が60℃となるように真空度を調整した状態を約1.5〜3時間維持し、菌を培養(発酵)させる。次いで、収容室内の培養物の一部(0.1〜10重量%)を収容室に残し、上記同様の培養液を加える。これを数日間繰り返し行って、基本原菌を得る。
【0035】次に、基本原菌を有機廃棄物の処理に適した微生物(ぼかし)に変化させる工程を行う。本工程では、収容室内の得られた培養物に、米糠と、有機廃棄物と、30〜1重量%の海水とを加える。この有機廃棄物としては、魚介類、青果物、肉類、残飯、牛等の家畜糞、稲藁、落ち葉等を用いる。有機廃棄物として牛糞に残飯を加える等複数の原料を混ぜたものを用いてもよい。
【0036】そして、上記同様の減圧・温度条件下に約1.5〜3時間維持して、培養/発酵を継続する。その後、収容室内の培養物の一部(30〜0.1重量%)を収容室に残して、さらに米糠と有機廃棄物を加えて同様な条件の培養を行う。これを数日間繰り返す。
【0037】この結果得られるのが、有機廃棄物の分解/発酵処理に適した微生物(ぼかし)である。得られた微生物は、有機廃棄物の分解・醗酵等の処理に適した複数の菌の組合せである。収容室に海水を加えて培養するため、収容室内での菌の継代培養の途中で塩に対して抵抗性を有する菌が生き残る。このため、得られる微生物は塩に耐性を有する。
【0038】(微生物の製造装置)図19は、微生物の製造装置を示す図であり、本製造装置は、円筒状のドラムからなる収容室3を備えた本体1と、収容室3を加熱するためのボイラ2と、収容室3内の気圧を減圧させるための真空ポンプ4と、本体1から排出される水蒸気を凝縮させるための凝縮部6と、該凝縮部6により発生した水分(液体)を循環処理させるための循環部7とから構成されている。凝縮部6は、上下方向の複数のパイプからなる水蒸気経路13と、この水蒸気経路13と熱交換が可能な冷却水経路14とを備えている。水蒸気経路13は、案内部12を介して収容室3と連結されている。循環部7は、内部を通過する液体を冷却するためのクーリングタワー16と、脱臭装置18とを備える。脱臭装置18は、オゾン発生機19と、混合機21とから構成される。
【0039】培養過程においては、収容室3内に水蒸気が発生する。この発生した水蒸気を真空ポンプ4を駆動させることによって、案内部12を介して凝縮部6に導入し、凝縮部6内の水蒸気経路13を通過させながら冷却水経路14内を通過する冷却水と熱交換させることで、この水蒸気を液化させる。液化された水は、クーリングタワー16へ導かれた後、冷却水の一部として凝縮部6と循環部7との間で循環される。クーリングタワー16から凝縮部6に供給された冷却水は、水蒸気との熱交換により加温された後、混合機21を介してクーリングタワー16へ戻される。そして、クーリングタワー16内において液体は冷却される。クーリングタワー16からは冷却水の一部が蒸発して放出される。冷却水の循環経路内には冷却水の悪臭を取り除く脱臭装置18が設けられており、オゾン発生機19からオゾンを供給してオゾン水化して脱臭する。
【0040】このように、発生する凝縮水を冷却水としてフィードバックして使用することで、凝縮水を液体のまま外部に排出することがなく、クリーンなシステムとすることができる。
【0041】(実施例)
〔微生物の作出〕図19に示す製造装置を用いて、微生物を作出した。
【0042】収容室3に、鹿児島県大島郡の竹藪から採取した腐葉土100kgと、米糠500kgと、同地方にあるキリン草50%と黒砂糖50%を混合し冷暗所に1週間保存して得られたエキスからなる培養液1kgとを入れ、密閉状態にて、収容室3内の周壁側及び攪拌部9をボイラ2により約120〜140℃のスチームで加熱し、収容室内の醗酵温度が60℃、圧力が4×10Paとなるようにして、攪拌しながら1.5時間培養した。
【0043】次に、収容室3内の水の沸点が60℃となるように温度・圧力条件を調整して攪拌しながら1.5時間維持し、菌を培養した。次いで、収容室内の培養物の一部(10重量%)を収容室3に残し、これに前記培養液を1kg加え、前記同様の温度・圧力条件下にて攪拌しながら1.5時間培養する工程を4回繰り返し行った。
【0044】次に、収容室3内の得られた培養物に、米糠500kgと、同地方で飼育されている家畜牛の牛糞100kgと、同地方にある海水180kgとを添加した。これを、上記同様の温度・圧力条件下にて攪拌しながら1.5時間維持し、培養を継続した。次いで、収容室内の培養物の一部(10重量%)を収容室3に残し、これに前記培養液を1kg加え、前記同様の温度圧力条件下にて攪拌しながら1.5時間培養する工程を4回繰り返し行った。
【0045】本実施例においては、微生物を培養する際に、収容室内の水の沸点が60℃となるように減圧する。培養物が醗酵する際には約70℃となるので、培養物内に含まれる水分が常に水蒸気化し、収容室内の湿度は飽和状態となる。水分が水蒸気化するとその容積が数倍から数十倍にまで拡大する。これに伴い、培養物に含まれている空気も水蒸気の分圧効果により数倍から数十倍に拡大する。このように、培養物内に含まれている溶存空気の容積を拡大させることにより、これを有効に利用して、微生物(好気性微生物又は通性嫌気性微生物)に効率良く空気を供給することができる。溶存空気を利用するために、酸素(空気)を積極的に導入する必要もなく、非常に短時間で培養を行うことができる。効率良く空気を供給できるので通性嫌気性微生物だけでなく好気性微生物であっても十分に培養を進行させることができる。
【0046】さらに、水蒸気や溶存空気は培養物の表面だけでなく、培養物の内部においても拡大する。微生物は培養物の内部の無数の空間を捕食しながら移動するので、極めて効率的に培養を進行させることができる。このように、培養物の内部に生育環境を形成することができるので、収容室内の水分の影響をほとんど受けない。したがって、従来のように収容室内の水分量を調整するためにおがこ等を大量に添加する必要もなく、極めて効率的かつ経済的である。
【0047】上記の実験の結果、得られた菌は、放線菌に属するものであった。
【0048】得られた菌を、前記の菌学的性質及び分類方法に従って分析したところ、ピチア ブルトニ(Pichia burtonii)(FERM BP−7504)(Shimose1)と、ピチア ファリノサ(Pichia farinosa)(FERM BP−7505)(Shimose2)と、及びスタフィロコッカス(Staphylococcus)(FERM BP−7506)(Shimose3)とが共生して構成される微生物(FERM BP−7728)(Shimose)であることが判った。
【0049】Shimose1の培地は、標準寒天培地(日本製薬)である。培地の組成は、精製水1000mlと、肉エキス5.0gと、ペプトン10.0gと、塩化ナトリウム5.0gと、寒天15.0gとからなる。培養温度は30℃で培養時間は3日間である。培地のpHは7.0である。培地の殺菌条件は121℃で15分である。Shimose1は、凍結乾燥法(5℃)で保存できる。
【0050】Shimose2の培地は、YM寒天培地(DIFCO)である。培地の組成は、精製水1000mlと、肉エキス3.0gと、麦芽エキス3.0gと、ペプトン5.0gと、ブドウ糖10.0gと、寒天20.0gとからなる。培養温度は28℃で培養期間は3日間である。培地のpHは6.2である。培地の殺菌条件は121℃で15分である。Shimose2は、凍結乾燥法(5℃)で保存できる。
【0051】Shimose3の培地は、標準寒天培地(日本製薬)である。培地の組成は、精製水1000mlと、肉エキス5.0gと、ペプトン10.0gと、塩化ナトリウム5.0gと、寒天15.0gとからなる。培養温度は30℃で培養時間は3日間である。培地のpHは7.0である。培地の殺菌条件は121℃で15分である。Shimose1は、凍結乾燥法(5℃)で保存できる。
【0052】Shimose(Shimose1、Shimose2、Shimose3の共生微生物)は、YM寒天倍地(DIFCO)上で生育するが、コロニー形態の相違によりそれぞれを区別することができる。コロニー形態を観察したところ、Shimose1は平坦で大きく、Shimose2はやや突状をなしており、Shimose3は約5mm以下の小さなコロニーであった。
【0053】〔塩への耐性試験〕得られた共生微生物におけるShimose1、Shimose2、Shimose3のそれぞれについて、以下の方法により塩への耐性を調べた。
【0054】まず、培地にNaClを添加し、塩濃度が3重量%、5重量%、10重量%、15重量%、20重量%、25重量%、30重量%の各培地の系列を作製した。Shimose1及びShimose2はYM寒天培地(DIFCO)で、Shimose3は標準寒天培地(日本製薬)でそれぞれ28℃の温度条件で培養した。培地上のコロニーの生育を確認した後に、それぞれの生育状況を観察した。各検体の生育結果を表1に示す。また、巨視的観察像を図1〜17に示す。
【0055】
【表1】


表1及び図1〜17に示すように、Shimose1、Shimose2、Shimose3においては、培地における塩濃度が15重量%であってもそれぞれコロニーの生育が認められ、塩濃度が15重量%まで耐性を有することが判った。すなわち、Shimose1、Shimose2、Shimose3は、いずれも浸透圧が数百から1000mOsm/Lという極めて高い環境下においても生育可能であることが判った。
【0056】また、Shimose3においては、培地における塩濃度が30重量%であっても生育が認められた。これは、極めて高い塩濃度のために培地中でNaClがコロイド状になり塩濃度が不均一になり、塩濃度の低い部分にShimose3が生育したものと考えられる。
【0057】さらに、Shimose1、Shimose2、Shimose3が共生した共生微生物(Shimose)の塩への耐性を調べた。共生微生物にNaClを15重量%添加して観察した状態の巨視的観察像を図18に示す。図18に示すように、NaClが系内に15重量%存在している環境下においても、共生微生物を構成するShimose1、Shimose2、Shimose3の全てが動いていることが確認された。なお、図18において、矢印はShimose3を指している。これより、共生微生物が、浸透圧が数百から1000mOsm/Lという極めて高い環境下においても生育可能であることが判った。
【0058】〔微生物の菌学的性質〕FERM BP−7504(Shimose1)の菌学的性質を以下に示す。
【0059】
【表2】


以上の菌学的性質を総括すると、Shimose1は子嚢菌系酵母に属し、Pichia burtonii[アナモルフ:Candida variabilis (Linener)Berkhout]であると判定した。
【0060】なお、菌学的性質及び分類方法は、Barnett, J. A., Payne, R. W., and Yarrow, D. 2000. Yeasts: Characteristics and identification, 3rd edn. Cambridge University Press, Cambridge, UK, 1139pp. Kurtzman, C. P. and Fell, J. W. 1998. The Yeasts, a taxonomic study, 4th edn. Elsevier, Amsterdam,Netherlands, 1055 pp. に準じて行った(以下同様)。
【0061】FERM BP−7505(Shimose2)の菌学的性質を以下に示す。
【0062】
【表3】


以上の菌学的性質を総括すると、Shimose2は子嚢菌系酵母に属し、Pichia farinosa[アナモルフ:Candida cacaoi H. R. Buckley & van Uden]であると判定した。
【0063】FERM BP−7506(Shimose3)の菌学的性質を以下に示す。
【0064】
【表4】


以上の菌学的性質を総括すると、Shimose3は非運動性グラム陽性球菌でカタラーゼ陽性、オキシダーゼ陰性、ブドウ糖を発酵的に分解し、フラゾリドン感受性を示すことからStaphylococcusであると判定した。
【0065】〔微生物の塩基配列〕Shimose1、Shimose2のそれぞれについて、以下の方法で塩基配列を得た。
【0066】検体を、YM寒天培地(DIFCO)プレートで培養し、集菌、ISOPLANT2(ニッポンジーン)にてDNA分離を行った。Ready-To-Go PCR Beads(Amersham-Pharmacia Biotech)とプライマーNL1,NL4(O’ Donnell, 1993. Fusarium and its near relatives. In Reynolds, D.R. and Taylor, J. W.(Eds.) The Fungal Holomorph: Mitotic, Meiotic and Pleomorphic Speciationin Fungal Systematics, CAB International, Wallingford, pp. 225-233.)を用いてPCR法により28S rDNA D1/D2領域DNA断片の増幅を行った。このDNA断片を精製後、プライマーNL1、NL2、NL3、NL4(O’ Donnell, 1993)と、ABI Prism BigDye Terminator Ready Reaction Kit(Applied Biosystems)とを用いてサイクルシークエンシング反応を行った。得られた配列はAutoAssembler(Applied Biosystems)にて結合し、目的塩基配列を得た。DNAデータバンク(GenBank)登録DNA配列から相同スコアが高いものを検索するため、BLAST(Altschul, S. F., Madden, T. F., Schaffer,A. A., Zhang, J., Zhang Z., Miller,W., Lipman, D. J. (1997) Gapped BLASTand PSI-BLAST: a new generation of protein database search programs. Nucleic Acids Res. 25:3389-3402.)を用いて検索を行った。
【0067】Shimose1の塩基配列を配列番号1に示す。ホモロジー検索の結果、524ポジションの全て(100%)がPichia burtonii U45712と一致したことから、Shimose1の帰属分類群はPichia burtoniiであると同定された。
【0068】Shimose2の塩基配列を配列番号2に示す。ホモロジー検索の結果、572ポジションのうち570ポジション(99%)がPichia farinosa U45739と一致したことから、Shimose2の帰属分類群はPichia farinosaであると同定された。なお、Shimose2とU45739とは2ポジションの相違が認められるが、本結果と上記の菌学的性質とを考慮するとShimose2はPichia farinosaと同定される。
【0069】次に、Shimose3について、以下の方法で塩基配列を得た。
【0070】分離株Shimose3を普通寒天培地(日本製薬)に植菌し、30℃での培養物を供試菌体とした。DNA抽出、PCR、PCR産物の精製、サイクルシークエンスはMicroSeqTM 500 16S rDNA Bacterial Sequencing Kit(Applied Biosystems社)を用い、操作はApplied Biosystems社のプロトコールに従った。DNA解析はABI PRISMTM 377 DNA Sequencer (Applied Biosystems社)を用い、MicroSeqTMのデータベースにより照合検索を行った。分離株Shimose3の16S rRNA遺伝子について、塩基配列を解析した結果を配列番号3に示す。この結果をMicroSeqのデータベースと照合したところ、相同率100%でStaphylococcus warneriと一致したことから、Shimose3の帰属分類群はStaphylococcus warneriと同定された。
【0071】〔有機肥料の製造例1〕図19に示す製造装置を用いて、有機肥料を製造した。なお、図19の装置は、微生物の製造装置としても、有機肥料の製造装置としても、いずれにおいても使用可能なものである。
【0072】まず、収容室3に、鹿児島県大島郡で飼育されている家畜牛の牛糞からなる有機廃棄物を投入し、密閉状態にて、収容室3の周壁側及び攪拌部9をボイラ2により約115〜120℃のスチームで加熱し、収容室内の醗酵温度が60〜80℃となるようにした。これにより、有機廃棄物に含まれる腐敗菌や病原菌がおおむね死滅した。
【0073】次に、真空ポンプ4を作動させ、収容室3内の気圧を減圧させ約300〜400mmHg(4.0×10Pa〜5.3×10Pa)とし、収容室3内の水の沸点を50〜70℃にした。これにより、有機廃棄物に含まれている水分が水蒸気となり、これが真空ポンプ4のバキューム作用によりエアとともに凝縮部6へ導かれた。また、この減圧により有機廃棄物の収縮が開始された。有機廃棄物に含まれる水分率が65%程度となつたところで、上記減圧を解除し、収容室3内の気圧を1気圧(約760mmHg)に戻した。これにより、収縮されていた有機廃棄物が膨張し、有機廃棄物内に溶存酸素が十分に取り込まれた。
【0074】次に、有機廃棄物に対して重量比が有機廃棄物:共生微生物=99:1となるように、前記得られた共生微生物を収容室3に添加した。そして、収容室3を密閉して真空ポンプ4を駆動し、収容室3内の気圧を減圧せしめ、約300〜400mmHg(4.0×10Pa〜5.3×10Pa)とすることで、収容室3内の水の沸点を50〜70℃とした。この状態を2時間維持しながら、攪拌部9を回転させて攪拌した。減圧することにより、有機廃棄物に含まれる水分が効率良く水蒸気となって凝縮部6へ導かれた。また、減圧解除し攪拌することにより、有機廃棄物内により多くの溶存酸素を供給することができた。
【0075】水蒸気経路13と冷却水経路14とを熱交換することにより、収容室3から案内部12を介して水蒸気経路13に導かれた水蒸気は、液化して水分となった。この水分は、真空ポンプ4によって、混合機21を経由してクーリングタワー16内に導かれる。混合機21内に導かれた水分は、オゾン発生機19で発生されたオゾンと反応して、オゾン水化することにより、脱臭された。
【0076】そして、収容室3内の混合物を乾燥させ、有機肥料を得た。このようにして得られた有機肥料を分析したところ、次の成分を有していた。
【0077】
【表5】


表5に示すように、牛糞(おがこ混じり)を有機廃棄物として用いた場合においては、醗酵処理前から醗酵処理後にかけての窒素分解率は(52−19)÷52×100=63.5%であった。このように、2時間の処理時間によって60%以上の窒素分解率を得ることができた。また、C/N値についても、醗酵処理後は醗酵処理前の1.5倍以上になっていた。
【0078】同様に、牛糞(おがこ無し)、澱粉カス、スカムについても同様の醗酵処理、分析試験を行った。この結果についても表5に示した。
【0079】表5から分かるように、本発明に係る微生物を用いることにより、2時間という短い処理時間でありながら、いずれも窒素分解率が40%以上という結果が得られた。従来の醗酵菌では有機廃棄物の処理に1ヶ月以上を要していたが、本発明によれば2時間程度で醗酵処理を完了することができ、短期間で良質な有機肥料を得ることができた。
〔有機肥料の製造例2〕宮古島で飼育されている家畜牛の牛糞2トンと、醗酵促進のための副資材650kgとを、大福農事法人組合設置のNS−500型真空醗酵装置内へ投入した。副資材650kgの内訳は、バカス2m、糖蜜40L、アミノ酸200g、水250L、ぼかし(上記実施例で得られた共生微生物)20kg(米糠1トン、元菌40kg、糖蜜40L、水300Lを混合して、前日に醗酵装置にて前培養したもの)である。そして、真空醗酵を1.5時間行い、次いで真空乾燥を0.5時間行った。この投入、真空醗酵、真空乾燥を1サイクルとして、3サイクルを行い、堆肥を得た。
【0080】次に、NS−500型真空醗酵装置内へ、前記ぼかし(水分41%)100kgと、前記堆肥(水分75%)100kgと、宮古島で飼育されている家畜牛の尿(水分(100%)107kgとの混合物を投入し、3時間処理した。この処理の過程において、混合物の水分含有率(重量%)を測定し、その推移を観察した。この結果を図20に示す。図20に示すように、上記ぼかしを用いて処理することにより、混合物中の水分を1時間当たり約6〜7重量%除去することができた。
【0081】さらに、得られた前記の堆肥をNS−500型真空醗酵装置から取り出し、堆積し、堆肥中の水分含有率(重量%)と堆肥内深さ30cmにおける温度を測定し、その推移を観察した。この結果を図21に示す。図21に示すように、堆肥内温度は堆積して数週間後においても60℃前後の値を示し、堆肥が2次醗酵していることが確認された。また、図21において数週間経過後には堆肥中の水分含有率が低下したにもかかわらず、十分2次醗酵していることが分かった。
【0082】〔有機肥料の製造例3〕奈良県のゴルフ場のシバ(農薬を散布された芝)を刈り取ったものを500kgと、副資材として土着微生物を20kgを、大福農事法人組合設置のNS−500型真空醗酵装置内へ投入した。副資材は上記製造例2と同一のものを用いた。醗酵条件温度60℃にて1.5時間醗酵を行った。水分が少なかったため、全重量に対して約30%の水を加えた。その後、30分間乾燥させた。
【0083】上記のようにして醗酵処理したシバをハンマー式粉砕機にて粉砕して得られた肥料について、農林水産省農業環境技術研究所「肥料分析法」に従い分析するとともに、残留農薬の量を分析した。これらの結果を表6に示す。
【0084】
【表6】


表6に示すように、得られた肥料は優れた特性を有していた。また、残留農薬はほとんど検出されず(全ての項目において0.02ppm以下)、残留農薬が分解されたことが判った。
【0085】〔栽培試験〕上記の有機肥料の製造例2で得られた堆肥を用いて、平成12年に北海道紋別市の木原牧場においてホウレン草の栽培試験を行った。具体的には、堆肥(ウロ主体)10kg、硫安2kg、ブラックシリカ0.6kgを混合したものを肥料として用いた。栽培条件は、品種がデンマーク産オーライ、播種日が2001年9月29日、面積37.5mのハウス内で行い、肥料を1m当たり336g(堆肥265g、硫安55g、ブラックシリカ16g)とした。
【0086】栽培の結果、本肥料を散布したところ、通常収穫まで1ヶ月半かかるところ、約1ヶ月で収穫することができ、生育期間が短縮された。また、生育されたホウレン草は、従来のものに比べて葉が厚く、味もアクが少なく甘味を有していた。
【0087】収穫されたホウレン草について、ビタミンC含有量、シュウ酸含有量、硝酸含有量をそれぞれ測定した。まず、メタリン酸抽出後にHPLC法を施すことにより、ビタミンCの含有量を分析したところ、平均で53mg/100gであり、基準値(30mg/100g)を上回っており良好であった。また、アクの成分であるシュウ酸の含有量に関して、熱水にて2回抽出した後HPLC法を施すことにより分析したところ、平均で480mg/100gであり、非常に少量であった。さらに、簡易分析器RQフレックスを用いて硝酸の含有量を分析したところ、平均で101mg/100gであり、基準値(300mg/100g)を大きく下回っており良好であった。
【0088】肥料の施用量を変化させた場合の、硝酸含有量とシュウ酸含有量を測定した。この結果を図22に示す。図22に示すように、肥料の施用量を増加させると硝酸含有量及びシュウ酸含有量がより低減された。また、肥料施用量が2t/10aと比較的少量であっても硝酸含有量及びシュウ酸含有量を効果的に低減させ得ることが判った。
【0089】比較例として、各産地において通常の肥料を用いてホウレン草を栽培した場合の硝酸含有量及びシュウ酸含有量についても分析した。この結果を図23に示す。図23に示すように、上記の本発明に係る肥料を用いた木原産のものは、硝酸含有量及びシュウ産含有量のいずれも顕著に低減され、良好であることが判る。特に、硝酸態窒素を多量に摂取すると体内で発ガン性物質に変化したり中毒症状を引き起こすおそれがあるため、本発明に係る肥料は極めて有用なものである。
【0090】
【発明の効果】以上のように構成される本発明に係る微生物は、塩の耐性に極めて優れており、高濃度の塩分を含んだ有機廃棄物の処理や土壌改良に有用である。
【0091】また、該微生物又はその処理物を含む微生物含有組成物は、高濃度の塩分を含んだ土壌の改良剤や、有機廃棄物の処理剤として有用である。
【0092】さらに、本発明の有機肥料の製造方法によれば、短期間で良質な有機肥料を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 Shimose1の生育結果を示す巨視的観察像である。
【図2】 Shimose1の生育結果を示す巨視的観察像である。
【図3】 Shimose1の生育結果を示す巨視的観察像である。
【図4】 Shimose1の生育結果を示す巨視的観察像である。
【図5】 Shimose1の生育結果を示す巨視的観察像である。
【図6】 Shimose2の生育結果を示す巨視的観察像である。
【図7】 Shimose2の生育結果を示す巨視的観察像である。
【図8】 Shimose2の生育結果を示す巨視的観察像である。
【図9】 Shimose2の生育結果を示す巨視的観察像である。
【図10】 Shimose2の生育結果を示す巨視的観察像である。
【図11】 Shimose3の生育結果を示す巨視的観察像である。
【図12】 Shimose3の生育結果を示す巨視的観察像である。
【図13】 Shimose3の生育結果を示す巨視的観察像である。
【図14】 Shimose3の生育結果を示す巨視的観察像である。
【図15】 Shimose3の生育結果を示す巨視的観察像である。
【図16】 Shimose3の生育結果を示す巨視的観察像である。
【図17】 Shimose3の生育結果を示す巨視的観察像である。
【図18】 共生微生物の生育結果を示す巨視的観察像である。
【図19】 有機肥料製造装置を示す図である。
【図20】 混合物の水分含有率の推移を示す図である。
【図21】 堆肥の水分含有率及び温度変化を示す図である。
【図22】 肥料の施用量を変化させた場合のホウレン草における硝酸含有量とシュウ酸含有量の測定結果を示す図である。
【図23】 本発明に係る肥料及び従来の肥料を施用した際の硝酸含有量及びシュウ酸含有量を測定した結果を示す図である。
【符号の説明】
2 ボイラ
3 収容室
4 真空ポンプ
6 凝縮部
9 撹拌部
12 案内部
13 水蒸気流通経路
14 冷却水流通経路
16 クーリングタワー
【配列表】配列番号1
配列の長さ:524
配列の型:DNA
生物名:ピチア ブルトニ(Pichia burtonii)
配列:
AAACCAACAG GGATTGCCTC AGTAACGGCG AGTGAAGCGG 40
CAAAAGCTCA AATTTGGAAT CTCAGTCTTT CAGGCTGCGA 80
GTTGTAATTT GAAGACGTAT TTTGAAGTAA GCACATGTCG 120
AAGTTCCTTG GAACAGGACG TCACAGAGGG TGAGAATCCC 160
GTGCGATGTG TTCACTGCTT CATGTAAAAT GCAGTCGAAG 200
AGTCGAGTTG TTTGGGAATG CAGCTCTAAG TGGGTGGTAA 240
ATTCCATCTA AAGCTAAATA TTGGCGAGAG ACCGATAGCG 280
AACAAGTACA GTGATGGAAA GATGAAAAGA ACTTTGAAAA 320
GAGAGTGAAA AAGTACGTGA AATTGTTGAA AGGGAAGGGC 360
TTGAGATCAG ACTCGGGCAA CCGGGCCAGC ATGGGGTGGG 400
GGAGTAGGAT AACCCTGCAG GAAAGTGGCT TCGCTTCGGT 440
GGAGTGTTAT AGCCTGTAGC TATACTGCTA CCCTCGCCCG 480
AGGACTGCGG AAACAAGGAT GCTGGCATAA TGATCTTAAG 520
CCGC 524
配列番号2
配列の長さ:572
配列の型:DNA
生物名:ピチア ファリノサ(Pichia farinosa)
配列:
AAACCAACAG GGATTGCCTT AGTAACGGCG AGTGAAGCGG 40
CAAAAGCTCA AATTTGAAAT CTGGCGTCTT CGGCGTCCGA 80
GTTGTAATTT GAAGAAGGCT ACTTTGGGGC TGGAGTTTGT 120
CTAAGTTCCT TGGAACAGGA CGTCACAGAG GGTGAGAATC 160
CCGTGAGATA AGCTTCCCAG TTCTATGTAA AGTGCTTTCG 200
AAGAGTCGAG TTGTTTGGGA ATGCAGCTCT AAGTGGGTGG 240
TAAATTCCAT CTAAAGCTAA ATATTGGCGA GAGACCGATA 280
GCGAACAAGT ACAGTGATGG AAAGATGAAA AGAACTTTGA 320
AAAGAGAGTG AAAAAGTACG TGAAATTGTT GAAAGGGAAG 360
GGCTTGAGAT CAGACATGGT ATTTTGTAAA CCTTCTCTCT 400
CGTGGAGGGG GCCCCTTGCA GCTTACTGGG CCAGCATCAG 440
TTTGGGCGGT AGGATAATGA CTAAGGAATG TGACTTGCCT 480
TCGGGGAAGT GTTATAGCCT TGGTTGATAC TGCCAGCCTA 520
GACTGAGGAC CGCGTCTTTG ACAAGGATGT TGGCATAATG 560
ATCTTAAGCC AC 572
配列番号3
配列の長さ:535
配列の型:RNA
生物名:スタフィロコッカス(Staphylococcus)
配列:
TGGAGAGTTT GATCCTGGCT CAGGATGAAC GCTGGCGGCG 40
TGCCTAATAC ATGCAAGTCG AGCGAACAGA TAAGGAGCTT 80
GCTCCTTTGA CGTTAGCGGC GGACGGGTGA GTAACACGTG 120
GATAACCTAC CTATAAGACT GGGATAACTT CGGGAAACCG 160
GAGCTAATAC CGGATAACAT ATTGAACCGC ATGGTTCAAT 200
AGTGAAAGGC GGCTTTGCTG TCACTTATAG ATGGATCCGC 240
GCCGTATTAG CTAGTTGGTA AGGTAACGGC TTACCAAGGC 280
AACGATACGT AGCCGACCTG AGAGGGTGAT CGGCCACACT 320
GGAACTGAGA CACGGTCCAG ACTCCTACGG GAGGCAGCAG 360
TAGGGAATCT TCCGCAATGG GCGAAAGCCT GACGGAGCAA 400
CGCCGCGTGA GTGATGAAGG TCTTCGGATC GTAAAACTCT 440
GTTATCAGGG AAGAACAAAT GTGTAAGTAA CTGTGCACAT 480
CTTGACGGTA CCTGATCAGA AAGCCACGGC TAACTACGTG 520
CCAGCAGCCG CGGTA 535

【特許請求の範囲】
【請求項1】 塩に耐性を有するピチア ブルトニ(Pichia burtonii)に属する微生物。
【請求項2】 FERM BP−7504である請求項1記載の微生物。
【請求項3】 塩に耐性を有するピチア ファリノサ(Pichia farinosa)に属する微生物。
【請求項4】 FERM BP−7505である請求項3記載の微生物。
【請求項5】 塩に耐性を有するスタフィロコッカス(Staphylococcus)に属する微生物。
【請求項6】 FERM BP−7506である請求項5記載の微生物。
【請求項7】 ピチア ブルトニ(Pichia burtonii)と、ピチア ファリノサ(Pichia farinosa)と、及びスタフィロコッカス(Staphylococcus)とが共生して構成される微生物。
【請求項8】 ピチア ブルトニ(Pichia burtonii)(FERM BP−7504)と、ピチア ファリノサ(Pichia farinosa)(FERM BP−7505)と、及びスタフィロコッカス(Staphylococcus)(FERM BP−7506)とが共生して構成される微生物。
【請求項9】 塩に耐性を有する請求項7又は8に記載の微生物。
【請求項10】 塩濃度が5重量%以上の培地において生育可能である請求項1ないし9のいずれか一項に記載の微生物。
【請求項11】 塩濃度が10重量%以上の培地において生育可能である請求項1ないし9のいずれか一項に記載の微生物。
【請求項12】 請求項1ないし11のいずれか一項に記載の微生物又はその処理物を含む微生物含有組成物。
【請求項13】 土壌改良剤として用いられる請求項12記載の微生物含有組成物。
【請求項14】 被培養物及びその培養を補助する物質を収容する収容室と、該収容室内を攪拌する攪拌手段と、該収容室を加熱する加熱手段と、該収容室内を減圧させる減圧手段と、を備えた、有機廃棄物の処理に適した微生物の製造装置。
【請求項15】 収容室内に、被培養物と、その培養を補助する物質とを収容し、これらの混合物を培養する工程と、収容室内に有機廃棄物と含塩水とをさらに加え、これらの混合物を培養する工程と、を有する有機廃棄物の処理に適した微生物を得る方法。
【請求項16】 請求項14記載の製造装置を用いて有機廃棄物の処理に適した微生物を得る方法であって、前記収容室内に、被培養物と、炭水化物系有機物と、培養液とを収容する工程と、前記攪拌手段を駆動させ収容室内の混合物を攪拌するとともに、該収容室内の水の沸点が50℃以上、70℃以下となるように前記減圧手段を駆動させる工程と、さらに収容室内に有機廃棄物と含塩水とを加える工程と、前記攪拌手段を駆動させ収容室内の混合物を攪拌するとともに、該収容室内の水の沸点が50℃以上、70℃以下となるように前記減圧手段を駆動させる工程と、を有する方法。
【請求項17】 前記収容室内の醗酵温度が60℃以上、80℃以下となるように前記加熱手段を駆動させることを特徴とする請求項16記載の方法。
【請求項18】 微生物は、有機廃棄物の処理に適した複数の微生物の共生体として得られることを特徴とする請求項15ないし17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】 有機廃棄物と、請求項1ないし11のいずれか一項に記載の微生物とを混合する工程を有する有機肥料の製造方法。
【請求項20】 有機廃棄物と、微生物とを混合する工程と、これを醗酵させる工程と、これに有機廃棄物を加えた後、醗酵させる工程を少なくとも1回と、を有する有機肥料の製造方法。
【請求項21】 有機廃棄物と、微生物とを混合する工程と、これを1〜3時間醗酵させた後、0.5〜1時間乾燥させる工程と、これに有機廃棄物を加えた後、1〜3時間醗酵させ、次いで0.5〜1時間乾燥させる工程と、さらに、これに有機廃棄物を加えた後、1〜3時間醗酵させ、次いで0.5〜1時間乾燥させる工程と、を有する有機肥料の製造方法。
【請求項22】 請求項19ないし21のいずれか一項に記載の方法により製造された有機肥料。
【請求項23】 前記有機廃棄物は、農薬により処理された有機廃棄物であり、該有機廃棄物に含まれる残留農薬を分解する請求項22記載の有機肥料。
【請求項24】 被生育物を生育させる土壌に施用され、該生育物に含まれる硝酸の量を低減させる請求項22記載の有機肥料。
【請求項25】 被生育物を生育させる土壌に施用され、該生育物に含まれるシュウ酸の量を低減させる請求項22記載の有機肥料。

【図1】
image rotate


【図2】
image rotate


【図3】
image rotate


【図4】
image rotate


【図5】
image rotate


【図6】
image rotate


【図7】
image rotate


【図8】
image rotate


【図9】
image rotate


【図10】
image rotate


【図11】
image rotate


【図12】
image rotate


【図13】
image rotate


【図14】
image rotate


【図15】
image rotate


【図16】
image rotate


【図17】
image rotate


【図18】
image rotate


【図19】
image rotate


【図20】
image rotate


【図21】
image rotate


【図22】
image rotate


【図23】
image rotate


【公開番号】特開2003−88361(P2003−88361A)
【公開日】平成15年3月25日(2003.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2001−280749(P2001−280749)
【出願日】平成13年9月14日(2001.9.14)
【出願人】(500120543)
【Fターム(参考)】