説明

微粒子を製造する方法

(高剪断)微小流動化装置を用いて(より大きな)粒子のサイズを小さくすることを含む、微粒子、特にキチン微粒子(CMP)を製造する方法が開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微粒子、特にキチン微粒子(CMP)を製造する方法に関する。本発明はまた、医薬組成物中に微粒子を処方する方法及び前記微粒子を含むキットを作製する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
序文
Shibataらの研究(1〜4)により、1から10μmの貪食可能なキチン粒子の経口送達の結果、マウス脾臓細胞培養中のTh1サイトカインの上昇がもたらされることが示された。この上昇は可溶性のキチンによってはもたらされなかったので、この効果は微粒子に特有であった。これは、キチンの主成分であるN−アセチル−D−グルコサミンで覆った、1μmのポリスチレンミクロスフェアにおいても再現することができた。キチンの経口投与が、ブタクサアレルギーのネズミモデルにおいて血清IgE及び肺好酸球増加症を下方制御することも実証されている(1)。
【0003】
Shibataらはまた、アレルギー性気道炎症のマウスモデルを開発し、キチン調製物をそのマウスに経口投与した(Shibata 2000)。ブタクサ特異的IgEレベルは、免疫化の前及び最中に、ブタクサ感作マウスにキチンを毎日経口投与した後、有意に低下した。
【0004】
キチンをマウスに予防的に投与し、その後マウスにブタクサを投与した場合、IL−4、IL−5及びIL−10の産生は有意に低下し、低いが有意なレベルのIFN−γが検出された。
【0005】
また、キチンは、BALB/cマウスと比較して、細胞性免疫/Th1応答について高いレスポンダーであるが、アレルギー応答について低いレスポンダーであるC57BL6マウスに投与されると、予防的な効果を有する。ブタクサ感作マウスをブタクサとキチンで同時に処置した場合、産生されたIL−4、IL−5及びIL−10のレベルは、ブタクサ単独で刺激されたマウスと比較して有意に低下した。
【0006】
本発明者らの先願である、国際公開公報第03/015744号において、本発明者らは、鼻腔内投与されたCMPの生理食塩水中懸濁液が、有益な免疫調節特性を有することを実証したマウスでの実験を記載した。そのCMPの生理食塩水中懸濁液は、アレルギー性疾患の治療に適用することができ、さらに気道のウイルス及び細菌感染に対して自然免疫の機構の上方制御による保護作用を促進することができる。この有益な免疫調節特性は、ナチュラルキラー(NK)細胞活性の上方制御及び/又はインターフェロン−γ(IFN−γ)の分泌から利益を受け得る状態の治療、例えば癌の治療にも適用することができる。
【0007】
本発明者らの先願である、米国特許仮出願第60/815074号において、本発明者らはワクチン組成物中のアジュバントとしてのCMPの使用を記載した。特に、CMP組成物は、CMP組成物がさらなるアジュバント、例えばコレラ毒素Bサブユニット(CTB)と組み合わされた場合に、感染病原体由来の抗原に対して起こる保護作用を相乗的に促進することが可能であることが見出された。
【0008】
これまでの証拠は、至適に効果的なCMPのためには、粒子は微粒子化され、1から20μmの範囲内に入るべきであるとの考えを支持する。CMPの主な作用様式は、マクロファージ及びその他の食細胞による食作用に依存し、その結果として、CMPは貪食可能なサイズである必要があり、それは一般に、1から20μmの範囲内であると考えられる。
【0009】
キチンは、エビ加工産業の副生成物であるエビ殻廃棄物から製造される。殻は酸とアルカリで処理されて、無機物及びタンパク質の夾雑物が除去される。精製されたキチンのフレークは次に標準的な製粉法により粉砕されておよそ100から200μmの間の粒径の粉末が製造される。これがCMPの製造のための出発物質である。
【0010】
Shibata及びStrongに記載される方法では(3、5)、研究室でキチン粉末を超音波処理により微粒子化する。しかし、この方法は、工業生産に必要なスケールアップに従わない、及び、難溶性の多糖類、例えばキチンの微粒子化のために確立された、適した適正製造基準(GMP)プロトコールがない、という欠点を有する。また、通常の超音波処理の使用は、凝集塊の崩壊のためであり、細胞の剪断及び超音波処理は均一な大きさのCMP粒子を製造しないというさらなる問題もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】国際公開公報第03/015744号
【特許文献2】米国特許仮出願第60/815074号明細書
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Shibataら著、「ジャーナル・オブ・イムノロジー(J. Immunol.)」、164:1314−1321、2000年
【非特許文献2】Shibataら著、「ジャーナル・オブ・イムノロジー(J. Immunol.)」、164:4283−8、1998年
【非特許文献3】Shibataら著、「インフェクション・アンド・イムニティ(Infection and Immunity)」、65(5):1734−1741、1997年
【非特許文献4】Shibataら著、「ジャーナル・オブ・イムノロジー(J. Immunol.)」、159:2462−2467、1997年
【非特許文献5】Strong,P.,H.Clark及びK.Reidら著、「クリニカル・アンド・エクスペリメンタル・アレルギー(Clin Exp Allergy)」、32:1794、2002年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上記の欠点を考慮して、本発明者らは粒径を小さくすることのできるその他の方法、例えば、工業的スケールアップにより適していると思われるエアジェット粉砕(air-jet milling)及び乾燥粉末ボール粉砕(dry powder ball milling)を調査した。エアジェット粉砕は、錠剤へ製剤するための均一な薬剤粉末を製造するための、製薬産業に適した方法である。しかし、本発明者らがCMPの製造用の方法としてエアジェット粉砕を調査すると、3回通過後に、平均粒径はなお100μmより大きいことが見出され、本方法がCMPの製造には全く効果がないことが示された。本発明者らはまた、乾燥粉末ボール粉砕がCMPを製造するために不満足な方法であることを見出した。なぜならば貪食可能なサイズに近づく粒子を製造するために必要な時間が必要以上、すなわちほぼ数日であり、その場合でさえも平均粒度はより望ましい10μmではなく50μm前後であった。その上、必要以上の粉砕時間は、金属製ボールの磨耗から金属の混入を生じやすい。
【0014】
微小流動化装置(マイクロフルイダイザー)は、既に塗料及びインクの製造に用いられている。しかし、本発明者らは、驚くことに微小流動化装置は貪食可能なサイズのCMPの製造にも用いることができ、従って微小流動化装置を用いて製造されたCMPが医薬品としての使用に、かつ医薬組成物中の処方に適当であることを見出した。特に、本発明者らは、微小流動化装置を用いてCMPを製造することの利点の中に、多くの量を処理する能力及び工業生産の必要性のためのスケールアップの容易さ;GMPプロトコールが開発されていること;その他の方法よりも粒径が大いに制御された均質な生成物を製造すること;ならびにその他の方法よりも大きな収量のCMPが得られること、が含まれることを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0015】
従って、本発明は広く微粒子、例えばCMPを、(高剪断)微小流動化装置を用いて、(より大きな)粒子のサイズを小さくすることにより製造する方法に関する。
【0016】
基本的に、本発明における使用に適した微小流動化装置は、高圧(例えば20,000から30,000psi)及び高速度(例えば500ms−1を超過して)で、幾何的に固定されたマイクロチャネルを通じて生成物(例えば懸濁液)を噴射することにより粒径を小さくする。これにより、極めて集中的な相互作用域がもたらされる。生成物がマイクロチャネルを通過する時、マイクロチャネルの壁との接触から生じる生成物流の変形による、剪断力;高速度生成物流がそれ自体に突き当たる際に起こる衝突による、衝撃力;及び、生成物流内の蒸気の空洞の形成及び崩壊によるキャビテーション力を含む、高圧により生じた力が生成物にかかって生成物中の粒子のサイズを小さくする。
【0017】
本発明における使用に適した微小流動化装置の例としては、Microjet Technology社製のMicrojet Laboratory Processor 100型及びMicrofluidics(商標)社製のMicrofluidizer(登録商標)プロセッサが挙げられる。
【0018】
また、本発明者らは、CMPを製造するために微小流動化装置を用いる利点は、任意のその他の難溶性多糖類微粒子の製造にも当てはまることが分かった。特に、微小流動化装置は、貪食可能なサイズであり、及び/又は医学的処置の方法において有用であり、及び/又は医薬組成物中に提供され得る、難溶性の多糖類粒子を製造するために有利に用いられる。
【0019】
例えば、キトサンは、キチンの脱アシル化誘導体であり、難溶性の多糖類である。Danbiosystは、キトサンが特に患者の粘膜を標的化するための薬物送達系として用いられている特許出願を出願した。例えば、キトサンミクロスフェアが10から100μmであり得る薬物送達システムの記載される米国特許第5,690,954号を参照のこと。
【0020】
従って、本発明の第1の態様において、粒子のサイズを小さくすることにより微粒子の集合体(collection)を製造する方法が提供され、前記方法は、
(a)粒子の集合体の懸濁液を作製することと;
(b)懸濁液を微小流動化装置に通して粒子の集合体中の粒子の平均径を所望の平均径まで小さくすることと;
を含み、前記粒子は難溶性の多糖類粒子である。
【0021】
好ましくは、微小流動化装置(マイクロフルイダイザー)は、高剪断微小流動化装置(高剪断マイクロフルイダイザー)、例えば、高圧微小流動化装置(高圧マイクロフルイダイザー)又は高剪断粒子崩壊装置などである。例えば、微小流動化装置は、好ましくは、少なくとも10,000psi、より好ましくは少なくとも15,000psi、さらにより好ましくは少なくとも20,000の圧力で作動することができる。特に、微小流動化装置は、好ましくは、10,000から30,000psi、より好ましくは15,000から30,000psi、さらにより好ましくは20,000から30,000psi、さらに最も好ましくは20,000から23,000psiの範囲内で作動することができる。
【0022】
本方法は、好ましくは、サイズを小さくする粒子がキチン及び/又はキトサン粒子である場合の、キチン及び/又はキトサン微粒子の集合体、例えば、キチン微粒子又はキトサン微粒子調製物を製造するためのものである。所望であれば、段階(a)の粒子の集合体には、キチン粒子とキトサン粒子の混合物を含めてもよい。より好ましくは、本方法は、サイズを小さくする粒子がキチン粒子である場合に、CMPを製造するためのものである。
【0023】
キチンは、N−アセチル−D−グルコサミンのポリマーであり、セルロースに類似の構造を有する。それは天然に豊富にある多糖類であり、カニ、エビ、ロブスター、イカ、又は昆虫の外骨格(exoskeltons)中の角質の物質を含む。それは真菌においても見出される。
【0024】
キチンは天然の材料に由来するため、その組成には変動があり、キチンポリマーに天然に存在する脱アセチル化単位が低レベルであり得ることは、当業者に理解される。しかし、本方法がCMPを製造するためのものである場合、キチン粒子の集合体中の脱アセチル化単位は全単位の20%未満を含むことが好ましく、より好ましくは全単位の15%未満、さらにより好ましくは全単位の10%未満、さらに最も好ましくは全単位の5%未満を含むことが好ましい。
【0025】
その上、本方法は合成CMPを製造するためのものであってよく、その場合、サイズを小さくする難溶性の多糖類粒子は、合成キチン粒子である。合成キチン粒子は、担体粒子、例えば、生体適合性材料、例えばポリスチレン又はラテックスから形成され、N−アセチル−D−グルコサミン、キチン又はキチン断片で覆われている粒子であってもよい。あるいは、合成キチンは、化学的又は酵素的技法により合成されてもよい。例えば、キチン粒子は、アセチルグルコサミン(actylglucosamine)、例えばN−アセチル−D−グルコサミンの重合により製造されてもよい。
【0026】
CMPにより引き起こされる薬学的効果がサイズに依存することが分かったので、本方法により製造される微粒子は、それらが薬学的効果を生じることのできるような直径を有することが好ましい。従って本方法により製造される微粒子の集合体には、貪食可能なサイズの直径を有する、例えば1から20μmの範囲内の微粒子が含まれることが好ましい。例えば、微粒子の集合体中の微粒子の所望の平均径は、50μm又はそれ以下、40μm又はそれ以下、30μm又はそれ以下、20μm又はそれ以下、15μm又はそれ以下、10μm又はそれ以下、またさらには5μm又はそれ以下であってもよい。好ましくは、所望の平均径は、貪食可能なサイズ、例えば1から20μm、1から15μm、又は1から10μmの範囲内である。例えば、所望の平均径は、5から15μm、6から14μm、7から13μm、8から12μm、9から11μm又はさらに9から10μmの範囲内であってもよい。好ましくは、微粒子は直径が少なくとも1μmである。好ましくは、微粒子の集合体中の微粒子の標準偏差は、10μm又はそれ以下、8μm又はそれ以下、5μm又はそれ以下、又は3μm又はそれ以下である。最も好ましくは、微粒子の集合体中の微粒子の平均径は、1から15μmの範囲内であり、集合体中の粒子の標準偏差は5μm又はそれ以下である。
【0027】
用語「微粒子」とは、直径が100μm又はそれ以下の粒子を指す。従って、「微粒子の集合体」とは、集合体中の粒子の全て又は実質的に全て、例えば少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも99%の直径が100μm又はそれ以下である、粒子の集合体を指す。「粒子」は微粒子であってよく、「粒子の集合体」には、微粒子が含まれてよく、かつ/あるいは、実質的に又は完全に微粒子からなってもよい。
【0028】
用語「平均径」とは平均直径をさし、さらに、誤解を避けるために、用語「粒子直径」は用語「粒径」と相互に交換可能であり、逆もまた同様である。
【0029】
1から20μmの範囲内の直径を有する微粒子は、至適に薬剤的に効果的であると考えられる。従って、微粒子の集合体中の微粒子の粒度分布は、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、又は99%、あるいは実質的に全ての微粒子の直径が、好ましくは20μm未満であり、及び/又は1から20μmの範囲内であるような分布である。例えば、微粒子の集合体中の微粒子の少なくとも50%の直径が、20μm未満、及び/又は1から20μm、5から20μm、5から15μm、6から14μm、7から13μm、8から12μm、9から11μm、又は9から10μmの範囲内であり得る。好ましくは、微粒子の集合体中の微粒子の少なくとも70%の直径が、20μm未満、及び/又は1から20μm、5から20μm、5から15μm、6から14μm、7から13μm、8から12μm、9から11μm、又は9から10μmの範囲内である。より好ましくは、微粒子の集合体中の微粒子の少なくとも80%の直径が、20μm未満、及び/又は1から20μm、5から20μm、5から15μm、6から14μm、7から13μm、8から12μm、9から11μm、又は9から10μmの範囲内である。より好ましくは、微粒子(microparoticles)の集合体中の微粒子の少なくとも90%の直径が、20μm未満、及び/又は1から20μm、5から20μm、5から15μm、6から14μm、7から13μm、8から12μm、9から11μm、又は9から10μmの範囲内である。
【0030】
誤解を避けるために、用語「の範囲内」には、指定された範囲の境界を含む。例えば、1から20μmの範囲内の直径を有する粒子の集合体には、1μmの直径及び20μmの直径を有する粒子が含まれる。
【0031】
粒径及び粒度分布は、光学粒子係数法(Optical Particle Counting)(OPC)としても公知の、単一粒子光学検知法(Single-Particle Optical Sensing)(SPOS)の方法により決定することができる。これは当技術分野で周知である。粒径は、粒子を一粒ずつレーザー光と検知器の間に通過させることにより決定される。粒子がレーザー光と検知器の間を通過する時に、検知器でのレーザー光入射の光の量に変化が生じる。粒子のサイズは、関心対象の粒子により生じる入射光の量の変化と、対照粒子、例えば、公知のサイズ、例えば公知の直径の実質的に均一な粒子により生じる入射光の量の変化とを比較することにより決定される。これには、このような公知のサイズの粒子を用いて生成された較正曲線への参照が含まれ得る。
【0032】
一般に、粒子がレーザー光と検知器の間を通過することにより生じる、検知器での入射光の量の変化は、電気信号を生成する。次に、粒子のサイズを、関心対象の粒子により生成された信号の大きさと、対照粒子、例えば公知のサイズ、例えば公知の直径の実質的に均一な粒子により生成された信号の大きさとを比較することにより決定する。
【0033】
従って、用語「粒子直径」とは、単一粒子光学検知法の方法により測定して関心対象の粒子と同じ信号を生成する対照粒子、例えば公知のサイズの実質的に均一な粒子の直径を指す。
【0034】
従って、粒度分布、例えば、特定の範囲内(例えば1から20μm)の直径を有する集合体中の粒子(例えば微粒子)のパーセント値は、単一粒子光学検知法を用いて集合体中の粒子の直径を測定することにより決定され得る。これには、集合体から取り出したサンプル中の粒子の直径を測定すること、及びサンプル中の粒度分布が、集合体中の粒度分布を代表すると考えられるように、得られたデータを推定することが含まれ得る。あるいは、集合体中の全ての又は実質的に全ての粒子の直径を測定して集合体の粒度分布を決定してもよい。
【0035】
本発明者らは、微小流動化装置を用いて製造した微粒子の直径が、少なくとも一部、粒子の集合体の懸濁液が微小流動化装置を通過した、すなわち反復して通過した回数により決定されることを見出した。従って、本方法は、好ましくは、集合体中の粒子の平均径を所望の平均径まで小さくするために十分な回数で、懸濁液を微小流動化装置に通過させることを含む。好ましくは、本方法は、懸濁液を微小流動化装置に少なくとも7回又はそれ以上、より好ましくは少なくとも9回又はそれ以上通過させることを含む。
【0036】
微小流動化装置の運転圧、すなわち懸濁液が微小流動化装置を通過する圧力、を増大させること、ならびに/あるいは、マイクロチャネルのサイズ(例えば直径)及び/又は形状を調節することにより、集合体中の粒子の平均径を所望の平均径まで小さくするために微小流動化装置を通過させしなければならない懸濁液の回数に影響を及ぼす、例えば減らすことができる。本発明者らは、懸濁液が微小流動化装置を少なくとも7回又はそれ以上、より好ましくは少なくとも9回又はそれ以上通過するような運転圧及びマイクロチャネルのサイズ及び形状を使用することが、微小流動化装置の過熱及び/又は閉塞を最小化するために最適であることを見出した。当業者は、そのような適切な運転圧ならびにマイクロチャネルのサイズ及び形状を選択することができる。
【0037】
運転圧は、好ましくは、少なくとも10,000psi又はそれ以上、より好ましくは少なくとも15,000psi又はそれ以上、さらにより好ましくは、少なくとも20,000psi又はそれ以上である。好ましくは、運転圧は、20,000から30,000psiの範囲内、より好ましくは、20,000から23,000psiの範囲内である。
【0038】
本方法は、粒子を微小流動化装置に通過させるよりも前に粒子の集合体を篩い分けることを含んでもよい。粒子の集合体には、マイクロチャネルを塞ぐために十分な大きさの粒子、例えば直径50μm又はそれ以上の粒子が含まれる可能性があり、従って粒子を微小流動化装置に通過させるよりも前に粒子の集合体を篩い分けることにより、粒子がマイクロチャネルを塞ぐ可能性を低下させることができる。また、篩い分けることは、粒子の出発サイズを小さくさせる。本発明者らは出発粒子のサイズが低下するほど微粒子の収量が増加することを見出したので、これは有利であり得る。従って、好ましくは、本方法は、懸濁液を作製する前に、及び/又は粒子の集合体を微小流動化装置に通過させる前に、粒子の集合体を篩い分けることを含む。好ましくは、篩の孔径は、200μm又はそれ以下、150μm又はそれ以下、又は100μm又はそれ以下である。最も好ましくは、篩の孔径は126μmである。
【0039】
粒子を篩い分ける方法は、当技術分野で周知である。粒子の集合体は、段階(a)の懸濁液を作製する前に、例えば電子振盪篩(electronic shaker sieve)を用いることにより、あるいは、段階(a)の懸濁液を作製した後であるが懸濁液を微小流動化装置に通過させるよりも前に、例えば懸濁液をフィルター(例えば濾紙)に通過させることにより、篩い分けることができる。
【0040】
好ましくは、段階(a)の懸濁液を作製する前、及び/又は粒子の集合体を篩い分ける前の粒子の集合体の平均径は、100μmより大きく、より好ましくは、100から200μmの範囲内である。好ましくは、段階(a)の懸濁液を作製する前、及び/又は集合体粒子を篩い分ける前の粒子の集合体の直径は、約300μm未満である。難溶性の多糖類粒子は、段階(a)の懸濁液を作製する前に粉砕されていることが好ましい。このような粉砕は、任意の適した標準的な粉砕手順を用いて行ってもよい。用語「キチン粉末」とは、キチン原材料、例えば、粒子の平均径が100μmより大きいもの、好ましくは100から200μm範囲内、さらに好ましくは約300μm未満であるものを指す。
【0041】
別の態様では、本発明は、キチン及び/又はキトサン粒子のサイズを小さくすることによりキチン及び/又はキトサン微粒子の集合体を製造する方法を提供し、前記方法は、
(a)キチン及び/又はキトサン粒子の集合体の懸濁液を作製することと;
(b)懸濁液を微小流動化装置に、例えば9回又はそれ以上通過させて、粒子の集合体中のキチン及び/又はキトサン粒子の平均径を所望の平均径まで小さくすることとを含み、前記所望の平均径は、1から15μmの範囲内であり、前記微粒子の集合体中の微粒子の少なくとも80%の直径が20μm又はそれ以下である。
【0042】
別の態様では、本発明は、組成物、例えば医薬組成物を作製する方法を提供し、前記方法は、微粒子、例えばCMPを上記の方法に従って製造した後、前記微粒子を1又はそれ以上の製薬上許容される賦形剤、担体、噴射剤、バッファー、安定剤、等張化剤(isotonicizing agent)、防腐剤、抗酸化薬、又は当業者に周知のその他の材料とともに処方する段階を含む。このような材料は、無毒であるべきであり、有効成分の有効性を妨げるべきではない。
【0043】
別の態様では、本発明は、組成物、例えば医薬組成物を作製する方法を提供し、前記方法は、微粒子、例えばCMPを上記の方法に従って製造した後、前記微粒子をアレルゲンとともに処方する段階を含む。
【0044】
さらなる態様では、本発明は、キットを作製する方法を提供し、前記方法は、微粒子、例えばCMPを上記の方法に従って製造した後、アレルゲン及び微粒子をキットの中に入れる段階を含む。
【0045】
別の態様では、本発明は、組成物、例えば医薬組成物を作製する方法を提供し、前記方法は、微粒子、例えばCMPを上記の方法に従って製造した後、微粒子を抗原とともに処方する段階を含む。
【0046】
さらなる態様では、本発明は、キットを作製する方法を提供し、前記方法は、微粒子、例えばCMPを上記の方法に従って製造した後、抗原及び微粒子をキットの中に入れる段階を含む。
【0047】
微粒子及び抗原を含む(医薬)組成物及びキットは、さらなるアジュバントを含んでもよい。米国特許仮出願第60/815074号において、本発明者らは、CMPが、同じワクチン処方物中でその他のアジュバントとともに投与された場合に、相乗作用を有することを示した。
【0048】
別の態様では、本発明は、微粒子のリザーバを有する送達装置を作製する方法を提供し、前記方法は、微粒子、例えばCMPを上記の方法に従って製造した後、微粒子を送達装置に負荷する段階を含む。微粒子は、吸入及び/又は噴射により、鼻に吸い込まれて洞及び上気道へ、又は口を経由して肺胞マクロファージへ達する。送達装置は、(a)微粒子用のリザーバ(b)患者の口又は鼻の中に位置するように合わせた送達口;及び(c)リザーバと送達口との間の弁とを、弁が作用して微粒子の送達を制御することができるように含むことができる。特に好ましい装置の形態は、CMP調製物及び所望により担体を含有する鼻腔スプレー瓶であり、前記スプレー瓶は鼻腔送達に適合する瓶首を有する。
【0049】
別の態様では、本発明は、アレルギーの治療、細胞性免疫系の上方制御によって利益を得る状態の治療、ならびにNK細胞の活性及び/又は免疫系の細胞によるIFN−γの分泌の上方制御による状態の治療からなる群より選択される治療の方法で用いるための薬剤の調製のためのキチン微粒子の集合体の使用を提供する。好ましくは、微粒子の集合体及び/又は集合体中の微粒子の粒度分布は、上に記載されるとおりである。例えば、少なくとも80%のキチン微粒子の直径は、5から20μmの範囲内であってもよい。好ましくは、キチン微粒子の集合体は、上に規定される方法により製造される。
【0050】
以上に考察されるように、CMPの治療用途は既に開示されているとはいえ、CMPを製造する公知の方法、例えば超音波処理などは、工業的なスケールアップには従わない。本発明者らが工業的スケールアップに適しているのではないかと考えたCMPを製造する一方法は、乾燥粉末ボール粉砕であった。本発明者らは、本方法が、錠剤へ製剤するための均一な薬剤粉末を製造するための、製薬産業に適した方法であるエアジェット粉砕よりも、CMPの製造に効果的であることを見出した。
【0051】
本発明者らはまた、乾燥粉末ボール粉砕により製造したCMPの治療効力を、微小流動化装置を用いて製造したCMPと比較した。しかし、本発明者らは、マウスにおいて喘息を治療する際に、乾燥粉末ボール粉砕により製造したCMPよりも微小流動化装置を用いて製造したCMPのほうが効果的であることを見出した。特に、本発明者らは、微小流動化装置を用いて製造したCMPが、結果として肺胞好酸球のより大きな減少をもたらすことを見出した。このことは、治療が喘息のレベルを低下させたことを示す。さらに本発明者らは、微小流動化装置を用いて製造したCMPが、肺における細胞炎症の大きな減少をもたらしたことを見出した。その上、本発明者らは、微小流動化装置を用いて製造したCMPがウイルス感染に対する保護作用をもたらすことも示した。
【0052】
これらの結果は、本発明に従って製造したCMPは治療上効果的であり、工業的スケールアップに適し得るその他のCMPを製造する方法により製造したCMPよりも大きな有効性を有することを示す。従って、本発明の方法は、治療上効果的な粒度分布を有するCMPの集合体を製造することができる。
【0053】
さらなる態様では、本発明は、感染病原体により媒介される状態の予防又は治療のための薬剤の調製のための、キチン微粒子の集合体及び感染病原体を含む組成物の使用を提供する。好ましくは、微粒子の集合体及び/又は前記集合体中の微粒子の粒度分布は上に記載されるとおりである。例えば、少なくとも80%のキチン微粒子の直径は、5から20μmの範囲内であってもよい。好ましくは、キチン微粒子の集合体は、上に規定される方法により製造される。
【0054】
別の態様では、本発明は、キチン微粒子の集合体を提供する。好ましくは、集合体は、組成物、例えば医薬組成物(例えば治療上有効な量のキチン微粒子を含む)などとして処方される。好ましくは、微粒子の集合体及び/又は集合体中の微粒子の粒度分布は上に記載されるとおりである。例えば、少なくとも80%のキチン微粒子の直径は、5から20μmの範囲内であってもよい。好ましくは、キチン微粒子の集合体は、上に規定される方法により製造される。
【0055】
別の態様では、本発明は、
(a)微粒子用のリザーバと;
(b)患者の口又は鼻の中に位置するように合わせた送達口と;
(c)リザーバと送達口との間の弁とを、弁が作用して微粒子の送達を制御することができるように含む、キチン微粒子の集合体の投与のための送達装置を提供する。好ましくは、微粒子の集合体及び/又は集合体中の微粒子の粒度分布は上に記載されるとおりである。例えば、少なくとも80%のキチン微粒子の直径は、5から20μmの範囲内であってもよい。好ましくは、キチン微粒子の集合体は、上に規定される方法により製造される。
【0056】
別の態様では、本発明は、患者への同時又は連続投与のための、
(a)上に定義されるキチン微粒子の集合体と;
(b)アレルゲン又は感染病原体由来の抗原と;
を含むキットを提供する。好ましくは、微粒子の集合体及び/又は集合体中の微粒子の粒度分布は上に記載されるとおりである。例えば、少なくとも80%のキチン微粒子の直径は、5から20μmの範囲内であってよい。好ましくは、キチン微粒子の集合体は、上に規定される方法により製造される。
【0057】
以下、本発明の実施形態を、限定ではなく例として、添付の図を参照してさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】キチン製造業者により製造されたキチン粉末(すなわちCMPの製造のための原材料)の典型的な粒度分布を示す図である。
【図2】キチン粉末をボール粉砕することにより製造されたキチン粒子の粒度分布を示す図である。
【図3】キチン製造業者により製造されたキチン粉末の粒度分布への篩い分けの効果を示す図である。円は篩い分けされたキチン粉末を示し、正方形は篩い分けられていないキチン粉末を示す。
【図4A】キチン粉末懸濁液を微小流動化装置に通過させた後のCMPの粒度分布を示す図である。(a)3回通過させた後の粒度分布。粒度分布の測定は4回繰り返した。
【図4B】キチン粉末懸濁液を微小流動化装置に通過させた後のCMPの粒度分布を示す図である。(b)9回通過させた後の粒度分布。粒度分布の測定は4回繰り返した。
【図4C】キチン粉末懸濁液を微小流動化装置に通過させた後のCMPの粒度分布を示す図である。(c)12回通過させた後の粒度分布。粒度分布の測定は4回繰り返した。
【図5】キチン粉末を事前に篩い分け、微小流動化装置に9回通過させることにより、最適な規格に製造されたCMPを示す図である。
【図6】CMPで予防的に処置し、オボアルブミンに曝露したマウスの気管支肺洗浄液中の好酸球カウント数を示す図である。CMP000はボール粉砕により製造されたCMPをさし、CMP001は微小流動化装置を用いて製造したCMPを指す。
【図7】無処置の喘息群に対して、CMPで予防的に処置し、オボアルブミンに曝露したマウスにおける肺の炎症の低下を示す図である。PBI=気管支周囲炎、PVI=血管周囲炎、AI=肺胞の炎症。CMP000はボール粉砕により製造されたCMPをさし、CMP001は微小流動化装置を用いて製造したCMPを指す。
【図8】CMP(微小流動化装置を用いて製造)で予防的に処置され、H5N1ウイルスに感染した(0日目)マウスの生存を示す図である。ひし形はCMPでの処置を示し、正方形は無処置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0059】
医薬組成物
CMPの医薬組成物及び治療用途は、参照により本明細書に援用される、本発明者らの先願であるWO03/015744号及び米国特許仮出願第60/815074号に記載される。
【0060】
微粒子、例えばCMPを含む医薬組成物及び薬剤は、アレルギーに苦しむ患者を治療する方法において用いることができる。医薬組成物での治療が可能なアレルギーの例としては、一般に枯草熱と称される、季節性呼吸アレルギー;室内塵ダニ、菌類の胞子、草花粉、樹木花粉及び動物の鱗屑を含む、空気アレルゲンに対するアレルギー;血清IgE及び好酸球増加を低下させることにより治療可能なアレルギー;喘息;湿疹及び食物アレルギー;皮膚炎、例えばアトピー性皮膚炎などが挙げられる。
【0061】
アレルギーの治療を含む、本発明者らのさらなる具体的な実施形態は、ウマ、特に、アレルギー状態、例えば喘息又は再発性肺感染などに罹る傾向を有する、純血種のウマの治療におけるものである。
【0062】
微粒子、例えばCMPを含む医薬組成物及び薬剤は、細胞性免疫系の上方制御によって利益を得ると思われる状態に苦しむ患者を治療する方法にも用いることができる。従って、微粒子は、個体の免疫系を強くするために用いることができる。細胞性免疫系の上方制御によって利益を得る状態としては、特に脆弱な患者群、例えば高齢者、早産児、乳児、移植患者、免疫抑制患者、例えば化学療法患者、日和見感染のリスクの高い入院患者、人工呼吸器の患者、嚢胞性繊維症の患者及びAIDS患者などの間での、細菌感染、真菌感染及びウイルス感染を含む、微生物による感染の治療が挙げられる。微粒子及び微粒子を含む医薬組成物は、特に耳、鼻、咽喉及び肺の感染症の治療に適用可能である。
【0063】
細菌感染の具体的な例としては、微生物、例えば、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、ストレプトコッカス属種、例えば、肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)、化膿性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)、ストレプトコッカス・アガラクチア(Streptococcus agalactiae)など、インフルエンザ菌(Haemophilus influenza)、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)、エルシニア・エンテロコリチカ(Yersinia enteocolitica)、サルモネラ属、リステリア属、による感染、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)、らい菌(Mycobacterium leprae)を含むマイコバクテリア感染、リーシュマニア属種及び住吸血虫属種を含む寄生虫感染が挙げられる。
【0064】
微生物感染、一般に肺炎連鎖球菌に起因する一状態は、再発性耳感染、例えば中耳炎である。これらの状態は、小児及び成人に起こり、現在は抗生物質を用いて治療される。本発明のキチン微粒子組成物及び薬剤を用いてこれらの状態を治療し、抗生物質の必要性を減らすことは有利である。
【0065】
本発明の調製物は、結核の治療において、現存する感染を治療するため、又は脆弱な患者群を感染から保護するためのいずれかのために用いることができる。微生物感染のその他の例としては、細菌性肺炎、例えば、人工呼吸器関連肺炎、及び嚢胞性繊維症に関連する感染が挙げられる。
【0066】
真菌感染の例としては、真菌感染、例えば侵襲性肺アスペルギルス症及び侵襲性肺カンジダ症、ニューモシスチスカリニ肺炎、例えば免疫抑制剤患者における、コクシジオイデス及びクリプトコッカス(Crytococcus)感染が挙げられる。
【0067】
ウイルス性の症状の例としては、肺のウイルス感染、例えば、特に乳児及び高齢者における呼吸器合胞体ウイルス細気管支炎、又はH5N1を含むインフルエンザウイルス、又はライノウイルスなどが挙げられる。多数の研究により、AIDSの進行の間、単核細胞はIL−2、IL−12及びIFN−γを分泌するそれらの能力を失い、増加したレベルのIL−4(HIVウイルスの増殖を許す)を生じることが示されている。従って、本発明の医薬組成物を用いる治療は、IL−12及びIFN−γレベルを元に戻すことによってHIV感染の進行を低下させることに有用である。
【0068】
微粒子、例えばCMPを含む医薬組成物及び薬剤はまた、NK細胞の活性及び/又は免疫系の細胞によるIFN−γの分泌の上方制御により治療可能な状態の治療にも用いることができる。このような状態の例は、癌、特に肺癌、肺癌腫又は鼻腔−咽頭癌腫である。
【0069】
微粒子及びアレルゲンを含む医薬組成物及びキット
微粒子、例えばCMP及びアレルゲンを含む医薬組成物、又は、微粒子、例えばCMP及びアレルゲンを含むキットは、アレルギー及びアレルギー症状、例えば従来の脱感作療法に関連するアナフィラキシーショックなどの治療に用いることができる。アレルゲンは食物から容易に抽出することができ、アレルギーの診断及び治療に用いられるために、市販されている。特に、本医薬組成物及びキットは食物アレルギーの治療に用いることができる。一般的な食物アレルゲンの例としては、牛乳、小麦、グルテン、卵、ナッツ類又は甲殻類が挙げられる。このような医薬組成物及びキットは、ウマの処置にも用いることができる。
【0070】
微粒子及び抗原を含む医薬組成物及びキット
微粒子、例えばCMP及び抗原を含む医薬組成物、又は、微粒子、例えばCMP及び抗原を含むキットは、感染及び関連する症状、ならびに感染病原体が原因となって引き起こされる状態の予防及び治療に用いることができる。抗原は、感染病原体由来の抗原であってもよい。抗原は、天然、合成又は組換えDNA技術に由来するものであってもよい。医薬組成物は、ワクチン組成物であってもよい。従って、それらは死滅もしくは衰弱させた全生物、又はこのような生物の一部からなる抗原を含み、その抗原は、前記生物の引き起こした状態に対する免疫性を付与するために用いられる。例として、前記感染病原体は、細菌感染、真菌感染、ウイルス感染又は寄生虫感染を引き起こす、及び/又は媒介し得る。
【0071】
従って、さらなる態様では、本発明は、感染病原体により媒介される状態の免疫になるように患者に予防接種するための方法を提供し、前記方法は、本明細書に規定されるCMP及び抗原を含む組成物を必要とする患者に投与することを含み、前記CMP及び抗原は、治療上又は予防上効果的な量で組成物中に存在する。
【0072】
米国特許仮出願第60/815074号において、本発明者らは、CMP及び抗原を含む組成物を少なくとも週2回、より好ましくは少なくとも週3回投与する投与パターンが、最初の免疫化の後数週間隔ててから二次的な追加免疫が続く、より通常の投与パターンと比較して、感染病原体に対する保護的応答が促進されることを見出した。
【0073】
微粒子、例えばCMP及び抗原を含む医薬組成物、又は、微粒子、例えばCMP及び抗原を含むキットは、マラリア、インフルエンザ又はHIVの治療又は予防に用いることができる。本発明に従って用いることのできる抗原の例としては、不活化ウイルス、例えばH5N1、H1N1、H3N2から調製されたインフルエンザ血球凝集素(HA)ワクチン、HIV−DNA又はHIV抗原を含むHIVワクチン、炭疽ワクチン、例えば組換え感染防御抗原(PA)を含むワクチンなど、インフルエンザ抗原及びヒトパピローマウイルス抗原、例えばE7タンパク質などが挙げられる。多くの感染性病原体と共通して、マラリアに対する予防接種のための医薬組成物に封入するために適した抗原は当技術分野で公知である。
【0074】
微粒子、例えばCMP及び抗原を含む医薬組成物及びキットはまた、さらなるアジュバントを含んでもよい。本医薬組成物及びキットに用いられ得るその他のアジュバントの例としては、コレラ毒素、例えばコレラホロ毒素(CT)又はコレラ毒素Bサブユニット(CTB)などに基づくアジュバント、合成CpG DNA、及び細菌細胞壁産物に基づくアジュバントが挙げられる。アジュバントの使用は、F. Vogel, M. Powell and C. Irving, 「A Compendium of Vaccine Adjuvants and Excipients (2nd Edition)」に概説され、NIHのウェブサイト、
1245900814062_0.pdf

で入手できる。
【0075】
コレラ毒素Bサブユニット(CTB)は、強力な粘膜アジュバントであるが、望ましくない副作用を生じることがあり得る。これらは少量(0.1から2%)のコレラホロ毒素を添加することより減らすことができる。CTBは、局所粘膜の細胞免疫応答ならびに全身のIgG応答を刺激し、実験的な鼻腔ワクチンに多く用いられている(Vadolas et al. 1995. European journal of Immunology 25, 969)。
【0076】
細菌由来アジュバントとしては、ペプチドグリカン又はリポ多糖誘導体、例えば ムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミン(MDP)、モノホスホリルリピドA(MPL)、トレハロースジミコレート(TDM)、コレラ毒素Bサブユニット(CTB)、CpG DNA、免疫賦活性サイトカイン(IL−12及びIFN及びGM−CSFを含む)が挙げられる。
【0077】
送達経路
一連の送達経路は、微粒子、例えばCMP、ならびに微粒子、例えばCMPを含む医薬組成物及び薬剤を、それを必要とする個体に送達するために用いることができる。好ましくは、それらには、舌下もしくは経口経路による送達、注射、例えば皮下注射及び筋肉注射による送達、ならびに微粒子の鼻腔内への(例えば鼻腔内スプレーを用いて洞及び上気道へ)送達、又は吸入、例えば肺における肺胞マクロファージのターゲッティングによる送達が含まれる。微粒子、医薬組成物及び薬剤は、粘膜又は非粘膜送達経路を介して患者に投与されてもよい。粘膜送達経路には、鼻腔内送達、舌下送達、経口送達、点眼剤での送達及び吸入による送達が含まれる。粘膜送達経路は、例えば口腔粘膜への、舌下送達;例えば胃粘膜への、経口送達;例えば眼粘膜への、点眼剤での送達;例えば鼻粘膜及び上気道粘膜への、鼻腔内送達;例えば上下気道の粘膜、例えば肺粘膜への、吸入による送達を含み得る。本発明の一部の態様では、非粘膜経路と比較して次の利点、すなわち安全性、投与の容易さ(それらは一般に臨床医による通例注射である予防接種の投与を必要とするため)、分布の容易さ、製造コストの低下及び改善された免疫学的応答(粘膜送達は細胞性免疫応答及び液性免疫応答の両方を活性化することができるため)の1又はそれ以上をもたらすことができるため、粘膜送達経路が好ましい。
【0078】
非粘膜送達経路は、注射による送達、例えば、皮下注射又は筋肉注射による送達を含む。
【0079】
投与
好ましくは、微粒子、例えばCMP、ならびに、微粒子、例えばCMPを含む医薬組成物及び薬剤は、「予防的に有効な量」又は(予防は治療と考えることもできるが、場合により)「治療上有効な量」で個体に投与され、これは個体への利益、例えばアレルギーもしくはその他の状態の軽減又は許容される期間の予防を示すのに十分な量である。一般に、これは個体に利益をもたらす治療上有用な活性を引き起こすためのものである。投与される化合物の実際の量、ならびに投与の割合及び時間経過は、処置される状態の性質及び重篤度によって決まる。処置の処方、例えば投薬量などに関する決定は、一般開業医及びその他の医師の責任の範囲内であり、一般に処置される疾患、個々の患者の状態、送達部位、投与方法及び開業医に公知のその他の要因を考慮に入れる。上に述べた技法及びプロトコールの例は、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第16版、Osol,A.(編)、1980年及びRemington’s Pharmaceutical Sciences、第19版、Mack Publishing Company、1995年に見出すことができる。組成物は、好ましくは体重1kgあたり約0.01から100mgの活性化合物、より好ましくは、約0.5から10mg/体重kgの投薬量で投与される。例として、これは、4から8用量の約0.25mlの5mg/ml微粒子溶液を送達するための鼻腔送達瓶を用いて達成することができ得る。
【0080】
好ましくは、上に述べた薬剤及び組成物は、ヒトへの投与のためのものである。CMPでの鼻腔内処置に好ましい患者群には、季節性アレルギー性鼻炎及び副鼻腔炎、又は慢性呼吸アレルギー、例えば室内塵ダニアレルギーに苦しむ患者ならびに現在ステロイド又は抗ヒスタミン薬を服用している患者が含まれる。その他の群には、感染及び肺癌腫を含む慢性肺障害を治療中の入院患者が含まれる。
【0081】
医薬組成物及び薬剤はまた、1又はそれ以上の製薬上許容される賦形剤、担体、噴射剤、バッファー、安定剤、等張化剤、防腐剤、抗酸化薬、又は当業者に周知のその他の材料を含んでもよい。このような材料は無毒でなければならず、さらに有効成分の有効性を妨ぐべきでない。
【0082】
防腐剤は、一般に、微生物の成長を遅らせ、組成物の有効期間を延長させ、多重使用パッケージングを可能にするために医薬組成物中に含まれる。防腐剤の例としては、フェノール、メタ−クレゾール、ベンジルアルコール、パラ−ヒドロキシ安息香酸及びそのエステル、メチルパラベン、プロピルパラベン、ベンザルコニウムクロライド及びベンゼトニウムクロライドが挙げられる。防腐剤は、一般に約0.1%から1.0%(w/v)の範囲内で用いられる。
【実施例】
【0083】
1.CMPの製造のための方法の評価
粒子を製造する様々な方法を、CMPを製造するための方法のように評価した。
【0084】
粒径及び粒度分布を、Particle Sizing Systems社により製造されるAccuSizer 780 Optical Particle Sizerを用いて決定した。
【0085】
製造業者より入手した標準的な粉砕キチン粉末の典型的なサイズ分布を図1に示す。
【0086】
乾燥ボール粉砕によるCMPの製造
乾燥粉末ボール粉砕を、CMPを製造するための方法として評価した。粉砕は、Heppe GmbHによりベンチトップ型ボールミルを用いて行った。最終の粒度分布は図2に示される。しかし、本方法はいくつかの理由で不満足であることが分かった。
【0087】
1.ボール粉砕に必要な時間が多大であり、数日程度の連続する粉砕であった。これは工業的スケールアップのためには実用的でない。
【0088】
2.長い粉砕時間は、ミルの中で用いる金属球の磨耗から重金属の混入を生じやすい。
【0089】
3.ボール粉砕は、好ましい平均値10μm前後の代わりに50μm前後の平均粒度を作り出した。
【0090】
4.ボール粉砕は、過度に大きな割合の50μm+の範囲の大きな粒子を含む不均一な粒子の集団を作り出した。これらの大きな粒子は、それらがCMPを臨床的に適用するために用いる鼻腔送達装置の閉塞を結果的にもたらし、貪食されるには大きすぎる可能性が高く、従って薬剤的に活性である可能性が低いと思われるため、望ましくない。
【0091】
エアジェット粉砕によるCMPの製造
粒径を小さくするための標準的な工業的方法はエアジェット粉砕であり、これは、錠剤などへ製剤するための均一な薬剤粉末を製造するための、製薬産業に適した方法である。本方法は、高圧の空気噴流(エアジェット)中の粒子間の高速衝撃により引き起こされる破砕を頼りにする。エアジェット粉砕(エアジェット微粒子化)は、Micron Technologies社で行った。エアジェット微粒子化は、Micron Technologies社のウェブサイトに「1から30ミクロンの範囲の粒子を一貫して製造する十分な実績のある技法」と説明されている。表1は、図1に示されるように100gのキチン粉末を用いるエアジェット粉砕の結果を示す。
【表1】

【0092】
CMPの製造のための本方法の評価は、3回通過後でさえも平均粒子直径がなお116.129μmであることを示した。従って本方法は、CMPを製造するためには全く効果がないと考えられた。これは、キチンが、かなりのレジリエンス及び弾性を有する木材に似た積層繊維からなり、従って衝撃破砕に抵抗したためである。キチンの性質は、基本的に衝撃で容易に粉々になるガラス様構造の塩結晶で構成される製剤粒子とは異なっている。
【0093】
微小流動化装置を用いるCMPの製造
これらの実験で用いられる微小流動化装置は、Microjet Laboratory Processor100型であった。この装置は、空気モーターの使用により圧力を生じる。空気圧が大きなピストンを押し、それは次に増圧ポンプ(intensifier pump)のより小さなピストンプランジャーを押す。プランジャーは圧力を生成物流に移し、生成物流は菱形のマイクロチャネルを通して押し出される。ステンレス鋼アイソレータは、どのような空気供給からの生成物混入の可能性、又は生成物の空気モーターへのキャリーオーバーも阻止する。
【0094】
出発材料は、図1に示される粒度分布を有するキチン粉末であった。
【0095】
キチン粉末を、最初にEndecotts Sieve Shakerを用いて126μmの篩に通して篩い分けた。図3は、篩い分けの粒度分布への効果を示す。キチン粉末を微小流動化装置に通過させる前に篩い分けることは、多数の利点をもたらすことが見出された。出発サイズが小さいほど、CMPの収量が大きくなることが見出された。また、キチン粉末を篩い分けることにより、微小流動化装置の閉塞が防止され、それにより好ましい濃度の最終生成物(5mg/ml)の粉砕が可能になる。
【0096】
数グラムの精製水を、およそ2.00gのキチンに加えてペーストを形成した。次に、これを、およそ500gの精製水を含むMicrojet Laboratory Processor 100型のProduct Inlet Reservoirに徐々に加えた。この溶液をフルイダイザーに3回、6回、9回及び12回通過させ、各々の時点で粒径分析用のサンプルを取った。微小流動化装置の運転圧は20,000から23,000psiであった。
【0097】
これらの実験は、微小流動化装置の9回通過が最適なCMP生成物を製造したことを示した。CMPの最適な特徴は次の通りである。CMPの平均径が10μm+/−5μm前後であり、CMPの80%の直径が20μm又はそれ以下であり;CMPの1%又はそれ以下の直径が50μmより大きい。
【0098】
表2は、微小流動化装置に3回、9回及び12回通過させた後の数値的な平均値、最頻値及びメジアン粒径を示す。
【表2】

【0099】
図4は、それぞれ微小流動化装置に3回、9回、及び12回通過させた後の粒度分布を示す。粒径は3回、6回、及び9回の通過後次第に小さくなった。3回通過(図4a)は、CMPの製造に最適でなかった(平均=30.11μm)。最適な通過回数は、10.49μmの平均粒度を得た9回と決定された(図4b)。12回通過に増加させても(図4c、平均=12.11μm)、これについて有意な改善を生じなかった。図5は、キチン粉末を事前に篩い分け、微小流動化装置に9回通過させることにより最適な規格に製造されたCMPを示す。
【0100】
2.急性喘息のマウスモデルにおける、異なる方法により作製されたキチン微粒子の評価
方法
マウスを、オボアルブミン(OVA)の腹膜内注射によりOVAに対してアレルギー性になる前に、予防的に投与される一連の100μg用量のキチン微粒子(CMP)で鼻腔内処置した。その後、マウスに100μgの鼻腔内用量のキチン微粒子をOVAでの気管内曝露と同じ日に投与した。最終のOVA曝露及び処置の翌日、マウスを屠殺し、肺の病理組織を肺切片の顕微鏡分析により調べた。好酸球カウントも肺洗浄液で行った。同じように感作され、曝露されたが、PBS(リン酸緩衝生理食塩水)でのみ処置されたマウスとの比較を行った。
【0101】
マウスを、実施例1に記載されるようにボール粉砕により作製されたキチン微粒子(CMP000)又は実施例1に記載されるように微小流動化装置を用いて作製されたキチン微粒子(CMP001)のいずれかで処置した。
【0102】
結果
CMP001は、肺の好酸球の、より大きな減少をもたらした。
【0103】
喘息モデルにおいて、CMP000か又はCMP001のいずれかで処置したマウスは、洗浄液中で得た肺胞好酸球のさらにより大きな減少を示し、治療が喘息のレベルを低下させたことを示す。しかし、微小流動化(microfluidization)により作製されたCMP(CMP001)は、ボール粉砕により製造したCMP(CMP000)よりも大いに有益な効果を有した(図6)。従って、高剪断で微小流動化されたCMP(CMP001)での処置は、ボール粉砕により製造したCMP(CMP000)よりも喘息マウスの肺において好酸球レベルを減少させるのに優れていた。
【0104】
CMP001は、肺の病理組織の、より大きな減少をもたらした。
【0105】
細胞炎症は、喘息肺のマーカーであり、気道の壁(気管支周囲炎)又は毛細血管の周囲(血管周囲炎)又は肺胞嚢(肺胞炎症)に集積する炎症細胞の数を計数することにより測定される。結果(図7)は、CMP001が3つのパラメータの全てにおいて炎症を低下させるのに優れていたことを示す。
【0106】
3.マウス曝露モデルにおけるH5N1ウイルス感染に対するCMP予防法
方法
マウスに、1000pfuのH5N1ウイルスでの鼻腔内感染よりも−48時間、−24時間及び6時間前に、100μgのキチン微粒子を鼻腔内に投与した。CMPは実施例1に記載されるように微小流動化装置を用いて作製された(CMP001)。生存を20日間モニターした。
【0107】
結果
鼻腔内へのCMP001の予防的適用は、生き残った数を増加させた(図8)。これは、自然免疫保護作用の増加、例えばNK細胞活性の増加及びTh1サイトカイン(例えばCMPのマクロファージ及び呼吸粘膜のその他の免疫細胞への作用により産生されるIFNgなど)の増加などに起因すると考えられる。

参照文献
本明細書に引用されるか又は本願とともに出願される全ての刊行物、特許及び特許出願
は、情報開示陳述書の一部として提出される参照文献を含めて、参照によりその全文が援用される。

1. Shibata et al, J. Immunol., 164: 1314-1321, 2000.
2. Shibata et al, J. Immunol., 161: 4283-8, 1998.
3. Shibata et al, Infection and Immunity, 65(5): 1734-1741, 1997.
4. Shibata et al, J. Immunol., 159: 2462-2467, 1997.
5. Strong, P., H. Clark, and K. Reid, Clin Exp Allergy 32:1794, 2002.
WO 03/015744
US 60/815074
US 5,690,954
F. Vogel, M. Powell and C. Irving、"A Compendium of Vaccine Adjuvants and Excipients.(2nd Edition)"
Vadolas et al. 1995. European journal of Immunology 25, 969.
Remington's Pharmaceutical Sciences, 16th edition, Osol, A. (ed), 1980.
Remington's Pharmaceutical Sciences, 19th edition, Mack Publishing Company, 1995.

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子のサイズを小さくすることにより微粒子の集合体(collection)を製造する方法であって、
(a)粒子の集合体の懸濁液を作製する段階と;
(b)懸濁液を微小流動化装置に通過させて粒子の集合体中の粒子の平均径を所望の平均径まで小さくする段階とを含み、
前記粒子が難溶性の多糖類粒子である、方法。
【請求項2】
前記難溶性の多糖類粒子が、キチン又はキトサン粒子である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記難溶性の多糖類粒子がキチン粒子である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
所望の平均径が50μm又はそれ以下である、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
所望の平均径が1から20μmの範囲内である、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
所望の平均径が1から15μmの範囲内である、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
所望の平均径が貪食可能なサイズである、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記微粒子の集合体中の微粒子の少なくとも50%の直径が1から20μmの範囲内である、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記微粒子の集合体中の微粒子の少なくとも80%の直径が1から20μmの範囲内である、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記懸濁液を微小流動化装置に少なくとも7回通過させる段階を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記懸濁液を微小流動化装置に少なくとも9回通過させる段階を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記懸濁液を微小流動化装置に通過させる前に粒子を篩い分ける段階を含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
篩の孔径が、200μm又はそれ以下である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
篩の孔径が、126μmである、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
段階(a)の懸濁液を作製するよりも前の粒子の集合体中の粒子の平均径が、100から200μmの範囲内である、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記粒子が、段階(a)の懸濁液を作製するよりも前に粉砕されている、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
請求項1から16のいずれか一項に記載の微粒子を製造した後、前記微粒子を1又はそれ以上の製薬上許容される賦形剤、担体、噴射剤、バッファー、安定剤、等張化剤(isotonicizing agent)、防腐剤又は抗酸化剤とともに処方する段階を含む、医薬組成物を作製する方法。
【請求項18】
請求項1から16のいずれか一項に記載の微粒子を製造した後、微粒子をアレルゲンとともに処方する段階を含む、医薬組成物を作製する方法。
【請求項19】
微粒子を1又はそれ以上の製薬上許容される賦形剤、担体、噴射剤、バッファー、安定剤、等張化剤、防腐剤又は抗酸化剤とともに処方する段階をさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
請求項1から16のいずれか一項に記載の微粒子を製造した後、アレルゲン及び微粒子をキットの中に入れる段階を含む、キットを作製する方法。
【請求項21】
アレルゲンが食物アレルゲンである、請求項18から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記食物アレルゲンが、牛乳、小麦、グルテン又は卵の中に見出される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
請求項1から16のいずれか一項に記載の微粒子を製造した後、微粒子を抗原とともに処方する段階を含む、医薬組成物を作製する方法。
【請求項24】
前記微粒子を1又はそれ以上の製薬上許容される賦形剤、担体、噴射剤、バッファー、安定剤、等張化剤、防腐剤又は抗酸化剤とともに処方する段階をさらに含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
医薬組成物がワクチン組成物である、請求項23又は24に記載の方法。
【請求項26】
請求項1から16のいずれか一項に記載の微粒子を製造した後、抗原及び微粒子をキットの中に入れる段階を含む、キットを作製する方法。
【請求項27】
抗原が、感染病原体由来の抗原である、請求項23から26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
感染病原体が、細菌感染、真菌感染、ウイルス感染又は寄生虫感染を媒介する、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
請求項1から16のいずれか一項に記載の微粒子を製造した後、微粒子を送達装置に負荷する段階を含む、微粒子のリザーバを有する送達装置を作製する方法。
【請求項30】
送達装置が、微粒子を鼻腔内投与又は吸入により投与されるようにする、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
送達装置が、
(a)微粒子用のリザーバと;
(b)患者の口又は鼻の中に位置するように合わせた送達口と;
(c)リザーバと送達口との間の弁とを、弁が作用して微粒子の送達を制御することができるように含む、請求項29又は請求項30に記載の方法。
【請求項32】
アレルギーの治療、細胞性免疫系の上方制御によって利益を得る状態の治療、ならびにNK細胞の活性及び/又は免疫系の細胞によるIFN−γの分泌の上方制御による状態の治療からなる群より選択される治療のための薬剤の調製のためのキチン微粒子の集合体の使用であって、集合体中のキチン微粒子の少なくとも80%が5から20μmの範囲内である、前記使用。
【請求項33】
感染病原体により媒介される状態の予防又は治療のための薬剤の調製のための、キチン微粒子の集合体及び感染病原体を含む組成物の使用であって、集合体中のキチン微粒子の少なくとも80%が5から20μmの範囲内である、前記使用。
【請求項34】
集合体中のキチン微粒子の少なくとも80%が5から20μmの範囲内である、キチン微粒子の集合体。
【請求項35】
キチン微粒子の集合体の投与のための送達装置であって、
(a)微粒子用のリザーバと;
(b)患者の口又は鼻の中に位置するように合わせた送達口と;
(c)リザーバと送達口との間の弁とを、弁が作用して微粒子の送達を制御することができるように含み、前記集合体中のキチン微粒子の少なくとも80%が5から20μmの範囲内である、送達装置。
【請求項36】
(a)キチン微粒子の集合体と;
(b)アレルゲン又は感染病原体由来の抗原と;
を患者への同時又は連続投与用に含み;
前記集合体中のキチン微粒子の少なくとも80%が5から20μmの範囲内である、キット。
【請求項37】
アレルギーの治療、細胞性免疫系の上方制御によって利益を得る状態の治療、ならびにNK細胞の活性及び/又は免疫系の細胞によるIFN−γの分泌の上方制御による状態の治療からなる群より選択される治療のための薬剤の調製のためのキチン微粒子の集合体の使用であって、微粒子の集合体が、請求項1から16のいずれか一項に定義される方法により製造される、前記使用。
【請求項38】
感染病原体により媒介される状態の予防又は治療のための薬剤の調製のための、キチン微粒子の集合体及び感染病原体を含む組成物の使用であって、キチン微粒子の集合体が、請求項1から16のいずれか一項に定義される方法により製造される、前記使用。
【請求項39】
請求項1から16のいずれか一項に定義される方法により製造される、キチン微粒子の集合体。
【請求項40】
キチン微粒子の集合体の投与のための送達装置であって、
(a)微粒子用のリザーバと;
(b)患者の口又は鼻の中に位置するように合わせた送達口と;
(c)リザーバと送達口との間の弁とを、弁が作用して微粒子の送達を制御することができるように含み、前記キチン微粒子の集合体が、請求項1から16のいずれか一項に定義される方法により製造される、送達装置。
【請求項41】
(a)キチン微粒子の集合体と;
(b)アレルゲン又は感染病原体由来の抗原と;
を患者への同時又は連続投与用に含み、
前記キチン微粒子の集合体が、請求項1から16のいずれか一項に定義される方法により製造される、キット。
【請求項42】
医薬組成物、薬剤、集合体又はキットが、粘膜又は非粘膜送達経路を介する投与のためのものである、請求項17から28、32から34、36、37、又は39から41のいずれか一項に記載の方法、医薬組成物、使用、集合体又はキット。
【請求項43】
粘膜送達経路が、鼻腔内送達、舌下送達、経口送達、点眼剤での送達又は吸入による送達である、請求項42に記載の方法、医薬組成物、使用、集合体又はキット。
【請求項44】
非粘膜送達経路が、注射による送達である、請求項42に記載の方法、医薬組成物、使用、集合体又はキット。
【請求項45】
キチン又はキトサン粒子が、カニ、エビ、ロブスター、イカ、又は昆虫の外骨格に由来するか、あるいは真菌に由来する、請求項1から44のいずれか一項に記載の方法、医薬組成物、使用、集合体、キット又は送達装置。
【請求項46】
難溶性の多糖類粒子が合成キチン粒子である、請求項1から45のいずれか一項に記載の方法、医薬組成物、使用、集合体、キット又は送達装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4A】
image rotate

【図4B】
image rotate

【図4C】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公表番号】特表2010−511417(P2010−511417A)
【公表日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−533952(P2009−533952)
【出願日】平成19年10月29日(2007.10.29)
【国際出願番号】PCT/GB2007/004129
【国際公開番号】WO2008/053192
【国際公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【出願人】(508373280)シーエムピー セラピューティクス リミテッド (2)
【Fターム(参考)】