説明

微細パターン形成方法

【課題】微細化され、かつドライエッチング耐性の高い微細パターンを形成させるための方法の提供。
【解決手段】基板上に形成されたパターンの表面に、シラザン結合を有する微細パターン形成用組成物を塗布し、硬化させることを含む、パターン形成方法。微細パターン形成用組成物の塗布の前に塩基性化合物を含む前処理組成物を塗布することもできる。この方法により形成された、微細パターン形成用組成物の硬化層を利用することで、別の微細化されたパターンを形成させることもできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体等の製造プロセスにおいて、レジストパターンを形成させる際、既に形成されたレジストパターンのピッチサイズまたはパターン開口サイズを縮小させる、微細パターン形成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的な光リソグラフィー技術を用いて、より微細なパターンを形成するためには、露光装置の改良が必要である。特に、ピッチサイズが60nm以下のパターンを光リソグラフィー技術で形成させるためには、近年開発された液浸光リソグラフィーなどの特別な装置が必要であり、莫大な投資が必要となる。
【0003】
このため、そのような高価な装置を用いることなく微細なパターンを得るための様々な技術が検討されている。その中で最も実用的な方法は、水溶性の樹脂および必要に応じて添加剤を含む組成物を用いて、形成済みのレジストパターン上に被覆層を形成させることにより、レジストパターンを微細化させるものである。この技術は、露光波長に関係なく光リソグラフィーの限界を超えた微細パターンの形成が可能である。このような技術は、まだ歴史が浅く、約10年前から実施されているものである。
【0004】
例えば、
(1)レジストパターンを形成させた後、ミキシング生成用レジストを塗布し、ベークを行ってミキシング層を形成させ、微細パターン寸法に現像を行い、パターンを形成させる方法(特許文献1)、
(2)ポジ型フォトレジストのパターンを基板上に形成させ、次いで電磁放射線を一様に照射した後に、水性塗料を均一に塗布すること、およびポジ型フォトレジストをアルカリ性の水溶液によって溶解剥離(リフトオフ)することによって水性塗料の微細なパターンを形成させる方法(特許文献2)、
(3)露光により酸を発生する材料を含むレジストパターンの上を、酸の存在下で架橋する材料を含むレジストで覆い、加熱または露光によりレジストパターン中に酸を発生させ、界面に生じた架橋層をレジストパターンの被覆層として形成させ、レジストパターンを太らせ、レジストパターンのホール径または分離幅の縮小が達成される方法(特許文献3)、
(4)少なくとも1個のイミノ基の水素原子がヒドロキシアルキル基で置換されたグリコールラウリルの中から選ばれた完全水溶性架橋剤、および水溶性樹脂を水系媒体に溶解して、微細パターン形成材料とすると共に、基板上に酸発生剤を含む化学増幅型レジストを用いてレジストパターンを形成させたのち、この上に前記微細パターン形成材料からなる塗膜を設け、加熱処理してレジストパターンと塗膜との界面に水不溶性の反応層を形成させ、次いで水系溶剤により塗膜の非反応部分を除去することにより、微細パターンを形成させる方法(特許文献4)、
(5)レジストパターンの表層部に酸の存在により架橋する架橋剤と膨潤促進剤とを含む薬液を浸透させて表層部を膨潤させ、レジストパターンの膨潤した表層部に架橋膜を形成させて第2のレジストパターンを形成させる方法(特許文献5)、
(6)酸成分を含む第1の上層膜でレジストパターンを覆い、さらにその上に塩基性成分を含む第2の上層膜を形成させた後、熱処理により酸成分を第1のレジストパターン中に、塩基性成分を第1の上層膜中にそれぞれ拡散させて、レジストパターン中に溶解化層を形成させながら第1の上層膜と第2の上層膜との界面近傍で酸成分を塩基性成分により中和させて、溶解化層を除去してパターン幅を縮小させる方法(特許文献6)、
(7)基板上に形成されたレジストパターンの全面又は一部に、(メタ)アクリル酸モノマーと水溶性ビニルモノマーとからなるコポリマーを含むレジストパターン微細化用被覆形成剤を塗布し、さらに加熱することによって、レジストパターンを熱収縮させてパターンを微細化させる方法(特許文献7)、
(8)界面活性剤含有液を塗布した後、樹脂および界面活性剤を含有するレジストパターン厚肉化材料を塗布するレジストパターンの形成方法(特許文献8)
などが提案されている。
【0005】
これらの方法は、概ね光リソグラフィーの分解限界を超えた微細パターンを簡単に形成することができる。しかしながら、これらの方法でパターン表面に形成された被膜は、一般に有機物質から形成されているためにエッチング耐性に劣る傾向があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平5−166717号公報
【特許文献2】特開平7−191214号公報
【特許文献3】特開平10−73927号公報
【特許文献4】特開2000−267268号公報
【特許文献5】特開2001−100428号公報
【特許文献6】特開2002−6512号公報
【特許文献7】特開2003−84459号公報
【特許文献8】特開2004−191465号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記のようにパターンを微細化させる方法において、パターン表面に形成された被膜のエッチング耐性を改良するためには被膜を無機材料で形成させることが考えられる。本発明者らの検討によれば、その被膜をポリシラザン組成物に由来するシリカ質材料で形成させることによりエッチング耐性を改良することができることが見出され、本発明が完成された。そして、本発明は、単にポリシラザンの組成物を用いるだけではなく、より厚い被膜を形成させて、より微細なパターンを形成させることができ、かつドライエッチング耐性をさらに改良できる方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施態様による微細パターン形成方法は、
基板の表面上に、凸部を有する第一の凸パターンを形成させる工程、
前記第一の凸パターン上にシラザン結合を有する繰返し単位を含んでなる樹脂と、前記樹脂を溶解し、かつ前記凸パターンを溶解しない溶剤とを含んでなる樹脂組成物を塗布する塗布工程、
前記塗布工程後の基板を加熱して、前記凸部に隣接した部分に存在する前記樹脂組成物を硬化させる硬化工程、
前記硬化工程後の基板をリンス処理して未硬化の樹脂組成物を除去する工程、および
前記凸部の上側表面に形成された硬化層を除去することにより、前記凸部の側壁に前記第一の凸パターンを構成する物質とは異種の物質からなる層を形成させる工程
を含んでなることを特徴とするものである。
【0009】
本発明の別の実施態様による微細パターン形成方法は、
基板の表面上に、凸部を有する第一の凸パターンを形成させる工程、
前記第一の凸パターン上に、塩基性化合物を含んでなる前処理組成物を塗布する前処理工程、
前記第一の凸パターン上にシラザン結合を有する繰返し単位を含んでなる樹脂を含んでなる樹脂組成物を塗布する塗布工程、
前記塗布工程後の基板を加熱して、前記凸部に隣接した部分に存在する前記樹脂組成物を硬化させる硬化工程、
前記硬化工程後の基板をリンス処理して未硬化の樹脂組成物を除去する工程、
前記凸部の上側表面に形成された硬化層を除去することにより、前記凸部の側壁に前記第一の凸パターンを構成する物質とは異種の物質からなる層を形成させる工程、および
前記凸部を除去することにより、前記の異種の物質からなる微細な第二の凸パターンを形成させる工程
を含んでなることを特徴とするものである。
【0010】
本発明のさらに別の実施態様による微細パターン形成方法は、
基板の表面上に、凸部を有する第一の凸パターンを形成させる工程、
前記第一の凸パターン上に、塩基性化合物を含んでなる前処理組成物を塗布する工程
前記第一の凸パターン上にシラザン結合を有する繰返し単位を含んでなる樹脂を含んでなる樹脂組成物を塗布する塗布工程、
前記塗布工程後の基板を加熱して、前記凸部に隣接した部分に存在する前記樹脂組成物を硬化させる硬化工程、
前記硬化工程後の基板をリンス処理して未硬化の樹脂組成物を除去する工程、
前記凸部の上側表面に形成された硬化層を除去することにより、前記凸部の側壁に前記第一の凸パターンを構成する物質とは異種の物質からなる層を形成させる工程、
前記第一の凸パターンと同等の材質をスペース部に対して埋め込み、第一の凸パターンに対する補填パターンを形成させる工程、および
前記異種の物質からなる層を除去する事により、前記第一の凸パターンと前記第一の凸パターンに対する補填パターンとからなる、微細パターンを形成させる工程
を含んでなることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、従来の方法で形成されたパターンを微細化し、同時にドライエッチング耐性を改良することができる。そして、前処理組成物による処理を組み合わせることにより、パターンをより微細化できるとともに、パターンサイズの調整が可能となる。さらには、前処理組成物にポリマーを用いることでより高いドライエッチング耐性を同時に達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施態様による微細パターン形成方法を模式的に示す図。
【図2】本発明のほかの一実施態様による微細パターン形成方法を模式的に示す図。
【図3】本発明のほかの一実施態様による微細パターン形成方法を模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
微細パターン形成方法
本発明の一実施態様による微細パターン形成方法は、微細パターン形成用組成物としてシラザン結合を有する繰り返し単位を含んでなる樹脂と、前記樹脂を溶解し、かつレジストパターンを溶解しない溶剤とを含んでなる微細パターン形成用組成物を用いることを除いて、従来公知の方法が用いられる。したがって、レジストパターンを形成するために用いられるフォトレジスト、およびこれを用いてのレジストの形成方法は従来公知のフォトレジストおよび従来公知のレジスト形成法のいずれのものであってもよい。なお、レジストパターンは、一般的に用いられている任意のものを用いることができる。また、微細パターン形成用組成物によるレジストパターンへの被覆法は従来公知の方法の何れの方法も用いることができる。
【0014】
本発明による微細パターン形成方法の一実施態様を図を用いて説明すると以下の通りである。なお、以下の説明においては、例としてArFレジストによりレジストパターンが形成された場合を説明する。
【0015】
図1(a)〜(g)は、レジストパターンの表面に本発明の微細パターン形成用組成物を用いて、パターンを微細化させる方法を説明するための概念図である。各図においては、基板1、レジストパターン2、微細パターン形成用組成物層3、および微細パターン形成用組成物層が硬化することにより形成される硬化層4を模式断面図として示している。
【0016】
まず、例えば半導体基板などの基板1上に、レジスト(例えばポジ型化学増幅レジスト)を塗布して、通常の方法で露光および現像して、ポジのレジストパターン2を形成させる。ここで、用いられるレジストは特に限定されず、一般的に用いられるものから任意に選択することができる。また、基板も目的に応じて、ガラスや金属などからなる基板や、支持体上に半導体層や樹脂層が形成された基板などを用いることができる。特に、本発明の方法により形成されるパターンをパターンマスクとして、基板表面に形成された半導体層や樹脂層を加工して、微細なパターン、またはさらなるパターン形成のためのパターンマスクを形成させようとする場合には、そのような加工に適した膜を基板上に設けておくこともできる。このような種々の基板の詳細については後述する。
【0017】
次いで、必要に応じて、図1(a)に示すように、このレジストパターン2の表面を覆うように前処理組成物を塗布する。言い換えれば、必要に応じて微細パターン形成用組成物の塗布の前に、前処理組成物を塗布することができる。
【0018】
本発明において必要に応じて用いられる前処理組成物は、塩基性化合物を含むものである。この塩基性化合物は、この後に塗布される微細パターン形成用組成物に含まれる、シラザン結合を有する樹脂が硬化する反応の触媒として作用して、硬化層を厚くする、および/または硬化層のドライエッチング耐性を改良する効果を有するものと考えられ、前処理組成物による前処理を行うことが好ましい。
【0019】
このような塩基性化合物としては、任意のものを用いることができるが、金属イオンを含む塩基性化合物は、形成されるパターンを半導体素子などに用いる場合には問題を起こすことがある。このために、塩基性化合物は金属イオンを含まないものが好ましい。
【0020】
このような塩基性化合物の一つとして、比較的分子量の小さい、例えば分子量が1000以下の、窒素含有塩基性化合物からなる群から選択されるものが好ましい。このような窒素含有塩基性化合物は、微細パターン形成用組成物が硬化する際に触媒として作用するものと考えられている。具体的には、窒素含有塩基性化合物が、下記一般式(A)〜(C)で表されるものであることが好ましい。
【化1】

(式中、R〜Rは、それぞれ独立に、水素、炭素数1〜4の飽和炭化水素基、および炭素数1〜4のアルカノール基からなる群から選択される基であるか、R〜Rのうちの2つが共有結合により結合されて炭素数2〜5の炭素環、含酸素炭素環、または含窒素炭素環を形成しており、ただし、式(A)および(B)において、R〜Rは同時に水素ではなく、nは1〜3の数である。)
【0021】
このような窒素含有塩基性化合物のうち、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ピペリジン、ピペラジン、ヒドロキシエチルピペラジン、エタノールアミン、イソプロパノールアミン、ジエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、2−(2−アミノエチルアミノ)エタノール、モルホリン、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、およびテトラエチルアンモニウムハイドロオキサイドからなる群から選択されるものは、入手が容易であると同時に安価であり、取り扱い性の点からも好ましい。また、上記一般式で示される窒素含有塩基性化合物のうち、1級アミンおよび2級アミンを用いると、後述する樹脂組成物により形成される被膜の厚さの変動が小さく、調整しやすくなり、製造における量産性が高くなるので好ましい。
【0022】
用いられる窒素含有塩基性化合物が常温で液体のものは、溶媒を用いなくても前処理組成物として用いることができる場合がある。しかしながら、塗布性などの観点から、本発明における前処理組成物は、一般に溶媒を更に含んでなる。このような溶媒としては、形成されているパターンの形状を損なわないものであることが好ましい。具体的には、水、1価アルコール、エーテル、環状エーテル、多価アルコールのアルキルエーテル、多価アルコールのアルキルエーテルアセテート、高級炭化水素などが挙げられる。このうち、水は、あらかじめ形成されているパターンや引き続き形成される樹脂組成物層などを溶解することが少なく、悪影響が少ないので好ましい。また、有機溶媒は前処理組成物の成分の溶解性改良などの理由がある場合に、本発明の効果を損なわない範囲で用いることができる。
【0023】
これらの窒素含有塩基性化合物は、前処理組成物の全重量を基準として、好ましくは0.001〜10重量%、より好ましくは0.01〜6重量%の濃度で前処理組成物に添加される。
【0024】
また、本発明における前処理組成物は、前記した窒素含有塩基性化合物よりも分子量が大きい、塩基性ポリマーを含むことにより、形成される被膜のドライエッチング耐性が改良されるので好ましい。このような塩基性ポリマーとしては、ビニルイミダゾール、エチレンイミン、ビニルアミン、アリルアミン、アミン基含有アクリル酸、アミン基含有メタクリル酸またはそれらの混合物を重合単位として含むものが好ましい。これらを重合単位として含むホモポリマーである、ポリビニルイミダゾール、ポリエチレンイミン、ポリビニルアミン、ポリアリルアミンは好ましい塩基性ポリマーの例である。また、アクリル酸、メタクリル酸、ビニルピロリドン、ビニルアルコール、酢酸ビニルこれらのポリマーは、本発明の効果を損なわない範囲でその他の重合単位や置換基を有していてもよい。特に酸性の重合単位を含む場合には、ポリマー全体が塩基性であることが好ましい。ポリマーの大きさは特に限定されないが、一般に重量平均分子量が1000以上であることが好ましい。
【0025】
これらの塩基性ポリマーを用いる場合には、一般に前処理組成物の全重量を基準として0.1〜20重量%、好ましくは1〜6重量%の濃度で用いられる。また、塩基性ポリマーはその種類によって塩基性度が異なるが、前処理組成物のpHが7を超えることが好ましく、pHが8〜12となる量の塩基性ポリマーを含むことが好ましい。pHが8以上であるとドライエッチング耐性の改良が顕著となり、またpHが12以下であると、後述する樹脂組成物による被膜の厚さの制御が容易となるためである。
【0026】
これらの塩基性化合物は2種類以上を組み合わせて用いることもできる。特に、窒素含有塩基性化合物と塩基性ポリマーとを組み合わせて用いることにより、形成されるパターンをより微細にすることができ、かつドライエッチング耐性も顕著に改良できるので好ましい。また、前処理組成物は塩基性化合物を含むものであるが、必要に応じて、さらなる成分を含むこともできる。例えば、塩基性ポリマー以外のポリマー、例えばアクリルポリマー、メタクリルポリマー、ポリビニルアルコール、酢酸ビニルポリマーなどを含むことができる。また、塗布性改良のための界面活性剤などを用いることもできる。
【0027】
前処理組成物を塗布した後、必要に応じてベークすることができる。ベークによって不溶な溶媒を除去したり、ポリマー成分を含む場合にはそれを硬化させたりすることができる。このようなベークは、用いられる前処理組成物の種類によって、好ましい条件が変化するが、一般には 40〜180℃、好ましくは70〜140℃で、20〜120秒、好ましくは60〜90秒、行う。
【0028】
なお、前処理組成物は、形成されているパターンの表面に塗布されれば十分である。しかしながら、簡便に処理するために、図1(a)に示されるように、露出した基板などを含め、パターンが形成された表面全体に塗布されても差し支えない。
【0029】
このようにして前処理組成物を塗布した後、必要に応じて水などでリンスを行い、余剰の前処理組成物を除去することもできる。
【0030】
必要に応じて前処理が施されたパターンに対して、引き続き微細パターン形成用組成物を塗布する(図1(b))。なお、図1(b)には図示されていないが、前処理を行い、かつ前処理組成物がポリマーを含む場合には、パターン2の表面に前処理組成物の層が形成されることもある。
【0031】
ここで用いられる微細パターン形成用組成物は、シラザン結合を有する繰り返し単位を含んでなる樹脂を含んでなるものである。ここでシラザン結合とはSi−N結合を意味し、他の単位と結合するための結合手を有し、残余の結合手は任意の置換基で置換されている。一般には、置換基は水素や炭化水素基であるが、ケイ素を含有する基や、水酸基、カルボキシル基、アミノ基などの官能基で置換されていてもよい。また、繰り返し単位の結合手は2以上であり、結合手が3以上である場合には、樹脂は2次元または3次元の構造をとり得る。
【0032】
このような繰り返し単位の好ましい例として、下記式(I)で表されるものを挙げることができる。
【化2】

式中、R〜Rは、それぞれ独立に、水素、炭素数1〜6の飽和炭化水素基、および炭素数1〜6の飽和炭化水素基を有するシラザン基からなる群から選択される基である。飽和炭化水素基は、線状、分岐鎖状、または環状のいずれであってもよい。
【0033】
上記の式(I)で表される樹脂は、一般にポリシラザンと呼ばれるものである。このポリシラザンは、R〜Rは、そのいずれかが式(I)で表されるようなシラザン基であると、2次元または3次元構造をとることができる。また、上記式(I)で表される繰り返し単位は、2種類以上を組み合わせることもできる。
【0034】
このような樹脂のうち、ケイ素、窒素、および水素だけからなるペルヒドロポリシラザンは好ましいものの一つである。そのうちの一つは、式(I)においてR〜Rのすべてが水素であるものである。また、ほかのペルヒドロポリシラザンは、繰り返し単位として、
−(SiHNH)−と−(SiHN)<とを有し、末端が水素または−SiHであるものである。このペルヒドロポリシラザンは、繰り返し単位の配合比で種々の構造を取り得るが、例えば以下のような構造が例示できる。
【化3】

【0035】
このような樹脂の分子量は、適用するレジストの種類や、目的とするパターンの種類などに応じて、任意に選択されるが、重量平均分子量で500〜100,000であることが好ましく、600〜10,000であることがより好ましい。
【0036】
本発明において用いられる微細パターン形成用組成物は、溶剤を含んでなる。この溶剤は、前記樹脂を溶解し得るものである必要がある。すなわち、レジストパターン上に組成物を塗布する際には、組成物が均一であることが好ましいからである。したがって、溶剤に対する樹脂の溶解度は、組成物が均一となる程度に溶解すればよい。一方、レジストパターン上に塗布した際に、溶剤がパターンを溶解してしまうと、パターンの微細化の前にパターンが破壊されてしまう可能性があるため、レジストパターンを溶解しないものである必要がある。さらには、前記樹脂とは反応しないものであることが好ましい。
【0037】
微細パターン形成用組成物に用いることができる溶剤は、上記の条件を満たすものであれば任意のものを選択することができる。また、用いる樹脂の種類や、適用するレジストの材料などに応じて選択できる。このような溶剤としては、(a)エーテル類、例えばジブチルエーテル(DBE)、ジプロピルエーテル、ジエチルエーテル、メチル−t−ブチルエーテル(MTBE)、およびアニソールなど、(b)飽和炭化水素、例えばデカリン、n−ペンタン、i−ペンタン、n−ヘキサン、i−ヘキサン、n−ヘプタン、i−ヘプタン、n−オクタン、i−オクタン、n−ノナン、i−ノナン、n−デカン、i−デカン、エチルシクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘキサン、およびp−メンタンなど、(c)不飽和炭化水素、例えばシクロヘキセン、およびジペンテン(リモネン)など(d)ケトン類、例えばメチルイソブチルケトン(MIBK)、(e)芳香族炭化水素、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、トリメチルベンゼン、およびトリエチルベンゼンなど、が挙げられる。これらの中で好ましいのは、(a)エーテル類および(b)飽和炭化水素からなる群から選択される溶剤であり、より具体的にはジブチルエーテル、およびデカリンは樹脂やレジスト材料の種類が変化しても広範に適用可能であり、好ましい溶剤である。これらの溶剤は、必要に応じて2種類以上を組み合わせて用いることもできる。
【0038】
本発明において用いられる微細パターン形成用組成物は、前記樹脂を前記溶剤に溶解させたものであるが、その濃度は特に限定されない。しかしながら、レジスト表面への塗布性や、所望の微細化の程度などに応じて適宜調整することができる。一般には、組成物の全重量を基準として、前記樹脂の含有量が0.01〜30%であることが好ましく、0.3〜5%であることがより好ましい。
【0039】
本発明における微細パターン形成用組成物は、必要に応じてその他の添加剤を含んでいてもよい。そのような添加剤としては、界面活性剤、レベリング剤、可塑剤などが挙げられる。
【0040】
このような微細パターン形成用組成物を塗布し、被覆層3を形成させる。この塗布により、組成物中の樹脂6がレジストパターンに物理的に吸着する(図1(c))。
【0041】
レジスト表面に吸着した樹脂はレジスト中に浸透し、レジスト膜が膨潤される(図1(d))。ここで、レジストを加熱することにより、樹脂の浸透および、樹脂とレジストとの反応が促進される(図1(e))。そして、レジストパターンの作成時に露光されなかった部分では樹脂とレジストとの反応がほとんど起こらず、硬化層の厚さは薄くなる。一方、露光された部分、もしくは露光された部分の近傍、例えば、図1におけるレジストパターンの側壁では樹脂とレジストとの反応が起こりやすく、硬化層が厚く形成される。反応が終了すると、硬化層4が形成される(図1(f))。この硬化層は、最初のレジスト表面に物理吸着した樹脂がレジストの表面だけでなくレジストの内部まで浸透してから不溶化した層であり、結果的にパターンが収縮される。そして、最後に未反応の微細パターン形成用組成物を、溶剤によりリンス処理して除去し、微細化されたパターンを得ることができる(図1(g))。ここで、前記した前処理が行われている場合には、このようなレジストと樹脂との反応に対して、前処理組成物により供給された塩基性化合物が触媒として寄与すると考えられており、このために前処理を行わない場合に比べて、硬化層がより厚くなる。一般に前処理組成物を用いない場合には硬化層が15nm程度である場合、本発明による前処理を行うとその3倍程度まで硬化層を厚くすることができる。
【0042】
上記のとおり、レジストパターン2の表面のうち、主としてパターンの側壁、具体的にはホールやトレンチにおいては内壁、ラインパターンにおいては外壁に硬化層4が形成されることにより、レジストパターン間の幅が狭まり、レジストパターンのピッチサイズまたはホール開口サイズを実効的に限界解像以下に微細化することが可能となる。
【0043】
上記レジストパターン2を形成させるために用いることのできる感放射線性樹脂組成物は、従来公知、公用の感放射線性樹脂組成物であれば何れのものでもよい。感放射線性樹脂組成物としては、例えば、ノボラック樹脂、ヒドロキシスチレン系樹脂、アクリル系樹脂などのアルカリ可溶性樹脂およびキノンジアジド化合物を含むポジ型レジスト、光照射により酸を発生しこの発生した酸の触媒作用を利用してレジストパターンを形成する化学増幅型のポジまたはネガ型レジストなどを挙げることができるが、光照射により酸を発生しこの発生した酸の触媒作用を利用してレジストパターンを形成する化学増幅型のポジ型レジストが好ましい。レジスト材料としては既に多数のものが提案され、また市販もされており、これら公知、公用のレジスト材料は何れのものであってもよい。また、感放射線性樹脂組成物を用いてのレジストパターン形成方法は、塗布方法、露光方法、ベーク方法、現像方法、現像剤、リンス方法などを含め従来知られた何れの方法を用いることもできる。
【0044】
本発明によるパターン形成方法において、微細パターン形成用組成物を塗布する方法は、例えば感放射線性樹脂組成物を塗布する際に従来から使用されている、スピンコート法、スプレーコート法、浸漬塗布法、ローラーコート法など適宜の方法を用いればよい。塗布された被覆層は、必要に応じプリベークされて、微細パターン形成用組成物層3とされる。微細パターン形成用組成物層の加熱処理の条件は、例えば60〜250℃、好ましくは80〜170℃、の温度、10〜300秒、好ましくは60〜120秒程度であり、レジストパターンと微細パターン形成用組成物層のインターミキシングが起る温度であることが好ましい。ここで、加熱処理の温度が過度に高いと、硬化層4が厚くなりすぎて、パターンの間が埋まってしまうことがあるので注意が必要である。形成される微細パターン形成用組成物層の膜厚は、加熱処理の温度と時間、使用する感放射線性樹脂組成物及び前処理組成物などにより適宜調整することができる。したがって、レジストパターンをどの程度まで微細化させるか、言い換えればレジストパターンの幅をどの程度広げることが必要とされるかにより、これら諸条件を設定すればよい。しかし、被覆層の厚さはレジストパターンの表面からの厚さで、一般に0.01〜100μmとするのが一般的である。
【0045】
さらに、加熱により形成された硬化層4を残し、未反応の微細パターン形成用組成物層3を除去するリンス処理のために用いられる溶剤としては、硬化層に対しては溶解性が低く、微細パターン形成用組成物に対しては溶解性が高いものが選択される。より好ましいのは、微細パターン形成用組成物に用いられている溶剤をリンス処理に用いることが好ましい。
【0046】
以上、本発明による微細パターン形成方法の一例を説明したが、この方法を応用して、より微細なパターンを形成することも可能である。すなわち、本発明において用いられる微細化パターン形成用組成物により形成される硬化層は、ポリシラザンに由来するものであるため、比較的機械的強度が高く、エッチング耐性に優れている。このため、それ自体を独立したパターンとすることができる。以下にその例を説明する。
【0047】
別の実施態様による微細パターン形成方法
以下、図2(a)〜(h)を参照しながら、前記した微細パターンの形成方法を利用した、別の実施態様によるパターン形成方法について詳細に説明すると以下の通りである。図2(a)〜(h)は、各パターンの長さ方向に垂直な方向の断面図を表すものである。
【0048】
先ず、基板100上に凸部を有する第一の凸パターン104を形成させる(図2(a))。ここで、図2に示された例では、基板100は、支持体101の上に、被加工膜102および加工補助用中間膜103が積層されている。ここで説明される例においては、まず加工補助用中間膜103が本発明の一つの実施態様によって微細なパターンマスク501に加工され、さらにその微細なパターンマスク501を用いて、被加工膜102がエッチングなどにより加工されて微細なパターン601が形成される方法を説明する。しかし、基板の構造はこの例に限定されない。基板のその他の構造については後述する。
【0049】
図2に示された基板は以下のように形成させる。まず、例えばシリコン基板やガラス基板などの支持体上に、最終的に加工されてパターンとなる被加工膜102を形成させる。このとき、あらかじめ支持体の表面上に被加工膜102の密着性を改良すること、支持体の平面性を改良すること、エッチング処理などにおける加工性を改良することを目的に、前処理用中間膜(図示せず)を設けることもできる。このような場合には、被加工膜102はそのような前処理用中間膜を介して支持体101上に形成される。
【0050】
本発明において、最終的に加工される被加工膜102は目的に応じて任意のものを用いることができ、特に限定されるものではない。被加工膜の材料としては、(a)導電性材料、例えばアルミニウム(Al)、アルミニウムシリサイド(AlSi)、銅(Cu)、タングステン(W)、タングステンシリサイド(WSi)、チタン(Ti)、もしくは窒化チタン(TiN)等、(b)半導体材料、例えばゲルマニウム(Ge)、もしくはシリコン(Si)等、または(c)絶縁性材料、例えば酸化シリコン(SiO)、窒化シリコン(SiN)、酸化窒化シリコン(SiON)、もしくは有機樹脂等の有機材料を挙げることができる。
【0051】
これらの材料は、目的とするパターンの用途に応じて選択される。すなわち、最終的な半導体デバイス等に組み込まれるパターンの直接的な原料となる被加工膜は、例えば金属配線層や、層間絶縁膜に加工されるものであり、それに応じた材料が選択される。例えば、パターンがトレンチアイソレーション構造、または低誘電の絶縁膜等として利用される場合には無機または有機の絶縁性材料が用いられ、また配線構造を形成させようとする場合には導電性材料が用いられる。有機材料が選択される場合には、例えば、ノボラック、ポリビニルフェノール、ポリメタクリレート、ポリアリーレン、ポリイミド、ポリアリーレンエーテル、カーボン等の炭素原子を含む有機材料が用いられる。
【0052】
次いで、被加工膜102上に、必要に応じて加工補助用中間膜103を形成させる。以下、加工補助用中間膜を形成させる場合について主に説明するが、そのような層を形成させない場合は、以下の説明において加工補助用中間膜を被加工膜に読み替えることができる。この理由は、本発明のもっとも重要な特徴のひとつは、被加工膜、または存在する場合には加工補助用中間膜の直上に、樹脂組成物に由来する微細なパターンマスクを形成させることにあり、そのマスクを利用して加工されるのが被加工膜または加工補助用中間膜のいずれであっても、マスクそのものの形成は実質的に影響を受けないからである。
【0053】
加工補助用中間膜を形成させる場合、この膜は支持体101上に設けることができるものとして前記した前処理用中間膜と同じものであっても、異なったものであってもよい。また、加工補助用中間膜の材料として、従来知られている反射防止膜などの材料を用いて、その機能をも持たせることができる。また、加工補助用中間膜が、多層レジスト法に用いる下層レジスト等に用いられる場合には、例えば、ノボラック、ポリビニルフェノール、ポリメタクリレート、ポリアリーレン、ポリイミド、ポリアリーレンエーテル、カーボン等の炭素原子を含む有機材料が用いられる。
【0054】
加工補助用中間膜の材料として有機材料を用いる場合には、その炭素含有量は10wt%以上であることが好ましい。その理由は、炭素含有量が10wt%以上であれば、エッチングを行う過程で、後述する樹脂組成物により形成される層とのエッチング選択比、言い換えればエッチングレートの差が大きくなり、加工が容易となるからである。また、用途によって加工補助用膜の膜厚は異なるが、一般に20〜10000nmの範囲にあることが好ましい。その理由は、20nm以下では加工補助用中間膜に由来する最終的なパターンの目的が達成されないことがあり、10000nm以上では、後述するスペーサーパターンを被加工膜に転写する過程で、加工変換差が顕著に発生するためである。
【0055】
さらには、被加工膜や加工補助用中間膜の種類やエッチングの条件に応じて、加工補助用中間膜を複数積層することもできる。なお、特に被加工膜102上に加工補助用中間膜103を設ける場合には、加工補助用中間膜の材料は後述する樹脂組成物により形成されるスペーサー部をマスクとして用いてエッチングされ、そのエッチング後に下層である被加工膜をさらにエッチング処理するときのマスクとして機能するものが好ましい。この場合において、このマスク自体が微細なパターンを有する、微細パターンマスクとなる。また、支持体上に独立した被加工膜を形成させず、支持体表面に加工補助用中間膜103を直接形成させ、それを加工することにより、支持体表面を被加工膜として加工するための微細パターンマスクが形成される。
【0056】
次に、基板100の表面に、凸部を有する第一の凸パターン104を形成させる(図2(a))。この基板100の表面は、図示するように加工補助用中間膜103である場合のほか、後述するように、被加工膜102である場合、あるいは支持体101そのものである場合もある。第一の凸パターン104は、具体的には、レジスト(例えばボジ型化学増幅レジスト)組成物等を塗布して、通常の方法で露光および現像して形成させることができる。ただし、第一の凸パターン104の形成方法はそれには限定されず、その他の方法で形成させることもできる。例えば、レジスト組成物以外の材料からなる層を形成させ、その層をリソグラフィー技術等によって加工して第一の凸パターン104を形成させてもよい。
【0057】
上記第一の凸パターン104を形成させるために用いることのできる感放射線性樹脂組成物は、従来公知、公用の感放射線性樹脂組成物であれば何れのものでもよい。感放射線性樹脂組成物としては、例えば、ノボラック樹脂、ヒドロキシスチレン系樹脂、アクリル系樹脂などのアルカリ可溶性樹脂およびキノンジアジド化合物を含むポジ型レジスト、光照射により酸を発生しこの発生した酸の触煤作用を利用してレジストパターンを形成する化学増幅型のポジまたはネガ型レジストなどを挙げることができるが、光照射により酸を発生しこの発生した酸の触媒作用を利用してレジストパターンを形成する化学増幅型のボジ型レジストが好ましい。レジスト材料としては既に多数のものが提案され、また市販もされており、これら公知、公用のレジスト材料は何れのものであってもよい。また、感放射線性樹脂組成物を用いてのレジストパターン形成方法は、塗布方法、露光方法、ベーク方法、現像方法、現像剤、リンス方法などを含め従来知られた何れの方法を用いることもできる。
【0058】
また、最終的に微細なパターンを形成させるためには、第一の凸パターンがより微細であることが好ましい。このために、例えばArFやKrFを露光光源として用いるような微細パターンを形成する方法を用いることが好ましい。
【0059】
第一の凸パターンの膜厚は、後述するスペーサー部の膜厚に対応する。例えば、加工補助用中間膜103の膜厚が20〜10000nmの範囲にある場合、後述するスペーサー部401の膜厚は、20〜5000nmの範囲にあることが好ましいので、第一の凸パターンの膜厚もそれと同等とすべきである。その理由は、スペーサー部401の膜厚が20nmより薄い場合、加工補助用中間膜103をエッチングする過程で、マスクとなるスペーサー部401が消費されてしまい、加工補助用中間膜103を所定の寸法及び形状に加工することが困難になるからである。一方、第一の凸パターン104の膜厚を薄くすれば、それだけ、露光時の露光量余裕度、フォーカス余裕度、或は解像度を向上させることができる。また、スペーサー部401の膜厚が5000nmより厚い場合、第一の凸パターンとしてのレジストパターンを解像する事自体が困難となるばかりか、樹脂組成物自体を埋め込む事が困難になることがあるので注意が必要である。
【0060】
このようにして形成された第一の凸パターン上に、前処理組成物を塗布する。用いられる前処理組成物は、前記したものと同様のものを用いて、前記したものと同様の方法により塗布することができる。一般的に、前処理組成物を第一の凸パターン部分だけに塗布するのは一般的に困難であるため、パターンを有する表面全体に前処理組成物を塗布する。図2(a)には、前処理組成物が層105を形成する場合を示したが、前処理組成物がポリマー等の被膜形成成分を有していない場合には、明確な層が形成されないこともある。前処理組成物を塗布後、前記した方法と同様に、加熱または乾燥、その後にリンス処理によって不要な付着物の洗浄などを組み合わせることもできる。
【0061】
次いで、図2(b)に示すように、この第一の凸パターン104を覆うように微細パターン形成用組成物を塗布し、被覆層201を形成させる。ここで用いられる微細パターン形成用組成物は、前記した、シラザン結合を有する繰り返し単位を含んでなる樹脂を含んでなるものである。
【0062】
この微細パターン形成用組成物を前記と同様の方法で塗布し、加熱することによって、第一の凸パターンの近傍に存在する微細パターン形成用組成物が硬化して、硬化層301が形成される。この後、基板を溶剤によりリンス処理して未硬化の樹脂組成物を除去することにより、第一の凸パターンが硬化層301により被覆された、第一の凸パターンを微細化させたパターンを得ることができる(図2(c))。
【0063】
ここで、加熱により形成された硬化層301のみを残し、未反応の樹脂組成物を除去するリンス処理のために用いられる溶剤としては、硬化層に対しては溶解性が低く、樹脂組成物に対しては溶解性が高いものが選択される。より好ましくは、樹脂組成物に用いられている溶剤をリンス処理に用いる。
【0064】
次に、第一の凸パターン上に形成された硬化層を加工して、第一の凸パターンの凸部の側壁に第一の凸パターンを構成する物質とは異種の物質からなる層を形成させる。このような層を以下、便宜的にスペーサーと呼ぶ。このスペーサーを形成させるためには、第一の凸パターン上面を被覆する硬化層を選択的に除去する必要がある。この場合、選択的エッチングの方式としては、スペーサーを最終的に形成することが可能なものであれば、特に限定されることはない。例えば、硬化層側壁部を何らかの埋め込み剤にて保護した後のウェットエッチング方法、或は、ドライエッチング方法であれば、反応性イオンエッチング法、マグネトロン型反応性イオンエッチング法、電子ビームイオンエッチング法、ICPエッチング法、またはECRイオンエッチング法等のドライエッチング方法が挙げられる。前述の通り、硬化層はSiを中心として、その他の元素との化合物を形成する。ゆえに、ドライエッチング方法を用いる場合には、フッ素原子(F)を含むソースガスを用いることが好ましい。
【0065】
なお、前記した凸パターンおよびスペーサーが形成されている以外の部分である埋め込み底面、すなわち基板の表面にも、硬化層が形成されることがある。樹脂組成物の塗布方法や、硬化条件を調整することにより埋め込み底面に硬化層を形成させないこともできるが、一般的には埋め込み底面にも硬化層が形成される。このような場合には、それも除去する事が必要である。埋め込み底面の硬化層の除去は、前記のように凸パターンの凸部上側の硬化層を除去するのと同時に行うことが比較的簡便で好ましい。この場合にはエッチング条件を調整することで、凸部上側と埋め込み底面の硬化層を同時に除去する。しかしながら、埋め込み底面に形成された硬化層の除去は、微細なパターンマスクを利用して被加工膜をエッチング加工する前までの任意の段階、具体的には、第一の凸パターンの凸部上側の硬化層を除去する前、後述する第一の凸パターンの除去と同時、などに行うこともできる。ただし、加工補助用中間膜103が存在する場合には、それをエッチング加工する前に硬化膜の除去をすることが必要である。
【0066】
このような加工により、第一の凸パターンの凸部の側壁に第一の凸パターンを構成する物質とは異種の物質からなる層(スペーサー)401を形成させ、第二の凸パターン(図2(d))を形成させる。ここで、本発明においては、微細パターン形成用組成物を塗布する前に前処理組成物を塗布しているために、微細パターン形成用組成物の硬化反応が促進され、硬化層301が厚くなり、このためにスペーサー401の幅が厚くなる。言い換えれば、レジストパターンや微細パターン形成用組成物を変更しなくても、前処理組成物を変更することによって、スペーサー401の幅を制御することができる。
【0067】
次に、ドライエッチング法を用いて、第一の凸パターン104を除去してスペーサー401のみからなるマスク層を形成させ(図示せず)、さらにエッチング処理により、加工補助用中間膜103のうちスペーサー401に被覆されていない部分を除去する。すなわちスペーサー401からなる第二の凸パターンをマスクとして、加工補助用中間膜103をエッチングし、加工補助用中間膜に由来するパターン501を形成させる(図2(e))。ここで、第一の凸パターンの除去と、加工補助用中間膜または被加工膜の除去とは、エッチングの条件を調整するなどして独立に行うことも、また単一の条件で同時または連続して行うこともできる。ここで、エッチングの条件を調整し、第一の凸パターンのみを除去した段階で処理を終了させると、スペーサー401のみからなるマスク層を得ることができる。パターン501は、初期に形成させた第一の凸パターン104がライン・アンド・スペースであった場合には、各ラインの両側にラインパターンとしてスペーサーが形成される。したがって、ラインパターンの数を考えると、2倍のパターンが形成されることとなる。したがって、このような方法はパターンを2倍化させる方法ということもできる。
【0068】
なお、パターン501を形成させるエッチングに先立って、第一の凸パターン間のスペース部に樹脂等を埋め込むことが好ましい。すなわち、エッチング処理において第二の凸パターンは側壁の一部が露出しているため、エッチングの効果によって幅が狭くなることがあるので、樹脂の埋め込みによって第二の凸パターンを保護することが好ましい。このような樹脂としては種々のものから任意に選択できるが、第一の凸パターンと同等のエッチング選択比を有する有機物が好ましい。このような有機物としては、例えばポリビニルピロリドンなどを溶剤に溶解させたものが挙げられる。
【0069】
この場合、ドライエッチングの方式としては、加工補助用中間膜103を加工することが可能なものであれば、特に限定されることはない。例えば、反応性イオンエッチング法、マグネトロン型反応性イオンエッチング法、電子ビームイオンエッチング法、ICPエッチング法、またはECRイオンエッチング法等、微細加工が可能なものから適切に選択することができる。ソースガスとしては、酸素原子(O)、窒素原子(N)、塩素原子(Cl)、臭素原子(Br)からなる群のうち、少なくとも何れか一つを含むガスを用いることが好ましい。これらの原子を含むガスを用いて放電させて得られたエッチャントに対して、無機元素と酸素の結合をもった化合物は、不活性であるためスペーサー部に対して好適に作用する。
【0070】
このために、加工補助用中間膜103を異方性良くエッチング加工することが可能になる。酸素原子を含むエッチングガスとしては、O、CO、CO、窒素原子を含むエッチングガスとしては、N、NH、塩素原子を含むエッチングガスとしては、Cl、HCl、BCl、また、臭素原子を含むエッチングガスとしては、HBr、Brを挙げることができる。これらのエッチングガスは、混合して使用しても良い。さらに、エッチングガスには、硫黄原子(S)を含んでいても良く、その理由は、被加工膜を異方性良く加工できるからである。この他に、アルゴン(Ar)、ヘリウム(He)などのガスを含んでいても良い。
【0071】
パターン501が形成された後、パターン501上に残ったスペーサー401は必要に応じて除去される(図2(f))。これにより被加工膜102を加工するためのマスクとして利用できる微細パターンが形成される。また、加工補助用中間膜が形成されていない場合には、被加工膜が加工された微細パターンが形成される。この場合例えば、ウェットエッチング方法、或は、ドライエッチング方法であれば、反応性イオンエッチング法、マグネトロン型反応性イオンエッチング法、電子ビームイオンエッチング法、ICPエッチング法、またはECRイオンエッチング法等のドライエッチング方法が挙げられる。前述の通り、硬化層はSiを中心として、その他の元素との化合物を形成する。ゆえに、ドライエッチング方法を用いる場合には、フッ素原子(F)を含むソースガスを用いることが好ましい。しかしながら、被加工膜102が空間露出している為、被加工膜を痛めない方法を前述の方法群から選択する必要がある。
【0072】
次いで、このパターン501をエッチングマスクとして被加工膜102の加工を行う。この被加工膜の加工方法としては、例えば、ウェットエッチング方法、またはドライエッチング方法を用いることができ、より具体的には、反応性イオンエッチング法、マグネトロン型反応性イオンエッチング法、電子ビームイオンエッチング法、ICPエッチング法、またはECRイオンエッチング法等のドライエッチング方法が挙げられる。被加工膜の材質に応じてエッチャントを選択することが一般的である。
【0073】
このような被加工膜の加工により、被加工膜からなる微細なパターン601が形成され(図2(g))、さらに必要に応じて、マスクとして残存していたパターン501が除去される。
【0074】
上記の説明においては、支持体上に被加工膜および加工補助用中間膜が形成された基板を用い、その上に直接形成された微細なパターンマスクを用いて微細パターンを形成させる方法を説明した。しかし、本発明による方法はそれに限定されず、支持体だけで構成された基板や、支持体上に被加工膜を有するが、加工補助用中間膜を有さない基板を用いることができる。いずれの場合にも、基板の表面、言い換えれば第一の凸パターンが形成された直下の膜あるいは支持体の表面部分を本発明の方法によって加工することによって、微細なパターンを形成させることができる。また、加工補助用中間膜を複数積層し、その最上層、すなわち第一の凸パターンが形成された直下の膜を本発明の方法によって加工して、微細なパターンマスクを形成させ、そのパターンマスクを用いてその直下にある次の加工補助用中間膜をエッチングなどにより加工して次のパターンマスクを形成させることもできる。言い換えれば、本発明の方法によって基板の表面が加工されるが、得られる微細なパターンは、そのパターンに応じた別の微細なパターンを形成させるためのパターンマスクにも使用できるのである。
【0075】
さらには、例えば、ベアなガラス基板等の透明支持体に加工補助用中間膜103を形成させた基板を本発明による方法により加工することにより独立した微細パターンマスクを形成させ、さらにそれを別に準備された絶縁材料膜や導電性材料膜の上に形成されたレジスト膜に密着させて露光する、いわゆるコンタクト露光を行うことによりパターンを形成させたり、基板上に上記した方法に従って形成された微細なパターンマスクを、別に準備された絶縁材料膜や導電性材料膜の上に転写してから、そのパターンマスクを介してエッチングを行ってパターンを形成させたりすることもできる。言い換えれば、本発明の方法によって基板の表面が加工されるが、得られる微細なパターンは、そのパターンに応じた別の微細なパターンを形成させるためのパターンマスクにも使用できるのである。
【0076】
さらに別の微細パターン形成方法
前記した、別の実施態様による微細パターン形成方法が、第一の凸パターンの凸部の側壁に形成されたスペーサーをマスクとしてパターンを形成するものであるのに対して、さらに別の実施態様による微細パターン形成方法は、スペーサーおよびスペーサーの下層を除去することによりパターンを形成するものである。このような本発明のもうひとつの実施形態について、図3(a)〜(h)を参照しながら詳細に説明すると以下の通りである。
【0077】
まず、前記の別の実施態様による微細パターンの形成方法と同様にして、第一の凸パターンの凸部の側壁にスペーサーを形成させる(図3(a)〜(d))。これまでの工程は、最初に説明した、基本的な微細パターン形成方法と同じである。
【0078】
次いで、第一の凸パターンの間のスペース部に第一の凸パターンと同等の物質104Aを埋め込む。(図3(e))。第一の凸パターンの間のスペース部はスペーサー401により微細化されているため、実質的にはスペーサーの間にある空間がスペース部となる。
【0079】
第一の凸パターンの間のスペース部に埋め込まれる、第一の凸パターンと同等の物質は、第一のパターンを形成するのに用いたものと同じものであることが好ましい。例えばレジスト樹脂等で第一の凸パターンを形成させた場合には、第一の凸パターンを形成させるのに用いたレジスト組成物をスペース部に充填し、硬化させることが好ましい。しかしながら、このスペース部に埋め込まれた材料は、後に第一の凸パターンに対する補填パターンを形成するものである。言い換えれば、スペース部に埋め込まれた材料が、第一の凸パターンに対して、追加の凸部を形成する。すなわち、最終的な微細パターンを形成する際に、第一の凸パターンと同様のマスク材料として機能することが必要なものである。したがって、ここで第一の凸パターンと同等の物質とは、第一の凸パターンを形成するのに用いられた物質と同一であることは必須ではなく、第一の凸パターンと同様のマスク材料として機能し、さらに第一の凸パターンと同様にエッチングや除去ができるものであればよい。
【0080】
また、最終的な微細パターンを形成させるマスク材料として機能させるためには、スペース部に埋め込む材料層の厚さは第一の凸パターンと同等の厚さを有することが好ましい。このため、埋め込みを行う際には、第一の凸パターンと同等の高さまで埋め込むことが好ましい。また、第一の凸パターン以上の高さまで埋め込みを行った後、第一の凸パターンと同等の高さになるまでエッチング処理等を行うことにより平坦化させることもできる。図3(e)においては、埋め込まれた材料104Aの高さは、第一の凸パターン104と区別するために異なった高さに記載されているが、この高さの差が少ないことが好ましい。
【0081】
引き続き、第一の微細パターン形成方法の項で述べたのと同様の方法により、スペーサー401を除去する(図3(f))。これにより、被加工膜102または加工補助用中間膜103をエッチング処理するためのマスクが形成される。このマスクは、第一の凸パターン104と、それに対する補填パターン104Aとからなるものである。そして、パターンマスクの開口部または溝等は、スペーサー401が存在した部分である。本発明においては、前処理組成物を用いることで硬化層301の厚さを調整することが可能であり、このためにスペーサー401の幅も調整できる。したがって、この実施態様においては、前処理組成物によって、マスクの開口部系または溝幅を調整することができるのである。
【0082】
第一の凸パターン104と、それに対する補填パターン104Aとからなるマスクを利用して加工補助用中間膜103を加工し(図3(g))、被加工膜102を加工するための微細パターンマスクが形成させる。さらにそのパターン化された加工補助用中間膜103をマスクとして被加工膜102を加工する(図3(h))。これにより、スペーサー401に対応する溝を有する微細なパターンを得ることができる。
【0083】
以上説明したとおり、本発明の微細パターンの形成方法は、本発明において特定された工程を含むことを必須とするが、それ以外には従来公知の方法を組み合わせることができる。したがって、第一の凸パターンにレジストパターンを用いる場合、レジストパターンを形成するために用いられるフォトレジスト、およびこれを用いてのレジストの形成方法は従来公知のフォトレジストおよび従来公知のレジスト形成法のいずれのものであってもよい。なお、レジストパターンは、一般的に用いられている任意のものを用いることができる。一方、第一の凸パターンは上記微細パターン形成後のフォトレジストをエッチングマスクとして下層をエッチングした後の凸パターンも使用可能である。
【0084】
本発明を諸例を用いて説明すると以下の通りである。
【0085】
調製例
まず、AZエレクトロニックマテリアルズ社製ポリシラザンをジブチルエーテル中に約10重量%の濃度で溶解させ、0.05ミクロンのフィルターで濾過して、ポリシラザン組成物(微細パターン形成用組成物)を調製した。
【0086】
次に、表1に示された通りの前処理用組成物を準備した。溶媒には純水を用い、各成分を溶解させることにより前処理組成物を調製した。なお、酢酸ビニル/ビニルアルコールコポリマーおよびビニルイミダゾール/ビニルピロリドンコポリマーはAZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製のものを、ポリエチレンイミンは関東化学株式会社製のものを、ポリアリルアミンはシグマ・アルドリッチ社製のものを用いた。
【0087】
比較例1〜3および実施例1〜30
KrFレジストDX5250P(商品名、AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製)を基板にスピンコーティングした後、通常の手法で露光して、ピッチ1:5のラインアンドスペースパターン(ライン幅180nm)を形成させた。次いで、表1に示す通り、パターンの表面に前処理組成物を塗布せず、または前処理組成物をそれぞれ塗布してからベーキングした。ベーキングは、表1に示した条件で行った。
【0088】
その後、それぞれの基板を純水で60秒リンスした後にスピン乾燥させた。更にその基板にポリシラザン組成物を塗布してから90℃/60秒ベークし、更にジブチルエーテルで60秒リンスした後にスピン乾燥して、実施例1〜30の試料を得た。
【0089】
また、実施例1と同様にレジストパターンを形成させたものを比較例1の試料とした。さらに、比較例1の試料に対して、表1に示す通り、パターンの表面に前処理組成物を塗布してからベーキングを行い、比較例2および3の試料を得た。比較例1〜3の試料にはポリシラザン組成物の塗布は行わなかった。
【0090】
得られたパターンに対して、側長走査型電子顕微鏡(S−9200(商品名)、株式会社日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて、ポリシラザン組成物を用いてパターン微細化処理する前及び処理した後のラインの寸法を測定し、パターン幅の増加量を算出した。
【0091】
更に、ドライエッチャー(NE5000N(商品名)、株式会社アルバック製)を用い、実施例1〜30および比較例1〜3のパターンに対するエッチング前後の膜厚差を測定し、比較例1のパターンに対するエッチング前後の膜厚差を1としたときの割合を算出し、ドライエッチング耐性を評価した。
【0092】
得られた結果は表1に示すとおりであった。
【0093】
【表1】

【0094】
表1の結果から、ポリシラザン組成物を用いてパターンを被覆することによって、パターン幅が増加して、パターンの微細化が達成されるが、さらに前処理組成物を用いた場合には窒素含有塩基性化合物を含む場合にはパターン幅増加量が増大し、また塩基性ポリマーを含む場合にはドライエッチング耐性が改善されることがわかった。
【0095】
比較例4および実施例31〜36
ArFレジストAX3110P(商品名、AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製)を基板にスピンコーティングした後、通常の手法で露光して、ピッチ1:1のトレンチパターン(トレンチ幅120nm)を形成させた(比較例4)。次に、表2に示された通りの前処理用組成物を準備した。溶媒には純水を用い、各成分を溶解させることにより前処理組成物を調製した。次いで、表2に示す通り、パターンの表面に前処理組成物を塗布せず、または前処理組成物をそれぞれ塗布した。更にその基板にポリシラザン組成物を塗布してから90℃/60秒ベークし、更にジブチルエーテルで60秒リンスした後にスピン乾燥した。
【0096】
得られたパターンに対して、側長走査型電子顕微鏡(S−9200(商品名)、株式会社日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて、ポリシラザン組成物を用いてパターン微細化処理する前及び処理した後のトレンチの寸法を測定し、パターン幅の増加量を算出た。
【0097】
得られた結果は表2に示すとおりであった。
【0098】
【表2】

【0099】
表2の結果から、窒素含有塩基性化合物の濃度を上げることでパターン幅増加量が増えることが分かった。
【0100】
比較例5および実施例38
ArFレジストAX3110P(商品名、AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製)を基板にスピンコーティングした後、通常の手法で露光して、ピッチ1:1のトレンチパターンを形成させた。次いで、パターンの表面に、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドを0.01重量%の濃度で純水に溶解させた前処理組成物を塗布した。更にその基板にポリシラザン組成物を塗布してから90℃/60秒ベークし、更にジブチルエーテルで60秒リンスした後にスピン乾燥した。
【0101】
さらに、CFをエッチングガスとして、ドライエッチャー(NE5000N(商品名)、株式会社アルバック製)によりパターン上面に形成されたポリシラザン組成物に由来する硬化層を除去した。さらにOガスを用いて、レジストに由来するパターンを除去することにより、ポリシラザン組成物に由来するシリカ質からなる第二の凸パターンを形成させた(実施例20)。この凸パターンのパターン幅は50nmであり、パターンの倒れはなかった。
【0102】
一方、前処理組成物の塗布と、その直後のベーキングを行わなかったほかは、実施例20と同様にして第二の凸パターンを形成させた(比較例5)。第二の凸パターンは得られたが、得られたパターンの幅が狭すぎ、パターンの倒れが認められた。
【符号の説明】
【0103】
1 基板
2 レジスト膜
3 微細パターン形成用組成物層
4 硬化層
5 前処理組成物層
6 吸着樹脂
100 基板
101 支持体
102 被加工膜
103 中間膜
104 第一の凸パターン
104A 埋め込み材料
105 前処理組成物層
201 被覆層
301 硬化層
401 スペーサー
501 中間膜に由来するパターン
601 微細パターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の表面上に、凸部を有する第一の凸パターンを形成させる工程、
前記第一の凸パターン上にシラザン結合を有する繰返し単位を含んでなる樹脂と、前記樹脂を溶解し、かつ前記凸パターンを溶解しない溶剤とを含んでなる樹脂組成物を塗布する塗布工程、
前記塗布工程後の基板を加熱して、前記凸部に隣接した部分に存在する前記樹脂組成物を硬化させる硬化工程、
前記硬化工程後の基板をリンス処理して未硬化の樹脂組成物を除去する工程、および
前記凸部の上側表面に形成された硬化層を除去することにより、前記凸部の側壁に前記第一の凸パターンを構成する物質とは異種の物質からなる層を形成させる工程
を含むことを特徴とする微細パターン形成方法。
【請求項2】
前記塗布工程の前に、塩基性化合物を含んでなる前処理組成物を塗布する前処理工程をさらに含む、請求項1に記載の微細パターンの形成方法。
【請求項3】
前記塩基性化合物が窒素含有塩基性化合物からなる群から選択される、請求項1に記載の微細パターン形成方法。
【請求項4】
前記窒素含有塩基性化合物が、下記一般式(A)〜(C)で表されるものである、請求項3に記載の微細パターン形成方法:
【化1】

(式中、R〜Rは、それぞれ独立に、水素、炭素数1〜4の飽和炭化水素基、および炭素数1〜4のアルカノール基からなる群から選択される基であるか、R〜Rのうちの2つが共有結合により結合されて炭素数2〜5の炭素環、含酸素炭素環、または含窒素炭素環を形成しており、ただし、式(A)および(B)において、R〜Rは同時に水素ではなく、nは1〜3の数である。)
【請求項5】
前記窒素含有塩基性化合物が、1級アミンまたは2級アミンである、請求項3または4に記載の微細パターン形成方法。
【請求項6】
前記窒素含有塩基性化合物が、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ピペリジン、ピペラジン、ヒドロキシエチルピペラジン、エタノールアミン、イソプロパノールアミン、ジエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、2−(2−アミノエチルアミノ)エタノール、モルホリン、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、およびテトラエチルアンモニウムハイドロオキサイドからなる群から選択される、請求項3〜5のいずれか1項に記載の微細パターン形成方法。
【請求項7】
前記塩基性化合物が、塩基性ポリマーである、請求項2に記載の微細パターン形成方法。
【請求項8】
前記塩基性ポリマーが、ビニルイミダゾール、エチレンイミン、ビニルアミン、アリルアミン、またはそれらの混合物を重合単位として含むものである、請求項7に記載の微細パターン形成方法。
【請求項9】
前記のシラザン結合を有する繰り返し単位が、下記式(I)で表されるものである、請求項1〜8に記載の微細パターン形成方法。
【化2】

(式中、R〜Rは、それぞれ独立に、水素、炭素数1〜6の飽和炭化水素基、および炭素数1〜6の飽和炭化水素基を有するシラザン基からなる群から選択される基である。)
【請求項10】
前記レジストパターンが、フォトレジストから形成されたものであるか、またはフォトレジストから形成されたパターンをマスクとしたエッチング処理により作製されたものである、請求項1〜9項のいずれか1項に記載の微細パターン形成方法。
【請求項11】
基板の表面上に、凸部を有する第一の凸パターンを形成させる工程、
前記第一の凸パターン上に、塩基性化合物を含んでなる前処理組成物を塗布する前処理工程、
前記第一の凸パターン上にシラザン結合を有する繰返し単位を含んでなる樹脂を含んでなる樹脂組成物を塗布する塗布工程、
前記塗布工程後の基板を加熱して、前記凸部に隣接した部分に存在する前記樹脂組成物を硬化させる硬化工程、
前記硬化工程後の基板をリンス処理して未硬化の樹脂組成物を除去する工程、
前記凸部の上側表面に形成された硬化層を除去することにより、前記凸部の側壁に前記第一の凸パターンを構成する物質とは異種の物質からなる層を形成させる工程、および
前記凸部を除去することにより、前記の異種の物質からなる微細な第二の凸パターンを形成させる工程
を含んでなることを特徴とする微細パターンの形成方法。
【請求項12】
基板の表面上に、凸部を有する第一の凸パターンを形成させる工程、
前記第一の凸パターン上に、塩基性化合物を含んでなる前処理組成物を塗布する工程
前記第一の凸パターン上にシラザン結合を有する繰返し単位を含んでなる樹脂を含んでなる樹脂組成物を塗布する塗布工程、
前記塗布工程後の基板を加熱して、前記凸部に隣接した部分に存在する前記樹脂組成物を硬化させる硬化工程、
前記硬化工程後の基板をリンス処理して未硬化の樹脂組成物を除去する工程、
前記凸部の上側表面に形成された硬化層を除去することにより、前記凸部の側壁に前記第一の凸パターンを構成する物質とは異種の物質からなる層を形成させる工程、
前記第一の凸パターンと同等の材質をスペース部に対して埋め込み、第一の凸パターンに対する補填パターンを形成させる工程、および
前記異種の物質からなる層を除去する事により、前記第一の凸パターンと前記第一の凸パターンに対する補填パターンとからなる、微細パターンを形成させる工程
を含んでなることを特徴とする微細パターンの形成方法。
【請求項13】
請求項11または12に記載の方法により形成された微細パターンをマスクとして、基板の表面を加工し、さらなる微細パターンを形成させることを含んでなることを特徴とする、微細パターンの形成方法。
【請求項14】
前記基板が、支持体上に被加工膜が形成されたものであり、前記表面が前記被加工膜である、請求項13に記載の微細パターンの形成方法。
【請求項15】
前記基板が、支持体上に被加工膜および加工補助用中間膜が形成されたものであり、前記表面が前記加工補助用中間膜である、請求項13に記載の微細パターンの形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−250118(P2010−250118A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−100199(P2009−100199)
【出願日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【出願人】(504435829)AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社 (79)
【Fターム(参考)】