説明

微細パターン形成装置、その製造方法、および形成方法

【課題】 ナノインプリントによるパターニングのアライメント可能な微細パターン形成装置、その製造方法、および形成方法を提供する。
【解決手段】 ナノインプリントのモールドを、光等を透過可能なモールド基板に設け、このモールド基板に位置参照用のマークを設ける。ウェハにも、モールド基板のマークに対応したマークを形成する。モールド基板でのモールドの位置決めを精度良く行うために、ナノインプリントのモールドは、モールド基板にマークを形成した後に、マーク位置を参照して形成する。モールド基板にモールドとマークを形成することによって、ウェハ上側から、光等によってモールド基板を透過してモールド基板のマークとウェハのマークを同時に観察・参照することでウェハとモールドとの相対位置をアライメントする。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、微細パターン形成装置、その製造方法、および形成方法に係り、特に、半導体製造方法における半導体装置のパターニング技術、およびその位置合わせに用いて好適な技術に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体製造に際して、100nm(ナノメートル)以下の半導体構造のパターニングと量産性を両立させる技術として、米国特許5,772,905号公報に記載されているナノインプリントの技術が存在している。この米国特許公報には、25nm(ナノメートル)以下のサイズをもつパターンのモールドを形成し、これをレジスト膜に押し付けることでレジストの微細パターニングを行なう方法が開示されている。
【0003】図6は、従来のナノインプリントによる微細パターニングの一例である。この例においては、図6(a)に示すように、ウェハ3上にパターニング用のレジストを塗布し、一方、モールド台7の上にモールド1を形成する。次いで、図6(b)に示すように、このモールド1をレジスト2へ押しつけることによって、モールド1のパターンをレジスト2へ転写する。ここで、図6R>6(c)に示すように、レジスト2の膜厚がモールド1の凸部分の高さよりも大きい場合は、異方性のあるリアクティブイオンエッチング(図中ではRIE)でエッチングを施し、パターン凹部でウェハ3表面を露出させる。上記米国特許5,772,905号公報記載のナノインプリントによるパターニング方法においては、25nm(ナノメートル)以下程度のパターニングを一括して行なうことが出来る点で有用である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来のナノインプリント法では、モールドを形成しているモールド基板が光、あるいは電子線を透過させないため、下のウェハとの相対位置を知る手段が無い。そのため、ウェハ上側からモールド基板位置を制御してパターニングが行えないという問題がある。さらに、同一ウェハ上を分割してパターニングする場合においても、それぞれの分割部分との相対位置を知る手段が無い。加えて、2層以上にわたるインプリントをおこなう場合においても、これら2層間における位置合わせの方法が無い。これらの場合にも、ウェハ上側からモールド基板位置を制御して複数回のパターニングを行えないという問題がある。また、大規模の集積半導体装置を製造する際、一つのウェハ上で幾つかのチップを順番にパターニングすることが必要であり、各々のチップ間の相対位置の位置合わせが行えない場合には、半導体製造への応用が困難である、さらに実際の半導体装置の製造においては、多層にわたるパターニングの位置合わせが不可欠である。以上のことから、現行のナノインプリントの方法を半導体装置の製造に適用することは困難であるという問題があった。
【0005】本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、少なくとも以下の目的のうちの1つを達成しようとするものである。
■ナノインプリントによるパターニングのアライメント可能な微細パターン形成装置を提供すること。
■上記の可能な微細パターン形成装置の製造方法を提供すること。
■ナノインプリントによるパターニングのアライメント可能な微細パターン形成方法を提供すること。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の微細パターン形成装置においては、ウェハに一括パターン形成する微細パターン形成装置において、パターン形成手段が光、電子、イオン、またはX線等を透過させるパターン形成基板に設けられることにより上記課題を解決した。本発明は、前記パターン形成基板に、前記パターン形成手段と前記ウェハとの位置決めにおける位置参照用のマークが形成されることができる。本発明は、前記パターン形成基板に、前記パターン形成手段が直接形成されるか、または、パターン形成台を介して形成される手段を選択することができる。本発明は、前記ウェハには、該ウェハと前記パターン形成手段との位置決めにおける位置参照用のマークが形成され、該マークと、前記パターン形成基板のマークとが平面視して略同一形状に形成されることが好ましい。本発明は、前記パターン形成手段が、モールドとされるか、または、平面状の電子線源とされることが選択できる。本発明の微細パターン形成装置の製造方法は、上記微細パターン形成装置において、前記ウェハのマークと、前記パターン形成基板のマークとを、同一のマーク形成用モールドにより形成することにより上記課題を解決した。本発明の微細パターンの形成方法は、ウェハに一括パターン形成する微細パターン形成方法において、光、電子、イオン、またはX線等を透過させるパターン形成基板に設けられるパターン形成手段と、前記ウェハとの位置決めを、光、電子、イオン、またはX線等を用いて前記パターン形成基板を透過して観察・参照することによりおこなうことができる。
【0007】本発明においては、ナノインプリントの位置アライメント方法が、ナノインプリントのモールド(パターン形成手段)を、光、電子、イオン、またはX線等を透過可能なモールド基板(パターン形成基板)に設け、このモールド基板に位置参照用のマークを設けることができる。ウェハにも、モールド基板のマークに対応したマークを形成する。モールド基板に対するモールドの相対位置決めを精度良く行うために、ナノインプリントのモールドを、モールド基板にマークを形成した後に、このマーク位置を参照して形成する。モールド基板にモールドとマークを形成することによって、ウェハのモールド基板と反対側から、光、電子、イオン、またはX線等によってモールド基板を透過してモールド基板のマークとウェハのマークとを同時に観察・参照することができ、ウェハとモールドとの相対位置をアライメントすることが出来る。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る微細パターン形成装置、その製造方法、および形成方法の第1実施形態を、図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態の微細パターン形成装置におけるモールド基板を示す斜視図、図2は、本実施形態の微細パターン形成方法を示す正断面図である。図1ないし図2において、符号1はモールド、2はレジスト、3はウェハである。
【0009】本実施形態においては、図1に示すように、ナノインプリントに用いるモールド(パターン形成手段)1は、光等の透過性を有するモールド基板(パターン形成基板)4上に形成する。アライメント用のマーク5も同じモールド基板4上に形成する。図1に示す本実施形態では、モールド1は従来技術と同様にシリコン基板などのモールド台(パターン形成台)7をモールド基板4上に張り付けて、そのモールド台7上に酸化膜などを加工することにより形成する。
【0010】従来の技術においては、モールド台7は光を透過しない材料を用いており、マーク5などを形成しても、ウェハ3上面からウェハ3位置とモールド1の位置を同時に参照あるいは確認することができない。一方、本実施形態においては、光等が透過するモールド基板4を用いることでウェハ3上面からウェハ3位置とモールド1の位置を参照あるいは確認できる。このように、第1実施形態の特徴は、光を透過させるモールド基板4上に、モールド1と位置参照用のマーク5との2つを形成する点にある。
【0011】インプリントの過程ではモールド1をウェハ3に押しつけたり、ウェハ3を加熱したりするため、モールド基板4は光を透過させる性質を持つだけではなく、同時に耐熱性、機械的強度を持つことが望ましい。このことから、モールド基板4の材料としては耐熱ガラスを用いることが望ましい。ナノインプリントの過程で、温度を上昇させない場合は通常のガラスでも可能である。
【0012】モールド基板4上のマーク5は、クロムを用いて形成することができるが、光に対してコントラストが得られる材料であれば何でも良い。マーク5とモールド基板4との密着性を有する材料を選ぶのが望ましい。他にタングステンなどの金属を用いても同様の効果を得ることができる。
【0013】次にアライメント方法について説明する。本実施形態の微細パターン形成方法においては、図2に示すように、転写される側のウェハ3上にはあらかじめアライメント用のマーク6を形成しておく。マーク6の形状は、ウェハ3とのコントラストが光で得られるものであれば何でも良い。具体的には、金属をウェハ3上に堆積したもの、ウェハ3をエッチングして溝状に形成したものなどを用いることができる。モールド基板4上のマーク5と、ウェハ3上のマーク6を、モールド基板4のウェハ3と反対側から参照し、ウェハ3とモールド1との相対位置のアライメントを行う。
【0014】マーク5,6位置の確認は、マーク5,6付近にレーザー光を照射し、反射信号を検出して、その強度の変化を観察することで行う。また、人間が眼で確認することでも同様の効果を得ることができる。
【0015】ここで、位置決め時の精度を向上するために、モールド基板4上のマーク5は、ウェハ3上のマーク6と形状・大きさを平面視して同じ形状にすることが好ましい。ウェハ3上のマーク6はウェハ3とのコントラストが得られる材料を選ぶのが望ましい。図2に示すように、本実施形態においては、エッチングにより溝状に形成したマークを用いている。さらに、位置精度の向上のためには、モールド基板4のマーク5と、ウェハ3上のマーク6との位置、形状を出来る限り一致させることが望ましい。パターニングを行う前に、マーク形成用モールドを別に用意し、ウェハ3およびモールド基板4上のマーク5,6に対して、共通のマーク形成用モールドを用いて形成することで、マーク形成の位置精度を向上することができる。
【0016】本実施形態の微細パターン形成装置、その製造方法、および形成方法によれば、ナノインプリントによるパターニングのアライメント可能な微細パターン形成装置、その製造方法、および形成方法を提供し、この際、さらに、モールドとウェハとの位置決めの精度を高いレベルにすることができるという効果を奏する。
【0017】以下、本発明に係る微細パターン形成装置、その製造方法、および形成方法の第2実施形態を、図面に基づいて説明する。図3は、本実施形態の微細パターン形成装置におけるモールド基板を示す斜視図、図4R>4は、本実施形態の微細パターン形成方法を示す正断面図である。本実施形態において、図1ないし図2に示す第1実施形態と異なる点は、モールド1をモールド台7を用いずにモールド基板4上に直接形成する点である。
【0018】具体的には、光を透過させるモールド基板4上に、図1ないし図2に示したモールド台7を設けることなくモールド1を直接形成する。モールド1の材質は機械的な強度と、モールド基板4との密着性があれば何でもよい。モールド基板4上のマーク5の材料と同様に、クロム、タングステンなどを用いることが可能である。本実施形態の微細パターン形成装置、その製造方法、および形成方法によれば、第1実施形態と同様の効果を奏するとともに、さらに、上述した構造により、より簡便にモールド1とマーク5を形成することができ、モールド1、マーク5の形成の工程を少なくすることが可能である。さらに、モールド1形成後に収束イオンビームなどでモールド1の形状等を修正することが可能である。
【0019】なお、上記の実施形態のいずれについても、レーザー光の代わりに電子線、X線の散乱強度の変化を検出しても目的を達することができる。その場合は電子線、あるいはX線を透過させる材料からなるモールド基板4にモールド1を設け、モールド基板4上および、ウェハ3上に設ける位置アライメント用のマーク5,6はそれぞれ電子線、あるいはX線を散乱する材料で構成する。モールド基板4およびウェハ3の相対位置は、それぞれ、電子線あるいはX線の散乱強度の変化を検出することで検知することができる。
【0020】以下、本発明に係る微細パターン形成装置、その製造方法、および形成方法の第3実施形態を、図面に基づいて説明する。図5は、本実施形態の微細パターン形成装置における平面状電子線源基板を示す斜視図である。本実施形態において、図1ないし図4に示す第1および第2実施形態と異なる点は、パターン形成手段としてモールド1のかわりに平面状の電子線源を設ける点である。
【0021】本実施形態において、図5に示すように、モールド1のかわりに平面電子源(パターン形成手段)9を設けてある。電子源支持基板8は、図1ないし4におけるモールド基板4と略同様のものとされ、光、電子、X線あるいはイオンビーム等を透過させる材料で構成する。この電子源支持基盤(パターン形成基板)8には、裏面ゲート電極11 および表面ゲート電極12が設けられ、これらはそれぞれ平面電子源9の裏面電極10および表面電極13と接続する。本実施形態の微細パターン形成装置、その製造方法、および形成方法によれば、第1,第2実施形態と同様の効果を奏するとともに、さらに、上述した構造により、電子線による微細パターン形成を行うことができる。
【0022】
【発明の効果】本発明の微細パターン形成装置、その製造方法、および形成方法によれば、以下の効果を奏する。
(1)パターン形成手段が光、電子、イオン、またはX線を透過させるパターン形成基板に設けられることにより、光、電子、イオン、またはX線を用いて前記パターン形成基板を透過してウェハとパターン形成基板との位置状態を観察・参照することにより位置決めが可能とすることができる。
(2)これを繰り返して行うことにより、ナノインプリントのパターニングを、同一ウェハ上の異なる位置、あるい は多層にわたってアライメントすることが可能である微細パターン形成装置を提供することができる。
(3)前記パターン形成基板に、前記パターン形成手段と前記ウェハとの位置決めにおける位置参照用のマークが形成されることにより、位置決めにおける精度を、より向上することができる。
(4)前記ウェハには、該ウェハと前記パターン形成手段との位置決めにおける位置参照用のマークが形成されることにより、位置決めにおける精度を、より向上することができ、前記ウェハのマークと、前記パターン形成基板のマークとが平面視して略同一形状に形成されることによりさらに位置決めにおける精度を、より向上することができる。
(5)前記ウェハのマークと、前記パターン形成基板のマークとを、同一のマーク形成用モールドにより形成することにより、マーク形成の位置精度を向上することができ、位置決めにおける精度を、より向上することができる。
(6)上記により、ナノインプリントによるパターニングのアライメント可能な微細パターン形成装置、その製造方法、および形成方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の微細パターン形成装置、その製造方法、および形成方法の第1実施形態の微細パターン形成装置におけるモールド基板を示す斜視図である。
【図2】 本発明の微細パターン形成装置、その製造方法、および形成方法の第1実施形態の微細パターン形成方法を示す正断面図である。
【図3】 本発明の微細パターン形成装置、その製造方法、および形成方法の第2実施形態の微細パターン形成装置におけるモールド基板を示す斜視図である。
【図4】 本発明の微細パターン形成装置、その製造方法、および形成方法の第2実施形態の微細パターン形成方法を示す正断面図である。
【図5】 本発明の微細パターン形成装置、その製造方法、および形成方法の第3実施形態の微細パターン形成装置における電子源支持基板を示す斜視図である。
【図6】 従来の微細パターン形成を示す正断面図である。
【符号の説明】
1…モールド,2…レジスト,3…ウェハ,4…モールド基板(パターン形成基板),5,6…マーク,7…モールド台(パターン形成台),8…電子源支持基盤(パターン形成基板),9…平面電子源 (パターン形成手段),10…裏面電極,11…裏面ゲート電極,12…表面ゲート電極12

【特許請求の範囲】
【請求項1】 ウェハに一括パターン形成する微細パターン形成装置において、パターン形成手段が光、電子、イオン、またはX線を透過させるパターン形成基板に設けられることを特徴とする微細パターン形成装置。
【請求項2】 前記パターン形成基板に、前記パターン形成手段と前記ウェハとの位置決めにおける位置参照用のマークが形成されることを特徴とする請求項1記載の微細パターン形成装置。
【請求項3】 前記パターン形成基板に、前記パターン形成手段が直接形成されるか、または、パターン形成台を介して形成されることを特徴とする請求項1または2記載の微細パターン形成装置。
【請求項4】 前記ウェハには、該ウェハと前記パターン形成手段との位置決めにおける位置参照用のマークが形成され、該マークと、前記パターン形成基板のマークとが平面視して略同一形状に形成されることを特徴とする請求項1から3のいずれか記載の微細パターン形成装置。
【請求項5】 前記パターン形成手段が、モールドとされるか、または、平面状の電子線源とされることを特徴とする請求項1から4のいずれか記載の微細パターン形成装置。
【請求項6】 請求項4記載の微細パターン形成装置において、前記ウェハのマークと、前記パターン形成基板のマークとを、同一のマーク形成用モールドにより形成することを特徴とする微細パターン形成装置の製造方法。
【請求項7】 ウェハに一括パターン形成する微細パターン形成方法において、光、電子、イオン、またはX線を透過させるパターン形成基板に設けられるパターン形成手段と、前記ウェハとの位置決めを、光、電子、イオン、またはX線を用いて前記パターン形成基板を透過して観察・参照することによりおこなうことを特徴とする微細パターン形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図5】
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【公開番号】特開2000−323461(P2000−323461A)
【公開日】平成12年11月24日(2000.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平11−130608
【出願日】平成11年5月11日(1999.5.11)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】