説明

心臓組織の治療のためのシステム

心臓内の患部を治療するシステムは、第1端および第2端を有するカテーテルと、第1端に結合された単極または双極電極であって、心臓組織内に挿入されるようになっている、単極または双極電極と、第2端に結合されており、かつ、電極を駆動するよう構成された電力源であって、電極は、駆動されると、無線周波数(RF)信号を放出して、患部を所望の温度まで加熱する、動力源と、電極および電力源に結合された温度フィードバックコントロールであって、電極は、患部の測定温度に基づいて放出されるRF信号を変化させるよう構成される、温度フィードバックコントロールと、を備える。回転可能部材は、カテーテルの第1部分が、カテーテルの第2部分に関して自由に回転することを可能にするよう構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の記載
本出願は、発明者Michael D.Lauferの名の下で2005年1月14日に出願された同時係属中の米国特許出願第11/035,657号の一部継続出願である。
【0002】
本明細書で説明される主題は、心臓組織の治療を対象とする。
【背景技術】
【0003】
よく知られているように、心臓は、血液を受け取り、血液を身体の種々の部分に圧送する4つの腔を有する。心臓の正常な動作中に、身体から戻る酸素が乏しい血液が右心房に入る。右心房は、血液で充満し、遂には収縮して、三尖弁を通して右心室に血液を吐出する。右心室の収縮は、血液をパルスに似た方式で肺動脈および各肺に吐出する。酸素を含んだ血液は、肺静脈を通って肺を去り、左心房を満たす。左心房は、血液で充満し、遂には収縮して、僧房弁を通して左心室に血液を吐出する。左心室の収縮は、大動脈を通して血液を押しやって、遂には、酸素を含んだ血液を身体の残りに送出する。
【0004】
心筋梗塞(すなわち、心臓発作)は、うっ血性心不全をもたらす可能性がある。うっ血性心不全は、心臓が十分な血液を圧送することができない症状である。患者が心臓発作を有するとき、心壁筋肉に対する循環の一部が、通常、大きな動脈から離脱し、冠状動脈を閉塞させる血塊のために失われる。血塊が約3〜4時間以内に溶解しない場合、血液供給を失った筋肉は壊死し、その後、瘢痕になる。瘢痕化した筋肉は、収縮性がなく、したがって、心臓のポンピング能力に寄与しない。さらに、瘢痕化した筋肉は、弾性があり(すなわち、だらりとした状態であり)、そのことが、さらに心臓の効率を減少させる。それは、残りの健康な筋肉によって生成される力の一部分が、心臓から血液を圧送する代わりに、瘢痕化した組織を膨隆させる(すなわち、心室動脈瘤)からである。
【0005】
うっ血性心不全は、一般に、たくさんの休息、低塩食事療法、A.C.E.、阻害薬、ジギタリス、血管拡張薬および利尿薬などの薬物療法によって治療される。一部の心筋梗塞事例では、瘢痕化した筋肉は、心臓から切り取られ、心臓の残りの部分が縫合される(すなわち、動脈瘤切除術)。制限された状況では、心臓移植が実施される場合がある。症状は、常に進行性で、遂には患者の死をもたらす。
【0006】
コラーゲン含有組織は、正常な人体組織において遍在性である。コラーゲンは、心臓発作後の治癒から生じる心臓瘢痕組織を含む瘢痕組織のかなりの部分を構成する。コラーゲンは、他の組織に見出されないいくつかの独特の特徴を示す。分子間架橋結合は、高い引張り強さおよびかなりの弾性という独特の物理的特性をコラーゲン含有組織に提供する。コラーゲンの特性は、コラーゲン繊維が、加熱されると短縮するというものである。温度上昇に対するこの分子反応は、コラーゲン安定化架橋結合の破壊および元の長さの約3分の1へのコラーゲン繊維の即座の収縮の結果であると考えられる。約70℃まで加熱される場合、架橋結合は、新しい寸法で再び形成することになる。コラーゲンが約85℃を超えて加熱される場合、繊維はやはり短縮するが、架橋結合は起こらないことになり、変性をもたらす。変性したコラーゲンは、かなり膨張性があり、また、比較的非弾性的である。生体組織では、変性したコラーゲンは、線維芽細胞によって、必要である場合再び治療される可能性があるコラーゲンの編成された繊維と置換えられる。コラーゲンの別の特性は、接続組織の構造上の完全性を変えることなく、個々の繊維の口径が、大幅に4倍を超えて増加することである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、心臓内の患部を治療するシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
ある実施形態では、心臓組織の患部を治療する方法は、少なくとも患部の近位で心臓組織内に単極または双極の電極を挿入すること、患部を加熱するために無線周波数(RF)信号を放出するよう電極を駆動すること、および、患部の温度を測定することを含むが、それらには限定されず、電極を駆動することは測定される温度に関連する。ある実施形態では、電極は、測定される温度が所望の温度に達することによってもはや駆動されない。ある実施形態では、この方法は、さらに、測定される温度に関連する信号をプロセッサに送信することを含み、プロセッサは、測定された温度を指定された停止温度と比較する。ある実施形態では、電極を駆動するために供給される電力は、送信信号に基づいて変更される。ある実施形態では、挿入することは、さらに、心臓組織に入るように軸の周りに電極を回転させることを含み、電極は螺旋構成を含む。電極は、患部内に直接挿入されるか、または、健康な組織に直接挿入されて、健康な組織の下か、または健康な組織に隣接するかの少なくとも一方において患部を治療してもよい。ある実施形態では、所望の温度は、約40℃〜約75℃の範囲にある。
【0009】
本明細書に組み込まれ、また、本明細書の一部を構成する添付図面は、本発明の1つまたは複数の実施形態を示し、詳細な説明と共に、本発明の原理および実施態様を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1A】ある実施形態による組織修復デバイスの全体略図である。
【図1B】ある実施形態による組織修復デバイスの組織挿入コンポーネントの図である。
【図1C】ある実施形態による組織修復デバイスの組織挿入コンポーネントの図である。
【図2A】ある実施形態による組織修復デバイスの回転可能結合の図である。
【図2B】ある実施形態による組織修復デバイスの回転可能結合の図である。
【図2C】ある実施形態による組織修復デバイスの回転可能結合の図である。
【図3】ある実施形態による梗塞した心臓組織の治療のためのデバイスの図である。
【図4】ある実施形態によるライン4-4に沿って切り取られた図3に示すデバイスの図である。
【図5】ある実施形態によるカテーテル内のデバイスの一部分の図である。
【図6】ある実施形態による心臓内のデバイスの図である。
【図7】ある実施形態による心壁と接触するデバイスの図である。
【図8A】ある実施形態による心臓内のデバイスの図である。
【図8B】ある実施形態によるライン8-8に沿って切り取られた図8Aに示すデバイスの図である。
【図9】ある実施形態による梗塞した心臓組織の治療のためのデバイスの図である。
【図10】ある実施形態による保護材料無しの図9の実施形態の図である。
【図11】ある実施形態による心臓内の図10のデバイスの図である。
【図12】ある実施形態による梗塞した心臓組織の治療のためのデバイスの図である。
【図13】1つまたは複数の実施形態の組織修復デバイスを利用する方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
例示的な実施形態は、梗塞組織を治癒するシステムおよび方法の文脈で本明細書に述べられる。以下の説明は、例示に過ぎず、いずれの点でも限定的であることを意図されないことを当業者は認識するであろう。他の実施形態は、本開示の利益を受ける当業者が容易に思いつくであろう。添付図面に示される例示的な実施形態の実施態様が、ここで詳細に参照されるであろう。同じ参照指標は、図面および以下の説明全体を通して使用されて、同じかまたは同様な要素を指すであろう。
【0012】
明確にするために、本明細書で述べる実施態様のルーチン特徴がすべて示され述べられるわけではない。もちろん、こうした実際のどの実施態様を開発するときも、アプリケーション関連制約およびビジネス関連制約に関する適合などの開発者の特定の目標を達成するために多数の実施態様固有の決定が行われなければならないこと、および、これらの特定の目標が、実施態様ごとにまた開発者ごとに変わることになることが理解されるであろう。さらに、こうした開発努力は、複雑でかつ時間がかかることがあるが、それでも、本開示の利益を受ける当業者にとってエンジニアリングの日常の仕事であることが理解されるであろう。
【0013】
本開示によれば、本明細書で述べるコンポーネント、プロセスステップおよび/またはデータ構造は、種々のタイプのオペレーティングシステム、コンピューティングプラットフォーム、コンピュータプログラムおよび/または汎用機械を使用して実施されてもよい。さらに、実配線式デバイス、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGAs)、特定用途向け集積回路(ASICs)または同様なものなどの汎用性の小さい特質のデバイスが、本明細書に開示される本発明の概念の精神および範囲から逸脱することなく使用されてもよいことを当業者は認識するであろう。一連のプロセスステップを含む方法が、コンピュータまたは機械によって実施され、これらのプロセスステップが、機械によって読取り可能な一連の命令として格納され得る場合、一連の命令は、コンピュータメモリデバイス(例えば、ROM(読取り専用メモリ)、PROM(プログラム可能読取り専用メモリ)、EEPROM(電気的消去可能プログラム可能読取り専用メモリ)、フラッシュメモリ、ジャンプドライブおよび同様なもの)、磁気記憶媒体(例えば、テープ、磁気ディスクドライブおよび同様なもの)、光記憶媒体(例えば、CD-ROM、DVD-ROM、紙カード、紙テープおよび同様なもの)ならびに他のタイプのプログラムメモリなどの、触知可能媒体上に格納されてもよい。
【0014】
一般に、電力発生デバイスは、螺旋形状電極に対して調整された電力を供給し、螺旋形状電極は、駆動されると、選択された周波数および大きさでRF信号を放出する。電極から放出されるRF信号は、患部組織によって熱に変換され、それにより、所望温度への患部組織の加熱は、患部組織を焼灼することなく、または、患部エリアを囲む健康な組織を損傷することなく、患部梗塞組織の表面積の減少をもたらす。
【0015】
図1Aは、ある実施形態による組織修復デバイス100の全体略図を示す。ある実施形態では、組織修復デバイス100は、組織修復デバイス100の可撓性ケーブル104を受け取るよう構成されたカテーテルスリーブ102を含む。図1Aに示すように、組織挿入デバイス106は、可撓性ケーブル104の遠位端に取り付けられる。可撓性ケーブル104は、回転可能であり、かつ、ケーブル104の長さに沿う任意のロケーションで回転すると、組織挿入デバイス106にトルクを伝達するよう構成される。カテーテルスリーブ102が患者に挿入された後、可撓性ケーブル104がカテーテルスリーブ102内で摺動して、心臓組織の標的梗塞エリアに達することができるように、可撓性ケーブル104は、カテーテルスリーブ102の管腔内に取外し可能に挿入可能である。
【0016】
図1Aに示すように、可撓性ケーブル104の端は、無線周波数(RF)信号を発生する、患者の身体の外側の電源デバイス150の近位に概略的に示される。さらに、可撓性ケーブル104の反対端にある組織挿入デバイス106は、結合コネクタ110から延在するRF電極108を含む。組織挿入デバイス106の詳細は、ここで述べられる。
【0017】
図1Bおよび1Cは、ある実施形態による組織挿入部分106の詳細図を示す。図1Bおよび1Cに示すように、組織挿入デバイス106は、結合コネクタ110、熱電対センサ112およびコルクスクリュー形状RF電極108を含む。図1Bおよび1Cに示す実施形態では特に、結合コネクタ110は、内側部分110Aであって、内側部分110Aが可撓性ケーブル104の内側に嵌合することを可能にするよう構成された径を有する、内側部分110Aを有する。図1Cの実施形態に示すように、結合コネクタ110は、可撓性ケーブル104の遠位端まで延在し、かつ、可撓性ケーブル104に対して固定される回転安定性ワイヤ116に結合される。図1Bおよび1Cに示す実施形態では、結合コネクタ110は、図1Bおよび1Cに示す実施形態に示すように、結合コネクタ110は、可撓性ケーブル104の外側に延在しており、かつ、コルクスクリュー形状電極108によって実質的に囲まれるよう構成される外側部分110Bを含む。ある実施形態では、結合コネクタ110は、レキサン、ナイロンまたは非導電性である任意の他の適切な剛性材料で作られる。
【0018】
ある実施形態では、結合コネクタ110は、熱電対センサ112の一部分を収容する内側軸114を含む。結合コネクタ110の端部の開口は、熱電対センサ112の一部分が結合コネクタ110から出て延在することを可能にするように、内側軸114と連通して形成されてもよい。図1A〜1Cに示す熱電対センサおよび結合コネクタ構成は例であり、他の構成が考えられることが留意されるべきである。例えば、結合コネクタ110は、熱電対センサ112が、露出されることなく温度を正確に読取ることを可能にする熱伝導性材料で作られてもよい。図1Bおよび1Cに示すように、熱電対センサ112は、螺旋形状電極108内にかつ螺旋形状電極108と同軸に配置される。ある実施形態では、熱電対センサ112は、電極108と同軸ではなく、電極108の外側でかつ電極108に隣接して位置する。ある実施形態では、熱電対センサ112は、カテーテルスリーブ102の管腔を通して挿入可能であり、かつ、心臓内の別のロケーションに配置され得る別個のワイヤに結合される。
【0019】
図1Bおよび1Cの実施形態に示すように、コルクスクリュー形状電極108は、結合コネクタ110に搭載され、電極108が電力源によって駆動されると、RF信号を放出して梗塞組織を加熱し治療する導電性材料で作られる。電力ワイヤ114は、RF発生器デバイス150に接続され、電力を、電極108ならびに熱電対センサ112に供給する。ある実施形態では、別個の電力ワイヤまたは電源は、電極108および熱電対センサ112ならびに組織修復デバイス100に関連する任意の他のコンポーネントを駆動する。電極108は、1〜5ミリメートルの長さ寸法を有するが、他の長さ寸法が考えられる。電極108の外径は約2mmであり、一方、内径は約0.5mmである。しかし、他の適した内径および外径寸法が考えられることが考えられる。
【0020】
ある実施形態では、修復デバイス100の組織挿入コンポーネント106は、軸Aを中心に回転して、電極108が患部梗塞組織内に挿入され、また、患部梗塞組織から取り外されることを可能にするよう構成される。電極108が最初に組織に接触すると、軸Aを中心とする電極108の回転は、電極108に、組織に入るねじに似た動きを受けさせることになり、それにより、電極108自体を組織内に挿入する。このことは、少なくとも部分的に、図1Bおよび1Cに示すように、電極108の螺旋構成ならびに電極108の尖った先端によるものである。ねじに似た方式で組織内へ電極108を挿入し取り外すことが、針に似た電極を組織内に直接押込むことに比べて医師にとってかなり容易であることを考えると、螺旋またはコルクスクリュー形状電極108は有利である。さらに、螺旋形状電極108によって作られる跡は、組織を保存し、電極108を挿入し取り外すときの組織の壁および組織表面に対する損傷を最小にする。螺旋形状電極108は、電極108が、駆動されるとより大きな表面積を加熱し治療することができる点でさらなる利点を提供する。さらに、電極108の導電性リングの周りに生成される束は、電極108の近接部の周りに完全にまたは実質的に完全に位置する組織を治療するために、実質的に球形状である。電極108の他の設計が、本明細書に述べる本発明の概念から逸脱することなく考えられることが留意されるべきである。
【0021】
ある実施形態では、可撓性ケーブル104は、ユーザによって遠位端で手動で回転させられて、電極108を組織内にねじ込み、また、組織から外す。ユーザは、可撓性ケーブル104自体を回転させてもよく、または、可撓性ケーブル104の長さに沿ったどこかに位置するハンドル124(図1A)を使用して可撓性ケーブルを回転させてもよい。コルクスクリュー電極108は、可撓性ケーブル104内の回転安定性ワイヤ116(図1C)を回転させることによって組織内にねじ込まれ、また、組織から外されてもよい。回転安定性ワイヤ116は、ある実施形態ではニチノールで作られるが、他のタイプの材料が考えられる。しかし、ケーブル104の端部が、RF発生デバイス150および/または他のデバイスにしっかりと接続されてもよいことを考えると、2、3回転後のケーブル104の回転は、ケーブル104をねじり、操作することを難しくし、またはさらにデバイスを損傷させることがある。相応して、以下で説明される自由に回転可能な結合デバイスが、ある実施形態に組み込まれてもよい。本明細書で述べる回転デバイスの組合せは、1つの組織修復デバイスに組み込まれてもよいことが留意されるべきである。
【0022】
図2A〜2Cは、ある実施形態による回転可能結合デバイスの図を示す。ある実施形態では、回転可能結合デバイス126は、互いに結合した2つの部分126Aおよび126Bを含む。図2Aに示すように、ベースケーブル104'の端部は、固定RF発生デバイス150に接続され、一方、反対端は、部分126Bに接続され、電力を部分126Bに供給する。さらに、可撓性ケーブル104の端部は、回転可能結合デバイス126Aに結合され、一方、ケーブル104の反対端は電極108に結合される。回転可能結合デバイス126は、ケーブル104の長さに沿うどこかに位置してもよいが、デバイス126は、RF発生デバイス150に近いと共に、カテーテルスリーブ102および患者の身体の外側にあるままであることが好ましい。
【0023】
第1部分126Aは、ある実施形態に基づく図2Bに示される。図2Bに示す実施形態では、第1部分126Aは、外側リング134および内側リング136を有し、それにより、内側リング136は、可撓性ケーブル104にしっかりと取り付けられる。図2Aに示すように、導電性結合突出部140は、可撓性ケーブル104に取り付けられ、内側リング136から延在し、それにより、結合突出部140は、電力を組織挿入デバイス106に供給する電力ワイヤ114に結合される。ある実施形態では、内側リング136は、外側リング134に対して回転することができ、それにより、外側リング134は固定されたままである。この構成は、外側リング134にトルクがまったく加えられることなく、可撓性ケーブル104が、内側リング136と共に自由に回転することを可能にする。さらに、可撓性ケーブル104は、ベースケーブル104'をねじることなく、患部エリア内に電極108を容易にねじ込むために、ベースケーブル104'に関して自由に回転し、ベースケーブル104'と電気接触したままであることができる。ある実施形態では、玉軸受(ball bearing)が、外側リング134と内側リング136との間に位置して、両者間での自由な回転を可能にする。しかし、両者間での自由な回転を可能にするために、任意の適切な設計が使用されてもよいことが考えられる。
【0024】
第2部分126Bは、ある実施形態に基づく図2Cに示される。第2部分126Bは、外側リング128および内側リング130を含む。内側リング130は、第1部分126Aからの結合突出部140を受け取る中央開口132を含む。ある実施形態では、中央開口は、導電性であり、かつ、ケーブル104'およびRF発生デバイス150から結合突出部140に電気信号を伝送する内側表面を有する。こうして、結合突出部140が受取り開口132内で受け取られると、RF発生デバイス150と組織修復デバイス106との間の電気接続が確立され得る。
【0025】
ある実施形態では、第1および第2の部分は、図2Aに示すように、一体化コンポーネントとして互いにしっかりと取り付けられる。ある実施形態では、第1および第2の部分は、取外し可能に互いに結合される別個のコンポーネントである。その実施形態では、結合突出部140および受取り開口132は、反対極性を有する磁性材料で作られてもよく、それにより、突出部140は、開口132に取外し可能に結合されてもよい。磁性結合突出部140は、導電性であり、開口132に結合されると、開口132に電気接続されることになる。
【0026】
ある実施形態では、回転可能結合デバイス126は、処置中に可撓性ケーブル104の回転運動を測定し探知するよう構成される。任意の適切なタイプのセンサが結合デバイス126に組み込まれてもよく、それにより、センサは、ケーブル104(そのため、電極108)の回転数を探知し、信号をフィードバックシステムのプロセッサに送出する。フィードバックシステムは、ホストコンピュータ上で実行されるコンピュータプログラムであってよく、コンピュータプログラムは、心臓組織内の所望の深さに電極108を効果的にねじ込むために、何回転が実施されるか、かつ/または、必要とされるかを見失わないために、測定情報を格納し、解析し、ユーザに対して表示するよう構成される。ユーザが、ハンドル124ならびに結合デバイス126の両方を利用する実施形態では、センサは、ハンドル124および結合デバイス126内に組み込まれて、それぞれの相対回転のデータを測定し表示してもよい。別の実施形態では、インジケータが、ハンドル124および/または結合デバイス126上に直接位置して、処置中に受ける回転数を指示する。
【0027】
RF発生デバイス150は、選択された周波数および大きさでRF信号を放出する抵抗性コルクスクリュー電極108に対して調整された電力を供給する。周波数は3Hz〜300GHzの範囲にある。電極108から放出されるRF信号は、患部組織によって熱に変換され、それにより、所望の温度への患部組織の加熱が、患部組織を焼灼することなく、または、患部エリアを囲む健康な組織を損傷することなく、患部梗塞組織の表面積の減少をもたらす。患部組織は、心筋自体によって生成される変化しやすい歪を有する動的状況下で電極108によって加熱され、それが、患部組織のサイズおよび/または厚さの減少を改善するのを補助する可能性がある。
【0028】
RF発生デバイス150は、患部組織の最適な減少のために、1W〜40Wを電極108に印加して、40℃と75℃との間に患部組織を効果的に加熱する。ある実施形態では、RF発生デバイス150は、単一チャネルを有し、電力を電極108に連続して送出する。ある実施形態では、電極108で放出されるRFエネルギーは、適切であるように経時的に異なる波形パターン(例えば、正弦波、鋸歯状波、方形波)でエネルギー印加することによって多重化されてもよい。ある実施形態では、患部組織は、所望の期間にわたって電極によって連続して加熱される。患部組織のタイプ、デバイス100で使用される材料、周波数および他の因子に基づいて、他の電力レベル、所望の温度、所望の期間および/またはエネルギーパターンが考えられることが留意されるべきである。
【0029】
フィードバックシステムは、治療処置中に適切なフィードバック変数を検出するために、電極108に対して使用されてもよい。ある実施形態では、熱電対センサ112は、治療中に梗塞組織の温度を検知し、RF発生デバイス150によって電極108に供給される電力をシステム100が自動的にまたは手動で調整することを可能にするためのフィードバックを提供する信号をプロセッサに送出する。熱電対センサ112は、その先端(図1B)を通して、または、結合コネクタの導電性材料を通して組織の温度を検知する。先に述べたように、梗塞組織の最適な減少は、組織が40℃と75℃との間で加熱されるときに達成される。相応して、熱電対センサ112は、組織が治療されるときの組織の温度を測定し、測定温度に関連する信号を、RF発生デバイス150と一体化した、または、RF発生デバイス150から分離したプロセッサ122に出力する。センサが、温度の代わりにまたは温度に加えて他の変数(例えば、圧力)を測定してもよいことが留意されるべきである。
【0030】
ある実施形態では、プロセッサ122は、測定温度を所望のまたは予めプログラムされた温度と比較し、相応して、電極108に供給される電力を変更することを、ユーザに知らせるか、または、RF発生デバイス150に自動的にさせる。患部組織が所望の温度に達することを、熱電対センサ112が測定すると、プロセッサ122は、熱電対センサ112から情報を連続して受け取り、電極108に対する電力を増加させるか、減少させるか、調整するか、再始動するか、または、停止させる信号をRF発生デバイス150に提供する。ある例では、システム100は、患部組織が所望の温度に達したことを熱電対センサ112が指示することによって、RF発生デバイス150が、電極108に供給される電力を自動的に停止させるよう構成される。ある例では、システム100は、患部組織が所望の温度に達したことを指示する可聴音および/またはビデオディスプレイを自動的に生成する。ある実施形態では、患部組織は、所望の温度に達する前かまたは後に、所望の期間にわたって電極によって連続して加熱される。ある実施形態では、患部組織は、所望の温度に達した後、梗塞組織が収縮するか、または、治療のための最大許容可能量だけ減少するまで、電極によって連続して加熱される。コンピュータディスプレイは、プロセッサに結合され、また、組織の検知温度のグラフィカルデータおよび/または組織治療プロセスのグラフィカルシミュレーションを提供するよう構成されることが考えられる。ある実施形態では、ディスプレイが使用されて、心臓組織内の電極の実際のビデオ画像をリアルタイムに示してもよく、それにより、外科医は、梗塞組織が電極によって加熱されるときの梗塞組織の実際の減少を見ることができる。これは、梗塞組織がもはや収縮しない場合、電極に対して、調整される電力を変更するか、または、停止するよう、外科医に視覚フィードバックを提供する。
【0031】
ある実施形態では、熱電対センサ112は、組織深さ制限デバイスとして働く。図1Cに示すように、熱電対センサ112は、螺旋電極108内に配置され、それにより、センサ112の先端は、ある実施形態では電極108の先端から2〜3mmであるが、他の寸法が考えられる。熱電対センサ112は、電極108が挿入されると組織に接触するよう構成され、電極108がそれ以上組織内に入ることを効果的に阻止するか、または、防止する。ある実施形態では、熱電対センサ112は、電極108が組織内に挿入されているときに温度情報を測定し提供するよう構成され、それにより、熱電対センサ112によって測定される温度の突然の上昇は、センサ112が組織自体に接触したことをユーザに通知することになる。こうして、ユーザは、電極108が組織内に最大深さまで挿入されたことをわかることができるようになる。これは、センサ112が電極108と同軸であり、そのため、組織深さ制限デバイスとして好都合に役立つ図1Bの実施形態で有用である場合がある。ある実施形態では、熱電対センサ112自体は、抵抗性であり、調整された電力を印加されるとRF信号を放出し、それにより、熱電対センサ112は患部組織を治療する。
【0032】
電極108の構成は、心臓壁における患部組織のロケーションによらず、患部組織を治療するときの柔軟性を可能にする。さらに、電極108が組織内に直接挿入される能力は、おそらく心臓組織の1つまたは両方の表面を保護しながら、梗塞組織の深さに関する情報を提供する。例えば、電極108は、患部組織を治療するために、梗塞組織内に直接挿入されてもよい。電極108は、健康な心臓組織内に挿入されて、健康な組織を加熱することなく、健康な組織に隣接するか、または、健康な組織の下に位置する梗塞組織を治療し修復してもよい。梗塞組織が健康な組織の下に位置する場合、心臓の外壁に近接してまたは外壁上に位置する梗塞組織は、電極が心臓の内壁から挿入されても、効果的に治療される場合がある。ある実施形態では、電極は、梗塞組織に隣接する健康な組織内に挿入されて、健康な組織を加熱することなく、梗塞組織を効果的に治療し修復する。ある実施形態では、電極は、梗塞組織の2つのエリア間に位置する健康な組織内に挿入されて、健康な組織を加熱することなく両方のエリアを同時にまたは個々に治療する場合がある。対照的に、電極は、健康な層を加熱することなく、2つの健康な組織層間に位置する患部組織層を加熱する場合がある。あるシナリオでは、電極は、1つまたは複数の加熱パターンを使用して加熱されて、健康な組織内に散在する患部組織エリアの制御された深さ加熱を可能にする場合がある。梗塞組織を治療することによって、電極は、心臓組織から容易に取り外され、心臓の別のロケーションに再挿入されて、別の梗塞組織あるいは以前に治療された梗塞組織の別のエリアまたは部分を治療する場合がある。
【0033】
ある実施形態では、組織挿入デバイス106は、単極構成を有し、それにより、グラウンド電位118が、電極108の直近でないあるロケーションに設置される。受取り側グラウンド電位が電極108の直近ではなく電極108からある距離離れていることを考えると、単極構成は、電極108によって放出されるRF信号が患部組織の大きなエリアにわたって広がることを可能にする。グラウンド電位118は、患者の皮膚上にまたは皮膚の近くに設置される電極108とサイズが同じ接地された導電性受取り側ワイヤであることができ、RF発生デバイス150に接続されてもよく、または、接続されなくてもよい。ある実施形態では、受取り側電極は、処置中に患者の背面上に設置される。ある実施形態では、受取り側ワイヤは、患者の心臓内で電極108のロケーションに近接して設置されて、受取り側ワイヤに対してRF信号のある程度収束した伝送を可能にする。ある実施形態では、電極108によって放出される極性と反対の極性が、受取り側ワイヤに加えられ、それにより、反対極性がRF発生デバイス150によって生成され得る。ある実施形態では、デバイスは、双極構成を有し、その1つまたは複数の実施形態が以下で述べられる。
【0034】
図3は、ある実施形態による組織修復デバイスの略図を示す。ある実施形態では、組織修復デバイス200は、組織修復デバイスの可撓性ケーブル204を受け取るよう構成されたカテーテルスリーブ202を含む。図3に示す実施形態では、組織挿入デバイス204は、可撓性ケーブル204の遠位端に結合されたリング208を備える折畳み式組織修復コンポーネント210を含む。組織修復コンポーネント210は、端部がリング208に結合された複数のストラット212を含む。ストラット212は、リング208の中心の方に、また、中心から離れて撓むことができるように可撓性があり、かつ、ばねに似ている。図3に示すある実施形態では、ストラット212の反対端、以降で遠位端は、円構成の可撓性ワイヤ214に結合されて、ストラット212の遠位端の外方向の動きを制限する。
【0035】
図3に示す実施形態では、中心電極220は、リング208の軸に沿って位置し、複数の外側電極218は、ワイヤ214に搭載される。中心電極220および外側電極218は、患者の身体の外側に位置するRF発生デバイス250に電気接続される。上述した単極構成と対照的に、中心電極220はRF信号を放出し、一方、外側電極218は、中心電極220と外側電極218との間の組織を通してRF信号を効果的に広がらせるように信号を受け取る。ある実施形態では、外側電極218は接地される。あるいは、外側電極218は、中心電極220の極性と反対の極性を有する。しかし、本明細書に述べる実施形態はいずれも単極かまたは双極の構成を利用してもよいことが考えられる。
【0036】
ある実施形態では、マイラーが使用されて、バッグに似た構造222が形成され、バッグに似た構造222は、ストラット212、ワイヤ214および電極218、220を完全に閉囲するように折畳み式組織修復コンポーネント210の周りに位置し、それにより、マイラーシート222の近位端がリング208に接続される。ある実施形態では、電極218、220は、マイラーシート222の一体部分であってよい。ある実施形態では、電極218、220は、マイラーシート222上に導電性インクで印刷されてもよい。ある実施形態では、マイラーシート222自体は、ストラット212に関して拘束器として働くことができ、それにより、ワイヤ214についての必要性を不要にする。マイラーは例示的な材料であり、本明細書で述べるデバイスと共に使用するための他の適切な材料が考えられることが留意されるべきである。
【0037】
図3に示すように、薄く可撓性のあるロッド224は、可撓性ケーブル204内の管腔ならびに中心電極220の管腔を通して延在する。図1A〜1Cの実施形態の場合と同様に、コルクスクリュー形状電極206は、ワイヤ224の遠位端に位置し、ハンドル226は、上述したように、ユーザがハンドル226を回転して、コルクスクリュー形状電極206を回転させるように、ワイヤ224の近位端で構成される。
【0038】
図6および7は、ある実施形態による、心臓内の患部組織を治療するための、使用中の自己配置折畳み式組織修復コンポーネントを示す。折畳み式組織修復コンポーネントの場合、デバイス自体が、梗塞部分99を位置決めするのに使用されてもよい。場合によっては、梗塞部分99は、心臓の隣接する健康な部分と違って、ある程度薄くかつ非収縮性である。その結果、心筋が収縮すると、梗塞部分99は、図6に示すように、その通常構成から外に膨隆する、または単に、その非収縮性の特性のために、心臓から出る血液の移動を増大させない。これが起こると、矢印98に示すように、膨隆または運動障害エリアあるいは無動エリアと呼ばれる非収縮性エリアに向かう血流が存在する傾向がある。相応して、折畳み式組織修復コンポーネント210は、帆船のように作用し、血流によって心臓の運動障害エリアまたは無動エリアの方に運ばれることによって、自分自身を自己配置してもよい。この実施形態では、自己配置機能を促進するために、少なくとも可撓性ケーブル204、場合によっては、可撓性ケーブル204とカテーテルスリーブ202の両方が、従来のカテーテルの代わりに考えられるべきである。具体的には、従来のカテーテルは比較的剛性があり、また、医師が、患者の外のロケーションからカテーテルの遠位端を操作することを可能にする構造を含み得る。こうしたカテーテルは、「操向可能な(steerable)」カテーテルと呼ばれ得る。対照的に、少なくとも可撓性ケーブル204、場合によっては、可撓性ケーブル204とカテーテルスリーブ202の両方は、血流が、折畳み式組織修復コンポーネント210を梗塞組織の方に移動させることを可能にするために柔軟性があるか、または、だらりと垂れた状態であるべきである。この理由で、可撓性ケーブル204は、ある程度軟弱なものとして図6および7に示され、カテーテルスリーブ202は、ユーザが、患者の外のロケーションからカテーテルの遠位端を操作することを可能にする、従来の操向可能カテーテルにおいてしばしば見出されるコンポーネントが無い、可撓性管であると理解され得る。同様に、可撓性管204は、ユーザが、患者の外のロケーションから可撓性管の遠位端を操作することを可能にするコンポーネントを含まなくてもよい。
【0039】
図8Aおよび8Bは、ある実施形態による別の電極位置決めシステムを示す。図8Aおよび8Bの実施形態は、中心電極306の遠位端に搭載された超音波結晶304を有する折畳み式組織修復コンポーネント302を備える電極位置決めシステム300(図8B)を対象とする。図8Aおよび8Bの実施形態は、さらに、超音波結晶アレイを有する位置決めデバイス308を備え、位置決めデバイス308は、患者97の外に位置し、また、ユーザが、患者の内部の超音波結晶304および電極310のロケーションを決定することを可能にする。図8Aおよび8Bの実施形態は、さらに、操向可能カテーテル312を含み、修復デバイス302は、操向可能カテーテル312の遠位端に搭載される。
【0040】
図8Aおよび8Bの実施形態についての動作時に、修復デバイス302は、患者の心臓内に導入される。ユーザは、次に、位置決めデバイス308を使用して、超音波結晶304、そのため、修復デバイス302のロケーションを監視し、それにより、ユーザは、操向可能カテーテル312を操作して、梗塞組織99に接触するように電極310を配置する。ユーザは、次に、本明細書に述べる1つまたは複数の実施形態によって述べるように、デバイスを動作させる。
【0041】
組織修復デバイスのロケーションを監視して、患部梗塞組織内に電極を適切に挿入するために、他のタイプの監視および位置決めシステムが医師によって使用され得ることが理解されるべきである。ある実施形態では、心臓組織の心電図(ECG/EKG)が使用されて、心臓内の電極および組織修復デバイスの位置をリアルタイムに監視してもよい。電極または組織挿入デバイスの他の部分は、ECG/EKGにおいて容易に表示され得る材料で作られることが好ましいであろう。ECG/EKGの詳細は、当技術分野でよく知られており、本明細書では述べられない。
【0042】
ある実施形態では、磁気共鳴撮像法(MRI)が利用されて、心臓内の組織修復デバイスの位置をリアルタイムに監視してもよく、それにより、磁場が使用されて、所望の患部エリアに対して組織修復デバイスを向き制御し移動させる。ある実施形態では、組織修復デバイスの電極は、RFエネルギーの代わりに磁場を放出して、患部梗塞組織を加熱し、それにより、治癒してもよい。
【0043】
図9〜11は、組織修復デバイスの別の実施形態を示す。特に、組織修復デバイス400は、複数のフック402がワイヤ404の周縁の周りに配設されること以外には、上述した組織修復デバイスと同じである。コルクスクリュー形状電極は図9および10に示されないが、組織修復デバイス400は、あるいは、カテーテル電極406から延在するコルクスクリュー形状電極を含んでもよいことが留意されるべきである。ある実施形態では、フック402は、凹状であり、その中央部分は、上部および底部部分より中心軸Cに近い。動作時、組織修復デバイスは、カテーテルの遠位端に近づくまでカテーテル408を通して押される。この地点で、カテーテル408の遠位端は、梗塞に接触するかまたは隣接して配置され得る。その後、組織修復デバイス400がカテーテル408の遠位端を出るときに(図10はマイラーコーティングを示さない)、ストラット410は、その折畳まれた配置から広がり始め、図11に示すように、フック402が梗塞に係合する。動作が終了すると、フック402は、ストラット410の上でカテーテルの遠位端を摺動させることによって梗塞組織99から解除される。
【0044】
ある実施形態では、図11に示すように、組織修復デバイス400は、リング414に対するストラット410の屈曲を測定するために、ストラット410およびリング414に接続された歪ゲージ412を含む。具体的には、フック402が梗塞部分に挿入されると、歪ゲージ412によって測定される歪が記録される。歪ゲージ412は、その後、検知データに関連する信号を、患者の外のプロセッサに送出する。プロセッサは、その後、梗塞部分99が治療された程度についての測定データを記録し表示することができる。医師は、その後、このデータから、梗塞組織が治療中に受けた収縮量をリアルタイムに正確に評価することができる。測定された歪が変化するのを止めると、梗塞部分が完全に治療され、それ以上収縮しないであろうことを、医師が通知される。この時点で、治療は終了し、修復デバイス400は梗塞組織から取り外される。
【0045】
図12は、治療デバイスの実施形態を示す。図12に示す実施形態によれば、組織修復デバイス500は、中心電極または外側電極ではなく、むしろ制御可能な電源(図示せず)に接続される赤外光源502を含む。赤外光源502は、他の実施形態と同様に、患者の梗塞部分を加熱して、組織を治療するのに使用される。
【0046】
図13は、本明細書に示され述べられる組織修復デバイスを利用する方法を示すフローチャートである。本明細書に述べる方法は、特に指定しない限り、述べられる実施形態の任意またはすべてに適用されてもよいことが留意されるべきである。図12に示すように、医師は、最初に、カテーテルの遠位端が患者の心臓の内部に配置されるように、カテーテルスリーブを患者に導入する(600)。医師は、その後、組織修復デバイスをカテーテルスリーブの近位端に挿入し(602)、修復デバイスを、カテーテルスリーブの遠位開口までまたは遠位開口の近くに押す。実質的に同時に、医師は、位置決めデバイスまたは上述した方法を利用して、患部組織に近くなるよう、修復デバイスの組織挿入部分を正確に配置する(604)。配置は、上述したように、可撓性ケーブルおよびカテーテルスリーブを操作することによって、または、操向可能カテーテルを利用することによって行われる。折畳み式デバイスの実施形態では、医師が、カテーテルスリーブを通して可撓性ケーブルを押し続けるため、折畳み式修復デバイスは、カテーテルスリーブの遠位端を出て、図3に示すように、展開配置に拡張する。図1に示す非折畳み式デバイスの実施形態の場合、医師は、カテーテルスリーブからコルクスクリュー電極を押出すだけである。
【0047】
電極が梗塞組織に対して所望位置にあると判定されると、医師は、コルクスクリュー電極を回転させるよう可撓性ケーブル自体またはハンドルを回転させて、電極を梗塞組織に挿入し係合させる(606)。あるいは、ケーブルは自動的に回転してもよい。調整された電力が、その後、電極に印加され、それにより、電極は、RF信号を梗塞組織内に直接放出する(608)。修復デバイスの温度センサが使用されて、梗塞組織の温度を検知してもよい。上述したように、瘢痕組織を焼灼することなく、または、梗塞組織を囲む健康な組織を損傷することなく、瘢痕の表面積を減少させるのに十分な温度に瘢痕組織を加熱するための、調整された電力レベルは1W〜40Wであり、信号の周波数は10メガヘルツ〜1000メガヘルツの範囲にある。瘢痕組織は、約40℃〜約75℃の範囲で加熱される。
【0048】
梗塞組織が、所望の期間にわたって所望の温度に達すると、治療が終了する。期間は、ある実施形態では1分と2分との間であるが、限定はしないが、ワット数、周波数および電極のサイズを含む種々の因子に基づいて、他の期間が考えられる。その後、可撓性ケーブルは、以前と反対方向に回転されて、梗塞組織から電極を取り外す(610)。梗塞組織を治療することによって、電極は、心臓組織から容易に取り外され、また、心臓の別のロケーションに再挿入されて、別の梗塞組織あるいは以前に治療された梗塞組織の別のエリアまたは部分が治療される。組織修復デバイスは、その後、カテーテルスリーブから取り外され、カテーテルスリーブは、その後、患者から取り外される。
【0049】
本組織修復デバイスの実施形態および適用形態が示され述べられたが、本明細書の本発明の概念から逸脱することなく、上述したよりもっと多くの変更が可能であることが本開示の利益を受ける当業者に明らかになるであろう。
【符号の説明】
【0050】
100、200、302、400、500 組織修復デバイス
102、202 カテーテルスリーブ
104' ベースケーブル
104、204 可撓性ケーブル
106 組織挿入デバイス
108、206 RF電極(コルクスクリュー形状電極、螺旋形状電極)
110 結合コネクタ
110A 内側部分
110B 外側部分
112 熱電対センサ
114 内側軸(電力ワイヤ)
116 回転安定性ワイヤ
118 グラウンド電位
122 プロセッサ
124、226 ハンドル
126 回転可能結合デバイス
126A 第1部分
126B 第2部分
128、134 外側リング
130、136 内側リング
132 中央開口(受取り開口)
140 結合突出部
150、250 電源デバイス(RF発生デバイス)
208、414 リング
210、302 折畳み式組織修復コンポーネント
212、410 ストラット
214、404 ワイヤ
218 外側電極
220、306 中心電極
222 バッグに似た構造(マイラーシート)
224 ロッド(ワイヤ)
300 電極位置決めシステム
304 超音波結晶
308 位置決めデバイス
310 電極
312 操向可能カテーテル
402 フック
406 カテーテル電極
408 カテーテル
412 歪ゲージ
502 赤外光源
A 軸
C 中心軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
心臓内の患部を治療するシステムであって、
第1端および第2端を有するカテーテルと、
前記第1端に結合された電極であって、心臓組織内に回転可能に挿入されるようになっている電極と、
前記第2端に結合されており、かつ、前記電極を駆動するよう構成された電力源であって、前記電極は、駆動されると、無線周波数(RF)信号を放出して、前記患部を所望の温度まで加熱する動力源と、
前記電極および前記電力源に結合された温度フィードバックコントロールであって、前記電極は、前記患部の測定温度に基づいて前記放出されるRF信号を調整するよう構成される温度フィードバックコントロールと、を備えたシステム。
【請求項2】
前記カテーテルに結合され、かつ、前記電極と前記電力源との間に配置された回転可能部材をさらに備え、該回転可能部材は、前記電極が、前記電力源に関して自由に回転することを可能にするよう構成されている請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記回転可能部材は、前記電極が前記心臓組織内に挿入されると、前記電力源に関する前記電極の回転数を測定するよう構成されている請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記電極は、前記電極が前記心臓組織内に回転可能に挿入されることを可能にするよう構成された螺旋構成をさらに備えている請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記温度フィードバックコントロールは温度センサをさらに備えている請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記温度センサは、前記心臓組織内に挿入される前記電極の深さ情報を提供するよう構成されている請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記温度フィードバックコントロールは、前記螺旋電極内で、かつ、前記螺旋電極に同軸に配置された温度センサをさらに備えている請求項4に記載のシステム。
【請求項8】
前記所望の温度は約40℃〜約75℃の範囲にある請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記電極は単極構成を有する請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記電極は双極構成を有する請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記電極は、所定の期間にわたって駆動されるよう構成されている請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記電極は、前記所望の温度に達した後、所定の期間にわたって駆動されるよう構成されている請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記電極は、前記所望の温度に達した後、前記患部が最大許容可能量だけ減少するまで駆動されるよう構成されている請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記電極は、ディスプレイ上で観察されるよう構成されている請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
心臓内の患部を治療するデバイスであって、
カテーテルと、
該カテーテルの端に結合されており、かつ、心臓組織内に挿入されるよう構成された電極であって、駆動されると、無線周波数(RF)信号を放出して、前記患部を所望の温度まで加熱するよう構成された電極と、
前記カテーテルに結合された温度センサであって、前記患部の温度を測定するよう構成された温度センサと、を備えているデバイス。
【請求項16】
前記カテーテルに結合された回転可能部材であって、前記電極がグラウンドに対して自由に回転することを可能にするよう構成される、回転可能部材をさらに備えている請求項15に記載のデバイス。
【請求項17】
前記回転可能部材は、前記電極が前記心臓組織内に挿入されると、グラウンドに関する前記電極の回転数を測定するよう構成されている請求項16に記載のデバイス。
【請求項18】
前記電極は、前記電極が前記心臓組織内に回転可能に挿入されることを可能にするよう構成された螺旋構成をさらに備えている請求項15に記載のデバイス。
【請求項19】
前記電極に結合された電力源をさらに備え、前記電力源は前記電極を駆動する請求項15に記載のデバイス。
【請求項20】
前記温度センサは、前記心臓組織内に挿入される前記電極の深さ情報を提供するよう構成されている請求項15に記載のデバイス。
【請求項21】
前記温度センサは、前記螺旋電極内で、かつ、前記螺旋電極に同軸に配置される請求項15に記載のデバイス。
【請求項22】
前記所望の温度は約40℃〜約75℃の範囲にある請求項15に記載のデバイス。
【請求項23】
前記電極は単極構成を有する請求項15に記載のデバイス。
【請求項24】
前記電極は双極構成を有する請求項15に記載のデバイス。
【請求項25】
前記電極は、所定の期間にわたって駆動されるよう構成されている請求項15に記載のデバイス。
【請求項26】
前記電極は、前記所望の温度に達した後、所定の期間にわたって駆動されるよう構成されている請求項15に記載のデバイス。
【請求項27】
前記電極は、前記所望の温度に達した後、前記患部が最大許容可能量だけ減少するまで駆動されるよう構成されている請求項15に記載のデバイス。
【請求項28】
心臓内の患部を治療するデバイスであって、
少なくとも前記患部の近位で心臓組織内に挿入されるよう構成された電極と、
前記患部を加熱するために無線周波数(RF)信号を放出するよう前記電極を駆動する手段と、
前記患部の温度を測定する手段と、を備え、
前記電極を駆動する前記手段は前記測定される温度に基づいて前記電極に供給される電力を変更するデバイス。
【請求項29】
心臓組織の患部を治療する方法であって、
少なくとも前記患部の近位で心臓組織内に回転方式で電極を挿入するステップと、
前記患部を加熱するために無線周波数(RF)信号を放出するよう前記電極を駆動するステップと、
センサを使用して前記患部の温度を測定するステップと、を含み、
前記電極を駆動する前記ステップは前記測定される温度に関連する方法。
【請求項30】
前記電極に対する電力は、前記測定される温度が所望の温度に達することによって調整される請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記センサからの前記測定される温度に関連する信号をプロセッサに送信するステップをさらに含み、前記プロセッサは、前記測定される温度を指定された温度と比較する請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記電極は、尖った先端を有する螺旋構成を含んだ請求項29に記載の方法。
【請求項33】
前記電極は所定の期間にわたって駆動される請求項29に記載の方法。
【請求項34】
前記電極は、前記所望の温度に達した後、所定の期間にわたって駆動される請求項29に記載の方法。
【請求項35】
前記電極は、前記所望の温度に達した後、前記患部が最大許容可能量だけ減少するまで駆動される請求項29に記載の方法。
【請求項36】
前記患部は、前記心臓組織によって生成される圧力および動的収縮力の下で加熱される請求項29に記載の方法。
【請求項37】
前記患部の前記加熱を、ディスプレイ上でリアルタイムに同時に観察するステップをさらに含んだ請求項29に記載の方法。
【請求項38】
前記心臓組織から前記電極を取り外すステップと、
別の患部を治療するために、別のロケーションで心臓組織内に前記電極を回転可能に挿入するステップと、をさらに含んだ請求項29に記載の方法。
【請求項39】
前記電極が前記心臓組織内に挿入されるときに前記電極の組織深さ情報を提供するステップをさらに含んだ請求項29に記載の方法。
【請求項40】
前記電極が前記心臓組織内に挿入されるときに前記患部組織の組織深さ情報を提供するステップをさらに含んだ請求項29に記載の方法。
【請求項41】
患者の皮膚の外側で、接地された受取り側電極を構成するステップをさらに含み、前記受取り側電極は前記電極の近位に位置している請求項29に記載の方法。
【請求項42】
前記所望の温度は約40℃〜約75℃の範囲にある請求項29に記載の方法。
【請求項43】
前記センサは、前記電極内で、かつ、前記電極に同軸に配置されている請求項29に記載の方法。
【請求項44】
前記患部内に回転可能に挿入される前記電極の回転数を測定するステップをさらに含んだ請求項29に記載の方法。
【請求項45】
心臓組織の患部を治療する方法であって、
少なくとも前記患部の近位で心臓組織内に螺旋形状電極を回転可能に挿入するステップと、
前記心臓組織を加熱するために無線周波数(RF)信号を放出するよう前記電極を駆動するステップと、
前記螺旋形状電極内に配置されたセンサを使用して前記心臓組織の温度を測定するステップと、を含み、
前記電極を駆動する前記ステップは、前記患部のサイズの減少を最適化するために、前記測定される温度に応じて調整される方法。
【請求項46】
心臓組織の患部を治療する方法であって、
少なくとも前記患部の近位で心臓組織内に回転方式で電極を挿入するステップと、
前記電極を挿入する前記ステップと実質的に同時に前記心臓組織に接触して電極を設置するステップと、
前記患部を加熱するために無線周波数(RF)信号を放出するよう前記電極に電力を供給するステップと、
前記センサを使用して前記心臓組織の温度を測定するステップと、
前記患部のサイズの減少を最適化するために、前記測定される温度に応じて前記電極に対する前記電力を調整するステップと、を含んだ方法。
【請求項47】
心臓内の患部を治療する方法であって、
第1端および第2端を有するカテーテルを選択するステップと、
前記第1端に電極を結合させるステップであって、前記電極は心臓組織内に回転可能に挿入されるようになっているステップと、
前記第2端に結合されており、かつ、前記電極を駆動するよう構成された電力源を選択するステップであって、前記電極は、駆動されると、無線周波数(RF)信号を放出して、前記患部を所望の温度まで加熱するステップと、
前記電極および前記電力源に温度フィードバックコントロールを結合させるステップであって、前記電極は、前記患部の測定温度に基づいて前記放出されるRF信号を調整するよう構成されるステップと、を含んだ方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2010−509022(P2010−509022A)
【公表日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−537156(P2009−537156)
【出願日】平成19年11月7日(2007.11.7)
【国際出願番号】PCT/US2007/023560
【国際公開番号】WO2008/063428
【国際公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【出願人】(509133861)シーオー−リペア・インコーポレーテッド (1)
【Fターム(参考)】