説明

心電計ないしは心拍計と歩数計とを備えた複合装置

【課題】従来の心電計または心拍計と、歩数計とを備えた複合装置では心電または心拍測定中に、被験者が歩いたときに平静時の正確な心電または心拍を測定することができなかった。
【解決手段】心電または心拍を測定する際には人体が静止して測定しなければ基準となる平静時の正しい測定結果が得られないので、歩数を検出する加速度センサの出力値が所定値以上のときには心電または心拍の測定を阻止するように制御するかまたはそのように指示するので、平静時の心電または心拍測定が正確に測定できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歩いた歩数を測定する歩数計に関し、特に心電計、心拍計と歩数計とを組み合わせた複合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、心電計ないしは心拍計を搭載して歩数とともに心電または心拍を測定する歩数計は例えば特許文献1に示すように知られている。
【0003】
図10に示す特許文献1は、ズボンのベルトに装着する本体部51に、歩数をカウントする歩数カウント部52を設け、本体51と接続する血圧を測定する血圧測定部53と、単位時間あたりの心臓の拍動数を計測するための心拍数計測部54と、を備えており、これらから得られたデータに基づいて歩数や心拍数、血圧値等を表示部55に表示するようにした。また、入力キー56から予め目標歩数や基準心拍数、基準血圧値を設定できるようにし、血圧測定部53や心拍数計測部54、歩数カウント部52から得られた値が、それらの設定値を越えた時は警告57より警告を発するようにした。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許公開11−29084号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上に述べた特許文献1では基準心拍数または基準血圧値を越えたときに警告を与えるだけで、体が動いているときに測定すると血圧が高いかどうかを判定する平静時の血圧や心拍が測定できない。その平静時の心拍測定を欲する被験者にとっては誤差が生じるので誤った情報を伝える危険性がある。
【0006】
本発明は、このような従来の構成が有していた問題を解決しようとするものであり、人体が動いていないときに基準となる平静時の心拍や心電を測定するようにすることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1は、人体の心臓の電気的な活動を測定する心電計または心拍を測定する心拍計と、前記人体が歩行した歩数を測定する歩数計とを備えた複合装置で、前記歩数計は加速度センサと、その加速度センサの出力により歩数を出力する手段と、前記加速度センサの出力が所定値を越えたときに前記心電計または前記心拍計の出力を阻止する手段と、を備えた心電計または心拍計と歩数計とを備えた複合装置を提供するものである。心電計または心拍計を基準となる平静時の心電または心拍を測定する際には測定者がと正しい結果が得られず、誤測定する危険性があるのでそのための対策を示すものである。
【0008】
請求項2は、人体の心臓の電気的な活動を測定する心電計または心拍を測定する心拍計と、前記人体が歩行した歩数を測定する歩数計とを備えた複合装置で、前記歩数計は加速度センサと、その加速度センサの出力により歩数を出力する手段と、前記心電または前記心拍の測定を開始する際に、前記歩数計の出力が所定値以下になるように指示する指示手段と、を備えた心電計または心拍計と歩数計とを備えた複合装置を提供するものである。心電または心拍を測定するときに、動かないように指示して、基準となる平静時の心電または心拍の出力を得るための対策を示すものである。
【0009】
請求項3は、前記心拍計は前記心電計により出力されたR波を検出し、前記R波の間隔のばらつきを示すリズムエラーを出力する請求項1または2に記載の心電計または心拍計と歩数計とを備えた複合装置を提供するものである。
【0010】
請求項4は、前記心拍計により出力される心拍の所定時間内に計測される心拍数と被験者の年齢をもとに定めた標準的な心拍数とを比較する手段と、比較した結果、異常かどうかを判定した結果を表示するする手段と、を備えた請求項1または2に記載の心電計または心拍計と歩数計とを備えた複合装置を提供するものである。
【0011】
請求項5は、前記心拍計により出力される心拍のばらつきと被験者の年齢をもとに定めた標準的な心拍数とを比較する手段と、比較した結果、異常かどうかを判定した結果を表示する手段と、を備えた請求項1または2に記載の心電計または心拍計と歩数計とを備えた複合装置を提供するものである。
【発明の効果】
【0012】
上述したように、本発明の心電計または心拍計と歩数計とを備えた複合装置は心電または心拍を測定する際には人体が静止して測定しなければ基準となる平静時の正しい測定結果が得られないことを複合装置自体で制御するかまたはそのように指示するものである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の心電計または心拍計と歩数計とを備えた複合装置の外観図
【図2】本発明の心電計または心拍計と歩数計とを備えた複合装置のブロック図
【図3】本発明の心電計または心拍計と歩数計とを備えた複合装置の歩数計の内容を示すフローチャート
【図4】心電波形から心拍数を求める説明図
【図5】最大心拍数をセットするフローチャート
【図6】最大リズムエラーをセットするフローチャート
【図7】本発明の心電計または心拍計と歩数計とを備えた複合装置の第1の実施例のフローチャート
【図8】本発明の心電計または心拍計と歩数計とを備えた複合装置の電源スリープ状態を示すフローチャート
【図9】本発明の心電計または心拍計と歩数計とを備えた複合装置の第2の実施例を示すフローチャート
【図10】従来例を示す図
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0014】
図1は本発明の心電計または心拍計と歩数計とを備えた複合装置の外観図を示す。
【0015】
1は複合装置本体を、2は表示部を、3、4は心電または心拍を測定する際に被験者が第1の手のひらで把持する第1、2の電極と、被験者の第1の手のひらと反対の手の手のひらまたは被験者の胸部に当接させる電極を示し、6は表示項目の切り替えまたはや数値を減少させたいときに使用する表示/減少スイッチ、7は過去の履歴を見るときまたは数値を増加させたいときに使用するメモリ/増加スイッチ、8は身長、体重、年齢等を設定する設定スイッチ、9は心拍および心拍のばらつきを示すリズムを確認するチェックスイッチ、10は心拍およびリズムの判定結果を点灯させる判定部である。11は電池室を、12は電池を、13は絶縁シートを示し、絶縁シート13を抜くと自動的に時刻設定になる。
【0016】
図2は本発明の心電計または心拍計と歩数計とを備えた複合装置のブロック図を示す。
【0017】
21は制御回路部を示し、制御回路部21には表示部2、心電または心拍を測定する際に被験者が手のひらで把持する第1、2の電極、被験者の胸部または前記手のひらと反対側の手の手のひらに当接する第3の電極と接続し、さらに表示/減少スイッチ6、メモリ/増加スイッチ7、設定スイッチ8、チェックスイッチ9、判定部10と接続する。
【0018】
表示部2は、表示/減少スイッチ6、メモリ/増加スイッチ7、設定スイッチ8の操作により、身長、体重、年齢、歩幅が入力される。最大心拍数、最大リズムエラーは入力された年齢に応じた数値が設定されて後、修正可能である。測定された歩行距離、歩数、心拍値、心電波形、リズムエラーが表示される。
【0019】
22は三軸の変位を検出する加速度センサを示し、3次元加速度センサ22はX軸方向の変位を出力するXセンサ23、Y軸方向の変位を出力するYセンサ24、Z軸方向の変位を出力するZセンサ25は制御回路部21に接続する。
【0020】
図3は、本発明の心電計または心拍計と歩数計とを備えた複合装置の制御をつかさどる制御回路部21のプログラムの中で、歩数を出力する歩数計の内容を示すフローチャートを示す。
【0021】
まず、電池室11内にある絶縁シート13を引き抜くとS1に示すように電源が投入される。次にS2に示すように時刻が設定される。S3では三次元加速度センサ22の3つのセンサであるXセンサ23、Yセンサ24、Zセンサ25の出力を検出する。S4では三次元センサ22のそれぞれのセンサの出力を所定のアルゴリズムに従って合成演算を行う。それをS5で一歩である「歩」を出力する。S6でt0時間に到らないときはS7に進み、加算せず、出力せず、t0以上時間が経過すると、S8に進んで「歩」を加算し、S9に進んで歩数として出力する。上記アルゴリズムは、3つのセンサの出力の平均値、その出力に対して重みづけして加算して平均値を出力するもの等種々考えられ、本発明ではそのアルゴリズムを特定するものではない。
【0022】
図4は心電波形から心拍数を求める説明図を示す。
【0023】
心電波形を表示するための波形表示モード、長時間にわたる心電波形の変化の様子を確認するための圧縮表示モード、及び、心電波形のピークであるR波とR波との間(以下、R−R間と称する) における心拍動ごとに計算で求めた心拍数の推移を表示するR−Rグラフ表示モードの3つのモードを表示する。単位時間内のR波の数が心拍数を示し、R波とR波の間の時間間隔がリズムであり、そのばらつきがリズムエラーである。
【0024】
図5は「最大心拍数」をセットするフローチャートを示す。
【0025】
S11で被験者の年齢をセットし、S12でその年齢に応じた最大心拍数をセットする。S13で被験者個人がそのセットした最大心拍数に対して医師等の相談の結果、調整をする必要があるか否かを判定し、調整するときは、S14に進み、表示/減少スイッチ6、メモリ/増加スイッチ7を操作して調整し、または調整をしないときはそのままの値にし、S15で最大心拍数を決定する。
【0026】
図6は「最大リズムエラー」をセットするフローチャートを示す。
【0027】
S21で被験者の年齢をセットし、S22でその年齢に応じた最大心拍数をセットする。S23で被験者個人がそのセットした最大心拍数に対して医師等の相談の結果、調整をするか否かを判定し、調整をするときはS24に進み、表示/減少スイッチ6、メモリ/増加スイッチ7を操作して調整し、または調整をしないときはそのままの値にし、S25で最大リズムエラーを決定する。
【0028】
図7は本発明の心電計または心拍計と歩数計とを備えた複合装置の制御回路部のプログラムの内容を示し、特に心拍を出力するフローチャートの第1実施例である。
【0029】
心電計または心拍計と歩数計とを備えた複合装置の電極3、電極4を一方の手のひらで持ち、電極5をもう一つの手のひらに当てる。S31でチェックスイッチ9をオンした状態で、S32でその時の加速度センサの出力を所定値Xと比較し、所定値Xより低くなったときにS33に進み、心拍を表すR波の高さが所定値以上である時は次に進むが、そうでないときはS34に進んで感度をアップさせる。感度をアップさせて、R波の高さが所定以上になったときにS35に進む。
【0030】
S35で心拍と同期して判定表示部10の緑LEDを点滅させる。S36で計測時間がT0秒以上を経過すると、S37に進んで計測値を取り込む。S38に進んで、心拍値、心拍値のばらつきであるリズムエラーの結果が問題なければ、S39に進み、判定表示部10の緑LEDが点灯する。S40に進み、メモリスイッチ7をオンさせるとS41に進み、格納する。
【0031】
S38で解析結果が問題である場合、S42に進んで判定表示部10の赤LEDが点灯し、S43に進んでT1時間経過後にS31に戻って再度チェックスイッチ9をオンさせると再度、心拍、リズムエラーをチェックすることができる。
【0032】
図8は、本発明の心電計または心拍計と歩数計とを備えた複合装置の電源スリープ状態を示すフローチャートである。
【0033】
S51で加速度信号または操作信号が所定値H1以下の状態がT3時間以上経過したときはS52に進み、制御装置21の不図示のマイコンにのみ給電され、スリープ状態になる。次にS53に進み、加速度信号または操作信号が所定値H2以上の状態がT4時間以上経過したときにS54に進みスリープ状態が解除されて操作が可能な状態になる。
【0034】
図9は、本発明の心電計または心拍計と歩数計とを備えた複合装置の第2の実施例を示すフローチャートである。
【0035】
心電計または心拍計と歩数計とを備えた複合装置の電極3、電極4を一方の手のひらで持ち、電極5をもう一つの手のひらに当てる。S61でチェックスイッチ9をオンした状態で、S62でその時の加速度センサの出力を所定値Xと比較し、所定値Xより低くないときはS63に進み、「静止してください」と、表示部2にその旨を表示する。所定値Xより低くなったときにS64に進み、心拍を表すR波の高さが所定値以上である時は次に進むが、そうでないときはS65に進んで感度をアップさせる。感度をアップさせて、R波の高さが所定以上になったときにS35に進む。
【0036】
S66で心拍と同期して判定表示部10の緑LEDを点滅させる。S67で計測時間がT0秒以上を経過すると、S68に進んで計測値を取り込む。S69に進んで、心拍値、心拍値のばらつきであるリズムエラーの結果が問題なければ、S70に進み、判定表示部10の緑LEDが点灯する。S71に進み、メモリスイッチ7をオンさせるとS72に進み、格納する。
【0037】
S69で解析結果が問題である場合、S73に進んで判定表示部10の赤LEDが点灯し、S74に進んでT1時間経過後にS31に戻って再度チェックスイッチ9をオンさせると再度、心拍、リズムエラーをチェックすることができる。
【0038】
上述したように、本発明の心電計または心拍計と歩数計とを備えた複合装置は心電または心拍を測定する際には人体が静止して測定しなければ基準となる平静時の正しい測定結果が得られないことを複合装置自体で制御するかまたはそのように指示するので、心電または心拍測定が正確に測定できる。
【符号の説明】
【0039】
1・・・・・・・・複合装置本体
2・・・・・・・・表示部
3・・・・・・・・第1の電極
4・・・・・・・・第2の電極
5・・・・・・・・第3の電極
6・・・・・・・・表示/減少スイッチ
7・・・・・・・・メモリ/増加スイッチ
8・・・・・・・・設定スイッチ
9・・・・・・・・チェックスイッチ
10・・・・・・・判定表示部
11・・・・・・・電池室
12・・・・・・・電池
13・・・・・・・絶縁シート
21・・・・・・・制御回路部
22・・・・・・・三次元加速度センサ
23・・・・・・・Xセンサ
24・・・・・・・Yセンサ
25・・・・・・・Zセンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体の心臓の電気的な活動を測定する心電計または心拍を測定する心拍計と、前記人体が歩行した歩数を測定する歩数計とを備えた複合装置で、前記歩数計は加速度センサと、その加速度センサの出力により歩数を出力する手段と、前記加速度センサの出力が所定値を越えたときに前記心電計または前記心拍計の出力を阻止する手段と、を備えた心電計または心拍計と歩数計とを備えた複合装置。
【請求項2】
人体の心臓の電気的な活動を測定する心電計または心拍を測定する心拍計と、前記人体が歩行した歩数を測定する歩数計とを備えた複合装置で、前記歩数計は加速度センサと、その加速度センサの出力により歩数を出力する手段と、前記心電または前記心拍の測定を開始する際に、前記歩数計の出力を阻止するよう指示する指示手段と、を備えた心電計または心拍計と歩数計とを備えた複合装置。
【請求項3】
前記心拍計は前記心電計により出力されたR波を検出し、前記R波の間隔のばらつきを示すリズムエラーを出力する請求項1または2に記載の心電計または心拍計と歩数計とを備えた複合装置。
【請求項4】
前記心拍計により出力される心拍の所定時間内に計測される心拍数と被験者の年齢をもとに定めた標準的な心拍数とを比較する手段と、比較した結果、異常かどうかを判定した結果を表示するする手段と、を備えた請求項1または2に記載の心電計または心拍計と歩数計とを備えた複合装置。
【請求項5】
前記心拍計により出力される心拍のばらつきと被験者の年齢をもとに定めた標準的な心拍数とを比較する手段と、比較した結果、異常かどうかを判定した結果を表示する手段と、を備えた請求項1または2に記載の心電計または心拍計と歩数計とを備えた複合装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−147509(P2011−147509A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−9362(P2010−9362)
【出願日】平成22年1月19日(2010.1.19)
【出願人】(592144939)株式会社パラマ・テック (26)
【Fターム(参考)】