説明

情報入力表示装置

【課題】 ユーザの誤選択を防止でき、選択操作を容易にすることができる情報入力表示装置を提供する。
【解決手段】 表示装置1の表示画面10側に配設されアイコン選択物体の接触を検出して検出信号を出力する第1のタッチスイッチ2と、第1のタッチスイッチ2よりユーザ側に配置されアイコン選択物体の第1のタッチスイッチ2への接近を検出するとともにアイコン選択物体の位置を検出する、第1のタッチスイッチ2より接触を検出する圧力が小さい第2のタッチスイッチ3と、第1のタッチスイッチ2によりアイコン選択物体による選択アイコン50aに対応する位置における接触を検出した場合に選択アイコン50aに関連づけられた処理を行う制御手段4と、第2のタッチスイッチ3のみが検出できる圧力でアイコン選択物体が接触した場合に検出されたアイコン選択物体の位置近傍の選択アイコン50aを表示画面10に拡大表示する拡大表示手段4とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関し、特に、表示画面を指などで直接触れて入力操作を行う情報入力表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、カーナビゲーションシステムの普及に伴い、タッチパネルを備えた情報入力表示装置が車両に搭載されるようになっている。さらに、この情報入力表示装置により、カーナビゲーションやエアコン、オーディオ操作など複数の機能の表示と操作を行なうようになってきている。
【0003】
このような情報入力表示装置では、複数の選択アイコンを用いて操作機能を表示し、ユーザがその部分を触ることでタッチスイッチにより操作を検出し、入力操作が行なわれる。しかしながら、操作に必要な機能が増加すると、それぞれの選択アイコン表示は小さくなり、選択操作が困難になるという問題が生じる。
【0004】
この問題を解決するために、選択された記号のみを拡大して表示する拡大表示画面を設ける構成や、第1の入力表示画面で表示した1群の記号(例えば、あ行)が選択された後、その1群の記号に含まれている記号(例えば、「あ」「い」「う」「え」「お」)のみを第2の入力表示画面で表示する構成を採用した情報入力表示装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平7−229751号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、選択された記号のみを拡大して表示する拡大表示画面を設ける構成では、小さい記号の誤選択を防ぐ効果は無かった。また、1群の記号を選択する第1の入力表示画面と、その1群の記号に含まれている記号を選択する第2の入力表示画面とを切り換える構成では、ユーザの操作が煩雑になるという問題があった。
【0006】
本発明は、上記点に鑑み、ユーザの誤選択を防止でき、選択操作を容易にすることができる情報入力表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、表示画面(10)に複数の選択アイコン(50a)を表示させる表示装置(1)と、表示装置(1)の表示画面(10)側に配設され、選択アイコン(50a)を選択するアイコン選択物体の接触を検出して検出信号を出力する第1のタッチスイッチ(2)と、第1のタッチスイッチ(2)よりユーザ側に配置され、アイコン選択物体の第1のタッチスイッチ(2)への接近を検出するとともに、アイコン選択物体の位置を検出する、第1のタッチスイッチ(2)より接触を検出する圧力が小さい第2のタッチスイッチ(3)と、第1のタッチスイッチ(2)により、アイコン選択物体による選択アイコン(50a)に対応する位置における接触を検出した場合に、選択アイコン(50a)に関連づけられた処理を行う制御手段(4)と、第2のタッチスイッチ(3)のみが検出できる圧力でアイコン選択物体が接触した場合に、検出されたアイコン選択物体の位置近傍の選択アイコン(50a)を表示画面(10)に拡大表示する拡大表示手段(4)とを備えることを特徴としている。
【0008】
これにより、ユーザが選択したい選択アイコン(50a)にアイコン選択物体を軽く触れさせるだけでその近傍が拡大表示されるため、希望する選択アイコン(50a)を容易に選択操作することができ、誤選択を防止することができる。また、アイコン選択物体の接触を検出して自動的に拡大表示画面を表示するため、選択画面を切り換える必要がなくなり、ユーザの選択操作を容易にすることができる。
【0009】
なお、「選択アイコン」とは、ユーザが何らかの操作で選択することができるような、表示画面(10)上の画像をいう。
【0010】
また、「アイコン選択物体」とは、ユーザの手や指など、選択アイコン(50a)を選択するために用いられるもののことをいう。
【0011】
また、請求項2に記載の発明のように、第1のタッチスイッチ(2)と第2のタッチスイッチ(3)は、それぞれ抵抗膜方式のタッチスイッチにすることができる。
【0012】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態について図1〜図4に基づいて説明する。本実施形態の情報入力表示装置は、車両に搭載されるカーナビゲーション装置の情報入力表示装置として用いられ、例えば地名入力に用いられる。
【0014】
図1(a)は本実施形態の情報入力表示装置を示す平面図で、図1(b)は図1(a)のA−A断面図で、図2は本実施形態の情報入力表示装置の全体構成を示すブロック図である。図1(a)(b)および図2に示すように、本実施形態の情報入力表示装置は、表示装置1、第1のタッチスイッチ2、第2のタッチスイッチ3、制御装置4、ナビゲーションECU6より構成されている。
【0015】
本実施形態の表示装置1は、TFTLCD(Thin Film Transistor Liquid Crystal Display)等の表示画面10を有し、制御装置4からの映像信号の入力に応じて、TFTLCD等の表示画面10に当該映像を表示する。
【0016】
表示画面10の上(ユーザ側)には、第1のタッチスイッチ2、第2のタッチスイッチ3の順に重なるように配置されている。第1のタッチスイッチ2および第2のタッチスイッチ3は、ユーザが任意の箇所を指など(アイコン選択物体)で押すことにより、押された箇所の座標データを制御装置4に対して出力するものである。また、第2のタッチスイッチ3は、第1のタッチスイッチ2よりも接触を検出する圧力が小さいものを用いている。これらの第1のタッチスイッチ2および第2のタッチスイッチ3は、抵抗膜方式、光学方式、超音波方式等の各種方式のタッチスイッチが知られているが、本実施形態においては、それぞれ抵抗膜式のタッチスイッチを用いている。
【0017】
制御装置4は、ナビゲーションECU6と接続されている。制御装置4は、通常のマイクロコンピュータとして構成されており、内部には周知のCPU、ROM、RAM、I/O、及びこれらを接続するバスラインが備えられている。制御装置4は、表示装置1の画面表示制御を行うように構成されており、本発明の拡大表示手段に相当している。また、制御装置4は、第1のタッチスイッチ2および第2のタッチスイッチ3の検出結果に基づいて所定の処理を行う。制御装置4では、ユーザによる後述する選択アイコン50aの選択操作に基づいて、選択アイコン50aに関連づけられた処理を行う。
【0018】
図3は、本第1実施形態の表示画面10を示す平面図である。図3(a)は通常画面、図3(b)は一部の選択アイコンが拡大表示された拡大表示画面を示している。図3に示すように、本第1実施形態の表示画面10には、記号入力部50、入力文字列表示部51、確定アイコン52、検索アイコン53、修正アイコン54、55、中止アイコン56が表示されている。
【0019】
記号入力部50は、通常の50音表の様式で並べられた入力候補文字としての複数の文字アイコン50aから成る。これら文字アイコン50aは選択アイコンであり、ユーザの操作によってそれらのうちの1つが選択されることで、その選択された文字アイコン50aの示す文字が入力文字列表示部51に追加される。例えば、ユーザが「あ」の選択アイコン50aを選択した場合は、入力文字列表示部51に「あ」の文字を表示させる。
【0020】
確定アイコン52は、記号入力部50の周辺(図3(a)(b)において右下)に配置され、ユーザがこのアイコンを押すことにより、地名の入力が完了し、このとき入力文字列表示部51に表示されている文字列が目的地の名称となる。そして、検索アイコン53を押すことにより、制御装置4はナビゲーションECU6に入力された文字列を出力する。
【0021】
修正アイコン54、55は、記号入力部50の周辺(図3(a)(b)において左下)に配置され、入力文字列表示部51に表示される文字列のうち、ユーザが修正したい文字を選択することにより、ユーザが選択した文字が入力文字列表示部51における表示から削除される。
【0022】
中止アイコン56は、記号入力部50の周辺(図3(a)(b)において右上)に配置され、ユーザがこのアイコンを押すことにより、文字入力は強制的に終了し、この文字入力のための50音入力画面を表示する前の画面の再表示を行う。
【0023】
次に、図3を参照しながら、本第1実施形態における情報入力表示装置の拡大表示の表示例を説明する。ユーザが指を選択したい選択アイコン50a付近で第2のタッチスイッチ3のみが検出できる程度の弱い圧力で接触させると、制御装置4は、第2のタッチスイッチ3によりアイコン選択物体の接近を検出し、表示画面10の画面表示を、検出されたアイコン選択物体の位置近傍の選択アイコン50aを拡大表示する拡大表示画面に切り換える。拡大表示画面で拡大する範囲は任意に設定できるが、図3(b)に示す例では、指を近づけた選択アイコン「て」を中心として1つ隣の選択アイコン50aまで拡大表示している。
【0024】
そして、選択アイコン50aが拡大表示された状態で、指を第2のタッチスイッチ3に接触させたまま移動させると、選択アイコン50aが拡大表示される領域も指とともに移動する。ユーザは、拡大表示画面において、希望する選択アイコン50aの位置まで指をずらし、選択アイコン50aを選択することができる。また、第2のタッチスイッチ3から指を離すと、拡大表示画面から通常画面に戻る。
【0025】
次に、図4を参照しながら、本実施形態における情報入力表示装置の処理動作について説明する。図4は、本実施形態における情報入力表示装置の制御装置4のCPUがROMに格納されたプログラムに従って行う処理内容を示すフローチャートである。
【0026】
まず、第2のタッチスイッチ3によって、手や指などのアイコン選択物体の接触が検出されたか否かを判定する(S100)。この結果、アイコン選択物体の接触が検出されなかった場合は(S100:NO)、通常画面を表示し(S110)、ステップS100に戻る。一方、第2のタッチスイッチ3では検出できるが第1のタッチスイッチ2では検出できない程度の弱い圧力でアイコン選択物体が第1のタッチスイッチ2に接触したことが検出された場合は(S100:YES)、ステップS100において接触が検出されたアイコン選択物体の座標を計算する(S120)。
【0027】
次に、ステップS120において計算された座標近傍の選択アイコン50aを拡大して表示する拡大表示画面に切り換える(S130)。
【0028】
次に、第1のタッチスイッチ2が押下されたか否かを判定する(S140)。この結果、第1のタッチスイッチ2が押下されなかった場合は(S140:NO)、ステップS100に戻る。一方、第1のタッチスイッチ2で検出できる程度の強い圧力で押下された場合は(S140:YES)、第1のタッチスイッチ2が押下された位置に基づいて、その位置に対応する選択アイコン50aに関連づけられた処理を行う(S150)。
【0029】
以上のように、選択したい選択アイコン50aの近傍にユーザが軽く触れるだけで、その付近の領域が拡大表示されるため、希望する選択アイコン50aを容易に選択操作することができる。これにより、選択アイコン50aが小さく表示されている場合であっても、選択アイコン50aの誤選択を防止することが可能となる。さらに、選択アイコン50aが拡大表示されているときに、第2のタッチスイッチ3にアイコン選択物体を接触させたまま移動させることで、表示画面10に拡大表示される領域も移動するため、選択操作をより容易にすることが可能となる。
【0030】
(他の実施形態)
また、上記実施形態の情報入力表示装置は、カーナビゲーション装置の情報入力表示装置として説明したが、本発明の情報入力表示装置はカーナビゲーション装置以外にも用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】(a)は本発明の実施形態の情報入力表示装置を示す平面図、(b)は(a)のA−A断面図である。
【図2】本発明の実施形態の情報入力表示装置の全体構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施形態の表示画面を示す平面図である。
【図4】本発明の実施形態における情報入力表示装置の制御装置のCPUが行う処理内容を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0032】
1…表示装置、2…第1のタッチスイッチ、3…第2のタッチスイッチ、4…制御装置、10…表示画面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示画面(10)に複数の選択アイコン(50a)を表示させる表示装置(1)と、
前記表示装置(1)の前記表示画面(10)側に配設され、前記選択アイコン(50a)を選択するアイコン選択物体の接触を検出して検出信号を出力する第1のタッチスイッチ(2)と、
前記第1のタッチスイッチ(2)よりユーザ側に配置され、前記アイコン選択物体の前記第1のタッチスイッチ(2)への接近を検出するとともに、前記アイコン選択物体の位置を検出する、前記第1のタッチスイッチ(2)より接触を検出する圧力が小さい第2のタッチスイッチ(3)と、
前記第1のタッチスイッチ(2)により、前記アイコン選択物体による前記選択アイコン(50a)に対応する位置における接触を検出した場合に、前記選択アイコン(50a)に関連づけられた処理を行う制御手段(4)と、
前記第2のタッチスイッチ(3)のみが検出できる圧力で前記アイコン選択物体が接触した場合に、検出された前記アイコン選択物体の位置近傍の前記選択アイコン(50a)を前記表示画面(10)に拡大表示する拡大表示手段(4)とを備えることを特徴とする情報入力表示装置。
【請求項2】
前記第1のタッチスイッチ(2)と前記第2のタッチスイッチ(3)は、それぞれ抵抗膜方式のタッチスイッチであることを特徴とする請求項1に記載の情報入力表示装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2006−59238(P2006−59238A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−242238(P2004−242238)
【出願日】平成16年8月23日(2004.8.23)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】