説明

情報処理システム、情報処理方法、及び情報処理プログラム

【課題】使い勝手のよい手書き文字入力機能を用いた聴取情報入力技術を提供すること。
【解決手段】予め定められた複数の入力項目を含むテンプレートに対して聴取情報を入力する情報処理システムであって、複数の入力項目に含まれる第1入力項目に対する手書き入力開始の指示を受け付け、受け付けた指示に応じて1つの手書き文字を入力するための手書き文字入力領域を複数表示し、手書き文字入力領域のそれぞれに対するユーザからの手書き文字入力を受け付け、手書き文字入力領域のそれぞれに対してユーザが入力した手書き文字を認識して対応する文字を特定する。記憶手段に記憶された前記複数の入力候補から認識して特定した文字を含む特定入力候補を選択して表示し、表示した特定入力候補から第1入力項目に入力すべき少なくとも1つの特定入力候補の選択を受け付けて入力事項を決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手書き入力情報を認識して入力する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
聴取した情報を入力する仕組みとして、特許文献1には、緊急通報サービスに用いられる手書き文字入力技術が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許3817378号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の特許文献1に記載の発明は、その図9を用いて説明があるように、メモ帳を、単にデジタイザに置き換えただけのシステムであった。そして、大きな手書きスペースに自由に描き込まれた複数の文字又は文字列を認識していた。そのため、文字一つ一つの認識精度が低く、逆に文字を非常に正確かつ丁寧に書く必要が生じていた。
【0005】
またさらに、その文字列が、どの項目に対するどのような内容かを判断しなければならず、やはり精度が低かった。たとえば、特許文献1の図9において、「のんだくれ」という単語が、居酒屋の名称を指しているのか、あるいは、店を壊している主体を指しているのか、入力文字のみから判断することはできなかった。したがって、項目との対応関係の判断の精度が低く、逆に、文字入力後に、キーボードを用いて訂正する必要が生じるため、負担が大きかった。
【0006】
さらに、単語を構成する全ての文字を書く必要があった。たとえば、殺人なら漢字で2文字、平仮名で4文字の入力が要求され、金融機関強盗なら、漢字で6文字、平仮名なら11文字入力する必要が生じていた。
【0007】
結果として、従来の文字入力システムは、使い勝手が悪かった。
【0008】
本発明の目的は、上述の課題を解決する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明に係るシステムは、
予め定められた複数の入力項目を含むテンプレートに対して、聴取情報を入力する情報処理システムであって、
前記複数の入力項目に含まれる第1入力項目に対する手書き入力開始の指示を受け付ける第1受付手段と、
受け付けた前記指示に応じて、1つの手書き文字を入力するための手書き文字入力領域を複数表示する第1表示制御手段と、
前記手書き文字入力領域のそれぞれに対する、ユーザからの手書き文字入力を受け付ける第2受付手段と、
前記手書き文字入力領域のそれぞれに対してユーザが入力した手書き文字を認識して、対応する文字を特定する認識手段と、
前記第1入力項目に入力されるべき複数の入力候補を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された前記複数の入力候補から、前記認識手段が認識して特定した文字を含む特定入力候補を選択して表示する第2表示制御手段と、
前記第2表示制御手段が表示した特定入力候補から、前記第1入力項目に入力すべき少なくとも1つの特定入力候補の選択を受け付けて入力事項を決定する第3受付手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0010】
上記目的を達成するため、本発明に係る方法は、
予め定められた複数の入力項目を含むテンプレートに対して、聴取情報を入力する情報処理方法であって、
前記複数の入力項目に含まれる第1入力項目に対する入力開始の指示を受け付ける第1受付ステップと、
受け付けた前記指示に応じて、1つの手書き文字を入力するための手書き文字入力領域を複数表示する第1表示ステップと、
前記手書き文字入力領域のそれぞれに対する、ユーザからの手書き文字入力を受け付ける第2受付ステップと、
前記手書き文字入力領域のそれぞれに対してユーザが入力した手書き文字を認識して、対応する文字を特定する認識ステップと、
前記第1入力項目に入力されるべき複数の入力候補を記憶する記憶ステップと、
前記第1入力項目に入力されるべき複数の入力候補が予め記憶された記憶手段から、前記認識ステップで特定した文字を含む特定入力候補を選択して表示する第2表示ステップと、
前記第2表示ステップで表示した特定入力候補から、前記第1入力項目に入力すべき少なくとも1つの特定入力候補の選択を受け付けて入力事項を決定する決定ステップと、
を含むことを特徴とする。
【0011】
上記目的を達成するため、本発明に係るプログラムは、
予め定められた複数の入力項目を含むテンプレートに対して、聴取情報を入力する情報処理プログラムであって、
前記複数の入力項目に含まれる第1入力項目に対する入力開始の指示を受け付ける第1受付ステップと、
受け付けた前記指示に応じて、1つの手書き文字を入力するための手書き文字入力領域を複数表示する第1表示ステップと、
前記手書き文字入力領域のそれぞれに対する、ユーザからの手書き文字入力を受け付ける第2受付ステップと、
前記手書き文字入力領域のそれぞれに対してユーザが入力した手書き文字を認識して、対応する文字を特定する認識ステップと、
前記第1入力項目に入力されるべき複数の入力候補を記憶する記憶ステップと、
前記第1入力項目に入力されるべき複数の入力候補が予め記憶された記憶手段から、前記認識ステップで特定した文字を含む特定入力候補を選択して表示する第2表示ステップと、
前記第2表示ステップで表示した特定入力候補から、前記第1入力項目に入力すべき少なくとも1つの特定入力候補の選択を受け付けて入力事項を決定する決定ステップと、
をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、使い勝手のよい手書き文字入力機能を用いた聴取情報入力技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1実施形態に係る情報処理システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第2実施形態に係る情報処理システムの構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第2実施形態に係る表示画面を示す図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る表示画面を示す図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係る手書き文字入力領域を示す図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係る手書き文字入力領域を示す図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る情報処理システムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】本発明の第3実施形態としての情報処理システムの構成を示すブロック図である。
【図9】本発明の第4実施形態に係る表示画面を示す図である。
【図10】本発明の第5実施形態に係る表示画面を示す図である。
【図11】本発明の第6実施形態に係る表示画面を示す図である。
【図12】本発明の第6実施形態に係る表示画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明を実施するための形態について、図面を参照して、例示的に詳しく説明記載する。ただし、以下の実施の形態に記載されている、構成、数値、処理の流れ、機能要素などは一例に過ぎず、その変形や変更は自由であって、本発明の技術範囲を以下の記載に限定する趣旨のものではない。
【0015】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態としての情報処理システム100について、図1を用いて説明する。情報処理システム100は、予め定められた複数の入力項目を含むテンプレートに対して、聴取情報を入力するシステムである。
【0016】
図1に示すように、情報処理システム100は、第1受付部101と、第1表示制御部102と、第2受付部103と、認識部104と、記憶部105と、第2表示制御部106と、第3受付部107とを含む。
【0017】
これらのうち、第1受付部101は、テンプレート111のうちの複数の入力項目に含まれる第1入力項目151に対する入力開始の指示を受け付ける。
【0018】
そして次に、第1表示制御部102は、受け付けた前記指示に応じて、1つの手書き文字を入力するための手書き文字入力領域112を複数表示する。
【0019】
続いて、第2受付部103は、手書き文字入力領域112のそれぞれに対する、ユーザからの手書き文字113の入力を受け付ける。
【0020】
そして認識部104は、手書き文字入力領域112のそれぞれに対してユーザが入力した手書き文字113を認識して、対応する文字を特定する。
【0021】
記憶部105は、第1入力項目に入力されるべき複数の入力候補を予め記憶しており、第2表示制御部106は、記憶部105に記憶された複数の入力候補から、認識部104が認識して特定した文字を含む特定入力候補114を選択して表示する。
【0022】
最後に、第3受付部107は、第2表示制御部106が表示した特定入力候補114から、第1入力項目に入力すべき少なくとも1つの特定入力候補の選択115を受け付けて第1入力項目への入力事項を決定する。
【0023】
以上の構成及び動作により、本実施形態によれば、使い勝手のよい手書き文字入力機能を用いた聴取情報入力技術を提供することができる。
【0024】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態としての情報処理システム200について、図2を用いて説明する。情報処理システム200は、通報者からの通報を受けた警察の電話オペレータが、予め定められた複数の入力項目を含むテンプレートに対して、聴取情報を入力するシステムである。
【0025】
図2に示すように、情報処理システム200はペンタブレット210と、文字認識ソフト204と、業務マスタデータベース205とを含む。また、ペンタブレット210は、第1受付部201と、第1表示制御部202と、第2受付部203と、第2表示制御部206と、第3受付部207とを含む。ペンタブレット210は、第1表示制御部202、第2表示制御部206として表示を実現する表示機能と、第1受付部201、第2受付部203、第3受付部207として電話オペレータからの入力を受け付ける入力機能とを含む。
【0026】
これらのうち、第1受付部201は、聴取ファイル211の内の、事件名251、住所252などの入力項目に対する入力を受け付ける。
【0027】
そして次に、第1表示制御部202は、受け付けた前記指示に応じて、1つの手書き文字を入力するための手書き文字入力領域212を複数表示する。続いて、第2受付部203は、手書き文字入力領域212のそれぞれに対する、警察の電話オペレータからの手書き文字213の入力を受け付ける。
【0028】
そして文字認識ソフト204は、手書き文字入力領域212のそれぞれに対して電話オペレータが入力した手書き文字213を認識して、対応する文字を特定する。
【0029】
業務マスタデータベース205は、各入力項目に入力されるべき複数の入力候補を予め記憶している。また、第2表示制御部206は、業務マスタデータベース205に記憶された複数の入力候補から、文字認識ソフト204が認識して特定した文字を含む特定入力候補214を選択して表示する。
【0030】
最後に、第3受付部207は、第2表示制御部206が表示した特定入力候補214から、聴取ファイル211のうちの事件名の項目に入力すべき少なくとも1つの特定入力候補の選択215を受け付けて事件名の項目への入力事項を決定する。
【0031】
図3は、ペンタブレット210に聴取ファイル211を表示した表示画面300を示す図である。図3に示すとおり、表示画面300は、事件情報入力部301、通報情報入力部302、指示情報入力部303と、所轄入力部304とを含んでいる。事件情報入力部301は、たとえば、事件名、事件発生場所、事件発生時刻など、事件についての情報を入力する複数の入力項目を含む。通報情報入力部302は、たとえば、通報者氏名、年齢、性別、国籍、通報場所、通報手段など、通報についての情報を入力する複数の入力項目を含む。指示情報入力部303は、たとえば、受けた通報の指令先(所轄署)、転送先(消防署)などを入力する複数の入力項目を含む。さらに、所轄入力部304は、所轄署が入力する複数の入力項目を含む。
【0032】
表示画面300は、さらに、地図やその他の画像、又は、入力項目に挙げられていない事項を電話オペレータが入力するための自由入力領域341を含む。図3では、例として、自由入力領域341に「おとこ2人」、「30代」、「スクーター」、「逃走」の文字、及び発生現場を示した地図が入力された場合を示している。
【0033】
図4は、図3において、入力項目としての「件名1」を選択して文字入力選択ダイアログ402を表示した場合の表示画面400を示す図である。図4に示すように、ペンタブレット210は、通報者からの通話内容を受けた電話オペレータによる「件名1」の選択に応じて、手書き文字入力領域212と特定入力候補214とを含む文字入力選択ダイアログ402を表示する。ここでは、「件名1」の欄に入力される入力候補として、「殺人」、「強盗」、「殺人強盗」、「金融機関強盗」、「コンビニ強盗」、「タクシー強盗」・・・が、表示されている。警察の電話オペレータは、電話による通報を受けて、聴取情報に基づいて手書き文字入力領域212に、事件名を手書き入力する。
【0034】
図5は、手書き文字入力領域212に、カタカナの「サ」の手書き文字を入力した場合の文字入力選択ダイアログ502を示す図である。図5に示すように、手書き文字入力領域212に入力された手書き文字213が、文字認識ソフト204でカタカナの「サ」と認識されると、文字入力選択ダイアログ502に認識結果521が表示される。この認識結果521は、同時に、文字認識ソフト204から、業務マスタデータベース205に手書き文字情報として送信される。そして、「サ」と関連する特定入力候補は、業務マスタデータベース205に記憶された入力候補から選択されて、特定入力候補214に表示される。ここでは、特定入力候補214として「殺人」、及び、「山岳事故」が表示されている。
【0035】
図6は、電話オペレータが手書き文字入力領域212に複数の文字を入力した場合の文字入力選択ダイアログ602を示す図である。電話オペレータが手書き文字入力領域212に「サツジ」の手書き文字を入力すると、業務マスタデータベース205は、入力候補として「サツジ」の読み610を有する「殺人」という単語を抽出し、1つの特定入力候補214として表示する。この時点でペンタブレット210の第3受付部207が、電話オペレータから「殺人」という特定入力候補214の選択を受け付けると、入力項目「件名1」への入力事項を「殺人」に決定する。
【0036】
図7は、本実施形態に係る情報処理システム200の処理の流れを示すフローチャートである。ペンタブレット210のCPU(不図示)が、本フローチャートの各処理に対応するプログラムモジュールを読出して実行することにより、ペンタブレット210は、図2の各機能要素201、202、203、206、207として機能する。
【0037】
情報処理ステム200のペンタブレット210は、まず、ステップS701において通報者からの着呼を受けた電話オペレータによる指示を受け、ステップS703において表示部に聴取ファイル211を表示する。次に、ステップS705において、第1受付部201は、聴取ファイル211を表示した表示画面中の手書き文字入力項目が選択されたか否かを判定する。
【0038】
ステップS705において、手書き文字入力項目が選択されなかった場合には、ステップS707に進み、他の項目が選択されない場合には、再びステップS705に戻る。なお、ステップS707において他の項目(手書き文字入力項目以外の項目)が選択された場合には、プルダウンメニューからの選択などにより入力項目を決定する。一方、ステップS705において、電話オペレータにより手書き文字入力項目が選択されたこと(つまり手書き文字入力開始指示)を、ペンタブレット210の第1受付部201が検知した場合には、ステップS709に進む。そして、ステップS709においてペンタブレット210の第1表示制御部202は、手書き文字入力領域212を含む文字入力選択ダイアログ402を表示する。
【0039】
次に、ステップS711において、第2受付部203は、電話オペレータからの手書き文字の入力を待ち、手書き文字の入力があった場合には、ステップS713に進む。ステップS713において、ペンタブレット210の第2受付部203は、手書き文字認識ソフト204に対して、手書き文字を送信し、文字認識処理を要求する。文字認識ソフト204は、手書き文字に対応する文字コードを認識結果として出力する。さらに、ステップS715において、認識結果としての文字コードを用いて、業務マスタデータベース205内を検索し、その文字コードを含む特定入力候補を抽出する。さらに、ステップS717において、ペンタブレット210の第2表示制御部206は、特定入力候補を表示する。そしてステップS719において、第3受付部207が特定入力候補の選択を検知すると、ステップS721において、ステップS705で選択した入力項目に入力する入力事項を決定する。一方、ステップS719において特定入力候補が選択されない場合には、ステップS711に戻る。
【0040】
以上の構成及び動作により、本実施形態によれば、使い勝手のよい手書き文字入力機能を用いた聴取情報入力技術を提供することができる。具体的には、警察の電話オペレータは、本情報処理システムを用いることにより、通報を受けた場合に、聴取情報を効率的に入力することができる。
【0041】
すなわち、1文字毎の手書き文字入力領域を複数表示させて、文字を入力させるため、極度に正確かつ丁寧に文字を書かなくても高い認識精度を実現できる。さらに、項目を選んでから、手書き文字入力を行なうので、その文字列が、どの項目に対するものかをシステムが判断する必要はなく、文字入力後に、キーボードを用いて訂正する必要が生じることはない。
【0042】
またさらに、1文字でも手書き文字入力を行なえば、その文字を含む入力候補を絞り込んで選択可能に表示するため、単語を構成する全ての文字を書く必要もなく、電話オペレータは非常に容易かつ効率的に複数の入力項目を埋めていくことが可能となる。
【0043】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態としての情報処理システム800について、図8を用いて説明する。本実施形態としての情報処理システム800は、聴取情報をマイク821で入力し、音声認識ソフト822で音声認識を行い、ペンタブレット810の第2受付部803で聴取情報を受け付ける点で、第2実施形態と異なる。その他の構成及び動作については、上記の第2実施形態と同様であるため、同じ構成要素については同じ符号を付してその説明を省略する。
【0044】
本実施形態において、第2受付部803は、通報者からの通報に基づく聴取情報として、手書き文字213を受け付けるだけでなく、マイク821を用いて取得した音声を音声認識ソフト822で変換された文字をも受け付けることができる。
【0045】
以上の構成及び動作により、本実施形態によれば、手書き文字入力機能だけでなく、音声認識機能を用いて、使い勝手の良い聴取情報入力技術を提供することができる。電話オペレータは本実施形態に係る情報処理システムを用いることにより、より一層容易かつ効率的に複数の入力項目を埋めていくことが可能となる。
【0046】
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態に係る情報処理システムについて、図9を用いて説明する。図9は、本実施形態に係る情報処理システムに含まれるペンタブレット210が表示する表示画面900を示す図である。
【0047】
図9に示すように、表示画面900は、複数の文字入力選択ダイアログ902、903を含む。ペンタブレット210の第1表示制御部202は、選択された入力項目に関連の深い他の入力項目を不図示の関連項目テーブルから導き出し、表示する。図9の例では、「件名1」が選択されたことに応じて、事件名の入力項目用の文字入力選択ダイアログ902を表示し、さらに、「件名1」に関連の深い入力項目として事件発生場所を示す「発場所」を導き出す。そして、「発場所」への住所の入力項目用の文字入力選択ダイアログ903を併せて表示する。
【0048】
さらに、第1表示制御部202は、文字入力選択ダイアログ902への入力事項が決定した場合に、文字入力選択ダイアログ902を閉じて、「発場所」と関連する入力項目(たとえば通報場所を表わす「通場所」)に対応する文字入力選択ダイアログを表示する。
【0049】
以上のように、本実施形態によれば、より使い勝手のよい手書き文字入力機能を用いた聴取情報入力技術を提供することができる。電話オペレータは本実施形態に係る情報処理システムを用いることにより、1つ1つ入力項目を選択しなくても、1つの入力項目と関連する他の入力項目への入力を逐次順番に行なうことができる。結果的に、非常に容易かつ効率的に複数の入力項目を埋めていくことが可能となる。
【0050】
(第5実施形態)
本発明の第5実施形態に係る情報処理システムについて、図10を用いて説明する。本実施形態に係る情報処理システムの第2受付部は、手書き文字入力領域に対して入力された手書き文字が特殊記号であるか否かを判定し、特殊記号と認識した場合、通報された通話内容がいたずらだと判定する。他の構成及び動作については第2実施形態と同様であるためここではその説明を省略する。
【0051】
図10は、本実施形態に係る情報処理システムに含まれるペンタブレット210が表示する表示画面1000を示す図である。
【0052】
第2受付部が、文字認識領域1012に入力された記号1031を予め登録された特殊記号(ここでは渦巻き記号)であると認識した場合には、情報処理システムは、通報された通話内容がいたずら電話であると判定し、聴取情報の入力処理を終了する。すなわち、それまで入力された情報を破棄して、所定の入力項目にいたずら電話であった旨を自動的に入力する。
【0053】
本実施形態によれば、手書き文字入力領域への予め登録された特殊記号の入力により、聴取情報の入力処理を終了させることができ、使い勝手のよい手書き文字入力機能を用いた聴取情報入力技術を提供することができる。
【0054】
(第6実施形態)
本発明の第6実施形態に係る情報処理システムについて、図11、及び、図12を用いて説明する。図11、図12は、本実施形態に係る情報処理システムに含まれるペンタブレット210が表示する表示画面1100、1200を示す図である。
【0055】
表示画面1100は、ユーザにより入力項目として「件名1」が選択されて、文字入力選択ダイアログに、いくつかの手書き文字(ここでは「と」と「う」)が入力された状態の画面である。この段階で、入力項目の選択を誤ったことに気づいた場合、本実施形態では、表示画面1200に示すように、他の入力項目(たとえば「発場所」)の選択を受け付けて、入力した手書き文字の内容をそのまま他の入力項目への入力内容として用いることができる。このとき第2受付部203は、同じ手書き文字情報を、他の入力項目に紐付けて、文字認識ソフト204から業務マスタデータベース205に送るように変更指示を送る。業務マスタデータベース205は、この変更指示を変更受付部において受け付けて他の入力項目についての入力候補を選び直して、第2表示制御部206に送る。これにより、表示画面1100、1200において、入力候補が、「件名1」に対応する「窃盗」、「盗撮」などの単語から、「発場所」に対応する「芦屋市大東町」、「相生市若狭野町八洞」などに変更される。
【0056】
以上の構成及び動作により、本実施形態によれば、ユーザが入力した文字を削除して書き直すことなく入力項目を変更することが可能であり、使い勝手の良い手書き文字入力機能を用いた聴取情報入力技術を提供することができる。
【0057】
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態について詳述したが、それぞれの実施形態に含まれる別々の特徴を如何様に組み合わせたシステム又は装置も、本発明の範疇に含まれる。
【0058】
また、本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用しても良いし、単体の装置に適用しても良い。さらに、本発明は、実施形態の機能を実現する情報処理プログラムが、システムあるいは装置に直接あるいは遠隔から供給される場合にも適用可能である。したがって、本発明の機能をコンピュータで実現するために、コンピュータにインストールされるプログラム、あるいはそのプログラムを格納した媒体、そのプログラムをダウンロードさせるWWWサーバも、本発明の範疇に含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め定められた複数の入力項目を含むテンプレートに対して、聴取情報を入力する情報処理システムであって、
前記複数の入力項目に含まれる第1入力項目に対する手書き入力開始の指示を受け付ける第1受付手段と、
受け付けた前記指示に応じて、1つの手書き文字を入力するための手書き文字入力領域を複数表示する第1表示制御手段と、
前記手書き文字入力領域のそれぞれに対する、ユーザからの手書き文字入力を受け付ける第2受付手段と、
前記手書き文字入力領域のそれぞれに対してユーザが入力した手書き文字を認識して、対応する文字を特定する認識手段と、
前記第1入力項目に入力されるべき複数の入力候補を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された前記複数の入力候補から、前記認識手段が認識して特定した文字を含む特定入力候補を選択して表示する第2表示制御手段と、
前記第2表示制御手段が表示した特定入力候補から、前記第1入力項目に入力すべき少なくとも1つの特定入力候補の選択を受け付けて入力事項を決定する第3受付手段と、
を備えたことを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
前記第1表示制御手段及び前記第2表示制御手段として表示を実現する表示機能と、
前記第1受付手段、前記第2受付手段及び前記第3受付手段としてユーザからの入力を受け付ける入力機能と、
を備えたタブレットを含むことを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記第1表示制御手段は、自由に描かれた手書き画像を入力するための自由入力領域をも表示することを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記情報処理システムは、電話による通報を受けて、その通報内容に基づき前記聴取情報を入力する装置であって、
前記第1入力項目は、前記通報に関わる事件名又は住所であることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の情報処理システム。
【請求項5】
マイクと、
前記マイクで入力した音声を認識して前記聴取情報に変換する音声認識手段と、
を備え、
前記第2表示制御手段は、前記聴取情報に基づいて、表示する特定入力候補を絞り込むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記第1表示制御手段は、前記入力項目の1つへの入力事項が決定した場合に、決定した該入力事項に関連する他の入力項目用に、前記手書き文字入力領域を表示することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記情報処理システムは、電話による通報を受けて、その通報内容に基づき前記聴取情報を入力する装置であって、
前記認識手段が、前記手書き文字入力領域に対して入力された手書き文字が特殊記号であると認識した場合、前記通報がいたずらだと判定する判定手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項8】
前記第1表示制御手段が表示した前記手書き文字入力領域に対してユーザが手書き文字を入力している状態で、該手書き文字に対応する内容を、前記第1入力項目とは異なる第2入力項目として入力する変更指示を受け付ける変更受付手段をさらに有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項9】
予め定められた複数の入力項目を含むテンプレートに対して、聴取情報を入力する情報処理方法であって、
前記複数の入力項目に含まれる第1入力項目に対する入力開始の指示を受け付ける第1受付ステップと、
受け付けた前記指示に応じて、1つの手書き文字を入力するための手書き文字入力領域を複数表示する第1表示ステップと、
前記手書き文字入力領域のそれぞれに対する、ユーザからの手書き文字入力を受け付ける第2受付ステップと、
前記手書き文字入力領域のそれぞれに対してユーザが入力した手書き文字を認識して、対応する文字を特定する認識ステップと、
前記第1入力項目に入力されるべき複数の入力候補が予め記憶された記憶手段から、前記認識ステップで特定した文字を含む特定入力候補を選択して表示する第2表示ステップと、
前記第2表示ステップで表示した特定入力候補から、前記第1入力項目に入力すべき少なくとも1つの特定入力候補の選択を受け付けて入力事項を決定する決定ステップと、
を含むことを特徴とする情報処理方法。
【請求項10】
予め定められた複数の入力項目を含むテンプレートに対して、聴取情報を入力する情報処理プログラムであって、
前記複数の入力項目に含まれる第1入力項目に対する入力開始の指示を受け付ける第1受付ステップと、
受け付けた前記指示に応じて、1つの手書き文字を入力するための手書き文字入力領域を複数表示する第1表示ステップと、
前記手書き文字入力領域のそれぞれに対する、ユーザからの手書き文字入力を受け付ける第2受付ステップと、
前記手書き文字入力領域のそれぞれに対してユーザが入力した手書き文字を認識して、対応する文字を特定する認識ステップと、
前記第1入力項目に入力されるべき複数の入力候補が予め記憶された記憶手段から、前記認識ステップで特定した文字を含む特定入力候補を選択して表示する第2表示ステップと、
前記第2表示ステップで表示した特定入力候補から、前記第1入力項目に入力すべき少なくとも1つの特定入力候補の選択を受け付けて入力事項を決定する決定ステップと、
をコンピュータに実行させることを特徴とする情報処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図7】
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【図8】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−79048(P2012−79048A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−223051(P2010−223051)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【出願人】(000232092)NECソフト株式会社 (173)
【Fターム(参考)】