説明

情報処理システムと情報処理装置と情報処理方法とプログラムとコンピュータ読み取り可能な記録媒体

【課題】 サーバ装置に登録される前の文書データに対する不正アクセスや改竄を容易に突きとめることができるようにする。
【解決手段】 画像読取装置は、S1で紙文書に記載された情報の画像を読み取って文書データを取り込み、S2で文書データと読み取った日時、読み取り実行者を含むアクセス情報とをセットにして、文書管理サーバに登録の依頼と共に送信する。
文書管理サーバは、S3で、画像読取装置から受信した文書データと共にアクセス情報を受信したか否かによって文書登録を受け付けるか否かを判断し、アクセス情報を受信し、且つそのアクセス情報の読み取り実行者が自文書管理サーバへのアクセス権を持っていると判断した場合、S4で、画像読取装置から受信した文書データとアクセス情報とを登録して保管し、この文書登録処理を終了する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、情報処理システムと情報処理装置と情報処理方法とプログラムとコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、企業においては、ホワイトカラーの生産性を向上させるための道具としてパソコンの導入が急速に進んでいる。
具体的には、パソコンの導入によって、文書作成ソフトや表計算ソフトを含むアプリケーションソフトウェアを利用可能とすると共に、社内電子文書をサーバ装置(「文書管理サーバ」と称する)で保存したり、既存の紙文書を電子文書化してサーバ装置で管理したりして、業務の効率化や省スペース化を図っている。
しかし、電子文書(文書データ)をサーバ装置に保存した場合、その文書データに対する不正アクセスや文書内容の改竄の危険性がある。
従来、上記のような危険性を低減する方法として、サーバ装置内に文書を管理する部分と文書へのアクセスに関する情報を保存する部分を設け、そのサーバ装置で管理する文書にアクセスされた場合にアクセス情報を保存する情報処理システム(例えば、特許文献1,2参照)があった。
【特許文献1】特開2005−135242号公報
【特許文献2】特開2001−147898号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の情報処理システムでは、一度サーバ装置に登録された文書データに対するアクセス情報を残すことはできるが、サーバ装置に登録される前の文書データに対するアクセス情報は残すことができない。
例えば、一般に文書データをサーバ装置に登録する手段は、紙文書をスキャナや複写機の画像読取装置で電子化して登録する方法と、サーバ装置とは別のクライアントPCのアプリケーションで文書を作成して登録する方法が考えられる。
また、近年普及してきているノートPCと無線LANを使用する場合には、ネットワークから瞬断されたり、ネットワークに接続できなかったりすることが多々あるが、サーバ−クライアントシステムの運用では、ネットワークが正常に接続されていないと、クライアントPCはサーバ装置内の文書データにアクセスができないし、編集後の文書データをサーバ装置へ登録して編集結果を反映させることができなくなる。
【0004】
そこで、ユーザが自クライアントPCに文書データを保持するようにすると、その文書データに対する不正アクセスや改竄があってもアクセス情報を残すことができない。
このように、画像読取装置で読み取られた文書データ、クライアントPCで作成された文書データ、クライアントPCで保存されていた文書データには、サーバ装置に登録される前のアクセスの証跡は残らないので、サーバ装置に登録前にあった文書データに対する不正アクセスや改竄を容易に見つけることができないという問題があった。
この発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、サーバ装置に登録される前の文書データに対する不正アクセスや改竄を容易に突きとめることができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は上記の目的を達成するため、次の情報処理システムと情報処理装置と情報処理方法とプログラムとコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供する。
(1)サーバ装置と情報処理装置と画像読取装置とがネットワークを介してデータ通信可能な情報処理システムであって、上記画像読取装置は、紙文書に記載された情報を読み取り、その読み取った情報の文書データに読み取り時の情報を合わせて上記サーバ装置へ送信する手段を有し、上記情報処理装置は、文書データを作成し、その作成した文書データに作成時の情報を合わせて上記サーバ装置へ送信する手段を有し、上記サーバ装置は、上記画像読取装置から受信した文書データと読み取り時の情報とを合わせて登録し、上記情報処理装置から受信した文書データと作成時の情報とを対応させて登録する手段と、その手段によって登録された文書データに対するアクセスがあったときにそのアクセスのあった文書データにアクセス情報を登録する手段を有する情報処理システム。
【0006】
(2)上記のような情報処理システムにおいて、上記情報処理装置に、上記サーバ装置から文書データを取り込んで編集し、その編集した文書データと編集時の情報を合わせて上記サーバ装置へ送信する手段を設け、上記サーバ装置に、上記情報処理装置から受信した文書データと編集時の情報とを対応させて登録し直す手段を設けた情報処理システム。
(3)上記のような情報処理システムにおいて、上記画像読取装置に、上記読み取り時の情報を上記サーバ装置へ送信する前に暗号化する手段を設け、上記情報処理装置に、上記作成時の情報又は上記編集時の情報を上記サーバ装置へ送信する前に暗号化する手段を設け、上記サーバ装置に、上記画像読取装置から受信した暗号化された上記読み取り時の情報、上記情報処理装置から受信した暗号化された上記作成時の情報又は上記編集時の情報を登録前に復号化する手段を設けた情報処理システム。
(4)上記のような情報処理システムにおいて、上記サーバ装置に、上記画像読取装置から文書データに合わせて読み取り時の情報が送信されなかったとき、上記情報処理装置から文書データに合わせて作成時の情報又は編集時の情報が送信されなかったとき、それぞれ文書データの登録を拒否する手段を設けた情報処理システム。
【0007】
(5)上記のような情報処理システムにおいて、上記サーバ装置に、上記情報処理装置から要求された文書データと該文書データの読み取り時の情報、作成時の情報、編集時の情報又はアクセス情報を合わせて上記情報処理装置送信する手段を設け、上記情報処理装置に、上記サーバ装置から文書データと該文書データの読み取り時の情報、作成時の情報、編集時の情報又はアクセス情報を合わせて受信し、該受信した文書データを再編集し、該再編集した文書データに再編集時の情報と、上記読み取り時の情報、作成時の情報、編集時の情報又はアクセス情報を合わせて上記ネットワーク上の上記サーバ装置とは異なる他のサーバ装置へ送信する手段を設け、上記他のサーバ装置に、上記情報処理装置から受信した文書データと再編集時の情報と上記読み取り時の情報、作成時の情報、編集時の情報又はアクセス情報を対応させて登録する手段を設けた情報処理システム。
【0008】
(6)ネットワークを介してデータ通信可能な画像読取装置から受信した文書データと読み取り時の情報とを合わせて登録し、ネットワークを介してデータ通信可能な情報処理装置から受信した文書データと作成時の情報とを対応させて登録する手段と、その手段によって登録された文書データに対するアクセスがあったときに該アクセスのあった文書データにアクセス情報を登録する手段とを有する情報処理装置。
(7)サーバ装置がネットワークを介してデータ通信可能な画像読取装置から受信した文書データと読み取り時の情報とを合わせて登録し、ネットワークを介してデータ通信可能な情報処理装置から受信した文書データと作成時の情報とを対応させて登録する工程と、サーバ装置が上記工程によって登録された文書データに対するアクセスがあったときに該アクセスのあった文書データにアクセス情報を登録する工程とからなる情報処理方法。
【0009】
(8)コンピュータに、ネットワークを介してデータ通信可能な画像読取装置から受信した文書データと読み取り時の情報とを合わせて登録し、ネットワークを介してデータ通信可能な情報処理装置から受信した文書データと作成時の情報とを対応させて登録する手順と、その手順によって登録された文書データに対するアクセスがあったときに該アクセスのあった文書データにアクセス情報を登録する手順とを実行させるためのプログラム。
(9)上記のようなプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【発明の効果】
【0010】
この発明による情報処理システムと情報処理装置は、サーバ装置に登録される前の文書データのアクセスの証跡を記録するので、サーバ装置に登録される前の文書データに対する不正アクセスや改竄を容易に突きとめることができる。
また、この発明によるプログラムは、コンピュータに、サーバ装置に登録される前の文書データのアクセスの証跡を記録させるので、サーバ装置に登録される前の文書データに対する不正アクセスや改竄を容易に突きとめられるようにするための機能を実現させることができる。
さらに、この発明のコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、コンピュータに上記プログラムを容易に導入することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、この発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて具体的に説明する。
〔実施例〕
図2は、この発明の情報処理システムの実施例である文書管理システムのネットワーク構成を示す図である。
この文書管理システムは、サーバ装置である文書管理サーバ1,2と、情報処理装置であるクライアントPC3〜5と、スキャナや複写機や複合機を含む画像読取装置6とがローカルエリアネットワークやインターネットを含むネットワーク7を介してデータ通信可能な情報処理システムであり、文書データを保存する場所として複数台の文書管理サーバ1,2を持ち、文書管理サーバ1,2に文書データを登録する口として、複数のクライアントPC3〜5と画像読取装置6を持っている。
【0012】
画像読取装置6で文書を読み込むときは、その文書を電子化したデータと読み取り実行者・読み取り日時といったアクセス情報をセットにして、クライアントPCまたは文書管理サーバに送信する。
クライアントPCには、文書管理システムのクライアントソフトが導入されていて、クライアントPC上で新規作成された文書や、スキャナで読み取って送信された文書を編集した場合には、そのアクセス情報を保存する。
クライアントPC内の文書を文書管理サーバに登録する場合は、文書データのほかに文書とセットでその文書のアクセス情報を送信する。
文書管理サーバでは、送信された文書にアクセス情報が付与されていることと、このアクセス情報を走査して、合格した場合のみ文書管理サーバへの登録を許可する。
【0013】
図1は、図2に示す文書管理サーバとクライアントPCと画像読取装置のそれぞれの主要な機能構成を示すブロック図である。
同図の(b)は、クライアントPC3〜5の主要な機能構成を示しており、CPU,ROM及びRAMからなるマイクロコンピュータによって実現される情報処理部20と送信部21を備えている。その他の表示装置や入力装置や記憶装置を含む各部については公知なので図示及びそれらの説明を省略する。
情報処理部20は、ROMに格納したプログラムを実行して情報処理方法を実施することにより、送受信部21を含む装置全体の制御を司り、文書データを作成し、その作成した文書データに作成時の情報を合わせる。また、文書管理サーバから文書データを取り込んで編集し、その編集した文書データと編集時の情報を合わせる。そして、文書管理サーバ1又は2への登録の依頼の処理と文書管理サーバ1又は2への文書データの要求の処理も行う。
【0014】
送受信部21は、上記文書データに作成時の情報を合わせて文書管理サーバ1又は2へ送信すると共に、文書管理サーバ1又は2へ文書データの登録の依頼も送信する。また、文書管理サーバ1又は2へ文書データの要求と共に、文書管理サーバ1又は2から文書データとその文書データに合わされた情報を受信する。
上記作成時の情報は、作成者、作成日時を含むアクセス情報である。
上記編集時の情報は、編集者、編集日時を含むアクセス情報である。
【0015】
同図の(c)は、画像読取装置6の主要な機能構成を示しており、画像読取部30と、CPU,ROM及びRAMからなるマイクロコンピュータによって実現される情報処理部31と送信部32を備えている。その他の表示装置や入力装置や記憶装置を含む各部については公知なので図示及びそれらの説明を省略する。
画像読取部30は、紙文書に記載された情報を読み取り、文書データとして取り込む。
情報処理部31は、ROMに格納したプログラムを実行して情報処理方法を実施することにより、画像読取部30と送信部31の制御を含む装置全体の制御を司り、その読み取った情報の文書データに読み取り時の情報を合わせる。そして、文書管理サーバ1又は2への登録の依頼の処理を行う。また、上記文書データに読み取り時の情報を合わせてクライアントPC3〜5へ送信する処理も行う。
【0016】
送信部32は、上記文書データに読み取り時の情報を合わせて文書管理サーバ1又は2へ送信すると共に、文書管理サーバ1又は2へ文書データの登録の依頼も送信する。また、上記文書データに読み取り時の情報を合わせてクライアントPC3〜5へ送信する。
上記読み取り時の情報は、読み取り実行者、読み取り日時を含むアクセス情報である。
【0017】
同図の(a)は、文書管理サーバ1,2の主要な機能構成を示しており、CPU,ROM及びRAMからなるマイクロコンピュータによって実現される文書登録受付部10と登録文書アクセス記録走査部11と文書登録部12と送信部13を備えている。また、ハードディスク装置を含む記憶装置によって実現される文書保管部14とアクセス情報テーブル保管部15も備えている。その他の表示装置や入力装置を含む各部については公知なので図示及びそれらの説明を省略する。
文書登録受付部10は、クライアントPC3〜5から自文書管理サーバへの文書データの登録の依頼を受け付け、文書データと一緒にアクセス情報を受信しているかを確認し、それを受信していない場合は、登録の依頼を拒絶する。
【0018】
登録文書アクセス情報走査部11は、クライアントPC3〜5から依頼のあった登録する文書データのアクセス情報に新規作成時のアクセス情報が存在するか否かを判断し、新規作成時のアクセス情報が存在する場合は、そのまま文書登録部12に登録を依頼する。
また、以前自文書管理サーバに登録されている文書データの場合には、文書保管部14内を走査して同一識別子(ID)の文書データが存在するか否かを判断し、存在する場合には、アクセス情報テーブル保管部15から、そのIDの文書データに対応するアクセス情報を抜き出し、登録する文書データのアクセス情報と比較し、その比較した結果、改めて登録する文書データのアクセス情報にのみ一致しない(追加された)部分があれば、そのまま文書登録部12に登録を依頼する。また、既に登録されている文書データのアクセス情報に一致しない記録がある場合には、別に更新がされているということなので、文書登録受付部10にその旨を返し、依頼元のクライアントPC3〜5又は画像読取装置6に更新をマージする(合併する)か否かの確認を取る。
【0019】
文書登録部12は、登録文書アクセス情報走査部11で登録を認められた文書データを文書保管部14に登録し、その文書データに対応するアクセス情報をアクセス情報テーブル保管部15に新規に登録して保管、又は、対応するアクセス情報に追加登録して保管する。また、文書保管部14に保管された文書データにアクセスが有った場合、その文書データに対応するアクセス情報テーブル保管部15のアクセス情報に上記アクセス時のアクセス情報を追加登録する。さらに、クライアントPC3〜5から要求のあった文書データを文書保管部14から読み出し、その文書データに対応するアクセス情報をアクセス情報テーブル保管部15から読み出し、それらを合わせて送信部13へ送る。
【0020】
送信部13は、文書登録部12から受け取った文書データとアクセス情報とを合わせて要求元のクライアントPC3〜5へ送信する。
文書保管部14は、文書データを保存して保管する記憶部である。
アクセス情報テーブル保管部15は、文書保管部14に保管された文書データに対応するアクセス情報を登録して保管する記憶部である。
【0021】
次に、この情報処理システムにおける文書登録処理について説明する。
まず、画像読取装置6で読み取った文書データを文書管理サーバ1に登録する処理について説明する。
図3は、図2に示した画像読取装置6で読み取った文書データを文書管理サーバ1に登録する処理を示すフローチャート図である。
ステップ(図中「S」で示す)1で、画像読取装置は、紙文書に記載された情報の画像を読み取り、その読み取った紙文書の画像を電子化し、その電子化した文書データを取り込む。
ステップ2で、電子化された文書データと紙文書を読み取った日時、読み取り実行者を含むアクセス情報を作成し、上記文書データとアクセス情報とを合わせてセットにして、文書管理サーバに登録の依頼と共に送信する。
【0022】
上記読み取り実行者の情報の取得は、画像読取装置に付随するICカード読み取り機によるユーザ認証、又はユーザ名とパスワードの入力によるユーザ認証によって取得する。
ステップ3で、文書管理サーバは、画像読取装置から登録の依頼があると、画像読取装置から受信した文書データと共に、その文書データの読み取り日時と読み取り実行者を含むアクセス情報を受信したか否かと、受信したアクセス情報の読み取り実行者が自文書管理サーバへのアクセス権を持っているか否かとから文書登録を受け付けるか否かを判断する。
ステップ3の判断で、文書データの読み取り日時と読み取り実行者を含むアクセス情報を受信し、且つその受信したアクセス情報の読み取り実行者が自文書管理サーバへのアクセス権を持っていると判断した場合、ステップ4へ進み、文書データの読み取り日時と読み取り実行者を含むアクセス情報を受信しなかった場合、又は受信したアクセス情報の読み取り実行者が自文書管理サーバへのアクセス権を持っていないと判断した場合は、ステップ5へ進む。
【0023】
ステップ4の処理は、文書登録を受け付けたときの処理であり、文書管理サーバは、画像読取装置から受信した文書データとアクセス情報とを登録して保管し、この文書登録処理を終了する。
一方、ステップ5の処理は、文書登録を拒否したときの処理であり、文書管理サーバは、画像読取装置から受信した文書データとアクセス情報とを登録せずに拒否し、画像読取装置へ文書登録を拒絶した旨をユーザに通知するためのエラー情報を返信し、この文書登録処理を終了する。
なお、画像読取装置6で読み取った文書データを文書管理サーバ2に登録する処理についても上述と同じように行うので、その説明は省略する。
このようにして、画像読取装置6によって読み取って新規に作成された文書データに読み取り時の読み取り実行者と読み取り日時を含むアクセス情報を対応させて文書管理サーバ1,2に登録するので、文書管理サーバ1,2への登録前でも不正アクセスや改竄の実行者と実行日時を突きとめることができる。
【0024】
次に、クライアントPC3で作成した文書データを文書管理サーバ1に登録する処理について説明する。
図4は、図2に示したクライアントPC3で作成した文書データを文書管理サーバ1に登録する処理を示すフローチャート図である。
ステップ(図中「S」で示す)11で、クライアントPCは、文書データを作成する。
ステップ12で、作成された文書データと文書の作成者と作成日時を含むアクセス情報を取得し、上記文書データとアクセス情報とを合わせてセットにして、文書管理サーバに登録の依頼と共に送信する。
上記作成者の情報の取得は、クライアントPCに付随するICカード読み取り機によるユーザ認証、又はユーザ名とパスワードの入力によるユーザ認証によって取得する。
【0025】
ステップ13で、文書管理サーバは、クライアントPCから登録の依頼があると、クライアントPCから受信した文書データと共に、その文書データの作成日時と作成者を含むアクセス情報を受信したか否かと、受信したアクセス情報の作成者が自文書管理サーバへのアクセス権を持っているか否かとから文書登録を受け付けるか否かを判断する。
ステップ13の判断で、文書データの作成日時と作成者を含むアクセス情報を受信し、且つその受信したアクセス情報の作成者が自文書管理サーバへのアクセス権を持っていると判断した場合、ステップ14へ進み、文書データの作成日時と作成者を含むアクセス情報を受信しなかった場合、又は受信したアクセス情報の作成者が自文書管理サーバへのアクセス権を持っていないと判断した場合は、ステップ15へ進む。
ステップ14の処理は、文書登録を受け付けたときの処理であり、文書管理サーバは、クライアントPCから受信した文書データとアクセス情報を登録して保管し、この文書登録処理を終了する。
【0026】
一方、ステップ15の処理は、文書登録を拒否したときの処理であり、文書管理サーバは、クライアントPCから受信した文書データとアクセス情報とを登録せずに拒否し、クライアントPCへ文書登録を拒絶した旨をユーザに通知するためのエラー情報を返信し、この文書登録処理を終了する。
なお、クライアントPC4,5で作成した文書データを文書管理サーバ1に、又は文書管理サーバ2登録する処理についても上述と同じように行うので、その説明は省略する。
このようにして、クライアントPC3〜5によって新規に作成された文書データに作成時の作成者と作成日時を含むアクセス情報を対応させて文書管理サーバ1,2に登録するので、文書管理サーバ1,2への登録前でも不正アクセスや改竄の実行者と実行日時を突きとめることができる。
【0027】
次に、クライアントPC3が文書管理サーバ1から文書データをダウンロードして、その文書データを編集し、別の文書管理サーバ2に登録する処理について説明する。
図5は、図2に示したクライアントPC3が文書管理サーバ1から文書データをダウンロードして、その文書データを編集し、別の文書管理サーバ2に登録する処理を示すフローチャート図である。
ステップ(図中「S」で示す)21で、クライアントPC3は、文書管理サーバ1に対して、文書管理サーバ1に登録されている文書データのクライアントPC3へのダウンロードを依頼する。
ステップ22で、文書管理サーバ1は、クライアントPC3からから依頼された文書データとそのアクセス情報とを合わせてクライアントPC3へ送信する。
【0028】
ステップ23で、クライアントPC3は、文書管理サーバ1から受信した文書データにアクセスして編集する。
ステップ24で、クライアントPC3は、文書データに対してアクセスして編集したときの編集者と編集日時を含むアクセス情報を文書管理サーバ1から文書データと一緒にダウンロードしたアクセス情報に追記する。
ステップ25で、クライアントPC3は、文書管理サーバ2へ編集後の文書データの登録の依頼と共に、上記編集後の文書データと上記追記したアクセス情報とを合わせて送信する。
ステップ26で、文書管理サーバ2は、クライアントPC3から登録の依頼があると、クライアントPC3から受信した文書データと共に、その文書データの作成日時と作成者と編集日時と編集者を含むアクセス情報を受信したか否かと、受信したアクセス情報の作成者及び編集者が自文書管理サーバへのアクセス権を持っているか否かとから文書登録を受け付けるか否かを判断する。
【0029】
ステップ26の判断で、文書データの作成日時と作成者と編集日時と編集者を含むアクセス情報を受信し、且つその受信したアクセス情報の作成者及び編集者が自文書管理サーバへのアクセス権を持っていると判断した場合、ステップ27へ進み、文書データの作成日時と作成者と編集日時と編集者を含むアクセス情報を受信しなかった場合、又は受信したアクセス情報の作成者及び編集者が自文書管理サーバへのアクセス権を持っていないと判断した場合は、ステップ28へ進む。
ステップ27の処理は、文書登録を受け付けたときの処理であり、文書管理サーバ2は、クライアントPC3から受信した文書データとアクセス情報を登録して保管し、この文書登録処理を終了する。
【0030】
一方、ステップ28の処理は、文書登録を拒否したときの処理であり、文書管理サーバ2は、クライアントPC3から受信した文書データとアクセス情報とを登録せずに拒否し、クライアントPC3へ文書登録を拒絶した旨をユーザに通知するためのエラー情報を返信し、この文書登録処理を終了する。
なお、クライアントPC4,5が文書管理サーバ1から取得した文書データを編集後に文書管理サーバ2に登録する場合、又はクライアントPC3が文書管理サーバ2から取得した文書データを編集後に文書管理サーバ1に登録する場合、クライアントPC4,5が文書管理サーバ2から取得した文書データを編集後に文書管理サーバ1に登録する場合についても上述と同じように行うので、その説明は省略する。
このようにすれば、一度文書管理サーバに登録された文書を、クライアントPCにダウンロードして再編集して別の文書管理サーバに登録する際に、これまでのアクセス情報とクライアントPCでのアクセス情報の両内容を記録することができる。
【0031】
次に、クライアントPC3が文書管理サーバ1から文書データをダウンロードして、その文書データを編集し、文書管理サーバ1に登録し直す処理について説明する。
図6は、図2に示したクライアントPC3が文書管理サーバ1から文書データをダウンロードして、その文書データを編集し、文書管理サーバ1に登録し直す処理を示すフローチャート図である。
ステップ(図中「S」で示す)31で、クライアントPC3は、文書管理サーバ1に対して、文書管理サーバ1に登録されている文書データのクライアントPC3へのダウンロードを依頼する。
ステップ32で、文書管理サーバ1は、クライアントPC3からから依頼された文書データとそのアクセス情報とを合わせてクライアントPC3へ送信する。
【0032】
ステップ33で、クライアントPC3は、文書管理サーバ1から受信した文書データにアクセスして編集する。
ステップ34で、クライアントPC3は、文書データに対してアクセスして編集したときの編集者と編集日時を含むアクセス情報を文書管理サーバ1から文書データと一緒にダウンロードしたアクセス情報に追記する。
ステップ35で、クライアントPC3は、文書管理サーバ1へ編集後の文書データの登録の依頼と共に、上記編集後の文書データと上記追記したアクセス情報とを合わせて送信する。
ステップ36で、文書管理サーバ1は、クライアントPC3から登録の依頼があると、クライアントPC3から受信した文書データと共に、その文書データの作成日時と作成者と編集日時と編集者を含むアクセス情報を受信したか否かと、受信したアクセス情報の作成者及び編集者が自文書管理サーバへのアクセス権を持っているか否かとから文書登録を受け付けるか否かを判断する。
【0033】
ステップ36の判断で、文書データの作成日時と作成者と編集日時と編集者を含むアクセス情報を受信し、且つその受信したアクセス情報の作成者及び編集者が自文書管理サーバへのアクセス権を持っていると判断した場合、ステップ37へ進み、文書データの作成日時と作成者と編集日時と編集者を含むアクセス情報を受信しなかった場合、又は受信したアクセス情報の作成者及び編集者が自文書管理サーバへのアクセス権を持っていないと判断した場合は、ステップ43へ進む。
ステップ37で、登録を受け付けた文書データのIDと同一のIDを持つ文書データが文書管理サーバ内に登録されているか否かを判断し、同一のIDを持つ文書データが登録されている場合はステップ38へ進み、登録されていない場合はステップ41へ進む。
【0034】
ステップ38で、文書管理サーバに登録されているアクセス情報の内容が、これから登録する文書データのアクセス情報の全ての内容に含まれているか否かを判断し、全て含まれている場合は、他にアクセス情報の内容に更新が無かったと判断し、そのまま上書き保存しても問題が無いのでステップ41へ進み、文書管理サーバ側のアクセス情報の内容の中で、これから登録するアクセス情報の内容に存在しない部分がある場合は、別に更新が行われた可能性や、不正アクセス、改竄の可能性があるため、そのチェックを行うステップ39へ進む。
【0035】
ステップ39では、文書管理サーバ内のアクセス情報の内容について、登録が依頼された文書データのアクセス情報の内容に含まれない部分が、文書管理サーバ内のアクセス情報の最後の部分に集中しているアクセス情報の途中に存在しないか、登録が依頼された文書データのアクセス情報と一致する部分に挟まれているアクセス情報の途中に存在するかを判断し、前者の場合は、登録前に新たな変更があったと判断し、ステップ40へ進み、後者の場合は、登録が依頼された文書データに不正アクセスや改竄の可能性があるため、登録の依頼を拒絶するため、ステップ43へ進む。
【0036】
ステップ40では、文書管理サーバ内の文書データと登録が依頼された文書データのそれぞれに変更箇所があるため、変更内容をマージするか否かをクライアントPCのユーザに問い合わせ、その問い合わせに対する回答に基づいて変更内容をマージするか否かを判断し、マージする場合はステップ42へ進み、マージせずそのまま登録する場合はステップ41へ進む。
ステップ42では、文書管理サーバ内の文書データと、登録が依頼された文書データの変更箇所を洗い出し、それぞれに施された変更内容がすべて反映されるように、文書データの変更内容をマージし、その文書データを登録が依頼された文書データとしてステップ41へ進む。
ステップ41では、それまでの処理で登録して問題無いことが確認されているので、文書管理サーバは、クライアントPCから受信した文書データとアクセス情報を登録して保管し、この文書登録処理を終了する。
【0037】
一方、ステップ43の処理は、文書管理サーバ内のアクセス情報と登録文書のアクセス情報が一致せず、不正アクセスや改竄があったと判定された場合の文書登録を拒否したときの処理であり、文書管理サーバは、クライアントPCから受信した文書データとアクセス情報とを登録せずに拒否し、クライアントPCへ文書登録を拒絶した旨をユーザに通知するためのエラー情報を返信し、この文書登録処理を終了する。
なお、クライアントPC4,5が文書管理サーバ1から取得した文書データを編集後に文書管理サーバ1に登録し直す場合、又はクライアントPC3〜5が文書管理サーバ2から取得した文書データを編集後に文書管理サーバ2に登録し直す場合についても上述と同じように行うので、その説明は省略する。
このようにして、文書データを文書管理サーバに登録する際に、登録する文書データのアクセス情報を走査して、クライアントPCでの新規作成、または画像読取装置での文書読み取りのいずれかがない場合は、文書データの登録を許可しないことにより、文書データの作成元をアクセス情報に必ず記録させることができる。
【0038】
次に、上述の処理において、クライアントPC3〜5で作成された文書データのアクセス情報や、画像読取装置6で読み取られた文書データのアクセス情報を、文書管理サーバ1,2へ送る前に、それぞれクライアントPC3〜5、画像読取装置6で暗号化して文書管理サーバ1,2へ送信し、文書管理サーバ1,2が、その受信した文書データの暗号化されたアクセス情報を復号化してから登録するようにするとよい。
すなわち、クライアントPC3〜5の情報処理部20が作成時の情報又は編集時の情報をサーバ装置へ送信する前に暗号化する手段の機能を果たし、画像読取装置6の情報処理部31が読み取り時の情報をサーバ装置へ送信する前に暗号化する手段の機能を果たし、文書管理サーバ1,2の文書登録部12が、画像読取装置6から受信した暗号化された読み取り時の情報、クライアントPC3〜5から受信した暗号化された作成時の情報又は編集時の情報を登録前に復号化する手段の機能を果たす。
このようにすれば、アクセス情報の改竄や不正アクセスも防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
この発明による情報処理システムと情報処理装置と情報処理方法とプログラムは、パーソナルコンピュータ、スキャナ、プリンタ、複写機、複合機を含むネットワークシステムの全般において適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】図2に示す文書管理サーバとクライアントPCと画像読取装置のそれぞれの主要な機能構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の情報処理システムの実施例である文書管理システムのネットワーク構成を示す図である。
【図3】図2に示す画像読取装置で読み取った文書データを文書管理サーバに登録する処理を示すフローチャート図である。
【図4】図2に示すクライアントPCで作成した文書データを文書管理サーバに登録する処理を示すフローチャート図である。
【図5】図2に示すクライアントPCが文書管理サーバから文書データをダウンロードして編集後に別の文書管理サーバに登録する処理を示すフローチャート図である。
【図6】図2に示すクライアントPCが文書管理サーバから文書データをダウンロードして編集後に文書管理サーバに登録し直す処理を示すフローチャート図である。
【符号の説明】
【0041】
1,2:文書管理サーバ 3〜5:クライアントPC 6:画像読取装置 7:ネットワーク 10:文書登録受付部 11:登録文書アクセス情報走査部 12:文書登録部 13,32:送信部 14:文書保管部 15:アクセス情報テーブル保管部 20,31:情報処理部 21:送受信部 30:画像読取部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバ装置と情報処理装置と画像読取装置とがネットワークを介してデータ通信可能な情報処理システムであって、
前記画像読取装置は、紙文書に記載された情報を読み取り、その読み取った情報の文書データに読み取り時の情報を合わせて前記サーバ装置へ送信する手段を有し、
前記情報処理装置は、文書データを作成し、その作成した文書データに作成時の情報を合わせて前記サーバ装置へ送信する手段を有し、
前記サーバ装置は、前記画像読取装置から受信した文書データと読み取り時の情報とを合わせて登録し、前記情報処理装置から受信した文書データと作成時の情報とを対応させて登録する手段と、該手段によって登録された文書データに対するアクセスがあったときに該アクセスのあった文書データにアクセス情報を登録する手段とを有することを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
前記情報処理装置に、前記サーバ装置から文書データを取り込んで編集し、その編集した文書データと編集時の情報を合わせて前記サーバ装置へ送信する手段を設け、
前記サーバ装置に、前記情報処理装置から受信した文書データと編集時の情報とを対応させて登録し直す手段を設けたことを特徴とする請求項1記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記画像読取装置に、前記読み取り時の情報を前記サーバ装置へ送信する前に暗号化する手段を設け、
前記情報処理装置に、前記作成時の情報又は前記編集時の情報を前記サーバ装置へ送信する前に暗号化する手段を設け、
前記サーバ装置に、前記画像読取装置から受信した暗号化された前記読み取り時の情報、前記情報処理装置から受信した暗号化された前記作成時の情報又は前記編集時の情報を登録前に復号化する手段を設けたことを特徴とする請求項2記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記サーバ装置に、前記画像読取装置から文書データに合わせて読み取り時の情報が送信されなかったとき、前記情報処理装置から文書データに合わせて作成時の情報又は編集時の情報が送信されなかったとき、それぞれ文書データの登録を拒否する手段を設けたことを特徴とする請求項2又は3記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記サーバ装置に、前記情報処理装置から要求された文書データと該文書データの読み取り時の情報、作成時の情報、編集時の情報又はアクセス情報を合わせて前記情報処理装置送信する手段を設け、
前記情報処理装置に、前記サーバ装置から文書データと該文書データの読み取り時の情報、作成時の情報、編集時の情報又はアクセス情報を合わせて受信し、該受信した文書データを再編集し、該再編集した文書データに再編集時の情報と、前記読み取り時の情報、作成時の情報、編集時の情報又はアクセス情報を合わせて前記ネットワーク上の前記サーバ装置とは異なる他のサーバ装置へ送信する手段を設け、
前記他のサーバ装置に、前記情報処理装置から受信した文書データと再編集時の情報と前記読み取り時の情報、作成時の情報、編集時の情報又はアクセス情報を対応させて登録する手段を設けたことを特徴とする請求項2乃至4のいずれか一項に記載の情報処理システム。
【請求項6】
ネットワークを介してデータ通信可能な画像読取装置から受信した文書データと読み取り時の情報とを合わせて登録し、ネットワークを介してデータ通信可能な情報処理装置から受信した文書データと作成時の情報とを対応させて登録する手段と、該手段によって登録された文書データに対するアクセスがあったときに該アクセスのあった文書データにアクセス情報を登録する手段とを有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項7】
サーバ装置がネットワークを介してデータ通信可能な画像読取装置から受信した文書データと読み取り時の情報とを合わせて登録し、ネットワークを介してデータ通信可能な情報処理装置から受信した文書データと作成時の情報とを対応させて登録する工程と、サーバ装置が前記工程によって登録された文書データに対するアクセスがあったときに該アクセスのあった文書データにアクセス情報を登録する工程とからなることを特徴とする情報処理方法。
【請求項8】
コンピュータに、ネットワークを介してデータ通信可能な画像読取装置から受信した文書データと読み取り時の情報とを合わせて登録し、ネットワークを介してデータ通信可能な情報処理装置から受信した文書データと作成時の情報とを対応させて登録する手順と、該手順によって登録された文書データに対するアクセスがあったときに該アクセスのあった文書データにアクセス情報を登録する手順とを実行させるためのプログラム。
【請求項9】
請求項8記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−225016(P2009−225016A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−66213(P2008−66213)
【出願日】平成20年3月14日(2008.3.14)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】