説明

情報処理システム及び画像形成装置

【課題】待機電力の低減を図り、内部の回路デバイス相互間の電源の回り込みを防止して使用デバイスの長寿命化を図り、待機状態から高速に起動、復帰させるようにする。
【解決手段】 画像情報の処理を行うシステムコントローラASIC A1と、CPU A2と、ROM/RAM A3と、RESET IC A5と、プルアップ抵抗A6とにより構成される画像処理部、プリンタ、スキャナ等の制御を行うエンジンコントローラASIC B2と、CPUB1と、ROM/RAM B3とにより構成される画像形成部により構成され、各部位に対して電源供給ユニットC0からの電源の供給を制御するレギュレータC1〜C5が備えられている。ASIC A1は、レギュレータC1、C2、C4、C5を制御し、起動、待機、復帰の制御を行うと共に、接続されている入出力装置の入出力インタフェースの出力部に対するハイインピーダンス制御を行い、入出力インタフェースの入力を含む部分における貫通電流防止制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム及び画像形成装置に係り、特に、装置不使用時の待機電力を低減することができる情報処理システム及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
各種の入出力機器が接続される情報処理システム、情報処理システムを含む画像形成装置は、使用されていないときにも、何時でも直ちに使用することができるように電源を投入した状態で待機させられているのが一般的である。このため、待機時の消費電力を極力低減することが、装置の省エネルギー化を図る上で重要である。例えば、コピー、プリンタ、マルチファンクションプリンタ等の画像形成装置について見ると、その待機電力を低減するためには、「必要最小限の部位を残して、他の電源を落とす」ということが重要となる。ここいう「必要最小限の部位」とは、電源制御を行う部位、復帰要因を検出する部位等であり、従来技術によるこれらの装置は、待機状態のときに電源制御を行う部位、復帰要因を検出する部位等にだけ電力の供給を行い、他の部位への電力の供給を停止するように構成されるのが一般的である。
【0003】
なお、この種の複合機の省エネに関する従来技術として、例えば、特許文献1等に記載された技術が知られている。
【特許文献1】特開2003−89254号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した従来技術は、待機状態のときに電源制御を行う部位、復帰要因を検出する部位等にだけ電力の供給を行い、他の部位への電力の供給を停止するように構成されているので、装置の省エネルギー化を図ることができるものであるが、前述のような電源制御を行うことにより、電源ON、OFFの論理的な順番が複雑化し、電源をON、OFFする順番に注意しなければなず、また、内部の回路デバイス相互間の電源の回り込み、特に、電源OFFの回路デバイスへの電源の回り込みに注意しなければならないという問題点を生じさせる。
【0005】
本発明の目的は、前述した従来技術の問題点を解決し、待機電力の低減を図り、内部の回路デバイス相互間の電源の回り込みを防止して使用デバイスの長寿命化を図ることを可能とすると共に、待機状態からの復帰時に、高速に起動、復帰させることができるようにした情報処理システム及び画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述の目的を達成するための本発明の第1の手段は、複数の入出力装置が接続されて構成される情報処理システムにおいて、システム制御コントローラを備え、該システム制御コントローラは、電源制御手段と、ハイインピーダンス制御手段と、貫通電流防止制御手段とを有し、前記電源制御手段が、前記複数の入出力装置に対する電源の供給を所定の順序により制御することにより、起動、待機、復帰の制御を行うと共に、前記ハイインピーダンス制御手段が、前記入出力装置に対する電源の供給が行われているか否かに従って、その入出力インタフェースの出力部に対するハイインピーダンス制御を行い、前記貫通電流防止制御手段が、前記入出力装置に対する電源の供給が行われているか否かに従って、その入出力インタフェースの入力を含む部分における貫通電流防止制御を行うことを特徴とする。
【0007】
また、本発明の第2の手段は、前記第1の手段において、前記システム制御コントローラが、ハンドシェイクでシステムの起動、待機、復帰の制御を行うことを特徴とする。
【0008】
また、本発明の第3の手段は、前記第1の手段において、前記システム制御コントローラが、システムの待機制御として、少なくとも前記システム制御コントローラ内の電源制御部と復帰信号検出部とを残して他の部位の電源を落とすことを特徴とする。
【0009】
また、本発明の第4の手段は、前記第1の手段において、前記システム制御コントローラが、待機時にもリセットされないレジスタを具備し、復帰時に待機状態で電源が供給されていた部位を検出することが可能であることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の第5の手段は、前記第1の手段において、前記システム制御コントローラが、復帰要因を検出する復帰要因検出手段を備え、復帰要因が検出されたとき、ハードウエアにより復帰制御を行うことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の第6の手段は、前記第1の手段において、前記システム制御コントローラが、復帰要因を検出する復帰要因検出手段を備え、浅い省エネ状態での待機時に、復帰要因が検出されたとき、割り込みを発生させて、ソフトウエアにより復帰制御を行うことを特徴とする。
【0012】
また、本発明の第7の手段は、前記第1の手段において、前記システム制御コントローラが、そのインターフェース部に貫通電流防止を目的とした入力マスク手段を有することを特徴とする。
【0013】
また、本発明の第8の手段は、画像形成を制御するエンジンコントローラと、画像データのハンドリングを行うシステム制御コントローラとを有し、前記エンジンコントローラが前記システム制御コントローラから制御されて画像の形成を行う画像形成装置において、前記システム制御コントローラが、電源制御手段と、ハイインピーダンス制御手段と、貫通電流防止制御手段とを有し、前記電源制御手段が、前記複数の入出力装置に対する電源の供給を所定の順序により制御することにより、起動、待機、復帰の制御を行うと共に、前記ハイインピーダンス制御手段が、前記入出力装置に対する電源の供給が行われているか否かに従って、その入出力インタフェースの出力部に対するハイインピーダンス制御を行い、前記貫通電流防止制御手段が、前記入出力装置に対する電源の供給が行われているか否かに従って、その入出力インタフェースの入力を含む部分における貫通電流防止制御を行うことを特徴とする。
【0014】
また、本発明の第9の手段は、前記第8の手段において、前記システム制御コントローラが、ハンドシェイクで画像形成装置の起動、待機、復帰の制御を行うことを特徴とする。
【0015】
また、本発明の第10の手段は、前記第8の手段において、前記システム制御コントローラが、画像形成装置の待機制御として、少なくとも前記システム制御コントローラ内の電源制御部と復帰信号検出部とを残して他の部位の電源を落とすことを特徴とする。
【0016】
また、本発明の第11の手段は、前記第8の手段において、前記システム制御コントローラが、待機時にもリセットされないレジスタを具備し、復帰時に待機状態で電源が供給されていた部位を検出することが可能であることを特徴とする。
【0017】
また、本発明の第12の手段は、前記第8の手段において、前記システム制御コントローラが、復帰要因を検出する復帰要因検出手段を備え、復帰要因が検出されたとき、ハードウエアにより復帰制御を行うことを特徴とする。
【0018】
また、本発明の第13の手段は、前記第8の手段において、前記システム制御コントローラが、復帰要因を検出する復帰要因検出手段を備え、浅い省エネ状態での待機時に、復帰要因が検出されたとき、割り込みを発生させて、ソフトウエアにより復帰制御を行うことを特徴とする。
【0019】
また、本発明の第14の手段は、前記第8の手段において、前記エンジンコントローラ、前記システム制御コントローラが、そのインターフェース部に貫通電流防止を目的とした入力マスク手段を有することを特徴とする。
【0020】
前述した本発明の第1〜第7の手段によれば、待機電力の低減を図り、内部の回路デバイス相互間の電源の回り込みを防止して使用デバイスの長寿命化を図ることを可能とすると共に、待機状態からの復帰時に、高速に起動、復帰させることができるようにした情報処理システムを提供することができ、また、本発明の第8〜第14の手段によれば、前述と同様な効果を奏することができる画像形成装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、待機電力の低減を図り、内部の回路デバイス相互間の電源の回り込みを防止して使用デバイスの長寿命化を図ることを可能とすると共に、待機状態からの復帰時に、高速に起動、復帰させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明による情報処理システム及び画像形成装置の実施形態を図面により詳細に説明する。なお、以下に説明する本発明の実施形態は、本発明を画像形成装置に適用したものとして説明するが、本発明は、ディスプレイ、HDドライバ、DVDドライバ等の外部記憶装置、プリンタ等の複数の入出力装置が接続されて構成される情報処理システムにも適用することができる。
【0023】
図1は本発明の一実施形態による画像形成装置の構成を示すブロック図である。図1において、A1はシステムコントローラASIC、A2、B1はCPU、A3、B3はROM/RAM、A5はRESET IC、A6はプルアップ抵抗、B2はエンジンコントローラASIC、C0は電源供給ユニット、C1〜C5はレギュレータ、E1はPCIバス、E2はI/Oインタフェース、E3はデータ出力、E4はPCインタフェース、D1は復帰要因検出部である。
【0024】
本発明の一実施形態による画像形成装置は、図1に示すように、画像情報に対する処理を行うシステムコントローラASIC A1と、CPU A2と、ROM/RAM A3と、RESET IC A5と、プルアップ抵抗 A6とにより構成される画像処理部、プリンタ、スキャナ等の制御を行うエンジンコントローラASIC B2と、CPUB1と、ROM/RAM B3とにより構成される画像形成部により構成され、各部位に対して電源供給ユニットC0からの電源の供給を制御するレギュレータC1〜C5が備えられている。
【0025】
そして、システムコントローラASIC A1は、主として画像データのハンドリング(圧縮伸張、回転等)、CPUやメモリに対するインターフェース、ネットワークやUSB、HDDやSDカード等の各種I/OインターフェースE2、エンジンコントローラインターフェースE1、PCを接続するPCインタフェースE4、後述する復帰信号、PCインタフェースE4から入力される何等かの指示情報、あるいは、図示しないネットワークインタフェースを介して送信されてくる処理要求等を検出する復帰要因検出部D1を有すると共に、電源制御機能を備えている。電源制御機能は、各部位への電源の供給を制御するためレギュレータC5、C4、C1、C2を制御する電源制御信号S1〜S4を出力する。
【0026】
システムコントローラのCPU A2は、プリンタの描画処理や、システムコントローラASIC A1の制御等を司る。ROM/RAM A3は、プログラム、画像データ等を格納するメモリである。また、RESETIC A5は、システムコントローラASIC A1に供給される電源電圧を監視し、一定条件以上の電圧になると、出力信号S9 RESETEを動作させてシステムコントローラASIC A1に知らせる。プルアップ抵抗A6は、エンジンコントローラインターフェースE1、すなわち、PCIバスに対するプルアップ抵抗であり、レギュレータC1の電源出力P2により、PCIバスをプルアップする。
【0027】
エンジンコントローラASIC B2は、システムコントローラASIC A2からPCIバスを介した画像データを入力して、図示しないプリンタの書き込み系に同期させてからインタフェースE3に出力する。エンジンコントローラのCPU B1は、主に、エンジンコントローラASIC B2の制御等を司る。ROM/RAM B3は、プログラム等を格納するメモリである。
【0028】
レギュレータC1〜C5は、電源ユニットC0からの電源出力P1を受け、システムコントローラASIC A1から出力される電源制御信号S1〜S4の状態を見て、電源出力P2〜P6を出力制御する。但し、レギュレータC3は、電源ユニットC0から電源出力P1が供給されている限り常に電源出力P3を出力している。
【0029】
WAKEIO信号 S8は、省エネ状態から復帰するための要因信号であり、例えば、ドアーカバーセンサや操作部のスイッチ、ADF開閉センサ、用紙検出センサ等の主としてセンサ系からの信号であり、システムコントローラASIC A1の内部に設けられる復帰要因検出部D1で検出され、システムを復帰させるために用いられる。また、システムコントローラASIC A1の内部に設けられる復帰要因検出部D1は、インタフェースE4からの制御信号、I/OインタフェースE2からの信号をも検出し、これによりシステムを復帰させることができる。この場合におけるシステムの復帰は、CPU A2の電源が落とされてシステムが待機している場合には、ハードウェアにより復帰動作が行われ、CPU A2に電源が供給された状態でシステムが待機している場合には、復帰指示が復帰要因検出部D1からCPU A2に報告されてソフトウェアにより復帰動作が行われる。
【0030】
前述において、システムコントローラASIC A1に入力される信号として、VDETPCI信号S5があり、この信号は、エンジンコントローラASIC B2の電源状態を知らせる信号である。また、すでに触れたように、電源制御信号S1〜S4は、それぞれ、 PONPCI S1、PONENG S2、PONPUP S3、PONCTL S4である。
【0031】
図2は前述のように構成される本発明の実施形態による画像形成装置における電源ON時の立ち上げシーケンスを説明する図であり、次に、これについて説明する。なお、このシーケンスは、IDLEステージ、PO1ステージ、PO2ステージ、及び、ACTステージの4つのステージからなる。
【0032】
IDLEステージ
電源が投入されると、電源ユニットC0から電源P1が出力され、レギュレータC3は、これを受けて電源P3を出力してシステムコントローラASIC A1に電源の供給を開始する。一方、電源P3の立ち上がりを受けて、リセットIC A5が所定の時間後にパワーオンリセット信号S9としてのRESETEをHレベルにディアサートするので、システコントローラASIC A1のリセットが解除される。システコントローラASIC A1は、CPU B1や、ROM/RAM B3等のエンジン回路へ電源を投入するため、電源のOFF時にLレベルとなっていたPONENG S2信号をLレベルにアサートしたままとし、また、エンジンコントローラASIC B2へ電源を投入するため、前述と同様に電源のOFF時にLレベルとなっていたPONPCI S1信号をLレベルにアサートしたままとする。これらの信号S1、S2のLレベルアサートを受けて、レギュレータC4、C5のそれぞれは、電源P5、P6を出力し、目的デバイスへ電源の供給を開始する。システムコントローラASIC A1は、VDETPCI S5信号が電源供給を受けてHレベルに上がるのを、すなわち、レギュレータC5からの電源P6がエンジンコントローラASIC B2に供給されてHレベルに上がるのを待つ。ここまでが、IDLEステージである。
【0033】
PO1ステージ
システムコントローラASIC A1は、VDETPCI S5信号が電源供給を受けてHレベルに上がったことを検出すると、PONCTL S4信号をLレベルにアサートする。これは、CPU A2や、ROM/RAM A3に電源を供給するためである。PONCTL S4信号がLレベルにアサートされると、レギュレータC2は、電源P4の出力を行う。システムコントローラASIC A1は、VDETCTL S7信号がレギュレータC2からの電源P4の電源供給を受けてHレベルに上がるのを待つ。ここまでが、PO1ステージである。
【0034】
PO2ステージ
システムコントローラASIC A1は、VDETCTL S7信号が電源供給を受けてHレベルに上がったことを検出するとPONPUP S3信号をLレベルにアサートする。これは、インタフェースE1であるPCIバスへのプルアップ電源供給をするためである。レギュレータC1は、これを受けてP2電源P2を出力をしてプルアップ電源の供給を行う。
【0035】
なお、本ステージ以降で、システムコントローラASIC A1は、ここまでのステージにおいて、VDETCTL S7で電源の投入が有効とされるデバイス(説明している例では、CPU A2、ROM/RAM A3等)とのインターフェース及び各種の入出力装置が接続されるインタフェースE2の特に出力端子をHI−Z(ハイインピーダンス)としていたが、このPO2ステージ以降でHI−Z処理を中止してドライブする。これは、相手デバイスの電源が入るまでHI−Z処理をしておかないと、相手のデバイスが壊れてしまう恐れがあるからである。
【0036】
ACTステージ
システムコントローラASIC A1は、PONPUP S3信号のLレベルへのアサート後、プルアップ電源P2が確実に立ち上がるのを待ってからPCI_RST S10信号をHレベルにディアサートする。このPCI_RST S10信号がHレベルにディアサートされたことを受けて、エンジンコントローラASIC B2は、それまでHI−Z処理を行っていたPCIバスのインターフェースE1の信号(特に出力端子)のHI−Z処理を中止する。また、A1システムコントローラASICは、それまでHI−Z処理を行っていたPCIバスのインターフェースE1の信号(特に出力端子)のHI−Z処理を中止する。PCIバスに対するHI−Z処理の中止は、PCIバスに対するプルアップ電源が入ってからでないと、PCIバスのインターフェースE1の出力電流が電源P2側のラインへ回りこむ恐れがあるので前述の順番で制御する。
【0037】
以上で立ち上げシーケンスが終了し、このACTステージにおいて、図1に示す画像形成装置は、直ちに画像形成のための各種の要求に対する動作を行うことが可能となる。
【0038】
図3は前述した立ち上げシーケンス終了後に待機状態に移行する待機シーケンスを説明する図であり、次に、これについて説明する。なお、このシーケンスは、ACTステージの状態で所定の時間使用されなかったとき、あるいは、ユーザからの待機指示等によって開始されるシーケンスであり、PF1ステージ、PF2ステージ、PF3ステージ、PF4ステージ、MFP IDLEステージ、BAS F1ステージ、BAS IDLEステージの7つのステージからなる。
【0039】
PF1ステージ
システムコントローラASIC A1は、PONENG S2信号をHレベルにディアサートする。これにより、レギュレータC4は、電源P5の出力を止める。この処理は、エンジンコントローラASIC B2以外のエンジン系の電源を落とすことを目的とする処理である。
【0040】
PF2ステージ
システムコントローラASIC A1は、PCI_RST S10信号をLレベルにアサートする。この信号を受けて、エンジンコントローラASIC B2は、PCIバスのインターフェースE1の信号(特に出力端子)のHI−Z処理を実施する。また、システムコントローラASIC A1は、PCIバスのインターフェースE1の信号(特に出力端子)のHI−Z処理を実施する。このHI−Z処理は、PCIバスへのプルアップ電源を切るより前に実施され、これにより、電源P2のラインへの出力電流の回り込みを防止するためである。
【0041】
PF3ステージ
システムコントローラASIC A1は、PONPUP S3信号をHレベルにディアサートしてPCIバスに対するプルアップ電源P2を切る。
【0042】
PF4ステージ
システムコントローラASIC A1は、PONPCI S1信号をHレベルへディアサートしてエンジンコントローラASIC B2への電源P6の供給を停止する。システムコントローラASIC A1は、VDETPCI S5信号がLレベルに下がるのを、すなわち、レギュレータC5からの電源P6のエンジンコントローラASIC B2への供給が停止してLレベルに下がるのを待つ。ここまでが、PF4ステージである。
【0043】
MFP IDLEステージ
システムコントローラASIC A1は、電源P6が切れてVDETPCI S5信号がLレベルに下がったことを検出してMFP IDLEステージに入る。ところで、省エネモードにも色々あり、深い省エネと浅い省エネ等複数の省エネモードが存在する。これは、画像形成装置の形態によって異なってくる。例えば、スタンドアローンのコピー機の場合、電源制御を司るシステムコントローラASIC A1と、本体のセンサ用電源(操作部ボタンや、ドア開閉検知等)以外の電源をOFFすることができる。センサで変化を検出して省エネから復帰するため、これらは電源OFFしない。これを深い省エネと呼ぶ。また、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)等と外部と接続可能なマルチファンクションプリンタの場合、省エネからの復帰を想定してCPU A2やROM/RAM A3等も電源をOFFしない。これを浅い省エネと呼ぶ。ここでは、深い省エネを例として、次の説明を続けるが、浅い省エネの場合、このMFP IDLEステージで待機をする。深い省エネの場合、システムコントローラASIC A1は、さらに、CPU A2やROM/RAM A3等に対する電源P4を切断するために、PONCTL S4信号をHレベルへディアサートしてレギュレータC2からの電源P4を停止させればよい。
【0044】
BAS F1ステージ
システムコントローラASIC A1は、PONCTL S4のHレベルへのディアサートにより電源P4が切断されて、VDETCTL S7信号がLレベルに落ちるのを待つ。
【0045】
BAS IDLEステージ
VDETCTL S7信号がLレベルに落ちれば、深い省エネ状態での待機状態への移行が完了する。電源P4系に接続されるデバイス(説明している例では、CPU A2や、ROM/RAMA3)とインターフェースするA1システムコントローラASIC A1の出力系端子、例えば、図1に示す例の場合、HDD、各種メディアカード等が接続されるインタフェースE2の出力系端子は、このBAS IDLEステージからHI−Z処理される。これは、相手デバイスの電源が切れたことによる電流の回り込みを防止するためである。
【0046】
以上で待機シーケンスが終了し、このBAS IDLEステージにおいて、図1に示す画像形成装置は、深い省エネ状態での待機状態になり、復帰が指示されるまで、この待機状態を続ける。
【0047】
前述において、CPU A2やROM/RAM A3等に対する電源P4を切断することなく、すなわち、浅い省エネ状態で待機した場合、システムコントローラASIC A1は、復帰要因検出部が復帰要因を検出するした場合に、CPU A2に割り込みを発生させて、ソフトウエアにより復帰制御させるようにすることができる。
【0048】
また、前述において、深い省エネの場合、システムコントローラASIC A1は、CPU A2やROM/RAM A3等に対する電源P4を切断するために、PONCTL S4信号をHレベルへディアサートしてレギュレータC2からの電源P4を停止させるとしたが、本発明は、CPU A2とROM/RAM A3とに対する電源の供給を別々のレギュレータを設けて独立に制御し、ROM/RAM A3に対する電源の供給を行い、CPU A2に対する電源の供給を停止して待機状態に入るように制御することができる。この場合、待機状態でも電源の供給が続けられているシステムコントローラASIC A1の内部に、ROM/RAM A3に対する電源の供給を行った状態で待機状態となったか否かを示す情報を保持するレジスタを設けておく。このようにすると、復帰時に、CPU A2は、レジスタの内容によりROM/RAM A3が電源の供給が続けられた状態で待機状態となっていたか否かを知ることができ、ROM/RAM A3に電源の供給が続けられていた場合、ROM/RAM A3の情報を使用して、直ちに復帰制御を行うことが可能となる。
【0049】
図4は前述した待機状態から直ちに画像形成のための各種の要求に対する動作を行うことが可能な状態に復帰する復帰シーケンスを説明する図であり、次に、これについて説明する。なお、このシーケンスは、BAS IDLEステージ、PR1ステージ、PR2ステージ、PR3ステージ、ACTステージの5つのステージからなる。
【0050】
BAS IDLEステージ
前述した待機シーケンスにおけるBAS IDLEステージと同一のステージであり、WAKE_IO S8信号を通して復帰要因の信号が変化することにより復帰シーケンスが開始される。復帰要因の信号としては、例えば、ユーザがADFを開閉したことによるセンサからの信号でもよいし、操作部上の何等かのボタン信号でもよい。このステージは、復帰要因を待っているステージである。
【0051】
PR1ステージ
システムコントローラASIC A1は、WAKE_IO S8を通して復帰要因の変化を検出すると、エンジン系の電源を投入するため、PONPCI S1信号、PONENG S2信号をLレベルにアサートする。その後、システムコントローラASIC A1は、PONPCI S1信号により、レギュレータC5からの電源P6が立ち上がったことを確認するため、VDETPCI S5信号がHレベルになるのを待つ。
【0052】
PR2ステージ
システムコントローラASIC A1は、VDETPCI S5信号が電源供給を受けてHレベルに上がりこれを検出すると、自動的にPONCTL S4信号をLレベルにアサートする。これは、CPU A2や、ROM/RAM A3への電源を供給するためである。PONCTL S4信号がLレベルにアサートさけると、レギュレータC2は、電源P4出力する。システムコントローラASIC A1は、VDETCTL S7信号が電源供給を受けてHレベルに上がるのをまつ。ここまでがPR2ステージである。
【0053】
PR3ステージ
システムコントローラASIC A1は、VDETCTL S7信号が電源供給を受けてHレベルに上がりこれを検出すると、自動的にPONPUP S3信号をLレベルにアサートする。これは、PCIバスのインタフェースE1へのプルアップ電源を供給するためである。レギュレータC1は、PONPUP S3信号をLレベルにアサートされたことを受けて、電源P2を出力してプルアップ電源の供給を行う。
【0054】
なお、このPR3ステージ以降、システムコントローラASIC A1は、VDETCTL S7信号により電源投入が有効とされるデバイス(説明している例ではCPU A2、ROM/RAM A3等)とのインターフェース(特に出力端子)のHI−Z処理を中止してドライブする。ここまでHI−Z処理を続ける理由は、相手デバイスの電源が入るまではHI−Z処理をしておかないと、壊れてしまう恐れがあるからである。
【0055】
ACTステージ
システムコントローラASIC A1は、PONPUP S3信号のLレベルへのアサート後、プルアップ電源が確実に立ち上がるのを待ってからPCI_RST S10をHレベルにディアサートする。このPCI_RST S10のHレベルへのディアサートを受けて、エンジンコントローラASIC B2は、PCIバスのインターフェースE1の信号(特に出力端子)のHI−Z処理を中止する。また、システムコントローラASIC A1は、PCIバスのインターフェースE1の信号(特に出力端子)のHI−Z処理を中止する。このHI−Z処理の中止は、PCIバスへのプルアップ電源が入ってから実施する必要があり、そうでないと、PCIバスのインターフェースE1信号の出力電流が電源P2のラインへ回り込む恐れがあるので、前述した順番で制御される。
【0056】
前述した本発明の実施形態での各シーケンスにおいて、システムコントローラASIC A1の各種インタフェースにおける出力端子のHI−Z処理の制御を状態の遷移に伴って実行することにより、電源の回り込みを防止するとして説明しているが、本発明は、同時に、システムコントローラASIC A1の各種インタフェースの入力を含む端子に対して、その端子に接続される内部回路の保護のために貫通電流防止を図ることができる。
【0057】
図5はシステムコントローラASIC A1の各種インタフェースの入力を含む端子に付加するゲート回路の例を示す図である。以下、図3に示すシーケンスを参照して図5に示すゲートの制御について説明する。
【0058】
図5に示すゲート回路は、1つのANDゲートにより構成されていればよく、例えば、図1に示すシステムコントローラASIC A1のIOインタフェースE2(HDD、各種メディアカード等が接続される)の入力を含む端子に設けられて、入力信号をマスクする機能を有する。このゲート回路は、システムコントローラASIC A1のIOインタフェースE2だけでなく、電源が切断される可能性のある外部機器が接続されるシステムコントローラASIC A1のインタフェース、エンジンコントローラASIC B2のインタフェース等に設けられてよい。そして、このANDゲートの入力側には、HDD、各種メディアカード等の入力を含むラインからの信号が入力されると共に、システムコントローラASIC A1から制御信号が入力され、その出力は、システムコントローラASIC A1の内部回路に接続されている。
【0059】
図3により説明した待機シーケンスにおいて、システムコントローラASIC A1は、エンジン側の電源を停止させた後、PONCTL S4信号をHレベルにディアサートしてレギュレータC2の電源P4を停止し、CPU A2、ROM/RAM A3への電源の供給を止めるが、システムコントローラASIC A1は、PONCTL S4信号をHレベルにディアサートしたときに、IOインタフェースE2に接続されているHDD、各種メディアカード等の電源をも断とすることができる。この場合に、何の処理も行わないと、システムコントローラASIC A1の各種インタフェースの入力を含む端子に接続される内部回路に貫通電流が流れてしまう場合があり、システムコントローラASIC A1自体が破壊されるおそれがある。そこで、本発明の実施形態では、システムコントローラASIC A1は、PONCTL S4信号をHレベルにディアサートしたとき、同時に、図5に示すANDゲートの制御端子をHレベルからLレベルにする。これにより、システムコントローラASIC A1の各種インタフェースの入力を含む端子に接続される内部回路には、Lレベルの信号が印加されることになり、電源が切断されたHDD、各種メディアカード等からの不安定となった入力が印加されないこととなって、回路の貫通電流を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の一実施形態による画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態による画像形成装置における電源ON時の立ち上げシーケンスを説明する図である。
【図3】立ち上げシーケンス終了後に待機状態に移行する待機シーケンスを説明する図である。
【図4】待機状態から直ちに画像形成のための各種の要求に対する動作を行うことが可能な状態に復帰する復帰シーケンスを説明する図である。
【図5】システムコントローラASICの各種インタフェースの入力を含む端子に付加するゲート回路の例を示す図である。
【符号の説明】
【0061】
A1 システムコントローラASIC
A2、B1 CPU
A3、B3 ROM/RAM
A5 RESET IC
A6 プルアップ抵抗
B2 エンジンコントローラASIC
C0 電源供給ユニット
C1〜C5 レギュレータ
E1 PCIバス
E2 I/Oインタフェース
E3 データ出力
E4 PCインタフェース
D1 復帰要因検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の入出力装置が接続されて構成される情報処理システムにおいて、システム制御コントローラを備え、該システム制御コントローラは、電源制御手段と、ハイインピーダンス制御手段と、貫通電流防止制御手段とを有し、前記電源制御手段は、前記複数の入出力装置に対する電源の供給を所定の順序により制御することにより、起動、待機、復帰の制御を行うと共に、前記ハイインピーダンス制御手段は、前記入出力装置に対する電源の供給が行われているか否かに従って、その入出力インタフェースの出力部に対するハイインピーダンス制御を行い、前記貫通電流防止制御手段は、前記入出力装置に対する電源の供給が行われているか否かに従って、その入出力インタフェースの入力を含む部分における貫通電流防止制御を行うことを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
前記システム制御コントローラは、ハンドシェイクでシステムの起動、待機、復帰の制御を行うことを特徴とする請求項1記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記システム制御コントローラは、システムの待機制御として、少なくとも前記システム制御コントローラ内の電源制御部と復帰信号検出部とを残して他の部位の電源を落とすことを特徴とする請求項1記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記システム制御コントローラは、待機時にもリセットされないレジスタを具備し、復帰時に待機状態で電源が供給されていた部位を検出することが可能であることを特徴とする請求項1載の情報処理システム。
【請求項5】
前記システム制御コントローラは、復帰要因を検出する復帰要因検出手段を備え、復帰要因が検出されたとき、ハードウエアにより復帰制御を行うことを特徴とする請求項1記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記システム制御コントローラは、復帰要因を検出する復帰要因検出手段を備え、浅い省エネ状態での待機時に、復帰要因が検出されたとき、割り込みを発生させて、ソフトウエアにより復帰制御を行うことを特徴とする請求項1記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記システム制御コントローラは、そのインターフェース部に貫通電流防止を目的とした入力マスク手段を有することを特徴とする請求項1記載の情報処理システム。
【請求項8】
画像形成を制御するエンジンコントローラと、画像データのハンドリングを行うシステム制御コントローラとを有し、前記エンジンコントローラが前記システム制御コントローラから制御されて画像の形成を行う画像形成装置において、前記システム制御コントローラは、電源制御手段と、ハイインピーダンス制御手段と、貫通電流防止制御手段とを有し、前記電源制御手段は、前記複数の入出力装置に対する電源の供給を所定の順序により制御することにより、起動、待機、復帰の制御を行うと共に、前記ハイインピーダンス制御手段は、前記入出力装置に対する電源の供給が行われているか否かに従って、その入出力インタフェースの出力部に対するハイインピーダンス制御を行い、前記貫通電流防止制御手段は、前記入出力装置に対する電源の供給が行われているか否かに従って、その入出力インタフェースの入力を含む部分における貫通電流防止制御を行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
前記システム制御コントローラは、ハンドシェイクで画像形成装置の起動、待機、復帰の制御を行うことを特徴とする請求項8記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記システム制御コントローラは、画像形成装置の待機制御として、少なくとも前記システム制御コントローラ内の電源制御部と復帰信号検出部とを残して他の部位の電源を落とすことを特徴とする請求項8記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記システム制御コントローラは、待機時にもリセットされないレジスタを具備し、復帰時に待機状態で電源が供給されていた部位を検出することが可能であることを特徴とする請求項8載の画像形成装置。
【請求項12】
前記システム制御コントローラは、復帰要因を検出する復帰要因検出手段を備え、復帰要因が検出されたとき、ハードウエアにより復帰制御を行うことを特徴とする請求項8記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記システム制御コントローラは、復帰要因を検出する復帰要因検出手段を備え、浅い省エネ状態での待機時に、復帰要因が検出されたとき、割り込みを発生させて、ソフトウエアにより復帰制御を行うことを特徴とする請求項8記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記エンジンコントローラ、前記システム制御コントローラは、そのインターフェース部に貫通電流防止を目的とした入力マスク手段を有することを特徴とする請求項8記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−18502(P2006−18502A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−194670(P2004−194670)
【出願日】平成16年6月30日(2004.6.30)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】