説明

情報処理装置、情報処理方法およびプログラム

【課題】限られた表示領域を有効に使用しつつ表示領域に位置する複数の選択対象から所望の選択を行う。
【解決手段】表示領域から操作体により指定された領域を指定領域として検出する指定領域検出部と、指定領域検出部により検出された指定領域に基づいて、表示領域に位置する複数の選択対象の一部または全部を複数の注目対象として抽出する注目対象抽出部と、注目対象抽出部により抽出された複数の注目対象から選択候補を抽出する選択候補抽出部と、注目対象抽出部により抽出された複数の注目対象を表示領域に表示するように制御するとともに、選択候補抽出部により抽出された選択候補の表示領域への表示を強調するように制御する表示制御部と、を備える、情報処理装置が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、タッチパネルを有するデバイスが普及してきている。タッチパネルを有するデバイスを使用した場合には画面をタッチすることにより直感的な操作を行うことができるため、デバイスサイズに対する表示領域のサイズを大きくすることができることが普及の一因であると想定される。また、限られた表示領域にできる限り多くの情報を表示するため、液晶画面などにより構成される画面が高精細化されている。
【0003】
しかし、画面を高精細化してもタッチ操作を行うためにはある程度の大きさの表示領域が必要である。したがって、表示領域が大きくなれば、コストなどを考慮して画面の高精細化を十分に生かすことができない。また、同様の理由により、タッチ操作が要求されるデバイスは、ある程度の物理サイズが必要となるため、このようなデバイスを小さなモバイルデバイスに組み込むことは難しい。
【0004】
このような状況を改善すべく、例えば、タッチパネル上の位置を指定するためのペンに近い選択対象を並び替える技術について提案されている(例えば、特許文献1参照。)。このような技術によれば、ペンにより選択できるような位置に選択対象が移動するため、小さな表示領域に選択対象が密集して表示されるような場合などにおいても選択対象から選択することができる。
【0005】
また、例えば、近接された指の位置から最も近い選択対象を拡大表示またはフォーカス表示する技術について提案されている(例えば、特許文献2参照。)。この技術によれば、指により指定された座標の微小な変化によってフォーカスを切り換えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−54854号公報
【特許文献2】特開2009−116583号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、例えば、上記した特許文献1に提案されている技術によれば、選択対象を再配置する必要があるため、ユーザは並び替えが行われる前と並び替えが行われた後との関係を理解するのに時間がかかるという問題があった。また、例えば、上記した特許文献2に提案されている技術によれば、表示部から指を離した状態で選択対象から選択を行う必要があるため、指によって表示領域の大部分が隠されてしまい、表示領域の限られた面積を有効利用することができないという問題があった。
【0008】
そこで、本発明は、限られた表示領域を有効に使用しつつ表示領域に位置する複数の選択対象から所望の選択を行うことが可能な、新規かつ改良された技術を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のある実施形態によれば、表示領域から操作体により指定された領域を指定領域として検出する指定領域検出部と、上記指定領域検出部により検出された上記指定領域に基づいて、上記表示領域に位置する複数の選択対象の一部または全部を複数の注目対象として抽出する注目対象抽出部と、上記注目対象抽出部により抽出された上記複数の注目対象から選択候補を抽出する選択候補抽出部と、上記注目対象抽出部により抽出された上記複数の注目対象を上記表示領域に表示するように制御するとともに、上記選択候補抽出部により抽出された上記選択候補の上記表示領域への表示を強調するように制御する表示制御部と、を備える、情報処理装置が提供される。
【0010】
上記情報処理装置は、上記操作体による選択操作を検出する選択操作検出部と、上記選択操作検出部により上記選択操作が検出された場合に上記選択候補抽出部により抽出された上記選択候補を選択結果として選択する選択部と、をさらに備えることとしてもよい。
【0011】
上記情報処理装置は、上記選択部により選択された上記選択結果に応じた所定の処理を実行する実行部をさらに備えることとしてもよい。
【0012】
上記指定領域検出部は、上記操作体による近接度合いに応じて変化する所定のパラメータに基づいて上記指定領域を検出することとしてもよい。
【0013】
上記注目対象抽出部は、上記指定領域検出部により検出された上記指定領域に存在する複数の上記選択対象を上記複数の注目対象として抽出することとしてもよい。
【0014】
上記注目対象抽出部は、上記指定領域検出部により検出された上記指定領域に存在する複数の上記選択対象の中から予め決められた個数の上記選択対象を上記複数の注目対象として抽出することとしてもよい。
【0015】
上記注目対象抽出部は、上記指定領域検出部により検出された上記指定領域に基づいて判定領域を算出し、上記判定領域に存在する複数の上記選択対象を上記複数の注目対象として抽出することとしてもよい。
【0016】
上記注目対象抽出部は、上記指定領域検出部により検出された上記指定領域に存在する複数の上記選択対象の密度に基づいて上記判定領域を算出することとしてもよい。
【0017】
上記選択候補抽出部は、上記操作体による近接度合いに応じて変化する所定のパラメータに基づいて重心点の座標を算出し、算出した上記重心点の座標に基づいて上記選択候補を抽出することとしてもよい。
【0018】
上記実行部は、上記複数の選択対象が文字または記号である場合、上記選択部により選択された上記文字または記号を上記表示領域における入力欄に設定することにより上記所定の処理を実行することとしてもよい。
【0019】
上記表示制御部は、上記入力欄に対する入力箇所を示すカーソルの位置に応じた位置に上記注目対象抽出部により抽出された上記複数の注目対象を表示するように制御することとしてもよい。
【0020】
上記表示制御部は、上記注目対象抽出部により抽出された上記注目対象が複数に達しなかった場合、上記注目対象抽出部により抽出された上記注目対象を上記表示領域に表示しないように制御することとしてもよい。
【0021】
上記表示制御部は、上記指定領域検出部により上記指定領域が検出されてから所定時間が経過する前に上記選択操作検出部により上記操作体による選択操作が検出された場合には、上記注目対象抽出部により抽出された上記複数の注目対象を上記表示領域に表示しないように制御することとしてもよい。
【0022】
上記表示制御部は、上記指定領域検出部により検出された上記指定領域と重複せず、かつ、上記表示領域に収まる領域を上記表示領域から算出し、算出した上記領域に、上記注目対象抽出部により抽出された上記複数の注目対象を表示するように制御することとしてもよい。
【0023】
本発明の他の実施形態によれば、操作体により指定された領域を指定領域として検出する指定領域検出部と、上記指定領域検出部により検出された上記指定領域に基づく所定の範囲に移動対象が存在するか否かを判断する判断部と、上記判断部により上記移動対象が上記所定の範囲内に存在しないと判断された場合には上記移動対象の移動を行うように制御し、上記判断部により上記移動対象が上記所定の範囲内に存在すると判断された場合には上記移動対象の移動を制限するように制御する表示制御部と、を備える、情報処理装置が提供される。
【発明の効果】
【0024】
以上説明したように、本発明によれば、限られた表示領域を有効に使用しつつ表示領域に位置する複数の選択対象から所望の選択を行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1実施形態に係る情報処理装置により指定領域と指定領域の中心座標とを抽出する原理を説明するための図である。
【図2】同実施形態に係る情報処理装置をソフトウェアキーボード上のキー入力を行う場合に適用した例について説明するための図である。
【図3】同実施形態に係る情報処理装置の機能構成を示す図である。
【図4】同実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成図である。
【図5】図2に示した例において操作体を移動させた後の表示例を示す図である。
【図6】図2に示した例においてキー入力をしている段階の表示例を示す図である。
【図7】ソフトウェアキーボード上のキー入力を行う場合に適用された同実施形態に係る情報処理装置による動作の流れを示すフローチャートである。
【図8】同実施形態に係る情報処理装置を地図上のピン選択を行う場合に適用した例について説明するための図である。
【図9】図8に示した例において操作体の位置に応じて変化する表示例を示す図である。
【図10】地図上のピン選択を行う場合に適用された同実施形態に係る情報処理装置による動作の流れを示すフローチャートである。
【図11】本発明の第2実施形態に係る情報処理装置の前提となる一般的な情報処理装置の機能について説明するための図である。
【図12】同実施形態に係る情報処理装置の機能について説明するための図である。
【図13】同実施形態に係る情報処理装置の機能構成を示す図である。
【図14】同実施形態に係る情報処理装置による動作の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付すことにより重複説明を省略する。
【0027】
また、以下の順序にしたがって当該「発明を実施するための形態」を説明する。
1.第1実施形態
1−1. 指定領域と指定領域の中心座標とを抽出する原理
1−2. ソフトウェアキーボード上のキー入力を行う場合
1−3. 情報処理装置の機能構成
1−4. 情報処理装置のハードウェア構成図
1−5. 操作体を移動させた後の表示例
1−6. キー入力をしている段階の表示例
1−7. 情報処理装置による動作の流れ(キー入力を行う場合)
1−8. 地図上のピン選択を行う場合
1−9. 操作体の位置に応じて変化する表示例
1−10.情報処理装置による動作の流れ(地図上のピン選択を行う場合)
2.第2実施形態
2−1. 前提となる一般的な情報処理装置の機能
2−2. 情報処理装置の機能
2−3. 情報処理装置の機能構成
2−4. 情報処理装置による動作の流れ(誤動作の防止)
3.変形例
4.まとめ
【0028】
<1.第1実施形態>
[1−1.指定領域と指定領域の中心座標とを抽出する原理]
図1は、本発明の第1実施形態に係る情報処理装置により複数の選択対象から注目対象と選択候補とを抽出する原理を説明するための図である。図1に示すように、本発明の第1実施形態に係る情報処理装置100Aは、操作体OPの位置を検出するための位置検出面211Aを備えている。例えば、位置検出面211Aが静電式タッチパネルにより構成されている場合には、位置検出面211Aに対する操作体OPの近接度合いが位置検出面211Aの表面における静電容量の変化として計測される。位置検出面211Bは、位置検出面211Bに操作体OPが接触または近接した結果、位置検出面211Bの静電容量が変化している様子を示している。以下において、静電容量の変化とは、例えば、操作体OPが位置検出面211に近接していない状態を基準とした変化の値を意味する。
【0029】
ここで、本発明の第1実施形態に係る情報処理装置100Aは、位置検出面211Dの各計測点の中で静電容量の変化が閾値(例えば、接触閾値)を超えている領域を接触領域214として抽出する。接触領域214は、後に説明する指定領域の一例である。したがって、以下において、接触領域214との記載は、指定領域に置き換えても成立するものである。なお、ここでは、操作体OPが位置検出面211に接触している状態の静電容量の変化を閾値として設定し、操作体OPが位置検出面211に接触している領域を接触領域214として抽出することとしているが、操作体OPが位置検出面211に近接している状態の静電容量の変化を閾値として設定してもよい。その場合には、情報処理装置100Aは、操作体OPが位置検出面211に近接している領域を指定領域として抽出することができる。接触領域214は、例えば、後に説明する注目対象を抽出するために用いられる。
【0030】
また、ここでは、情報処理装置100Aは、静電式タッチパネルを使用することにより操作体OPによる位置検出面211への近接度合いを計測することとするが、静電式タッチパネルに限定されず、例えば、光学式タッチパネルなどによっても近接度合いを計測することができる。また、ここでは、情報処理装置100Aは、近接度合いが閾値を超えている領域を指定領域として抽出することとするが、位置検出面211への近接度合いを計測できなくてもよい。例えば、情報処理装置100Aは、位置検出面211に対する操作体OPの接触を検出できれば、接触していると検出した領域を指定領域として抽出することもできる。
【0031】
情報処理装置100Aは、例えば、接触領域214から中心座標212を算出することができる。情報処理装置100Aは、例えば、位置検出面211Cにおける計測点の中から静電容量213の重心点を中心座標212として算出することができる。しかしながら、情報処理装置100Aは、他の手法によっても中心座標212を算出することができ、例えば、静電容量213の変化の最も著しい点の座標を中心座標212として算出することもできる。また、静電容量213などの近接度合いを考慮せずに、接触領域214の重心点の座標を中心座標212として算出してもよい。中心座標212は、例えば、後に説明する選択候補を抽出するために用いられる。
【0032】
かかる制御により、情報処理装置100Aは、接触領域214と中心座標212とを抽出することができる。
【0033】
[1−2.ソフトウェアキーボード上のキー入力を行う場合]
図2は、本発明の第1実施形態に係る情報処理装置100Aをソフトウェアキーボード上のキー入力を行う場合に適用した例について説明するための図である。図2に示すように、ユーザは、情報処理装置100Aの表示領域241Aに表示されたソフトウェアキーボード上のキー入力を操作体OPにより行おうとしている。ユーザが、操作体OPを位置検出面211Eに対して接触または近接させると、情報処理装置100Aにより接触領域214と中心座標212とが抽出される。位置検出面211と表示領域241とは、例えば、重ね合わされて情報処理装置100Aに備えられており、位置検出面211と表示領域241とにおいて重なっているそれぞれの位置については、情報処理装置100Aにおいて管理されている。このため、位置検出面211と表示領域241とにおいて重なっているそれぞれの位置は、対応する位置として情報処理装置100Aにより認識されている。
【0034】
情報処理装置100Aは、例えば、接触領域214に存在する「Q」「W」「E」「R」「A」「S」「D」「F」「Z」「X」「C」のキーを注目対象として抽出することができる。また、情報処理装置100Aは、例えば、中心座標212の位置に存在する「S」のキーを選択候補として抽出することができる。情報処理装置100Aは、例えば、注目対象として抽出したキーを押下用のキーとは別に表示することができる。表示領域241Bには、注目対象として抽出したキー「Q」「W」「E」「R」「A」「S」「D」「F」「Z」「X」「C」が情報処理装置100AによりウィンドウWI内に表示されている。
【0035】
また、表示領域241Bに示したように、情報処理装置100Aは、例えば、選択候補として抽出したキー「S」を他の注目対象として抽出したキー「Q」「W」「E」「R」「A」「D」「F」「Z」「X」「C」よりも目立つように表示することができる。表示領域241Bには、入力欄INが設定されており、操作体OPによる選択操作がなされると、選択候補として抽出された「S」の入力がカーソルCUの位置に入力される。カーソルCUは、入力欄INに対する入力箇所を示すものである。例えば、表示領域241には圧力センサが重ね合わされており、情報処理装置100Aは、この圧力センサが検出した操作体OPによる押下力に応じて選択操作がなされたか否かを判断すればよい。
【0036】
[1−3.情報処理装置の機能構成]
図3は、本発明の第1実施形態に係る情報処理装置の機能構成を示す図である。本発明の第1実施形態に係る情報処理装置100Aは、少なくとも、指定領域検出部110と、注目対象抽出部120と、選択候補抽出部130と、表示制御部140とを備えるものである。
【0037】
指定領域検出部110は、位置検出装置210を備えるものであり、表示領域241から操作体OPにより指定された領域を指定領域(例えば、接触領域214)として検出する機能を有するものである。上記したように、指定領域検出部110は、例えば、操作体OPにより指定された領域を、操作体OPによる位置検出面211Aへの近接度合いに応じて変化する所定のパラメータに基づいて検出する。
【0038】
注目対象抽出部120は、指定領域検出部110により検出された指定領域(例えば、接触領域214)に基づいて、表示領域241に位置する複数の選択対象の一部または全部を複数の注目対象として抽出する機能を有するものである。選択対象は、上記したソフトウェアキーボードの例では、キーボード上に表示されているキーに相当する。また、注目対象は、上記したソフトウェアキーボードの例では、「Q」「W」「E」「R」「A」「S」「D」「F」「Z」「X」「C」などのキーに相当する。
【0039】
図2を参照して説明したように、注目対象抽出部120は、指定領域検出部110により検出された指定領域(例えば、接触領域214)に存在する複数の選択対象である「Q」「W」「E」「R」「A」「S」「D」「F」「Z」「X」「C」などのキーを複数の注目対象として抽出することができる。しかし、注目対象の抽出の手法は、かかる例に限定されない。例えば、指定領域検出部110により検出された指定領域(例えば、接触領域214)に存在する複数の選択対象の中から予め決められた個数の選択対象を複数の注目対象として抽出することとしてもよい。
【0040】
例えば、選択対象の個数が予め5個と決められている場合には、指定領域検出部110により検出された指定領域(例えば、接触領域214)に存在する複数の選択対象である「Q」「W」「E」「R」「A」「S」「D」「F」「Z」「X」「C」のキーから5個の選択対象(例えば、「W」「A」「S」「D」「Z」)を複数の注目対象として抽出してもよい。予め決められた個数の選択対象は、例えば、中心座標212に近い順に予め決められた個数に達するまで選択していくことにより抽出される。
【0041】
注目対象抽出部120は、指定領域検出部110により検出された指定領域(例えば、接触領域214)に基づいて判定領域を算出し、判定領域に存在する複数の選択対象を複数の注目対象として抽出することとしてもよい。注目対象抽出部120は、例えば、指定領域に含まれる所定形状の領域や指定領域を含む所定形状の領域を判定領域として算出してもよい。所定形状は、矩形や、円形、楕円などといった形状でもよく、特に限定されるものではない。また、注目対象抽出部120は、例えば、指定領域に含まれる所定形状の領域のうち最大の領域や指定領域を含む所定形状の領域のうち最大の領域を判定領域として算出してもよい。
【0042】
選択候補抽出部130は、注目対象抽出部120により抽出された複数の注目対象から選択候補を抽出する機能を有するものである。複数の注目対象から選択候補を抽出する手法についても様々なものが想定され、特に限定されるものではない。例えば、選択候補抽出部130は、操作体OPによる位置検出面211に対する近接度合いに応じて変化する所定のパラメータに基づいて重心点の座標を中心座標212として算出し、算出した中心座標212に基づいて選択候補を抽出することができる。
【0043】
また、選択候補抽出部130は、例えば、所定のパラメータの変化の最も著しい点の座標を中心座標212として算出し、算出した中心座標212に基づいて選択候補を抽出することとしてもよい。また、選択候補抽出部130は、近接度合いを考慮せずに、接触領域214の重心点の座標を中心座標212として算出し、算出した中心座標212に基づいて選択候補を抽出してもよい。選択候補抽出部130は、例えば、算出した中心座標212に最も近い位置に存在する注目対象を選択候補として抽出することができる。
【0044】
表示制御部140は、注目対象抽出部120により抽出された複数の注目対象を表示領域241に表示するように制御するとともに、選択候補抽出部130により抽出された選択候補の表示領域241への表示を強調するように制御する機能を有するものである。図2の表示領域241Bを参照して説明したように、表示制御部140は、選択候補として抽出したキー「S」を他の注目対象として抽出したキー「Q」「W」「E」「R」「A」「D」「F」「Z」「X」「C」よりも目立つように表示を制御することにより、選択候補の表示領域241への表示を強調するように制御することができる。
【0045】
強調表示の手法は特に限定されるものではなく、例えば、図2の表示領域241Bに選択候補として示された「S」のように太字により強調するようにしてもよいし、点滅により強調してもよいし、他の注目対象として抽出したキーとは異なる色により強調表示してもよい。
【0046】
また、表示制御部140は、注目対象抽出部120により抽出された複数の注目対象を表示領域241に表示するように制御するに際して、複数の注目対象をどのように表示領域241に配置してもよい。例えば、図2に示したように、指定領域(例えば、接触領域214)に配置されていた通りに複数の注目対象を抽出し、互いの位置関係を保ったまま互いの距離を拡大させ、縮小させ、または、変更せずに表示領域241に配置すればよい。表示制御部140は、注目対象抽出部120により抽出された注目対象が複数に達しなかった場合、注目対象抽出部120により抽出された注目対象を表示領域241に表示しないように制御することもできる。また、表示制御部140は、指定領域検出部110により指定領域が検出されてから所定時間が経過する前に選択操作検出部110により操作体OPによる選択操作が検出された場合には、注目対象抽出部120により抽出された複数の注目対象を表示領域241に表示しないように制御することもできる。
【0047】
情報処理装置100Aは、表示部150をさらに備えることとしてもよい。表示部150は、例えば、表示装置によって構成されるものである。表示部150は、表示領域241を備えており、表示制御部140による制御により表示領域241に表示する機能を有する。その他、表示部150は、実行部180により所定の処理が実行される段階において各種情報の表示を行う場合に使用される。表示部150は、図2を参照して説明した例では、表示制御部140による制御により、表示領域241に、入力キーや、カーソルCU、ウィンドウWI、入力欄INなどを表示することが可能である。
【0048】
情報処理装置100Aは、図示しない記憶部をさらに備えることとしてもよい。図示しない記憶部は、例えば、不揮発性メモリなどの記憶装置によって構成されるものである。記憶部は、注目対象抽出部120や、選択候補抽出部130、表示制御部140、選択部170、実行部180などを実現するためのプログラムを記憶する機能や、そのプログラムが実行される際に使用される各種データなどを記憶する機能を有するものである。また、各種の閾値などを記憶することができる。
【0049】
注目対象抽出部120や、選択候補抽出部130、表示制御部140、選択部170、実行部180などは、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)などにより構成され、CPUが図示しない記憶部によって記憶されているプログラムをRAMに展開して実行することによりその機能が実現されるものである。しかし、このような構成に限らず、注目対象抽出部120や、選択候補抽出部130、表示制御部140、選択部170、実行部180の中には、専用のハードウェアにより構成されるものが存在してもよい。
【0050】
情報処理装置100Aは、その他に、選択操作検出部160、選択部170、実行部180などを備えることとしてもよい。選択操作検出部160、選択部170、実行部180についての説明は、後に詳細に説明する。
【0051】
[1−4.情報処理装置のハードウェア構成]
図4は、本発明の第1実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成図である。図4に示すように、本発明の第1実施形態に係る情報処理装置100Aは、位置検出装置210と、CPU220と、RAM230と、表示装置240と、不揮発性メモリ250と、圧力センサ260とを含んで構成される。
【0052】
位置検出装置210は、位置検出面211を有しており、位置検出面211に対する操作体OPの近接座標または接触座標を検出する機能を有する。位置検出装置210が位置検出面211と操作体OPとの距離に応じて変化する所定のパラメータを検出することが可能であれば、検出された所定のパラメータが閾値を超える領域は、指定領域として検出され得る。また、位置検出装置210が位置検出面211に対して操作体OPが接触した領域を検出することが可能であれば、検出された領域は、指定領域として使用され得る。
【0053】
位置検出装置210としては、例えば、静電式タッチパネルを使用することができる。静電式タッチパネルによれば、静電容量の変化を位置検出面211と操作体OPとの距離に応じて変化する所定のパラメータとして検出することができる。その他、位置検出装置210としては、例えば、光学式タッチパネルを使用することができる。光学式タッチパネルによれば、入射される光の強度の変化を位置検出面211と操作体OPとの距離に応じて変化する所定のパラメータとして検出することができる。
【0054】
その他、位置検出装置210としては、例えば、USB(Universal Serial Bus)カメラを使用することができる。位置検出装置210としてUSBカメラを使用する場合には、例えば、操作体OPが位置検出装置210に接触しているか、近接しているかを判断するために使用される所定のパラメータを、位置検出装置210とは別のデバイスにより検出することとすればよい。
【0055】
CPU220は、演算処理装置および制御装置として機能し、不揮発性メモリ250、RAM230に記録された各種プログラムにしたがって、情報処理装置100A内の動作全般またはその一部を制御するものである。
【0056】
RAM230は、CPU220において使用するプログラムや、その実行において適宜変化するパラメータ等を記憶するものである。
【0057】
表示装置240は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)、有機EL(Electroluminescence)ディスプレイ装置など、情報をユーザに対して視覚的に通知することが可能な装置で構成される。表示装置240は、例えば、情報処理装置100Aが行った各種処理により得られた結果を出力する。具体的には、表示装置240は、情報処理装置100Aが行った各種処理により得られた結果を、テキストまたはイメージで表示領域241に表示する。また、表示装置240は、情報処理装置100Aに備えられてもよいし、情報処理装置100Aの外部に存在してもよい。
【0058】
不揮発性メモリ250は、データ格納用の装置であり、例えば、HDD(Hard Disk Drive)等の磁気記憶部デバイス、半導体記憶デバイス、光記憶デバイス、または光磁気記憶デバイス等により構成される。不揮発性メモリ250は、CPU220が実行するプログラムや各種データを格納する。
【0059】
圧力センサ260は、操作体OPによる押下力を検出する機能を有するものである。圧力センサ260により検出される操作体OPによる押下力は、例えば、操作体OPによる単位面積当たりの押下力である。また、圧力センサ260は、操作体OPによる押下力が閾値を超えている場合には、その旨を示す信号を出力することとしてもよい。情報処理装置100Aは、この信号を検出することにより、操作体OPによる押下力が閾値を超えていることを検出することができ、例えば、操作体OPによる選択操作がなされたと判断することができる。
【0060】
以上、本発明の実施形態に係る情報処理装置100Aの機能を実現可能なハードウェア構成の一例を示した。上記の各構成要素は、汎用的な部材を用いて構成されていてもよいし、各構成要素の機能に特化したハードウェアにより構成されていてもよい。したがって、本発明の実施形態を実施する時々の技術レベルに応じて、適宜、利用するハードウェア構成を変更することが可能である。
【0061】
なお、他の実施形態に係る情報処理装置100Aについても同様のハードウェア構成により実現することが可能である。
【0062】
[1−5.操作体を移動させた後の表示例]
図5は、図2に示した例において操作体を移動させた後の表示例を示す図である。図5に示すように、ユーザが操作体OPを移動させると、操作体OPの位置に応じた注目対象と選択候補とが情報処理装置100Aにより表示領域241のウィンドウWI内に表示される。図5に示した例では、ユーザが操作体OPを移動させる前においては、表示制御部140は、注目対象として抽出されたキー「Q」「W」「E」「R」「A」「S」「D」「F」「Z」「X」「C」を表示領域241CのウィンドウWI内に表示するように制御し、選択候補として抽出したキー「S」を強調表示するように制御している。
【0063】
一方、ユーザが操作体OPを移動させた後においては、指定領域検出部110は新たに指定領域を検出し、注目対象抽出部120は、指定領域に基づいて、キー「T」「Y」「U」「I」「G」「H」「J」「K」「B」「N」「M」を注目対象として抽出し、選択候補抽出部130は、キー「J」を選択候補として抽出している。そして、表示制御部140は、注目対象として抽出されたキー「T」「Y」「U」「I」「G」「H」「J」「K」「B」「N」「M」を表示領域241DのウィンドウWI内に表示するように制御し、選択候補として抽出したキー「J」を強調表示するように制御している。
【0064】
[1−6.キー入力をしている段階の表示例]
図6は、図2に示した例においてキー入力をしている段階の表示例を示す図である。ここで、ユーザは、選択操作により文字または記号を入力欄INに入力していくことが可能である。すなわち、情報処理装置100Aは、選択操作検出部160と、選択部とをさらに備えることとしてもよい。
【0065】
選択操作検出部160は、操作体OPによる選択操作を検出する機能を有するものである。選択操作検出部160は、例えば、圧力センサ260を備えるものであり、圧力センサ260により検出した操作体OPによる押下力に応じて操作体OPによる選択操作を検出する。例えば、選択操作検出部160は、圧力センサ260により検出された操作体OPによる押下力が閾値を超えている場合に操作体OPによる選択操作を検出することができる。
【0066】
選択部170は、選択操作検出部160により選択操作が検出された場合に選択候補抽出部130により抽出された選択候補を選択結果として選択する機能を有するものである。
【0067】
情報処理装置100Aをソフトウェアキーボードに適用した場合、複数の選択対象は文字または記号により構成されている。例えば、このような場合、実行部180は、選択部170により選択された文字または記号を表示領域241Eにおける入力欄INに設定することにより所定の処理を実行することができる。実行部180は、表示領域241Eにおける入力欄INに、選択部170により選択された「ABCD」が入力されている。
【0068】
注目対象抽出部120により抽出された複数の注目対象が表示される位置は特に限定されるものではない。例えば、注目対象抽出部120により抽出された複数の注目対象は、固定した位置に表示されることとしてもよい。また、例えば、注目対象抽出部120により抽出された複数の注目対象は、カーソルCUの位置に応じた位置に表示されることとしてもよい。すなわち、表示制御部140は、カーソルCUの位置に応じた位置に注目対象抽出部120により抽出された複数の注目対象を表示するように制御することもできる。図6に示した例では、カーソルCUの位置に追従するように表示領域241FにおけるウィンドウWIが移動しており、ウィンドウWI内に複数の注目対象が表示されている。
【0069】
[1−7.情報処理装置による動作の流れ(キー入力を行う場合)]
図7は、ソフトウェアキーボード上のキー入力を行う場合に適用された本発明の第1実施形態に係る情報処理装置による動作の流れを示すフローチャートである。図7に示すように、本発明の第1実施形態に係る情報処理装置100Aの選択操作検出部160は、操作体OPによる押下力を検出し、押下力が閾値以上であれば(ステップS101で「Yes」)、選択部170は、操作体OPにより選択操作がなされたとしてキー押下コマンドを発行し(ステップS102)、ステップS101に戻る。
【0070】
押下力が閾値未満であれば(ステップS101で「No」)、指定領域検出部110は、操作体OPによる位置検出面211の静電容量の変化に基づいて接触領域214を抽出し(ステップS103)、接触領域214から中心座標212を抽出する(ステップS104)。注目対象抽出部120は、接触領域214から判定領域内のキーを注目対象キーとして算出し(ステップS105)、選択候補抽出部130は、中心座標212に基づいて注目対象キーの中から選択候補キーを抽出する(ステップS106)。
【0071】
表示制御部140は、注目対象キーと選択候補キーとに基づいて、ポップアップ表示とハイライト表示とを更新するように制御し(ステップS107)、ステップS101に戻る。上記した例では、ポップアップ表示は、注目対象キーのウィンドウWI内への表示に相当し、ハイライト表示は、選択候補キーのウィンドウWI内での強調表示に相当する。
【0072】
[1−8.地図上のピン選択を行う場合]
図8は、本発明の第1実施形態に係る情報処理装置100Aを地図上のピン選択を行う場合に適用した例について説明するための図である。図8に示すように、ユーザは、操作体OPにより情報処理装置100Aの表示領域241Gに表示された地図上のピン選択を行おうとしている。ユーザが、操作体OPを位置検出面211Eに対して接触または近接させると、指定領域検出部110により接触領域214と中心座標212とが抽出される。
【0073】
注目対象抽出部120は、例えば、表示領域241Hの接触領域214に存在するピンを注目対象として抽出することができる。また、図8に示したように、選択候補抽出部130は、例えば、中心座標212の位置の最も近くに存在するピンを選択候補として抽出することができる。表示制御部140は、例えば、注目対象として抽出したピンを既に表示されているピンとは別に表示することができる。表示領域241Iには、注目対象として抽出されたピンが表示制御部140によりウィンドウWI内に表示されるように制御されている。
【0074】
また、表示領域241Hに示したように、表示制御部140は、例えば、選択候補として抽出したピンに対して強調表示HIを行うよう制御することができる。選択操作検出部160により操作体OPによる選択操作が検出されると、実行部180により選択候補として抽出されたピンに応じた処理が実行される。実行部180は、例えば、選択候補抽出部130により選択候補として抽出されたピンに関する情報を表示するように制御する。
【0075】
なお、ここでは、注目対象抽出部120は、表示領域241Hの接触領域214に存在するピンを注目対象として抽出することとしたが、注目対象の抽出の手法はかかる例に限定されない。例えば、注目対象抽出部120は、指定領域検出部110により検出された指定領域(例えば、接触領域214)に存在する複数の選択対象の密度に基づいて判定領域を算出することとしてもよい。その場合、注目対象抽出部120は、この判定領域に存在する複数の選択対象を複数の注目対象として抽出することができる。注目対象抽出部120は、例えば、指定領域検出部110により検出された指定領域(例えば、接触領域214)に存在する複数の選択対象の密度が高い領域を判定領域として算出する。
【0076】
また、上記したように、表示制御部140は、注目対象抽出部120により抽出された複数の注目対象を表示領域241に表示するように制御するに際して、複数の注目対象をどのように表示領域241に配置してもよい。例えば、図8に示したように、指定領域(例えば、接触領域214)をそのまま表示部分として切り出すことにより複数の注目対象を抽出し、切り出した表示部分を拡大させ、縮小させ、または、変更せずに表示領域241のウィンドウWIに配置すればよい。
【0077】
[1−9.操作体の位置に応じて変化する表示例]
図9は、図8に示した例において操作体の位置に応じて変化する表示例を示す図である。図9に示すように、ユーザは、操作体OPにより情報処理装置100Aの表示領域241に表示された地図上のピン選択を行おうとしている。ユーザが、操作体OPを表示領域241Jの左下側に対して接触または近接させると、表示制御部140は、注目対象抽出部120により抽出されたウィンドウWIが左下側の操作体OPに重ならない位置に表示するように制御している。
【0078】
同様に、ユーザが、操作体OPを表示領域241Kの右下側に対して接触または近接させると、表示制御部140は、注目対象抽出部120により抽出されたウィンドウWIが右下側の操作体OPに重ならない位置に表示するように制御している。ユーザが、操作体OPを表示領域241Lの左上側に対して接触または近接させると、表示制御部140は、注目対象抽出部120により抽出されたウィンドウWIが左上側の操作体OPに重ならない位置に表示するように制御している。ユーザが、操作体OPを表示領域241Mの右上側に対して接触または近接させると、表示制御部140は、注目対象抽出部120により抽出されたウィンドウWIが右上側の操作体OPに重ならない位置に表示するように制御している。
【0079】
このように、表示制御部140は、指定領域検出部110により検出された指定領域と重複せず、かつ、表示領域241に収まる領域を表示領域241から算出し、算出した領域に、注目対象抽出部120により抽出された複数の注目対象を表示するように制御することができる。これにより、複数の注目対象が操作体OPにより隠れて見えなくなることを防止することができる。
【0080】
[1−10.情報処理装置による動作の流れ(地図上のピン選択を行う場合)]
図10は、地図上のピン選択を行う場合に適用された同実施形態に係る情報処理装置による動作の流れを示すフローチャートである。図10に示すように、本発明の第1実施形態に係る情報処理装置100Aの選択操作検出部160は、操作体OPによる押下力を検出し、押下力が閾値以上であれば(ステップS201で「Yes」)、選択部170は、操作体OPにより選択操作がなされたとしてキー押下コマンドを発行し(ステップS202)、ステップS201に戻る。
【0081】
押下力が閾値未満であれば(ステップS201で「No」)、指定領域検出部110は、操作体OPによる位置検出面211の静電容量の変化に基づいて接触領域214を抽出し(ステップS203)、接触領域214から中心座標212を抽出する(ステップS204)。注目対象抽出部120は、接触領域214内に注目対象が複数存在しない場合には(ステップS205で「No」)、ステップS201に戻る。注目対象抽出部120は、接触領域214内に注目対象が複数存在する場合には(ステップS205で「Yes」)、接触領域214と対応する表示部分を抽出する(ステップS206)。
【0082】
表示制御部140は、表示部分が接触領域214と重複せず、かつ、表示領域241内に収まる表示可能領域を抽出し(ステップS207)、表示可能領域に表示部分を表示してポップアップ表示を更新するように制御して(ステップS208)、ステップS201に戻る。上記した例では、ポップアップ表示は、注目対象キーのウィンドウWI内への表示に相当する。
【0083】
<2.第2実施形態>
[2−1.前提となる一般的な情報処理装置の機能]
図11は、本発明の第2実施形態に係る情報処理装置の前提となる一般的な情報処理装置の機能について説明するための図である。図11に示すように、ユーザは、情報処理装置100Bの表示領域241Nに表示された動画再生画面の再生位置を操作体OPにより調整しようとしている。ユーザは、再生位置を変更するために表示領域241Oに表示されているグラブGBを掴んで移動させようとするが、グラブGBを掴んだはずの指定位置がグラブGBの位置とずれてしまうことが十分に起こり得る。
【0084】
かかる場合には、グラブGBを移動させるつもりのない時点でそのずれの分だけ再生位置がずれてしまうという問題がある。本発明の第2実施形態に係る情報処理装置100Bによれば、このようなユーザの意図しないグラブGBの移動を防止することが可能である。
【0085】
[2−2.情報処理装置の機能]
図12は、本発明の第2実施形態に係る情報処理装置の機能について説明するための図である。図12に示すように、本発明の第2実施形態に係る情報処理装置100Bは、表示領域241Pに対して操作体OPによる接触または近接がなされた場合、接触領域214内にグラブGBが収まっているか否かを判断する。本発明の第2実施形態に係る情報処理装置100Bは、接触領域214内にグラブGBが収まっていると判断した場合には、ユーザが操作体OPによりグラブGBを移動させようとしていると判断して、中心座標212AにグラブGBを移動させないようにする。
【0086】
その後、図12に示すように、操作体OPにより実際にグラブGBを移動させる操作がなされたと判断した場合には、移動操作の開始点の座標である中心座標212Aから移動操作の終了点の座標である中心座標212Bまでグラブを移動させればよい。
【0087】
[2−3.情報処理装置の機能構成]
図13は、本発明の第2実施形態に係る情報処理装置100Bの機能構成を示す図である。図13に示すように、本発明の第2実施形態に係る情報処理装置100Bは、少なくとも、指定領域検出部110と、判断部191と、表示制御部140とを備えるものである。指定領域検出部110が有する機能については、本発明の第1実施形態における指定領域検出部110が有する機能と特段変わりないため、説明を省略する。
【0088】
判断部191は、指定領域検出部110により検出された指定領域に基づく所定の範囲に移動対象が存在するか否かを判断する機能を有するものである。指定領域検出部110により検出された指定領域に基づく所定の範囲は、指定領域検出部110により検出された指定領域自体であってもよいし、指定領域検出部110により検出された指定領域に基づいて算出される判定領域であってもよい。移動対象は、操作体OPによる移動操作に基づいて移動されるものであり、近接操作または接触操作により指定される位置に移動されるものである。
【0089】
表示制御部140は、判断部191により移動対象が所定の範囲内に存在しないと判断された場合には移動対象の移動を行うように制御し、判断部191により移動対象が所定の範囲内に存在すると判断された場合には移動対象の移動を制限するように制御する機能を有するものである。移動対象の移動を制限するとは、例えば、移動対象の移動を停止することを意味する。
【0090】
情報処理装置100Bは、中心座標抽出部192をさらに備えることとしてもよい。中心座標抽出部192は、本発明の第1実施形態に係る情報処理装置100Aによる中心座標212の抽出原理と同様の原理により中心座標212を抽出する機能を有するものである。表示制御部140は、例えば、判断部191により移動対象が所定の範囲内に存在しないと判断された場合には、中心座標抽出部192により抽出された中心座標212に移動対象の移動を行うように制御すればよい。
【0091】
情報処理装置100Bは、移動操作検出部193をさらに備えることとしてもよい。移動操作検出部193は、位置検出面211に対する操作体OPによる移動操作を検出する機能を有するものである。操作体OPによる移動操作は、位置検出面211に対する近接によりなされてもよいし、接触によりなされてもよい。移動操作は、例えば、移動対象の一例であるグラブGBを掴んで移動させる操作に相当する。
【0092】
情報処理装置100Aは、表示部150をさらに備えることとしてもよい。表示部150は、例えば、表示装置によって構成されるものである。表示部150は、表示領域241を備えており、表示制御部140による制御により表示領域241に表示する機能を有する。表示部150は、図12を参照して説明した例では、表示制御部140による制御により、表示領域241に、動画再生画面や、グラブGBなどを表示することが可能である。
【0093】
情報処理装置100Bは、図示しない記憶部をさらに備えることとしてもよい。図示しない記憶部は、例えば、不揮発性メモリなどの記憶装置によって構成されるものである。記憶部は、判断部191や、中心座標抽出部192、表示制御部140などを実現するためのプログラムを記憶する機能や、そのプログラムが実行される際に使用される各種データなどを記憶する機能を有するものである。また、各種の閾値などを記憶することができる。
【0094】
[2−4.情報処理装置による動作の流れ(誤動作の防止)]
図14は、本発明の第2実施形態に係る情報処理装置100Bによる動作の流れを示すフローチャートである。図14に示すように、本発明の第2実施形態に係る情報処理装置100Bの指定領域検出部110は、操作体OPによる位置検出面211の静電容量の変化に基づいて接触領域214を抽出し(ステップS301)、中心座標抽出部192は、接触領域214から中心座標212を抽出する(ステップS302)。
【0095】
判断部191は、接触領域214内にグラブGBが存在するか否かを判断し(ステップS303)、表示制御部140は、判断部191により接触領域214内にグラブGBが存在しないと判断された場合には(ステップS303で「No」)、中心座標212にグラブGBを移動させ(ステップS304)、ステップS306に進む。
【0096】
表示制御部140は、判断部191により接触領域214内にグラブGBが存在すると判断された場合には(ステップS303で「Yes」)、中心座標212にグラブGBを移動させずに(ステップS305)、ステップS306に進む。次いで、表示制御部140は、操作体OPにより移動操作がなされた場合には(ステップS306で「Yes」)、中心座標212の移動に基づいてグラブGBを移動させて(ステップS307)、ステップS301に戻る。表示制御部140は、操作体OPによる移動操作がなされなかった場合には(ステップS306で「No」)、ステップS301に戻る。
【0097】
<3.変形例>
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0098】
<4.まとめ>
本発明の第1実施形態によれば、限られた表示領域を有効に使用しつつ表示領域に位置する複数の選択対象から所望の選択を行うことが可能である。また、本発明の第1実施形態によれば、特に、小さな対象を選択決定する際の操作負荷を低減させることが可能である。
【0099】
また、本発明の第1実施形態によれば、接触面積と操作対象の操作判定領域からどの対象を選択しているかを表示し、ユーザにフィードバックすることで、誤操作並びに操作負荷を軽減することができる。また、本発明の第1実施形態によれば、接触面積に応じたフィードバックを表示することにより、ユーザがタッチの仕方による接触面積の違いを理解することで、学習により操作精度を向上させることが期待できる。
【0100】
本発明の第2実施形態によれば、ユーザの意図しない移動対象の移動を防止することが可能である。
【符号の説明】
【0101】
100(100A、100B) 情報処理装置
110 指定領域検出部
120 注目対象抽出部
130 選択候補抽出部
140 表示制御部
150 表示部
160 選択操作検出部
170 選択部
180 実行部
191 判断部
192 中心座標抽出部
193 移動操作検出部
210 位置検出装置
220 CPU
230 RAM
240 表示装置
250 不揮発性メモリ
260 圧力センサ



【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示領域から操作体により指定された領域を指定領域として検出する指定領域検出部と、
前記指定領域検出部により検出された前記指定領域に基づいて、前記表示領域に位置する複数の選択対象の一部または全部を複数の注目対象として抽出する注目対象抽出部と、
前記注目対象抽出部により抽出された前記複数の注目対象から選択候補を抽出する選択候補抽出部と、
前記注目対象抽出部により抽出された前記複数の注目対象を前記表示領域に表示するように制御するとともに、前記選択候補抽出部により抽出された前記選択候補の前記表示領域への表示を強調するように制御する表示制御部と、
を備える、情報処理装置。
【請求項2】
前記操作体による選択操作を検出する選択操作検出部と、
前記選択操作検出部により前記選択操作が検出された場合に前記選択候補抽出部により抽出された前記選択候補を選択結果として選択する選択部と、
をさらに備える、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記選択部により選択された前記選択結果に応じた所定の処理を実行する実行部、
をさらに備える、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記指定領域検出部は、
前記操作体による近接度合いに応じて変化する所定のパラメータに基づいて前記指定領域を検出する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記注目対象抽出部は、
前記指定領域検出部により検出された前記指定領域に存在する複数の前記選択対象を前記複数の注目対象として抽出する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記注目対象抽出部は、
前記指定領域検出部により検出された前記指定領域に存在する複数の前記選択対象の中から予め決められた個数の前記選択対象を前記複数の注目対象として抽出する、
請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記注目対象抽出部は、
前記指定領域検出部により検出された前記指定領域に基づいて判定領域を算出し、前記判定領域に存在する複数の前記選択対象を前記複数の注目対象として抽出する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記注目対象抽出部は、
前記指定領域検出部により検出された前記指定領域に存在する複数の前記選択対象の密度に基づいて前記判定領域を算出する、
請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記選択候補抽出部は、
前記操作体による近接度合いに応じて変化する所定のパラメータに基づいて重心点の座標を算出し、算出した前記重心点の座標に基づいて前記選択候補を抽出する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記実行部は、
前記複数の選択対象が文字または記号である場合、前記選択部により選択された前記文字または記号を前記表示領域における入力欄に設定することにより前記所定の処理を実行する、
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記表示制御部は、
前記入力欄に対する入力箇所を示すカーソルの位置に応じた位置に前記注目対象抽出部により抽出された前記複数の注目対象を表示するように制御する、
請求項10に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記表示制御部は、
前記注目対象抽出部により抽出された前記注目対象が複数に達しなかった場合、前記注目対象抽出部により抽出された前記注目対象を前記表示領域に表示しないように制御する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記表示制御部は、
前記指定領域検出部により前記指定領域が検出されてから所定時間が経過する前に前記選択操作検出部により前記操作体による選択操作が検出された場合には、前記注目対象抽出部により抽出された前記複数の注目対象を前記表示領域に表示しないように制御する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項14】
前記表示制御部は、
前記指定領域検出部により検出された前記指定領域と重複せず、かつ、前記表示領域に収まる領域を前記表示領域から算出し、算出した前記領域に、前記注目対象抽出部により抽出された前記複数の注目対象を表示するように制御する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項15】
操作体により指定された領域を指定領域として検出する指定領域検出部と、
前記指定領域検出部により検出された前記指定領域に基づく所定の範囲に移動対象が存在するか否かを判断する判断部と、
前記判断部により前記移動対象が前記所定の範囲内に存在しないと判断された場合には前記移動対象の移動を行うように制御し、前記判断部により前記移動対象が前記所定の範囲内に存在すると判断された場合には前記移動対象の移動を制限するように制御する表示制御部と、
を備える、情報処理装置。
【請求項16】
表示領域から操作体により指定された領域を指定領域として検出するステップと、
前記指定領域に基づいて、前記表示領域に位置する複数の選択対象の一部または全部を複数の注目対象として抽出するステップと、
前記複数の注目対象から選択候補を抽出するステップと、
前記複数の注目対象を前記表示領域に表示するように制御するとともに、前記選択候補抽出部により抽出された前記選択候補の前記表示領域への表示を強調するように制御するステップと、
を含む、情報処理方法。
【請求項17】
コンピュータを、
表示領域から操作体により指定された領域を指定領域として検出する指定領域検出部と、
前記指定領域検出部により検出された前記指定領域に基づいて、前記表示領域に位置する複数の選択対象の一部または全部を複数の注目対象として抽出する注目対象抽出部と、
前記注目対象抽出部により抽出された前記複数の注目対象から選択候補を抽出する選択候補抽出部と、
前記注目対象抽出部により抽出された前記複数の注目対象を前記表示領域に表示するように制御するとともに、前記選択候補抽出部により抽出された前記選択候補の前記表示領域への表示を強調するように制御する表示制御部と、
を備える、情報処理装置として機能させるためのプログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−48359(P2012−48359A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−188126(P2010−188126)
【出願日】平成22年8月25日(2010.8.25)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】