説明

情報処理装置、情報処理装置の制御方法、制御プログラム、及び記録媒体

【課題】ユーザがオブジェクトを選択しない場合に、オブジェクトがユーザ操作の妨げとならないようにする。
【解決手段】情報処理装置1は、ユーザが表示/入力装置2の表示面に対する入力操作を行うために上記表示面に接近させた指示物体が、上記表示面に対してパレット表示距離まで接近したときに、ユーザが表示面上で選択することのできるアイコンを含むツールパレットを表示/入力装置2に表示させ、指示物体がツールパレットに向かって移動しているか否かを判定し、指示物体がツールパレットに向かって移動していないと判定したときに、ツールパレットの表示を終了するので、ユーザがツールパレットのアイコンを選択しない場合に、ツールパレットがユーザ操作の妨げとならない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に画像を表示させると共に、該表示装置の表示面に対する入力操作を検出する入力装置から受信した操作信号に従って動作し、表示装置の表示面に対する指等の接近を検知して、ユーザが選択可能なオブジェクトを上記表示面に表示する情報処理装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
表示される画像を見ながらの直感的な操作が可能であることから、画像を表示すると共に表示面に対する入力操作を受け付ける表示/入力装置、いわゆるタッチパネルが広く用いられている。タッチパネルは、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置に接続されて、該情報処理装置の表示装置兼入力装置として使用される。
【0003】
すなわち、タッチパネルに接続された情報処理装置は、タッチパネルにアイコン等を表示させて、タッチパネルがその表示面に対するタッチ操作を検知したときに、タッチされた表示面上の位置から、タッチされたアイコンを特定し、該アイコンに割り当てられた処理を実行する。
【0004】
一般的な情報処理装置は、アイコンを予め定められた一定の位置に固定的に表示させるが、この構成では、表示面の一定の領域がアイコンに占められてしまい、作業エリアが狭くなるという問題があり、またアイコン以外の情報をユーザが認識しにくい場合もある。
【0005】
これについて、図10に基づいて説明する。図10は、従来技術を示す図であり、複数のアイコンを含むツールパレットを表示した画面例を示す図である。図示のように、ツールパレットは画面上の一定の領域を占めるので、ユーザの作業エリアの面積は減少する。また、ツールパレットの背後に表示されている文字等はユーザに認識されず、ツールパレットと他のアイコン等が重畳表示された場合には、背後に表示されているアイコンを選択することはできない。
【0006】
そこで、下記の特許文献1では、表示面にユーザの指が接近したタイミングでアイコンを表示している。特許文献1の構成によれば、ユーザが表示面に指を近付けていない間は、アイコンが表示されないので、アイコン以外の情報をユーザが認識し易くすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−358162号公報(2002年12月13日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述のような従来技術は、アイコン(指が接近したときに表示するアイコン)を選択する以外の操作のために、ユーザが表示面に指を近付ける場合を考慮していないという問題がある。
【0009】
例えば、表示面に対して手書き文字の入力をするためにユーザが指を近付けることも考えられる。このような場合に、アイコンを表示するとユーザの手書き入力の妨げとなる。また、例えば表示面に既に表示されているアイコンを選択するためにユーザが指を近付けることも考えられ、このような場合にも指を近付けたタイミングで表示されるアイコンがユーザ操作の妨げとなる。
【0010】
なお、ユーザ操作の妨げとなるものは、ユーザの選択の対象となるオブジェクトであればアイコンに限られず、例えば文字や記号であっても同様の問題が生じる。また、表示面に接近する指示物体は、指に限られず、タッチペン等であっても同様の問題が生じる。
【0011】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、表示面に指示物体が接近したときにユーザの選択の対象となるオブジェクトを表示させると共に、ユーザがそのオブジェクトを選択しない場合に、該オブジェクトがユーザ操作の妨げとならないようにする情報処理装置等を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するために、本発明の情報処理装置は、表示装置に画像を表示させると共に、該表示装置の表示面に対して行われた入力操作を検出する入力装置から受信した操作信号に従って動作する情報処理装置であって、ユーザが上記表示面に対する入力操作を行うために上記表示面に接近させた指示物体が、上記表示面に対して予め定めた表示距離まで接近したときに、ユーザが上記表示面上で選択することのできるオブジェクトを上記表示装置に表示させるオブジェクト表示手段と、上記指示物体が上記オブジェクト表示手段が表示したオブジェクトに向かって移動しているか否かを判定する接近判定手段とを備え、上記オブジェクト表示手段は、上記接近判定手段が、上記指示物体が上記オブジェクトに向かって移動していないと判定したときに、上記オブジェクトの表示を終了することを特徴としている。
【0013】
また、本発明の情報処理装置の制御方法は、上記課題を解決するために、表示装置に画像を表示させると共に、該表示装置の表示面に対して行われた入力操作を検出する入力装置から受信した操作信号に従って動作する情報処理装置の制御方法であって、ユーザが上記表示面に対する入力操作を行うために上記表示面に接近させた指示物体が、上記表示面に対して予め定めた表示距離まで接近したときに、ユーザが上記表示面上で選択することのできるオブジェクトを上記表示装置に表示させるオブジェクト表示ステップと、上記指示物体が上記オブジェクト表示ステップで表示したオブジェクトに向かって移動しているか否かを判定する接近判定ステップと、上記接近判定ステップで、上記指示物体が上記オブジェクトに向かって移動していないと判定したときに、上記オブジェクトの表示を終了する表示終了ステップとを含むことを特徴としている。
【0014】
上記の構成によれば、指示物体が表示距離まで接近したときにオブジェクトを表示する。そして、指示物体がオブジェクトに向かっていないと判定したときには、オブジェクトの表示を終了する。なお、指示物体は、表示面に対して入力操作を行うことができるものであればよく、例えば指やタッチペン等であってもよい。
【0015】
したがって、ユーザは、指示物体を表示距離まで接近させることによって、選択可能なオブジェクトを認識することができる。そして、認識したオブジェクトを選択する必要がないと判断したときには、指示物体をオブジェクトに向かって移動させないこと(例えば、表示面の上記オブジェクトが表示されていない領域に対して入力操作を行う等)により、オブジェクトの表示を終了させることができる。
【0016】
すなわち、上記の構成によれば、指示物体が表示距離まで接近していないときには、表示面に表示される他の画像がオブジェクトに遮られることがなく、オブジェクトが表示された後、ユーザがオブジェクトを選択しない場合に、オブジェクトがユーザ操作の妨げとならない。
【0017】
また、上記接近判定手段は、上記指示物体が上記表示面に対して上記表示距離よりも短い消去判定距離まで接近したときの、上記指示物体と上記表示面との最短距離を結ぶ直線の該表示面との交点が、上記オブジェクトの表示されている領域に含まれていない場合に、上記指示物体が上記オブジェクトに向かって移動していないと判定することが好ましい。
【0018】
ここで、指示物体によってオブジェクトが選択される場合には、最終的に指示物体がオブジェクト上まで移動することになる。このため、指示物体が表示距離からさらに表示面に接近したときには、指示物体と表示面との最短距離を結ぶ直線の該表示面との交点が、オブジェクトの表示されている領域に含まれる状態となる。
【0019】
そこで、上記の構成によれば、指示物体が表示面に対して消去判定距離まで接近したときの、指示物体と表示面との最短距離を結ぶ直線の該表示面との交点が、オブジェクトの表示されている領域に含まれていない場合に、指示物体がオブジェクトに向かって移動していないと判定する。これにより、簡易な構成で指示物体がオブジェクトに向かって移動しているか否かを判定することができる。
【0020】
また、上記情報処理装置は、上記接近判定手段が、上記指示物体が上記オブジェクトに向かって移動していると判定している場合に、上記指示物体によって上記オブジェクトが選択されたときに、該オブジェクトに予め割り当てられた処理を実行する処理実行手段を備えていることが好ましい。
【0021】
上記の構成によれば、指示物体がオブジェクトに向かって移動していると判定している場合に、指示物体によってオブジェクトが選択されたときに、該オブジェクトに予め割り当てられた処理を実行する。
【0022】
したがって、ユーザは、オブジェクトが表示された後、表示されたオブジェクトに向かって指示物体を移動させ、オブジェクトを指示物体で選択することにより、そのオブジェクトに割り当てられている処理を情報処理装置に実行させることができる。
【0023】
また、上記オブジェクト表示手段は、上記指示物体が上記表示面に対して上記表示距離まで接近したときの、上記指示物体と上記表示面との最短距離を結ぶ直線の該表示面との交点から予め定めた距離だけ離れた位置に、上記オブジェクトを表示することが好ましい。
【0024】
上記の構成によれば、指示物体と表示面との最短距離を結ぶ直線の該表示面との交点から予め定めた距離だけ離れた位置に、オブジェクトを表示する。逆に言えば、指示物体と表示面との最短距離を結ぶ直線の該表示面との交点の位置にはオブジェクトを表示しない。
【0025】
これにより、ユーザが表示面のある部分に指示物体を接近させようと意図して、指示物体を表示面に接近させたときに、その部分にオブジェクトが表示されることによって、意図せずにオブジェクトを選択してしまうことを防ぐことができる。
【0026】
なお、上記交点からの距離は、表示距離まで指示物体を接近させたユーザが、オブジェクトを容易に選択できるような距離に設定することが好ましい。言い換えれば、オブジェクトは、上記交点の近傍に表示することが好ましい。
【0027】
また、上記オブジェクト表示手段は、上記交点を囲むように複数の上記オブジェクトを表示することが好ましい。
【0028】
上記の構成によれば、指示物体と表示面との最短距離を結ぶ直線の該表示面との交点を囲むように複数のオブジェクトを表示する。
【0029】
これにより、ユーザが指示物体を接近させようとしていた位置に表示されていた画像の視認性を損なうことなく、複数のオブジェクトをユーザに提示することができる。また、ユーザが複数のオブジェクトの中から所望のオブジェクトを認識しやすくすることができ、所望のオブジェクトを選択しやすくすることができる。
【0030】
また、上記情報処理装置は、上記表示面に対して上記表示距離まで接近した指示物体を検知する表示距離検知センサと、上記表示面に対して上記消去判定距離まで接近した指示物体を検知する消去判定距離検知センサとを備え、上記オブジェクト表示手段は、上記表示距離検知センサが上記指示物体を検知したときに、上記表示装置に上記オブジェクトを表示させ、上記接近判定手段は、上記消去判定距離検知センサが上記指示物体を検知したときに、該指示物体と上記表示面との最短距離を結ぶ直線の該表示面との交点が、上記オブジェクトの表示されている領域に含まれているか否かを判定する構成であってもよい。
【0031】
上記の構成によれば、表示距離検知センサによって表示距離まで接近した指示物体を検知し、このときにオブジェクトを表示させる。また、消去判定距離検知センサによって消去判定距離まで接近した指示物体を検知し、このときに上記交点がオブジェクトの表示されている領域に含まれているか否かを判定する。
【0032】
このように、オブジェクトの表示及び消去の制御は、表示距離まで接近した指示物体を検知するセンサと、消去判定距離まで接近した指示物体を検知するセンサとを用いて実現することもできる。
【0033】
また、上記入力装置は、静電容量式のタッチパネルであり、上記オブジェクト表示手段は、上記入力装置が検出した上記表示面上における静電容量の変化により、上記指示物体が上記表示面に上記表示距離まで接近したことを検知し、上記接近判定手段は、上記入力装置が検出した上記表示面上における静電容量の変化により、上記指示物体が上記表示面に上記消去判定距離まで接近したことを検知すると共に、上記入力装置が検出した上記表示面上における静電容量の変化により、上記交点の位置を特定する構成であってもよい。
【0034】
上記の構成によれば、入力装置が静電容量式のタッチパネルであるから、表示面における静電容量の変化を検出する。このため、この検出結果を利用することによって、指示物体が表示面に表示距離または消去判定距離まで接近したことを検知することができ、また上記交点の位置を特定することができる。
【0035】
すなわち、上記の構成によれば、指示物体が表示面に表示距離または消去判定距離まで接近したことを検知するための特別な構成、及び上記交点の位置を特定するための特別な構成を備えていなくとも、オブジェクトの表示及び消去の制御を行うことができる。
【0036】
なお、上記情報処理装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを上記情報処理装置の各手段として動作させることにより、上記情報処理装置をコンピュータにて実現させる制御プログラム、及びそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も本発明の範疇に入る。
【発明の効果】
【0037】
以上のように、本発明の情報処理装置は、ユーザが表示面に対する入力操作を行うために上記表示面に接近させた指示物体が、上記表示面に対して予め定めた表示距離まで接近したときに、ユーザが上記表示面上で選択することのできるオブジェクトを上記表示装置に表示させるオブジェクト表示手段と、上記指示物体が上記オブジェクト表示手段が表示したオブジェクトに向かって移動しているか否かを判定する接近判定手段とを備え、上記オブジェクト表示手段は、上記接近判定手段が、上記指示物体が上記オブジェクトに向かって移動していないと判定したときに、上記オブジェクトの表示を終了する構成である。
【0038】
また、本発明の情報処理装置の制御方法は、以上のように、ユーザが表示面に対する入力操作を行うために上記表示面に接近させた指示物体が、上記表示面に対して予め定めた表示距離まで接近したときに、ユーザが上記表示面上で選択することのできるオブジェクトを上記表示装置に表示させるオブジェクト表示ステップと、上記指示物体が上記オブジェクト表示ステップで表示したオブジェクトに向かって移動しているか否かを判定する接近判定ステップと、上記接近判定ステップで、上記指示物体が上記オブジェクトに向かって移動していないと判定したときに、上記オブジェクトの表示を終了する表示終了ステップとを含む構成である。
【0039】
したがって、指示物体が表示距離まで接近していないときには、表示面に表示される他の画像がオブジェクトに遮られることがなく、オブジェクトが表示された後、ユーザがオブジェクトを選択しない場合に、オブジェクトがユーザ操作の妨げとならないという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の一実施形態に係る情報処理装置の要部構成を示すブロック図である。
【図2】上記情報処理装置がツールパレットの表示等に用いるパレット制御用データの一例を示す図である。
【図3】同図(a)〜(d)は、上記情報処理装置が表示/入力装置に表示させる画面例を示す図である。
【図4】上記情報処理装置が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【図5】撮像装置によって指示物体の位置、及び指示物体から表示面までの距離を取得する方法を説明する図である。
【図6】赤外線センサによって指示物体の位置、指示物体がパレット表示距離まで近付いたこと、及びパレット消去距離まで近付いたことを検知する方法を説明する図であり、同図(a)はセンサ配置を示し、同図(b)はパレット表示距離の検知方法を示し、同図(c)はパレット消去距離の検知方法を示している。
【図7】赤外線の発光部と受光部を備えるタッチペンで、表示/入力装置の表示面までの距離を検知する方法を説明する図である。
【図8】ツールパレットの一例を示す図である。
【図9】表示/入力装置の画面サイズが大型である場合の使用例を示す図である。
【図10】従来技術を示す図であり、複数のアイコンを含むツールパレットを表示した画面例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、本発明の実施の形態について、図1〜図9に基づいて詳細に説明する。
【0042】
〔情報処理装置の構成〕
まず、本実施形態に係る情報処理装置1の構成について、図1に基づいて説明する。図1は、情報処理装置1の要部構成を示すブロック図である。図示のように、情報処理装置1には、表示/入力装置(表示装置、入力装置)2及び位置/距離センサ(表示距離検知センサ、消去判定距離検知センサ)3が接続されている。
【0043】
表示/入力装置2は、情報処理装置1の制御に従って画像を表示する装置であると共に、その表示面に対するユーザの入力操作を受け付けて、受け付けた入力操作に対応する操作信号を生成し、生成した操作信号を情報処理装置1に送信する装置である。ユーザは、表示/入力装置2の表示面に表示される画像に従って、該表示面に対して入力操作を行うことによって、情報処理装置1の動作を制御することができる。
【0044】
なお、画像を表示する機能と、表示面に対する接触位置を検出する機能とは独立しているので、表示/入力装置2は、表示装置と入力装置の2つの独立した装置として把握することもできる。
【0045】
位置/距離センサ3は、表示/入力装置2の表示面と指示物体(表示/入力装置2に入力操作を行おうとするユーザの指やタッチペン)との距離を検出すると共に、表示/入力装置2の表示面上における指示物体の位置を検出し、検出結果を情報処理装置1に送信する。位置及び距離の検出方法については後述する。
【0046】
なお、図示の例では、表示/入力装置2及び位置/距離センサ3が情報処理装置1と別体の装置となっているが、情報処理装置1が表示/入力装置2及び位置/距離センサ3の少なくとも一方を備えていても構わない。
【0047】
情報処理装置1は、表示/入力装置2に画像を表示させる装置であると共に、表示/入力装置2が受け付けたユーザの入力操作に応じた処理を行う装置であり、以下のような特徴的な処理を実行する。
【0048】
すなわち、情報処理装置1は、表示/入力装置2の表示面に指やタッチペン等が近付いたときに、その近傍にツールパレットを表示する。そして、指やタッチペン等が表示面にさらに近付いたときに、当該指やタッチペン等がツールパレットに向かっているか否かを確認する。
【0049】
ここで、指やタッチペン等がツールパレットに向かっていることが確認された場合には、情報処理装置1は、ツールパレットの表示を継続し、ツールパレットのアイコンがタッチされたときには、そのアイコンに対応する処理を実行する。
【0050】
一方、指やタッチペン等がツールパレットに向かっていないことが確認された場合には、情報処理装置1は、ツールパレットの表示を終了し、ツールパレットによる入力操作の受付を終了する。
【0051】
これにより、ユーザの操作しやすい位置にツールパレットを表示させて入力操作を受け付けることができると共に、ユーザがツールパレットを用いずに入力操作を行う場合にツールパレットが邪魔にならないという効果を奏する。なお、ツールパレットは、ユーザが選択可能な少なくとも1つのオブジェクトを含むものであり、各オブジェクトには処理が対応付けられている。
【0052】
図1の情報処理装置1は、上記のような処理を実行するために、表示処理部10、入力データ処理部11、制御部12、1次記憶部13、及び2次記憶部14を備えている。
【0053】
表示処理部10は、表示/入力装置2に画像を表示させるための処理を行う、いわゆるディスプレイドライバとしての機能を有するものである。入力データ処理部11は、表示/入力装置2から受信する操作信号を処理する、いわゆるタッチパネルドライバとしての機能を有するものである。
【0054】
制御部12は、情報処理装置1の動作を統括して制御するものであり、パレット制御部(オブジェクト表示手段、接近判定手段、処理実行手段)20、位置取得部21、及び距離取得部22を含む。
【0055】
パレット制御部20は、ツールパレットに関する制御を行う。具体的には、パレット制御部20は、表示/入力装置2の表示面に指やタッチペン等が近付いたときに、その近傍にツールパレットを表示する。また、パレット制御部20は、指やタッチペン等が表示面にさらに近付いたときに、当該指やタッチペン等がツールパレットに向かっているか否かを確認する。
【0056】
ここで、ツールパレットに向かっていることを確認した場合には、パレット制御部20は、ツールパレットの表示を継続し、ツールパレットのアイコンがタッチされたときには、そのアイコンに対応する処理を実行する。一方、ツールパレットに向かっていないことが確認された場合には、ツールパレットの表示を終了し、ツールパレットによる入力操作の受付を終了する。
【0057】
位置取得部21は、位置/距離センサ3の検出結果を受信して、表示/入力装置2の表示面に対する指示物体の位置を示す位置情報を生成し、生成した位置情報をパレット制御部20に送信する。より詳細には、位置取得部21は、指示物体と表示面との最短距離を結ぶ直線の表示面との交点の位置を示す、表示面上の座標を上記位置情報として生成する。
【0058】
距離取得部22は、位置/距離センサ3の検出結果を受信して、指示物体と表示/入力装置2の表示面との距離を示す距離情報を生成し、生成した距離情報をパレット制御部20に送信する。
【0059】
1次記憶部13は、制御部12が動作する際に使用するものであり、現在の入力状態を保持するための情報等が格納される。図示の例では、1次記憶部13に、表示/入力装置2に画像を表示させるための表示データ30が格納されている。1次記憶部13は、RAM(Random Access Memory)等で構成することもできる。
【0060】
2次記憶部14は、情報処理装置1が使用する各種データを記憶するものであり、制御部12がデータの格納及び読み出しが可能なものであればよく、例えばハードディスク等で構成することもできる。制御部12をソフトウェアで構成する場合には、制御部12の機能を実現するためのソフトウェア、ドライバ等も2次記憶部14に格納される。図示の例では、2次記憶部14に、パレット制御部20がツールパレットの表示等に用いるパレット制御用データ31が格納されている。
【0061】
パレット制御用データ31は、パレット制御部20がツールパレットを表示することができ、またツールパレットのアイコンが選択されたときに、選択されたアイコンに割り当てられている処理を特定できるようなものであればよく、例えば図2のようなデータであってもよい。図2は、パレット制御用データ31の一例を示す図である。図2のパレット制御用データ31は、相対座標と、アイコンと、機能とが対応付けられたデータである。
【0062】
相対座標は、アイコンを表示する位置を特定するためのデータである。上述のように、ツールパレットは、ユーザの指等が接近した位置の近傍に表示されるので、図2の例では、アイコンの表示位置を、位置取得部21が生成した位置(指示物体と表示面との最短距離を結ぶ直線の表示面との交点の位置)を原点(0,0)とする相対座標で示している。
【0063】
アイコンは、相対座標が示す位置に表示するものである。同図では、説明のため、アイコンの画像を示しているが、パレット制御用データ31は、アイコンの画像を特定できるようなデータを含んでいればよく、アイコンの画像がパレット制御用データ31に含まれている必要はない。例えば、アイコンの画像の代わりに、アイコンの画像の格納先を示すアドレス等を含めてもよい。
【0064】
機能は、アイコンに割り当てられている機能(処理)を示すものである。図示の例では、黒ペン、赤ペン、消しゴム、ゴミ箱、登録、印刷、作文、及びヘルプの機能が示されている。
【0065】
ここでは、黒ペンは、手書入力の軌跡を黒字で表示する機能、赤ペンは手書入力の軌跡を赤字で表示する機能、消しゴムは手書入力の軌跡を消去する機能であることを想定している。また、ゴミ箱は指定された対象を削除する機能、登録は表示中の画面を記録する機能、印刷は表示中の画面を印刷する機能、作文はテキストデータの入力を開始する機能、ヘルプは、操作や機能のガイドを表示する機能であることを想定している。
【0066】
なお、パレット制御用データ31は、アイコンに割り当てられた機能を特定できるようなデータを含んでいればよく、図示の例に限られない。無論、アイコンに割り当てる機能もこれらの例に限られない。
【0067】
〔表示画面例〕
情報処理装置1が表示/入力装置2に表示させる画面について、図3に基づいて説明する。図3(a)〜(d)は、情報処理装置1が表示/入力装置2に表示させる画面例を示す図である。
【0068】
同図(a)は、表示/入力装置2の表示面に指が近付いたときに、ツールパレットを表示させた画面例を示している。情報処理装置1は、図示のように、タッチパネルに指が近付いたときに、近付いた指の位置(図中、破線の十字の交点で示す)から離れた位置にツールパレット50を表示させる。
【0069】
図示のツールパレット50は、アイコンa〜hを含んでいる。これらのアイコンは、パレット制御用データ31に基づいて画像及び表示位置が決定されたものである。図示のように、近付いた指の位置を囲むようにアイコンa〜hを表示することにより、ユーザは指を近付けた位置の画像を確認できると共に、各アイコンa〜hの画像を認識しやすい。
【0070】
また、アイコンa〜hには、パレット制御用データ31によって、それぞれ処理(機能)が割り当てられており、アイコンa〜hがタッチされたときには、情報処理装置1は、そのアイコンに割り当てられた処理を実行する。
【0071】
同図(b)は、ツールパレット50が表示された後、ツールパレット50以外の部分に指が近付いたときの画面例を示している。情報処理装置1は、図示のように、ツールパレット50が表示された後、ツールパレット50以外の部分に指が近付いた場合、つまり指が表示面に接近しているが、アイコンa〜hの何れにも向かっていない場合には、ツールパレット50の表示を終了し、ツールパレット50による入力操作の受付も終了する。
【0072】
同図(c)は、ツールパレット50が表示された後、ツールパレット50に指が近付いたときの画面例を示している。情報処理装置1は、図示のように、ツールパレット50が表示された後、ツールパレット50に指が近付いた場合、つまり指が表示面に接近しており、かつアイコンa〜hの何れかに向かっている場合には、ツールパレット50の表示を継続し、ツールパレット50による入力操作の受付も継続する。つまり、この場合には、ユーザは、アイコンa〜hの何れかにタッチして、そのアイコンに割り当てられた処理を情報処理装置1に実行させることができる。
【0073】
同図(d)は、ツールパレット50が表示された後、ツールパレット50から指が離れたときの画面例を示している。情報処理装置1は、図示のように、ツールパレット50が表示された後、ツールパレット50から指が離れた場合、つまり指が表示面から遠ざかった場合には、ツールパレット50の表示を終了し、ツールパレット50による入力操作の受付も終了する。
【0074】
〔処理の流れ〕
図3の示したような表示は、例えば以下の処理によって実現される。ここでは、情報処理装置1が実行する処理の流れについて、図4に基づいて説明する。図4は、情報処理装置1が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【0075】
まず、パレット制御部20は、距離取得部22に指示して位置/距離センサ3から距離情報を取得させる(S1)。そして、パレット制御部20は、取得させた距離情報を参照して、表示/入力装置2の表示面に対してパレット表示距離(表示距離)まで接近するものがないかを確認(S2)し、接近するものがなければ(S2でNO)S1の処理に戻る。
【0076】
なお、パレット表示距離は、ツールパレットを表示させるか否かを判定するための閾値として予め定められた距離である。パレット表示距離は、表示/入力装置2の画面サイズ等に応じて適宜設定すればよい。
【0077】
一方、パレット表示距離まで接近するものがあったことが確認されたとき(S2でYES)には、パレット制御部20は、位置取得部21に指示して位置/距離センサ3から位置情報を取得させる(S3)。
【0078】
続いて、パレット制御部20は、位置取得部21に取得させた位置情報を参照して、ユーザの指が接近した位置を特定し、特定した位置の周囲にツールパレットを表示する(S4)。
【0079】
具体的には、パレット制御部20は、2次記憶部14に格納されているパレット制御用データ31から、各アイコン(オブジェクト)の画像及び該アイコンの相対座標を読み出す。そして、位置取得部21が取得した位置情報が示す座標を中心として、上記読み出した相対座標に従って各アイコンの表示位置を決定し、表示処理部10に指示して該決定した表示位置に各アイコンを表示させる。これにより、図3(a)に示すように指が接近した位置を囲むようにツールパレットが表示されることになる。
【0080】
次に、パレット制御部20は、距離取得部22に指示して位置/距離センサ3から距離情報を取得させる(S5)。そして、取得させた距離情報を参照して、ユーザの指がパレット消去距離(消去判定距離)まで接近したか否かを確認する(S6)。具体的には、パレット制御部20は、取得させた距離情報が示す距離がパレット消去距離以下であるかを確認する。
【0081】
なお、パレット消去距離は、ユーザの指がツールパレットに向かっているか否かを判定するために用いられる距離であり、パレット表示距離よりも短い値に設定される。パレット消去距離は、パレット表示距離に応じて適宜設定すればよい。
【0082】
ここで、ユーザの指がパレット消去距離まで接近していることが確認された場合(S6でYES)には、パレット制御部20は、S7の処理に進む。一方、ユーザの指がパレット消去距離まで接近していないことを確認した場合(S6でNO)には、パレット制御部20は、ユーザの指がパレット表示距離より離れたか否かを確認する(S8)。具体的には、パレット制御部20は、S5で取得させた距離情報が示す距離がパレット表示距離より大きいか否かを確認する。
【0083】
S8において、ユーザの指がパレット表示距離より離れていないことを確認した場合(S8でNO)には、パレット制御部20はS5の処理に戻って再度距離情報を取得する。一方、ユーザの指がパレット表示距離よりも離れたことを確認した場合(S8でYES)には、パレット制御部20は、表示処理部10に指示してツールパレットを消去させ(S9)、S1の処理に戻る。
【0084】
S7では、パレット制御部20は、位置取得部21に指示して位置/距離センサ3から位置情報を取得させる。そして、パレット制御部20は、ユーザの指がツールパレットに接近しているか否か、言い換えればユーザの指がツールパレットに向かっているか否かを確認する(S10)。
【0085】
具体的には、パレット制御部20は、位置取得部21に取得させた位置情報からユーザの指の位置を特定する。そして、特定した指の位置の座標が、表示面においてツールパレット(アイコン)が表示されている領域に含まれる場合に、ユーザの指がツールパレットに接近していると判断する。
【0086】
S10において、ユーザの指がツールパレットに接近していることを確認した場合(S10でYES)には、パレット制御部20はS11の処理に進む。一方、ユーザの指がツールパレット以外の部分に接近していることを確認した場合(S10でNO)には、パレット制御部20は、表示処理部10に指示してツールパレットを消去させる(S12)。
【0087】
そして、パレット制御部20は、タッチ操作の有無を確認する(S13)。なお、タッチ操作の有無は、入力データ処理部11から表示/入力装置2がタッチ操作を受け付けたことを示す操作信号の受信を受信したか否かによって確認する。
【0088】
ここで、タッチ操作が行われたことが確認された場合(S13でYES)には、パレット制御部20は、タッチ位置に応じた処理を実行する(S14)。例えば、タッチされた位置に処理が割り当てられていればその処理を実行する。また、例えば手書入力を受け付ける状態となっている場合には、手書入力の軌跡に沿って線分を表示する。無論、タッチされた位置に処理が割り当てられていなければ処理を行わない。なお、ツールパレット以外にタッチされたときの処理は、パレット制御部20以外の構成が行ってもよい。
【0089】
一方、タッチ操作が行われたことが確認されなかった場合(S13でNO)には、パレット制御部20は、距離取得部22に指示して位置/距離センサ3から距離情報を取得させ(S15)、ユーザの指がパレット表示距離より離れたか否かを確認する(S16)。この確認はS8と同様にして行われ、パレット表示距離より離れていないことを確認した場合(S16でNO)にはS13の処理に戻り、パレット表示距離より離れていることを確認した場合(S16でYES)にはS1の処理に戻る。
【0090】
S11では、パレット制御部20は、表示中のツールパレットに対してタッチ操作が行われたか否かを確認する。そして、タッチ操作が行われたことを確認した場合(S11でYES)には、パレット制御部20は、表示処理部10に指示してツールパレットを消去させ(S17)、タッチ位置に応じたパレット機能を実行する(S18)。
【0091】
具体的には、パレット制御部20は、入力データ処理部11から受信した操作信号が示す、タッチ操作が行われた位置の座標が、表示されているアイコンの何れの領域に含まれるかによって、何れのパレット機能が選択されたかを判断する。そして、パレット制御部20は、パレット制御用データ31を参照して、選択されたパレット機能に対応する処理を特定し、実行する。この後、処理はS1に戻る。
【0092】
一方、S11でタッチ操作が確認されなかった場合(S11でNO)には、パレット制御部20は、距離取得部22に指示して位置/距離センサ3から距離情報を取得させ(S19)、ユーザの指がパレット表示距離より離れたか否かを確認する(S20)。この確認はS8、S16と同様にして行われる。
【0093】
そして、パレット表示距離より離れていないことを確認した場合(S20でNO)にはS11の処理に戻り、パレット表示距離より離れていることを確認した場合(S20でYES)には、表示処理部10に指示してツールパレットを消去させ(S21)、S1の処理に戻る。
【0094】
〔位置・距離の検出方法〕
続いて、指示物体(ユーザの指など)の表示/入力装置2の表示面に対する位置、及び表示面からの距離の検出方法について説明する。
【0095】
まず、表示/入力装置2の表示面近傍の画像を取得し、取得した画像を解析することによって位置及び距離を取得する方法について、図5に基づいて説明する。図5は、撮像装置によって指示物体の位置、及び指示物体から表示面までの距離を取得する方法を説明する図である。
【0096】
図示のように、表示/入力装置2の四隅には、撮像装置5が設けられている。つまり、図示の例では、4つの撮像装置5を位置/距離センサ3として機能させることを想定している。
【0097】
各撮像装置5は、何れも表示/入力装置2の表示面に対してパレット表示距離まで接近した指示物体(ユーザの指など)を撮像できると共に、パレット消去距離まで接近した指示物体を撮像できるように配置されている。また、各撮像装置5が撮像した画像は、位置取得部21及び距離取得部22に送信されるようになっている。
【0098】
このように、異なる位置から指示物体を撮像した画像を解析することにより、位置取得部21は、指示物体が表示面に対してどのような位置に存在するかを特定することができる。具体的には、指示物体と表示面との最短距離を結ぶ直線の表示面との交点の位置を示す表示面上の座標を特定することができる。また、距離取得部22は、指示物体から表示面までの距離を特定することができる。
【0099】
ここで、情報処理装置1は、指示物体がパレット表示距離まで近付いたこと、及びパレット消去距離まで近付いたことを特定できればよいので、指示物体から表示面までの距離を測定せずに、指示物体がパレット表示距離まで近付いたこと、及びパレット消去距離まで近付いたことを検知してもよい。
【0100】
指示物体がパレット表示距離まで近付いたこと、及びパレット消去距離まで近付いたことを検知する方法について、図6に基づいて説明する。図6は、赤外線センサによって指示物体の位置、指示物体がパレット表示距離まで近付いたこと、及びパレット消去距離まで近付いたことを検知する方法を説明する図であり、同図(a)はセンサ配置を示し、同図(b)はパレット表示距離の検知方法を示し、同図(c)はパレット消去距離の検知方法を示している。
【0101】
同図(a)に示すように、ここでは、表示/入力装置2の表示面の向かって左側の1辺に沿って、発光部7が複数設けられていると共に、その1辺に対向する辺に沿って、各発光部7が発する光をそれぞれ受光する受光部8が設けられている。同様に、表示面の上側の1辺に沿って発光部7が複数設けられており、その1辺に対向する辺に沿って、各発光部7が発する光をそれぞれ受光する受光部8が設けられている。
【0102】
図示の構成によれば、指示物体が表示/入力装置2の表示面に接近したときには、該指示物体によって発光部7が発する光が遮られ、受光部8に受光されなくなる。したがって、受光できなかった受光部8の位置から、指示物体の表示面上における位置、具体的には指示物体と表示面との最短距離を結ぶ直線の表示面との交点の位置を示す表示面上の座標を特定することができる。
【0103】
そして、このような発光部7と受光部8との組み合わせを2段に設けることによって、指示物体がパレット表示距離まで接近したこと、及びパレット消去距離まで接近したことを検出することができる。また、光を受光できない受光部8を特定することにより、指示物体が表示面に対してどの位置に接近しているかを特定することができる。
【0104】
すなわち、同図(b)に示すように、表示面からパレット表示距離だけ離れた位置を表示面と平行に光が通るように発光部7を配置し、該発光部7が発する光を受光できる位置に受光部8を配置する。これにより、指示物体(図示の例ではユーザの指)から表示面までの距離がパレット表示距離以下になったときに受光部8が光を受光できなくなるので、これをもって指示物体がパレット表示距離まで接近したことを検出することができる。
【0105】
さらに、同図(c)に示すように、表示面からパレット消去距離だけ離れた位置を表示面と平行に光が通るように発光部7を配置し、該発光部7が発する光を受光できる位置に受光部8を配置する。これにより、指示物体(図示の例ではユーザの指)から表示面までの距離がパレット消去距離以下になったときに受光部8が光を受光できなくなるので、これをもって指示物体がパレット消去距離まで接近したことを検出することができる。
【0106】
すなわち、この場合には、位置取得部21は、表示面に対して縦に配列している受光部8のうち、受光できなかった受光部8の位置と、表示面に対して横に配列している受光部8のうち、受光できなかった受光部8の位置とから、指示物体と表示面との最短距離を結ぶ直線の表示面との交点の位置を示す表示面上の座標を特定する。そして、特定した座標を位置情報としてパレット制御部20に送信する。
【0107】
また、距離取得部22は、パレット消去距離に配置された受光部8のうち、受光できなかったものがあるか否かを示す情報を距離情報としてパレット制御部20に送信する。同様に、距離取得部22は、パレット消去距離に配置された受光部8のうち、受光できなかったものがあるか否かを示す情報を距離情報としてパレット制御部20に送信する。
【0108】
なお、距離取得部22は、パレット表示距離に配置された受光部8のうち受光できなかったものが確認されたときに、その旨をパレット制御部20通知し、パレット消去距離に配置された受光部8のうち受光できなかったものが確認されたときに、その旨をパレット制御部20通知してもよい。
【0109】
また、表示/入力装置2は、発光部と受光部とを設けることによって、ユーザのタッチ操作を検出するものであってもよく、この場合には、発光部と受光部とを3段に設けることになる。また、赤外光の発光部7と受光部8の代わりに、マイクロ波の送信部と受信部とを配置して指示物体の接近を検出することもできる。
【0110】
さらに、上述では、1つの位置/距離センサ3で指示物体の位置と、指示物体から表示面までの距離とを検知する例を示したが、指示物体の位置と、指示物体から表示面までの距離とは、別々のセンサで検知しても構わない。
【0111】
例えば、位置/距離センサ3にタッチ操作を行うためのタッチペンに距離の測定機能を持たせてもよい。これについて、図7に基づいて説明する。図7は、赤外線の発光部6aと受光部6bを備えるタッチペン6で、表示/入力装置2の表示面までの距離を検知する方法を説明する図である。
【0112】
図示のように、タッチペン6に設けられた発光部6aが発する光は表示/入力装置2の表示面で反射し、この反射光をタッチペン6に設けられた受光部6bで受光することによって、タッチペン6から表示面までの距離を測定することができる。なお、測定した距離は、タッチペン6から情報処理装置1に無線または有線通信で送信する。
【0113】
なお、位置の取得方法は、指示物体(ユーザの指など)の表示面に対する位置を取得できるものであれば特に限定されず、距離の取得方法も、表示面からの距離を取得できるものであれば特に限定されず、例示した以外の方法を適用することもできる。
【0114】
例えば、表示/入力装置2が静電容量式のタッチパネルである場合には、表示面に対する静電容量の変化を検知できるので、この検知結果から指の接近を検知すると共に、指が接近した位置及び指と表示面との距離を取得してもよい。
【0115】
すなわち、静電容量式のタッチパネルは、表示面上に均一な電界を形成する。この電界に対して、ユーザの指などの導電体が接近したときには、表示面上の静電容量が変化するので、静電容量式のタッチパネルはこの変化を検知することによって、表示面に対するユーザ操作を検出する。
【0116】
このため、位置取得部21は、静電容量式のタッチパネルから表示面上の静電容量が変化した位置を示す情報を受信し、その位置の座標を、指示物体と表示面との最短距離を結ぶ直線の表示面との交点の位置を示す表示面上の座標として特定することができる。
【0117】
また、距離取得部22は、静電容量式のタッチパネルから表示面上の静電容量を示す情報を受信し、受信した静電容量と予め定めた閾値(パレット表示距離用閾値と、パレット消去距離用閾値)と比較することによって、指示物体がパレット表示距離用またはパレット消去距離まで接近しているかを判断し、その判断結果を距離情報としてパレット制御部20に送信してもよい。
【0118】
〔ツールパレットの変形例〕
上述では、指示物体の接近位置を中心として、アイコンを円形に配列させたツールパレット50を表示する例(図3)を示したが、ツールパレットは、ユーザがタッチして選択することができ、何らかの処理が割り当てられているオブジェクトを少なくとも1つ含むものであればよく、図3の例に限られない。
【0119】
例えば、図8のようなツールパレットを表示してもよい。図8は、ツールパレットの一例を示す図である。図示の例では、表示面に接近した指の側方に6つのアイコンが長方形状に配列したツールパレット50’が表示されている。ツールパレット50’に含まれるアイコンは、a、b、c、f、g、及びhの6つである。
【0120】
このように、ツールパレットの構成及び表示位置は、特に限定されないが、指示物体が接触するであろう位置(例えば、パレット消去距離まで接近したときの指示物体の位置に対応する表示面上の位置)には、ツールパレットを表示しないことが好ましい。言い換えれば、ツールパレットは、それに含まれるアイコンが、指示物体と表示面との最短距離を結ぶ直線の該表示面との交点から予め定めた距離だけ離れた位置となるように表示することが好ましい。
【0121】
これにより、ユーザが、既に表示されている他のオブジェクトを操作すること等を意図して表示面にタッチ操作を行おうとしたときに、誤ってツールパレットのアイコンをタッチしてしまうことを防ぐことができる。
【0122】
〔表示/入力装置について〕
情報処理装置1に接続される表示/入力装置2は、情報処理装置1の制御に従って画像を表示し、ユーザのタッチ操作を検出して、その結果を示す操作信号を情報処理装置1に送信するものであれば特に限定されない。しかしながら、表示/入力装置2の画面サイズが大型である場合に、情報処理装置1を適用する効果が特に大きい。
【0123】
これについて、図9に基づいて説明する。図9は、表示/入力装置2の画面サイズが大型である場合の使用例を示す図である。図示のように、表示/入力装置2の画面サイズが大型である場合には、会議、発表、及び講義等において、発表者が参加者に提示する資料等を表示させる装置として用いることもできる。
【0124】
そして、情報処理装置1によれば、表示/入力装置2に指やタッチペン等を接近させることにより、接近させた位置の近傍にツールパレットが表示されるので、ユーザは、どのような位置からでもツールパレットによる入力操作を容易に行うことができる。
【0125】
また、このように表示/入力装置2の画面サイズが大型である場合には、ツールパレット以外にも様々なアイコンを表示することが可能であり、会議、発表、及び講義等で使用するときには、手書き入力等を行うことも多いと考えられる。したがって、ユーザが、ツールパレットによる操作を行うことを意図せずに、表示面に指などを近付けることも多いと考えられる。
【0126】
情報処理装置1によれば、ユーザの指などがツールパレットに向かっていない場合に、ツールパレットを消去するので、ツールパレットがユーザの操作の邪魔にならずに済み、非常に利便性が高い。
【0127】
〔変形例〕
上記では、ユーザの指などの指示物体がパレット消去距離まで接近したときに、該指示物体の位置がツールパレット上にあるか否かを判定することにより、指示物体がツールパレットに向かって移動しているか否かを判断する例を説明した。
【0128】
しかしながら、指示物体がツールパレットに向かって移動しているか否かを判断する方法は、上記の例に限られない。例えば、指示物体を異なるタイミングで複数回撮像し、撮像した複数の画像から特定される指示物体の位置変化に基づいて、指示物体がツールパレットに向かって移動しているか否かを判断してもよい。また、例えば、指示物体を撮像した動画像を解析することによって、指示物体がツールパレットに向かって移動しているか否かを判断してもよい。
【0129】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0130】
最後に、情報処理装置1の各ブロック、特に制御部12は、集積回路(ICチップ)上に形成された論理回路によってハードウェア的に実現してもよいし、CPU(Central Processing Unit)を用いてソフトウェア的に実現してもよい。
【0131】
後者の場合、情報処理装置1は、各機能を実現するプログラムの命令を実行するCPU、上記プログラムを格納したROM(Read Only Memory)、上記プログラムを展開するRAM、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアである情報処理装置1の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、上記情報処理装置1に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
【0132】
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ類、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク類、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード類、マスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ類、あるいはPLD(Programmable logic device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の論理回路類などを用いることができる。
【0133】
また、情報処理装置1を通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラムコードを通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークは、プログラムコードを伝送可能であればよく、特に限定されない。例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(Virtual Private Network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、この通信ネットワークを構成する伝送媒体も、プログラムコードを伝送可能な媒体であればよく、特定の構成または種類のものに限定されない。例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、IEEE802.11無線、HDR(High Data Rate)、NFC(Near Field Communication)、DLNA(Digital Living Network Alliance)、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0134】
本発明は、表示面への画像の表示機能及び表示面に対する入力操作の受け付け機能を有する表示/入力装置に接続して使用する情報処理装置、及び表示/入力装置を備える情報処理装置等に好適に適用することができる。
【符号の説明】
【0135】
1 情報処理装置
2 表示/入力装置(表示装置、入力装置)
3 位置/距離センサ(表示距離検知センサ、消去判定距離検知センサ)
20 パレット制御部(オブジェクト表示手段、接近判定手段、処理実行手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置に画像を表示させると共に、該表示装置の表示面に対して行われた入力操作を検出する入力装置から受信した操作信号に従って動作する情報処理装置であって、
ユーザが上記表示面に対する入力操作を行うために上記表示面に接近させた指示物体が、上記表示面に対して予め定めた表示距離まで接近したときに、ユーザが上記表示面上で選択することのできるオブジェクトを上記表示装置に表示させるオブジェクト表示手段と、
上記指示物体が上記オブジェクト表示手段が表示したオブジェクトに向かって移動しているか否かを判定する接近判定手段とを備え、
上記オブジェクト表示手段は、上記接近判定手段が、上記指示物体が上記オブジェクトに向かって移動していないと判定したときに、上記オブジェクトの表示を終了することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
上記接近判定手段は、上記指示物体が上記表示面に対して上記表示距離よりも短い消去判定距離まで接近したときの、上記指示物体と上記表示面との最短距離を結ぶ直線の該表示面との交点が、上記オブジェクトの表示されている領域に含まれていない場合に、上記指示物体が上記オブジェクトに向かって移動していないと判定することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
上記接近判定手段が、上記指示物体が上記オブジェクトに向かって移動していると判定している場合に、上記指示物体によって上記オブジェクトが選択されたときに、該オブジェクトに予め割り当てられた処理を実行する処理実行手段を備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
上記オブジェクト表示手段は、上記指示物体が上記表示面に対して上記表示距離まで接近したときの、上記指示物体と上記表示面との最短距離を結ぶ直線の該表示面との交点から予め定めた距離だけ離れた位置に、上記オブジェクトを表示することを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
上記オブジェクト表示手段は、上記交点を囲むように複数の上記オブジェクトを表示することを特徴とする請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
上記表示面に対して上記表示距離まで接近した指示物体を検知する表示距離検知センサと、
上記表示面に対して上記消去判定距離まで接近した指示物体を検知する消去判定距離検知センサとを備え、
上記オブジェクト表示手段は、上記表示距離検知センサが上記指示物体を検知したときに、上記表示装置に上記オブジェクトを表示させ、
上記接近判定手段は、上記消去判定距離検知センサが上記指示物体を検知したときに、該指示物体と上記表示面との最短距離を結ぶ直線の該表示面との交点が、上記オブジェクトの表示されている領域に含まれているか否かを判定することを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項7】
上記入力装置は、静電容量式のタッチパネルであり、
上記オブジェクト表示手段は、上記入力装置が検出した上記表示面上における静電容量の変化により、上記指示物体が上記表示面に上記表示距離まで接近したことを検知し、
上記接近判定手段は、上記入力装置が検出した上記表示面上における静電容量の変化により、上記指示物体が上記表示面に上記消去判定距離まで接近したことを検知すると共に、上記入力装置が検出した上記表示面上における静電容量の変化により、上記交点の位置を特定することを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項8】
表示装置に画像を表示させると共に、該表示装置の表示面に対して行われた入力操作に従って動作する情報処理装置の制御方法であって、
ユーザが上記表示面に対する入力操作を行うために上記表示面に接近させた指示物体が、上記表示面に対して予め定めた表示距離まで接近したときに、ユーザが上記表示面上で選択することのできるオブジェクトを上記表示装置に表示させるオブジェクト表示ステップと、
上記指示物体が上記オブジェクト表示ステップで表示したオブジェクトに向かって移動しているか否かを判定する接近判定ステップと、
上記接近判定ステップで、上記指示物体が上記オブジェクトに向かって移動していないと判定したときに、上記オブジェクトの表示を終了する表示終了ステップとを含むことを特徴とする情報処理装置の制御方法。
【請求項9】
請求項1から7の何れか1項に記載の情報処理装置を動作させるための制御プログラムであって、コンピュータを上記各手段として機能させるための制御プログラム。
【請求項10】
請求項9に記載の制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2011−243061(P2011−243061A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−115668(P2010−115668)
【出願日】平成22年5月19日(2010.5.19)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】