説明

情報処理装置、拡張現実感提供方法、及びプログラム

【課題】表示オブジェクトをより適切に表示することを目的とする。
【解決手段】当該情報処理装置の位置を示す位置情報を特定する特定部と、表示オブジェクトの現実空間での位置を示す位置情報と表示オブジェクトの表示態様を示す態様情報とを識別情報に関連付けて記憶する記憶部と、表示オブジェクトの表示が行われる表示部とを有する情報処理装置が、特定部で特定された位置情報を基準として一定の距離内にある表示オブジェクトの識別情報に関連付けられた位置情報と態様情報とを記憶部から読み出す読出手段と、読出手段で読み出された複数の識別情報に関連付けられた複数の態様情報から生成される複数の表示オブジェクトの各々が重ならない表示部における表示位置に複数の表示オブジェクトを表示する表示制御手段と、を有することで課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、拡張現実感提供方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
拡張現実ソフトウェアでは、3次元空間の3次元座標に、仮想的なオブジェクト、即ちARオブジェクト(Augmented Reality Object)を配置すると、画面に表示されるARオブジェクト(以下、単に「ARオブジェクト」或いは「表示オブジェクト」とも記載する。)は、ユーザからの相対的な距離に応じて例えば相対的な距離が遠いARオブジェクトが小さく表示される。これにより、遠近感、即ち奥行き感を実現する。また、ユーザは、奥行き感が与えられることで、ARオブジェクトも現実に存在しているかのように感じられるようになる。
ところで、このような拡張現実ソフトウェアによる手法では、ユーザに近いARオブジェクトがユーザから遠いARオブジェクトを隠すことになるため、遠くに配置されたARオブジェクトが見えなくなる、クリック等の操作でARオブジェクトを選択し難くなる等の問題がある。
近時、拡張現実ソフトウェアには、タグ(ARオブジェクト)が重なって表示されている部分が一定の時間にわたりタップ(指をつけたままに)されると、重なっていたタグが螺旋状に順々に手前に表示されるものもある(例えば非特許文献1参照)。これにより、ユーザは、タグが手前に表示されたタイミングで所望のタグを見たり選択したりすることが可能となる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】「遠くのエアタグがタップしにくい」、[online]、2009年8月13日、[2011年3月4日検索]、インターネット<URL:http://support.sekaicamera.com/ja/archives/182>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、非特許文献1の技術では、タグの内容を直ぐに知りたいと思っていても、タグが手前に表示されるのを待つ必要があるので、タグが多く存在するときにはタグの内容の確認に多くの時間がかかるおそれがある。
また、タグが動きつづけているため視認性が悪く、例えば文字情報が記載されたタグである場合、見落としてしまうこともある。
【0005】
本発明はこのような問題点に鑑みなされたもので、表示オブジェクトをより適切に表示することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本発明に係る情報処理装置は、当該情報処理装置の位置を示す位置情報を特定する特定部と、表示オブジェクトの現実空間での位置を示す位置情報と前記表示オブジェクトの表示態様を示す態様情報とを識別情報に関連付けて記憶する記憶部と、表示オブジェクトの表示が行われる表示部とを有する情報処理装置であって、前記特定部で特定された位置情報を基準として一定の距離内にある表示オブジェクトの識別情報に関連付けられた位置情報と態様情報とを前記記憶部から読み出す読出手段と、前記読出手段で読み出された複数の識別情報に関連付けられた複数の態様情報から生成される複数の表示オブジェクトの各々が重ならない前記表示部における表示位置に前記複数の表示オブジェクトを表示する表示制御手段と、を有することを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る情報処理装置は、当該情報処理装置の位置を示す位置情報を特定する特定部と、表示オブジェクトの現実空間での位置を示す位置情報と前記表示オブジェクトの表示態様を示す態様情報とを識別情報に関連付けて記憶する記憶部と、表示オブジェクトの表示が行われる表示部と、撮影を行う撮影部とを有する情報処理装置であって、前記特定部で特定された位置情報を基準として一定の距離内にある表示オブジェクトの識別情報に関連付けられた位置情報と態様情報とを前記記憶部から読み出す読出手段と、前記読出手段で読み出された複数の識別情報に関連付けられた複数の態様情報から生成される複数の表示オブジェクトを前記撮影部で撮影された映像に整合する前記表示部における表示位置に表示し、ユーザ操作を介して表示の切り替えの指示を受け付けたと判断すると、当該情報処理装置の位置情報と前記複数の表示オブジェクトの複数の位置情報とから夫々の距離を算出し、前記複数の表示オブジェクトの寸法を前記算出した距離が長いほど大きくして表示する表示制御手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、表示オブジェクトをより適切に表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】AR提供システムの構成の一例を示す図である。
【図2】(A)は、端末装置のハードウェア構成の一例を示す図であり、(B)は、サーバ装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【図3】タグDBのテーブルの一例を示す図である。
【図4】AR提供システムのシーケンスの一例を示す図である。
【図5】端末装置及びサーバ装置の機能構成の一例を示す図である。
【図6】AR提供処理に係るフローチャートの一例を示す図である。
【図7】表示制御処理に係るフローチャートの一例を示す図である。
【図8】(A)は、未整列画面の一例を示す図であり、(B)は、距離整列画面の一例を示す図であり、(C)は、区間整列画面の一例を示す図である。
【図9】(A)は、未整列画面の一例を示す図であり、(B)は、種類整列画面の一例を示す図であり、(C)は、登録日時整列画面の一例を示す図である。
【図10】(A)は、未整列画面の一例を示す図であり、(B)は、上空視点画面の一例を示す図であり、(C)は、寸法変更画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
【0011】
<第1の実施形態>
図1は、本実施形態に係るAR提供システムの構成の一例を示す図である。AR提供システムは、現実空間の対象物に対して関連付けされたARオブジェクト(表示オブジェクトの一例)が重なって画面に表示されているときに、各ARオブジェクトを確認し易いようにARオブジェクトの配置、寸法等を変更する拡張現実提供システムの一例である。
AR提供システムは、端末装置100、及びサーバ装置200を含んで構成される。端末装置100とサーバ装置200とは、通信可能に接続されている。
端末装置100は、情報処理装置(コンピュータ)の一例であり、携帯情報端末、携帯電話、HMD(Head Mounted Display)、デジタルカメラ等である。端末装置100は、端末装置100を介して知覚できる現実空間に整合する位置に、サーバ装置200で生成された画像(コンピュータグラフィックス画像など)を表示することにより、拡張された現実感(AR:Augmented Reality)を提供する。
【0012】
本実施形態では、端末装置100は、タッチパネル式の表示パネル10を有する。端末装置100は、端末装置100を介して知覚できる現実空間の対象物に整合する位置に、対象物に関する各種の情報(店名などの情報)を表す画像(ARオブジェクトの一例であるタグ等)を表示パネル10に表示する。
また、端末装置100は、一定の時間にわたり表示パネル10に対してタップ(指がつけたままに)される、端末装置100が振られる、端末装置100が水平方向に傾けられる、表示パネル10に表示されたアイコンが押下される等のユーザ操作(より具体的には表示変更指示)を受け付けると、重なって表示されているタグを重ならないように表示する。
例えば、端末装置100は、端末装置100と焼肉店のタグ(11〜14)との現実空間における各距離を算出し、焼肉店のタグ(11〜14)を距離順に整列して表示パネル10に表示する。この構成によれば、ユーザは、複数の焼肉店のタグ(11〜14)が表示されている中で、現在の位置から最も近い焼肉店が焼肉店Dであることを容易に把握できる。
【0013】
サーバ装置200は、情報処理装置(コンピュータ)の一例である。サーバ装置200は、例えばネットワークを介して各種の情報処理装置(端末装置100、外部の情報処理装置等)と通信し、タグに関する各種の情報(後述のタグ情報)をタグDB20に格納して管理する。
また、サーバ装置200は、タグDB20のタグ情報をもとにタグを生成し、生成したタグを含むタグの表示に係る各種の情報(後述の表示情報など)を端末装置100に送信する。
なお、AR提供システムの構成は、上述した構成に限られるものではない。例えば、サーバ装置200がタグDB20を有する構成を採用したが、サーバ装置200とは異なる装置がタグDB20を有する構成を採用してもよいし、端末装置100がサーバ装置200の機能を備えていてもよい。
【0014】
図2(A)は、端末装置100のハードウェア構成の一例を示す図である。端末装置100は、制御装置105、記憶装置110、通信装置115、表示装置120、方位検出装置125、姿勢検出装置130、及び撮影装置135を有する。
制御装置105は、例えばCPU(Central Processing Unit)であり、必要に応じて、記憶装置110よりプログラムを読み出して、プログラムを実行する。例えば、ARを提供するアプリケーション(ARアプリケーション)に係るプログラムが実行されることで、端末装置100における後述の機能、及び後述のフローチャートに係る処理が実現される。
また、制御装置105は、特定部の一例であり、通信装置115を介して衛星から取得された軌道情報から、いわゆるGPS(Global Positioning System)を利用して、端末装置100の現在の緯度・経度・高度などの位置を示す装置位置情報(位置情報の一例)を特定(測定)する。
【0015】
記憶装置110は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HD(Hard Disk)等であり、各種の情報を記憶する。より詳細に説明すると、記憶装置110(ROM)は、端末装置100の電源投入時に最初に読み込まれるプログラム等を記憶する。また、記憶装置110(RAM)は、端末装置100のメインメモリとして機能する。また、記憶装置110(HD)は、プログラム以外に制御装置105により算出された数値データ等を記憶する。
なお、端末装置100は、記憶装置110に記憶される各種の情報を、CD−ROM等の記録媒体から取得してもよいし、ネットワーク等を通じてダウンロードしてもよい。
【0016】
通信装置115は、外部装置(サーバ装置200等)と通信を行い、後述の表示情報などを受信する。通信装置115で受信された表示情報などは、記憶装置110に記憶される。
表示装置120は、表示部の一例であり、表示パネル10を有する。表示装置120は、各種の画像を表示パネル10に表示する。なお、本実施形態では、表示装置120として、非透過型の液晶ディスプレイを例に挙げて説明するが、透過型の液晶ディスプレイを採用してもよい。
【0017】
方位検出装置125は、例えば電子コンパスであり、微弱な地磁気(例えば前後方向の地磁気及び左右方向の地磁気)を検知し、地磁気の強さから北の方向を計算して端末装置100の方位(方位情報)を算出する。
姿勢検出装置130は、例えばジャイロセンサであり、物体の角速度を検知し、角速度を積分などして角度(端末装置100の姿勢(姿勢情報))を算出する。
撮影装置135は、撮影部の一例であり、現実空間の撮影を行う。
なお、端末装置100のハードウェア構成は、これに限られるものではない。例えば、方位検出装置125及び姿勢検出装置130に代えて、方位検出装置125及び姿勢検出装置130の機能を一体とした機能を有する方位姿勢検出装置を採用してもよい。
【0018】
図2(B)は、サーバ装置200のハードウェア構成の一例を示す図である。サーバ装置200は、制御装置205、記憶装置210、通信装置215、表示装置220、及び入力装置225を有する。
制御装置205は、例えばCPU(Central Processing Unit)であり、必要に応じて、記憶装置210よりプログラムを読み出して、プログラムを実行する。プログラムが実行されることで、サーバ装置200における後述の機能、及び後述のフローチャートに係る処理が実現される。
【0019】
記憶装置210は、記憶部の一例であり、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HD(Hard Disk)等であり、各種の情報を記憶する。より詳細に説明すると、記憶装置210(ROM)は、サーバ装置200の電源投入時に最初に読み込まれるプログラム等を記憶する。また、記憶装置210(RAM)は、サーバ装置200のメインメモリとして機能する。また、記憶装置210(HD)は、プログラム以外に制御装置205により算出された数値データ等を記憶する。
なお、サーバ装置200は、記憶装置210に記憶される各種の情報を、CD−ROM等の記録媒体から取得してもよいし、ネットワーク等を通じてダウンロードしてもよい。
【0020】
通信装置215は、外部装置(端末装置100等)と通信を行う。例えば、通信装置215は、端末装置100から後述の装置情報を受信する。また、例えば、通信装置215は、各種の情報処理装置から後述のタグ情報を受信する。通信装置215で受信されたタグ情報は、記憶装置210(タグDB20等)に記憶される。
表示装置220は、ディスプレイ等であり、各種の情報を表示する。
入力装置225は、キーボード、マウス等であり、サーバ装置200に各種の情報を入力する。
【0021】
図3は、サーバ装置200が管理するタグ情報を格納するタグDB20のテーブルの一例を示す図である。テーブルには、ID、位置、表示内容、登録日時、クリック数の情報を含んで構成されたタグ情報が記憶される。なお、より広義には、位置、表示内容、登録日時、クリック数の情報がIDに関連付けられて記憶装置210に記憶されている。
タグのIDを示すID情報は、ARオブジェクトを識別可能な識別情報の一例であり、タグ情報を一意に識別可能である。タグの位置を示すタグ位置情報は、ARオブジェクトの位置を示す位置情報の一例であり、現実空間におけるタグの場所、即ちタグが付された地点の緯度、経度、及び高度を示す情報である。
【0022】
タグの表示内容を示す表示内容情報は、ARオブジェクトの表示態様を示す態様情報の一例であり、各種の情報処理装置を介して入力された情報であり、タグの内容情報とタグの画像情報とタグの形状情報とを含んで構成される。
タグの内容情報は、対象物が店である場合は店名、対象物が美術品である場合は作者名など、タグが付された対象物に関する情報である。画像情報は、対象物が店である場合は店の写真、対象物が美術品である場合は美術品の写真など、タグが付された対象物に関する画像である。
【0023】
タグの形状情報は、タグの属性(種類)を示す属性情報の一例であり、タグの形状を示す情報である。ここで、タグの形状情報は、ユーザにより指定される構成であってもよいし、管理者により指定される構成であってもよいし、或いはタグの内容情報を解析して自動的に指定される構成であってもよい。
なお、本実施形態では、形状情報に加えて又は代えて、コンビニエンスストア、薬局、ガソリンスタンドなどの対象物の属性、和食、洋食などの対象物におけるサービスの属性など、適宜の属性の情報を一又は複数採用できる。
登録日時を示す登録日時情報は、時間情報の一例であり、対象物に対してタグが付された日時、換言するならばタグ情報がタグDB20に登録された日時を示す情報である。クリック数を示すクリック数情報は、ARオブジェクトがアクセスされた回数を示す回数の情報の一例であり、サーバ装置200でリアルタイムに計数される、各種の情報処理装置においてタグがクリックされた回数の情報である。
【0024】
図4は、AR提供システムのシーケンスの一例を示す図である。端末装置100は、ARアプリケーションの起動の指示を受け付けると(SQ305)、サーバ装置200に装置情報を送信する(SQ310)。より具体的には、端末装置100は、ARアプリケーションの起動に応答して、撮影装置135の視野の特定に用いられる後述の装置情報をサーバ装置200に送信する。
【0025】
SQ315では、サーバ装置200は、表示情報生成処理を行う。より具体的には、まず、サーバ装置200は、装置情報を受信し、装置情報により特定される撮影装置135の視野に含まれる一定の距離(例えば500m)内に存在するタグのIDを特定し、特定したタグのIDのタグ情報をタグDB20から抽出する。
次に、サーバ装置200は、抽出したタグ情報の内容情報、形状情報などをもとにタグを生成する。続いて、サーバ装置200は、生成したタグ、当該タグのタグ位置情報、登録日時情報などを含む表示情報をタグごとに生成する。
続いて、サーバ装置200は、生成した表示情報を端末装置100に送信する(SQ320)。
【0026】
ここで、端末装置100は、表示情報を受信すると、表示情報を記憶装置110に格納する。続いて、端末装置100は、撮影装置135で撮影された映像にタグを重畳して表示する。
また、端末装置100は、端末装置100の状態を監視する(SQ325)。より具体的には、端末装置100は、端末装置100の緯度、経度、高度、方位、及び姿勢の変化を監視する。このとき、端末装置100は、端末装置100の状態の変化を検知すると、装置情報をサーバ装置200に送信する(SQ330)。
なお、サーバ装置200は、装置情報を受信すると、SQ315と同様に、表示情報生成処理を行い(SQ335)、生成した表示情報を端末装置100に送信する(SQ340)。また、端末装置100は、SQ325と同様に、端末装置100の状態を監視する(SQ345)。
【0027】
即ち、端末装置100は、ARアプリケーションが動作しているときは、基本的には、SQ310からSQ325までの一連の処理(通常表示処理)を繰り返し行う。
ただし、端末装置100は、表示変更指示を受け付けると(SQ350)、表示変更指示の種類に応じて、表示パネル10に表示されているタグを整列する(SQ355)。なお、SQ350の処理については図7を用いて詳細に説明する。
また、端末装置100は、整列を解除する旨の整列解除指示を受け付けると(SQ360)、通常表示処理が行われることになる。ここで、整列解除指示は、一定の時間にわたり表示パネル10に対してタップされる、端末装置100が振られる、端末装置100が水平方向に傾けられる、表示パネル10に表示されたアイコンが押下される等のユーザ操作をいう。
【0028】
図5は、端末装置100及びサーバ装置200の機能構成の一例を示す図である。
端末装置100は、制御部150、読出部155、表示制御部160、及び通信部165を有する。制御部150は、読出部155及び表示制御部160を管理すると共に、端末装置100における制御を司る。読出部155は、記憶装置110から各種の情報を読み出す。表示制御部160は、表示装置120を制御し、表示パネル10にタグ等を表示する。通信部165は、通信装置115を制御し、外部装置との通信を行う。
サーバ装置200は、制御部250及び通信部255を有する。制御部250は、通信部255を管理すると共に、サーバ装置200における制御を司る。通信部255は、通信装置215を制御し、外部装置との通信を行う。
【0029】
図6は、端末装置100の制御部150が行うAR提供処理に係るフローチャートの一例を示す図である。AR提供処理は、ARアプリケーションの起動の指示が受付けられることを契機に開始される。
まず、制御部150は、ARアプリケーションの終了の指示を受け付けたか否かを判断する(S405)。このとき、制御部150は、受け付けたと判断した場合、AR提供処理を終了する。他方、受け付けていないと判断した場合、制御部150は、S410の処理を行う。
S410では、制御部150は、端末装置100の装置位置情報を算出し、方位検出装置125から方位情報を受け取り、姿勢検出装置130から姿勢情報を受け取る。この際、制御部150は、算出した装置位置情報、並びに受け取った方位情報及び姿勢情報を記憶装置110に格納する。
【0030】
続いて、制御部150は、表示パネル10に表示するタグの表示情報をサーバ装置200から取得する(S415)。
より具体的には、まず、制御部150は、端末装置100の内部パラメータ(撮像面の寸法、レンズの焦点距離、レンズの歪みの度合いの情報など)をもとに撮影装置135の視野の範囲を特定する範囲情報(画角など)を算出し、範囲情報、装置位置情報、方位情報、及び姿勢情報を含む装置情報を生成する。次に、制御部150は、通信部165を介して、生成した装置情報をサーバ装置200に送信する。
そして、制御部150は、通信部165を介してサーバ装置200から表示情報を受信し、受信した表示情報を記憶装置110に格納する。
【0031】
ここで、サーバ装置200において装置情報が受信されることを契機に行われる表示情報生成処理(SQ315など)の詳細について説明する。
表示情報生成処理では、まず、サーバ装置200の制御部250は、装置情報に含まれる範囲情報、方位情報、及び姿勢情報をもとに撮影装置135の視野を特定する。次に、制御部250は、撮影装置135の視野に含まれる装置位置情報の位置を基準として一定の距離内に存在するタグのIDをタグDB20のタグ位置情報を参照して特定する。次に、制御部250は、特定したタグのIDをもとにタグ情報をタグDB20から抽出する。
次に、制御部250は、抽出したタグ情報の内容情報と形状情報と規定の寸法情報とをもとにタグを生成する。規定の寸法情報は、タグの形状情報に対応して記憶装置210に設けられ、例えば、四角形に対しては縦100ピクセル、横200ピクセルが設けられている。この際、制御部250は、タグ情報に画像情報が設定されている場合、タグに画像情報を含める。そして、制御部250は、生成したタグ、当該タグのタグ位置情報、及び登録日時情報を含む表示情報をタグごとに生成する。この際、制御部250は、形状情報以外の他の属性情報があるときは、他の属性情報を表示情報に含める。
なお、制御部250は、通信部255を介して、生成した表示情報を端末装置100に送信する。
【0032】
また、端末装置100の通信部165は、ネットワークを介してサーバ装置200から受信した表示情報を記憶装置110に記憶させる。続いて、端末装置100の制御部150は、読出部155を介して記憶装置110から表示情報を読み出し、表示制御部160を介して、撮影装置135で撮影された映像に整合する表示パネル10における表示位置に表示情報に含まれるタグを表示する(S420)。なお、位置合わせについては従来から用いられている技術を適用することができる。例えば、表示制御部160は、撮影装置135における座標系を表示パネル10における座標系に変換する。これにより、表示制御部160は、撮影装置135の映像、及びタグについて、表示パネル10内での表示位置を特定する。また、表示制御部160は、タグの寸法、明るさ等を表示パネル10に適合するように調整する。
続いて、制御部150は、端末装置100の状態に変化があったか否かを判断する(S425)。より具体的には、制御部150は、記憶装置110に記憶されている、今回の装置位置情報、方位方法、及び姿勢情報と、前回の装置位置情報、方位方法、及び姿勢情報とを比較して、一致するか否かを判断する。なお、完全に一致するか否かを判断する構成を採用してもよいし、規定の桁数までの数値が一致(略一致)するか否かを判断する構成を採用してもよい。
このとき、制御部150は、端末装置100の状態に変化があったと判断した場合、S405の処理を行う。他方、制御部150は、端末装置100の状態に変化がなかったと判断した場合、S430の処理を行う。
【0033】
S430では、制御部150は、表示変更指示が受け付けられたか否かを判断する。このとき、制御部150は、表示変更指示が受け付けられたと判断した場合、S435の処理を行う。他方、制御部150は、表示変更指示が受け付けられていないと判断した場合、S405の処理を行う。
S435では、制御部150は、読出部155及び表示制御部160を介して、タグ整列設定情報により指定された書式でタグを表示する(表示制御処理)。タグ整列設定情報は、どの様なルールでタグを整列(配置)するかというルールを規定した情報であり、表示変更指示の種類に対応して記憶装置110に記憶されている。なお、表示制御処理については図7を用いて詳細に説明する。
続いて、制御部150は、整列解除指示を受け付けたか否かを判断する(S440)。このとき、制御部150は、整列解除指示を受け付けたと判断した場合、S405の処理を行う。他方、制御部150は、整列解除指示を受け付けていないと判断した場合、S435の処理を行う。
【0034】
図7は、端末装置100の表示制御部160が行う表示制御処理に係るフローチャートの一例を示す図である。
まず、表示制御部160は、表示変更指示が距離整列指示であるか否かを判断する(S505)。より具体的には、表示制御部160は、距離の整列を指示するユーザインタフェース(後述の図8の距離整列アイコン705など)が操作されたか否かを判断する。このとき、表示制御部160は、表示変更指示が距離整列指示であると判断した場合、S510の処理を行う。他方、表示制御部160は、表示変更指示が距離整列指示でないと判断した場合、続いてS515の処理を行う。
S510では、表示制御部160は、距離順にタグを整列して表示パネル10に表示し、表示制御処理を終了する。
【0035】
より詳細に説明すると、表示制御部160は、まず、距離整列指示に対応して設けられたタグ整列設定情報を記憶装置110から読み出す。このタグ整列設定情報には、端末装置100とタグとの距離に応じてタグを整列するためのルールが規定されている。本実施形態では、表示パネル10の下端から上端にかけて距離が短いものから順にタグを表示するルールが規定されている。しかしながら、上記ルールに限られるものではない。例えば、表示パネル10の左端から右端にかけて距離が短いものから順にタグを表示するルールを採用してもよい。
次に、表示制御部160は、端末装置100の装置位置情報とタグのタグ位置情報とから端末装置100とタグとの距離を算出する。なお、表示制御部160は、現実空間における距離を算出してもよいし、座標系における距離を算出してもよい。そして、表示制御部160は、上記ルールに従って距離順にタグを整列して表示する。このときの表示パネル10の表示態様の一例を図8(B)に示す。
【0036】
S515では、表示制御部160は、表示変更指示が区間整列指示であるか否かを判断する。より具体的には、表示制御部160は、区間の整列を指示するユーザインタフェース(後述の図8の区間整列アイコン710など)が操作されたか否かを判断する。このとき、表示制御部160は、表示変更指示が区間整列指示であると判断した場合、S520の処理を行う。他方、表示制御部160は、表示変更指示が区間整列指示でないと判断した場合、続いてS525の処理を行う。
S520では、表示制御部160は、区間ごとにタグを整列して表示パネル10に表示し、表示制御処理を終了する。
【0037】
より詳細に説明すると、表示制御部160は、まず、区間整列指示に対応して設けられたタグ整列設定情報を記憶装置110から読み出す。このタグ整列設定情報には、予め設けられた区間にタグを分類して整列するルールが規定されている。本実施形態では、表示パネル10の下端から上端にかけて距離が長くなる一定の距離ごと(例えば50m単位)の区間が定められ、区間ごとにタグを分類し、同じ区間に複数のタグが属する場合は横に並べるルールが規定されている。しかしながら、上記ルールに限られるものではなく、区間ごとにタグを整列する他のルールを採用してもよい。
次に、表示制御部160は、端末装置100の装置位置情報とタグのタグ位置情報とから端末装置100とタグとの距離を算出する。そして、表示制御部160は、算出した距離から、各タグが属する区間を特定し、区間ごとにタグを整列して表示する。この場合の表示パネル10の表示態様の一例を図8(C)に示す。
【0038】
S525では、表示制御部160は、表示変更指示が一定時間押下指示であるか否かを判断する。より具体的には、表示制御部160は、表示パネル10における何れかのタグが一定の時間にわたりタップされたか否かを判断する。このとき、表示制御部160は、表示変更指示が一定時間押下指示であると判断した場合、S530の処理を行う。他方、表示制御部160は、表示変更指示が一定時間押下指示でないと判断した場合、続いてS535の処理を行う。
S530では、表示制御部160は、設定情報(デフォルトのタグ整列設定情報)に従ってタグを整列して表示パネル10に表示し、表示制御処理を終了する。
より詳細に説明すると、表示制御部160は、まず、ユーザにより押下された表示パネル10における表示位置を特定する。次に、表示制御部160は、特定した表示位置のタグが含まれるタグ群(表示オブジェクト群)を特定する。例えば、表示制御部160は、特定した表示位置の最も手前のタグを特定し、当該タグに重なって表示されているタグ、更にはそのタグに重なっているタグを特定し、このように連鎖的に特定したタグを整列の対象のタグ(対象タグ)として特定する。そして、表示制御部160は、対象タグのIDを記憶装置110に格納する。
次に、表示制御部160は、設定情報を記憶装置110から読み出す。本実施形態では、設定情報としては、後述の種類整列指示に対応して設けられたタグ整列設定情報が設定されているので、後述のS540の処理と同様の処理が行われる。
【0039】
S535では、表示制御部160は、表示変更指示が種類整列指示であるか否かを判断する。より具体的には、表示制御部160は、種類の整列を指示するユーザインタフェース(後述の図9の種類整列アイコン725など)が操作されたか否かを判断する。このとき、表示制御部160は、表示変更指示が種類整列指示であると判断した場合、S540の処理を行う。他方、表示制御部160は、表示変更指示が種類整列指示でないと判断した場合、続いてS545の処理を行う。
S540では、表示制御部160は、種類ごとにタグを整列して表示パネル10に表示し、表示制御処理を終了する。
【0040】
より詳細に説明すると、表示制御部160は、まず、種類整列指示に対応して設けられたタグ整列設定情報を記憶装置110から読み出す。このタグ整列設定情報には、予め設けられたタグの種類(属性)ごとに対象タグをまとめて整列するルールが規定されている。本実施形態では、種類ごとに対象タグを分類し、対象タグが1つのまとまり(タグ群)であったことを示す情報(色、線など)を用いて対象タグを識別し、種類が同じ対象タグを近接して表示するルールが規定されている。しかしながら、上記ルールに限られるものではなく、種類ごとにタグを整列する他のルールを採用してもよい。
そして、表示制御部160は、上記ルールに従って、各対象タグが属する種類を特定し、種類ごとに対象タグを整列して表示する。この場合の表示パネル10の表示態様の一例を図9(B)に示す。
【0041】
S545では、表示制御部160は、表示変更指示が登録日時整列指示であるか否かを判断する。より具体的には、表示制御部160は、登録日時の整列を指示するユーザインタフェース(後述の図9の登録日時整列アイコン715など)が操作されたか否かを判断する。このとき、表示制御部160は、表示変更指示が登録日時整列指示であると判断した場合、S550の処理を行う。他方、表示制御部160は、表示変更指示が登録日時整列指示でないと判断した場合、続いてS555の処理を行う。
S550では、表示制御部160は、登録順にタグを整列して表示パネル10に表示し、表示制御処理を終了する。
【0042】
より詳細に説明すると、表示制御部160は、まず、登録日時整列指示に対応して設けられたタグ整列設定情報を記憶装置110から読み出す。このタグ整列設定情報には、タグの登録日時に応じてタグを整列するルールが規定されている。本実施形態では、対象タグがタグ群であったことを示す情報を用いて対象タグを識別し、登録日時が新しいもの(或いは登録日時が古いもの)から順にタグを表示するルールが規定されている。しかしながら、上記ルールに限られるものではなく、登録日時順にタグを整列する他のルールを採用してもよい。
そして、表示制御部160は、上記ルールに従って、登録順にタグを整列して表示する。この場合の表示パネル10の表示態様の一例を図9(C)に示す。
【0043】
S555では、表示制御部160は、表示変更指示がクリック数整列指示であるか否かを判断する。より具体的には、表示制御部160は、クリック数での整列を指示するユーザインタフェース(後述の図9のクリック数整列アイコン720など)が操作されたか否かを判断する。このとき、表示制御部160は、表示変更指示がクリック数整列指示であると判断した場合、S560の処理を行う。他方、表示制御部160は、表示変更指示がクリック数整列指示でないと判断した場合、表示制御処理を終了する。
S560では、表示制御部160は、サーバ装置200からクリック数情報を取得し、クリック数順(回数順)にタグを整列して表示パネル10に表示し、表示制御処理を終了する。
【0044】
より詳細に説明すると、表示制御部160は、まず、制御部150及び通信部165を介してサーバ装置200にクリック数情報を要求する。
即ち、表示制御部160は、制御部150及び通信部165を介して対象タグのIDを送信する。他方、サーバ装置200の制御部250は、通信部255を介して対象タグのIDを受信すると、IDに対応するクリック数情報をタグDB20から抽出し、通信部255を介して、抽出したクリック数情報を対象タグのIDと共に端末装置100に送信する。
また、端末装置100の表示制御部160は、制御部150及び通信部165を介してクリック数情報を受信すると、クリック数整列指示に対応して設けられたタグ整列設定情報を記憶装置110から読み出す。このタグ整列設定情報には、タグのクリック数に応じてタグを整列するルールが規定されている。本実施形態では、対象タグがタグ群であったことを示す情報を用いて対象タグを識別し、クリック数が多いもの(或いはクリック数が少ないもの)から順にタグを表示するルールが規定されている。しかしながら、上記ルールに限られるものではなく、クリック数順にタグを整列する他のルールを採用してもよい。
そして、表示制御部160は、上記ルールに従って、クリック数順にタグを整列して表示する。
なお、クリック数情報については、本実施形態で説明したように、対象タグが特定されるたびにサーバ装置200に要求してもよいし、S415の処理でクリック数情報が含められた表示情報をサーバ装置200から取得して記憶装置110に記憶しておいてもよい。
【0045】
図8は、表示パネル10の表示態様の一例(画面)を示す図である。
例えば、ユーザによりARアプリケーションが起動されると、図8(A)に示すように、撮影装置135で撮影された映像の整合した位置にタグが重畳されて表示パネル10に表示される。以下、この状態を「未整列画面」と記載する。そして、未整列画面において、距離整列アイコン705が押下された場合、図8(B)に示す距離整列画面に画面が切り替わる。また、未整列画面において、区間整列アイコン710が押下された場合、図8(C)に示す区間整列画面に画面が切り替わる。
【0046】
距離整列画面では、未整列画面において重なって表示されていたタグ(605〜630)が距離順に整列されて表示される。このように、タグが距離順に整列されることで、例えば、ユーザは、二番目や三番目に近い対象物或いは逆に最も遠い対象物が何であるかを容易に把握できるようになる。
区間整列画面では、未整列画面において重なって表示されていたタグ(605〜630)が区間ごとに整列されて表示される。このように、タグが区間ごとに整列されることで、例えば、ユーザは、どのくらいの距離に対象物が多く存在するのかを容易に把握できるようになる。
なお、距離整列画面において区間整列アイコン710が押下された場合、区間整列画面に画面が切り替わり、区間整列画面において距離整列アイコン705が押下された場合、距離整列画面に画面が切り替わる。また、距離整列画面又は距離整列画面において、整列解除指示が受け付けられると、未整列画面に画面が切り替わる。
【0047】
図9は、表示パネル10の表示態様の一例(画面)を示す図である。
例えば、ユーザによりARアプリケーションが起動されると、図9(A)に示す未整列画面が表示パネル10に表示される。そして、未整列画面において、ユーザ805によりタグ(605〜605)のうちの何れかが一定の時間にわたりタップされた場合、図9(B)に示す種類整列画面に画面が切り替わる。また、種類整列画面において、登録日時整列アイコン715が押下された場合、図9(C)に示す登録日時整列画面に画面が切り替わる。
ここで、種類整列画面では、未整列画面において重なって表示されていたタグ群のうちタップされたタグが含まれるタグ群、即ちタグ(605〜615、630〜645)が種類ごとに整列されて表示される。
この例では、タグの属性(種類)が、タグの形状である場合を示したが、例えば、和食、洋食などの対象物のサービスの属性である場合、和食についてのタグ、洋食についてのタグが夫々で近接するように配置されて表示されることになる。なお、表示位置905は、ユーザ805によりタップされた表示位置を示す。また、識別線910は、タップされたタグ群であったタグを識別するものである。
また、登録日時整列画面では、未整列画面において重なって表示されていたタグ(605〜615、630〜645)が登録順に整列されて表示される。
【0048】
なお、未整列画面において、距離整列アイコン705が押下された場合、距離整列画面に画面が切り替わり、区間整列アイコン710が押下された場合、区間整列画面に画面が切り替わる。
また、種類整列画面(或いは登録日時整列画面)においてクリック数整列アイコン720が押下された場合、クリック数整列画面(図示せず。)に画面が切り替わり、登録日時整列画面において種類整列アイコン725が押下された場合、種類整列画面に画面が切り替わる。また、種類整列画面、登録日時整列画面、又はクリック数整列画面において、整列解除指示が受け付けられると、未整列画面に画面が切り替わる。
図9に示す画面は、上述した構成に限られるものではない。例えば、種類整列画面、登録日時整列画面、及びクリック数整列画面では、タップされたタグ群とは異なる他のタグ群(タグD620、タグE625、タグJ650)をタップされたタグ群と同様に整列してもよい。また、種類整列画面、登録日時整列画面、及びクリック数整列画面では、タップされたタグ群のタグ以外のタグ(他のタグ群など)を非表示としてもよい。
【0049】
上述した構成によれば、拡張現実技術で本来行うべき重畳表示をユーザの指示に基づいて一旦解除して互いのタグが重ならないように再配置して表示されることで、各タグのクリックがより容易になる。また、各タグの内容を一斉に把握できるので、各タグの内容を比較することがより容易になる。また、表示変更指示に応じたタグの整列が行われるので、タグの関連性の把握がより容易になる。
なお、上述した各表示態様の選択順序はあくまでも一例であり、その順序や表示の種類は上述したものに限るものではない。また、各表示態様を選択する構成も上述したものに限られるものではなく、アイコンを押下するか、或いは一定の時間にわたりタグをタップするかという方法についても設計に応じて変更してよい。
【0050】
<第2の実施形態>
本実施形態では、重なって表示されているタグを選択、把握する他の拡張現実感提供方法について説明する。なお、本実施形態では、第1の実施形態と同一の構成には同一の符号を用いて説明を適宜省略する。
図10は、表示パネル10の表示態様の一例(画面)を示す図である。
例えば、ユーザによりARアプリケーションが起動されると、図10(A)に示す未整列画面が表示パネル10に表示される。そして、未整列画面において、上空視点アイコン735が押下された場合、図10(B)に示す上空視点画面に画面が切り替わる。また、未整列画面において、寸法変更アイコン740が押下された場合、図10(C)に示す寸法変更画面に画面が切り替わる。
上空視点画面では、未整列画面において重なって表示されていたタグ(605〜630)が上空から見下ろしたときの内容として表示される。例えば、表示制御処理では、表示制御部160は、端末装置100の装置位置情報とタグのタグ位置情報とから表示パネル10におけるタグの新たな表示位置を算出し、タグの形状を上空から視認したとき用の態様に変更し、表示パネル10に表示する。この構成によれば、例えば、タグの位置の把握がより容易になる。
【0051】
寸法変更画面では、未整列画面において重なって表示されていたタグ(605〜630)の寸法が距離に応じて変更されて表示される。
例えば、表示制御処理では、表示制御部160は、各タグの左上の頂点を基準として、距離が長いほどタグの寸法が大きくなるようにタグの寸法を距離に応じて拡大(或いは縮小)する。より具体的には、表示制御部160は、端末装置100の装置位置情報とタグのタグ位置情報とから端末装置100とタグとの距離を算出し、距離に応じて拡大倍率(或いは縮小倍率)が規定された情報を記憶装置110から読み出し、読み出した情報に従ってタグの寸法を拡大(或いは縮小)する。つまり、通常の遠近法とは逆に、遠いオブジェクトをより大きく表示することにより、手前のオブジェクトに隠れてしまうことを避けるように表示する。
【0052】
なお、本実施形態は、この構成に限られるものではない。例えば、表示制御部160が各タグの中心を基準としてタグの寸法を距離に応じて拡大(或いは縮小)する構成としてもよい。また、例えば、表示制御部160が、タグの寸法を距離に応じて拡大(或いは縮小)したときのタグの配置を頂点ごとに算出し、最もタグの内容が表示される配置の頂点を選定し、選定した頂点を基準としてタグの寸法を距離に応じて拡大(或いは縮小)する構成を採用してもよい。
更に、各タグに表示される文字列情報、イメージ情報などを、各タグの中心付近ではなく、他のタグに隠れない位置を算出して表示する構成としてもよい。
また、上空視点画面又は寸法変更画面において、整列解除指示が受け付けられると、未整列画面に画面が切り替わる。
【0053】
上述した構成によれば、各タグのクリックがより容易になる。また、各タグの内容を一斉に把握できるので、各タグの内容を比較することがより容易になる。
なお、上述した実施形態では、ユーザが表示パネル10に対してタップ等の指示を行うことで整列画面に移行する構成を採用したが、本実施形態は、これに限られるものではない。例えば、姿勢検出装置130で検出された端末装置100の姿勢情報に基づいて、表示パネル10が略水平方向に倒されたことを契機にタグの形状を上空から視認したとき用の態様に変更する構成としてもよい。これにより、ユーザは、端末装置100の姿勢を操るだけで重なって見づらかった各タグの内容を比較することがより容易になる。
【0054】
<その他の実施形態>
第1の実施形態、及び第2の実施形態では、撮影装置135の視野に含まれる一定の距離内に存在するタグのIDをタグDB20のタグ位置情報を参照して特定する構成を示したが、この構成に限られるものではない。
例えば、端末装置100が装置位置情報を含む装置情報をサーバ装置200に送信し、サーバ装置200が端末装置100から一定の距離内に存在するタグのIDをタグDB20のタグ位置情報を参照して特定する構成を採用してもよい。この場合、端末装置100は、受信する表示情報に含まれるタグの中から撮影装置135の視野に含まれるタグ(ID)を特定し、特定したタグを表示パネル10に表示する。
また、第1の実施形態、及び第2の実施形態では、タグが、サーバ装置200で生成される構成を示したが、この構成に限られるものではない。例えば、タグが、端末装置100で生成される構成を採用してもよい。この場合、サーバ装置200は、タグに代えて表示内容情報を表示情報に含めて端末装置100に送信する。
【0055】
また、第1の実施形態、及び第2の実施形態では、タグDB20に、タグの生成に用いられる表示内容情報、形状情報などが格納される構成を示したが、この構成に限られるものではない。例えば、サーバ装置200は、タグDB20へのタグ情報の登録の際に、表示内容情報、形状情報などをもとにタグを生成してタグDB20に格納してもよい。
また、端末装置100とサーバ装置200とが行う処理の分担は、上述した構成に限られるものではない。例えば、端末装置100がサーバ装置200の一部又は全部の処理を実行してもよいし、サーバ装置200が端末装置100の一部の処理を実行してもよい。
また、本実施形態では、第1の実施形態の構成、及び第2の実施形態の構成を適宜変更したり適宜組み合わせたりした構成を採用してもよい。
【0056】
なお、表示パネル10の表示態様が上述した第1の実施形態、及び第2の実施形態で示した何れかの表示態様となるようにユーザが初期値を設定しておき、表示パネル10へのタップ操作や端末装置100の姿勢に応じて初期値で設定された表示態様に直接移行するようにしてもよい。
また、表示パネルとして透過型液晶ディスプレイを利用した携帯型端末、HMD等を使用する場合、必ずしも撮影装置135は必要ではなく、各ディスプレイの画角を初期値として設定しておき、表示されるARオブジェクトを特定してもよい。この場合、表示態様の選択については、画面への操作だけではなく、携帯型端末やHMDに備えられた物理的なスイッチ類で行ってもよく、或いは上述したような姿勢情報によって行ってもよい。
【0057】
上述した各実施形態の構成によれば、表示オブジェクトをより適切に表示することができる。
【0058】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0059】
100 端末装置
200 サーバ装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
当該情報処理装置の位置を示す位置情報を特定する特定部と、表示オブジェクトの現実空間での位置を示す位置情報と前記表示オブジェクトの表示態様を示す態様情報とを識別情報に関連付けて記憶する記憶部と、表示オブジェクトの表示が行われる表示部とを有する情報処理装置であって、
前記特定部で特定された位置情報を基準として一定の距離内にある表示オブジェクトの識別情報に関連付けられた位置情報と態様情報とを前記記憶部から読み出す読出手段と、
前記読出手段で読み出された複数の識別情報に関連付けられた複数の態様情報から生成される複数の表示オブジェクトの各々が重ならない前記表示部における表示位置に前記複数の表示オブジェクトを表示する表示制御手段と、
を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
撮影を行う撮影部を更に有し、
前記表示制御手段は、前記撮影部で撮影された映像に整合する前記表示部における表示位置に前記複数の表示オブジェクトを表示し、ユーザ操作を介して表示の切り替えの指示を受け付けたと判断すると、前記複数の表示オブジェクトの各々が重ならない前記表示部における表示位置に前記複数の表示オブジェクトを表示することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記表示制御手段は、当該情報処理装置の位置情報と前記複数の表示オブジェクトの複数の位置情報とから夫々の距離を算出し、前記複数の表示オブジェクトを更に距離順に整列して表示することを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記表示制御手段は、当該情報処理装置の位置情報と前記複数の表示オブジェクトの複数の位置情報とから夫々の距離を算出し、前記複数の表示オブジェクトを更に前記一定の距離の複数の区間うちの何れかの区間に分類して表示することを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記記憶部に記憶される識別情報には、表示オブジェクトの属性を示す属性情報が更に関連付けられ、
前記読出手段は、前記複数の表示オブジェクトの前記複数の識別情報の各々に関連付けられた属性情報を更に読み出し、
前記表示制御手段は、前記読出手段で読み出された属性情報に従って前記複数の表示オブジェクトを更に属性ごとに分類して表示することを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記記憶部に記憶される識別情報には、前記識別情報に関連付けられた位置情報及び態様情報が登録されたときの時間を示す時間情報が更に関連付けられ、
前記読出手段は、前記複数の表示オブジェクトの前記複数の識別情報の各々に関連付けられた時間情報を更に読み出し、
前記表示制御手段は、前記読出手段で読み出された時間情報に従って前記複数の表示オブジェクトを更に登録順に整列して表示することを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項7】
表示オブジェクトがアクセスされた回数を計数し、前記回数の情報を管理するサーバ装置と通信可能に接続され、
前記表示制御手段は、前記複数の表示オブジェクトに対応する回数の情報を前記サーバ装置から取得し、前記取得した回数の情報に従って前記複数の表示オブジェクトを更にアクセスされた回数順に整列して表示することを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記表示制御手段は、ユーザ操作を介して前記複数の表示オブジェクトのうちの一の表示オブジェクトの指定を受け付け、前記指定された表示オブジェクトが含まれる表示オブジェクト群を前記複数の表示オブジェクトのうちから特定し、前記特定された表示オブジェクト群の表示オブジェクトの各々が重ならない前記表示部における表示位置に前記表示オブジェクト群の表示オブジェクトを表示することを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
当該情報処理装置の位置を示す位置情報を特定する特定部と、表示オブジェクトの現実空間での位置を示す位置情報と前記表示オブジェクトの表示態様を示す態様情報とを識別情報に関連付けて記憶する記憶部と、表示オブジェクトの表示が行われる表示部と、撮影を行う撮影部とを有する情報処理装置であって、
前記特定部で特定された位置情報を基準として一定の距離内にある表示オブジェクトの識別情報に関連付けられた位置情報と態様情報とを前記記憶部から読み出す読出手段と、
前記読出手段で読み出された複数の識別情報に関連付けられた複数の態様情報から生成される複数の表示オブジェクトを前記撮影部で撮影された映像に整合する前記表示部における表示位置に表示し、ユーザ操作を介して表示の切り替えの指示を受け付けたと判断すると、当該情報処理装置の位置情報と前記複数の表示オブジェクトの複数の位置情報とから夫々の距離を算出し、前記複数の表示オブジェクトの寸法を前記算出した距離が長いほど大きくして表示する表示制御手段と、
を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項10】
当該情報処理装置の位置を示す位置情報を特定する特定部と、表示オブジェクトの現実空間での位置を示す位置情報と前記表示オブジェクトの表示態様を示す態様情報とを識別情報に関連付けて記憶する記憶部と、表示オブジェクトの表示が行われる表示部とを有する情報処理装置における拡張現実感提供方法であって、
前記特定部で特定された位置情報を基準として一定の距離内にある表示オブジェクトの識別情報に関連付けられた位置情報と態様情報とを前記記憶部から読み出す読出工程と、
前記読出工程で読み出された複数の識別情報に関連付けられた複数の態様情報から生成される複数の表示オブジェクトの各々が重ならない前記表示部における表示位置に前記複数の表示オブジェクトを表示する表示制御工程と、
を有することを特徴とする拡張現実感提供方法。
【請求項11】
当該情報処理装置の位置を示す位置情報を特定する特定部と、表示オブジェクトの現実空間での位置を示す位置情報と前記表示オブジェクトの表示態様を示す態様情報とを識別情報に関連付けて記憶する記憶部と、表示オブジェクトの表示が行われる表示部と、撮影を行う撮影部とを有する情報処理装置における拡張現実感提供方法であって、
前記特定部で特定された位置情報を基準として一定の距離内にある表示オブジェクトの識別情報に関連付けられた位置情報と態様情報とを前記記憶部から読み出す読出工程と、
前記読出工程で読み出された複数の識別情報に関連付けられた複数の態様情報から生成される複数の表示オブジェクトを前記撮影部で撮影された映像に整合する前記表示部における表示位置に表示し、ユーザ操作を介して表示の切り替えの指示を受け付けたと判断すると、当該情報処理装置の位置情報と前記複数の表示オブジェクトの複数の位置情報とから夫々の距離を算出し、前記複数の表示オブジェクトの寸法を前記算出した距離が長いほど大きくして表示する表示制御工程と、
を有することを特徴とする拡張現実感提供方法。
【請求項12】
当該コンピュータの位置を示す位置情報を特定する特定部と、表示オブジェクトの現実空間での位置を示す位置情報と前記表示オブジェクトの表示態様を示す態様情報とを識別情報に関連付けて記憶する記憶部と、表示オブジェクトの表示が行われる表示部とを有するコンピュータを、
前記特定部で特定された位置情報を基準として一定の距離内にある表示オブジェクトの識別情報に関連付けられた位置情報と態様情報とを前記記憶部から読み出す読出手段と、
前記読出手段で読み出された複数の識別情報に関連付けられた複数の態様情報から生成される複数の表示オブジェクトの各々が重ならない前記表示部における表示位置に前記複数の表示オブジェクトを表示する表示制御手段と、
して機能させるプログラム。
【請求項13】
当該コンピュータの位置を示す位置情報を特定する特定部と、表示オブジェクトの現実空間での位置を示す位置情報と前記表示オブジェクトの表示態様を示す態様情報とを識別情報に関連付けて記憶する記憶部と、表示オブジェクトの表示が行われる表示部と、撮影を行う撮影部とを有するコンピュータを、
前記特定部で特定された位置情報を基準として一定の距離内にある表示オブジェクトの識別情報に関連付けられた位置情報と態様情報とを前記記憶部から読み出す読出手段と、
前記読出手段で読み出された複数の識別情報に関連付けられた複数の態様情報から生成される複数の表示オブジェクトを前記撮影部で撮影された映像に整合する前記表示部における表示位置に表示し、ユーザ操作を介して表示の切り替えの指示を受け付けたと判断すると、当該コンピュータの位置情報と前記複数の表示オブジェクトの複数の位置情報とから夫々の距離を算出し、前記複数の表示オブジェクトの寸法を前記算出した距離が長いほど大きくして表示する表示制御手段と、
して機能させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−198668(P2012−198668A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−61442(P2011−61442)
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【出願人】(000191076)新日鉄ソリューションズ株式会社 (136)
【Fターム(参考)】