情報処理装置および方法、並びにプログラム
【課題】コンテンツ推薦のバリエーションを増やすようにする。
【解決手段】装置は、ユーザが好きであると判断できる特定人物をユーザ嗜好情報から抽出する(S21)。装置は、特定人物が出演するコンテンツを推薦候補として決定する(S22)。装置は、特定人物の類似人物を抽出する処理、即ち類似人物抽出処理を実行する(S3)。装置は、類似人物が出演するコンテンツを、推薦候補として決定する(S24)。装置は、推薦候補の中から、推薦コンテンツを選抜する(S25)。装置は、推薦コンテンツの一覧(推薦情報)を出力する(S26)。本発明は、テレビジョン放送番組等のコンテンツを推薦する推薦装置に適用可能である。
【解決手段】装置は、ユーザが好きであると判断できる特定人物をユーザ嗜好情報から抽出する(S21)。装置は、特定人物が出演するコンテンツを推薦候補として決定する(S22)。装置は、特定人物の類似人物を抽出する処理、即ち類似人物抽出処理を実行する(S3)。装置は、類似人物が出演するコンテンツを、推薦候補として決定する(S24)。装置は、推薦候補の中から、推薦コンテンツを選抜する(S25)。装置は、推薦コンテンツの一覧(推薦情報)を出力する(S26)。本発明は、テレビジョン放送番組等のコンテンツを推薦する推薦装置に適用可能である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置および方法、並びにプログラムに関し、特に、ユーザが嗜好する特定人物に基づくコンテンツ推薦だけではなく、ユーザの嗜好から外れない範囲内でバリエーションのあるコンテンツ推薦ができる情報処理装置および方法、並びにプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンテンツに付与されたメタデータを利用してコンテンツの推薦を行う推薦装置が利用されている(例えば特許文献1)。例えば、コンテンツとしてテレビジョン放送番組(以下、番組と適宜称する)を対象とした従来の推薦装置では、番組の出演者や番組のタイトル等を含む番組毎のメタデータを利用して、ユーザが嗜好する特定人物が出演している番組を認識し、それを推薦番組としてユーザに呈示することができる。
【特許文献1】特開2004−194108号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、ユーザにとっては、その特定人物への嗜好が強ければ強いほど、その特定人物が出演する番組は既に視聴していたり、既に録画予約している場合が多い。従って、このような場合、特許文献1を含む従来の推薦装置により推薦された番組は、ユーザにとって既知の番組であり、かかる番組の推薦は意味を成していない。このことは、番組のみならず、ユーザに配布されるコンテンツ一般に当てはまることである。
【0004】
換言すると、ユーザにとっては、ユーザが嗜好する特定人物に基づくコンテンツ推薦だけでは不十分であり、ユーザの嗜好から外れない範囲内でバリエーションのあるコンテンツ推薦をして欲しいという要望が存在する。しかしながら、特許文献1を含む従来の推薦装置では、かかる要望に十分に応えられていないという状況である。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、ユーザが嗜好する特定人物に基づくコンテンツ推薦だけではなく、ユーザの嗜好から外れない範囲内でバリエーションのあるコンテンツ推薦をできるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面の情報処理装置は、ユーザにコンテンツを推薦する情報処理装置であって、ユーザが嗜好する特定人物に関する人物情報を含む嗜好情報を保持する嗜好情報保持手段と、前記特定人物を含む複数の人物間における所定の類似基準に基づく各類似度を示す人物類似情報を保持する人物類似情報保持手段と、前記嗜好情報保持手段に保持された前記嗜好情報に基づいて前記特定人物を認識し、前記人物類似情報保持手段に保持された前記人物類似情報に基づいて、前記特定人物に類似すると判断できる類似人物を認識し、前記特定人物が出演するコンテンツと前記類似人物が出演するコンテンツとのうちの少なくとも一方を、ユーザに対して推薦すべき推薦コンテンツの候補として決定する推薦手段とを備える。
【0007】
前記所定の類似基準に基づく類似度は、人物が有する顔の特徴に基づく類似度である。
【0008】
前記所定の類似基準に基づく類似度は、人物が発声する声の特徴に基づく類似度である。
【0009】
前記所定の類似基準に基づく類似度は、人物が利用する言語の特徴に基づく類似度である。
【0010】
前記人物類似情報は、複数の類似基準のそれぞれに基づく各類似度を示す各情報からなり、前記推薦手段は、前記複数の類似基準のそれぞれについて、前記類似人物の候補と前記特定人物との間の各類似度を前記人物類似情報から取得し、取得した前記複数の類似基準のそれぞれについての前記各類似度と、コンテンツの内容に応じて変化する前記複数の類似基準の重要度合とに基づいて、前記類似人物の候補の総合的な類似度を演算し、前記総合的な類似度に基づいて、前記類似人物の候補を前記類似人物として認識するか否かを決定する。
【0011】
前記推薦手段は、前記特定人物として複数人を認識し、前記類似人物の候補と、前記複数の特定人物のそれぞれとの間の各類似度を前記人物類似情報から取得し、取得した前記各類似度に基づいて、前記類似人物の候補の総合的な類似度を演算し、前記総合的な類似度に基づいて、前記類似人物の候補を前記類似人物として認識するか否かを決定する。
【0012】
前記特定人物を含む前記複数の人物間における前記所定の類似基準に基づく各類似度をそれぞれ演算し、それらの演算結果を前記人物類似情報として前記人物類似情報保持手段に保持させる類似度演算手段をさらに備える。
【0013】
本発明の一側面の情報処理方法は、ユーザが嗜好する特定人物に関する嗜好情報を保持する嗜好情報保持手段と、前記特定人物を含む複数の人物間における所定の類似基準に基づく各類似度を示す人物類似情報を保持する人物類似情報保持手段とを備え、前記ユーザにコンテンツを推薦する情報処理装置の情報処理方法であって、前記嗜好情報保持手段に保持された前記嗜好情報に基づいて前記特定人物を認識し、前記人物類似情報保持手段に保持された前記人物類似情報に基づいて、前記特定人物に類似すると判断できる類似人物を認識し、前記特定人物が出演するコンテンツと前記類似人物が出演するコンテンツとのうちの少なくとも一方を、ユーザに対して推薦すべき推薦コンテンツの候補として決定するステップを含む。
【0014】
本発明の一側面のプログラムは、上述した本発明の一側面の情報処理方法に対応するプログラムである。
【0015】
本発明の一側面の情報処理装置および方法、並びにプログラムにおいては、ユーザが嗜好する特定人物に関する嗜好情報を保持する嗜好情報保持手段と、前記特定人物を含む複数の人物間における所定の類似基準に基づく各類似度を示す人物類似情報を保持する人物類似情報保持手段とを備え、前記ユーザにコンテンツを推薦する情報処理装置または推薦装置が対象となり、次のような処理が実行される。即ち、前記嗜好情報保持手段に保持された前記嗜好情報に基づいて前記特定人物が認識され、前記人物類似情報保持手段に保持された前記人物類似情報に基づいて、前記特定人物に類似すると判断できる類似人物が認識され、前記特定人物が出演するコンテンツと前記類似人物が出演するコンテンツとのうちの少なくとも一方が、ユーザに対して推薦すべき推薦コンテンツの候補として決定される。
【発明の効果】
【0016】
以上のごとく、本発明によれば、ユーザにコンテンツを推薦することができる。特に、ユーザが嗜好する特定人物に基づくコンテンツ推薦だけではなく、類似人物に基づくコンテンツ推薦ができるようになった。即ち、ユーザの嗜好から外れない範囲内でバリエーションのあるコンテンツ推薦をすることが可能になった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に本発明の実施の形態を説明するが、本発明の構成要件と、発明の詳細な説明に記載の実施の形態との対応関係を例示すると、次のようになる。この記載は、本発明をサポートする実施の形態が、発明の詳細な説明に記載されていることを確認するためのものである。従って、発明の詳細な説明中には記載されているが、本発明の構成要件に対応する実施の形態として、ここには記載されていない実施の形態があったとしても、そのことは、その実施の形態が、その構成要件に対応するものではないことを意味するものではない。逆に、実施の形態が構成要件に対応するものとしてここに記載されていたとしても、そのことは、その実施の形態が、その構成要件以外の構成要件には対応しないものであることを意味するものでもない。
【0018】
さらに、この記載は、発明の実施の形態に記載されている具体例に対応する発明が、請求項に全て記載されていることを意味するものではない。換言すれば、この記載は、発明の実施の形態に記載されている具体例に対応する発明であって、この出願の請求項には記載されていない発明の存在、すなわち、将来、分割出願されたり、補正により追加される発明の存在を否定するものではない。
【0019】
本発明の一側面の情報処理装置(例えば図2のコンテンツ推薦処理装置10)は、
ユーザにコンテンツを推薦する情報処理装置であって、
前記ユーザが嗜好する特定人物に関する嗜好情報(例えば図4の出演者情報Pupを含むユーザ嗜好情報)を保持する嗜好情報保持手段(例えば図2のユーザ嗜好情報保持部29)と、
前記特定人物を含む複数の人物間における所定の類似基準に基づく各類似度を示す人物類似情報(例えば図6の人物類似度情報)を保持する人物類似情報保持手段(例えば図2の人物類似度情報保持部31)と、
前記嗜好情報保持手段に保持された前記嗜好情報に基づいて前記特定人物を認識し、前記人物類似情報保持手段に保持された前記人物類似情報に基づいて、前記特定人物に類似すると判断できる類似人物を認識し、前記特定人物が出演するコンテンツと前記類似人物が出演するコンテンツとのうちの少なくとも一方を、ユーザに対して推薦すべき推薦コンテンツの候補として決定する推薦手段(例えば図2の推薦コンテンツ抽出部32)と
を備える。
【0020】
前記人物類似情報は、複数の類似基準のそれぞれに基づく各類似度を示す各情報からなり(例えば図6の例の人物類似度情報は、類似基準の一例としての「顔」の類似度表、類似基準の一例としての「声」の類似度表、および、類似基準の一例としての「言語」の類似度表からなり)、
前記推薦手段は、
前記複数の類似基準のそれぞれについて、前記類似人物の候補と前記特定人物との間の各類似度を前記人物類似情報から取得し(例えば図8のステップS44の処理を実行し)、
取得した前記複数の類似基準のそれぞれについての前記各類似度と、コンテンツの内容に応じて変化する前記複数の類似基準の重要度合(例えば図11のコンテンツのジャンル(内容)に応じて変化する各重み係数α,β,γ)とに基づいて、前記類似人物の候補の総合的な類似度を演算し(例えば図8のステップS50(詳細は図10)の複数の使用類似基準の総合類似度演算処理を実行し)、
前記総合的な類似度に基づいて、前記類似人物の候補を前記類似人物として認識するか否かを決定する(例えば図8のステップS51の処理を実行する)。
【0021】
前記推薦手段は、
前記特定人物として複数人を認識し、
前記類似人物の候補と、前記複数の特定人物のそれぞれとの間の各類似度を前記人物類似情報から取得し(例えば図8のステップS43乃至S45のループ処理を繰り返し実行し)、
取得した前記各類似度に基づいて、前記類似人物の候補の総合的な類似度を演算し(例えば図8のステップS47(詳細は図9)の複数の特定人物の総合類似度演算処理を実行し)、
前記総合的な類似度に基づいて、前記類似人物の候補を前記類似人物として認識するか否かを決定する(例えば、図8のステップS51の処理を実行する)。
【0022】
前記特定人物を含む前記複数の人物間における前記所定の類似基準に基づく各類似度をそれぞれ演算し、それらの演算結果を前記人物類似情報として前記人物類似情報保持手段に保持させる類似度演算手段(例えば図2の人物類似度情報生成部30)をさらに備える。
【0023】
本発明の一側面の情報処理方法(例えば図7のコンテンツ推薦処理に対応する方法)は、
ユーザが嗜好する特定人物に関する嗜好情報(例えば図4の出演者情報Pupを含むユーザ嗜好情報)を保持する嗜好情報保持手段(例えば図2のユーザ嗜好情報保持部29)と、
前記特定人物を含む複数の人物間における所定の類似基準に基づく各類似度を示す人物類似情報(例えば図6の人物類似度情報)を保持する人物類似情報保持手段(例えば図2の人物類似度情報保持部31)とを備え、
前記ユーザにコンテンツを推薦する情報処理装置(例えば図2のコンテンツ推薦処理装置10)の情報処理方法であって、
前記嗜好情報保持手段に保持された前記嗜好情報に基づいて前記特定人物を認識し(例えば図7のステップS21)、前記人物類似情報保持手段に保持された前記人物類似情報に基づいて、前記特定人物に類似すると判断できる類似人物を認識し(例えば図7のステップS23、即ち、図8の類似人物抽出処理)、前記特定人物が出演するコンテンツと前記類似人物が出演するコンテンツとのうちの少なくとも一方を、ユーザに対して推薦すべき推薦コンテンツの候補として決定する(例えば図7のステップS22、S24)ステップを含む。
【0024】
本発明の一側面のプログラムは、上述した本発明の一側面の情報処理方法に対応するプログラムであって、例えば図12のコンピュータにより実行される。
【0025】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
【0026】
はじめに、図1を用いて、テレビジョン番組放送、およびストリーミングデータの配信について説明する。
【0027】
即ち、本実施の形態では、テレビジョン放送番組(ここでも番組と適宜略記する)と、配信ストリーミングデータとがコンテンツの一例として採用されている。
【0028】
放送局1は、地上波の番組放送を送信するか、もしくは、衛星2を介して衛星波の番組放送を送信する。図1の例では、放送局1は1つだけ図示されているが、放送局1が、複数局存在し得ることはいうまでもない。テレビジョン受信装置4のアンテナ3は、地上波、または衛星波の番組放送を受信する。放送信号には、必要に応じて、EPG(Electronic Program Guide)情報が含まれている。
【0029】
配信サーバ5は、ストリーミングデータデータベース6から、映像や音声等のコンテンツを構成するストリーミングデータを読み出し、インターネットその他のネットワークを含むネットワーク8を介して、テレビジョン受信装置4に配信する。また、配信サーバ5は、そのストリーミングデータに関するメタデータを含む情報をメタデータデータベース7から読み出して、ネットワーク8を介して、EPG受信装置9に配信する。さらにまた、配信サーバ5は、放送局1から放送される番組に関するEPG情報を、メタデータデータベース7から読み出して、ネットワーク8を介して、EPG受信装置9に配信する。
【0030】
一般的な放送信号に重畳されるEPG情報の情報量が、以下に説明する処理に十分な情報である場合、処理には、一般的な放送信号に重畳されるEPG情報と同一のものを利用するようにしてもよい。また、一般的な放送信号に重畳されるEPG情報の情報量が、以下に説明する処理に十分な情報であるとはいえない場合、処理には、一般的な放送信号に重畳されるEPG情報に加えて、もしくは単独で、メタデータを利用するようにしても良い。以下、一般的な放送信号に重畳されるEPG情報では、処理に十分な情報量がないため、本実施の形態では、メタデータを含む情報を利用するものとする。そして、この情報と、ストリーミングデータに関するメタデータを含む情報とをあわせたものを、EPGデータと総称するとする。
【0031】
EPG受信装置9は、配信されたEPGデータを、テレビジョン受信装置4に提供する。
【0032】
チューナを有するテレビジョン受信装置4は、操作部を有するテレビジョン表示装置11、または、録画再生装置12から提供されるチャンネルの選択を示す制御信号に基づいて、アンテナ3を介して、地上波、または衛星波の放送信号を選局して受信するとともに、配信サーバ5からのストリーミングデータの配信をネットワーク8を介して受け、所定の形態の映像/音声信号として、テレビジョン表示装置11、または、録画再生装置12に提供する。また、テレビジョン受信装置4は、EPG受信装置9から、EPGデータの供給を受け、テレビジョン表示装置11、または、録画再生装置12に提供する。なお、テレビジョン受信装置4は、受信した放送波に、EPGデータが含まれていた場合、番組の信号と分離して、それぞれ、テレビジョン表示装置11、または、録画再生装置12に提供する。
【0033】
コンテンツ推薦処理装置10は、配信サーバ5から配信された若しくは配信予定のストリーミングデータと、放送局1から放送された若しくは放送予定のテレビジョン放送番組(以下、これらをまとめてコンテンツと称する)のうちの、ユーザの嗜好に合致したコンテンツを推薦するための推薦情報を生成し、テレビジョン表示装置11および録画再生装置12に提供する。なお、コンテンツ推薦処理装置10の詳細については、図2以降の図面を参照して後述する。
【0034】
テレビジョン表示装置11は、ユーザの操作入力を基に、テレビジョン受信装置4から提供された映像/音声信号、または、録画再生装置12から再生された映像/音声信号の表示や音声出力をしたり、コンテンツ推薦処理装置10から提供された推薦情報に基づいて、チャンネルを自動設定したり、推薦番組情報を表示する。テレビジョン表示装置11は、ユーザの操作履歴である操作ログをコンテンツ推薦処理装置10に提供する。
【0035】
録画再生装置12は、ユーザの操作入力に基づいて、テレビジョン受信装置4から提供された映像/音声信号を、装着された記録媒体、または、内蔵する記録媒体(例えば、ハードディスク)に録画したり、コンテンツ推薦処理装置10から提供された推薦情報に基づいて、テレビジョン受信装置4から提供された映像/音声信号を、装着された記録媒体、または、内蔵する記録媒体に自動録画する。また、録画再生装置12は、装着された記録媒体、または、内蔵する記録媒体に録画されている映像/音声信号を再生し、テレビジョン表示装置11に提供する。更に、録画再生装置12は、ユーザの操作履歴である操作ログをコンテンツ推薦処理装置10に提供する。
【0036】
ここでは、EPG受信装置9、テレビジョン受信装置4、コンテンツ推薦処理装置10、テレビジョン表示装置11、および、録画再生装置12を、それぞれ異なる装置として説明したが、これらの装置は、必ずしも個別に構成する必要はない。例えば、EPG受信装置9、テレビジョン受信装置4、および、テレビジョン表示装置11を、チューナ機能を内蔵したテレビジョン受像機15−1として、一体的に構成するようにしてもよいことはいうまでもない。さらに、録画再生装置12も一体的に構成して、録画機能を有するテレビジョン受像機15−2として構成するようにしてもよい。この録画再生装置12は、記録媒体として、大容量のハードディスクを有する、いわゆるハードディスクレコーダであってもよいことはいうまでもない。また、コンテンツ推薦処理装置10を、チューナ機能を内蔵したテレビジョン受像機15−1に内蔵して、テレビジョン受像機15−3としても、または、録画機能を有するテレビジョン受像機15−2に内蔵して、テレビジョン受像機15−4とするようにしてもよい。
【0037】
図2は、コンテンツ推薦処理装置10の機能的構成例を示している。
【0038】
図2の例では、コンテンツ推薦処理装置10は、データ取得部21乃至推薦情報保持部34を含むように構成されている。
【0039】
データ取得部21は、配信サーバ5からネットワーク8を介して配信されたデータや、放送局1から放送されてテレビジョン受信装置4に受信されたテレビジョン放送番組のデータを取得する(図1参照)。データ取得部21は、取得したデータがストリーミングデータやテレビジョン放送番組のデータ(以下、これらをまとめてコンテンツデータと称する)の場合、そのコンテンツデータをコンテンツ情報保持部24に保持させる。また、データ取得部21は、取得したデータがEPGデータの場合、そのEPGデータをメタデータ抽出部22に提供する。
【0040】
メタデータ抽出部22は、データ取得部21から提供されたEPGデータから、図3を用いて後述するコンテンツ情報を生成するために必要な各種メタデータを抽出し、コンテンツ情報生成部23に提供する。
【0041】
コンテンツ情報生成部23は、メタデータ抽出部22から提供された所定のコンテンツに関するメタデータに基づいて、その所定のコンテンツに関する各種情報群(以下、コンテンツ情報と称する)を生成し、コンテンツ情報保持部24に提供する。
【0042】
即ち、コンテンツ情報保持部24には、複数のコンテンツ毎に、実データであるコンテンツデータと、それに関する各種情報の集合体であるコンテンツ情報とが対応付けられて保持される。
【0043】
かかるコンテンツ情報の一例が、図3に示されている。図3の例では、コンテンツ情報は、ベクトルPPで表現されている。即ち、図2のコンテンツ情報生成部23は、メタデータ抽出部22から抽出された各種メタデータに含まれているN個(Nは1以上の整数値)の項目の情報を各成分として有するベクトルPPを、コンテンツ情報として生成してコンテンツ情報保持部24に保持させる。
【0044】
ここでいうN個の項目とは、EPGデータで規定されている項目に限定されず、設計者等が任意に設定可能な項目をいう。例えば、図3の例では、N=7の大項目T,G,H,S,P,A,Kが採用されている。これら7つの大項目のそれぞれについてのコンテンツに関する各情報が、Tm,Gm,Hm,Sm,Pm,Am,Kmとされている。そして、これらの7つの項目情報Tm,Gm,Hm,Sm,Pm,Am,Kmが、コンテンツ情報としてのベクトルPPの各成分に代入されている。即ち、ベクトルPP=(Tm,Gm,Hm,Sm,Pm,Am,Km)が、コンテンツ情報として生成されている。
【0045】
ただし、後述する図4のユーザ嗜好情報のベクトルUPとのマッチング処理にコンテンツ情報が使用される場合、ベクトルPPそのものではなく、PP'=(Tm,Gm,Pm,Am,Km)が使用される。比較相手のユーザ嗜好情報のベクトルUPと次元をあわせるためである。
【0046】
ここに、大項目Tとは「タイトル(Title)」を意味し、タイトル情報Tm={Title}が、ベクトルPPの対応する成分に代入される。
【0047】
大項目Gとは「ジャンル(Genre))を意味し、ジャンル情報Gm={ドラマ,バラエティ,スポーツ,映画,音楽,子供向け/教育,教養/ドキュメント,ニュース/報道,その他}が、ベクトルPPの対応する成分に代入される。
【0048】
大項目Hとは「時間帯(Hour)」を意味し、時間帯情報Hm={朝,昼,夕方,ゴールデン,深夜}が、ベクトルPPの対応する成分に代入される。
【0049】
大項目Sとは「放送局(TV Station)」を意味し、放送局情報Sm={NNK総合,NNK教育,亜細亜テレビ,TTS,ブジ,テレ日,東都,NNK衛星第1,NNK衛星第2,WOWO}が、ベクトルPPの対応する成分に代入される。なお、図3の例では図示されていないが、配信サーバ5も1つの放送局とみなして、配信サーバ5の名称も、放送局情報Smに含めてもよい。
【0050】
大項目Pとは「出演者(Person)」を意味し、出演者情報Pm={person A,person B,・・・}が、ベクトルPPの対応する成分に代入される。
【0051】
大項目Aとは、「脚本/原作/演出等(Author)」を意味し、脚本/原作/演出等情報Am={person a,person b,・・・}が、ベクトルPPの対応する成分に代入される。
【0052】
大項目Kとは、「内容(キーワード)(Keyword)」を意味し、内容情報Km={kw1,kw2,・・・}が、ベクトルPPの対応する成分に代入される。
【0053】
上述した7つの大項目の中で、大項目「G:ジャンル」、「S:放送局」、「H:時間帯」は、種類が固定できるため、各項目情報Gm,Sm,Hmのそれぞれは、数値ベクトルで表すことができる。
【0054】
具体的には例えば、ジャンル情報Gm={ドラマ,バラエティ,スポーツ,映画,音楽,子供向け/教育,教養/ドキュメント,ニュース/報道,その他}において、ベクトルPPの生成対象となっているコンテンツのジャンルが、教養/ドキュメントであった場合、ジャンル情報Gm={0,0,0,0,0,0,1,0,0}で表すことができる。
【0055】
また例えば、放送局Sm={NNK総合,NNK教育,亜細亜テレビ,TTS,ブジ,テレ日,東都,NNK衛星第1,NNK衛星第2,WOWO}において、ベクトルPPの生成対象となっているコンテンツ(ここではテレビジョン放送番組)を放送する放送局が、WOWOである場合、放送局情報Sm={0,0,0,0,0,0,0,0,0,1}で表すことができる。
【0056】
時間帯情報Hmも、具体例は記述しないが、上述したジャンル情報Gmや放送局情報Smと同様に、数値ベクトルで表すことができる。
【0057】
一方、大項目「T:タイトル」、「P:出演者」、「A:脚本/原作/演出」、「K:内容」などの各項目情報Tm、Pm、Am、Kmは、単純に数値ベクトルで表すことができない。そこで、コンテンツのメタデータ等に含まれる単語の頻度などによって、項目値(単語)と重み(数値)が対応付けられて生成される。例えば、タイトル情報Tm={東海道−1,三谷−1,怪談−1}のように、それぞれの項目値−数値で構成される項目情報を各要素とするベクトルによって表すことができる。この例における、例えば、「東海道−1」は、「東海道」の単語の頻度が「1」であることを意味する。具体例は記述しないが、出演者情報Pm、脚本/原作/演出等情報Am、および、内容情報Kmも、単語−数値で構成される項目情報を各要素とするベクトルによって表すことができる。
【0058】
図2に戻り、操作入力部25は、例えば、キーボード、タッチパッド、マウスなどの入力デバイスで構成され、ユーザが入力した初期登録情報や、ユーザモデル生成のためのトピックの入力を受け、それらの情報を初期登録情報保持部26に保持させる。即ち、初期登録情報保持部26は、操作入力部25から提供された初期登録内容や、ユーザモデル生成のためのトピックを保持し、必要に応じて、ユーザ嗜好情報生成部28や推薦コンテンツ抽出部32に提供する。また、初期登録情報保持部26に保持されている内容は、操作入力部25から入力されるユーザの操作に基づいて、逐次更新される。初期登録される内容には、例えば、嫌いなジャンル、嫌いなキーワード、嫌いな出演者などの、ユーザが好まないコンテンツを示す情報や、好きなジャンル、好きなキーワード、好きな出演者などの、ユーザが好むコンテンツを示す情報を採用できる。
【0059】
操作ログ取得部27は、テレビジョン表示装置11または録画再生装置12(図1)から、操作ログを取得し、ユーザ嗜好情報生成部28に提供する。
【0060】
ユーザ嗜好情報生成部28は、この操作ログや、初期登録情報保持部26に保持されている各種情報等に基づいて、コンテンツ推薦処理装置10自身或いは図1のテレビジョン表示装置11や録画再生装置12を操作するユーザの嗜好の傾向を示す情報(以下、ユーザ嗜好情報と称する)を生成し、ユーザ嗜好情報保持部29に保持させる。また、ユーザ嗜好情報がユーザ嗜好情報保持部29に既に保持されている場合、ユーザ嗜好情報生成部28は、操作ログ取得部27から新たに提供されてきた操作ログや、初期登録情報保持部29の更新内容等に基づいて、ユーザ嗜好情報の内容を適宜更新する。
【0061】
なお、ユーザ嗜好情報としては、例えば正履歴情報と負履歴情報との両者を採用できるが、本実施の形態では、説明の簡略上、正履歴情報のみがユーザ嗜好情報として用いられるとする。
【0062】
ここに、負履歴情報とは、ユーザが使用(視聴や録画等)するのに消極的である、換言すれば、好ましくないと思うコンテンツを、推薦コンテンツから除外するために用いられる情報をいう。ただし、上述したように、本実施の形態では、負履歴情報は使用されないので、その詳細な説明は省略する。
【0063】
これに対して、正履歴情報とは、ユーザが積極的に使用(視聴や録画等)するであろう、換言すれば、好ましいと思うであろうコンテンツを、推薦コンテンツの候補として抽出するために用いられる情報をいう。例えば、ユーザが、コンテンツの使用(視聴や録画等)をした場合、または、後述する処理によりユーザに推薦情報として提示された推薦コンテンツが、ユーザに受け入れられて使用(視聴や録画等)された場合、その推薦コンテンツのメタデータは、好印象メタデータとして、正履歴情報の一部として利用される。ここに、一部と記述したのは、正履歴情報は、上述したコンテンツ情報のベクトルPPのようにベクトルとして表現でき、かかるベクトルの一成分に代入される情報自身として、またはその成分情報を生成する情報として、利用されるからである。
【0064】
このように、本実施の形態では、ユーザ嗜好情報は、ベクトルの形態でユーザ嗜好情報生成部28により生成されて、ユーザ嗜好情報保持部29に保持される。具体的には例えば、図4に示されるようなベクトルUPが、ユーザ嗜好情報としてユーザ嗜好情報生成部28により生成されて、ユーザ嗜好情報保持部29に保持される。
【0065】
即ち、図4の例では、大項目として、「タイトル」,「ジャンル」,「出演者」,「脚本/原作/演出」,「内容(キーワード)」が採用されており、それらの各大項目のそれぞれについてのユーザの正履歴情報Tup,Gup,Pup,Aup,Kupを各成分として構成されるベクトルUP、即ち、UP=(Tm,Gm,Pm,Am,Km)がユーザ嗜好情報として生成されている。
【0066】
この場合、正履歴情報Tup,Gup,Pup,Aup,Kupのそれぞれは、項目値(単語)と重み(数値)が対応付けられた情報として生成される。この重み(数値)としては、例えばユーザの嗜好度合(好ましいと思う度)を示す値(操作頻度の値含)が採用される。例えば、図4の例では、タイトル正履歴情報Tup={Title1−12,Title2−3}のように、それぞれの項目値−数値で構成されるタイトル情報を各要素とするベクトルによって表すことができる。この例における、例えば、「Title1−12」は、「Title1」に対するユーザの嗜好度合は「12」であることを意味する。一方、「Title2−3」は、「Title2」に対するユーザの嗜好度合は「3」であることを意味する。即ち、ユーザの嗜好が強いほど嗜好度合の数値も大きくなっていくとすれば、ユーザは、「Title2」よりも「Title1」の方が好きであると判断できることになる。
【0067】
図2に戻り、人類類似度情報生成部30は、1以上のコンテンツのそれぞれに出演する人物を対象として、それらの各人物間の類似度に関する情報(以下、人物類似度情報)を生成し、人物類似度情報保持部31に保持させる。なお、人物類似度情報の詳細については、図5と図6とを参照して後述する。
【0068】
推薦コンテンツ抽出部32は、ユーザ嗜好情報保持部29に保持されているユーザ嗜好情報に基づいて、ユーザの嗜好に合致すると判断できるコンテンツを、ユーザに推薦すべきコンテンツ(以下、推薦コンテンツと称する)として、コンテンツ情報保持部24から抽出する。なお、ここでいう抽出とは、推薦コンテンツのコンテンツデータそのものの抽出ではなく、推薦コンテンツを特定できる情報、即ち、推薦コンテンツに関するコンテンツ情報の少なくとも一部の抽出を意味する。
【0069】
なお、この場合の抽出手法は特に限定されず、例えば、コンテンツ情報保持部24に保持されている複数のコンテンツのそれぞれについての各ベクトルPP'=(Tm,Gm,Pm,Am,Km)と(図3参照)、ユーザ嗜好情報保持部29に保持されているユーザ嗜好情報のベクトルUP =(Tm,Gm,Pm,Am,Km)と(図4参照)のマッチング処理を実行し、ベクトルUPとマッチングしたベクトルPPを有するコンテンツを、推薦コンテンツとして抽出する、という手法を採用してもよい。
【0070】
ただし、本実施の形態では説明の簡略上、コンテンツの登場人物に着目し、ユーザ嗜好情報保持部29に保持されているユーザ嗜好情報において、ユーザの嗜好度合いが高い人物を特定人物として抽出し、その特定人物が出演しているコンテンツを推薦コンテンツとして抽出する、という手法を採用しているとする。
【0071】
即ち、本実施の形態では、推薦コンテンツ抽出部32は、図4の出演者情報Pupの中で、所定の閾値以上の重み値(嗜好度合)を有するPerson(人物)を特定人物として抽出する。例えば閾値が30である場合には、重み値「43」を有するpersonBが特定人物として抽出される。そして、推薦コンテンツ抽出部32は、コンテンツ情報保持部24に保持されている複数のコンテンツのそれぞれに関するコンテンツ情報の図3の出演者情報Pmの中に、特定人物が含まれている(ベクトルの対応する成分が1である)か否かをそれぞれ認識し、特定人物が含まれているコンテンツ情報またはその一部を、推薦コンテンツのコンテンツ情報またはその一部として抽出する。即ち、推薦コンテンツの抽出が行われる。
【0072】
さらに、推薦コンテンツ抽出部32は、人類類似度情報保持部31に保持されている人類類似度情報に基づいて、上述した特定人物に類似すると判断できる人物(以下、類似人物と称する)を認識する。そして、推薦コンテンツ抽出部32は、図3の出演者情報Pmに類似人物が含まれている(ベクトルの対応する成分が1である)コンテンツ情報を有するコンテンツを、推薦コンテンツとして抽出する。即ち、出演者情報Pmに類似人物が含まれている(ベクトルの対応する成分が1である)コンテンツ情報自身またはそのうちの一部の情報もまた、推薦コンテンツのコンテンツ情報またはその一部として抽出される。なお、この一連の処理の詳細例については、類似人物抽出処理として、図8乃至図11を参照して後述する。
【0073】
なお、推薦コンテンツ抽出部32が類似人物を利用して推薦コンテンツを抽出する処理は、上述した処理例に限定されず、任意の処理を採用することができる。具体的には例えば、ユーザではなくコンテンツの登場人物となり得る人物に関するベクトルUman、例えば、その人物が登場人物となったコンテンツの数や頻度等に基づく各種情報を成分として構成されるベクトルUmanを各人物毎に予め作成しておき、類似人物に関するベクトルUmanと、ベクトルPP'とのマッチング処理を実行し、ベクトルUmanとマッチングしたベクトルPP'を有するコンテンツを、推薦コンテンツとして抽出する、といった手法を採用してもよい。
【0074】
推薦コンテンツ抽出部32は、このようにして抽出した推薦コンテンツの一覧を推薦情報として生成し、推薦情報出力部33に出力する。
【0075】
なお、推薦コンテンツ抽出部32は、抽出したコンテンツを直ちに推薦コンテンツとせずに、推薦候補とするに留め、その後、適当な手法で選抜した推薦候補を、推薦コンテンツとして決定するようにしてもよい。換言すると、抽出されたコンテンツを、推薦コンテンツの一覧に含めるか否かの処理を選抜処理と捉え、抽出されたコンテンツの全てを推薦コンテンツの一覧に含めることも許可されていると捉えれば、結局、抽出されたコンテンツはみな推薦候補であると捉えることもできる。
【0076】
推薦情報出力部33は、推薦コンテンツ抽出部32から提供された推薦情報を、テレビジョン表示装置11や録画再生装置12(図1)に適宜出力する。また、推薦情報出力部33は、推薦情報を推薦情報保持部34に適宜保持させる。
【0077】
次に、かかる図2の機能的構成を有するコンテンツ推薦処理装置10の処理のうちの、人物類似度情報を生成または更新する処理(以下、人物類似度情報生成/更新処理と称する)と、その人物類似度情報等を利用して推薦情報を生成して出力するまでの一連の処理(以下、コンテンツ推薦処理と称する)とについて、その順番で個別に説明していく。
【0078】
図5のフローチャートは、人物類似度情報生成/更新処理の一例を示している。
【0079】
ステップS1において、図2の人物類似度情報生成部30は、コンテンツ情報保持部24に保持されているコンテンツ情報に基づいて、複数の出演者を抽出する。
【0080】
具体的には例えば、人物類似度情報生成部30は、各コンテンツのそれぞれに関する各コンテンツ情報の出演者情報Pm(図4参照)にそれぞれ含まれているPerson(人物)を全て抽出する。
【0081】
ステップS2において、人物類似度情報生成部30は、処理対象類似基準を設定する。
【0082】
ここで、処理対象類似基準について説明する。
【0083】
人物間の類似度は、人物が有する様々な特徴のうちの所定の特徴に着目し、その所定の特徴がどの程度類似しているのかを所定の手法に従って演算することで算出可能である。かかる演算の対象となり得る人物の特徴を、ここでは類似基準と称している。
【0084】
即ち、各人物によって差異を生じる特徴であって、その差異を定性的に表現できる特徴であれば、例えば、人物毎に特徴量を抽出可能でありその特徴量で差異を表現できる特徴であれば、何れの特徴も類似基準として採用可能である。具体的には例えば本実施の形態では、人物が有する顔の特徴(以下、単に「顔」と記述する)、人物が発声する声(以下、単に「声」と記述する)、および、人物が発話したり執筆したりするときに利用する言語の特徴(以下、単に「言語」と記述する)が、それぞれ類似基準として採用されているとする。
【0085】
従って、本実施の形態では、ステップS2の処理によって、「顔」、「声」、および「言語」のうちの所定の1つの類似基準が、処理対象類似基準として設定される。
【0086】
ステップS3において、人物類似度情報生成部30は、ステップS1の処理で抽出された複数の出演者を、処理対象類似度基準の類似度表に登録する。
【0087】
ここに、類似度表とは、例えば図6に示されるようなテーブル、即ち、所定の類似度基準についての各出演者間の類似度をそれぞれ記述するテーブルをいう。即ち、本実施の形態では、図6に示されるように、「顔」、「声」、および「言語」の類似度表が、人物類似度情報として人物類似度情報保持部31に保持されることになる。
【0088】
従って、処理対象類似基準についての類似度表が人物類似度情報保持部31にまだ保持されていない場合、ステップS3の処理では、ステップS1の処理で抽出された複数の出演者全員が登録された類似度表(ただし、類似度を示す数値は未記載の類似度表)が新たに生成されて、人物類似度情報保持部31に保持される。
【0089】
具体的には例えば、処理対象類似基準が「顔」であって、ステップS1の処理で「俳優A」、「俳優B」、「歌手C」、「歌手D」、「司会者E」、および「司会者F」が抽出された場合には、ステップS3の処理により、図6の「顔」の類似度表(ただし、類似度を示す各数値は未記載の類似度表)が新たに生成されて、人物類似度情報保持部31に保持される。
【0090】
これに対して、処理対象類似基準についての類似度表が人物類似度情報保持部31に既に保持されている場合、ステップS3の処理では、ステップS1の処理で抽出された複数の出演者のうちの、類似度表に未登録の出演者のみが新たに登録される。即ち、類似度表の内容が更新される。
【0091】
具体的には例えば、処理対象類似基準が「顔」であって、図6の状態の「顔」の類似度表が人物類似度情報保持部31に既に保持されていた場合に、人物GがステップS1の処理で抽出されたときには、図示はしないが、ステップS3の処理により、「司会者F」の列の右方に「人物G」の列が新規作成され、また、「司会者F」の行の下方に「人物G」の行が新規作成される。
【0092】
ステップS4において、人物類似度情報生成部30は、処理対象類似基準に応じた類似度演算手法に基づいて、出演者の情報を取得する。そして、ステップS5において、人物類似度情報生成部30は、処理対象類似基準に応じた類似度演算手法に従って、各出演者間の類似度をそれぞれ演算する
【0093】
ここで、処理対象類似基準に応じた類似度演算手法の具体例についてその概略を説明する。
【0094】
例えば、処理対象類似基準として「顔」が設定されている場合には、次のような類似度演算手法を採用できる。
【0095】
即ち、人物類似度情報生成部30は、各出演者の顔データを抽出する。この抽出手法は特に限定されず、例えば、所定の出演者の顔データが外部またはコンテンツ情報保持部24等に予め保持されていれば、その顔データをそのまま抽出する、という手法を採用できる。また例えば、そのような顔データが存在しない場合には、コンテンツ情報保持部24に保持されているコンテンツデータのうちの動画データから、抽出対象の出演者の顔が含まれている静止画データを生成し、その静止画データから顔の領域データを顔データとして抽出する、という手法を採用できる。
【0096】
次に、人物類似度情報生成部30は、複数の出演者の各顔データから、「顔」の類似度演算手法に応じた特徴量をそれぞれ抽出する。
【0097】
例えば、「顔」の類似度演算手法として、主成分分析を行った空間上でのEuclid距離を利用する手法が採用されている場合には、顔データ(画像データ)から輝度情報が抽出され、その輝度データが主成分分析により次元圧縮された結果得られるデータが、「顔」の類似度演算手法に応じた特徴量として抽出されることになる。この「顔」の類似度演算手法に応じた特徴量が、ステップS4の処理で言う出演者の情報の一例である。
【0098】
従って、ステップS5の処理では、抽出された各人物のそれぞれについての特徴量間の、特徴量空間上での適切な距離尺度に基づいて、各人物間の類似度が計算される。即ち、複数の出演者のそれぞれの顔データ(画像データ)から輝度情報がそれぞれ抽出され、それぞれの輝度情報が主成分分析により次元圧縮された結果得られるそれぞれのデータが、各人物の特徴量となる。かかる各人物の特徴量間の、主成分分析を行った空間上での各Euclid距離がそれぞれ演算される。そして、それらの各Euclid距離が、他の類似基準(「声」や「言語」)と比較できるように正規化された値(例えばここでは、0乃至1の範囲の値)が、各出演者間の類似度として算出される。
【0099】
また例えば、処理対象類似基準として「声」が設定されている場合には、次のような類似度演算手法を採用できる。
【0100】
即ち、人物類似度情報生成部30は、各出演者の音声波形データを抽出する。この抽出手法は特に限定されず、例えば、所定の出演者の音声波形データが外部またはコンテンツ情報保持部24等に予め保持されていれば、その音声波形データをそのまま抽出する、という手法を採用できる。また例えば、そのような音声波形データが存在しない場合には、コンテンツ情報保持部24に保持されているコンテンツデータのうちの音声データから、抽出対象の出演者が発声している区間から音声波形データを抽出する、という手法を採用できる。
【0101】
次に、人物類似度情報生成部30は、複数の出演者の各音声波形データから、「声」の類似度演算手法に応じた特徴量をそれぞれ抽出する。
【0102】
例えば、「声」の類似度演算手法として、HMM(Hidden Markov Model)やGMM(Gaussian Mixtures Model)等の音響モデルを用いる手法が採用されている場合には、MFCC(Mel Frequency Cepstrum Coefficient)等の特徴量が、「声」の類似度演算手法に応じた特徴量として抽出されることになる。この「声」の類似度演算手法に応じた特徴量が、ステップS4の処理で言う出演者の情報の一例である。
【0103】
従って、ステップS5の処理では、抽出された各人物のそれぞれについての特徴量間の、特徴量空間上での適切な距離尺度に基づいて、各人物間の類似度が計算される。即ち、例えば、複数の出演者のそれぞれの音声波形データから抽出された特徴量分布が混合正規分布でモデル化され、ある話者(出演者)の音声を他者(他の出演者)のモデルに適応した際のスコアが正規化され、それが距離尺度として利用され、それらの各距離尺度が、他の類似基準(「顔」や「言語」)と比較できるように正規化された値(例えばここでは、0乃至1の範囲の値)が、各出演者間の類似度として算出される。
【0104】
また例えば、処理対象類似基準として「言語」が設定されている場合には、次のような類似度演算手法を採用できる。
【0105】
即ち、人物類似度情報生成部30は、各出演者のテキスト情報中に出現する単語の頻度を抽出する。出演者のテキスト情報として、例えば、出演者のコンテンツ中での発話を音声認識で書き起こしたものを採用できる。この場合の音声認識の手法は特に限定されず、例えばHMM等の音響モデルを用いる手法を採用できる。また例えば、出演者のテキスト情報として、出演者の著作やインタビュー記事などのテキスト情報を採用できる。出演者の著作やインタビュー記事などのテキスト情報は、外部またはコンテンツ情報保持部24等から取得すればよい。
【0106】
次に、人物類似度情報生成部30は、複数の出演者の各テキスト情報から、「言語」の類似度演算手法に応じた特徴量をそれぞれ抽出する。
【0107】
例えば、「言語」の類似度演算手法として、いわゆるベクトル空間法が採用されている場合には、複数の出演者の各テキスト情報のそれぞれに出現した各単語が、「言語」の類似度演算手法に応じた特徴量として抽出されることになる。この「言語」の類似度演算手法に応じた特徴量が、ステップS4の処理で言う出演者の情報の一例である。
【0108】
従って、ステップS5の処理では、抽出された各人物のそれぞれについての特徴量間の、特徴量空間上での適切な距離尺度に基づいて、各人物間の類似度が計算される。即ち、出現した個々の単語を独立した軸と考え、その出現頻度を値とする多次元空間の多次元ベクトル(多次元空間上の1点)として複数の出演者のそれぞれが表現され、複数の出演者のそれぞれについての各多次元ベクトル間の余弦(cosine)距離が演算され、それらの各余弦距離が、他の類似基準(「顔」や「声」)と比較できるように正規化された値(例えばここでは、0乃至1の範囲の値)が、各出演者間の類似度として算出される。
【0109】
なお、「顔」、「声」、および「言語」のそれぞれに応じた類似度演算手法は、上述した例に限定されず、その他の如何なる手法を採用できることはいうまでもない。
【0110】
このようにして、ステップS5の処理で各出演者間の類似度が演算されると、処理はステップS6に進む。
【0111】
ステップS6において、人物類似度情報生成部30は、各出演者間の類似度を、処理対象類似基準の類似度表に記述する。
【0112】
具体的には例えば、処理対象類似基準が「顔」であって、ステップS1の処理で「俳優A」、「俳優B」、「歌手C」、「歌手D」、「司会者E」、および「司会者F」が抽出されて、ステップS3の処理で、「俳優A」、「俳優B」、「歌手C」、「歌手D」、「司会者E」、および「司会者F」が登録された類似度表が新たに生成されたとする。このような場合には、ステップS6の処理の結果として、図6に示されるような類似度を示す各数値が、対応する項目にそれぞれ記述された「顔」の類似度表が完成し、人物類似度情報保持部31に保持されることになる。
【0113】
これにより、各人物間の類似度が容易にわかるようになる。例えば、図6の「顔」の類似度表にに着目すると、「俳優A」と「俳優B」との類似度は「0.6」であり、「俳優A」と「歌手C」との類似度は「0.3」であることが容易にわかる。これにより、「俳優A」の顔は、「歌手C」の顔よりも「俳優B」の顔に類似していることも容易にわかる。
【0114】
図5に戻り、ステップS7において、人物類似度情報生成部30は、別の類似基準の類似度表も作成/更新するか否かを判定する。
【0115】
ステップS7において、別の類似基準の類似度表も作成/更新すると判定された場合、処理はステップS2に戻され、それ以降の処理が繰り返される。即ち、本実施の形態では、「顔」、「声」、および「言語」のそれぞれに対して、ステップS2乃至S7のループ処理が繰り返し実行されて、その結果、図6に示されるような「顔」、「声」、および「言語」の各類似度表が完成し、人物類似度情報保持部31に人物類似度情報として保持されることになる。
【0116】
これにより、ステップS7において、別の類似基準の類似度表も作成/更新しないと判定されて、人物類似度情報生成/更新処理は終了となる。
【0117】
なお、コンテンツ情報保持部24の保持内容は逐次更新されていくので、人物類似度情報生成部30は、人物類似度情報生成/更新処理を適宜実行して、例えば周期的に実行して、人物類似度情報保持部31に保持されている人物類似度情報の内容も適宜更新しておくとよい。
【0118】
このような人物類似度情報生成/更新処理が1回以上実行されて、人物類似度情報保持部31に人物類似度情報が保持されている場合、コンテンツ推薦処理装置10は、例えば図7に示されるコンテンツ推薦処理を実行することができる。即ち、図7のフローチャートは、コンテンツ推薦処理の一例を示している。
【0119】
ステップS21において、図2の推薦コンテンツ抽出部32は、ユーザが好きであると判断できる特定人物を、ユーザ嗜好情報保持部29に保持されているユーザ嗜好情報から抽出する。
【0120】
なお、特定人物の抽出とは、特定人物の人物情報の抽出を意味する。具体的には例えば本実施の形態では、上述したように、図4の出演者情報Pupの中で、所定の閾値以上の数値(嗜好度合)を有するPerson(人物)という情報が特定人物として抽出される。
【0121】
この場合、注意すべき点は、所定の閾値以上の数値(嗜好度合)を有するPerson(人物)が複数人存在する場合、それらの複数人が特定人物としてそれぞれ抽出される点である。即ち、ステップS21の処理で抽出される特定人物の人数は1人とは限らず、複数人である場合もある。
【0122】
ステップS22において、推薦コンテンツ抽出部32は、特定人物が出演するコンテンツを、推薦候補として決定する。即ち、本実施の形態では、推薦コンテンツ抽出部32は、図3の出演者情報Pmに特定人物が含まれている(ベクトルの対応する成分が1である)コンテンツ情報を有するコンテンツを、推薦候補として決定する。
【0123】
ステップS23において、推薦コンテンツ抽出部32は、人類類似度情報保持部31に保持されている人類類似度情報に基づいて、特定人物の類似人物を抽出する処理(以下、類似人物抽出処理と称する)を実行する。なお、類似人物抽出処理の詳細例については、図8乃至図11を参照して後述する。
【0124】
ステップS24において、推薦コンテンツ抽出部32は、類似人物が出演するコンテンツを、推薦候補として決定する。即ち、本実施の形態では、推薦コンテンツ抽出部32は、図3の出演者情報Pmに類似人物が含まれている(ベクトルの対応する成分が1である)コンテンツ情報を有するコンテンツを、推薦候補として決定する。
【0125】
ステップS25において、推薦コンテンツ抽出部32は、推薦候補の中から、推薦コンテンツを選抜する。
【0126】
ステップS26において、推薦コンテンツ抽出部32は、推薦コンテンツの一覧(推薦情報)を推薦情報出力部33を介して出力する。
【0127】
なお、図7の例では、特定人物が出演するコンテンツと、類似人物が出演するコンテンツとの両者が推薦候補として決定されたが、何れか一方を推薦コンテンツとして決定するようにしてもよい。即ち、従来のように特定人物が出演するコンテンツの一覧を推薦情報として出力することもできるし、類似人物が出演するコンテンツの一覧を推薦情報として出力することもできる。
【0128】
次に、図8のフローチャートを参照して、ステップS23の処理、即ち類似人物抽出処理の詳細例について説明する。
【0129】
ステップS41において、推薦コンテンツ抽出部32は、使用類似基準を1種類以上決定する。
【0130】
使用類似基準とは、上述した各種の類似基準ののうちの、即ち、本実施の形態では、「顔」、「声」、および「言語」のうちの、類似人物を抽出すべく、特定人物との類似度を演算するときに使用する類似基準をいう。
【0131】
ステップS42において、推薦コンテンツ抽出部32は、使用類似基準のうちの所定の1種類を、処理対象類似基準を設定する。
【0132】
ステップS43において、特定人物のうちの所定の1人を、処理対象特定人物に設定する。
【0133】
即ち、上述したように、特定人物は複数人である場合があるため、図8の例の類似人物抽出処理では、かかるステップS43の処理が設けられており、さらに、後述するステップS45乃至S47の処理が設けられているのである。換言すると、特定人物が1人であることが前提とされているならば、ステップS43およびステップS45乃至S47の処理は省略可能である。
【0134】
ステップS44において、推薦コンテンツ抽出部32は、処理対象特定人物に対する各出演者の類似度を、人物類似度情報保持部31に保持されている人物類似度情報からそれぞれ取得する。
【0135】
具体的には例えば、図6の状態の「顔」の類似度表が人物類似度情報保持部31に保持されており、処理対象類似基準が「顔」であって、処理対象特定人物が「俳優A」である場合には、処理対象特定人物に対する各出演者の類似度として、「俳優A」に対する「俳優B」の類似度「0.6」、「俳優A」に対する「歌手C」の類似度「0.3」、「俳優A」に対する「歌手D」の類似度「0.8」、「俳優A」に対する「司会者E」の類似度「0.5」、および、「俳優A」に対する「司会者F」の類似度「0.4」が、それぞれ取得される。
【0136】
ステップS45において、推薦コンテンツ抽出部32は、処理対象特定人物にまだ設定されていない特定人物は存在するか否かを判定する。
【0137】
複数の特定人物が存在する場合であって、それらの複数の特定人物の中に、処理対象特定人物にまだ設定されていない人物が存在する場合には、ステップS45の処理でYESであると判定されて、処理はステップS43に戻され、それ以降の処理が繰り返される。
【0138】
即ち、1人以上の特定人物のそれぞれに対してステップS43乃至S45のループ処理が繰り返し実行されて、1人以上の特定人物のそれぞれに対する各出演者の類似度がそれぞれ取得されることになる。その後、ステップS45の処理でNOであると判定されて、処理はステップS46に進む。
【0139】
ステップS46において、推薦コンテンツ抽出部32は、特定人物は複数人であるか否かを判定する。
【0140】
特定人物が複数人である場合、推薦コンテンツ抽出部46は、ステップS46においてYESであると判定して、ステップS47において、所定の出演者に対する複数の特定人物の各類似度に基づいて、所定の出演者に対する総合的な類似度を演算する。かかる総合的な類似度は、出演者毎にそれぞれ演算される。なお、以下、このようなステップS47の処理を、複数の特定人物の総合類似度演算処理と称する。複数の特定人物の総合類似度演算処理の詳細については、図9を参照して後述する。このステップS47の複数の特定人物の総合類似度演算処理が終了すると、処理はステップS48に進む。
【0141】
これに対して、特定人物が1人である場合、ステップS46においてNOであると判定されて、ステップS47の複数の特定人物の総合類似度演算処理は実行されずに、そのまま処理はステップS48に進む。
【0142】
ステップS48において、推薦コンテンツ抽出部32は、処理対象類似基準にまだ設定されていない使用類似基準は存在するか否かを判定する。
【0143】
ステップS48の処理でYESであると判定された場合、即ち、ステップS41の処理で複数種類の使用類似基準が決定されて、それらの複数種類の使用類似規準の中に、処理対象使用類似基準にまだ設定されていない種類が存在する場合には、処理はステップS42に戻され、それ以降の処理が繰り返される。
【0144】
即ち、1種類以上の使用類似基準のそれぞれに対してステップS42乃至S48のループ処理が繰り返し実行されて、1種類以上の使用類似基準毎に、特定人物に対する各出演者の類似度がそれぞれ取得される。ただし、複数の特定人物が存在する場合には総合的な類似度がそれぞれ演算される。その後、ステップS48の処理でNOであると判定されて、処理はステップS49に進む。
【0145】
ステップS49において、推薦コンテンツ抽出部32は、使用類似基準は複数種類であるか否かを判定する。
【0146】
ステップS49においてYESであると判定した場合、即ちステップS41の処理で複数種類の使用類似基準を決定していた場合、推薦コンテンツ抽出部46は、ステップS50において、複数種類の使用類似基準のそれぞれについての特定人物に対する各出演者の各類似度に基づいて、特定人物に対する各出演者の総合的な類似度をそれぞれ演算する。なお、以下、このようなステップS50の処理を、複数の使用類似基準の総合類似度演算処理と称する。複数の使用類似基準の総合類似度演算処理の詳細については、図10を参照して後述する。このステップS50の複数の使用類似基準の総合類似度演算処理が終了すると、処理はステップS51に進む。
【0147】
これに対してステップS49においてNOであると判定された場合、即ちステップS41の処理で1種類の使用類似基準が決定されていた場合、ステップS50の複数の使用類似基準の総合類似度演算処理は実行されずに、そのまま処理はステップS51に進む。
【0148】
ステップS51において、推薦コンテンツ抽出部32は、類似度が閾値以上の出演者を、類似人物として決定する。
【0149】
具体的には例えば、図6の状態の「顔」の類似度表が人物類似度情報保持部31に保持されており、使用類似基準が「顔」のみであって、特定人物が「俳優A」1人のみであった場合に、上述したステップS41乃至S50の処理が実行されたとする。このような場合には、ステップS51の処理で閾値と比較される類似度は、「俳優A」に対する「俳優B」の類似度「0.6」、「俳優A」に対する「歌手C」の類似度「0.3」、「俳優A」に対する「歌手D」の類似度「0.8」、「俳優A」に対する「司会者E」の類似度「0.5」、および、「俳優A」に対する「司会者F」の類似度「0.4」のそれぞれとなる。従って、例えば閾値として「0.7」が設定されている場合には、類似度「0.8」を有する「歌手D」が、類似人物として決定される。
【0150】
また例えば、ステップS47の複数の特定人物の総合類似度演算処理や、ステップS50の複数の使用類似基準の総合類似度演算処理が実行されていた場合には、それらの演算処理の結果得られる総合的な類似度が、閾値と比較され、総合的な類似度が閾値以上の出演者が、類似人物として決定される。
【0151】
このようにして、ステップS51の処理で類似人物が決定されると、類似人物抽出処理が終了し、即ち、上述した図7のステップS23の処理が終了し、次のステップS24の処理で、このステップS51の処理で決定された類似人物が出演するコンテンツが、推薦候補として決定される。
【0152】
次に、類似人物抽出処理におけるステップS47とS50との各処理の詳細について、即ち、複数の特定人物の総合類似度演算処理と、複数の使用類似基準の総合類似度演算処理とのそれぞれの詳細について、その順番で個別に説明していく。
【0153】
図9のフローチャートは、複数の特定人物の総合類似度演算処理の詳細例を示している。
【0154】
ステップS71において、推薦コンテンツ抽出部32は、複数の特定人物の各嗜好度合を、ユーザ嗜好情報保持部29に保持されているユーザ嗜好情報から抽出する。
【0155】
具体的には例えば本実施の形態では、図4の出演者情報Pupのうちの、複数の特定人物のそれぞれに対応付けられた各数値が、複数の特定人物の各嗜好度合として抽出される。即ち、例えば「personA」が特定人物に含まれる場合には、その嗜好度合として「10」が抽出される。また例えば、「personB」が特定人物に含まれる場合には、その嗜好度合として「43」が抽出される。
【0156】
ステップS72において、推薦コンテンツ抽出部32は、複数の出演者のうちの所定の1人を、処理対象出演者に設定する。
【0157】
ステップS73において、推薦コンテンツ抽出部32は、複数の特定人物のそれぞれに対する処理対象出演者の各類似度を、対応する特定人物の嗜好度合いを用いて重み付けする。そして、ステップS74において、推薦コンテンツ抽出部32は、重み付けされた各類似度の総加算を、処理対象出演者の類似度として決定する。
【0158】
ステップS75において、推薦コンテンツ抽出部32は、処理対象出演者にまだ設定されていない出演者は存在するか否かを判定する。
【0159】
ステップS75の処理でYESであると判定された場合、即ち、処理対象出演者にまだ設定されていない出演者が存在する場合、処理はステップS72に戻され、それ以降の処理が繰り返される。
【0160】
即ち、複数の出演者のそれぞれに対して、ステップS72乃至S75のループ処理が繰り返し実行され、複数の出演者の各総合的な類似度がそれぞれ演算される。
【0161】
具体的には例えば、「俳優A」と「歌手D」とが特定人物であって、ステップS71の処理でそれぞれ抽出された各嗜好度合を正規化した各値が「0.7」と「0.3」とのそれぞれであるとする。そして、「0.7」を「俳優A」の重み値として採用し、また、「0.3」を「歌手D」の重み値として採用するとする。
【0162】
また、「顔」についての総合的な類似度が演算されるとし、その類似度演算の対象人物が、即ち複数の出演者が「俳優B」、「歌手C」、「司会者E」、および「司会者F」であったとする。また、各人物間の各類似度は、図6の状態の「顔」の類似度表に示されている各値であるとする。
【0163】
即ち、「俳優A」に対する類似度は、「俳優B」については「0.6」であり、「歌手C」については「0.3」であり、「司会者E」については「0.5」であり、「司会者F」については「0.4」であるとする。
【0164】
また、「歌手D」に対する類似度は、「俳優B」については「0.4」であり、「歌手C」については「0.5」であり、「司会者E」については「0.5」であり、「司会者F」については「0.5」であるとする。
【0165】
この場合、ステップS72の処理で「俳優B」が処理対象出演者に設定されると、ステップS72の処理で、「俳優A」に対する「俳優B」の類似度「0.6」が重み値「0.7」で重み付けされて「0.6*0.7」となり、また、「歌手D」に対する「俳優B」の類似度「0.4」が重み値「0.3」で重み付けされて「0.4*0.3」となる。
【0166】
従って、ステップS74の処理で、次の式(1)の演算が実行され、その演算結果である「0.54」が、「俳優B」の総合的な類似度として決定される。
【0167】
0.6*0.7+0.4*0.3=0.54 ・・・(1)
【0168】
同様に、「歌手C」が処理対象出演者に設定されると、ステップS73とS74の処理で、次の式(2)の演算が実行され、その演算結果である「0.36」が「歌手C」の総合的な類似度として決定される。
【0169】
0.3*0.7+0.5*0.3=0.36 ・・・(2)
【0170】
また、「司会者E」が処理対象出演者に設定されると、ステップS73とS74の処理で、次の式(3)の演算が実行され、その演算結果である「0.5」が「司会者E」の総合的な類似度として決定される。
【0171】
0.5*0.7+0.5*0.3=0.5 ・・・(3)
【0172】
また、「司会者F」が処理対象出演者に設定されると、ステップS73とS74の処理で、次の式(4)の演算が実行され、その演算結果である「0.43」が「司会者F」の総合的な類似度として決定される。
【0173】
0.4*0.7+0.5*0.3=0.43 ・・・(4)
【0174】
従って、この数値例では、総合的な類似度は、「俳優B」>「司会者E」>「司会者F」>「歌手C」となる。
【0175】
このようにして、複数の出演者のそれぞれの総合的な類似度が演算されると、ステップS75の処理でNOであると判定されて、複数の特定人物の総合類似度演算処理が終了する。即ち、上述した図8のステップS47の処理が終了し、処理はステップS48に進む。
【0176】
この場合、ステップS41の処理で決定された使用類似基準が1種類だけであるとすると、ステップS50の複数の使用類似基準の総合類似度演算処理は実行されないので、このステップS47の複数の特定人物の総合類似度演算処理結果、即ち、各出演者の総合的な類似度のそれぞれが、ステップS51の処理において、閾値と比較されることになる。
【0177】
具体的には例えば、各出演者の総合的な類似度が上述した数値例であって、閾値が「0.4」の場合、総合的な類似度「0.54」を有する「俳優B」と、総合的な類似度「0.5」を有する「司会者E」とのそれぞれが、類似人物として決定される。
【0178】
次に、図10のフローチャートを参照して、複数の使用類似基準の総合類似度演算処理例、即ち、上述した図8のステップS50の処理の詳細例について説明する。
【0179】
ステップS91において、推薦コンテンツ抽出部32は、推薦候補となり得るコンテンツのジャンルを、コンテンツ情報保持部24に保持されているコンテンツ情報から取得する。
【0180】
ステップS92において、推薦コンテンツ抽出部32は、取得されたジャンルのうちの所定の1つを、処理対象ジャンルに設定する。
【0181】
ステップS93において、推薦コンテンツ抽出部32は、処理対象ジャンルについて、複数の類似基準の各重み係数をそれぞれ決定する。
【0182】
ステップS94において、推薦コンテンツ抽出部32は、複数の出演者のうちの所定の1人を、処理対象出演者に設定する。
【0183】
ステップS95において、推薦コンテンツ抽出部32は、複数の使用類似基準のそれぞれに対する処理対象出演者の各類似度を、対応する使用類似基準の重み係数を用いて重み付けする。そして、ステップS96において、推薦コンテンツ抽出部32は、重み付けされた各類似度の総加算を、処理対象出演者の類似度として決定する。
【0184】
ステップS97において、推薦コンテンツ抽出部32は、処理対象出演者にまだ設定されていない出演者は存在するか否かを判定する。
【0185】
ステップS97の処理でYESであると判定された場合、即ち、処理対象出演者にまだ設定されていない出演者が存在する場合、処理はステップS94に戻され、それ以降の処理が繰り返される。
【0186】
即ち、処理対象ジャンルについて、複数の出演者のそれぞれに対して、ステップS94乃至S98のループ処理が繰り返し実行され、複数の出演者の各総合的な類似度がそれぞれ演算される。その後、ステップS97の処理でNOであると判定されて、処理はステップS98に進む。
【0187】
ステップS98において、推薦コンテンツ抽出部32は、処理対象ジャンルにまだ設定されていないジャンルは存在するか否かを判定する。
【0188】
ステップS98の処理でYESであると判定された場合、即ち、処理対象ジャンルにまだ設定されていないジャンルが存在する場合、処理はステップS92に戻され、それ以降の処理が繰り返される。
【0189】
即ち、ステップS91の処理で取得された各ジャンルのそれぞれについて、ステップS92乃至S98のループ処理が繰り返し実行され、複数の出演者の各総合的な類似度がそれぞれ演算される。その後、ステップS98の処理でNOであると判定されて、処理はステップS99に進む。
【0190】
ステップS99において、推薦コンテンツ抽出部32は、ステップS91の処理で取得されたジャンルは複数であるか否かを判定する。
【0191】
ステップS91の処理で取得されたジャンルが複数であった場合、ステップS99の処理でYESであると判定されて、処理はステップS100に進む。ステップS100において、推薦コンテンツ抽出部32は、複数の出演者毎に、ジャンル統合類似度を演算する。
【0192】
ここに、所定の出演者についてのジャンル統合類似度とは、その所定の出演者について、複数のジャンル毎にステップS96の処理で決定された各類似度(以下、ジャンル類似度と称する)を用いて、所定の演算規則に従って算出された1つの類似度をいう。所定の演算規則は、特に限定されず、例えば、各ジャンル類似度を重み付けし、重み付け後の各ジャンル類似度の平均値をジャンル統合類似度とする、といった演算規則を採用できる。また例えば、重み付け後の各ジャンル類似度の総加算値をジャンル統合類似度とする、といった演算規則を採用できる。
【0193】
このようなステップS100の処理が終了すると、複数の使用類似基準の総合類似度演算処理は終了となる。即ち、上述した図8のステップS50の処理が終了し、処理はステップS51に進む。
【0194】
これに対して、ステップS91の処理で取得されたジャンルが1つだけであった場合、ステップS99の処理でNOであると判定されて、ステップS100の処理は実行されずに、複数の使用類似基準の総合類似度演算処理は終了となる。即ち、上述した図8のステップS50の処理が終了し、処理はステップS51に進む。
【0195】
以上説明したように、複数の使用類似基準の総合類似度演算処理は、コンテンツの内容(ここではジャンル)によって、重視する使用類似基準を変更することを特徴とする。即ち、所定のジャンルによって、重視する使用類似基準を変更するべく、図10の例では、その重視度合いを示す値として、ステップS93の処理で決定される重み係数が利用されている。
【0196】
換言すると、この重み係数は、どのように重視するのかに応じて任意に決定することができる。即ち、ステップS93の処理は、最終的に重み係数が決定されれば足り、その処理内容は特に限定されない。
【0197】
例えば、過去の推薦コンテンツに対するユーザの反応から動的に更新する処理、即ち、所定の演算手法に従って各重み係数をその都度算出する処理を、ステップS93の処理として採用することができる。
【0198】
また例えば、ジャンル毎の各類似基準の各重み係数を予め設定して保持しておき、その保持されている各重み係数を抽出する処理を、ステップS93の処理として採用してもよい。具体例には例えば図11に示されるような重み係数情報を図2の人物類似度情報保持部31等に予め保持させておき、推薦コンテンツ抽出部32が、ステップS93の処理として、処理対象ジャンルについての「顔」係数α、「声」係数β、「言語」係数γを取得することで、それらを各重み係数として決定することができる。
【0199】
この場合、ステップS95とS96の処理として、次の式(5)が演算されて、処理対象ジャンルについての処理対象出演者の総合的な類似度が決定されることになる。
【0200】
総合的な類似度= α×「顔」類似度+β×「声」類似度+γ×「言語」類似度 ・・・(5)
【0201】
なお、式(5)において、「顔」類似度とは、使用類似基準が「顔」の場合の処理対象出演者の類似度をいう。即ち、α×「顔」類似度が、ステップS95の処理により「顔」類似度が重み付けされた結果である。同様に、「声」類似度とは、使用類似基準が「声」の場合の処理対象出演者の類似度をいう。即ち、β×「声」類似度が、ステップS95の処理により「声」類似度が重み付けされた結果である。また、「言語」類似度とは、使用類似基準が「言語」の場合の処理対象出演者の類似度をいう。即ち、γ×「言語」類似度が、ステップS95の処理により「言語」類似度が重み付けされた結果である。
【0202】
また、式(5)で算出される「総合的な類似度」とは、処理対象ジャンルとされている1つのジャンルについての類似度、即ち、ステップS100の処理の説明において上述した「ジャンル類似度」をいう。従って、ステップS91の処理で取得されたジャンルが複数であった場合、複数のジャンル毎に、式(5)を利用して各ジャンル類似度が算出される。そして、ステップS100の処理で、複数のジャンルのそれぞれについての各ジャンル類似度が統合された1つの類似度、即ちジャンル統合類似度が演算される。
【0203】
なお、上述した図8のステップS41の処理で「顔」が使用類似基準として決定されていない場合、「顔」係数α=0として取り扱い、「声」係数βと「言語」係数γとについては、それらの加算値が1となるように再度正規化を行えばよい。即ち、かかる処理をステップS93の処理として実行すればよい。
【0204】
同様に、上述した図8のステップS41の処理で「声」が使用類似基準として決定されていない場合、「声」係数β=0として取り扱い、「顔」係数αと「言語」係数γとについては、それらの加算値が1となるように再度正規化を行えばよい。即ち、かかる処理をステップS93の処理として実行すればよい。また、上述した図8のステップS41の処理で「言語」が使用類似基準として決定されていない場合、「言語」係数γ=0として取り扱い、「顔」係数αと「声」係数βとについては、それらの加算値が1となるように再度正規化を行えばよい。即ち、かかる処理をステップS93の処理として実行すればよい。
【0205】
また、ステップS95とS96の処理の代わりに、ベイジアンネットを利用して3つの類似尺度、即ち、「顔」、「声」、「言語」の各類似度を統合することで、処理対象ジャンルについての処理対象出演者の総合的な類似度を決定する処理を採用してもよい。
【0206】
また、コンテンツの内容として、図10の例ではジャンルが採用されたが、図10の例に特に限定されない。即ち、図10における「ジャンル」を、任意の「コンテンツの内容」に置き換えるだけで、任意の「コンテンツの内容」についての、複数の使用類似基準の総合類似度演算処理が容易に実現できる。
【0207】
さらにまた、複数の使用類似基準の総合類似度演算処理の特徴、即ち、コンテンツの内容(ここではジャンル)によって、重視する使用類似基準を変更するという特徴は、別の処理、例えば図8のステップS41の処理に適用することもできる。即ち、ステップS41の処理の使用類似基準の決定手法として、コンテンツのジャンルに応じて決定する手法を採用することができる。具体的には例えば、コンテンツのジャンルが、情報や教養系の場合には出演者の発話内容を重視しべく「言語」を、アニメの場合は声優の声質を重視すべく「声」を、音楽の場合は歌手の声質を重視すべく「声」を、ドラマや映画の場合は出演者の顔情報を重視すべく「顔」を、それぞれ使用類似基準として決定する、といった手法をステップS41の処理に採用できる。
【0208】
以上、図5の人物類似度情報生成/更新処理と、図7等のコンテンツ推薦処理とは何れも、図2の機能的構成を有するコンテンツ推薦処理装置10により実行されるとして説明してきた。即ち、図5の人物類似度情報生成/更新処理と、図7等のコンテンツ推薦処理とは、同一装置により実行されることを前提に説明してきた。しかしながら、図5の人物類似度情報生成/更新処理と、図7等のコンテンツ推薦処理とは互いに独立した処理であるので、このことを考慮すると、両者の処理を同一装置で実行する必要は必ずしもない。
【0209】
例えば、コンテンツ推薦処理装置10は、図2のコンテンツ情報保持部24、ユーザ嗜好情報保持部29、人物類似度情報保持部31、推薦コンテンツ抽出部32、推薦情報出力部33、および推薦情報保持部34だけ備えるように構成させて、図2の他の機能ブロックの機能については他の装置に委譲することも可能である。
【0210】
具体的には例えば、図1の配信サーバ5が、人物類似度情報生成部30の機能を有するようにしてもよい。この場合、配信サーバ5が、図5の人物類似度情報生成/更新処理を定期的に実行し、その処理結果、即ち、生成または更新された人物類似度情報を、ネットワーク8を介してコンテンツ推薦処理装置10に配布することができる。実際には、非常に数多くのユーザがそれぞれのコンテンツ推薦処理装置10を個別に保有することになるので、そのことを考慮すれば、図5の人物類似度情報生成/更新処理は、各コンテンツ推薦処理装置10側で実行するよりも、配信サーバ5側で実行する方が好適である。
【0211】
ところで、上述した一連の処理は、ハードウエアにより実行させることもできるが、ソフトウエアにより実行させることができる。
【0212】
この場合、図2のコンテンツ推薦処理装置10等の少なくとも一部として、例えば、図12に示されるパーソナルコンピュータを採用してもよい。
【0213】
図12において、CPU(Central Processing Unit)101は、ROM(Read Only Memory)102に記録されているプログラム、または記憶部108からRAM(Random Access Memory)103にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。RAM103にはまた、CPU101が各種の処理を実行する上において必要なデータなども適宜記憶される。
【0214】
CPU101、ROM102、およびRAM103は、バス104を介して相互に接続されている。このバス104にはまた、入出力インタフェース105も接続されている。
【0215】
入出力インタフェース105には、キーボード、マウスなどよりなる入力部106、ディスプレイなどよりなる出力部107、ハードディスクなどより構成される記憶部108、および、モデム、ターミナルアダプタなどより構成される通信部109が接続されている。通信部109は、インターネットを含むネットワークを介して他の装置(図示せず)との間で行う通信を制御する。
【0216】
入出力インタフェース105にはまた、必要に応じてドライブ110が接続され、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリなどよりなるリムーバブルメディア111が適宜装着され、それらから読み出されたコンピュータプログラムが、必要に応じて記憶部108にインストールされる。
【0217】
一連の処理をソフトウエアにより実行させる場合には、そのソフトウエアを構成するプログラムが、専用のハードウエアに組み込まれているコンピュータ、または、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータなどに、ネットワークや記録媒体からインストールされる。
【0218】
このようなプログラムを含む記録媒体は、図12に示されるように、装置本体とは別に、ユーザにプログラムを提供するために配布される、プログラムが記録されている磁気ディスク(フロッピディスクを含む)、光ディスク(CD-ROM(Compact Disk-Read Only Memory),DVD(Digital Versatile Disk)を含む)、光磁気ディスク(MD(Mini-Disk)を含む)、もしくは半導体メモリなどよりなるリムーバブル記録媒体(パッケージメディア)111により構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに提供される、プログラムが記録されているROM102や、記憶部108に含まれるハードディスクなどで構成される。
【0219】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
【0220】
また、本明細書において、システムとは、複数の装置や処理部により構成される装置全体を表すものである。
【0221】
また例えば、コンテンツとして、上述した実施の形態では、テレビジョン放送番組と、配信ストリーミングデータとのみを採用したが、当然ながら上述した実施の形態に限定されるものではない。即ち、コンテンツとは、広く、人間の創造的活動により生み出されるものをいい、このようなコンテンツ全体に対して本発明は適用可能である。
【0222】
例えば、映画、音楽、演劇、文芸、写真、漫画、アニメーション、コンピュータゲームその他の文字、図形、色彩、音声、動作若しくは映像若しくはこれらを組み合わせたもの又はこれらに係る情報を電子計算機を介して提供するためのプログラムが、コンテンツの一例であり、何れも本発明に適用可能である。即ち、これらの各種のコンテンツを推薦の対象とすることができる。さらに、この場合、ユーザが嗜好する特定人物に基づくコンテンツ推薦に限定する必要は特に無く、広く特定オブジェクトに基づくコンテンツ推薦を行うことができる。この場合、上述した一連の処理を施すことで、特定オブジェクトに類似する類似オブジェクトを認識し、その類似オブジェクトに基づくコンテンツ推薦を行うことも可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0223】
【図1】テレビジョン番組放送、およびストリームデータの配信について説明する図である。
【図2】本発明が適用される情報処理装置としての、図1のコンテンツ推薦処理装置の機能的構成例を示す機能ブロック図である。
【図3】図2のコンテンツ情報保持部に保持されるコンテンツ情報の一例を示す図である。
【図4】図2のユーザ嗜好情報保持部に保持されるユーザ嗜好情報の一例を示す図である。
【図5】図2のコンテンツ推薦処理装置が実行する人物類似度情報生成/更新処理例を説明するフローチャートである。
【図6】図5の人物類似度情報生成/更新処理により生成されて、図2の人物類似度情報保持部31に保持される人物類似度情報の一例を示す図である。
【図7】図2のコンテンツ推薦処理装置が実行するコンテンツ推薦処理例を説明するフローチャートである。
【図8】図7のステップS23の類似人物抽出処理の詳細例を説明するフローチャートである。
【図9】図8のステップS47の複数の特定人物の総合類似度演算処理の詳細例を説明するフローチャートである。
【図10】図8のステップS50の複数の使用類似基準の総合類似度演算処理の詳細例を説明するフローチャートである。
【図11】図10の複数の使用類似基準の総合類似度演算処理で利用される重み係数情報の一例を示す図である。
【図12】本発明が適用される画像処理装置としてのパーソナルコンピュータの構成例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0224】
5 配信サーバ, 10 コンテンツ推薦処理装置, 24 コンテンツ情報保持部, 29 ユーザ嗜好情報保持部, 30 人物類似度情報生成部, 31 人物類似度情報保持部, 32 推薦コンテンツ抽出部, 33 推薦情報出力部, 101 CPU, 102 ROM, 103 RAM, 108 記憶部, 111 リムーバブル記録媒体
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置および方法、並びにプログラムに関し、特に、ユーザが嗜好する特定人物に基づくコンテンツ推薦だけではなく、ユーザの嗜好から外れない範囲内でバリエーションのあるコンテンツ推薦ができる情報処理装置および方法、並びにプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンテンツに付与されたメタデータを利用してコンテンツの推薦を行う推薦装置が利用されている(例えば特許文献1)。例えば、コンテンツとしてテレビジョン放送番組(以下、番組と適宜称する)を対象とした従来の推薦装置では、番組の出演者や番組のタイトル等を含む番組毎のメタデータを利用して、ユーザが嗜好する特定人物が出演している番組を認識し、それを推薦番組としてユーザに呈示することができる。
【特許文献1】特開2004−194108号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、ユーザにとっては、その特定人物への嗜好が強ければ強いほど、その特定人物が出演する番組は既に視聴していたり、既に録画予約している場合が多い。従って、このような場合、特許文献1を含む従来の推薦装置により推薦された番組は、ユーザにとって既知の番組であり、かかる番組の推薦は意味を成していない。このことは、番組のみならず、ユーザに配布されるコンテンツ一般に当てはまることである。
【0004】
換言すると、ユーザにとっては、ユーザが嗜好する特定人物に基づくコンテンツ推薦だけでは不十分であり、ユーザの嗜好から外れない範囲内でバリエーションのあるコンテンツ推薦をして欲しいという要望が存在する。しかしながら、特許文献1を含む従来の推薦装置では、かかる要望に十分に応えられていないという状況である。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、ユーザが嗜好する特定人物に基づくコンテンツ推薦だけではなく、ユーザの嗜好から外れない範囲内でバリエーションのあるコンテンツ推薦をできるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面の情報処理装置は、ユーザにコンテンツを推薦する情報処理装置であって、ユーザが嗜好する特定人物に関する人物情報を含む嗜好情報を保持する嗜好情報保持手段と、前記特定人物を含む複数の人物間における所定の類似基準に基づく各類似度を示す人物類似情報を保持する人物類似情報保持手段と、前記嗜好情報保持手段に保持された前記嗜好情報に基づいて前記特定人物を認識し、前記人物類似情報保持手段に保持された前記人物類似情報に基づいて、前記特定人物に類似すると判断できる類似人物を認識し、前記特定人物が出演するコンテンツと前記類似人物が出演するコンテンツとのうちの少なくとも一方を、ユーザに対して推薦すべき推薦コンテンツの候補として決定する推薦手段とを備える。
【0007】
前記所定の類似基準に基づく類似度は、人物が有する顔の特徴に基づく類似度である。
【0008】
前記所定の類似基準に基づく類似度は、人物が発声する声の特徴に基づく類似度である。
【0009】
前記所定の類似基準に基づく類似度は、人物が利用する言語の特徴に基づく類似度である。
【0010】
前記人物類似情報は、複数の類似基準のそれぞれに基づく各類似度を示す各情報からなり、前記推薦手段は、前記複数の類似基準のそれぞれについて、前記類似人物の候補と前記特定人物との間の各類似度を前記人物類似情報から取得し、取得した前記複数の類似基準のそれぞれについての前記各類似度と、コンテンツの内容に応じて変化する前記複数の類似基準の重要度合とに基づいて、前記類似人物の候補の総合的な類似度を演算し、前記総合的な類似度に基づいて、前記類似人物の候補を前記類似人物として認識するか否かを決定する。
【0011】
前記推薦手段は、前記特定人物として複数人を認識し、前記類似人物の候補と、前記複数の特定人物のそれぞれとの間の各類似度を前記人物類似情報から取得し、取得した前記各類似度に基づいて、前記類似人物の候補の総合的な類似度を演算し、前記総合的な類似度に基づいて、前記類似人物の候補を前記類似人物として認識するか否かを決定する。
【0012】
前記特定人物を含む前記複数の人物間における前記所定の類似基準に基づく各類似度をそれぞれ演算し、それらの演算結果を前記人物類似情報として前記人物類似情報保持手段に保持させる類似度演算手段をさらに備える。
【0013】
本発明の一側面の情報処理方法は、ユーザが嗜好する特定人物に関する嗜好情報を保持する嗜好情報保持手段と、前記特定人物を含む複数の人物間における所定の類似基準に基づく各類似度を示す人物類似情報を保持する人物類似情報保持手段とを備え、前記ユーザにコンテンツを推薦する情報処理装置の情報処理方法であって、前記嗜好情報保持手段に保持された前記嗜好情報に基づいて前記特定人物を認識し、前記人物類似情報保持手段に保持された前記人物類似情報に基づいて、前記特定人物に類似すると判断できる類似人物を認識し、前記特定人物が出演するコンテンツと前記類似人物が出演するコンテンツとのうちの少なくとも一方を、ユーザに対して推薦すべき推薦コンテンツの候補として決定するステップを含む。
【0014】
本発明の一側面のプログラムは、上述した本発明の一側面の情報処理方法に対応するプログラムである。
【0015】
本発明の一側面の情報処理装置および方法、並びにプログラムにおいては、ユーザが嗜好する特定人物に関する嗜好情報を保持する嗜好情報保持手段と、前記特定人物を含む複数の人物間における所定の類似基準に基づく各類似度を示す人物類似情報を保持する人物類似情報保持手段とを備え、前記ユーザにコンテンツを推薦する情報処理装置または推薦装置が対象となり、次のような処理が実行される。即ち、前記嗜好情報保持手段に保持された前記嗜好情報に基づいて前記特定人物が認識され、前記人物類似情報保持手段に保持された前記人物類似情報に基づいて、前記特定人物に類似すると判断できる類似人物が認識され、前記特定人物が出演するコンテンツと前記類似人物が出演するコンテンツとのうちの少なくとも一方が、ユーザに対して推薦すべき推薦コンテンツの候補として決定される。
【発明の効果】
【0016】
以上のごとく、本発明によれば、ユーザにコンテンツを推薦することができる。特に、ユーザが嗜好する特定人物に基づくコンテンツ推薦だけではなく、類似人物に基づくコンテンツ推薦ができるようになった。即ち、ユーザの嗜好から外れない範囲内でバリエーションのあるコンテンツ推薦をすることが可能になった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に本発明の実施の形態を説明するが、本発明の構成要件と、発明の詳細な説明に記載の実施の形態との対応関係を例示すると、次のようになる。この記載は、本発明をサポートする実施の形態が、発明の詳細な説明に記載されていることを確認するためのものである。従って、発明の詳細な説明中には記載されているが、本発明の構成要件に対応する実施の形態として、ここには記載されていない実施の形態があったとしても、そのことは、その実施の形態が、その構成要件に対応するものではないことを意味するものではない。逆に、実施の形態が構成要件に対応するものとしてここに記載されていたとしても、そのことは、その実施の形態が、その構成要件以外の構成要件には対応しないものであることを意味するものでもない。
【0018】
さらに、この記載は、発明の実施の形態に記載されている具体例に対応する発明が、請求項に全て記載されていることを意味するものではない。換言すれば、この記載は、発明の実施の形態に記載されている具体例に対応する発明であって、この出願の請求項には記載されていない発明の存在、すなわち、将来、分割出願されたり、補正により追加される発明の存在を否定するものではない。
【0019】
本発明の一側面の情報処理装置(例えば図2のコンテンツ推薦処理装置10)は、
ユーザにコンテンツを推薦する情報処理装置であって、
前記ユーザが嗜好する特定人物に関する嗜好情報(例えば図4の出演者情報Pupを含むユーザ嗜好情報)を保持する嗜好情報保持手段(例えば図2のユーザ嗜好情報保持部29)と、
前記特定人物を含む複数の人物間における所定の類似基準に基づく各類似度を示す人物類似情報(例えば図6の人物類似度情報)を保持する人物類似情報保持手段(例えば図2の人物類似度情報保持部31)と、
前記嗜好情報保持手段に保持された前記嗜好情報に基づいて前記特定人物を認識し、前記人物類似情報保持手段に保持された前記人物類似情報に基づいて、前記特定人物に類似すると判断できる類似人物を認識し、前記特定人物が出演するコンテンツと前記類似人物が出演するコンテンツとのうちの少なくとも一方を、ユーザに対して推薦すべき推薦コンテンツの候補として決定する推薦手段(例えば図2の推薦コンテンツ抽出部32)と
を備える。
【0020】
前記人物類似情報は、複数の類似基準のそれぞれに基づく各類似度を示す各情報からなり(例えば図6の例の人物類似度情報は、類似基準の一例としての「顔」の類似度表、類似基準の一例としての「声」の類似度表、および、類似基準の一例としての「言語」の類似度表からなり)、
前記推薦手段は、
前記複数の類似基準のそれぞれについて、前記類似人物の候補と前記特定人物との間の各類似度を前記人物類似情報から取得し(例えば図8のステップS44の処理を実行し)、
取得した前記複数の類似基準のそれぞれについての前記各類似度と、コンテンツの内容に応じて変化する前記複数の類似基準の重要度合(例えば図11のコンテンツのジャンル(内容)に応じて変化する各重み係数α,β,γ)とに基づいて、前記類似人物の候補の総合的な類似度を演算し(例えば図8のステップS50(詳細は図10)の複数の使用類似基準の総合類似度演算処理を実行し)、
前記総合的な類似度に基づいて、前記類似人物の候補を前記類似人物として認識するか否かを決定する(例えば図8のステップS51の処理を実行する)。
【0021】
前記推薦手段は、
前記特定人物として複数人を認識し、
前記類似人物の候補と、前記複数の特定人物のそれぞれとの間の各類似度を前記人物類似情報から取得し(例えば図8のステップS43乃至S45のループ処理を繰り返し実行し)、
取得した前記各類似度に基づいて、前記類似人物の候補の総合的な類似度を演算し(例えば図8のステップS47(詳細は図9)の複数の特定人物の総合類似度演算処理を実行し)、
前記総合的な類似度に基づいて、前記類似人物の候補を前記類似人物として認識するか否かを決定する(例えば、図8のステップS51の処理を実行する)。
【0022】
前記特定人物を含む前記複数の人物間における前記所定の類似基準に基づく各類似度をそれぞれ演算し、それらの演算結果を前記人物類似情報として前記人物類似情報保持手段に保持させる類似度演算手段(例えば図2の人物類似度情報生成部30)をさらに備える。
【0023】
本発明の一側面の情報処理方法(例えば図7のコンテンツ推薦処理に対応する方法)は、
ユーザが嗜好する特定人物に関する嗜好情報(例えば図4の出演者情報Pupを含むユーザ嗜好情報)を保持する嗜好情報保持手段(例えば図2のユーザ嗜好情報保持部29)と、
前記特定人物を含む複数の人物間における所定の類似基準に基づく各類似度を示す人物類似情報(例えば図6の人物類似度情報)を保持する人物類似情報保持手段(例えば図2の人物類似度情報保持部31)とを備え、
前記ユーザにコンテンツを推薦する情報処理装置(例えば図2のコンテンツ推薦処理装置10)の情報処理方法であって、
前記嗜好情報保持手段に保持された前記嗜好情報に基づいて前記特定人物を認識し(例えば図7のステップS21)、前記人物類似情報保持手段に保持された前記人物類似情報に基づいて、前記特定人物に類似すると判断できる類似人物を認識し(例えば図7のステップS23、即ち、図8の類似人物抽出処理)、前記特定人物が出演するコンテンツと前記類似人物が出演するコンテンツとのうちの少なくとも一方を、ユーザに対して推薦すべき推薦コンテンツの候補として決定する(例えば図7のステップS22、S24)ステップを含む。
【0024】
本発明の一側面のプログラムは、上述した本発明の一側面の情報処理方法に対応するプログラムであって、例えば図12のコンピュータにより実行される。
【0025】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
【0026】
はじめに、図1を用いて、テレビジョン番組放送、およびストリーミングデータの配信について説明する。
【0027】
即ち、本実施の形態では、テレビジョン放送番組(ここでも番組と適宜略記する)と、配信ストリーミングデータとがコンテンツの一例として採用されている。
【0028】
放送局1は、地上波の番組放送を送信するか、もしくは、衛星2を介して衛星波の番組放送を送信する。図1の例では、放送局1は1つだけ図示されているが、放送局1が、複数局存在し得ることはいうまでもない。テレビジョン受信装置4のアンテナ3は、地上波、または衛星波の番組放送を受信する。放送信号には、必要に応じて、EPG(Electronic Program Guide)情報が含まれている。
【0029】
配信サーバ5は、ストリーミングデータデータベース6から、映像や音声等のコンテンツを構成するストリーミングデータを読み出し、インターネットその他のネットワークを含むネットワーク8を介して、テレビジョン受信装置4に配信する。また、配信サーバ5は、そのストリーミングデータに関するメタデータを含む情報をメタデータデータベース7から読み出して、ネットワーク8を介して、EPG受信装置9に配信する。さらにまた、配信サーバ5は、放送局1から放送される番組に関するEPG情報を、メタデータデータベース7から読み出して、ネットワーク8を介して、EPG受信装置9に配信する。
【0030】
一般的な放送信号に重畳されるEPG情報の情報量が、以下に説明する処理に十分な情報である場合、処理には、一般的な放送信号に重畳されるEPG情報と同一のものを利用するようにしてもよい。また、一般的な放送信号に重畳されるEPG情報の情報量が、以下に説明する処理に十分な情報であるとはいえない場合、処理には、一般的な放送信号に重畳されるEPG情報に加えて、もしくは単独で、メタデータを利用するようにしても良い。以下、一般的な放送信号に重畳されるEPG情報では、処理に十分な情報量がないため、本実施の形態では、メタデータを含む情報を利用するものとする。そして、この情報と、ストリーミングデータに関するメタデータを含む情報とをあわせたものを、EPGデータと総称するとする。
【0031】
EPG受信装置9は、配信されたEPGデータを、テレビジョン受信装置4に提供する。
【0032】
チューナを有するテレビジョン受信装置4は、操作部を有するテレビジョン表示装置11、または、録画再生装置12から提供されるチャンネルの選択を示す制御信号に基づいて、アンテナ3を介して、地上波、または衛星波の放送信号を選局して受信するとともに、配信サーバ5からのストリーミングデータの配信をネットワーク8を介して受け、所定の形態の映像/音声信号として、テレビジョン表示装置11、または、録画再生装置12に提供する。また、テレビジョン受信装置4は、EPG受信装置9から、EPGデータの供給を受け、テレビジョン表示装置11、または、録画再生装置12に提供する。なお、テレビジョン受信装置4は、受信した放送波に、EPGデータが含まれていた場合、番組の信号と分離して、それぞれ、テレビジョン表示装置11、または、録画再生装置12に提供する。
【0033】
コンテンツ推薦処理装置10は、配信サーバ5から配信された若しくは配信予定のストリーミングデータと、放送局1から放送された若しくは放送予定のテレビジョン放送番組(以下、これらをまとめてコンテンツと称する)のうちの、ユーザの嗜好に合致したコンテンツを推薦するための推薦情報を生成し、テレビジョン表示装置11および録画再生装置12に提供する。なお、コンテンツ推薦処理装置10の詳細については、図2以降の図面を参照して後述する。
【0034】
テレビジョン表示装置11は、ユーザの操作入力を基に、テレビジョン受信装置4から提供された映像/音声信号、または、録画再生装置12から再生された映像/音声信号の表示や音声出力をしたり、コンテンツ推薦処理装置10から提供された推薦情報に基づいて、チャンネルを自動設定したり、推薦番組情報を表示する。テレビジョン表示装置11は、ユーザの操作履歴である操作ログをコンテンツ推薦処理装置10に提供する。
【0035】
録画再生装置12は、ユーザの操作入力に基づいて、テレビジョン受信装置4から提供された映像/音声信号を、装着された記録媒体、または、内蔵する記録媒体(例えば、ハードディスク)に録画したり、コンテンツ推薦処理装置10から提供された推薦情報に基づいて、テレビジョン受信装置4から提供された映像/音声信号を、装着された記録媒体、または、内蔵する記録媒体に自動録画する。また、録画再生装置12は、装着された記録媒体、または、内蔵する記録媒体に録画されている映像/音声信号を再生し、テレビジョン表示装置11に提供する。更に、録画再生装置12は、ユーザの操作履歴である操作ログをコンテンツ推薦処理装置10に提供する。
【0036】
ここでは、EPG受信装置9、テレビジョン受信装置4、コンテンツ推薦処理装置10、テレビジョン表示装置11、および、録画再生装置12を、それぞれ異なる装置として説明したが、これらの装置は、必ずしも個別に構成する必要はない。例えば、EPG受信装置9、テレビジョン受信装置4、および、テレビジョン表示装置11を、チューナ機能を内蔵したテレビジョン受像機15−1として、一体的に構成するようにしてもよいことはいうまでもない。さらに、録画再生装置12も一体的に構成して、録画機能を有するテレビジョン受像機15−2として構成するようにしてもよい。この録画再生装置12は、記録媒体として、大容量のハードディスクを有する、いわゆるハードディスクレコーダであってもよいことはいうまでもない。また、コンテンツ推薦処理装置10を、チューナ機能を内蔵したテレビジョン受像機15−1に内蔵して、テレビジョン受像機15−3としても、または、録画機能を有するテレビジョン受像機15−2に内蔵して、テレビジョン受像機15−4とするようにしてもよい。
【0037】
図2は、コンテンツ推薦処理装置10の機能的構成例を示している。
【0038】
図2の例では、コンテンツ推薦処理装置10は、データ取得部21乃至推薦情報保持部34を含むように構成されている。
【0039】
データ取得部21は、配信サーバ5からネットワーク8を介して配信されたデータや、放送局1から放送されてテレビジョン受信装置4に受信されたテレビジョン放送番組のデータを取得する(図1参照)。データ取得部21は、取得したデータがストリーミングデータやテレビジョン放送番組のデータ(以下、これらをまとめてコンテンツデータと称する)の場合、そのコンテンツデータをコンテンツ情報保持部24に保持させる。また、データ取得部21は、取得したデータがEPGデータの場合、そのEPGデータをメタデータ抽出部22に提供する。
【0040】
メタデータ抽出部22は、データ取得部21から提供されたEPGデータから、図3を用いて後述するコンテンツ情報を生成するために必要な各種メタデータを抽出し、コンテンツ情報生成部23に提供する。
【0041】
コンテンツ情報生成部23は、メタデータ抽出部22から提供された所定のコンテンツに関するメタデータに基づいて、その所定のコンテンツに関する各種情報群(以下、コンテンツ情報と称する)を生成し、コンテンツ情報保持部24に提供する。
【0042】
即ち、コンテンツ情報保持部24には、複数のコンテンツ毎に、実データであるコンテンツデータと、それに関する各種情報の集合体であるコンテンツ情報とが対応付けられて保持される。
【0043】
かかるコンテンツ情報の一例が、図3に示されている。図3の例では、コンテンツ情報は、ベクトルPPで表現されている。即ち、図2のコンテンツ情報生成部23は、メタデータ抽出部22から抽出された各種メタデータに含まれているN個(Nは1以上の整数値)の項目の情報を各成分として有するベクトルPPを、コンテンツ情報として生成してコンテンツ情報保持部24に保持させる。
【0044】
ここでいうN個の項目とは、EPGデータで規定されている項目に限定されず、設計者等が任意に設定可能な項目をいう。例えば、図3の例では、N=7の大項目T,G,H,S,P,A,Kが採用されている。これら7つの大項目のそれぞれについてのコンテンツに関する各情報が、Tm,Gm,Hm,Sm,Pm,Am,Kmとされている。そして、これらの7つの項目情報Tm,Gm,Hm,Sm,Pm,Am,Kmが、コンテンツ情報としてのベクトルPPの各成分に代入されている。即ち、ベクトルPP=(Tm,Gm,Hm,Sm,Pm,Am,Km)が、コンテンツ情報として生成されている。
【0045】
ただし、後述する図4のユーザ嗜好情報のベクトルUPとのマッチング処理にコンテンツ情報が使用される場合、ベクトルPPそのものではなく、PP'=(Tm,Gm,Pm,Am,Km)が使用される。比較相手のユーザ嗜好情報のベクトルUPと次元をあわせるためである。
【0046】
ここに、大項目Tとは「タイトル(Title)」を意味し、タイトル情報Tm={Title}が、ベクトルPPの対応する成分に代入される。
【0047】
大項目Gとは「ジャンル(Genre))を意味し、ジャンル情報Gm={ドラマ,バラエティ,スポーツ,映画,音楽,子供向け/教育,教養/ドキュメント,ニュース/報道,その他}が、ベクトルPPの対応する成分に代入される。
【0048】
大項目Hとは「時間帯(Hour)」を意味し、時間帯情報Hm={朝,昼,夕方,ゴールデン,深夜}が、ベクトルPPの対応する成分に代入される。
【0049】
大項目Sとは「放送局(TV Station)」を意味し、放送局情報Sm={NNK総合,NNK教育,亜細亜テレビ,TTS,ブジ,テレ日,東都,NNK衛星第1,NNK衛星第2,WOWO}が、ベクトルPPの対応する成分に代入される。なお、図3の例では図示されていないが、配信サーバ5も1つの放送局とみなして、配信サーバ5の名称も、放送局情報Smに含めてもよい。
【0050】
大項目Pとは「出演者(Person)」を意味し、出演者情報Pm={person A,person B,・・・}が、ベクトルPPの対応する成分に代入される。
【0051】
大項目Aとは、「脚本/原作/演出等(Author)」を意味し、脚本/原作/演出等情報Am={person a,person b,・・・}が、ベクトルPPの対応する成分に代入される。
【0052】
大項目Kとは、「内容(キーワード)(Keyword)」を意味し、内容情報Km={kw1,kw2,・・・}が、ベクトルPPの対応する成分に代入される。
【0053】
上述した7つの大項目の中で、大項目「G:ジャンル」、「S:放送局」、「H:時間帯」は、種類が固定できるため、各項目情報Gm,Sm,Hmのそれぞれは、数値ベクトルで表すことができる。
【0054】
具体的には例えば、ジャンル情報Gm={ドラマ,バラエティ,スポーツ,映画,音楽,子供向け/教育,教養/ドキュメント,ニュース/報道,その他}において、ベクトルPPの生成対象となっているコンテンツのジャンルが、教養/ドキュメントであった場合、ジャンル情報Gm={0,0,0,0,0,0,1,0,0}で表すことができる。
【0055】
また例えば、放送局Sm={NNK総合,NNK教育,亜細亜テレビ,TTS,ブジ,テレ日,東都,NNK衛星第1,NNK衛星第2,WOWO}において、ベクトルPPの生成対象となっているコンテンツ(ここではテレビジョン放送番組)を放送する放送局が、WOWOである場合、放送局情報Sm={0,0,0,0,0,0,0,0,0,1}で表すことができる。
【0056】
時間帯情報Hmも、具体例は記述しないが、上述したジャンル情報Gmや放送局情報Smと同様に、数値ベクトルで表すことができる。
【0057】
一方、大項目「T:タイトル」、「P:出演者」、「A:脚本/原作/演出」、「K:内容」などの各項目情報Tm、Pm、Am、Kmは、単純に数値ベクトルで表すことができない。そこで、コンテンツのメタデータ等に含まれる単語の頻度などによって、項目値(単語)と重み(数値)が対応付けられて生成される。例えば、タイトル情報Tm={東海道−1,三谷−1,怪談−1}のように、それぞれの項目値−数値で構成される項目情報を各要素とするベクトルによって表すことができる。この例における、例えば、「東海道−1」は、「東海道」の単語の頻度が「1」であることを意味する。具体例は記述しないが、出演者情報Pm、脚本/原作/演出等情報Am、および、内容情報Kmも、単語−数値で構成される項目情報を各要素とするベクトルによって表すことができる。
【0058】
図2に戻り、操作入力部25は、例えば、キーボード、タッチパッド、マウスなどの入力デバイスで構成され、ユーザが入力した初期登録情報や、ユーザモデル生成のためのトピックの入力を受け、それらの情報を初期登録情報保持部26に保持させる。即ち、初期登録情報保持部26は、操作入力部25から提供された初期登録内容や、ユーザモデル生成のためのトピックを保持し、必要に応じて、ユーザ嗜好情報生成部28や推薦コンテンツ抽出部32に提供する。また、初期登録情報保持部26に保持されている内容は、操作入力部25から入力されるユーザの操作に基づいて、逐次更新される。初期登録される内容には、例えば、嫌いなジャンル、嫌いなキーワード、嫌いな出演者などの、ユーザが好まないコンテンツを示す情報や、好きなジャンル、好きなキーワード、好きな出演者などの、ユーザが好むコンテンツを示す情報を採用できる。
【0059】
操作ログ取得部27は、テレビジョン表示装置11または録画再生装置12(図1)から、操作ログを取得し、ユーザ嗜好情報生成部28に提供する。
【0060】
ユーザ嗜好情報生成部28は、この操作ログや、初期登録情報保持部26に保持されている各種情報等に基づいて、コンテンツ推薦処理装置10自身或いは図1のテレビジョン表示装置11や録画再生装置12を操作するユーザの嗜好の傾向を示す情報(以下、ユーザ嗜好情報と称する)を生成し、ユーザ嗜好情報保持部29に保持させる。また、ユーザ嗜好情報がユーザ嗜好情報保持部29に既に保持されている場合、ユーザ嗜好情報生成部28は、操作ログ取得部27から新たに提供されてきた操作ログや、初期登録情報保持部29の更新内容等に基づいて、ユーザ嗜好情報の内容を適宜更新する。
【0061】
なお、ユーザ嗜好情報としては、例えば正履歴情報と負履歴情報との両者を採用できるが、本実施の形態では、説明の簡略上、正履歴情報のみがユーザ嗜好情報として用いられるとする。
【0062】
ここに、負履歴情報とは、ユーザが使用(視聴や録画等)するのに消極的である、換言すれば、好ましくないと思うコンテンツを、推薦コンテンツから除外するために用いられる情報をいう。ただし、上述したように、本実施の形態では、負履歴情報は使用されないので、その詳細な説明は省略する。
【0063】
これに対して、正履歴情報とは、ユーザが積極的に使用(視聴や録画等)するであろう、換言すれば、好ましいと思うであろうコンテンツを、推薦コンテンツの候補として抽出するために用いられる情報をいう。例えば、ユーザが、コンテンツの使用(視聴や録画等)をした場合、または、後述する処理によりユーザに推薦情報として提示された推薦コンテンツが、ユーザに受け入れられて使用(視聴や録画等)された場合、その推薦コンテンツのメタデータは、好印象メタデータとして、正履歴情報の一部として利用される。ここに、一部と記述したのは、正履歴情報は、上述したコンテンツ情報のベクトルPPのようにベクトルとして表現でき、かかるベクトルの一成分に代入される情報自身として、またはその成分情報を生成する情報として、利用されるからである。
【0064】
このように、本実施の形態では、ユーザ嗜好情報は、ベクトルの形態でユーザ嗜好情報生成部28により生成されて、ユーザ嗜好情報保持部29に保持される。具体的には例えば、図4に示されるようなベクトルUPが、ユーザ嗜好情報としてユーザ嗜好情報生成部28により生成されて、ユーザ嗜好情報保持部29に保持される。
【0065】
即ち、図4の例では、大項目として、「タイトル」,「ジャンル」,「出演者」,「脚本/原作/演出」,「内容(キーワード)」が採用されており、それらの各大項目のそれぞれについてのユーザの正履歴情報Tup,Gup,Pup,Aup,Kupを各成分として構成されるベクトルUP、即ち、UP=(Tm,Gm,Pm,Am,Km)がユーザ嗜好情報として生成されている。
【0066】
この場合、正履歴情報Tup,Gup,Pup,Aup,Kupのそれぞれは、項目値(単語)と重み(数値)が対応付けられた情報として生成される。この重み(数値)としては、例えばユーザの嗜好度合(好ましいと思う度)を示す値(操作頻度の値含)が採用される。例えば、図4の例では、タイトル正履歴情報Tup={Title1−12,Title2−3}のように、それぞれの項目値−数値で構成されるタイトル情報を各要素とするベクトルによって表すことができる。この例における、例えば、「Title1−12」は、「Title1」に対するユーザの嗜好度合は「12」であることを意味する。一方、「Title2−3」は、「Title2」に対するユーザの嗜好度合は「3」であることを意味する。即ち、ユーザの嗜好が強いほど嗜好度合の数値も大きくなっていくとすれば、ユーザは、「Title2」よりも「Title1」の方が好きであると判断できることになる。
【0067】
図2に戻り、人類類似度情報生成部30は、1以上のコンテンツのそれぞれに出演する人物を対象として、それらの各人物間の類似度に関する情報(以下、人物類似度情報)を生成し、人物類似度情報保持部31に保持させる。なお、人物類似度情報の詳細については、図5と図6とを参照して後述する。
【0068】
推薦コンテンツ抽出部32は、ユーザ嗜好情報保持部29に保持されているユーザ嗜好情報に基づいて、ユーザの嗜好に合致すると判断できるコンテンツを、ユーザに推薦すべきコンテンツ(以下、推薦コンテンツと称する)として、コンテンツ情報保持部24から抽出する。なお、ここでいう抽出とは、推薦コンテンツのコンテンツデータそのものの抽出ではなく、推薦コンテンツを特定できる情報、即ち、推薦コンテンツに関するコンテンツ情報の少なくとも一部の抽出を意味する。
【0069】
なお、この場合の抽出手法は特に限定されず、例えば、コンテンツ情報保持部24に保持されている複数のコンテンツのそれぞれについての各ベクトルPP'=(Tm,Gm,Pm,Am,Km)と(図3参照)、ユーザ嗜好情報保持部29に保持されているユーザ嗜好情報のベクトルUP =(Tm,Gm,Pm,Am,Km)と(図4参照)のマッチング処理を実行し、ベクトルUPとマッチングしたベクトルPPを有するコンテンツを、推薦コンテンツとして抽出する、という手法を採用してもよい。
【0070】
ただし、本実施の形態では説明の簡略上、コンテンツの登場人物に着目し、ユーザ嗜好情報保持部29に保持されているユーザ嗜好情報において、ユーザの嗜好度合いが高い人物を特定人物として抽出し、その特定人物が出演しているコンテンツを推薦コンテンツとして抽出する、という手法を採用しているとする。
【0071】
即ち、本実施の形態では、推薦コンテンツ抽出部32は、図4の出演者情報Pupの中で、所定の閾値以上の重み値(嗜好度合)を有するPerson(人物)を特定人物として抽出する。例えば閾値が30である場合には、重み値「43」を有するpersonBが特定人物として抽出される。そして、推薦コンテンツ抽出部32は、コンテンツ情報保持部24に保持されている複数のコンテンツのそれぞれに関するコンテンツ情報の図3の出演者情報Pmの中に、特定人物が含まれている(ベクトルの対応する成分が1である)か否かをそれぞれ認識し、特定人物が含まれているコンテンツ情報またはその一部を、推薦コンテンツのコンテンツ情報またはその一部として抽出する。即ち、推薦コンテンツの抽出が行われる。
【0072】
さらに、推薦コンテンツ抽出部32は、人類類似度情報保持部31に保持されている人類類似度情報に基づいて、上述した特定人物に類似すると判断できる人物(以下、類似人物と称する)を認識する。そして、推薦コンテンツ抽出部32は、図3の出演者情報Pmに類似人物が含まれている(ベクトルの対応する成分が1である)コンテンツ情報を有するコンテンツを、推薦コンテンツとして抽出する。即ち、出演者情報Pmに類似人物が含まれている(ベクトルの対応する成分が1である)コンテンツ情報自身またはそのうちの一部の情報もまた、推薦コンテンツのコンテンツ情報またはその一部として抽出される。なお、この一連の処理の詳細例については、類似人物抽出処理として、図8乃至図11を参照して後述する。
【0073】
なお、推薦コンテンツ抽出部32が類似人物を利用して推薦コンテンツを抽出する処理は、上述した処理例に限定されず、任意の処理を採用することができる。具体的には例えば、ユーザではなくコンテンツの登場人物となり得る人物に関するベクトルUman、例えば、その人物が登場人物となったコンテンツの数や頻度等に基づく各種情報を成分として構成されるベクトルUmanを各人物毎に予め作成しておき、類似人物に関するベクトルUmanと、ベクトルPP'とのマッチング処理を実行し、ベクトルUmanとマッチングしたベクトルPP'を有するコンテンツを、推薦コンテンツとして抽出する、といった手法を採用してもよい。
【0074】
推薦コンテンツ抽出部32は、このようにして抽出した推薦コンテンツの一覧を推薦情報として生成し、推薦情報出力部33に出力する。
【0075】
なお、推薦コンテンツ抽出部32は、抽出したコンテンツを直ちに推薦コンテンツとせずに、推薦候補とするに留め、その後、適当な手法で選抜した推薦候補を、推薦コンテンツとして決定するようにしてもよい。換言すると、抽出されたコンテンツを、推薦コンテンツの一覧に含めるか否かの処理を選抜処理と捉え、抽出されたコンテンツの全てを推薦コンテンツの一覧に含めることも許可されていると捉えれば、結局、抽出されたコンテンツはみな推薦候補であると捉えることもできる。
【0076】
推薦情報出力部33は、推薦コンテンツ抽出部32から提供された推薦情報を、テレビジョン表示装置11や録画再生装置12(図1)に適宜出力する。また、推薦情報出力部33は、推薦情報を推薦情報保持部34に適宜保持させる。
【0077】
次に、かかる図2の機能的構成を有するコンテンツ推薦処理装置10の処理のうちの、人物類似度情報を生成または更新する処理(以下、人物類似度情報生成/更新処理と称する)と、その人物類似度情報等を利用して推薦情報を生成して出力するまでの一連の処理(以下、コンテンツ推薦処理と称する)とについて、その順番で個別に説明していく。
【0078】
図5のフローチャートは、人物類似度情報生成/更新処理の一例を示している。
【0079】
ステップS1において、図2の人物類似度情報生成部30は、コンテンツ情報保持部24に保持されているコンテンツ情報に基づいて、複数の出演者を抽出する。
【0080】
具体的には例えば、人物類似度情報生成部30は、各コンテンツのそれぞれに関する各コンテンツ情報の出演者情報Pm(図4参照)にそれぞれ含まれているPerson(人物)を全て抽出する。
【0081】
ステップS2において、人物類似度情報生成部30は、処理対象類似基準を設定する。
【0082】
ここで、処理対象類似基準について説明する。
【0083】
人物間の類似度は、人物が有する様々な特徴のうちの所定の特徴に着目し、その所定の特徴がどの程度類似しているのかを所定の手法に従って演算することで算出可能である。かかる演算の対象となり得る人物の特徴を、ここでは類似基準と称している。
【0084】
即ち、各人物によって差異を生じる特徴であって、その差異を定性的に表現できる特徴であれば、例えば、人物毎に特徴量を抽出可能でありその特徴量で差異を表現できる特徴であれば、何れの特徴も類似基準として採用可能である。具体的には例えば本実施の形態では、人物が有する顔の特徴(以下、単に「顔」と記述する)、人物が発声する声(以下、単に「声」と記述する)、および、人物が発話したり執筆したりするときに利用する言語の特徴(以下、単に「言語」と記述する)が、それぞれ類似基準として採用されているとする。
【0085】
従って、本実施の形態では、ステップS2の処理によって、「顔」、「声」、および「言語」のうちの所定の1つの類似基準が、処理対象類似基準として設定される。
【0086】
ステップS3において、人物類似度情報生成部30は、ステップS1の処理で抽出された複数の出演者を、処理対象類似度基準の類似度表に登録する。
【0087】
ここに、類似度表とは、例えば図6に示されるようなテーブル、即ち、所定の類似度基準についての各出演者間の類似度をそれぞれ記述するテーブルをいう。即ち、本実施の形態では、図6に示されるように、「顔」、「声」、および「言語」の類似度表が、人物類似度情報として人物類似度情報保持部31に保持されることになる。
【0088】
従って、処理対象類似基準についての類似度表が人物類似度情報保持部31にまだ保持されていない場合、ステップS3の処理では、ステップS1の処理で抽出された複数の出演者全員が登録された類似度表(ただし、類似度を示す数値は未記載の類似度表)が新たに生成されて、人物類似度情報保持部31に保持される。
【0089】
具体的には例えば、処理対象類似基準が「顔」であって、ステップS1の処理で「俳優A」、「俳優B」、「歌手C」、「歌手D」、「司会者E」、および「司会者F」が抽出された場合には、ステップS3の処理により、図6の「顔」の類似度表(ただし、類似度を示す各数値は未記載の類似度表)が新たに生成されて、人物類似度情報保持部31に保持される。
【0090】
これに対して、処理対象類似基準についての類似度表が人物類似度情報保持部31に既に保持されている場合、ステップS3の処理では、ステップS1の処理で抽出された複数の出演者のうちの、類似度表に未登録の出演者のみが新たに登録される。即ち、類似度表の内容が更新される。
【0091】
具体的には例えば、処理対象類似基準が「顔」であって、図6の状態の「顔」の類似度表が人物類似度情報保持部31に既に保持されていた場合に、人物GがステップS1の処理で抽出されたときには、図示はしないが、ステップS3の処理により、「司会者F」の列の右方に「人物G」の列が新規作成され、また、「司会者F」の行の下方に「人物G」の行が新規作成される。
【0092】
ステップS4において、人物類似度情報生成部30は、処理対象類似基準に応じた類似度演算手法に基づいて、出演者の情報を取得する。そして、ステップS5において、人物類似度情報生成部30は、処理対象類似基準に応じた類似度演算手法に従って、各出演者間の類似度をそれぞれ演算する
【0093】
ここで、処理対象類似基準に応じた類似度演算手法の具体例についてその概略を説明する。
【0094】
例えば、処理対象類似基準として「顔」が設定されている場合には、次のような類似度演算手法を採用できる。
【0095】
即ち、人物類似度情報生成部30は、各出演者の顔データを抽出する。この抽出手法は特に限定されず、例えば、所定の出演者の顔データが外部またはコンテンツ情報保持部24等に予め保持されていれば、その顔データをそのまま抽出する、という手法を採用できる。また例えば、そのような顔データが存在しない場合には、コンテンツ情報保持部24に保持されているコンテンツデータのうちの動画データから、抽出対象の出演者の顔が含まれている静止画データを生成し、その静止画データから顔の領域データを顔データとして抽出する、という手法を採用できる。
【0096】
次に、人物類似度情報生成部30は、複数の出演者の各顔データから、「顔」の類似度演算手法に応じた特徴量をそれぞれ抽出する。
【0097】
例えば、「顔」の類似度演算手法として、主成分分析を行った空間上でのEuclid距離を利用する手法が採用されている場合には、顔データ(画像データ)から輝度情報が抽出され、その輝度データが主成分分析により次元圧縮された結果得られるデータが、「顔」の類似度演算手法に応じた特徴量として抽出されることになる。この「顔」の類似度演算手法に応じた特徴量が、ステップS4の処理で言う出演者の情報の一例である。
【0098】
従って、ステップS5の処理では、抽出された各人物のそれぞれについての特徴量間の、特徴量空間上での適切な距離尺度に基づいて、各人物間の類似度が計算される。即ち、複数の出演者のそれぞれの顔データ(画像データ)から輝度情報がそれぞれ抽出され、それぞれの輝度情報が主成分分析により次元圧縮された結果得られるそれぞれのデータが、各人物の特徴量となる。かかる各人物の特徴量間の、主成分分析を行った空間上での各Euclid距離がそれぞれ演算される。そして、それらの各Euclid距離が、他の類似基準(「声」や「言語」)と比較できるように正規化された値(例えばここでは、0乃至1の範囲の値)が、各出演者間の類似度として算出される。
【0099】
また例えば、処理対象類似基準として「声」が設定されている場合には、次のような類似度演算手法を採用できる。
【0100】
即ち、人物類似度情報生成部30は、各出演者の音声波形データを抽出する。この抽出手法は特に限定されず、例えば、所定の出演者の音声波形データが外部またはコンテンツ情報保持部24等に予め保持されていれば、その音声波形データをそのまま抽出する、という手法を採用できる。また例えば、そのような音声波形データが存在しない場合には、コンテンツ情報保持部24に保持されているコンテンツデータのうちの音声データから、抽出対象の出演者が発声している区間から音声波形データを抽出する、という手法を採用できる。
【0101】
次に、人物類似度情報生成部30は、複数の出演者の各音声波形データから、「声」の類似度演算手法に応じた特徴量をそれぞれ抽出する。
【0102】
例えば、「声」の類似度演算手法として、HMM(Hidden Markov Model)やGMM(Gaussian Mixtures Model)等の音響モデルを用いる手法が採用されている場合には、MFCC(Mel Frequency Cepstrum Coefficient)等の特徴量が、「声」の類似度演算手法に応じた特徴量として抽出されることになる。この「声」の類似度演算手法に応じた特徴量が、ステップS4の処理で言う出演者の情報の一例である。
【0103】
従って、ステップS5の処理では、抽出された各人物のそれぞれについての特徴量間の、特徴量空間上での適切な距離尺度に基づいて、各人物間の類似度が計算される。即ち、例えば、複数の出演者のそれぞれの音声波形データから抽出された特徴量分布が混合正規分布でモデル化され、ある話者(出演者)の音声を他者(他の出演者)のモデルに適応した際のスコアが正規化され、それが距離尺度として利用され、それらの各距離尺度が、他の類似基準(「顔」や「言語」)と比較できるように正規化された値(例えばここでは、0乃至1の範囲の値)が、各出演者間の類似度として算出される。
【0104】
また例えば、処理対象類似基準として「言語」が設定されている場合には、次のような類似度演算手法を採用できる。
【0105】
即ち、人物類似度情報生成部30は、各出演者のテキスト情報中に出現する単語の頻度を抽出する。出演者のテキスト情報として、例えば、出演者のコンテンツ中での発話を音声認識で書き起こしたものを採用できる。この場合の音声認識の手法は特に限定されず、例えばHMM等の音響モデルを用いる手法を採用できる。また例えば、出演者のテキスト情報として、出演者の著作やインタビュー記事などのテキスト情報を採用できる。出演者の著作やインタビュー記事などのテキスト情報は、外部またはコンテンツ情報保持部24等から取得すればよい。
【0106】
次に、人物類似度情報生成部30は、複数の出演者の各テキスト情報から、「言語」の類似度演算手法に応じた特徴量をそれぞれ抽出する。
【0107】
例えば、「言語」の類似度演算手法として、いわゆるベクトル空間法が採用されている場合には、複数の出演者の各テキスト情報のそれぞれに出現した各単語が、「言語」の類似度演算手法に応じた特徴量として抽出されることになる。この「言語」の類似度演算手法に応じた特徴量が、ステップS4の処理で言う出演者の情報の一例である。
【0108】
従って、ステップS5の処理では、抽出された各人物のそれぞれについての特徴量間の、特徴量空間上での適切な距離尺度に基づいて、各人物間の類似度が計算される。即ち、出現した個々の単語を独立した軸と考え、その出現頻度を値とする多次元空間の多次元ベクトル(多次元空間上の1点)として複数の出演者のそれぞれが表現され、複数の出演者のそれぞれについての各多次元ベクトル間の余弦(cosine)距離が演算され、それらの各余弦距離が、他の類似基準(「顔」や「声」)と比較できるように正規化された値(例えばここでは、0乃至1の範囲の値)が、各出演者間の類似度として算出される。
【0109】
なお、「顔」、「声」、および「言語」のそれぞれに応じた類似度演算手法は、上述した例に限定されず、その他の如何なる手法を採用できることはいうまでもない。
【0110】
このようにして、ステップS5の処理で各出演者間の類似度が演算されると、処理はステップS6に進む。
【0111】
ステップS6において、人物類似度情報生成部30は、各出演者間の類似度を、処理対象類似基準の類似度表に記述する。
【0112】
具体的には例えば、処理対象類似基準が「顔」であって、ステップS1の処理で「俳優A」、「俳優B」、「歌手C」、「歌手D」、「司会者E」、および「司会者F」が抽出されて、ステップS3の処理で、「俳優A」、「俳優B」、「歌手C」、「歌手D」、「司会者E」、および「司会者F」が登録された類似度表が新たに生成されたとする。このような場合には、ステップS6の処理の結果として、図6に示されるような類似度を示す各数値が、対応する項目にそれぞれ記述された「顔」の類似度表が完成し、人物類似度情報保持部31に保持されることになる。
【0113】
これにより、各人物間の類似度が容易にわかるようになる。例えば、図6の「顔」の類似度表にに着目すると、「俳優A」と「俳優B」との類似度は「0.6」であり、「俳優A」と「歌手C」との類似度は「0.3」であることが容易にわかる。これにより、「俳優A」の顔は、「歌手C」の顔よりも「俳優B」の顔に類似していることも容易にわかる。
【0114】
図5に戻り、ステップS7において、人物類似度情報生成部30は、別の類似基準の類似度表も作成/更新するか否かを判定する。
【0115】
ステップS7において、別の類似基準の類似度表も作成/更新すると判定された場合、処理はステップS2に戻され、それ以降の処理が繰り返される。即ち、本実施の形態では、「顔」、「声」、および「言語」のそれぞれに対して、ステップS2乃至S7のループ処理が繰り返し実行されて、その結果、図6に示されるような「顔」、「声」、および「言語」の各類似度表が完成し、人物類似度情報保持部31に人物類似度情報として保持されることになる。
【0116】
これにより、ステップS7において、別の類似基準の類似度表も作成/更新しないと判定されて、人物類似度情報生成/更新処理は終了となる。
【0117】
なお、コンテンツ情報保持部24の保持内容は逐次更新されていくので、人物類似度情報生成部30は、人物類似度情報生成/更新処理を適宜実行して、例えば周期的に実行して、人物類似度情報保持部31に保持されている人物類似度情報の内容も適宜更新しておくとよい。
【0118】
このような人物類似度情報生成/更新処理が1回以上実行されて、人物類似度情報保持部31に人物類似度情報が保持されている場合、コンテンツ推薦処理装置10は、例えば図7に示されるコンテンツ推薦処理を実行することができる。即ち、図7のフローチャートは、コンテンツ推薦処理の一例を示している。
【0119】
ステップS21において、図2の推薦コンテンツ抽出部32は、ユーザが好きであると判断できる特定人物を、ユーザ嗜好情報保持部29に保持されているユーザ嗜好情報から抽出する。
【0120】
なお、特定人物の抽出とは、特定人物の人物情報の抽出を意味する。具体的には例えば本実施の形態では、上述したように、図4の出演者情報Pupの中で、所定の閾値以上の数値(嗜好度合)を有するPerson(人物)という情報が特定人物として抽出される。
【0121】
この場合、注意すべき点は、所定の閾値以上の数値(嗜好度合)を有するPerson(人物)が複数人存在する場合、それらの複数人が特定人物としてそれぞれ抽出される点である。即ち、ステップS21の処理で抽出される特定人物の人数は1人とは限らず、複数人である場合もある。
【0122】
ステップS22において、推薦コンテンツ抽出部32は、特定人物が出演するコンテンツを、推薦候補として決定する。即ち、本実施の形態では、推薦コンテンツ抽出部32は、図3の出演者情報Pmに特定人物が含まれている(ベクトルの対応する成分が1である)コンテンツ情報を有するコンテンツを、推薦候補として決定する。
【0123】
ステップS23において、推薦コンテンツ抽出部32は、人類類似度情報保持部31に保持されている人類類似度情報に基づいて、特定人物の類似人物を抽出する処理(以下、類似人物抽出処理と称する)を実行する。なお、類似人物抽出処理の詳細例については、図8乃至図11を参照して後述する。
【0124】
ステップS24において、推薦コンテンツ抽出部32は、類似人物が出演するコンテンツを、推薦候補として決定する。即ち、本実施の形態では、推薦コンテンツ抽出部32は、図3の出演者情報Pmに類似人物が含まれている(ベクトルの対応する成分が1である)コンテンツ情報を有するコンテンツを、推薦候補として決定する。
【0125】
ステップS25において、推薦コンテンツ抽出部32は、推薦候補の中から、推薦コンテンツを選抜する。
【0126】
ステップS26において、推薦コンテンツ抽出部32は、推薦コンテンツの一覧(推薦情報)を推薦情報出力部33を介して出力する。
【0127】
なお、図7の例では、特定人物が出演するコンテンツと、類似人物が出演するコンテンツとの両者が推薦候補として決定されたが、何れか一方を推薦コンテンツとして決定するようにしてもよい。即ち、従来のように特定人物が出演するコンテンツの一覧を推薦情報として出力することもできるし、類似人物が出演するコンテンツの一覧を推薦情報として出力することもできる。
【0128】
次に、図8のフローチャートを参照して、ステップS23の処理、即ち類似人物抽出処理の詳細例について説明する。
【0129】
ステップS41において、推薦コンテンツ抽出部32は、使用類似基準を1種類以上決定する。
【0130】
使用類似基準とは、上述した各種の類似基準ののうちの、即ち、本実施の形態では、「顔」、「声」、および「言語」のうちの、類似人物を抽出すべく、特定人物との類似度を演算するときに使用する類似基準をいう。
【0131】
ステップS42において、推薦コンテンツ抽出部32は、使用類似基準のうちの所定の1種類を、処理対象類似基準を設定する。
【0132】
ステップS43において、特定人物のうちの所定の1人を、処理対象特定人物に設定する。
【0133】
即ち、上述したように、特定人物は複数人である場合があるため、図8の例の類似人物抽出処理では、かかるステップS43の処理が設けられており、さらに、後述するステップS45乃至S47の処理が設けられているのである。換言すると、特定人物が1人であることが前提とされているならば、ステップS43およびステップS45乃至S47の処理は省略可能である。
【0134】
ステップS44において、推薦コンテンツ抽出部32は、処理対象特定人物に対する各出演者の類似度を、人物類似度情報保持部31に保持されている人物類似度情報からそれぞれ取得する。
【0135】
具体的には例えば、図6の状態の「顔」の類似度表が人物類似度情報保持部31に保持されており、処理対象類似基準が「顔」であって、処理対象特定人物が「俳優A」である場合には、処理対象特定人物に対する各出演者の類似度として、「俳優A」に対する「俳優B」の類似度「0.6」、「俳優A」に対する「歌手C」の類似度「0.3」、「俳優A」に対する「歌手D」の類似度「0.8」、「俳優A」に対する「司会者E」の類似度「0.5」、および、「俳優A」に対する「司会者F」の類似度「0.4」が、それぞれ取得される。
【0136】
ステップS45において、推薦コンテンツ抽出部32は、処理対象特定人物にまだ設定されていない特定人物は存在するか否かを判定する。
【0137】
複数の特定人物が存在する場合であって、それらの複数の特定人物の中に、処理対象特定人物にまだ設定されていない人物が存在する場合には、ステップS45の処理でYESであると判定されて、処理はステップS43に戻され、それ以降の処理が繰り返される。
【0138】
即ち、1人以上の特定人物のそれぞれに対してステップS43乃至S45のループ処理が繰り返し実行されて、1人以上の特定人物のそれぞれに対する各出演者の類似度がそれぞれ取得されることになる。その後、ステップS45の処理でNOであると判定されて、処理はステップS46に進む。
【0139】
ステップS46において、推薦コンテンツ抽出部32は、特定人物は複数人であるか否かを判定する。
【0140】
特定人物が複数人である場合、推薦コンテンツ抽出部46は、ステップS46においてYESであると判定して、ステップS47において、所定の出演者に対する複数の特定人物の各類似度に基づいて、所定の出演者に対する総合的な類似度を演算する。かかる総合的な類似度は、出演者毎にそれぞれ演算される。なお、以下、このようなステップS47の処理を、複数の特定人物の総合類似度演算処理と称する。複数の特定人物の総合類似度演算処理の詳細については、図9を参照して後述する。このステップS47の複数の特定人物の総合類似度演算処理が終了すると、処理はステップS48に進む。
【0141】
これに対して、特定人物が1人である場合、ステップS46においてNOであると判定されて、ステップS47の複数の特定人物の総合類似度演算処理は実行されずに、そのまま処理はステップS48に進む。
【0142】
ステップS48において、推薦コンテンツ抽出部32は、処理対象類似基準にまだ設定されていない使用類似基準は存在するか否かを判定する。
【0143】
ステップS48の処理でYESであると判定された場合、即ち、ステップS41の処理で複数種類の使用類似基準が決定されて、それらの複数種類の使用類似規準の中に、処理対象使用類似基準にまだ設定されていない種類が存在する場合には、処理はステップS42に戻され、それ以降の処理が繰り返される。
【0144】
即ち、1種類以上の使用類似基準のそれぞれに対してステップS42乃至S48のループ処理が繰り返し実行されて、1種類以上の使用類似基準毎に、特定人物に対する各出演者の類似度がそれぞれ取得される。ただし、複数の特定人物が存在する場合には総合的な類似度がそれぞれ演算される。その後、ステップS48の処理でNOであると判定されて、処理はステップS49に進む。
【0145】
ステップS49において、推薦コンテンツ抽出部32は、使用類似基準は複数種類であるか否かを判定する。
【0146】
ステップS49においてYESであると判定した場合、即ちステップS41の処理で複数種類の使用類似基準を決定していた場合、推薦コンテンツ抽出部46は、ステップS50において、複数種類の使用類似基準のそれぞれについての特定人物に対する各出演者の各類似度に基づいて、特定人物に対する各出演者の総合的な類似度をそれぞれ演算する。なお、以下、このようなステップS50の処理を、複数の使用類似基準の総合類似度演算処理と称する。複数の使用類似基準の総合類似度演算処理の詳細については、図10を参照して後述する。このステップS50の複数の使用類似基準の総合類似度演算処理が終了すると、処理はステップS51に進む。
【0147】
これに対してステップS49においてNOであると判定された場合、即ちステップS41の処理で1種類の使用類似基準が決定されていた場合、ステップS50の複数の使用類似基準の総合類似度演算処理は実行されずに、そのまま処理はステップS51に進む。
【0148】
ステップS51において、推薦コンテンツ抽出部32は、類似度が閾値以上の出演者を、類似人物として決定する。
【0149】
具体的には例えば、図6の状態の「顔」の類似度表が人物類似度情報保持部31に保持されており、使用類似基準が「顔」のみであって、特定人物が「俳優A」1人のみであった場合に、上述したステップS41乃至S50の処理が実行されたとする。このような場合には、ステップS51の処理で閾値と比較される類似度は、「俳優A」に対する「俳優B」の類似度「0.6」、「俳優A」に対する「歌手C」の類似度「0.3」、「俳優A」に対する「歌手D」の類似度「0.8」、「俳優A」に対する「司会者E」の類似度「0.5」、および、「俳優A」に対する「司会者F」の類似度「0.4」のそれぞれとなる。従って、例えば閾値として「0.7」が設定されている場合には、類似度「0.8」を有する「歌手D」が、類似人物として決定される。
【0150】
また例えば、ステップS47の複数の特定人物の総合類似度演算処理や、ステップS50の複数の使用類似基準の総合類似度演算処理が実行されていた場合には、それらの演算処理の結果得られる総合的な類似度が、閾値と比較され、総合的な類似度が閾値以上の出演者が、類似人物として決定される。
【0151】
このようにして、ステップS51の処理で類似人物が決定されると、類似人物抽出処理が終了し、即ち、上述した図7のステップS23の処理が終了し、次のステップS24の処理で、このステップS51の処理で決定された類似人物が出演するコンテンツが、推薦候補として決定される。
【0152】
次に、類似人物抽出処理におけるステップS47とS50との各処理の詳細について、即ち、複数の特定人物の総合類似度演算処理と、複数の使用類似基準の総合類似度演算処理とのそれぞれの詳細について、その順番で個別に説明していく。
【0153】
図9のフローチャートは、複数の特定人物の総合類似度演算処理の詳細例を示している。
【0154】
ステップS71において、推薦コンテンツ抽出部32は、複数の特定人物の各嗜好度合を、ユーザ嗜好情報保持部29に保持されているユーザ嗜好情報から抽出する。
【0155】
具体的には例えば本実施の形態では、図4の出演者情報Pupのうちの、複数の特定人物のそれぞれに対応付けられた各数値が、複数の特定人物の各嗜好度合として抽出される。即ち、例えば「personA」が特定人物に含まれる場合には、その嗜好度合として「10」が抽出される。また例えば、「personB」が特定人物に含まれる場合には、その嗜好度合として「43」が抽出される。
【0156】
ステップS72において、推薦コンテンツ抽出部32は、複数の出演者のうちの所定の1人を、処理対象出演者に設定する。
【0157】
ステップS73において、推薦コンテンツ抽出部32は、複数の特定人物のそれぞれに対する処理対象出演者の各類似度を、対応する特定人物の嗜好度合いを用いて重み付けする。そして、ステップS74において、推薦コンテンツ抽出部32は、重み付けされた各類似度の総加算を、処理対象出演者の類似度として決定する。
【0158】
ステップS75において、推薦コンテンツ抽出部32は、処理対象出演者にまだ設定されていない出演者は存在するか否かを判定する。
【0159】
ステップS75の処理でYESであると判定された場合、即ち、処理対象出演者にまだ設定されていない出演者が存在する場合、処理はステップS72に戻され、それ以降の処理が繰り返される。
【0160】
即ち、複数の出演者のそれぞれに対して、ステップS72乃至S75のループ処理が繰り返し実行され、複数の出演者の各総合的な類似度がそれぞれ演算される。
【0161】
具体的には例えば、「俳優A」と「歌手D」とが特定人物であって、ステップS71の処理でそれぞれ抽出された各嗜好度合を正規化した各値が「0.7」と「0.3」とのそれぞれであるとする。そして、「0.7」を「俳優A」の重み値として採用し、また、「0.3」を「歌手D」の重み値として採用するとする。
【0162】
また、「顔」についての総合的な類似度が演算されるとし、その類似度演算の対象人物が、即ち複数の出演者が「俳優B」、「歌手C」、「司会者E」、および「司会者F」であったとする。また、各人物間の各類似度は、図6の状態の「顔」の類似度表に示されている各値であるとする。
【0163】
即ち、「俳優A」に対する類似度は、「俳優B」については「0.6」であり、「歌手C」については「0.3」であり、「司会者E」については「0.5」であり、「司会者F」については「0.4」であるとする。
【0164】
また、「歌手D」に対する類似度は、「俳優B」については「0.4」であり、「歌手C」については「0.5」であり、「司会者E」については「0.5」であり、「司会者F」については「0.5」であるとする。
【0165】
この場合、ステップS72の処理で「俳優B」が処理対象出演者に設定されると、ステップS72の処理で、「俳優A」に対する「俳優B」の類似度「0.6」が重み値「0.7」で重み付けされて「0.6*0.7」となり、また、「歌手D」に対する「俳優B」の類似度「0.4」が重み値「0.3」で重み付けされて「0.4*0.3」となる。
【0166】
従って、ステップS74の処理で、次の式(1)の演算が実行され、その演算結果である「0.54」が、「俳優B」の総合的な類似度として決定される。
【0167】
0.6*0.7+0.4*0.3=0.54 ・・・(1)
【0168】
同様に、「歌手C」が処理対象出演者に設定されると、ステップS73とS74の処理で、次の式(2)の演算が実行され、その演算結果である「0.36」が「歌手C」の総合的な類似度として決定される。
【0169】
0.3*0.7+0.5*0.3=0.36 ・・・(2)
【0170】
また、「司会者E」が処理対象出演者に設定されると、ステップS73とS74の処理で、次の式(3)の演算が実行され、その演算結果である「0.5」が「司会者E」の総合的な類似度として決定される。
【0171】
0.5*0.7+0.5*0.3=0.5 ・・・(3)
【0172】
また、「司会者F」が処理対象出演者に設定されると、ステップS73とS74の処理で、次の式(4)の演算が実行され、その演算結果である「0.43」が「司会者F」の総合的な類似度として決定される。
【0173】
0.4*0.7+0.5*0.3=0.43 ・・・(4)
【0174】
従って、この数値例では、総合的な類似度は、「俳優B」>「司会者E」>「司会者F」>「歌手C」となる。
【0175】
このようにして、複数の出演者のそれぞれの総合的な類似度が演算されると、ステップS75の処理でNOであると判定されて、複数の特定人物の総合類似度演算処理が終了する。即ち、上述した図8のステップS47の処理が終了し、処理はステップS48に進む。
【0176】
この場合、ステップS41の処理で決定された使用類似基準が1種類だけであるとすると、ステップS50の複数の使用類似基準の総合類似度演算処理は実行されないので、このステップS47の複数の特定人物の総合類似度演算処理結果、即ち、各出演者の総合的な類似度のそれぞれが、ステップS51の処理において、閾値と比較されることになる。
【0177】
具体的には例えば、各出演者の総合的な類似度が上述した数値例であって、閾値が「0.4」の場合、総合的な類似度「0.54」を有する「俳優B」と、総合的な類似度「0.5」を有する「司会者E」とのそれぞれが、類似人物として決定される。
【0178】
次に、図10のフローチャートを参照して、複数の使用類似基準の総合類似度演算処理例、即ち、上述した図8のステップS50の処理の詳細例について説明する。
【0179】
ステップS91において、推薦コンテンツ抽出部32は、推薦候補となり得るコンテンツのジャンルを、コンテンツ情報保持部24に保持されているコンテンツ情報から取得する。
【0180】
ステップS92において、推薦コンテンツ抽出部32は、取得されたジャンルのうちの所定の1つを、処理対象ジャンルに設定する。
【0181】
ステップS93において、推薦コンテンツ抽出部32は、処理対象ジャンルについて、複数の類似基準の各重み係数をそれぞれ決定する。
【0182】
ステップS94において、推薦コンテンツ抽出部32は、複数の出演者のうちの所定の1人を、処理対象出演者に設定する。
【0183】
ステップS95において、推薦コンテンツ抽出部32は、複数の使用類似基準のそれぞれに対する処理対象出演者の各類似度を、対応する使用類似基準の重み係数を用いて重み付けする。そして、ステップS96において、推薦コンテンツ抽出部32は、重み付けされた各類似度の総加算を、処理対象出演者の類似度として決定する。
【0184】
ステップS97において、推薦コンテンツ抽出部32は、処理対象出演者にまだ設定されていない出演者は存在するか否かを判定する。
【0185】
ステップS97の処理でYESであると判定された場合、即ち、処理対象出演者にまだ設定されていない出演者が存在する場合、処理はステップS94に戻され、それ以降の処理が繰り返される。
【0186】
即ち、処理対象ジャンルについて、複数の出演者のそれぞれに対して、ステップS94乃至S98のループ処理が繰り返し実行され、複数の出演者の各総合的な類似度がそれぞれ演算される。その後、ステップS97の処理でNOであると判定されて、処理はステップS98に進む。
【0187】
ステップS98において、推薦コンテンツ抽出部32は、処理対象ジャンルにまだ設定されていないジャンルは存在するか否かを判定する。
【0188】
ステップS98の処理でYESであると判定された場合、即ち、処理対象ジャンルにまだ設定されていないジャンルが存在する場合、処理はステップS92に戻され、それ以降の処理が繰り返される。
【0189】
即ち、ステップS91の処理で取得された各ジャンルのそれぞれについて、ステップS92乃至S98のループ処理が繰り返し実行され、複数の出演者の各総合的な類似度がそれぞれ演算される。その後、ステップS98の処理でNOであると判定されて、処理はステップS99に進む。
【0190】
ステップS99において、推薦コンテンツ抽出部32は、ステップS91の処理で取得されたジャンルは複数であるか否かを判定する。
【0191】
ステップS91の処理で取得されたジャンルが複数であった場合、ステップS99の処理でYESであると判定されて、処理はステップS100に進む。ステップS100において、推薦コンテンツ抽出部32は、複数の出演者毎に、ジャンル統合類似度を演算する。
【0192】
ここに、所定の出演者についてのジャンル統合類似度とは、その所定の出演者について、複数のジャンル毎にステップS96の処理で決定された各類似度(以下、ジャンル類似度と称する)を用いて、所定の演算規則に従って算出された1つの類似度をいう。所定の演算規則は、特に限定されず、例えば、各ジャンル類似度を重み付けし、重み付け後の各ジャンル類似度の平均値をジャンル統合類似度とする、といった演算規則を採用できる。また例えば、重み付け後の各ジャンル類似度の総加算値をジャンル統合類似度とする、といった演算規則を採用できる。
【0193】
このようなステップS100の処理が終了すると、複数の使用類似基準の総合類似度演算処理は終了となる。即ち、上述した図8のステップS50の処理が終了し、処理はステップS51に進む。
【0194】
これに対して、ステップS91の処理で取得されたジャンルが1つだけであった場合、ステップS99の処理でNOであると判定されて、ステップS100の処理は実行されずに、複数の使用類似基準の総合類似度演算処理は終了となる。即ち、上述した図8のステップS50の処理が終了し、処理はステップS51に進む。
【0195】
以上説明したように、複数の使用類似基準の総合類似度演算処理は、コンテンツの内容(ここではジャンル)によって、重視する使用類似基準を変更することを特徴とする。即ち、所定のジャンルによって、重視する使用類似基準を変更するべく、図10の例では、その重視度合いを示す値として、ステップS93の処理で決定される重み係数が利用されている。
【0196】
換言すると、この重み係数は、どのように重視するのかに応じて任意に決定することができる。即ち、ステップS93の処理は、最終的に重み係数が決定されれば足り、その処理内容は特に限定されない。
【0197】
例えば、過去の推薦コンテンツに対するユーザの反応から動的に更新する処理、即ち、所定の演算手法に従って各重み係数をその都度算出する処理を、ステップS93の処理として採用することができる。
【0198】
また例えば、ジャンル毎の各類似基準の各重み係数を予め設定して保持しておき、その保持されている各重み係数を抽出する処理を、ステップS93の処理として採用してもよい。具体例には例えば図11に示されるような重み係数情報を図2の人物類似度情報保持部31等に予め保持させておき、推薦コンテンツ抽出部32が、ステップS93の処理として、処理対象ジャンルについての「顔」係数α、「声」係数β、「言語」係数γを取得することで、それらを各重み係数として決定することができる。
【0199】
この場合、ステップS95とS96の処理として、次の式(5)が演算されて、処理対象ジャンルについての処理対象出演者の総合的な類似度が決定されることになる。
【0200】
総合的な類似度= α×「顔」類似度+β×「声」類似度+γ×「言語」類似度 ・・・(5)
【0201】
なお、式(5)において、「顔」類似度とは、使用類似基準が「顔」の場合の処理対象出演者の類似度をいう。即ち、α×「顔」類似度が、ステップS95の処理により「顔」類似度が重み付けされた結果である。同様に、「声」類似度とは、使用類似基準が「声」の場合の処理対象出演者の類似度をいう。即ち、β×「声」類似度が、ステップS95の処理により「声」類似度が重み付けされた結果である。また、「言語」類似度とは、使用類似基準が「言語」の場合の処理対象出演者の類似度をいう。即ち、γ×「言語」類似度が、ステップS95の処理により「言語」類似度が重み付けされた結果である。
【0202】
また、式(5)で算出される「総合的な類似度」とは、処理対象ジャンルとされている1つのジャンルについての類似度、即ち、ステップS100の処理の説明において上述した「ジャンル類似度」をいう。従って、ステップS91の処理で取得されたジャンルが複数であった場合、複数のジャンル毎に、式(5)を利用して各ジャンル類似度が算出される。そして、ステップS100の処理で、複数のジャンルのそれぞれについての各ジャンル類似度が統合された1つの類似度、即ちジャンル統合類似度が演算される。
【0203】
なお、上述した図8のステップS41の処理で「顔」が使用類似基準として決定されていない場合、「顔」係数α=0として取り扱い、「声」係数βと「言語」係数γとについては、それらの加算値が1となるように再度正規化を行えばよい。即ち、かかる処理をステップS93の処理として実行すればよい。
【0204】
同様に、上述した図8のステップS41の処理で「声」が使用類似基準として決定されていない場合、「声」係数β=0として取り扱い、「顔」係数αと「言語」係数γとについては、それらの加算値が1となるように再度正規化を行えばよい。即ち、かかる処理をステップS93の処理として実行すればよい。また、上述した図8のステップS41の処理で「言語」が使用類似基準として決定されていない場合、「言語」係数γ=0として取り扱い、「顔」係数αと「声」係数βとについては、それらの加算値が1となるように再度正規化を行えばよい。即ち、かかる処理をステップS93の処理として実行すればよい。
【0205】
また、ステップS95とS96の処理の代わりに、ベイジアンネットを利用して3つの類似尺度、即ち、「顔」、「声」、「言語」の各類似度を統合することで、処理対象ジャンルについての処理対象出演者の総合的な類似度を決定する処理を採用してもよい。
【0206】
また、コンテンツの内容として、図10の例ではジャンルが採用されたが、図10の例に特に限定されない。即ち、図10における「ジャンル」を、任意の「コンテンツの内容」に置き換えるだけで、任意の「コンテンツの内容」についての、複数の使用類似基準の総合類似度演算処理が容易に実現できる。
【0207】
さらにまた、複数の使用類似基準の総合類似度演算処理の特徴、即ち、コンテンツの内容(ここではジャンル)によって、重視する使用類似基準を変更するという特徴は、別の処理、例えば図8のステップS41の処理に適用することもできる。即ち、ステップS41の処理の使用類似基準の決定手法として、コンテンツのジャンルに応じて決定する手法を採用することができる。具体的には例えば、コンテンツのジャンルが、情報や教養系の場合には出演者の発話内容を重視しべく「言語」を、アニメの場合は声優の声質を重視すべく「声」を、音楽の場合は歌手の声質を重視すべく「声」を、ドラマや映画の場合は出演者の顔情報を重視すべく「顔」を、それぞれ使用類似基準として決定する、といった手法をステップS41の処理に採用できる。
【0208】
以上、図5の人物類似度情報生成/更新処理と、図7等のコンテンツ推薦処理とは何れも、図2の機能的構成を有するコンテンツ推薦処理装置10により実行されるとして説明してきた。即ち、図5の人物類似度情報生成/更新処理と、図7等のコンテンツ推薦処理とは、同一装置により実行されることを前提に説明してきた。しかしながら、図5の人物類似度情報生成/更新処理と、図7等のコンテンツ推薦処理とは互いに独立した処理であるので、このことを考慮すると、両者の処理を同一装置で実行する必要は必ずしもない。
【0209】
例えば、コンテンツ推薦処理装置10は、図2のコンテンツ情報保持部24、ユーザ嗜好情報保持部29、人物類似度情報保持部31、推薦コンテンツ抽出部32、推薦情報出力部33、および推薦情報保持部34だけ備えるように構成させて、図2の他の機能ブロックの機能については他の装置に委譲することも可能である。
【0210】
具体的には例えば、図1の配信サーバ5が、人物類似度情報生成部30の機能を有するようにしてもよい。この場合、配信サーバ5が、図5の人物類似度情報生成/更新処理を定期的に実行し、その処理結果、即ち、生成または更新された人物類似度情報を、ネットワーク8を介してコンテンツ推薦処理装置10に配布することができる。実際には、非常に数多くのユーザがそれぞれのコンテンツ推薦処理装置10を個別に保有することになるので、そのことを考慮すれば、図5の人物類似度情報生成/更新処理は、各コンテンツ推薦処理装置10側で実行するよりも、配信サーバ5側で実行する方が好適である。
【0211】
ところで、上述した一連の処理は、ハードウエアにより実行させることもできるが、ソフトウエアにより実行させることができる。
【0212】
この場合、図2のコンテンツ推薦処理装置10等の少なくとも一部として、例えば、図12に示されるパーソナルコンピュータを採用してもよい。
【0213】
図12において、CPU(Central Processing Unit)101は、ROM(Read Only Memory)102に記録されているプログラム、または記憶部108からRAM(Random Access Memory)103にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。RAM103にはまた、CPU101が各種の処理を実行する上において必要なデータなども適宜記憶される。
【0214】
CPU101、ROM102、およびRAM103は、バス104を介して相互に接続されている。このバス104にはまた、入出力インタフェース105も接続されている。
【0215】
入出力インタフェース105には、キーボード、マウスなどよりなる入力部106、ディスプレイなどよりなる出力部107、ハードディスクなどより構成される記憶部108、および、モデム、ターミナルアダプタなどより構成される通信部109が接続されている。通信部109は、インターネットを含むネットワークを介して他の装置(図示せず)との間で行う通信を制御する。
【0216】
入出力インタフェース105にはまた、必要に応じてドライブ110が接続され、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリなどよりなるリムーバブルメディア111が適宜装着され、それらから読み出されたコンピュータプログラムが、必要に応じて記憶部108にインストールされる。
【0217】
一連の処理をソフトウエアにより実行させる場合には、そのソフトウエアを構成するプログラムが、専用のハードウエアに組み込まれているコンピュータ、または、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータなどに、ネットワークや記録媒体からインストールされる。
【0218】
このようなプログラムを含む記録媒体は、図12に示されるように、装置本体とは別に、ユーザにプログラムを提供するために配布される、プログラムが記録されている磁気ディスク(フロッピディスクを含む)、光ディスク(CD-ROM(Compact Disk-Read Only Memory),DVD(Digital Versatile Disk)を含む)、光磁気ディスク(MD(Mini-Disk)を含む)、もしくは半導体メモリなどよりなるリムーバブル記録媒体(パッケージメディア)111により構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに提供される、プログラムが記録されているROM102や、記憶部108に含まれるハードディスクなどで構成される。
【0219】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
【0220】
また、本明細書において、システムとは、複数の装置や処理部により構成される装置全体を表すものである。
【0221】
また例えば、コンテンツとして、上述した実施の形態では、テレビジョン放送番組と、配信ストリーミングデータとのみを採用したが、当然ながら上述した実施の形態に限定されるものではない。即ち、コンテンツとは、広く、人間の創造的活動により生み出されるものをいい、このようなコンテンツ全体に対して本発明は適用可能である。
【0222】
例えば、映画、音楽、演劇、文芸、写真、漫画、アニメーション、コンピュータゲームその他の文字、図形、色彩、音声、動作若しくは映像若しくはこれらを組み合わせたもの又はこれらに係る情報を電子計算機を介して提供するためのプログラムが、コンテンツの一例であり、何れも本発明に適用可能である。即ち、これらの各種のコンテンツを推薦の対象とすることができる。さらに、この場合、ユーザが嗜好する特定人物に基づくコンテンツ推薦に限定する必要は特に無く、広く特定オブジェクトに基づくコンテンツ推薦を行うことができる。この場合、上述した一連の処理を施すことで、特定オブジェクトに類似する類似オブジェクトを認識し、その類似オブジェクトに基づくコンテンツ推薦を行うことも可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0223】
【図1】テレビジョン番組放送、およびストリームデータの配信について説明する図である。
【図2】本発明が適用される情報処理装置としての、図1のコンテンツ推薦処理装置の機能的構成例を示す機能ブロック図である。
【図3】図2のコンテンツ情報保持部に保持されるコンテンツ情報の一例を示す図である。
【図4】図2のユーザ嗜好情報保持部に保持されるユーザ嗜好情報の一例を示す図である。
【図5】図2のコンテンツ推薦処理装置が実行する人物類似度情報生成/更新処理例を説明するフローチャートである。
【図6】図5の人物類似度情報生成/更新処理により生成されて、図2の人物類似度情報保持部31に保持される人物類似度情報の一例を示す図である。
【図7】図2のコンテンツ推薦処理装置が実行するコンテンツ推薦処理例を説明するフローチャートである。
【図8】図7のステップS23の類似人物抽出処理の詳細例を説明するフローチャートである。
【図9】図8のステップS47の複数の特定人物の総合類似度演算処理の詳細例を説明するフローチャートである。
【図10】図8のステップS50の複数の使用類似基準の総合類似度演算処理の詳細例を説明するフローチャートである。
【図11】図10の複数の使用類似基準の総合類似度演算処理で利用される重み係数情報の一例を示す図である。
【図12】本発明が適用される画像処理装置としてのパーソナルコンピュータの構成例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0224】
5 配信サーバ, 10 コンテンツ推薦処理装置, 24 コンテンツ情報保持部, 29 ユーザ嗜好情報保持部, 30 人物類似度情報生成部, 31 人物類似度情報保持部, 32 推薦コンテンツ抽出部, 33 推薦情報出力部, 101 CPU, 102 ROM, 103 RAM, 108 記憶部, 111 リムーバブル記録媒体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザにコンテンツを推薦する情報処理装置において、
前記ユーザが嗜好する特定人物に関する嗜好情報を保持する嗜好情報保持手段と、
前記特定人物を含む複数の人物間における所定の類似基準に基づく各類似度を示す人物類似情報を保持する人物類似情報保持手段と、
前記嗜好情報保持手段に保持された前記嗜好情報に基づいて前記特定人物を認識し、前記人物類似情報保持手段に保持された前記人物類似情報に基づいて、前記特定人物に類似すると判断できる類似人物を認識し、前記特定人物が出演するコンテンツと前記類似人物が出演するコンテンツとのうちの少なくとも一方を、ユーザに対して推薦すべき推薦コンテンツの候補として決定する推薦手段と
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記所定の類似基準に基づく類似度は、人物が有する顔の特徴に基づく類似度である
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記所定の類似基準に基づく類似度は、人物が発声する声の特徴に基づく類似度である
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記所定の類似基準に基づく類似度は、人物が利用する言語の特徴に基づく類似度である
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記人物類似情報は、複数の類似基準のそれぞれに基づく各類似度を示す各情報からなり、
前記推薦手段は、
前記複数の類似基準のそれぞれについて、前記類似人物の候補と前記特定人物との間の各類似度を前記人物類似情報から取得し、
取得した前記複数の類似基準のそれぞれについての前記各類似度と、コンテンツの内容に応じて変化する前記複数の類似基準の重要度合とに基づいて、前記類似人物の候補の総合的な類似度を演算し、
前記総合的な類似度に基づいて、前記類似人物の候補を前記類似人物として認識するか否かを決定する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記推薦手段は、
前記特定人物として複数人を認識し、
前記類似人物の候補と、前記複数の特定人物のそれぞれとの間の各類似度を前記人物類似情報から取得し、
取得した前記各類似度に基づいて、前記類似人物の候補の総合的な類似度を演算し、
前記総合的な類似度に基づいて、前記類似人物の候補を前記類似人物として認識するか否かを決定する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記特定人物を含む前記複数の人物間における前記所定の類似基準に基づく各類似度をそれぞれ演算し、それらの演算結果を前記人物類似情報として前記人物類似情報保持手段に保持させる類似度演算手段
をさらに備える請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
ユーザが嗜好する特定人物に関する嗜好情報を保持する嗜好情報保持手段と、
前記特定人物を含む複数の人物間における所定の類似基準に基づく各類似度を示す人物類似情報を保持する人物類似情報保持手段とを備え
前記ユーザにコンテンツを推薦する情報処理装置の情報処理方法であって、
前記嗜好情報保持手段に保持された前記嗜好情報に基づいて前記特定人物を認識し、前記人物類似情報保持手段に保持された前記人物類似情報に基づいて、前記特定人物に類似すると判断できる類似人物を認識し、前記特定人物が出演するコンテンツと前記類似人物が出演するコンテンツとのうちの少なくとも一方を、ユーザに対して推薦すべき推薦コンテンツの候補として決定する
ステップを含む情報処理方法。
【請求項9】
ユーザが嗜好する特定人物に関する嗜好情報を保持する嗜好情報保持手段と、
前記特定人物を含む複数の人物間における所定の類似基準に基づく各類似度を示す人物類似情報を保持する人物類似情報保持手段とを備え、
前記ユーザにコンテンツを推薦する推薦装置を制御するコンピュータが実行するプログラムであって、
前記嗜好情報保持手段に保持された前記嗜好情報に基づいて前記特定人物を認識し、前記人物類似情報保持手段に保持された前記人物類似情報に基づいて、前記特定人物に類似すると判断できる類似人物を認識し、前記特定人物が出演するコンテンツと前記類似人物が出演するコンテンツとのうちの少なくとも一方を、ユーザに対して推薦すべき推薦コンテンツの候補として決定する
ステップを含むプログラム。
【請求項1】
ユーザにコンテンツを推薦する情報処理装置において、
前記ユーザが嗜好する特定人物に関する嗜好情報を保持する嗜好情報保持手段と、
前記特定人物を含む複数の人物間における所定の類似基準に基づく各類似度を示す人物類似情報を保持する人物類似情報保持手段と、
前記嗜好情報保持手段に保持された前記嗜好情報に基づいて前記特定人物を認識し、前記人物類似情報保持手段に保持された前記人物類似情報に基づいて、前記特定人物に類似すると判断できる類似人物を認識し、前記特定人物が出演するコンテンツと前記類似人物が出演するコンテンツとのうちの少なくとも一方を、ユーザに対して推薦すべき推薦コンテンツの候補として決定する推薦手段と
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記所定の類似基準に基づく類似度は、人物が有する顔の特徴に基づく類似度である
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記所定の類似基準に基づく類似度は、人物が発声する声の特徴に基づく類似度である
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記所定の類似基準に基づく類似度は、人物が利用する言語の特徴に基づく類似度である
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記人物類似情報は、複数の類似基準のそれぞれに基づく各類似度を示す各情報からなり、
前記推薦手段は、
前記複数の類似基準のそれぞれについて、前記類似人物の候補と前記特定人物との間の各類似度を前記人物類似情報から取得し、
取得した前記複数の類似基準のそれぞれについての前記各類似度と、コンテンツの内容に応じて変化する前記複数の類似基準の重要度合とに基づいて、前記類似人物の候補の総合的な類似度を演算し、
前記総合的な類似度に基づいて、前記類似人物の候補を前記類似人物として認識するか否かを決定する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記推薦手段は、
前記特定人物として複数人を認識し、
前記類似人物の候補と、前記複数の特定人物のそれぞれとの間の各類似度を前記人物類似情報から取得し、
取得した前記各類似度に基づいて、前記類似人物の候補の総合的な類似度を演算し、
前記総合的な類似度に基づいて、前記類似人物の候補を前記類似人物として認識するか否かを決定する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記特定人物を含む前記複数の人物間における前記所定の類似基準に基づく各類似度をそれぞれ演算し、それらの演算結果を前記人物類似情報として前記人物類似情報保持手段に保持させる類似度演算手段
をさらに備える請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
ユーザが嗜好する特定人物に関する嗜好情報を保持する嗜好情報保持手段と、
前記特定人物を含む複数の人物間における所定の類似基準に基づく各類似度を示す人物類似情報を保持する人物類似情報保持手段とを備え
前記ユーザにコンテンツを推薦する情報処理装置の情報処理方法であって、
前記嗜好情報保持手段に保持された前記嗜好情報に基づいて前記特定人物を認識し、前記人物類似情報保持手段に保持された前記人物類似情報に基づいて、前記特定人物に類似すると判断できる類似人物を認識し、前記特定人物が出演するコンテンツと前記類似人物が出演するコンテンツとのうちの少なくとも一方を、ユーザに対して推薦すべき推薦コンテンツの候補として決定する
ステップを含む情報処理方法。
【請求項9】
ユーザが嗜好する特定人物に関する嗜好情報を保持する嗜好情報保持手段と、
前記特定人物を含む複数の人物間における所定の類似基準に基づく各類似度を示す人物類似情報を保持する人物類似情報保持手段とを備え、
前記ユーザにコンテンツを推薦する推薦装置を制御するコンピュータが実行するプログラムであって、
前記嗜好情報保持手段に保持された前記嗜好情報に基づいて前記特定人物を認識し、前記人物類似情報保持手段に保持された前記人物類似情報に基づいて、前記特定人物に類似すると判断できる類似人物を認識し、前記特定人物が出演するコンテンツと前記類似人物が出演するコンテンツとのうちの少なくとも一方を、ユーザに対して推薦すべき推薦コンテンツの候補として決定する
ステップを含むプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2008−48001(P2008−48001A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−219303(P2006−219303)
【出願日】平成18年8月11日(2006.8.11)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年8月11日(2006.8.11)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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