説明

情報処理装置及び画像表示制御方法

【課題】
測距センサを利用して、情報処理装置に対する操作における利用者の利便性を向上させる。
【解決手段】
制御処理部211は、測距センサによる計測結果に基づく検出データOBDにより、タッチ操作のために物体が表示デバイスの近傍に侵入したことを検知した場合に、検出データOBD及び現在の画像表示状態等を解析する。そして、制御処理部211は、解析結果に応じたメニュー画像取得指令MNCをメニュー画像取得部212へ送るとともに、表示データ生成指令PICを表示データ生成部113へ送る。メニュー画像取得部212は、記憶装置からメニュー表示指令MNCにより指定されたメニュー画像データを取得し、メニュー画像MNDとして表示データ生成部113へ向けて送る。表示データ生成部113は、表示データ生成指令PICに従った位置にメニュー画像MNDを配置する表示データIMDを生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、画像表示制御方法、画像表示制御プログラム、及び、当該画像表示制御プログラムを記録した記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、様々な情報処理装置が、利用者に提供されている。こうした情報処理装置の中には、測距センサを搭載したものがある。当該装置に搭載された測距センサは、当該装置に近づく物体との距離等を測定することで、当該装置の機能に資するものとなっているが、その測定結果の利用方法は様々である。
【0003】
かかる利用方法の一例として、利用者や物体が情報処理装置に近づいたことを感知して、当該装置の機能を有効に実行する「動作モード」と、当該装置の機能の一部を停止させる「節電モード」とを切替える技術が提案されている(特許文献1等参照:以下、「従来例」と呼ぶ)。この従来例の技術は、物体が測距センサから所定領域内に侵入したときに、「節電モード」となるものである。
【0004】
【特許文献1】特開平10−271199号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来例の技術では、測距センサによる測定結果に基づいて、情報処理装置の「動作モード」と「節電モード」とを切替えるだけである。そのため、従来例の技術は、当該装置の節電以外には、何ら利用者に特別の利便性を与えるものではなかった。このため、情報処理装置に測距センサを搭載した場合に、測距センサによる測定結果を利用し、有効に活用して、利用者の利便性を大きく高める技術が待望されている。かかる要望に応えることが、本発明が解決すべき課題の一つとして挙げられる。
【0006】
本発明は、上記の事情を鑑みてなされたものであり、測距センサを利用しつつ、利用者の利便性を向上することができる画像表示装置及び画像表示制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、画像を表示する表示デバイスと;前記表示デバイスの表示面上に被タッチ部分が配設されたタッチパネル手段と;前記被タッチ部分に対するタッチ操作を行う物体が、前記被タッチ部分の近傍領域に侵入したことを検出する侵入検出手段と;前記侵入検出手段により前記物体の侵入が検出されたときに、前記表示デバイスに既に表示されている第1画像に重ねて、タッチ操作案内画像である第2画像を前記表示デバイスに表示させる画像表示制御手段と;を備えることを特徴とする情報処理装置である。
【0008】
請求項6に記載の発明は、画像表示する表示デバイスと;前記表示デバイスの表示面上に被タッチ部分が配設されたタッチパネル手段と;を備える情報処理装置において使用される画像表示制御方法であって、前記被タッチ部分に対するタッチ操作を行う物体が、前記被タッチ部分の近傍領域に侵入したことを検出する侵入検出工程と;前記侵入検出工程において前記物体の侵入が検出されたときに、前記表示デバイスに既に表示されている第1画像に重ねて、タッチ操作案内画像である第2画像を前記表示デバイスに表示させる画像表示制御工程と;を備えることを特徴とする画像表示制御方法である。
【0009】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の画像表示制御方法を演算手段に実行させる、ことを特徴とする画像表示制御プログラムである。
【0010】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の画像表示制御プログラムが、演算手段により読み取り可能に記録された記録媒体である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態を、図1〜図8を参照して説明する。なお、以下の説明及び図面においては、同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0012】
[構成]
図1には、一実施形態に係る情報処理装置としての機能を有する車両搭載用のナビゲーション装置100の概略的な構成がブロック図にて示されている。また、図2には、ナビゲーション装置100の外観構成が、正面図にて示されている。
【0013】
図1に示されるように、ナビゲーション装置100は、制御ユニット110と、ハードディスク装置等の記憶装置120とを備えている。
【0014】
また、ナビゲーション装置100は、音出力ユニット130と、表示ユニット140と、操作入力ユニット150と、走行センサユニット160と、GPS(Global Positioning System)受信ユニット170とを備えている。さらに、ナビゲーション装置100は、侵入検出手段としての物体検知ユニット190を備えている。
【0015】
なお、上記の制御ユニット110以外の要素120〜190は、制御ユニット110に接続されている。
【0016】
制御ユニット110は、ナビゲーション装置100の全体を統括制御する。この制御ユニット110の詳細については、後述する。
【0017】
記憶装置120は、不揮発性の記憶装置であるハードディスク装置等から構成される。記憶装置120内には、ナビゲーション利用情報121、メニュー画像情報125などの様々な情報が記憶されている。ここで、ナビゲーション利用情報121には、地図情報122等のナビゲーションのために利用される情報が含まれている。
【0018】
メニュー画像情報125とは、アプリケーションのユーザーインターフェイスとして用いられるメニューの画像データである。メニュー画像情報125は、階層構造になっており、上位の初期メニュー画像(メインメニュー画像)データと、下位の複数個のサブメニュー画像データから構成されている。メニュー画像情報125に基づく画像が、制御ユニット110による制御のもとで、表示デバイス141に表示される。
【0019】
音出力ユニット130は、(i)制御ユニット110から受信したデジタル音声データをアナログ信号に変換するDA変換器(Digital to Analog Converter)と、(ii)当該DA変換器から出力されたアナログ信号を増幅する増幅器と、(iii)増幅されたアナログ信号を音声に変換するスピーカとを備えて構成されている。この音出力ユニット130は、制御ユニット110による制御のもとで、車両の進行方向、走行状況、交通状況等の案内用音声、音楽等を出力する。
【0020】
表示ユニット140は、(i)液晶パネル、有機EL(Electric Luminescence)パネル、PDP(Plasma Display Panel)等の表示デバイス141(図2参照)と、(ii)制御ユニット110から送出された表示制御データに基づいて、表示ユニット140全体の制御を行うグラフィックレンダラ等の表示コントローラと、(iii)表示画像データを記憶する表示画像メモリ等を備えて構成されている。この表示ユニット140は、制御ユニット110による制御のもとで、地図情報、ルート情報、メニュー画像、操作ガイダンス情報等を表示する。
【0021】
操作入力ユニット150は、ハードキーユニット151と、タッチパネル手段としてのタッチパネルユニット156とを備えている。ハードキーユニット151は、図2に示されるように、ナビゲーション装置100の本体部に設けられた複数のハードキー1521〜1527等を備えて構成されている。
【0022】
タッチパネルユニット156は、タッチパネル157と、このタッチパネル157を駆動する駆動回路等とを備えて構成されている。タッチパネル157は、図3に示されるように、表示デバイス141の表示面上に配設されている。駆動回路は、タッチパネル157に対して行われたタッチ操作の位置に関するデータを取得して、タッチ位置データTPDとして、制御ユニット110へ向けて送る。
【0023】
この操作入力ユニット150を利用者が操作することにより、ナビゲーション装置100の動作内容の設定が行われる。本実施形態では、ハードキーユニット151を利用者が操作することにより、ナビゲーション装置100の電源のオン・オフ、音出力ユニット130のスピーカから出力する音声の音量調整等を行うことができる。また、タッチパネルユニット156を利用者が操作することにより、目的地の設定、情報の検索設定、車両の走行状況表示設定等を行うことができる。こうした入力内容は、操作入力ユニット150から制御ユニット110へ送られる。
【0024】
図1に戻り、走行センサユニット160は、(i)車両の移動速度を検出する車速センサと、(ii)車両に作用している加速度を検出する加速度センサと、(iii)車両の角速度を検出する角速度センサとを備えている。ここで、車速センサは、車軸や車輪の回転により出力されるパルス信号を検出する。また、加速度センサは、例えば、3次元方向の加速度を検出する。また、加速度センサは、例えば、いわゆるジャイロセンサとして構成され、加速度を検出する。
【0025】
GPS受信ユニット170は、複数のGPS衛星からの電波の受信結果に基づいて、車両の現在位置の擬似座標値を算出し、制御ユニット110へ報告する。また、GPS受信ユニット170は、GPS衛星から送出された時刻情報に基づいて、現在時刻を計時し、制御ユニット110へ送る。
【0026】
物体検知ユニット190は、測距センサ191,192を備えて構成されている。測距センサ191,192は、図2に示されるように、左右2方向に沿うタッチパネル157の設置近傍域に対称配置される。測距センサ191,192は、タッチ操作を行う物体(例えば、利用者の指)までの距離を計測し、これらの計測結果から、当該物体がタッチパネル157の正面に対して右方向(+X方向)からタッチパネル157の近傍領域に侵入したか、タッチパネル157の正面に対して左方向(−X方向)からタッチパネル157の近傍領域に侵入したかを検出する。物体検知ユニット190による検出結果は、検出データOBDとして、制御ユニット110へ向けて送られる。なお、これらの測距センサ191,192としては、例えば、20cm程度以下の範囲内にある任意物体の存在を、赤外線の反射を利用して検知するものを採用することができる。
【0027】
制御ユニット110は、図4に示されるように、ナビゲーション処理部111と、タッチ操作処理部112と、表示データ生成部113とを備えている。
【0028】
ナビゲーション処理部111は、記憶装置120にアクセスして、ナビゲーション利用情報121における地図情報122等を適宜参照し、かつ上述した構成要素130〜190を利用して、利用者にナビゲーション情報を提供する。すなわち、ナビゲーション処理に対する操作入力ユニット150からの入力結果に沿って、走行センサユニット160による検出結果及びGPS受信ユニット170による測位結果に対応して、記憶装置120に記憶されたナビゲーション用のデータを適宜読み出す。つまり、ナビゲーション処理部111は、(a)利用者が指定する地域の地図を表示ユニット140の表示デバイス141に表示するための地図表示、(b)自車が地図上のどこに位置するのか、また、どの方角に向かっているのかを算出し、表示ユニット140の表示デバイス141に表示して利用者に提示するマップマッチング、(c)現在自車が存在する位置から、利用者が指定する任意の位置である目的地までの最適ルート検索、(d)設定されたルートに沿って目的地まで運転するときに、表示ユニット140の表示デバイス141に案内表示をしたり、音出力ユニット130のスピーカを用いて音声案内を出力したりする、といったようなルート案内等を行う。
【0029】
また、ナビゲーション処理部111は、タッチ操作処理部112から、ナビゲーション処理に関する実行指令CMDを受けるようになっている。
【0030】
タッチ操作処理部112は、タッチパネル157に対するタッチ操作により入力される指令を処理したり、表示デバイス141にメニュー画像を表示するため、記憶装置120から画像データを取得したりする。このタッチ操作処理部112は、図5に示されるように、画像表示制御手段としての制御処理部211と、メニュー画像取得部212とを備えている。
【0031】
なお、以下の説明において、表示デバイス141に地図画像のみが表示されている状態を「単独表示」状態といい、地図画像に重ねてメニュー画像が表示されている状態を「重畳表示」状態という。
【0032】
制御処理部211は、タッチ操作処理部112におけるタッチ操作処理等を制御する。制御処理部211は、物体検知ユニット190から検出データOBDを受け、タッチパネルユニット156からタッチ位置データTPDを受ける。
【0033】
そして、制御処理部211は、検出データOBD、タッチ位置データTPD、現在の表示デバイス141の画像表示状態等を総合的に解析する。制御処理部211は、この解析結果に応じたメニュー画像取得指令MNCをメニュー画像取得部212へ向けて送るとともに、表示データ生成指令PICを表示データ生成部113へ向けて送る。
【0034】
より詳細に説明すると、表示デバイス141が「単独表示」状態にあり、検出データOBDが物体の存在を感知したものであるときは、制御処理部211は、記憶装置120から初期メニュー画像データを取得すべき旨のメニュー画像取得指令MNCを、メニュー画像取得部212へ向けて発行する。制御処理部211は、この指令発行と同時に、取得した初期メニュー画像データに対応するメニュー画像を、表示デバイス141に既に表示されている地図画像上に重ねた画像に対応する表示データIMDを作成すべき旨の表示データ生成指令PICを、表示データ生成部113へ向けて発行する。
【0035】
なお、本実施形態では、タッチ操作を行う物体がタッチパネル157の正面に対して右方向(+X方向)からタッチパネル157の近傍領域に侵入を開始したことが検出された場合には、表示デバイス141の右側の領域に初期メニュー画像を重ねて表示するようになっている(後述する図8(A)参照)。一方、当該物体がタッチパネル157の正面に対して左方向(−X方向)からタッチパネル157の近傍領域に侵入を開始したことが検出された場合には、表示デバイス141の左側の領域に初期メニュー画像を重ねて表示するようになっている(後述する図8(B)参照)。
【0036】
制御処理部211は、表示デバイス141が「重畳表示」状態のときに、タッチ位置データTPDを受けると、まず、タッチ位置データTPDを解析する。そして、タッチ位置データTPDに基づいて、タッチ操作による入力指令がサブメニュー画像等を表示デバイス141に表示すべき旨の指令であると判断された場合には、制御処理部211は、タッチ操作による入力指令に対応するメニューの画像データを記憶装置120から取得すべき旨のメニュー画像取得指令MNCを、メニュー画像取得部212へ向けて発行する。この指令発行と同時に、制御処理部211は、メニュー画像データMNDと地図画像データMPDとを重ねた表示データIMDを作成すべき旨の表示データ生成指令PICを、表示データ生成部113へ向けて発行する。
【0037】
一方、タッチ操作による入力指令がナビゲーション処理部111に対する指令であると判断された場合には、タッチ位置データTPDに対応する実行指令CMDを、ナビゲーション処理部111へ向けて送る。
【0038】
また、制御処理部211は、表示デバイス141が「重畳表示」状態のときに、検出データOBDの結果に基づいて、物体が所定時間にわたりタッチパネル157の近傍領域に侵入していないと判断したときは、地図画像データMPDのみから表示データIMDを生成すべき旨の表示データ生成指令PICを、表示データ生成部113へ向けて発行する。なお、当該所定時間は、利用者の利便性の観点から、実験、シニュレーション、経験等によって予め定められる。
【0039】
メニュー画像取得部212は、制御処理部211からのメニュー画像取得指令MNCに従って、記憶装置120から、メニュー画像取得指令MNCにより指定された画像データMNIを取得する。そして、メニュー画像取得部212は、この画像データMNIをメニュー画像データMNDとして、表示データ生成部113へ向けて送る。
【0040】
図4に戻り、表示データ生成部113は、ナビゲーション処理部111から地図画像データMPDを受けるとともに、タッチ操作処理部112のメニュー画像取得部212(図5参照)からメニュー画像データMNDを受ける。そして、表示データ生成部113は、制御処理部211からの表示データ生成指令PICに従って、地図画像にメニュー画像を重ねた画像に対応する重畳表示画像データ、又は、地図画像のみに対応する単独表示画像データを、表示データIMDとして生成する。こうして生成された表示データIMDは、表示ユニット140へ向けて送られる。
【0041】
[動作]
次に、上記のように構成されたナビゲーション装置100の動作について、タッチ操作処理部112によるタッチパネル157の操作処理及び表示デバイス141へのメニュー画像の表示処理に、主に着目して説明する。
【0042】
なお、この処理は、所定の時間間隔で周期的に実行される。かかる所定の時間間隔は、利用者に対して違和感を感じさせないという観点から、実験、シミュレーション、経験等に基づいて、予め定められる。例えば、所定の時間間隔を、数10m秒〜数100mの時間間隔とすることができる。
【0043】
まず、図6に示されるように、タッチ操作処理部112の制御処理部211は、ステップS11の処理を実行する。なお、このステップS11の段階では、表示デバイス141は「単独表示」状態でありは、図7に示されるような地図画像データMPDに基づく地図画像だけが表示デバイス141に表示されており、メニュー画像データMNDに基づくメニュー画像は表示されていないものとする。
【0044】
図6のステップS11では、制御処理部211が、物体検知ユニット190から送られてくる検出データOBDを解析し、物体(利用者の指)が、タッチパネル157の右側(+X方向)からタッチパネル157の近傍領域内に侵入したか否かを判定する。この判定は、物体探知ユニット190からの報告結果に基づいて行われる。ステップS11における判定の結果が肯定的であった場合(ステップS11:Y)には、処理はステップS13へ進む。
【0045】
ステップS13では、物体がタッチパネル157の右側から侵入していることから、制御処理部211は、タッチパネル157の右側からの操作入力を容易にする右側操作モードにする。
【0046】
右側操作モードになると、処理はステップS14へ進む。このステップS14では、制御処理部211が、表示デバイス141が「重畳表示」状態であるか否かを判断する。この判定の結果が否定的であった場合(ステップS14:N)には、処理はステップS15へ進む。
【0047】
ステップS15では、まず、制御処理部211が、記憶装置120から初期メニュー画像データを取得すべき旨のメニュー画像取得指令MNCを、メニュー画像取得部212へ向けて発行する。次いで、メニュー画像取得部212が、記憶装置120から、メニュー画像取得指令MNCにより指定された初期メニュー画像データを画像データMNIとして取得する。そして、メニュー画像取得部212は、この画像データMNIをメニュー画像データMNDとして、表示データ生成部113へ向けて送る。
【0048】
また、制御処理部211は、前述したメニュー画像取得指令MNCの発行と同時に、取得した初期メニュー画像データに対応するメニュー画像を、表示デバイス141に既に表示されている地図画像上の右側領域に重ねた画像に対応する表示データIMDを作成すべき旨の表示データ生成指令PICを、表示データ生成部113へ向けて発行する。この指令を受けた表示データ生成部113は、地図画像の右側領域にメニュー画像を重ねた画像に対応する重畳表示画像データを生成する。こうして生成された重畳表示画像データは、表示データIMDとして、表示ユニット140へ向けて送られる。これにより、図8(A)に示されるように、表示デバイス141に既に表示されている地図画像に重ねて、表示デバイス141の右側領域にメニュー画像が表示される。その後、処理はステップS16へ進む。
【0049】
ステップS16では、制御処理部211が、カウンタ値Tの値を、所定の初期値にセットする。カウンタ値Tをセットした後は、制御処理部211は、今回の処理を終了させる。なお、カウンタ値Tは、物体がタッチパネル157の近傍領域に侵入していない状態の継続時間を計測するためのものである。このカウンタ値Tの所定の初期値は、前述した処理の割込時間間隔との関係で、利用者に違和感のないように、実験、経験等に基づいて、予め定められる。本実施形態では、例示としてカウンタ値Tの所定の初期値は、「100」とする。
【0050】
一方、ステップS14における判定の結果が肯定的であった場合(ステップS14:Y)、すなわち、表示デバイス141が「重畳表示」状態であった場合には、処理はステップS16へ進む。ステップS16では、前述したように、制御処理部211がカウンタ値Tを初期値である「100」にセットする。その後、制御処理部211は、今回の処理を終了させる。
【0051】
ステップS11へ戻り、この判定の結果が否定的であった場合(ステップS11:N)には、処理はステップS17へ進む。
【0052】
ステップS17では、制御処理部211が、物体検知ユニット190から送られてくる検出データOBDを解析し、物体が、タッチパネル157の左側(−X方向)からタッチパネル157の近傍領域内に侵入したか否かを判断する。この判定の結果が肯定的であった場合(ステップS17:Y)には、タッチパネル157の左側からのみ物体が侵入しているため、タッチパネル157の左側からの操作入力を容易にする左側操作モードとなる(ステップS18)。
【0053】
左側操作モードになると、処理はステップS19へ進む。このステップS19では、制御処理部211が、表示デバイス141が「重畳表示」状態であるか否かを判断する。この判定の結果が否定的であった場合(ステップS19:N)には、処理はステップS20へ進む。
【0054】
ステップS20では、まず、制御処理部211が、記憶装置120から初期メニュー画像データを取得すべき旨のメニュー画像取得指令MNCを、メニュー画像取得部212へ向けて発行する。次いで、メニュー画像取得部212が、記憶装置120から、メニュー画像取得指令MNCにより指定された初期メニュー画像データを画像データMNIとして取得する。そして、メニュー画像取得部212は、この画像データMNIをメニュー画像MNDとして、表示データ生成部113へ向けて送る。
【0055】
また、制御処理部211は、メニュー画像取得指令MNCの発行と同時に、取得した初期メニュー画像データに対応するメニュー画像を、表示デバイス141に既に表示されている地図画像上の左側領域に重ねた画像に対応する表示データIMDを作成すべき旨の表示データ生成指令PICを、表示データ生成部113へ向けて発行する。この指令を受けた表示データ生成部113は、地図画像の左側領域にメニュー画像を重ねた画像に対応する重畳表示画像データを生成する。こうして生成された重畳表示画像データは、表示データIMDとして、表示ユニット140へ向けて送られる。これにより、図8(B)に示されるように、表示デバイス141に既に表示されている地図画像に重ねて、表示デバイス141の左側領域にメニュー画像が表示される。続いて、処理は前述したステップS16へと進み、制御処理部211が、カウンタ値Tを初期値である「100」にセットする。その後、制御処理部211が、今回の処理を終了させる。
【0056】
一方、ステップS19における判定の結果が肯定的であった場合(ステップS19:Y)にも、処理は前述したステップS16と進み、カウンタ値Tを初期値である「100」にセットした後、今回の処理を終了させる。
【0057】
ステップS17へ戻り、この判定の結果が否定的であった場合(ステップS17:N)には、処理はステップS21へ進む。なお、この判定の結果が否定的である場合(ステップS17:N)とは、物体が、タッチパネル157の近傍領域内に侵入していない場合である。
【0058】
ステップS21では、制御処理部211が、カウンタ値Tを「1」だけデクリメントする。その後、処理はステップS22へ進む。ステップS22では、制御処理部211が、カウンタ値Tが「0」より小さいか否かを判定する。この判定の結果が否定的であった場合(ステップS22:N)には、制御処理部211は、今回の処理を終了させる。
【0059】
一方、ステップS22における判定の結果が肯定的になると(ステップS22:Y)、処理はステップS23へ進む。ここで、カウンタ値Tが「0」より小さくなるとは、制御処理部211によって、所定時間にわたり、物体がタッチパネル157の近傍領域に侵入していないと判断される場合である。例えば、ステップS16において設定するカウンタ値Tの初期値を「100」、処理の割込時間間隔を「0.1秒」に採用すれば、所定時間は「10秒」とすることができる。
【0060】
ステップS23では、ステップS15やステップS20のときと異なり、制御処理部211は、メニュー画像取得部212へ向けてのメニュー画像取得指令を発行せず、表示データ生成部113へ向けてのみ表示データ生成指令PICを発行する。この場合の表示データ生成指令PICは、地図画像のみに対応する単独表示画像データを、表示データIMDとして生成すべき旨の指令である。この指令を受けた表示データ生成部113は、地図画像だけを表示デバイス141に表示する表示データIMDを作成する。そして、この表示データIMDは、表示ユニット140へ向けて送られる。これにより、図7に示したような画像が、表示デバイス141に表示される。その後、制御処理部211は、今回の処理を終了させる。
【0061】
以上説明したように、本実施形態では、タッチ操作処理部112の制御処理部211は、物体検知ユニット190から検出データOBDを受け、また、タッチパネルユニット156からタッチ位置データTPDを受ける。そして、制御処理部211は、検出データOBD、タッチ位置データTPD、表示デバイス141の画像表示状態等を総合的に解析し、解析結果に応じたメニュー画像取得指令MNCをメニュー画像取得部212へ向けて送るとともに、表示データ生成指令PICを表示データ生成部113へ向けて送る。これにより、利用者の指がタッチパネル157の右側から近づいた場合には、利用者が操作しやすいように表示デバイス141の右側に初期メニュー画像を表示し、また、利用者の指がタッチパネル157の左側から近づいた場合には、利用者が操作しやすいように表示デバイス141の左側に初期メニュー画像を表示することができる。
【0062】
また、本実施形態では、利用者がタッチパネル157に対するタッチ操作を、所定時間にわたって行わない場合には、表示デバイス141は「単独表示」状態となり、表示デバイス141にメニュー画面は表示されない。このため、利用者がタッチパネル157に対するタッチ操作を行わない間は、メニュー画面が地図画面を見る際の障害とはならず、利用者にとって、広い範囲の地図を見ることができ、地図が見やすくなる。
【0063】
したがって、本実施形態によれば、ナビゲーション装置100に搭載した測距センサ191,192を活用して、ナビゲーション装置100の操作を補助することができ、利用者の利便性を向上させることができる。
【0064】
[実施形態の変形]
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
【0065】
例えば、上記の実施形態では、タッチパネル157の近傍領域に侵入する物体の検知を、左右2方向から行った。これに対して、例えば、タッチパネル157の近傍領域に侵入する物体の検知を、上下左右の4方向から行う等、物体の検知方法は、いかなるものであってもよい。
【0066】
また、上記の実施形態では、ステップS14における判定の結果が否定的(ステップS14:N)であった場合と、ステップS19における判定の結果が否定的(ステップS19:N)であった場合に、表示デバイス141に表示する各初期メニュー画像は、表示位置が異なるだけ、表示内容は同じとした。これに対して、各初期メニュー画像の表示位置は同じにして、表示内容を異なるものにしてもよいし、また、各初期メニュー画像の表示位置と表示内容のいずれも異なるものにしてもよい。
【0067】
また、上記の実施形態では、物体がタッチパネル157の近傍領域に侵入しない場合に、メニュー画像を非表示にするまでの所定時間として10秒を例示したが、この所定時間は10秒よりも長くてもよいし、また、10秒よりも短くてもよい。
【0068】
また、上記の実施形態では、操作入力ユニット150は、ハードキーユニット151と、タッチパネルユニット156とを備えることとした。これに対して、操作入力ユニット150が、上記の要素に加え、又はハードキーユニット151に代えて、キー部を備えるリモート入力装置を採用することもできるし、音声入力する構成を採用することもできる。
【0069】
また、上記の実施形態では、ナビゲーション装置100に本発明を適用したが、家庭内等で使用するナビゲーション装置以外の情報処理装置にも本発明を適用することができるのは、勿論である。
【0070】
なお、上記の実施形態における制御ユニット110の一部又は全部を中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、読出専用メモリ(ROM:Read Only Memory)、ランダムアクセスメモリ(RAM:Random Access Memory)等を備えた演算手段としてのコンピュータとして構成し、予め用意されたプログラムを当該コンピュータで実行することにより、上記の実施形態における処理の一部又は全部を実行するようにしてもよい。このプログラムはハードディスク、CD−ROM、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、当該コンピュータによって記録媒体から読み出されて実行される。また、このプログラムは、CD−ROM、DVD等の可搬型記録媒体に記録された形態で取得されるようにしてもよいし、インターネットなどのネットワークを介した配送の形態で取得されるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の一実施形態に係るナビゲーション装置の構成を概略的に示すブロック図である。
【図2】図1に示されるナビゲーション装置の外観構成を示す図である。
【図3】表示デバイスとタッチパネルの配置関係を説明するための図である。
【図4】図1の制御ユニットの構成を示すブロック図である。
【図5】図4のタッチ操作処理部の構成を示すブロック図である。
【図6】図5のタッチ操作処理部における表示デバイスへのメニュー画像の表示処理を説明するためのフローチャートである。
【図7】表示デバイスへの画像の表示例である(その1)。
【図8】表示デバイスへの画像の表示例である(その2)。
【符号の説明】
【0072】
100 … ナビゲーション装置(情報処理装置)
141 … 表示デバイス
156 … タッチパネルユニット(タッチパネル手段)
190 … 物体検知ユニット(侵入検出手段)
211 … 制御処理部(画像表示制御手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示する表示デバイスと;
前記表示デバイスの表示面上に被タッチ部分が配設されたタッチパネル手段と;
前記被タッチ部分に対するタッチ操作を行う物体が、前記被タッチ部分の近傍領域に侵入したことを検出する侵入検出手段と;
前記侵入検出手段により前記物体の侵入が検出されたときに、前記表示デバイスに既に表示されている第1画像に重ねて、タッチ操作案内画像である第2画像を前記表示デバイスに表示させる画像表示制御手段と;
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記侵入検出手段は、前記物体の侵入位置情報を検出し、
前記画像表示制御手段は、前記侵入検出手段により検出された侵入位置情報に基づいて、複数の候補の中から前記第2画像を特定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記複数の候補は、互いに前記表示デバイスの表示面における表示位置及び表示内容の少なくとも一方が異なる、ことを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記画像表示制御手段は、前記第1画像に重ねた前記第2画像の表示後、前記物体侵入検出手段による検出結果に基づいて、所定時間にわたり前記物体が前記近傍領域に侵入していないと判断された場合には、前記第1画像のみを前記表示デバイスに表示させる、
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
移動体に搭載される、ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
画像表示する表示デバイスと;前記表示デバイスの表示面上に被タッチ部分が配設されたタッチパネル手段と;を備える情報処理装置において使用される画像表示制御方法であって、
前記被タッチ部分に対するタッチ操作を行う物体が、前記被タッチ部分の近傍領域に侵入したことを検出する侵入検出工程と;
前記侵入検出工程において前記物体の侵入が検出されたときに、前記表示デバイスに既に表示されている第1画像に重ねて、タッチ操作案内画像である第2画像を前記表示デバイスに表示させる画像表示制御工程と;
を備えることを特徴とする画像表示制御方法。
【請求項7】
請求項6に記載の画像表示制御方法を演算手段に実行させる、ことを特徴とする画像表示制御プログラム。
【請求項8】
請求項7に記載の画像表示制御プログラムが、演算手段により読み取り可能に記録された記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−310643(P2008−310643A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−158751(P2007−158751)
【出願日】平成19年6月15日(2007.6.15)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】