説明

情報処理装置,電子機器,画像形成装置

【課題】 記憶手段内に,入力された画像情報等のデータを記憶,保存させる所定記憶容量の記憶ボックスを複数設定してデータを記憶する情報処理装置及びこのような情報処理装置を備える画像読取装置,画像形成装置において,必要なデータを記憶させたままの状態で,常にハードディスクの記憶可能な残容量を十分に確保し,且つデータ管理を容易に行えるようにすること。
【解決手段】 入力されたデータを記憶する複数の記憶ボックス(I)〜(IV)がHD74内に設定される情報処理装置,及びこのような情報処理装置を備える画像読取装置,画像形成装置において,該複数の記憶ボックス(I)〜(IV)の所定記憶容量に対する各々の使用率が,予めCPU71又は操作パネル8より複数段階に設定されHD75に記憶された閾値より高くなる毎に異なる内容の警告を表示部81に表示するようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,ハードディスク等の記憶手段内に設定された複数の所定記憶容量の記憶ボックスにデータを分類して記憶する情報処理装置,及びこのような情報処理装置を備える電子機器や画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に,ハードディスク等の記憶手段に,入力された画像情報等のデータを記憶,保存する情報処理装置は,スキャナ等の画像読取装置や,複写機,ファクシミリ,プリンタ等の画像形成装置に備えられたり,データベースサーバとして用いられるPC等の電子機器に備えられたりして,複数のユーザーに共用されることがある。このような複数のユーザーに共用される情報処理装置においては,ハードディスクに記憶されるデータ量が非常に多く,複数のユーザー個々のデータ管理が煩雑であった。そのため,ハードディスク等の記憶手段内に,入力された画像情報等のデータを記憶,保存させる所定記憶容量の記憶ボックスをユーザー毎或いはデータの種類毎に複数設定し,データをユーザー毎或いはデータの種類毎に分類して記憶する技術が知られている(例えば特許文献1)。
【0003】
一方,当然ながら,ハードディスクには決まった記憶容量があり,ハードディスクの記憶容量を超えてデータを記憶させることはできない。上記したように複数のユーザーに共用される情報処理装置では,記憶されるデータ量が非常に多いため,ハードディスクの記憶容量が満杯となり,新たに入力されるデータを記憶,保存できないといった状況になる可能性が高い。ハードディスクの記憶容量が満杯の状態でデータが入力されると,新たに入力されたデータが消失してしまうことも起こりうる。そのため,ハードディスクの記憶容量が満杯になる前に,ユーザーにデータの整理(不要なデータの削除,圧縮等)をさせる目的で,ハードディスクの記憶可能な残容量が少なくなった時に警告を出す情報処理装置(例えば特許文献2参照)や,残容量が少なくなった時にハードディスクに記憶されているデータのうち古いものが削除される情報処理装置等が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−17367号公報
【特許文献2】特開2004−266450号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし,上記特許文献1のように複数のユーザーに共用され,ユーザー毎に設定された記憶ボックスにデータが記憶される情報処理装置においては,ハードディスクに記憶されているデータのうち古いものから削除されると,他のユーザーのデータを消してしまうことになりかねない。また,上記特許文献2のようにハードディスクの記憶可能な残容量に応じて警告を出したとしても,警告を受けたユーザーが,どのデータをどのように整理して良いかをその場で判断できない。そのため,必要なデータを記憶させたままの状態で,常にハードディスクの記憶可能な残容量を十分に確保することが難しいといった問題があった。
さらに近年では,ハードディスクの記憶容量が増大しており,一人のユーザーが多数の記憶ボックスを設定して使用していることも多く,ユーザー毎のデータ管理が煩雑であるといった問題もある。
従って,本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって,記憶手段内に,入力された画像情報等のデータを記憶,保存させる所定記憶容量の記憶ボックスを複数設定してデータを記憶する情報処理装置及びこのような情報処理装置を備える電子機器,画像形成装置において,必要なデータを記憶させたままの状態で,常にハードディスクの記憶可能な残容量を十分に確保し,且つデータ管理を容易に行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明は,入力されたデータを記憶する所定記憶容量の記憶ボックスが複数設定される記憶手段を備える情報処理装置であって,前記複数の記憶ボックス毎の前記所定記憶容量に対する使用率が,予め設定された閾値より高くなると警告を表示する警告表示手段と,前記閾値を予め設定する閾値設定手段とを備え,前記閾値設定手段が,前記閾値を複数段階に設定するものであり,前記警告表示手段が,前記複数段階に設定された閾値毎に異なる内容の警告を表示するものであることを特徴とする情報処理装置として構成される。
これにより,記憶ボックス毎の使用率に応じて,複数回にわたって,段階的に異なる内容の警告を表示するので,ユーザーに各記憶ボックスの使用状況を確実に認識させることができ,ユーザーに各記憶ボックスの整理(不要なデータの削除等)を促すことができる。その結果,各ユーザーが各々の記憶ボックスを整理することになるので,必要なデータは記憶させたままの状態で,常に各記憶ボックスに新たなデータを記憶可能な容量を確保することができる。すなわち,常にハードディスクの記憶可能な残容量を十分に確保することができる。また,各ユーザーに各々の記憶ボックスを整理させることにより,各ユーザーが必要以上に記憶ボックスを設定することを抑制でき,データ管理が煩雑になることもない。
前記警告表示手段が表示する警告の内容は,具体的には,前記複数段階のうちの少なくとも一の段階において,前記使用率が,当該段階での閾値より高くなったことを通知する第1の警告や,前記複数段階のうちの一の段階において,前記記憶ボックスに記憶されたデータを入力された順に表示し,該データの削除の可否判断を要求する第2の警告等が挙げられる。ここで,前記第2の警告に対してユーザーにより削除可と判断されたデータは,前記第2の警告が表示される段階よりも閾値が高い段階で削除手段により削除されるようにしてもよい。前記第2の警告が表示される段階は,前記第1の警告が表示される段階よりも閾値が高い段階とすることが望ましい。
このようにすると,閾値の低い段階では第1の警告によりユーザーに記憶ボックスの使用状況を認識させて注意を喚起することができ,閾値の高い段階では第2の警告によりデータの削除を求めることによって,各ユーザーに各々の記憶ボックスを確実に整理させることができる。
【0007】
また,前記閾値設定手段が,前記閾値を前記複数の記憶ボックス毎に設定可能なものであることが望ましい。記憶ボックス毎に閾値が設定可能であることにより,各記憶ボックスの使用状況(例えば,記憶されているデータ量や各データのサイズ,記憶ボックスの使用頻度等)に応じて,最適の閾値を設定することができる。すなわち,閾値が高すぎて記憶ボックスの記憶可能な残容量が新たに記憶されるデータより小さくなったり,閾値が低すぎて必要以上に頻繁に警告を出したりするといったことを防止できる。
さらに,前記閾値設定手段が,前記複数の記憶ボックス毎に設定する閾値を,当該記憶ボックスの使用状況に応じて自動的に変更させるものであると,なお好適である。
本発明は上記したような情報処理装置を備える電子機器として構成されてもよく,また更に,このような情報処理装置を備える画像形成装置として構成されてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると,記憶ボックス毎の使用率に応じて,複数回にわたって,段階的に異なる内容の警告を表示するので,ユーザーに各記憶ボックスの使用状況を確実に認識させることができ,ユーザーに各記憶ボックスの整理(不要なデータの削除等)を促すことができる。その結果,各ユーザーが各々の記憶ボックスを整理することになるので,必要なデータは記憶させたままの状態で,常に各記憶ボックスに新たなデータを記憶可能な容量を確保することができる。すなわち,常にハードディスクの記憶可能な残容量を十分に確保することができる。また,各ユーザーに各々の記憶ボックスを整理させることにより,各ユーザーが必要以上に記憶ボックスを設定することを抑制でき,データ管理が煩雑になることもない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係る画像形成装置の概略構成を示す模式図。
【図2】本発明に係る情報処理装置を示すブロック図。
【図3】本発明に係る情報処理装置における各記憶ボックスの所定記憶容量と閾値の一例を示す図。
【図4】本発明に係る画像形成装置の画像情報記憶動作の一例を説明するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下添付図面を参照しながら,本発明の実施の形態について説明し,本発明の理解に供する。尚,以下の実施の形態は,本発明を具体化した一例であって,本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
まず,図1を用いて本発明に係る画像形成装置(複合機X)の概略を説明する。図1(a)は複合機Xの内部構造を正面視した模式図であり,(b)は(a)のA−A矢視平面図である。なお,本発明は,入力された画像情報等のデータを記憶する記憶手段を備える情報処理装置,及びこれを備えるスキャナ等の画像読取装置,複写機やプリンタ等の画像形成装置に適用することができるが,本実施形態では,図1に示す複合機Xを一例に説明する。
図1に示される,本発明の実施形態にかかる複合機Xの構成は大別して,原稿読み取り部X1,給紙部X2,印字部X3,排紙部X4に分類される。前記原稿読み取り部X1は,前記給紙部X2の上方に配設され,前記印字部X3は前記原稿読み取り部X1と前記給紙部X2の中間部位に配設されている。
複合機Xは,原稿読み取り部X1により読み取られた画像情報(データの一例),若しくは不図示の通信部より取得された画像情報等を記憶管理し,必要に応じて画像処理を施したり,印字部X3より画像形成したり,若しくは削除する等の機能を有するものである。
以下,原稿読み取り部X1,給紙部X2,印字部X3,排紙部X4について詳述する。
【0011】
原稿読み取り部X1は,自動原稿送り装置(以下,ADF)1,原稿載置台2,露光装置3,導光ミラー4a〜4c,光学レンズ5,CCD6,制御部7,操作パネル8等から構成される。
ADF1は,複合機Xの外面等に配置された,操作パネル8からなされた画像読取記憶要求を表す操作入力に従って,原稿セット部11にセットされた原稿Mを,複数の搬送ローラRを介して1枚ずつ順次搬送するものである。ADF1によって搬送された原稿Mは,例えばプラテンガラス等からなる原稿載置台2上の所定の読取位置2aを通って副走査方向に搬送され,その後,原稿排出部12へ排出される。
また,露光装置3により,原稿載置台2の所定の読取位置2aを副走査方向(図1中,左側から右側へ向かう方向)に移動する原稿Mに光が照射される。原稿Mからの反射光は導光ミラー4a,4b,4cにより導光され,前記光学レンズ5により集光される。また,前記CCD6により,反射光に含まれる画像情報が電気信号(以下,画像情報信号)に変換され,制御部7に入力される。なお,露光装置3及び導光ミラー4aを原稿載置台2に対して副走査方向に移動させながら,原稿載置台2に載置された原稿Mに光を照射させてもよい。
【0012】
制御部7は,図2に示されるように,CPU71及びROM72,RAM73,入力された画像情報を記憶,保存するハードディスク(記憶手段の一例,以下HDと略す)74,オペレーティングシステムやアプリケーション等のプログラムが保存されるハードディスク(以下HDと略す)75,I/O部76等の周辺装置を備え,そのROM72やHD75に予め記憶された制御プログラムを実行することにより,画像情報の画像処理などを含めた,本発明の実施形態にかかる複合機Xの統括的な制御を行うものである。なお,図2ではHD74とHD75は別々のものとしているが,一つのハードディスクを画像情報の記憶領域とプログラム等の記憶領域とに分割したものであってもよい。
I/O部76より入力された画像情報信号に対して制御部7により様々な処理が施され,これにより各画素に対して階調値が割り当てられた画像情報が生成される。また,該画像情報(データの一例)は後述するように,HD74(記憶手段の一例)内に複数設定された所定記憶容量の記憶ボックスにユーザー毎あるいはデータの種類毎に分類されて記憶される。なお,図2では便宜上4つの記憶ボックス(I)〜(IV)のみ示しているが,HD74には数十個の記憶ボックスを設定することができる。
HD74(記憶手段の一例)の各記憶ボックスに記憶された画像情報は,操作パネル8を介した操作入力に従ってCPU71により読み出され,以下の画像形成処理等に用いられる。
なお,上記した制御部7及び操作パネル8が本発明に係る情報処理装置Pとして機能するものであり,原稿読み取り部X1が本発明に係る画像読取装置として機能するものである。
【0013】
以下,画像形成処理について説明する。
給紙部X2は,給紙カセット21,給紙ローラ22,用紙残量計23等から概略構成される。給紙カセット21には,予め印刷用紙Sが載置されている。操作パネル8を介した画像形成要求を表す操作入力がなされた場合,CPU71(図2参照)はその操作入力から画像形成要求の対象となっている画像情報をHD74から読み出し,後述の光源33に対する発光制御情報に変換する。
また,制御部7は不図示のアクチュエータに給紙ローラ22を回転駆動させ,給紙カセット21に載置されている印刷用紙Sを印字部X3に搬送させる。給紙カセット21に載置されている印刷用紙Sの残量は用紙残量計23により検出されており,その結果は制御部7に入力されている。残量が少ない状態では,制御7は操作パネル8に設けられた表示部81から,ユーザーに用紙の補給を促す所定の表示を行う。
印字部X3は,搬送ローラ31,感光体ドラム32,光源33,レンズ34,ポリゴンミラー35,帯電ユニット36,現像装置37,定着装置38等により概略構成される。
印刷用紙Sは,搬送ローラ31により搬送される。感光体ドラム32は帯電ユニット36により,表面が一様に帯電される。
制御部7は前記発光制御情報に従って光源33を制御し,静電潜像書き込み用のビーム光を出力させて感光体ドラム32を露光させる。ビーム光は,レンズ34,ポリゴンミラー35等の光学機器を介して感光体ドラム32へ照射される。
尚,感光体ドラム32上の各画素には,照射されたビーム光の光量に応じた電位が生成される。具体的には,帯電ユニット36による帯電が,照射されたビーム光の露光量に応じてキャンセルされ,これにより電位が変化する。以上のように,感光体ドラム32上の各画素には,付着されるべきトナー濃度に応じた電位の像,即ち静電潜像が形成される。
【0014】
現像装置37に設けられた現像ローラ上のトナーが,感光体ドラム32の面上に引き寄せられ,静電潜像はトナーにより,感光体ドラム32と現像ローラの電位ギャップ(現像バイアス)に応じてトナー像として顕像化される。現像バイアスの調節は,現像装置37に設けられ感光体ドラム32に対向配置された現像ローラに対し,付与する電位を制御部7により調節することで行われる。
感光体ドラム32上で形成されたトナー像は,搬送ローラ31により搬送された印刷用紙Sに転写される。そして,トナー像が転写された印刷用紙Sは定着装置38に搬送され,例えば熱ローラ等により印刷用紙Sに定着される。トナー像が定着された印刷用紙Sは,排紙部X4に搬送され,排紙される。
以上は,従来例における複合機と同様である。
【0015】
本発明の実施形態に係る複合機Xは,既述のように,HD74内に所定記憶容量の記憶ボックスを複数(図2では(I)〜(IV)の4つ)設定し,原稿読み取り部X1,又は不図示の通信部より入力された画像情報を該複数の記憶ボックス(I)〜(IV)に,ユーザー毎あるいはデータの種類毎に分類して記憶する。
各記憶ボックス(I)〜(IV)の所定記憶容量は,例えば図3に示すように管理者によって記憶ボックス(I)〜(IV)毎に別個に設定されてもよいし,HD74の全体の記憶容量を設定される各記憶ボックス(I)〜(IV)に均等に割り付けられるように設定されてもよい。
複数の記憶ボックス(I)〜(IV)のうち何れに画像情報を記憶させるかは,ユーザーが操作パネル8より画像読取記憶要求を表す操作入力を行うときに指定するものとしても良く,また,予め一定のルール(例えば画像情報のサイズやファイルの種類によって分類したり,通信部より入力される場合にはユーザー毎に特定の記憶ボックスを指定したりする等)を定めておけば自動で指定することも可能である。
HD74(記憶手段の一例)の各記憶ボックス(I)〜(IV)に記憶された画像情報はCPU71により管理される。即ち,各記憶ボックス(I)〜(IV)の所定記憶容量に対する使用率がCPU71によって管理される。詳しくは,操作パネル8より画像読取記憶要求を表す操作入力がなされる等して,新たにHD74に画像情報が記憶されようとする時に,CPU71は当該画像情報が記憶されようとしている記憶ボックスの使用率を取得し,この使用率を予め設定されHD75に記憶された閾値と比較する。その結果,使用率が予め定められた閾値より高い,即ち,当該記憶ボックスの記憶可能な残容量が少ない場合に操作パネル8の表示部81(警告表示手段の一例)に警告を表示する。
閾値は,ユーザーが予め操作パネル8より入力する値に基づいて,又はCPU71によって予め自動的に,複数段階に設定されHD75に記憶される。つまり操作パネル8あるいはCPU71が閾値設定手段としても機能する。そして,表示部81は,複数段階に設定された閾値毎に異なる内容の警告を表示,即ち記憶ボックス毎の使用率に応じて複数回にわたり段階的に異なる内容の警告を表示して,ユーザーに各記憶ボックスの使用状況を確実に認識させる。警告の内容の詳細については後述する。
なお,閾値は,全ての記憶ボックス(I)〜(IV)に共通で固定のものとしても良いが,例えば図3に示すように記憶ボックス(I)〜(IV)毎に設定,変更可能であることが望ましい。各記憶ボックス(I)〜(IV)に記憶されているデータ量や各データのサイズ,当該記憶ボックスの使用頻度等,各記憶ボックス(I)〜(IV)の使用状況に応じて,最適の閾値を設定することができるからである。すなわち,閾値が高すぎて記憶ボックスの記憶可能な残容量が新たに記憶されるデータより小さくなったり,閾値が低すぎて必要以上に頻繁に警告を出したりするといったことを防止できる。
また,CPU71が各記憶ボックス(I)〜(IV)の使用状況(使用頻度やデータ記憶量等)に応じて,記憶ボックス(I)〜(IV)毎に閾値を自動的に変更させるようにしても良い。
例えば,図3に示すように各記憶ボックス(I)〜(IV)の直近の使用日時,直近のデータ記憶量,記憶されているデータサイズの平均等をログとして取得して,各記憶ボックス(I)〜(IV)の所定記憶容量と併せてHD75に記憶させ,これらを基にCPU71が最適な閾値を算出するプログラムをHD75に格納しておくようにする等である。
【0016】
以下,複合機Xにおける画像情報記憶動作について,記憶ボックス(I)に画像情報を記憶させる場合を例に図4のフローチャートを用いて説明する。ここに,図4に示すS1,S2,…は処理手順(ステップ)番号を表している。
なお,図4のフローチャートで示す例においては,閾値を図3に示すように第1〜第3の閾値T1〜T3(T1<T2<T3)の3段階に設定し,HD75に記憶している。この場合の第1の閾値T1は,新たな画像情報を記憶するための記憶ボックス(I)の残容量に余裕はあるが,記憶ボックス(I)の記憶容量に対する使用率が高まりつつあることを判断する値(例えば図3では使用率50%程度)であり,第2の閾値T2は,記憶ボックス(I)の残容量が少なくなり,記憶ボックス(I)内の画像情報の整理(データの削除等)が必要であることを判断する値(例えば図3では使用率75%程度)であり,第3の閾値T3は,記憶ボックス(I)の残容量がほとんどなく,新たな画像情報を記憶することが困難な値(例えば図3では使用率95%程度)である。
上記したように,ユーザーによって或いは自動で記憶ボックス(I)が予め指定された状態で,操作パネル8より画像読取記憶要求がなされると,画像情報記憶動作が開始される。
【0017】
(ステップS1)
画像情報記憶動作が開始されると,まずCPU71は,記憶ボックス(I)の記憶容量に対する使用率U1を取得する。そして,上記したようにユーザーによって又は自動的に予め設定されHD75に記憶された第1の閾値T1と取得した使用率U1とを比較し,使用率U1が第1の閾値T1より高いかどうかを判断する。
使用率U1が第1の閾値T1以下である場合(ステップS1のNo側),処理はステップS2へ移行する。
使用率U1が第1の閾値T1より高い場合(ステップS1のYes側),処理はステップS3へ移行する。
【0018】
(ステップS2)
ステップS1で,使用率U1が第1の閾値T1以下であると判断されたということは,記憶ボックス(I)の使用率U1は高くない,即ち記憶ボックス(I)には新たな画像情報を記憶可能な残容量が十分にあるということである。
よって,ステップS2では画像情報の読み取りを行い,読み取られた画像情報を記憶ボックス(I)へ記憶させて,画像情報記憶動作を終了する。
【0019】
(ステップS3)
CPU71は,ステップS1で使用率U1が第1の閾値T1より高いと判断した場合,ステップS3で使用率U1をさらに第2の閾値T2(>T1)と比較し,使用率U1が第2の閾値T2より高いかどうかを判断する。
使用率U1が第2の閾値T2以下である場合(ステップS3のNo側),処理はステップS4へ移行する。
使用率U1が第2の閾値T2より高い場合(ステップS3のYes側),処理はステップS6へ移行する。
【0020】
(ステップS4)
ステップS1で使用率U1が第1の閾値T1より高いと判断され,ステップS3で使用率U1が第2の閾値T2以下であると判断されたということは,新たな画像情報を記憶するための記憶ボックス(I)の残容量に余裕はあるが,記憶ボックス(I)の使用率が高まりつつあることを意味する。
そこでステップS4では,使用率U1が第1の閾値T1より高くなったことを通知する第1の警告を表示部81に表示する。具体的には「BOX(I)の使用率が50%を超えました。」等のメッセージを表示して,ユーザーに記憶ボックス(I)の使用状況を認識させて注意を喚起する。
この時,「BOX(I)の不要なデータを削除して下さい。」等,記憶ボックス(I)内の整理を促すメッセージを併せて表示してもよい。
【0021】
(ステップS5)
ステップS4で,第1の警告を表示部81に表示するが,記憶ボックス(I)の残容量には余裕があるので,ステップS5では,そのまま画像情報の読み取りを行い,読み取られた画像情報を記憶ボックス(I)へ記憶させて,画像情報記憶動作を終了する。
なお,ステップS4からステップS5に移行する際に,第1の警告を示すメッセージを表示部81から消す動作をユーザーに求めるようにしてもよい。
【0022】
(ステップS6)
CPU71は,ステップS3で使用率U1が第2の閾値T2より高いと判断した場合,ステップS6で使用率U1をさらに第3の閾値T3(>T2)と比較し,使用率U1が第3の閾値T3より高いかどうかを判断する。
使用率U1が第3の閾値T3以下である場合(ステップS6のNo側),処理はステップS7へ移行する。
使用率U1が第3の閾値T3より高い場合(ステップS6のYes側),処理はステップS9へ移行する。
【0023】
(ステップS7)
ステップS3で使用率U1が第2の閾値T2より高いと判断され,ステップS6で使用率U1が第3の閾値T3以下であると判断されたということは,記憶ボックス(I)の残容量が少なくなり,記憶ボックス(I)内の整理が必要であることを意味する。
そこで,ステップS7では,記憶ボックス(I)に記憶された画像情報を記憶ボックス(I)に入力された順に表示,即ち画像情報を古いものから順に表示して,これら画像情報の削除の可否判断をユーザーに求める第2の警告を表示部81に表示する。
例えば,表示部81の画面上に画像情報のリストを表示すると共に,「保護する画像情報を選択してください。」等のメッセージを表示して,削除せずに保護する画像情報をユーザーに選択させるようにする。また,保護されない画像情報は,使用率U1が第3の閾値T3より高くなった時に削除されることを併せて表示するようにしてもよい。
【0024】
(ステップS8)
ステップS7で表示部81に表示された第2の警告に対して,ステップS8ではユーザーが保護する画像情報の選択を行う。保護する画像情報の選択が終了すると,処理はステップS10へ移行し,複合機Xは画像情報の読み取りを行い,読み取られた画像情報を記憶ボックス(I)へ記憶させて,画像情報記憶動作を終了する。
なお,ステップS8で保護する画像情報の選択が行われない場合,所定時間経過後に,そのままステップS10に移行して画像情報読み取り及び画像情報記憶動作を行うようにしてもよく,画像読取記憶要求をキャンセルするようにしてもよい。
【0025】
(ステップS9)
ステップS6で使用率U1が第3の閾値T3より高いと判断されたということは,記憶ボックス(I)の残容量がほとんどなく,新たな画像情報を記憶することが困難であることを意味する。
ステップS9では,新たに読み取られる画像情報を記憶することが可能な容量を記憶ボックス(I)に確保するため,ステップS8で保護するように選択されていない,つまりユーザーによって削除可と判断された画像情報がCPU71(削除手段の一例)により削除される。
ステップS9で保護されていない画像情報の削除が完了すると,処理はステップS10へ移行し,複合機Xは画像情報の読み取りを行い,読み取られた画像情報を記憶ボックス(I)へ記憶させて,画像情報記憶動作を終了する。
なお,ステップS6からステップS9へ移行する際に,保護されていない画像情報の削除してもよいかを問う第3の警告を表示部81に表示し,削除しない場合には,画像読取記憶要求をキャンセルするようにしてもよい。
【0026】
上記説明した画像情報記憶動作の処理手順のように,使用率U1が第1の閾値T1を超えた段階では第1の警告を表示し,使用率が第1の閾値より高い第2の閾値T2を超えた段階では第2の警告を表示することにより,使用率が高くなりつつある段階では,ユーザーに各記憶ボックスの使用状況を認識させて注意を喚起することができ,使用率が高くなり,残容量が少なくなった段階では画像情報の削除を求めることによって,各ユーザーに各々の記憶ボックスを確実に整理させることができる。
また,使用率U1が第2の閾値T2より高い第3の閾値T3を超えた段階では,保護された画像情報以外を削除することにより,各記憶ボックスに新たな画像情報を記憶可能な残容量を確保するので,必要な画像情報は記憶させたままの状態で,常に各記憶ボックスに新たなデータを記憶可能な容量を確保することができる。
【0027】
なお,上記説明した画像情報記憶動作の処理手順の例では,閾値をT1〜T3の3段階に設定し,第1,第2の閾値T1,T2の段階でそれぞれ第1の警告,第2の警告を表示し,第3の閾値T3の段階で強制的に画像情報の整理を行うようにしているが,これに限定されるものではない。
例えば,閾値を2段階に設定して,閾値の低い段階では上記第1の警告を表示し,閾値の高い段階で上記第2の警告を表示し,ユーザーが保護する画像情報の選択を終了すると,直ちに保護されていない画像情報を削除するようにしてもよい。
また,閾値をN段階(N≧4)に設定して,閾値の最も低い段階から第1段階,第2段階,・・・第N段階とし,第1段階から第(N−2)段階までは,上記第1の警告を表示し,第(N−1)段階で第2の警告を表示し,第N段階で強制的に画像情報の整理を行うようにしてもよい。なお,この場合,第(N−2)段階までにおいて,第1の警告と併せて表示する記憶ボックス内の整理を促すメッセージを,段階が上がる毎に変化させて徐々にユーザーに記憶ボックス内の整理を意識付けるようにしてもよい。
【0028】
以上,本発明に係る画像形成装置の一例として,情報処理装置Pを備える複合機Xについて説明したが,本発明はこの複合機Xのような画像形成装置の他,制御部7,操作パネル8に相当する構成を備えデータベースサーバ等として利用される情報処理装置P単体として構成されたものや,情報処理装置Pを備えるスキャナ等の画像読取装置として構成されたものも含む。
さらに本発明は,情報処理装置Pに相当する構成を備えるPC,PDA,携帯電話等の電子機器として構成されたものも含む。
【符号の説明】
【0029】
X 複合機(画像形成装置の一例)
X1 原稿読み取り部(画像読取装置の一例)
P 情報処理装置
7 制御部
71 CPU(閾値設定手段の一例)
74 ハードディスク(記憶手段の一例)
8 操作パネル(閾値設定手段の一例)
81 表示部(警告表示手段の一例)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力されたデータを記憶する所定記憶容量の記憶ボックスが複数設定される記憶手段を備える情報処理装置であって,
前記複数の記憶ボックス毎の前記所定記憶容量に対する使用率が,予め設定された閾値より高くなると警告を表示する警告表示手段と,
前記閾値を予め設定する閾値設定手段とを備え,
前記閾値設定手段が,前記閾値を複数段階に設定するものであり,
前記警告表示手段が,前記複数段階に設定された閾値毎に異なる内容の警告を表示するものであることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記警告表示手段が,前記複数段階のうちの少なくとも一の段階において,
前記使用率が,当該段階での閾値より高くなったことを通知する第1の警告を表示するものである請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記警告表示手段が,前記複数段階のうちの一の段階において,
前記記憶ボックスに記憶されたデータを入力された順に表示し,該データの削除の可否判断を要求する第2の警告を表示するものである請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記第2の警告に対してユーザーにより削除可と判断されたデータを,前記第2の警告が表示される段階よりも閾値が高い段階で削除する削除手段を備える請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記第2の警告が表示される段階は,前記第1の警告が表示される段階よりも閾値が高い段階である請求項3又は4の何れかに記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記閾値設定手段が,前記閾値を前記複数の記憶ボックス毎に設定可能なものである請求項1〜5の何れかに記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記閾値設定手段が,前記複数の記憶ボックス毎に設定する閾値を,当該記憶ボックスの使用状況に応じて自動的に変更させるものである請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
請求項1〜7に記載の情報処理装置を備える電子機器。
【請求項9】
請求項1〜7に記載の情報処理装置を備える画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−176655(P2011−176655A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−39670(P2010−39670)
【出願日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】