説明

情報収集システム

【課題】 ポーリング開始とポーリング間隔をフレキシブルに適切に変更する。
【解決手段】 河川の水位データ及び雨量データを検出してポーリングに応答して上記データを送信する観測局11−1〜11−nと、通常時には所定時刻から所定時間間隔においてポーリングにより観測局11−1〜11−nからデータを得るセンタ局1を具備する。通常時のポーリング間隔より短い間隔または連続的に、或いは任意のタイミングで、ポーリング開始変更の判断の基礎となる情報を観測局11−1〜11−n以外から取得する取得手段35を備え、取得した情報に基づきポーリングを開始すべきかポーリング間隔を変更すべきか制御手段36にて判定し、判定結果に基づくポーリングを実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、河川の水位データ及び雨量データを観測局からセンタ局へ収集する情報収集システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の情報収集システムにあっては、一定の時間間隔でセンタ局側から観測局へポーリングを行ってデータ収集を行っている。例えば、通常時には1時間毎にデータ収集を行い、この通常のデータ収集において異常値等が検出された場合に10分毎にデータ収集を行うようにしている。
【特許文献1】特開平08−248136号公報(請求項1等)
【0003】
しかしながら、例えば8時、9時、10時、・・・と1時間間隔でデータ収集を行う場合にあっては、10時には正常値のデータ収集がなされ、実際には10時10分に異常値を記録している場合にあっても、次の11時まではデータ収集がなされないから適切なデータ収集が行えないという問題があった。
【0004】
上記に対し、常時10分間隔でデータ収集を行う場合には、観測局が太陽電池等の充電によるバッテリーを用いていることが多く、十分な電源確保が難しいという問題があり、また、有料な回線を使用してデータ収集を行っている場合にはコストの問題がある。また、装置の寿命に関する問題発生も予想される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
解決しようとする課題は、データ収集のポーリング開始時とポーリング間隔が適切に変更できないということであり、本発明は観測を適切に行うことを可能とする情報収集システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る情報収集システムは、河川の水位データ及び雨量データを検出してポーリングに応答して上記データを送信する観測局と、通常時には所定時刻から所定時間間隔においてポーリングにより前記観測局からデータ収集を行うセンタ局とを具備する情報収集システムにおいて、前記通常時のポーリング間隔よりも短い間隔または連続的に、或いは任意のタイミングで、ポーリング開始変更の判断の基礎となる情報を取得する取得手段と、前記取得手段が取得した情報に基づきポーリングを開始すべきかポーリング間隔を変更すべきかを判定し、判定結果に基づくポーリングを実行する制御手段とを具備することを特徴とする。
【0007】
本発明に係る情報収集システムでは、前記制御手段は、取得手段が取得した情報に基づきポーリングを開始すべき地域とポーリング間隔を変更すべき地域を判定し、該地域に対応する観測局を特定して該観測局に対するポーリングを実行することを特徴とする。
【0008】
本発明に係る情報収集システムでは、前記取得手段は、該当機関からレーダ雨量情報または予測雨量情報を取得し、前記制御手段は、レーダ雨量情報または予測雨量情報を用いて前記観測局と対応する地域における雨量情報に基づきポーリングを開始すべきかポーリング間隔を変更すべきかを判定し、判定結果に基づくポーリングを実行することを特徴とする。
【0009】
本発明に係る情報収集システムでは、前記取得手段は、監視カメラから画像情報を取得し、前記制御手段は、画像情報について画像処理を行って降雨状況または河川状況を検出し、ポーリングを開始すべきかポーリング間隔を変更すべきかを判定し、判定結果に基づくポーリングを実行することを特徴とする。
【0010】
本発明に係る情報収集システムは、洪水発生のとき或いは警報発令のときに収集された履歴情報が蓄積された履歴蓄積手段を備え、前記制御手段は、現在収集しているデータと上記履歴蓄積手段に蓄積されている情報とを比較し、これに基づきポーリングを開始すべきかポーリング間隔を変更すべきかを判定し、判定結果に基づくポーリングを実行することを特徴とする。
【0011】
本発明に係る情報収集システムでは、前記取得手段は、気温と気圧データまた震度データを取得し、前記制御手段は、データを用いて前記観測局と対応する地域におけるデータに基づきポーリングを開始すべきかポーリング間隔を変更すべきかを判定し、判定結果に基づくポーリングを実行することを特徴とする。
【0012】
本発明に係る情報収集システムでは、前記取得手段は、位置情報送付機能付携帯電話機から位置情報と指示情報を取得し、前記制御手段は、上記取得した位置情報に対応する観測局について指示情報に基づくポーリングを実行することを特徴とする。
【0013】
本発明に係る情報収集システムでは、前記取得手段は、ダム放流警報情報を取得し、前記制御手段は、上記取得した情報に対応する観測局についてポーリングを開始し、ポーリング間隔を変更してポーリングを実行することを特徴とする。
【0014】
本発明に係る情報収集システムでは、制御手段は、観測局が配置された地域の地形情報或いは河川の流域情報に基づき、ポーリングを開始すべきかポーリング間隔を変更すべきかを判定する観測局を決定することを特徴とする。
【0015】
本発明に係る情報収集システムでは、制御手段は、ポーリング間隔を段階的に変更することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明では、通常時のポーリング間隔よりも短い間隔または連続的に、或いは任意のタイミングで、ポーリング開始変更の判断の基礎となる情報を取得し、取得した情報に基づきポーリングを開始すべきかポーリング間隔を変更すべきかを判定し、判定結果に基づくポーリングを実行するので、ポーリング開始とポーリング間隔がフレキシブルに適切に変更され、必要な情報収集を可能とし、観測を適切に行うことが可能となる。
【0017】
また、本発明では、取得した情報に基づきポーリングを開始すべきかポーリング間隔を変更すべき地域を判定し、該地域に対応する観測局を特定して該観測局に対するポーリングを実行するので、必要な観測局についてのポーリング開始とポーリング間隔がフレキシブルに適切に変更され、必要十分な情報収集を可能とし、観測を適切に行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明では、通常時のポーリング間隔よりも短い間隔または連続的に、或いは任意のタイミングで、ポーリング開始変更の判断の基礎となる情報を取得して、ポーリングを開始とポーリング間隔を変更に用いる構成を備えることにより、固定的なポーリング周期によるデータ収集の遅れ漏れを防止し、観測を適切に行うという目的を達成したものである。
【実施例1】
【0019】
以下、添付図面を参照して本発明に係る情報収集システムの実施例を説明する。図1には、本発明に係る情報収集システムにおける実施例の構成が示されている。このシステムには、河川の近くに配置された観測局11−1〜11−nが備えられると共に、テレメータ収集装置20と処理装置30とを有するセンタ局1が備えられている。上記観測局11−1〜11−nは、例えば図2に示すような××川、○×川、○○川等の近くに、識別番号K001〜K011の黒丸にて示す地点に設置される。
【0020】
観測局11−1〜11−nには、水位計12−1〜12−nと雨量計13−1〜13−nが接続され、河川の水位データ及び雨量データを検出する構成となっている。観測局11−1〜11−nには、水位データ及び雨量データの収集を行う収集部14−1〜14−nと回線(ここでは、無線回線を示すが有線回線でも良い)15−1〜15−nを介してテレメータ収集装置20との間で通信を行う送受信部16−1〜16−nが備えられており、収集部14−1〜14−nがテレメータ収集装置20からのポーリングを受けてデータ収集を行い、このデータが送受信部16−1〜16−nからテレメータ収集装置20へ送信される。
【0021】
テレメータ収集装置20には、観測局11−1〜11−nとの間で通信を行う送受信部21と、処理装置30からの指示に基づきポーリングの指揮管理を行う収集管理部22とが備えられている。なお、本実施例では、観測局11−1〜11−nを1台のテレメータ収集装置20により対応処理するものとしてあるが、nが大きな数である場合には、複数台のテレメータ収集装置が観測局11−1〜11−nを幾つかのグループに分けて対応処理する構成を採用する。
【0022】
処理装置30は、例えば、パーソナルコンピュータ等により構成され、位置情報記憶部31、履歴情報記憶部32、地形・流域情報記憶部33が接続されている。また、処理装置30は、気象庁等41からインターネットにより10分間隔でレーダ雨量・降雨予測データを得ており、河川の近くに設置された幾つかの監視カメラ42から回線等を介して画像情報を得ている。更に、処理装置30は、幾つかの気圧・温度通知部(観測所等)43から回線等を介して例えば10分間隔で気圧・温度を得ており、幾つかの震度通知部(観測所等)44から回線等を介して震度情報を得ている。また、処理装置30は、電話回線を介して幾つかのGPS(位置情報送付機能)付携帯電話機45から位置情報とポーリングを開始やポーリング間隔変更に関する指示情報を得るものであり、また、幾つかのダムに関してダム放流警報情報の通知を幾つかのダム放水通知部(ダム管理事務所等)46から得ている。
【0023】
位置情報記憶部31には、図3に示されるようにテーブルTB1〜TB5が備えられている。テーブルTB1には、観測局11−1〜11−nの識別情報(ID)に対応して、観測局11−1〜11−nが設置されている位置の位置情報が経度緯度にて記憶されている。テーブルTB2には、夫々の監視カメラ42の識別情報(ID)に対応して、それぞれの監視カメラ42が設置されている位置の位置情報が経度緯度にて記憶されている。テーブルTB3には、夫々の気圧・温度通知部43の識別情報(ID)に対応して、それぞれの気圧・温度通知部43が設置されている位置の位置情報が経度緯度にて記憶されている。テーブルTB4には、夫々の震度通知部44の識別情報(ID)に対応して、それぞれの震度通知部44が設置されている位置の位置情報が経度緯度にて記憶されている。テーブルTB5には、夫々のダムの識別情報(ID)に対応して、それぞれのダムが設置されている位置の位置情報が経度緯度にて記憶されている。
【0024】
履歴情報記憶部32には、例えば図4に示されているように、洪水ID(識別番号)毎に履歴情報がテーブル化されている。この履歴情報のテーブルは、洪水発生のとき或いは洪水警報発令のときを1つの事案として、夫々の事案に洪水ID(識別番号)を与えて、関連する観測局等において測定された雨量・水位のデータを記憶したものとなっている。
【0025】
地形・流域情報記憶部33には、例えば、図5に示されるように、地形に基づき××川と○×川の流域Aと、○○川の流域B等に関する位置情報が記憶されている。例えば、1Km四方の大きさのエリアについて、拡大して図示している如く緯度経度による位置情報と流域情報とがセットにされて記憶されている。流域情報は、各1Km四方の大きさのエリアについて、流域Aか流域Bであるか、或いはいずれの流域にも属さないものであるのかについての情報である。
【0026】
処理装置30には、取得手段35と制御手段36とが備えられている。制御手段36は、特に水位データ及び雨量データ等が定められた値を変位する通常時には、例えばシステムの立ち上げ日の12時を開始所定時刻とし、この時刻から所定時間(ここでは、1時間)間隔においてポーリングにより観測局11−1〜11−nからデータ収集を行う処理を行う。取得手段35は、上記通常時のポーリング間隔よりも短い間隔または連続的に、或いは任意のタイミングで、ポーリング開始変更の判断の基礎となる情報を上記観測局11−1〜11−n以外から取得するものである。ここで、上記観測局11−1〜11−n以外とは、気象庁等41、監視カメラ42、気圧・温度通知部43、震度通知部44、GPS付携帯電話機45、ダム放水通知部46を指している。
【0027】
制御手段36は、図6に示されるポーリング時刻の管理テーブルを用いて収集管理部22に、該当の観測局へポーリングの指示を与える。即ち、図6の管理テーブルは、観測局ID(識別情報)に対応して、次回のポーリング時刻と、次々回のポーリング時刻とが記憶される。
【0028】
パーソナルコンピュータ等により構成される制御手段36は、図7に示されるフローチャートを実行して上記管理テーブルに対して時刻情報のセットを行う。この動作を以下に説明する。まず、管理テーブルの観測局ID欄のポインタiに1をセットし(S1)、i(=1)番目の観測局(例えば、ID=K001)より送られた雨量データと水位データを用い、これらの少なくとも一方が所定閾値を超えているかを検出するにより通常のポーリングとするかを判定する(S2、S3)。このステップS3において、雨量データと水位データの少なくとも一方が所定閾値を超えている場合にはNOへ分岐して、定められた規則によりポーリング間隔を変更し、次回時刻欄及び次々回時刻欄へ時刻情報を書き込む(S4)。例えば、10分間隔へ変更する規則である場合には、前回時刻から10分後の時刻情報を次回時刻欄へ書き込み、更にこの次回時刻欄から更に10分後の時刻情報を次々回時刻欄へ書き込む。
【0029】
一方、ステップS3において通常のポーリングとする判定を行った場合には、ステップS3からYESへ分岐し、通常のポーリングとすべく、前回のポーリング時刻から例えば1時間後の時刻情報を次回時刻欄へ書き込み、更にこの次回時刻欄から更に1時間後の時刻情報を次々回時刻欄へ書き込む(S5)そして、このステップS5の処理の終了或いはステップS4の処理の終了に次いで、ポインタiに1を加算し(S6)、ポインタiの値が管理テーブルの最大エントリ(図6の例では、11)を超えたかを判定し(S7)、超えていなければ(例えば、i=2であれば)、i(=2)番目の観測局(例えば、ID=K002)より送られた雨量データと水位データを用い、これらの少なくとも一方が所定閾値を超えているかを検出するにより通常のポーリングとするかを判定するステップS2、S3へと進む。
【0030】
一方、ステップS7の判定において、最大エントリを超えていれば(例えば、i=12であれば)、ステップS1へ戻って管理テーブルの観測局ID欄のポインタiに1をセットし(S1)、i(=1)番目の観測局(例えば、ID=K001)より送られた雨量データと水位データを用い、これらの少なくとも一方が所定閾値を超えているかを検出するにより通常のポーリングとするかを判定するステップS2、S3の処理を行う。
【0031】
上記図7における処理に加えて取得手段35が取得した情報に基づき、制御手段36は図8に示されるフローチャートによりポーリングの開始、間隔変更決定を行うので、この図8を参照してポーリングの開始、間隔変更決定の動作を説明する。このフローチャートの処理は、取得手段35によりデータが取得され制御手段36へデータが渡される毎にスタートとなる。制御手段36は、取得手段35により取得されたデータを用いて、閾値と比較する等して、開始、間隔変更かを判定する(S11、S12)。
【0032】
ステップS12において開始、間隔変更を行うこととした場合には、図3の位置情報記憶部31に記憶された位置情報や地形・流域情報記憶部33に記憶された流域情報等を用いて、上記ポーリングの開始、間隔変更を適用すべき観測局の特定を行い(S13)、次に、図6に示した管理テーブルにおける所要の観測局に対応する次回時刻欄及び次々回時刻欄へ時刻情報を書き込むことによりポーリング開始とポーリング間隔の変更を行う(S14)。例えば、制御手段36による処理に基づきポーリング開始すること及びポーリング間隔を10分へ変更することが決定されると、現在時刻からマージン時間後の時刻情報を次回時刻欄へ書き込み、更にこの次回時刻欄から10分後の時刻情報を次々回時刻欄へ書き込む。また、上記ステップS12において開始、間隔変更を行わないこととした場合には、ステップS12においてNOへ分岐し、エンドとなる。
【0033】
この図8における動作が行われる具体例に係る処理を図9に示す。この図9に示されている処理1〜6は、この順に行われることを意味せず、処理1〜6は取得手段35が取得したデータの種類に応じて実行されるものである。
【0034】
まず、処理1は、取得手段35が気象庁等41からレーダ雨量・降雨予測データを取得した場合に、これに基づきポーリングの開始及び間隔変更の判定を行うというものである。レーダ雨量・降雨予測データは、1Km四方のメッシュ毎のレーダ雨量・降雨予測データが提供されるので、例えば、所定閾値を設けて、これを超えているかについて図2の地図の領域における各メッシュについて検出し、超えているメッシュの位置情報が図3に示される位置情報記憶部31のテーブルTB1における観測局の位置情報と一致或いは位置情報が一定の距離以内であるときに、当該観測局についてポーリングの開始及び間隔変更を行う。このポーリングの開始及び間隔変更の場合には、例えば、制御手段36による処理に基づきポーリング開始すること及びポーリング間隔を10分へ変更することが決定されると、現在時刻からマージン時間後の時刻情報を次回時刻欄へ書き込み、更にこの次回時刻欄から10分後の時刻情報を次々回時刻欄へ書き込む。
【0035】
更に、地形・流域情報記憶部33を参照して、ポーリングの開始及び間隔変更に係る観測局が属している流域に存在する観測局全て或いは下流側の観測局について同様にポーリングの開始及び間隔変更を行うこともできる。また、上記において上記閾値を幾つか設けておき、どの閾値を超えているかに応じていずれの観測局について同様にポーリングの開始及び間隔変更を行うかを制御することもできる。このように、制御手段36は、取得手段35が取得した情報に基づきポーリングを開始すべきかポーリング間隔を変更すべき地域を判定し、該地域に対応する観測局を特定して該観測局に対するポーリングを実行するものである。
【0036】
処理2は、取得手段35が監視カメラ42から送られた画像情報を取得した場合に、これに基づき画像処理を施し、降雨状況または河川状況検出を行い、ポーリングの開始及び間隔変更の判定を行うというものである。画像処理としては、降雨により反射が生じることを利用して、通常状態の画像情報と対比して輝度レベルが上昇した場合や水溜まりのエリア検出ができた場合に降雨ありと判定し、或いは、河川の監視であれば、水位を画像処理により検出し、通常の画像情報における水位より上昇がみられる場合に降雨ありと判定するものとする。
【0037】
そして、図3に示される位置情報記憶部31のテーブルTB1の位置情報とテーブルTB2における監視カメラ42の位置情報とを用いて、該当監視カメラ42と位置情報が一致或いは一定の距離以内である観測局を検出し、当該観測局についてポーリングの開始及び間隔変更を行う。この場合に該当の次回時刻欄へ書き込み、更に次々回時刻欄へ書き込む。更に、地形・流域情報記憶部33を参照して、対象の観測局を求める処理は、処理1の場合と同様にすることができる。
【0038】
処理3は、履歴情報記憶部32に蓄積した洪水履歴情報に基づき一致または類似する降雨経過となっている場合を検出し、該当観測局のポーリングの開始及び間隔変更の判定を行うというものである。各観測局11−1〜11−nについての現時点から所定時間前までの履歴と、履歴情報記憶部32に図4に示されているように洪水ID(識別番号)毎にテーブル化されて記憶されている洪水発生のとき或いは洪水警報発令のときの履歴情報を比較し、一致する状態或いは所定回において一致するなど類似する場合に、当該テーブル化されて記憶されている観測局についてポーリングの開始及び間隔変更を行う。この場合に該当の次回時刻欄へ書き込み、更に次々回時刻欄へ書き込む。更に、地形・流域情報記憶部33を参照して、対象の観測局を求める処理は、処理1の場合と同様にすることができる。
【0039】
処理4は、気圧・温度通知部43により通知された気圧・温度について前回と比べて所定以上の変化があった場合に、ポーリングの開始及び間隔変更を行うというものである。この処理3では、テーブルTB3に基づき該当気圧・温度通知部43の識別情報(ID)に対応して、それぞれの気圧・温度通知部43が設置されている位置の位置情報を参照して該当気圧・温度通知部43が設置されている位置の位置情報を得て、テーブルTB1から観測局の位置情報得てこれと比較し、一致或いは位置情報が一定の距離以内であるものを検出し、当該観測局についてポーリングの開始及び間隔変更を行う。
【0040】
或いは震度通知により震度が通知された場合に、ポーリングの開始及び間隔変更を行うというものである。このばあいには、テーブルTB4に基づき該当震度通知部44の識別情報(ID)に対応して、それぞれの震度通知部44が設置されている位置の位置情報を参照して該当震度通知部44が設置されている位置の位置情報を得て、テーブルTB1から得た観測局の位置情報と比較し、一致或いは位置情報が一定の距離以内であるものを検出し、当該観測局についてポーリングの開始及び間隔変更を行う。上記の場合に該当の次回時刻欄へ書き込み、更に次々回時刻欄へ書き込む。更に、地形・流域情報記憶部33を参照して、対象の観測局を求める処理は、処理1の場合と同様にすることができる。
【0041】
処理5は、GPS付携帯電話機45からポーリングの開始・間隔変更の指示メールが位置情報と共に送られてきた場合に、ポーリングの開始及び間隔変更を行うというものである。このGPS付携帯電話機45から送られる位置情報とテーブルTB1から得られた観測局の位置情報を比較し、一致或いは位置情報が一定の距離以内であるものを検出し、当該観測局についてポーリングの開始及び間隔変更を行う。この場合にも、該当の次回時刻欄へ書き込み、更に次々回時刻欄へ書き込む。更に、地形・流域情報記憶部33を参照して、対象の観測局を求める処理は、処理1の場合と同様にすることができる。
【0042】
処理6は、ダム放水通知部46から放水警報が通知された場合に、ポーリングの開始及び間隔変更を行うというものである。テーブルTB5に基づき該当ダムの識別情報(ID)に対応して、それぞれのダムが設置されている位置の位置情報を参照して位置情報を得て、テーブルTB1から得られた観測局の位置情報と比較し、一致或いは位置情報が一定の距離以内であるものを検出し、当該観測局についてポーリングの開始及び間隔変更を行う。上記の場合に該当の次回時刻欄へ書き込み、更に次々回時刻欄へ書き込む。更に、地形・流域情報記憶部33を参照して、対象の観測局を求める処理は、処理1の場合と同様にすることができる。
【0043】
以上のようにして本実施例では、必要な観測局についてのポーリング開始とポーリング間隔がフレキシブルに適切に変更され、必要十分な情報収集を可能とし、観測を適切に行うことが可能となる。なお、ポーリング間隔は降雨量等に応じて、例えば、1時間→30分→10分→5分のように段階的に変更するようにしても良い。また、処理1〜6について全て行うものを示したが、全てを行う必要はなく、処理1〜6の1つ又は幾つかを組み合わせて実行するようにしても良い。更に、履歴情報記憶部32に蓄積した洪水履歴情報は観測局のものに限らず、処理1〜処理6により得られたデータ(位置情報を含む)ものであっても良く、係る場合には処理1〜処理6によりポーリングの開始及び間隔変更を行った観測局についてポーリングの開始及び間隔変更を行う。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明に係る本発明に係る情報収集システムにおける実施例の構成図。
【図2】本発明に係る本発明に係る情報収集システムの観測局が配置されている位置と観測局IDを示す図。
【図3】本発明に係る本発明に係る情報収集システムのセンタ局における位置情報記憶部に記憶された情報を示す図。
【図4】本発明に係る本発明に係る情報収集システムのセンタ局における履歴情報記憶部に記憶された情報を示す図。
【図5】本発明に係る本発明に係る情報収集システムのセンタ局における地形・流域情報記憶部に記憶された情報を示す図。
【図6】本発明に係る本発明に係る情報収集システムのセンタ局がポーリングを行う際に参照する管理テーブルの情報を示す図。
【図7】本発明に係る本発明に係る情報収集システムのセンタ局がポーリングを行う際の動作を説明するためのフローチャート。
【図8】本発明に係る本発明に係る情報収集システムのセンタ局がポーリングを行う際の動作を説明するためのフローチャート。
【図9】本発明に係る本発明に係る情報収集システムのセンタ局がポーリングの開始・間隔変更を行う際の処理を説明するための図。
【符号の説明】
【0045】
1 センタ局
11−1〜11−n 観測局
12−1〜12−n 水位計
13−1〜13−n 雨量計
14−1〜14−n 収集部
15−1〜15−n 回線
16−1〜16−n 送受信部
20 テレメータ収集装置
21 送受信部
22 収集管理部
30 処理装置
31 位置情報記憶部
32 履歴情報記憶部
33 地形・流域情報記憶部
35 取得手段
36 制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
河川の水位データ及び雨量データを検出してポーリングに応答して上記データを送信する観測局と、通常時には所定時刻から所定時間間隔においてポーリングにより前記観測局からデータ収集を行うセンタ局とを具備する情報収集システムにおいて、
前記通常時のポーリング間隔よりも短い間隔または連続的に、或いは任意のタイミングで、ポーリング開始変更の判断の基礎となる情報を取得する取得手段と、
前記取得手段が取得した情報に基づきポーリングを開始すべきかポーリング間隔を変更すべきかを判定し、判定結果に基づくポーリングを実行する制御手段と
を具備することを特徴とする情報収集システム。
【請求項2】
前記制御手段は、取得手段が取得した情報に基づきポーリングを開始すべき地域とポーリング間隔を変更すべき地域を判定し、該地域に対応する観測局を特定して該観測局に対するポーリングを実行することを特徴とする請求項1に記載の情報収集システム。
【請求項3】
前記取得手段は、該当機関からレーダ雨量情報または予測雨量情報を取得し、
前記制御手段は、レーダ雨量情報または予測雨量情報を用いて前記観測局と対応する地域における雨量情報に基づきポーリングを開始すべきかポーリング間隔を変更すべきかを判定し、判定結果に基づくポーリングを実行することを特徴とする請求項1または2に記載の情報収集システム。
【請求項4】
前記取得手段は、監視カメラから画像情報を取得し、
前記制御手段は、画像情報について画像処理を行って降雨状況または河川状況を検出し、ポーリングを開始すべきかポーリング間隔を変更すべきかを判定し、判定結果に基づくポーリングを実行することを特徴とする請求項1または2に記載の情報収集システム。
【請求項5】
洪水発生のとき或いは警報発令のときに収集された履歴情報が蓄積された履歴蓄積手段を備え、
前記制御手段は、現在収集しているデータと上記履歴蓄積手段に蓄積されている情報とを比較し、これに基づきポーリングを開始すべきかポーリング間隔を変更すべきかを判定し、判定結果に基づくポーリングを実行することを特徴とする請求項1または請求項1または2に記載の情報収集システム。
【請求項6】
前記取得手段は、気温と気圧データまた震度データを取得し、
前記制御手段は、データを用いて前記観測局と対応する地域におけるデータに基づきポーリングを開始すべきかポーリング間隔を変更すべきかを判定し、判定結果に基づくポーリングを実行することを特徴とする請求項1または2に記載の情報収集システム。
【請求項7】
前記取得手段は、位置情報送付機能付携帯電話機から位置情報と指示情報を取得し、
前記制御手段は、上記取得した位置情報に対応する観測局について指示情報に基づくポーリングを実行することを特徴とする請求項1または2に記載の情報収集システム。
【請求項8】
前記取得手段は、ダム放流警報情報を取得し、
前記制御手段は、上記取得した情報に対応する観測局についてポーリングを開始し、ポーリング間隔を変更してポーリングを実行することを特徴とする請求項1または2に記載の情報収集システム。
【請求項9】
制御手段は、観測局が配置された地域の地形情報或いは河川の流域情報に基づき、ポーリングを開始すべきかポーリング間隔を変更すべきかを判定する観測局を決定することを特徴とする請求項1または2に記載の情報収集システム。
【請求項10】
制御手段は、ポーリング間隔を段階的に変更することを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の情報収集システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−47878(P2007−47878A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−228704(P2005−228704)
【出願日】平成17年8月5日(2005.8.5)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】