説明

情報収集装置及び路側器、並びに、通信システム

【課題】車載器から路側器に収集データを送信した後に収集データが追加された場合であっても、再び車載器と路側器とが通信可能になったときに路側器側が収集データの続きから送信でき、しかも、路側器側で収集データの業務毎の区別もできるような収集データを送信することができる車載器を提供する。
【解決手段】車載器が、業務開始の操作後に最初に収集データD1が収集された日時情報T1を収集し、先頭に収集した日時情報T1を付加し、末尾に終了マーカーMを付加した収集データD1〜Dnを路側器に対して送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、業務開始の操作に応じて所定の収集データを収集する情報収集装置及び情報収集装置からの収集データを無線受信する路側器、並びに、情報収集装置及び路側器から構成された通信システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
貨物輸送トラックやタクシーなどの営業車両には、運行管理を行うための情報収集装置としての車載器が搭載されている。車載器は、車両の運行状況に応じて発生する営業日報データなどの所定の収集データを収集してメモリカードなどの記録媒体に記録するデータ収集を行う。従来、事務所のPCに対する上記収集データの受け渡しは下記に示す手順で行われていた。まず、運転手が車載器に設けた終了ボタンを操作する。この操作に応じて車載器が収集データの末尾に終了データを付加する。その後、運転手が車載器からメモリカードを抜き取って、事務所内に持ち込みPCに接続する。
【0003】
しかしながら、この方法では、毎回メモリカードの抜き差しが発生するため、メモリカードの接続部分の劣化が激しく、車載器の寿命が短くなる原因となっていた。また、運転手の操作ミス、メモリカードの抜き忘れなどの問題もある。そこで、例えば車載器と無線通信可能な路側器を事務所の入口に設けて、車載器を搭載した車両が路側器の通信エリアを通過している間に無線通信によって収集データを路側器に転送することが考えられている。
【0004】
しかしながら、車両などの移動体に搭載された車載器と路側器との無線通信においては、収集データの送信途中に車載器が路側器の通信エリアから抜けたり、通信環境が悪くなったりして、収集データの送信が途中で終了(中断)することがある。このため、車載器からの収集データを完全に路側器に送信することが困難なことがある。
【0005】
このように収集データの送信が中断した場合、車載器が再び路側器の通信エリアに進入すると収集データの送信を再開するが、このとき収集データの送信を最初からやり直すのではなく、前回の収集データの送信が途切れたところから行うことで、通信効率を向上させることが考えられる。即ち、図10に示すように、1回目の通信で収集データD1〜D5のうち収集データD1〜D3を送信したところで中断した場合、2回目の通信では収集データD1〜D3の送信を行わずに、残りの収集データD4、D5の送信を行う。具体的には、路側器が、車載器との通信が始まったら、その車載器から送信された過去の収集データを検索し、前回送信された収集データが途中であったら、続きから収集データを送信するように、車載器へ送信要求を出す。
【0006】
しかしながら、単に収集データを受信するだけでは、前回送信された収集データが、通信途中のものなのか、通信が完了したものかを路側器側で判別することができない。そこで、図11に示すように、先頭にデータ長L1を付加した収集データD1〜D5を車載器が送信することが考えられる。これにより、路側器に収集データD1〜D5のデータ長L1を通知して、前回送信された収集データが通信途中のものなのか、通信が完了したものなのか、路側器側で判別できるようにすることが考えられる。詳しくは、路側器は、車載器との通信が始まったら、その車載器から送信された過去の収集データを検索し、検索した前回送信された収集データのデータ長とその先頭に付加されたデータ長とが合わなければ、前回送信された収集データが途中であったと判別して、続きから収集データを送信するように車載器へ送信要求を出す。
【0007】
しかしながら、上述したような車載器を利用する業務においては、業務の途中で事務所に戻り、その後事務所を出て業務を再開することがある。このような場合でも、通信時間を有効に使うために、途中で事務所に戻ってきた際にも路側器に収集データの送信を行いたい。上記収集データは、車載器によって逐次追加されるものである。よって、図12に示すように、1回目の通信で収集データD1〜D5のうち収集データD1〜D3を送信したところで中断した後に、業務を再開し収集データD6及びD7が追加された場合であっても、2回目の通信で残りの全部の収集データD4〜D7の送信を要求したい。しかしながら、路側器側では1回目の通信で受信したデータ長を参照して続きの収集データの送信を要求するため、図13に示すように、追加された収集データD6及びD7の送信を要求することができない。
【0008】
そこで、末尾に終了マーカーを付加した収集データを車載器が送信することが提案されている(特許文献1)。しかしながら、新たに業務を始める場合には、異なる業務データとして管理するため、車載器で収集データをクリア(消去)する操作を行うので、同一の車両で、例えば業務A終了後業務Bを行う場合、収集データを業務毎に区別できないといった問題がある。即ち、図14に示すように、1回目の通信で業務Aで収集した収集データD1-1〜D1-5を送信した後に、新たな業務Bが行われ業務Bで収集した収集データD2-1〜D2-2を送信した場合、路側器側では、収集データD2-1〜D2-2が収集データD1-1〜D1-5の続きなのか、収集データD1-1〜D1-5とは別の新規のデータなのか、区別できない。よって、従来の通信システムでは、車載器から路側器に収集データを送信した後に収集データが追加された場合に、再び車載器と路側器とが通信可能になったときに収集データの続きから送信することができない。また、収集データの業務毎の区別と、を両立できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平8−115282号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで、本発明は、車載器から路側器に収集データを送信した後に収集データが追加された場合であっても、再び車載器と路側器とが通信可能になったときに路側器側が収集データの続きから受信でき、しかも、路側器側で収集データの業務毎の区別もできるような収集データを送信することができる車載器、車載器から路側器に収集データを送信した後に収集データが追加された場合であっても、再び車載器と路側器とが通信可能になったときに収集データの続きから送信要求でき、しかも、収集データの業務毎の区別もできる路側器、並びに、当該車載器及び路側器を備えた通信システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するためになされた請求項1記載の発明は、業務開始の操作に応じて所定の収集データを収集する収集手段と、路側器との無線通信を行う第1無線器と、前記路側器の通信エリアへの進入に応じて前記収集データを無線送信するように前記第1無線器を制御する第1無線制御手段と、を備え、前記収集手段が、前記路側器への収集データを送信した後に前記収集データを追加するように設けられた情報収集装置において、前記収集手段が、前記業務開始の操作がされた日時情報、又は、前記業務開始の操作後に最初に前記収集データが収集された日時情報、を収集し、前記第1無線制御手段が、先頭に前記収集した日時情報を付加し、末尾に終了マーカーを付加した前記収集データを送信するように前記第1無線器を制御することを特徴とする情報収集装置に存する。
【0012】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載の情報収集装置との無線通信を行う第2無線器と、前記情報収集装置から送信された収集データを受信するように前記第2無線器を制御する第2無線制御手段と、前記受信した収集データを記録媒体に蓄積する蓄積手段と、を備えた路側器において、前記第2無線制御手段が、前記送信された収集データの先頭に付加された日時情報と同じ日時情報が付加された収集データが前記記録媒体に蓄積されていた場合、当該記録媒体に蓄積された同じ日時情報が付加された収集データの続きを送信させる送信要求を前記情報収集装置に送信するように前記第2無線器を制御し、前記蓄積手段が、前記送信要求に応じて前記情報収集装置から送信された前記収集データの続きと前記記録媒体に蓄積された同じ日時情報の収集データと結合して前記記録媒体に蓄積することを特徴とする路側器に存する。
【0013】
請求項3記載の発明は、前記蓄積手段が、前記送信された収集データの先頭に付加された日時情報と同じ日時情報が付加された収集データが前記記録媒体に蓄積されていない場合、前記送信された収集データを新規の収集データとして前記記録媒体に蓄積することを特徴とする請求項2に記載の路側器に存する。
【0014】
請求項4記載の発明は、業務開始の操作に応じて所定の収集データを収集する収集手段と、路側器との無線通信を行う第1無線器と、前記路側器の通信エリアへの進入に応じて前記収集データを無線送信するように前記第1無線器を制御する第1無線制御手段と、を備えた情報収集装置と、前記情報収集装置との無線通信を行う第2無線器と、前記情報収集装置から送信された収集データを受信するように前記第2無線器を制御する第2無線制御手段と、前記受信した収集データを記録媒体に蓄積する蓄積手段と、を備えた路側器と、が設けられた通信システムにおいて、前記収集手段が、前記業務開始の操作がされた日時情報、又は、前記業務開始の操作後に最初に前記収集データが収集された日時情報、を収集し、前記第1無線制御手段が、先頭に前記収集した日時情報を付加し、末尾に終了マーカーを付加した前記収集データを送信するように前記第1無線器を制御し、前記第2無線制御手段が、前記送信された収集データの先頭に付加された日時情報と同じ日時情報が付加された収集データが前記記録媒体に蓄積されていた場合、当該記録媒体に蓄積された同じ日時情報が付加された収集データの続きを送信させる送信要求を前記情報収集装置に送信するように前記第2無線器を制御し、前記蓄積手段が、前記送信要求に応じて前記情報収集装置から送信された前記収集データの続きと前記記録媒体に蓄積された同じ日時情報の収集データと結合して前記記録媒体に蓄積することを特徴とする通信システムに存する。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように請求項1記載の発明によれば、先頭に日時情報を付加し、末尾に終了マーカーを付加した収集データを送信することにより、日時情報及び終了マーカーによって車載器から路側器に収集データを送信した後に収集データが追加された場合であっても、再び車載器と路側器とが通信可能になったときに路側器側が収集データの続きからの送信要求を行うことができ、しかも、路側器側で収集データの業務毎の区別もできるような収集データを送信することができる。
【0016】
請求項2記載の発明によれば、車載器から路側器に収集データを送信した後に収集データが追加された場合であっても、再び車載器と路側器とが通信可能になったときに収集データの続きから送信要求でき、しかも、路側器側で収集データの業務毎の区別もできる。
【0017】
請求項3記載の発明によれば、路側器側で収集データの業務毎の区別ができる。
【0018】
請求項4記載の発明によれば、先頭に日時情報を付加し、末尾に終了マーカーを付加した収集データを送信することにより、車載器から路側器に収集データを送信した後に収集データが追加された場合であっても、再び車載器と路側器とが通信可能になったときに路側器側が収集データの続きから受信でき、しかも、路側器側で収集データの業務毎の区別もできる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の情報収集装置としての車載器と路側器とを組み込んだ通信システムの一実施の形態を示す構成図である。
【図2】図1に示す車載器の構成図である。
【図3】図1に示す路側器の構成図である。
【図4】図2に示す車載器のCPUの処理手順を示すフローチャートである。
【図5】図2に示す車載器から送信される収集データの構造を示す説明図である。
【図6】図3に示す路側器のCPUの処理手順を示すフローチャートである。
【図7】路側器の動作を説明するための説明図である。
【図8】路側器の動作を説明するための説明図である。
【図9】路側器の動作を説明するための説明図である。
【図10】従来の問題点を説明するための説明図である。
【図11】従来の問題点を説明するための説明図である。
【図12】従来の問題点を説明するための説明図である。
【図13】従来の問題点を説明するための説明図である。
【図14】従来の問題点を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の情報収集装置としての車載器と路側器とを組み込んだ通信システムの一実施の形態を示す構成図である。図2は、図1に示す車載器2の構成図である。図3は、図1に示す路側器4の構成図である。
【0021】
通信システムは、図1に示すように、タクシ車両1に搭載されている車載器2と、タクシ車両1の管理を行う事務所3に設置されている路側器4と、を有している。まず、上記車載器2の構成について図2を参照して説明する。車載器2は、DSRCアンテナAT1と、DSRC無線器21と、GPSアンテナAT2と、GPS無線器22と、マイクロコンピュータ(μCOM)23と、インタフェース(I/F)24と、を備えている。
【0022】
DSRCアンテナAT1は、タクシ車両1に搭載されたDSRC(Dedicated Short Range Communication:専用境域通信)用のアンテナである。DSRC無線器21は、上記DSRCアンテナAT1を用いて後述する路側器4とDSRCを行い、データを受信したり、送信したりするための機器である。DSRC無線器21は、DSRCアンテナAT1が受信したデータを復調してμCOM23に出力したり、μCOM23から出力される送信データを変調してDSRCアンテナAT1に出力する変復調回路を有している。
【0023】
GPSアンテナAT2は、タクシ車両1に搭載されたGPS(Global Positioning System)用のアンテナである。GPS無線器22は、上記GPSアンテナAT2を用いてGSP用の衛星通信から送信されてくるGPS信号を受信するための機器である。このGPS信号には、日時情報が含まれている。GPS無線器22は、GPSアンテナAT2が受信したデータを復調してμCOM23に出力する復調回路を有している。
【0024】
μCOM23は、処理プログラムに従って各種の処理を行う中央演算処理ユニット(CPU)23Aと、CPU23Aが行う処理のプログラムなどを格納した読出専用のメモリであるROM23Bと、CPU23Aでの各種の処理過程で利用するワークエリア、各種データを格納するデータ記憶エリアなどを有する読出書込自在のメモリであるRAM23Cと、を有している。I/F24は、μCOM23内のCPU23Aがタクシメータ5との通信を行うためのインタフェース回路である。
【0025】
次に、上述した路側器4の構成について図3を参照して説明する。路側器4は、DSRCアンテナAT3と、第2無線器としてのDSRC無線器41と、μCOM42と、I/F43と、を有している。DSRCアンテナAT3は、図1に示すように、事務所3の入口6に通信エリア7を形成するアンテナである。事務所3に入るタクシ車両1は、必ずこの通信エリア7を通過することとなる。DSRC無線器41は、上記DSRCアンテナAT3を用いた上記車載器2とDSRCを行い、データを受信したり、送信したりするための機器である。DSRC無線器41は、DSRCアンテナAT3が受信したデータを復調してμCOM42に出力したり、μCOM42から出力される送信データを変換してDSRCアンテナAT3に出力する変復調回路を有している。
【0026】
μCOM42は、処理プログラムに従って各種の処理を行うCPU42Aと、CPU42Aが行う処理のプログラムなどを格納した読出専用のメモリであるROM42Bと、CPU42Aでの各種の処理過程で利用するワークエリア、各種データを格納するデータ記憶エリアなどを有する読出書込自在のメモリであるRAM42Cと、を有している。I/F43は、μCOM42内のCPU42Aが事務所3側のPC(パーソナルコンピュータ)などから構成された管理装置8との通信を行うためのインタフェース回路である。管理装置8は、転送された収集データを例えばプリンタなどの出力端末9から出力する。
【0027】
上述した構成の通信システムの動作について図4〜図7を参照して以下説明する。タクシ車両1のイグニッションがオンされると、車載器2のCPU23Aは図4に示す処理を開始する。その後、タクシ車両1は事務所3の出口から事務所3を出て営業を開始する。まず始めに、車載器2のCPU23Aは、タクシメータ5に設けられた図示しない業務開始スイッチが運転者によって操作されたか否かを判断する(ステップS1)。
【0028】
運転者によって業務開始スイッチが操作されると(ステップS1でY)、CPU23Aは、新たな業務を開始すると判断してRAM23C内に格納された収集データを消去する(ステップS2)。その後、CPU23Aは、収集手段として働き、タクシ車両1の賃走時間や料金などの営業日報データに応じた収集データをタクシメータ5から収集するデータ収集処理を行う(ステップS3)。
【0029】
ステップS3のデータ収集処理によって業務開始スイッチの操作後、最初に収集データが発生すると(ステップS4でY)、CPU23Aは、収集手段として働き、GPS無線器22を制御してGPS信号を受信し、受信したGPS信号に含まれている日時情報T1を収集する日時収集処理を行う(ステップS5)。この日時収集処理において、CPU23Aは、図5に示すように、日時情報T1をステップS3のデータ収集処理で最初に発生した収集データD1の先頭に付加してRAM23C内に格納する。また、CPU23Aは、最初に発生した収集データD1の末尾に終了マーカーを付加してRAM23C内に格納する。
【0030】
その後、再びCPU23Aは、後述するデータ収集処理を行う(ステップS6)。一方、イグニッションがオンされてから所定時間以上経過しても業務開始スイッチが操作されていなければ(ステップS11でY)、CPU23Aは、中断した業務の続きを行うと判断して、ステップS2〜S5を行わないで直ちにステップS6に進む。ステップS6のデータ収集処理において、CPU23Aは、ステップS2と同様に、タクシ車両1の賃走時間や料金などの営業日報データに応じた収集データをタクシメータ5から収集する。
【0031】
このとき、CPU23Aは、図5に示すように、RAM23C内に既に格納された収集データD1〜D(m−1)の後に収集した収集データDmを結合してRAM23C内に格納する。なお、CPU23Aは、収集データD1〜D(m−1)の末尾に付加された終了マーカーに収集した収集データDm上書きして、その後収集データD1〜Dmの末尾に終了マーカーを付加してRAM23C内に格納する。ステップS6のデータ収集処理は、タクシ車両1が通信エリア7に進入するまで繰り返し行われる。
【0032】
その後、タクシ車両1が営業を終える、又は、営業を一時中断して事務所3内の入口6の通信エリア7に進入すると、車載器2は、路側器4からの電波を受け取る。これに応じて、車載器2のCPU23Aは、通信エリア7に進入したと判断して(ステップS7でY)、DSRC無線器21を制御してタクシ車両1の識別情報を送信する(ステップS8)。次に、車載器2のCPU23Aは、第1無線制御手段として働き、路側器4からの送信要求に従って収集データD1〜Dnを送信するように、DSRC無線器21を制御した後(ステップS9)、処理を終了する。
【0033】
これに対して、路側器4内のCPU42Aは、タクシ車両1が通信エリア7に進入して車載器2から識別情報を受信すると(図6のステップS21でY)、受信した識別情報に対応する収集データを管理装置8内の記録媒体としてのデータベースから検索する(ステップS22)。結果、受信した識別情報に対応する収集データが検索されなければ(ステップS23でY)、CPU42Aは後述するステップS28に進む。一方、受信した識別情報に対応する収集データが検索されると(ステップS23でN)、CPU42Aは後述するステップS24に進む。
【0034】
例えば、図7(A)に示すように、前回の車載器2−路側器4間の通信が中断してRAM23Cに格納された収集データD1〜D5のうち収集データD1〜D3までしか受信できなかった場合、ステップS22によって検索された収集データD1〜D3の末尾には終了マーカーMが付加されていない。そこで、路側器4のCPU42Aは、検索した収集データD1〜D3の末尾に終了マーカーMが付加されていなければ(ステップS24でN)、前回の通信が中断されたと判断して、既に収集した収集データD1〜D3の続きを送信するように要求する(ステップS25)。
【0035】
ステップS25の送信要求を受け取った車載器2のCPU42Aは、図7(B)に示すように、先頭に時刻情報T1を付加し、末尾に終了マーカーMを付加した、収集データD1〜D3の続きである収集データD4及びD5を送信する(図4のステップS10)。路側器4のCPU42Aは、車載器2から収集データD4及びD5を受信すると(ステップS26)、蓄積手段として働き、図7(C)に示すように、ステップS22で検索された収集データD1〜D3の後にステップS26で受信した収集データD4及びD5、終了マーカーMを結合させて管理装置8内のデータベースに保存して(ステップS27)、処理を終了する。
【0036】
これに対して、例えば、図8(A)に示すように、前回の車載器2−路側器4間の通信により全ての収集データD1-1〜D1-3が受信できた場合、ステップS22によって検索された収集データD1-1〜D1-3の末尾には終了マーカーMが付加されている。そこで、路側器4のCPU42Aは、検索した収集データD1-1〜D1-3の末尾に終了マーカーMが付加されていれば(ステップS24でY)、収集データを先頭から送信するように要求する(ステップS28)。
【0037】
前回の通信後に新たな業務を開始した場合、車載器2は前回送信した収集データD1-1〜D1-3を消去して新たな時刻情報T2の後に収集データD2-1〜D2-4を格納する。よって、ステップS28の送信要求を受け取った車載器2のCPU23Aは、図8(B)に示すように、先頭に新たな業務に対応する時刻情報T2を付加し、末尾に終了マーカーMを付加した、収集データD2-1〜D2-4を順次送信する(図4のステップS10)。
【0038】
路側器4のCPU42Aは、収集データD2-1〜D2-4の先頭に付加された日時情報T2を受信すると(ステップS29)、受信した日時情報T2が検索した収集データD1-1〜D1-3の先頭に付加された日時情報T1と異なる新規のものであれば(ステップS30でY)、検索された収集データD1-1〜D1-3と異なる業務の収集データD2-1〜D2-4が送信されると判断して、収集データD2-1〜D2-2の受信を継続する(ステップS31)。そして、CPU42Aは、図8(C)に示すように、今回の通信で送信された収集データD2-1〜D2-4を新規の収集データとして保存した後(ステップS32)、処理を終了する。
【0039】
一方、前回の通信後に通信前の業務を継続した場合、図9(B)に示すように、車載器2は前回送信した収集データD1〜D3の末尾に付加された終了マーカーMを上書きして収集データD4及びD5を格納する。よって、ステップS28の送信要求を受け取った車載器2のCPU23Aは、図9(C)に示すように、先頭に時刻情報T1を付加し、末尾に終了マーカーMを付加した、収集データD1〜D5を順次送信する(図4のステップS10)。路側器4のCPU42Aは、収集データD1〜D5の先頭に付加された日時情報T1を受信すると(ステップS29)、受信した日時情報T1が検索した収集データD1〜D3の先頭に付加された日時情報T1と同じであれば(ステップS30でN)、前回受信した収集データD1〜D3と同じ業務であると判断して、既に収集した収集データD1〜D3の続きを送信するように要求する(ステップS33)。
【0040】
ステップS33の送信要求を受け取った車載器2のCPU23Aは、図9(C)に示すように、直ちに収集データD1〜D3の送信を止めて続きである収集データD4及びD5、終了マーカーMを順次送信する(ステップS10)。路側器4のCPU42Aは、収集データD4及びD5、終了マーカーMを受信すると(ステップS34)、図9(D)に示すように、ステップS22で検索された収集データD1〜D3の後にステップS34で送信された収集データD4及びD5、終了マーカーMを結合させて管理装置8内のデータベースに保存して(ステップS35)、処理を終了する。
【0041】
上述した通信システムによれば、車載器2のCPU23Aが、図5に示すように、業務開始の操作後に最初に収集データが収集された日時情報T1を収集し、先頭に収集した日時情報T1を付加し、末尾に終了マーカーMを付加した収集データD1〜Dnを送信する。よって、日時情報T1及び終了マーカーMによって車載器2から路側器4に収集データを送信した後に収集データが追加された場合であっても、再び車載器2と路側器4とが通信可能になったときに路側器4側が収集データの続きからの送信要求を行うことができ、しかも、路側器4側で収集データの業務毎の区別もできるような収集データを送信することができる。
【0042】
また、上述した通信システムによれば、路側器4のCPU42Aが、車載器2から送信された収集データの先頭に付加された日時情報と同じ日時情報が付加された収集データがデータベースに蓄積されていた場合、データベースに蓄積された同じ日時情報が付加された収集データの続きを送信させる送信要求を車載器2に送信するようにDSRC無線器41を制御する。さらに、路側器4のCPU42Aが、上記送信要求に応じて車載器2から送信された収集データの続きとデータベースに蓄積された同じ日時情報の収集データを結合してデータベースに蓄積する。これにより、車載器2から路側器4に収集データを送信した後に収集データが追加された場合であっても、再び車載器2と路側器4とが通信可能になったときに収集データの続きから送信要求でき、しかも、路側器4側で収集データの業務毎の区別もできる。
【0043】
また、上述した通信システムによれば、路側器4のCPU42Aが、送信された収集データの先頭に付加された日時情報と同じ日時情報が付加された収集データがデータベースに蓄積されていない場合、送信された収集データを新規の収集データとしてデータベースに蓄積する。よって、路側器4側で収集データの業務毎の区別ができる。
【0044】
なお、上述した実施形態では、日時情報として業務開始スイッチの操作後に最初に収集データが収集された日時情報を収集していたが、本発明はこれに限ったものではない。日時情報としては、例えば、業務開始スイッチの操作が行われたときの日時情報であってもよい。
【0045】
なお、上述した実施形態では、車載器2においては収集データが発生する毎に終了マーカーMを付加していたが、本発明はこれに限ったものではない。例えば、路側器4の通信エリア7への進入に応じて終了マーカーを付加するようにしてもよい。
【0046】
また、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0047】
2 車載器(情報収集装置)
4 路側器
7 通信エリア
21 DSRC無線器(第1無線器)
23A CPU(収集手段、第1無線制御手段)
41 DSRC無線器(第2無線器)
42A CPU(第2無線制御手段、蓄積手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
業務開始の操作に応じて所定の収集データを収集する収集手段と、路側器との無線通信を行う第1無線器と、前記路側器の通信エリアへの進入に応じて前記収集データを無線送信するように前記第1無線器を制御する第1無線制御手段と、を備え、前記収集手段が、前記路側器への収集データを送信した後に前記収集データを追加するように設けられた情報収集装置において、
前記収集手段が、前記業務開始の操作がされた日時情報、又は、前記業務開始の操作後に最初に前記収集データが収集された日時情報、を収集し、
前記第1無線制御手段が、先頭に前記収集した日時情報を付加し、末尾に終了マーカーを付加した前記収集データを送信するように前記第1無線器を制御する
ことを特徴とする情報収集装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報収集装置との無線通信を行う第2無線器と、前記情報収集装置から送信された収集データを受信するように前記第2無線器を制御する第2無線制御手段と、前記受信した収集データを記録媒体に蓄積する蓄積手段と、を備えた路側器において、
前記第2無線制御手段が、前記送信された収集データの先頭に付加された日時情報と同じ日時情報が付加された収集データが前記記録媒体に蓄積されていた場合、当該記録媒体に蓄積された同じ日時情報が付加された収集データの続きを送信させる送信要求を前記情報収集装置に送信するように前記第2無線器を制御し、
前記蓄積手段が、前記送信要求に応じて前記情報収集装置から送信された前記収集データの続きと前記記録媒体に蓄積された同じ日時情報の収集データと結合して前記記録媒体に蓄積する
ことを特徴とする路側器。
【請求項3】
前記蓄積手段が、前記送信された収集データの先頭に付加された日時情報と同じ日時情報が付加された収集データが前記記録媒体に蓄積されていない場合、前記送信された収集データを新規の収集データとして前記記録媒体に蓄積する
ことを特徴とする請求項2に記載の路側器。
【請求項4】
業務開始の操作に応じて所定の収集データを収集する収集手段と、路側器との無線通信を行う第1無線器と、前記路側器の通信エリアへの進入に応じて前記収集データを無線送信するように前記第1無線器を制御する第1無線制御手段と、を備えた情報収集装置と、
前記情報収集装置との無線通信を行う第2無線器と、前記情報収集装置から送信された収集データを受信するように前記第2無線器を制御する第2無線制御手段と、前記受信した収集データを記録媒体に蓄積する蓄積手段と、を備えた路側器と、が設けられた通信システムにおいて、
前記収集手段が、前記業務開始の操作がされた日時情報、又は、前記業務開始の操作後に最初に前記収集データが収集された日時情報、を収集し、
前記第1無線制御手段が、先頭に前記収集した日時情報を付加し、末尾に終了マーカーを付加した前記収集データを送信するように前記第1無線器を制御し、
前記第2無線制御手段が、前記送信された収集データの先頭に付加された日時情報と同じ日時情報が付加された収集データが前記記録媒体に蓄積されていた場合、当該記録媒体に蓄積された同じ日時情報が付加された収集データの続きを送信させる送信要求を前記情報収集装置に送信するように前記第2無線器を制御し、
前記蓄積手段が、前記送信要求に応じて前記情報収集装置から送信された前記収集データの続きと前記記録媒体に蓄積された同じ日時情報の収集データと結合して前記記録媒体に蓄積する
ことを特徴とする通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−176316(P2010−176316A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−17071(P2009−17071)
【出願日】平成21年1月28日(2009.1.28)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】