情報提供装置及び情報提供方法
【課題】個別の目的地としては利用頻度が低くても、利用頻度の高い地域に属する目的地を予測し、その目的地に関する案内情報を提供する。
【解決手段】自車位置を取得する自車位置取得機能と、過去に取得された自車位置に基づく出発地から目的地までの走行履歴を参照し、自車位置に基づいて、車両の目的地の候補を予測する目的地予測機能と、予測された目的地の候補間の距離が所定距離未満である場合は、複数の目的地の候補を統合して統合目的地群を設定する統合目的地設定機能と、走行履歴に基づいて、車両が目的地の候補を利用する頻度及び/又は車両が統合目的地群を利用する頻度を算出する頻度算出機能と、予測された目的地の候補を利用する頻度又は予測された目的地の候補を含む統合目的地群の何れかを利用する頻度が所定値以上の場合は、目的地の候補に係る案内情報を表示させる表示制御機能と、を実行させる制御装置10を備える。
【解決手段】自車位置を取得する自車位置取得機能と、過去に取得された自車位置に基づく出発地から目的地までの走行履歴を参照し、自車位置に基づいて、車両の目的地の候補を予測する目的地予測機能と、予測された目的地の候補間の距離が所定距離未満である場合は、複数の目的地の候補を統合して統合目的地群を設定する統合目的地設定機能と、走行履歴に基づいて、車両が目的地の候補を利用する頻度及び/又は車両が統合目的地群を利用する頻度を算出する頻度算出機能と、予測された目的地の候補を利用する頻度又は予測された目的地の候補を含む統合目的地群の何れかを利用する頻度が所定値以上の場合は、目的地の候補に係る案内情報を表示させる表示制御機能と、を実行させる制御装置10を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載され、車両の乗員に情報を提供する情報提供装置及び情報提供方法に関する。
【背景技術】
【0002】
運転者に情報を提供する情報提供装置に関し、利用頻度が所定閾値より大きい登録地点を目的地候補として選択し、この目的地候補への到着予定を算出して表示する技術が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−46913号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、個別地点ごとの利用頻度に基づいて目的地候補を選択するため、個別地点としての利用頻度が低い場合は、地域としての利用頻度が高くても目的地の候補として選択されず、よく利用する地域に関する情報が提供されないという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、自車位置に基づいて予測された目的地の候補間の距離が所定距離未満である場合は、これらの目的地の候補を統合して統合目的地群を設定し、走行履歴に基づいて算出された車両が目的地の候補を利用する頻度及び/又は車両が統合目的地群の何れかを利用する頻度が所定値以上の場合は、その目的地の候補に係る案内情報を表示させることにより上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、近傍に存在する複数の目的地の候補が統合された統合目的地群の利用頻度に基づいて目的地を選択するため、個別地点としての利用頻度は低いが、統合目的地群としての利用頻度の高い目的地を選択できるので、よく利用する地域に関する情報を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は、本実施形態の情報提供システム100を含む車載装置1000のブロック構成の一例を示す図である。
【図2】図2は、走行履歴を生成する際の、自車位置の特定手法を説明するための図であり、自車位置と登録地(出発地、目的地など)の位置関係を示す図である。
【図3】図3は、走行履歴の一例を示す図である。
【図4A】図4Aは、出発地が自宅であり、木曜の朝に出発する場合の走行履歴の一例を示す図である。
【図4B】図4Bは、登録地(目的地)の候補から利用頻度の低い登録地を削除する処理を説明するための図である。
【図4C】図4Cは、登録地(目的地)の候補を、利用頻度の高い順に並び変えた候補リストの一例を示す図である。
【図5】図5は、目的地を選択する手法の一例を説明するための図である。具体的に、一のタイミングにおける自車位置から目的地の候補に至る経路の長さと、一のタイミングの後の他のタイミングおける自車位置から目的地の候補に至る経路の長さとを比較して、その変化量に基づいて目的地を選択する処理の一例を説明するための図である。
【図6】図6は、目的地を選択する手法の一例を説明するための図である。具体的に、一のタイミングにおける自車位置と目的地の候補との距離と、一のタイミングの後の他のタイミングおける自車位置と目的地の候補との距離を比較して、その変化量に基づいて目的地を選択する処理の一例を説明するための図である。
【図7】図7は、目的地の候補と他の目的地の候補を統合して統合目的地群を設定する際の条件の一例を示す図である。
【図8】図8は、目的地の候補と他の目的地の候補を統合して統合目的地群を設定する手法を説明するための概念図である、
【図9】図9は、統合目的地群を設定した後に算出された各目的地の利用頻度のリストの一例を示す図である。
【図10】図10(a)は、図9の目的地に係る案内情報の一例を示す図であり、図10(b)は、図4Cの目的地に係る案内情報の一例を示す図である。
【図11】図11は、自車位置が統合目的地群の所定距離以内に接近した場合の案内情報の表示例を示す図である。
【図12A】図12Aは、目的地の候補を、利用頻度の高い順に並び変えた候補リストの一例を示す図である。
【図12B】図12Bは、図12Aの各目的地の利用頻度のリストに対し、統合目的地群を設定した後に算出された各目的地の利用頻度のリストの例を示す図である。
【図13】図13(a)は、図12Bの目的地の候補及び統合目的地群に係る案内情報の一例を示す図、図13(b)は、図12Aの目的地の候補に係る案内情報の一例を示す図である。
【図14】図14は、表示態様を変化させた場合の案内情報の表示例を示す図である。図14(a)は通常の表示態様を示す図、図14(b)は、目的地の候補と車両の自車位置とを、ディスプレイ410の外延に設定された所定領域内の位置に表示させた表示態様を示す図である。
【図15】図15は、登録地(目的地)が自車位置から所定距離以上に離隔している場合の案内情報の表示例を示す図である。
【図16】図16は、本実施形態の走行履歴の生成処理を説明するためのフローチャート図である。
【図17】図17は、本実施形態の目的地の候補又は統合目的地群に係る案内情報の表示処理を説明するためのフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本実施形態の情報提供システム100は、車両に搭載され、車両の乗員を目的地へ誘導するための情報を提供する装置である。
【0009】
図面に基づいて、本実施形態に係る情報提供システム100を含む車載装置1000について説明する。
【0010】
図1は、本実施形態の情報提供システム100を含む車載装置1000のブロック構成の一例を示す図である。
【0011】
図1に示すように、車載装置1000は、情報提供システム100と、ナビゲーション装置200と、車両コントローラ300と、表示装置400を備える、これらの装置はCAN(Controller Area Network)その他の車載LANによって接続され、相互に情報の授受を行う。
【0012】
また、図1に示すように、情報提供システム100は、制御装置10を有する。この制御装置10は、本実施形態に係る情報提供処理を実行するためのプログラムを格納したROM(Read Only Memory )12と、このROM12に格納されたプログラムを実行することで、情報提供システム100として機能する動作回路としてのCPU(Central Processing Unit)11と、アクセス可能な記憶装置として機能するRAM(Random Access Memory)13と、を備える。なお、動作回路としては、CPU(Central Processing Unit)11に代えて又はこれとともに、MPU(Micro Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などを用いることができる。
【0013】
次に、情報提供システム100の制御装置10が備える処理機能について説明する。制御装置10は、自車位置取得機能と、目的地予測機能と、統合目的地設定機能と、頻度算出機能と、表示制御機能とを有する。そして、各機能を実現するためのソフトウェアと、上述した制御装置10を含むハードウェアの協働により各機能を実行する。
【0014】
以下、上述した情報提供システム100の制御装置10が実現する機能についてそれぞれ説明する。
【0015】
まず、情報提供システム100の自車位置取得機能について説明する。
【0016】
制御装置10は、車両の経時的な現在位置を自車位置として、ナビゲーション装置200から経時的に取得する。この自車位置の情報は、後に走行履歴を生成する際、及び目的地の候補を予測する際に用いられる。ナビゲーション装置200は、GPS(Global Positioning System)201を備え、車両の自車位置(緯度・経度)を所定周期で検出し、制御装置10へ送出する。また、ナビゲーション装置200は、現在の自車位置から目的地又は目的地の候補に至る経路、目的地の候補となる地点の地図上の位置、目的地の候補となる施設の施設情報その他の目的地の候補に係る情報を提示する。また、ナビゲーション装置200は、必要に応じて、情報を、通信機能203を用いて外部から取得してもよい。
【0017】
また、制御装置10は、この自車位置に関し、緯度・経度に加えてその自車位置乃至自車位置近傍の登録名称(自宅、勤務先などのユーザの登録した名称、及び地図情報などにおいて登録された施設名などのPOI:Point Of Interestを含む。以下同じ)を取得する。この登録名称は、予めナビゲーション装置200の地図情報204に記憶されており、一の地点又は一の地点を含む領域の緯度・経度とその登録名称とが対応づけられている。
【0018】
そして、制御装置10は、自車位置の情報として、位置が略共通する登録地の登録名称を記憶する。具体的には、図2に示すように、自車位置の緯度・経度から所定距離以内(本例では500m以内)にある登録地の名称を自車位置の情報として記憶する。本実施形態の制御装置10は、所定時間以上の間隔をおいてイグニッションキーがオンされた場合、そのタイミングにおける自車位置の登録地を出発地として走行履歴に書き込む。また、本実施形態の制御装置10は、イグニッションキーがオンされた後に、イグニッションキーがオフされた場合、そのタイミングにおける自車位置の登録地を到着地(目的地)として走行履歴に書き込む。
【0019】
図3は、出発地、到着地(目的地)、出発時刻、曜日などの暦情報を含む走行履歴の一例を示す図である。なお、走行開始時にナビゲーション装置200において目的地が設定された場合は、車両の自車位置がその目的地に所定距離以内に接近した場合は、設定された目的地を到着地(目的地)として走行履歴に記録する。
【0020】
図3に例示する本実施形態の走行履歴によれば、出発地ごと、出発時刻ごと、曜日ごと、にユーザがどの到着地(目的地)へ行く頻度が高いかを分析することができる。
【0021】
制御装置10は、走行の度に走行履歴を取得し、これを走行履歴データメモリ20に記憶する。生成された走行履歴データメモリ20は、制御装置10の読み込みを許可し、次に説明する目的地候補の予測処理におけるデータベースとして機能する。なお、走行履歴は、ナビゲーション装置200が備える記憶装置に格納してもよい。
【0022】
次に、本実施形態の情報提供システム100の目的地予測機能について説明する。
【0023】
制御装置10は、先に説明した、過去に取得された自車位置に基づく出発地から目的地までの走行履歴を参照し、新たに取得された自車位置に基づいて、車両の目的地の候補を予測する。目的地の候補を予測する際の条件となる自車位置は、出発時における自車位置、つまり走行開始時における自車位置が好ましい。出発時又は走行開始時の判断は、車両コントローラ300から取得するイグニッションのオン情報に基づいて行われる。制御装置10は、イグニッションのオン情報の取得から所定時間以内に取得された自車位置に基づいて、目的地の候補を予測する。
【0024】
本実施形態の制御装置10は、車両の出発地、出発時間、曜日に応じて行く目的地が異なる傾向という傾向を利用し、自車両の出発地、曜日及び時刻に基づいて車両が行く目的地の候補を予測する。
【0025】
図4Aは、図3に例示した走行履歴から、出発地が自宅(登録地)であり、木曜の朝(9:00〜11:00)に出発する走行履歴を抽出した情報である。
【0026】
この処理において、制御装置10は、頻度が所定値未満の走行履歴を出発地などの条件に基づく抽出結果から削除する。図4Bに示すように、図4Aに示す抽出された走行履歴リストのうち、年2回、年1回という最下2行(薄墨を施した部分)の走行履歴は削除する。その結果、図4Cに示すように、頻度が上位から5番目までの走行履歴が抽出される。
【0027】
制御装置10は、この図4Cの走行履歴に基づいて、自宅から木曜の朝に出発する場合の目的地の候補は、登録地D、登録地C、登録地E、登録地A、及び登録地Bであると予測する。
【0028】
また、本実施形態の制御装置10は、走行開始後において、予測された目的地の候補が妥当であるか否かを判断し、その予測結果を修正する。
【0029】
本実施形態の制御装置10は、時間の経過に従い自車位置と目的地の候補が離隔している場合は、自車両はその目的地に向かっていないとして、目的地の候補から外す。
【0030】
具体的に、制御装置10は、走行履歴を参照し、過去の一のタイミングにおける自車位置から目的地の候補に行く経路の長さと、一のタイミングの後の他のタイミング(例えば現在)における自車位置から目的地の候補に行く経路の長さとを比較し、他のタイミングにおける経路の長さの方が、一のタイミングにおける経路の長さよりも長い場合は、目的地の候補を車両の目的地ではないと判断する。つまり、時間の経過に伴い、目的地の候補に至る経路の距離が長くなっている場合は、その目的地の候補は妥当ではないと判断する。この経路の長さを算出するタイミングは特に限定されないが、車両が一時的に停車したタイミング、出発から所定時間経過後など任意に設定することができる。
【0031】
図5に示すように、一のタイミングにおける自車位置から目的地(候補)Cまでの経路の距離501と、他のタイミングにおける自車位置から目的地(候補)Cまでの経路の距離502を比較し、後のタイミングである他のタイミングにおける自車位置から目的地(候補)Cまでの距離502の方が先の一のタイミングにおける自車位置から目的地(候補)Cまでの距離501よりも長い場合は、自車両は目的地(候補)Cから離隔していると判断し、目的地(候補)Cは目的地の候補から外す。
【0032】
なお、自車位置から目的地Cに至る経路の長さは、ナビゲーション装置200に算出させてもよい。ナビゲーション装置200は、自車位置と目的地Cの座標値(緯度・経度)に基づいて、地図情報204を参照し、自車位置からリンクを辿って最短の経路を探索し、そのリンク長の合計を経路の長さとして算出する。
【0033】
また、他の手法として、自車位置と目的地の候補との直線距離を用いて、目的地の候補の妥当性を判断することもできる。すなわち、制御装置10は、走行履歴を参照し、一のタイミングにおける自車位置と目的地の候補との距離と、一のタイミングの後の他のタイミングにおける自車位置と目的地の候補との距離とを比較し、他のタイミングにおける距離が、一のタイミングにおける距離よりも長い場合は、目的地の候補を車両の目的地ではないと判断する。
【0034】
図6に示すように、一のタイミングにおける自車位置と目的地(候補)Cの直線距離601と、他のタイミングにおける自車位置と目的地(候補)Cの直線距離602を比較し、後のタイミングである他のタイミングにおける距離602の方が先の一のタイミングにおける距離601よりも長い場合は、自車両は目的地(候補)Cから離隔していると判断し、目的地(候補)Cは目的地の候補から外す。
【0035】
なお、自車位置と目的地Cまでの距離は、ナビゲーション装置200に算出させてもよい。ナビゲーション装置200は、地図情報204を参照し、自車位置と目的地Cの座標値(緯度・経度)に基づいて、その距離を算出する。
【0036】
次に、本実施形態の情報提供システム100の統合目的地設定機能について説明する。
【0037】
制御装置10は、予測された目的地の候補間の距離が所定距離未満である場合は、複数の目的地の候補を統合して統合目的地群を設定する。制御装置10は、予め目的地の候補を統合する条件を定義する。図7は、統合目的地群を設定する際の条件の一例を示す図である。制御装置は、自車位置から10km以内に位置する目的地の候補については、目的地間の距離が1km以内である場合、自車位置から20km以内に位置する目的地の候補については、目的地間の距離が2km以内である場合、などのように、自車位置からの距離に応じた位置関係(相互の距離)に基づいて、その目的地を統合して統合目的地群を設定する。
【0038】
具体的に、図8に示すように、自車位置から10km以内に目的地(候補)Aが存在し、この目的地(候補)Aから1km以内の目的地(候補)Bが存在する場合は、目的地(候補)Aと目的地(候補)Bを統合し、統合目的地群Aを設定する。
【0039】
次に、本実施形態の情報提供システム100の頻度算出機能について説明する。
【0040】
制御装置10は、走行履歴に基づいて、車両が目的地の候補を利用する頻度及び/又は車両が統合目的地群を利用する頻度を算出する。制御装置10は、統合された目的地のそれぞれの頻度を加算し、統合目的地群を利用する頻度を算出する。
【0041】
図9は、統合目的地群を設定した後に算出された各目的地の利用頻度のリストの一例を示す図である。この図9は、先に説明した図4Cの走行履歴の利用頻度について、目的地(候補)Aと目的地(候補)Bの統合処理をした場合の利用頻度を示す図である。
【0042】
図9に示すように目的地(候補)Aと目的地(候補)Bは、統合されて目的地群Aとして扱われる。また、統合目的地群Aの頻度は、目的地(候補)Aの月3回と目的地(候補)Bの月2回とが加算されて、月5回と算出される。そして、統合目的地群Aの頻度は、月4回の目的地(候補)Eより高いので、目的地(候補)Eの前、目的地(候補)Dの次に並び変えられる。
【0043】
次に、本実施形態の情報提供システム100の表示制御機能について説明する。
【0044】
制御装置10は、予測された目的地の候補を利用する頻度又は予測された目的地の候補を含む統合目的地群の何れかを利用する頻度が所定値以上の場合は、目的地の候補に係る案内情報を表示させる。つまり、制御装置10は、予測されたもののうち、利用頻度の高い目的地の候補又は予測された目的地の候補を含む統合目的地群についての案内情報の表示を行う。
【0045】
本実施形態における案内情報は特に限定されず、目的地の候補又は統合目的地群の位置、目的地の候補又は統合目的地群の施設名、自車位置から目的地の候補又は統合目的地群に至るまでの経路及び経路上のPOI、これらと地図情報を重畳させた情報を含む。
【0046】
また、案内情報の表示にあたり、制御装置10は、目的地の候補に係る案内情報(統合目的地群に含まれる目的地の候補の案内情報を含む)を表示してもよいし、統合目的地群については、統合目的地群に対応する地域に係る案内情報を表示してもよい。
【0047】
さらに、制御装置10は、利用頻度の条件に加えて、一画面に表示する目的地の数に基づいて案内情報を表示する目的地の候補及び統合目的地群を選択してもよい。つまり、一画面に3つの目的地に係る案内情報を表示する場合は、利用頻度が最も高い目的地の候補及び統合目的地群から3番目までの目的地の候補及び統合目的地群に係る案内情報を表示する。
【0048】
さらにまた、制御装置10は、自車位置から統合目的地群に行く経路の長さが所定距離未満になった場合は、統合目的地群に含まれる各目的地の候補に係る案内情報を表示させる。
【0049】
図10に案内情報の表示例を示す。図10(a)は、図9のリストの挙げられた目的地に係る案内情報の一例を示す図であり、図10(b)は、図4Cのリストに挙げられた目的地に係る案内情報の一例を示す図である。本例では、利用頻度の高い順に3つの目的地に係る案内情報を表示する。
【0050】
近接する目的地の候補を統合しない場合は、図10(b)に示すように、利用頻度の高い順に目的地(候補)D、目的地(候補)C、目的地(候補)Eという3つの目的地(候補)に係る案内情報が表示されるが、目的地A、Bに係る案内情報は表示されない。一方、目的地の候補を統合すると、目的地(候補)A、目的地(候補)Bの利用頻度が加算された統合目的地群Aの利用頻度は、目的地(候補)Eの利用頻度よりも高い。このため、目的地(候補)Eではなく、統合目的地群Aに係る案内情報が表示される。
【0051】
このように、予測された目的地の候補を統合して、利用頻度を統合目的地群ごとに算出することにより、個別の目的地候補の利用回数は低いが、よく利用する地域についても目的地として予測されるので、その地域についての案内情報をユーザに提供することができる。
【0052】
ちなみに、目的地の候補の統合を行わないと、ユーザがスーパーと八百屋など店舗が近接している目的地(候補)の両方に高い頻度で行く場合、スーパーに先に行ったか、八百屋に先に行ったかという訪問の順序によって、走行履歴の利用頻度が分割されてカウントアップされるので、走行履歴の利用頻度だけをみると地域的には良く行くのに利用頻度が低くカウントされてしまい、目的地の候補とならないという場合がある。このような場合は、地域としては利用頻度が高いにもかかわらず、その地域についての案内情報をユーザに提供することがでない。
【0053】
また、図10(a)を表示した後、自車位置が統合目的地群Aに所定距離以上接近した場合、たとえば、が所定距離10kmとなった場合は、統合目的地群Aを目的地の候補A及び目的地の候補Bに分割して、それぞれの目的地の候補の位置と自車位置からの経路を表示する。
【0054】
図11は、自車位置が統合目的地群の所定距離以内に接近した場合の案内情報の表示例を示す図である。このように、統合目的地群に所定距離以内に接近した状況で、個別の目的地の候補に関する情報を表示することにより、ユーザが必要とする具体的な情報を提供することができる。
【0055】
また、別の例として、図12Aに示す、目的地の候補を、利用頻度の高い順に並び変えた候補リストがある場合の案内情報の表示手法について説明する。ここで、目的地1と目的地3の距離及び目的地4と目的地5の距離とが所定距離未満であり、統合の条件を満たす場合は、制御装置10は、目的地1と目的地3を統合して統合目的地群Aとし、目的地4と目的地5を統合して統合目的地群Bとする。
【0056】
図12Bは、統合処理を行った後の目的地の候補又は統合目的地群の利用頻度のリストである。
【0057】
そして、図13は、利用頻度の高い目的地の候補及び統合目的地群に係る案内情報の表示例である。本例では、一の画面に最大3つの目的地の候補及び統合目的地群を表示する。図13(a)は、図12Bの統合処理後の目的地の候補及び統合目的地群に係る案内情報の一例を示す図、図13(b)は、図12Aの目的地の候補に係る案内情報の一例を示す図である。
【0058】
図13(b)に示すように、統合処理を行わなかった場合は、利用頻度の高い順に目的地1、2、3のみに係る案内情報が表示される。すなわち、目的地3、4、及び5に係る案内情報は表示されない。他方、図13(a)に示すように、統合処理を行った場合は、目的地1と目的地3を統合して統合目的地群Aと目的地4と目的地5を統合して統合目的地群Bとに係る案内情報が表示されるため、実質的に目的地1〜5に係る案内情報を表示することができる。つまり、表示できないのは目的地6に係る案内情報のみである。
【0059】
また、統合処理を行うことにより、多くの目的地に係る案内情報を表示することができるので、より広い範囲の目的地に係る案内情報を表示することができる。すなわち、図13(a)に示すように統合処理を行ってから案内情報を表示する方が、図13(b)に示すように統合処理を行わないで案内情報を表示するよりも、広い範囲における目的地に係る案内情報を表示することができる。
【0060】
ちなみに、車を利用する場合、良く行く店は自宅から比較的近い場所に存在する傾向があり、自宅から所定距離以上離れた場所に存在する場合は、利用頻度が低下する傾向がある。自宅から比較的近い場所に存在する店が統合されることにより、自宅から遠いが次に利用頻度の高い目的地の候補に係る案内情報を表示することができる。
【0061】
また、案内情報を経路情報として利用する場合は、各目的地の地点が明確に区別されて表示されるよりも、ユーザが行く可能性の高い地域へ至る経路が分かる案内情報の方が、ユーザにとっては有益である。本実施形態によれば、個別の目的地の候補としては表示対象にならない利用頻度が低い目的地であっても、地域としての利用頻度が高ければ、案内情報を表示することができる。
【0062】
さらに、本実施形態において、制御装置10は、ユーザが設定している地図縮尺で経路情報を表示できる目的地は、目的地の候補から外す。通常の状態で画面表示されている目的地は、本処理の対象外とし、その代わりに、画面表示されない目的地の候補又は統合目的地群を表示する。
【0063】
また、制御装置10は、車両に搭載されたディスプレイ410に案内情報を表示させる際に、予測された目的地の候補のうち1つ以上の目的地の候補と車両の自車位置とを、ディスプレイ410の外延に設定された所定領域内の位置に表示させる。
【0064】
図14は、表示態様を変化させた場合の案内情報の表示例を示す図である。図14(a)は通常の表示態様を示す図、図14(b)は、目的地の候補又は統合目的地群と車両の自車位置とを、ディスプレイ410の外延に設定された所定領域内の位置に表示させた表示態様を示す図である。
【0065】
本実施形態の制御装置10は、図14(b)に示す例のように、自車位置と、目的地D及び統合目的地群Aとを、画面の外縁から所定距離以内の領域(薄墨を施した領域)に表示させるように案内情報とこの案内情報が重畳される地図情報の縮尺を変更させる命令を表示装置400へ送出する。
【0066】
これにより、図14(b)の表示態様によれば、図14(a)に示す表示態様よりも、自車位置、統合目的地群A及び目的地Dが表示される領域を拡大して示すので、ユーザが過去に利用したことのある目的地の候補又は統合目的地群を最大限表示することができ、自車位置と目的地の候補又は統合目的地群の間の経路情報を分かりやすく表示することができる。
【0067】
すなわち、本実施形態によれば、自車位置と目的地の候補又は統合目的地群の間を、できる限り(ディスプレイ410に表示できる限りにおいて)大きく見せる地図レイアウトに変更するため、ユーザの目的地となりうる地点及び地域に関する多くの情報を表示することができる。
【0068】
さらに、本実施形態の制御装置10は、自車位置と目的地の候補又は統合目的地群の間の渋滞情報を案内情報として表示させる命令を表示装置400に送出する。表示装置400は、ナビゲーション装置200のVICS(Vehicle Information and Communication System)から取得した渋滞情報を表示する。制御装置10は、渋滞情報を表示する際には、自車両の進行方向の走行路に関する渋滞情報のみを表示させる命令を表示装置400に送出してもよい。
【0069】
さらに、自車位置とともに自車の進行方向を示すことにより、自車位置と目的地の候補又は統合目的地群の位置関係を分かりやすく表示することができる。
【0070】
また、本実施形態の制御装置10は、自車位置と目的地の候補又は統合目的地群の間に存在するコンビニエンスストアやガソリンスタンドなどに関する情報を案内情報として表示させる命令を表示装置400に送出する。
【0071】
加えて、本実施形態の制御装置10は、自車位置と目的地の候補又は統合目的地群の間を、できる限り(ディスプレイ410に表示できる限りにおいて)大きく見せる地図レイアウトとする観点から、自車位置と目的地の候補又は統合目的地群の間の距離が所定距離以上(例えば50km)である場合は、その目的地の候補又は統合目的地群は除いて、所定の縮尺で地図情報を表示させる。この場合における所定の縮尺は、渋滞情報や経路案内が確認できる値とする。
【0072】
図15は、登録地(目的地)が自車位置から所定距離以上に離隔している場合の案内情報の表示例を示す図である。図15に示すように、目的地Xが自車位置から50km以上離隔している場合は、この目的地Xの地図上の位置がディスプレイ410の画面内に含まれるように縮尺を変更するのではなく、縮尺は所定の値として目的地Xの存在方向をディスプレイ410の外延領域に表示する。
【0073】
これにより、自車位置から遠く離れた目的地の候補が推測された場合に地図情報が過剰に縮小されて表示されることを防止することができる。
【0074】
続いて、図16及び図17のフローチャート図に基づいて、本実施形態の情報提供システム100の制御手順を説明する。図16は、本実施形態の走行履歴の生成処理を説明するためのフローチャート図であり、図17は、本実施形態の目的地の候補又は統合目的地群に係る案内情報の表示処理を説明するためのフローチャート図である。
【0075】
まず、走行履歴の生成処理について説明する。本処理は、後述する案内情報の表示処理と並行して実行させてもよいし、別のタイミングで実行させてもよい。また、別の装置、例えば携帯可能なPND(personal navigation device)に生成させてもよい。
【0076】
図16に示すように、ステップS101において、制御装置10は、車両コントローラ300から取得したイグニッションキーオンの信号に呼応して、ナビゲーション装置200から自車位置を取得する。自社位置としては、地図座標値(緯度・経度など)とその地図座標値から所定距離以内になる登録地の名称(登録地)を取得する。制御装置10は、この車両起動時における自車位置(地図座標値、登録地の名称)を出発地として定義し、走行履歴データメモリ20に格納する。
【0077】
続くステップS102において、制御装置10は、ユーザが、ナビゲーション装置200の備える目的地設定機能を用いて目的地を設定したか否かを判断する。つまり、制御装置10は、イグニッションキーオンから所定時間以内に目的地設定指令が入力されたか否かに基づいて、目的地が設定されたか否かを判断する。そして、目的地が設定された場合はステップS103へ進み、目的地が設定されない場合はS106へ進む。
【0078】
ステップS103において、制御装置10は、ナビゲーション装置200に、自車位置から入力された目的地までの経路を探索させ、その経路案内を開始させる。
【0079】
ステップS104において、制御装置10は、車両が目的地に到着するまで、経路案内を実行させる。制御装置10は、自車位置が目的地に接近し、両位置の距離が所定値未満となった場合に、自車両は目的地に到着したと判断する。目的地に到着したと判断した場合は、ステップS105へ進む。
【0080】
さらに、ステップS105において、制御装置10は、車両は到着した目的地を利用したと判断し、走行履歴におけるその目的地の利用回数をカウントアップし、ステップS110に進み処理を終了させる。
【0081】
ここでステップS102に戻り、目的地が設定されない場合の処理を説明する。
【0082】
ステップS106において、制御装置10は、車両が走行中であるか否かを観察する。走行が中断された場合はステップS107へ進む。
【0083】
ステップS107において、制御装置10は、車両コントローラ300からイグニッションオフの信号が取得されたた否かを判断する。イグニッションオフの信号を取得した場合は、ステップS108へ進む。
【0084】
続くステップS108において、制御装置10は、車両がイグニッションオフしたときの自車位置をナビゲーション装置200から取得する。本実施形態の制御装置10は、自車位置の周囲半径500km以内に登録地があるか否かを検索し、あればステップS109へ進み、なければステップS111へ進む。
【0085】
停車位置の近傍に登録地がある場合、ステップS109において、制御装置10は、車両は近傍の登録地を目的地として利用したと判断し、走行履歴におけるその目的地の利用回数をカウントアップし、ステップS110に進み処理を終了させる。
【0086】
他方、停車位置の近傍に登録地が無い場合、ステップS111において、制御装置10は、車両は到着位置(緯度・経度で示される地点、又は登録地以外の地点として示される地点)を目的地として利用したと判断し、走行履歴におけるその到着位置目的地の利用回数をカウントアップし、ステップS110に進み処理を終了させる。
【0087】
以上の処理により、イグニッションスイッチのオンオフ信号に基づいて、車両が、どこを出発し、その出発先から行った目的地、その目的地に行った曜日や時刻を走行履歴としてデータベース化することができる。
【0088】
続いて、図17に基づいて、本実施形態の目的地の候補又は統合目的地群に係る案内情報の表示処理を説明する。
【0089】
図17に示すように、ステップS201において、制御装置10は、
車両コントローラ300から取得したイグニッションキーオンの信号に呼応して、ナビゲーション装置200から自車位置を取得する。自社位置としては、地図座標値(緯度・経度など)とその地図座標値から所定距離以内になる登録地の名称(登録地)を取得する。
【0090】
続くステップS202において、制御装置10は、ユーザが、ナビゲーション装置200の備える目的地設定機能を用いて目的地を設定したか否かを判断する。つまり、制御装置10は、イグニッションキーオンから所定時間以内に目的地設定指令が入力されたか否かに基づいて、目的地が設定されたか否かを判断する。そして、目的地が設定された場合はステップS208へ進み、目的地が設定されない場合はS203へ進む。
【0091】
目的地が設定された場合は、ステップS208において、制御装置10は、自車位置から目的地への経路をナビゲーション装置200に算出させ、その経路情報をディスプレイ410に表示させる。また、この処理において、走行履歴の生成処理を並行して実行する場合には、図16の図16のステップS106以降の処理を実行する。
【0092】
他方、目的地が設定されなかった場合はステップS203へ進む。ステップS203において、制御装置10は、走行履歴の目的地(登録地)ごとの利用頻度を参照し、車両起動時の自車位置(出発地)に基づいて、目的地の候補を予測する。この予測処理においては、出発地に加えて、イグニッションオン信号を取得したときの時刻、曜日を予測の条件としてもよい。
【0093】
続くステップS204において、制御装置10は、予測された目的地の候補のうち、距離が所定距離未満の目的地の候補を統合し、統合目的地群を設定する。
【0094】
さらに、ステップS205において、制御装置10は、走行履歴を参照し、過去に、目的地の候補及び統合目的地群を利用した頻度を算出する。
【0095】
そして、ステップS206において、制御装置10は、利用頻度の高い目的地の候補及び統合目的地群へ至る経路をナビゲーション装置200に算出させ、その経路情報をディスプレイ410に表示させる。これにより、ユーザは、自車両から予測された目的地の候補及び統合目的地群に至る経路を確認することができる。
【0096】
その後、ステップS207において、制御装置10は、走行が開始されたら自車位置の周囲の地図を表示させる。
【0097】
次にステップS209において、制御装置10は車両が駐停車したか否かを判断する。車両が駐停車したか否かは、車両コントローラ300の車速センサ310から取得した車速がゼロとなったか否かに基づいて判断する。また、シフトブレーキのオンオフにより判断してもよい。
【0098】
この駐停車のタイミングは、目的地の候補の予測結果が適当であったか否かを判断するための情報を取得するタイミングである。制御装置10は、ナビゲーション装置200に、この駐車タイミングにおける自車位置を取得し、この自車位置から目的地の候補に行く経路の長さ又は直線距離の長さを算出させ、それを記憶する。
【0099】
さらに、ステップS210において、制御装置10は、駐停車のタイミングから所定距離走行後又は所定時間経過後であるか否かを判断する。駐停車のタイミングから所定距離走行又は所定時間経過したら、ステップS211に進む。
【0100】
そして、ステップS211において、制御装置10は、ステップS209の駐停車タイミングにおける自車位置から目的地の候補に行く経路の長さ又は直線距離と、その後のステップS210の所定時間経過後のタイミングにおける自車位置から目的地の候補に行く経路の長さ又は直線距離とを比較し、後のタイミングにおける経路の長さ又は直線距離の方が、先のタイミングにおける経路の長さ又は直線距離よりも長い場合は、その目的地の候補は、車両の目的地ではないと判断する。つまり、時間の経過とともに距離が離隔する地点は目的地として適切ではないと判断する。
【0101】
続くステップS212において、制御装置10は、走行に伴い変化する現在の自車位置が表示される縮尺の地図において表示可能な目的地の候補、つまり自車位置から所定距離以内に存在する目的地の候補は、直ちに確認可能であるので、本処理における目的地の候補から外す。
【0102】
さらに、ステップS213において、制御装置10は、除外された目的地の候補がある場合は、予測された目的地の候補の次に利用頻度が高い登録地を、目的地の候補又は統合目的地群を候補として追加する。
【0103】
そして、ステップS214において、制御装置10は、自車位置が予測された目的地の候補又は統合目的地群に所定距離以内に接近したか否かを判断し、接近した場合はステップS215へ進み、接近しない場合はステップS209以降の処理を繰り返す。接近を観察する対象は、最も利用頻度が高い目的地の候補又は統合目的地群であってもよいし、予測された目的地の候補又は統合目的地群のうち、自車位置に最も近い地点であってもよい。
【0104】
さらに、ステップS215において、制御装置10は、自車位置と目的地の候補又は統合目的地群の位置情報及び経路案内を含む案内情報が重畳された地図情報を生成する。つまり、制御装置10は、自車位置と目的地の候補又は統合目的地群を一の画面に表示させるレイアウトが可能な縮尺の地図情報を生成する。具体的に、制御装置10は、ディスプレイ410に案内情報を表示させる際に、予測された目的地の候補又は統合目的地群と車両の自車位置とを、ディスプレイ410の外延に設定された所定領域内の位置に表示させる縮尺を指定して、地図情報を生成させる。
【0105】
続くステップS216において、制御装置10は、自車位置から予測された目的地の候補又は統合目的地群までの渋滞情報を、先に生成した地図情報にさらに重畳させる。制御装置10は、生成した地図情報をディスプレイ410に表示させる。ちなみに、渋滞情報は、ナビゲーション装置200のVICS202から取得する。
【0106】
以上のように構成され、作用する本実施形態の情報提供システム100は、以下の効果を奏する。
【0107】
本実施形態の情報提供システム100によれば、個別地点としての利用頻度は低いが、よく利用する地域に関する情報を提供することができる。
【0108】
すなわち、本実施形態の情報提供システム100は、自車位置に基づいて予測された目的地の候補間の距離が所定距離未満である場合は、これらの目的地の候補を統合して統合目的地群を設定し、走行履歴に基づいて算出された車両が目的地の候補を利用する頻度及び/又は車両が統合目的地群の何れかを利用する頻度が所定値以上の場合は、その目的地の候補に係る案内情報を表示させるため、近傍に存在する複数の目的地の候補が統合された統合目的地群の利用頻度に基づいて目的地を選択するため、個別地点としての利用頻度は低いが、統合目的地群としての利用頻度の高い目的地を選択できるので、よく利用する地域に関する情報を提供することができる。
【0109】
さらに、目的地の候補を統合することにより、経路探索などの処理コストを低減させることができる。
【0110】
また、本実施形態の情報提供システム100は、予測された目的地の候補を含む統合目的地群の何れかを利用する頻度が所定値以上の場合は、統合目的地群に対応する地域に係る案内情報を表示させるので、利用頻度の高い地域としての案内情報を提供することができる。
【0111】
また、本実施形態の情報提供システム100は、自車位置から統合目的地群に行く経路の長さが所定距離未満になった場合は、統合目的地群に含まれる各目的地の候補に係る案内情報を表示させるので、統合目的地群に接近し、ユーザが具体的な各目的地の候補の情報が知りたくなったタイミングで各目的地の候補の案内情報を表示するため、ユーザにとって必要な情報を適切なタイミングで提供することができる。
【0112】
また、本実施形態の情報提供システム100は、一のタイミングにおける自車位置から目的地の候補に行く経路の長さと、一のタイミングの後の他のタイミングにおける自車位置から目的地の候補に行く経路の長さとを比較し、他のタイミングにおける経路の長さの方が、一のタイミングにおける経路の長さよりも長い場合は、目的地の候補を車両の目的地ではないと判断するので、自車両が時間の経過とともに離隔する地点を誤って目的地と判断することを防止することができる。
【0113】
また、本実施形態の情報提供システム100は、一のタイミングにおける自車位置と目的地の候補との距離と、一のタイミングの後の他のタイミングにおける自車位置と目的地の候補との距離とを比較し、他のタイミングにおける距離が、一のタイミングにおける距離よりも長い場合は、目的地の候補を車両の目的地ではないと判断するので、自車両が時間の経過とともに離隔する地点を誤って目的地と判断することを防止することができる。
【0114】
さらに、一のタイミングにおける自車位置と目的地の候補との直線距離によって目的地の候補として適切であるか否かを判断することにより、経路の長さにより目的地の候補として適切であるか否かを判断するよりも処理コストを低減させることができる。
【0115】
また、本実施形態の情報提供システム100は、車両に搭載されたディスプレイ410に案内情報を表示させる際に、予測された目的地の候補のうち1つ以上の目的地の候補又は統合目的地群と車両の自車位置とを、ディスプレイの外延に設定された所定領域内の位置に表示させるので、ユーザが過去に利用したことのある目的地の候補又は統合目的地群を最大限表示することができ、自車位置と目的地の候補又は統合目的地群の間の経路情報を表示することができる。
【0116】
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0117】
すなわち、本明細書では、本発明に係る情報提供装置の一態様として情報提供システム100を例にして説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0118】
また、本明細書では、本発明に係る情報提供装置の一態様として、CPU11、ROM12、RAM13を含む制御装置10を備えた情報提供システム100を一例として説明するが、これに限定されるものではない。
【0119】
また、本明細書では、本願発明に係る自車位置取得手段と、目的地予測手段と、統合目的地設定手段と、頻度算出手段と、表示制御手段とを有する情報提供装置の一態様として、自車位置取得機能と、目的地予測機能と、統合目的地設定機能と、頻度算出機能と、表示制御機能とを実現する制御装置10とを備える情報提供システム100を例にして説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0120】
100…情報提供システム
10…制御装置
11…CPU
12…ROM
13…RAM
200…ナビゲーション装置
300…車両コントローラ
400…表示装置
410…ディスプレイ
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載され、車両の乗員に情報を提供する情報提供装置及び情報提供方法に関する。
【背景技術】
【0002】
運転者に情報を提供する情報提供装置に関し、利用頻度が所定閾値より大きい登録地点を目的地候補として選択し、この目的地候補への到着予定を算出して表示する技術が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−46913号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、個別地点ごとの利用頻度に基づいて目的地候補を選択するため、個別地点としての利用頻度が低い場合は、地域としての利用頻度が高くても目的地の候補として選択されず、よく利用する地域に関する情報が提供されないという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、自車位置に基づいて予測された目的地の候補間の距離が所定距離未満である場合は、これらの目的地の候補を統合して統合目的地群を設定し、走行履歴に基づいて算出された車両が目的地の候補を利用する頻度及び/又は車両が統合目的地群の何れかを利用する頻度が所定値以上の場合は、その目的地の候補に係る案内情報を表示させることにより上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、近傍に存在する複数の目的地の候補が統合された統合目的地群の利用頻度に基づいて目的地を選択するため、個別地点としての利用頻度は低いが、統合目的地群としての利用頻度の高い目的地を選択できるので、よく利用する地域に関する情報を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は、本実施形態の情報提供システム100を含む車載装置1000のブロック構成の一例を示す図である。
【図2】図2は、走行履歴を生成する際の、自車位置の特定手法を説明するための図であり、自車位置と登録地(出発地、目的地など)の位置関係を示す図である。
【図3】図3は、走行履歴の一例を示す図である。
【図4A】図4Aは、出発地が自宅であり、木曜の朝に出発する場合の走行履歴の一例を示す図である。
【図4B】図4Bは、登録地(目的地)の候補から利用頻度の低い登録地を削除する処理を説明するための図である。
【図4C】図4Cは、登録地(目的地)の候補を、利用頻度の高い順に並び変えた候補リストの一例を示す図である。
【図5】図5は、目的地を選択する手法の一例を説明するための図である。具体的に、一のタイミングにおける自車位置から目的地の候補に至る経路の長さと、一のタイミングの後の他のタイミングおける自車位置から目的地の候補に至る経路の長さとを比較して、その変化量に基づいて目的地を選択する処理の一例を説明するための図である。
【図6】図6は、目的地を選択する手法の一例を説明するための図である。具体的に、一のタイミングにおける自車位置と目的地の候補との距離と、一のタイミングの後の他のタイミングおける自車位置と目的地の候補との距離を比較して、その変化量に基づいて目的地を選択する処理の一例を説明するための図である。
【図7】図7は、目的地の候補と他の目的地の候補を統合して統合目的地群を設定する際の条件の一例を示す図である。
【図8】図8は、目的地の候補と他の目的地の候補を統合して統合目的地群を設定する手法を説明するための概念図である、
【図9】図9は、統合目的地群を設定した後に算出された各目的地の利用頻度のリストの一例を示す図である。
【図10】図10(a)は、図9の目的地に係る案内情報の一例を示す図であり、図10(b)は、図4Cの目的地に係る案内情報の一例を示す図である。
【図11】図11は、自車位置が統合目的地群の所定距離以内に接近した場合の案内情報の表示例を示す図である。
【図12A】図12Aは、目的地の候補を、利用頻度の高い順に並び変えた候補リストの一例を示す図である。
【図12B】図12Bは、図12Aの各目的地の利用頻度のリストに対し、統合目的地群を設定した後に算出された各目的地の利用頻度のリストの例を示す図である。
【図13】図13(a)は、図12Bの目的地の候補及び統合目的地群に係る案内情報の一例を示す図、図13(b)は、図12Aの目的地の候補に係る案内情報の一例を示す図である。
【図14】図14は、表示態様を変化させた場合の案内情報の表示例を示す図である。図14(a)は通常の表示態様を示す図、図14(b)は、目的地の候補と車両の自車位置とを、ディスプレイ410の外延に設定された所定領域内の位置に表示させた表示態様を示す図である。
【図15】図15は、登録地(目的地)が自車位置から所定距離以上に離隔している場合の案内情報の表示例を示す図である。
【図16】図16は、本実施形態の走行履歴の生成処理を説明するためのフローチャート図である。
【図17】図17は、本実施形態の目的地の候補又は統合目的地群に係る案内情報の表示処理を説明するためのフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本実施形態の情報提供システム100は、車両に搭載され、車両の乗員を目的地へ誘導するための情報を提供する装置である。
【0009】
図面に基づいて、本実施形態に係る情報提供システム100を含む車載装置1000について説明する。
【0010】
図1は、本実施形態の情報提供システム100を含む車載装置1000のブロック構成の一例を示す図である。
【0011】
図1に示すように、車載装置1000は、情報提供システム100と、ナビゲーション装置200と、車両コントローラ300と、表示装置400を備える、これらの装置はCAN(Controller Area Network)その他の車載LANによって接続され、相互に情報の授受を行う。
【0012】
また、図1に示すように、情報提供システム100は、制御装置10を有する。この制御装置10は、本実施形態に係る情報提供処理を実行するためのプログラムを格納したROM(Read Only Memory )12と、このROM12に格納されたプログラムを実行することで、情報提供システム100として機能する動作回路としてのCPU(Central Processing Unit)11と、アクセス可能な記憶装置として機能するRAM(Random Access Memory)13と、を備える。なお、動作回路としては、CPU(Central Processing Unit)11に代えて又はこれとともに、MPU(Micro Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などを用いることができる。
【0013】
次に、情報提供システム100の制御装置10が備える処理機能について説明する。制御装置10は、自車位置取得機能と、目的地予測機能と、統合目的地設定機能と、頻度算出機能と、表示制御機能とを有する。そして、各機能を実現するためのソフトウェアと、上述した制御装置10を含むハードウェアの協働により各機能を実行する。
【0014】
以下、上述した情報提供システム100の制御装置10が実現する機能についてそれぞれ説明する。
【0015】
まず、情報提供システム100の自車位置取得機能について説明する。
【0016】
制御装置10は、車両の経時的な現在位置を自車位置として、ナビゲーション装置200から経時的に取得する。この自車位置の情報は、後に走行履歴を生成する際、及び目的地の候補を予測する際に用いられる。ナビゲーション装置200は、GPS(Global Positioning System)201を備え、車両の自車位置(緯度・経度)を所定周期で検出し、制御装置10へ送出する。また、ナビゲーション装置200は、現在の自車位置から目的地又は目的地の候補に至る経路、目的地の候補となる地点の地図上の位置、目的地の候補となる施設の施設情報その他の目的地の候補に係る情報を提示する。また、ナビゲーション装置200は、必要に応じて、情報を、通信機能203を用いて外部から取得してもよい。
【0017】
また、制御装置10は、この自車位置に関し、緯度・経度に加えてその自車位置乃至自車位置近傍の登録名称(自宅、勤務先などのユーザの登録した名称、及び地図情報などにおいて登録された施設名などのPOI:Point Of Interestを含む。以下同じ)を取得する。この登録名称は、予めナビゲーション装置200の地図情報204に記憶されており、一の地点又は一の地点を含む領域の緯度・経度とその登録名称とが対応づけられている。
【0018】
そして、制御装置10は、自車位置の情報として、位置が略共通する登録地の登録名称を記憶する。具体的には、図2に示すように、自車位置の緯度・経度から所定距離以内(本例では500m以内)にある登録地の名称を自車位置の情報として記憶する。本実施形態の制御装置10は、所定時間以上の間隔をおいてイグニッションキーがオンされた場合、そのタイミングにおける自車位置の登録地を出発地として走行履歴に書き込む。また、本実施形態の制御装置10は、イグニッションキーがオンされた後に、イグニッションキーがオフされた場合、そのタイミングにおける自車位置の登録地を到着地(目的地)として走行履歴に書き込む。
【0019】
図3は、出発地、到着地(目的地)、出発時刻、曜日などの暦情報を含む走行履歴の一例を示す図である。なお、走行開始時にナビゲーション装置200において目的地が設定された場合は、車両の自車位置がその目的地に所定距離以内に接近した場合は、設定された目的地を到着地(目的地)として走行履歴に記録する。
【0020】
図3に例示する本実施形態の走行履歴によれば、出発地ごと、出発時刻ごと、曜日ごと、にユーザがどの到着地(目的地)へ行く頻度が高いかを分析することができる。
【0021】
制御装置10は、走行の度に走行履歴を取得し、これを走行履歴データメモリ20に記憶する。生成された走行履歴データメモリ20は、制御装置10の読み込みを許可し、次に説明する目的地候補の予測処理におけるデータベースとして機能する。なお、走行履歴は、ナビゲーション装置200が備える記憶装置に格納してもよい。
【0022】
次に、本実施形態の情報提供システム100の目的地予測機能について説明する。
【0023】
制御装置10は、先に説明した、過去に取得された自車位置に基づく出発地から目的地までの走行履歴を参照し、新たに取得された自車位置に基づいて、車両の目的地の候補を予測する。目的地の候補を予測する際の条件となる自車位置は、出発時における自車位置、つまり走行開始時における自車位置が好ましい。出発時又は走行開始時の判断は、車両コントローラ300から取得するイグニッションのオン情報に基づいて行われる。制御装置10は、イグニッションのオン情報の取得から所定時間以内に取得された自車位置に基づいて、目的地の候補を予測する。
【0024】
本実施形態の制御装置10は、車両の出発地、出発時間、曜日に応じて行く目的地が異なる傾向という傾向を利用し、自車両の出発地、曜日及び時刻に基づいて車両が行く目的地の候補を予測する。
【0025】
図4Aは、図3に例示した走行履歴から、出発地が自宅(登録地)であり、木曜の朝(9:00〜11:00)に出発する走行履歴を抽出した情報である。
【0026】
この処理において、制御装置10は、頻度が所定値未満の走行履歴を出発地などの条件に基づく抽出結果から削除する。図4Bに示すように、図4Aに示す抽出された走行履歴リストのうち、年2回、年1回という最下2行(薄墨を施した部分)の走行履歴は削除する。その結果、図4Cに示すように、頻度が上位から5番目までの走行履歴が抽出される。
【0027】
制御装置10は、この図4Cの走行履歴に基づいて、自宅から木曜の朝に出発する場合の目的地の候補は、登録地D、登録地C、登録地E、登録地A、及び登録地Bであると予測する。
【0028】
また、本実施形態の制御装置10は、走行開始後において、予測された目的地の候補が妥当であるか否かを判断し、その予測結果を修正する。
【0029】
本実施形態の制御装置10は、時間の経過に従い自車位置と目的地の候補が離隔している場合は、自車両はその目的地に向かっていないとして、目的地の候補から外す。
【0030】
具体的に、制御装置10は、走行履歴を参照し、過去の一のタイミングにおける自車位置から目的地の候補に行く経路の長さと、一のタイミングの後の他のタイミング(例えば現在)における自車位置から目的地の候補に行く経路の長さとを比較し、他のタイミングにおける経路の長さの方が、一のタイミングにおける経路の長さよりも長い場合は、目的地の候補を車両の目的地ではないと判断する。つまり、時間の経過に伴い、目的地の候補に至る経路の距離が長くなっている場合は、その目的地の候補は妥当ではないと判断する。この経路の長さを算出するタイミングは特に限定されないが、車両が一時的に停車したタイミング、出発から所定時間経過後など任意に設定することができる。
【0031】
図5に示すように、一のタイミングにおける自車位置から目的地(候補)Cまでの経路の距離501と、他のタイミングにおける自車位置から目的地(候補)Cまでの経路の距離502を比較し、後のタイミングである他のタイミングにおける自車位置から目的地(候補)Cまでの距離502の方が先の一のタイミングにおける自車位置から目的地(候補)Cまでの距離501よりも長い場合は、自車両は目的地(候補)Cから離隔していると判断し、目的地(候補)Cは目的地の候補から外す。
【0032】
なお、自車位置から目的地Cに至る経路の長さは、ナビゲーション装置200に算出させてもよい。ナビゲーション装置200は、自車位置と目的地Cの座標値(緯度・経度)に基づいて、地図情報204を参照し、自車位置からリンクを辿って最短の経路を探索し、そのリンク長の合計を経路の長さとして算出する。
【0033】
また、他の手法として、自車位置と目的地の候補との直線距離を用いて、目的地の候補の妥当性を判断することもできる。すなわち、制御装置10は、走行履歴を参照し、一のタイミングにおける自車位置と目的地の候補との距離と、一のタイミングの後の他のタイミングにおける自車位置と目的地の候補との距離とを比較し、他のタイミングにおける距離が、一のタイミングにおける距離よりも長い場合は、目的地の候補を車両の目的地ではないと判断する。
【0034】
図6に示すように、一のタイミングにおける自車位置と目的地(候補)Cの直線距離601と、他のタイミングにおける自車位置と目的地(候補)Cの直線距離602を比較し、後のタイミングである他のタイミングにおける距離602の方が先の一のタイミングにおける距離601よりも長い場合は、自車両は目的地(候補)Cから離隔していると判断し、目的地(候補)Cは目的地の候補から外す。
【0035】
なお、自車位置と目的地Cまでの距離は、ナビゲーション装置200に算出させてもよい。ナビゲーション装置200は、地図情報204を参照し、自車位置と目的地Cの座標値(緯度・経度)に基づいて、その距離を算出する。
【0036】
次に、本実施形態の情報提供システム100の統合目的地設定機能について説明する。
【0037】
制御装置10は、予測された目的地の候補間の距離が所定距離未満である場合は、複数の目的地の候補を統合して統合目的地群を設定する。制御装置10は、予め目的地の候補を統合する条件を定義する。図7は、統合目的地群を設定する際の条件の一例を示す図である。制御装置は、自車位置から10km以内に位置する目的地の候補については、目的地間の距離が1km以内である場合、自車位置から20km以内に位置する目的地の候補については、目的地間の距離が2km以内である場合、などのように、自車位置からの距離に応じた位置関係(相互の距離)に基づいて、その目的地を統合して統合目的地群を設定する。
【0038】
具体的に、図8に示すように、自車位置から10km以内に目的地(候補)Aが存在し、この目的地(候補)Aから1km以内の目的地(候補)Bが存在する場合は、目的地(候補)Aと目的地(候補)Bを統合し、統合目的地群Aを設定する。
【0039】
次に、本実施形態の情報提供システム100の頻度算出機能について説明する。
【0040】
制御装置10は、走行履歴に基づいて、車両が目的地の候補を利用する頻度及び/又は車両が統合目的地群を利用する頻度を算出する。制御装置10は、統合された目的地のそれぞれの頻度を加算し、統合目的地群を利用する頻度を算出する。
【0041】
図9は、統合目的地群を設定した後に算出された各目的地の利用頻度のリストの一例を示す図である。この図9は、先に説明した図4Cの走行履歴の利用頻度について、目的地(候補)Aと目的地(候補)Bの統合処理をした場合の利用頻度を示す図である。
【0042】
図9に示すように目的地(候補)Aと目的地(候補)Bは、統合されて目的地群Aとして扱われる。また、統合目的地群Aの頻度は、目的地(候補)Aの月3回と目的地(候補)Bの月2回とが加算されて、月5回と算出される。そして、統合目的地群Aの頻度は、月4回の目的地(候補)Eより高いので、目的地(候補)Eの前、目的地(候補)Dの次に並び変えられる。
【0043】
次に、本実施形態の情報提供システム100の表示制御機能について説明する。
【0044】
制御装置10は、予測された目的地の候補を利用する頻度又は予測された目的地の候補を含む統合目的地群の何れかを利用する頻度が所定値以上の場合は、目的地の候補に係る案内情報を表示させる。つまり、制御装置10は、予測されたもののうち、利用頻度の高い目的地の候補又は予測された目的地の候補を含む統合目的地群についての案内情報の表示を行う。
【0045】
本実施形態における案内情報は特に限定されず、目的地の候補又は統合目的地群の位置、目的地の候補又は統合目的地群の施設名、自車位置から目的地の候補又は統合目的地群に至るまでの経路及び経路上のPOI、これらと地図情報を重畳させた情報を含む。
【0046】
また、案内情報の表示にあたり、制御装置10は、目的地の候補に係る案内情報(統合目的地群に含まれる目的地の候補の案内情報を含む)を表示してもよいし、統合目的地群については、統合目的地群に対応する地域に係る案内情報を表示してもよい。
【0047】
さらに、制御装置10は、利用頻度の条件に加えて、一画面に表示する目的地の数に基づいて案内情報を表示する目的地の候補及び統合目的地群を選択してもよい。つまり、一画面に3つの目的地に係る案内情報を表示する場合は、利用頻度が最も高い目的地の候補及び統合目的地群から3番目までの目的地の候補及び統合目的地群に係る案内情報を表示する。
【0048】
さらにまた、制御装置10は、自車位置から統合目的地群に行く経路の長さが所定距離未満になった場合は、統合目的地群に含まれる各目的地の候補に係る案内情報を表示させる。
【0049】
図10に案内情報の表示例を示す。図10(a)は、図9のリストの挙げられた目的地に係る案内情報の一例を示す図であり、図10(b)は、図4Cのリストに挙げられた目的地に係る案内情報の一例を示す図である。本例では、利用頻度の高い順に3つの目的地に係る案内情報を表示する。
【0050】
近接する目的地の候補を統合しない場合は、図10(b)に示すように、利用頻度の高い順に目的地(候補)D、目的地(候補)C、目的地(候補)Eという3つの目的地(候補)に係る案内情報が表示されるが、目的地A、Bに係る案内情報は表示されない。一方、目的地の候補を統合すると、目的地(候補)A、目的地(候補)Bの利用頻度が加算された統合目的地群Aの利用頻度は、目的地(候補)Eの利用頻度よりも高い。このため、目的地(候補)Eではなく、統合目的地群Aに係る案内情報が表示される。
【0051】
このように、予測された目的地の候補を統合して、利用頻度を統合目的地群ごとに算出することにより、個別の目的地候補の利用回数は低いが、よく利用する地域についても目的地として予測されるので、その地域についての案内情報をユーザに提供することができる。
【0052】
ちなみに、目的地の候補の統合を行わないと、ユーザがスーパーと八百屋など店舗が近接している目的地(候補)の両方に高い頻度で行く場合、スーパーに先に行ったか、八百屋に先に行ったかという訪問の順序によって、走行履歴の利用頻度が分割されてカウントアップされるので、走行履歴の利用頻度だけをみると地域的には良く行くのに利用頻度が低くカウントされてしまい、目的地の候補とならないという場合がある。このような場合は、地域としては利用頻度が高いにもかかわらず、その地域についての案内情報をユーザに提供することがでない。
【0053】
また、図10(a)を表示した後、自車位置が統合目的地群Aに所定距離以上接近した場合、たとえば、が所定距離10kmとなった場合は、統合目的地群Aを目的地の候補A及び目的地の候補Bに分割して、それぞれの目的地の候補の位置と自車位置からの経路を表示する。
【0054】
図11は、自車位置が統合目的地群の所定距離以内に接近した場合の案内情報の表示例を示す図である。このように、統合目的地群に所定距離以内に接近した状況で、個別の目的地の候補に関する情報を表示することにより、ユーザが必要とする具体的な情報を提供することができる。
【0055】
また、別の例として、図12Aに示す、目的地の候補を、利用頻度の高い順に並び変えた候補リストがある場合の案内情報の表示手法について説明する。ここで、目的地1と目的地3の距離及び目的地4と目的地5の距離とが所定距離未満であり、統合の条件を満たす場合は、制御装置10は、目的地1と目的地3を統合して統合目的地群Aとし、目的地4と目的地5を統合して統合目的地群Bとする。
【0056】
図12Bは、統合処理を行った後の目的地の候補又は統合目的地群の利用頻度のリストである。
【0057】
そして、図13は、利用頻度の高い目的地の候補及び統合目的地群に係る案内情報の表示例である。本例では、一の画面に最大3つの目的地の候補及び統合目的地群を表示する。図13(a)は、図12Bの統合処理後の目的地の候補及び統合目的地群に係る案内情報の一例を示す図、図13(b)は、図12Aの目的地の候補に係る案内情報の一例を示す図である。
【0058】
図13(b)に示すように、統合処理を行わなかった場合は、利用頻度の高い順に目的地1、2、3のみに係る案内情報が表示される。すなわち、目的地3、4、及び5に係る案内情報は表示されない。他方、図13(a)に示すように、統合処理を行った場合は、目的地1と目的地3を統合して統合目的地群Aと目的地4と目的地5を統合して統合目的地群Bとに係る案内情報が表示されるため、実質的に目的地1〜5に係る案内情報を表示することができる。つまり、表示できないのは目的地6に係る案内情報のみである。
【0059】
また、統合処理を行うことにより、多くの目的地に係る案内情報を表示することができるので、より広い範囲の目的地に係る案内情報を表示することができる。すなわち、図13(a)に示すように統合処理を行ってから案内情報を表示する方が、図13(b)に示すように統合処理を行わないで案内情報を表示するよりも、広い範囲における目的地に係る案内情報を表示することができる。
【0060】
ちなみに、車を利用する場合、良く行く店は自宅から比較的近い場所に存在する傾向があり、自宅から所定距離以上離れた場所に存在する場合は、利用頻度が低下する傾向がある。自宅から比較的近い場所に存在する店が統合されることにより、自宅から遠いが次に利用頻度の高い目的地の候補に係る案内情報を表示することができる。
【0061】
また、案内情報を経路情報として利用する場合は、各目的地の地点が明確に区別されて表示されるよりも、ユーザが行く可能性の高い地域へ至る経路が分かる案内情報の方が、ユーザにとっては有益である。本実施形態によれば、個別の目的地の候補としては表示対象にならない利用頻度が低い目的地であっても、地域としての利用頻度が高ければ、案内情報を表示することができる。
【0062】
さらに、本実施形態において、制御装置10は、ユーザが設定している地図縮尺で経路情報を表示できる目的地は、目的地の候補から外す。通常の状態で画面表示されている目的地は、本処理の対象外とし、その代わりに、画面表示されない目的地の候補又は統合目的地群を表示する。
【0063】
また、制御装置10は、車両に搭載されたディスプレイ410に案内情報を表示させる際に、予測された目的地の候補のうち1つ以上の目的地の候補と車両の自車位置とを、ディスプレイ410の外延に設定された所定領域内の位置に表示させる。
【0064】
図14は、表示態様を変化させた場合の案内情報の表示例を示す図である。図14(a)は通常の表示態様を示す図、図14(b)は、目的地の候補又は統合目的地群と車両の自車位置とを、ディスプレイ410の外延に設定された所定領域内の位置に表示させた表示態様を示す図である。
【0065】
本実施形態の制御装置10は、図14(b)に示す例のように、自車位置と、目的地D及び統合目的地群Aとを、画面の外縁から所定距離以内の領域(薄墨を施した領域)に表示させるように案内情報とこの案内情報が重畳される地図情報の縮尺を変更させる命令を表示装置400へ送出する。
【0066】
これにより、図14(b)の表示態様によれば、図14(a)に示す表示態様よりも、自車位置、統合目的地群A及び目的地Dが表示される領域を拡大して示すので、ユーザが過去に利用したことのある目的地の候補又は統合目的地群を最大限表示することができ、自車位置と目的地の候補又は統合目的地群の間の経路情報を分かりやすく表示することができる。
【0067】
すなわち、本実施形態によれば、自車位置と目的地の候補又は統合目的地群の間を、できる限り(ディスプレイ410に表示できる限りにおいて)大きく見せる地図レイアウトに変更するため、ユーザの目的地となりうる地点及び地域に関する多くの情報を表示することができる。
【0068】
さらに、本実施形態の制御装置10は、自車位置と目的地の候補又は統合目的地群の間の渋滞情報を案内情報として表示させる命令を表示装置400に送出する。表示装置400は、ナビゲーション装置200のVICS(Vehicle Information and Communication System)から取得した渋滞情報を表示する。制御装置10は、渋滞情報を表示する際には、自車両の進行方向の走行路に関する渋滞情報のみを表示させる命令を表示装置400に送出してもよい。
【0069】
さらに、自車位置とともに自車の進行方向を示すことにより、自車位置と目的地の候補又は統合目的地群の位置関係を分かりやすく表示することができる。
【0070】
また、本実施形態の制御装置10は、自車位置と目的地の候補又は統合目的地群の間に存在するコンビニエンスストアやガソリンスタンドなどに関する情報を案内情報として表示させる命令を表示装置400に送出する。
【0071】
加えて、本実施形態の制御装置10は、自車位置と目的地の候補又は統合目的地群の間を、できる限り(ディスプレイ410に表示できる限りにおいて)大きく見せる地図レイアウトとする観点から、自車位置と目的地の候補又は統合目的地群の間の距離が所定距離以上(例えば50km)である場合は、その目的地の候補又は統合目的地群は除いて、所定の縮尺で地図情報を表示させる。この場合における所定の縮尺は、渋滞情報や経路案内が確認できる値とする。
【0072】
図15は、登録地(目的地)が自車位置から所定距離以上に離隔している場合の案内情報の表示例を示す図である。図15に示すように、目的地Xが自車位置から50km以上離隔している場合は、この目的地Xの地図上の位置がディスプレイ410の画面内に含まれるように縮尺を変更するのではなく、縮尺は所定の値として目的地Xの存在方向をディスプレイ410の外延領域に表示する。
【0073】
これにより、自車位置から遠く離れた目的地の候補が推測された場合に地図情報が過剰に縮小されて表示されることを防止することができる。
【0074】
続いて、図16及び図17のフローチャート図に基づいて、本実施形態の情報提供システム100の制御手順を説明する。図16は、本実施形態の走行履歴の生成処理を説明するためのフローチャート図であり、図17は、本実施形態の目的地の候補又は統合目的地群に係る案内情報の表示処理を説明するためのフローチャート図である。
【0075】
まず、走行履歴の生成処理について説明する。本処理は、後述する案内情報の表示処理と並行して実行させてもよいし、別のタイミングで実行させてもよい。また、別の装置、例えば携帯可能なPND(personal navigation device)に生成させてもよい。
【0076】
図16に示すように、ステップS101において、制御装置10は、車両コントローラ300から取得したイグニッションキーオンの信号に呼応して、ナビゲーション装置200から自車位置を取得する。自社位置としては、地図座標値(緯度・経度など)とその地図座標値から所定距離以内になる登録地の名称(登録地)を取得する。制御装置10は、この車両起動時における自車位置(地図座標値、登録地の名称)を出発地として定義し、走行履歴データメモリ20に格納する。
【0077】
続くステップS102において、制御装置10は、ユーザが、ナビゲーション装置200の備える目的地設定機能を用いて目的地を設定したか否かを判断する。つまり、制御装置10は、イグニッションキーオンから所定時間以内に目的地設定指令が入力されたか否かに基づいて、目的地が設定されたか否かを判断する。そして、目的地が設定された場合はステップS103へ進み、目的地が設定されない場合はS106へ進む。
【0078】
ステップS103において、制御装置10は、ナビゲーション装置200に、自車位置から入力された目的地までの経路を探索させ、その経路案内を開始させる。
【0079】
ステップS104において、制御装置10は、車両が目的地に到着するまで、経路案内を実行させる。制御装置10は、自車位置が目的地に接近し、両位置の距離が所定値未満となった場合に、自車両は目的地に到着したと判断する。目的地に到着したと判断した場合は、ステップS105へ進む。
【0080】
さらに、ステップS105において、制御装置10は、車両は到着した目的地を利用したと判断し、走行履歴におけるその目的地の利用回数をカウントアップし、ステップS110に進み処理を終了させる。
【0081】
ここでステップS102に戻り、目的地が設定されない場合の処理を説明する。
【0082】
ステップS106において、制御装置10は、車両が走行中であるか否かを観察する。走行が中断された場合はステップS107へ進む。
【0083】
ステップS107において、制御装置10は、車両コントローラ300からイグニッションオフの信号が取得されたた否かを判断する。イグニッションオフの信号を取得した場合は、ステップS108へ進む。
【0084】
続くステップS108において、制御装置10は、車両がイグニッションオフしたときの自車位置をナビゲーション装置200から取得する。本実施形態の制御装置10は、自車位置の周囲半径500km以内に登録地があるか否かを検索し、あればステップS109へ進み、なければステップS111へ進む。
【0085】
停車位置の近傍に登録地がある場合、ステップS109において、制御装置10は、車両は近傍の登録地を目的地として利用したと判断し、走行履歴におけるその目的地の利用回数をカウントアップし、ステップS110に進み処理を終了させる。
【0086】
他方、停車位置の近傍に登録地が無い場合、ステップS111において、制御装置10は、車両は到着位置(緯度・経度で示される地点、又は登録地以外の地点として示される地点)を目的地として利用したと判断し、走行履歴におけるその到着位置目的地の利用回数をカウントアップし、ステップS110に進み処理を終了させる。
【0087】
以上の処理により、イグニッションスイッチのオンオフ信号に基づいて、車両が、どこを出発し、その出発先から行った目的地、その目的地に行った曜日や時刻を走行履歴としてデータベース化することができる。
【0088】
続いて、図17に基づいて、本実施形態の目的地の候補又は統合目的地群に係る案内情報の表示処理を説明する。
【0089】
図17に示すように、ステップS201において、制御装置10は、
車両コントローラ300から取得したイグニッションキーオンの信号に呼応して、ナビゲーション装置200から自車位置を取得する。自社位置としては、地図座標値(緯度・経度など)とその地図座標値から所定距離以内になる登録地の名称(登録地)を取得する。
【0090】
続くステップS202において、制御装置10は、ユーザが、ナビゲーション装置200の備える目的地設定機能を用いて目的地を設定したか否かを判断する。つまり、制御装置10は、イグニッションキーオンから所定時間以内に目的地設定指令が入力されたか否かに基づいて、目的地が設定されたか否かを判断する。そして、目的地が設定された場合はステップS208へ進み、目的地が設定されない場合はS203へ進む。
【0091】
目的地が設定された場合は、ステップS208において、制御装置10は、自車位置から目的地への経路をナビゲーション装置200に算出させ、その経路情報をディスプレイ410に表示させる。また、この処理において、走行履歴の生成処理を並行して実行する場合には、図16の図16のステップS106以降の処理を実行する。
【0092】
他方、目的地が設定されなかった場合はステップS203へ進む。ステップS203において、制御装置10は、走行履歴の目的地(登録地)ごとの利用頻度を参照し、車両起動時の自車位置(出発地)に基づいて、目的地の候補を予測する。この予測処理においては、出発地に加えて、イグニッションオン信号を取得したときの時刻、曜日を予測の条件としてもよい。
【0093】
続くステップS204において、制御装置10は、予測された目的地の候補のうち、距離が所定距離未満の目的地の候補を統合し、統合目的地群を設定する。
【0094】
さらに、ステップS205において、制御装置10は、走行履歴を参照し、過去に、目的地の候補及び統合目的地群を利用した頻度を算出する。
【0095】
そして、ステップS206において、制御装置10は、利用頻度の高い目的地の候補及び統合目的地群へ至る経路をナビゲーション装置200に算出させ、その経路情報をディスプレイ410に表示させる。これにより、ユーザは、自車両から予測された目的地の候補及び統合目的地群に至る経路を確認することができる。
【0096】
その後、ステップS207において、制御装置10は、走行が開始されたら自車位置の周囲の地図を表示させる。
【0097】
次にステップS209において、制御装置10は車両が駐停車したか否かを判断する。車両が駐停車したか否かは、車両コントローラ300の車速センサ310から取得した車速がゼロとなったか否かに基づいて判断する。また、シフトブレーキのオンオフにより判断してもよい。
【0098】
この駐停車のタイミングは、目的地の候補の予測結果が適当であったか否かを判断するための情報を取得するタイミングである。制御装置10は、ナビゲーション装置200に、この駐車タイミングにおける自車位置を取得し、この自車位置から目的地の候補に行く経路の長さ又は直線距離の長さを算出させ、それを記憶する。
【0099】
さらに、ステップS210において、制御装置10は、駐停車のタイミングから所定距離走行後又は所定時間経過後であるか否かを判断する。駐停車のタイミングから所定距離走行又は所定時間経過したら、ステップS211に進む。
【0100】
そして、ステップS211において、制御装置10は、ステップS209の駐停車タイミングにおける自車位置から目的地の候補に行く経路の長さ又は直線距離と、その後のステップS210の所定時間経過後のタイミングにおける自車位置から目的地の候補に行く経路の長さ又は直線距離とを比較し、後のタイミングにおける経路の長さ又は直線距離の方が、先のタイミングにおける経路の長さ又は直線距離よりも長い場合は、その目的地の候補は、車両の目的地ではないと判断する。つまり、時間の経過とともに距離が離隔する地点は目的地として適切ではないと判断する。
【0101】
続くステップS212において、制御装置10は、走行に伴い変化する現在の自車位置が表示される縮尺の地図において表示可能な目的地の候補、つまり自車位置から所定距離以内に存在する目的地の候補は、直ちに確認可能であるので、本処理における目的地の候補から外す。
【0102】
さらに、ステップS213において、制御装置10は、除外された目的地の候補がある場合は、予測された目的地の候補の次に利用頻度が高い登録地を、目的地の候補又は統合目的地群を候補として追加する。
【0103】
そして、ステップS214において、制御装置10は、自車位置が予測された目的地の候補又は統合目的地群に所定距離以内に接近したか否かを判断し、接近した場合はステップS215へ進み、接近しない場合はステップS209以降の処理を繰り返す。接近を観察する対象は、最も利用頻度が高い目的地の候補又は統合目的地群であってもよいし、予測された目的地の候補又は統合目的地群のうち、自車位置に最も近い地点であってもよい。
【0104】
さらに、ステップS215において、制御装置10は、自車位置と目的地の候補又は統合目的地群の位置情報及び経路案内を含む案内情報が重畳された地図情報を生成する。つまり、制御装置10は、自車位置と目的地の候補又は統合目的地群を一の画面に表示させるレイアウトが可能な縮尺の地図情報を生成する。具体的に、制御装置10は、ディスプレイ410に案内情報を表示させる際に、予測された目的地の候補又は統合目的地群と車両の自車位置とを、ディスプレイ410の外延に設定された所定領域内の位置に表示させる縮尺を指定して、地図情報を生成させる。
【0105】
続くステップS216において、制御装置10は、自車位置から予測された目的地の候補又は統合目的地群までの渋滞情報を、先に生成した地図情報にさらに重畳させる。制御装置10は、生成した地図情報をディスプレイ410に表示させる。ちなみに、渋滞情報は、ナビゲーション装置200のVICS202から取得する。
【0106】
以上のように構成され、作用する本実施形態の情報提供システム100は、以下の効果を奏する。
【0107】
本実施形態の情報提供システム100によれば、個別地点としての利用頻度は低いが、よく利用する地域に関する情報を提供することができる。
【0108】
すなわち、本実施形態の情報提供システム100は、自車位置に基づいて予測された目的地の候補間の距離が所定距離未満である場合は、これらの目的地の候補を統合して統合目的地群を設定し、走行履歴に基づいて算出された車両が目的地の候補を利用する頻度及び/又は車両が統合目的地群の何れかを利用する頻度が所定値以上の場合は、その目的地の候補に係る案内情報を表示させるため、近傍に存在する複数の目的地の候補が統合された統合目的地群の利用頻度に基づいて目的地を選択するため、個別地点としての利用頻度は低いが、統合目的地群としての利用頻度の高い目的地を選択できるので、よく利用する地域に関する情報を提供することができる。
【0109】
さらに、目的地の候補を統合することにより、経路探索などの処理コストを低減させることができる。
【0110】
また、本実施形態の情報提供システム100は、予測された目的地の候補を含む統合目的地群の何れかを利用する頻度が所定値以上の場合は、統合目的地群に対応する地域に係る案内情報を表示させるので、利用頻度の高い地域としての案内情報を提供することができる。
【0111】
また、本実施形態の情報提供システム100は、自車位置から統合目的地群に行く経路の長さが所定距離未満になった場合は、統合目的地群に含まれる各目的地の候補に係る案内情報を表示させるので、統合目的地群に接近し、ユーザが具体的な各目的地の候補の情報が知りたくなったタイミングで各目的地の候補の案内情報を表示するため、ユーザにとって必要な情報を適切なタイミングで提供することができる。
【0112】
また、本実施形態の情報提供システム100は、一のタイミングにおける自車位置から目的地の候補に行く経路の長さと、一のタイミングの後の他のタイミングにおける自車位置から目的地の候補に行く経路の長さとを比較し、他のタイミングにおける経路の長さの方が、一のタイミングにおける経路の長さよりも長い場合は、目的地の候補を車両の目的地ではないと判断するので、自車両が時間の経過とともに離隔する地点を誤って目的地と判断することを防止することができる。
【0113】
また、本実施形態の情報提供システム100は、一のタイミングにおける自車位置と目的地の候補との距離と、一のタイミングの後の他のタイミングにおける自車位置と目的地の候補との距離とを比較し、他のタイミングにおける距離が、一のタイミングにおける距離よりも長い場合は、目的地の候補を車両の目的地ではないと判断するので、自車両が時間の経過とともに離隔する地点を誤って目的地と判断することを防止することができる。
【0114】
さらに、一のタイミングにおける自車位置と目的地の候補との直線距離によって目的地の候補として適切であるか否かを判断することにより、経路の長さにより目的地の候補として適切であるか否かを判断するよりも処理コストを低減させることができる。
【0115】
また、本実施形態の情報提供システム100は、車両に搭載されたディスプレイ410に案内情報を表示させる際に、予測された目的地の候補のうち1つ以上の目的地の候補又は統合目的地群と車両の自車位置とを、ディスプレイの外延に設定された所定領域内の位置に表示させるので、ユーザが過去に利用したことのある目的地の候補又は統合目的地群を最大限表示することができ、自車位置と目的地の候補又は統合目的地群の間の経路情報を表示することができる。
【0116】
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0117】
すなわち、本明細書では、本発明に係る情報提供装置の一態様として情報提供システム100を例にして説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0118】
また、本明細書では、本発明に係る情報提供装置の一態様として、CPU11、ROM12、RAM13を含む制御装置10を備えた情報提供システム100を一例として説明するが、これに限定されるものではない。
【0119】
また、本明細書では、本願発明に係る自車位置取得手段と、目的地予測手段と、統合目的地設定手段と、頻度算出手段と、表示制御手段とを有する情報提供装置の一態様として、自車位置取得機能と、目的地予測機能と、統合目的地設定機能と、頻度算出機能と、表示制御機能とを実現する制御装置10とを備える情報提供システム100を例にして説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0120】
100…情報提供システム
10…制御装置
11…CPU
12…ROM
13…RAM
200…ナビゲーション装置
300…車両コントローラ
400…表示装置
410…ディスプレイ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される情報提供装置であって、
前記車両の現在位置である自車位置を取得する自車位置取得手段と、
過去に取得された自車位置に基づく出発地と目的地を含む走行履歴を参照し、新たに取得された前記自車位置に基づいて、前記車両の目的地の候補を予測する目的地予測手段と、
前記予測された目的地の候補間の距離が所定距離未満である場合は、前記複数の目的地の候補を統合して統合目的地群を設定する統合目的地設定手段と、
前記走行履歴に基づいて、前記車両が目的地の候補を利用する頻度及び/又は前記車両が統合目的地群を利用する頻度を算出する頻度算出手段と、
前記予測された目的地の候補を利用する頻度又は前記予測された目的地の候補を含む統合目的地群の何れかを利用する頻度が所定値以上の場合は、前記目的地の候補に係る案内情報を表示させる表示制御手段と、を有する情報提供装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報提供装置において、
表示制御手段は、前記予測された目的地の候補を含む統合目的地群の何れかを利用する頻度が所定値以上の場合は、前記統合目的地群に対応する地域に係る案内情報を表示させる情報提供装置。
【請求項3】
請求項2に記載の情報提供装置において、
前記表示制御手段は、前記自車位置から前記統合目的地群に行く経路の長さが所定距離未満になった場合は、前記統合目的地群に含まれる各目的地の候補に係る案内情報を表示させる情報提供装置。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか一項に記載の情報提供装置において、
前記目的地予測手段は、走行履歴を参照し、一のタイミングにおける前記自車位置から目的地の候補に行く経路の長さと、一のタイミングの後の他のタイミングにおける前記自車位置から目的地の候補に行く経路の長さとを比較し、前記他のタイミングにおける前記経路の長さの方が、前記一のタイミングにおける前記経路の長さよりも長い場合は、前記目的地の候補を前記車両の目的地ではないと判断する情報提供装置。
【請求項5】
請求項1〜3の何れか一項に記載の情報提供装置において、
前記目的地予測手段は、走行履歴を参照し、一のタイミングにおける前記自車位置と目的地の候補との距離と、一のタイミングの後の他のタイミングにおける前記自車位置と目的地の候補との距離とを比較し、前記他のタイミングにおける前記距離が、前記一のタイミングにおける前記距離よりも長い場合は、前記目的地の候補を前記車両の目的地ではないと判断する情報提供装置。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか一項に記載の情報提供装置において、
前記表示制御手段は、前記車両に搭載されたディスプレイに案内情報を表示させる際に、前記目的地予測手段により予測された目的地の候補のうち1つ以上の目的地の候補又は統合目的地群と前記車両の自車位置とを、前記ディスプレイの外延に設定された所定領域内の位置に表示させる情報提供装置。
【請求項7】
車両の過去の走行における出発地と目的地を含む走行履歴を参照し、新たに取得された前記車両の自車位置に基づいて、前記車両の目的地の候補を予測し、
前記予測された目的地の候補間の距離が所定距離未満である場合は、前記複数の目的地の候補を統合して統合目的地群を設定し、
前記記憶された走行履歴に基づいて、前記車両が目的地の候補を利用する頻度及び/又は前記車両が統合目的地群を利用する頻度を算出し、
前記予測された目的地の候補を利用する頻度又は前記予測された目的地の候補を含む統合目的地群の何れかを利用する頻度が所定値以上の場合は、前記目的地の候補に係る案内情報を表示させる情報提供方法。
【請求項1】
車両に搭載される情報提供装置であって、
前記車両の現在位置である自車位置を取得する自車位置取得手段と、
過去に取得された自車位置に基づく出発地と目的地を含む走行履歴を参照し、新たに取得された前記自車位置に基づいて、前記車両の目的地の候補を予測する目的地予測手段と、
前記予測された目的地の候補間の距離が所定距離未満である場合は、前記複数の目的地の候補を統合して統合目的地群を設定する統合目的地設定手段と、
前記走行履歴に基づいて、前記車両が目的地の候補を利用する頻度及び/又は前記車両が統合目的地群を利用する頻度を算出する頻度算出手段と、
前記予測された目的地の候補を利用する頻度又は前記予測された目的地の候補を含む統合目的地群の何れかを利用する頻度が所定値以上の場合は、前記目的地の候補に係る案内情報を表示させる表示制御手段と、を有する情報提供装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報提供装置において、
表示制御手段は、前記予測された目的地の候補を含む統合目的地群の何れかを利用する頻度が所定値以上の場合は、前記統合目的地群に対応する地域に係る案内情報を表示させる情報提供装置。
【請求項3】
請求項2に記載の情報提供装置において、
前記表示制御手段は、前記自車位置から前記統合目的地群に行く経路の長さが所定距離未満になった場合は、前記統合目的地群に含まれる各目的地の候補に係る案内情報を表示させる情報提供装置。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか一項に記載の情報提供装置において、
前記目的地予測手段は、走行履歴を参照し、一のタイミングにおける前記自車位置から目的地の候補に行く経路の長さと、一のタイミングの後の他のタイミングにおける前記自車位置から目的地の候補に行く経路の長さとを比較し、前記他のタイミングにおける前記経路の長さの方が、前記一のタイミングにおける前記経路の長さよりも長い場合は、前記目的地の候補を前記車両の目的地ではないと判断する情報提供装置。
【請求項5】
請求項1〜3の何れか一項に記載の情報提供装置において、
前記目的地予測手段は、走行履歴を参照し、一のタイミングにおける前記自車位置と目的地の候補との距離と、一のタイミングの後の他のタイミングにおける前記自車位置と目的地の候補との距離とを比較し、前記他のタイミングにおける前記距離が、前記一のタイミングにおける前記距離よりも長い場合は、前記目的地の候補を前記車両の目的地ではないと判断する情報提供装置。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか一項に記載の情報提供装置において、
前記表示制御手段は、前記車両に搭載されたディスプレイに案内情報を表示させる際に、前記目的地予測手段により予測された目的地の候補のうち1つ以上の目的地の候補又は統合目的地群と前記車両の自車位置とを、前記ディスプレイの外延に設定された所定領域内の位置に表示させる情報提供装置。
【請求項7】
車両の過去の走行における出発地と目的地を含む走行履歴を参照し、新たに取得された前記車両の自車位置に基づいて、前記車両の目的地の候補を予測し、
前記予測された目的地の候補間の距離が所定距離未満である場合は、前記複数の目的地の候補を統合して統合目的地群を設定し、
前記記憶された走行履歴に基づいて、前記車両が目的地の候補を利用する頻度及び/又は前記車両が統合目的地群を利用する頻度を算出し、
前記予測された目的地の候補を利用する頻度又は前記予測された目的地の候補を含む統合目的地群の何れかを利用する頻度が所定値以上の場合は、前記目的地の候補に係る案内情報を表示させる情報提供方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2010−230624(P2010−230624A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−81200(P2009−81200)
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
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