説明

情報管理装置、動作制御方法、動作制御プログラム及び記録媒体

【課題】ユーザの個人情報を管理する個人情報管理環境を用い、携帯環境下でもユーザの行動環境に即した柔軟な動作モードの切り替え制御を実現することのできる情報管理装置、動作制御方法、動作制御プログラム及び記録媒体を提供する。
【解決手段】PIMソフトなどの個人情報管理ツールからPIMデータを取得し(S101)、該PIMデータからキーワードを抽出する(S102)。そして、取得キーワードに対応する属性情報を取得し(S103)、該属性情報を用いて着信モードを推論し(S104)、遷移データを作成する(S105)。そして、該遷移データで指定される遷移タイミングにおいて、着信モードを遷移データが指定する着信モードに切り替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報管理装置、動作制御方法、動作制御プログラム及び記録媒体に関し、特に、携帯可能であって、ユーザの個人情報に応じて動作モードの切り替え制御を行う情報管理装置、動作制御方法、動作制御プログラム及び記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、携帯電話やモバイルPC(ノートパソコン)など、携帯可能な端末装置が広く普及してきている。これらの端末装置は携帯可能であるゆえ、ユーザは該端末装置を自由な場所で使用することができる。よって、このような端末装置の利便性、融通性は高いと言える。
【0003】
しかし、これらの端末装置において、該端末装置の置かれている状況次第によっては、所定の動作が好ましくない場合がある。例えば、端末装置として携帯端末(携帯電話)を例にあげて説明すると、会議中などの状況下において、電話着信時(メール着信時)に着信音が生じるのは好ましくない。
【0004】
もちろん、これらの動作の切り替え(上記の例で言えば着信音を鳴らすか鳴らさないかの切り替え)は、ユーザの手動で切り替えることができる。しかし、ユーザ手動による所定状況下での切り替えでは、その都度その都度切り替えを行うので手間がかかる、ユーザが該切り替えを忘れてしまうと切り替えがなされない、予めスケジュール立てされている状況での動作切り替えを前もって入力することができない、といったデメリットがある。
【0005】
上記のようなデメリットを回避するためには、例えば、個人情報としてのユーザスケジュールに対応させて、動作制御の切り替えを行うようにすればよい。この点に関して提案された発明としては、次のものが知られている。
【0006】
特許文献1記載では、ユーザのスケジュールをキーワードとして保持する活動時間帯テーブルと、該テーブルのキーワードに対応した動作モードを定義する状況テーブルと、を有し、携帯電話のシステム時間に対応する活動時間帯テーブルおよび状況テーブルとを参照して動作モードを切り替える携帯電話が提案されている(図13参照)。
【特許文献1】特開2005−192176号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記の技術は以下の問題を有している。
【0008】
特許文献1に記載の携帯電話においては、ユーザ自らが、該当する活動時間帯テーブルに、対応するキーワードを入力する必要がある。また、活動時間帯テーブルに入力するキーワードは事前に定義されたもののみであり、柔軟な記述をすることができない。
【0009】
また、該携帯電話においては、状況テーブルは、漠然としたイベント・動作(睡眠・会議など)のみに対応させて切り替え動作を定義しているが、動作切り替えのファクターとしては「誰と」や「どこで」といったファクターも重要であるので、これらも考慮に入れて切り替えを行うのが好ましい。
【0010】
また、特許文献1記載の携帯電話においては、PIMアプリ等の個人情報管理ソフトを入力手段に用いることはかかれているが、あくまで活動時間帯テーブル作成のためのインターフェースとして利用している。該公報によれば、表入力可能なものであればいずれのアプリでも良いとしているので(なお、該公報では表計算ソフトを例に挙げている)、PIMアプリを用いる必然性はない。
【0011】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、ユーザの個人情報を管理する個人情報管理環境を用い、携帯環境下でもユーザの行動環境に即した柔軟な動作モードの切り替え制御を実現することのできる情報管理装置、動作制御方法、動作制御プログラム及び記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1記載の発明は、複数の動作モードを有し、選択されている前記動作モードに従って動作制御を行う情報管理装置であって、ユーザの個人情報を管理する個人情報管理手段と、前記個人情報からキーワードを検出するキーワード検出手段と、キーワードと属性情報とを対応させて格納する属性情報格納手段と、前記キーワード検出手段により検出したキーワードに対応する属性情報を取得し、該属性情報から動作モードを推論する推論手段と、を有し、前記個人情報の入力・更新がなされると、前記キーワード検出手段による該個人情報のキーワードの検出、前記推論手段による動作モードの推論を実行し、該推論された動作モードに切り替えて動作制御を行うことを特徴とする。
【0013】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の情報管理装置において、前記個人情報管理手段が管理する個人情報と、前記推論手段により推論された動作モードと、から、動作モード切替のタイミング及び切替後の動作モードを定義する遷移データを作成する遷移データ作成手段をさらに有し、該遷移データに基づいて動作制御を行うことを特徴とする。
【0014】
請求項3記載の発明は、請求項1または2に記載の情報管理装置において、前記推論手段により推論された動作モードに従った動作制御中に該動作モードと異なる動作モードが入力されると、該選択入力された動作モードを優先して自装置の動作モードに設定し動作制御を行うことを特徴とする。
【0015】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の情報管理装置において、前記推論手段により推論された動作モードに従った動作制御中に該動作モードと異なる動作モードが入力されると、該推論の基礎となったキーワードの属性情報を変更し、該変更を前記属性情報格納手段に反映させることを特徴とする。
【0016】
請求項5記載の発明は、請求項3記載の情報管理装置において、前記推論手段により推論された動作モードに従った動作制御中に、該動作モードと異なる動作モードが入力された場合には、前記推論手段の推論判定パラメータを変更することを特徴とする。
【0017】
請求項6記載の発明は、請求項1から5のいずれか1項に記載の情報管理装置において、前記推論手段により推論された動作モードに切り替えた際に、その旨を外部に報知する報知手段を有することを特徴とする。
【0018】
請求項7記載の発明は、複数の動作モードを有し、選択されている前記動作モードに従って動作制御を行う情報管理装置における動作制御方法であって、個人情報管理部が管理する個人情報の入力・更新がなされた際に、該個人情報からキーワードを検出するキーワード検出工程と、キーワードと属性情報とを対応させて格納する属性情報格納部を参照して、前記キーワード検出工程において検出したキーワードに対応する属性情報を取得し、該属性情報から動作モードを推論する推論工程と、前記推論工程により推論された動作モードに切り替えて動作制御を行う動作制御切替工程と、を有することを特徴とする。
【0019】
請求項8記載の発明は、請求項7記載の動作制御方法において、前記個人情報管理部が管理する個人情報と、前記推論工程により推論された動作モードと、から、動作モード切替のタイミング及び切替後の動作モードを定義する遷移データを作成する遷移データ作成工程をさらに有し、前記動作制御切替工程は、該遷移データに基づいて動作制御を行うことを特徴とする。
【0020】
請求項9記載の発明は、請求項7または8に記載の動作制御方法において、前記推論工程により推論された動作モードに従った動作制御中に該動作モードと異なる動作モードが入力されると、該選択入力された動作モードを優先して自装置の動作モードに設定し動作制御を行うことを特徴とする。
【0021】
請求項10記載の発明は、請求項9記載の動作制御方法において、前記推論工程により推論された動作モードに従った動作制御中に該動作モードと異なる動作モードが入力されると、該推論の基礎となったキーワードの属性情報を変更し、該変更を前記属性情報格納部に反映させる属性情報更新工程をさらに有することを特徴とする。
【0022】
請求項11記載の発明は、請求項9記載の動作制御方法において、前記推論工程により推論された動作モードに従った動作制御中に、該動作モードと異なる動作モードが入力された場合に、前記推論工程で用いる推論判定パラメータを変更するパラメータ変更工程をさらに有することを特徴とする。
【0023】
請求項12記載の発明は、請求項7から11のいずれか1項に記載の動作制御方法において、前記推論工程により推論された動作モードに切り替えた際に、その旨を外部に報知する報知工程をさらに有することを特徴とする。
【0024】
請求項13記載の発明は、複数の動作モードを有し、選択されている前記動作モードに従って動作制御を行う情報管理装置に実行させる動作制御プログラムであって、個人情報管理部が管理する個人情報の入力・更新がなされた際に、該個人情報からキーワードを検出するキーワード検出処理と、キーワードと属性情報とを対応させて格納する属性情報格納部を参照して、前記キーワード検出処理において検出したキーワードに対応する属性情報を取得し、該属性情報から動作モードを推論する推論処理と、前記推論処理により推論された動作モードに切り替えて動作制御を行う動作制御切替処理と、を情報管理装置に実行させることを特徴とする。
【0025】
請求項14記載の発明は、請求項13記載の動作制御プログラムにおいて、前記個人情報管理部が管理する個人情報と、前記推論処理により推論された動作モードと、から、動作モード切替のタイミング及び切替後の動作モードを定義する遷移データを作成する遷移データ作成処理をさらに実行させ、前記動作制御切替処理には、該遷移データに基づいた動作制御を行わせることを特徴とする。
【0026】
請求項15記載の発明は、請求項13または14に記載の動作制御プログラムにおいて、前記推論処理により推論された動作モードに従った動作制御中に、該動作モードと異なる動作モードが入力された場合には、該選択入力された動作モードを優先して自装置の動作モードに設定して動作制御を行わせることを特徴とする。
【0027】
請求項16記載の発明は、請求項15記載の動作制御プログラムにおいて、前記推論処理により推論された動作モードに従った動作制御中に該動作モードと異なる動作モードが入力されると、該推論の基礎となったキーワードの属性情報を変更し、該変更を前記属性情報格納部に反映させる属性情報更新処理をさらに情報管理装置に実行させることを特徴とする。
【0028】
請求項17記載の発明は、請求項15記載の動作制御プログラムにおいて、前記推論処理により推論された動作モードに従った動作制御中に該動作モードと異なる動作モードが入力されると、前記推論処理で用いる推論判定パラメータを変更するパラメータ変更処理をさらに情報管理装置に実行させることを特徴とする。
【0029】
請求項18記載の発明は、請求項13から17のいずれか1項に記載の動作制御プログラムにおいて、前記推論処理により推論された動作モードに切り替えた際に、その旨を外部に報知する報知処理をさらに情報管理装置に実行させることを特徴とする。
【0030】
請求項19記載の発明は、情報管理装置が読み取り可能な記録媒体であって、請求項13から18のいずれか1項に記載の動作制御プログラムを記録したことを特徴とする記録媒体である。
【発明の効果】
【0031】
本発明により、ユーザの個人情報の管理環境を参照することで、ユーザの行動環境に即した動作モードへの切り替え制御を行うので、携帯環境下でもユーザの行動環境に即した柔軟な動作モードへの切り替えを行うことのできる情報管理装置が実現可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明の情報管理装置について、実施の形態に即して詳細に説明する。
【0033】
<第1の実施形態>
本発明の第1の実施形態に係る情報管理装置について説明する。
【0034】
なお、本発明が予定する情報管理装置としては、携帯端末(携帯電話)、モバイルPC、デジタルカメラ、PDA(Personal Digital Assistant)などの携帯可能な端末が挙げられるが、以下の実施形態の説明では、特に、携帯端末をベースとして説明する。
【0035】
<携帯端末/外部構成>
まず、図1を参照して、本実施形態の携帯端末10の外部構成について説明する。
【0036】
本実施形態の携帯端末10は、上部筐体11と、下部筐体12と、がヒンジ部13により機械的に接続されるいわゆる『折り畳み型携帯端末』であり、液晶ディスプレイ14と、受話口15と、送話口16と、入力キー群17と、アンテナ18と、カメラ装置19と、着信スピーカ20と、バッテリ21と、を有して構成される。
【0037】
液晶ディスプレイ14は、上部筐体11の表面に設けられた表示装置であり、待ち受け画面や現在の端末状態、メッセージ、後述するスケジュール管理画面を表示する。
【0038】
受話口15は、上部筐体11の表面上側に設けられたスピーカであり、通話相手の声を出力する。送話口16は、下部筐体12の表面下側に設けられたマイクであり、通話時のユーザの声を受け付ける。
【0039】
入力キー群17は、下部筐体12の表面に設けられた入力キーの集合体であり、携帯端末10へのキー入力、コマンド入力を受け付ける。アンテナ18は、無線通信網を介した無線通信を可能とするためのアンテナであり、上部筐体11の上面に設けられている。
【0040】
カメラ装置19は、上部筐体11の裏面に設けられた撮影装置である。カメラ装置19は、CCD(Charge Coupled Device/電荷結合素子)やレンズ、フォトライト等からなり、静止画像や動画像の撮影を行う。
【0041】
着信スピーカ20は、上部筐体11の裏面に設けられた音声出力装置であり、着信時の着信音や各種アラーム音を出力する。バッテリ21は、下部筐体12の裏面に設けられた充電可能な蓄電池であり、携帯端末装置10の動力源である。
【0042】
<携帯端末/内部構成>
次に、図2を参照して、本実施形態の携帯端末10の内部構成について説明する。
【0043】
本実施形態の携帯端末10は、中央制御部30と、クロックタイマ31と、無線通信部32と、通話制御部33と、キー入力検出部34と、液晶制御部35と、カメラ装置制御部36と、音声録音制御部37と、着信スピーカ制御部38と、バイブレータ制御部39と、モード切替部40と、を有して構成される。
【0044】
中央制御部30は、携帯端末10の各部の全体的な制御を行う。
【0045】
なお、中央制御部30は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などから構成される。CPUは、ROMに記憶されているプログラムをRAMに展開し、該展開されたプログラムに従って、データ処理や演算処理などの各種処理を実行する。ROMは、不揮発性メモリであり、CPUが各種演算や制御を行うための各種プログラム、データ、パラメータ等を格納する。RAMは、プログラムやデータの書き込みが自在に行うことのできるメモリであり、CPUが各種の処理を実行する上で必要なワーキングエリアを提供する。
【0046】
クロックタイマ31は、携帯端末10内の時間を秒単位でカウントする。また、設定された時点からの時間を秒単位でカウントすることで現在の時刻(携帯端末10内のシステム時間)を保持する。
【0047】
無線通信部32は、携帯端末10の無線通信、データ通信を実行制御する。通話制御部33は、送話口16から入力されたユーザの声を電気信号に変換する変換処理や、送られてきた相手方の音声信号を変換し受話口15から出力する出力処理を行う。
【0048】
キー入力検出部34は、ユーザが入力キー群17を介して入力したキー操作・コマンドを検出する。
【0049】
液晶制御部35は、液晶ディスプレイ14に表示する画面やメッセージの表示制御を行う。また、カメラ装置制御部38は、カメラ装置19による撮影処理の制御を行う。
【0050】
音声録音制御部37は、不在着信時の応答として行う音声録音(メモリ録音)の実行制御を行う。着信スピーカ制御部38は、着信スピーカ20による着信音や各種アラーム音の出力制御を行う。また、バイブレータ制御部39は、偏心モータとおもりからなるバイブレータを制御し、着信などがあった際に振動を発生させる。なお、これらの各制御部における着信の際の動作制御は、設定されている着信モードに応じて決定される。
【0051】
モード切替部40は、イベントに応じて携帯端末10の着信モードの切り替え制御を行う。なお、『着信モード』とは、電話着信時やメール着信時などの着信動作のモードのことである。着信モードとしては、例えば、バイブ機能や音声録音を機能させずに着信音を出力するモード(以下、通常モード)や、着信音を出力させずにバイブ機能や音声録音を機能させるモード(以下、マナーモード)がある。
【0052】
着信モードの切り替えは、切替後の着信モードを、音声録音制御部37、着信スピーカ制御部38、バイブレータ制御部39に通知することで行う。これにより、音声録音制御部37、着信スピーカ制御部38、バイブレータ制御部39は、通知された着信モードに対応する着信動作を行うように、音声録音機能や着信スピーカ20、バイブレータを制御することになる。
【0053】
なお、各着信モードの動作設定(着信音の有無/バイブの有無/音声録音の有無など)についてはユーザの任意による設定が可能である。該設定は、入力キー群17から選択入力することで行われる。
【0054】
<モード切替部>
次に、図3を参照して、モード切替部40の構成について詳述する。
【0055】
モード切替部40は、モード切替制御部41と、個人情報管理部42と、キーワード検出部43と、キーワード属性格納部44と、推論部45と、遷移データ格納部46と、を有して構成される。
【0056】
モード切替制御部41は、モード切替部40の各部の全体制御を行う。また、後述する遷移データの作成や、該遷移データに基づいた着信モードの切り替え制御を行う。
【0057】
個人情報管理部42は、スケジュールやアドレスデータ、メールデータなどの個人情報を管理する。具体的には、PIM(Personal Information Manager)と呼ばれる管理ソフトを用いて、個人情報を管理する。
【0058】
図4は、携帯端末10の液晶ディスプレイ14に表示されるスケジュール管理画面を示す。図4は2005年3月のスケジュール画面であり、7日、17日、23日にユーザの予定が入力されている。画面下部には現在選択されている17日の予定が記載されており、13時から17時の間、Aさんと会議を行う旨が記載されている。
【0059】
キーワード検出部43は、上述の個人情報の中から特定のキーワード(単語)を抽出する。なお、キーワード検出部43によるキーワード検出の方式としては、例えば、形態素解析の方式を用いる。形態素解析とは、日本語文章の文節、品詞、接続関係などを解析する技術であり、スペースなどの区切りのない日本語文章を単語に分け、品詞などの語彙情報を取り出すものである。
【0060】
図4のスケジュール管理画面を参照して具体的に説明すると、画面下部の件名の部分について、形態素解析によりキーワードを検出する。『Aさんと会議』は、「Aさん」「と」「会議」の単語に分けられて抽出される。
【0061】
キーワード属性格納部44は、キーワードの属性情報をデータベースとして格納する。図5は、キーワード属性格納部44に保持されるデータベースを示す。図5では、各キーワードについて、『親密度』、『重要性』、『公共性』の属性を数値化して保持している。
【0062】
なお、『親密度』は、ユーザとの人間関係の親密さを数値化したものであり、『重要性』は、キーワードが示すイベントの重要性を数値化したものであり、『公共性』は、キーワードの示す場所としての公共性を数値化したものである。また、各属性とも、1.0に近いほどその度合いが高く、0.0に近いほどその度合いが低いものとなっている。
【0063】
なお、キーワードとなる単語は、製品製造時に予め登録されている。または、Web上のデータベースサーバから取得する。あるいは、携帯端末10の電話帳メモリに登録されている登録データから取得する。なお、電話帳メモリから取得した場合の属性情報(親密度)については、分類されるフォルダ(例えば、「家族」「知人・友人」「上司」)や、着信頻度、発信頻度などに応じて設定される。
【0064】
推論部45は、キーワード検出部43で検出されたキーワードとこれに対応する属性情報とから、携帯端末10の最適な着信モードを推論する。上記のスケジュールでいえば、「Aさん」と「会議」という単語に対応する属性情報を用いて、最適な着信モードを推論する。
【0065】
なお、推論部45は、ニューラルネットを用いて、適切な着信モードを推論する。なお、ニューラルネットとは、人間の脳の情報処理を工学的にモデル化した回路のことである。
【0066】
図6に、推論部45で用いるニューラルネットの構造を示す。図6は、ニューロンを層状に配置し、情報を一方向にのみ送り、フィードバック結合を持たない階層型ネットワーク構造となっている。
【0067】
図6のニューラルネットにおいて、yiは、以下の式により算出される。
【0068】
【数1】

【0069】
なお、上記の数式において、Pjは、入力の大きさ(属性の数値)を示し、Wijは、yiへの入力Pjに対する重み(結合荷重)を示す。また、cは、閾値を示す。また、出力関数fは、シグモイト関数である。また、属性要素が「親密度」、「重要性」、「公共性」の3要素のため、上記数式においてmの値は3である。
【0070】
図6に示すニューラルネットにおいては、最終的にM1とM2とが評価値として算出される。M1は、通常モードの評価値であり、M2は、マナーモードの評価値である。推論部45は、この評価値M1、M2を大小判別することで適切な着信モードを推論する。具体的には、両評価値を大小比較し、M1>M2ならば通常モードを適切な着信モードとして推論し、M1≦M2ならばマナーモードを適切な着信モードとして推論する。
【0071】
遷移データ格納部46は、所定の期間におけるモード切り替えの情報(遷移データ)を格納する。具体的には、推論部45で推論された着信モードの遷移タイミングについてのデータを分単位で格納する。なお、遷移タイミングは、スケジュール管理画面において入力される時間帯情報と同値である。
【0072】
例えば、図4の『Aさんと会議』についての着信モードの推論結果がマナーモードである場合には、Aさんとの会議が行われる3月17日の13時から17時の間、モード切り替えを行うという情報を保持する。
【0073】
図7に、遷移データ格納部46に格納される遷移データを示す。図7に示すように、基本的にはスケジュールで設定された時間帯である遷移タイミングについてのみ遷移データが生成されていれば良い。この場合、遷移データで指定される遷移タイミング以外のタイミングにおいては、デフォルトで設定されている着信モード(現状で着信モードとして設定されている着信モード)が優先設定される。
【0074】
<遷移データ作成フロー>
次に、図8を参照して、本実施形態の携帯端末10における遷移データの作成フローについて説明する。
【0075】
ユーザによりスケジュール管理画面にスケジュールが入力される、あるいはスケジュールが更新されるなどのイベントが発生すると、モード制御部40のモード切替制御部41は、該イベントをトリガとして、個人情報管理部42のPIMデータ(ここでは、スケジュールデータ)を取得する(ステップS101)。
【0076】
次に、キーワード検出部43により、取得したPIMデータの形態素解析を行い、該データ内のテキスト情報からキーワードを抽出する(ステップS102)。
【0077】
次に、モード切替制御部41は、抽出したキーワードがキーワード属性格納部44に格納されるデータベースに登録されているかを判別し、登録されている場合には、該キーワードに対応する属性情報を取得する(ステップS103)。
【0078】
上述の図4、図5の場合には、キーワードとして『Aさん』および『会議』がキーワードとして取得され、該キーワードの属性情報として「親密度=0.5」と「重要性=0.7」が取得されることになる。
【0079】
次に、モード切替制御部41は、キーワードから取得した属性情報を推論部45に送り、推論部45において着信モードの推論を行う(ステップS104)。
【0080】
具体的には、取得した属性情報を図6に示すようなニューラルネットに入力し、評価値を算出する。上記の例によれば、図6のP1に0.5が、P2に0.7が入力される。
【0081】
そして、該ニューラルネットにより算出された評価M1(通常モード評価値)と、M2(マナーモード評価値)と、を大小比較し、M1>M2ならば通常モードを適切な着信モードとして推論し、M1≦M2ならばマナーモードを適切な着信モードとして推論する。
【0082】
推論部45による適切な着信モードの推論後、モード切替制御部41は、推論結果およびスケジュールの時間帯情報を参照して遷移データを作成し、該遷移データを遷移データ格納部46に格納する(ステップS105)。
【0083】
<着信モード切り替えフロー>
次に、図9を参照して、本実施形態の携帯端末10における着信モードの切り替えフローについて説明する。
【0084】
モード切替部40のモード切替制御部41は、クロックタイマ31で保持される現在時刻と、遷移データ格納部46に保持される遷移データが指定する遷移タイミングと、を分単位で比較し、現在時刻が遷移タイミングで指定される時間幅に含まれるか否かを判定する(ステップS201)。なお、この比較処理は、分が進行した瞬間、すなわち各分の00秒時毎に行う。
【0085】
ステップS201の比較処理において、現在時刻が遷移タイミングで指定される時間幅に含まれない場合、すなわち遷移タイミングで指定される時間外である場合には(ステップS202/No)、ステップS201に戻り、分単位での比較処理を継続する。
【0086】
他方、ステップS201の比較処理において、現在時刻が遷移タイミングで指定される時間幅に含まれる場合、すなわち遷移タイミングで指定される時間内である場合には(ステップS202/Yes)、モード切替制御部41は、現状で設定されている着信モード(デフォルトで設定されている着信モード)と、遷移データで指定される着信モードと、が一致するか否かを比較判断する(ステップS203)。
【0087】
上述の比較判断において、現状の着信モードと遷移データで指定される着信モードが一致すると判断された場合には(ステップS203/Yes)、着信モードの切り替えを行う実益がないので(切替前と切替後で同一の着信モードとなるため)、以後の処理は実行せずにそのまま処理を抜ける。
【0088】
他方、現状の着信モードと遷移データで指定される着信モードとが一致しない場合には(ステップS203/No)、モード切替制御部41は、着信モードを遷移データで指定される着信モードに切り替える(ステップS204)。
【0089】
なお、着信モードの切り替えは、切替後の着信モードを、音声録音制御部37、着信スピーカ制御部38、バイブレータ制御部39に通知することで行う。これにより、音声録音制御部37、着信スピーカ制御部38、バイブレータ制御部39は、通知された着信モード(切替後の着信モード)に対応する着信動作を行うように、音声録音機能や着信スピーカ20、バイブレータを制御することになる。
【0090】
着信モードの切替後、モード切替部40のモード切替制御部41は、クロックタイマ31で保持される現在時刻と、遷移データ格納部46に保持される遷移データが指定する遷移タイミングと、を分単位で比較し、現在時刻が遷移タイミングで指定される時間幅に含まれるか否かを判定する(ステップS205)。なお、この比較処理もステップS201の比較処理と同様、分が進行した瞬間、すなわち各分の00秒時毎に行う。
【0091】
ステップS205の比較処理において、現在時刻が遷移タイミングで指定される時間幅に含まれる場合、すなわち遷移タイミングで指定される時間内である場合には(ステップS206/No)、ステップS205に戻り、分単位での比較処理を継続する。
【0092】
他方、ステップS205の比較処理において、現在時刻が遷移タイミングで指定される時間幅に含まれない場合、すなわち遷移タイミングで指定される時間を経過した場合には(ステップS206/Yes)、モード切替制御部41は、着信モードをデフォルトで設定されている着信モードに切り替え、処理を抜ける(ステップS207)。
【0093】
このように本実施形態の携帯端末10においては、ユーザの個人情報(PIMによるスケジュール)に基づいて遷移データを作成し、遷移データで指定されたタイミングにおいて、適切と推論された着信モードに切り替えるので、ユーザの行動環境に即した着信モードへの切り替えを実現することが可能となる。
【0094】
<第1の実施形態/効果>
本実施形態によれば、ユーザの個人情報の管理環境(上記実施形態ではPIMによるスケジュール管理)を参照することで、ユーザの行動環境に即した動作モード(上記実施形態では着信モード)への切り替え制御を行う情報管理装置(上記実施形態では携帯端末)を実現することが可能となる。
【0095】
<第1の実施形態/補足事項>
なお、上述の第1の実施形態において、遷移データで指定される着信モードへの切り替え動作を実行した際に(図9、S204)、遷移データで指定される着信モードの動作パラメータの少なくとも1つを用いて、着信モードの切り替えを実行したことをユーザに報知するようにしても良い。また、切り替えを実行した旨を、液晶ディスプレイ14で表示するようにしても良い。表示内容としては、例えば、「スケジュールに基づいて着信モードをマナーモードに切り替えました」などのコメントメッセージである。このように制御することにより、ユーザにモード切り替えの実行を報知することが可能となり、ユーザの利便性に資することが可能となる。
【0096】
また、遷移データで指定された時間を経過し、デフォルトの着信モードに切り替えた場合についても(図9、S207)、遷移データで指定される着信モードの動作パラメータの少なくとも1つを用いて、または、液晶ディスプレイ14で表示することで報知するようにしても良い。このように制御することにより、例えば、スケジュールが延長された場合などにおいて、ユーザにモードの再設定(マナーモードの延長設定など)を促すことが可能になるので、ユーザの利便性に資することが可能となる。
【0097】
なお、これらの着信モードの切り替えの報知は、モード切替部40のモード切替制御部41が、液晶制御部35、着信スピーカ制御部38、バイブレータ制御部39に指示を出すことで行う。
【0098】
また、上述の実施形態の携帯端末10においては、推論部45の推論結果によっては、ユーザの所望しない、すなわち適切でない着信モードが選択されることもありうる。このような場合を想定し、遷移タイミングにおけるモード切り替え中であっても、ユーザの手動にて携帯端末10の着信モードをユーザの所望する着信モードに優先的に切り替えられるようにするのが好ましい。このようにすれば、着信モードの設定についてユーザ本位となるので、ユーザに資することが可能となる。
【0099】
また、上述の実施形態においては、スケジュール管理画面で入力されたスケジュールに基づいて遷移データを作成しているが、これに限らず、例えば、送受信メールの内容からスケジュール関連情報を抽出し、該スケジュール関連情報に基づいて遷移データを作成するようにしても良い。
【0100】
また、上述の実施形態においては、キーワード属性格納部44が格納する属性情報のデータベースや推論部45が保持するパラメータ(Wijの値や閾値C等)などをインターネット上からダウンロードし取得・保持するが、これらを情報管理装置自体に保持させるのではなく、ネット上のサービスにアクセスすることで得るような形態であっても良い。さらに、PIM情報についても、Webサービス等のネット上で提供されているものを用いてもよく、また、遷移データをWebサービスとして取得する形態であってもよい。
【0101】
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態に係る情報管理装置について説明する。なお、本実施形態の説明においても、第1の実施形態の説明と同様、携帯端末をベースとして説明する。
【0102】
第1の実施形態の携帯端末10の場合、推論部45の推論結果によっては、ユーザの所望しない、すなわち適切でない着信モードが選択されることもありうる。
【0103】
そこで、本実施形態の携帯端末10においては、遷移タイミングにおけるモード切り替え中であっても、ユーザの手動にて携帯端末10の着信モードをユーザの所望する着信モードに優先的に切り替えられるようにし、且つ、該手動切り替えの情報に基づいて属性情報データベース内の該当キーワードの属性情報の値を微調整したり、該手動切り替えの情報とPIM情報とを教師データとして採用して推論部45内のニューラルネット内のパラメータを学習機能により変更したりすることで、推論部45が以降、ユーザに適した推論結果を導出するように制御する。
【0104】
以下、具体的に説明する。なお、本実施形態の携帯端末10の外部構成および内部構成については、第1の実施形態のものと同一であるので(図1、図2参照)、ここではその説明を省略する。
【0105】
<モード切替部>
図10を参照して、本実施形態の携帯端末10におけるモード切替部40の構成について詳述する。
【0106】
モード切替部40は、モード切替制御部41と、個人情報管理部42と、キーワード検出部43と、キーワード属性格納部44と、推論部45と、遷移データ格納部46と、学習部47と、を有して構成される。
【0107】
モード切替制御部41は、モード切替部40の各部の全体制御を行う。また、遷移データの作成や該遷移データに基づいた着信モードの切り替え制御を行う。個人情報管理部42は、PIMアプリソフトを用いて、スケジュールやアドレスデータ、メールデータなどの個人情報を管理する。
【0108】
キーワード検出部43は、上述の個人情報の中から特定のキーワード(単語)を抽出する。なお、キーワード検出部43によるキーワード検出の方式としては、第1の実施形態と同様、形態素解析の方式を用いる。
【0109】
キーワード属性格納部44は、キーワードの属性情報をデータベースとして格納する。なお、格納する属性データは、第1の実施形態のものと同様であるので(図5参照)、ここではその説明を省略する。
【0110】
推論部45は、キーワード検出部43で検出されたキーワードとこれに対応する属性情報とから、携帯端末10の最適な着信モードを推論する。なお、推論部45は、第1の実施形態と同様、ニューラルネットを用いて適切な着信モードを推論する(図6参照)。
【0111】
遷移データ格納部46は、所定の期間におけるモード切り替えの情報(遷移データ)を格納する。具体的には、推論部45で推論された着信モードの遷移タイミングについてのデータを分単位で格納する。なお、遷移データについても、第1の実施形態のものと同様であるので(図7参照)、ここではその説明を省略する。
【0112】
学習部47は、遷移データに基づいて実行された着信モードの切り替えに対し、ユーザ手動による着信モードの切り替えが入力された場合に作動し、該手動切り替えの情報に基づいた属性情報データベース内の該当キーワードの属性情報の微調整、あるいは、該手動切り替えの情報とPIM情報とを教師データとして採用して推論部45内のニューラルネット内のパラメータを学習機能により変更を行う。
【0113】
<学習機能>
学習機能について説明する。例えば、図4のような『3月17日の13時〜17時、Aさんと会議』とスケジュールが入力されると、該スケジュールについて、図7のような遷移データが作成される。該遷移データにより、3月17日の13時を迎えると携帯端末10の着信モードは、マナーモードに切り替えられることになる。
【0114】
このときに、ユーザ手動により着信モードが通常モードに切り替えられると、学習部47は、該キーワードによる推論部45の推論結果が通常モードと判定されるようにするために、教師データとしての出力値M1とM2についてM1>M2となるように取り得る値の最大値及び最小値をM1及びM2に与え(M1、M2の取り得る値が0〜1ならばM1=1.0、M2=0.0)、属性パラメータはそのままに、上記出力値になるように結合荷重Wijを再計算する。そして、該計算した結合荷重Wijをニューラルネットに代入する。これにより、以後の推論は、該再計算されたパラメータにより行われることになる。
【0115】
<学習フロー>
次に、図11を参照して、本実施形態の携帯端末10における学習フローについて説明する。
【0116】
着信モードを遷移データで指定される着信モードに切り替えた後(ステップS301)、ユーザの手動による着信モードの切り替え入力があった場合(ステップS302/Yes)、モード切替部40のモード切替制御部41は、ユーザにより入力された着信モードへの切り替え制御を行う(ステップS303)。
【0117】
そして、学習部47により、学習機能を実行し、パラメータの変更処理を行う(ステップS304)。なお、パラメータの変更処理とは、該手動切り替えの情報に基づいた属性情報データベース内の該当キーワードの属性情報の変更調整、あるいは、該手動切り替えの情報とPIM情報とを教師データとして採用した推論部45内のニューラルネットパラメータの変更処理のことである。
【0118】
なお、ユーザの手動による着信モードの切り替え入力がない場合には(ステップS302/No)、学習する要素、変更するパラメータがないゆえ、そのまま処理を抜ける。
【0119】
<第2の実施形態/効果>
本実施形態により、適切でない推論結果による動作モード(着信モード)が設定されても、ユーザがその都度手動で適切な動作モードを入力することにより適切な動作モードを学習するので、最終的にはユーザに適した推論結果を出力する情報管理装置(携帯端末)を実現することが可能となり、ユーザの利便性に資することができる。
【0120】
<第3の実施形態>
次に、本発明の第3の実施形態に係る情報管理装置について説明する。なお、本実施形態の説明においても、第1の実施形態、第2の実施形態の説明と同様、携帯端末をベースとして説明する。
【0121】
本実施形態では、第1の実施形態の携帯端末10において、機器内の所定の事象(イベント)をトリガとして、着信モードの切り替え処理を実行する。すなわち、第1の実施形態の携帯端末10のように、現在時刻と遷移タイミングとの比較処理を行い、現在時刻が遷移タイミングで指定される時間内になったときにモード切り替えを行う(図9参照)だけではなく、例えば、携帯端末10が、メールを受信したというシステムイベント情報をトリガとして、着信モードの切り替え制御を行う。なお、このシステムイベントの発生は、あらかじめ決められたタイミング(時間)に発生するわけではないので、該システムイベントの内容に対応する遷移データは予め生成するのではなく、システムイベントの発生に応じて随時生成される。
【0122】
以下、本実施形態の携帯端末10について説明する。なお、本実施形態の携帯端末10の外部構成、内部構成、モード切替部40は、第1の実施形態のものと同一であるので(図1〜3参照)、ここではその説明を省略する。
【0123】
<着信モード切り替えフロー>
図12を参照して、本実施形態の携帯端末10における着信モードの切り替えフローについて説明する。なお、以下のフローにおいては、システムイベントがメール受信である場合について説明する。
【0124】
携帯端末10がメールを受信すると(ステップS401)、モード切替部40のモード切替制御部41は、キーワード検出部43により、該メールの送り主および該メールの本文について形態素解析を行い、キーワードを抽出する(ステップS402)。
【0125】
次に、抽出したキーワードがキーワード属性格納部44に格納されるデータベースに登録されているかを判別し、登録されている場合には、該キーワードに対応する属性情報を取得する(ステップS403)。
【0126】
モード切替制御部41は、キーワードから取得した属性情報を推論部45に送り、推論部45において着信モードの推論を行う(ステップS404)。なお、着信モードの推論方法については、第1の実施形態と同様、ニューラルネットを用いて行うのでここではその説明を省略する。
【0127】
そして、モード切替制御部41は、着信モードをステップS404で推論された着信モードに切り替え、該着信モードで送られてきたメールの着信動作(メール受信動作)を行う(ステップS405、S406)。
【0128】
なお、着信モードは元々設定されていた着信モードを優先すべきであるので、推論された着信モードでの着信動作は該メールの着信動作のみで実行させ、該着信動作後には、推論された着信モードから元々設定されていた着信モード(デフォルトの着信モード)に切り替える(ステップS407)。
【0129】
具体的な場面を挙げて説明する。着信モードとしてマナーモードが選択されている場合において、『お父さんが倒れて入院した。』というメールを母から受け取った場合、モード切替部40のモード切替制御部41は、キーワード検出部43により、該メールの送り主および該メールの本文を形態素解析することでキーワードを抽出し、キーワード属性格納部44の属性情報データベースから該キーワードの属性情報を取得する。
【0130】
そして、該属性情報に基づいて、推論部45で適切な着信モードを推論する。ここで、着信モードとして通常モードが推論された場合には、着信モードを通常モードに切り替えて該メールの着信動作を行う。該メールの着信動作の終了後には、着信モードを元々設定されていた着信モード(デフォルトの着信モード)であるマナーモードに再設定する。
【0131】
<第3の実施形態/効果>
本実施形態により、例えばメール受信というイベント毎に着信モードの切り替え確認および切り替え制御を行うことが可能となるので、イベントドリブンな動作モードの切替制御を実行する情報管理装置を実現することが可能となる。
【0132】
<付記事項>
なお、上述の実施形態は本発明の好適な実施形態の一例を示すものにすぎず、本発明の実施の形態を限定する趣旨のものではない。よって、本発明は上述の実施形態に限定されることはなく、その要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形実施を行うことが可能である。
【0133】
例えば、上述の実施形態において、推論部45はニューラルネットを用いて着信モードの推論を行っているが、ニューラルネットではなく、ファジー推論などの推論方式を用いて推論を行うようにしても良い。
【0134】
また、上記の説明においては、情報管理装置として携帯端末に特化して説明し、且つ、切り替え動作についても着信動作に特化して説明しているが、これらに限られるものではない。また、属性情報も、上記のような「親密度」「重要性」「公共性」に限定されるものではない。例えば、情報管理装置としてのデジタルカメラにおいて、切り替え動作としてホワイトバランスを設定するような場合での、日照の度合いや光源状態を表すパラメータを属性情報として採用するといった形態も本考案の技術思想の範囲内である。
【0135】
また、上述の制御を実行するデータ・プログラムは、製造の時点で情報管理装置に備えさせてもよいし、例えば、光記録媒体、磁気記録媒体、光磁気記録媒体、あるいは半導体記録媒体等を介して情報管理装置にインストールする形であっても良い。また、ファイル転送プロトコル(FTP)により、インターネット、LANなどのネットワークを介してダウンロードする形で情報管理装置にインストールする形であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0136】
【図1】携帯端末の外部構成を示す図である。
【図2】携帯端末の内部構成を示す図である。
【図3】第1の実施形態のモード切替部を示す図である。
【図4】スケジュール管理画面を示す図である。
【図5】キーワード属性格納部に保持されるデータベースを示す図である。
【図6】ニューラルネットを示す図である。
【図7】遷移データ格納部に格納される遷移データを示す図である。
【図8】遷移データの作成フローを示す図である。
【図9】着信モードの切り替えフローを示す図である。
【図10】第2の実施形態のモード切替部を示す図である。
【図11】学習フローを示す図である。
【図12】イベントドリブンな着信モード切り替えフローを示す図である。
【図13】従来技術の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0137】
10 携帯端末
30 中央制御部
31 クロックタイマ
38 着信スピーカ制御部
39 バイブレータ制御部
40 モード切替部
41 モード切替制御部
42 個人情報管理部
43 キーワード検出部
44 キーワード属性格納部
45 推論部
46 遷移データ格納部
47 学習部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の動作モードを有し、選択されている前記動作モードに従って動作制御を行う情報管理装置であって、
ユーザの個人情報を管理する個人情報管理手段と、
前記個人情報からキーワードを検出するキーワード検出手段と、
キーワードと属性情報とを対応させて格納する属性情報格納手段と、
前記キーワード検出手段により検出したキーワードに対応する属性情報を取得し、該属性情報から動作モードを推論する推論手段と、
を有し、
前記個人情報の入力・更新がなされると、前記キーワード検出手段による該個人情報のキーワードの検出、前記推論手段による動作モードの推論を実行し、該推論された動作モードに切り替えて動作制御を行うことを特徴とする情報管理装置。
【請求項2】
前記個人情報管理手段が管理する個人情報と、前記推論手段により推論された動作モードと、から、動作モード切替のタイミング及び切替後の動作モードを定義する遷移データを作成する遷移データ作成手段をさらに有し、
該遷移データに基づいて動作制御を行うことを特徴とする請求項1記載の情報管理装置。
【請求項3】
前記推論手段により推論された動作モードに従った動作制御中に該動作モードと異なる動作モードが入力されると、該選択入力された動作モードを優先して自装置の動作モードに設定し動作制御を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の情報管理装置。
【請求項4】
前記推論手段により推論された動作モードに従った動作制御中に該動作モードと異なる動作モードが入力されると、該推論の基礎となったキーワードの属性情報を変更し、該変更を前記属性情報格納手段に反映させることを特徴とする請求項3記載の情報管理装置。
【請求項5】
前記推論手段により推論された動作モードに従った動作制御中に、該動作モードと異なる動作モードが入力された場合には、前記推論手段の推論判定パラメータを変更することを特徴とする請求項3記載の情報管理装置。
【請求項6】
前記推論手段により推論された動作モードに切り替えた際に、その旨を外部に報知する報知手段を有することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の情報管理装置。
【請求項7】
複数の動作モードを有し、選択されている前記動作モードに従って動作制御を行う情報管理装置における動作制御方法であって、
個人情報管理部が管理する個人情報の入力・更新がなされた際に、該個人情報からキーワードを検出するキーワード検出工程と、
キーワードと属性情報とを対応させて格納する属性情報格納部を参照して、前記キーワード検出工程において検出したキーワードに対応する属性情報を取得し、該属性情報から動作モードを推論する推論工程と、
前記推論工程により推論された動作モードに切り替えて動作制御を行う動作制御切替工程と、
を有することを特徴とする動作制御方法。
【請求項8】
前記個人情報管理部が管理する個人情報と、前記推論工程により推論された動作モードと、から、動作モード切替のタイミング及び切替後の動作モードを定義する遷移データを作成する遷移データ作成工程をさらに有し、
前記動作制御切替工程は、該遷移データに基づいて動作制御を行うことを特徴とする請求項7記載の動作制御方法。
【請求項9】
前記推論工程により推論された動作モードに従った動作制御中に該動作モードと異なる動作モードが入力されると、該選択入力された動作モードを優先して自装置の動作モードに設定し動作制御を行うことを特徴とする請求項7または8に記載の動作制御方法。
【請求項10】
前記推論工程により推論された動作モードに従った動作制御中に該動作モードと異なる動作モードが入力されると、該推論の基礎となったキーワードの属性情報を変更し、該変更を前記属性情報格納部に反映させる属性情報更新工程をさらに有することを特徴とする請求項9記載の動作制御方法。
【請求項11】
前記推論工程により推論された動作モードに従った動作制御中に、該動作モードと異なる動作モードが入力された場合に、前記推論工程で用いる推論判定パラメータを変更するパラメータ変更工程をさらに有することを特徴とする請求項9記載の動作制御方法。
【請求項12】
前記推論工程により推論された動作モードに切り替えた際に、その旨を外部に報知する報知工程をさらに有することを特徴とする請求項7から11のいずれか1項に記載の動作制御方法。
【請求項13】
複数の動作モードを有し、選択されている前記動作モードに従って動作制御を行う情報管理装置に実行させる動作制御プログラムであって、
個人情報管理部が管理する個人情報の入力・更新がなされた際に、該個人情報からキーワードを検出するキーワード検出処理と、
キーワードと属性情報とを対応させて格納する属性情報格納部を参照して、前記キーワード検出処理において検出したキーワードに対応する属性情報を取得し、該属性情報から動作モードを推論する推論処理と、
前記推論処理により推論された動作モードに切り替えて動作制御を行う動作制御切替処理と、
を情報管理装置に実行させることを特徴とする動作制御プログラム。
【請求項14】
前記個人情報管理部が管理する個人情報と、前記推論処理により推論された動作モードと、から、動作モード切替のタイミング及び切替後の動作モードを定義する遷移データを作成する遷移データ作成処理をさらに実行させ、
前記動作制御切替処理には、該遷移データに基づいた動作制御を行わせることを特徴とする請求項13記載の動作制御プログラム。
【請求項15】
前記推論処理により推論された動作モードに従った動作制御中に、該動作モードと異なる動作モードが入力された場合には、該選択入力された動作モードを優先して自装置の動作モードに設定して動作制御を行わせることを特徴とする請求項13または14に記載の動作制御プログラム。
【請求項16】
前記推論処理により推論された動作モードに従った動作制御中に該動作モードと異なる動作モードが入力されると、該推論の基礎となったキーワードの属性情報を変更し、該変更を前記属性情報格納部に反映させる属性情報更新処理をさらに情報管理装置に実行させることを特徴とする請求項15記載の動作制御プログラム。
【請求項17】
前記推論処理により推論された動作モードに従った動作制御中に該動作モードと異なる動作モードが入力されると、前記推論処理で用いる推論判定パラメータを変更するパラメータ変更処理をさらに情報管理装置に実行させることを特徴とする請求項15記載の動作制御プログラム。
【請求項18】
前記推論処理により推論された動作モードに切り替えた際に、その旨を外部に報知する報知処理をさらに情報管理装置に実行させることを特徴とする請求項13から17のいずれか1項に記載の動作制御プログラム。
【請求項19】
情報管理装置が読み取り可能な記録媒体であって、請求項13から18のいずれか1項に記載の動作制御プログラムを記録したことを特徴とする記録媒体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2007−142843(P2007−142843A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−334369(P2005−334369)
【出願日】平成17年11月18日(2005.11.18)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】