説明

情報表示装置および情報表示方法

【課題】 エスカレータとともに空間を移動する人が、表示情報を見る場合に、注視方向を刻々と変化させる必要がなく、表示されている情報を容易に見ることができる情報表示装置を提供することを目的とするものである。

【解決手段】 エスカレータ上における利用者位置を抽出し、記憶装置に記憶する利用者位置抽出手段と、エスカレータの天井へ所定情報を表示する情報表示装置と、上記利用者位置抽出手段が抽出した利用者の位置に基づいて、上記エスカレータの天井に情報を表示する位置を算出し、記憶装置に記憶する情報表示位置算出手段と、上記情報表示位置算出手段が算出した表示位置に上記所定情報を表示するように、上記情報表示装置を制御する情報表示位置制御手段とを有する情報表示装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報表示装置および情報表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エスカレータの設置数が増加することに伴い、搭乗個所の前方と手すりの横とに、電光掲示板や液晶ディスプレイ等の表示装置を設置し、フロアの案内や広告等、情報を提示する表示装置が知られている。
【0003】
このような情報表示装置では、不特定多数の人に、映像や文字等の情報を伝達することが可能であり、これによって、エスカレータの利用者全員に、案内や広告を提示することができる。
【0004】
一方、上記表示方法に人感センサ、赤外線センサ等の各種センサを組み合わせ、人を感知し、エスカレータの終点を案内するサービス等が知られ、人に情報を伝える効率を向上することができる場合がある。このように、エスカレータには、情報を提示する空間としての利用価値が高く、サービスの普及が期待されている。
【0005】
一方、空間内部に存在する複数の利用者の位置を取得し、この取得した複数の利用者の位置に応じた指令命令を生成し、マルチメディア情報を空間に出力する装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0006】
また、エスカレータの構造上の特性を利用した情報表示の方法が知られ、この例として、移動手すりの外方に位置するデッキボード上の傾斜平坦面に、その前面、後面に、情報表示できる表示装置を設置することが知られている。この手法によれば、物体が滑落し、デッキボードの下端前方に飛び出すことを防ぐことができ、また、上昇客と下降客とに対して、各種の情報を提示することができる(たとえば、特許文献2参照)。
【0007】
さらに、エスカレータにおける踏板の上部水平走行距離を、通常よりも延長することによって、下降するエスカレータを利用する下降客の視線を遮断し、下降するエスカレータを利用する下降客に恐怖感を抱かせることを少なくする装置が知られている(たとえば、特許文献3参照)。
【特許文献1】特開2001−216527号公報
【特許文献2】特許第3372634号公報
【特許文献3】特許第2582156号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、従来のエスカレータにおける情報表示方法では、不特定多数の人を対象として表示情報を表示し、情報提示位置が固定されているので、エスカレータとともに空間を移動する人が表示情報を見る場合に、その人が、注視方向を刻々と変化させる必要があり、この注視方向を刻々と変化させる動作が煩雑であるという問題がある。
【0009】
また、上記のように注視方向を刻々と変化させるので、表示されている情報を認知するのに時間がかかるという問題があり、また、情報を注目することができる時間が短いという問題があり、一人一人に対して効果的に情報を提示することができないという問題がある。
【0010】
本発明は、エスカレータとともに空間を移動する人が、表示情報を見る場合に、注視方向を刻々と変化させる必要がなく、表示されている情報を容易に見ることができ、また、表示されている情報を認知するのに時間がかからず、さらに、表示されている情報を注目することができる時間が比較的長く、一人一人に対して効果的に情報を提示することができる情報表示装置および情報表示方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、エスカレータ上における利用者位置を抽出し、記憶装置に記憶する利用者位置抽出手段と、エスカレータの天井へ所定情報を表示する情報表示装置と、上記利用者位置抽出手段が抽出した利用者の位置に基づいて、上記エスカレータの天井に情報を表示する位置を算出し、記憶装置に記憶する情報表示位置算出手段と、上記情報表示位置算出手段が算出した表示位置に上記所定情報を表示するように、上記情報表示装置を制御する情報表示位置制御手段とを有する情報表示装置である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、利用者は、エスカレータにのって、下降している時に、注視方向を保ったまま、エスカレータの天井に表示された情報を閲覧することができ、また、利用者の視界に表示情報が常に表示され、表示された情報に対する利用者の認知度を向上させることができるという効果を奏する。
【0013】
また、利用者がエスカレータ上を移動する移動速度を抽出し、この抽出した利用者の速度に応じて、エスカレータの天井に表示する表示情報の表示位置の移動を制御すれば、エスカレータ上を利用者が歩行していても、注視方向を保ったまま、エスカレータの天井に表示された情報を閲覧することができ、また、利用者の視界に表示情報が常に表示され、表示された情報に対する利用者の認知度を向上させることができるという効果を奏する。
【0014】
さらに、利用者の身長を検知し、この検知した利用者の身長に応じて、表示情報の表示位置を制御すれば、身長の異なる利用者のいずれも、注視方向を保ったまま、エスカレータの天井に表示された情報を閲覧することができ、また、利用者の視界に表示情報が常に表示され、表示された情報に対する利用者の認知度を向上させることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
発明を実施するための最良の形態は、以下の実施例である。
【実施例1】
【0016】
図1は、本発明の実施例1である情報表示装置100を示すブロック図である。
【0017】
情報表示装置100は、情報提供手段10と、カメラCA1と、制御装置20と、情報表示手段DP1とを有する。カメラは複数設けられているが、図1では、代表してカメラCA1を示してある。情報表示装置も複数設けられているが、図1では、代表して情報表示手段DP1を示してある。
【0018】
情報提供手段10は、たとえば、CDドライブ、DVDドライブ、HDドライブ等である。
【0019】
制御装置20は、利用者位置抽出手段21と、情報表示位置算出手段22と、情報表示位置制御手段23とを有する。
【0020】
利用者位置抽出手段21は、利用者P1の位置を抽出し、記憶装置に記憶する手段である。つまり、利用者位置抽出手段21は、エスカレータ上における利用者位置を抽出し、記憶装置に記憶する利用者位置抽出手段の例である。
【0021】
情報表示位置算出手段22は、表示情報を表示する位置を計算し、記憶装置に記憶する手段である。つまり、情報表示位置算出手段22は、利用者位置抽出手段が抽出した利用者の位置に基づいて、エスカレータの天井に情報を表示する位置を算出し、記憶装置に記憶する情報表示位置算出手段の例である。
【0022】
情報表示位置制御手段23は、情報表示位置を制御する手段であり、情報表示位置算出手段が算出した表示位置に、上記所定情報を表示するように、情報表示装置を制御する情報表示位置制御手段の例である。
【0023】
情報表示手段DP1は、エスカレータの天井へ所定情報を表示する情報表示装置の例である。
【0024】
図2は、情報表示装置100において、エスカレータ30と、利用者P1との位置関係を示す図である。
【0025】
つまり、図2は、エスカレータ30の上方(天井)に設置されているカメラから、鉛直方向にエスカレータ30を撮像した場合、この撮影されたエスカレータ30のうちで、利用者P1の位置を検知する範囲34を示す図である。
【0026】
エスカレータ30は、手すり31、32と、踏板33と、位置検知範囲34とを有し、利用者P1が踏板33に乗る。
【0027】
図3は、実施例1における情報表示領域42の説明図である。
【0028】
情報表示領域42は、エスカレータ30の天井41に設けられ、表示情報51を表示する領域である。
【0029】
図4は、エスカレータ30において表示情報を表示している例を示す図である。
【0030】
エスカレータ30は、情報表示手段DP1、DP2、DP3と、カメラCA1、CA2とを有し、天井41に表示情報51、52が表示されている。エスカレータ30の上方に、天井41が設けられている。
【0031】
なお、情報表示手段DP1、DP2、DP3は、首振りである。つまり、情報表示手段DP1、DP2、DP3の各光軸が所定角度、変動し、この光軸が変動することによって、情報表示位置51pが移動する。または、たとえば情報表示手段DP1から放射された光が、図示しない反射ミラーで反射し、表示領域42で結像するようにし、上記反射ミラーを首振りにするようにしてもよい。
【0032】
また、情報表示手段DP1、DP2、DP3が首振りを行わず、また、光軸を変動させない場合でも、表示位置を変化させることができる。たとえば、光軸を固定する場合、情報表示手段DP1、DP2、DP3によってエスカレータの天井41の全体を投影できるように配置し、情報表示手段DP1の表示する全体領域の中で、情報表示位置51pを移動させながら表示情報を表示し、情報表示手段DP1が表示可能な領域から、情報表示手段DP2が表示可能な領域に、情報表示位置51pが移動すれば、情報表示手段DP2が表示情報を表示するように、情報表示手段を切り換えるようにしてもよい。
【0033】
また、利用者P1、P2の位置を抽出する場合、カメラCA1、CA2を使用する代わりに、赤外線等を用いたセンサを使用するようにしてもよい。
【0034】
情報表示手段DP1は、天井へ情報表示するプロジェクタであってもよく、天井41に情報を表示する液晶画面であってもよい。
【0035】
次に、情報表示装置100の動作について説明する。
【0036】
カメラCA1、CA2から得られたエスカレータ30の利用者P1、P2を含む画像は、利用者位置抽出手段21の記憶装置に、一次保存される。これと同時に、利用者位置抽出手段21は、画像処理を用いてエスカレータ30上における位置検知範囲34上の利用者の座標(x1、y1)を算出し、記憶装置に記憶する。
【0037】
図2に示す位置検知範囲34内に存在している利用者P1の位置座標は、利用者P1の重心座標(x1,y1)である。この利用者P1の重心座標(x1,y1)を求める場合、まず、カメラCA1、CA2が撮影した画像から、エスカレータ30の画像を除去すると、利用者P1にのみ対応する図形を求めることができ、この求めた利用者P1に対応する図形を画像処理することによって、利用者P1の重心座標(x1,y1)を求める。
【0038】
情報表示位置算出手段22は、利用者位置抽出手段21が算出した利用者の位置の座標(x1,y1)に基づいて、エスカレータ30の天井41に表示情報51、52を表示する座標を算出する。たとえば、エスカレータ30の天井41における情報表示領域42の座標を、図3に示すように、天井に沿ってX、Yとする。
【0039】
このときに、位置検出範囲34を、踏板33の領域と同じ範囲に設定し、天井41の情報表示領域42が、実際の天井幅よりも狭いとする。この場合であって、位置検出範囲34と、天井41の情報表示領域42とが等しい場合、踏板33の位置検出範囲34と、天井41の情報表示領域42の座標系とを、単純に重ねることによって、情報表示領域42のx座標は、位置検出範囲34のx座標と等しくなる。
【0040】
情報表示領域42のy座標であるYは、天井41の面の傾斜を考慮し、利用者前方のやや上方となるように、位置座標yに基づいて算出する。
【0041】
たとえば、利用者の目線の高さをh、エスカレータ30の天井41までの高さをHとすると、傾斜30°のエスカレータ30では、進行方向正面に対する利用者の視線とエスカレータ30の天井41との接点は、前方の、31/2×(H−h)の位置となるので、そのやや手前の位置に座標Yをとる。このときに、エスカレータ30の天井41までの高さによって、表示情報が、利用者の視界に入る位置が異なるので、その高さに応じて、座標Yを設定する。
【0042】
情報表示位置制御手段23は、情報提供手段10が表示したい情報を取得し、情報表示手段DP1、DP2、DP3を用いて、情報位置算出手段22が算出した少なくとも1つの情報表示位置座標X、Yの位置に、表示情報を表示し、利用者P1、P2に表示情報を提供する。
【0043】
図5は、実施例1において、利用者P3、P4の身長に応じて、表示位置を制御する方法の例である。
【0044】
図5に示す実施例は、身長に応じて表示位置を制御する実施例であり、エスカレータ30の手すり部に、所定の高さを超えるか超えないかを認識する人感センサを使用し、表示情報の表示位置を制御する。
【0045】
利用者身長センサSE11、SE21が、エスカレータ30に設けられている。つまり、利用者がエスカレータ30を2列で利用することが多いことを想定し、図5に示す実施例において、左用手すり31と、右用手すり32とのそれぞれに、利用者身長センサSE11、SE21が設置されている。
【0046】
実施例1では、情報表示位置算出手段22が情報表示領域42における座標Xを算出する際に、人感センサが検知した身長情報を使用する。たとえば、利用者の身長が一定の高さを超えない場合は、利用者から、天井41の表示位置までの距離が長くなるので、より近い座標Xになるように、表示位置を制御するようにしてもよい。
【0047】
つまり、情報表示位置制御手段23は、利用者の身長に応じて、表示情報の表示位置を制御する手段の例である。
【0048】
なお、情報表示位置算出手段が算出した表示位置から、エスカレータ進行方向にエスカレータの速度とほぼ同じ速度で表示位置を移動させるように制御するようにしてもよい。
【0049】
エスカレータの速度を考慮せずに、リアルタイムに(実際にはカメラの撮像能力によるが)エスカレータ上の利用者の位置だけを特定し、常に、その特定された位置に対応した天井の位置に情報を表示するようにすれば、エスカレータ上をゆっくりと歩く人に対しても、適切に情報を表示することができる。エスカレータの移動速度が遅いことと、天井までの距離が少しあることとを利用して、表示情報が、利用者に擬似的に追随しているかのように見せることができる。
【0050】
エスカレータ上を利用者が歩いても、左右に動いても理論上は、常に情報表示の位置を、利用者正面の注視方向に設定することができる。
【0051】
なお、多数の利用者がエスカレータ上に存在する場合、利用者の位置に応じて単純に情報を出すだけでは所定の効果が得られない場合があり、この場合は、エスカレータの速度とほぼ同じ速度で、上記表示位置を移動させながら、所定情報を表示するようにすればよい。
【実施例2】
【0052】
図6は、本発明の実施例2である情報表示装置200を示すブロック図である。
【0053】
情報表示装置200は、情報提供手段10と、カメラCA1と、制御装置20aと、情報表示手段DP1と、速度抽出手段60とを有する。カメラは複数設けられているが、図6では、代表してカメラCA1を示してある。情報表示装置も複数設けられているが、図6では、代表して情報表示手段DP1を示してある。
【0054】
速度抽出手段60は、利用者がエスカレータ上を移動する移動速度を抽出する利用者速度抽出手段の例である。
【0055】
制御装置20aは、利用者位置抽出手段21と、情報表示位置算出手段22と、情報表示位置制御手段23aとを有する。
【0056】
情報表示位置制御手段23aは、情報表示位置算出手段が算出した情報表示位置と、速度抽出手段が抽出した利用者の速度とに応じて、エスカレータの天井に表示する表示情報の表示位置の移動を制御する手段の例である。
【0057】
図7は、情報表示装置200を示す図である。
【0058】
情報表示装置200は、速度抽出手段60によって利用者の移動速度を抽出し、情報表示位置を移動する制御を行う装置であり、エスカレータ30と、エスカレータ30の天井41と、情報表示手段DP1、DP2、DP3とを有する。
【0059】
エスカレータ30には、手すり31、32と、受光側のセンサSE21、SE22、SE23、SE24、SE25、SE26、SE27が設けられている。受光側のセンサSE21、SE22、SE23、SE24、SE25、SE26、SE27は、手すり31の近傍に設けられている欄干に設置されている。手すり32の近傍に設けられている欄干には、発光側のセンサSE11、SE12、SE13、SE14、SE15、SE16、SE17が設けられ、発光側のセンサSE11、SE12、SE13、SE14、SE15、SE16、SE17のそれぞれは、受光側のセンサSE21、SE22、SE23、SE24、SE25、SE26、SE27にそれぞれ対応している。なお、センサSE11〜SE17は、図示を省略している。
【0060】
利用者P1、P2は、それぞれ、視線61、62を通じて、表示情報51、52を注視している。
【0061】
図8は、情報表示装置200において、エスカレータ30上で、利用者が移動する速度を検出する赤外線センサの設置例を示す図である。
【0062】
赤外線センサSE11、SE21が、互いに対向して設けられ、また、赤外線センサSE11とSE21とが、エスカレータ30の利用者P6が通過する領域を挟んでいる。そして、赤外線センサSE11とSE21との間に、赤外線ラインL1が発生している。つまり、利用者P6が、赤外線センサSE11とSE21との間を通過すると、赤外線ラインL1を横切る。
【0063】
次に、速度抽出手段60を用いた情報表示装置200の動作について説明する。
【0064】
利用者位置抽出手段21、情報表示位置算出手段22の動作は、情報表示装置100における動作と同様であり、エスカレータ30の天井41における表示情報の表示位置を、情報表示位置算出手段22が算出する。
【0065】
また、発光側の赤外線センサSE11と受光側の赤外線センサSE21とが対になり、発光側の赤外線センサSE12と受光側の赤外線センサSE22とが対になり、発光側の赤外線センサSE13と受光側の赤外線センサSE23とが対になり、……これらの対によって、速度を抽出する。
【0066】
たとえば、赤外線センサSE11、SE12、SE13、……を、0.5m間隔で欄干に設置した場合、最初の赤外線センサが反応してから次の赤外線センサが反応するまでに0.5秒かかるとすると、利用者P6は、そのセンサ間を、1m/秒の速度で移動していることになる。この場合、エスカレータ30自体の移動速度は、概知であり、0.5m/秒であるとすると、利用者がゆっくり歩いていることを認識することができる。
【0067】
赤外線センサを用いて移動速度を算出する式は、赤外線センサの設置間隔を、Lとし、次のセンサまでの検知にかかった時間を、Sとすると、
移動速度=L/S … 式(1)
であり、このようにして、赤外線センサ間の利用者の移動速度を算出することができる。
【0068】
このときに利用するセンサは、赤外線センサ、その他の人感センサ等、人を感知できるセンサであれば足りる。
【0069】
図8は、情報表示装置200において、エスカレータ30における利用者P6の通過を精度よく検知する赤外線センサの設置例を示す図である。
【0070】
設置されている赤外線センサの対の間を利用者P6が通過したときにのみ反応するセンサである。この対のセンサによって、精度上の問題も解決することができる。また、欄干が赤外線センサの認識精度を下げないことが概知であれば、欄干の外部に、赤外線センサを設置するようにしてもよい。
【0071】
また、カメラ等の映像を利用して、速度抽出手段60を実現することができる。たとえば、30fpsの撮像速度(つまり1秒間に30コマを撮影する撮影速度)、画像サイズ320×240、撮像範囲が横4m縦3mであるカメラを利用すると、1画素当たりのサイズが、縦横1.25cmである。1/30秒で利用者の重心座標の動いた画素数が2画素であれば、1/30秒で移動した距離は、2.5cmであり、該当の利用者の移動速度は、0.75m/秒である。
【0072】
カメラ等の映像を利用して移動速度を算出する式は、1画素当たりのサイズをDとし、比較する画像の時間間隔を、S1とし、比較する画像間での対象とする物体の移動した画素数を、Kとすると、
移動速度=D×K/S1 … 式(2)
であり、利用者の移動速度を算出することができる。
【0073】
速度抽出手段60によって、各利用者の移動速度を抽出する。
【0074】
情報表示位置制御手段23aは、情報表示位置算出手段22が算出した少なくとも1つの情報表示位置に表示情報を表示し、速度抽出手段60が算出した各利用者の移動速度に応じて、エスカレータ30の進行方向に表示情報を移動する。
【0075】
実施例2によれば、情報表示位置算出手段22が情報表示位置を算出したタイミングで、情報表示位置制御手段23aが制御する表示情報の表示位置は、常に補正されるので、利用者が左右に移動した場合でも、そのときの利用者の正面に情報を表示することができる。また、速度を随時抽出するので、利用者がエスカレータ30上で停止したり、歩き出しても、その動きに常に合わせて表示情報を表示することができる。
【0076】
上記実施例において、1つのエスカレータ30の天井41の面に、1つの表示情報を表示するようにしてもよく、また、複数の所定情報を同時に表示する装置であってもよい。
【0077】
また、上記実施例において、1つのエスカレータの天井41の面に同時に複数の表示情報を表示する場合、これら複数の表示情報が、互いに同じ情報であってもよく、または、複数の種類の情報であってもよい。
【0078】
さらに、上記実施例は、利用者の位置を抽出することを前提とする実施例であるが、上記実施例において利用者の位置を抽出しなくてもよい。
【0079】
つまり、エスカレータの天井41の面へ所定情報を表示する情報表示装置を設け、上記エスカレータの速度とほぼ同じ速度で上記表示位置を移動しながら、所定情報を上記天井41の面に表示するように、上記情報表示装置を制御する情報表示位置制御手段を設ければ足りる。
【0080】
このようにした場合、利用者と表示情報の表示位置とは必ずしも正確には対応していないが、エスカレータの利用者が数珠つなぎのように、多数である場合等に、所定利用者数ごとに、1つの表示情報が表示されていれば、利用者は、複数表示されている表示情報のうちで、最も見やすい(最も近くに表示されている)表示情報を見るであろうし、この場合、利用者の視線が水平方向からややずれていても実際上は気にせずに、表示情報を注視することができる。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明の実施例1である情報表示装置100を示すブロック図である。
【図2】情報表示装置100において、エスカレータ30と、利用者P1との位置関係を示す図である。
【図3】実施例1における情報表示領域42の説明図である。
【図4】エスカレータ30において表示情報を表示している例を示す図である。
【図5】実施例1において、利用者P3、P4の身長に応じて、表示位置を制御する方法の例である。
【図6】本発明の実施例2である情報表示装置200を示すブロック図である。
【図7】情報表示装置200を示す図である。
【図8】情報表示装置200において、エスカレータ30上で、利用者が移動する速度を検出する赤外線センサの設置例である。
【符号の説明】
【0082】
100…情報表示装置、
10…情報提供手段、
20…制御装置、
21…利用者位置抽出手段、
22…情報表示位置算出手段、
23…情報表示位置制御手段、
CA1、CA2…カメラ、
DP1、DP2、DP3…情報表示手段、
30…エスカレータ、
31、32…手すり、
33…踏板、
34…位置検出範囲、
P1、P3、P4…利用者、
41…エスカレータの天井、
42…情報表示領域、
51、52、53、54…表示情報、
51p…情報表示位置、
SE11、SE21…センサ、
200…情報表示装置、
20a…制御装置、
23a…情報表示位置制御手段、
55、56…表示情報、
60…速度抽出手段、
61、62…視線、
SE22、SE23、SE24,SE25、SE26、SE27…センサ、
L1…赤外線ライン、
P6…利用者。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エスカレータ上における利用者位置を抽出し、記憶装置に記憶する利用者位置抽出手段と;
エスカレータの天井へ所定情報を表示する情報表示装置と;
上記利用者位置抽出手段が抽出した利用者の位置に基づいて、上記エスカレータの天井に情報を表示する位置を算出し、記憶装置に記憶する情報表示位置算出手段と;
上記情報表示位置算出手段が算出した表示位置に上記所定情報を表示するように、上記情報表示装置を制御する情報表示位置制御手段と;
を有することを特徴とする情報表示装置。
【請求項2】
請求項1において、
利用者がエスカレータ上を移動する移動速度を抽出する利用者速度抽出手段を有し、
上記情報表示位置制御手段は、上記情報表示位置算出手段が算出した情報表示位置と、上記速度抽出手段が抽出した利用者の速度とに応じて、上記エスカレータの上記天井に表示する表示情報の表示位置の移動を制御する手段であることを特徴とする情報表示装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、
利用者の身長を検知する利用者身長検知手段を有し、
上記情報表示位置制御手段は、利用者の身長に応じて、表示情報の表示位置を制御する手段であることを特徴とする情報表示装置。
【請求項4】
請求項1において、
上記情報表示装置は、1つの上記エスカレータの天井に、複数の上記所定情報を同時に表示する装置であることを特徴とする情報表示装置。
【請求項5】
請求項4において、
上記情報表示装置は、1つの上記エスカレータの天井に同時に表示する上記複数の所定情報は、互いに同じ情報であるか、または、複数の種類の情報であることを特徴とする情報表示装置。
【請求項6】
エスカレータ上における利用者位置を抽出し、記憶装置に記憶する利用者位置抽出段階と;
上記利用者位置抽出段階で抽出された利用者の位置に基づいて、上記エスカレータの天井に情報を表示する位置を算出し、記憶装置に記憶する情報表示位置算出段階と;
上記情報表示位置算出段階で算出された表示位置であって、上記エスカレータの速度とほぼ同じ速度で上記表示位置を移動しながら、上記所定情報を表示するように、エスカレータの天井へ所定情報を表示する情報表示装置を制御する情報表示位置制御段階と;
を有することを特徴とする情報表示方法。
【請求項7】
請求項6において、
利用者がエスカレータ上を移動する移動速度を抽出する利用者速度抽出段階を有し、
上記情報表示位置制御段階は、上記情報表示位置算出段階で算出された情報表示位置と、上記速度抽出段階で抽出された利用者の速度とに応じて、上記エスカレータの上記天井に表示する表示情報の表示位置の移動を制御する段階であることを特徴とする情報表示方法。
【請求項8】
請求項6または請求項7において、
利用者の身長を検知する利用者身長検知段階を有し、
上記情報表示位置制御段階は、利用者の身長に応じて、表示情報の表示位置を制御する段階であることを特徴とする情報表示装置方法。
【請求項9】
エスカレータの天井へ所定情報を表示する情報表示装置と;
上記エスカレータの速度とほぼ同じ速度で上記表示位置を移動しながら、所定情報を上記天井に表示するように、上記情報表示装置を制御する情報表示位置制御手段と;
を有することを特徴とする情報表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−62892(P2007−62892A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−249141(P2005−249141)
【出願日】平成17年8月30日(2005.8.30)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】