説明

情報記録再生装置およびデジタルカメラ

【課題】装置起動時にバッテリー充電状態に応じた最適な装置起動をすること、その要否に応じたバッテリー充電を促す警告を行う。
【解決手段】パワーオン後に、撮影モードか再生モードか判断(S11)。撮影モードの場合(Yes)、バッテリー電圧が「CAP_ENABLE_V」以下か判断(S12)、以下の場合(Yes)、電池切れ表示を表示部に所定時間表示し(S13)電源を切る。処理S12で「CAP_ENABLE_V」以上の場合(No)、鏡胴ユニットを繰り出し(S14)、モニタリングモードになる(S15)。処理S11で再生モードの場合(No)、バッテリー電圧が「PLAY_ENABLE_V」以下か判断(S16)、以下の場合(Yes)、電池切れ表示を表示部に所定時間表示し(S13)電源を切る。処理S16で「PLAY_ENABLE_V」以上の場合(No)、鏡胴ユニットを繰り出ことなく再生モードになる(S17)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルカメラ等の撮像装置に代表される電子機器にあって、この装置駆動に用いられるバッテリーに係る制御を行う情報記録再生装置およびデジタルカメラに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルカメラは私的ばかりでなく公的な目的での利用も広まっている。デジタルカメラは、撮影時にレンズユニットを複数持つ鏡胴ユニットを繰り出し、撮影を行って、撮影した画像を記録する記録媒体である、例えばSDメモリーカード(以下、SDカードという)等にその画像を蓄積する。さらに、その特徴として、デジタルカメラには表示手段(LCD(液晶モニタ)等)を持ち、撮影した画像をLCDにおいて再生することで、すぐに撮影した画像状態等を確認することが可能である。
【0003】
また、再生時や電源をオフした状態においては、鏡胴ユニットをデジタルカメラ本体に収納することで、デジタルカメラの形状をコンパクトに抑えて持ち運びの利便性を図っている。さらに、デジタルカメラを駆動する電源には、主にバッテリーが用いられている。充電可能なバッテリーだけではなく、単3型などの乾電池の両方を利用できるデジタルカメラも知られている。
【0004】
デジタルカメラでは、電源をオンした後、撮影等に使用中において、バッテリーの蓄電量が少なくなると、LCDに警告表示を行うものがある。例えば、特許文献1に開示されているように、画像の記録・再生モード時と、ボイスレコーダモードやオーディオモード時とでは消費電力が異なるため、画像の記録・再生モード時と、ボイスレコーダモードやオーディオモード時とにおいて、バッテリーチェックに用いる閾値を変更している。これにより、デジタルカメラをボイスレコーダやオーディオプレーヤーとして動作させる場合、その動作時間の延長を図るようにしている。
【0005】
また、デジタルカメラを購入したユーザーが、初めてそのデジタルカメラを使う際に、バッテリーをデジタルカメラに装着させて電源をオンする場合、または、デジタルカメラから取り外していたバッテリーを取り付けて電源をオンする場合などに、装着するバッテリーが十分に充電されていない状態であると、デジタルカメラが動作せずに電源がオフされてしまう場合がある。
【0006】
このような場合に、ユーザーは、なぜデジタルカメラが起動しないのか理解できず、バッテリーを充電することで容易に回避することができるにも関わらず、デジタルカメラの故障であると判断して、デジタルカメラのサポートサービスに問い合わせをしたり、購入直後であれば返品してしまったりする場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そして、前述の特許文献1には、電源をオンした後、デジタルカメラの動作モードにより閾値を変更する制御について開示されている。しかしながら、電源をオンしたときのバッテリーチェックについては開示されていない。
【0008】
本発明は、前記従来技術の問題を解決することを主な目的とし、装置の起動時にバッテリーチェックを行って、バッテリーの充電不足の場合には、バッテリーの充電を促す警告をする等の制御を行うようにし、ユーザーに安心して利用可能な情報記録再生装置およびデジタルカメラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の目的を達成するために、本発明に係る請求項1に記載される情報記録再生装置は、電源用のバッテリーと、装置起動時にバッテリーの出力電圧が起動許可電圧より低いか否かを判断する電圧判断手段と、電圧判断手段によりバッテリーの出力電圧が起動許可電圧より低いと判断した場合に警告を行う警告手段と、を備え、電圧判断手段が判断に用いる起動許可電圧を装置起動時の状態によって変更することを特徴とする。
【0010】
また、請求項2に記載される発明は、請求項1の情報記録再生装置において、電圧判断手段は、装置起動時の状態が再生モードまたは撮影モードのいずれかによって、判断に用いる起動許可電圧を変更することを特徴とする。
【0011】
また、請求項3に記載される発明は、請求項1の情報記録再生装置において、電圧判断手段は、装置起動時の状態が購入後の初回の起動か否かによって、判断に用いる起動許可電圧を変更することを特徴とする。
【0012】
また、請求項4に記載される発明は、請求項3の情報記録再生装置において、電圧判断手段は、購入後の初回の起動時には、第1の起動許可電圧を用いて判断し、日付設定を行った後には、第1の起動許可電圧より大きい第2の起動許可電圧を用いて判断を行うことを特徴とする。
【0013】
また、請求項5に記載される発明は、請求項1の情報記録再生装置において、電圧判断手段は、着脱自在なバッテリーが取り外し状態から取り付け状態となった後の初めての起動か否かによって、判断に用いる起動許可電圧を変更することを特徴とする。
【0014】
また、請求項6に記載される発明は、請求項1の情報記録再生装置において、装置の処理情報が格納される着脱自在の記録媒体をさらに備え、電圧判断手段は、装置起動時において記録媒体に格納されている情報量が所定量か否かによって、判断に用いる起動許可電圧を変更することを特徴とする。
【0015】
また、請求項7、8に記載される発明は、請求項1〜6の情報記録再生装置において、警告手段は、バッテリーの充電を促す表示によって警告を行うこと、または、発光手段や発音手段による点滅や警告音によって警告を行うことを特徴とする。
【0016】
また、請求項9、10に記載される発明は、請求項1〜8の情報記録再生装置において、電圧判断手段の判断により警告手段が警告を行った後、所定時間が経過した後に装置電源をオフすること、または、電圧判断手段の判断により警告手段が警告を行った後、警告の確認操作の後に、または所定時間が経過した後に装置電源をオフすることを特徴とする。
【0017】
また、請求項11に記載のデジタルカメラは、請求項1〜10のいずれか1項に記載の情報記録再生装置を備えたことを特徴とする。
【0018】
前記構成によれば、起動時のバッテリーの充電状態に応じた最適な装置起動、またはバッテリー充電を促す警告を行うことができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、装置購入時に同梱されたバッテリーの充電状態に関わらず、また装置操作に不慣れなユーザーに対しても安心して利用できるように、バッテリー電圧を起動時に確認して最適な装置起動をすることができ、さらに、その要否に応じたバッテリー充電を促す警告ができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態における情報記録再生装置(デジタルカメラ)を示すブロック図
【図2】本実施形態のデジタルカメラの(a)は鏡胴ユニットの収納状態の上部外観図、(b)は鏡胴ユニットの繰出状態の上部外観図、(c)は被写体側の前方外観図、(d)は撮影ユーザー側の後方外観図
【図3】本実施形態のアイコン表示例で、(a)は表示部のバッテリー残量アイコン、(b)は残量フル、(c)は残量ハーフ、(d)は残量ニアエンド、(e)は残量なしのアイコンを示す図
【図4】本実施形態のバッテリーの使用時間に応じた電圧降下を示す電圧図
【図5】本実施形態の自動パワーオフの動作を示す(a)はモニタリングモード、(b)は再生モードのフローチャート
【図6】本実施形態のカメラ起動時で選択モード毎のフローチャート
【図7】本実施形態のカメラの撮影モードで起動時のフローチャート
【図8】本実施形態のカメラ購入後の初回の撮影モード起動時で初期設定を含む動作を示すフローチャート
【図9】本実施形態の撮影モードでのコールドブートまたはホットブートの動作を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明における実施の形態を詳細に説明する。
【0022】
図1は本発明の実施形態における情報記録再生装置であるデジタルカメラを示すブロック図である。また、図2(a)はデジタルカメラの上部外観図で、鏡胴ユニットの収納時の状態、(b)は鏡胴ユニットの繰り出し時の状態、(c)は被写体側から見た前方外観図、(d)は撮影するユーザー側から見た後方外観図である。
【0023】
図1に示すデジタルカメラ(以下、カメラという)1は、撮像レンズ部2にズームレンズ3、フォーカスレンズ4、メカ機構5(すなわち、メカニカルシャッター,絞り,フィルター等から構成)を有する。さらに、ズーム機能を実現するためのズーム制御部3a、被写体に合焦するための機能を持つフォーカス制御部4a、メカ機構5は被写体の明るさを制御する絞り制御やシャッター制御を行う絞り・シャッター制御部5aを有し、起動時にこれらの鏡胴ユニット6を繰り出しあるいは、収納するための鏡胴ユニット収納/繰出制御部6aから構成される。
【0024】
図2(a),(b)には鏡胴ユニットを収納したときの状態と繰り出したときの状態を示し、カメラ1の上部には、レリーズボタン(シャッター)11、モードダイヤル12、電源スイッチ13が搭載されている。モードダイヤル12は撮影を行うための撮影モード、あるいは撮影した写真を表示するための再生モード、あるいは各種設定をするためのセットアップモード、あるいは人物や夜景等を撮影するための各ポートレートモードなど、複数の機能がユーザーに提供され、ユーザーはそれぞれのモードをモードダイヤル12で切り替え所望のモード選択を行う。例えば、撮影するため撮影モードに設定されている場合には、鏡胴ユニット6を繰り出しモニタリングモードになる。
【0025】
モニタリングモード時、すなわちユーザーが被写体を表示部(LCD)15でリアルタイムに見ている状態においては、レリーズボタン11は解放されている状態であり、レンズを通して、受光した像は、受光素子7であるCCD部あるいはCMOS部より電気信号に変換され 画像処理部21へ転送され、その画像は表示部(LCD)15にてリアルタイムで表示されている。通常は1秒間に30フレームで画素数は640×480といった小さい画像が転送され、表示部15に表示される。これにより、ユーザーはリアルタイムで被写体を確認してレリーズボタン11を押す機会を待つ。
【0026】
図2(c)にはSDカード16およびバッテリー17を示している。ユーザーはカメラ1の購入時に、まずカメラ1の蓋部14を開けて、SDカード16の装着およびバッテリー17の装着をする。図1のブロック図で説明すれば、メモリカード部22(SDカード16)は、システム制御部23を含む各種の回路ブロックとシステムバスで繋がっており、撮影した写真すなわち画像情報(例えば、JPEGファイル等)をSDカード16に格納する。バッテリー17は電源回路部18を経由して、各種ブロックに電源を供給している。また電源回路部18よりA/D変換された電圧のデータは、システム制御部23へ接続されており、システム制御部23は電源のオン/オフだけでなくバッテリー17の電圧を監視する。
【0027】
なお、電源回路部18は、システム制御部23とは別に制御される、すなわち別CPUで電源を制御する制御部を有している。バッテリー17の装着時は、カメラ1の電源オフの状態である場合でも、省電力モードで動作している。電源回路部18が、電源スイッチ13の電源オンを検出して、システム制御部23に電源の供給を開始することにより、システム制御部23は起動される。
【0028】
また、電源回路部18には、簡易なメモリを有しており、システム制御部23とシリアル通信を行って、バッテリー17の着脱の有無、装着されてから何回目の起動かといった情報の授受も行っている。このため、電源回路部18においては、バッテリー17が装着された最初の起動で、アプリケーションプログラムの実行前に、メモリ等のハードウェアの初期化処理を行うコールドブートか、この初期化処理を行う必要のないホットブートかを判別することができる。
【0029】
図2(d)は ユーザー側から見たカメラ1の外観図であるが、各種ボタンが搭載されている。各種ボタンおよびモードダイヤル12、レリーズボタン11は図1のブロック図で操作部10に相当する。ユーザーはモニタリング状態より、図2(d)のズームボタン19を操作することで、図1のズーム制御部3aよりズームレンズ3が動作する、これにより望遠の被写体を撮影する場合はTELEボタン19bを押し、近い被写体を撮影する場合はWIDEボタン19aを押す。
【0030】
撮影時に用いるレリーズボタン11は通常2段階のボタンになっている。1段目は、フォーカスすなわちピントを合わせるためのボタンである。このとき図1のフォーカス制御部4aが動作し、フォーカスレンズ4を動かすことで、被写体に最適なピントを合わせる。また絞りは、通常明るい被写体の場合には絞り制御が行われ、暗い被写体の場合は開放される。2段目のボタンを押すことで、撮影が行われる。
【0031】
シャッター速度が1秒の場合は1秒露光し、シャッターを閉じる。画像処理部21は、受光素子7(CCD/CMOS)から受信した デジタルデータ(画像情報)に対して各種画像処理を施すものである。このときに受信するデータは、撮像素子の全画素を使うのが通常であり、近年では10万画素といった高い画素の素子が使われていることも珍しくない。画像処理部21は、受信した生のデータにホワイトバランスなどの色処理を加え、JPEG方式に準拠した圧縮方式により処理を行う圧縮機能を持つ。
【0032】
圧縮されたデータは、第1メモリ部24(揮発性)に展開保管され、デジタルカメラのファイルフォーマットExif準拠となるよう、撮影時の条件やカメラ1の機種名等をJPEGデータのヘッダーとして付加し、撮影したJPEGファイルとしてメモリカード部22に格納する。これにより撮影処理が完了する。
【0033】
USB通信部26は、図示しないパーソナルコンピュータやプリンタなどの外部機器とのJPEGファイルの授受に使用される。モードダイヤル12を再生に切り替えた場合においては、メモリカード部22よりJPEGファイルを取り出し、第1メモリ部24に展開する。画像処理部21において伸長処理を実施し伸長されたデータは、表示部15にて表示されユーザーは撮影した画像を確認することが可能である。
【0034】
時計部27は日付入れ写真など現在の日時を管理するクロックを持ち、バッテリー17が装着されていない場合においても内部の補助電池により動作し日時を管理する。またユーザーは、それぞれの好みに応じた設定を、図2(d)に記載の上下左右の十字ボタン20やOKボタン20aで実施することが可能である。具体的には、撮影サイズを「10M」にするか「5M」にするか、あるいは言語の設定は「日本語」か「英語」か、測光方式は「中央方式」か「マルチ方式」かなどの設定を変更可能である。これらの設定は電源オフしても保持しており保持データは、第2メモリ部25(不揮発性)に保存する。これにより電源を供給されない状態、すなわちバッテリーが装着されていない、あるいは電源オフされた状態においても設定情報を保持している。
【0035】
図3(a)は表示部に表示されるバッテリー残量アイコン、(b)は残量フル、(c)は残量ハーフ、(d)は残量ニアエンド、(e)は残量なしのアイコン表示例を示す図である。この表示により、ユーザーはカメラ1の使用時にバッテリー17の残量がどの程度あるのかを知ることが可能となる。
【0036】
図1のシステム制御部23に格納されているプログラムの電源管理機能は、定期的に電源回路部18のA/Dポートから電圧値を取得している。これにより、バッテリー17の電圧値をチェックし図3(b)〜(d)のいずれかのアイコンを表示部15に表示する。
【0037】
カメラ1のモニタリング時においては、鏡胴ユニット6に電源を提供するため、電圧降下が発生し、またストロボ充電中はさらに電圧降下が発生するため、カメラの動作モードによって、残量フル,残量ハーフ,残量ニアエンドいずれかの電池残量を表示し、このための閾値を電圧テーブルに保管する。(表1)は、カメラ1の動作モードによって、電圧値を変更するバッテリー電圧テーブルである。
【0038】
【表1】

【0039】
図4はバッテリーの使用時間に応じた電圧降下を示す電圧図である。図4において、バッテリーはフル充電中の電圧(V)から図中の右方向の使用時間(Time)の経過に応じて電圧が下がる。撮影モードのモニタリング時においては、「FULL_V」より「MONI_HALF_V」までの電圧であるなら残量フルのアイコン(図3(b))を表示する。
【0040】
また、「MONI_HALF_V」から「MONI_NERA−END_V」までの電圧の場合においては、残量ハーフのアイコン(図3(c))を表示し、「MONI_NERA−END_V」から「MONI_POWER_OFF_V」までの電圧であれば残量ニアエンドのアイコン(図3(d))を表示する。
【0041】
このようにバッテリー17の残量を表示部15に表示し状態を示して、「MONI_POWER_OFF_V」以下となると残量なしのアイコン(図3(e))を表示して、ユーザーにバッテリー17の充電を促す。
【0042】
同様に再生モードにおいては、「PLAY_HALF_V」から「PLAY_NERA−END_V」までの電圧の場合においては、残量ハーフのアイコンを表示し、「PLAY_NERA−END_V」から「PLAY_POWER_OFF_V」までの電圧であれば残量ニアエンドのアイコンを表示する。
【0043】
図5は自動パワーオフの動作を示す(a)はモニタリングモード、(b)は再生モードのフローチャートである。図5(a)に基づき自動パワーオフの動作について説明する。カメラ1がパワーオンされ、モニタリング中(S1)であった場合には、(表1)に示す閾値の「MONI_POWER−OFF_V」以下に電圧が下回ったか否かを定期的に確認し(S2)、下回った場合(S2のYes)に、自動パワーオフの動作を開始する。
【0044】
自動パワーオフの動作としては、まず、鏡胴ユニット6を収納する(S3)。これは、鏡胴ユニット6が出たままで電源をオフしてしまうと、カメラ1がコンパクトな状態にならないばかりか、鏡胴ユニット6をぶつけて壊してしまう危険も増すことになる。このため、「MONI_POWER−OFF_V」の電圧値としては、鏡胴ユニット6を収納するだけの電圧が残っていることが必要条件である。
【0045】
図5(a)の処理S3において、鏡胴ユニット6を確実に収納し、処理S4で表示部15に電池切れを示す残量なしのアイコン(図3(e))の表示を行って、パワーオフを実施するが、これらの鏡胴ユニット6を収納する動作と残量なしのアイコンを表示する動作は並行処理であっても良い。
【0046】
また、図5(b)に示す再生モードにおいては、「PLAY_POWER−OFF_V」の電圧値により確認し、鏡胴ユニット6は収納状態であるため収納する動作(S3)を行うことなく、処理S4’の電池切れ表示を表示する動作を行って、パワーオフの動作を開始する。
【0047】
電池切れ表示(残量なしのアイコン)は所定時間の表示をして、ユーザーに電池切れの通知を行う。これは、カメラ1に備わっている、例えば3分間ユーザーが操作を行わない場合に、カメラ1の電源を自動でオフする機能においても、前述した動作と同じようにパワーオフするため、それと区別するために電池切れ表示を表示させる。また、電池切れ表示をユーザーに認識してもらうため、残量なしのアイコンを点滅させるようにしても良い。
【0048】
この自動パワーオフを開始する閾値電圧も、カメラ1の動作状態によって(表1)に示すような電圧テーブルを持つ。具体的には、モニタリング時は、「MONI_POWER−OFF_V」以下であれば自動パワーオフを行い、再生時においては、「PLAY_POWER−OFF_V」以下になれば自動パワーオフを行う。
【0049】
また、(表2)はカメラ1の起動時に参照され、正常に起動することが可能な電圧値を示す起動許可電圧の電圧テーブルであり、図6はカメラの起動時で選択モード毎の動作を示すフローチャートである。
【0050】
【表2】

【0051】
図6に示すように、カメラ1をパワーオンした後に、撮影モードで起動されたか、再生モードで起動されたか否かを判断する(S11)。これにより、鏡胴ユニット6を繰り出す必要があるか否かを判断している。各モードは前述したモードダイヤル12が撮影モードになっているか、再生モードになっているかで判断することが可能である。
【0052】
撮影モードで起動されている場合(S11のYes)は、さらに、バッテリー17電圧が(表2)に示す「CAP_ENABLE_V」以下の電圧か否かを判断し(S12)、「CAP_ENABLE_V」以下の電圧を検出した場合(S12のYes)に、電池切れ表示(図3(e))を表示部15に所定時間の表示をして(S13)電源を切る。
【0053】
処理S12において、「CAP_ENABLE_V」以上の電圧を検出した場合(S12のNo)に、通常どおり鏡胴ユニット6を繰り出し(S14)、モニタリングモードになる(S15)。
【0054】
また、処理S11で、再生モードで起動されている場合に(S11のNo)は、バッテリー17の電圧が「PLAY_ENABLE_V」以下の電圧か否かを判断し(S16)、「PLAY_ENABLE_V」以下の電圧を検出した場合(S16のYes)に、電池切れ表示を表示部15に所定時間の表示をして(S13)電源を切る。
【0055】
また、処理S16において、「PLAY_ENABLE_V」以上の電圧を検出した場合(S16のNo)に、鏡胴ユニット6を繰り出す動作を行うことなく再生モードになる(S17)。
【0056】
次に、図7はカメラの撮影モードで起動時の動作を示すフローチャートである。購入後に初めてカメラ1を起動する場合には、起動許可電圧「CAP_ENABLE_1_V」を参照する。
【0057】
まず、カメラ1をパワーオンしたときに、購入後の初回の起動か否かの判断をする(S21)。この判断は、前述した図1の第2メモリ部25(不揮発性)を見て判断可能である。具体的には、工場出荷時に第2メモリ部25の所定アドレスに「0xffff」を書き込む。カメラ1の起動時において、第2メモリ部25の所定アドレスを見て「0xffff」であれば、購入後の最初の起動と判断する。
【0058】
その後、第2メモリ部25の所定アドレスに「0x0001」を書き込む。2回目の起動時には、所定アドレスの「0x0001」を見れば、2回目の起動であると判断できる。この所定アドレスに書き込む「0x0001」は同じものを起動の度に繰り返し書き込んでも良い。
【0059】
同様に撮影枚数においても、工場出荷時において、第2メモリ部25の所定アドレスに「0x0000」を書き込む。第2メモリ部25の所定アドレスが「0x0000」であるならば、撮影枚数「0」であると判断する。その後、撮影を行う毎に所定アドレスに「1」を加え、書き込んでいけば、撮影枚数を判断することができる。
【0060】
処理S21において、購入後の初回の起動時のとき(S21のYes)に、バッテリー17の電圧が「CAP_ENABLE_1_V」以下の電圧であるか否かを判断し(S22)、以下であれば(S22のYes)、バッテリー17の充電を促す警告画面の所定時間の表示をして(S23)、パワーオフする。
【0061】
また、処理S21において、購入後の初回の起動ではないとき(S21のNo)に、このカメラ1によって撮影した撮影枚数が0枚か否かの確認を行う(S24)。撮影枚数が0枚(S24のYes)、すなわち1枚も撮影していない場合には、バッテリー17の電圧が「CAP_ENABLE_2_V」以下の電圧であるか否かを判断し(S25)、以下であれば(S25のYes)、バッテリー17の充電を促す警告画面の所定時間の表示をして(S23)、パワーオフする。
【0062】
また、処理S24においては、撮影枚数が0枚でなくとも所定の枚数n以下(例えば、10枚以下)であれば、処理S25における、バッテリー17の電圧を「CAP_ENABLE_2_V」で判断しても良い。これは、カメラ1の操作になれていないユーザーの使い始めとみなされる場合、あるいはカメラ1に装着したSDカード16に格納可能な枚数分の撮影が継続できないと考えられるためである。
【0063】
そして、処理S24の撮影枚数が0枚でない場合(No)に、前述した図6の処理S12以降の処理を実施し、モニタリングモードになる。また、前述の処理S22、処理S25において、バッテリー17の電圧が参照の電圧値以上の場合(No)は、図6の処理S14の鏡胴ユニット6の繰り出し、処理S15のモニタリングモードへ移る。
【0064】
また、再生モードでの起動においても、参照する電圧値として「PLAY_ENABLE_1_V」、「PLAY_ENABLE_2_V」により同様に処理を実行している。
【0065】
また、図8はカメラ購入後の初回の撮影モードでの起動時における初期設定を含む動作を示すフローチャートである。購入後に初めてカメラ1を起動すると、通常は装置を初期設定する動作が行われ、例えば日付の入力を促す日付設定の画面が表示される。これにより、図1に示した日時を管理する時計部27に現在の日時登録が行われ、これに基づき、撮影画像情報に日付等を付与することができる。このため、購入後の初回の起動時に、初期設定の動作が可能な電圧値として、起動許可電圧「CAP_ENABLE_V」を参照する。
【0066】
まず、前述した図7と同様に、カメラ1において、購入後の初回の起動か否かの判断をする(S21)。購入後の初回の起動のとき(S21のYes)に、バッテリー17の電圧が「CAP_ENABLE_V」以下の電圧であるか否かを判断し(S27)、以下であれば(S27のYes)、パワーオフする。
【0067】
処理S27において、「CAP_ENABLE_V」以上の電圧であれば(S27のNo)、日付設定画面を表示(S28)し、ユーザーに日付入力の設定を行うように促す。日付時間を設定して確認操作の後、バッテリー17の電圧が「CAP_ENABLE_1_V」以下の電圧であるか否かを判断し(S22)、以下であれば(S22のYes)、バッテリー17の充電を促す警告画面の所定時間の表示をして(S23)、パワーオフする。
【0068】
また、前述の処理S22においても、バッテリー17の電圧が参照の電圧値以上の場合(No)は、図6の処理S14の鏡胴ユニット6を繰り出して、処理S15のモニタリングモードへ移る。
【0069】
なお、図7、図8における処理S23の警告画面の表示は、所定時間の表示後にパワーオフするが、この警告画面の表示をユーザーが確認した場合の確認操作(例えば、警告画面の「OK」を押す等の操作)後にパワーオフしても良い。
【0070】
また、図8の処理S27でバッテリー17の電圧が「CAP_ENABLE_V」以下のとき(Yes)、パワーオフする処理となるが、処理S23の警告画面を表示できれば良いが、表示できないバッテリー17残量の可能性もある。このため、より電圧を必要としない警告方法として、電源スイッチ13の近傍に発光手段(LED)や発音手段(スピーカー)等を配置し、これらの点滅や警告音により報知する。
【0071】
この警告方法は、処理S23の警告画面の表示に代えて行っても良く、あるいは共に行っても良い。
【0072】
また、カメラ1において、撮影したいタイミングを逃さないためにも、電源投入から撮影可能な状態となるまでの時間は、できるだけ短い方が良い。このため、電源投入後の起動時間を短くした装置が望まれている。電源が投入された後、アプリケーションを起動するブート処理には、コールドブートとホットブートの2種類がある。
【0073】
まず、コールドブートについて説明する。ユーザーがバッテリー17をカメラ1に装着した後で、最初に電源スイッチを入れた場合(パワーオン)には、電源投入直後の誤動作を防ぐため、カメラ1に有するメモリ等のハードウェアを初期化する。その後、カメラ1に必要なアプリケーションを起動するコールドブートが行われる。
【0074】
これに対し、既にバッテリー17がカメラ1に装着されており、一度起動をした後には、ハードウェアの各設定が第2メモリ部25等に格納されている。このため、ホットブートでは、前述のような初期化を行う必要がなく、直ちにカメラ1に必要なアプリケーションを起動することができる。このため、起動時間を短くすることが可能になっている。
【0075】
図9は撮影モードでのコールドブートまたはホットブートの動作にて起動許可電圧を参照するフローチャートを示す図である。
【0076】
まず、前述した電源回路部18において、ユーザーによりカメラ1にバッテリー17が装着されたか否かの判断をする(S31)。コールドブートのとき(S31のYes)は、バッテリー17の電圧が起動許可電圧「CAP_ENABLE_COLD_V」以下か判断する(S32)。以下であれば(S32のYes)、バッテリー17の充電を促す警告画面の所定時間の表示をして(S23)、パワーオフする。
【0077】
処理S31において、ホットブートのとき(S31のNo)は、バッテリー17の電圧が「CAP_ENABLE_HOT_V」以下か判断する(S33)。以下であれば(S33のYes)、バッテリー17の充電を促す警告画面の所定時間の表示をして(S23)、パワーオフする。
【0078】
また、処理S32、処理S33において、バッテリー17の電圧が参照の電圧値以上の場合(No)は、図6に示す処理S14の鏡胴ユニット6の繰り出し、処理S15のモニタリングモードへ移る。
【0079】
なお、参照する「CAP_ENABLE_COLD_V」の電圧値としては、図4の電圧図に示す「CAP_ENABLE_1_V」とすることで、バッテリー17の装着する際に、十分な充電をしてもらうようにする。特に、バッテリー17は、フル充電してから使用する方が、途中充電を何度も繰り返すよりも早く劣化することを防ぎ、長く使用することができる。
【0080】
また、参照する「CAP_ENABLE_HOT_V」の電圧値としては、図4の電圧図に示す「CAP_ENABLE_V」とすることで、早急に撮影したいユーザーの要求に応じ、所望する撮影の機会を逃すことなく撮影することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明によれば、装置購入時に同梱されたバッテリーの充電状態に関わらず、また装置操作に不慣れなユーザーに対しても安心して利用できるように、バッテリー電圧を起動時に確認して最適な装置起動をすること、さらに、その要否に応じたバッテリー充電を促す警告ができ、情報記録再生装置およびデジタルカメラに有用である。
【符号の説明】
【0082】
1 デジタルカメラ
2 撮像レンズ部
3 ズームレンズ
3a ズーム制御部
4 フォーカスレンズ
4a フォーカス制御部
5 メカ機構
5a 絞り・シャッター制御部
6 鏡胴ユニット
6a 鏡胴ユニット収納/繰出制御部
7 受光素子
11 レリーズボタン
12 モードダイヤル
13 電源スイッチ
14 蓋部
15 表示部
16 SDカード
17 バッテリー
18 電源回路部
19 ズームボタン
19a WIDEボタン
19b TELEボタン
20 十字ボタン
20a OKボタン
21 画像処理部
22 メモリカード部
23 システム制御部
24 第1メモリ部
25 第2メモリ部
26 USB通信部
27 時計部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0083】
【特許文献1】特開2003−116031号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源用のバッテリーと、装置起動時に前記バッテリーの出力電圧が起動許可電圧より低いか否かを判断する電圧判断手段と、前記電圧判断手段により前記バッテリーの出力電圧が前記起動許可電圧より低いと判断した場合に警告を行う警告手段と、を備え、
前記電圧判断手段が判断に用いる前記起動許可電圧を装置起動時の状態によって変更することを特徴とする情報記録再生装置。
【請求項2】
前記電圧判断手段は、装置起動時の状態が再生モードまたは撮影モードのいずれかによって、判断に用いる前記起動許可電圧を変更することを特徴とする請求項1記載の情報記録再生装置。
【請求項3】
前記電圧判断手段は、装置起動時の状態が購入後の初回の起動か否かによって、判断に用いる前記起動許可電圧を変更することを特徴とする請求項1記載の情報記録再生装置。
【請求項4】
前記電圧判断手段は、前記購入後の初回の起動時には、第1の起動許可電圧を用いて判断し、日付設定を行った後には、前記第1の起動許可電圧より大きい第2の起動許可電圧を用いて判断を行うことを特徴とする請求項3記載の情報記録再生装置。
【請求項5】
前記電圧判断手段は、着脱自在な前記バッテリーが取り外した状態から取り付けた状態となった後の初めての起動か否かによって、判断に用いる前記起動許可電圧を変更することを特徴とする請求項1記載の情報記録再生装置。
【請求項6】
装置の処理情報が格納される着脱自在の記録媒体をさらに備え、
前記電圧判断手段は、装置起動時において前記記録媒体に格納されている情報量が所定量か否かによって、判断に用いる前記起動許可電圧を変更することを特徴とする請求項1記載の情報記録再生装置。
【請求項7】
前記警告手段は、前記バッテリーの充電を促す表示によって警告を行うことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の情報記録再生装置。
【請求項8】
前記警告手段は、発光手段や発音手段による点滅や警告音によって警告を行うことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の情報記録再生装置。
【請求項9】
前記電圧判断手段の判断により警告手段が警告を行った後、所定時間が経過した後に装置電源をオフすることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の情報記録再生装置。
【請求項10】
前記電圧判断手段の判断により警告手段が警告を行った後、前記警告の確認操作の後に、または所定時間が経過した後に装置電源をオフすることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の情報記録再生装置。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の情報記録再生装置を備えたことを特徴とするデジタルカメラ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2010−193345(P2010−193345A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−37622(P2009−37622)
【出願日】平成21年2月20日(2009.2.20)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】