説明

情報記録装置、情報再生装置、情報記録方法、情報再生方法および光情報記憶媒体

【課題】安定した情報の記録や再生を行うことが可能な、情報記録装置、情報再生装置、情報記録方法、情報再生方法および光情報記憶媒体を提供する。
【解決手段】本発明によれば、照射する光強度に応じて屈折率が変質する記録材料からなり、既に屈折率が変質している変質層と、屈折率が未だ変質していない非変質層と、が交互に複数存在する多層化された光情報記録媒体に対して、情報を記録する情報記録装置であって、所定の波長を有する記録光を射出する光源と、前記光源から射出した前記記録光の焦点位置を制御する焦点位置制御部と、前記焦点位置制御部の後段に配置され、前記記録光を集光する対物レンズと、を備え、前記記録光により前記焦点位置における前記記録材料の屈折率を変質させて、情報を記録マークとして前記光情報記録媒体に記録する情報記録装置が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報記録装置、情報再生装置、情報記録方法、情報再生方法および光情報記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光情報記録媒体としては、円盤状の光ディスクが広く普及しており、一般的に、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、および、Blu−Ray Disc(登録商標、以下BDとも称する。)等が用いられている。
【0003】
一方、かかる光ディスクに対応した光ディスク装置では、音楽コンテンツや映像コンテンツ等の各種コンテンツ、あるいはコンピュータ用の各種データ等のような種々の情報を、当該光ディスクに記録することが行われている。特に近年では、映像の高精細化や音楽の高音質化等により情報量が増大し、また1枚の光ディスクに記録するコンテンツ数の増加が要求されているため、光ディスクのさらなる大容量化が求められている。
【0004】
そこで、光ディスクを大容量化する手法の一つとして、2系統の光ビームを干渉させて記録媒体内に微小なホログラムを形成することにより、情報を記録するようになされたものが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
【特許文献1】特開2006−78834号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載の方法では、回転され振動する光ディスクに対して、情報を記録したい箇所に2種類の光ビームの焦点位置を同時に合わせるといった高度な制御が必要となり、かかる方法を用いた光ディスク装置の構成が複雑なものとなってしまうために、安定した情報の記録や再生が困難であるという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的は、安定した情報の記録や再生を行うことができ、良好な信号雑音比を得ることが可能な、新規かつ改良された情報記録装置、情報再生装置、情報記録方法、情報再生方法および光情報記憶媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、照射する光強度に応じて屈折率が変質する記録材料からなり、既に屈折率が変質している変質層と、屈折率が未だ変質していない非変質層と、が交互に複数存在する多層化された光情報記録媒体に対して、情報を記録する情報記録装置であって、所定の波長を有する記録光を射出する光源と、前記光源から射出した前記記録光の焦点位置を制御する焦点位置制御部と、前記焦点位置制御部の後段に配置され、前記記録光を集光する対物レンズと、を備え、前記記録光により前記焦点位置における前記記録材料の屈折率を変質させて、情報を記録マークとして前記光情報記録媒体に記録する情報記録装置が提供される。
【0009】
かかる構成によれば、光源は、所定の波長を有する記録光を照射し、焦点位置制御部は、光源から射出した記録光の焦点位置を制御し、対物レンズは、記録光を光情報記録媒体の所定箇所に集光する。記録光の集光位置における光情報記録媒体の記録材料は、記録光により屈折率が変化し、情報が記録されることとなる。かかる情報記録装置は、いわゆる閾値特性を有する光情報記録媒体に情報を記録するため、安定した情報の記録を行うことが可能である。
【0010】
前記記録光の焦点深度は、前記変質層及び/又は前記非変質層の厚み以上であってもよい。
【0011】
前記記録光の波長は、前記記録材料が感度を有する波長であってもよい。
【0012】
前記焦点位置制御部は、前記記録光の焦点位置を、前記非変質層が存在する位置となるように制御し、前記記録光は、前記非変質層における前記記録材料の屈折率を変質させて、前記記録マークを記録してもよい。
【0013】
前記焦点位置制御部は、前記記録光の焦点位置を、前記変質層が存在する位置となるように制御し、前記記録光は、前記変質層における前記記録材料の屈折率を変質させて、前記記録マークを記録してもよい。
【0014】
前記焦点位置制御部は、1または複数の光学部材で構成され、前記1または複数の光学部材の位置を変更することで、前記記録光の焦点位置を制御してもよい。
【0015】
前記焦点位置制御部は、リレーレンズまたはコリメータレンズで構成されてもよい。
【0016】
上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、照射する光強度に応じて屈折率が変質する記録材料からなり、既に屈折率が変質している変質層と、屈折率が未だ変質していない非変質層と、が交互に複数存在しており、情報が前記変質層または前記非変質層に前記屈折率の変化を伴う記録マークとして記録されている光情報記録媒体から、記録されている前記記録マークを読み取って再生する、情報再生装置であって、所定の波長を有する読み出し光を射出する光源と、前記光源から射出した前記読み出し光の焦点位置を制御する焦点位置制御部と、前記焦点位置制御部の後段に配置され、前記読み出し光を集光する対物レンズと、前記記録マークからの前記読み出し光に応じた戻り光を検出する光検出部と、を備える情報再生装置が提供される。
【0017】
かかる構成によれば、光源は、所定の波長を有する読み出し光を射出し、焦点位置制御部は、光源から射出した読み出し光の焦点位置を制御し、対物レンズは、読み出し光を光情報記録媒体の記録マークに集光し、光検出部は、記録マークからの読み出し光に応じた戻り光を検出する。かかる情報再生装置は、検出した戻り光に基づいて再生信号を生成し、光情報記録媒体に記録された情報を再生することが可能となる。
【0018】
前記読み出し光の焦点深度は、前記変質層及び/又は前記非変質層の厚み以上であってもよい。
【0019】
前記読み出し光の波長は、前記記録マークの記録に用いられた記録光の波長と同一であってもよい。
【0020】
前記読み出し光の波長は、前記記録マークの記録に用いられた記録光の波長に対する前記記録材料の感度と比較して、感度が小さい波長であってもよい。
【0021】
前記焦点位置制御部は、前記読み出し光の焦点位置を、前記非変質層が存在する位置となるように制御し、前記検出部は、前記非変質層における前記記録マークからの戻り光を検出してもよい。
【0022】
前記焦点位置制御部は、前記読み出し光の焦点位置を、前記変質層が存在する位置となるように制御し、前記検出部は、前記変質層における前記記録マークからの戻り光を検出してもよい。
【0023】
前記焦点位置制御部は、1または複数の光学部材で構成され、前記1または複数の光学部材の位置を変更することで、前記読み出し光の焦点位置を制御してもよい。
【0024】
前記焦点位置制御部は、リレーレンズまたはコリメータレンズで構成されてもよい。
【0025】
前記光情報記録媒体は、2本の初期化光線により初期化され、前記2本の初期化光線の一方は、前記光情報記録媒体の一側の平面から当該光情報記録媒体へと入射し、前記2本の初期化光線の他方は、前記光情報記録媒体の他側の平面から当該光情報記録媒体へと入射してもよい。
【0026】
前記2本の初期化光線の前記光情報記録媒体の平面に対する入射角度の大きさは、等しくてもよい。
【0027】
前記変質層および前記非変質層の厚みがΔD[nm]となるように波長λ[nm]の前記初期化光線を用いて初期化が行われ、前記2本の初期化光線の入射角度θは、以下の式1から得られる値であってもよい。
【0028】
【数2】

【0029】
前記光情報記録媒体は、前記記録材料に対して光感度を有する波長の初期化光線によって初期化されたものであってもよい。
【0030】
前記初期化光線は、平行光線であってもよい。
【0031】
前記初期化光線のビーム径は、前記記録材料を全面照射可能である大きさを有してもよい。
【0032】
上記課題を解決するために、本発明の更に別の観点によれば、照射する光強度に応じて屈折率が変質する記録材料からなり、既に屈折率が変質している変質層と、屈折率が未だ変質していない非変質層と、が交互に複数存在する多層化された光情報記録媒体に対して、情報を記録する情報記録方法であって、光源から射出した所定の波長を有する記録光について、当該記録光の焦点位置を制御して、前記光情報記録媒体の所定の層に前記記録光を照射するステップと、前記記録光が照射された前記所定の層における前記記録材料の屈折率を変質させ、情報を、屈折率の変化を伴う記録マークとして記録するステップと、を含む情報記録方法が提供される。
【0033】
かかる構成によれば、記録光を照射するステップでは、光源から射出した所定の波長を有する記録光の焦点位置を制御して、光情報記録媒体の所定の層に記録光を照射し、情報を記録するステップでは、記録光が照射された記録材料の屈折率を変質させ、情報を記録マークとして記録する。かかる情報記録方法によれば、屈折率が既に変質している変質層と、屈折率が未だ変質していない非変質層とが交互に複数存在する光情報記録媒体に対して情報の記録を行うために、安定した情報の記録を行うことが可能である。
【0034】
上記課題を解決するために、本発明の更に別の観点によれば、照射する光強度に応じて屈折率が変質する記録材料からなり、既に屈折率が変質している変質層と、屈折率が未だ変質していない非変質層と、が交互に複数存在しており、情報が前記変質層または前記非変質層に前記屈折率の変化を伴う記録マークとして記録されている光情報記録媒体から、記録されている前記記録マークを読み取って再生する、情報再生方法であって、光源から射出した所定の波長を有する読み出し光について、当該読み出し光の焦点位置を制御して、前記光情報記録媒体の所定の層における前記記録マークに対して前記読み出し光を照射するステップと、前記記録マークからの前記読み出し光の戻り光を検出するステップと、検出した前記戻り光に基づいて前記情報の再生信号を生成するステップと、を含む情報再生方法が提供される。
【0035】
かかる構成によれば、読み出し光を照射するステップでは、光源から射出した所定の波長の読み出し光の焦点位置を制御して、光情報記録媒体の所定の層に読み出し光を照射し、記録マークからの読み出し光の戻り光を検出するステップでは、光情報記録媒体中に記録された記録マークからの戻り光を検出し、情報の再生信号を生成するステップでは、検出した戻り光に基づいて、光情報記録媒体に記録された情報の再生信号を生成する。かかる情報再生方法によれば、屈折率が既に変質している変質層と、屈折率が未だ変質していない非変質層とが交互に複数存在する光情報記録媒体から情報の読み取りを行うために、安定した情報の再生を行うことが可能である。
【0036】
上記課題を解決するために、本発明の更に別の観点によれば、照射する光強度に応じて屈折率が変質する記録材料からなる、多層化された光情報記録媒体であって、既に屈折率が変質している変質層と、屈折率が未だ変質していない非変質層と、が交互に複数存在し、情報が、前記変質層または前記非変質層に前記屈折率の変化を伴う記録マークとして記録されており、前記変質層または前記非変質層に記録された前記記録マークは、当該記録マークに隣接する前記非変質層または前記変質層に接している光情報記録媒体が提供される。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、いわゆる閾値特性を有する光情報記録媒体に対して、1種類の光線を用いて情報の記録や再生を行うため、安定した情報の記録や再生を行うことが可能であり、良好な信号雑音比を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0039】
(第1の実施形態)
(光情報記録媒体10について)
まず、図1および図2を参照しながら、本発明の第1の実施形態に係る情報記録装置および情報再生装置で用いられる光情報記録媒体について、詳細に説明する。図1および図2は、本実施形態に係る光情報記録媒体10について説明するための説明図である。
【0040】
本実施形態に係る光情報記録媒体10は、所定波長の光線により屈折率が変質しうる記録材料101と、記録材料101の両側に配置されるカバー層(図示せず。)と、を備える。また、光情報記録媒体10は、正方形板状や長方形板状に形成されてもよく、例えば光ディスク等のように円盤状に形成されてもよい。
【0041】
記録材料101は、所定の波長の光によって、その屈折率が変化する(変質する)化合物である。記録材料101の屈折率は、例えば、光が有するエネルギーによる加熱や、光が有するエネルギー自体によって生じる様々な変化の結果、変質する。記録材料101に生じる変化は、例えば、記録材料101の硬さ等が変化したり、記録材料101が結晶相からアモルファス相もしくはアモルファス相から結晶相へと相変化したりするような、物理的な変化や、記録材料101に光化学反応が生じ、モノマーがオリゴマーやポリマーに変化したり、ポリマー同士が架橋したりするような、記録材料101の新たな化合物への変化や、新たに生成された化合物が析出したり凝集したりするような化学的な変化等がある。
【0042】
上記のような変化が生じうる記録材料101としては、例えば、熱硬化性樹脂等のサーモプラスチックや、光重合型フォトポリマーや光架橋型フォトポリマー等のフォトポリマーや、強誘電体や常誘電体の結晶を利用したフォトリフラクティブ結晶や、ホログラム記録材料等を利用することが可能である。また、本実施形態に係る記録材料としては、上記のものに限定されるわけではなく、光照射により屈折率の変化が生じうる物質であれば、任意のものを使用することが可能である。また、以下で説明するような初期化処理および信号記録処理に要する時間は、記録材料101の光感度等により決定されるため、光感度の良い記録材料を用いることで、初期化に要する時間や記録時の転送レートを向上させることが可能である。
【0043】
カバー層は、上述した初期化光線の波長に対して、十分な透過率を有する材質(換言すれば、初期化光線の波長の光を吸収しない材質)を用いて形成される層であり、カバー層の厚みは、必要とされる初期化光線の透過率が得られるように適宜調整される。このカバー層は、例えば、ガラス基板や、ポリカーボネート等のプラスチック樹脂基板等を用いて形成可能である。
【0044】
なお、記録材料101単独で光情報記録媒体10として必要とされる性能や耐久性を実現可能である場合には、記録材料101の両側にカバー層は配置されなくともよい。
【0045】
上記のような光情報記録媒体10の記録材料101は、図1に示したように、記録材料101が未だ変質していない層(非変質層)103と、既に変質した層(変質層)105と、が交互に複数存在するように、所定の初期化処理によって初期化される。非変質層103と変質層105とが交互に複数層存在することで、かかる光情報記録媒体10は、いわゆる閾値特性を有する情報記録媒体として機能する。
【0046】
光情報記録媒体10の初期化処理は、例えば図2に示したように、2本の初期化光線(初期化光線1および初期化光線2)を用いて行われる。かかる初期化光線として、可干渉性を有し、記録材料101に対して光感度を有する波長の平行光線が用いられる。初期化光線1は、図2に示したように、光情報記録媒体10の一側の面から入射し、初期化光線2は、光情報記録媒体10の他側の面から入射する。この際、初期化光線1の光情報記録媒体10への入射角度の大きさと、初期化光線2の光情報記録媒体10への入射角度の大きさが等しくなるように、各初期化光線の光路が調整される。ここで、初期化光線の光情報記録媒体への入射角度は、初期化光線の光軸と、光情報記録媒体10の平面と平行な基準軸12とのなす角として定義される。また、初期化光線1および初期化光線2のビーム径は、光情報記録媒体10の全面を照射可能である大きさを有することが好ましい。
【0047】
可干渉性を有する初期化光線1および初期化光線2が光情報記録媒体10に入射すると、これらの初期化光線は光情報記録媒体10中で干渉して、記録材料101中で定在波が発生する。光情報記録媒体10中の記録材料101は、この定在波の強度分布に起因して、物理的及び/又は化学的に変質する。その結果、光情報記録媒体10の内部には、図1に示したような、非変質層103と、変質層105とが、交互に形成される。換言すれば、初期化処理とは、光情報記録媒体10に所定波長の光を照射して、光情報記録媒体10内全体に巨大なホログラムを記録する処理であるともいえる。また、初期化光線1と初期化光線2の入射角度が基準軸12に対して±θの場合(すなわち、初期化光線1と初期化光線2の入射角度が基準軸12に対して対称の場合)には、非変質層103と変質層105との界面は、基準軸12に対して平行となる。
【0048】
光情報記録媒体10中の記録材料101内に形成される非変質層103および変質層105の層の厚みΔD[nm]は、光情報記録媒体10中に発生する定在波に依存する。光情報記録媒体10に入射する初期化光線の波長がλ[nm]であり、初期化光線が光情報記録媒体10に入射角度θで入射する場合には、層の厚みΔDは、以下の式101で表される。
【0049】
【数3】

【0050】
初期化光線の波長λは、上述のように、光情報記録媒体10中の記録材料101に対して光感度を有する波長に固定されるため、光情報記録媒体10への入射角度θを制御することで、非変質層103および変質層105の層の厚みを任意の値に制御することが可能であり、形成される非変質層103および変質層105の層数を制御することができる。
【0051】
つまり、初期化光線の光情報記録媒体10への入射角度θが以下の式102で算出される値となるように制御することで、非変質層103および変質層105の厚みを、所望の厚みにすることが可能である。
【0052】
【数4】

【0053】
光情報記録媒体10内の記録材料101に形成された非変質層103または変質層105は、各種情報が記録される記録層として機能することとなる。この場合に、非変質層103を記録層として利用するのか、変質層105を記録層として利用するのかは、記録材料101に生じた変質により、適宜選択することが可能である。
【0054】
初期化が行われた光情報記録媒体10は、上記のような非変質層103および変質層105が記録材料101中に交互に形成されることで、情報が記録可能な層(記録層)と不可能な層が明確に区分されることとなる。従って、初期化が行われた光情報記録媒体10は、いわゆる閾値特性を有することとなる。また、非変質層103および変質層105の厚みΔDは、後述する記録光学系における焦点深度以下であることが好ましい。
【0055】
なお、図1では、非変質層103および変質層105が、それぞれ2層ずつ形成された場合について図示しているが、光情報記録媒体10中の記録材料101内に形成される非変質層103や変質層105の層数は上記の例に限定されるわけではなく、任意の層数を有する多層構造を形成することが可能である。
【0056】
ここで、上記記録材料101として、例えば、光重合型フォトポリマーを用いた光情報記録媒体10に対して初期化を行った場合には、光情報記録媒体中に発生する定在波の強度分布に応じて光重合反応が進行し、記録材料101中のモノマーがモノマーのまま存在している層(非変質層103)と、記録材料101中のモノマーが重合してポリマーとなった層(変質層105)とが形成されることとなる。また、変質層105においては、光重合反応だけでなく、光架橋反応が進行してもよい。
【0057】
(情報記録装置20について)
続いて、図3および図4を参照しながら、本実施形態に係る情報記録装置20について、詳細に説明する。図3は、本実施形態に係る情報記録装置20を説明するための説明図であり、図4は、本実施形態に係る焦点位置制御部の一例について説明するための説明図である。
【0058】
本実施形態に係る情報記録装置20は、CPU(Central Processing Unit)やROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を有する記録装置制御部(図示せず。)により全体を統括制御するように構成されており、未図示のROMや記憶部等に格納された基本プログラムや情報記録プログラム等の各種プログラムを読み出し、これらのプログラムを未図示のRAM等に展開することで、光情報記録媒体への情報記録処理を行うことが可能である。
【0059】
本実施形態に係る情報記録装置20は、図3に示したように、光源201と、焦点位置制御部203と、対物レンズ209と、を備え、上述のような初期化処理が施された光情報記録媒体10に対して、情報を記録する。
【0060】
光源201は、所定の波長を有する光線を射出する。射出する光線の波長や光パワー等は、光情報記録媒体10に情報として記録する記録マークの大きさ等に応じて、任意の値とすることが可能である。光源201が射出する光線の波長として、例えば、405nm〜780nm程度の可視光線を利用することが可能であり、405nm未満の可視光線や紫外光を利用することも可能である。また、射出する光線の光パワーは、光情報記録媒体10の記録材料101を変質させるために要する時間を決定づける要因の一つであり、情報記録装置20の仕様や光情報記録媒体10の材質等に応じて、任意の値とすることが可能である。
【0061】
上記のような光源201の一例として、例えば、固体レーザーや半導体レーザー等を使用することが可能である。
【0062】
本実施形態に係る情報記録装置20は、かかる光源201から射出された光線(光束)を、光情報記録媒体10に情報を記録する記録光として利用する。なお、この記録光の波長は、記録材料が感度を有する波長とすることが好ましい。
【0063】
焦点位置制御部203は、後述する対物レンズ209とともに用いられ、光源201から射出した記録光である光束Aの焦点位置を制御する。通常、光束Aの焦点位置は、情報記録装置20に用いられる対物レンズ209の焦点距離等によって基準となる位置が決まるが、本実施形態に係る焦点位置制御部203は、1または複数の光学部材を用いることで、光束Aの焦点位置を変更することが可能である。この焦点位置制御部203については、以下で改めて詳細に説明する。
【0064】
対物レンズ209は、焦点位置制御部203の後段に配置され、光源201から射出した記録光である光束Aを、対物レンズ209の焦点距離の位置に集光する。また、対物レンズ209の開口数(Numerical Aperture:NA)を適宜選択することで、光束Aのスポット径を制御することが可能である。対物レンズ209として、例えば、0.45〜0.85の開口数を有する対物レンズを選択することが可能である。また、図3および図4では、対物レンズ209として1枚の両凸レンズを例示しているが、本発明に係る対物レンズ209は、上記のものに限定されるわけではなく、非球面レンズを用いることも可能であり、複数のレンズからなる対物レンズを用いることも可能である。
【0065】
(焦点位置制御部203について)
焦点位置制御部203としては、例えば、リレーレンズやコリメータレンズ等の光学部材を用いることが可能である。以下の説明では、例えば図4に一例を示したように、焦点位置制御部203として、可動レンズ205と固定レンズ207からなるリレーレンズを用いる場合について詳細に説明するが、本実施形態に係る焦点位置制御部203が上記のものに限定されるわけではなく、光学系の焦点位置を制御可能なものであれば、任意のものを使用可能である。焦点位置制御部203は、対物レンズ209の前段に配置され、可動レンズ205の位置を未図示の駆動装置等によって変化させることで、対物レンズ209により集光される光束Aの焦点位置を変更する。
【0066】
リレーレンズは、可動レンズ205が所定の基準位置にある場合には、光束Aは、対物レンズ209によって、基準となる焦点位置(基準焦点位置)に集光される。また、可動レンズ205を基準位置よりも手前に移動させ、固定レンズ207よりも遠ざける(すなわち、可動レンズ205を光源201側に移動させる)と、光束Aは、基準焦点位置より前面に焦点を結ぶこととなる。逆に、可動レンズ205を基準位置よりも奥に移動させ、固定レンズ207に近づける(すなわち、可動レンズ205を対物レンズ209側に移動させる)と、光束Aは、基準焦点位置より後面に焦点を結ぶこととなる。かかる方法を用いることで、光束Aが焦点を結ぶ位置を制御することが可能となり、光束Aを光情報記録媒体10における情報を記録しようとする位置に集光させることができる。
【0067】
なお、かかるリレーレンズは、焦点位置制御部203のあくまでも一例であって、本発明に係る情報記録装置20における焦点位置制御部203が上記のものに限定されるわけではなく、例えば、レンズの位置を変更するための駆動装置が接続されたコリメータレンズ等を用いることが可能である。
【0068】
(情報の記録方法について)
続いて、図5を参照しながら、いわゆる閾値特性を有する多層化された光情報記録媒体10に、情報を記録マークとして記録する方法について、詳細に説明する。図5は、本実施形態に係る情報記録方法について説明するための説明図である。
【0069】
本実施形態に係る情報記録装置20は、例えば2値化された情報が値「1」の時には記録マークを記録し、逆に2値化された情報が値「0」の時には記録マークを記録しないように対応づけることで、光情報記録媒体10に対して情報の記録を行うことが可能である。
【0070】
焦点位置制御部203および対物レンズ209により所定の焦点位置に集光するように制御された光束A(記録光)は、図5に示したように、光情報記録媒体10の所定の非変質層103に集光される。ここで、図5の上下に記載されている曲線は、記録光のビームスポットの曲線である。記録光が集光した非変質層103における記録材料101は、記録光が記録材料に変質を生じさせるために十分な光パワーを有しているため、集光した記録光により変質層105と同様の屈折率となるまで変質し、記録マーク107となる。非変質層103においては、記録マーク107が存在する部分と、記録マーク107が存在しない部分とで屈折率が異なっているため、情報の有無を区別することができる。
【0071】
本実施形態に係る光情報記録媒体10は、上述のような初期化処理によって、非変質層103および変質層105の各層厚が記録光の焦点深度以下となっているため、非変質層103内で変質した記録材料101は、記録時の非変質層103に隣接する変質層105に接することとなる。また、記録光の焦点深度前後の部分も、記録材料101を変質させうる程度の光パワーを有している場合があるが、本実施形態に係る光情報記録媒体10は、非変質層103に隣接する変質層105は、初期化処理によって予め変質しているため、これ以上変質することがない。従って、本実施形態に係る情報記録装置20により情報が記録された光情報記録媒体10は、記録マークが記録光の光軸方向に局在化しており、変質部分と非変質部分とを明確に区別することができる。そのため、信号雑音比(Signal to Noise Ratio:SNR)の良い情報の記録を行うことが可能である。
【0072】
(記録マークの具体例)
続いて、記録材料101の具体例を挙げながら、本実施形態に係る記録マーク107について説明する。例えば、記録材料101として光重合型フォトポリマーを用いた場合には、初期化処理によって、非変質層103に該当するモノマー層と、変質層105に該当するポリマー層とが交互に形成される。この非変質層103に記録光が集光されることにより、集光箇所のモノマーがポリマーへと変質し、記録マーク107が生成する。その結果、記録マーク107における記録材料101の屈折率は、記録マーク107が存在しない非変質層103における記録材料101の屈折率と異なることとなり、記録マーク107の有無が明確に判断可能となる。
【0073】
(情報再生装置30について)
続いて、図6を参照しながら、本実施形態に係る情報再生装置30について、詳細に説明する。図6は、本実施形態に係る情報再生装置30を説明するための説明図である。
【0074】
本実施形態に係る情報再生装置30は、CPU(Central Processing Unit)やROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を有する再生装置制御部(図示せず。)により全体を統括制御するように構成されており、未図示のROMや記憶部等に格納された基本プログラムや情報再生プログラム等の各種プログラムを読み出し、これらのプログラムを未図示のRAM等に展開することで、光情報記録媒体から情報を読み出し、再生することが可能である。
【0075】
本実施形態に係る情報再生装置30は、図6に示したように、光源301と、光線分岐部であるビームスプリッター303と、焦点位置制御部305と、対物レンズ307と、集光レンズ309と、光検出器311と、を備え、上述のような初期化処理が施された光情報記録媒体10に記録された情報(記録マーク)を読み出して、再生する。
【0076】
光源301は、所定の波長を有する光線を射出する。射出する光線の波長や光パワー等は、光情報記録媒体10に情報として記録された記録マークの大きさ等に応じて、任意の値とすることが可能である。光源301が射出する光線の波長として、例えば、405nm〜780nm程度の可視光線を利用することが可能であり、405nm未満の可視光線や紫外光を利用することも可能である。また、射出する光線の光パワーは、光情報記録媒体10の記録材料101に変質を生じさせないために、上記記録光よりも弱いパワーであることが好ましい。なお、光源301から射出される光線の波長は、上記記録光の波長と同一であってもよい。
【0077】
上記のような光源301の一例として、例えば、固体レーザーや半導体レーザー等を使用することが可能である。
【0078】
本実施形態に係る情報再生装置30は、かかる光源301から射出された光線(光束)を、光情報記録媒体10から情報を読み出す読み出し光として利用する。
【0079】
光線分岐部であるビームスプリッター303は、光源301から射出された読み出し光を光情報記録媒体10側に透過するとともに、光情報記録媒体10に記録された記録マークからの戻り光を分岐して、後述する光検出器311側へと導く。
【0080】
焦点位置制御部305は、後述する対物レンズ307とともに用いられ、光源301から射出した読み出し光である光束Aの焦点位置を制御する。通常、光束Aの焦点位置は、情報再生装置30に用いられる対物レンズ307の焦点距離等によって基準となる位置が決まるが、本実施形態に係る焦点位置制御部305は、1または複数の光学部材を用いることで、光束Aの焦点位置を変更することが可能である。この焦点位置制御部305は、本実施形態に係る情報記録装置20における焦点位置制御部203と機能が同一で、同じような効果を奏するものであるので、詳細な説明は省略する。
【0081】
対物レンズ307は、焦点位置制御部305の後段に配置され、光源301から射出した読み出し光である光束Aを、対物レンズ307の焦点距離の位置に集光する。また、対物レンズ307の開口数を適宜選択することで、光束Aのスポット径を制御することが可能である。対物レンズ307として、例えば、0.45〜0.85の開口数を有する対物レンズを選択することが可能である。また、図6では、対物レンズ307として1枚の両凸レンズを例示しているが、本発明に係る対物レンズ307は、上記のものに限定されるわけではなく、非球面レンズを用いることも可能であり、複数のレンズからなる対物レンズを用いることも可能である。
【0082】
集光レンズ309は、ビームスプリッター303により分岐された光線を集光するように配置され、光情報記録媒体10からの戻り光を、集光レンズ309の後段に設けられた光検出器311に集光する。また、図6では、集光レンズ309として1枚の両凸レンズを例示しているが、本発明に係る集光レンズ309は、上記のものに限定されるわけではなく、非球面レンズを用いることも可能であり、複数のレンズからなる集光レンズを用いることも可能である。
【0083】
光検出器311は、集光レンズ309によって集光された光情報記録媒体10からの戻り光を検出する。光検出器311として、例えば、CCD(Charge Coupled Device)や、PINフォトダイオード等の受光素子を用いることが可能である。光検出器311では、戻り光の有無を、検出した光量の違いに基づいて判断する。例えば、光検出器311が検出した光量が所定の光量以上であれば戻り光があると判断し、所定の光量未満であれば戻り光がないと判断してもよい。このように、光検出器311では、光量の違いを検出することで、戻り光の有無、すなわち、記録マークの有無を判別することが可能である。
【0084】
なお、図6に示した構成は、情報再生装置30としてだけではなく、情報記録再生装置としても用いることが可能である。
【0085】
(情報の再生方法について)
続いて、図5および図6を参照しながら、本実施形態に係る情報の再生方法について、詳細に説明する。
【0086】
本実施形態に係る情報再生装置30は、例えば、光検出器311により戻り光が観測されたときには記録マークがないと判断し、戻り光が観測されないときには記録マークがあると判断する。そこで、例えば、記録マークが観測された場合には2値化された情報が値「1」であると対応付け、逆に記録マークが観測されない場合には2値化された情報が値「0」であると対応づけることで、光情報記録媒体10から情報の読み取りを行うことが可能である。
【0087】
このようにして検出された2値化された情報の並びを再生信号とし、例えば再生装置制御部(図示せず。)のCPU等により実行することで、光情報記録媒体10に記録されている情報の再生を行うことが可能である。
【0088】
焦点位置制御部305および対物レンズ307により所定の焦点位置に集光するように制御された光束A(読み出し光)は、図5に示したように、光情報記録媒体10の所定の非変質層103に集光される。この際、読み出し光の光パワーは、非変質層103を変質させないようにするために、上述した記録光よりも低い光パワーであることが好ましい。また、読み出し光の波長は、記録材料が感度を有さない波長であることが好ましい。読み出し光が集光した箇所が、情報記録装置20によって信号記録がなされた箇所(すなわち、記録マーク107が存在する箇所)である場合には、記録マーク107とこの記録マークに隣接する変質層105との間に屈折率差が存在しないため、反射光(すなわち、戻り光)は発生しない。一方で、読み出し光が集光した箇所が、情報記録装置20によって信号記録がなされなかった箇所(すなわち、記録マーク107が存在しない箇所)である場合には、記録をおこなわなかった箇所の屈折率は変質しておらず、隣接する変質層105との間で屈折率差が存在するため、反射光(すなわち、戻り光)が発生する。
【0089】
戻り光は、対物レンズ307を通過した後平行光となり、ビームスプリッター303により分岐された戻り光が、集光レンズ309により集光されて光検出器311に入射し、光検出器311によって検出される。
【0090】
本実施形態に係る光情報記録媒体10は、上述した初期化処理によって、非変質層103と変質層105との界面が明確なものとなっているに加えて、非変質層103中に形成された記録マーク107が、隣接する変質層105と接するように形成されている。従って、本実施形態に係る情報再生装置30により記録マークを読み出す際にも、記録マークが存在する部分と、記録マークが存在しない部分との界面が明確であり、界面における迷光に起因する読み取り誤差を減少させることが可能である。従って、本実施形態に係る情報再生装置30は、信号雑音比(Signal to Noise Ratio:SNR)の良好な情報の再生を行うことが可能である。
【0091】
以上説明したように、本実施形態に係る情報記録装置20および情報再生装置30では、いわゆる閾値特性を有する光情報記録媒体に対して、1種類の光線を用いて情報の記録や再生を行うため、安定した情報の記録や再生を行うことが可能である。
【0092】
また、簡素な光初期化装置によって初期化された記録材料と、従来の光ディスクと同様のシステムによって、情報記録装置や情報再生装置を構成することが可能であるため、情報記録装置や情報再生装置が安価で作製可能であり、また、従来の光ディスクと互換性をとることが容易となる。
【0093】
さらに、本実施形態に係る光情報記録媒体は、複雑な構成を必要としないため、安価な光情報記録媒体を作製することが可能である。
【0094】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0095】
例えば、上述した実施形態においては、非変質層に情報を記録マークとして記録する場合について説明したが、変質層に情報を記録マークとして記録してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明の一実施形態に係る光情報記録媒体について説明するための説明図である。
【図2】同実施形態に係る光情報記録媒体について説明するための説明図である。
【図3】同実施形態に係る情報記録装置について説明するための説明図である。
【図4】同実施形態に係る焦点位置制御部の一例について説明するための説明図である。
【図5】同実施形態に係る情報記録方法について説明するための説明図である。
【図6】同実施形態に係る情報再生装置について説明するための説明図である。
【符号の説明】
【0097】
10 光情報記録媒体
12 基準軸
20 情報記録装置
30 情報再生装置
101 記録材料
103 非変質層
105 変質層
107 記録マーク
201,301 光源
203,305 焦点位置制御部
205 可動レンズ
207 固定レンズ
209,307 対物レンズ
303 ビームスプリッター
309 集光レンズ
311 光検出器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
照射する光強度に応じて屈折率が変質する記録材料からなり、既に屈折率が変質している変質層と、屈折率が未だ変質していない非変質層と、が交互に複数存在する多層化された光情報記録媒体に対して、情報を記録する情報記録装置であって、
所定の波長を有する記録光を射出する光源と、
前記光源から射出した前記記録光の焦点位置を制御する焦点位置制御部と、
前記焦点位置制御部の後段に配置され、前記記録光を集光する対物レンズと、
を備え、
前記記録光により前記焦点位置における前記記録材料の屈折率を変質させて、情報を記録マークとして前記光情報記録媒体に記録する
ことを特徴とする、情報記録装置。
【請求項2】
前記記録光の焦点深度は、前記変質層及び/又は前記非変質層の厚み以上であることを特徴とする、請求項1に記載の情報記録装置。
【請求項3】
前記記録光の波長は、前記記録材料が感度を有する波長であることを特徴とする、請求項1に記載の情報記録装置。
【請求項4】
前記焦点位置制御部は、前記記録光の焦点位置を、前記非変質層が存在する位置となるように制御し、
前記記録光は、前記非変質層における前記記録材料の屈折率を変質させて、前記記録マークを記録する
ことを特徴とする、請求項2に記載の情報記録装置。
【請求項5】
前記焦点位置制御部は、前記記録光の焦点位置を、前記変質層が存在する位置となるように制御し、
前記記録光は、前記変質層における前記記録材料の屈折率を変質させて、前記記録マークを記録する
ことを特徴とする、請求項2に記載の情報記録装置。
【請求項6】
前記焦点位置制御部は、1または複数の光学部材で構成され、
前記1または複数の光学部材の位置を変更することで、前記記録光の焦点位置を制御する
ことを特徴とする、請求項1に記載の情報記録装置。
【請求項7】
前記焦点位置制御部は、リレーレンズまたはコリメータレンズで構成されることを特徴とする、請求項6に記載の情報記録装置。
【請求項8】
前記光情報記録媒体は、2本の初期化光線により初期化され、
前記2本の初期化光線の一方は、前記光情報記録媒体の一側の平面から当該光情報記録媒体へと入射し、
前記2本の初期化光線の他方は、前記光情報記録媒体の他側の平面から当該光情報記録媒体へと入射する
ことを特徴とする、請求項1に記載の情報記録装置。
【請求項9】
前記2本の初期化光線の前記光情報記録媒体の平面に対する入射角度の大きさは、等しいことを特徴とする、請求項8に記載の情報記録装置。
【請求項10】
前記変質層および前記非変質層の厚みがΔD[nm]となるように波長λ[nm]の前記初期化光線を用いて初期化が行われ、
前記2本の初期化光線の入射角度θは、以下の式1から得られる値であることを特徴とする、請求項9に記載の情報記録装置。
【数1】

【請求項11】
前記光情報記録媒体は、前記記録材料に対して光感度を有する波長の初期化光線によって初期化されたものであることを特徴とする、請求項1に記載の情報記録装置。
【請求項12】
前記初期化光線は、平行光線であることを特徴とする、請求項1に記載の情報記録装置。
【請求項13】
前記初期化光線のビーム径は、前記記録材料を全面照射可能である大きさを有することを特徴とする、請求項1に記載の情報記録装置。
【請求項14】
照射する光強度に応じて屈折率が変質する記録材料からなり、既に屈折率が変質している変質層と、屈折率が未だ変質していない非変質層と、が交互に複数存在しており、情報が前記変質層または前記非変質層に前記屈折率の変化を伴う記録マークとして記録されている光情報記録媒体から、記録されている前記記録マークを読み取って再生する、情報再生装置であって、
所定の波長を有する読み出し光を射出する光源と、
前記光源から射出した前記読み出し光の焦点位置を制御する焦点位置制御部と、
前記焦点位置制御部の後段に配置され、前記読み出し光を集光する対物レンズと、
前記記録マークからの前記読み出し光に応じた戻り光を検出する光検出部と、
を備えることを特徴とする、情報再生装置。
【請求項15】
前記読み出し光の焦点深度は、前記変質層及び/又は前記非変質層の厚み以上であることを特徴とする、請求項14に記載の情報再生装置。
【請求項16】
前記読み出し光の波長は、前記記録マークの記録に用いられた記録光の波長と同一であることを特徴とする、請求項14に記載の情報再生装置。
【請求項17】
前記読み出し光の波長は、前記記録マークの記録に用いられた記録光の波長に対する前記記録材料の感度と比較して、感度が小さい波長であることを特徴とする、請求項14に記載の情報再生装置。
【請求項18】
前記焦点位置制御部は、前記読み出し光の焦点位置を、前記非変質層が存在する位置となるように制御し、
前記検出部は、前記非変質層における前記記録マークからの戻り光を検出する
ことを特徴とする、請求項15に記載の情報再生装置。
【請求項19】
前記焦点位置制御部は、前記読み出し光の焦点位置を、前記変質層が存在する位置となるように制御し、
前記検出部は、前記変質層における前記記録マークからの戻り光を検出する
ことを特徴とする、請求項15に記載の情報再生装置。
【請求項20】
前記焦点位置制御部は、1または複数の光学部材で構成され、
前記1または複数の光学部材の位置を変更することで、前記読み出し光の焦点位置を制御する
ことを特徴とする、請求項14に記載の情報再生装置。
【請求項21】
前記焦点位置制御部は、リレーレンズまたはコリメータレンズで構成されることを特徴とする、請求項20に記載の情報再生装置。
【請求項22】
前記光情報記録媒体は、2本の初期化光線により初期化され、
前記2本の初期化光線の一方は、前記光情報記録媒体の一側の平面から当該光情報記録媒体へと入射し、
前記2本の初期化光線の他方は、前記光情報記録媒体の他側の平面から当該光情報記録媒体へと入射する
ことを特徴とする、請求項14に記載の情報再生装置。
【請求項23】
前記2本の初期化光線の前記光情報記録媒体の平面に対する入射角度の大きさは、等しいことを特徴とする、請求項22に記載の情報再生装置。
【請求項24】
前記変質層および前記非変質層の厚みがΔD[nm]となるように波長λ[nm]の前記初期化光線を用いて初期化が行われ、
前記2本の初期化光線の入射角度θは、以下の式1から得られる値であることを特徴とする、請求項23に記載の情報再生装置。
【数2】

【請求項25】
前記光情報記録媒体は、前記記録材料に対して光感度を有する波長の初期化光線によって初期化されたものであることを特徴とする、請求項14に記載の情報再生装置。
【請求項26】
前記初期化光線は、平行光線であることを特徴とする、請求項14に記載の情報再生装置。
【請求項27】
前記初期化光線のビーム径は、前記記録材料を全面照射可能である大きさを有することを特徴とする、請求項14に記載の情報再生装置。
【請求項28】
照射する光強度に応じて屈折率が変質する記録材料からなり、既に屈折率が変質している変質層と、屈折率が未だ変質していない非変質層と、が交互に複数存在する多層化された光情報記録媒体に対して、情報を記録する情報記録方法であって、
光源から射出した所定の波長を有する記録光について、当該記録光の焦点位置を制御して、前記光情報記録媒体の所定の層に前記記録光を照射するステップと、
前記記録光が照射された前記所定の層における前記記録材料の屈折率を変質させ、情報を、屈折率の変化を伴う記録マークとして記録するステップと、
を含むことを特徴とする、情報記録方法。
【請求項29】
照射する光強度に応じて屈折率が変質する記録材料からなり、既に屈折率が変質している変質層と、屈折率が未だ変質していない非変質層と、が交互に複数存在しており、情報が前記変質層または前記非変質層に前記屈折率の変化を伴う記録マークとして記録されている光情報記録媒体から、記録されている前記記録マークを読み取って再生する、情報再生方法であって、
光源から射出した所定の波長を有する読み出し光について、当該読み出し光の焦点位置を制御して、前記光情報記録媒体の所定の層における前記記録マークに対して前記読み出し光を照射するステップと、
前記記録マークからの前記読み出し光の戻り光を検出するステップと、
検出した前記戻り光に基づいて前記情報の再生信号を生成するステップと、
を含むことを特徴とする、情報再生方法。
【請求項30】
照射する光強度に応じて屈折率が変質する記録材料からなる、多層化された光情報記録媒体であって、
既に屈折率が変質している変質層と、
屈折率が未だ変質していない非変質層と、
が交互に複数存在し、
情報が、前記変質層または前記非変質層に前記屈折率の変化を伴う記録マークとして記録されており、
前記変質層または前記非変質層に記録された前記記録マークは、当該記録マークに隣接する前記非変質層または前記変質層に接している
ことを特徴とする、光情報記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−9618(P2009−9618A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−167269(P2007−167269)
【出願日】平成19年6月26日(2007.6.26)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】