説明

情報配信システム

【課題】音楽、映像、ゲーム等のコンテンツを簡易な手法で入手できる情報配信システムを提供する。
【解決手段】Webサーバとコンテンツを保存・蓄積するデータベースとを備えるコンテンツサーバ1と、カード又はシート形状の記録担体3に印刷又は埋め込まれたURLと直接視認又は認識不可能にされたユニークIDとを読取りコンテンツサーバから通信ネットワーク4を介してコンテンツを受信する携帯通信端末2とから構成され、コンテンツサーバは、携帯通信端末で読取られたURLが示すWebページを介してユニークIDを携帯通信端末から受信するユニークID受信手段と、予めユニークIDに関連付けられて保存されたコンテンツをデータベースから検索するコンテンツ検索手段と、検索結果得られたコンテンツを携帯通信端末に送信するコンテンツ送信手段を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音楽、映像、ゲームプログラム等のデジタルコンテンツを配信する情報配信システムに関するもので、詳しくはカード又はシート形状の記録担体に印刷又は埋め込まれた情報を基にコンテンツを配信するように構成した情報配信システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話には、着信メロディや待受画像といったようなデジタルコンテンツを配信するコンテンツ配信事業者が存在するが、さらにより多くの音楽や画像から選択できるように、その選択肢を増やして欲しいという要求があり、このような利用者の要求に答えるため、事業者側は音楽や画像に趣向を凝らすと共に、それらの配信手段として直接携帯電話にダウンロードするといった手法で利用者の要求に答えている。
【0003】
ダウンロードの手法としては、携帯電話からブラウザや電子メールにより発信されたダウンロード要求に対し、携帯電話の通信事業者がこれを受け、インターネット等の通信ネットワークを介して配信元アドレスを有する事業者側のコンテンツ配信サーバに接続し、コンテンツ配信サーバは携帯電話が要求するコンテンツ(音楽や画像)が配信可能かどうかを判断し、これを利用できる携帯電話であると確認された場合にサーバはその要求を受け、コンテンツのダウンロード要求に応えて配信を開始する。携帯電話にダウンロードされたコンテンツは、携帯電話内の記録媒体に格納され携帯電話で再生或いは表示される。
【0004】
コンテンツの利用の際には著作権保護等の観点から第3者に不正使用されないような手法を組込む必要がある。このようにして利用者が得たコンテンツを、他の再生機器で利用できないようにするための手法の一例としては、特許文献1に開示の情報配信方法が挙げられる。この情報配信方法は、利用者を特定するためのユーザ毎のID(Identification)と、ユーザの特定及び暗号化/復号化に使用されるユーザ毎の秘密鍵とを記録した情報カードを使用するもので、この情報カードを有する端末を、通信回線を介してサーバと接続し、情報カード内のIDと秘密鍵を使用してユーザの認証をサーバ側で得ようとするもので、認証が得られると、情報カード内の秘密鍵と同一秘密鍵で暗号化された情報をサーバより端末に配信し、配信された情報を情報カード内の秘密鍵を用いて復号化し再生するものである。
【0005】
【特許文献1】特開2002−374244号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示の情報カードはICカードを想定したものであり、コンテンツを購入するためのプリペイドカードとしての使用を前提としたものであることから、情報カードそのものの購入価格もコンテンツ使用料に相当するものでよく、その原価を購入価格に載せられる範囲で設定することもできるが、例えば商品のおまけとして添付しユーザに無料配布するような原価を極めて安く設定するような用途には適さないという問題がある。
【0007】
以上のような背景や問題点に鑑み、本発明は携帯電話の着信メロディや待受画像等の音楽や画像、ゲームプログラム、及び動画も含めたデジタルコンテンツを、より簡単に取得できるように、予め必要な情報が印刷或いは埋め込まれた印刷シート等の廉価な記録担体を用いて、事業者側のコンピュータに通信ネットワークを介し接続してダウンロードできる情報配信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1に係る情報配信システムは、カード又はシート形状の記録担体に印刷又は埋め込まれた情報に基づき音楽、映像、ゲームプログラム等のデジタルコンテンツを配信する情報配信システムであって、
少なくとも通信ネットワークに接続するWebサーバとコンテンツを保存・蓄積するデータベースとを備えるコンテンツサーバと、前記記録担体に印刷又は埋め込まれたURLと直接視認又は認識不可能にされたユニークIDとを読取りコンテンツサーバと通信ネットワークを介して接続し前記コンテンツを受信する携帯通信端末とから構成され、
前記コンテンツサーバは、前記携帯通信端末で読取られた前記URLが示すWebページを介してユニークIDを該携帯通信端末から受信するユニークID受信手段と、予め前記ユニークIDに関連付けられて保存されたコンテンツを前記データベースから検索するコンテンツ検索手段と、検索結果得られた当該コンテンツを前記携帯通信端末に送信するコンテンツ送信手段を有することを特徴としている。
また、請求項2に記載の前記記録担体は、シート本体及び該シート本体に被せて剥離可能に粘着させた被覆シートとからなり、該被覆シートは手で剥がせるように設けたカード形状のカード部とを有することを特徴としている。
また、請求項3に記載の前記ユニークIDは、前記カード部の背面又は前記シート本体の表面に印刷されていることを特徴としている。
また、請求項4に記載の前記記録担体は、前記ユニークIDが不可視又は読取り不可能な状態で開封可能な袋に入れられていることを特徴としている。
また、請求項5に記載の前記URL及びユニークIDは、マトリックス型2次元コードに埋め込まれていることを特徴としている。
また、請求項6に記載の前記URL及びユニークIDは、前記携帯通信端末で非接触読取り可能に構成されたICチップ内にデジタルデータとして埋め込まれていることを特徴としている。
また、請求項7に記載の前記コンテンツサーバは、前記携帯通信端末又は携帯通信端末が備えるブラウザの種類を自動判別し該携帯通信端末に適応するWebページ及び/又はコンテンツを送信することを特徴としている。
また、請求項8に記載の前記携帯通信端末は無線による第1の通信経路に加えて無線又は有線による第2の通信経路及び/又は着脱可能なデジタルメモリを備え、前記コンテンツは第2の通信経路又はデジタルメモリにより供給され、コンテンツを再生又は実行するためのライセンス又はキー情報は前記第1の通信経路により供給されることを特徴としている。
また、請求項9に記載の前記コンテンツサーバ及び携帯通信端末は前記ユニークID又は前記記録担体に印刷又は埋め込まれた前記コンテンツサーバへアクセスするためのアクセスコードを基に暗号キーを生成し、前記携帯通信端末はコンテンツの再生又は実行開始の都度該暗号キーにより前記コンテンツサーバの認証を受けてコンテンツの再生又は実行を行うことを特徴徴としている。
また、請求項10に記載の前記コンテンツサーバは、前記ユニークIDを送信した携帯通信端末を識別管理し、携帯通信端末毎のコンテンツの再生又は実行する有効回数又は有効期間を管理するスケジュール管理手段を有することを特徴としている。
また、請求項11に記載の前記コンテンツサーバは、前記コンテンツを配信する際に前記携帯通信端末内でコンテンツの再生又は実行する有効回数又は有効期間を設定するためのプログラムを併せて送信することを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明の情報配信システムによれば、音楽や映像或いはゲームを携帯電話にダウンロードして使用する際のコンテンツ使用料金が、印刷シート等により販売することで回収でき、また、書籍、音楽CD、嗜好食品、清涼飲料水等の商品に添付した場合は、その付加価値を高めることや、印刷シート等が安価に製作できることからキャンペーンコストの削減が期待できる。また、情報配信サーバのURL(Uniform Resource Locator)がマトリックス型2次元コードに埋め込まれている場合は、カメラ付き携帯電話により容易に読取れることからアクセスが簡単になる。また、記録担体がカード形状の場合は、持ち歩ける好適なサイズとなることから、このカードに記載された接続手段(URL、ID、アクセスコード)により、簡単に音楽や映像(例えば、着信メロディや待受画面、動画、ゲームプログラムを含む)を携帯電話にダウンロードすることができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図を参照して説明する。
【実施例1】
【0011】
図1は、本実施形態による情報配信システムの実施例1の概念図である。
図1に示すように本発明の実施例1は、事業者側のコンテンツサーバ1に接続するためにアクセスカード(記録担体)3に印刷されたマトリクス型2次元コードをカメラ付携帯電話(携帯通信端末)2で読取り、携帯電話2は読取った2次元コードに埋め込まれたURLに基づいてWebブラウザを立上げ、ユーザにURLが示すコンテンツサーバ1への接続を促し、ユーザ操作により携帯電話2の通信事業者の無線通信ネットワーク(基地局)5を介してインターネット(通信ネットワーク)4に接続されているURLが示すコンテンツサーバ1へ接続する。携帯電話2からの接続要求を受けたコンテンツサーバ1は、これに応答し、引数としてURLに含まれるユニークID(一意な識別情報)に基づき、予めこのユニークID対応して保存されていたコンテンツを要求のあった携帯電話2に送信する。
【0012】
図2は、図1に示すシステムの概略構成図であり、その構成を参照して実施形態を説明する。
図2に示す1は、事業者が顧客(ユーザ)にデジタルコンテンツを提供するためのコンテンツサーバであり、各種のハードウェア及び所定のソフトウェアにより必要な各手段を実現するためのコンピュータシステムである。11はコンピュータシステムを司る中央制御部であり各種の機能や手段を実現する。12は通信ネットワーク4と接続して携帯電話2等の通信端末に各種コンテンツを配信するためのWebサーバであり、13はこれらのコンテンツを外部又は他の装置から予め通信ネットワークを介してデータベース19に保存・蓄積するためのFTPサーバである。
【0013】
14は暗号生成手段であり、コンテンツ自身の暗号化を行い通信ネットワーク上で第3者により不正取得される可能性を抑止する。15は照合・認証手段であり、携帯電話2からURLの引数として暗号化されて送信されたユニークIDを復号化した後、データベースに予め登録されているIDと照合して正しいIDが正しく用いられている場合これを認証し、そうでない場合はWebサーバ12を介してIDを送出した携帯電話2にその旨通知する。16は端末判別手段であり、携帯電話をはじめとする各種通信端末を、HTTPリクエストヘッダ情報を基に自動識別するもので、当該通信端末で正しく動作するWebページの送信及び対応するコンテンツの配信を行うためのものである。18はスケジュール管理手段であり、配信したコンテンツを携帯電話2で再生・表示・実行できる回数やその使用期限等を管理する。19のデータベースには予め生成しておいたユニークIDが登録されており、携帯電話2に配信されるデジタルコンテンツがこのユニークIDに関連付けられて保存・蓄積されている。
【0014】
2は携帯電話であり、2次元コードを読取るカメラ(図示せず)が装備されており、またWebブラウザや電子メール送受信機能を備えてインターネットの利用が可能な機種が用いられる。21はアプリケーション用のCPU(Central Processing Unit)であり、携帯電話網に接続して通話やパケットの送受信を行うための通信制御用のコンピュータとは別個に備えられたものである。22はWebブラウザであり、ユーザにGUI(Graphic User Interface)又はCUI(Character based User Interface)環境を提供し、コンテンツサーバ1と接続してコンテンツをダウンロードするためのインターフェースとなる部分である。
【0015】
23はID情報読取手段であり、携帯電話2に装備されたカメラで撮像されたアクセスカード3の2次元コードを読取りWebブラウザ22上に読取られたURL及びユニークID情報等を表示する。24はID情報送信手段であり、Webブラウザ22上に表示されたURLやアクセスコード等をユーザに確認させ、ユーザ操作により、通信事業者の無線通信ネットワークや基地局5を経て通信ネットワーク4を介し該当するコンテンツサーバ1宛てにURLの引数としてユニークID情報を送信する。25は暗号生成手段であり、携帯電話2からコンテンツサーバ1宛てに送信されるユニークIDを暗号化するために用いられる。26はコンテンツ受信手段であり、コンテンツサーバ1が携帯電話2から受信したID情報の認証を済ませた後、携帯電話2からの送信とは逆の通信経路で送信した対応するコンテンツを受信する。
【0016】
27はコンテンツ再生/実行手段であり、Webブラウザ22を介して音楽の再生、画像の表示、ゲームプログラムの実行等を行う。28はスケジュール管理手段であり、携帯電話2でこれらのデジタルコンテンツの再生、表示、実行を行う回数やその使用期限を管理しており、コンテンツサーバ1のスケジュール管理手段18からコンテンツと共に送信されてきたスケジュール情報に基づき管理する。
【0017】
なお、コンテンツサーバ1、及びこの中に含まれるWebサーバ12、FTPサーバ13、データベース19、及び各手段14〜18は、市販のPC(パーソナルコンピュータ)やワークステーションに実装された所定のプログラムの実行により動作するものであり、PCやワークステーションを構成する中央制御部11の制御により動作するメモリやハードディスク等の記憶装置、画像やテキスト等を表示する表示装置、キーボードやマウス等の入力装置、及び通信ネットワーク4との入出力装置や他の外部接続装置、付随する管理用端末装置等に関する説明及びその構成図面は省略する。同様に、携帯電話2内に実装されたWebブラウザ22、23〜28の各手段も、携帯電話内に実装されたハードウェアや所定のプログラムの実行により動作するものであり、携帯電話2の通信に関する部分の構成やキー、スピーカ、液晶表示装置等の入出力装置の説明や構成図面等も省略する。
【0018】
次に、個々の部分及びその動作について説明する。
図3は、記録担体3として印刷シートを用いたものであり、図3(a)は、印刷シートを示し、図3(b)は、その印刷シートから剥離したカード部の背面を示している。
印刷シート3は、シート本体3a及びこのシート本体3aに被せて被覆シート3bを剥離可能に粘着させて形成したもので、被覆シート3bに、手で剥がせるように設けたカード形状のカード部3cと、カード部3cの背面に記載した接続手段(URL、ユニークID、アクセスコード)とを設け、利用者がこの接続手段を用いてコンテンツサーバ1に接続し、音楽や映像のコンテンツを携帯電話2にダウンロードすることで、様々なコンテンツ(例えば、着信メロディや待受画面、動画、ゲームプログラム等)を利用できるようにする。
【0019】
図3に示す印刷シート3は、音楽、映像、ゲームプログラム等のデジタルコンテンツを携帯電話2にダウンロードする目的で利用者が購入したり、或いは商品キャンペーンのおまけとして利用者に提供したりするものであり、シート本体3aの表面に被覆シート3bを重ねて被せ、それぞれを感圧接着剤で粘着させたものである。この感圧接着剤は一時接着性の粘着剤であり、必要に応じて利用者が手で剥がせるように、被覆シート3bをシート本体3aに粘着させている。被覆シート3bには、カード形状に切り取られて、シート本体3aに粘り付けられているカード部3cがある。このカード部3cの背面には、事業者側が用意したコンテンツサーバ1への接続手段、即ち、URL、ユニークID、アクセスコードが印刷されている。カード部3cの背面にはさらにマトリックス型2次元コードとしてQRコード(登録商標)が印刷されており、携帯電話2に装備されたカメラのOCR機能等を用いてこのQRコード(登録商標)を読取り、Webブラウザ22を立ち上げてユーザにコンテンツサーバ1への接続を促す。また、カード部3cを剥離することにより露出するシート本体3a側には、URLの他に電子メールアドレス等の連絡方法や、コンテンツの説明が記載されている(図示せず)。
【0020】
コンテンツサーバ1に接続するための情報が印刷又は埋め込まれた記録担体3は、図3に示した印刷シートのように目視により直接視認できない構造であればどのような形態でもかまわない。例えば接続情報が印刷されたシートを不透明な袋に入れたもの、印刷されたシートを折りたたんだもの、削ることで印刷部が表示されるスクラッチカード等が考えられる。
【0021】
2次元コードには、スタック型のPDF417、コード49、コード16K、コーダブロック等や、マトリックス型のデータコード、マキシコード、CPコード、QRコード(登録商標)等が知られているが、携帯電話に装着されたカメラを用いて読取るものとして、JIS X 0510、ISO/IEC18004にも制定されたQRコード(登録商標)が採用されている。従来のバーコードと比較した2次元コードの特徴としては、大きなデータ容量を持つこと、高密度印字が可能なこと、誤り訂正能力を持つこと、360度の全方向読取りが可能なこと、英数字、漢字、仮名文字、バイナリデータに対応していること等が挙げられ、単なる識別コードから情報コードとしての役割に代わるものともいえる。
【0022】
図4は、図3に示すカード部3cに埋め込まれたURLの説明図である。
図3(b)に示したように、カード部3cの2次元コードには、コンテンツサーバ1のWebサーバ12へ接続するためのURLが埋め込まれており、http://www.xyz.co.jp/contents.php?1234567890&abcdefgが2次元コード化されて印刷されている。ここで、http://www.xyz.co.jpがWebサーバ12のアドレスであり、contents.phpが対応するWebページを示している。また、contents.phpはデータベース19と連携したサーバサイドプログラムにより生成されるWebページであり「?」以降の引数1234567890がユニークID、「&」以降の引数abcdefgがアクセスコードを示している。
【0023】
携帯電話2に読み込まれて表示されたURLが例えば、http://www.xyz.co.jp/contents.php?1234567890&abcdefgだったとすると、携帯電話2のWeb To機能により、表示されたアドレスをクリックすることでWebブラウザ22を呼び出し、通信事業者の携帯電話網(無線通信ネットワーク)、基地局5、及びインターネット4を介してリンク先のwww.xyz.co.jpサイト、即ちコンテンツサーバ1のWebサーバ12と接続してcontents.phpのWebページを介してユニークID1234567890及びアクセスコードabcdefgが転送される。実際には読取られたこれらのユニークID及びアクセスコードは後述するように暗号化されて表示され送信される。なお、WebフォームによるWebページ間の値の受け渡し、即ちユニークIDやアクセスコードの受け渡しは、図4に示すようにURLの引数として送信する“GET”による方法の他に、URLの引数としない“POST”による方法を用いる方が暗号化する場合も含めセキュリティ上望ましい。
【0024】
コンテンツサーバ1内のWebサーバ12はダイナミックにWebページを生成するサーバサイドプログラム(図示せず)を含んで構成されており、携帯電話2のWebブラウザ22からの要求に応答し、URLに含まれるユニークIDとアクセスコードを基にデータベース19から必要なデータと対応するコンテンツを取出し、認証を済ませた後、要求のあった携帯電話2にコンテンツを送信する。なお、リアルタイム或いはバッチ処理により登録・更新されるデータベース19のコンテンツの内容及び登録・更新処理については、その説明を省略する。また埋め込まれるURLはWebに限らず、Mail ToやPhone To機能を用いて電子メールの送信先アドレス、或いは電話番号を埋め込み、これらの手段を用いて情報が伝送するように構成しても良い。また、2次元コードの仕様・構成、携帯電話機での読取りアルゴリズム、携帯電話機の実際の動作と連携するプログラム等、本発明の要旨ではない事柄の図面及びその説明は省略する。
【0025】
コンテンツを配信する際には著作権保護等の観点から第3者に不正使用されないように情報を暗号化して送受信することが望ましい。Webサーバ、Webブラウザ間の通信は、http/https(Hypertext Transfer Protocol Security)により実現できる。httpsはWebサーバとWebブラウザ等によるクライアント間のデータの送受信に使われるHTTPに、SSL(Secure Sockets Layer)によるデータ暗号化機能を付加したものである。SSLは公開鍵暗号や秘密鍵暗号、デジタル証明書、ハッシュ関数等のセキュリティ技術を組合せ、データの盗聴や改ざん、なりすましを防ぐことを可能にしたもので、HTTP等の上位のプロトコルを利用するアプリケーションソフトからは、特に意識することなく透過的に利用することが可能となっている。
【0026】
携帯電話2とコンテンツサーバ1とのコネクション確立の際のサーバ認証処理及びユーザ認証処理には、RSA(Rivest Shamir Adleman)認証やPKI(Public Key Infrastructure)システム等の方式を利用する事ができる。RSA認証は公開鍵暗号方式の一つで公開鍵暗号の標準として広く普及している。RSA暗号を解読するには巨大な整数を素因数分解する必要があり鍵の発見が困難であることから結果的にセキュリティが確保されるといえる。公開鍵の交換は予めユーザ登録の際にユーザ側携帯電話2とコンテンツサーバ1間で行っておく。PKIは公開鍵基盤又は公開鍵暗号基盤とも称され、電子署名と暗号技術を兼ね備え安全な電子通信を確保するための認証機関から証明書を発行する基盤の仕組みであり、様々なインターネット取引に使用されつつある。ユーザ認証情報はユーザ登録の際に認証機関のサーバ内データベースに保存され、サーバ認証情報はユーザ登録の際に認証機関のサーバから通知されユーザ側の端末で保存される。なお、本実施形態では、ユーザに提供するアクセスカードに印刷又は埋め込まれたユニークIDとアクセスコードが、予めコンテンツサーバ1のデータベース19に登録されているので、ユニークID又はアクセスコードを公開鍵、秘密鍵、或いは共通鍵として用いることができる。
【0027】
図7に、暗号キーを用いた暗号化及び電子署名の公開鍵暗号方式による一般的な構成を示す。
図7の上段は公開鍵暗号方式によるメッセージの送受信を示しており、まずBで秘密鍵と公開鍵を生成し、生成した公開鍵をAで取得する。Aでは取得した公開鍵で平文を暗号化してBに送信する。Bは自分の秘密鍵で暗号文を復号する。実際には公開鍵暗号方式は複雑な演算処理を必要とするので高速な処理を実現するため、公開鍵暗号方式と共通鍵暗号方式を組合せて用いられ、メッセージを送信する際に公開鍵暗号方式を用いて共通鍵を安全に送信し、この送信された共通鍵を用いてメッセージを暗号化する。本実施形態では、ユニークIDとアクセスコードが、予めコンテンツサーバ1のデータベース19に登録されているので、鍵の交換手続の一部を省略することができる。
【0028】
図7の下段は、上述した公開鍵暗号方式によるメッセージの送受信とは逆の、秘密鍵で暗号化し公開鍵で復号する方法を示しており、秘密鍵が特定の個人のみ所有していることから、電子文書の認証と安全性の保証を行うことができ、これをデジタル署名として使用する。
実際に暗号通信を行なう場合は、共通鍵暗号方式と公開鍵暗号方式とを組み合わせて、それぞれの長所と短所を補うハイブリッド方式を用いることが多い。その説明図は省略するが、その場合、本実施形態では、アクセスコードを公開鍵に、ユニークIDを共通鍵に使用して、公開鍵のアクセスコードでユニークIDの共通鍵を暗号化する。携帯電話2ではユニークIDの共通鍵で、ユニークID自身を暗号化して送信する。コンテンツサーバ1は、携帯電話2から送信されたアクセスコードを予めコンテンツサーバ1のデータベース19に登録されているアクセスコードを検索し、対応する秘密鍵を用いて公開鍵で暗号化された共通鍵を復号し、ユニークIDの共通鍵を用いて暗号化されたユニークID自身の暗号文を復号してユニークIDを照合する。
【0029】
コンテンツサーバ1は携帯電話2より受信したユニークIDとアクセスコードを基に対応するデジタルコンテンツをデータベース19より検索し、要求のあった携帯電話2にそのコンテンツを配信するが、携帯電話2の通信事業者、機種等によって再生内容、表示領域、プログラムの実行環境等が異なっており、携帯電話2に対応した適切なコンテンツを配信する必要がある。携帯電話2を自動的に特定できる方法としては、IETF(Internet Engineering Task Force)が95年に策定し、IPアドレスが現在のIPバージョンの32ビットから128ビットに拡張されたIPv6(Internet Protocol version 6)を用いたIPアドレスを携帯電話に割当てるようにすれば、例えばDNS(Domain Name System)サーバ等の予めIPアドレスを登録してあるIPアドレス参照サーバに照会することで、その携帯電話を特定することができる。
【0030】
IPv6ではIPSec(Security Architecture for Internet Protocol)2.0がプロトコルスイートとしてRFC(Request For Comment)化されており、パケット内のデータの改ざんを防止するためのパケット認証を行う「AH(Authentication Header:認証ヘッダ)」と、認証と暗号化まで行う「ESP(Encapsulating Security Payload)」というヘッダがあり、それぞれVPN装置等によってIPパケットに追加される。実際の暗号化においては、IPパケット全体を暗号化する「トンネルモード」と、データ部分だけを暗号化する「トランスポートモード」が選択でき、前述した暗号化にこれを用いることもできる。
【0031】
図8は、HTTPリクエストヘッダ情報の説明図であり、現状の携帯電話2の機種等を特定し、適切なコンテンツを送信するための端末判別手段16は、Webで使用されるドキュメント転送用のプロトコルのHTTP(Hyper Text Transfer Protocol)ヘッダ中に含まれるHTTPリクエストヘッダ情報を参照することで行う。図8(a)はK通信事業者が使用しているリクエストヘッダ情報HTTP_USER_AGENTの内容の一例であり、機種名、ブラウザ名、バージョン、サーバ名を含んでいる。また、図8(b)はD通信事業者が用いているヘッダ情報の一例であり、機種名、キャッシュ容量、通信状態を示す状態コード、表示可能バイト数、及び固体識別情報等が含まれている。携帯電話2からのデータはWebブラウザ22により直接、或いは通信事業者の変換・中継サーバによりHTTPプロトコルに変換され、携帯電話2はこのHTTPによりコンテンツサーバ1との通信を行う。コンテンツサーバ1は、このHTTPリクエストヘッダ情報を参照して携帯電話2の機種等を判別し、適切な形式のコンテンツを配信することができる。
【実施例2】
【0032】
図5は、本実施形態による情報配信システムの実施例2の概念図であり、アクセスカード3から読取ったユニークIDとアクセスコードの送信、及びコンテンツを使用する際の認証のためのライセンス情報やアクセスキーの授受に第1の通信経路として携帯電話網5を用い、コンテンツ自身は、第2の通信経路として設けられインターネットに直接接続されたIEEE801.11b/g/a等の無線LAN(Local Area Network)6によるアクセスポイントから受信するか、或いはメモリカード7を用いて別途入手したコンテンツを携帯電話2に取込むものである。ここで図1に示した実施例1と重複する構成部分の説明は省略するが、システムは図2に示した構成に無線LAN6による第2の通信経路を加えた構成になる。メモリカード7を用いる場合は商品キャンペーンのグッズ(おまけ)としての提供よりは、メモリカード7自身の価格が相対的に高価になることから無償提供をすることが難しくなるためアクセスカード3と共にユーザが購入する形態になることが想定される。
【実施例3】
【0033】
図6は、本実施形態による情報配信システムの実施例3の概念図であり、アクセスカードとしてICチップを埋め込んだRFIDチップタグを用いる。
RFID(Radio Frequency Identification)タグは、無線ICタグ、RFIC(Radio Frequency Integrated Circuit)タグとも呼ばれ、無線通信でデータ交換することにより自動認識するための記録媒体を組込んだもので、非接触型ICカードや製品ラベル等に用いられる比較的大きな形状のものから、一見判別が難しい微細なもの(ミューチップ)まで、様々なものが提案されており、野菜や食肉等の食品トレーサビリティでの応用例があるようにユビキタスIDとしても注目されている。
後者のミューチップを用いたRFIDタグは、流通業界において、バーコードに変わる商品識別・管理手段として最近実用化の動きがあるもので、その回路構成は図9に示すようなものとなっている。RFIDタグには、電池内蔵のアクテイブタイプとRF信号そのものの電磁誘導を用いて電源を供給するパッシブタイプがあり、通信距離等の目的・用途に応じて使い分けられる。また、RFIDタグは、ISO/IEC18000−6として確定されており、その使用周波数の違いにより、135kHz以下、13.56MHz、433MHz、860〜960MHz、2.45GHz等に分類されている。最近追加されたUHF帯は通信距離が他に比較して長いので注目されている。
現在、粘着ラベル・タイプのRFIDタグが存在しており、そのためのRFエンコーダ搭載型プリンタも市販されている。本実施形態のアクセスカード3としては、前述の2次元コードを印刷したものに加えてRFIDタグを組合せた形態としてもよい。また、RFIDチップタグには、読取り専用だけでなく書き込み可能なものを使用してもよい。
【0034】
以上説明した事業者側が用意したコンテンツサーバ1の構成は、これに限定されるものでなく、認証を別の認証サーバによって行うことや、管理サーバとコンテンツサーバに分け、コンテンツ自身の配信はこのコンテンツ専用サーバにより行う構成も可能である。またコンテンツサーバ1と接続するユーザ端末は、携帯電話2に限定されることなく、PC(パーソナルコンピュータ)等、通信ネットワーク4を介してコンテンツサーバ1に接続し、音楽や画像コンテンツが利用できるように構成されたものであればどのような通信端末を用いてもよい。また、印刷シート等の記録担体3が販売される形態は、店頭にて販売される形態、書籍等に添付される形態、書籍等の刊行物に一定金額分を上乗せして販売価格とした利用や、販売サービスとして無償で供与される形態、商品キャンペーンのグッズ(おまけ)として、企業のプレゼント等として、利用することが可能である。
【0035】
また、本発明の情報配信システムは、事業者が印刷シート等の記録担体3を販売して、業務委託したコンテンツサーバ1により各種コンテンツを運営管理するようにしてもよい。これにより、事業者が、自社で音楽コンテンツや画像コンテンツを所有しなくとも、これを仲介するだけで、音楽コンテンツや画像コンテンツが提供できるものとなる。また、印刷シート等の記録担体3に印刷されるユニークID及びアクセスコードは、任意の桁数の数字や英数字の組合せ、もしくは特殊記号等でもよく、記録担体3の購入者(サービスとして受け取った者を含む)によってのみユニークID及びアクセスコードを得ることができるようにする。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施形態による情報配信システムの実施例1の概念図である。
【図2】図1に示すシステムの概略構成図である。
【図3】(a)は、印刷シートを示し、(b)は、その印刷シートから剥離したカード部の背面を示す説明図である。
【図4】図3に示すカード部に埋め込まれたURLの説明図である。
【図5】本発明の実施形態による情報配信システムの実施例2の概念図である。
【図6】本発明の実施形態による情報配信システムの実施例3の概念図である。
【図7】暗号キーを用いた暗号化及び電子署名の説明図である。
【図8】HTTPリクエストヘッダ情報の説明図である。
【図9】RFIDチップタグの概略構成図である。
【符号の説明】
【0037】
1 コンテンツサーバ
2 携帯通信端末(携帯電話)
3 記録担体(印刷シート/アクセスカード/RFIDチップタグ)
3a シート本体
3b 被覆シート
3c カード部(アクセスカード)
4 通信ネットワーク(インターネット)
5 基地局(無線通信ネットワーク)
6 アクセスポイント(無線LAN)
7 メモリカード
11 中央制御部
12 Webサーバ
13 FTPサーバ
14、25 暗号生成手段
15 照合・認証手段
16 端末判別手段
17 コンテンツ送信手段
18、28 スケジュール管理手段
21 CPU
22 Webブラウザ
23 ID情報読取手段
24 ID情報送信手段
26 コンテンツ受信手段
27 コンテンツ再生/実行手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カード又はシート形状の記録担体に印刷又は埋め込まれた情報に基づき音楽、映像、ゲームプログラム等のデジタルコンテンツを配信する情報配信システムであって、
少なくとも通信ネットワークに接続するWebサーバとコンテンツを保存・蓄積するデータベースとを備えるコンテンツサーバと、
前記記録担体に印刷又は埋め込まれたURLと直接視認又は認識不可能にされたユニークIDとを読取りコンテンツサーバと通信ネットワークを介して接続し前記コンテンツを受信する携帯通信端末とから構成され、
前記コンテンツサーバは、
前記携帯通信端末で読取られた前記URLが示すWebページを介してユニークIDを該携帯通信端末から受信するユニークID受信手段と、
予め前記ユニークIDに関連付けられて保存されたコンテンツを前記データベースから検索するコンテンツ検索手段と、
検索結果得られた当該コンテンツを前記携帯通信端末に送信するコンテンツ送信手段を有することを特徴とする情報配信システム。
【請求項2】
前記記録担体は、シート本体及び該シート本体に被せて剥離可能に粘着させた被覆シートとからなり、該被覆シートは手で剥がせるように設けたカード形状のカード部とを有することを特徴とする請求項1に記載の情報配信システム。
【請求項3】
前記ユニークIDは、前記カード部の背面又は前記シート本体の表面に印刷されていることを特徴とする請求項2に記載の情報配信システム。
【請求項4】
前記記録担体は、前記ユニークIDが不可視又は読取り不可能な状態で開封可能な袋に入れられていることを特徴とする請求項1に記載の情報配信システム。
【請求項5】
前記URL及びユニークIDは、マトリックス型2次元コードに埋め込まれていることを特徴とする請求項1に記載の情報配信システム。
【請求項6】
前記URL及びユニークIDは、前記携帯通信端末で非接触読取り可能に構成されたICチップ内にデジタルデータとして埋め込まれていることを特徴とする請求項1に記載の情報配信システム。
【請求項7】
前記コンテンツサーバは、前記携帯通信端末又は携帯通信端末が備えるブラウザの種類を自動判別し該携帯通信端末に適応するWebページ及び/又はコンテンツを送信することを特徴とする請求項1に記載の情報配信システム。
【請求項8】
前記携帯通信端末は無線による第1の通信経路に加えて無線又は有線による第2の通信経路及び/又は着脱可能なデジタルメモリを備え、
前記コンテンツは第2の通信経路又はデジタルメモリにより供給され、コンテンツを再生又は実行するためのライセンス又はキー情報は前記第1の通信経路により供給されることを特徴とする請求項1に記載の情報配信システム。
【請求項9】
前記コンテンツサーバ及び携帯通信端末は前記ユニークID又は前記記録担体に印刷又は埋め込まれた前記コンテンツサーバへアクセスするためのアクセスコードを基に暗号キーを生成し、
前記携帯通信端末はコンテンツの再生又は実行開始の都度該暗号キーにより前記コンテンツサーバの認証を受けてコンテンツの再生又は実行を行うことを特徴とする請求項1に記載の情報配信システム。
【請求項10】
前記コンテンツサーバは、前記ユニークIDを送信した携帯通信端末を識別管理し、携帯通信端末毎のコンテンツの再生又は実行する有効回数又は有効期間を管理するスケジュール管理手段を有することを特徴とする請求項1に記載の情報配信システム。
【請求項11】
前記コンテンツサーバは、前記コンテンツを配信する際に前記携帯通信端末内でコンテンツの再生又は実行する有効回数又は有効期間を設定するためのプログラムを併せて送信することを特徴とする請求項1に記載の情報配信システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2006−184980(P2006−184980A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−375079(P2004−375079)
【出願日】平成16年12月24日(2004.12.24)
【出願人】(504474703)
【Fターム(参考)】