説明

情報閲覧装置及び表示制御プログラム並びに表示制御方法

【課題】簡単な動作で、ページ捲りの方向や速度、枚数を指示して、ページ捲りの表示を制御することができる情報閲覧装置及び表示制御プログラム並びに表示制御方法の提供。
【解決手段】タッチパネルを設けた表示部を備える情報閲覧装置において、前記タッチパネルに接触された指又は手の回転方向と回転量及び/又は回転速度とを特定し、前記指又は手の回転方向に基づいて、ページ捲り方向を決定すると共に、前記指又は手の回転量及び/又は回転速度に基づいて、ページ捲り速度を決定し、前記ページ捲り速度で、現在表示されているページが前記ページ捲り方向に基づいて特定されるページに切り替わるように、ページ捲りの表示を制御する表示制御部を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報閲覧装置及び表示制御プログラム並びに表示制御方法に関し、特に、タッチパネルを備えた情報閲覧装置及び当該情報閲覧装置で動作する表示制御プログラム並びにページ捲り表示を制御する表示制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、タブレット端末や電子ペーパー、電子ブック等の表示部を備えた装置を用いて資料や書籍などのドキュメントを閲覧するユーザが増えている。このような装置(以下、情報閲覧装置と呼ぶ。)には、表示部にタッチパネルが設けられており、タッチパネルを操作することにより、ドキュメントのページを進めたり戻したりすることができる。
【0003】
上記タッチパネルの操作に関して、例えば、下記特許文献1には、記憶部から読み出した現在表示対象となる現ページ上で予め定められたページ捲り方向と平行又は反平行に操作部上をドラッグされたときにページ捲り操作検出信号を出力するページ捲り操作検出工程A1と、このページ捲り操作検出工程A1にてページ捲り操作検出信号が出力された場合には当該ドラッグ操作の方向に応じて現ページに対して1ページ分前後の前ページ又は後ページを次に表示するページである次表示ページに設定する次表示ページ設定工程A2と、この次表示ページ設定工程にて設定された次表示ページを現ページに変えて表示部1に表示させるページ捲り処理工程A3と、を備えたページ情報表示方法が開示されている。
【0004】
また、タッチパネルとは異なる操作手段を用いたページ捲りの動作に関して、例えば、下記特許文献2には、カテゴリーを複数の項目に分類し、該各項目を複数の小項目に分類したメニューの複数の項目と特定の項目に対応する複数の小項目を表示する表示部と、押圧面を有し、該押圧面を押圧することによって該表示部に表示されている項目及び小項目を選択することができるポインティングデバイスとを備え、該ポインティングデバイスの該押圧面を押圧しながら回転移動すると、該項目の表示位置が該回転方向に従って順次回転し、該押圧面の上下キーの対応する場所を押圧することによって特定の小項目を検索するポインティングデバイスを用いた端末装置が開示されている。
【0005】
また、下記特許文献3には、見開きの一方の表示画面を有する部材と、もう一方の表示画面を有する右側の部材は、中央のヒンジ部で連結されており、このヒンジ部を基軸として、両方向(左右)に見開くことができるように開閉可能な構成となっている2画面表示の見開き型の電子表示装置(電子ブック)において、ヒンジ部の軸を中心として、回動可能なように回動スイッチを設置し、この回動スイッチを回動した場合、表示画面の表示を次ページ又は前ページの表示に変更するページ捲りの処理が行われるようにする電子表示装置が開示されている。
【0006】
また、タッチパネルやポインティングデバイス、回動スイッチなどを用いずにページ捲りを可能にする技術に関して、例えば、下記特許文献4には、ユーザが表示画面を傾けるだけで操作でき、ユーザの連続的な入力の操作量を低減し、入力や画面表示の変化を触覚応答によりユーザに提示できる手段を有する情報表示装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−265481号公報
【特許文献2】特開2007−257650号公報
【特許文献3】特開2003−196012号公報
【特許文献4】特開2000−181428号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来のように、タッチパネル上で指をスライドさせたり、ポインティングデバイスや回動スイッチを操作したり、情報閲覧装置そのものを傾けたりする方法では、ページ捲りに際して大きな動作が必要になる。例えば、タッチパネル上でスライドさせる場合は、指を大きく移動さなければならず、ポインティングデバイスや回動スイッチなどの特定の操作部を操作する場合は、指を操作部まで移動さなければならず、装置を傾ける場合は、装置を持つ手全体を動かさなければならない。そのため、ページをパラパラと捲る場合は、このような大きな動作を何回も繰り返さなければならず、不便であった。
【0009】
また、タッチパネル上で指をスライドさせる方法に関して、電子ペーパーのように表示部が薄く、折れ曲がりやすい場合や、情報閲覧装置を手に持って操作する場合は、情報閲覧装置を挟み込むように持つ(例えば、親指と人差し指で情報閲覧装置を摘むように持つ)ことになる。しかしながら、情報閲覧装置を挟み込むように持った状態でタッチパネル上の指を大きくスライドさせると、情報閲覧装置を落としてしまう恐れがある。一方、情報閲覧装置を落とさないようにスライド量を小さくすると、ページ捲り動作を正確に判別することが難しくなる。
【0010】
また、ポインティングデバイスや回動スイッチなどの特定の操作部を操作する方法に関しては、特定の操作部を備えた特定の装置を使用しなければならないため、汎用性に欠ける。また、情報閲覧装置そのものを傾ける方法に関しては、情報閲覧装置のサイズや重量が大きい場合や、情報閲覧装置を机等において操作する場合は、装置を傾ける動作自体が困難になる。
【0011】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、その主たる目的は、簡単な動作で、ページ捲りの方向や速度、枚数を指示して、ページ捲りの表示を制御することができる情報閲覧装置及び表示制御プログラム並びに表示制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本発明は、タッチパネルを設けた表示部を備える情報閲覧装置において、前記タッチパネルに接触された指又は手の回転方向と回転量及び/又は回転速度とを特定し、前記指又は手の回転方向に基づいて、ページ捲り方向を決定すると共に、前記指又は手の回転量及び/又は回転速度に基づいて、ページ捲り速度を決定し、前記ページ捲り速度で、現在表示されているページが前記ページ捲り方向に基づいて特定されるページに切り替わるように、ページ捲りの表示を制御する表示制御部を備えるものである。
【0013】
また、本発明は、タッチパネルを設けた表示部を備える情報閲覧装置におけるページ捲りの表示制御方法であって、前記タッチパネルに接触された指又は手の回転方向と回転量及び/又は回転速度とを特定する第1ステップと、前記指又は手の回転方向に基づいて、ページ捲り方向を決定すると共に、前記指又は手の回転量及び/又は回転速度に基づいて、ページ捲り速度を決定する第2ステップと、前記ページ捲り速度で、現在表示されているページが前記ページ捲り方向に基づいて特定されるページに切り替わるように、ページ捲りの表示を制御する第3ステップと、を有するものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の情報閲覧装置及び表示制御プログラム並びに表示制御方法によれば、簡単な動作で、ページ捲りの方向や速度、枚数を指示して、ページ捲りの表示を制御することができる。
【0015】
その理由は、情報閲覧装置(表示制御プログラム)は、パッチパネル上に指などを接触させた時の接触部の形状を取得し、接触部の形状の変化に基づいて、指などの回転方向や回転量、回転速度を特定し、特定した回転方向や回転量、回転速度に基づいて、ページ捲りの方向や速度、ページ捲り量を決定して、ページ捲りの表示を制御するからである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施例に係る情報閲覧装置の外観を模式的に示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施例に係る情報閲覧装置の構成を示すブロック図である。
【図3】ページ捲りにおける従来のスライド動作と本発明の一実施例に係る回転動作とを比較して説明する図である。
【図4】従来のスライド動作による接触部の形状変化と本発明の一実施例に係る回転動作による接触部の形状変化とを比較して説明する図である。
【図5】本発明の一実施例に係る回転動作の他の例を示す図である。
【図6】本発明の一実施例に係るページ捲りの表示方法の一例を示す図である。
【図7】本発明の一実施例に係るページ捲りの表示方法の他の例を示す図である。
【図8】本発明の一実施例に係るページ捲りの表示方法の他の例を示す図である。
【図9】本発明の一実施例に係るページ捲りの表示方法の他の例を示す図である。
【図10】本発明の一実施例に係る情報閲覧装置を用いたページ捲り処理を示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
背景技術で示したように、表示部にタッチパネルを備えたタブレット端末や電子ペーパー、電子ブック等の情報閲覧装置が普及しており、資料や書籍などのドキュメントを閲覧するユーザが増えている。この情報閲覧装置に表示されるドキュメントのページを捲る方法として、タッチパネル上で指をスライドさせたり、ポインティングデバイスや回動スイッチを操作したり、情報閲覧装置そのものを傾けたりする方法が提案されている。しかしながら、これらの方法では、ページ捲りに際して大きな動作が必要になるため、ページをパラパラと捲る場合は、大きな動作を何回も繰り返さなければならず、不便であった。
【0018】
また、柔軟性のある電子ペーパーなどの情報閲覧装置を手に持って操作する場合は、情報閲覧装置を挟み込むように持つため、タッチパネル上で指をスライドさせる方法では、指を大きくスライドさせると、情報閲覧装置を落としてしまう恐れがあり、スライド量を小さくすると、ページ捲り動作を正確に判別することが難しくなる。
【0019】
また、ポインティングデバイスや回動スイッチなどの特定の操作部を操作する方法では、特定の操作部を備えた特定の装置を使用しなければならないため、汎用性に欠け、情報閲覧装置そのものを傾ける方法では、サイズや重量が大きく、机等において操作することが一般的な情報閲覧装置では、装置を傾ける動作自体が困難になる。
【0020】
そこで、本発明の一実施の形態では、単純な動作で確実にページ捲りを操作できるようにするために、タッチパネル上に置いた指などの回転動作によって、ページ捲りの方向や速度、捲り枚数などを制御するという新しい手法を提案する。具体的には、タッチパネル上に指などを接触させた時の接触部の形状を取得可能な情報閲覧装置において、接触部の形状の変化に基づいて、指などの回転方向、回転量、回転速度を特定し、回転方向に応じたページ捲り方向、回転量や回転速度に応じたページ捲り速度や捲り枚数で、画面上に表示されたページを捲る制御を行う。
【0021】
これにより、ページ捲りの方向や速度、捲り枚数を直感的に可変しながらページ捲りを操作することができ、特に、柔軟性のある電子ペーパーなどの情報閲覧装置を手に持って操作する場合であっても、確実に所望のページ捲りを実現することができ、ユーザの利便性を向上させることができる。
【実施例】
【0022】
上記した本発明の一実施の形態についてさらに詳細に説明すべく、本発明の一実施例に係る情報閲覧装置及び表示制御プログラム並びに表示制御方法について、図1乃至図10を参照して説明する。図1は、本実施例の情報閲覧装置の外観を模式的に示す斜視図であり、図2は、情報閲覧装置の構成を示すブロック図である。また、図3は、ページ捲り動作に関して、従来の手法と本実施例の手法とを比較して説明する図であり、図4は、接触部の形状に関して、従来のスライド動作と本実施例の回転動作とを比較して説明する図である。また、図5は、本実施例の回転動作の他の例を示す図であり、図6乃至図9は、本実施例のページ捲りの表示方法を説明する図である。また、図10は、本実施例の情報閲覧装置を用いたページ捲り処理を示すフローチャート図である。
【0023】
なお、以下の説明において、ページを進める動作をページ送り、ページを後退させる動作をページ戻しと呼び、ページ送りとページ戻しを合わせてページ捲りと呼ぶ。また、情報閲覧装置におけるページ捲りとは、表示されるページを順次切り替える動作に限らず、綴じ止めされている本や冊子を表示する場合は、見開きのページを移動する動作も含む。
【0024】
図1に示すように、本実施例の情報閲覧装置10は、ノート型のコンピュータ装置やタブレット端末、電子ペーパー、電子ブック等の表示機能を備えた装置である。この情報閲覧装置10は、図2に示すように、CPU(Central Processing Unit)11、メモリ12、表示部13、操作部(タッチパネル)14、通信部15、電池16、ページ捲り表示制御部17などで構成される。
【0025】
CPU11は、メモリ12から読み出したプログラムを実行し、各部の動作を制御する制御部として機能する。
【0026】
メモリ12は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などで構成され、CPU11で動作する各種プログラム、情報閲覧装置10の動作を制御するための設定情報(例えば、ページ捲り表示制御部17が指とタッチパネルの接触部の形状の変化を判断するための基準となるパターン)、各種データ(例えば、文書データ)などを記憶する。また、メモリ12は、ページ捲り枚数をカウントするカウンタとしても使用する。
【0027】
表示部13は、電子ペーパー(EPD:Electrophoretic Display)や液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)、有機EL(electroluminescence)表示装置等からなり、文書データに基づく文書の各ページを表示する。なお、電子ペーパーは、一対の透明なフィルム基板の内表面に透明導電性の電極が形成され、電極間に導電性を有する黒色トナーと電気絶縁性を有する白色トナーが封入され、電極間に電圧を印加すると黒色トナーが移動して白色トナーと入れ替わって色が変化する構造である。
【0028】
操作部14は、表示部13の前面又は背面に、透明電極が格子状に配置された静電容量方式のタッチパネル等であり、指などで接触した部分に配置された透明電極から出力される信号をCPU11及びページ捲り表示制御部17に送る。なお、本実施例では、指などで接触した領域内の複数の透明電極から信号を出力することができ、複数の信号を処理することによって、領域の形状を特定することができる。
【0029】
通信部15は、NIC(Network Interface Card)やモデムなどを備え、有線通信や無線通信によりネットワークに接続されたコンピュータ装置やサーバと交信し、文書データなどを受信する。
【0030】
電池16は、情報閲覧装置10の各部を駆動するための電源を供給する二次電池などである。
【0031】
ページ捲り表示制御部17は、操作部14から出力される信号に基づいて、指などがタッチパネルに接触した時の接触部の形状を取得し、その接触部の形状の変化と予め記憶したパターンとを比較することによって、指などの回転方向、回転量、回転速度を特定し、回転方向に応じたページ捲り方向、回転量や回転速度に応じたページ捲り速度や捲りページ数を決定して、表示部13に表示されるページの捲り動作を制御する。このページ捲り表示制御部17は、ハードウェアとして構成してもよいし、CPU11(制御部)をページ捲り表示制御部17として機能させるプログラム(表示制御プログラム)として構成してもよい。
【0032】
なお、図2は、本実施例の情報閲覧装置10の一例であり、タッチパネル上の指などの回転動作に基づいてページ捲りが制御可能な限りにおいて、その構成は適宜変更可能である。
【0033】
次に、ページ捲りの方法について、図3の模式図を参照して説明する。図3は、従来のスライド動作によるページ捲りと、本実施例の回転動作によるページ捲りと、を比較して説明する図である。
【0034】
図3(a)に示すように、従来のスライド動作によるページ捲りは、指などをタッチパネル上に置いた状態で略一定方向に移動させるものであるのに対して、図3(b)に示すように、本実施例の回転動作によるページ捲りは、指などをタッチパネル上に置いた状態で指の長手方向の中心軸に沿って回転させるものである。
【0035】
このように、従来はタッチパネル上で指などをスライドさせているのに対して、本実施例ではタッチパネル上で指などを回転させているため、指先がタッチパネルに接触している接触部の形状変化の様子が異なる。以下、図4を参照して具体的に説明する。図4は、従来のスライド動作による接触部の形状変化と、本実施例の回転動作による接触部の形状変化とを比較して説明する図である。
【0036】
図4(a)に示すように、従来のスライド動作では、指先をタッチパネルに接触させた時の指とタッチパネルの接触部は、略一定の大きさであり、各々は相似形の形状となる。また、接触部の中心点と指の位置関係も略一定であるため、接触部の中心点は、指の動きに合わせて一定の方向に大きく移動することになる。
【0037】
一方、図4(b)に示すように、本実施例の回転動作では、指とタッチパネルの接触部の形状は、接触させた指の向きにより異なるため、接触部の面積や形状が変化する。例えば、指の腹を接触させた場合は、ほぼ左右対称な丸みを帯びた形状であるのに対して、指の側面を接触させた場合は、左右非対称な(指の腹の方が柔らかいため指の腹の方向に膨らんだ)細長い形状となる。また、回転動作では指は横方向にあまり動かないため、接触部の中心点の移動量はスライド動作に比べて小さく、回転動作では接触部の面積や形状が変化するため接触部の中心点の移動方向も一定にならない。
【0038】
このように、スライド動作と回転動作では、接触部の形状の変化、接触部の中心点の移動量、移動方向が大きく異なるため、そこで、本実施例では、接触部の形状変化に着目して、接触部の形状変化と予め記憶したパターンとを比較し、接触部の形状変化に最も近いパターンに対応付けられたページ捲り指示を特定する。
【0039】
具体的に説明すると、まず、上記パターンを作成する。例えば、指先をユーザ側から見て時計回り又は反時計回りに回転させ、各時点のタッチパネルの出力信号に基づいて接触部の形状を取得し、その形状の変化を模式化してパターンを作成するか、若しくは、画像作成アプリケーションなどを用いてパターンを作成する。そして、時計回りの時のパターンはページ送りの指示、反時計回りの時のパターンはページ戻しの指示として対応付ける。その後、タッチパネル上で回転動作が行われたら、接触部の形状変化がどのパターンに近いかを判断し、最も近いパターンに対応付けられた指示を特定する。
【0040】
なお、上記説明では、接触部の形状変化をパターンに当てはめてページ送りの指示かページ戻しの指示かを判断する構成としたが、接触部の形状が変化している場合において、接触部の中心点がユーザ側から見て右側に移動している場合はページ送りの指示、左側に移動している場合はページ戻しの指示と判断してもよい。
【0041】
また、図3(b)及び図4(b)では、指先を指の長手方向を中心軸として回転させる場合を示したが、本実施例の回転動作は、回転に従ってタッチパネルに接触する接触部の形状が変化する動作であればよく、例えば、図5(a)に示すように、手全体を時計回り及び反時計回りに回転させてもよいし、図5(b)に示すように、指を立てる方向(若しくは立てた状態から寝かせる方向)に回転させてもよい。
【0042】
具体的に説明すると、図5(a)のように、手(ここでは右手)全体をユーザ側から見て時計回りに回転させると、初期状態では5本の指がタッチパネルに接触しているが、回転と共に、親指、人差し指、中指、薬指の順にタッチパネルから離れる。従って、接触部が5個ある状態から、ユーザ側から見て左側から順に接触部がなくなるように形状が変化する場合は、時計回りに回転させたと判断し、ページ送りの指示であると判断することができる。同様に、手(右手)全体をユーザ側から見て反時計回りに回転させると、回転と共に、小指、薬指、中指、人差し指の順にタッチパネルから離れる。従って、接触部が5個ある状態から、ユーザ側から見て右側から順に接触部がなくなるように形状が変化する場合は、反時計回りに回転させたと判断し、ページ戻しの指示であると判断することができる。
【0043】
また、手の平がタッチパネルに接触している場合も、接触部の形状変化に基づいて判断することができる。例えば、ユーザ側から見て左側から接触部が徐々になくなるように形状が変化する場合は、時計回りに回転させたと判断し、ページ送りの指示であると判断することができる。同様に、ユーザ側から見て右側から接触部が徐々になくなるように形状が変化する場合は、反時計回りに回転させたと判断し、ページ戻しの指示であると判断することができる。
【0044】
また、図5(b)のように、指を立てる方向に回転させると、初期状態では指の腹がタッチパネルに接触しているため、接触部は丸みを帯びた形状となるが、回転と共に、横に細長い形状となる。従って、このように形状が変化する場合は、指を立てる方向に回転させたと判断し、ページ送り(又はページ戻し)の指示であると判断することができる。同様に、指を立てた状態から寝かせる方向に回転させると、初期状態では横に細長い形状となるが、回転と共に、丸みを帯びた形状となる。従って、このように形状が変化する場合は、指を寝かせる方向に回転させたと判断し、ページ戻し(又はページ送り)の指示であると判断することができる。
【0045】
以下、上記方法でページ捲りの指示を行った時のページの表示方法について、図6乃至図9を参照して説明する。
【0046】
図6は、指の回転方向及び回転速度によってどのようにページが変化するかを示している。例えば、図6(a)に示すように、表示部13にあるページ(ここでは第2ページ)が表示されている状態で、指先をタッチパネルに接触させ、ユーザ側から見て時計回りに回転させると、ページ送りの指示と判断して第3ページを表示させる。また、図6(b)に示すように、第2ページが表示されている状態で、指先を反時計回りに回転させると、ページ戻しの指示と判断して第1ページを表示させる。また、図6(c)に示すように、第2ページが表示されている状態で、指先を時計回りに早く又は大きく回転させると、ページ捲りの速度を速くしたり捲りページ数を多くしたりして、素早く第4ページを表示させる。
【0047】
図7は、ページ送り又はページ戻しで、どのようにページが表示されるかを示している。例えば、図7(a)に示すように、あるページ(ここでは第1ページ)が表示されている状態で、指先をユーザ側から見て時計回りに回転させてページ送りを指示したら、第2ページを瞬時に表示してもよいし、図7(b)に示すように、第1ページが徐々に捲られる様子を表示した後、第2ページを表示してもよい。その際、第1ページの捲られている部分に第2ページを表示してもよいし、何も表示しなくてもよい。
【0048】
また、ページが徐々に捲られる様子を表示する場合、指先がタッチパネルに接触した場所を特定し、接触した場所に近い場所からページが捲られるように表示してもよい。例えば、図7(b)では、指先がページの右下に接触しているため右下の角から捲られるように表示し、図7(c)では、指先がページの右上に接触しているため右上の角から捲られるように表示する。また、指先がページの辺の中央部に接触している場合は、その辺のどちらか一方の角から捲られるように表示してもよいし、図7(d)に示すように、辺全体が徐々に捲られるように表示してもよい。
【0049】
図8は、連続してページ送り(又はページ戻し)を行う場合を示している。図8に示すように、まず、あるページ(ここでは第1ページ)が表示されている状態で、指先をタッチパネルに接触させ、ユーザ側から見て時計回りに回転させてページ送りを指示した場合、前述した通り、第2ページが表示されるが、その際、回転させた指先をタッチパネルに接触させた状態で維持すると、ページ送りが指示された状態が継続していると判断して、一定時間経過後に、第3ページを表示することができる。そして、順次、ページを送って第10ページが表示されている状態で、指先を反時計回りに回転させると、ページ送りを止める指示であると判断して、そのページの表示を継続することができる。
【0050】
なお、指先を反時計回りに回転させる際、指先の接触部の形状が初期状態(第1ページの状態)に戻った場合はページ送りを止める指示であると判断し、初期状態よりも更に反時計回りに回転させた状態になった場合はページ戻しの指示であると判断することもできる。
【0051】
図6乃至図8では、ページ単位で表示する場合を示したが、本や冊子が表示された状態で、同様にページ捲りを指示することもできる。例えば、図9(a)に示すように、本や冊子の見開きが表示されている状態で、あるページ(ここでは第9ページ)に指先を接触させ、ユーザ側から見て時計回りに回転させた場合、ページ送りの指示と判断して、第10ページと第11ページが表示されるように制御することもできる。同様に、第8ページに指先を接触させ、ユーザ側から見て反時計回りに回転させた場合、ページ戻しの指示と判断して、第6ページと第7ページが表示されるように制御することもできる。
【0052】
なお、第8ページ上で指先を時計回りに回転させた場合や、第9ページ上で指先を反時計回りに回転させた場合、同様にページを捲ってもよいし、ページをそのままにしてもよい。また、左側のページにおける回転動作は、回転方向にかかわらずページ戻しの指示であると判断し、右側のページにおける回転動作は、回転方向にかかわらずページ送りの指示であると判断することもできる。
【0053】
また、図9(b)に示すように、本や冊子の小口(綴じ止めした面と反対側の面)が表示された状態で、小口の部分に指先を接触させた場合、接触させた位置に対応するページ(ここでは第10ページ)が表示されるように制御してもよい。また、指先の回転方向に応じてページ捲り(ここではユーザ側から見て時計回りの回転であるのでページ送り)を継続するように制御してもよい。
【0054】
以下、情報閲覧装置10(ページ捲り表示制御部17)の具体的な動作について、図10のフローチャート図を参照して説明する。なお、ページ捲りにおいて、従来のスライド動作と本実施例の回転動作とを組み合わせることができることから、図10では、従来のスライド動作に加えて本実施例の回転動作を行う場合について説明する。また、以下の説明において、タッチパネルは複数の点を認識できる(いわゆるマルチタッチ機能を有する)ものとする。
【0055】
まず、操作部14からの出力に基づいて、タッチパネル上に指が置かれたかを判断し(S101)、指が置かれたと判断した場合は、指が何本置かれたかを判断する(S102)。置かれた指が複数本(通常は2本)の場合は、ピンチ動作(指の間隔を広げたり狭めたりする動作)であるか、回転動作(2本の指の間の点を中心として回転させる動作)であるかを判断する(S103)。そして、ピンチ動作の場合は指の間隔に応じて表示されている画像を拡大/縮小し、回転動作の場合は回転角に応じて表示されている画像を回転させ(S104)、S101に戻る。
【0056】
一方、置かれた指が1本の場合、若しくは、置かれた指が複数本でありピンチ動作でも回転動作でもない場合(S103のNo)は、スライド動作(指を略一定方向に移動させる動作)が行われたかを判断し(S105)、スライド動作が行われた場合は、指の各位置の座標から指の移動方向を求めると共に、指の各位置の座標及び時刻から、指の移動速度や移動加速度を求める(S106)。そして、指の移動方向に基づいて、ページ捲りの方向を決定すると共に、移動速度や移動加速度に基づいて、ページ捲りの速度やページ捲り枚数を決定し、表示部13にページ捲りの方向、速度、捲り枚数で特定されるページを表示させる(S107)。
【0057】
ここまでの動作は、従来と同様であるが、本実施例では、S105でスライド動作でない場合に以下の処理を行うことを特徴としている。
【0058】
まず、タッチパネルの出力に基づいて、指先を指の長手方向を中心軸として回転させる回転動作が行われたか(接触部の形状が変化しているか)を判断する(S108)。なお、図5で示したように、手全体を回転させる動作を行ってもよいし、指を立てる(若しくは立てた指を寝かせる)動作を行ってもよい。
【0059】
回転動作が行われなかった場合は、S101に戻って同様の処理を繰り返し、回転動作が行われた場合は、接触部の形状変化と予め記憶したパターンとを比較することによって、指の回転方向及び回転量を求めると共に、接触した時刻に基づいて回転速度を求める(S109)。そして、指の回転方向に基づいてページ捲り方向(ページ送りであるかページ戻しであるか)を決定する。また、指の回転量に基づいてページ捲り枚数を決定し、指の回転速度に基づいてページ捲り速度を決定する。そして、ページ捲り枚数をメモリ12のカウンタにセットする(S110)。
【0060】
なお、ここでは、指の回転量に基づいてページ捲り枚数を決定し、指の回転速度に基づいてページ捲り速度を決定する構成としたが、ページ捲り枚数若しくはページ捲り速度の一方のみを決定してもよいし、指の回転速度に基づいてページ捲り枚数を決定し、指の回転量に基づいてページ捲り速度を決定してもよい。
【0061】
次に、決定したページ捲りの方向、速度、捲り枚数に従って、所定のページ(ページ送りの場合は次のページ、ページ戻しの場合は前のページ)を表示部13に表示させる。そして、ページ捲り表示制御部17は、メモリ12のカウンタから1を減算する(S111)。
【0062】
次に、タッチパネルの出力に基づいて、指若しくは手の回転動作が変化したか(接触部の形状が変化したか)を判断する(S112)。回転動作が変化しなかった場合は、S110で決定した所定のページ数のページ捲り動作が終了したかを判断し(S114)、終了していない場合は、S111に戻ってページ捲り動作を繰り返し行い、所定のページ数のページ捲り動作が終了した場合は、ページ捲り動作を停止し、メモリ12のカウンタをリセットして(S115)、S101に戻る。
【0063】
一方、S112で、更に回転したと判断した場合は、回転量を求め、その回転量に応じたページ捲り枚数を決定し、その枚数をカウンタに加算する(S113)。そして、所定のページ数のページ捲り動作が終了したかを判断し(S114)、終了していない場合は、S111に戻ってページ捲り動作を繰り返し行い、終了した場合は、ページ捲り動作を停止し、メモリ12のカウンタをリセットして(S115)、S101に戻る。
【0064】
また、S112で、図8に示すように逆回転したと判断した場合は、ページ捲り動作を停止し、メモリ12のカウンタをリセットして(S115)、S101に戻る。
【0065】
このように、本実施例では、指や手をタッチパネル上で回転させた時の接触部の形状の変化に基づいて、指や手の回転方向、回転量、回転速度を求め、回転方向からページ捲り方向(ページ送り又はページ戻し)、回転速度や回転量からページ捲り速度やページ捲り枚数を決定するため、スライド動作のように指を大きく動かすことなく、簡便にページ捲りを指示することができる。
【0066】
また、回転動作の場合、表示部を指で挟み込んだ状態でも操作することができるため、電子ペーパーのように表示部が薄い場合や手で持ちながら操作する場合であっても、安全かつ確実にページ捲りを指示することができる。
【0067】
なお、本発明は上記実施例の記載に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、その構成及び制御は適宜変更可能である。
【0068】
例えば、上記実施例では、1又は複数本の指先若しくは手の平をタッチパネルに接触させた時の接触部の形状変化に基づいてページ捲り表示を制御したが、タッチパネルに接触させる部位は上記に限定されず、例えば、親指の付け根から先端までのように、指全体を接触させたり、小指側の手の側面を接触させたりした場合であっても、同様にページ捲り表示を制御することができる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、タッチパネルを設けた表示部を備える装置、及び当該装置で動作するプログラム、並びにページ捲り表示を制御する方法に利用可能である。
【符号の説明】
【0070】
10 情報閲覧装置
11 CPU
12 メモリ
13 表示部
14 操作部
15 通信部
16 電池
17 ページ捲り表示制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチパネルを設けた表示部を備える情報閲覧装置において、
前記タッチパネルに接触された指又は手の回転方向と回転量及び/又は回転速度とを特定し、前記指又は手の回転方向に基づいて、ページ捲り方向を決定すると共に、前記指又は手の回転量及び/又は回転速度に基づいて、ページ捲り速度を決定し、前記ページ捲り速度で、現在表示されているページが前記ページ捲り方向に基づいて特定されるページに切り替わるように、ページ捲りの表示を制御する表示制御部を備える、ことを特徴とする情報閲覧装置。
【請求項2】
前記表示制御部は、前記指又は手の回転量及び/又は回転速度に基づいて、ページ捲りの枚数を決定し、現在表示されているページを前記ページ捲り方向及び前記ページ捲りの枚数に基づいて特定されるページに切り替える、ことを特徴とする請求項1に記載の情報閲覧装置。
【請求項3】
前記表示制御部は、前記回転された指又は手が維持される場合は、前記指又は手が回転後も前記タッチパネルに接触していると判断して、ページ捲りを継続して行う、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の情報閲覧装置。
【請求項4】
前記表示制御部は、前記指又は手が回転された後、前記指又は手が逆回転した場合は、ページ捲りを停止、若しくは、逆方向へのページ捲りを行う、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の情報閲覧装置。
【請求項5】
前記表示制御部は、前記指又は手が接触している位置に近い角から、現在表示されているページが消えるように、ページ捲りの途中状態を表示させる、ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一に記載の情報閲覧装置。
【請求項6】
前記表示制御部は、前記表示部に綴じ止めした本又は冊子の小口が表示されている場合は、前記小口上で前記指又は手が接触したページから、ページ捲りを開始する、ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一に記載の情報閲覧装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一に記載の情報閲覧装置で動作する表示制御プログラムであって、
前記情報閲覧装置を、
前記表示制御部、として機能させる、ことを特徴とする表示制御プログラム。
【請求項8】
タッチパネルを設けた表示部を備える情報閲覧装置におけるページ捲りの表示制御方法であって、
前記タッチパネルに接触された指又は手の回転方向と回転量及び/又は回転速度とを特定する第1ステップと、
前記指又は手の回転方向に基づいて、ページ捲り方向を決定すると共に、前記指又は手の回転量及び/又は回転速度に基づいて、ページ捲り速度を決定する第2ステップと、
前記ページ捲り速度で、現在表示されているページが前記ページ捲り方向に基づいて特定されるページに切り替わるように、ページ捲りの表示を制御する第3ステップと、を有する、ことを特徴とする表示制御方法。
【請求項9】
前記第2ステップでは、前記指又は手の回転量及び/又は回転速度に基づいて、ページ捲りの枚数を決定し、
前記第3ステップでは、現在表示されているページを前記ページ捲り方向及び前記ページ捲りの枚数に基づいて特定されるページに切り替える、ことを特徴とする請求項8に記載の表示制御方法。
【請求項10】
前記第3ステップでは、前記回転された指又は手が維持される場合は、前記指又は手が回転後も前記タッチパネルに接触していると判断して、ページ捲りを継続して行う、ことを特徴とする請求項8又は9に記載の表示制御方法。
【請求項11】
前記第3ステップでは、前記指又は手が回転された後、前記指又は手が逆回転した場合は、ページ捲りを停止、若しくは、逆方向へのページ捲りを行う、ことを特徴とする請求項8又は9に記載の表示制御方法。
【請求項12】
前記第3ステップでは、前記指又は手が接触している位置に近い角から、現在表示されているページが消えるように、ページ捲りの途中状態を表示させる、ことを特徴とする請求項8乃至11のいずれか一に記載の表示制御方法。
【請求項13】
前記第3ステップでは、前記表示部に綴じ止めした本又は冊子の小口が表示されている場合は、前記小口上で前記指又は手が接触したページから、ページ捲りを開始する、ことを特徴とする請求項8乃至12のいずれか一に記載の表示制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−3962(P2013−3962A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−136308(P2011−136308)
【出願日】平成23年6月20日(2011.6.20)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】