説明

感光体ドラムユニットおよび画像形成装置

【課題】感光体ドラムの回転時に感光体ドラムが軸線方向と直交する方向に振れるのを防止して、感光体ドラムの軸線方向に画像濃度の変動が発生するのを抑制することができる感光体ドラムユニットおよび画像形成装置を提供すること。
【解決手段】円筒部50Bの基部に円筒部50Bの周方向に沿って外周溝50dを形成することにより、円筒部50Bの基部の剛性を円筒部50Bの基部を除いた部位よりも低くし、貫通孔50a、43aの中心軸A1と動力伝達部材45の貫通孔45aの中心軸とのずれを吸収するように、円筒部50Bをフランジ部50Aに対して駆動軸44の軸線方向と略直交する方向に撓ませることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光体ドラムユニットおよび画像形成装置に関し、例えば、トナー画像を担持する感光体ドラムを備えた感光体ドラムユニットおよびこの感光体ドラムユニットを備えたプリンタ装置、ファクシミリ、複写機等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ装置、ファクシミリ、複写機等の画像形成装置にあっては、記録紙を記録される画像を担持する感光体ドラムを備えた感光体ドラムユニットが用いられている。感光体ドラムは、読取画像に対応する静電潜像を担持し、この静電潜像をトナーによって可視化するようになっている。
【0003】
この感光体ドラムの周囲には、感光体ドラムに静電潜像を形成する帯電部、感光体ドラムに形成された静電潜像を可視化する現像部、感光体ドラムに形成されたトナー像が転写される転写ベルト等が設置されており、現像部から感光体ドラムに転写されたトナー画像は、感光体ドラムから転写ベルトを介して記録紙に転写されるようになっている。
【0004】
このため、感光体ドラムの回転トルクの変動が発生して感光体ドラムに速度変動が発生すると、画像の伸び縮みを引き起こし画質の低下につながり、記録媒体に転写される画像の品質が悪化してしまう。
【0005】
また、感光体ドラムが回転する際、感光体ドラムに軸線方向と直交する振れが生じると、感光体ドラムと接触式の現像部であれば、感光体ドラムが現像部に軸線方向で均一な面圧で接触できず、感光体ドラムと非接触式の現像部であれば、現像部と感光体ドラムとのギャップが軸線方向に均一にならないことから、画像濃度の変動を発生させてしまい、この点も画質の低下につながる。
したがって、感光体ドラムに軸線方向と直交する振れが発生するのを防止するため、感光体ドラムの位置決め精度を高める必要がある。
【0006】
従来、感光体ドラムの速度変動を抑制しつつ、感光体ドラムの位置決め精度を高めることができる感光体ドラムユニットとしては、例えば、図7に示すものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
図7において、感光体ドラム1は、軸線方向両端部にフランジ部材2、3を備えており、このフランジ部材2、3の貫通孔2a、3aには駆動軸4が挿通されるようになっている。この駆動軸4は、モータ5によって回転駆動されるようになっており、駆動軸4は、軸受6、7によって画像形成装置本体10に回転自在に支持されている。
【0008】
このため、貫通孔2a、3aの中心線Aが同一軸上となるようにフランジ部材2、3に貫通孔2a、3aを形成して、感光体ドラム1を駆動軸4を介して画像形成装置本体10に位置決めすることにより、感光体ドラム1の位置決め精度を向上させることができる。
【0009】
したがって、感光体ドラム1が回転する際、感光体ドラム1が軸線方向と直交する方向に振れるのを防止して、例えば、感光体ドラムと現像部とのギャップを軸線方向で均一にすることができる。
【0010】
また、駆動軸4は、動力伝達部材8の貫通孔8aに挿通されており、動力伝達部材8は、カシメ等によって動力伝達部材8が固定されている。また、フランジ部材2には軸線方向に突出する円筒部2bが設けられており、この円筒部2bの内周部に動力伝達部材8の外周部がセレーション嵌合されている。
【0011】
このため、感光体ドラム1は、モータ5の回転トルクが動力伝達部材8から円筒部2bを介して伝達されるように駆動軸4によって回転駆動される。
【0012】
また、円筒部2bの内周部に動力伝達部材8の外周部がセレーション嵌合されているため、感光体ドラム1は回転方向および回転方向と直交する方向にガタが発生しない。このため、感光体ドラム1の回転トルクの変動が生じず、速度変動が発生するのを防止することができ、画像の伸び縮みを引き起こすのを防止することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
このような従来の感光体ドラムユニットにあっては、円筒部2bの内周部に動力伝達部材8の外周部がセレーション嵌合されているため、感光体ドラム1の回転方向および回転方向と略直交する方向にガタが発生しない。
【0014】
しかしながら、感光体ドラム1と駆動軸4の連結箇所が、フランジ部材2、3の貫通孔2a、3aの2箇所に加えて、動力伝達部材8の貫通孔8aの合計3箇所となっているため、図8に示すように、フランジ部材2、3の貫通孔2a、3aの中心軸Aに対して動力伝達部材8の貫通孔8aの中心軸Bが同軸上に設けられていないと、フランジ部材2、3の貫通孔2a、3aの中心軸Aと動力伝達部材8の貫通孔8aの中心軸Bとのずれ分だけ駆動軸4が撓んでしまい、第1の貫通孔と第2の貫通孔とが同軸上に位置しないおそれがある。
【0015】
この結果、感光体ドラム1の回転時に感光体ドラム1が軸線方向と直交する方向に振れてしまい、例えば、感光体ドラム1と現像部とのギャップを軸線方向に均一にすることができず、画像濃度の変動を発生させてしまうおそれがある。
【0016】
また、感光体ドラム1の回転時に感光体ドラム1が軸線方向と直交する方向に振れるのを防止するためには、フランジ部材2、3の貫通孔2a、3aの中心軸Aと動力伝達部材8の貫通孔8aの中心軸Bとを同軸にするために、フランジ部材2、3および動力伝達部材8の加工精度を厳密に管理する必要があり、感光体ドラムユニットの製造作業が面倒なものとなってしまう。
【0017】
本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、感光体ドラムの回転時に感光体ドラムが軸線方向と直交する方向に振れるのを防止して、感光体ドラムの軸線方向に画像濃度の変動が発生するのを抑制することができる感光体ドラムユニットおよび画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の感光体ドラムユニットは、上記目的を達成するため、円筒形状の感光体ドラムと、前記感光体ドラムの軸線方向両端部に取付けられ、第1の貫通孔が形成された第1のフランジ部材および第2の貫通孔が形成された第2のフランジ部材と、前記第1の貫通孔および第2の貫通孔に挿通されて前記感光体ドラムの内部を貫通するとともに、画像形成装置本体に軸受を介して回転自在に支持された駆動軸とを有し、前記第1のフランジ部材が、前記第1の貫通孔を有するフランジ部および前記フランジ部から前記駆動軸の軸線方向に突出する円筒部と、前記駆動軸の外周部に固定される貫通孔を有し、前記円筒部にセレーション嵌合する動力伝達部材とを備えた感光体ドラムユニットであって、前記円筒部が前記フランジ部に対して前記駆動軸の軸線方向と略直交する方向に撓むように構成されている。
【0019】
この感光体ドラムユニットは、円筒部がフランジ部に対して駆動軸の軸線方向と略直交する方向に撓むように構成されているため、第1のフランジ部の第1の貫通孔および第2のフランジ部の第2の貫通孔の中心軸と動力伝達部材の貫通孔の中心軸とのずれを吸収するように円筒部がフランジ部に対して撓む。
このため、駆動軸が軸線方向と直交する方向に撓むのを防止して駆動軸の中心軸を直線にすることができ、第1のフランジ部の第1の貫通孔および第2のフランジ部の第2の貫通孔の中心軸とを同軸上にすることができる。
【0020】
したがって、予め、第1、第2のフランジ部材の第1、第2の貫通孔と動力伝達部の貫通孔とが同軸上になるように第1、2のフランジ部材および動力伝達部材の加工精度を厳密に管理するのを不要にして、感光体ドラムの回転時に感光体ドラムが軸線方向と直交する方向に振れるのを防止することができる。この結果、例えば、感光体ドラムと現像部のギャップを軸線方向に亘って均一にすることができ、感光体ドラムの軸線方向に画像濃度の変動が発生するのを抑制することができる。
【0021】
また、本発明の感光体ドラムユニットは、前記円筒部の突出方向基端部に、前記円筒部の周方向に沿って溝が形成されるものから構成されている。
この感光体ドラムユニットは、円筒部の突出方向基端部に円筒部の周方向に沿って溝が形成されるので、円筒部の突出方向基端部の剛性を低くすることができ、第1のフランジ部の第1の貫通孔および第2のフランジ部の第2の貫通孔の中心軸と動力伝達部材の貫通孔の中心軸とのずれを吸収するようにフランジ部に対して円筒部を撓ませることができる。
このため、駆動軸が軸線方向と直交する方向に撓むのを防止して駆動軸の中心軸を直線にすることができ、第1のフランジ部の第1の貫通孔および第2のフランジ部の第2の貫通孔の中心軸とを同軸上にすることができる。
【0022】
また、本発明の感光体ドラムユニットは、前記フランジ部と前記円筒部とを異なる材料から構成し、前記円筒部の剛性を前記フランジ部の剛性よりも低くしたものから構成されている。
【0023】
この感光体ドラムユニットは、フランジ部と円筒部とが異なる材料から構成され、円筒部の剛性がフランジ部の剛性よりも低いので、第1のフランジ部の第1の貫通孔および第2のフランジ部の第2の貫通孔の中心軸と動力伝達部材の貫通孔の中心軸とのずれを吸収するようにフランジ部に対して円筒部を撓ませることができる。
このため、駆動軸が軸線方向と直交する方向に撓むのを防止して駆動軸の中心軸を直線にすることができ、第1のフランジ部の第1の貫通孔および第2のフランジ部の第2の貫通孔の中心軸とを同軸上にすることができる。
【0024】
また、本発明の感光体ドラムユニットは、前記円筒部の突出方向基端部に、前記円筒部の周方向に沿って溝が形成される。
【0025】
この感光体ドラムユニットは、円筒部の剛性がフランジ部の剛性よりも低い上に、円筒部の突出方向基端部に、円筒部の周方向に沿って溝が形成されるので、円筒部の突出方向基端部の剛性をより一層低くすることができ、円筒部の突出方向基端部をより一層容易に撓ませることができる。
このため、駆動軸が軸線方向と直交する方向に撓むのを防止して駆動軸の中心軸を直線にすることができ、第1のフランジ部の第1の貫通孔および第2のフランジ部の第2の貫通孔の中心軸とを同軸上にすることができる。
【0026】
また、本発明の画像形成装置は、上述した感光体ドラムユニットと、前記感光体ドラムにトナー画像を形成する画像形成部と、前記感光体ドラムに形成されたトナー画像を記録媒体に転写する転写部とを備えたものから構成されている。
【0027】
この画像形成装置は、予め、第1、第2のフランジ部材の第1、第2の貫通孔と動力伝達部の貫通孔とが同軸上になるように第1、2のフランジ部材および動力伝達部材の加工精度を厳密に管理するのを不要にして、感光体ドラムの回転時に感光体ドラムが軸線方向と直交する方向に振れるのを防止することができる。この結果、例えば、感光体ドラムと現像部のギャップを軸線方向に亘って均一にすることができ、感光体ドラムの軸線方向に画像濃度の変動が発生するのを抑制することができる。
【発明の効果】
【0028】
以上説明したように、感光体ドラムの回転時に感光体ドラムが軸線方向と直交する方向に振れるのを防止して、感光体ドラムの軸線方向に画像濃度の変動が発生するのを抑制することができる感光体ドラムユニットおよび画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明に係る感光体ドラムユニットおよび画像形成装置の第1の実施の形態を示す図であり、複写機の概略構成図である。
【図2】本発明に係る感光体ドラムユニットおよび画像形成装置の第1の実施の形態を示す図であり、感光体ドラムユニットの断面図である。
【図3】本発明に係る感光体ドラムユニットおよび画像形成装置の第1の実施の形態を示す図であり、第1のフランジ部材と動力伝達部材との分解斜視図である。
【図4】本発明に係る感光体ドラムユニットおよび画像形成装置の第1の実施の形態を示す図であり、第1のフランジ部材の断面図である。
【図5】本発明に係る感光体ドラムユニットおよび画像形成装置の第2の実施の形態を示す図であり、第1のフランジ部材の断面図である。
【図6】本発明に係る感光体ドラムユニットおよび画像形成装置の第2の実施の形態を示す図であり、他の構成を有する第1のフランジ部材の断面図である。
【図7】従来の感光体ドラムユニットの断面図である。
【図8】従来の感光体ドラムユニットのフランジ部材の貫通孔の中心軸と動力伝達部材の貫通孔の中心軸とのずれを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
(第1の実施の形態)
図1〜図4は、本発明に係る感光体ドラムユニットおよび画像形成装置の第1の実施の形態を示す図であり、画像形成装置として複写機に適用した例を示している。なお、画像形成装置としては、プリンタ装置、ファクシミリ装置あるいは、プリンタ機能とファクシミリ機能とを有する複合機等に適用可能である。
【0031】
まず、構成を説明する。
図1において、複写機11は、原稿上の画像を読み取る原稿読取部12と、積載された記録媒体としての複数の記録紙13のうち最上部の記録紙13aを給紙する給紙部14と、給紙部14により給紙された記録紙13aに対し原稿読取部12が読み取った画像を形成する画像形成ユニット15と、画像形成ユニット15により記録紙13aに形成された未定着画像を定着する定着装置16とを備えている。なお、本実施の形態の複写機11では、画像形成ユニット15と給紙部14とは分割可能となっている。
【0032】
画像形成ユニット15は、4つの作像部17(17Y(イエロー)、17C(シアン)、17M(マゼンタ)、17Bk(ブラック))と、転写部としての転写ベルト18と、露光装置19とを有している。
【0033】
作像部17Y、17C、17M、17Bkは、時計回転方向に回転駆動され像担持体として機能する感光体ドラム20(20Y、20C、20M、20Bk)と、感光体ドラム20の周囲に配置された帯電部21と、現像部22と、クリーニング部23等とにより構成されており、それぞれ異なる色のトナーによる画像、すなわち、トナー像を形成するようになっている。
【0034】
感光体ドラム20の外周部には感光層が設けられており、露光装置19から出射された破線で示す光ビームが感光体ドラム20の外周面にスポット照射されることにより、感光体ドラム20の外周面には画像情報に応じた静電潜像が書き込まれる。
帯電部21は、感光体ドラム20の外周面を一様に帯電するようになっており、感光体ドラム20に対して非接触にすることにより帯電する非接触方式のものが採用されている。
【0035】
現像部22は、感光体ドラム20の外周面にトナーの供給を行い、供給されたトナーが感光体ドラム20の外周面に書き込まれた静電潜像に付着することにより、感光体ドラム20上の静電潜像がトナー像として顕像化させるものであり、感光体ドラム20に対して接触せずにトナーを付着させる非接触方式のものが採用されている。
【0036】
クリーニング部23は、感光体ドラム20の外周面に付着している残留トナーを除去するようになっており、感光体ドラム20の外周面にブラシを接触させるブラシ接触方式のものが採用されている。
【0037】
転写ベルト18は、樹脂フィルム、または、ゴムを基体として形成された無端状ベルトにより構成されており、感光体ドラム20上に形成されたトナー像が転写されるようになっている。また、この転写ベルト18に転写されたトナー像が、転写ローラ24によって記録紙13aに未定着画像として転写される。
【0038】
露光装置19は、パーソナルコンピュータ、ワードプロセッサなどネットワークを介して接続された端末や、電話回線を介して接続されたFAX送信機から入力される画像データや、原稿読取部12によって読み取られた原稿の画像を表すデータを光源駆動用の信号に変換し、この変換された信号に基づいて各レーザ光源ユニット内の半導体レーザを駆動して光ビームを出射するようになっている。
【0039】
給紙部14は、シート材分離給送装置としての給紙装置25を有しており、この給紙装置25は、給紙トレイに積載された複数の記録紙13から最上部に位置する記録紙13aを吸着して搬送方向下流側に給紙する分離部26を有している。
【0040】
給紙装置25によって分離された記録紙13aは、搬送路27内に搬送されるようになっており、搬送路27に搬送された記録紙13aは、搬送ローラ対28によってさらに搬送されるようになっている。
また、搬送ローラ対28によって搬送された記録紙13aは、転写ローラ29によって画像形成ユニット15で形成されたトナー像が転写されるようになっている。
【0041】
定着装置16は、転写ローラ29によって記録紙13aに転写されたトナー像を熱転写するようになっている。
【0042】
また、複写機11は、排紙トレイ30を備えており、定着装置16により定着された記録紙13aは、排紙ローラ対31により搬送され、排紙トレイ30に排出されるようになっている。
なお、本実施の形態では、露光装置19、帯電部21、現像部22およびクリーニング部23が画像形成部を構成している。
【0043】
一方、図2に示すように、感光体ドラム20は、感光体ドラムユニット41の一部を構成するものである。
【0044】
感光体ドラムユニット41は、感光体ドラム20、フランジ部材42、43、駆動軸44、動力伝達部材45、ばね46、軸受47a、47b、ジョイント部48およびモータ49を含んで構成されている。
【0045】
フランジ部材42は、第1のフランジ部材を構成しており、感光体ドラム20の軸線方向一端部を閉塞するようにして感光体ドラム20に接着等によって取付けられている。フランジ部材43は、第2のフランジ部材を構成しており、感光体ドラム20の軸線方向他端部を閉塞するようにして感光体ドラム20に接着等によって取付けられている。
【0046】
フランジ部材42は、第1の貫通孔としての貫通孔50aが形成されたフランジ部50Aと、フランジ部50Aから駆動軸44の軸線方向に突出す円筒部50Bとを備えている。
【0047】
フランジ部材43には第2の貫通孔としての貫通孔43aが形成されており、駆動軸44は、貫通孔50a、43aを通して感光体ドラム20の内部を貫通することにより、感光体ドラム20は、貫通孔50a、43aに位置決めされている。
【0048】
駆動軸44は、軸受47a、47bを介して画像形成装置本体としての複写機11の本体11aに回転自在に支持されている。なお、複写機11の本体11aは、本体11aを構成する筐体と筐体内に設けられた仕切り板等の部位を含むものである。
【0049】
駆動軸44の一端部にはジョイント部48がカシメ等によって固定されており、このジョイント部48は、モータ49の出力軸49aに出力軸49aと一体回転自在に取付けられている。
【0050】
また、動力伝達部材45の貫通孔45aには駆動軸44が貫通されており、動力伝達部材45は、カシメによって駆動軸44に固定されることにより、駆動軸44と一体回転する。
【0051】
図2、図3に示すように、動力伝達部材45の外周部にはテーパ45bが形成されており、このテーパ45bには雄セレーション溝45cが形成されている。
【0052】
また、円筒部50Bの内周部には動力伝達部材45のテーパ45bと同一方向に傾斜するテーパ50bが形成されており、このテーパ50bには雄セレーション溝45cに噛合する雌セレーション溝50cが形成されている。すなわち、動力伝達部材45は、円筒部50Bの内周部にセレーション嵌合されている。
【0053】
このため、フランジ部材42と動力伝達部材45とは、駆動軸44の回転方向と回転方向と略直交する方向とにガタが生じないようになっており、感光体ドラム20と駆動軸44とは、駆動軸44の回転方向と略直交する方向とにガタが生じない。
【0054】
また、ばね46は、軸受47aとフランジ部材43との間に介装されており、ばね46は、フランジ部材43を介して感光体ドラム20を図2中、右方に付勢することにより、テーパ45b、50bとの間にガタが生じないように動力伝達部材45を円筒部50Bに嵌合させている。このため、駆動軸44と感光体ドラム20は、駆動軸44の軸線方向に相対移動しない。
【0055】
また、円筒部50Bの基部には円筒部50Bの周方向に沿って溝としての外周溝50dが形成されている(図4参照)。このため、円筒部50Bの基部の剛性は、円筒部50Bの基部を除いた部位よりも低くなっており、円筒部50Bは、フランジ部50Aに対して駆動軸44の軸線方向と略直交する方向に撓むようになっている。なお、駆動軸44の略直交する方向とは駆動軸44と90°直交する方向と90°前後の方向とを含んでいる。
【0056】
次に、作用を説明する。
本実施の形態の感光体ドラムユニット41は、モータ49が回転駆動されると、モータ49の出力軸49aからジョイント部48を介して駆動軸44に回転トルクが伝達される。
【0057】
動力伝達部材45と円筒部50Bとは雄セレーション溝45cおよび雌セレーション溝50cを介してセレーション嵌合しているため、駆動軸44の回転トルクは、動力伝達部材45およびフランジ部材42を介して感光体ドラム20に回転トルクが伝達され、感光体ドラム20と駆動軸44とが一体回転する。
【0058】
また、感光体ドラム20が回転するときに、動力伝達部材45と円筒部50Bとは雄セレーション溝45cおよび雌セレーション溝50cを介してセレーション嵌合していることから、フランジ部材42と動力伝達部材45とは駆動軸44の回転方向と回転方向と略直交する方向とにガタが生じないため、感光体ドラム20の回転トルクの変動による感光体ドラム20の速度変動が生じない。
【0059】
一方、感光体ドラム20と駆動軸44の位置決め箇所は、フランジ部材42、43の貫通孔50a、43aと動力伝達部材45の貫通孔45aの合計3箇所となっており、貫通孔50a、43aと動力伝達部材45の貫通孔45aとの加工精度を厳密に管理しないと、貫通孔50a、43aの中心軸A1に対して動力伝達部材45の貫通孔45aの中心軸が同軸上にならない。
【0060】
本実施の形態では、円筒部50Bの基部に円筒部50Bの周方向に沿って外周溝50dを形成することにより、円筒部50Bの基部の剛性を円筒部50Bの基部を除いた部位よりも低くすることができるため、貫通孔50a、43aの中心軸A1と動力伝達部材45の貫通孔45aの中心軸とのずれを吸収するように、円筒部50Bをフランジ部50Aに対して駆動軸44の軸線方向と略直交する方向に撓ませることができる。
このため、駆動軸44が軸線方向と直交する方向に撓むのを防止して駆動軸44の中心軸を直線にすることができ、貫通孔50a、43aの中心軸A1を同軸上にすることができる。
【0061】
したがって、フランジ部材42、43の貫通孔50a、43aと動力伝達部材45の貫通孔45aとが同軸上になるようにフランジ部材42、43および動力伝達部材45の加工精度を厳密に管理するのを不要にして、感光体ドラム20の回転時に感光体ドラム20が駆動軸44の軸線方向と直交する方向に振れるのを防止することができる。
【0062】
この結果、感光体ドラム20と現像部22とのギャップを軸線方向に亘って均一にすることができ、感光体ドラム20の軸線方向に画像濃度の変動が発生するのを抑制することができる。
【0063】
また、画像濃度の変動を防止することに加えて、上述したように感光体ドラム20の回転トルクの変動が発生するのを防止して感光体ドラム20に速度変動が発生するのを防止することができる。このため、画像の伸び縮みが発生するのを防止することができ、記録紙13に転写される画像の品質が悪化するのを防止することができる。
【0064】
(第2の実施の形態)
図5は、本発明に係る感光体ドラムユニットおよび画像形成装置の第2の実施の形態を示す図であり、第1の実施の形態と同一の符号には同一番号を付して説明を省略する。
図5において、第1のフランジ部材としてのフランジ部材61は、駆動軸44が挿通される第1の貫通孔としての貫通孔61aが形成されたフランジ部61Aと、フランジ部61Aから駆動軸44の軸線方向に突出する円筒部61Bとを備えている。なお、フランジ部61Aと円筒部61Bとは、インサート成形によって一体成形されている。
【0065】
円筒部61Bの内周部には動力伝達部材45のテーパ45bと同一方向に傾斜するテーパ61bが形成されており、このテーパ61bには雄セレーション溝45cに噛合する雌セレーション溝61cが形成されている。すなわち、動力伝達部材45は、円筒部61Bの内周部にセレーション嵌合されている。
また、フランジ部61Aは、金属から構成されており、円筒部61Bは、金属よりも剛性が低い樹脂から構成されている。
【0066】
本実施の形態では、円筒部61Bの剛性をフランジ部61Aの剛性よりも低くしているので、貫通孔61a、43aの中心軸A1と動力伝達部材45の貫通孔45aの中心軸とのずれを吸収するように、円筒部61Bをフランジ部61Aに対して駆動軸44の軸線方向と略直交する方向に撓ませることができる。
【0067】
このため、駆動軸44が軸線方向と直交する方向に撓むのを防止して駆動軸44の中心軸を直線にすることができ、貫通孔61a、43aの中心軸A1を同軸上にすることができる。
【0068】
また、図6に示すように、円筒部61Bの基部に円筒部61Bの周方向に沿って溝としての外周溝61dを形成するようにしてもよい。このようにすれば、円筒部61Bの基部の剛性をより一層低くすることができ、貫通孔61a、43aの中心軸A1と動力伝達部材45の貫通孔45aの中心軸とのずれを吸収するように、円筒部61Bをフランジ部61Aに対して駆動軸44の軸線方向と略直交する方向により一層撓ませることができる。
【0069】
なお、上記各実施の形態では、複写機11に、感光体ドラム20に対して接触せずにトナーを付着させる非接触方式の現像部22が設けられているが、複写機11に、感光体ドラム20に接触することによりトナーを付着させる接触方式の現像部が設けられてもよい。
【0070】
この場合には、感光体ドラム20と現像部との接触圧を軸線方向に亘って均一にすることができ、感光体ドラム20の軸線方向に画像濃度の変動が発生するのを抑制することができる。
【産業上の利用可能性】
【0071】
以上のように、本発明に係る感光体ドラムユニットおよび画像形成装置は、感光体ドラムの回転時に感光体ドラムが軸線方向と直交する方向に振れるのを防止して、感光体ドラムの軸線方向に画像濃度の変動が発生するのを抑制することができるという効果を有し、トナー画像を担持する感光体ドラムを備えた感光体ドラムユニットおよびこの感光体ドラムユニットを備えたプリンタ装置、ファクシミリ、複写機等の画像形成装置等として有用である。
【符号の説明】
【0072】
11 複写機(画像形成装置)
11a 本体(画像形成装置本体)
13 記録紙(記録媒体)
18 転写ベルト(転写部)
19 露光装置(画像形成部)
20 感光体ドラム
21 帯電部(画像形成部)
22 現像部(画像形成部)
23 クリーニング部(画像形成部)
41 感光体ドラムユニット
42 フランジ部材(第1のフランジ部材)
43 フランジ部材(第2のフランジ部材)
43a 貫通孔(第2の貫通孔)
44 駆動軸
45 動力伝達部材
45a 貫通孔
47a、47b 軸受
50A、61A フランジ部
50B、61B 円筒部
50a、61a 貫通孔(第1の貫通孔)
50d、61d 外周溝(溝)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0073】
【特許文献1】特許第3968199号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒形状の感光体ドラムと、
前記感光体ドラムの軸線方向両端部に取付けられ、第1の貫通孔が形成された第1のフランジ部材および第2の貫通孔が形成された第2のフランジ部材と、
前記第1の貫通孔および第2の貫通孔に挿通されて前記感光体ドラムの内部を貫通するとともに、画像形成装置本体に軸受を介して回転自在に支持された駆動軸とを有し、
前記第1のフランジ部材が、前記第1の貫通孔を有するフランジ部および前記フランジ部から前記駆動軸の軸線方向に突出する円筒部と、
前記駆動軸の外周部に固定される貫通孔を有し、前記円筒部にセレーション嵌合する動力伝達部材とを備えた感光体ドラムユニットであって、
前記円筒部が前記フランジ部に対して前記駆動軸の軸線方向と略直交する方向に撓むように構成したことを特徴とする感光体ドラムユニット。
【請求項2】
前記円筒部の突出方向基端部に、前記円筒部の周方向に沿って溝が形成されることを特徴とする請求項1に記載の感光体ドラムユニット。
【請求項3】
前記フランジ部と前記円筒部とを異なる材料から構成し、前記円筒部の剛性を前記フランジ部の剛性よりも低くしたことを特徴とする請求項1に記載の感光体ドラムユニット。
【請求項4】
前記円筒部の突出方向基端部に、前記円筒部の周方向に沿って溝が形成されることを特徴とする請求項3に記載の感光体ドラムユニット。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の感光体ドラムユニットと、前記感光体ドラムにトナー画像を形成する画像形成部と、前記感光体ドラムに形成されたトナー画像を記録媒体に転写する転写部とを備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−220626(P2012−220626A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−84523(P2011−84523)
【出願日】平成23年4月6日(2011.4.6)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】